JPWO2008001774A1 - ニオブ酸化物の製造方法及び一酸化ニオブ - Google Patents

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Abstract

本発明は、比表面積が大きく、且つ粒径の小さなニオブ酸化物を効率よく製造するための技術に関する。本発明において、還元処理は、ニオブ酸化物と水生成物質とを反応さて水を発生し、その発生した水の水蒸気分圧を反応系内で低減させることを特徴とする。また、水蒸気分圧の低減は、炭化物、硫化物、窒化物の少なくともいずれかの分圧低減物質を反応系内に存在させることにより行うことが好ましい。さらに、この還元処理は、高酸化数ニオブ酸化物と炭素とを水素雰囲気下におくようにして、高酸化数ニオブ酸化物に炭化水素を接触させることで行うこともできる。

Description

本発明は、比表面積が大きく粒径の小さなニオブ酸化物を、高効率で製造する技術に関する。
近年、ニオブ酸化物は、周波数フィルターやコンデンサなどのような電子部品の原料や、スパッタリングのターゲット原料等としての使用量が急増している。特に、ニオブ酸化物の中でも一酸化ニオブ(NbO)は、新しいタイプのコンデンサ原料として採用されており、小型サイズのチップで大容量を実現でき、優れた電気的安定性と高い信頼性とを備えたコンデンサとして広く普及し始めている。
ところで、ニオブコンデンサの小型化においては、誘電体となるNbOの静電容量を増大させることが不可欠である。原料であるニオブ酸化物は、比表面積が大きいほど、大きな静電容量を得ることができる。また、静電容量は、純度を高くすることでも増大させることができ、アルカリ金属や重金属等の不純物が混入してしまうと、電気特性が低下してしまう。よって、ニオブ酸化物としては、より微細な粒子であり、比表面積が大きく、さらに純度も高いことが求められている。
このようなニオブ酸化物については、各種の製造方法が提案されている。特許文献1は、ニオブのインゴットを水素化し、ドーピング等によって得られたフレーク状のニオブ粉末を酸化する製造方法を利用している。しかし、このようにニオブを酸化してニオブ酸化物を得る方法は、反応の制御が難しく、粒成長してしまうため微粒化が難しい。また、特許文献1のニオブ酸化物は、BET比表面積が0.26〜0.96m/gであることが示されているものの、要求されるコンデンサの電気特性を十分に満足できるものではない。
特許文献2には、高酸化数ニオブ酸化物をタンタル、ニオブ、又はマグネシウム等のゲッター材料により還元し、加熱処理を行って低酸化数ニオブ酸化物を製造する方法が記載されている。このように金属還元して低酸化数ニオブ酸化物を生成する方法では、効率的に純度の高いニオブ酸化物を生成することができず、十分な方法であると言えない。また、特許文献2には、BET比表面積の好ましい範囲が示唆されているものの、実施例における具体的な実現性は示されておらず、現実的に当該範囲のニオブ酸化物を得られる方法かどうかが明確にされていない。
特表2002−507247号公報 特表2002−524378号公報
以上のように、ニオブ酸化物は、次世代のコンデンサ材料として大変注目されており、各種の製造方法が提供されている。しかしながら、上記製造方法によって得られるニオブ酸化物は、その一次粒径が約1〜2μmと大きく、比表面積についてもコンデンサ小型化のために充分な大きさのものが得られていない。
そこで本発明では、高純度のニオブ酸化物であって、比表面積が大きく、且つ粒径の小さなニオブ酸化物を提供することを目的とする。また、形態制御したニオブ酸化物を、高い効率で得るための製造方法も提供する。
上記課題を解決するため、本発明者等は、純度が高いだけでなく形態の制御されたニオブ酸化物を得るべく製法について鋭意検討を行った。その結果、従来よりも比表面積が大きく、微細なニオブ酸化物を高効率で製造する技術を見出した。具体的には、高酸化数ニオブ酸化物を低酸化数ニオブ酸化物に乾式還元する反応系内(以下、場合により系内と略す)において、ニオブ酸化物と反応して発生する水と、その発生した水の水蒸気分圧との関係を調べたところ、系内の水蒸気分圧を低減させることにより、非常に高効率で、所定形態の低酸化数ニオブ酸化物を製造できることが判明したのである。
本発明は、高酸化数ニオブ酸化物を、低酸化数ニオブ酸化物に乾式還元するニオブ酸化物の製造方法であって、還元処理は、ニオブ酸化物と水生成物質とを反応させて水を発生し、その発生した水の水蒸気分圧を反応系内で低減させることを特徴とする。
本発明について、ニオブ酸化物として五酸化ニオブ(Nb)、水生成物質として水素(H)を例にして説明する。まず、水素(H)により五酸化ニオブ(Nb)は二酸化ニオブ(NbO)に還元され、その際に水を発生する。また、この還元反応により生成した二酸化ニオブ(NbO)も水素(H)により一酸化ニオブ(NbO)に還元されるとともに水を発生することとなる。そのため、系内は発生した水により系内の水蒸気分圧が上昇することになるが、その水蒸気分圧を低減させるように制御を行うと、二酸化ニオブ(NbO)から一酸化ニオブ(NbO)に変化する還元反応が大幅に進行することになり、非常に高い効率で一酸化ニオブが製造できるのである。これは、ニオブに関するTPP状態図では、水蒸気分圧の低い方が、二酸化ニオブ(NbO)よりも一酸化ニオブ(NbO)が熱力学的に安定になることから裏付けられる。
本発明における水生成物質は、ニオブ酸化物を還元する際に水を発生させるものであれば特に制限はされないが、反応性がよいことから実用的には水素が好適である。また、同様な理由により、メタンやアンモニアを水生成物質に用いることができる。
そして、系内の水蒸気分圧を低減する方法としては、系内を強制的に減圧することにより行うか、水と反応する物質を系内に存在させて水蒸気分圧を低減させることにより行うこともできる。
本発明における水蒸気分圧の低減は、炭化物、硫化物、窒化物の少なくともいずれかの分圧低減物質を反応系内に存在させることにより行うことが好ましい。水生成物質と、炭化物、硫化物、窒化物の少なくともいずれかの分圧低減物質とを、反応系内に存在させることで容易に本発明を実現できるからである。これら分圧低減物質は、炭化物、硫化物、窒化物いずれかを単独に用いても、複数組み合わせて用いてもよい。
本発明の還元処理の反応について、高酸化数ニオブ酸化物として五酸化ニオブ(Nb)、水生成物質として水素(H)、分圧低減物質として硫化マグネシウムを例にして説明すると、次のような反応が生じる。
水生成物質の水素(H)は、五酸化ニオブ(Nb)と反応して水を発生させる。このとき還元反応により五酸化ニオブ(Nb)が二酸化ニオブ(NbO)に変化する。一方、系内に発生した水は、系内の水蒸気分圧を上昇させることになるが、系内に存在する硫化マグネシウムと水との反応により、硫化マグネシウムが酸化マグネシウムに変化し、その際に系内の水が消費され、反応系内の水蒸気分圧が低下する。さらに、系内の水素が、二酸化ニオブ(NbO)を還元して一酸化ニオブ(NbO)に変化させるが、水蒸気分圧が低減されることにより、この二酸化ニオブ(NbO)から一酸化ニオブ(NbO)に変化させる還元反応が大幅に進行することになる。このような反応の促進は、上述したように、水蒸気分圧の低い方が、二酸化ニオブ(NbO)よりも一酸化ニオブ(NbO)が熱力学的に安定になることがニオブに関するTPP状態図で示されていることから裏付けられる。
このようなことから、この分圧低減物質を反応系内に存在させる場合によっても、高酸化数ニオブ酸化物、例えば、五酸化ニオブ(Nb)から、所定形態の低酸化数ニオブ酸化物(一酸化ニオブ(NbO))を、非常に効率よく製造できるのである。
本発明における分圧低減物質としては、炭化物、硫化物、窒化物の少なくともいずれかを用いることが好ましいが、この分圧低減物質としては、反応系内にある水と反応して、その水蒸気分圧を低下させる作用を有するものであれば特に制限されない。そのため、水と反応性のある炭化水素(例えば、メタン(CH))やアンモニア(NH)などを用いることもできる。
この炭化物としては、チタン族金属炭化物、バナジウム族金属炭化物、クロム族金属炭化物、マンガン族金属炭化物、鉄族金属炭化物、炭素族炭化物が好ましく、具体的には、炭化チタン、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化タングステン、炭化バナジウム、炭化マンガン、炭化鉄、炭化珪素があげられる。また、硫化物としては、チタン族金属硫化物、バナジウム族金属硫化物、クロム族金属硫化物、マンガン族金属硫化物、鉄族金属硫化物、炭素族硫化物が好ましく、具体的には、硫化チタン、硫化マグネシウム、硫化ニオブ、硫化タンタル、硫化カルシウム、硫化珪素があげられる。そして、窒化物としては、チタン族金属窒化物、バナジウム族金属窒化物、クロム族金属窒化物、マンガン族金属窒化物、鉄族金属窒化物、炭素族窒化物が好ましく、具体的には、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化鉄、窒化珪素があげられる。
本発明において、水生成物質と分圧低減物質とを反応系内に存在させる場合には、反応系内に直接、水生成物質と分圧低減物質とを投入して存在させる場合だけでなく、反応系内に他の反応物質を投入した際に発生した物質が、上記した本発明の水生成物質或いは分圧低減物質と同様な作用(反応)を行う場合の還元反応も包含される。
なお、本発明に係るニオブ酸化物の製造方法において、高酸化数ニオブ酸化物と低酸化数ニオブ酸化物とは次のようなものを意味する。高酸化数から低酸化数にかけて順番に、そのニオブ酸化物を例示すると、基本的には五酸化ニオブ(Nb)、二酸化ニオブ(NbO)、一酸化ニオブ(NbO)となる。そして、本発明では、これらニオブ酸化物の内、酸化数の大きな高酸化数ニオブ酸化物から、それよりも小さな酸化数の低酸化数ニオブ酸化物を生成することを意図している。また、上述したニオブ酸化物以外に中間的な酸化数のニオブ酸化物の存在が知られているが、本発明は、これらの中間的な酸化数のニオブ酸化物を排除するものではない。具体的には、Nb16.842,Nb1229,NbO1.64,Nb,NbO1.1,NbO0.76,NbO0.7等のニオブ酸化物も含まれる。さらに、本発明における還元処理の結果、金属ニオブ(Nb)が生成される場合も生じ得るが、本発明のニオブ酸化物の製造方法は、金属ニオブ(Nb)が生成されることを除外するものでもない。本発明のニオブ酸化物の製造方法は、五酸化ニオブから一酸化ニオブを製造する場合が最も効果が発揮される。五酸化ニオブは、原料入手コストが低く、ニオブ酸化物として安定性が高く、粒径制御の容易性などから出発原料として最も好ましく、また、高純度で、比表面積の大きな微粒の一酸化ニオブを製造する原料として最も好適だからである。さらに、本発明によれば、中間工程として他の工程を設けることなく、五酸化ニオブから一酸化ニオブを一工程で製造できるものである。
また、本発明に係るニオブ酸化物の製造方法は、還元処理を、高酸化数ニオブ酸化物に炭化水素を接触させることにより行うこともできる。この炭化水素の接触による還元処理によっても、従来よりも比表面積が大きく、粒径も微細な低酸化数ニオブ酸化物を、効率良く製造できる。
本発明において、炭化水素を接触させることにより高酸化数ニオブ酸化物の還元処理を行う場合、炭化水素が還元剤となる。この炭化水素は、炭素と水素との化合物であって、すべての有機化合物の母体を含み、この有機化合物に酸素が含まれていてもよい。また、炭化水素を接触させることとは、高酸化数ニオブ酸化物に、固体の炭化水素を直接接触させる場合や、炭化水素のガスを接触させる場合を含む。また、本発明は、炭素と水素とが別々に存在する状態下において、炭素と水素との反応によって生成された炭化水素で還元処理する場合を含み、さらに、炭素と水素とが別々に存在する状態下において、この炭素と水素とが共同して高酸化数ニオブ酸化物を還元処理する場合も含まれる。
本発明における還元処理であって炭化水素を接触させる場合は、高酸化数ニオブ酸化物と炭素とを、水素雰囲気下におくようにすることが好ましい。この場合における炭素は、炭素それ自体の他に、炭化ニオブや炭化タンタル、炭化タングステン等の金属炭化物を用いることが可能である。また、この場合における炭素には、グルコースやアスパラギン酸、メタンなどの有機化合物を用いることもできる。
この炭化水素を接触させる場合の還元処理の反応について、水素雰囲気の反応系内に、高酸化数ニオブ酸化物として五酸化ニオブ(Nb)、炭素として炭化ニオブ(NbC)を配置した場合を例にして具体的に説明する。
水素雰囲気下においては、水素が五酸化ニオブ(Nb)と反応して水を発生させる。このとき還元反応により五酸化ニオブ(Nb)が二酸化ニオブ(NbO)に変化する(Nb+H→2NbO+HO)。一方、炭化ニオブ(NbC)は水素と反応してNbに変化し、その際にメタン(CH)が発生する(8NbC+2H→Nb+CH)。そのため、反応系内には、水とメタンとが混在した状態になり、これらが反応することで一酸化炭素(CO)が生成される(CH+HO→CO+3H)。この段落で説明した反応の概略を図1に示す。
そして、この反応系内に生成された一酸化炭素(CO)は、二酸化ニオブ(NbO)をアタックすることになり、その一部に炭化反応が生じる(4NbO+3CO+11H→Nb+11HO)。また、炭化ニオブ(NbC)から生成したNbは、反応系内の水素による還元と、水により酸化され二酸化ニオブ(NbO)を生成する反応を生じる(Nb+2H→2Nb+CH、Nb+8HO→4NbO+3CH+2H)。つまり、ここでは、炭化物の酸化反応と、酸化物の炭化反応が生じていることを示している。この段落で説明した反応の概略を図2に示す。
さらに、生成されたNbは、反応系内の水により酸化されて一酸化ニオブ(NbO)に変化する(3Nb+14HO→12NbO+7CH+2CO)。そして、生成された二酸化ニオブ(NbO)は水素により還元されて一酸化ニオブ(NbO)に変化する(NbO+H→NbO+HO)。また、生成された二酸化ニオブ(NbO)の一部は、Nbと固相反応をして一酸化ニオブ(NbO)に変化される(7NbO+Nb→11NbO+3CO)。この段落で説明した反応の概略を図3に示す。
図1から図3で示したような反応により、五酸化ニオブ(Nb)から一酸化ニオブ(NbO)が生成されるが、この場合においても、反応系内に発生する水と、その水蒸気分圧の低下が一酸化ニオブの高効率な生成を促している。つまり、この反応系内では、水素が水生成物質として働き水を発生し、メタン(CH)とNbとが水蒸気分圧を低減させる分圧低減物質として働く。このメタン(CH)は、水と反応して一酸化炭素(CO)を生成(CH+HO→CO+3H)するものであり、Nbは水と反応して二酸化ニオブ(Nb+8HO→4NbO+3CH+2H)或いは一酸化ニオブ(3Nb+14HO→12NbO+7CH+2CO)を生成するからである。
このように、反応系内の水蒸気分圧が低下すると、最終的な反応であるNbO+H→NbO+HOの反応が促進されて、一酸化ニオブが高効率で生成されるのである。この反応系内の水蒸気分圧が低下すると、最終的な反応であるNbO+H→NbO+HOの反応が促進することは、図4に示すNb−C−O−Hに関するTPP状態図から裏付けられる。
なお、図1から図3で説明した反応では、水蒸気分圧の低下により、一酸化ニオブ(NbO)が、反応系内の一酸化炭素(CO)と水素とによりNbCを生成する反応も生じる(2NbO+CO+3H→NbC+3HO)。この場合、還元処理により得られる一酸化ニオブとともに炭化ニオブ(NbC)が生成されることになるが、この炭化ニオブを含む一酸化ニオブをコンデンサ材料として使用しても、その電気特性に影響は生じない。
上述した本発明に係るニオブ酸化物の製造方法では、還元処理をして得られた低酸化数ニオブ酸化物を粉砕することが好ましい。所望の比表面積或いは粒径に制御したニオブ酸化物を容易に製造できるからである。この粉砕処理は、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ビーズミル、アトライタなどの粉砕装置を用いることができる。また、好ましい粉砕媒体としては、例えば、ステンレスボールなどの鉄を主成分として含むもの、α―アルミナ、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素等がある。
粉砕処理を行う場合、粉砕後のニオブ酸化物に、粉砕媒体に由来する微量の不純物が含まれることがある。その場合は、粉砕後に沈降分級や酸洗など、不純物を除去するための工程を行うことが望ましい。例えば、酸洗工程では、粉砕後に得られたニオブ酸化物に、塩酸又は硫酸などの酸性溶液を加えてスラリーとし、所要時間の酸洗処理を行って、粉砕工程で含有された不純物を除去できる。
本発明に係るニオブ酸化物の製造方法によると、一次粒子が3個以上結合し、その結合した一次粒子群が海綿状となっている、多孔質構造の一酸化ニオブを得ることができる。本発明に係る一酸化ニオブは、本発明における製造方法の還元反応の影響と推測されるが、一酸化ニオブの微細な一次粒子が複数結合することにより、図8及び図9に示すような海綿状の結合状態となり、二次粒子を形成するものとなる。つまり、本発明に係る一酸化ニオブは、一次粒子が凝集して二次粒子を形成しているのでなく、複数の一次粒子が連続的に結合して、二次粒子を形成しているもので、本発明者らの知る限りにおいて、従来の一酸化ニオブの構造とは異なる多孔質構造体である。その結果、本発明の一酸化ニオブであれば、比表面積及び細孔容積が大きく、嵩密度が小さいために、コンデンサを形成した際の電気特性(特にコンデンサのCV値を大きくする)を向上させることができる。本発明の一酸化ニオブは、一次粒子の粒径が0.1〜5μmで、その一次粒子の長径と短径とから得られるアスペクト比が1.0〜4.0であることが好ましく、1.3〜3.6がより好ましい。アスペクト比が1.0〜2.0であると、嵩密度が大きなものとなり、コンデンサを形成した際の電気特性、特にそのCV値の向上が図れる。一方、アスペクト比が4.0を超えると、一次粒子の長径が大きくなりすぎて、海綿状の多孔質構造を形成しにくくなり、一酸化ニオブの粉体によりペレットを形成した際のペレットの形状維持(ペレットの壊れ易さ性)能力が低下する。そして、一酸化ニオブの嵩密度が0.7〜2g/cmであることが好ましい。嵩密度が0.7g/cm未満であると、嵩が大きくなりすぎ、成型機に所定重量の一酸化ニオブを供給し難くなる。また、2g/cmを超えると、成形性が悪くなり、ペレットにクラックが生じやすくなる傾向となる。
系内の反応概略図。 系内の反応概略図。 系内の反応概略図。 Nb−C−O−Hに関するTPP状態図 第二実施形態におけるNbOの収率結果を示すグラフ。 第三実施形態におけるNbOの収率結果を示すグラフ。 一酸化ニオブのSEM観察(100倍)写真。 一酸化ニオブのSEM観察(1000倍)写真。 一酸化ニオブのSEM観察(5000倍)写真。
以下、最良と考えられる本発明の実施形態について説明する。尚、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
第一実施形態
この第一実施形態では、反応系内に炭素及び水素ガスを存在させることにより、高酸化ニオブ酸化物を還元処理する場合を、以下に示す実施例1〜5に基づいて説明する。
まず、実施例1として、五酸化ニオブ(Nb)、二酸化ニオブ(NbO)、炭素及び水素ガスを用いて、還元処理をした場合について説明する。0.25gの五酸化ニオブを第一アルミナ坩堝に投入したものを準備し、二酸化ニオブ0.19gと市販の炭素(SEM観察粒径0.1〜100μm)0.06gとを乾式混合して、別の第二アルミナ坩堝に投入したものを準備し、この二つのアルミナ坩堝を管状炉内に設置した。そして、真空置換或いはアルゴンガスで炉内を十分にパージした後、水素ガスを100cc/minで管状炉内にフローした。管状炉は、昇温速度300℃/時間で、還元温度1400℃まで昇温し、1400℃で4時間保持した。
その後常温まで冷却し、五酸化ニオブを投入した第一アルミナ坩堝内の試料をX線分析し、その試料物質の同定と定量を行った。その結果、第一アルミナ坩堝内の試料は、一酸化ニオブ(NbO)が97%で、残部はニオブ炭化物(NbC、NbC)が3%であった。
実施例2として、二酸化ニオブ(NbO)、炭素及び水素ガスを用いて、還元処理をした場合について説明する。0.25gの二酸化ニオブを第一アルミナ坩堝に投入したものを準備し、二酸化ニオブ0.19gと市販の炭素(SEM観察粒径0.1〜100μm)0.06gとを乾式混合して、別の第二アルミナ坩堝に投入したものを準備し、この二つのアルミナ坩堝を管状炉内に設置した。そして、真空置換或いはアルゴンガスで炉内を十分にパージした後、水素ガスを100cc/minで管状炉内にフローした。管状炉の温度制御は、実施例1と同様にした。
その後、常温まで冷却し、二酸化ニオブのみを投入した第一アルミナ坩堝内の試料をX線分析し、その試料物質の同定と定量を行った。その結果、第一アルミナ坩堝内の試料は、一酸化ニオブが97%で、残部はニオブ炭化物(NbC、NbC)が3%であった。
実施例3として、五酸化ニオブ(Nb)、ニオブ炭化物(NbC)及び水素ガスを用いて、還元処理をした場合について説明する。0.25gの五酸化ニオブを第一アルミナ坩堝に投入したものを準備し、0.25gのニオブ炭化物を別の第二アルミナ坩堝に投入したものを準備し、この二つのアルミナ坩堝を管状炉内に設置した。そして、真空置換或いはアルゴンガスで炉内を十分にパージした後、水素ガスを100cc/minで管状炉内にフローした。管状炉の温度制御は、実施例1と同様にした。
その後、常温まで冷却し、五酸化ニオブを投入した第一アルミナ坩堝内の試料をX線分析し、その試料物質の同定と定量を行った。その結果、第一アルミナ坩堝内の試料は、一酸化ニオブが98%で、残部はニオブ炭化物(NbC、NbC)が2%であった。
実施例4として、ペレット状にした五酸化ニオブ(Nb)とニオブ炭化物(NbC)、及び水素ガスを用いて、還元処理をした場合について説明する。0.25gのペレット状(厚み約1mm、直径約10mm)五酸化ニオブを第一アルミナ坩堝に投入したものを準備し、0.25gのペレット状(厚み約1mm、直径約10mm)ニオブ炭化物を別の第二アルミナ坩堝に投入したものを準備し、二つのアルミナ坩堝を管状炉内に設置した。そして、真空置換或いはアルゴンガスで炉内を十分にパージした後、水素ガスを100cc/minで管状炉内にフローした。管状炉の温度制御は、実施例1と同様にした。
その後常温まで冷却し、五酸化ニオブを投入した第一アルミナ坩堝内の試料をX線分析し、その試料物質の同定と定量を行った。その結果、第一アルミナ坩堝内の試料は、一酸化ニオブが98%で、残部はニオブ炭化物(NbC、NbC)が2%であった。
実施例5として、上記実施例4で作製した一酸化ニオブを粉砕処理した場合について説明する。実施例4で得られた一酸化ニオブは、ペレット状のものであった。このペレット状一酸化ニオブ約25g分をボールミル用のアルミナ製ポットに投入し、さらにφ10mmのジルコニアボール(酸化ジルコニウム製の粉砕媒体)を100g投入した後、ボールミルにより15分間の粉砕処理をした。
粉砕処理した一酸化ニオブを取り出し、BET比表面積を測定したところ、7.5mであった。尚、この粉砕処理は、一般的な粉砕装置として知られている、乳鉢、ペイントシェイカーやハンマーミルなどを用いて行うことも可能である。
比較例1:この比較例1は、五酸化ニオブを水素ガスのみを用いて還元処理した。0.25gの五酸化ニオブをアルミナ坩堝に投入し、このアルミナ坩堝を管状炉内に設置した。そして、真空置換或いはアルゴンガスで炉内を十分にパージした後、水素ガスを100cc/minで管状炉内にフローした。管状炉は、昇温速度300℃/時間で、還元温度1400℃まで昇温し、1400℃で4時間保持した。
その後、常温まで冷却し、五酸化ニオブを投入したアルミナ坩堝内の試料をX線分析し、その試料物質の同定と定量を行った。その結果、アルミナ坩堝内の試料は、一酸化ニオブが14%で、残部は二酸化ニオブ(NbO)が86%であった。
比較例2:この比較例2は、二酸化ニオブを水素ガスのみを用いて還元処理した。0.25gの二酸化ニオブをアルミナ坩堝に投入し、このアルミナ坩堝を管状炉内に設置した。そして、真空置換或いはアルゴンガスで炉内を十分にパージした後、水素ガスを100cc/minで管状炉内にフローした。管状炉は、昇温速度300℃/時間で、還元温度1400℃まで昇温し、1400℃で4時間保持した。
その後、常温まで冷却し、二酸化ニオブを投入したアルミナ坩堝内の試料をX線分析し、その試料物質の同定と定量を行った。その結果、アルミナ坩堝内の試料は、一酸化ニオブが16%で、残部は二酸化ニオブ(NbO)が84%であった。
第二実施形態
この第二実施形態では、水素雰囲気の反応系内において、高酸化数ニオブ酸化物とニオブ炭化物とを混合したものを還元処理した場合について説明する。この還元処理は、第一実施形態の実施例3及び実施例4のように、高酸化数ニオブ酸化物とニオブ炭化物とを分離して還元処理を行った場合と対比するために行った。
この第二実施形態では、五酸化ニオブ(Nb)とニオブ炭化物(NbC)とを所定モル比(NbC/Nb:0.4,0.5,0.6,0.7,0.85)となるように、混合したものを準備し、一つのアルミナ坩堝に投入した。そして、このアルミナ坩堝を管状炉内に設置し、真空置換或いはアルゴンガスで炉内を十分にパージした後、水素ガスを500cc/minで管状炉内にフローした。管状炉は、昇温速度300℃/時間で、還元温度1400℃まで昇温し、1400℃で4時間保持した。
その後、常温まで冷却し、アルミナ坩堝内の試料をX線分析し、その試料物質の同定と定量を行った。その結果を図5に示す。なお、図5で示す定量値は試料物質全体の平均値である。
図5より、所定モル比で混合した場合においても、上記第一実施形態の実施例3及び4と同様に、高い収率で一酸化ニオブを得ることができることが判明した。また、NbC/Nbモル比が0.5の時に、一酸化ニオブの収率が最も高くなることが分かった(97%NbO、3%NbC)。
第三実施形態
この第三実施形態では、水素雰囲気の反応系内において、高酸化数ニオブ酸化物と有機物であるグルコース(C12)とを混合したものを還元処理した場合について説明する。
この第三実施形態では、五酸化ニオブ(Nb)とグルコース(C12)とを所定モル比(C12/Nb:0.1,0.15,0.2,0.3,0.4)となるように混合したものを準備し、一つのアルミナ坩堝に投入した。そして、このアルミナ坩堝を管状炉内に設置し、真空置換或いはアルゴンガスで炉内を十分にパージした後、水素ガスを300cc/minで管状炉内にフローした。管状炉は、昇温速度300℃/時間で、還元温度1400℃まで昇温し、1400℃で4時間保持した。
その後、常温まで冷却し、アルミナ坩堝内の試料をX線分析し、その試料物質の同定と定量を行った。その結果を図6に示す。なお、図6で示す定量値は試料物質全体の平均値である。
図6より、グルコースと五酸化ニオブとを所定モル比で混合した場合においても、高い収率で一酸化ニオブを得ることができることが判明した。また、C12/Nbモル比が0.15の時に、一酸化ニオブの収率が最も高くなることが分かった(94%NbO、2%NbO、4%NbC)。
第四実施形態
この第四実施形態では、水素雰囲気の反応系内に、高酸化数ニオブ酸化物と、硫化マグネシウム(MgS)とを別々に配置して還元処理した場合について説明する。
この第四実施形態では、、ニオブ炭化物(NbC)及び水素ガスを用いて、還元処理をした場合について説明する。0.5gの五酸化ニオブ(Nb)を第一アルミナ坩堝に投入したものを準備し、0.1gの硫化マグネシウム(MgS)を別の第二アルミナ坩堝に投入したものを準備し、この二つのアルミナ坩堝を管状炉内に設置した。そして、真空置換或いはアルゴンガスで炉内を十分にパージした後、水素ガスを500cc/minで管状炉内にフローした。管状炉は、昇温速度300℃/時間で、還元温度1400℃まで昇温し、1400℃で4時間保持した。
その後、常温まで冷却し、第一及び第二アルミナ坩堝内の試料をX線分析し、その試料物質の同定と定量を行った。その結果、第一アルミナ坩堝内の試料は一酸化ニオブ(NbO)が100%で、第二アルミナ坩堝内の試料は酸化マグネシウム(MgO)が100%であった。
第五実施形態
この第五実施形態では、得られた一酸化ニオブの粉体特性及び電気特性を調査した結果について説明する。
調査した粉体特性は、BET法比表面積、嵩密度、細孔容積、細孔容積率、粉体流動性を調査した。また、電気特性の評価として、静電容量(CV値)、誘電損失(tanδ)、及び耐圧を測定した。さらに、一酸化ニオブを走査電子顕微鏡(SEM)にて粉体構造を観察した。以下に各測定方法について説明する。尚、粉体特性については上記第二実施形態で得られた一酸化ニオブ(モル比 NbC/Nb:0.5)を評価試料として用いた。また、電気特性評価は、第一実施形態の実施例5及び第二実施形態の方法で得られた一酸化ニオブを評価試料として用いた。
比表面積測定(BET法):BET法比表面積は、評価試料である一酸化ニオブを、吸着質ガスである窒素を約30容量%、キャリアガスであるヘリウムを約70容量%含有する窒素−ヘリウム混合ガスを用いてBET比表面積測定装置((株)島津製作所製、マイクロメリティックス フローソープII2300)を用いて、JIS R 1626「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」の6.2流動法の(3.5)一点法に従い測定を行った。
嵩密度:嵩密度測定は、ASTM(米国材料試験協会)B329−98に準拠して行った。
細孔容積及び細孔容積率:一酸化ニオブの粉体をペレット(φ5mm×5mm)に成形した後、そのペレットを用いて細孔分布測定用水銀圧入ポロシメーター(マイクロメリティックス社製、Auto Pore IV)により測定した。
粉体流動特性:長さ70mmのセラミックシートを水平位置から60度傾斜させた状態にして、その傾斜したセラミックシートの上端側から25gの一酸化ニオブの粉体を、φ3mmの穴を通過させながら流した時に要した時間を測定し、その時間を25gの一酸化ニオブの粉体流動特性とした。
電気特性評価:この電気特性評価では、次のようなキャパシタを作製して行った。0.25gの一酸化ニオブの粉体を、φ0.3mmのタンタル(Ta)ワイヤーが挿入されたプレス金型に投入し、ペレット状に成型した。成型したペレット(φ5mm×6mm)を1400℃、10分間で焼成した。そして、80℃、0.1M−HPO浴中にペレットを浸せきして、定電流密度0.375A/m、化成電圧30Vで60分間保持して、アノード酸化処理を行った。このようなアノード酸化処理をしたペレットを、80℃、0.1M−HPOに再度浸せきし、電流密度0.1A/m、で五分間保持して耐圧を測定した。また、アノード酸化処理をしたペレットを、150g/Lのアジピン酸アンモニウム溶液に浸せきし、常温で30分間保持後、120Hz、バイアス電圧1Vの条件で、静電容量及び誘電損失を測定した。
表1には粉体特性の測定結果を、表2には電気特性評価結果を示す。表1の粉体特性については、3つのサンプルの測定結果を示している。
表1に示すように、第二実施形態で得られた一酸化ニオブは、嵩密度が1g/cm程度と小さいため、ペレットに成型した際に、そのペレットが壊れにくい性質があることが確認できた。また、細孔容積が非常に大きいことが判明した。また、粉体流動特性も良好な測定結果が得られたので、粉体のハンドリング性(取り扱い性)に優れることも判明した。
また、表2の電気特性評価は、評価試料Aが第一実施形態の実施例5で得られた一酸化ニオブでの結果である。また、評価試料B〜Eは、上記第二実施形態で得られた一酸化ニオブ(モル比 NbC/Nb:0.5)であって、還元反応処理終了後、何の手も加えない状態の一酸化ニオブのサンプリング位置を変えた4種類のサンプルの結果である。B〜Eの組成比率が異なるのは、各サンプリング位置における反応のばらつきによるものである。さらに、評価試料Fは上記第四実施形態で得られた一酸化ニオブでの結果である。この表2の結果より、本実施形態の一酸化ニオブであれば、良好なキャパシタのCV値を実現できることが判明した。このCV値の向上は、キャパシタを構成する一酸化ニオブの細孔容積が大きい(比表面積が大きい)ことによるものである。また、評価試料B〜Eの結果から分かるように、一酸化ニオブに炭化ニオブが混合されていても、その電気特性には影響がないことが確認された。
最後に、走査電子顕微鏡による粉体観察の結果について説明する。図7〜図9に、上記第二実施形態で得られた一酸化ニオブを、倍率100倍、1000倍、5000倍で観察したものを示す。図7の100倍でのSEM写真より、一酸化ニオブの2次粒子は、数十μmから数百μmの粒径であることが判明した。また、この2次粒子の1つを拡大観察した図8及び図9を見ると分かるように、本実施形態における一酸化ニオブは、複数の一次粒子が3個以上結合し、その結合した一次粒子群が海綿状となって多孔質構造の2次粒子を形成していることが確認された。この複数の一次粒子の結合状態を見たところ、いわゆる凝集よって集合したものではなく、化学的に連続して結合していることが判明した。つまり、一酸化ニオブの微細な一次粒子が、複数、化学的に結合し、海綿状の多孔質構造を形成したものであった。この観察結果から、本実施形態の一酸化ニオブが、上記表1の結果のように、細孔容積が非常に大きく、比表面積が大きいこと粉体であることの裏付け得られた。
また、図8及び図9のSEM観察写真において、その一次粒子の形状寸法を測定した。測定は、写真中、一次粒子として認められるものを特定し、その短径と長径(先端部分から他の一次粒子との結合している部分までの距離)とを測定した。より具体的には、図9に示すように、特定した一次粒子の長径Lと短径Sとのそれぞれの長さを測定してアスペクト比を求めた。このようにして50個の一次粒子を測定したところ、短径が0.7μm〜2.0μm(平均1.06μm)であり、長径が1.3μm〜3.3μm(平均2.37μm)であった。そして、この50個の一次粒子のアスペクト比を算出したところ、アスペクト比1.3〜3.6(平均2.32)であった。また、上記第一実施形態〜第四実施形態において得られた、本発明に関する一酸化ニオブについて、その一次粒子の粒径及びアスペクト比、一酸化ニオブの嵩密度を、多数のサンプルで測定したところ、一次粒子径は0.1〜5μm、アスペクト比は1〜4であり、嵩密度は0.7〜2g/cmであることが判明した。
以上で説明したように、本発明に係るニオブ酸化物の製造方法によれば、比表面積が大きく、且つ粒径も細かい粉末状態のニオブ酸化物を高効率で得ることができる。また、本発明に係るニオブ酸化物の製造方法により得られた一酸化ニオブは、複数の一次粒子が化学的に連続した結合し、海綿状の多孔質構造の二次粒子からなる特徴的な構造である。そして、このような特徴的な構造を有するため、細孔容積が大きく、コンデンサ材料として非常に好適なものとなる。

Claims (7)

  1. 高酸化数ニオブ酸化物を、低酸化数ニオブ酸化物に乾式還元するニオブ酸化物の製造方法であって、
    還元処理は、ニオブ酸化物と水生成物質とを反応させて水を発生し、その発生した水の水蒸気分圧を反応系内で低減させることを特徴とするニオブ酸化物の製造方法。
  2. 前期水蒸気分圧の低減は、炭化物、硫化物、窒化物の少なくともいずれかの分圧低減物質を反応系内に存在させることにより行う請求項1に記載のニオブ酸化物の製造方法。
  3. 高酸化数ニオブ酸化物を、低酸化数ニオブ酸化物に乾式還元するニオブ酸化物の製造方法であって、
    還元処理は、高酸化数ニオブ酸化物に炭化水素を接触させることを特徴とするニオブ酸化物の製造方法。
  4. 還元処理は、高酸化数ニオブ酸化物と炭素とを、水素雰囲気下におくようにした請求項3に記載のニオブ酸化物の製造方法。
  5. 還元処理をして得られた低酸化数ニオブ酸化物を粉砕する請求項1〜請求項4いずれかに記載のニオブ酸化物の製造方法。
  6. 粒子から構成された多孔質構造の一酸化ニオブであって、
    一次粒子が3個以上結合し、その結合した一次粒子群が海綿状となっていることを特徴する一酸化ニオブ。
  7. 一次粒子の粒径が0.1〜5μm、該一次粒子の長径と短径とから得られるアスペクト比が1〜4であり、一酸化ニオブの嵩密度が0.7〜2g/cmである請求項6に記載の一酸化ニオブ。
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