JPWO2007145183A1 - 熱電変換モジュールおよび熱電変換素子用コネクタ - Google Patents
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Abstract
Description
熱電変換には、通常、熱電変換素子と呼ばれる金属や半導体の素子が用いられており、基板上にn型半導体素子とp型半導体素子とが交互に配置されるとともに、隣接する半導体素子同士が電極によって互いに接続されるモジュール構造(例えば、特許文献1参照)のものや、同じ導電型の複数の半導体素子が所定の配列を成して設けられるとともに、これらの半導体素子の両面に位置する電極同士がリード線により接続されて成るモジュール構造のもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。いずれの構造においても、平板状の複数の半導体素子を水平に寝かせた状態で平面的に配列する構成を基本としている。
つまり、従来の接続用リード線の代わりに、当該リード線をいわば一体的に組み込むようなコネクタを使用し、このコネクタにより熱電変換素子の電極と他の電極とを電気的に接続しているため、導通不良の無い電気的信頼性が高い熱電変換モジュールを提供できる。
なお、上記構成において、熱電変換素子の形状は、棒状や、矩形断面形状(直方体など)を含む多面体形状など、任意に選択することができる。要は、表面積が最も大きい主面と、主面の両側にそれぞれ位置する電極とを有するとともに、前記電極が前記基板に接触され且つ前記主面が前記基板に対して略垂直となるように縦長に立設して配置できるような形状であれば、どのような形状であっても構わない。
また、請求項3に記載された熱電変換モジュールは、請求項1または請求項2に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記コネクタが前記基板上に所定の配列で予め固定されていることを特徴とする。
この請求項3に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1または請求項2に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、コネクタが基板上に所定の配列で予め固定されているため、コネクタの第1の嵌合部に対して熱電変換素子を嵌め込んで装着するだけで簡単に熱電変換モジュールを作成することができ、組立の手間(製造工程)を軽減できる(組立性が向上する)。
なお、上記構成では、コネクタを従来のリード線に用いられている金属によって形成し、コネクタの第1の嵌合部の取り付け幅を熱電変換素子の電極の幅よりも小さく設定することが好ましい。このようにすれば、熱電変換素子をコネクタの第1の嵌合部に押し込んで嵌め付ける際に、第1の嵌合部が弾性的に押し広げられて、ワンタッチ式に熱電変換素子の電極がコネクタの第1の嵌合部に取り付けられるとともに、リード線に使用される金属の特性により熱電変換素子とコネクタとを隙間無く接合できるため、熱電変換素子とコネクタとの間で導通不良や接触不良が生じなくなり有益である。また、このようにコネクタの第1の嵌合部の取り付け幅を熱電変換素子の電極の幅よりも小さく設定する構成においては、第1の嵌合部を一対の折り曲げ片によって形成するとともに、各折り曲げ片の両端縁をテーパ状に形成することが好ましい。このようにすると、熱電変換素子を折り曲げ片の両端縁側からそのテーパ形状に沿って第1の嵌合部内にスライドさせて押し込むことにより、折り曲げ片が弾性的にスムーズに押し広げられていくため、前述した作用効果に加え、コネクタに対する熱電変換素子の装着が容易になる。
また、請求項4に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記熱電変換素子の前記電極は、熱電変換素子の両側に位置する一対の第1および第2の電極から成り、前記熱電変換素子は、前記第1の電極と対向する第1の基板と、前記第2の電極と対向する第2の基板との間で挟持されていることを特徴とする。
この請求項4に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、熱電変換素子を一対の基板で挟んで、熱電変換素子を両側から圧力をかけるように固定するため、熱電変換素子の電極とコネクタとの接触面積が大きくなる。そのため、導通不良や接触不良を軽減でき、電気的信頼性を向上させることができる。なお、これら一対の基板には、アルミナ基板などの絶縁性基板もしくはPVD(物理的気相成長法)によりステンレス(SUS)などを被着させて絶縁性を付与した基板を用いることが好ましい。これにより、所定の配列で予め固定されているコネクタ同士の電気的要因により生じた短絡を防止することができる。
また、請求項5に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記他の電極は、熱電変換モジュールが電気的に接続される外部電極であることを特徴とする。
この請求項5に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、コネクタにより外部電極との接続を簡単且つ確実に行なうことができ、他の装置への組み込み性に優れるとともに、電気的信頼性も高めることができる。つまり、第1の嵌合部を熱電変換素子に嵌め込み且つコネクタリード部を外部電極に接続するだけで熱電変換モジュールと外部装置(他のモジュール等)との電気的な接続が成されるため、組立性が向上する。
また、請求項6に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記第1の嵌合部は、前記熱電変換素子の装着を案内し、前記熱電変換素子を前記第1の嵌合部に装着した後に、前記熱電変換素子に沿うように折り曲げ可能である案内部を有することを特徴とする。
この請求項6に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、第1の嵌合部が案内部を有することにより、熱電変換素子をコネクタに装着し易くなる(特に、コネクタの第1の嵌合部の取り付け幅を熱電変換素子の電極の幅よりも小さく設定した場合にその効果が大きい)ために、組立効率を向上させることができる。また、案内部が熱電変換素子に沿うように折り曲げ可能であることにより、コネクタに熱電変換素子を装着した後で案内部で熱電変換素子を固定することができ、コネクタにおける熱電変換素子の装着安定性を向上させることができる。したがって、導通不良の無い電気的信頼性が高い熱電変換モジュールを提供できる。
この請求項7に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、第1の嵌合部が短絡用片を持つことにより、熱電変換素子自体の破損や熱電変換素子の劣化でコネクタとの間で導通不良を起こした場合であっても、短絡用片によりコネクタ間を導通させて容易に修復することが可能となる。
また、請求項8に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記コネクタリード部は、前記基板上に配された他の熱電変換素子における他の電極に嵌合して取り付けられる第2の嵌合部を有していることを特徴とする。
この請求項8に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、コネクタリード部が、基板上に配された他の熱電変換素子における他の電極に嵌合して取り付けられる第2の嵌合部を有しているため、基板上でコネクタにより熱電変換素子同士を電気的に接続することができる。つまり、従来の接続用リード線の代わりに、当該リード線をいわば一体的に組み込むようなコネクタを使用し、このコネクタにより熱電変換素子の電極同士を電気的に接続しているため、導通不良の無い電気的信頼性が高い熱電変換モジュールを提供できる。
この請求項9に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、コネクタリード部が平行部を有することにより、コネクタリード部と熱電変換素子との間の接触面積が大きくなり、より大きな面積で熱電変換素子を保持することができ、コネクタにおける熱電変換素子の装着安定性を向上させることができる。
この請求項10に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、櫛歯を持つ固定部材を具備することにより、一又は複数の熱電変換素子の両側に櫛歯が挿入され、櫛歯によっても熱電変換素子が支持されることになり、モジュールにおける熱電変換素子の装着安定性を向上させることができる。
また、固定部材は、短絡防止のために電気絶縁性を持つことが好ましい。例えば、冷却面側(低温側)に固定部材を装着する場合には、固定部材にアルミニウムの陽極酸化処理(アルマイト処理)を施し、加熱面側(高温側)に固定部材を装着する場合には、固定部材にPVD(物理的気相成長法)によりステンレス(SUS)を被着したり、ガラスコーティングしたりすることが好ましい。
また、請求項11に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の熱電変換モジュールにおいて、複数の前記熱電変換素子を前記基板上に並設することにより所定の配列が形成され、前記コネクタは、前記配列内の複数の熱電変換素子同士を電気的に接続する第1のコネクタと、該第1のコネクタに接続されている前記配列内の最初または最後の熱電変換素子の電極と前記他の電極とを電気的に接続する第2のコネクタとを含んでいることを特徴とする。
この請求項11に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、コネクタを用いて縦長の熱電変換素子を接続性良くしかも効率良くモジュール化することができる。また、熱電変換素子の接続形態によってコネクタを使い分けることができるため、用途に応じた様々な形態の熱電変換素子配列を実現することができる。
また、請求項12に記載された熱電変換モジュールは、請求項11に記載の熱電変換モジュールにおいて、前記第2のコネクタが接続する前記他の電極は、前記配列と隣り合う他の配列内の熱電変換素子の電極であることを特徴とする。
この請求項12に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項11に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、複数の配列同士をコネクタにより電気的に接続することができるため、用途に応じた様々な形態の熱電変換素子配列を実現することができる。
また、請求項13に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記熱電変換素子の前記電極は、熱電変換素子の両側に位置する一対の第1および第2の電極から成り、前記第1および第2の電極のうちの一方が加熱面として規定され、他方が冷却面として規定され、前記加熱面と前記冷却面との温度差によって発電することを特徴とする。
この請求項13に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、基板を加熱し、熱電変換素子の冷却面を冷却することで、基板から吸収された熱エネルギを電気エネルギに変換することができる。
また、請求項14に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記熱電変換素子が複合金属酸化物を含む焼結体であることを特徴とする。
この請求項14に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、熱電変換素子を複合金属酸化物の焼結体で構成したことにより、耐熱性や力学的強度を向上させることができる。
また、請求項15に記載された熱電変換モジュールは、請求項14に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記複合金属酸化物が、構成元素として、アルカリ土類金属と、希土類と、マンガンとを含んでいることを特徴とする。
この請求項15に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項14に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、複合金属元素の酸化物を、アルカリ土類金属と希土類とマンガンとを構成元素とする酸化物としたことにより、高温での耐熱性をより向上させることができる。
なお、アルカリ土類金属としてはカルシウムを用いることが好ましく、希土類元素としてはイットリウムまたはランタンを用いることが好ましい。具体的には、ペロブスカイト型CaMnO3系複合酸化物が挙げられる。ペロブスカイト型CaMnO3系複合酸化物は、一般式Ca(1−X)MXMnO3(Mはイットリウムまたはランタンであり、0.001≦x≦0.05である)で表わされるものであることが更に好ましい。
また、請求項16に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記各熱電変換素子が互いに同一素材から成ることを特徴とする。
この請求項16に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、熱電変換素子を同一素材(例えば、同サイズ、同形状、同一材料(同一導電型の半導体など))で構成したことにより、それぞれの熱電変換素子の電気的特性を統一することができる。その結果、例えば導電型の異なる素子同士を交互に配置して成る従来型の熱電変換モジュールと比べて、熱電変換効率を向上させることができる。
また、請求項17に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記熱電変換素子の前記電極は、熱電変換素子の両側に位置する一対の第1および第2の電極から成り、前記第1の電極と嵌合する第1の嵌合部を有する一方のコネクタと前記第2の電極と嵌合する第2の嵌合部を有する他方のコネクタとが前記熱電変換素子を挿入できるようにその嵌合部同士を対向させて隣り合い、前記熱電変換素子が取り付けられていない状態における前記一方のコネクタの第1の嵌合部と前記他方のコネクタの第2の嵌合部との間の距離は、熱電変換素子における第1の電極と第2の電極との間の距離よりも短く設定されていることを特徴とする。
この請求項17に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、先端が窄まった略コの字形状のコネクタに熱電変換素子を嵌合する際、嵌合部の先端が押し広げられて熱電変換素子が嵌合される。これにより、嵌合部の先端が熱電変換素子を押圧するので、コネクタにより確実に熱電変換素子を保持することができる。また、熱電変換素子が装着されると、互いに対向する嵌合部が略平行となり、熱電変換モジュールにおいて各コネクタでの電極と嵌合部との間の接触面積を均一にすることができる。その結果、熱電効率を向上させることができる。
また、請求項18に記載された熱電変換モジュールは、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールにおいて、前記第1の嵌合部または前記第2の嵌合部は、熱電変換素子の固定用溝に係止されるフック状の係合部を有していることを特徴とする。
この請求項18に記載された熱電変換モジュールによれば、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載された熱電変換モジュールと同様の作用効果が得られるとともに、コネクタの係合部が熱電変換素子の固定用溝に係止することにより熱電変換素子がコネクタに対して強固に装着されるため、装着安定性を向上できるとともに、導通不良の無い電気的信頼性が高い熱電変換モジュールを提供できる。
本発明者は、熱電変換素子のさらなる高出力化を目的として、熱電変換素子の組成及びその形状について検討した。
まず、粉砕ボールを投入した混合ポット内にCaCO3、MnCO3、及びY2O3、さらに純水を加え、この混合ポットを振動ボールミルに装着して2時間振動させることにより、混合ポットの内容物を混合した。次いで、得られた混合物を濾過し、乾燥し、乾燥後の混合物を電気炉において1000℃、5時間で仮焼成した。次いで、得られた仮焼成体を振動ミルで粉砕し、粉砕物を濾過し、乾燥した。次いで、乾燥後の粉砕物にバインダーを添加し、乾燥した後に分級することにより造粒した。その後、得られた造粒体をプレス機で成型し、得られた成型体を電気炉で5時間本焼成した。これにより、焼結体としてCaMnO3系熱電変換素子を得た。
なお、図1に示される測定装置Aにおいては、ホットプレート2上にアルミニウム板4を介して配置された一対の銅板6,6にサンプル8を挟み、上方の銅板6上にヒートシンク10を配置する。また、一対の銅板6,6にはそれぞれディジタルボルトメータ12および熱電対14が接続されており、熱電対14はディジタル温度計16に接続されている。
et. J.solid state. chem. 120(1995)]よりも高い出力因子が得られた。また、出力因子は、上記組成におけるxが0.0125であり且つ本焼成温度が1300℃の場合に、4.02×10-4W/(m・K2)と最も高い値であった。
et. J.solid state. chem. 120(1995)]よりも7倍程度の高い出力因子が得られた。
素子に熱が伝わる際の素子両端の温度差は、素子の熱伝導率や素子の長さの他に、熱源温度、冷却温度、素子への熱流入・放出時の熱抵抗により決まる。すなわち、図8に示すように、素子20が一対の支持板22,24に挟持されている場合には、熱源温度Thは、一方の支持板22を伝導する際に熱抵抗R1によりT1に低下し、素子20を伝導する際にT2に低下し、さらに、他方の支持板24を伝導する際に熱抵抗R2によりTcに低下する。
ここで、kは熱伝導率を示し、lは素子20の長さを示し、Sは断面積を示す。
={(Th−Tc)・(l/k)}/(R1+l/k+R2)
式(2)
この式(2)を用いて、素子20の長さに対する温度差について求めた。求める際の条件としては、Th=500℃、Tc=20℃とし、素子20の熱伝導率を2.0W/m・Kとし、熱抵抗R1,R2をいずれも0.0001〜0.01m2/W・Kの範囲で変化させた。また、素子20の長さは0.1cm〜3.0cmとした。その結果を図9に示す。図9から分かるように、素子の長さが長くなるにつれて温度差が大きくなり、熱抵抗が小さいほど温度差が大きくなる。また、熱抵抗が0.0001m2/W・Kでは素子の長さが0.2cmで約400℃の温度差が得られるのに対して、0.01m2/W・Kでは素子の長さが0.2cmで約23℃の温度差しか得られない。この結果から、温度差を大きくとるためには、熱抵抗をできるだけ小さくする必要があることがわかる。
また、熱起電力は、熱電変換材料のゼーベック係数αと温度差ΔTにより下記式(4)により表される。
ここで、温度差ΔTは、上述したように素子の長さに依存するので、素子の長さに対する発生最大出力について算出した。この場合、熱電変換材料のゼーベック係数を250μV/Kとし、抵抗率を0.015Ω・cmとし、熱伝導率を2.0W/m・Kとし、素子の断面積を1.0cm2とした。熱抵抗R1,R2をいずれも0.0001〜0.01m2/W・Kの範囲で変化させた。その結果を図10に示す。図10から分かるように、素子の長さにより発生最大出力が変化し、熱抵抗の値により最大となる素子の長さがある。また、熱抵抗が小さくなるにつれて、最大出力が得られる素子の長さが短くなることがわかる。また、熱抵抗が0.005m2/W・Kでは素子の長さが2.0cm、0.001m2/W・Kでは素子の長さが0.4cmと求められた。したがって、熱抵抗が0.001m2/W・K〜0.005m2/W・Kの範囲においては、素子の長さが0.4cm〜2.0cmであることが適当であると考えられる。
そのため、本発明者は、このような棒状素子を実現するため、熱電変換素子を立てた状態に配列する必要性を見出すとともに、複数の熱電変換素子を立てた状態で接続性良くしかも効率良く接続してモジュール化できるコネクタを案出した。以下、これについて詳しく説明する。
図17には、3種類の第1ないし第3の熱電変換素子用コネクタC1、C2,C3を用いて複数の熱電変換素子30を所定の配列で電気的に接続して構成した本発明の一実施形態に係る熱電変換モジュールMが示されている。図示のように、熱電変換素子30の前記配列は、互いに隣り合って並列に延びる第1ないし第4の配列A1,A2,A3,A4を含んでいる。また、図17では、各配列A1,A2,A3,A4毎に17個の熱電変換素子30が直列に接続されるとともに、各配列A1〜A4同士も直列に接続されている。
また、図18に示されるように、各熱電変換素子30は、直方体を成しており、表面積が最も大きい一対の対向する主面30a,30bと、これらの主面30a,30bの両側にそれぞれ位置する第1および第2の電極(以下、平面を成していることから、第1および第2の電極面という)30c,30dと、残る2つの側面30f,30eとを有している。この場合、第1および第2の電極面30c,30dのうちの一方が加熱面として規定され、他方が冷却面として規定されており、前記加熱面と前記冷却面との温度差によって発電するようになっている。
なお、側面30f,30eを電極面としても構わない。また、各熱電変換素子30は、矩形状ではなく、棒状、特に円柱状を成していても良い。その場合、円柱体の上面および下面が電極面として形成され、側面が主面として形成される。
また、本実施形態において、熱電変換素子30の配列A1〜A4は、図19に明確に示されるように、各熱電変換素子30の第1の電極面30cと対向する第1の基板90と、各熱電変換素子30の第2の電極面30dと対向する第2の基板91との間で挟持されている。この場合、各熱電変換素子30は、電極面30c,30dがコネクタC1,C2,C3を介して基板90,91に接触され且つ主面30a,30bが基板90,91に対して略垂直となるように縦長に立設して配置されている。
図17に明確に示されるように、互いに隣り合う熱電変換素子30同士は、一方の素子の第1の電極面(“電極”)30aと他方の素子の第2の電極面(“他の電極”)30bとが所定形状のコネクタCを介して電気的に接続されている。このようなコネクタCは、各配列A1〜A4内の熱電変換素子30同士を電気的に接続する略コの字形状(第1の形状)の第1のコネクタC1(図13参照)と、互いに隣り合う配列A1,A2(A2,A3;A3,A4)のうちの一方の配列内の1つの熱電変換素子30と他方の配列内の他の1つの熱電変換素子30とを電気的に接続する略S字形状(第2の形状)の第2のコネクタC2(図14参照)とから成る。また、熱電変換モジュールMには、配列全体の最初の熱電変換素子30Aおよび最後の熱電変換素子30Bと外部電極(図示しない“他の電極”)とを電気的に接続するための更なる第2のコネクタ(以下、第3のコネクタという)C3(C3a,C3b)も存在する(図15および図16参照)。なお、コネクタC1,C2,C3の材質としては、高温酸化雰囲気中で錆び難い、銀、真鍮、SUS等を挙げることができる。
また、第3のコネクタC3は、配列全体の最初の熱電変換素子30A(図17参照)と外部電極(図示しない“他の電極”)とを電気的に接続するためのコネクタC3a(図15参照)と、配列全体の最後の熱電変換素子30B(図17参照)と外部電極(図示せず)とを電気的に接続するためのコネクタC3b(図16参照)とに分けられるが、いずれのコネクタC3a,C3bも、図12の(c)に示される展開状態で板状体から切り出されたコネクタC3から形成される。
すなわち、本実施形態では、図12の(c)に示される展開状態で板状体から切り出された第3のコネクタC3を嵌合部60とコネクタリード部64との境界部で略90度に折り曲げ且つコネクタリード部64の途中部分69で略90度に折り曲げるとともに、嵌合部60の両端の折り曲げ片eを90度以上折り曲げると、図15に示されるように、配列全体の最初の熱電変換素子30Aと外部電極(図示しない“他の電極”)とを電気的に接続するためのコネクタC3aを得ることができる。一方、図12の(c)に示される展開状態で板状体から切り出された第3のコネクタC3を嵌合部60とコネクタリード部64との境界部で略90度に折り曲げるとともに、嵌合部60の両端の折り曲げ片eを90度以上折り曲げると、図16に示されるように、配列全体の最後の熱電変換素子30Bと外部電極(図示しない“他の電極”)とを電気的に接続するためのコネクタC3bを得ることができる。そして、コネクタC3aおよびコネクタC3bの嵌合部60を配列全体の最初および最後の熱電変換素子30A,30Bの第1または第2の電極面30c(30d)に嵌合するとともに、コネクタリード部64を外部電極に対して接続すると、熱電変換モジュールMと外部装置(または、外部素子、外部回路)とが電気的に接続される。なお、この第3のコネクタC3の場合も、折り曲げ片eを90度以上折り曲げて傾斜させることにより、コネクタC3の嵌合部60の取り付け幅W1(図15の(b)参照)が熱電変換素子30の電極面30c,30dの幅W2(図18参照)よりも小さく設定されている。
なお、本実施形態の1つの態様としては、各コネクタC1,C2,C3が基板90(及び/又は基板91)上に所定の配列で予め固定されており、これらのコネクタC1,C2,C3の嵌合部40,42,50,52,60に対して各熱電変換素子30を嵌め込んで装着することにより、互いに電気的に接続される熱電変換素子30の配列A1,A2,A3,A4が形成される。無論、各コネクタC1,C2,C3を個別に熱電変換素子30に対して予め嵌め付け、こうして形成されたコネクタ付の熱電変換素子30を基板90,91上に所定の配列で取り付けるようにしても構わない。
以上説明したように、本実施形態において、互いに隣り合う熱電変換素子30同士は、一方の素子の第1の電極面30cと他方の素子の第2の電極面30dとが所定形状のコネクタC1,C2を介して電気的に接続されている。このように、従来の接続用リード線の代わりに、当該リード線をいわば一体的に組み込むようなコネクタ(従来の接続用リード線と嵌合部とが一体化したコネクタ)C1,C2を使用し、これらのコネクタC1,C2により熱電変換素子30同士を電気的に接続すると、導通不良の無い電気的信頼性が高い熱電変換モジュールMを提供できる。
この場合、前述したように、各コネクタC1,C2,C3を基板90(及び/又は基板91)上に所定の配列で予め固定しておき、これらのコネクタC1,C2,C3の嵌合部40,42,50,52,60に対して各熱電変換素子30を嵌め込んで装着することにより、互いに電気的に接続される熱電変換素子30の配列A1,A2,A3,A4を形成するようにすれば、簡単に熱電変換モジュールを作成することができるため、組立の手間(製造工程)を軽減できる(組立性が向上する)。
また、本実施形態において、熱電変換素子30は、その電極面30c,30dが基板90,91と対向され且つその主面30a,30bが基板90,91に対して略垂直となるように縦長に立設して配置されている。このように熱電変換素子30を縦長に立設した状態で配列すると、本実施形態の導入部分で前述したように、熱電変換素子30の高さ方向の寸法が大きくなり、素子抵抗が高くなって、電流が抑制されるとともに、素子両端間の温度差が取り易くなって、起電力が上がり、高い熱電変換効率を得ることができるようになる。
また、本実施形態の熱電変換モジュールMでは、熱電変換素子30の配列A1〜A4が一対の基板90,91間で挟持されている。このように、熱電変換素子30の配列A1〜A4を一対の基板90,91で挟んで、熱電変換素子30を両側から圧力をかけるように固定すると、熱電変換素子30の電極面30a,30bとコネクタC1,C2,C3との接触面積が大きくなるため、導通不良や接触不良を軽減でき、電気的信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態の熱電変換モジュールMでは、その電気的な接続位置に応じて、対応する適切な形状を有する3種類のコネクタC1,C2,C3を使用するようになっている。そのため、縦長の熱電変換素子30を接続性良くしかも効率良くモジュール化することができるとともに、熱電変換素子30の接続形態によってコネクタを使い分けることができるため、用途に応じた様々な形態の熱電変換素子配列を実現することができる。
また、本実施形態の熱電変換モジュールMでは、熱電変換素子30が複合金属酸化物の焼結体によって形成されているため、耐熱性や力学的強度を向上させることができる。特に本実施形態では、前記複合金属元素の酸化物を、アルカリ土類金属と希土類とマンガンとを構成元素とする酸化物としたことにより、高温での耐熱性をより向上させることができる。
30a,30b 主面
30c,30d 電極面
40,42,50,52,60 嵌合部
44,54 接続部
64 コネクタリード部
90 第1の基板
91 第2の基板
A1 第1の配列
A2 第2の配列
A3 第3の配列
A4 第4の配列
C1 第1のコネクタ
C2 第2のコネクタ
C3(C3a,C3b) 第3のコネクタ
M 熱電変換モジュール
Claims (20)
- 基板上に熱電変換素子を配し、該熱電変換素子に形成される電極と、該電極とは異なる他の電極とを導電性の所定形状のコネクタを介して電気的に接続して成る熱電変換モジュールであって、
前記コネクタは、前記熱電変換素子の電極に嵌合して取り付けられる第1の嵌合部と、該第1の嵌合部および前記他の電極と電気的に接続されるコネクタリード部とを有していることを特徴とする熱電変換モジュール。 - 前記熱電変換素子は、表面積が最も大きい主面を有するとともに、当該主面の両側にそれぞれ電極が位置しており、前記電極が前記基板と対向され且つ前記主面が前記基板に対して略垂直となるように縦長に立設して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換モジュール。
- 前記コネクタが前記基板上に所定の配列で予め固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電変換モジュール。
- 前記熱電変換素子の前記電極は、熱電変換素子の両側に位置する一対の第1および第2の電極から成り、
前記熱電変換素子は、前記第1の電極と対向する第1の基板と、前記第2の電極と対向する第2の基板との間で挟持されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。 - 前記他の電極は、熱電変換モジュールが電気的に接続される外部電極であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記第1の嵌合部は、前記熱電変換素子の装着を案内し、前記熱電変換素子を前記第1の嵌合部に装着した後に、前記熱電変換素子に沿うように折り曲げ可能である案内部を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記第1の嵌合部は、折り曲げ可能であり、折り曲げた際に隣接するコネクタと電気的に接触するために十分な長さを有する短絡用片を持つことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記コネクタリード部は、前記基板上に配された他の熱電変換素子における他の電極に嵌合して取り付けられる第2の嵌合部を有していることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記コネクタリード部は、前記熱電変換素子の電極面間の側面において、前記電極面から延在する平行部を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記熱電変換素子の両側に挿入可能であり、電気絶縁性を有する櫛歯を持つ固定部材を具備することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 複数の前記熱電変換素子を前記基板上に並設することにより所定の配列が形成され、
前記コネクタは、前記配列内の複数の熱電変換素子同士を電気的に接続する第1のコネクタと、該第1のコネクタに接続されている前記配列内の最初または最後の熱電変換素子の電極と前記他の電極とを電気的に接続する第2のコネクタとを含んでいることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。 - 前記第2のコネクタが接続する前記他の電極は、前記配列と隣り合う他の配列内の熱電変換素子の電極であることを特徴とする請求項11に記載の熱電変換モジュール。
- 前記熱電変換素子の前記電極は、熱電変換素子の両側に位置する一対の第1および第2の電極から成り、
前記第1および第2の電極のうちの一方が加熱面として規定され、他方が冷却面として規定され、前記加熱面と前記冷却面との温度差によって発電することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。 - 前記熱電変換素子が複合金属酸化物を含む焼結体であることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記複合金属酸化物は、構成元素として、アルカリ土類金属と、希土類と、マンガンとを含んでいることを特徴とする請求項14に記載の熱電変換モジュール。
- 前記各熱電変換素子が互いに同一素材から成ることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
- 前記熱電変換素子の前記電極は、熱電変換素子の両側に位置する一対の第1および第2の電極から成り、
前記第1の電極と嵌合する第1の嵌合部を有する一方のコネクタと前記第2の電極と嵌合する第2の嵌合部を有する他方のコネクタとが前記熱電変換素子を挿入できるようにその嵌合部同士を対向させて隣り合い、
前記熱電変換素子が取り付けられていない状態における前記一方のコネクタの第1の嵌合部と前記他方のコネクタの第2の嵌合部との間の距離は、熱電変換素子における第1の電極と第2の電極との間の距離よりも短く設定されていることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項記載の熱電変換モジュール。 - 前記第1の嵌合部または前記第2の嵌合部は、熱電変換素子の固定用溝に係止されるフック状の係合部を有していることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項記載の熱電変換モジュール。
- 熱電変換素子の電極を他の電極に対して電気的に接続するための熱電変換素子用コネクタであって、
前記熱電変換素子の電極に嵌合して取り付けられる第1の嵌合部と、該第1の嵌合部および前記他の電極と電気的に接続されるコネクタリード部とを有していることを特徴とする熱電変換素子用コネクタ。 - 前記コネクタリード部は、前記他の電極に嵌合して取り付けられる第2の嵌合部を有していることを特徴とする請求項18に記載の熱電変換素子用コネクタ。
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