JP5244596B2 - タンパク質の検出方法及びそれに用いる蛍光色素 - Google Patents

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Description

本発明は、タンパク質の検出方法及びそれに用いる蛍光色素に関する。
近年、ヒトゲノムの全容が明らかにされ、遺伝子治療や遺伝子診断等を目的としたポストゲノム研究が盛んに行われている。特に、ゲノム情報を利用して、一つの生物や細胞に含まれるすべてのタンパク質について網羅的・系統的に性質や発現動態を解析するプロテオーム解析においては、遺伝子の発現により産生される微量タンパク質を高感度に検出・同定する必要がある。また、ガンやウィルスによる感染症などの疾病は、それぞれ特殊なタンパク質を生成させるため、これら特殊なタンパク質を疾病のマーカーとして取り扱い、疾病の診断や治療に応用することが可能であるが、これら特殊なタンパク質を高感度に検出・同定する必要がある。
タンパク質の高感度分析法としては、例えば、試料タンパク質を蛍光色素により標識し(非特許文献1)、電気泳動による分離を行った後、MALDI-TOF MS等の質量分析計を用いて分画されたタンパク質の分子量を測定し、データベース検索を行ってタンパク質の同定を行う方法が用いられている。また、ウエスタンブロッティングなどのブロッティング法、更に発現解析やタンパク質間の相互作用の解析には、DNAチップの技術を利用したプロテインチップが使用されている(例えば、非特許文献2)。プロテインチップは、蛍光色素により標識されたタンパク質を用い、疎水性物質やイオン交換体や金属イオン等を貼り付けてタンパク質の発現解析に使用し、あるいは抗体等を貼り付けてタンパク質間の相互作用の解析に使用する。プロテインチップを用いることにより、多種類のタンパク質の発現動態や相互作用の同時解析を簡便かつ迅速に行うことができる。
また、電気泳動を用いたタンパクの分割は、ゲルにタンパク質を乗せた後、両末端にセットした電極に電気を通じることでクロマト上を移動させ、分子量等の違いによって分割する。この後、ゲルを蛍光色素溶液に浸すことで蛍光標識を行う(例えば、特許文献1及び2)。しかし、ゲルを乾燥させると蛍光消光が生じるため、湿潤状態で定量を行っているが膨潤したゲルの厚みなどから正確な定量が行えないのが現状である。
特表2003−531946号公報 特開2004−317297号公報 Michael Brinkley, Bioconjugate Chem., 1992, 3, 2-13 Paul Cutler, Proteomics, 2003, 3, 3-18
しかしながら、蛍光強度の変化を測定する場合、蛍光強度の増大幅に再現性がなく、また蛍光強度が微弱で遊離状態との差異が小さい場合、タンパク質の高感度の検出が困難であるという問題がある。微弱な蛍光強度を測定しようとすると、励起光の強度を増加せざるを得ず、光源が大型化したり、試料のダメージが大きくなるという問題もある。さらに、プロテインチップを用いて測定を行う場合、チップ上の試料が乾燥することにより、タンパク質に結合している蛍光色素の蛍光が消光するという問題もある。特に、mlからμlといった微量試料の場合、試料が乾燥しやすいため、非常に大きな問題となる。また、蛍光色素によっては温度安定性が低く、測定に時間を要すれば、定量性に問題が生じる事も考えられる。
そこで、本発明は、上記の課題を解決し、高感度の検出が可能で操作の簡便なタンパク質の検出方法及びそれに用いる蛍光色素を提供することを目的とした。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意努力した結果、従来の蛍光強度の変化に基づく検出方法と異なる全く新しいタンパク質の検出方法が可能なことを見出して本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明のタンパク質の検出方法は、蛍光色素で標識したタンパク質を検出するタンパク質の検出方法であって、遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、タンパク質に結合した状態で観測される第2の蛍光波長に基づく蛍光を計測してタンパク質を検出することを特徴とする。
本発明によれば、結合状態における蛍光強度が弱い場合であっても、遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、タンパク質に結合した状態で観測される第2の蛍光波長の蛍光を測定する、例えば、第2の蛍光波長値やその蛍光強度を測定すれば良いので、従来の検出方法に比べより高感度の検出が可能となる。また、微弱な蛍光強度を測定するため、励起光の強度を上げる必要もない。また、熟練していない検査員でも容易に判別することが可能となる。また、タンパク質を段階的に添加すると、タンパク質との結合量の増加と供に、第2の蛍光波長は短波長にシフトするので、第1の蛍光波長からのシフト値とタンパク質の量との関係からタンパク質を定量することもできる。
また、本発明の検出方法の一態様として、試料中のタンパク質を分離手段に供し、分離した画分を質量分析に供する検出方法の場合、タンパク質を分離手段に供する前に、第2の蛍光波長を発生する第1の蛍光色素によりタンパク質を標識することができる。さらに、第1の蛍光色素によりタンパク質を標識するに先立って又は同時に、タンパク質に結合した状態で第1の蛍光波長が短波長にシフトしない第2の蛍光色素によりタンパク質を標識し、次いで分離手段に供することもできる。
また、本発明の検出方法の別の態様として、タンパク質と上記第2の蛍光波長を発生する第1の蛍光色素とを溶液中で反応させ、その溶液を測定基板に点着し、その測定基板からの第2の蛍光波長に基づく蛍光画像を計測することができる。さらに、タンパク質と第1の蛍光色素とを溶液中で反応させるに先立って又は同時に、タンパク質に結合した状態で第1の蛍光波長が短波長にシフトしない第2の蛍光色素をタンパク質と溶液中で反応させることもできる。
また、第1の蛍光色素はタンパク質と静電結合するアニオン性基を有することが好ましい。また、第2の蛍光色素はタンパク質と共有結合する共有結合性基を有することが好ましい。その共有結合には、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、エステル結合又はグアニジン結合等を挙げることができる。
本発明の検出方法には、第1の蛍光色素として、タンパク質と結合するアニオン性基が直接あるいは連結部を介して有機EL色素に結合したアニオン性蛍光色素を用いることができる。ここで、上記アニオン性基は、カルボキシル基、スルホニル基、硫酸塩基、リン酸塩基及びそれらの組み合わせのいずれかを用いることができる。
また、上記連結部には、-CH2-、-NHCOO-、-CONH-、-CH2NH-、-CH2NR-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-(CH2-CH2-O)n-(nは1から10の整数)、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択される官能基を少なくとも1種用いることができる。
また、上記有機EL色素には、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含む5員環化合物と共役系を有する6員環化合物とから成る縮合多環化合物を用いることができる。
また、上記縮合多環化合物には、以下の一般式(1)、(2)又は(3)のいずれか1種で示されるアゾール誘導体を用いることができる。
Figure 0005244596
ここで、式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基、複素環基、ヘテロ原子を環内に含む芳香族基などの置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示し、Xは置換基を有していてもよい窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子又はセレン原子、ボロン原子を示し、R'は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -を示す。
また、上記のR2とR3に、チオフェン誘導体、フラン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ピラゾール誘導体及びピリジン誘導体からなる群から選択された1種を用いることができる。
また、上記のR2とR3に、スルホニル基を有するフェニル基を用いることができる。
また、上記縮合多環化合物に、以下の一般式(4)、(5)、(6)、(7)又は(8)で示されるイミダゾール誘導体を用いることもできる。
Figure 0005244596
ここで、式中、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、スルホニル基、芳香族炭化水素基、複素環基、ヘテロ原子を環内に含む芳香族基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示し、R1、 R2、R3、R4、R5は同じでも異なっていても良く、R'、R''は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -を示す。
また、上記のR2とR3に、チオフェン誘導体、フラン誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ピラゾール誘導体及びピリジン誘導体からなる群から選択された1種を用いることができる。
また、上記のR2とR3に、スルホニル基を有するフェニル基を用いることもできる。
本発明のアニオン性蛍光色素は、試料が乾燥しても消光することがないので、乾燥状態でも高感度の検出が可能となる。例えば、溶液中でアニオン性蛍光色素とタンパク質とを反応させ、その溶液をプロテインチップの基板上に点着させて、イメージスキャナなどで画像化して検出することもできる。また、本発明に用いるアニオン性蛍光色素は最近開発されたドライアッセイにも用いることが可能であり、使用方法を選ばない試薬である。また、熱に対して安定であり、常温での長期保存に耐えることができるので、取り扱いが容易である。
上記のアニオン性蛍光色素が本発明の検出方法に好適に使用できる理由については、以下の理由が考えられる。本発明者の知見によれば、アニオン性基を有する従来の蛍光色素、例えば、メチルオレンジ、オレンジG等を用いても、蛍光波長のシフトは全く観測されなかった。これに対し、上記のアニオン性蛍光色素を用いると、蛍光波長がより短波長にシフトし(ブルーシフトし)、蛍光強度が増加した。また、吸収波長がより長波長にシフトし(レッドシフトし)、その強度は低下した。アニオン性蛍光色素はタンパク質の正荷電基、例えばアミノ基と静電結合するが、有機EL色素を発色部に用いると、有機EL色素は近接したタンパク質との相互作用によりエネルギーが流出し易くなることによると考えられる。また、アニオン性基から成る結合部を有しない場合、発色部が有機EL色素から成る色素を用いても、蛍光波長のブルーシフトも蛍光強度の増加も観測されなかった。アニオン性基から成る結合部を有しない蛍光色素を用いる場合、蛍光色素はタンパク質の表面の官能基のみと反応して共有結合を形成すると考えられる。これに対し、アニオン性基から成る結合部を有する蛍光色素は、分子量も小さく立体障害も少ないため静電結合によりタンパク質の表面のアミノ基のみならず深部のアミノ基とも結合するため、前述のようにタンパク質の深部(疎水場)にも位置することとなり、これにより、ブルーシフトと蛍光強度の増加が起きたものと考えられる。
本発明の検出方法は、以下のような効果を有する。
すなわち、遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、タンパク質に結合した状態で観測される第2の蛍光波長値及びその蛍光強度を測定することにより、従来に比べ、より高感度の検出が可能となる。また、タンパク質との結合量の増加に伴い第2の蛍光波長はより短波長にシフトするので、蛍光色素に段階的にタンパク質を添加し、第1の蛍光波長からの蛍光波長のシフト値からタンパク質を定量することもできる。また、試料が乾燥状態でも蛍光を発することができるので、タンパク質の検出を簡便且つ高精度な定量を行うことができる。更に、本発明に用いる蛍光色素は、Cy3やCy5、Alexa色素よりも熱安定性が高く、退光性も観測されないので、取り扱いは容易で、さらにCy3やCy5に比べ安価であるので、より低コストでタンパク質の検出を行うことができる。また、本発明の蛍光色素は乾燥したときに最大の量子収率を示すことから、電気泳動によりタンパク質を分割する場合に、ゲルを乾燥させることで極力厚みを薄くすることができるため従来よりも精度の高い定量を行うことができる。
本発明における蛍光色素の色調の変化の一例を示す写真である。 本発明の実施例1における蛍光色素のUVスペクトルの変化を示す図である。 本発明の実施例1における蛍光色素の蛍光スペクトルの変化を示す図である。 本発明の実施例1における蛍光色素のUVスペクトルの変化を示す図である。 本発明の実施例2における蛍光色素の蛍光スペクトルの変化を示す図である。 本発明の実施例2におけるインスリン濃度と蛍光ピーク波長との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2におけるインスリン濃度と蛍光強度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例3における蛍光色素の蛍光スペクトルの変化を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の検出方法は、蛍光色素で標識したタンパク質を検出するタンパク質の検出方法であって、遊離状態で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、タンパク質に結合した状態で観測される第2の蛍光波長に基づく蛍光を計測してタンパク質を検出する。
本発明に用いるアニオン性蛍光色素の蛍光波長は、タンパク質との結合量の増加とともに、遊離状態の蛍光波長からより短波長に徐々にシフトし、それ以上蛍光波長がシフトせず、かつ蛍光強度も増加しない飽和状態に至る。従って、遊離状態から飽和状態に至る間の中間状態の蛍光波長値及びその蛍光強度を用いて、試料中のタンパク質の存在の有無の確認そしてその定量を行うことができる。また、アニオン性蛍光色素にタンパク質を段階的に添加し、添加したタンパク質の量と遊離状態の蛍光波長からのシフト値との関係から、タンパク質を定量することもできる。
本発明の対象とする試料は、タンパク質を含むものであれば特に限定されない。単純タンパクであるコラーゲンも標識することが可能であり、電気泳動後、標識することが可能である。また、アミノ基を有する糖鎖及びペプチドの検出に用いることが可能である。また、抗体の標識においてもこれまでと同様の取り扱いで良く、抗原抗体反応にも用いることが可能である。例えば、抗体抗原チップをはじめ、エバネセント波蛍光免疫測定法など、あらゆる手法で抗体反応を観察することが可能である。
本発明の検出方法は、溶液状態の試料であっても、固体状態の試料であっても適用が可能である。
溶液状態の試料の場合、例えば、所定濃度のアニオン性蛍光色素を溶解させた溶液にタンパク質を含む試料溶液を添加し、蛍光分光光度計等を用い、溶液の蛍光スペクトルを測定し、第2の蛍光波長の有無及びその蛍光強度もしくは蛍光波長のシフト値から試料濃度を検出する。あるいは、第2の蛍光波長が予めわかっている場合には、測定波長を第2の蛍光波長に固定し、蛍光強度から試料濃度を検出することもできる。また、タンパク質を含む試料溶液にアニオン性蛍光色素を溶解させた溶液を添加する方法を用いることもできる。
また、固体状態の試料の場合、例えば、以下の方法を用いることができる。タンパク質とアニオン性蛍光色素とを溶液状態で反応させ、次いでその溶液を測定基板、例えばプロテインチップ上にスポットして点着し、そのチップをイメージスキャナ等を用いて画像化して試料濃度を検出する。あるいは、上に予めアニオン性蛍光色素を固定し、次いでその測定基板にタンパク質を含む試料溶液を点着させることもできる。
ここで、遊離状態で観測される第1の蛍光波長とは、溶液中あるいは固体中で、アニオン性蛍光色素が単独で存在する場合に観測される蛍光波長をいう。一方、タンパク質に結合した状態で観測される第2の蛍光波長とは、タンパク質に結合したアニオン性蛍光色素に基づく蛍光波長であり、第1の蛍光波長よりも短波長である。ここで、第2の蛍光波長の第1の蛍光波長からのシフト値は、タンパク質に結合したアニオン性蛍光色素の種類に依存し、少なくとも2nm以上、より好ましくは10 nm以上である。
本発明の検出方法に用いるアニオン性蛍光色素には、タンパク質と結合するアニオン性基が有機EL色素に直接結合したものと、アニオン性基が連結部を介して有機EL色素に結合したものが含まれる。ここで、アニオン性基は、タンパク質のアミノ基等の正荷電基と静電結合する、カルボキシル基、スルホニル基、硫酸塩基、リン酸塩基及びそれらの組み合わせのいずれかを用いることができるが、スルホニル基を用いることが好ましい。
また、第2の蛍光色素として用いる共有結合性基を有する蛍光色素には、タンパク質と結合する共有結合性基が有機EL色素に直接あるいは連結部を介して結合したものが含まれる。その共有結合には、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、エステル結合又はグアニジン結合等を挙げることができる。共有結合性基には、例えば、イソチオシアネート基、イソシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化スルホニル基、塩化アシル基、ハロゲン化アルキル基、グリオキザル基、アルデヒド基、トリアジン基、カルボジイミド基そして活性エステル化したカルボニル基等を用いることができる。好ましくは、イソチオシアネート基、イソシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化アルキル基、トリアジン基、カルボジイミド基そして活性エステル化したカルボニル基から選択されたいずれか1種を用いることが好ましい。より好ましくは、イソシアネート基、エポキシ基、ハロゲン化アルキル基、トリアジン基、カルボジイミド基そして活性エステル化したカルボニル基から選択されたいずれか1種を用いることが好ましい。タンパク質のアミノ基とアミド結合を形成することができ、またタンパク質内のイミノ基に直接結合する事ができるからである。さらに好ましくはトリアジン基、カルボジイミド基又は活性エステル化したカルボニル基である。また、これらの有機EL色素がカルボン酸基を有する場合、カルボジイミド誘導体、トリアジン誘導体の存在下で、標的分子中に存在するアミノ基およびイミノ基を直接修飾する事も可能である。
また、アニオン性蛍光色素は、アニオン性基に加え、共有結合性基を含むこともできる。これにより、標的分子の間にさらに強い結合を形成することができる。共有結合性基とアニオン性基の組合せは特に限定されず、上記の官能基と上記のスルホニル基やカルボキシル基等のアニオン性基の組合せを挙げることができる。
本発明の蛍光色素に用いる連結部は、発色部と、アニオン性基又は共有結合性基とを連結する構成部分であって、共有結合又は原子鎖を含む部分であり、-(CH2)n-(nは1から4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-(CH2-CH2-O)n-(nは1から10の整数)、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択される官能基を1種以上含むものを用いることができる。
すなわち、連結部は、上記の群から選択された1種の官能基のみで構成しても良く、2種以上の官能基を含む構成とすることもできる。また、選択した一の官能基を2個以上含む構成とすることもできる。
例えば、1種の官能基のみで構成する場合、-CONH-、-COO-、-O-、-NR-等が好ましい。また、2種以上の官能基で構成する場合、以下の態様とすることができる。
(1)2種の官能基で構成する場合
以下の一般式(I)で表されるものを用いることができる。
-X1-X2- (I)
ここで、X1とX2は、それぞれ独立に、-(CH2)n-(nは1から4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-(CH2-CH2-O)n-(nは1から10の整数)、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択される1種の官能基を用いることができる。好ましい組み合わせとしては、-CONH-COO-、-CH2-O-、-CH2-NR-、-CONH-(CH2)n-、-CONH-(CH2-CH2-O)n-である。
(2)3種以上の官能基で構成する場合
(i)以下の一般式(II)で表されるものを用いることが好ましい。
-(CHR1)p-X3-(CHR2)q- (II)
式中、X3は直接結合又は、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された少なくとも1種の官能基を用いることができ、好ましくは-COO-、-CONH-、-O-、-CH=CH-、-C≡C-又は-Ar-、より好ましくは-COO-、-CONH-、-O-又は-Ar-を用いることができる。また、R1とR2はそれぞれ独立に、水素原子、あるいは芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基であって、必要によりスルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換されたものを用いることができる。また、Arはアリール基、好ましくは、フェニレン基又はナフチレンで基あり、必要に応じてスルホニル基で置換されたものを用いることができる。pとqはそれぞれ独立に0から20の整数、好ましくは0から10の整数、より好ましくは0から5の整数であり、p+q≧1である。
この連結部の具体例を挙げると、-(CH2)p-CONH-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R1-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R1-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R1-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-CH(-R1-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-(O-CH-)n-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R1-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R1-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R1-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R1-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-CONH(-R1-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R1(-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R1(-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R1(-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-R1(-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-Ar-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-COO)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-SO3H)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-N+H3)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-OH)-(CH2)q-、-(CH2)p-(Ar-COOH)-(CH2)q-、-(CH2)p-C≡C-(CH2)q-、-(CH2)p-C=C-(CH2)q-、-(CH2)p-NR-(CH2)q-、-(CH2)p-O-(CH2)q-、-(CH2)p-S-(CH2)q-、-(CH2)p-HN-C(=NH)-NH- (CH2)q-、-(CH2)p-CO-Ar-NR-(CH2)q-等を挙げることができる。より好ましくは、-(CH2)p-CONH-(CH2)q-、-(CH2)p-COO-(CH2)q- である。
(ii)以下の一般式(III)で表されるものを用いることが好ましい。
-X4-(CHR3)r-X5- (III)
ここで、X4及びX5は、それぞれ独立に、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO2NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-CH2NH-、-CH2NR-、-O-、-S-、-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択された1種の官能基であり、好ましくは、-CONH-と-COO-、-COO-と-COO-、-COO-と-NR- 等の組み合わせである。また、R3は、水素原子、あるいは芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基であって、必要によりスルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換されたものを用いることができる。また、Arはアリール基、好ましくは、フェニレン基又はナフチレンで基あり、必要に応じてスルホニル基で置換されたものを用いることができる。rは0から20の整数、好ましくは0から10の整数、より好ましくは0から5の整数である。このスペーサー部の具体例を挙げると、-CONH-(CH2)r-COO-、-CONH-CH(-R3-OH)-COO-、-CONH-CH(-R3-COOH)-COO-、-CONH-CH(R3-SO3H)-COO-、-COO-(CH2)r-COO- 等を挙げることができる。
また、連結部に、アミノ酸又は2〜20のアミノ酸から成るペプチドリンカーを用いることもできる。アミノ酸には天然又は合成のアミノ酸を用いることができる。ここで、天然アミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、4-アミノ-2-ヒドロキシブタン酸、ホモセリン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、システイン、システイン酸、2-アミノ-3-スルホサルファニルプロパン酸、2-アミノ-3-スルホキシプロパン酸、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン及び4-ヒドロキシプロリン等が含まれる。
合成アミノ酸には、上記天然アミノ酸のD体や、分子内に少なくともアミノ基とカルボキシル基とを有する修飾アミノ酸が含まれる。修飾アミノ酸は、一般式:H-N(R1)-(R2-CO)-OHで表すことができる。ここで、R1とR2は、それぞれ独立に、エステル、エーテル、チオエステル、チオエーテル、アミド、カルバミド又はチオカルバミドを介して又は介さずに、スルホニル基、ヒドロキシル基、4級アミン基、及びカルボキシル基からなる群から選択されたいずれか1種の荷電基により置換された炭化水素基又は芳香族基又はヘテロ環基を表す。さらに炭化水素基又は芳香族基又はヘテロ環基は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアルコキシ基の少なくとも1種で置換されていても良い。
本発明の連結部に用いるより好ましいアミノ酸は、スルホニル基を有するアミノ酸である、システイン酸、2-アミノ-3-スルホサルファニルプロパン酸、2-アミノ-3-スルホキシプロパン酸、そしてヒドロキシル基を有するチロシン、スレオニン、4-アミノ-2-ヒドロキシブタン酸、ホモセリン、セリンからなる群から選択されたいずれか1種である。さらに好ましくは、システイン酸、ホモセリン又はセリンである。
ペプチドリンカーとしては、それぞれ、-C(-R1)-CONH-C(-R2)-、-C(-R1)-CONH-C(-R2)-CONH-C(-R3)-、-C(-R1)-CONH-C(-R2)-CONH-C(-R3)-CONH-C(-R4)- 、で表されるジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドを用いることが好ましい。ここで、R1、R2、R3、R4は、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、アルコール基、インドール基、ヒドロキシフェニル基、ベンジル基、グアニジン基、チオエーテル基、アルキルチオール基、イミダゾール基又はアルキルアミン基等の置換基を表す。これらペプチドは、ホモ又はヘテロペプチドであって良い。具体例を挙げると、Ala-Ser、Glu-Ala、Glu-Ala-Leu、Gly-Pro、Gly-Pro-Asn、Ile-Val、Ile-Val-Met等を用いることができる。
また、ペプチドリンカーの一部を必要によりスルホニル基及びカルボキシル基からなる群から選択された少なくとも1種の荷電基を有するものを用いることができる。例えば、これらのいずれか1個の荷電基を有するアミノ酸を1種以上含むペプチドリンカーを用いることができる。これにより、連結部に新たにアニオン性基を導入することなく、蛍光色素にアニオン性基を付与することができる。例えば、スルホニル基を有するシステイン酸、2-アミノ-3-スルホサルファニルプロパン酸、2-アミノ-3-スルホキシプロパン酸、ヒドロキシル基を有するチロシン、スレオニン、4-アミノ-2-ヒドロキシブタン酸、ホモセリン、セリンを含む群から選択された少なくとも1種のアミノ酸を含むペプチドリンカーを用いることができる。
本発明の蛍光色素は、例えば、トリアジン基、カルボジイミド基及び活性エステル化したカルボニル基のいずれか、より好ましくは活性エステル化したカルボニル基を用いて合成することができる。活性エステル化したカルボニル基には、N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルやマレイミドエステルを用いることができるが、N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルを用いることが好ましい。N−ヒドロキシ−スクシンイミドを用いることにより、以下のスキーム1の反応式Iに示すように、縮合剤としてDCCを用いることによりN−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル体を経由してアミド結合によりEL色素と標的分子が結合する。また、スキーム1の反応式IIに示すように、活性エステル化したカルボニル基には、トリアジン誘導体を用いることもできる。また、カルボジイミド基には、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)や1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド等のカルボジイミド試薬を用いることができる。カルボジイミド体を経由してアミド結合によりEL色素と標的分子を結合させることができる(反応式III)。また、分子内に予めカルボジイミド基、トリアジン基を導入したEL色素を、生体分子内のアミノ基、イミノ基に対して直接結合させる事もできる(反応式IV)。ここで、Rはアニオン性基を置換基として含む芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。なお、活性エステルにスルホニル基を導入するには、例えば、反応式Vの方法を用いることができる。
Figure 0005244596
また、本発明の蛍光色素には、アニオン性基に加え、共有結合を形成する反応性基を含むものも含まれる。共有結合を形成する反応性基には、活性エステル化したカルボニル基を用いることが好ましい。タンパク質との間により強い結合を形成することができる。
2種以上の官能基を含む連結部においては、発色部に直接結合する官能基以外の官能基は、発色部とアニオン性基との物理的距離を確保して、発色部とアニオン性基の分子骨格の選択の自由度を確保する一方、アニオン性基がタンパク質の深部の正荷電基と結合し易くする効果を有する。これにより、特定のタンパク質のみを選択的に標識することも可能となる。発色部に直接結合する官能基に窒素原子などのヘテロ原子を用いると、分子全体をより剛直な構造とすることができるので、発色部同士のスタッキングを抑制することができる。また、酸素原子などを導入することで柔軟な分子構造となり、スタッキング強度をコントロールすることが可能である。
本発明に用いる有機EL色素は、一対の陽極と陰極との間に固体状態で挟持され、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが再結合する際のエネルギーにより発光可能な色素であれば特に限定されない。例えば、テトラフェニルブタジエンやペリレン等の多環芳香族化合物、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、クマリン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、アクリドン誘導体、キナクドリン誘導体、スチルベン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラジノピリジン誘導体、アゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体そしてチオフェン誘導体等を用いることができる。
上記有機EL色素の具体例としては、多環芳香族化合物として、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカサイクレン、コロネン、テトラフェニルブタジエン、テトラフェニルシクロブタジエン、ペンタフェニルシクロブタジエンを挙げることができる。シクロペンタジエン誘導体としては、1,2,3,4−テトラフェニル−1,3−シクロペンタジエン、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエンを挙げることができる。オキサジアゾール誘導体としては、2−(4’−t−ブチルフェニル)−5−(4’−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾールを挙げることができる。クマリン誘導体としては、クマリン1,クマリン6,クマリン7,クマリン30を挙げることができる。ジスチリルピラジン誘導体としては、2,5−ビス−(2−(4−ビフェニル)エテニル)ピラジン、2,5−ビス−(4−エチルステリル)ピラジン、2,9−ビス−(4−メトキシステリル)ピラジンを挙げることができる。アクリドン誘導体としてはアクリドンおよびその誘導体を挙げることができる。キナクドリン誘導体としてはキナクドリンおよびその誘導体を挙げることができる。スチルベン誘導体としては、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルを挙げることができる。アゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体は本明細書中に一般式で記載したもの使用することができる。
本発明の検出方法に用いる好ましい有機EL色素は、共役系を有する5員環化合物を含む化合物であって、その5員環化合物が1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含むものを挙げることができる。さらに、詳しくは共役系を有する5員環化合物から成る単環化合物と、その5員環化合物と共役系を有する6員環化合物から成る縮合多環化合物を挙げることができる。固体状態であっても、量子収率が大きく、強い蛍光を示すからである。5員環化合物には、アゾール誘導体あるいはイミダゾール誘導体が好ましい。さらに、アゾール誘導体あるいはイミダゾール誘導体は1以上の4級アンモニウム基を有することが好ましい。水溶性を向上させことができるからである。
なお、以下に説明する縮合多環化合物は前述の連結部を介してアニオン性基と結合させてアニオン性蛍光色素として用いる。特に、アニオン性基が直接結合した縮合多環化合物は、それ自身をアニオン性蛍光色素として用いることができる。また、以下の縮合多環化合物に直接又は連結部を介して共有結合性基と結合させ、第2の蛍光色素として用いることもできる。
以下の縮合多環化合物は、すべて本発明の検出方法に好適に使用することができるが、好ましくは、ジアゾール誘導体3,イミダゾール誘導体2、チアジアゾール誘導体、カルバゾール誘導体、チアゾール誘導体、であり、さらに好ましくは、オキサゾロピリジン誘導体(オキサジアゾロピリジン誘導体)である。
以下に、縮合多環化合物の具体例について説明する。
(モノアゾール誘導体1)
Figure 0005244596
ここで、式中、R1、 R2、 R3、 R4、 R6、 R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、あるいはスルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R1、 R2、 R3、 R4、 R6、 R7は同じでも異なっていてもよい。R'は芳香環を含んでも良いアルキル基又はアルケニル基等の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -を示す。なお、以下の一般式においても、特に断らない限り同様である。
(モノアゾール誘導体2)
Figure 0005244596
ここで、式中、R8、R9は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、スルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R8、R9は同じでも異なっていてもよい。なお、以下の一般式においても、特に断らない限り同様である。また、nは1以上の整数、好ましくは1〜5であり、以下の一般式中でも同様である。
(ジアゾール誘導体1)
Figure 0005244596
(ジアゾール誘導体2)
Figure 0005244596
(ジアゾール誘導体3)
Figure 0005244596
ここで、式中、R1、 R2、 R3、 R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、あるいはスルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R1、 R2、 R3、 R4、 R6、 R7は同じでも異なっていてもよい。R2、 R3は、置換基を有しても良い芳香族炭化水素基を用いることが好ましい。また、Xは、置換基を有しても良い窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子又はボロン原子であり、特に断らない限り以下の一般式中でも同様である。
(ジアゾール誘導体4)
Figure 0005244596
(ジアゾール誘導体5)
Figure 0005244596
ここで、N→Oは、窒素原子が酸素原子に配位結合している状態を示す。
(ジアゾール誘導体6)
Figure 0005244596
(ジアゾール誘導体7)
Figure 0005244596
(ジアゾール誘導体8)
Figure 0005244596
Figure 0005244596
ここで、式中、R10、R11は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、あるいはスルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R10、R11は同じでも異なっていてもよい。また、R12は、置換基を有してもよいオレフィン基又はパラフィン基であり、nは1から3の整数、好ましくは1である。なお、以下の一般式においても、特に断らない限り同様である。
(ジアゾール誘導体9)
Figure 0005244596
Figure 0005244596
上記のジアゾール誘導体ではあれば特に限定されないが、以下の一般式で表されるオキサジアゾロピリジン誘導体を好適に用いることができる。
Figure 0005244596
オキサゾロピリジン誘導体は、そのカルボン酸誘導体を合成後、例えば、以下のスキーム2に示す反応により、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を縮合剤として用い、N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルを含む活性エステル体へ誘導したものを用いることが好ましい。
Figure 0005244596
Scheme 1
(トリアゾール誘導体1)
Figure 0005244596
(トリアゾール誘導体2)
Figure 0005244596
(トリアゾール誘導体3)
Figure 0005244596
(トリアゾール誘導体4)
Figure 0005244596
5員環化合物として、チオフェン基を含む以下の誘導体を用いることもできる。
(チオフェン誘導体1)
Figure 0005244596
(チオフェン誘導体2)
Figure 0005244596
(チオフェン誘導体3)
また、チオフェン誘導体の場合、非縮合系の化合物であり、以下の一般式で示される2,3,4,5-テトラフェニルチオフェン誘導体を用いることもできる。
Figure 0005244596
ここで、式中、R12,R13,R14はそれぞれ独立に、水素原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換または未置換のアリール基、あるいは置換または未置換のアラルキル基を表し、Ar1およびAr2は置換または未置換のアリール基を表し、さらに、Ar1とAr2は結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。また、Y1およびY2は水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、置換または未置換のアリール基、置換または未置換のアラルキル基、あるいは置換または未置換のアミノ基を表す。
(チオフェン誘導体4)
また、以下の一般式で示される2,3,4,5-テトラフェニルチオフェン誘導体を用いることもできる。
Figure 0005244596
ここで、式中、Ar1〜Ar6はそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、さらに、Ar1とAr2、Ar3とAr4およびAr5とAr6は結合している窒素原子と共に含窒素複素環を形成していても良い。
また、5員環化合物にイミダゾールを用い、以下の一般式で示すイミダゾール誘導体を用いることもできる。
(イミダゾール誘導体1)
Figure 0005244596
(イミダゾール誘導体2)
Figure 0005244596
(イミダゾール誘導体3)
Figure 0005244596
(イミダゾール誘導体5)
Figure 0005244596
Figure 0005244596
ここで、イミダゾール骨格は中央のベンゼン環R8, R9, R10, R11 の任意の位置に複数ユニットが結合していても良い。また、R12は、置換基を有してもよいオレフィン基又はパラフィン基であり、nは1から3の整数、好ましくは1である。
(カルバゾール誘導体)
また、以下の一般式で示されるカルバゾール誘導体を用いることもできる。
Figure 0005244596
また、共役系を有する5員環化合物であって、1種以上のヘテロ原子、セレン原子又はボロン原子を含む単環化合物を用いることもできる。特に限定されないが、例えば、以下の一般式で表されるアゾール誘導体を用いることができる。
Figure 0005244596
ここで、式中、R1、 R4、 R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基、あるいはスルホニル基などの置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基又はヘテロ原子を環内に含む芳香族基を示す。R1、 R4、 Rは同じでも異なっていてもよい。
本発明の蛍光色素に用いる有機EL色素には、以上、説明した縮合多環化合物及び単環化合物であれば特に限定されないが、以下の一般式で表されるジアゾール誘導体又はイミダゾール誘導体を好適に用いることができる。
Figure 0005244596

Figure 0005244596
さらに、上記のジアゾール誘導体及びイミダゾール誘導体の中で、ジアゾロピリジン誘導体又はイミダゾロピリジン誘導体を好適に用いることができる。
本発明の特に好ましい蛍光色素は、上記のジアゾロピリジン誘導体又はイミダゾロピリジン誘導体を発色部に含むものであり、以下の一般式で表すことができる。
Figure 0005244596
Figure 0005244596
-(CHR')p-X3-(CHR")q-は前述の連結部を表す。また、Z はアニオン性基を表す。
ここで、上記のR2とR3に、置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は炭化水素基を用いることが好ましい。Cy3に対応する緑色蛍光色素を得ることができる。芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基又はナフチル基、より好ましくはフェニル基又はトリル基である。
あるいは、上記のR2とR3に、置換基を有しても良いチオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基及びピリジン基からなる群から選択された1種、より好ましくはチオフェン基、イミダゾール基又はフラン基を用いることもできる。Cy5に対応する赤色蛍光色素を得ることができる。
本発明の検出方法は、溶液、固体あるいは半固体状態のタンパク質の蛍光を測定する検出方法であれば、あらゆる検出方法に適用することができる。また、ペプチド、抗体、アミノ基を有する糖などに関しても同様である。例えば、試料中のタンパク質をアニオン性蛍光色素で標識し、この標識したタンパク質を分離手段に供し、MALDI-TOF MS等の質量分析計により画分の分子量を測定し、データベース検索を行いタンパク質を同定することができる。ここで、分離手段には、イオン交換カラムHPLC、逆相分配HPLC、ゲル濾過HPLC、又は電気泳動を用いることができる。電気泳動には、一次及び二次泳動の用いることが可能であり、泳動後、ゲルを乾燥して定量が可能である。
また、共有結合性蛍光色素と、それにアニオン性基を導入したアニオン性蛍光色素とを用いることにより以下の検出方法が可能となる。ここで、共有結合性蛍光色素は、それによりタンパク質を標識しても蛍光波長が変化しないものである。最初に、共有結合性蛍光色素で標識する。その後、電気泳動を行い分割する。更に泳動後のゲル基板をアニオン性蛍光色素で標識すると蛍光波長は変化する。アニオン性蛍光色素は、タンパクの深部に位置するアミノ残基を標識可能なので、蛍光波長の変化はタンパクの構造の違いによるものである。したがって、蛍光波長の変化からタンパクの構造を予測することも可能である。この際、用いる蛍光色素は、アニオン性基以外は構造が同じなので、蛍光色素の量子収率などの性能は全く同じである。従って、精度の高い定量が可能となる。
また、プロテインチップを用いる検出方法には、本発明を以下のように適用することができる。タンパク質とアニオン性蛍光色素とを溶液中で反応させ、その溶液を測定基板に点着し、その測定基板からの第2の蛍光波長に基づく蛍光画像を計測することができる。点着後は、所定温度で放置することによりタンパク質は基板上に固定されるが、必要によりインキュベーションを行うこともできる。また、プロテインチップ上では、この蛍光色素で標識されたタンパクを捕捉する際、どのような状況下でも安定した蛍光を発するため、これまでのように神経質に取り扱わなくてもよい。また、乾燥状態でも蛍光消光を起こさないので乾燥状態でも安定な観測が可能である。また、前述の、共有結合性蛍光色素と、それにアニオン性基を導入したアニオン性蛍光色素とを用いる検出方法を用いることもできる。
以下、実施例を用いてさらに詳細に本発明について説明する。
合成例1.
活性エステル系アニオン性蛍光色素の合成例を示す。
(1)発色部(3)の合成
発色部(3)は、以下のスキーム2に従い合成した。
Figure 0005244596
50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジンカルボン酸(1) 1.0 g (0.0026 moL)とN-ヒドロキシスクシンイミド(2) 0.30 g (0.0026 moL)をDMF 20mLに溶解した。これにN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 0.54 g (0.0026 moL)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で単離精製し、オキサジアゾロピリジン活性エステル体(3)を0.76 g 、収率62%で得た。
(2)スルホニル基の導入
活性エステル体(3)をDMF中、タウリンを反応させ、スルホン化された(4)へ誘導した(Scheme 3)。
Figure 0005244596
合成例2.
有機EL色素として合成例1で用いたオキサジアゾロピリジン誘導体を用い、連結部にシステイン酸を用い、反応性基には活性エステル化したカルボニル基とアニオン性基であるスルホニウム基の両方を導入した。オキサジアゾロピリジン活性エステル体(3)をシステイン酸と反応させ、連結部を導入したカルボン酸体(5)を合成した。その後、カルボン酸体(5)をジオキサン中、N-ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、連結部を導入したオキサジアゾロピリジン活性エステル体(6)を合成した。以下に反応例を示す。
Figure 0005244596
以下に、合成例1と異なる部分のみの合成手順を示す。
(1)カルボン酸体(5)の合成
50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジン活性エステル体(3) 100 mg (0.21 mmol)とシステイン酸 39 mg (0.23 mmol)をDMF 20mLに溶解した。その後、室温で12時間撹拌した。反応終了後、減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=7:3)で単離精製し、カルボン酸体(5)を98 mg (収率88%)得た。
(2)活性エステル体(6)の合成
次いで、50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジンカルボン酸体(5) 80 mg (0.15 mmol)とN-ヒドロキシスクシンイミド 19 mg (0.17 mmol)をDMF 20mLに溶解した。これにDMF 5 mLに溶解したN, N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド 35 mg (0.17 mmol)を30分かけて滴下した。滴下後、室温で30時間撹拌した。減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で単離精製し、活性エステル体(6)を73 mg (収率 78%)得た。
合成例3.
合成例4.
有機EL色素として合成例1で用いたオキサジアゾロピリジン誘導体を用い、連結部にセリンを用いた。オキサジアゾロピリジン活性エステル体(3)をセリンと反応させ、連結部を導入したカルボン酸体(7)を合成した。以下に反応例を示す。
Figure 0005244596
以下に、合成例1と異なる部分のみの合成手順を示す。
(1)カルボン酸体(7)の合成
50 mL 三口フラスコでオキサジアゾロピリジン活性エステル体(3) 100 mg (0.21 mmol)とセリン26 mg (0.25 mmol)をDMF 20mLに溶解した。その後、室温で12時間撹拌した。反応終了後、減圧下、DMFを留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=7:3)で単離精製し、カルボン酸体(7)を 79 mg (収率 81%)得た。
実施例1.
(実験方法)
活性エステルのスルホニル体(4)を純水に溶解し、0.1 M HEPES Buffer
(2-[4-(2-Hydroxyethyl)-1-piperazinyl]ethanesulfonic acid) (pH 7.3)を混合した後、BSA(Bovine Serum Albumin)を添加し、色調の変化をスペクトルで観察するため、スルホニル体4のUVスペクトルを測定し、次いで、蛍光スペクトルを測定してスルホニル体(4)とBSAの相互作用を観察した。UVスペクトルは、2000μLのセルに蛍光試薬13μM、26μMを調製して測定した。また、蛍光スペクトルは、セル中で26μMの溶液3000μLを調製し、これに所定濃度となるようにBSAを添加して測定した。
(結果)
スルホニル体4を含むBuffer液の色調は、BSAを添加すると、黄色から黄緑色へ変化した(図1)。図2にスルホニル体4のUVスペクトルを示す。この結果より、スルホニル体(4)の最大吸収波長は397 nmであることが分かった。次に、励起波長に397 nmを用いて蛍光スペクトルを測定した。結果を図3に示す。ここで、BSAは1.6 μMの濃度になるよう添加している。蛍光スペクトルは、BSAの添加により18 nmのブルーシフトを示し、かつ蛍光強度は約5倍に増大した。これは、スルホニル体(4)がBSAのアミノ基と静電結合し、BSA表面とスルホニル体4との相互作用により、ブルーシフトが観測されたと考えられる。また、スルホニル体(4)がBSAの疎水場に位置することから、水との相互作用がある程度解消されて蛍光強度の増大を示したと考えられる。
次に、スルホニル体4 26μM水溶液2000μLを調製し、そこへBSA 0〜15 nMを8回に分割して添加した。その時のUVスペクトルを図4に示す。BSAの添加により淡色効果を示すとともに、ピーク波長はレッドシフトした(15 nMで7 nmのレッドシフト)。これより、スルホニル体(4)は、BSAの深部(疎水場)に位置しているものと考えられる。
なお、比較のため、スルホニル体(4)に代えて活性エステル体(3)を用いたが、BSAのピーク波長の変化及び蛍光強度の増加は観測されなかった。活性エステル体(3)は、活性エステル基とアミノ基との求核置換反応によって生成するアミド結合を介してタンパク質と結合するが、スクシンイミド分子などの立体障害によりBSA深部に位置するアミノ基とは結合せず、表面のアミノ基のみと結合すると考えられる。一方、スルホニル体4は、静電結合によりBSA表面のアミノ基のみならず深部のアミノ基とも結合するため、前述のようにBSAの深部(疎水場)にも位置する。これにより、ブルーシフトと蛍光強度の増加が起きたものと考えられる。
実施例2.
(実験方法)
次に、タンパク質にインスリン(Inslin)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。スルホニル体(4) 26.7μMを蛍光セル中で2000μL調製し、そこへ、インスリン 0 〜 232μMを6回に分けて添加した。
(結果)
インスリンを添加した時の蛍光スペクトルを図5に示す。BSAの場合と同様に19 nmのブルーシフトと、蛍光強度の増大が観測された。添加した際のセル中のインスリン濃度と各濃度におけるピーク波長FLmaxとの関係を図6に、インスリン濃度とピーク波長における蛍光強度ΔInt.(スルホニル体4のみの蛍光強度を差し引いた値)との関係を図7に示す。インスリン濃度の増加とともに、ピーク波長FLmaxが直線的に低波長にシフトした。また、インスリン濃度の増加とともに、蛍光強度ΔInt.が直線的に増加するという結果が得られた。これより、蛍光強度の変化から、あるいはピーク波長の変化からインスリンの濃度を算出することが可能であることがわかる。
実施例3.
(実験方法)
次に、タンパク質にリゾチームを用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。スルホニル体(4) 26.7μMを蛍光セル中で2000μL調製し、そこへ、リゾチーム 0 〜 46.6μMを4回に分けて添加した。
(結果)
リゾチームを添加した時の蛍光スペクトルを図8に示す。リゾチームを添加しても、蛍光強度の増加も、ピーク波長のブルーシフトも観測されなかった。このことは、スルホニル体(4)が、リゾチームと結合しないことを示している。これは、タンパク質の表面に位置するアミノ基はタンパク質の種類によって異なる配座を取っていることから、スルホニル体4が、リゾチームのアミノ基とは結合しないことを意味しているものと考えられる。しかしながら、スルホニル体(4)はBSAやインスリンと結合することから、選択的にタンパク質を標識可能な蛍光試薬としてスルホニル体(4)を用いることが可能であると考えられる。
実施例4.
合成例2の活性エステル体(6)を用い、実施例1と同様の方法により、BSAを添加した時の色調の変化をスペクトルで観察した。
蛍光スペクトルは、BSAの添加により18 nmブルーシフトし、かつ蛍光強度は約5倍に増大した。
実施例5.
合成例3のカルボン酸体(7)を用い、実施例1と同様の方法により、BSAを添加した時の色調の変化をスペクトルで観察した。
蛍光スペクトルは、BSAの添加により19 nmブルーシフトし、かつ蛍光強度は約4.5 倍に増大した。
比較例1.
従来使用されているメチルオレンジを用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。しかし、メチルオレンジを添加しても、蛍光強度の増加も、ピーク波長のブルーシフトも観測されなかった。
以上説明したように、本発明の検出方法によれば、タンパク質の検出を簡便且つ高精度な定量を行うことができる。更に、本発明に用いるアニオン性蛍光色素は、Cy3やCy5、Alexa色素よりも熱安定性が高く、退光性も観測されないので、取り扱いは容易で、さらにCy3やCy5に比べ安価であるので、より低コストでタンパク質の検出を行うことができる

Claims (10)

  1. 蛍光色素で標識したタンパク質を検出するタンパク質の検出方法であって、
    遊離状態の該蛍光色素で観測される第1の蛍光波長より短波長であって、該蛍光色素が
    タンパク質に結合した状態で観測される第2の蛍光波長に基づく蛍光を計測してタンパク
    質を検出する方法であり、
    該第2の蛍光波長を発生する第1の蛍光色素に、タンパク質と結合するアニオン性基が連結部を介して結合した有機EL色素を含むアニオン性蛍光色素を用い、該有機EL色素が、以下の一般式(1)、(2)又は(3)のいずれか1種で示されるアゾール誘導体あるいは以下の一般式(4)、(5)、(6)、(7)又は(8)で示されるイミダゾール誘導体であり、該連結部が-(CH 2 ) n -(nは1から4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO 2 NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-(CH 2 -CH 2 -O) n -(nは1から10の整数)、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択される官能基を1種以上含む、タンパク質の検出方法。
    Figure 0005244596

    (式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ア
    ルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミ
    基、芳香族炭化水素基、複素環基置換基として有する又は無置換の芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、Xは置換基を有する又は無置換の窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子又はセレン原子、ボロン原子を示し、R'は芳香環を置換基として含む又は無置換の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、Cl-、Br-、I-、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -を示す。)
    Figure 0005244596

    Figure 0005244596

    (式中、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基
    、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、
    アミノ基、芳香族炭化水素基、複素環基置換基として有する又は無置換の芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、R1、R2、R3、R4、R5は同じあるいは異なり、R'、R''は芳香環を置換基として含む又は無置換の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、Cl-、Br-、I-、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -を示し、Hal - は、Cl - 、Br - 、I - を示す。)
  2. 上記検出方法が、試料中のタンパク質を分離手段に供し、分離した画分を質量分析に供
    する検出方法であって、
    タンパク質を分離手段に供する前に、上記第2の蛍光波長を発生する第1の蛍光色素に
    よりタンパク質を標識する請求項1記載の検出方法。
  3. 上記第1の蛍光色素によりタンパク質を標識するに先立って又は同時に、タンパク質に
    結合した状態で第1の蛍光波長が短波長にシフトしない第2の蛍光色素によりタンパク質
    を標識し、次いで分離手段に供する請求項2記載の検出方法。
  4. 上記タンパク質と上記第2の蛍光波長を発生する第1の蛍光色素とを溶液中で反応させ
    、該溶液を測定基板に点着し、該測定基板からの第2の蛍光波長に基づく蛍光画像を計測
    する請求項1記載の検出方法。
  5. 上記タンパク質と上記第1の蛍光色素とを溶液中で反応させるに先立って又は同時に、
    タンパク質に結合した状態で第1の蛍光波長が短波長にシフトしない第2の蛍光色素をタ
    ンパク質と溶液中で反応させる請求項4記載の検出方法。
  6. 上記第2の蛍光色素はタンパク質と結合する共有結合性基を有する請求項3又は4に記
    載の検出方法。
  7. 上記の一般式(1)〜(7)のR2とR3が、それぞれ独立に、チオフェン誘導体、フラン
    誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体
    、ピラゾール誘導体及びピリジン誘導体からなる群から選択された1種である請求項1記
    載の検出方法。
  8. タンパク質と結合するアニオン性基が連結部を介して結合した有機EL色素を含むアニオン性蛍光色素から成り、該有機EL色素が、以下の一般式(1)、(2)又は(3)のいずれか1種で示されるアゾール誘導体あるいは以下の一般式(4)、(5)、(6)、(7)又は(8)で示されるイミダゾール誘導体であり、該連結部が-(CH 2 ) n -(nは1から4の整数)、-NHCOO-、-CONH-、-COO-、-SO 2 NH-、-HN-C(=NH)-NH-、-O-、-S-、-NR-(Rはアルキル基)、-(CH 2 -CH 2 -O) n -(nは1から10の整数)、-CH=CH-、-C≡C-、-Ar-及び-CO-Ar-NR-からなる群から選択される官能基を1種以上含む、タンパク質検出用の蛍光色素。
    Figure 0005244596

    (式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ア
    ルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミ
    基、芳香族炭化水素基、複素環基置換基として有する又は無置換の芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、Xは置換基を有する又は無置換の窒素原子又は硫黄原子又は酸素原子又はセレン原子、ボロン原子を示し、R'は芳香環を置換基として含む又は無置換の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、Cl-、Br-、I-、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -を示す。)

    Figure 0005244596

    Figure 0005244596
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基
    、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シアノ基、
    アミノ基、芳香族炭化水素基、複素環基置換基として有する又は無置換の芳香族炭化水素基又は炭化水素基又は複素環基を示し、R1、R2、R3、R4、R5は同じあるいは異なり、R'、R''は芳香環を置換基として含む又は無置換の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基、An-は、Cl-、Br-、I-、CF3SO3 -、BF4 -、PF6 -を示し、Hal - は、Cl - 、Br - 、I - を示す。)
  9. 上記アニオン性基が、カルボキシル基、スルホニル基、硫酸塩基、リン酸塩基及びそれ
    らの組み合わせのいずれかである請求項記載の蛍光色素。
  10. 上記の一般式(1)〜(7)のR2とR3が、それぞれ独立に、チオフェン誘導体、フラン
    誘導体、ピロール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体
    、ピラゾール誘導体及びピリジン誘導体からなる群から選択された1種である請求項
    載の蛍光色素。
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