JPWO2008004677A1 - 透明膜形成液状抗菌剤組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、刺激性が低く、対象に散布した場合の透明性及び透明性の持続性が高く、かつ抗菌効果の持続性も高い透明膜形成液状抗菌剤組成物を提供することにある。疎水性部位を有する有機ポリマーと、抗菌成分と、水又はアルコール系溶媒とを含有することを特徴とする透明膜形成液状抗菌剤組成物を用いるものである。疎水性部位は、非極性基であることが好ましく、具体的には、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、縮合多環フェニル基、及び鎖状多環フェニル基からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上を好ましく例示することができる。

Description

本発明は、透明膜形成液状抗菌剤組成物に関し、より詳細には、透明性及び抗菌効果の持続性に優れた透明膜形成抗菌剤組成物に関する。
現在の住環境は、エアコンによる冷暖房効率の向上や、花粉の室内への進入を防ぐ等の観点から、高度に密閉化されている。そのため、浴室内や台所まわり、窓のサッシといった水分の多い場所にあっては、真菌や細菌などの菌類が繁殖し易く、このような菌類の繁殖を防止するべく、様々な抗菌剤がこれまでに開発されてきた。
しかし、浴室内や台所まわり、窓のサッシ等の場所は水分に曝されやすいため、それらの場所に抗菌剤を散布・塗布しても、水分によって抗菌成分が溶出してしまい、抗菌効果があまり持続せず、持続的な効果を得るためには、抗菌剤をかなり頻繁に散布しなければならなかった。そこで、抗菌剤の持続性を向上させる試みがなされてきた。例えば特許文献1には、防カビ成分に加えて、撥水性被膜形成成分として、炭素鎖長10〜14のジアルキルジメチルアンモニウム塩を配合することによって、防カビ剤の防カビ効果の持続性を向上させることが記載されている。しかし、抗菌剤の持続性は十分とはいえなかった。
また、防カビ剤としてよく用いられるチアベンダゾール等は、アルコールや水等の溶媒への溶解度が低いので、適当な溶媒に単に溶解させてその溶解液を散布・塗布しても、すぐに析出して白濁してしまうため、持続的な防カビ効果を得ることはより困難であった。加えて、特に屋内用途では、チアベンダゾール等の析出・白濁は、清潔感を損われた印象を見る者に与えるため、実用上の使用感には問題があった。
一方、特許文献2には、藻類・カビ類が繁殖して生物汚染が進んでいる建築物外装部材に、少ない工程で短時間かつ経済的に塗布でき、生物汚染した部分を容易に改修しうる水系防藻(カビ)塗料として、「合成樹脂ラテックスを主成分とする建築物外装部材用の水系防藻(カビ)塗料であって、樹脂固形分100重量部に対して0.01〜10重量部の防藻剤又は防カビ剤、及び0〜5重量部の増粘剤を配合し、かつ樹脂固形分濃度を1〜30重量%に調整することを特徴とする水系防藻(カビ)塗料」が記載されている。
特許文献2には、該塗料を透明塗膜とし得ることが記載されているが、これは樹脂固形分濃度を低く抑えて膜厚を薄くすることによりなし得る(特許文献2の段落番号0031の記載参照)ものである。また、このことと、「塗布後の膜厚は、特に限定されないが、0.5〜20μm、好ましくは膜厚1〜15μmとすることができる。これは、従来の膜厚(20〜200μm)より薄いため、本発明による塗布面では、透明な塗膜部分とそれ以外の部分の違いを見分けることができないほどである。」との記載(特許文献2の段落番号0040の記載参照)、及び「塗料の樹脂固形分濃度は、・・・1重量%よりも少ないと塗膜が形成されず、かつ防藻、防カビ性効果の持続性が期待できない。一方、30重量%よりも多いと塗膜厚が厚くなりすぎて、塗装していない部分との外観(艶)に差が生じるので好ましくない。」との記載(特許文献2の段落番号0030の記載参照)を合わせて考慮すると、特許文献2においては膜厚をできるだけ薄くしたいところ、合成樹脂ラテックスという成分の性質上、あまり樹脂固形分濃度を薄くすると塗膜が形成されず、例えば膜厚0.5μm未満の塗膜を形成することができないであろうことが読み取れる。膜厚が例えば5μm以上である場合、特許文献2の塗料のように、建築物外装部材に用いるものであれば(特許文献2の段落番号0034の記載参照)、その透明性は十分であるかもしれないが、鏡やタイル目地に用いる屋内用途の場合はより近くで目にすることになるため、特許文献2の塗料は室内用途として十分な透明性は得られないと考えられる。
このような状況下において、対象に散布した場合の透明性及び透明性の持続性が高く、かつ抗菌効果の持続性も高い透明膜形成抗菌剤組成物が求められていたが、そのような透明膜形成抗菌剤組成物はこれまで知られていなかった。
特開平10−230976号公報 特開2003−292868号公報
本発明の課題は、刺激性が低く、対象に散布した場合の透明性及び透明性の持続性が高く、かつ抗菌効果の持続性も高い透明膜形成液状抗菌剤組成物を提供することにある。以下、「透明膜形成液状抗菌剤組成物」を、単に「抗菌剤組成物」という。
本発明者らは、疎水性部位を有する有機ポリマーと、抗菌成分と、アルコール系溶媒とを用いると、透明性、透明性の持続性、及び抗菌効果の持続性に優れた透明膜が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の発明に関する。
(1)疎水性部位を有する有機ポリマーと、抗菌成分と、水又はアルコール系溶媒とを含有することを特徴とする透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(2)疎水性部位が、非極性基であることを特徴とする(1)に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(3)非極性基が、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、縮合多環フェニル基、及び鎖状多環フェニル基からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする(2)に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(4)
有機ポリマーが、さらに親水性部位を有していることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(5)親水性部位が、極性基であることを特徴とする(4)に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(6)極性基が、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホアミド基、アミド基、アミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、4級アミノ基、オキシアミノ基、ジアゾニウム基、グアニジン基、ヒドラジン基、リン酸基、ケイ酸基、アルミン酸基、ニトリル基、及びチオアルコール基からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする(5)に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(7)有機ポリマーが、親水性部位を有するモノマーと、疎水性部位を有するモノマーとの共重合ポリマーであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(8)有機ポリマーが、スチレンマレイン酸共重合体であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(9)形成された透明膜のヘイズ率が5以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(10)抗菌成分が、20℃の水100gに対する溶解度が0.2g以下であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(11)抗菌成分が、防カビ成分であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(12)防カビ成分が、チアベンダゾール、3−ヨード−2−プロパギルブチルカルバメイト、1,2−ベンゾトリアゾリン−3−オン、ジヨードメチル−p−トリルスルフォン、2,3,5,6テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、及び1−(2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(2−プロペニルオキシ)エチル)−1H−イミダゾール(イマザリル)からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする(11)に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(13)有機ポリマーの水に対する溶解度が5〜5000ppmであることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(14)アルコール系溶媒が、20〜100重量%の範囲内のエタノールと、80〜0重量%の範囲内の水とからなることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(15)有機ポリマーと、抗菌成分との重量比が、1:50〜50:1の範囲内であることを特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(16)有機ポリマーが、組成物全量に対して0.01〜10重量%の範囲内であることを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(17)抗菌成分が、組成物全量に対して0.01〜10重量%の範囲内であることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(18)さらに、水溶性金属酸化物及び/又は両親媒性の金属酸化物ナノ粒子を含有することを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(19)両親媒性の金属ナノ粒子が、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有する金属キレート化合物の加水分解生成物であることを特徴とする(18)に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(20)両親媒性の金属酸化物ナノ粒子が、粒子径1nm〜30nmのナノ粒子であることを特徴とする(18)又は(19)に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(21)両親媒性の金属酸化物ナノ粒子が、酸化チタンナノ粒子であることを特徴とする(18)〜(20)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
(22)(1)〜(21)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物を、窓用透明膜形成液状抗菌剤組成物、台所用透明膜形成液状抗菌剤組成物及び浴室用透明膜形成液状抗菌剤組成物のいずれかとして使用する方法。
(23)(1)〜(21)のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物が、容器に収容されてなることを特徴とするスプレー型抗菌剤。
スチレン無水マレイン酸共重合体(樹脂A)の13C−NMRチャートを示す図である。 スチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物(樹脂a)の13C−NMRチャートを示す図である。 樹脂AのIRスペクトルを示す図である。 樹脂aのIRスペクトルを示す図である。 樹脂BのIRスペクトルを示す図である。 樹脂bのIRスペクトルを示す図である。 樹脂CのIRスペクトルを示す図である。 樹脂cのIRスペクトルを示す図である。 樹脂DのIRスペクトルを示す図である。 樹脂dのIRスペクトルを示す図である。 樹脂EのIRスペクトルを示す図である。 樹脂eのIRスペクトルを示す図である。 樹脂FのIRスペクトルを示す図である。 樹脂fのIRスペクトルを示す図である。 樹脂GのIRスペクトルを示す図である。 樹脂gのIRスペクトルを示す図である。
本発明の抗菌剤組成物は、疎水性部位を有する有機ポリマーと、抗菌成分と、アルコール系溶媒とを含有する限り特に制限はされない。
本発明の効果の詳細な作用機作は不明であるが、疎水性部位を有する有機ポリマーと、抗菌成分との間に何らかの相互作用が働いた結果、抗菌成分を安定化し、抗菌成分の析出が抑制されたものと推察される。
上記有機ポリマーとは、疎水性部位を有する有機ポリマーをいう。疎水性部位としては、特に制限されないが、例えばアルキル基;ビニル基、ビニリデン基、エチニル基等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等の縮合多環フェニル基;ビフェニル基、ターフェニル基等の鎖状多環フェニル基;その他の非極性基等を例示することができる。
本発明に用いる有機ポリマーは、親水性部位を有していなくてもよいが、より優れた透明性、透明性の持続性、及び抗菌効果の持続性の観点から、さらに親水性部位を有していることが好ましい。
親水性部位としては、特に制限されないが、例えばカルボキシル基及びその金属塩若しくはアミン塩;スルホン酸基及びその金属塩若しくはアミン塩;スルホアミド基;アミド基;アミノ基;イミノ基;ヒドロキシ基;4級アミノ基;オキシアミノ基;ジアゾニウム基;グアニジン基;ヒドラジン基;リン酸基;ケイ酸基;アルミン酸基;ニトリル基;チオアルコール基;その他の極性基等を挙げることができ、中でもカルボキシル基、スルホン酸基、スルホアミド基、アミド基、アミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、4級アミノ基、オキシアミノ基、ジアゾニウム基、グアニジン基、ヒドラジン基、リン酸基、ケイ酸基、アルミン酸基、ニトリル基、及びチオアルコール基からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上を好ましく例示することができる。
本発明に用いる有機ポリマーとして、より具体的には、親水性部位を有するモノマーと疎水性部位を有するモノマーとの共重合体や、親水性部位及び疎水性部位を有するモノマーの重合体等を挙げることができる。
なお、透明性及び透明性の持続性がより高く、かつ抗菌効果の持続性もより高い膜が得られる観点から、親水性部位を有するモノマーと疎水性部位を有するモノマーとの共重合体は、両モノマーのランダム共重合体であることが好ましい。
親水性部位を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノ又はジカルボン酸モノマー、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミドなど水酸基含有モノマー、スチレンスルホン酸ナトリウム、スルホン化イソプレンなどスルホン酸基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド化合物モノマー等を挙げることができ、中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸モノマーを好ましく挙げることができ、マレイン酸、イタコン酸などのジカルボン酸モノマーをより好ましく挙げることができる。
なお、本発明に用いる親水性部位を有するモノマーは、モノマーの状態では親水性部位を有していなくてもよく、抗菌剤組成物中に含まれる有機ポリマーの状態で親水性部位を有していればよい。例えば、無水マレイン酸モノマーは、親水性部位を有さないが、抗菌剤組成物中に含まれる有機ポリマーの状態において、無水マレイン酸の酸無水物基が加水分解により開環し、親水性部位であるカルボキシル基が生成していれば、親水性部位を有する有機ポリマーであるといえる。
マレイン酸、イタコン酸などのジカルボン酸モノマーの場合、有機ポリマーの状態でカルボキシル基を1つ、エステルを1つ有していればよいが、より優れた本発明の効果を得る観点から、カルボキシル基を2つ有していることが好ましい。
疎水性部位を有するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー 、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環含有モノマー等を挙げることができ、中でもスチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマーを好ましく挙げることができ、スチレンをより好ましく挙げることができる。
親水性部位及び疎水性部位を有するモノマーとしては、例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−イソプロペニルピロリドン、N−イソプロペニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン等を挙げることができる。
本発明に用いる有機ポリマーとして、具体的には、スチレンマレイン酸共重合体やその誘導体を好ましく例示することができる。スチレンマレイン酸共重合体としてはスチレン:マレイン酸の比率が3:1〜1:1の化合物が好ましく用いられ、より好ましくは2:1の化合物が用いられ、特に好ましくは1:1の化合物が用いられる。スチレンマレイン酸共重合体の誘導体とは、スチレンマレイン酸共重合体から誘導可能な化合物であって、本発明において、スチレンマレイン酸共重合体と同様に用いうるものを意味し、例えば、スチレン無水マレイン酸共重合体とアルコールを反応させることにより、無水マレイン酸部分の酸無水物基が開環され、モノエステル/モノカルボン酸基となっている共重合体や、スチレンマレイン酸共重合体の芳香族基の適当な位置に、スルフォニル基等の置換基を有する共重合体や、スチレン無水マレイン酸共重合体の無水マレイン酸部分がアミンによりイミド化された共重合体や、スチレン無水マレイン酸の酸無水物基が開環されて生じたエステル基やカルボン酸基がアミンによりイミド化された共重合体等が含まれる。
本発明に用いるポリマーとして、より具体的には、スチレンマレイン酸コポリマー型(TG−750W:共栄社化学株式会社製)(スチレン無水マレイン酸重合体の無水マレイン酸部分の酸無水物基が開環され、モノエステル/モノカルボン酸基となっている共重合体)や、SMA エステルレジン(サートマー社製)(スチレン無水マレイン酸重合体の無水マレイン酸部分の酸無水物基が開環され、モノエステル/モノカルボン酸基となっている共重合体)や、SMA レジン:アンモニウム塩水溶液(サートマー社製)(スチレン無水マレイン酸重合体の無水マレイン酸部分の酸無水物基が加水分解され、ジカルボン酸基となっている共重合体)等を好ましく例示することができる。
有機ポリマーの分子量は、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば数平均分子量が1,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、2,000〜20,000の範囲内であることがより好ましい。
また、有機ポリマーの水への溶解度は5〜5000ppmであることが好ましく、10〜2000ppmであることがより好ましい。
溶解度の異なる複数の有機ポリマーを混合して使用することも好ましく行なわれるが、その場合は少なくとも1種類の有機ポリマーの溶解度が5〜5000ppmであることが好ましく、溶解度が5〜5000ppmの樹脂の有機ポリマー全体中に占める重量割合は30%以上であることがより好ましい。
有機ポリマーの溶解度の測定方法は後述の実施例中に記載する。
本発明に用いる抗菌成分としては、公知の防カビ成分、抗細菌成分、抗酵母成分、抗ウイルス成分等を挙げることができ、例えば、水への溶解度が0.2g以下で、エタノールへの溶解度が0.2g以上、好ましくは0.5g以上であり、かつ、常温で固体である抗菌成分は溶解して使用することができる。
なお、本願明細書における「抗菌成分の水への溶解度」や「抗菌成分のエタノールへの溶解度」とは、それぞれ、20℃の水100gへの溶解度、20℃のエタノール100gへの溶解度を表す。水への溶解度が0.2g/100g以下でエタノールへの溶解度が0.2g/100g以上である抗菌成分は、本発明に用いる有機ポリマーとの相溶性がより高く、透明性のより高い塗膜が得られる。
上記抗菌成分として、特に防カビ成分を好適に例示することができる。防カビ剤のうち、溶解して使用することができる防カビ剤としては、チアベンダゾール(TBZ)、3−ヨード−2−プロパギルブチルカルバメイト、1,2−ベンゾトリアゾリン−3−オン、ジヨードメチル−p−トリルスルフォン、2,3,5,6テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、1−(2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(2−プロペニルオキシ)エチル)−1H−イミダゾール(イマザリル)等を具体的に例示することができるが、中でも、チアベンダゾール、3−ヨード−2−プロパギルブチルカルバメイトが好ましく、チアベンダゾールがより好ましい。また、防カビ剤のうち、分散させて使用することができる防カビ剤としては、2−メトキシカルボニルアミノベンズイミダゾール、2−ピリジンチオール−1−オキサイド亜鉛塩等を好適な具体例として例示することができる。
また、抗細菌・抗酵母成分としては2,4,4’−トリクロロ−2’−ハイドロキシジフェニルエーテル、1,2−ベンゾチアゾロン−3、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド,2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメチルヒダントインを具体的に例示することができる。
本発明に用いる溶媒は、水又はアルコール系溶媒であるが、アルコール系溶媒であることが好ましい。
アルコール系溶媒としては、100%アルコール又は含水アルコールである限り特に制限はないが、20〜100重量%のアルコールを含む含水アルコールであることが好ましく、30〜70重量%のアルコールを含む含水アルコールであることがより好ましく、40〜60重量%のアルコールを含む含水アルコールであることがさらに好ましい。
また、アルコール系溶媒におけるアルコールは、1種単独でもよいし、2種以上のアルコールを含んでいてもよい。アルコール系溶媒におけるアルコールとしては、エタノールが好ましい。
本発明の抗菌剤組成物とは、塩化ビニル基板へスプレー塗布して形成した厚さ20〜300nmの膜の、塗布から24時間後のヘイズ率が5.0以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下であり、かつ、有機ポリマーと抗菌成分とアルコール系溶媒とを含有する抗菌剤組成物をいう。
なお、本明細書におけるヘイズ率は、厚さ0.5mmの透明塩化ビニール板(アクリサンデー社製、透明硬質塩化ビニール板、ヘイズ率:1.0〜1.3)にスプレー塗布した塗膜を室温で24時間乾燥させたサンプルを日本電色工業株式会社製の装置により測定された数値をいう。
形成された塗膜のヘイズ率が5.0以上であると塗布面が白色に着色し美観を損ねるとともに、この様な塗膜は水と接触した場合、早期に抗菌成分が溶出してしまい抗菌効果を持続させる有効期間が短くなる。
ヘイズ率が高い塗膜を顕微鏡で拡大観察すると平滑な塗膜中に抗菌剤の結晶が突起物として散在しているが、一定時間サンプルを水中に浸漬させた塗膜においてはこの抗菌剤の結晶が消失し塗膜が平滑になっていることがわかる。一方ヘイズ率が低い塗膜においては樹脂と抗菌剤の比率がヘイズ率の高い塗膜と同一であっても抗菌剤の結晶は認められず、水と接触した場合も抗菌効果が長時間持続する。ヘイズ率の低い塗膜においては塗膜状態での樹脂と抗菌剤の相溶性が良いために抗菌剤の分離結晶化が起こらず、樹脂と抗菌剤が均一に溶解してゆくために抗菌効果が長時間持続するのに対し、ヘイズ率の高い塗膜においては、樹脂と抗菌剤が分離して抗菌剤が突起状の結晶を形成しているため、水と接触した場合には結晶化した抗菌剤が早期に溶出してしまい、塗膜中の有効成分の濃度が減少し、塗膜の抗菌効果の有効期間が短くなるものと推定される。
本発明の抗菌剤組成物中の有機ポリマーの含有割合としては、該有機ポリマーと0.1重量%の抗菌成分とを含有させた50%エタノール水溶液を、塩化ビニル基板へスプレー塗布して形成した厚さ5〜500nmの膜の、塗布から24時間後のヘイズ率が5.0以下となる限り特に制限されないが、抗菌剤組成物全量に対して0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.2〜3重量%、より好ましくは0.3〜1重量%の範囲内とすることができる。
本発明の抗菌剤組成物中の抗菌成分の含有割合としては、該抗菌成分と0.3重量%の該有機ポリマーとを含有させた50%エタノール水溶液を、塩化ビニル基板へスプレー塗布して形成した厚さ5〜500nmの膜の、塗布から24時間後のヘイズ率が5.0以下となる限り特に制限されないが、抗菌剤組成物全量に対して0.01〜10重量%、より好ましくは0.03〜5重量%、さらに好ましくは0.07〜3重量%、より好ましくは0.1〜1重量%の範囲内とすることができる。
なお、抗菌成分の含有割合の上記範囲は、抗菌成分が例えばチアベンダゾール等の上述の具体的な抗菌成分である場合にも同様に当てはまる。
本発明の抗菌剤組成物中の有機ポリマーと抗菌成分との配合比は、該有機ポリマーと該抗菌成分とを含有させた50%エタノール水溶液を、塩化ビニル基板へスプレー塗布して形成した厚さ5〜500nmの膜の、塗布から24時間後のヘイズ率が5.0以下となる限り特に制限されないが、有機ポリマーと抗菌成分との重量比を1:50〜50:1、より好ましくは1:10〜10:1、さらに好ましくは2:1〜5:1、より好ましくは2.5:1〜3.5:1の範囲内とすることができる。
本発明の抗菌剤組成物は、抗菌剤組成物を塩化ビニル基板へスプレー塗布して形成した厚さ5〜500nmの膜の、塗布から24時間後のヘイズ率が5.0以下である限り、疎水性部位を有する有機ポリマー、抗菌成分、及びアルコール系溶媒以外に、任意の成分を含んでいてもよい。そのような任意成分として、例えば分散安定化剤、界面活性剤、撥水成分、有機金属化合物、両親媒性の金属酸化物ナノ粒子等を例示することができる。分散安定化剤や界面活性剤をさらに含んでいると、抗菌剤組成物をより均一に溶解・分散させることができ、透明性の持続性及び抗菌効果の持続性に資する。また、両親媒性の金属酸化物ナノ粒子をさらに含んでいると、本発明の抗菌剤組成物を対象に散布した場合に、より優れた透明性、透明性の持続性、及び抗菌効果の持続性が得られる。
上記分散安定化剤は、分散質を分散媒中に安定に分散させる効力を有する、解膠剤、保護コロイド等の凝結防止剤等の剤をいい、例えば、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の多価カルボン酸;ヒドロキシカルボン酸;ピロ燐酸、トリポリ燐酸等の燐酸;アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサンジオン等の金属原子に対して強いキレート能力を有する多座配位子化合物;スルパース3000、9000、17000、20000、24000(以上、ゼネカ社製)、Disperbyk−161、−162、−163、−164(以上、ビックケミー社製)等の脂肪族アミン系、ハイドロステアリン酸系又はポリエステルアミン;ジメチルポリシロキサン・メチル(ポリシロキシアルキレン)シロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーン等(特開平9−208438号公報、特開2000−53421号公報等)のシリコーン化合物;等を挙げることができる。
また、上記界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。陰イオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、アマイドエーテルサルフィート型、サルコシン誘導体、リン酸エステル型、石鹸型、スルホン酸型等の陰イオン系界面活性剤を挙げることができる。陽イオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルアミドアミン型、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、カチオン化高分子等の陽イオン界面活性剤を挙げることができる。また、非イオン界面活性剤としては、アルキロールアマイド型;ペグノールL−4、ペグノールTH−8、ペグノールL−9A、ペグノールL−12S、ペグノールL−20S、ペグノールT−6、ペグノールTE−10A、ペグノールST−7、ペグノールST−9、ペグノールST−12、ペグノールO−6A、ペグノールO−107、ペグノールO−16A、ペグノールO−20、ペグノールO−24、ペグノールC−18、ペグノールS−4D、ペグノールHC−10(東邦化学工業株式会社製)、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709(花王株式会社製)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル型;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル型;グリセリンエステル型;P.O.Eソルビット脂肪酸エステル型;ソルビタン脂肪酸エステル型;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型;ペポールA−0638、ペポールB−181、ペポールB−182、ペポールB−184、ペポールB−188、ペポールBEP−0115(東邦化学工業株式会社製)等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル型;低臭化ポリエーテル等の非イオン界面活性剤を挙げることができる。
また、上記撥水成分としては、メガファック F−475(大日本インキ株式会社製)、メガファック F−480SF(大日本インキ株式会社製)、メガファック F−470(大日本インキ株式会社製)、メガファック F−482(大日本インキ株式会社製)等のフッ素系界面活性剤や、ディックガード F−90N(大日本インキ株式会社製)、ディックガード TE−5A(大日本インキ株式会社製)、ディックガード F−445(大日本インキ株式会社製)等のフッ素系繊維加工剤を好適に例示することができる。また、この他に、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、変性シリコーンオイル又はそれらのエマルジョンを好適に例示することができる。
上記有機金属化合物としては、例えばチタン、ジルコニア、アルミニウム、ケイ素等を含む有機金属化合物を例示することができる。
これらの中でも、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセテート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクタンジオレート、ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等の、チタンを含む有機金属化合物を好ましく例示することができ、チタンラクテート等の親水性有機金属化合物を特に好ましく例示することができる。
上記両親媒性の金属酸化物ナノ粒子としては、水溶媒に対しても有機溶媒に対しても親和性を有するものであれば、特に制限されるものでなく、例えば、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で2以上有する金属化合物の加水分解生成物、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有する金属キレート化合物の加水分解生成物等を挙げることができる。両親媒性の金属酸化物ナノ粒子を本発明の抗菌剤組成物に添加すると、該組成物を用いて成膜した場合に、膜の疎水性が向上し、その結果として膜の耐水性が向上すると考えられる。
上記の加水分解性基及び/又は水酸基を合計で2以上有する金属化合物としては、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で2以上有している金属化合物であって、加水分解して両親媒性の金属酸化物ナノ粒子を製造できるものであれば特に制限されるものではなく、ここで、加水分解性基とは、水と接触して加水分解する官能基、又は水存在下で金属原子と酸素原子を介して結合形成し得る官能基のことで、具体的には、ハロゲン原子、アミノ基、アルコキシ基、エステル基、カルボキシ基、ホスホリル基、イソシアナート基、シアノ基、エポキシ基等を挙げることができる。そして、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で2以上有する金属化合物としては、式(I)で表される化合物を好ましく例示することができる。
MX (I)
上記式(I)中、Mは金属原子を表し、好ましくは周期律表第13族〜第15族の金属原子であり、より具体的には、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、タンタル、タングステン、亜鉛等を例示することができ、これらの中でも、ケイ素、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、アルミニウムがより好ましい。
上記式(I)中、Rは水素原子、又は金属原子と酸素原子を介して結合を形成し得る加水分解性基を有していてもよい有機基を表す。かかる有機基としては、アルキル基、アルケニル基、芳香族基等を挙げることができ、その炭素数は特に制限されないが、通常1〜20、好ましくは1〜12である。かかるRの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、ブロモプロピル基、ブロモオクチル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;グリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシアルキル基;アミノプロピル基、アミノブチル基等のアミノアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;アクリルオキシプロピル基、メタクリルオキシプロピル基等の(メタ)アクリルオキシアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基等の芳香族基;等を挙げることができる。
上記式(I)中、XはMに結合した加水分解性基又は水酸基を表す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基;ヒドロキシイミノ基、ヒドロキシアミノ基、エノキシ基、アミノ基、カルバモイル基等の窒素原子を含有する基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;水酸基;等を例示することができる。
上記式(I)中、a及びbはそれぞれ独立して、0からm(mは金属原子の原子価を表す。)の整数を表す(ただし、a+b=m)。前記式(I)で表される化合物は、分子内に加水分解性基及び/又は水酸基を合計で2以上有する化合物であることから、前記式(I)において、bが2以上の化合物;bが1であって、加水分解性基を有するRが1以上である化合物;bが0であって、加水分解性基を有するRが2以上である化合物;を例示することができる。
前記式(I)で表される化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランアルコキシド;テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等のゲルマニウムアルコキシド;テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン等のチタンアルコキシド;テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキシド;トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−t−ブトキシアルミニウム等のアルミニウムアルコキシド;テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、ジメチルジクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、8−ブロモオクチルトリクロロシラン、3−ブロモプロピルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、クロロメチルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシラン等のハロゲノシラン;テトラキス(ジエチルアミノ)シラン等のアミノシラン;ビニルメチルビス(メチルエチルケトキシミン)シラン等の他のシラン化合物;3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシヒドロキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメトキシジヒドロキシシラン、オクチルエトキシジヒドロキシシラン等のヒドロキシシラン;等を挙げることができる。
これらの中でも、シランアルコキシド、ゲルマニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びアルミニウムアルコキシド等の金属アルコキシドが好ましく、シランアルコキシド、チタンアルコキシド又はジルコニウムアルコキシドがより好ましく、チタンアルコキシドが特に好ましい。
上記の加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有する金属キレート化合物としては、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有し、かつ、キレート化合物が結合してなるものであって、加水分解して両親媒性の金属酸化物ナノ粒子を製造できるものであれば特に制限されるものではなく、加水分解性基としては、前記加水分解性基及び/又は水酸基を合計で2以上有する金属化合物のところで例示したものと同じものを挙げることができる。
キレート化合物としては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル等のβ−ケトエステル類;アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチル−ヘキサン−2,4−ジオン等のβ−ジケトン類;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類;エチレングリコール等のグリコール類;オキシ酢酸等のグリコール酸類;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びそのナトリウム塩、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、トリ(ピリジニルメチル)アミン等の含窒素化合物;フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、フェナントロリン、ジフェナントロリン、置換フェナントロリン、2,2’,6’,2”−ターピリジン、ピリジンイミン、架橋脂肪族ジアミン、4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン、O,S,Se,Teの配位したビピリジン、アルキルイミノピリジン、アルキルビピリジニルアミン、アルキル置換トリピリジン、ジ(アルキルアミノ)アルキルピリジン、エチレンジアミンジピリジン、その他の複素環化合物;2−メルカプトエタノール等のメルカプトアルコール類;エタンジチオール等のジチオール類;2−メルカプトエチルアミン等のメルカプトアミン類;2,4−ペンタンジチオン等のジチオケトン類;等の硫黄含有化合物等を挙げることができる。
加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有する金属キレート化合物として、ジエトキシビスアセチルアセトナートチタン、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン、ジノルマルプロポキシビスアセチルアセトナートチタン、ジノルマルブトキシビスアセチルアセトナートチタン、ジエトキシビスアセチルアセトナートジルコニウム、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートジルコニウム、ジノルマルプロポキシビスアセチルアセトナートジルコニウム、ジノルマルブトキシビスアセチルアセトナートジルコニウム、ジエトキシアセチルアセトナートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、ジノルマルプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、ジノルマルブトキシアセチルアセトナートアルミニウム、エトキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ノルマルプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ノルマルブトキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム等を具体的に例示することができ、中でも、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタンを好適に挙げることができる。
加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有する金属キレート化合物は、例えば、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有する金属化合物に、所定量のキレート化合物を添加し攪拌することにより得ることができる。得られる金属キレート化合物は単離することもできるが、そのまま次の加水分解及び縮重合反応に供することもできる。
前記の加水分解生成物は、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で2以上有する金属化合物、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有する金属キレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種(以下、これらをまとめて「金属化合物等」という。)の1モルに対して、1モル以上、好ましくは5モル以上、より好ましくは10モル以上の水を用いて加水分解して製造することができる。この場合、加水分解生成物は完全加水分解生成物であっても、部分加水分解生成物であってもよい。これら加水分解生成物の中でも、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有する金属キレート化合物の加水分解生成物が特に好ましい。上記加水分解生成物の調製法としては、1)金属キレート化合物を水に滴下し加水分解を行い、抗菌成分のアルコール溶液と混合し、防カビ溶液を得る方法、2)金属キレート化合物をアルコール溶媒に加えてから、水を加えて加水分解を行い、そののち、抗菌成分のアルコール溶液と混合し、防カビ溶液を得る方法、3)抗菌成分のアルコール溶液に金属キレート化合物を加え、そこに水を加えて加水分解を行い、防カビ溶液を得る方法等を挙げることができるが、上記3)の調製方法が特に好ましく、また、調製は0℃〜室温で行うことが好ましく、使用する溶媒としてはエタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒が好ましい。
前記の加水分解生成物の製造時において、水で加水分解する際又は加水分解後には、酸、塩基及び/又は分散安定化剤を添加することもできる。添加する酸としては、例えば、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等の鉱酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、炭酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等の光照射によって酸を発生する光酸発生剤;を挙げることができ、塩基としては、例えば、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、アンモニア、ジメチルホルムアミド、ホスフィン等を挙げることができる。
両親媒性の金属酸化物ナノ粒子の粒径としては、0.8nm〜100nm、好ましくは1nm〜30nm、より好ましくは3nm〜10nmのナノ粒子が、均一分散性に優れ、20〜50nmの薄い膜厚の塗膜を形成することができ、抗菌成分等と併用すると抗菌成分等と均一混合体を形成して抗菌成分等が微細粒子として析出し、大きな結晶状に析出しない点で好ましい。また、両親媒性の金属酸化物ナノ粒子としては、両親媒性の酸化チタンナノ粒子が、均一な粒径のナノ粒子を形成しうる点で好ましい。
本発明の抗菌剤組成物に両親媒性の金属酸化物ナノ粒子を含有させる場合の、該金属酸化物ナノ粒子の含有量は、抗菌剤組成物全量に対して0.01〜10重量%、特に0.1〜2重量%であることが、透明で柔軟な薄膜を形成する上で好ましく、また、抗菌成分の含有量が酸化チタンナノ粒子等の金属酸化物ナノ粒子の含有量(重量)の0.01〜5倍、特に0.1〜2倍であることが、抗菌成分と酸化チタンナノ粒子等の金属酸化物ナノ粒子との均一な混合体を形成しうる点で好ましい。
本発明の菌発生防止方法としては、本発明の抗菌剤組成物を、窓のゴムパッキン;浴室内の天井、壁面、排水口付近、タイルの目地;洗面台;等のカビなどの生え易い箇所に塗布する方法であれば特に制限されない。
本発明の抗菌剤組成物は、防カビ剤を有効成分とする組成物の場合には、窓のゴムパッキン;浴室の天井、壁面、排水口付近、タイルの目地;洗面台等のカビの生えやすい箇所に塗布して、カビの発生を防止する目的で使用される。抗細菌・抗酵母剤を有効成分とする組成物の場合には、トイレの床や壁、便器の内壁面や外壁面に塗布して、飛散した尿が腐敗して悪臭を発生することを防止したり、あるいは、生ごみの集積場所の周辺の床に塗布して、生ごみから流出する液体が腐敗し悪臭を発生することを防止する等、細菌、酵母の繁殖による臭気や不衛生状態を防止する目的で使用される。
塗布方法としては、具体的には、スプレー吹き付け法、エアゾール吹き付け法、印刷法、シート成形法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、バーコーター法、メイヤーバー法、刷毛塗装方法、ローラー塗装方法等を例示することができるが、スプレー吹き付け法が好ましい。本発明の抗菌剤組成物により形成される被膜の厚さは特に制限されないが、好ましくは5〜500nmの範囲内、より好ましくは20〜300nmの範囲内とすることができる。
本発明のスプレー型抗菌剤は、本発明の抗菌剤組成物が容器に収容されてなるものであれば特に制限されず、該容器としては内容物をスプレーしうる容器であれば特に制限されない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
〔実施例A〕
1.疎水性部位を有する有機ポリマーの調製
(1)スチレン無水マレイン酸共重合体の合成
500mLナスフラスコ中に、スチレン16.68g(0.16mol)、無水マレイン酸17.7g(0.18mol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.106g(6.73mol)、テトラヒドロフラン(以下、「THF」という)200mLを添加し、混合して溶解させ、脱気後N置換し60℃で6時間反応させた。反応液を放冷後、THF−メタノール溶媒で再沈殿させ、乾燥することでスチレン無水マレイン酸共重合体を39.03g得た。回収率は87%であった。得られた重合体の分子量をGPCにより測定した。GPCは溶媒としてTHFを用い、ポリスチレンを標準物質として用いた。その結果、数平均分子量11000、重量平均分子量82000、メインピーク19000であった。この樹脂を以下「樹脂A」とする。
(2)スチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物の合成
500mLナスフラスコ中に、先に得られた樹脂A14.8gをアセトン100mLに溶解させ、該溶液中に、室温で1N水酸化ナトリウム水溶液150mLを1時間かけて滴下した。その後1時間加熱環流を行い、放冷後2N塩酸をpHが3になるまで加え、生成した沈殿物を濾別、水洗し乾燥させることでスチレンマレイン酸共重合体13.61gを得た。収率は84%であった。この樹脂を以下「樹脂a」とする。
上記(1)及び(2)で得られた樹脂A及び樹脂aについて13C−NMR(single pulse decoupled without NOE法)により分析を行い、得られた樹脂A及び樹脂aにおけるスチレンと無水マレイン酸の共重合組成比が1対1であること、及び、樹脂aには未反応の無水マレイン酸部位が無いことを確認した。
樹脂Aの13C−NMRチャートを図1に、樹脂aの13C−NMRチャートを図2に示す。
また、樹脂AのIRスペクトルを図3に、樹脂aのIRスペクトルを図4に示す。
2.抗菌剤組成物の調製と成膜
以下の表1の実施例1〜2及び比較例1に示された組成の組成物を調製した。実施例1〜2及び比較例1に示された組成物は、エタノール水溶液以外の成分をエタノール水溶液中に添加、混合し、30分以上撹拌することにより調製した。また、比較例1については、AP社市販品を用いた。
Figure 2008004677
PAA:ポリアクリル酸
塩化ビニル基板(アクリサンデー社製、透明硬質塩化ビニール板、厚み0.5mm、ヘイズ率1.0〜1.3)を用意し、バーコーター(自動塗工装置 PI−1210及びROD No.5のバー;テスター産業株式会社製)を用いて、実施例1の組成物を前記塩化ビニル基板上に塗布した。塗布後室温で24時間乾燥させて成膜させたものを成膜サンプルとして各種評価を行った。
実施例1の組成物に代えて、実施例2、及び比較例1のいずれかの組成物を用いて同様の操作を行い、それぞれについて成膜サンプルを得た。
3.ヘイズ率の測定
上記2.で得られた成膜サンプルの膜の透明性を濁度計(日本電色工業株式会社製)で測定した。また、ブランクとして、塩化ビニル基板のみの透明性も同様に測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2008004677
表2の結果によって、本発明の抗菌剤組成物である実施例1〜2は、有機ポリマーは含まれているものの、それが疎水性部位を有していない比較例1と比較して、ヘイズ率が低く、透明性が高いことが示された。
4.防カビ試験
上記2.と同様の方法により得られた成膜サンプルを、3cm×7.5cmの大きさに裁断して試験片を得た。シャーレに50mlのイオン交換水を入れ、そこに試験片を表3に記載の所定時間(0、1、5、10、20、40、60分)浸漬した。浸漬後、室温で24時間乾燥した。その後、試験片の表面のカビの有無を4段階で評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2008004677
− :カビ無し
± :菌糸のみ(実用上問題なし)
+ :カビ発生
++ :ブランクと同等のカビ発生
実施例1〜2は、比較例1と比較して、優れた抗カビ効果の持続性を有していることは明らかである。
5.樹脂aとTBZの最適比率の検討
樹脂aとTBZの最適比率を検討するために、樹脂aとTBZの含有重量の比率を表4に示すように様々に変化させたサンプルを、上記2.と同様の方法により作製した。なお、これらの成膜サンプルを作製する際に用いた抗菌剤組成物におけるTBZ濃度は0.1wt%に固定し、各成分を50wt%EtOH水溶液に溶解させて用いた。
得られたこれらの成膜サンプルについて上記3.と同様にヘイズ率を測定した。その結果を表4に示す。なお、ブランクとして、塩化ビニル基板のみのヘイズ率も測定したところ、1.09であった。
Figure 2008004677
また、得られたそれぞれの成膜サンプルについて、水滴を用いて接触角の測定を行った。接触角の測定は、接触角計(協和界面科学株式会社製、「Drop Master 700」)により行った。それぞれの成膜サンプルについて測定した接触角を表4に示す。この結果から、樹脂a:TBZの含有量比率が3:1の成膜サンプルが、最も高い疎水性を示すことが分かった。また、ブランクとして塩化ビニル基板の接触角を測定したところ65.8°であった。
なお、樹脂aのカルボキシル基の数は、樹脂a:TBZ=3:1であっても、TBZ1分子に対して過剰(モル比でカルボキシル基6に対してTBZ1)であるが、樹脂aの添加量を増やすにつれてこの過剰のカルボキシル基が親水化に寄与しているものと考えられる。
〔実施例B〕
1.疎水性部位を有する有機ポリマーの調製
市販されているスチレン無水マレイン酸共重合体を入手し、実施例Aと同様の条件でGPCにより分子量の測定を行った。それぞれの分子量、共重合比を表5に示す。
Figure 2008004677
入手した市販の樹脂B〜Gを実施例Aと同様の方法により加水分解しスチレンマレイン酸共重合体を得た。加水分解の進行をIRスペクトルにより確認した。それぞれの仕込み量、収量、収率を表6に示す。また、それぞれのIRスペクトルを図5から図16に示す。
Figure 2008004677
2.抗菌剤組成物の調製と成膜
下の表7の実施例3〜12、比較例2及び3に示された組成の組成物を調製した。調製法は実施例Aと同様の方法で行い、実施例2についても再度調製した。
Figure 2008004677
実施例3〜12、実施例2、比較例2,3のサンプルを塩化ビニル基板(アクリサンデー社製、透明硬質塩化ビニール板、厚み0.5mm、ヘイズ率1.0〜1.3)を用意し、塩化ビニル基板を地面に垂直に立て20cm離れたところから市販のスプレーボトルで塗布した。塗布後室温で24時間乾燥させて成膜させたものを成膜サンプルとして各種評価を行った。
3.ヘイズ率の測定
上記サンプルについて、膜の透明性を濁度計(日本電色工業社製)でヘイズ率の測定を行った結果を表8に示す。
Figure 2008004677
4.防カビ試験
上記方法により得られた成膜サンプルを、3×7.5cmの大きさに裁断して試験片を得た。シャーレに20mLのイオン交換水を入れ、そこに試験片を表9に記載の所定時間浸漬した。なお加速試験を行うため2時間おきに試験片を取り出し、イオン交換水を交換した。浸漬後、室温で24時間乾燥した。その後、寒天培地上に3×3cmに裁断したサンプルを置き黒麹カビ胞子懸濁液をスプレー塗布し、試験片の表面のカビの有無を4段階で評価した。
Figure 2008004677
−:カビ無し
±:菌糸のみ(実用上問題なし)
+:カビ発生
++:ブランクと同等のカビ発生
5.樹脂の水への溶解度測定
各樹脂の水への溶解性を測定した。測定方法は、粉砕した樹脂1gを140mLのマヨネーズ瓶に量り取りそこへ100mLのイオン交換水へ加え水温25〜30℃で1hマグネチックスターラーで攪拌させた。溶解液を吸引濾過し濾液をエバポレーターで濃縮し、減圧乾燥後に固形分の量を測定して水への溶解度を算出した。結果を防カビ剤に使用した際の物性と共に表10に示す。
Figure 2008004677
6.実地試験
全面にカビの生えている水性塗料壁面の浴室について実際の防カビ性能を評価した。
試験場所:水性塗料壁面の浴室(新潟県)
試験時期:2006年5月より実施
全面にカビの発生した水性塗料壁面を次亜塩素酸ナトリウム系カビ取り剤でカビを除去した。シャワーをかけ1時間乾燥させた。その後薬剤を以下の4種類の区画に分けスプレー塗布した。1区画の大きさはタテ1m×ヨコ0.5mとした。3時間乾燥させた。その後通常通り浴室を使用しカビの発生状況を観察した。結果を表11に示す。
サンプルNo.1 ブランク…防カビ剤を塗らずそのまま
サンプルNo.2 比較例2
サンプルNo.3 実施例2
Figure 2008004677
〔実施例C〕
1.抗菌剤組成物の調製と成膜
<実施例13>
樹脂a:0.2%、2,4,4’−トリクロロ−2’−ハイドロキシジフェニルエーテル:0.2%を水:エタノール=1:1の混合液に溶解した。
<実施例14>
樹脂a:0.2%、1,2−ベンゾチアゾロン−3:0.2%を水:エタノール=1:1の混合液に溶解した。
ここで、2,4,4’−トリクロロ−2’−ハイドロキシジフェニルエーテル及び1,2−ベンゾチアゾロン−3は、抗細菌・抗酵母成分である。
実施例13及び14の組成物について、実施例Bと同一方法で成膜した。
2.ヘイズ率の測定
実施例Bと同一方法でヘイズ率を測定した。測定結果を表12に示す。
Figure 2008004677
本発明の抗菌剤組成物は、刺激性が低く、対象に散布した場合の透明性及び透明性の持続性が高く、かつ抗菌効果の持続性も高い。

Claims (23)

  1. 疎水性部位を有する有機ポリマーと、抗菌成分と、水又はアルコール系溶媒とを含有することを特徴とする透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  2. 疎水性部位が、非極性基であることを特徴とする請求項1に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  3. 非極性基が、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、縮合多環フェニル基、及び鎖状多環フェニル基からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項2に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  4. 有機ポリマーが、さらに親水性部位を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  5. 親水性部位が、極性基であることを特徴とする請求項4に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  6. 極性基が、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホアミド基、アミド基、アミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、4級アミノ基、オキシアミノ基、ジアゾニウム基、グアニジン基、ヒドラジン基、リン酸基、ケイ酸基、アルミン酸基、ニトリル基、及びチオアルコール基からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  7. 有機ポリマーが、親水性部位を有するモノマーと、疎水性部位を有するモノマーとの共重合ポリマーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  8. 有機ポリマーが、スチレンマレイン酸共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  9. 形成された透明膜のヘイズ率が5以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  10. 抗菌成分が、20℃の水100gに対する溶解度が0.2g以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  11. 抗菌成分が、防カビ成分であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  12. 防カビ成分が、チアベンダゾール、3−ヨード−2−プロパギルブチルカルバメイト、1,2−ベンゾトリアゾリン−3−オン、ジヨードメチル−p−トリルスルフォン、2,3,5,6テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、及び1−(2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(2−プロペニルオキシ)エチル)−1H−イミダゾール(イマザリル)からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  13. 有機ポリマーの水に対する溶解度が5〜5000ppmであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  14. アルコール系溶媒が、20〜100重量%の範囲内のエタノールと、80〜0重量%の範囲内の水とからなることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  15. 有機ポリマーと、抗菌成分との重量比が、1:50〜50:1の範囲内であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  16. 有機ポリマーが、組成物全量に対して0.01〜10重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  17. 抗菌成分が、組成物全量に対して0.01〜10重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  18. さらに、水溶性金属酸化物及び/又は両親媒性の金属酸化物ナノ粒子を含有することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  19. 両親媒性の金属ナノ粒子が、加水分解性基及び/又は水酸基を合計で1以上有する金属キレート化合物の加水分解生成物であることを特徴とする請求項18に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  20. 両親媒性の金属酸化物ナノ粒子が、粒子径1nm〜30nmのナノ粒子であることを特徴とする請求項18又は19に記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  21. 両親媒性の金属酸化物ナノ粒子が、酸化チタンナノ粒子であることを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物。
  22. 請求項1〜21のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物を、窓用透明膜形成液状抗菌剤組成物、台所用透明膜形成液状抗菌剤組成物及び浴室用透明膜形成液状抗菌剤組成物のいずれかとして使用する方法。
  23. 請求項1〜21のいずれかに記載の透明膜形成液状抗菌剤組成物が、容器に収容されてなることを特徴とするスプレー型抗菌剤。

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