本発明は、CD、DVD及びBlu−rayディスク等の光ディスク、光ディスクを製造する光ディスク製造方法、光ディスクに情報を記録する光ディスク記録装置及び光ディスクから情報を再生する光ディスク再生装置に関するものである。
従来、光ディスクは、安価なデジタル情報の記録媒体として、幅広く利用されている。例えば、Blu−rayディスクは、単層で25ギガバイト、2層で50ギガバイトの容量を持ち、ハイビジョンの良質な映像コンテンツを、2〜4.5時間程度記録することができる。従って、光ディスク容量が増す毎に、1枚の光ディスクに記録されるデジタルコンテンツの価値は高まり、記録されるデジタルコンテンツの著作権の保護が極めて重要な技術課題となっている。
しかしながら、昨今では、光ディスクから不正にデジタルコンテンツを複製する海賊版メーカのような違法な光ディスク製造業者が氾濫している。このことは、デジタル著作物の健全な流通を阻害するとともに、著作権者への正当な利益分配が成されない状況を作り出している。
そこで、例えば、特許文献1には、凹凸マークによってデジタル著作物が記録された光ディスクにおいて、案内溝にトラッキングを行ったレーザ照射によって凹凸マーク上の再生膜の反射率を変化させる技術が開示されている。
この特許文献1に記載の光ディスクを用いることにより、例えばレンタル等に利用される光ディスクであっても、回収を必要としない光ディスクを提供することができる。
また、例えば、特許文献2には、凹凸マークの内、所定長さ以上のマークまたはスペースについて、副のデータ列に基づいて、マークまたはスペースのエッジより所定距離だけ離間した箇所で、局所的に情報記録面の反射率を変化させて、副情報を記録する技術が開示されている。
この特許文献2に記載の発明によれば、凹凸マークのエッジの位置情報に影響を与えないタイミングで、マークまたはスペースの反射率を局所的に変化させる。したがって、マーク列で表される主のデータ列の光ピックアップによる再生に何ら影響を与えることなく、かつ違法コピーを困難にする副情報を記録することができる。
また、例えば、特許文献3には、照射するレーザの光量の強弱で光学的変化を生ずる記録媒体を用い、レーザの光量の強弱によって映像やデータ信号などの信号を変調した第1の信号を既に記録した記録媒体上の同一情報トラックに、第1の信号と帯域の等しい信号によって強度変調され、かつ第1の信号より帯域の低い第2の信号で記録状態のON/OFF制御されたレーザ光を2回以上複数回、記録媒体上の位置を同期して照射し、レーザ光が照射された部分の光学的変化をさらに変化させるよう、第2の信号を重畳記録し、再生時に、第2の信号を分離、再生する情報記録再生方法が開示されている。
この特許文献3に記載の発明によれば、第1の信号の情報の消去を示す情報、あるいは、第1の信号の情報に代わる情報トラックの位置を示す情報として第2の信号を同一情報トラック上に重畳記録することで、その情報トラックの情報の有効/無効、あるいは、その情報トラックの代わりとなり情報トラックの位置を管理するための特別な情報トラックを設けることなく、記録媒体上の情報トラックの管理を実現できる。
また、例えば、特許文献4には、所定のデータが記録されているスパイラル状の第1の情報トラックと、この第1の情報トラックの間の一部領域に形成されており、コピー検出情報が記録されているスパイラル状の第2の情報トラックとを含む光ディスクが開示されている。
この特許文献4に記載の発明によれば、コピーディスク判別のための検出情報を、データ用の第1の情報トラックとは異なる第2の情報トラックに記録することによって、通常の動作に影響を与えることなく、効果的に不正コピーディスクをチェックすることができる。また、第2の情報トラックにセキュリティ情報を記録することによって、セキュリティ情報の不正複製を防止することができる。
しかしながら、これらいかなる方法によっても、光ディスクの製造に要するコストを増大させることなく、かつ主情報の読み取り精度を悪化させることなく、不正複製を防止しながら光ディスクの媒体固有情報を記録することは困難である。また、主情報の記録領域を犠牲にすること無しに、かつ効率的に、不正複製を防止しながら光ディスクの媒体固有情報を記録することは困難である。
何故ならば、特許文献1で開示された発明においては、光ディスク上に一定以上の強度の記録レーザを照射して、その照射部分の反射率を変化させるために予め光ディスク上に案内溝を形成することが開示されている。通常、案内溝と凹凸マークとが形成された光ディスクを作成する場合、光ディスク原盤上に、凹凸マークを記録した後に、凹凸マークを真ん中の位置にするように再度、案内溝を記録するか、案内溝を記録した後に凹凸マークを記録する必要がある。しかしながら、Blu−rayディスクの場合、これらトラック間の位置あわせは、半径方向に数十ナノメートルオーダーの精度が必要となり、通常のマスタリング装置では案内溝と凹凸マークとをともに記録することは困難である。これを実現するためには、特殊なマスタリング装置が必要になり、光ディスクの製造に要するコストの増大は避けられない。
また、特許文献2で開示された発明においては、所定長さ以上のマークまたはスペースのマークエッジから所定距離だけ離間した箇所にレーザ照射を行っている。そのため、予め所定長さ以上のマーク又はスペースを検索して記憶する必要があり、副情報を記録する記録時間を無駄に消費し、光ディスクの製造に要するコストが増大する。また、予め所定長さ以上のマーク又はスペースの存在が分かっている例えば同期符号部のみに副情報を記録する場合、百数十ビットもの媒体固有情報を記録するためには、それ相応の記録領域が必要となる。そのため、この場合においても記録時間又は再生時間を無駄に消費してしまう。
また、特許文献3で開示された発明においては、予め第1の信号が記録された部分を第2の信号で複数回重畳記録し、第2の信号が正常に読み出し可能となるまで繰り返す。従って、予め記録された第1の信号の読み出し精度が悪化し、エラー訂正などで救済可能なディフェクトマージンが悪化する。
また、特許文献4で開示された発明においては、第1の情報トラックの間の一部領域にセキュリティ情報を記録した第2の情報トラックを形成し、第1の情報トラックから1トラックピッチ移動したときに、第2の情報トラックの位置となるように、第1の情報トラック及び第2の情報トラックが配置されることが開示されている。しかしながら、第1の情報トラックの間に第2の情報トラックを形成することは、隣接する第1の情報トラックのトラックピッチを2倍にすることを意味するので、第2の情報トラックを形成することによって主情報を記録する領域を犠牲にすることになる。すなわち、第2の情報トラックの形成によって光ディスク1枚あたりの記録容量は小さくなってしまう。
特開平9−306030号公報
特許第3454410号公報
特許第2903422号公報
特開平8−147767号公報
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる光ディスク、光ディスク製造方法、光ディスク記録装置及び光ディスク再生装置を提供することを目的とするものである。
本発明の一局面に係る光ディスクは、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した後、前記凹凸マーク上に反射膜を形成した光ディスクであって、前記光ディスクが成形された後、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、前記凹凸マークの最長マークよりも長い間隔で、かつ前記チャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、前記反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、前記主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
本発明の他の局面に係る光ディスク製造方法は、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した光ディスク原盤を作成するマスタリングステップと、前記光ディスク原盤の凹凸マークを、光ディスク基板に転写するスタンプステップと、前記光ディスク基板上に反射膜を形成するスパッタリングステップと、前記スパッタリングステップにおいて前記光ディスクの凹凸マーク上に反射膜が形成された後、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、前記凹凸マークの最長マークより長い間隔で、かつ前記チャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、前記反射膜の光学的特性を変化させて追記マークを形成し、前記主情報を再生するのに必要な副情報を重畳記録する副情報記録ステップとを含む。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録装置は、予め主情報が凹凸マークによって記録された光ディスクに、前記主情報を再生するのに必要な副情報を重畳記録する光ディスク記録装置であって、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従ってレーザ光が照射される位置を制御するトラッキング部と、前記凹凸マークに再生レーザ光を照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記凹凸マークのチャネルビット長に同期したチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記チャネルクロックの整数倍で、かつ前記再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した記録レーザ光を照射し、前記光ディスクの記録面に形成された反射膜の光学的特性を変化させて追記マークを形成し、前記光ディスクに前記副情報を重畳記録する副情報記録部とを備える。
本発明の他の局面に係る光ディスク再生装置は、光ディスクの凹凸マークから主情報を再生するとともに、レーザ光が照射されることによって前記光ディスクの反射膜の光学的特性を変化させて形成された追記マークから前記主情報を再生するのに必要な副情報を再生する光ディスク再生装置であって、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って前記レーザ光が照射される位置を制御するトラッキング部と、前記凹凸マークに再生レーザを照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号からチャネルビット長に同期したチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記再生信号から凹凸マークに対応した凹凸マーク再生信号と、前記追記マークに対応した追記マーク再生信号とを分離する分離部と、前記チャネルクロックの整数倍で、かつ前記凹凸マーク再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した前記追記マーク再生信号から前記副情報を再生する副情報再生部とを備える。
本発明の他の局面に係る光ディスクは、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクであって、前記副情報記録領域は、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置に基づいた記録開始点から、前記レーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えるように追記マークが形成され、前記副情報が重畳記録される。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録装置は、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクに前記主情報及び前記副情報を記録する光ディスク記録装置であって、前記光ディスクの回転に同期したクロック信号を生成するクロック生成部と、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置を抽出する基準角度抽出部と、前記基準角度抽出部によって抽出された前記角度位置に基づいて特定される前記副情報記録領域における記録開始点から、前記クロック生成部によって生成された前記クロック信号に同期したレーザ光が照射されることによって前記副情報を重畳記録する副情報記録部とを備える。
本発明の他の局面に係る光ディスク再生装置は、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクから前記主情報及び前記副情報を再生する光ディスク再生装置であって、前記光ディスクの回転に同期したクロック信号を生成するクロック生成部と、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置を抽出する基準角度抽出部と、前記基準角度抽出部によって抽出された前記角度位置に基づいて特定される前記副情報記録領域における再生開始点から、前記クロック生成部によって生成された前記クロック信号に同期して前記副情報を再生する副情報再生部とを備える。
本発明によれば、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
実施の形態1に係る光ディスクの構造を示す概念図である。
実施の形態1に係る光ディスクの内周側のコントロール領域の記録面を示す概念図である。
実施の形態1に係る光ディスクの内周側のコントロール領域の記録面を示す概念図である。
実施の形態1に係る光ディスクの内周側のコントロール領域の記録面を示す概念図である。
実施の形態1における光ディスク製造方法を示す模式図である。
実施の形態1の光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態1における光ディスク記録装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
実施の形態1の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態1における光ディスク再生装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
実施の形態2に係る光ディスクの構造を示す概念図である。
実施の形態2における光ディスク製造方法を示す模式図である。
実施の形態2における物理位置情報のデータフォーマットを示す図である。
実施の形態2に係るプリマーク記録装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態2に係る物理位置情報取得装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態2の物理位置情報取得装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
実施の形態2に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態2に係る光ディスク再生装置における不正ディスク判定処理を説明するための第1のフローチャートである。
実施の形態2に係る光ディスク再生装置における不正ディスク判定処理を説明するための第2のフローチャートである。
実施の形態3に係る光ディスクの構成を示す概念図である。
実施の形態3に係る光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態3の光ディスク記録装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
実施の形態3の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態3の光ディスク再生装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
図24(A)は、トラック間に間欠的に形成された追記マークを示す図であり、図24(B)は、凹凸マーク状に蛇行して形成された追記マークを示す図であり、図24(C)は、円周方向の間隔が短く、かつ間欠的に形成された追記マークを示す図であり、図24(D)は、凹凸マークの半径方向の長さよりも長く、かつ連続的に形成された追記マークを示す図であり、図24(E)は、凹凸マークの半径方向の長さよりも長く、かつ間欠的に形成された追記マークを示す図である。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明はその要点を変更しない範囲において適宜変更して実施することができる。
(実施の形態1)
(1−1)実施の形態1の光ディスク
図1は、実施の形態1に係る光ディスク1の構造を示す概念図である。図1に示す光ディスク1は、クランプ領域CLP、内周側/外周側のコントロール領域CTL及びユーザ領域USRから構成される。
クランプ領域CLPは、光ディスク1をローディングするときの送り部であり、通常、なんら情報を記録していない。
コントロール領域CTLは、ユーザ領域USRの内周側及び外周側の2箇所設けられ、凹凸記録マークによって、光ディスク1の管理情報、著作権情報または物理特性情報などが記録されている。また、光ディスク1の特徴は、内周側のコントロール領域CTLの凹凸マークの成すトラックと同一トラックの凹凸マーク上の反射膜1Lの反射率をレーザ光が照射されることによって局所的に変更することによって媒体ID(媒体固有情報)が記録されている点である。媒体IDは、光ディスクを識別するための情報である。
光ディスク1は、スタンパによる凹凸マークを光ディスク基板1Pに転写して、転写された凹凸マーク上にレーザ照射に応じて反射率の変化する反射膜1Lを蒸着(スパッタリング)して、さらにその上を例えば薄膜シートの付与やスピンコート工法によってカバー層1Cで覆うことによって成形される。光ディスク1の成形後、内周側のコントロール領域CTLの凹凸マークへのレーザ照射によって、媒体IDが、光ディスク1枚1枚に固有の情報として重畳記録される。
光ディスク1の反射膜1Lは、レーザ光が照射されることによって不可逆的な反射率変化をする有機系材料の色素膜で構成されても構わないし、無機の合金材料やTe−O−Pd記録膜などの相変化膜を用いても実現可能である。これらの記録膜は全てある所定強度のレーザ光が照射されることによる熱変動で反射率を変化させることによって情報が記録できる。
図2〜4は、実施の形態1に係る光ディスク1の内周側のコントロール領域CTLの記録面を示す概念図である。
前述のように、本実施の形態1に係る光ディスク1は、例えばポリカなどによってなる光ディスク基板1Pに凹凸マークMKを転写し、その凹凸マーク上にレーザ照射によって反射率が変化する反射膜1Lを蒸着し、内周側のコントロール領域CTLに、レーザ照射によって再生可能な管理情報、著作権情報または物理特性情報などが主情報として記録される。
これら主情報を転写して光ディスクが成形された後、レーザ光が照射されることによって局所的に反射膜1Lの反射率を変化させることによって追記マークSMKを光ディスクに形成して、媒体IDが副情報として重畳記録される。
図2に示す追記マークSMKの特徴は、凹凸マークMKのなすトラック上にレーザ光が照射されることによって追記マークSMKが形成されている。また、追記マークSMKの光ディスクの半径方向における幅は、凹凸マークMKの光ディスクの半径方向における幅よりも狭くなるように形成されている。これによって、再生時の凹凸マークMKの変調度に対して、追記マークSMKを追記することによる反射光レベルの変動を小さくすることができ、凹凸マークMKの再生精度の悪化を小さくすることができる。
また、追記マークSMKを形成することによって生じる反射光レベルの変動である追記マークSMKの変調度は、凹凸マークMKの反射光レベルと凹凸マークMK以外の反射膜の反射光レベルとの差である凹凸マークMKの変調度の1/2より平均的に小さくすることにより、凹凸マークMKの再生信号のエッジ位置を誤って再生することがなくなるので、凹凸マークMKの再生精度に影響を与えない。
また、追記マークSMKの記録帯域は、凹凸マークMKの最長マークの記録帯域より低い。これにより、再生時において帯域制限回路(フィルタ)によって、凹凸マークMK及び追記マークSMKを分離することが可能となり、互いの再生精度を確保することができる。
図3に示す追記マークの特徴は、凹凸マークMKのなすトラック上にレーザ光が照射されることによって追記マークSMKが形成されている。また、追記マークSMKは、凹凸マークMKの最長マークの記録帯域より低い帯域で、離散的に形成される。また、この離散的に形成される1つの追記マークSMKのトラック方向の幅は、凹凸マークMKの最短マークより小さくなるように形成され、凹凸マークMKを記録するチャネルビット長より小さくなるように形成される。これによって、追記マークSMKは、ミクロ視点では凹凸マークMKより記録帯域が高く、マクロ視点では凹凸マークMKより記録帯域が低くなる。したがって、再生時において、帯域制限回路(フィルタ)によって凹凸マークMKと追記マークSMKとを分離することが可能となり、互いの再生精度を確保することができる。
また、図3に示す追記マークSMKは、離散的に形成されるので、反射光レベルの変動量を図2に示す追記マークSMKの反射光レベルの変動量よりも小さくすることが可能となり、凹凸マークMKの再生精度の影響をさらに軽減することができる一方、図3に示す追記マークSMKの再生精度は、図2に示す追記マークSMKの再生精度よりも劣る。
図4に示す追記マークSMKの特徴は、凹凸マークMKのトラック間の反射膜1Lの反射率をレーザ照射によって変化させて追記マークSMKが形成される。また、図4に示す追記マークSMKも、図2,3に示す追記マークSMKと同様、凹凸マークMKの最長マークの記録帯域より低い記録帯域で記録される。したがって、図4に示す追記マークSMKは、凹凸マークMKの再生精度になんら影響を与えない点で図2,3に示す追記マークSMKより優れている一方、記録時において、トラック間にトラッキング制御を行うための構成を追加する必要がある点で劣る。
以上、図2〜4に示した追記マークSMKによって、凹凸マークMKの再生精度の影響を軽減しつつも、成形後の光ディスク1に対して媒体ごとに固有の識別情報を記録することができる。
また、本実施の形態1の光ディスク1は、レーザ光が照射されることによって反射率が向上する反射膜1Lを用いることが望ましい。なぜなら、通常の再生専用光ディスクの金属膜などによる反射膜は、レーザ光が照射されることによってその反射率が低減するため、レーザ光が照射されることによって反射率を向上させる光ディスクであれば、不正な複製を防止する効果が向上する。このような反射膜は、有機系の色素膜を利用したり、相変化膜を用いて上記特性となるよう初期化しておくことによって実現可能である。
(1−2)実施の形態1の光ディスク製造方法
図5は、実施の形態1における光ディスク製造方法を示す模式図である。実施の形態1における光ディスク製造方法は、オーサリング工程100、第1の製造工程200、第2の製造工程300及び検査工程400を含む。
オーサリング工程100は、光ディスクに記録されるコンテンツデータを鍵管理機構により作成される暗号鍵(マスター鍵)で暗号化した後、光ディスクフォーマットにオーサリングする工程である。オーサリングされたコンテンツデータは、第1の製造工程200に出力される。
第1の製造工程200は、入力工程201、マスタリング工程202、スタンプ工程203、スパッタリング工程204及び保護膜付与工程205の手順で行われ、媒体IDが記録されていない光ディスクを成形する工程である。
入力工程201は、オーサリング工程100において作成されたコンテンツデータが入力される工程である。
マスタリング工程202は、オーサリング工程100から入力されるオーサリングされたコンテンツデータを基に、ホトレジストを付与したガラス原盤にレーザあるいは電子ビームを露光して現像することで凹凸マークをカッティングしたディスク原盤を作成する工程である。
マスタリング工程202によって作成されたディスク原盤は、その後凹凸マークの形成された記録面側にメッキされスタンパが作成される。スタンプ工程203は、このスタンパを複製する、いわゆる複製工程であって、透明樹脂を射出成形することによって凹凸マークを転写した光ディスク基板1Pを作成する工程である。
スパッタリング工程204は、スタンプ工程203で作成された凹凸マークの転写された光ディスク原盤の凹凸マーク上に反射膜をスパッタリングあるいは蒸着する工程である。この反射膜は、色素膜で構成されても構わないし、無機の合金材料やTe−O−Pd記録膜などの相変化膜でも構わない。すなわち、これらの反射膜は、一定強度のレーザ光が照射されることによって記録膜の反射率が変化し、不可逆的な記録マークを形成可能な反射膜である。本実施の形態の光ディスク製造方法は、通常の光ディスク製造方法と比較しこの部分が特徴的である。
保護膜付与工程205は、スパッタリング工程204において反射膜の付与された光ディスク基板1Pに対して、薄膜の保護シートを付与したり、スピンコートによって薄膜形成したりして、凹凸マーク上に保護膜1Cを形成する工程である。
以上の工程201〜205からなる第1の製造工程200によって、凹凸マークが形成され、その上にレーザ光が照射されることで反射率を変化させることのできる反射膜が付与された光ディスクが製造され、第2の製造工程300へと移行する。
第2の製造工程300は、鍵管理機構から発行されるデジタル証明書やメッセージ識別子(MAC:Message Authentication Code)などの認証符号が付与された媒体IDを光ディスク記録装置(副情報記録装置)6によって第1の製造工程200において作成された光ディスクに記録する工程である。
光ディスク記録装置6は、光ディスクの凹凸マークを再生するとともに、凹凸マークのアドレスに基づく所定タイミングで記録強度のレーザ光を照射することで、凹凸マーク上の反射膜の反射率を変化させることによって媒体IDを記録する。なお、光ディスク記録装置6の構成については、“(1−3)実施の形態1の光ディスク記録装置”で詳細に説明する。本工程によって媒体IDが光ディスクに記録され、次の検査工程400に移行する。
検査工程400は、第2の製造工程300において記録された媒体IDが正常に記録されたか否かを光ディスク再生装置7によって検査する工程である。なお、光ディスク再生装置7は、第2の製造工程300における光ディスク記録装置6と同じ装置を用いて実現してもよいし、異なる2つの装置を用いて実現してもよい。
光ディスク再生装置7は、光ディスクの凹凸マークを再生し、凹凸マークのアドレスに基づく所定タイミングから、相関系列を生成し、照射されたレーザ光の反射光から得られる再生信号と、相関系列との相関積分を行うことによって媒体IDを検出する。なお、本検査工程400における正常な媒体IDが記録されているか否かの判定方法は、予め媒体IDに付与されているパリティビットによってエラー訂正を行い、その結果のエラービット数から判定してもよいし、相関積分を所定時間内で行い、その結果の相関積分値を予め定められた閾値によって閾値判定し、閾値よりも高い相関積分値が検出された場合に正常であると判断してもよい。また、光ディスク再生装置7の構成については、“(1−4)実施の形態1の光ディスク再生装置”で詳細に説明する。
最後に、本検査工程400において、正常に媒体IDの記録された光ディスク5は、完成品として出荷される。
以上より、本実施の形態1の光ディスク製造方法を用いれば、入力工程、マスタリング工程、スタンプ工程、スパッタリング工程及び保護膜付与工程によって製造される再生専用光ディスクであったとしても、光ディスク1枚ごとに固有の媒体IDを追加記録することができる。しかも、通常の光ディスク記録装置、光ディスク再生装置から大きく構成要素を変えることの無い装置によって、光ディスクに媒体IDを記録する第2の製造工程や光ディスクに媒体IDが記録されていることを検査する検査工程400を実現することができるので、光ディスクの製造コストが増大することは無い。また、媒体IDは、凹凸マーク再生時の反射光の微少変化を検出することにより抽出され、具体的には、凹凸マークの再生信号と、内部で秘密に発生させる相関系列との相関積分によって抽出される。そのため、媒体IDを知りえない海賊版メーカによって光ディスクが作成されたり、複製されたりすることを防止できる。また、媒体IDを記録する追記マークは、レーザ光が照射されることによって反射率を変化させて記録するため、保護膜1Cを剥離して転写する不正複製方法にも十分な耐性がある。
(1−3)実施の形態1の光ディスク記録装置
図6は、実施の形態1の光ディスク製造方法の第2の製造工程において用いられる光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。光ディスク記録装置6は、第1の製造工程200において光ディスクが成形された後、凹凸マーク上にレーザ光が照射されることによって反射率が変化する反射膜が付与された光ディスクに、鍵管理機構によって認証符号の付与された媒体IDを重畳記録する。
図6に示す光ディスク記録装置6は、メモリ11、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、タイミング生成器18、乱数発生器19、EOR20、PE変調器21、レーザ強度変調器22及びシステムコントローラ23を備える。
メモリ11は、予め鍵管理機構から受信した媒体IDを記憶する。なお、媒体IDは、通常、媒体ごとに固有になるように一枚一枚に更新する情報である。
スピンドルモータ12は、第1の製造工程200において作成された媒体IDが未記録の光ディスク241がドライブに挿入されると、挿入された光ディスク241に対応した回転数で光ディスク241を回転させる。
光学ヘッド13は、光ディスク241の回転数が目的の回転数に達したときに再生強度のレーザ光を光ディスク241に照射して、その反射光からチャネル信号CSを生成してアナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSに基づいて、フォーカス位置のズレを示したフォーカスエラー信号FE及び凹凸マークに対するトラッキング位置のズレを示したトラッキングエラー信号TEを生成してサーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSを波形等化したり、増幅したりして凹凸マークに対応したアナログ再生信号ASを生成してデジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるトラッキングエラー信号TE及びフォーカスエラー信号FEに基づいて、レーザ光のスポット位置のフォーカス位置及びトラッキング位置を制御するフォーカス制御信号FC及びトラッキング制御信号TCを生成して光学ヘッド13に出力する。光学ヘッド13は、これらの制御信号を基にフォーカス位置及びトラッキング位置を微調整する。また、サーボ回路14は、半径位置に従って回転数を微調整するための回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。スピンドルモータ12は、サーボ回路14から入力される回転制御信号SCに従って回転数を微調整する。
デジタル信号処理器16は、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASから2値のデジタル再生データを抽出する。デジタル信号処理器16は、内部にPLL(Phase Locked Loop)回路を備え、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに基づいて、同期するクロック信号CKを抽出するとともに、抽出したクロック信号CKでアナログ再生信号ASをサンプリングして量子化した後、2値化してデジタル再生信号DSを生成し、フォーマッタ17に出力する。また、デジタル信号処理器16は、抽出したクロック信号CKをタイミング生成器18に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから一定間隔で付与されている同期符号を検出して、フレーム構造にフォーマットし、複数フレームからなりアドレス情報を持ったセクタ(アドレスユニット)単位に分割して、アドレス情報ADRを再生するとともに、アドレス情報ADRをタイミング生成器18及び乱数発生器19へ出力する。また、フォーマッタ17は、同期符号の検出タイミングを示す同期符号検出タイミング信号SYをタイミング生成器18に出力する。
タイミング生成器18は、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKに同期して入力されるアドレス情報ADRから媒体IDを記録するタイミングを生成する。タイミングは、媒体IDの1ビットを記録する区間を示すサブフレームのタイミングを示し、クロック信号CKと同期符号検出タイミング信号SYとに同期したカウンタによって生成される。カウンタによって生成されたサブフレーム位置を示すサブフレームカウント値CNTは、乱数発生器19及びメモリ11に出力される。また、タイミング生成器18は、同様のカウンタにて、記録する媒体IDに、追記マークの外周側への変位確率と内周側への変位確率を略等しくするためのPE変調を施すためのPE変調信号PEを生成して、PE変調器21に出力する。また、タイミング生成器18は、乱数系列に初期値をプリセットするためのタイミングである初期値セットタイミング信号SETを生成して、乱数発生器19に出力する。
乱数発生器19は、タイミング生成器18から入力される初期値セットタイミング信号SETの出力タイミングで、フォーマッタ17からのアドレス情報ADRを初期値としてプリセットする。また、乱数発生器19は、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTが更新されるタイミングで1ビットずつ擬似乱数系列RNを生成してEOR20に出力する。なお、本実施の形態では、初期値としてアドレス情報ADRを用いているが、本発明はこれに限らない。アドレス情報ADRを一方向性関数などでデータ変換すれば、この方法を知らない海賊版メーカは同様の乱数系列を生成することができないので不正に媒体IDを記録されることへの耐性は向上する。また、内部に秘密に持った初期値で実現してもよいし、媒体上に凹凸マークとして記録してもよい。また、乱数発生器19は、シフトレジスタで構成される一般的なM系列発生器で構成され、サブフレームカウント値が更新されるタイミングで、内部のシフトレジスタをシフトして、擬似乱数系列を1ビットずつ生成する。
メモリ11は、予め記憶している鍵管理機構から受信した媒体IDを、タイミング生成器18からのサブフレームカウント値CNTに基づいて、カウント値に対応するビットを取り出して、副情報SDとしてEOR20に出力する。
EOR20は、一般的な排他的論理和ゲートで構成され、乱数発生器19から入力される擬似乱数系列RNの1ビットと、メモリ11から入力される媒体IDの1ビットとの排他的論理和を算出して拡散副情報RSDを生成して、PE変調器21に出力する。
PE変調器21もEOR20と同様に、一般的な排他的論理和ゲートで構成され、EOR20から入力される拡散副情報RSDと、タイミング生成器18から入力されるPE変調信号PEとの排他的論理和を算出することによって拡散副情報RSDにPE変調を施してPE変調後拡散副情報PRSDを生成してレーザ強度変調器22に出力する。
レーザ強度変調器22は、PE変調器21から入力されるPE変調後拡散副情報PRSDの“H”の区間で、レーザに流れる電流を上げ、記録強度のレーザ光を照射するための記録パルスWPに変調し、光学ヘッド13に出力する。このレーザ照射強度変調は、レーザ強度を高速に上下させるマルチパルスの形態でも良いし、再生強度より強い一定強度のレーザ光を照射する形態でも構わない。少なくとも、レーザ光が照射されることによって反射膜の反射率が変化する形態であればどのようなレーザ照射方法でも構わない。
光学ヘッド13は、サーボ回路14によって凹凸マークのトラックにトラッキング制御しつつ、レーザ強度変調器22からの記録パルスWPによってレーザに流れる電流量をコントロールすることでレーザ強度の強弱を調整して光ディスク241の反射膜に照射し、凹凸マーク上に反射率が変化した追記マークを形成することによって媒体IDを重畳記録する。
なお、本実施の形態において、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14及びアナログ信号処理器15がトラッキング部の一例に相当し、アナログ信号処理器15が再生信号抽出部の一例に相当し、デジタル信号処理器16がクロック抽出部の一例に相当し、メモリ11、光学ヘッド13、フォーマッタ17、タイミング生成器18、乱数発生器19、EOR20、PE変調器21及びレーザ強度変調器22が副情報記録部の一例に相当する。
次に、光ディスク記録装置6の動作について、本実施の形態の光ディスクがBlu−ray ROMディスクである場合を例に詳細に説明する。図7は、実施の形態1における光ディスク記録装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
Blu−ray ROMディスクは、1つのエラー訂正を行う単位(ユーザデータで64キロバイト)であるPhysical Clusterがトラック上に連続して記録される。また、Physical Clusterは、アドレス情報ADRを持った16のアドレスユニットからなる。また、アドレスユニットは、同期符号を持った31のフレームによって構成される。また、1フレームは、1932チャネルビットで構成される。
従って、光ディスク記録装置6のフォーマッタ17は、デジタルリードチャネルからのデジタル再生信号DSから同期符号を検出してフレーム構造にフォーマットするとともに、同期符号のパターンによってアドレスユニット中の何番目のフレームかを判定しながら、アドレス情報ADRの記録されている単位であるアドレスユニットに分割する。
また、光ディスク記録装置6のタイミング生成器18は、1フレームを138チャネルビット単位に“+1”のカウントすることによって、媒体情報の1ビットを記録するサブフレームをカウントして、サブフレームカウント値CNTを生成して乱数発生器19とメモリ11に出力する。また、タイミング生成器18は、信号として図示しないがサブフレーム内の前半の69チャネルビットが“L”で、後半の69チャネルビットが“H”となるようなPE変調信号PEを生成してPE変調器21に出力する。
メモリ11は、予め記憶した媒体IDを、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTの更新されるタイミングで、1ビットずつサブフレームカウント値CNTに対応した副情報SDとして取り出してEOR20に出力する。
乱数発生器19は、同様に入力されるサブフレームカウント値CNTの更新されるタイミングで1ビットずつ擬似乱数系列RNを発生して、EOR20に出力する。なお、本実施の形態では、媒体IDの記録を開始するターゲットアドレスを“N”として説明する。よって、タイミング生成器18から乱数発生器19の初期値をセットする初期値セットタイミング信号SETは、アドレスNのアドレスユニットの開始先頭より前に出力され、乱数発生器19のM系列発生シフトレジスタに初期値がセットされている。なお、本初期値は前述のように、予め一方向性関数などによってデータ変換されたアドレスを用いても良いし、内部で秘密に記憶している初期値を用いても良い。また、Blu−rayは、実際にはアドレスユニットの先頭にアドレスが記録されているわけではなくBIS Clusterというアドレスユニット内の離散的な領域に記録されているため、アドレスユニット先頭では、これから来るアドレスを確定していない。従って、追記マークを記録するターゲットアドレスのアドレスユニット直前のアドレスユニットからアドレスを抽出して、それに“+2”をしたアドレスを乱数発生器19の初期値として用いる(Blu−rayディスクでは、アドレスユニットごとにアドレスが“+2”されている為)。
EOR20は、乱数発生器19から入力される疑似乱数系列RNと副情報SDとのサブフレーム内の1ビットごとに排他的論理和を算出して拡散副情報RSDを生成し、PE変調器21に出力する。
PE変調器21は、入力されるPE変調信号PEと拡散副情報RSDとの排他的論理和を算出することによって拡散副情報RSDにPE変調を施してPE変調後拡散副情報PRSDを生成してレーザ強度変調器22に出力する。
レーザ強度変調器22は、PE変調器21から入力されるPE変調後拡散副情報PRSDの“L”の部分で再生強度のレーザ光を照射し、“H”の部分で記録強度のレーザ光を照射する。レーザ強度変調器22は、PE変調後拡散副情報PRSDの“H”のタイミングで記録レーザ光を照射して反射膜の反射率を変化させることによって追記マークを形成する。
以上のように、光ディスク記録装置6は、複写によって形成される凹凸マークMKのトラック上に、レーザ光を照射することによって追記マークを形成することによって媒体IDを重畳記録する。よって、媒体IDを記録していない凹凸マークのトラック上に追記マークを形成して媒体IDの記録された光ディスクを作成することができる。
なお、本実施の形態のように凹凸マーク上に、凹凸マークの最長マーク長よりも大きい追記マークを形成する場合においては、凹凸マークの再生精度の影響を避けるためにも、再生時の凹凸マークの変調度特性に比べ、追記マークを記録することによる反射光レベルの変動を小さくする必要がある。これには、半径方向の追記マーク幅を凹凸マークの幅より小さくすることによって実現することが可能となる。一般的に、照射するレーザ光の強度の特定領域では、レーザ強度に応じて単調増加的に記録マーク幅が変化することが知られているので、レーザ強度を小さくして凹凸マーク幅以下の追記マーク形成を実現することができる。レーザ強度の調整には、高出力のパワー照射を行う時間を調整したり、レーザに流す電流値を制御してパワーの強度自体を調整したりして、凹凸マークの幅より小さい追記マークを記録することが可能となる。
次に、図4あるいは図7に示すように、レーザ光を照射することによって反射率を変化させて記録する追記マークが、凹凸マークで構成されるトラック間に形成されるときの光ディスク記録装置6の動作について補完的に説明する。
この場合も上述と同様に追記マークを形成するターゲットアドレスが“N”であった場合は、図6の光ディスク記録装置の追加動作として、フォーマッタ17は、アドレス“N”を持つアドレスユニットの先頭位置でトラックジャンプ信号TJを生成し、サーボ回路14及びデジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、フォーマッタ17から入力されるトラックジャンプ信号TJに基づいて、トラッキング位置を半トラック分移動させる。このときのサーボ回路14のトラッキング制御方法は、レーザスポットの反射光に対してディスクの内周側の明度と外周側の明度の差が“0”になるようにトラッキング位置を制御するプッシュプル法が望ましい。なぜなら、プッシュプル法では、内周側及び外周側の明度差に基づいた制御であるのでスポットの中心に凹凸マークが無くても安定してトラッキング制御が可能となる。つまり、中心に凹凸マークがないトラック間でも安定にトラッキング制御を行うことができる。また、プッシュプル法では、凹凸マークのトラック間にトラッキング制御を行ったときと、トラック中心に制御を行ったときとでは、内周側/外周側の明度差と、実際にスポット位置を内周/外周に制御する関係が反転するため、プッシュプル制御の極性をトラックジャンプ時に反転させて制御を行う。
また、デジタル信号処理器16は、フォーマッタ17から入力されるトラックジャンプ信号TJのタイミングから、追記マークを記録する領域内で、内部に持つPLL回路の発振周波数を固定し、出力するクロック周波数を保持する。通常、トラック間にトラッキング制御をしたとき、凹凸マークの安定した再生信号が得られず、PLL回路の発振を固定することができず、追記マークを意図した位置に形成できないという問題があるが、クロック周波数を固定することによってこの問題を解決することができる。
また、通常、PLL回路の発振周波数をロックしたとしても、記録時間が長ければ凹凸マークとクロックとの同期がはずれ、追記マークの形成位置がずれるという問題がある。このため、追記マークを例えば複数のPhysical Cluster単位、あるいは複数のアドレスユニット単位で形成し、追記マークを形成する度に、ターゲットアドレスの手前でPLL回路の周波数を凹凸マークの周波数に追従させる。これにより、記録時間は多少増大するものの、安定して追記マークの形成が可能となる。
サーボ回路14は、追記マークを形成するターゲットアドレスを持つアドレスユニットの先頭位置で、トラック間にトラック位置を制御させる。その後、PE変調器21は、乱数発生器19で発生された擬似乱数系列RNによって副情報SDをスクランブルした拡散副情報RSDにPE変調を施す。そして、レーザ強度変調器22は、PE変調後拡散副情報PRSDに基づいて、光ディスクに照射するレーザ強度を変調して照射し、凹凸マークによるトラックのトラック間に追記マークを形成する。このようにして、媒体IDをトラック間に記録することが可能となる。
このようにすれば、追記マークを凹凸マークのトラック間に形成することが可能となり、凹凸マークの再生精度に一切影響を与えることなく、媒体IDを記録することが可能となる。
なお、通常、トラック間に反射率を変化させた追記マークを形成した場合、再生時に凹凸マークにトラッキングを制御するときのトラッキング誤差信号に直流成分が入り込み、正常にトラッキング動作を行うことができるか懸念される。しかしながら、本実施の形態では、トラック間に形成する追記マークにPE変調を施した記録パルスを使用するので、追記マークが形成された領域と形成されない領域が50%の確率で存在する。トラッキング制御を行う帯域では、トラック間の反射率は、常に追記マークの反射率と追記マーク以外の反射率の平均となるため余計な直流成分は出力されない。
次に、図3あるいは図7に示すように、レーザ光を照射することによって凹凸マークのトラック上に間欠的な追記マークを形成することによって媒体IDを記録する時の光ディスク記録装置6の記録動作について補完的に説明する。
この場合も上述と同様に追記マークを形成するターゲットアドレスが“N”であった場合は、図6の光ディスク記録装置の追加動作として、タイミング生成器18は、アドレス“N”を持つアドレスユニットの先頭位置から、追記マークの形成を行う領域内で、138チャネルビット単位に“+1”のカウントを行う前述のサブフレームカウンタから、3チャネルビットに1発の記録ゲート信号WGを生成して、レーザ強度変調器22に出力する。記録ゲート信号WGは、サブフレームカウンタのカウント値を3で除算した余が“0”となるタイミングで出力すれば生成可能である。
PE変調器21は、乱数発生器19で発生した擬似乱数系列RNによって副情報SDをスクランブルした拡散副情報RSDにPE変調を施し、PE変調後拡散副情報PRSDをレーザ強度変調器22に出力する。レーザ強度変調器22は、PE変調後拡散副情報PRSDと、タイミング生成器18からの記録ゲート信号WGとの論理積を算出した信号に基づいて、レーザ光を照射するための記録パルスWPを生成し、記録パルスWPを光学ヘッド13へ出力する。光学ヘッド13は、記録パルスWPに基づいて光ディスク上の凹凸マークのトラック上に記録強度のレーザ光を照射することによって、間欠的に追記マークを形成する。このようにして、トラック上に媒体IDを間欠的に記録することができる。
このようにすれば、追記マークを凹凸マークの3チャネルビット間に1チャネルビット分だけ記録することができ、凹凸マークの再生精度への影響を低減させることが可能となる。また、追記マークを間欠的に記録することにより、目視による追記マークの判別をより困難にすることができ、副情報が光ディスクのどの位置に記録されているかの判別をより困難にすることができる。
なお、本実施の形態では、追記マーク長を凹凸マークの1チャネルビット分で説明したがこれに限るものではない。例えば、通常、光ディスク記録装置は、チャネルクロックより細かい単位で記録パルスの照射タイミングを変調するタイミング変調器(記録補償回路)を有している。これを用いれば、チャネルビット長よりも小さい領域にレーザ光を照射し、追記マークを形成できる。また、追記マーク長が凹凸マークの最短マーク長(Blu−rayディスクでは2チャネルビット)以下であれば、凹凸マークと追記マークとの分離が可能である。そのため、追記マーク長が凹凸マークの最短マーク長以下となるようにレーザ光を照射し、追記マークを形成してもよい。
また、凹凸マークの最短マーク長より大きい追記マークを離散的に形成することも本発明の範囲である。凹凸マークの最長マーク長より長い追記マークの記録方法については前述の通りである。しかしながらこの場合には、凹凸マーク長より半径方向に幅の狭い追記マークを形成することが望ましい。
以上のように、本実施の形態の光ディスク記録装置によって、凹凸マークのトラック上の反射膜にレーザ光を照射し、媒体固有の媒体IDを光ディスクに記録することができる。また、本実施の形態の光ディスク記録装置は、一般的な光ディスク記録装置に対して、絶大なコストアップとなる構成要素を必要としないで媒体IDの記録を実現できる。また、光ディスク1枚ごとに異なる媒体IDを利用すれば、ネットワーク越しの認証サーバによって媒体を管理する、ネットワークベースの著作権管理を実現可能な光ディスクを提供することができる。
なお、本実施の形態では、1フレームに14ビットの媒体IDを記録する方法を開示したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の主眼は、フレーム構造に同期して媒体IDを記録することであり、例えば、1フレームに1ビットの媒体IDを記録してもよいし(この場合は、フレーム=サブフレームとなる)、2フレームに1ビットの媒体IDを記録してもよい(この場合は、フレーム<サブフレーム)。
また、フレーム同期に重要な役割のある同期符号の記録されている領域、アドレスの記録されている領域または特定フレームの領域には追記マークを記録しない方法も考えられる。このようにすれば、凹凸マークの再生精度の悪化を極力防ぐことが可能となる。
また、追記マークの再生信頼性を向上させるために、同じビットを複数の離散した領域に複数回記録してもよい。これによって、光ディスク上に傷や埃などがあって読み取り精度の悪い領域があったとしても、繰り返し同じビットが記録されているので、媒体IDのリーダビリティを向上させることができる。
さらに、媒体IDにエラー訂正符号が付与されていれば、媒体IDの再生信頼性をさらに向上させることが可能である。この場合、エラー訂正のためのパリティビットは、本実施の形態で開示した光ディスク記録装置内で付与してもよいし、鍵管理機構で付与してもよい。また、エラー検出コードが付与されている場合、パリティによる誤訂正を判断できるためなおよい。
(1−4)実施の形態1の光ディスク再生装置
図8は、実施の形態1の光ディスク製造方法の検査工程において用いられる光ディスク再生装置(検査装置)の構成を示すブロック図である。第2の製造工程300では、凹凸マーク上にレーザ光を照射し、反射膜の反射率を変化させることにより追記マークを形成し、媒体IDが重畳記録された光ディスクを作成している。光ディスク再生装置7は、第2の製造工程300において媒体IDが記録された光ディスクから媒体IDを再生し、光ディスクに正常に媒体IDが記録されているかを検査する。
図8に示す光ディスク再生装置7は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、エラー訂正器24、タイミング生成器18、乱数発生器19、PE変調器21、LPF25、2値化器26、相関積分器27、メモリ11、再生精度算出器28、認証符号検証器29及びシステムコントローラ23を備える。なお、光ディスク再生装置7の構成要素は、前述の実施の形態1の光ディスク記録装置6と同一装置内に実装されても良い。
スピンドルモータ12は、光ディスク再生装置7に光ディスク241が挿入されると、挿入された光ディスク241に対応した回転数で光ディスク241を回転させる。
光学ヘッド13は、スピンドルモータ8によって挿入された光ディスク241の回転数が目的の回転数に達した後、光ディスク241に再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からチャネル信号CSを生成してアナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSに基づいて、レーザスポット位置の半径方向のズレを示すトラッキングエラー信号TEとレーザスポットのフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEとを抽出して、サーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSを波形等化したり、増幅したりして凹凸マークに対応したアナログ再生信号ASを抽出してデジタル信号処理器16及びLPF25に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるフォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカス位置のズレ量を補正するためのフォーカス制御信号FCを算出するとともに、トラッキングエラー信号TEに基づいてトラッキング位置のズレ量を補正するためのトラッキング制御信号TCを算出して光学ヘッド13に出力する。光学ヘッド13は、これらの制御信号を基にレーザスポットのフォーカス位置とトラッキング位置を補正してレーザ光を照射する。また、サーボ回路14は、再生信号に基づいて線速度を算出し、回転数を制御するための回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。スピンドルモータ12は、サーボ回路14から入力される回転制御信号SCに基づいて回転数を補正する。
デジタル信号処理器16は、内部にPLL(Phase Locked Loop)回路を備え、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出するとともに、抽出したクロック信号CKでアナログ再生信号ASをサンプリングして量子化した後、2値化してデジタル再生信号DSを生成し、フォーマッタ17に出力する。また、デジタル信号処理器16は、抽出したクロック信号CKをタイミング生成器18及び2値化器26に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから一定周期ごとに付与されている同期パターンを検出し、デジタル再生信号DSをフレーム構造にフォーマットする。また、フォーマッタ17は、同期パターンに基づいて、所定数のフレームのアドレスを含む集合をアドレスユニット単位にフォーマットする。また、フォーマッタ17は、アドレスを基に、エラー訂正を行うPhysical Cluster単位にフォーマットする。このようにフォーマットされた再生信号はフォーマットデータFDとしてエラー訂正器24に出力される。また、フォーマッタ17は、フレーム単位の同期パターンの検出タイミングである同期符号検出タイミング信号SYをタイミング生成器18に出力する。また、フォーマッタ17は、アドレスユニット単位に付与されたアドレス情報ADRを乱数発生器19に出力する。
タイミング生成器18は、媒体IDを再生するターゲットアドレスを持つアドレスユニットの先頭位置で乱数発生器19へ初期値をセットするタイミングを示す初期値セットタイミング信号SETを生成して、乱数発生器19に出力する。なお、本実施の形態では、ターゲットアドレスが予めシステムコントローラ23に設定されているものとして説明する。
タイミング生成器18は、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKと、フォーマッタ17から入力される同期符号検出タイミング信号SYとに基づいて動作するカウンタを備える。カウンタは、クロック信号CKに同期してフレーム内のクロックをカウントするとともに、同期符号検出タイミング信号SYのタイミングで、保持しているカウント値をリセットする。また、カウンタは、媒体ID(副情報)の1ビットを検出するためのサブフレーム単位に1を加算するカウンタを併設しており、このサブフレームカウント値CNTを乱数発生器19、相関積分器27及びメモリ11に出力する。また、タイミング生成器18は、サブフレーム内で前の半分が“L”、後の半分が“H”となるようなPE変調信号PEを生成してPE変調器21に出力する。
乱数発生器19は、シフトレジスタからなる一般的なM系列発生回路で構成され、タイミング生成器18から入力される初期値セットタイミング信号SETの出力されるタイミングで、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRを、擬似乱数系列RNを発生させる初期値としてM系列発生回路のシフトレジスタにセットする。また、乱数発生器19は、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTが更新されるタイミングでシフトレジスタをシフトして1ビットの擬似乱数系列RNを生成してPE変調器21に出力する。なお、乱数発生器19は、本実施の形態の光ディスク記録装置6における乱数発生器19と同一の形態を有する。
PE変調器21は、乱数発生器19から入力される擬似乱数系列RNに、タイミング生成器18から入力されるPE変調信号PEに基づいてPE変調を施す。PE変調器21は、一般的な排他的論理和ゲートで構成され、擬似乱数系列RNとPE変調信号PEとの排他的論理和を算出することで相関系列PERを生成して相関積分器27に出力する。
LPF25は、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASの帯域制限を行う一般的な低域通過フィルタで構成され、アナログ再生信号ASの低域成分のみを抽出して帯域制限再生信号LPSを生成して2値化器26に出力する。なお、LPF25は、凹凸マークの最長マークよりも遅い帯域を通過させるためのフィルタである。これによって、再生信号から凹凸マークを示す帯域を制限した帯域制限再生信号LPSがLPF25から2値化器26に出力される。2値化器26は、LPF25から入力される帯域制限再生信号LPSの直流成分をカットして、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKに同期して帯域制限再生信号LPSのゼロクロス点を検出して2値化再生信号BSを生成して相関積分器27に出力する。
相関積分器27は、内部にアップダウンカウンタを有し、PE変調器21からの相関系列PERと、2値化器26からの2値化再生信号BSとの相関を算出して積分する。アップダウンカウンタは、相関系列PERと2値化再生信号BSとに相関が認められるとき、すなわち相関系列PERが“H”でありかつ2値化再生信号BSが“H”であるとき、あるいは相関系列PERが“L”でありかつ2値化再生信号BSが“L”であるときに内部のカウンタをインクリメントする。
一方、アップダウンカウンタは、相関系列PERと2値化再生信号BSとに相関が認められないとき、すなわち相関系列PERが“H”でありかつ2値化再生信号BSが“L”であるとき、あるいは相関系列PERが“L”でありかつ2値化再生信号BSが“H”であるときに内部のカウンタをデクリメントする。また、相関積分器27は、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTが更新されるタイミングで、保持している相関積分値CINをメモリ11に出力した後、相関積分値を“0”に初期化する。従って、媒体IDの1ビットを検出する範囲であるサブフレーム内での、相関系列PERと2値化再生信号BSとの積分値がメモリ11に出力される。
メモリ11は、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTに対応したメモリ空間に記憶されている値に、相関積分器27から入力される相関積分値CINを加算して記憶する。よって、メモリ11は、媒体IDの全ビットに対応したそれぞれのメモリ空間を持ち、媒体IDの再生中には、媒体IDの1ビットごとの積分値が記憶される。
認証符号検証器29は、メモリ11の媒体IDの各ビットに対応した積分値のうち、符号ビットを媒体情報として入力する。すなわち、認証符号検証器29は、積分値が“+”のときは、ビット値=“0”、積分値が“−”のときは、ビット値=“1”を媒体IDとして算出する。認証符号検証器29は、算出した媒体IDに付与されている認証符号に基づいて、読み出した媒体IDが正常であるか、または改竄が無いかを判定する。この認証符号にはデジタル署名やMACが用いられ、認証符号検証器29は、デジタル署名の署名検証が正常であるか、あるいは付与されているMACが正常であるかを判定する。認証符号検証器29は、正常であると判定された場合、抽出した媒体IDを出力し、正常でないと判断された場合、継続して再生動作を行う。但し、再生動作が規定時間以上続いてもなお正常な媒体IDが検出できていない場合には、不正ディスクあるいは欠陥ディスクとして排除し、再生動作を完了する。なお、媒体IDにエラー訂正やエラー検出のためのパリティが付与されているときは、これに基づいて再生動作の継続を判定してもよい。すなわち、認証符号検証器29は、メモリの符号ビットから媒体IDを抽出し、付与されているパリティによってエラー訂正やエラー検出を行う。エラーと判断されれば、再生動作を継続し、エラーと判断されない場合はデジタル署名検証やMAC検証を行う。
再生精度算出器28は、メモリ11からの媒体IDの各ビットに対応した積分値を入力し、積分値の絶対値の平均と標準偏差とを求め、平均と標準偏差とに基づくガウス分布から、媒体IDのビットエラー率を推定して、これを閾値判定することによって、正常に媒体IDが記録されているかを判定する。閾値に満たない、すなわち、正常に媒体IDが記録されていないと判定した場合には、再生しているディスクを欠陥品として排除する。また、上記のビットエラー率の推定は、上記ガウス分布のマイナス無限大から0までの積分によって求めることができる。
なお、本実施の形態において、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14及びアナログ信号処理器15がトラッキング部の一例に相当し、アナログ信号処理器15が再生信号抽出部の一例に相当し、デジタル信号処理器16がクロック抽出部の一例に相当し、LPF25及び2値化器26が分離部の一例に相当し、フォーマッタ17、タイミング生成器18、乱数発生器19、PE変調器21、相関積分器27及びメモリ11が副情報再生部の一例に相当し、フォーマッタ17が同期符号検出部の一例に相当し、LPF25が帯域制限フィルタの一例に相当し、乱数発生器19が相関系列生成部の一例に相当し、相関積分器27が相関検出部の一例に相当し、認証符号検証器29が再生部の一例に相当する。
次に、光ディスク再生装置7の動作について詳細に説明する。図9は、実施の形態1における光ディスク再生装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。なお、以下の説明では、光ディスクをBlu−ray ROMディスクとして説明する。
光ディスク再生装置7のデジタル信号処理器16から出力されるデジタル再生信号DSは、エラー訂正の単位(ユーザデータで64キロバイト)であるPhysical Clusterが連続して再生される。Physical Clusterは、16のアドレス情報ADRが付与されたアドレスユニットからなる。アドレスユニットは、同期符号が付与された31のフレームからなり、1フレームは、1932チャネルビットからなる。
ここで、媒体IDの検出を開始するターゲットアドレスを“N”とすると、タイミング生成器18は、アドレス“N”が付与されたアドレスユニットの先頭位置で、乱数発生器19に初期値セットタイミング信号SETを出力し、フォーマッタ17は、アドレス“N”を乱数発生器19に出力する。
タイミング生成器18は、1フレーム内で媒体IDの1ビットを検出するサブフレーム(1サブフレームは138チャネルビット)単位に1を加算するカウンタを有し、このカウンタのカウント値をサブフレームカウント値CNTとして乱数発生器19、相関積分器27及びメモリ11に出力する。
乱数発生器19は、タイミング生成器18からの初期値セットタイミング信号SETの出力タイミングで、内部のシフトレジスタに、フォーマッタ17から出力されたアドレス“N”を初期値としてセットする。また、乱数発生器19は、タイミング生成器18からのサブフレームカウント値CNTの更新されるタイミングで内部のシフトレジスタをシフトして1ビットずつ擬似乱数系列RNを発生し、PE変調器21に出力する。
また、タイミング生成器18は、サブフレームの前半の69チャネルビットが“L”で、後半の69チャネルビットが“H”となるPE変調信号PEを生成してPE変調器21に出力する。PE変調器21は、タイミング生成器18から入力されるPE変調信号PEと、乱数発生器19から出力される擬似乱数系列RNの排他的論理和を算出して、相関系列PERを生成し、相関積分器27に出力する。
また、図9では、3種類の追記マークSMKの記録形態を示しており、いずれも光ディスク上の凹凸マークMKと、レーザ光が照射されることによって反射率の変化した追記マークSMKとの記録形態を示している。いずれにしても、追記マークSMKの記録されていない部分より、追記マークSMKの記録された部分では、アナログ信号処理器15から出力されるアナログ再生信号ASの示す反射光レベルが平均的に大きくなる。これは、光ディスクに付与された反射膜が、レーザ光が照射されることによって反射率が上がる特性を有しているからである。
また、追記マークSMKの反射光強度への影響である変調度r2は、凹凸マークMKの反射光レベルの変調度r1に比べて小さい。望ましくは、追記マークSMKの反射光レベルの変調度r2は、凹凸マークMKの反射光レベルの変調度r1の1/2(半分)以下であれば、追記マークSMKの記録による凹凸マークMKの再生精度への影響を希少化することができる。なお、前述のような反射光レベルの関係は、追記マークSMKを記録するときのレーザ強度を調整したり、レーザ光を照射する時間を調整したりして、凹凸マークMKのトラック方向への幅に対して、追記マークSMKのトラック方向への幅を小さくすることで実現できる。
また、図9に示すように凹凸マークMKのトラック間に追記マークSMKがある場合にも、通常、凹凸マークMKを読み出すときのレーザスポットは、凹凸マークMKのトラック方向への幅よりも広く、追記マークSMKの形成された領域でのアナログ再生信号ASの反射光レベルの特性が変化してしまう。
また、離散的に追記マークSMKを配した場合においても、追記マークSMKを形成した部分では反射率が高くなり、アナログ再生信号ASの反射光レベルの特性が変化する。
通常、光ディスク再生装置では、アナログ再生信号ASのゼロクロス点の誤差を検出して、誤差に追従して補正するいわゆるベースラインコントロール回路を具備している場合が多い。しかしながら、本実施の形態における追記マークSMKは、サブフレーム(=138チャネルビット=Blu−rayディスク1倍速で約480KHz)単位に形成され、通常のベースラインコントロール回路の追従帯域外であり、ゼロクロス点が補正されて追記マークSMKの再生が不可能になることはない。
LPF25は、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに通過帯域制限を施す帯域制限回路(フィルタ)で構成され、本実施の形態では、カットオフ周波数として、サブフレームの帯域より高く、凹凸マークの最長マーク長のマーク/ランドの組み合わせの帯域よりも低い帯域が設定された低域通過フィルタによって実現されている。LPF25を通過して得られる帯域制限再生信号LPSは、追記マークSMKが施されている部分で“H”となり、追記マークSMKが施されていない部分で“L”となる。
2値化器26は、LPF25から入力される帯域制限再生信号LPSを、デジタル信号処理器16からのクロック信号CKに同期させて、ゼロクロス点を算出して2値化して、2値化再生信号BSを生成し、相関積分器27に出力する。
相関積分器27は、タイミング生成器18のサブフレームカウント値CNTの示すサブフレームの範囲で、2値化器26からの2値化再生信号BSとPE変調器21からの相関系列PERとの相関値を積分してメモリ11に出力する。すなわち、相関積分器27は、クロック信号CKに同期して、相関系列PERが“H”であり、かつ2値化再生信号BSが“H”であるとき、あるいは相関系列PERが“L”であり、かつ2値化再生信号BSが“L”であるとき、両者に相関があると判断して内部のアップダウンカウント値をインクリメントする。
一方、相関積分器27は、相関系列PERが“H”であり、かつ2値化再生信号BSが“L”であるとき、あるいは相関系列PERが“L”であり、かつ2値化再生信号BSが“H”であるとき、両者に相関がないと判断して内部のアップダウンカウント値をデクリメントする。相関積分器27は、これをサブフレーム内で繰り返し行い、サブフレーム内の媒体IDの1ビットに対応する積分値を算出する。また、相関積分器27は、タイミング生成器18からのサブフレームカウント値CNTの更新されるタイミングで、内部に保持している1ビット分の相関積分値CINをメモリ11に出力するとともに、内部に保持していた積分値をリセットする。
メモリ11は、相関積分器27から入力される1ビット分の相関積分値CINを、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTの示すメモリ空間に記憶されている値に加算する。
認証符号検証器29は、媒体IDの1ビットに対応したメモリ11の符号ビットを入力し、付与された認証符号やエラー訂正符号から正常な読み出しができているかを確認する。システムコントローラ23は、認証符号検証器29が検証の結果、正常な媒体IDの読み出しを確認した時点で、再生動作を終了する。一方、システムコントローラ23は、認証符号検証器29によってデジタル署名検証又はMAC検証で不正と判断されたり、エラー訂正不能又はエラービット有りと判断された場合には、再生動作を継続して、媒体IDのビット毎の積分動作を継続する。また、システムコントローラ23は、指定時間範囲内に正常な媒体IDの読み出しが不可能であった場合には、不正ディスクとして排除する。
再生精度算出器28は、媒体IDの各ビットの積分値をメモリ11から取得し、各ビット毎の積分値の絶対値の平均値及び標準偏差を算出し、これらをガウス分布に近似して、媒体IDのビットエラーレートを推測し、そのビットエラーレートを基に光ディスクの検証を行う。再生精度算出器28は、検証結果が規定値以上のビットエラーレートであった場合には、媒体IDの読み出し精度の悪い光ディスクとして判定する。読み出し精度が悪いと判定された光ディスクは、排除される。
なお、媒体IDの読み出し精度を検査する検査工程においては、不正ディスクであると判断する判断基準を十分に低く見積もる必要がある。なぜならば、光ディスク再生装置間で媒体IDの読み出しの信頼性にもばらつきがあるため、これらも十分に考慮した規定値を設定する必要がある。また、本実施の形態では、メモリ11に記憶された積分値の平均とばらつきとに基づいて、媒体IDの読み出し精度の信頼性を推測しているが、本発明は特にこれに限定されず、ばらつきはある程度光ディスク内では固有に出力されるため、単に平均値だけから推測しても構わない。
また、媒体IDの読み出し精度の信頼性の指標として、媒体IDが認証符号検証器29によってエラー訂正可能あるいはエラービット無しと判断されるまでの積分時間自体を用いても構わない。なぜならば、媒体IDの記録精度がよい場合には、読み出しのための積分時間が短く、悪い場合には積分時間が多くかかるためである。例えば、媒体IDのビット毎の積分値が完全にガウス分布をなしているとすると、媒体IDの信号成分が半分になれば同じ精度で媒体IDを読み出すための時間は4倍必要となる。
以上のように、本実施の形態の光ディスク再生装置7は、凹凸マーク上の反射膜の反射率を変化させた追記マークによって媒体IDが記録された光ディスクから、凹凸マークの主情報を再生するのと同時に、再生信号の反射光レベルの変動を積分することによって媒体IDを再生する。また、媒体IDのビット毎の積分値の平均値及びばらつき、または媒体IDの読み出しが完了するまでの時間に基づいて媒体IDの記録精度を判定し、記録精度が悪いと判定された光ディスクは、不正ディスクとして排除する。また、媒体IDは、デジタル署名情報、MAC、あるいはエラー訂正符号化されることによって記録されており、デジタル署名検証不可のとき、MAC検証不可のとき、あるいはエラー訂正不能のときは十分な積分が成されていないとして積分動作を継続するとともに、積分時間が規定時間より長くなった場合には不正ディスクと判断して光ディスクを排除する。
なお、本実施の形態において、媒体IDが記録される記録場所は、コントロール領域CTLに限定されず、光ディスク上のユーザ領域USRであってもよく、凹凸マークでアドレス情報が記録される領域であればいかなる領域でも構わない。
また、本実施の形態における光ディスクは、凹凸マークによって情報が記録されている再生専用の光ディスクとして説明しているが、本発明はこれに限定されない。ウォブルトラックを有し追記膜や相変化膜の付与された追記ディスクや書き換えディスクにおいても、レーザ光を照射することによって主情報を記録した後、再度、同領域にレーザ光を照射して媒体IDを記録することも可能である。これによって、追記ディスクや書き換えディスクにおいても媒体IDを記録することができる。これらのディスクでは、媒体IDを主情報の暗号化の鍵として記録することができれば、記録ごとに鍵を変化させて記録可能な光ディスクを提供することができ著作権保護の強度を向上することができる。
また、本発明を用いれば、再生専用の光ディスクであっても媒体IDが記録できるので、ネットワーク型の著作権管理を実現しうる。すなわち、ネットワークを介して接続された管理サーバによって、光ディスクに記録したコンテンツの再生、移動あるいは複製に関する回数情報を管理する。これにより、再生専用の光ディスクであったとしても、バックアップの目的でコンテンツをハードディスク等の他の媒体に複製したり、ハードディスクにコンテンツを移動させて視聴するというようなユーザにとって利便性のある使用方法を提供することができる。なお、例えば、光ディスクからハードディスクにコンテンツを移動させたときは、移動時に管理サーバに自身の媒体IDを送付し、管理サーバでは媒体IDに関連付けてコンテンツが移動していることを記録する。管理サーバは、媒体IDを含むコンテンツの再生許可願いを受け取ったら自身に記憶した管理情報によってコンテンツが移動済みであると判断して、再生願いを棄却する。このようなシステムを構築することにより、著作権を保護しつつ、コンテンツを移動できる環境を提供できる。
(実施の形態2)
(2−1)実施の形態2の光ディスク
図10は、実施の形態2に係る光ディスクの構造を示す概念図である。図10に示す光ディスク1は、光ディスク記録装置や光ディスク再生装置にローディングされるときクランプされるクランプ領域CLPと、著作権に関する情報、光ディスク1の物理特性あるいは光ディスク1の管理情報が凹凸マークによって記録されている内周側及び外周側の2つのコントロール領域CTLと、例えば暗号化された映画タイトルやPCデータ情報が凹凸マークによって記録されたユーザ領域USRとから構成される。
また、光ディスク1の少なくともユーザ領域USRとコントロール領域CTLとは、ポリカなどの光ディスク基板1Pに凹凸マークを転写して、その上にレーザ光が照射されることによって反射率の変化する反射膜1Lを付与した後、保護膜1Cを付与して形成されている。
また、光ディスク1の内周側のコントロール領域CTLには、レーザ光が照射されることによって凹凸マークMK上の反射膜の反射率を変化させた、あるいは反射膜自体を除去した、光ディスクの半径方向に長く、かつ凹凸マークの成すトラックを横断するプリマークPMが、光ディスクの反射膜を付与した後に形成されている。また、プリマークPMの円周方向の長さは凹凸マークMKの最長マークよりも長く記録されている。このプリマークPMは、レーザ光が照射されることによって反射率が向上する、あるいは減少する記録マークとしてもよいし、例えば反射膜を除去する場合には無反射のマークとして記録しても良い。
また、光ディスクのアドレス情報を有する領域、すなわち、少なくともコントロール領域CTL及びユーザ領域USRには、ディスク整形し、プリマークPMを記録した後、実施の形態1の媒体IDの記録方法と同様に、凹凸マークMKのトラック上にレーザ光を照射して追記マークを形成することによって、凹凸マークMKで記録されたアドレス位置から、プリマークPMまでの距離を物理位置情報として記録する。また、物理位置情報は、凹凸マークMKの基準位置であるアドレスを含むとともに、1つのプリマークPMに対して、一定距離半径方向に乖離した少なくとも2点が1組として記録される。
よって、本実施の形態の光ディスク1のコントロール領域CTLには、アドレスを含む凹凸マークMKが転写され、その反射膜にレーザ光を照射することによって、反射膜の反射率を変化させた、あるいは反射膜を除去したプリマークPMが追記される。また、凹凸マークMKの基準となるアドレス位置からプリマークPMまでの半径方向の距離が物理位置情報として取得される。また、物理位置情報は、1つのプリマークPMに対して異なる半径位置で2回以上検出される。そして、少なくともユーザ領域USRあるいはコントロール領域CTLのアドレスの記録された領域の凹凸マークMKのトラックに基づいて、レーザが照射され、トラック上の反射膜の反射率を変化させて形成する追記マークとして物理位置情報が記録されている。
本実施の形態におけるプリマークPMは、光ディスク半径方向に長い。従って、これを複製する場合には、光ディスクの記録開始位置、回転数及び線速度などをすべてコピー元とコピー先とで同一に必要がある。これらが、多少たりともずれていると、コピー元の再生位置(角度位置)とコピー先の記録位置(角度位置)とにずれが生じ、半径方向に直線的な記録マークとして複製することが不可能になる。従って、このようなマークをそのまま複製することは極めて困難となる。
また、記録時に基準のアドレス位置からプリマークPMまでの距離(物理位置情報)が、再生クロックによって計測されて、凹凸マーク上の追記マークとして記録されている。また、1つのプリマークPMに対して、少なくとも1つの基準アドレスから、半径方向に数トラック乖離した2点までの物理位置情報が記録されている。再生時には、追記マークを再生して、ターゲットアドレスと少なくとも2点の記録時の物理位置情報が取得されて、取得したターゲットアドレスからプリマークまでの物理位置情報が少なくとも記録時と同様の2点で確認される。
従って、不正に複製された光ディスクでなければ、これら記録時の物理位置情報と、再生時の物理位置情報とには相関があり、光ディスクの再生が許可される。一方、これらに相関が無ければ、不正コピーによって複製された光ディスクであると判断されて光ディスクの再生が許可されない。また、1つのアドレス位置から1つのプリマークPMの少なくとも2点の物理位置情報を比較することによって、プリマークPMが半径方向に対して直線的であるか否かの判定を行うことができる。通常、不正コピーによってコピー元の記録位置とコピー先の記録位置とがずれれば、半径方向への直線性を失ったプリマークPMが複製される。このように少なくとも2点の物理位置情報を検証することによって直線性が判断されるので、不正コピーへの耐性を向上させることができる。
また、プリマークPMは、光ディスク1の円周上に複数設けても良い。これら全てのプリマークPMの物理位置情報が確認されることにより、不正コピーへの耐性を向上させることができる。
また、本実施の形態におけるプリマークPMの記録位置は、内周側のコントロール領域CTLであると説明しているが、外周側のコントロール領域CTL、あるいはユーザ領域USRであってもよく、アドレス情報の記録されている領域であればいかなる領域であっても構わない。
また、プリマークPMの記録位置と追記マークの記録位置とは、互いに所定半径距離を乖離して記録されることが望ましい。なぜなら、ともに反射膜の反射率を変化させることによって記録するので、同じ領域に記録すればこれらの情報を分離することが困難となるためである。
(2−2)実施の形態2の光ディスク製造方法
図11は、実施の形態2における光ディスク製造方法を示す模式図である。実施の形態2における光ディスク製造方法は、オーサリング工程100、第1の製造工程200、第2の製造工程500、第3の製造工程600及び第4の製造工程700の手順で光ディスクを作成する。
オーサリング工程100は、実施の形態1のオーサリング工程100と同様の工程であり、光ディスクに記録するコンテンツデータを、光ディスクのフォーマットにオーサリングする工程であり、記録するコンテンツデータを鍵管理機構によって作成された暗号鍵を用いて暗号化し、暗号化したコンテンツデータをオーサリングして、第1の製造工程200に出力する。
第1の製造工程200は、実施の形態1における第1の製造工程200と同様の工程であり、入力工程201、マスタリング工程202、スタンプ工程203、スパッタリング工程204及び保護膜付与工程205が順に行われることで、物理位置情報が記録されていない光ディスク40が成形される。すなわち、入力工程201において、オーサリング工程100でオーサリングされたコンテンツデータが入力され、マスタリング工程202において、光ディスク原盤が作成され、スタンプ工程203において、スタンパを作成して光ディスク基盤にスタンプすることで、凹凸記録マークが転写され、スパッタリング工程204において、凹凸マーク上にレーザが照射されることによって反射率が変化する反射膜が蒸着され、保護膜付与工程205において、凹凸マーク上に保護膜が付与されて光ディスク40が成形される。成形された光ディスク40は、第2の製造工程500に移される。
第2の製造工程500において、プリマーク記録装置70は、光ディスクの内周側のコントロール領域CTLに対応した半径位置に、レーザ光を照射することによって半径方向に直線的なプリマークを記録する。プリマーク記録装置70は、第1の製造工程200において成形された光ディスク40をローディングすると、CAV(Constant Angular Velocity)制御によって光ディスクを回転させる。プリマーク記録装置70は、光ディスク40が所定の回転数に達したとき、プリマークを記録する半径位置に光学ヘッドを移動させ、ディスク一回転に同期した回転同期信号に同期して間欠的にレーザ光を照射し、光ディスク一回転ごとに所定量光学ヘッドを外周側に移動させる。これを連続して行うことで、光ディスク40上に半径方向に長いプリマークが形成される。
なお、プリマーク記録装置70は、半導体レーザを照射して、反射膜の反射率を変化させてプリマークを形成する形態でもよいし、YaGレーザを用いたイニシャライザによってビームを照射して、反射膜をトリミングすることによってプリマークを記録してもよい。第2の製造工程500において光ディスクの内周側のコントロール領域CTLにプリマークの形成された光ディスク50は、第3の製造工程600に移される。
第3の製造工程600は、第2の製造工程500でプリマークの形成された光ディスク50から、凹凸マークによるアドレス情報を基準にプリマークの物理位置情報を計測する工程である。
物理位置情報取得装置80は、第2の製造工程500においてプリマークが形成された光ディスク50をローディングすると、内周側のコントロール領域CTLのプリマークの形成された半径位置に光学ヘッドを移動させる。続いて、物理位置情報取得装置80は、凹凸マークで記録されているアドレス情報を基準にプリマークの光ディスク上における物理位置情報を計測する。物理位置情報は、凹凸マーク再生時の再生クロックをカウントすることで算出される基準のアドレス位置からプリマークの開始点までのクロック数である。すなわち、物理位置情報取得装置80は、基準アドレス位置からの距離あるいは角度に関する情報として物理位置情報を取得する。
また、物理位置情報取得装置80は、1つのアドレス基準位置から半径方向に所定距離だけ乖離した少なくとも2点のプリマーク位置を計測して、基準アドレス情報と対応付けて、第4の製造工程700に出力する。
また、物理位置情報取得装置80は、円周方向に複数のプリマークが存在するときは、2つ以上のプリマークの物理位置情報を検出して第4の製造工程700に出力する。
第4の製造工程700は、実施の形態1の第2の製造工程300と同様の工程であり、実施の形態1では所定アドレス位置からレーザ光を照射して反射膜の反射率を変化させることによって媒体IDを記録するが、本実施の形態では、第3の製造工程600において取得された物理位置情報をさらに記録する点が異なる。なお、第4の製造工程700では、実施の形態1の第2の製造工程300と同様の光ディスク記録装置6が用いられるので、本実施の形態では詳細な説明を省略する。
図12は、第3の製造工程600で検出されて第4の製造工程700に出力される、基準アドレス位置からプリマークまでの位置を表す物理位置情報のデータフォーマットを示す図である。物理位置情報90は、媒体ID91、プリマーク位置情報92及び改竄防止符号93によって構成される。
媒体ID91は、実施の形態1の媒体IDと同様であり、鍵管理機構から発行される光ディスク1枚毎に個別の識別情報である。
プリマーク位置情報92は、光ディスク製造方法の第3の製造工程600において、凹凸マークで記録されたアドレス情報を基準として、プリマークの開始位置までの再生クロックのクロック数と、凹凸マークのアドレス位置とを対応させたデータである。なお、円周方向に複数のプリマークが記録されている場合には、それぞれに対応した基準アドレスを含む。また、1つのアドレス位置からは、同じプリマークの所定半径位置乖離した少なくとも2つのプリマーク位置情報92が検出される。すなわち、図12のプリマーク位置情報92は、基準アドレス1に対して、プリマーク開始位置1A及びプリマーク開始位置1Bが対応付けられている。プリマーク開始位置1Aは、基準アドレスと同じトラックで検出したプリマークの開始位置であり、プリマーク開始位置1Bは、基準アドレス1から数トラック外周側、あるいは内周側に移動して獲得したプリマークの開始位置である。
改竄防止符号93は、例えばMAC(Message Authentication Code)で構成される。例えば、媒体ID91及びプリマーク位置情報92のハッシュ値が算出され、このハッシュ値がMACとして生成される。また、ハッシュ値の生成に用いる鍵情報は鍵管理機構から取得する。再生時には、同じように媒体ID91とプリマーク位置情報92とに基づいてハッシュ値を算出し、算出したハッシュ値と物理位置情報に含まれるハッシュ値(改竄防止符号93)とを比較することによって、物理位置情報に改竄が無かったかを判定し、改竄がないと判断されたときのみ再生を継続するようにする。
以上のように、実施の形態2における光ディスク製造方法では、凹凸マークによってコンテンツデータが記録された光ディスクが成形された後、内周側のコントロール領域CTLに半径方向に直線的なプリマークが記録され、このプリマークの物理位置情報が凹凸マークで記録されたアドレス位置を基準に検出され、凹凸マークのトラック上にレーザが照射されることによって反射率の変化した追記マークが形成され、この追記マークで物理位置情報が記録される。
なお、実施の形態2における光ディスク製造方法で用いられるプリマーク記録装置、物理位置情報取得装置及び光ディスク記録装置は同一の装置として構成することが望ましいが、ここでは各機能の説明を簡潔に行うため別装置として説明した。
また、本実施の形態2の光ディスクは、半径方向に長いプリマークを記録しているとともに、このプリマークの物理位置情報を製造工程で測定し、測定した物理位置情報を追記マークとして記録している。前述のように、半径方向に長いプリマークを複製するためには、複製先及び複製元で、記録開始位置、回転数及び線速度を寸分狂わず制御することが必要となる。しかしながら、これらを一致させることは事実上不可能に近いので不正な複製を排除できる。また、そのプリマークの物理位置情報は、実施の形態1の媒体IDと同様の方法で記録するので、実施の形態1に比べ、実施の形態2の光ディスクは、不正な複製に対する耐性が極めて高くなる。
(2−3)実施の形態2のプリマーク記録装置
図13は、実施の形態2の光ディスク製造方法の第2の製造工程500で使用するプリマーク記録装置の構成を示すブロック図である。
プリマーク記録装置70は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、アナロク信号処理器15、サーボ回路14、PLL回路30、カウンタ31、記録タイミング生成器32、レーザ強度変調器22及びシステムコントローラ23を備える。
スピンドルモータ12は、第1の製造工程200において作成された物理位置情報が未記録の光ディスク40がドライブに挿入されると、CAV(Constant Angular Velocity)制御によって、光ディスク40を回転させる。また、スピンドルモータ12は、ディスク一回転に同期して複数回出力される回転同期信号FSを生成してPLL回路30に出力する。
光学ヘッド13は、光ディスク40にレーザ光を照射し、その反射光からチャネル信号CSを生成して、アナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから、レーザ光を照射するフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEを生成してサーボ回路14に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるフォーカスエラー信号FEから、フォーカス位置を補正するためのフォーカス制御信号FCを生成して、光学ヘッド13に出力する。これにより、光学ヘッド13は、フォーカス位置の補正をしながらレーザ光を照射する。
PLL回路30は、スピンドルモータ12からのディスク一回転に同期した回転同期信号FSに追従した回転同期クロックCAVCKを生成して、カウンタ31に出力する。なお、回転同期信号FSは、一回転に1出力でも構わないが、複数回出力されることが望ましい。例えば、一回転で4回出力されるとすれば、ディスクの回転角45度ごとに出力されるし、360回出力されれば、ディスクの回転角1度ごとに出力され、PLL回路30は、これらの回転同期信号FSに追従した回転同期クロックCAVCKを生成する。また、1回転に1回程度の回転同期信号FSしか得られない場合には、回転同期信号FSに同期した回転同期クロックCAVCKを生成した後、逓倍回路を用いて、出力する回転同期クロックCAVCKの周波数を上げることが望ましい。
カウンタ31は、PLL回路30から出力された回転同期クロックCAVCKをカウントする。すなわち、カウンタ31は、ディスクの回転角をカウントしているに等しい。また、カウンタ31は、ディスク一回転で初期化される。すなわち、回転同期信号FSがディスク1回転で360回出力される場合、カウンタ31は、360カウントごとに初期化される。このカウンタ31のカウント値は、回転同期クロックカウント値CAVCNTとして記録タイミング生成器32に出力される。
記録タイミング生成器32は、カウンタ31からの回転同期クロックカウント値CAVCNTに基づいて、記録レーザ光を照射するタイミングを生成する。例えば、記録タイミング生成器32は、回転同期クロックカウント値CAVCNTを90で除算したときの余が0の時を検出してプリマーク記録タイミング信号PMWGを生成する。よって、記録タイミング生成器32は、ディスクの一回転に4回、且つ回転角1度の範囲で、プリマーク記録タイミング信号PMWGを生成する。記録タイミング生成器32によって生成されたプリマーク記録タイミング信号PMWGは、レーザ強度変調器22に出力される。
レーザ強度変調器22は、記録タイミング生成器32からのプリマーク記録タイミング信号PMWGの出力タイミングで、レーザに流れる電流量を増大させて記録パワーのレーザ光を照射するためのプリマーク記録パルスPWPを生成して光学ヘッド13に出力する。なお、プリマーク記録タイミング信号PMWGの出力されていない部分では、再生強度のレーザ光を照射するためのプリマーク記録パルスPWPを出力する。
また、光学ヘッド13は、ディスク一回転ごとに所定量だけ外周側にレーザスポット位置を移動させる。なお、所定量は、レーザ光が照射されることによって一回転で記録するプリマークの半径方向の長さ以下にする。これにより、光ディスクの半径方向に直線的、かつ連続的なプリマークが記録可能となる。
以上のように、プリマーク記録装置70は、凹凸マークが転写された光ディスクの成形後、CAV制御により光ディスクの回転を制御し、光ディスクの角度情報(ここでは、回転同期クロックカウント値CAVCNT)に基づいてレーザ光を照射する。これにより、半径方向に長いプリマークを記録することができる。
なお、プリマーク記録装置70は、半導体レーザではなく、高出力のYaGレーザ等を用いても構わない。この場合には、レーザ光が照射された部分の反射膜が融解し、除去されることが知られている。
(2−4)実施の形態2の物理位置情報取得装置
図14は、実施の形態2の光ディスク製造方法の第3の製造工程600における物理位置情報取得装置の構成を示すブロック図である。
物理位置情報取得装置80は、実施の形態2の第2の製造工程500においてプリマークの記録された光ディスクに対して、プリマークの記録された半径位置の凹凸マークのアドレスを抽出し、抽出したアドレスを基準としてプリマークの開始点を物理位置情報として検出する。物理位置情報取得装置80は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、エラー訂正器24(A)D33、スライサ34、カウンタ35、メモリ11、媒体ID付与器36、改竄防止符号付与器37及びシステムコントローラ23を備える。
スピンドルモータ12は、プリマークが記録された光ディスク50をローディングすると、光ディスク50に応じた回転数で光ディスク50を回転させて、光学ヘッド13をプリマークの記録されている所定の半径位置に移動させる。
光学ヘッド13は、スピンドルモータ12が所定の回転数に達したとき、光ディスク50に再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からチャネル信号CSを生成して、アナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから、凹凸マークのトラックに対してレーザスポットのトラッキング位置の誤差を示すトラッキングエラー信号TEと、レーザスポットのフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEとを生成して、サーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSを増幅したり、波形等化したりして、凹凸マークに対応したアナログ再生信号ASを生成して、デジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるトラッキングエラー信号TEから、レーザスポットのトラッキング位置を制御するトラッキング制御信号TCを生成するとともに、フォーカスエラー信号FEからフォーカス位置を制御するためのフォーカス制御信号FCを生成して、光学ヘッド13に出力する。光学ヘッド13は、これらの制御信号に基づいてトラッキング位置及びフォーカス位置を制御してレーザ光を照射する。また、サーボ回路14は、半径位置に対応した回転数と現在の回転数とを比較して、回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。スピンドルモータ12は、この回転制御信号SCに基づいて回転数を制御して、光ディスク50を回転させる。
デジタル信号処理器16は、内部にPLL回路を有し、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出する。また、デジタル信号処理器16は、クロック信号CKに同期して、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASを量子化して、2値化したデジタル再生信号DSを生成して、フォーマッタ17に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから、一定周期で付与されている同期符号を検出して、同期符号の付与されたデータ群であるフレーム単位にフォーマットする。そして、フォーマッタ17は、同期符号の同期パターンを判定してフレーム位置を判別し、フレーム位置に従って、複数フレームからなりアドレス情報ADRが付与されたアドレスユニット単位に分割する。また、フォーマッタ17は、アドレス情報ADRに従って、エラー訂正を行う単位であるPhysical Cluster単位にフォーマットして、フォーマットデータFDを生成しエラー訂正器24に出力する。また、フォーマッタ17は、同期符号のタイミングを示すフレームパルスFPLSと、アドレスユニット単位に付与されているアドレス情報ADRとを抽出して、カウンタ35に出力する。
エラー訂正器24は、フォーマッタ17から入力されるフォーマットデータFDからエラー訂正のためのパリティを分離して、データのエラー訂正を行うことによって凹凸マークで記録された再生データを出力する。
AD33は、一般的なアナログ−デジタル変換器で構成され、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASを、入力されるクロックに同期して量子化を行い、量子化された量子化再生信号RDをスライサ34に出力する。
スライサ34は、入力される量子化再生信号RDを所定のスライスレベルでスライスして、2値化したプリマーク検出信号PMDETを生成してカウンタ35に出力する。なお、所定のスライスレベルは、物理位置情報取得装置80におけるデジタル信号処理器16が2値化するためのスライスレベルに比べて、高くあるいは低く設定される。これは、プリマークがレーザ光が照射されることによって反射率を上げて記録されているか、あるいは反射膜を除去する無反射マークとして記録されているかに応じて決定される。なお、所定スライスレベルは、固定値ではなく、数回プリマーク上を走査して、自動的に設定することが望ましい。
カウンタ35は、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKをカウントするチャネルビットカウンタと、フレーム数をカウントするフレームカウンタから構成される。
チャネルビットカウンタは、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKに同期してクロック数をカウントするとともに、フォーマッタ17から入力されるフレームの開始位置を示すフレームパルスFPLSで初期化される。
フレームカウンタは、フォーマッタ17から入力されるフレームパルスFPLSをカウントし、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRの更新されるタイミングで初期化される。
また、カウンタ35は、スライサ34からのプリマーク検出信号PMDETのタイミングで、チャネルビットカウンタ及びフレームカウンタの双方の現在のカウント値と、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRとに基づいてプリマーク位置情報POSを生成してメモリ11に出力する。
メモリ11は、カウンタ35から出力されるプリマーク位置情報POSを一時記憶する。なお、光ディスクの円周方向に複数のプリマークが記録されている場合には、それぞれに対応したプリマーク位置情報POSを計測して記憶する。
媒体ID付与器36は、光ディスクのプリマークの検出の完了にともなって、メモリ11に記憶されたプリマーク位置情報POSに、外部から入力される媒体IDを対応付ける。
改竄防止符号付与器37は、外部から与えられる、あるいは内部に秘密に記憶している鍵を用いて、媒体ID及びプリマーク位置情報POSのハッシュ値を算出して改竄防止符号(例えばMAC)を生成し、生成した改竄防止符号を媒体ID及びプリマーク位置情報POSに付与して物理位置情報を生成する。この物理位置情報は、本実施の形態2の第4の製造工程700に出力される。
なお、前述のように、プリマーク位置情報POSは1つのプリマークに対して、同じアドレスから所定半径方向に乖離した2箇所で計測することが、不正な複製をより効果的に防止する。この場合、フォーマッタ17は、基準アドレス位置と同じトラック上でプリマークの開始位置を検出した後、一旦、内周側に1トラックジャンプして、再度同じアドレス位置のトラックを再生し、再度基準アドレスのタイミングで、数トラック外周側あるいは内周側にトラック位置を移動させるためのトラックジャンプ信号TJを生成して、サーボ回路14に出力する。
サーボ回路14は、トラックジャンプ信号TJに基づいて、トラッキング位置を数トラック外周側あるいは内周側に移動させる。トラックジャンプが完了すれば、再生信号からプリマーク位置を判断することによって、1つのプリマークから、所定半径位置乖離した複数箇所でプリマーク位置を検出することができる。
なお、物理位置情報取得装置80は、再生時のクロック信号CKをカウントすることで基準アドレスからプリマーク開始位置までの物理位置情報を抽出する。従って、トラックジャンプによって再生時のクロック信号CKが乱れれば正しい物理位置情報を検出することが不可能となる。したがって、フォーマッタ17は、トラックジャンプ信号TJをサーボ回路14に出力するタイミングで、デジタル信号処理器16のPLL回路によって生成されるクロック信号CKの発振帯域を固定するためのPLLホールド信号を生成して、デジタル信号処理器16に出力する。デジタル信号処理器16は、PLLホールド信号の出力区間ではPLL回路の発信帯域を固定することによって、トラックジャンプがあった場合にも安定したクロック信号CKを供給することが可能となる。
図15は、実施の形態2の光ディスクをBlu−rayディスクとした時の、物理位置情報取得装置80の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
物理位置情報取得装置80のデジタル信号処理器16からフォーマッタ17に出力されるデジタル再生信号DSは、フォーマッタ17によって、凹凸マークに対応した主情報のエラー訂正の単位であるPhysical Cluster単位にフォーマットされる。1Physical Clusterは、アドレスを有する16のアドレスユニットから構成される。さらに、1アドレスユニットは、同期符号を伴う31のフレームに分割できる。また、1フレームは、先頭に30チャネルビットの同期符号を有する1932チャネルビットで構成されている。
また、物理位置情報取得装置80のカウンタ35は、デジタル信号処理器16からのクロック信号CKに同期したカウンタであり、クロック信号CKをカウントするチャネルビットカウンタと、フォーマッタ17からのフレーム先頭位置を示したフレームパルスをカウントするフレームカウンタとで構成される。
チャネルビットカウンタは、クロック信号CKに同期してクロック数をカウントするとともに、フレームパルスFPLSのタイミングで初期化する。すなわち、1フレームで0〜1931までカウントするカウンタとして動作する。
フレームカウンタは、フレームパルスをカウントするカウンタで、1アドレスユニットで0〜15までカウントする。なお、フレームカウンタは、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRの更新タイミングで初期化される。
次に、プリマークの検出方法について説明する。物理位置情報取得装置80は、光ディスクの凹凸マークに再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からアナログ再生信号ASを生成する。また、デジタル信号処理器16では、このアナログ再生信号ASから内部に持つPLL回路によって、アナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出する。また、デジタル信号処理器16では、このアナログ再生信号ASをクロック信号CKに同期して量子化し、スライスレベルSL1でスライスすることによって2値化し、デジタル再生信号DSを生成する。
光ディスクには、内周側のコントロール領域CTLに凹凸マークMKのトラックを横断する半径方向に直線的なプリマークPMが予め記録されている。なお、本実施の形態2では、レーザ光を照射して反射率を向上させることによりプリマークを形成する場合の動作について説明する。
凹凸マーク上をトラッキングして再生中、プリマークがあると、凹凸マークを再生しているときの反射光の最大レベルHよりも反射率が高いため、アナログ再生信号ASの変調度が向上する。
スライサ34は、凹凸マークのアナログ再生信号ASを2値化するためのスライスレベルSL1より高く、且つ凹凸マークの反射光の最大レベルHよりも高いレベルのプリマーク位置を検出するためのスライスレベルSL2でスライスして、プリマーク検出信号PMDETを生成し、カウンタ35へ出力する。
カウンタ35は、プリマーク検出信号PMDETの立ち上がりを検出すると内部のチャネルビットカウンタ及びフレームカウンタのカウント動作を停止し、各カウント値(チャネルビットカウント値BCNT及びフレームカウント値FCMT)を保持する。
また、保持したフレームカウント値FCMT及びチャネルビットカウント値BCNTは、アドレス情報ADRとともに、プリマーク位置情報POSとしてメモリ11に転送し、メモリ11で保持する。
以上のように、物理位置情報取得装置80は、再生信号のアドレスと、フレーム位置と、チャネルビット位置とにより、基準アドレスからプリマーク開始位置までのプリマーク位置情報を抽出できる。アナログ再生信号ASを2値化するときのスライスレベルを凹凸マークとプリマークとでそれぞれ設定することによって、凹凸マークとプリマークとを区別して検出することができる。また、本実施の形態2では、レーザ光が照射されることによって反射率を上げたプリマークで説明したが、反射膜を除去して無反射状態にするプリマークの場合には、逆に、凹凸マークの反射光の最小レベルより低いレベルをプリマーク検出のためのスライス値SL2として設定する。
また、凹凸マークの反射光の最大レベルとプリマークの反射光の最大レベルに大きな差が認められない場合、凹凸マークの反射光の最小レベルとプリマークの反射光の最小レベルに大きな差が認められない場合、あるいはプリマーク部分の雑音が大きく、正常にスライスできない場合には、凹凸マークのスライスレベルSL1をプリマーク検出のためのスライスレベルSL2と設定しても良い。この場合、プリマーク検出信号の出力区間(=プリマーク幅)が、凹凸マークの円周方向の最大幅より広いことを検出して、プリマークと凹凸マークとの区別を行うことができる。
次に、実施の形態2に係る光ディスク再生装置の構成について説明する。図16は、実施の形態2に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。図16に示す光ディスク再生装置71は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、エラー訂正器24、タイミング生成器18、乱数発生器19、PE変調器21、LPF25、2値化器26、相関積分器27、メモリ11、認証符号検証器29、AD33、スライサ34、カウンタ35及びシステムコントローラ23を備える。
なお、実施の形態2に係る光ディスク再生装置71は、図8に示す光ディスク再生装置7と、図14に示す物理位置情報取得装置80とを組み合わせた構成であり、各構成要素は、光ディスク再生装置7及び物理位置情報取得装置80と同一であるので、説明を省略する。
なお、本実施の形態において、フォーマッタ17、メモリ11、認証符号検証器29、AD33、スライサ34及びカウンタ35が位置確認部の一例に相当し、システムコントローラ23が比較部及び再生制限部の一例に相当する。
図17及び図18は、実施の形態2に係る光ディスク再生装置における不正ディスク判定処理を説明するためのフローチャートである。光ディスク再生装置71では、電源がONされ、光ディスクの挿入されていない状態から光ディスクが挿入された時点で、不正ディスク判定処理が開始される。なお、開始タイミングは、暗号化されたプログラムへのアクセス前、あるいは一定期間ごとに周期的に行っても良い。
まず、光ディスク241が光ディスク再生装置71にローディングされる(ステップS1)。ローディング完了後、システムコントローラ23は、トラック方向にレーザ光を照射して反射膜の反射率を変化させることによって形成される追記マークにより物理位置情報の記録されたアドレスNの位置(例えば、ユーザエリア内)に光学ヘッド13をシークさせる(ステップS2)。
シーク完了後、システムコントローラ23は、光ディスクに記録されている副情報(物理位置情報)を再生する(ステップS3)。なお、この物理位置情報の再生手順は、実施の形態1の光ディスク再生装置71の媒体IDを再生する手順と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、システムコントローラ23は、エラー訂正器24によって、再生した物理位置情報に付与しているエラー訂正のためのパリティに基づいて物理位置情報のエラー訂正を行い、エラー訂正が正常に行われたか否かを判断する(ステップS4)。この結果、エラー訂正が不可能であると判断された場合(ステップS4でNO)、積分時間が短いとして、ステップS2の処理へ戻り、副情報の再生動作が継続される。
一方、エラー訂正が正常に行われたと判断された場合(ステップS4でYES)、システムコントローラ23は、メモリ11に副情報(物理位置情報)を記憶する(ステップS5)。
システムコントローラ23は、物理位置情報から新たに検証用の改竄防止符号(検証用ハッシュ値)を生成し、生成した検証用の改竄防止符号と、物理位置情報に付与されている改竄防止符号(再生ハッシュ値)とが整合するか否かを判断する。これにより、システムコントローラ23は、物理位置情報が改竄されているか否かを判断する(ステップS6)。互いの改竄防止符号に整合がある場合、システムコントローラ23は、物理位置情報に不正な改竄がないと判断して処理を継続する。一方、互いの改竄防止符号に整合が無い場合、システムコントローラ23は、途中で物理位置情報が改竄されたか、不正メーカによって作成された光ディスクであると判断して、処理の中断動作に移行する。
改竄があると判断された場合(ステップS6でYES)、ステップS15以降の再生停止処理に移行する。一方、改竄がないと判断された場合(ステップS6でNO)、システムコントローラ23は、物理位置情報の中から、記録時に抽出したプリマーク位置情報を検出するための基準アドレスMを取得する(ステップS7)。次に、システムコントローラ23は、取得した基準アドレスMに、光学ヘッド13をシークさせる(ステップS8)。
光学ヘッド13が基準アドレスMに達したとき、プリマーク検出動作に移行する。なお、プリマーク検出動作は、本実施の形態2の物理位置情報取得装置80の動作と同様であるので、ここでは説明を省略する。プリマーク位置情報を検出するプリマーク検出動作が完了すれば、前述の説明の通り、基準アドレスMからのフレーム位置情報(フレームカウント値FCNT)及びチャネルビット位置情報(チャネルビットカウント値BCNT)が出力される(ステップS9)。
次に、システムコントローラ23は、ステップS3において再生された副情報(物理位置情報)に含まれるフレームカウント値FCNTと、プリマーク検出動作で取得したフレームカウント値FCNTとを比較し、互いのフレームカウント値FCNTに整合があるか否かを判断する(ステップS10)。互いのフレームカウント値FCNTに整合がないと判断された場合(ステップS10でNO)、ステップS13以降のリトライ処理に移行する。
互いのフレームカウント値FCNTに整合があると判断された場合(ステップS10でYES)、システムコントローラ23は、ステップS3において再生された副情報(物理位置情報)に含まれるチャネルビットカウント値BCNTと、プリマーク検出動作で取得したチャネルビットカウント値BCNTを比較し、互いのチャネルビットカウント値BCNTに整合があるか否かを判断する(ステップS11)。互いのチャネルビットカウント値BCNTに整合がないと判断された場合(ステップS11でNO)、ステップS13以降のリトライ処理に移行する。整合があれば次の処理に進み、整合が無ければリトライ処理に移行する(ステップS11)。
一方、互いのチャネルビットカウント値BCNTに整合があると判断された場合(ステップS11でYES)、システムコントローラ23は、全てのプリマークを検出したか否かを判断する(ステップS12)。ここで、全てのプリマークを検出していないと判断された場合(ステップS12でNO)、ステップS8の処理へ戻り、システムコントローラ23は、次のプリマークの位置情報を確認するための基準アドレスに光学ヘッド13をシークさせる。全てのプリマークを検出したと判断された場合(ステップS12でYES)、システムコントローラ23は、再生動作を許可して、不正ディスク判定処理を終了する。
次に、ステップS13以降のリトライ処理について説明する。ステップS10,S11において互いのチャネルビットカウント値BCNT又は互いのフレームカウント値FCNTに整合がないと判断された場合、システムコントローラ23は、予め記憶されているリトライ回数をインクリメントする(ステップS13)。
次に、システムコントローラ23は、リトライ回数をインクリメントした結果、リトライ回数が予め設定されている許容範囲内であるか否かを判断する(ステップS14)。リトライ回数が許容範囲内であると判断された場合(ステップS14でYES)、再度ステップS8の処理へ戻り、システムコントローラ23は、基準アドレスMに光学ヘッド13をシークさせて、プリマーク検出動作を行う。一方、リトライ回数が許容範囲を超えたと判断された場合(ステップS14でNO)、ステップS15以降の再生停止処理に移行する。
次に、ステップS15以降の再生停止処理について説明する。再生停止処理は、リトライ回数の許容範囲を上回ったとき、あるいは改竄有無判定で改竄が有ると判定されたときに、光ディスクを不正なディスクとして排除する処理である。まず、システムコントローラ23は、現在の再生動作を停止させる(ステップS15)。このとき、光ディスクの送出以外の全てのコマンドを受け付けないようにすることが望ましい。
再生動作を停止したとき、システムコントローラ23は、エラー情報を生成して、出力する。このエラー情報は、再生動作が停止に陥った原因を含むことが望ましい(ステップS16)。なお、エラー情報は、モニタなどの表示部に出力されて表示され、ユーザに通知される。
以上のように、光ディスク再生装置による不正ディスク判定処理によって、追記マークで記録した物理位置情報に改竄などがあった場合、不正ディスクとして判定され、再生動作を停止することができる。また、物理位置情報に含まれる記録時のプリマークの位置情報と、光ディスク再生装置で検出したプリマークの位置情報とが一致しなければ、不正にコピーされた光ディスクとして再生を停止できる。よって、不正に物理位置情報を改竄して記録した光ディスクや、正規の光ディスクを複製した光ディスクに対して再生の停止が可能となり、光ディスクに記録された著作物の権利を守ることができる。
また、光ディスク再生装置71の構成は、前述の実施の形態2の光ディスク製造方法における第3の製造工程600の物理位置情報取得装置80の構成と、実施の形態1の光ディスク再生装置7の構成とを併せ持つ構成として実現される。すなわち、実施の形態2における光ディスク再生装置は、物理位置情報取得装置80におけるプリマークの物理位置情報の検出機能と、実施の形態1の光ディスク再生装置7の副情報の再生機能を併せ持つことによって実現できる。但し、本実施の形態2の光ディスク再生装置には、前述の不正ディスク判定処理を実現するためのプログラムが格納されている。
また、前述の不正ディスク判定処理では、説明の簡略化のため同じ基準アドレスで、半径方向に所定距離乖離した2点で、プリマークの位置情報を検出する説明を省いたが、1つの基準アドレスから半径方向に向かって2点の位置情報を検出して、プリマークの直線性を判断してもよい。具体的には、一旦、基準アドレスの記録された同じトラック上でプリマーク位置を検出して、トラックを内側に一本移動して、もう一度同じアドレス位置にシークする。再度、ターゲットアドレス位置に到達した時点で、トラック位置を内側あるいは外側に数トラック移行してプリマークの位置を確認する。不正にコピーされてプリマークが半径方向に直線的でない場合であったとしても、基準アドレスに基づいてプリマークの有無を判断した後、半径方向に数トラックジャンプし、再度プリマークの有無を判断することによって、プリマークが直線状でない、あるいは物理位置情報の整合性がないと判断し、光ディスクの再生が停止される。
また、本実施の形態2の不正ディスク判定処理では、全てのプリマークの位置情報を確認しているが、本発明は特にこれに限定されず、再生起動時間の短縮のために、記録されているプリマークのうち、部分的に確認しても良い。例えば、放射状に形成された8本のプリマークのうち、4本のプリマークの位置情報のみを確認してもよい。
(実施の形態3)
(3−1)実施の形態3の光ディスク
図19は、実施の形態3に係る光ディスクの構成を示す概念図である。実施の形態3の光ディスク150は、コンテンツデータの記録されたユーザ領域151と、光ディスク150の識別情報が記録された副情報記録領域152とで構成される。
ユーザ領域151には、予めコンテンツデータが凹凸マークで記録されており、副情報記録領域152には、凹凸マークあるいはウォブル案内溝は記録されていない。また、光ディスク150の反射膜は、レーザ光が照射されることによって反射率が変化する記録膜で構成される。
光ディスク150の識別情報の記録された副情報記録領域152には、特別な同期符号は含まれておらず、ユーザ領域151の基準となるアドレスを有するアドレスユニット153の先頭位置の角度位置と同じ角度位置から識別情報が記録されている。
光ディスクの角度位置情報は、光ディスク記録装置あるいは光ディスク再生装置のスピンドルモータから出力される回転同期信号に基づいて決定される。光ディスク記録装置あるいは光ディスク再生装置は、ディスク1回転に同期した回転同期信号のPLL制御によって、一回転に同期したクロック信号を生成する。このクロックをカウントした値(FG Counter)によって光ディスクの角度位置を算出する。
図19の例では、ディスク一回転について360カウントする例を示している。すなわち、ディスクの回転角1°ごとに1周期のクロックが生成され、これに同期したカウンタは、クロックごとに1カウントして、角度情報を抽出している。また、本例では、カウント値が“300”の時にアドレス値Mの基準となるアドレスユニットが開始している。よって、光ディスク記録装置は、アドレス値Mを持ったアドレスユニットの先頭位置を予め再生して、回転同期のカウント値を抽出した後、副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッドを移動し、回転同期のカウント値“300”から、識別情報を1ビットずつ回転同期信号のクロックに同期して記録する。
以上より、本実施の形態3における光ディスク150は、ユーザ領域151に凹凸マークによってコンテンツデータが予め記録された後、ユーザ領域151における基準アドレス位置の角度が抽出され、副情報記録領域152における抽出された角度から光ディスクの識別情報が追加記録される。
なお、識別情報は、媒体固有情報の記録に使用できる。凹凸マークが予め転写された光ディスクに識別情報を記録することができるため、スタンパなどで凹凸マークを転写して作成する再生専用光ディスクであっても光ディスク1枚ごとに固有の情報を追加記録することが可能となる。
また、本実施の形態3では、一回転で360カウントする、すなわち光ディスクが1°回転するごとに1カウントする例を説明したがこれに限られない。基準となるアドレス位置を、確実に判別することが可能な分解能であれば、どのような分解能であっても構わない。例えば、Blu−rayディスクの場合、半径位置23mm付近では、一回転辺り32のアドレスユニットが記録される。従って、この場合、32のアドレス位置を確実に判別することのできる一回転あたり64カウント(5.6°ごとに1カウント)程度以上の分解能でよい。
(3−2)実施の形態3の光ディスク記録装置
次に、実施の形態3の光ディスク記録装置について説明する。図20は、実施の形態3に係る光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。図20に示す光ディスク記録装置250は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、PLL回路38、角度計測器39、乱数発生器19、EOR40、メモリ11、レーザ強度変調器22及びシステムコントローラ23を備える。
スピンドルモータ12は、光ディスク記録装置250に光ディスクがローディングされると、光ディスクを回転させる。光学ヘッド13は、光ディスクに再生強度のレーザ光を照射して、その反射光からチャネル信号CSを生成して、アナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから、光学ヘッド13のレーザ光が照射される位置のフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEと、凹凸マークのトラック位置とレーザ光が照射されると位置との半径方向のズレを示すトラッキングエラー信号TEとを生成して、サーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから凹凸マークに対応した信号成分を抽出して、増幅したり波形等化したりしてアナログ再生信号ASを生成して、デジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるフォーカスエラー信号FEから、フォーカス位置のズレを補正するためのフォーカス制御信号FCを生成するとともに、トラッキングエラー信号TEからトラッキング位置のズレを補正するためのトラッキング制御信号TCを生成して光学ヘッド13に出力する。また、サーボ回路14は、チャネル信号CSに基づいて、再生している半径位置における線速度を算出して、再生信号から回転速度を求め、最適な回転数と成るように回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。
なお、光ディスク記録装置250は、光ディスクがローディングされると、まず、予めシステムコントローラ23に設定されている基準アドレス位置にシークし、一回転ごとに内周側に1本トラックを移動することで、基準アドレス位置のトラック位置を保持し、基準アドレス位置の半径位置に対応する回転数を保持する。
デジタル信号処理器16は、内部に持つPLL回路によって、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出して、クロック信号CKに同期して、入力されるアナログ再生信号ASを量子化し、2値化したデジタル再生信号DSを生成してフォーマッタ17に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから一定間隔ごとに付与されている同期符号を検出して、検出タイミングでフレーム単位に再構成し、同期符号の同期パターンによって、アドレス情報を含むアドレスユニット単位にフレームを分割して、アドレスユニット単位に付与されているアドレス情報ADRを抽出して、角度計測器39に出力する。
PLL回路38は、一般的なPLL回路で構成され、スピンドルモータ12から入力される回転同期信号FSと内部で発生したクロック信号CKとの位相誤差を算出して、位相誤差が“0”になるように、内部で発生させたクロック信号CKの周波数を変更する。従って、PLL回路38では、光ディスクの回転に同期したクロック信号CKを生成することができ、このクロック信号CKを角度計測器39、乱数発生器19及びメモリ11に出力する。
角度計測器39は、PLL回路38からのクロック信号CKをカウントし、光ディスクの角度位置を測定する。角度計測器39は、PLL回路38からのクロック信号CKをカウントして、フォーマッタ17からのアドレス情報ADRが、予めシステムコントローラ23に設定された基準アドレス情報である場合には、基準アドレス情報を持ったアドレスユニットの先頭位置のタイミングでのカウント値を記憶する。すなわち、角度計測器39は、基準アドレス位置の角度位置を抽出して保持する。
角度計測器39によって、基準アドレス位置の角度位置が測定されれば、システムコントローラ23は、角速度の一定となるCAV制御によってスピンドルモータ12を制御し、ディスク内周の副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッド13を移動させる。
副情報記録領域に光学ヘッド13が移動された後、PLL回路38は、前記と同様に、スピンドルモータ12からの回転同期信号FSに同期したクロック信号CKを生成して、角度計測器39に出力する。
角度計測器39は、PLL回路38から入力されるクロック信号CKをカウントするとともに、記憶している基準アドレスの角度位置を示すカウント値を角度位置情報ANGとして生成して、乱数発生器19及びメモリ11に出力する。
メモリ11は、予め入力された副情報(媒体固有情報)SDを記憶しており、角度計測器39からの角度位置情報ANGに従って、副情報SDを1ビットずつ、入力されるクロック信号CKに同期して、EOR40に出力する。なお、メモリ11は、角度位置情報ANGの“0”の位置、すなわち基準アドレスの角度位置から、副情報のビット順に1ビットずつ出力する。
乱数発生器19は、メモリ11と同様に、角度計測器39から入力される角度位置情報ANGの先頭位置で初期化して、クロック信号CKに同期して1ビットずつ擬似乱数系列RNを生成してEOR40に出力する。なお、乱数発生器19は、シフトレジスタによって構成される一般的なM系列生成器であり、PLL回路38から入力されるクロック信号CKに同期して内部のシフトレジスタをシフトして、1ビットずつ擬似乱数系列RNを生成する。
EOR40は、一般的な排他的論理和ゲートであり、メモリ11からの副情報SDと、乱数発生器19からの擬似乱数系列RNの排他的論理和を算出して、記録データWDを生成して、レーザ強度変調器22に出力する。
レーザ強度変調器22は、EOR40から入力される記録データWDに従って、記録レーザを照射するタイミングや強度を示す記録パルスWPを生成して光学ヘッド13に出力する。
光学ヘッド13は、レーザ強度変調器22から入力される記録パルスWPに従って、レーザに流す電流値を制御して、レーザ光を照射することによって、光ディスクの副情報記録領域に追記マークを形成し、副情報(媒体識別情報)を記録する。
以上により、光ディスク記録装置250は、回転同期信号FSから生成したクロック信号CKに基づいて、予め凹凸マークで記録された基準アドレスの角度位置をカウンタによって算出した後、光学ヘッド13を副情報記録領域に移動させ、基準アドレスの角度位置情報と同じ角度位置から、副情報を回転同期信号FSに同期したクロック信号CKに同期して記録する。これによって、スタンパによって転写することによって作成された光ディスクであっても、媒体固有情報などを記録することができる。
また、本実施の形態3の光ディスク記録装置250は、凹凸マークによって記録されたアドレスの角度位置を元に擬似乱数系列RNを発生させて、擬似乱数系列RNでスクランブルした副情報を記録している。よって、光ディスクが不正に複製された場合、基準アドレスの角度位置と、副情報を記録した開始位置の角度位置とに誤差が生じ、正しいタイミングで擬似乱数系列RNを発生することができないので、このような不正ディスクの再生動作を停止することができる。
なお、本実施の形態において、PLL回路38がクロック生成部の一例に相当し、角度計測器39が基準角度抽出部の一例に相当し、光学ヘッド13、乱数発生器19、EOR40、メモリ11及びレーザ強度変調器22が副情報記録部の一例に相当する。
図21は、実施の形態3の光ディスク記録装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。まず、光ディスク記録装置250に光ディスクがローディングされると、スピンドルモータ12によって光ディスクが回転し、基準となるアドレス(M)の位置に光学ヘッド13が移動する。
また、スピンドルモータ12から出力した回転同期信号FSに基づいて、PLL回路38によって回転同期信号FSに同期したクロック信号CKが生成される。
光学ヘッド13は、光ディスクに再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からチャネル信号CSを抽出して、アナログ信号処理器15に出力する。アナログ信号処理器15は、チャネル信号CSに基づいてアナログ再生信号ASを生成して、デジタル信号処理器16に出力する。デジタル信号処理器16は、アナログ再生信号ASを量子化して、2値化したデジタル再生信号DSを生成する。フォーマッタ17は、デジタル再生信号DSから、一定間隔ごとに付与された同期符号を検出して、フレーム単位にフォーマットし、フレームを、同期信号の同期パターンに基づいてアドレス情報ADRを持つアドレスユニットに分割する。
角度計測器39は、PLL回路38から入力されるクロック信号CKに同期したカウンタであり、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRが、予めシステムコントローラ23に設定されている基準アドレスである場合には、そのアドレスの示すアドレスユニットの先頭位置に対応した、クロックのカウント値を抽出して記憶する。本例では、基準アドレスは“M”であり、基準アドレスのアドレスユニットの先頭位置に対応したカウント値は“300”である。
基準アドレス位置のカウント値(角度位置)の計測が完了した後、CAV制御によりスピンドルモータ12の回転を制御し、光ディスク内周の副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッド13を移動させる。光学ヘッド13が副情報記録領域に到達した後も同様に、角度計測器39は、回転同期信号FSに同期したクロック信号CKをカウントする。
メモリ11は、カウント値が、角度計測器39に記憶している基準アドレスのカウント値となる位置から、クロック信号CKに同期して、内部に予め記憶した副情報を1ビットずつ出力する。すなわち、メモリ11は、基準アドレスの角度位置と同じ角度位置から、1ビットずつ副情報を出力する。
乱数発生器19も同様に、基準アドレスの角度位置と同じ角度位置から、1ビットずつ擬似乱数系列RNを出力する。EOR40は、メモリ11からの副情報SDと、乱数発生器19からの擬似乱数系列RNとの排他的論理和を算出することによって、副情報SDをスクランブルした記録データWDを生成する。
レーザ強度変調器22は、EOR40から入力される記録データWDに従って、記録レーザを照射するタイミングや、記録パワーを示した記録パルスWPを生成する。光学ヘッド13は、記録パルスWPを基に光ディスクにレーザ光を照射し、ディスク表面に反射率の変化した追記マークSMKを形成することで、副情報を追記する。
以上のように、光ディスク記録装置250を用いれば、凹凸マークを転写した再生型光ディスクであっても、光ディスクを作成後、凹凸マークの基準アドレスの角度位置と同じ角度位置を開始点として、副情報記録領域に光ディスク1枚ごとに固有の媒体固有情報を記録することができる。
複製元光ディスクと複製先光ディスクとの記録開始点のずれや、線速度や回転速度のずれによって、基準アドレス位置と媒体固有情報を記録する開始点とにずれが生じる。ずれが生じれば、媒体固有情報を再生する開始点がずれ、正しい情報を再生することはできない。よって、不正に複製された光ディスクの再生を禁止することができる。
(3−3)実施の形態3の光ディスク再生装置
次に、実施の形態3の光ディスク再生装置について説明する。図22は、実施の形態3の光ディスク再生装置350の構成を示すブロック図である。図22に示す光ディスク再生装置350は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、PLL回路38、角度計測器39、乱数発生器19、AD41、2値化器42、EOR43、メモリ11及びシステムコントローラ23を備える。
スピンドルモータ12は、光ディスク再生装置350に光ディスクがローディングされると、光ディスクを回転させる。光学ヘッド13は、光ディスクに再生レーザを照射して、その反射光からチャネル信号CSを生成して、アナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから、レーザ光のフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEと、凹凸マークのトラック位置に対してレーザ光の半径位置のズレを示すトラッキングエラー信号TEとを生成して、サーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、チャネル信号CSの凹凸マークに対応した信号成分を抽出して、増幅したり波形等化したりしてアナログ再生信号ASを生成してデジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、フォーカス位置のズレを補正するためのフォーカス制御信号FCを生成し、トラッキングエラー信号TEに基づいて、トラッキング位置を補正するためのトラッキング制御信号TCを生成して、光学ヘッド13に出力する。また、サーボ回路14は、チャネル信号CSに基づいて、再生している半径位置における線速度を算出して、現在の線速度とのずれを判定して、回転数を補正するための回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。
デジタル信号処理器16は、内部に持つPLL回路によって、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出して、クロック信号CKに同期して、入力されるアナログ再生信号ASを量子化し、2値化したデジタル再生信号DSを生成してフォーマッタ17に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSに一定間隔ごとに付与された同期符号を検出してフレーム単位にフォーマットして、同期符号の同期パターンによって、アドレス情報を含むアドレスユニット単位にフレームを分割して、アドレスユニット単位に付与されているアドレス情報ADRを抽出して、角度計測器39に出力する。
PLL回路38は、一般的なPLL回路で構成され、スピンドルモータ12からの回転同期信号FSと内部で発生するクロック信号CKとの位相誤差を算出して、位相誤差が“0”になるように、クロック信号CKの周波数を制御する。したがって、PLL回路38は、回転同期信号FSに同期したクロック信号CKを生成して、AD41、角度計測器39及び乱数発生器19に出力する。
角度計測器39は、PLL回路38から入力されるクロック信号CKをカウントするカウンタで構成され、システムコントローラ23に予め設定された基準アドレスと、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRとが等しいときに、基準アドレスのアドレスユニットの先頭位置における、カウンタのカウント値を抽出して記憶する。すなわち、カウンタは、回転同期信号FSに同期したクロック信号CKをカウントしているため、光ディスクの角度位置を計測していることとなる。基準アドレスの示すアドレスユニットの先頭位置におけるカウント値は、基準アドレスの示すアドレスユニットの先頭位置の角度位置を抽出していることとなる。
角度計測器39によって、基準アドレスの角度位置が抽出された後、システムコントローラ23は、角速度が一定となるCAV制御によってスピンドルモータ12を制御し、ディスク内周の副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッド13を移動させる。
副情報記録領域に光学ヘッド13が移動された後、PLL回路38は、前記と同様に、スピンドルモータ12からの回転同期信号FSに同期したクロック信号CKを生成して、角度計測器39に出力する。角度計測器39は、PLL回路38から入力されるクロック信号CKをカウントして、そのカウント値を角度位置情報ANGとして乱数発生器19に出力する。
乱数発生器19は、角度計測器39に記憶された基準アドレスでのカウント値と、現在のカウント値とが同じである場合、すなわち、基準アドレス位置の角度位置と、現在の角度位置とが同じである場合に、その位置を開始点として、クロック信号CKに同期して、擬似乱数系列RNを1ビットずつ生成してEOR43に出力する。
AD41は、一般的なアナログ−デジタル変換器で構成され、PLL回路38からのクロック信号CKに同期して、アナログ信号処理器15からのアナログ再生信号ASをサンプリングして量子化し、量子化再生信号DASを生成して、2値化器42に出力する。
2値化器42は、AD41から入力される量子化再生信号DASを2値化して2値化再生信号BSを生成してEOR43に出力する。光ディスク再生装置350は、副情報記録領域の再生時において追記マークへのトラッキング制御を行わないので、副情報記録領域の再生信号は、追記マークの存在しない反射光と、追記マークを横断あるいは走査する反射光とに切り分けることができる。2値化器42は、この2つの反射光の違いを2値化して出力する。よって、低域通過フィルタを用いて量子化再生信号DASを所定帯域で平均化した後、2値化すれば、より効率的に2値化することができる。
EOR43は、一般的な、排他的論理和ゲートで構成され、2値化器42からの2値化再生信号BSと、乱数発生器19からの擬似乱数系列RNとの排他的論理和を算出する。乱数発生器19は、実施の形態3の光ディスク記録装置250と同様の構成であるので、記録時に擬似乱数系列RNによってスクランブルされた副情報SDは、EOR43によりデスクランブルされることになる。よって、EOR43は、デスクランブルした副情報SDを生成してメモリ11に出力する。メモリ11は、デスクランブルされた副情報SDを1ビットずつ記憶する。
以上のように、光ディスク再生装置350は、基準となるアドレスの示すアドレスユニットの先頭位置の角度位置を予め抽出し、抽出した角度位置を記録開始点として、光ディスクの副情報記録領域から副情報を再生する。不正に複製された光ディスクは、記録開始点のずれや、線速度や回転数のずれによって基準アドレス位置と副情報の記録開始点とがずれる。よって、正しい開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製された光ディスクから正しい副情報を再生することはできない。
なお、光ディスク再生装置350は、正しい副情報が再生されていないと判断したときは、再生動作を停止させる。正しい副情報であるかの判定方法は、記録時に副情報をエラー訂正符号化して記録しておき、副情報の再生後にエラー訂正を行い、訂正不能やエラーが検出されたときには、正しい副情報が再生できていないとして再生動作を停止する。また、副情報の記録時にMACなどの改竄防止符号を付与して、再生時において検出した副情報からMACを算出して、算出したMACと副情報に付与されているMACとの整合を確認して、整合が無いときは、正しい副情報が記録されていないとして、再生動作を停止する。
なお、本実施の形態において、PLL回路38がクロック生成部の一例に相当し、角度計測器39が基準角度抽出部の一例に相当し、乱数発生器19、AD41、2値化器42、EOR43及びメモリ11が副情報再生部の一例に相当する。
図23は、実施の形態3の光ディスク再生装置の特徴的な動作を示したタイミングチャートである。PLL回路38は、スピンドルモータ12の回転同期信号FSに同期したクロック信号CKを生成する。
また、光学ヘッド13は、光ディスクに再生レーザを照射して、その反射光からチャネル信号CSを生成し、アナログ信号処理器15に出力する。アナログ信号処理器15は、チャネル信号CSに基づいてアナログ再生信号ASを生成して、デジタル信号処理器16に出力する。デジタル信号処理器16のPLL回路は、アナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出するとともに、アナログ再生信号ASを量子化して、2値化したデジタル再生信号DSを生成する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから、一定間隔ごとに付与された同期符号を検出して、フレーム単位にフォーマットし、フレームを、同期符号の同期パターンに基づいて、アドレス情報ADRを含むアドレスユニットに分割する。
角度計測器39は、PLL回路38からの光ディスクの回転に同期したクロック信号CKをカウントして、光ディスクの回転位置(角度位置)を計測する。また、予めシステムコントローラに設定された基準アドレスの示すアドレスユニットの先頭位置におけるカウント値、すなわち基準アドレスの角度位置を算出して記憶する。本例では、基準アドレスが“M”であり、基準アドレスの角度位置が“300”である。
基準アドレスの角度位置の計測が完了した後、角速度が一定となるCAV制御によりスピンドルモータ12の回転を制御し、光ディスク内周の副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッド13を移動させる。
副情報記録領域では、追記マークSMKへのトラッキング制御は行わないで、光ディスクに再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からアナログ再生信号ASが生成される。また、アナログ再生信号ASは、2値化器42で2値化され、追記マークSMKの存在しない領域と追記マークSMKの存在する領域とに分離される。
また、副情報記録領域の再生においても同様に、PLL回路38は、光ディスクの回転に同期したクロック信号CKを生成し、角度計測器39は、クロック信号CKをカウントして、光ディスクの角度位置を算出する。
乱数発生器19は、角度計測器39のカウント値を基に、基準アドレスの角度位置と同等の角度位置から、クロック信号CKに同期して擬似乱数系列RNを1ビットずつ生成する。EOR43は、乱数発生器19で発生した擬似乱数系列RNによって、再生される2値化再生信号BSのデスクランブルを行って副情報SDを再生する。
以上のように、光ディスク再生装置350は、基準アドレス位置の示すアドレスユニットの先頭位置の角度位置を予め抽出し、抽出した角度位置を開始点として、光ディスクの副情報記録領域から副情報を再生する。不正に複製された光ディスクは、記録開始位置のずれや、線速度や回転数のずれによって基準アドレス位置と副情報の記録開始位置がずれる。よって、正しい開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製されたディスクから正しい副情報を再生することはできない。
なお、光ディスク再生装置350は、正しい副情報が再生されていないと判断したときは、再生動作を停止させる。正しい副情報であるかの判定方法は、記録時に副情報をエラー訂正符号化して記録しておき、副情報の再生後にエラー訂正を行い、訂正不能やエラーが検出されたときには、正しい副情報が再生できていないとして再生動作を停止する。また、副情報の記録時にMACなどの改竄防止符号を付与して、再生時において検出した副情報からMACを算出して、算出したMACと副情報に付与されているMACとの整合を確認して、整合が無いときは、正しい副情報が記録されていないとして、再生動作を停止する。
本実施の形態の光ディスク、光ディスク記録装置及び光ディスク再生装置によれば、副情報の記録は、転写された凹凸マークで示されるアドレスのうち基準アドレスの角度位置を再生して、基準アドレスの角度位置を開始点として、副情報記録領域に副情報が記録される。
また、副情報の再生も同様に、転写された凹凸マークで示される記録時と同様の基準アドレスの角度位置を算出して、基準アドレスの角度位置を開始点として、副情報記録領域から副情報を再生することができる。
すなわち、副情報の再生動作によって、凹凸マークの基準アドレスの角度位置が、記録時と再生時とで整合しているか否かが判定される。通常、光ディスクが不正に複製されれば、記録位置のずれや、線速度や回転数の誤差によって、基準アドレスの角度位置と副情報記録位置の角度位置とがずれる。これらの関係がずれれば、副情報を再生する正しいタイミングが生成できないので副情報の再生が不可能となる。これによって、不正な光ディスクの再生を禁止することができる。
また、実施の形態3における光ディスクは、副情報記録領域に副情報を記録する際、角度計測器39のカウンタ値に基づいて、追記マークSMKを記録しない追記マーク未記録領域を設定してもよい。このようにすれば、副情報記録領域内の一部に扇形の領域として、追記マークSMKも、凹凸マークMKも記録されない、いわゆるミラー領域が形成される。また、このミラー領域は、トラッキングを行うトラッキングサーボの追従帯域より広く設けることが望ましい。このようにすれば、例え追記マークSMKにトラッキング制御を行って、追記マークSMKを複製しようとしても、追記マーク未記録領域でトラッキング制御が不可能となって追記マークSMKを複製することが不可能となる。
また、本実施の形態3では、角度位置を抽出するための基準アドレスを予めシステムコントローラ23に設定される固定値として説明したが、これに限らない。例えば、記録時には任意のアドレスを選択しておいて、実施の形態1で説明した媒体IDの変わりに、選択したアドレスを基準アドレスとして記録する。これにより、光ディスク1枚ごとに異なるアドレス位置を基準として副情報が記録されるため、光ディスクの不正な解析を防止することができる。この場合、アドレスは、改竄防止符号を付与したり、暗号化したりして記録することが望ましい。これによって、正式な暗号鍵を持たない海賊版メーカでは、アドレス情報の記録が実質不可能となる。
また、副情報記録領域の再生には、追記マークへSMKのトラッキング制御が行われないので、副情報は、光ディスクの半径方向に複数トラックの範囲で記録することが望ましい。
また、追記マークSMKへのトラッキングを行って副情報を読み出しても、もちろん構わない。この場合は、そもそも追記マーク未記録領域を設けないか、追記マーク未記録領域内ではトラッキング制御を行わないようにして追記マークSMKの再生を行う。また、追記マーク未記録領域も、実施の形態1の媒体IDのように、凹凸マークMKのトラック上の反射膜にレーザ光を照射し、反射率を変化させて記録しても構わない。この場合には、媒体ごとに固有の追記マーク未記録領域を設定することができる。
また、実施の形態3では、角度計測器39によって一回転に360のカウントを行う形態で説明した。これは、光ディスク一回転を円周方向に360分割したブロックで、ブロック内に追記マークが存在するか否かを判定して副情報を抽出している。よって、このブロックの任意ブロックに追記マークSMKや、反射膜を除去した傷ブロックを形成して、どのブロックに追記マークSMKあるいは傷ブロックが存在するかを、例えば実施の形態1の媒体IDとして記録しても良い。
また、実施の形態3では、副情報記録領域の一回転で副情報を再生する形態で説明したが、これに限られない。通常、トラッキング制御なしに追記マークSMKを再生すると、一部の領域では追記マーク間のミラー領域を再生してしまう可能性があるので、このときは正しい副情報の再生は行えない。従って、一回転に半径方向の内周側、あるいは外周側に移動させながら、一回転のタイミングに同期して、再生された2値化再生信号BSを積算して抽出すれば、安定した副情報の再生が可能となる。
また、副情報記録領域を、半径位置に従って複数の領域に分割して、それぞれに異なる基準アドレスを設定したり、異なる乱数系列を設定したりすれば、セキュリティ強度を高めることができる。
また、同様に半径位置に従った複数領域にそれぞれ異なる情報を記録すれば、副情報の記録容量を向上させることが可能となる。
また、実施の形態3では、副情報記録領域には凹凸マークMKが形成されていない形態で説明したが、これに限られない。凹凸マークMK上に追記マークSMKを記録しても、凹凸マークMKの記録帯域は、追記マーク帯域より十分高いので、これらを簡単に分離できるので、安定して追記マークSMKの再生を行うことが可能である。
(4)その他の実施の形態
ここで、実施の形態1及び実施の形態2で説明を省いたが、追記マークの他の記録形態について説明する。実施の形態1では追記マークにより媒体IDが記録され、実施の形態2では追記マークにより物理位置情報が記録される。図24は、その他の実施の形態の追記マークの記録形態を示す概念図である。
実施の形態1及び2において、追記マークの形状及び形成位置は、種々の変更が可能である。図24(A)は、トラック間に間欠的に形成された追記マークを示す図であり、図24(B)は、凹凸マーク状に蛇行して形成された追記マークを示す図であり、図24(C)は、円周方向の間隔が短く、かつ間欠的に形成された追記マークを示す図であり、図24(D)は、凹凸マークの半径方向の長さよりも長く、かつ連続的に形成された追記マークを示す図であり、図24(E)は、凹凸マークの半径方向の長さよりも長く、かつ間欠的に形成された追記マークを示す図である。
図24(A)において、追記マークSMKは、凹凸マークMKのトラック間に、凹凸マークの円周方向の最長マークより低い帯域で、かつ間欠的に形成されている。実施の形態1では、凹凸マークの円周方向の最長マークより低い帯域で1つの追記マークSMKを記録する例を説明したが、間欠的な追記マークにすれば、より一層凹凸マークMKの再生精度への影響を低減することが可能となる。また、トラック間は、凹凸マークMKのトラック間の中心とは限らない。凹凸マークMKのトラック間にトラッキングするとき、トラック位置を予めオフセットさせておくことによって、トラック間の中心位置から外れた位置に追記マークMKが形成される。よって、再生時には、凹凸マークMKのトラックにトラッキングして追記マークSMKを検出するので、追記マークSMKの検出精度を向上することができる。
図24(B)において、追記マークSMKは、凹凸マークMK上に蛇行して形成されている。実施の形態1では、追記マークSMKを円周方向に直線状に形成しているが、本発明は特にこれに限定されず、追記マークSMKを円周方向に蛇行して形成してもよい。
図24(C)において、追記マークSMKは、半径方向に太さが不均一になるように形成されている。このような追記マークSMKは、追記マークSMKを記録するときにレーザ強度を上げたり下げたりして、複数の記録パルス(マルチパルス)で記録して、1つ1つのマルチパルス幅を狭くする、すなわち記録強度のレーザ光が照射される時間を短くすることによって形成される。間欠的ではあるものの、円周方向の追記マークSMKの間隔が接近しているため、追記マークSMKが繋がっている。
図24(D)において、追記マークSMKは、凹凸マークMKよりも半径方向の長さが長く形成されている。追記マークSMKの特性によっては、記録時に凹凸マークMKよりも半径方向に太い追記マークSMKを形成しても、再生時に凹凸マークMKの変調度の方が高くなるケースが知られている。よって、このようなときは凹凸マークMKよりも半径方向に太い追記マークSMKを形成してもよい。
図24(E)において、追記マークSMKは、図24(D)と同様に凹凸マークよりも半径方向の長さが長く、かつ間欠的に形成されている。この場合、間欠的に追記マークSMKが形成されているので、凹凸マークMKの再生精度への影響を低減することが可能となる。
図24(A)〜(E)に示すどのような形態も、本発明の範囲であり、各実施の形態で説明した効果と同様の効果を得るものである。また、本発明は、このような形状には限定されない。凹凸マークを記録して、ディスクを成形後、ディスクの反射率を変化させて追記マークを記録する発明は、全て本発明の範囲である。
また、実施の形態1では追記マークによって媒体IDを記録し、実施の形態2では追記マークによって物理位置情報を記録しているが、本発明はこれに限られない。例えば、ユーザ領域に記録された暗号化コンテンツを復号化するための鍵情報などの復号化に関する情報や、光ディスクが正当であることを示した証明書データ、コンテンツの移動又は複製の許可されている回数、時間及び期間に関する情報、不正ディスクであることを示す情報など、記録されるデジタル著作物に関する情報であればどのような情報でも記録することができる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る光ディスクは、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した後、前記凹凸マーク上に反射膜を形成した光ディスクであって、前記光ディスクが成形された後、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、前記凹凸マークの最長マークよりも長い間隔で、かつ前記チャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、前記反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、前記主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
この構成によれば、光ディスクの凹凸マーク上に反射膜が形成された後、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、凹凸マークの最長マークよりも長い間隔で、かつチャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射される。これによって、反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
したがって、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークの半径方向の幅は、前記凹凸マークの半径方向の幅に比べて狭いことが好ましい。この構成によれば、追記マークの半径方向の幅は、凹凸マークの半径方向の幅に比べて狭いので、再生時において、追記マークを形成することによる反射光レベルの変動を凹凸マークの変調度より小さくすることができ、凹凸マークの再生精度の悪化を軽減することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラック上に形成されていることが好ましい。この構成によれば、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラック上に追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラック間に形成されていることが好ましい。この構成によれば、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラック間に追記マークを形成することができる。また、半径方向に隣接するトラック間に追記マークが形成されるので、凹凸マークの再生精度に影響を与えることなく追記マークを形成することができる。また、凹凸マークのトラック間の反射率を変化させて追記マークか形成されるので、主情報である凹凸マークの再生に何ら影響を与えることがない上、凹凸マークのトラックピッチは追記マークの有無に関係なく同じトラックピッチで形成されるためディスク容量が削減されることはない。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マークを有する第1のトラックと前記第1のトラックに隣接する第2のトラックとの中間位置に形成されていることが好ましい。この構成によれば、凹凸マークを有する第1のトラックと第1のトラックに隣接する第2のトラックとの中間位置に追記マークが形成されるので、凹凸マークの再生精度に影響を与えることなく追記マークを形成することができる。なお、中間位置には、第1のトラックと第2のトラックとの中央部分だけでなく、第1のトラックと第2のトラックとの略中央部分も含まれる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マークを有する第1のトラックと前記第1のトラックに隣接する第2のトラックとの中間位置より、前記第1のトラック側に形成されていることが好ましい。この構成によれば、凹凸マークを有する第1のトラックと第1のトラックに隣接する第2のトラックとの中間位置より、第1のトラック側に追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報の1ビットは、複数の追記マークを伴って記録されていることが好ましい。この構成によれば、複数の追記マークを伴って、1ビットの副情報を記録することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報の1ビットは、間欠的に形成された前記追記マークの集合として記録されていることが好ましい。この構成によれば、副情報の1ビットは、間欠的に形成された追記マークの集合として、1ビットの副情報を記録することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークの円周方向の長さは、前記凹凸マークの円周方向の最短マーク長以下であることが好ましい。この構成によれば、追記マークの円周方向の長さは、凹凸マークの円周方向の最短マーク長以下であるので、凹凸マークの再生精度を悪化させることなく、追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークの円周方向の長さは、前記チャネルビット長以下であることが好ましい。この構成によれば、追記マークの円周方向の長さは、チャネルビット長以下であるので、凹凸マークの再生精度を悪化させることなく、追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークを形成することによって生じる反射光レベルの変動である追記マークの変調度は、前記凹凸マークの反射光レベルと前記凹凸マーク以外の前記反射膜の反射光レベルとの差である凹凸マークの変調度より小さいことが好ましい。
この構成によれば、追記マークを形成することによって生じる反射光レベルの変動である追記マークの変調度は、凹凸マークの反射光レベルと凹凸マーク以外の反射膜の反射光レベルとの差である凹凸マークの変調度より小さいので、追記マークによる影響を抑えつつ、凹凸マークを再生することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークの変調度は、前記凹凸マークの変調度の1/2より平均的に小さいことが好ましい。この構成によれば、追記マークの変調度は、凹凸マークの変調度の1/2より平均的に小さいので、凹凸マークの再生信号のエッジ位置を誤って再生することがなくなり、凹凸マークの再生精度に影響を与えることなく、追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記レーザ光が照射された部分の前記反射膜の反射率を高くすることにより形成されることが好ましい。この構成によれば、追記マークは、レーザ光が照射された部分の反射膜の反射率を高くすることにより形成される。通常、再生専用の光ディスクの金属膜はレーザ光が照射されることによって反射率が下がってしまうので、レーザ光が照射された部分の反射膜の反射率を高くする光ディスクでなければ副情報を記録することができず、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報は、擬似乱数系列によって周波数拡散されて記録されていることが好ましい。この構成によれば、副情報は、擬似乱数系列によって周波数拡散されて記録されているので、反射率の変動を周波数的に解析しようとしても雑音成分と区別することが困難となり、副情報を解析して不正に光ディスクを複製することを防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報は、PE変調が施されて記録されていることが好ましい。この構成によれば、副情報は、PE変調が施されて記録されているので、反射率を変化させる部分と変化させない部分との出現確率が略等しくなり、再生時のトラッキング信号や再生信号に直流成分が付与されてしまうことを回避することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マーク上の前記トラックに直交する方向に形成され、前記副情報は、前記追記マークが形成された領域の前記光ディスクにおける物理的な位置を表す物理位置情報を含むことが好ましい。
この構成によれば、追記マークは、凹凸マーク上のトラックに直交する方向に形成され、副情報には、追記マークが形成された領域の光ディスクにおける物理的な位置を表す物理位置情報が含まれる。したがって、再生時において、凹凸マーク上のトラックに直交する方向に形成された追記マークの物理的な位置を検出し、予め記録されている物理位置情報と比較することにより、不正に複製された光ディスクであるか否かを判断することができ、不正に複製された光ディスクの再生を禁止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク製造方法は、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した光ディスク原盤を作成するマスタリングステップと、前記光ディスク原盤の凹凸マークを、光ディスク基板に転写するスタンプステップと、前記光ディスク基板上に反射膜を形成するスパッタリングステップと、前記スパッタリングステップにおいて前記光ディスクの凹凸マーク上に反射膜が形成された後、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、前記凹凸マークの最長マークより長い間隔で、かつ前記チャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、前記反射膜の光学的特性を変化させて追記マークを形成し、前記主情報を再生するのに必要な副情報を重畳記録する副情報記録ステップとを含む。
この構成によれば、マスタリングステップにおいて、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した光ディスク原盤が作成される。そして、スタンプステップにおいて、光ディスク原盤の凹凸マークが、光ディスク基板に転写され、スパッタリングステップにおいて、光ディスク基板上に反射膜が形成される。スパッタリングステップにおいて光ディスクの凹凸マーク上に反射膜が形成された後、副情報記録ステップにおいて、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、凹凸マークの最長マークより長い間隔で、かつチャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
したがって、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録装置は、予め主情報が凹凸マークによって記録された光ディスクに、前記主情報を再生するのに必要な副情報を重畳記録する光ディスク記録装置であって、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従ってレーザ光が照射される位置を制御するトラッキング部と、前記凹凸マークに再生レーザ光を照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記凹凸マークのチャネルビット長に同期したチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記チャネルクロックの整数倍で、かつ前記再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した記録レーザ光を照射し、前記光ディスクの記録面に形成された反射膜の光学的特性を変化させて追記マークを形成し、前記光ディスクに前記副情報を重畳記録する副情報記録部とを備える。
この構成によれば、トラッキング部によって、予め主情報が記録された凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従ってレーザ光が照射される位置が制御される。そして、再生信号抽出部によって、凹凸マークに再生レーザ光を照射した反射光から再生信号が抽出され、クロック抽出部によって、凹凸マークのチャネルビット長に同期したチャネルクロックが抽出される。続いて、副情報記録部によって、チャネルクロックの整数倍で、かつ再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した記録レーザ光が照射され、光ディスクの記録面に形成された反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、光ディスクに主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
したがって、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク再生装置は、光ディスクの凹凸マークから主情報を再生するとともに、レーザ光が照射されることによって前記光ディスクの反射膜の光学的特性を変化させて形成された追記マークから前記主情報を再生するのに必要な副情報を再生する光ディスク再生装置であって、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って前記レーザ光が照射される位置を制御するトラッキング部と、前記凹凸マークに再生レーザを照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号からチャネルビット長に同期したチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記再生信号から凹凸マークに対応した凹凸マーク再生信号と、前記追記マークに対応した追記マーク再生信号とを分離する分離部と、前記チャネルクロックの整数倍で、かつ前記凹凸マーク再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した前記追記マーク再生信号から前記副情報を再生する副情報再生部とを備える。
この構成によれば、トラッキング部によって、予め主情報が記録された凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従ってレーザ光が照射される位置が制御される。そして、再生信号抽出部によって、凹凸マークに再生レーザを照射した反射光から再生信号が抽出され、クロック抽出部によって、再生信号からチャネルビット長に同期したチャネルクロックが抽出される。続いて、分離部によって、再生信号から凹凸マークに対応した凹凸マーク再生信号と、追記マークに対応した追記マーク再生信号とが分離され、副情報再生部によって、チャネルクロックの整数倍で、かつ凹凸マーク再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した追記マーク再生信号から、主情報を再生するのに必要な副情報が再生される。
したがって、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を再生することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記再生信号から所定間隔で付与されている同期符号を検出する同期符号検出部をさらに備え、前記副情報再生部は、前記同期符号検出部による前記同期符号の検出タイミングに同期して前記副情報を再生することが好ましい。
この構成によれば、同期符号検出部によって、再生信号から所定間隔で付与されている同期符号が検出され、副情報再生部によって、同期符号検出部による同期符号の検出タイミングに同期して副情報が再生される。したがって、再生信号には所定間隔で同期符号が予め付与されており、この同期符号の検出タイミングに同期して副情報が再生されるので、容易に副情報を再生することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記副情報再生部は、相関系列を生成する相関系列生成部と、前記相関系列生成部によって生成された前記相関系列と、前記追記マーク再生信号との相関値を検出する相関検出部と、前記相関検出部によって検出された前記相関値に基づいて前記副情報を再生する再生部とを含むことが好ましい。
この構成によれば、相関系列生成部によって、相関系列が生成され、相関検出部によって、相関系列生成部により生成された相関系列と、追記マーク再生信号との相関値が検出され、再生部によって、相関検出部により検出された相関値に基づいて副情報が再生されるので、生成された相関系列と追記マーク再生信号との相関値に基づいて副情報を再生することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記再生信号から所定間隔で付与されている同期符号を検出する同期符号検出部をさらに備え、前記相関系列生成部は、前記同期符号検出部によって検出された前記同期符号の検出タイミングに同期して前記相関系列を生成することが好ましい。
この構成によれば、同期符号検出部によって、再生信号から所定間隔で付与されている同期符号が検出され、相関系列生成部によって、同期符号検出部により検出された同期符号の検出タイミングに同期して相関系列が生成される。したがって、再生信号には所定間隔で同期符号が予め付与されており、この同期符号の検出タイミングに同期して相関系列が生成されるので、同期符号の検出タイミングに同期して生成された相関系列と追記マーク再生信号との相関値に基づいて副情報を再生することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記分離部は、前記再生信号から、前記凹凸マークに対応した帯域より低い帯域の信号成分を前記追記マーク再生信号として抽出する帯域制限フィルタを含むことが好ましい。
この構成によれば、帯域制限フィルタによって、再生信号から、凹凸マークに対応した帯域より低い帯域の信号成分が追記マーク再生信号として抽出される。したがって、帯域制限フィルタによって、凹凸マーク再生信号と追記マーク再生信号とを分離することが可能となり、互いの再生精度を確保することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記追記マークは、前記凹凸マーク上の前記トラックに直交する方向に形成され、前記副情報は、前記追記マークが形成された領域の前記光ディスクにおける物理的な位置を表す物理位置情報を含み、前記トラックに直交して形成された前記追記マークの前記凹凸マーク位置を基準とした物理位置情報を確認する位置確認部と、前記副情報再生部によって再生された前記副情報に含まれる前記物理位置情報と、前記位置確認部によって確認された前記物理位置情報とを比較する比較部と、前記比較部による比較の結果、前記物理位置情報が一致しない場合、前記主情報の再生を制限する再生制限部とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、追記マークは、凹凸マーク上のトラックに直交する方向に形成され、副情報は、追記マークが形成された領域の光ディスクにおける物理的な位置を表す物理位置情報を含む。そして、位置確認部によって、トラックに直交して形成された追記マークの凹凸マーク位置を基準とした物理位置情報が確認され、比較部によって、副情報再生部により再生された副情報に含まれる物理位置情報と、位置確認部によって確認された物理位置情報とが比較される。その後、再生制限部によって、比較部による比較の結果、物理位置情報が一致しない場合、主情報の再生が制限される。
したがって、不正に複製された光ディスクの場合、記録時の物理位置情報と、再生時の物理位置情報とには相関がなく、これらの物理位置情報は一致しないので、主情報の再生が制限され、不正に複製された光ディスクから情報を再生することを防止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスクは、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより前記主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクであって、前記副情報記録領域は、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置に基づいた記録開始点から、前記レーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えるように追記マークが形成され、前記副情報が重畳記録される。
この構成によれば、光ディスクは、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とが含まれる。そして、副情報記録領域は、主情報記録領域における基準位置の角度位置に基づいた記録開始点から、レーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えるように追記マークが形成され、副情報が重畳記録される。
したがって、不正に複製された光ディスクは、記録開始点のずれや、線速度や回転数のずれによって基準位置と副情報の記録開始点とがずれるため、正しい記録開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製された光ディスクから正しい副情報を再生することはできず、不正に複製された光ディスクから主情報を再生することを防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報記録領域は、前記副情報記録領域における所定角度範囲で、前記追記マークを形成しない追記マーク未記録領域を含むことが好ましい。この構成によれば、副情報記録領域には、追記マークを形成しない追記マーク未記録領域が所定角度範囲で含まれるので、追記マークにトラッキング制御を行って、追記マークを複製しようとしても、追記マーク未記録領域でトラッキング制御が不可能となり、追記マークを複製することが不可能となり、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記基準位置を特定する情報は、前記凹凸マークの円周方向の螺旋状のトラック上にレーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えて記録されていることが好ましい。
この構成によれば、基準位置を特定する情報は、凹凸マークの円周方向の螺旋状のトラック上にレーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えて記録されているので、例えば、記録時において、任意の基準位置を選択し、選択した基準位置を反射膜の反射率を変えて記録する。これにより、光ディスク1枚ごとに異なる基準位置が記録されるため、光ディスクの不正な解析を防止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録装置は、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより前記主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクに前記主情報及び前記副情報を記録する光ディスク記録装置であって、前記光ディスクの回転に同期したクロック信号を生成するクロック生成部と、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置を抽出する基準角度抽出部と、前記基準角度抽出部によって抽出された前記角度位置に基づいて特定される前記副情報記録領域における記録開始点から、前記クロック生成部によって生成された前記クロック信号に同期したレーザ光が照射されることによって前記副情報を重畳記録する副情報記録部とを備える。
この構成によれば、光ディスクには、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とが含まれている。そして、クロック生成部によって、光ディスクの回転に同期したクロック信号が生成され、基準角度抽出部によって、主情報記録領域における基準位置の角度位置が抽出される。続いて、副情報記録部によって、基準角度抽出部により抽出された角度位置に基づいて特定される副情報記録領域における記録開始点から、クロック生成部により生成されたクロック信号に同期したレーザ光が照射され、副情報が重畳記録される。
したがって、不正に複製された光ディスクは、記録開始点のずれや、線速度や回転数のずれによって基準位置と副情報の記録開始点とがずれるため、正しい記録開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製された光ディスクから正しい副情報を再生することはできず、不正に複製された光ディスクから主情報を再生することを防止することができる。
また、上記の光ディスク記録装置において、前記基準位置は、前記凹凸マークで記録されるアドレスにより特定されることが好ましい。この構成によれば、主情報記録領域における基準位置を凹凸マークで記録されるアドレスにより特定することができる。
また、上記の光ディスク記録装置において、前記クロック信号の周期は、前記アドレスの記録されている周期より短いことが好ましい。この構成によれば、クロック信号の周期は、アドレスの記録されている周期より短いので、アドレス周期内に1つ以上の追記マークを記録することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク再生装置は、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより前記主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクから前記主情報及び前記副情報を再生する光ディスク再生装置であって、前記光ディスクの回転に同期したクロック信号を生成するクロック生成部と、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置を抽出する基準角度抽出部と、前記基準角度抽出部によって抽出された前記角度位置に基づいて特定される前記副情報記録領域における再生開始点から、前記クロック生成部によって生成された前記クロック信号に同期して前記副情報を再生する副情報再生部とを備える。
この構成によれば、光ディスクには、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とが含まれている。そして、クロック生成部によって、光ディスクの回転に同期したクロック信号が生成され、基準角度抽出部によって、主情報記録領域における基準位置の角度位置が抽出される。続いて、副情報再生部によって、基準角度抽出部により抽出された角度位置に基づいて特定される副情報記録領域における再生開始点から、クロック生成部により生成されたクロック信号に同期して副情報が再生される。
したがって、不正に複製された光ディスクは、記録開始点のずれや、線速度や回転数のずれによって基準位置と副情報の記録開始点とがずれるため、正しい記録開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製された光ディスクから正しい副情報を再生することはできず、不正に複製された光ディスクから主情報を再生することを防止することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記基準位置は、前記凹凸マークで記録されるアドレスにより特定されることが好ましい。この構成によれば、主情報記録領域における基準位置を凹凸マークで記録されるアドレスにより特定することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記クロック信号の周期は、前記アドレスの記録されている周期より短いことが好ましい。この構成によれば、クロック信号の周期は、アドレスの記録されている周期より短いので、アドレス周期内に1つ以上の追記マークを記録することができる。
本発明に係る光ディスク、光ディスク製造方法、光ディスク記録装置及び光ディスク再生装置は、例え再生専用の光ディスクであったとしても、副情報を記録することができるばかりでなく、その副情報は、不正に他の光ディスクへ複製できないので、光ディスクに記録する主情報の著作権を不正に侵害することのない光ディスク、光ディスク製造方法、光ディスク記録装置及び光ディスク再生装置を提供することが可能となる。
本発明は、CD、DVD及びBlu−rayディスク等の光ディスク、光ディスクを製造する光ディスク製造方法、光ディスクに情報を記録する光ディスク記録装置及び光ディスクから情報を再生する光ディスク再生装置に関するものである。
従来、光ディスクは、安価なデジタル情報の記録媒体として、幅広く利用されている。例えば、Blu−rayディスクは、単層で25ギガバイト、2層で50ギガバイトの容量を持ち、ハイビジョンの良質な映像コンテンツを、2〜4.5時間程度記録することができる。従って、光ディスク容量が増す毎に、1枚の光ディスクに記録されるデジタルコンテンツの価値は高まり、記録されるデジタルコンテンツの著作権の保護が極めて重要な技術課題となっている。
しかしながら、昨今では、光ディスクから不正にデジタルコンテンツを複製する海賊版メーカのような違法な光ディスク製造業者が氾濫している。このことは、デジタル著作物の健全な流通を阻害するとともに、著作権者への正当な利益分配が成されない状況を作り出している。
そこで、例えば、特許文献1には、凹凸マークによってデジタル著作物が記録された光ディスクにおいて、案内溝にトラッキングを行ったレーザ照射によって凹凸マーク上の再生膜の反射率を変化させる技術が開示されている。
この特許文献1に記載の光ディスクを用いることにより、例えばレンタル等に利用される光ディスクであっても、回収を必要としない光ディスクを提供することができる。
また、例えば、特許文献2には、凹凸マークの内、所定長さ以上のマークまたはスペースについて、副のデータ列に基づいて、マークまたはスペースのエッジより所定距離だけ離間した箇所で、局所的に情報記録面の反射率を変化させて、副情報を記録する技術が開示されている。
この特許文献2に記載の発明によれば、凹凸マークのエッジの位置情報に影響を与えないタイミングで、マークまたはスペースの反射率を局所的に変化させる。したがって、マーク列で表される主のデータ列の光ピックアップによる再生に何ら影響を与えることなく、かつ違法コピーを困難にする副情報を記録することができる。
また、例えば、特許文献3には、照射するレーザの光量の強弱で光学的変化を生ずる記録媒体を用い、レーザの光量の強弱によって映像やデータ信号などの信号を変調した第1の信号を既に記録した記録媒体上の同一情報トラックに、第1の信号と帯域の等しい信号によって強度変調され、かつ第1の信号より帯域の低い第2の信号で記録状態のON/OFF制御されたレーザ光を2回以上複数回、記録媒体上の位置を同期して照射し、レーザ光が照射された部分の光学的変化をさらに変化させるよう、第2の信号を重畳記録し、再生時に、第2の信号を分離、再生する情報記録再生方法が開示されている。
この特許文献3に記載の発明によれば、第1の信号の情報の消去を示す情報、あるいは、第1の信号の情報に代わる情報トラックの位置を示す情報として第2の信号を同一情報トラック上に重畳記録することで、その情報トラックの情報の有効/無効、あるいは、その情報トラックの代わりとなり情報トラックの位置を管理するための特別な情報トラックを設けることなく、記録媒体上の情報トラックの管理を実現できる。
また、例えば、特許文献4には、所定のデータが記録されているスパイラル状の第1の情報トラックと、この第1の情報トラックの間の一部領域に形成されており、コピー検出情報が記録されているスパイラル状の第2の情報トラックとを含む光ディスクが開示されている。
この特許文献4に記載の発明によれば、コピーディスク判別のための検出情報を、データ用の第1の情報トラックとは異なる第2の情報トラックに記録することによって、通常の動作に影響を与えることなく、効果的に不正コピーディスクをチェックすることができる。また、第2の情報トラックにセキュリティ情報を記録することによって、セキュリティ情報の不正複製を防止することができる。
特開平9−306030号公報
特許第3454410号公報
特許第2903422号公報
特開平8−147767号公報
しかしながら、これらいかなる方法によっても、光ディスクの製造に要するコストを増大させることなく、かつ主情報の読み取り精度を悪化させることなく、不正複製を防止しながら光ディスクの媒体固有情報を記録することは困難である。また、主情報の記録領域を犠牲にすること無しに、かつ効率的に、不正複製を防止しながら光ディスクの媒体固有情報を記録することは困難である。
何故ならば、特許文献1で開示された発明においては、光ディスク上に一定以上の強度の記録レーザを照射して、その照射部分の反射率を変化させるために予め光ディスク上に案内溝を形成することが開示されている。通常、案内溝と凹凸マークとが形成された光ディスクを作成する場合、光ディスク原盤上に、凹凸マークを記録した後に、凹凸マークを真ん中の位置にするように再度、案内溝を記録するか、案内溝を記録した後に凹凸マークを記録する必要がある。しかしながら、Blu−rayディスクの場合、これらトラック間の位置あわせは、半径方向に数十ナノメートルオーダーの精度が必要となり、通常のマスタリング装置では案内溝と凹凸マークとをともに記録することは困難である。これを実現するためには、特殊なマスタリング装置が必要になり、光ディスクの製造に要するコストの増大は避けられない。
また、特許文献2で開示された発明においては、所定長さ以上のマークまたはスペースのマークエッジから所定距離だけ離間した箇所にレーザ照射を行っている。そのため、予め所定長さ以上のマーク又はスペースを検索して記憶する必要があり、副情報を記録する記録時間を無駄に消費し、光ディスクの製造に要するコストが増大する。また、予め所定長さ以上のマーク又はスペースの存在が分かっている例えば同期符号部のみに副情報を記録する場合、百数十ビットもの媒体固有情報を記録するためには、それ相応の記録領域が必要となる。そのため、この場合においても記録時間又は再生時間を無駄に消費してしまう。
また、特許文献3で開示された発明においては、予め第1の信号が記録された部分を第2の信号で複数回重畳記録し、第2の信号が正常に読み出し可能となるまで繰り返す。従って、予め記録された第1の信号の読み出し精度が悪化し、エラー訂正などで救済可能なディフェクトマージンが悪化する。
また、特許文献4で開示された発明においては、第1の情報トラックの間の一部領域にセキュリティ情報を記録した第2の情報トラックを形成し、第1の情報トラックから1トラックピッチ移動したときに、第2の情報トラックの位置となるように、第1の情報トラック及び第2の情報トラックが配置されることが開示されている。しかしながら、第1の情報トラックの間に第2の情報トラックを形成することは、隣接する第1の情報トラックのトラックピッチを2倍にすることを意味するので、第2の情報トラックを形成することによって主情報を記録する領域を犠牲にすることになる。すなわち、第2の情報トラックの形成によって光ディスク1枚あたりの記録容量は小さくなってしまう。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる光ディスク、光ディスク製造方法、光ディスク記録装置及び光ディスク再生装置を提供することを目的とするものである。
本発明の一局面に係る光ディスクは、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した後、前記凹凸マーク上に反射膜を形成した光ディスクであって、前記光ディスクが成形された後、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、前記凹凸マークの最長マークよりも長い間隔で、かつ前記チャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、前記反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、前記主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
本発明の他の局面に係る光ディスク製造方法は、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した光ディスク原盤を作成するマスタリングステップと、前記光ディスク原盤の凹凸マークを、光ディスク基板に転写するスタンプステップと、前記光ディスク基板上に反射膜を形成するスパッタリングステップと、前記スパッタリングステップにおいて前記光ディスクの凹凸マーク上に反射膜が形成された後、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、前記凹凸マークの最長マークより長い間隔で、かつ前記チャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、前記反射膜の光学的特性を変化させて追記マークを形成し、前記主情報を再生するのに必要な副情報を重畳記録する副情報記録ステップとを含む。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録装置は、予め主情報が凹凸マークによって記録された光ディスクに、前記主情報を再生するのに必要な副情報を重畳記録する光ディスク記録装置であって、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従ってレーザ光が照射される位置を制御するトラッキング部と、前記凹凸マークに再生レーザ光を照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記凹凸マークのチャネルビット長に同期したチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記チャネルクロックの整数倍で、かつ前記再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した記録レーザ光を照射し、前記光ディスクの記録面に形成された反射膜の光学的特性を変化させて追記マークを形成し、前記光ディスクに前記副情報を重畳記録する副情報記録部とを備える。
本発明の他の局面に係る光ディスク再生装置は、光ディスクの凹凸マークから主情報を再生するとともに、レーザ光が照射されることによって前記光ディスクの反射膜の光学的特性を変化させて形成された追記マークから前記主情報を再生するのに必要な副情報を再生する光ディスク再生装置であって、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って前記レーザ光が照射される位置を制御するトラッキング部と、前記凹凸マークに再生レーザを照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号からチャネルビット長に同期したチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記再生信号から凹凸マークに対応した凹凸マーク再生信号と、前記追記マークに対応した追記マーク再生信号とを分離する分離部と、前記チャネルクロックの整数倍で、かつ前記凹凸マーク再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した前記追記マーク再生信号から前記副情報を再生する副情報再生部とを備える。
本発明の他の局面に係る光ディスクは、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクであって、前記副情報記録領域は、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置に基づいた記録開始点から、前記レーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えるように追記マークが形成され、前記副情報が重畳記録される。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録装置は、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクに前記主情報及び前記副情報を記録する光ディスク記録装置であって、前記光ディスクの回転に同期したクロック信号を生成するクロック生成部と、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置を抽出する基準角度抽出部と、前記基準角度抽出部によって抽出された前記角度位置に基づいて特定される前記副情報記録領域における記録開始点から、前記クロック生成部によって生成された前記クロック信号に同期したレーザ光が照射されることによって前記副情報を重畳記録する副情報記録部とを備える。
本発明の他の局面に係る光ディスク再生装置は、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクから前記主情報及び前記副情報を再生する光ディスク再生装置であって、前記光ディスクの回転に同期したクロック信号を生成するクロック生成部と、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置を抽出する基準角度抽出部と、前記基準角度抽出部によって抽出された前記角度位置に基づいて特定される前記副情報記録領域における再生開始点から、前記クロック生成部によって生成された前記クロック信号に同期して前記副情報を再生する副情報再生部とを備える。
本発明によれば、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明はその要点を変更しない範囲において適宜変更して実施することができる。
(実施の形態1)
(1−1)実施の形態1の光ディスク
図1は、実施の形態1に係る光ディスク1の構造を示す概念図である。図1に示す光ディスク1は、クランプ領域CLP、内周側/外周側のコントロール領域CTL及びユーザ領域USRから構成される。
クランプ領域CLPは、光ディスク1をローディングするときの送り部であり、通常、なんら情報を記録していない。
コントロール領域CTLは、ユーザ領域USRの内周側及び外周側の2箇所設けられ、凹凸記録マークによって、光ディスク1の管理情報、著作権情報または物理特性情報などが記録されている。また、光ディスク1の特徴は、内周側のコントロール領域CTLの凹凸マークの成すトラックと同一トラックの凹凸マーク上の反射膜1Lの反射率をレーザ光が照射されることによって局所的に変更することによって媒体ID(媒体固有情報)が記録されている点である。媒体IDは、光ディスクを識別するための情報である。
光ディスク1は、スタンパによる凹凸マークを光ディスク基板1Pに転写して、転写された凹凸マーク上にレーザ照射に応じて反射率の変化する反射膜1Lを蒸着(スパッタリング)して、さらにその上を例えば薄膜シートの付与やスピンコート工法によってカバー層1Cで覆うことによって成形される。光ディスク1の成形後、内周側のコントロール領域CTLの凹凸マークへのレーザ照射によって、媒体IDが、光ディスク1枚1枚に固有の情報として重畳記録される。
光ディスク1の反射膜1Lは、レーザ光が照射されることによって不可逆的な反射率変化をする有機系材料の色素膜で構成されても構わないし、無機の合金材料やTe−O−Pd記録膜などの相変化膜を用いても実現可能である。これらの記録膜は全てある所定強度のレーザ光が照射されることによる熱変動で反射率を変化させることによって情報が記録できる。
図2〜4は、実施の形態1に係る光ディスク1の内周側のコントロール領域CTLの記録面を示す概念図である。
前述のように、本実施の形態1に係る光ディスク1は、例えばポリカなどによってなる光ディスク基板1Pに凹凸マークMKを転写し、その凹凸マーク上にレーザ照射によって反射率が変化する反射膜1Lを蒸着し、内周側のコントロール領域CTLに、レーザ照射によって再生可能な管理情報、著作権情報または物理特性情報などが主情報として記録される。
これら主情報を転写して光ディスクが成形された後、レーザ光が照射されることによって局所的に反射膜1Lの反射率を変化させることによって追記マークSMKを光ディスクに形成して、媒体IDが副情報として重畳記録される。
図2に示す追記マークSMKの特徴は、凹凸マークMKのなすトラック上にレーザ光が照射されることによって追記マークSMKが形成されている。また、追記マークSMKの光ディスクの半径方向における幅は、凹凸マークMKの光ディスクの半径方向における幅よりも狭くなるように形成されている。これによって、再生時の凹凸マークMKの変調度に対して、追記マークSMKを追記することによる反射光レベルの変動を小さくすることができ、凹凸マークMKの再生精度の悪化を小さくすることができる。
また、追記マークSMKを形成することによって生じる反射光レベルの変動である追記マークSMKの変調度は、凹凸マークMKの反射光レベルと凹凸マークMK以外の反射膜の反射光レベルとの差である凹凸マークMKの変調度の1/2より平均的に小さくすることにより、凹凸マークMKの再生信号のエッジ位置を誤って再生することがなくなるので、凹凸マークMKの再生精度に影響を与えない。
また、追記マークSMKの記録帯域は、凹凸マークMKの最長マークの記録帯域より低い。これにより、再生時において帯域制限回路(フィルタ)によって、凹凸マークMK及び追記マークSMKを分離することが可能となり、互いの再生精度を確保することができる。
図3に示す追記マークの特徴は、凹凸マークMKのなすトラック上にレーザ光が照射されることによって追記マークSMKが形成されている。また、追記マークSMKは、凹凸マークMKの最長マークの記録帯域より低い帯域で、離散的に形成される。また、この離散的に形成される1つの追記マークSMKのトラック方向の幅は、凹凸マークMKの最短マークより小さくなるように形成され、凹凸マークMKを記録するチャネルビット長より小さくなるように形成される。これによって、追記マークSMKは、ミクロ視点では凹凸マークMKより記録帯域が高く、マクロ視点では凹凸マークMKより記録帯域が低くなる。したがって、再生時において、帯域制限回路(フィルタ)によって凹凸マークMKと追記マークSMKとを分離することが可能となり、互いの再生精度を確保することができる。
また、図3に示す追記マークSMKは、離散的に形成されるので、反射光レベルの変動量を図2に示す追記マークSMKの反射光レベルの変動量よりも小さくすることが可能となり、凹凸マークMKの再生精度の影響をさらに軽減することができる一方、図3に示す追記マークSMKの再生精度は、図2に示す追記マークSMKの再生精度よりも劣る。
図4に示す追記マークSMKの特徴は、凹凸マークMKのトラック間の反射膜1Lの反射率をレーザ照射によって変化させて追記マークSMKが形成される。また、図4に示す追記マークSMKも、図2,3に示す追記マークSMKと同様、凹凸マークMKの最長マークの記録帯域より低い記録帯域で記録される。したがって、図4に示す追記マークSMKは、凹凸マークMKの再生精度になんら影響を与えない点で図2,3に示す追記マークSMKより優れている一方、記録時において、トラック間にトラッキング制御を行うための構成を追加する必要がある点で劣る。
以上、図2〜4に示した追記マークSMKによって、凹凸マークMKの再生精度の影響を軽減しつつも、成形後の光ディスク1に対して媒体ごとに固有の識別情報を記録することができる。
また、本実施の形態1の光ディスク1は、レーザ光が照射されることによって反射率が向上する反射膜1Lを用いることが望ましい。なぜなら、通常の再生専用光ディスクの金属膜などによる反射膜は、レーザ光が照射されることによってその反射率が低減するため、レーザ光が照射されることによって反射率を向上させる光ディスクであれば、不正な複製を防止する効果が向上する。このような反射膜は、有機系の色素膜を利用したり、相変化膜を用いて上記特性となるよう初期化しておくことによって実現可能である。
(1−2)実施の形態1の光ディスク製造方法
図5は、実施の形態1における光ディスク製造方法を示す模式図である。実施の形態1における光ディスク製造方法は、オーサリング工程100、第1の製造工程200、第2の製造工程300及び検査工程400を含む。
オーサリング工程100は、光ディスクに記録されるコンテンツデータを鍵管理機構により作成される暗号鍵(マスター鍵)で暗号化した後、光ディスクフォーマットにオーサリングする工程である。オーサリングされたコンテンツデータは、第1の製造工程200に出力される。
第1の製造工程200は、入力工程201、マスタリング工程202、スタンプ工程203、スパッタリング工程204及び保護膜付与工程205の手順で行われ、媒体IDが記録されていない光ディスクを成形する工程である。
入力工程201は、オーサリング工程100において作成されたコンテンツデータが入力される工程である。
マスタリング工程202は、オーサリング工程100から入力されるオーサリングされたコンテンツデータを基に、ホトレジストを付与したガラス原盤にレーザあるいは電子ビームを露光して現像することで凹凸マークをカッティングしたディスク原盤を作成する工程である。
マスタリング工程202によって作成されたディスク原盤は、その後凹凸マークの形成された記録面側にメッキされスタンパが作成される。スタンプ工程203は、このスタンパを複製する、いわゆる複製工程であって、透明樹脂を射出成形することによって凹凸マークを転写した光ディスク基板1Pを作成する工程である。
スパッタリング工程204は、スタンプ工程203で作成された凹凸マークの転写された光ディスク原盤の凹凸マーク上に反射膜をスパッタリングあるいは蒸着する工程である。この反射膜は、色素膜で構成されても構わないし、無機の合金材料やTe−O−Pd記録膜などの相変化膜でも構わない。すなわち、これらの反射膜は、一定強度のレーザ光が照射されることによって記録膜の反射率が変化し、不可逆的な記録マークを形成可能な反射膜である。本実施の形態の光ディスク製造方法は、通常の光ディスク製造方法と比較しこの部分が特徴的である。
保護膜付与工程205は、スパッタリング工程204において反射膜の付与された光ディスク基板1Pに対して、薄膜の保護シートを付与したり、スピンコートによって薄膜形成したりして、凹凸マーク上に保護膜1Cを形成する工程である。
以上の工程201〜205からなる第1の製造工程200によって、凹凸マークが形成され、その上にレーザ光が照射されることで反射率を変化させることのできる反射膜が付与された光ディスクが製造され、第2の製造工程300へと移行する。
第2の製造工程300は、鍵管理機構から発行されるデジタル証明書やメッセージ識別子(MAC:Message Authentication Code)などの認証符号が付与された媒体IDを光ディスク記録装置(副情報記録装置)6によって第1の製造工程200において作成された光ディスクに記録する工程である。
光ディスク記録装置6は、光ディスクの凹凸マークを再生するとともに、凹凸マークのアドレスに基づく所定タイミングで記録強度のレーザ光を照射することで、凹凸マーク上の反射膜の反射率を変化させることによって媒体IDを記録する。なお、光ディスク記録装置6の構成については、“(1−3)実施の形態1の光ディスク記録装置”で詳細に説明する。本工程によって媒体IDが光ディスクに記録され、次の検査工程400に移行する。
検査工程400は、第2の製造工程300において記録された媒体IDが正常に記録されたか否かを光ディスク再生装置7によって検査する工程である。なお、光ディスク再生装置7は、第2の製造工程300における光ディスク記録装置6と同じ装置を用いて実現してもよいし、異なる2つの装置を用いて実現してもよい。
光ディスク再生装置7は、光ディスクの凹凸マークを再生し、凹凸マークのアドレスに基づく所定タイミングから、相関系列を生成し、照射されたレーザ光の反射光から得られる再生信号と、相関系列との相関積分を行うことによって媒体IDを検出する。なお、本検査工程400における正常な媒体IDが記録されているか否かの判定方法は、予め媒体IDに付与されているパリティビットによってエラー訂正を行い、その結果のエラービット数から判定してもよいし、相関積分を所定時間内で行い、その結果の相関積分値を予め定められた閾値によって閾値判定し、閾値よりも高い相関積分値が検出された場合に正常であると判断してもよい。また、光ディスク再生装置7の構成については、“(1−4)実施の形態1の光ディスク再生装置”で詳細に説明する。
最後に、本検査工程400において、正常に媒体IDの記録された光ディスク5は、完成品として出荷される。
以上より、本実施の形態1の光ディスク製造方法を用いれば、入力工程、マスタリング工程、スタンプ工程、スパッタリング工程及び保護膜付与工程によって製造される再生専用光ディスクであったとしても、光ディスク1枚ごとに固有の媒体IDを追加記録することができる。しかも、通常の光ディスク記録装置、光ディスク再生装置から大きく構成要素を変えることの無い装置によって、光ディスクに媒体IDを記録する第2の製造工程や光ディスクに媒体IDが記録されていることを検査する検査工程400を実現することができるので、光ディスクの製造コストが増大することは無い。また、媒体IDは、凹凸マーク再生時の反射光の微少変化を検出することにより抽出され、具体的には、凹凸マークの再生信号と、内部で秘密に発生させる相関系列との相関積分によって抽出される。そのため、媒体IDを知りえない海賊版メーカによって光ディスクが作成されたり、複製されたりすることを防止できる。また、媒体IDを記録する追記マークは、レーザ光が照射されることによって反射率を変化させて記録するため、保護膜1Cを剥離して転写する不正複製方法にも十分な耐性がある。
(1−3)実施の形態1の光ディスク記録装置
図6は、実施の形態1の光ディスク製造方法の第2の製造工程において用いられる光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。光ディスク記録装置6は、第1の製造工程200において光ディスクが成形された後、凹凸マーク上にレーザ光が照射されることによって反射率が変化する反射膜が付与された光ディスクに、鍵管理機構によって認証符号の付与された媒体IDを重畳記録する。
図6に示す光ディスク記録装置6は、メモリ11、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、タイミング生成器18、乱数発生器19、EOR20、PE変調器21、レーザ強度変調器22及びシステムコントローラ23を備える。
メモリ11は、予め鍵管理機構から受信した媒体IDを記憶する。なお、媒体IDは、通常、媒体ごとに固有になるように一枚一枚に更新する情報である。
スピンドルモータ12は、第1の製造工程200において作成された媒体IDが未記録の光ディスク241がドライブに挿入されると、挿入された光ディスク241に対応した回転数で光ディスク241を回転させる。
光学ヘッド13は、光ディスク241の回転数が目的の回転数に達したときに再生強度のレーザ光を光ディスク241に照射して、その反射光からチャネル信号CSを生成してアナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSに基づいて、フォーカス位置のズレを示したフォーカスエラー信号FE及び凹凸マークに対するトラッキング位置のズレを示したトラッキングエラー信号TEを生成してサーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSを波形等化したり、増幅したりして凹凸マークに対応したアナログ再生信号ASを生成してデジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるトラッキングエラー信号TE及びフォーカスエラー信号FEに基づいて、レーザ光のスポット位置のフォーカス位置及びトラッキング位置を制御するフォーカス制御信号FC及びトラッキング制御信号TCを生成して光学ヘッド13に出力する。光学ヘッド13は、これらの制御信号を基にフォーカス位置及びトラッキング位置を微調整する。また、サーボ回路14は、半径位置に従って回転数を微調整するための回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。スピンドルモータ12は、サーボ回路14から入力される回転制御信号SCに従って回転数を微調整する。
デジタル信号処理器16は、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASから2値のデジタル再生データを抽出する。デジタル信号処理器16は、内部にPLL(Phase Locked Loop)回路を備え、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに基づいて、同期するクロック信号CKを抽出するとともに、抽出したクロック信号CKでアナログ再生信号ASをサンプリングして量子化した後、2値化してデジタル再生信号DSを生成し、フォーマッタ17に出力する。また、デジタル信号処理器16は、抽出したクロック信号CKをタイミング生成器18に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから一定間隔で付与されている同期符号を検出して、フレーム構造にフォーマットし、複数フレームからなりアドレス情報を持ったセクタ(アドレスユニット)単位に分割して、アドレス情報ADRを再生するとともに、アドレス情報ADRをタイミング生成器18及び乱数発生器19へ出力する。また、フォーマッタ17は、同期符号の検出タイミングを示す同期符号検出タイミング信号SYをタイミング生成器18に出力する。
タイミング生成器18は、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKに同期して入力されるアドレス情報ADRから媒体IDを記録するタイミングを生成する。タイミングは、媒体IDの1ビットを記録する区間を示すサブフレームのタイミングを示し、クロック信号CKと同期符号検出タイミング信号SYとに同期したカウンタによって生成される。カウンタによって生成されたサブフレーム位置を示すサブフレームカウント値CNTは、乱数発生器19及びメモリ11に出力される。また、タイミング生成器18は、同様のカウンタにて、記録する媒体IDに、追記マークの外周側への変位確率と内周側への変位確率を略等しくするためのPE変調を施すためのPE変調信号PEを生成して、PE変調器21に出力する。また、タイミング生成器18は、乱数系列に初期値をプリセットするためのタイミングである初期値セットタイミング信号SETを生成して、乱数発生器19に出力する。
乱数発生器19は、タイミング生成器18から入力される初期値セットタイミング信号SETの出力タイミングで、フォーマッタ17からのアドレス情報ADRを初期値としてプリセットする。また、乱数発生器19は、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTが更新されるタイミングで1ビットずつ擬似乱数系列RNを生成してEOR20に出力する。なお、本実施の形態では、初期値としてアドレス情報ADRを用いているが、本発明はこれに限らない。アドレス情報ADRを一方向性関数などでデータ変換すれば、この方法を知らない海賊版メーカは同様の乱数系列を生成することができないので不正に媒体IDを記録されることへの耐性は向上する。また、内部に秘密に持った初期値で実現してもよいし、媒体上に凹凸マークとして記録してもよい。また、乱数発生器19は、シフトレジスタで構成される一般的なM系列発生器で構成され、サブフレームカウント値が更新されるタイミングで、内部のシフトレジスタをシフトして、擬似乱数系列を1ビットずつ生成する。
メモリ11は、予め記憶している鍵管理機構から受信した媒体IDを、タイミング生成器18からのサブフレームカウント値CNTに基づいて、カウント値に対応するビットを取り出して、副情報SDとしてEOR20に出力する。
EOR20は、一般的な排他的論理和ゲートで構成され、乱数発生器19から入力される擬似乱数系列RNの1ビットと、メモリ11から入力される媒体IDの1ビットとの排他的論理和を算出して拡散副情報RSDを生成して、PE変調器21に出力する。
PE変調器21もEOR20と同様に、一般的な排他的論理和ゲートで構成され、EOR20から入力される拡散副情報RSDと、タイミング生成器18から入力されるPE変調信号PEとの排他的論理和を算出することによって拡散副情報RSDにPE変調を施してPE変調後拡散副情報PRSDを生成してレーザ強度変調器22に出力する。
レーザ強度変調器22は、PE変調器21から入力されるPE変調後拡散副情報PRSDの“H”の区間で、レーザに流れる電流を上げ、記録強度のレーザ光を照射するための記録パルスWPに変調し、光学ヘッド13に出力する。このレーザ照射強度変調は、レーザ強度を高速に上下させるマルチパルスの形態でも良いし、再生強度より強い一定強度のレーザ光を照射する形態でも構わない。少なくとも、レーザ光が照射されることによって反射膜の反射率が変化する形態であればどのようなレーザ照射方法でも構わない。
光学ヘッド13は、サーボ回路14によって凹凸マークのトラックにトラッキング制御しつつ、レーザ強度変調器22からの記録パルスWPによってレーザに流れる電流量をコントロールすることでレーザ強度の強弱を調整して光ディスク241の反射膜に照射し、凹凸マーク上に反射率が変化した追記マークを形成することによって媒体IDを重畳記録する。
なお、本実施の形態において、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14及びアナログ信号処理器15がトラッキング部の一例に相当し、アナログ信号処理器15が再生信号抽出部の一例に相当し、デジタル信号処理器16がクロック抽出部の一例に相当し、メモリ11、光学ヘッド13、フォーマッタ17、タイミング生成器18、乱数発生器19、EOR20、PE変調器21及びレーザ強度変調器22が副情報記録部の一例に相当する。
次に、光ディスク記録装置6の動作について、本実施の形態の光ディスクがBlu−ray ROMディスクである場合を例に詳細に説明する。図7は、実施の形態1における光ディスク記録装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
Blu−ray ROMディスクは、1つのエラー訂正を行う単位(ユーザデータで64キロバイト)であるPhysical Clusterがトラック上に連続して記録される。また、Physical Clusterは、アドレス情報ADRを持った16のアドレスユニットからなる。また、アドレスユニットは、同期符号を持った31のフレームによって構成される。また、1フレームは、1932チャネルビットで構成される。
従って、光ディスク記録装置6のフォーマッタ17は、デジタルリードチャネルからのデジタル再生信号DSから同期符号を検出してフレーム構造にフォーマットするとともに、同期符号のパターンによってアドレスユニット中の何番目のフレームかを判定しながら、アドレス情報ADRの記録されている単位であるアドレスユニットに分割する。
また、光ディスク記録装置6のタイミング生成器18は、1フレームを138チャネルビット単位に“+1”のカウントすることによって、媒体情報の1ビットを記録するサブフレームをカウントして、サブフレームカウント値CNTを生成して乱数発生器19とメモリ11に出力する。また、タイミング生成器18は、信号として図示しないがサブフレーム内の前半の69チャネルビットが“L”で、後半の69チャネルビットが“H”となるようなPE変調信号PEを生成してPE変調器21に出力する。
メモリ11は、予め記憶した媒体IDを、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTの更新されるタイミングで、1ビットずつサブフレームカウント値CNTに対応した副情報SDとして取り出してEOR20に出力する。
乱数発生器19は、同様に入力されるサブフレームカウント値CNTの更新されるタイミングで1ビットずつ擬似乱数系列RNを発生して、EOR20に出力する。なお、本実施の形態では、媒体IDの記録を開始するターゲットアドレスを“N”として説明する。よって、タイミング生成器18から乱数発生器19の初期値をセットする初期値セットタイミング信号SETは、アドレスNのアドレスユニットの開始先頭より前に出力され、乱数発生器19のM系列発生シフトレジスタに初期値がセットされている。なお、本初期値は前述のように、予め一方向性関数などによってデータ変換されたアドレスを用いても良いし、内部で秘密に記憶している初期値を用いても良い。また、Blu−rayは、実際にはアドレスユニットの先頭にアドレスが記録されているわけではなくBIS Clusterというアドレスユニット内の離散的な領域に記録されているため、アドレスユニット先頭では、これから来るアドレスを確定していない。従って、追記マークを記録するターゲットアドレスのアドレスユニット直前のアドレスユニットからアドレスを抽出して、それに“+2”をしたアドレスを乱数発生器19の初期値として用いる(Blu−rayディスクでは、アドレスユニットごとにアドレスが“+2”されている為)。
EOR20は、乱数発生器19から入力される疑似乱数系列RNと副情報SDとのサブフレーム内の1ビットごとに排他的論理和を算出して拡散副情報RSDを生成し、PE変調器21に出力する。
PE変調器21は、入力されるPE変調信号PEと拡散副情報RSDとの排他的論理和を算出することによって拡散副情報RSDにPE変調を施してPE変調後拡散副情報PRSDを生成してレーザ強度変調器22に出力する。
レーザ強度変調器22は、PE変調器21から入力されるPE変調後拡散副情報PRSDの“L”の部分で再生強度のレーザ光を照射し、“H”の部分で記録強度のレーザ光を照射する。レーザ強度変調器22は、PE変調後拡散副情報PRSDの“H”のタイミングで記録レーザ光を照射して反射膜の反射率を変化させることによって追記マークを形成する。
以上のように、光ディスク記録装置6は、複写によって形成される凹凸マークMKのトラック上に、レーザ光を照射することによって追記マークを形成することによって媒体IDを重畳記録する。よって、媒体IDを記録していない凹凸マークのトラック上に追記マークを形成して媒体IDの記録された光ディスクを作成することができる。
なお、本実施の形態のように凹凸マーク上に、凹凸マークの最長マーク長よりも大きい追記マークを形成する場合においては、凹凸マークの再生精度の影響を避けるためにも、再生時の凹凸マークの変調度特性に比べ、追記マークを記録することによる反射光レベルの変動を小さくする必要がある。これには、半径方向の追記マーク幅を凹凸マークの幅より小さくすることによって実現することが可能となる。一般的に、照射するレーザ光の強度の特定領域では、レーザ強度に応じて単調増加的に記録マーク幅が変化することが知られているので、レーザ強度を小さくして凹凸マーク幅以下の追記マーク形成を実現することができる。レーザ強度の調整には、高出力のパワー照射を行う時間を調整したり、レーザに流す電流値を制御してパワーの強度自体を調整したりして、凹凸マークの幅より小さい追記マークを記録することが可能となる。
次に、図4あるいは図7に示すように、レーザ光を照射することによって反射率を変化させて記録する追記マークが、凹凸マークで構成されるトラック間に形成されるときの光ディスク記録装置6の動作について補完的に説明する。
この場合も上述と同様に追記マークを形成するターゲットアドレスが“N”であった場合は、図6の光ディスク記録装置の追加動作として、フォーマッタ17は、アドレス“N”を持つアドレスユニットの先頭位置でトラックジャンプ信号TJを生成し、サーボ回路14及びデジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、フォーマッタ17から入力されるトラックジャンプ信号TJに基づいて、トラッキング位置を半トラック分移動させる。このときのサーボ回路14のトラッキング制御方法は、レーザスポットの反射光に対してディスクの内周側の明度と外周側の明度の差が“0”になるようにトラッキング位置を制御するプッシュプル法が望ましい。なぜなら、プッシュプル法では、内周側及び外周側の明度差に基づいた制御であるのでスポットの中心に凹凸マークが無くても安定してトラッキング制御が可能となる。つまり、中心に凹凸マークがないトラック間でも安定にトラッキング制御を行うことができる。また、プッシュプル法では、凹凸マークのトラック間にトラッキング制御を行ったときと、トラック中心に制御を行ったときとでは、内周側/外周側の明度差と、実際にスポット位置を内周/外周に制御する関係が反転するため、プッシュプル制御の極性をトラックジャンプ時に反転させて制御を行う。
また、デジタル信号処理器16は、フォーマッタ17から入力されるトラックジャンプ信号TJのタイミングから、追記マークを記録する領域内で、内部に持つPLL回路の発振周波数を固定し、出力するクロック周波数を保持する。通常、トラック間にトラッキング制御をしたとき、凹凸マークの安定した再生信号が得られず、PLL回路の発振を固定することができず、追記マークを意図した位置に形成できないという問題があるが、クロック周波数を固定することによってこの問題を解決することができる。
また、通常、PLL回路の発振周波数をロックしたとしても、記録時間が長ければ凹凸マークとクロックとの同期がはずれ、追記マークの形成位置がずれるという問題がある。このため、追記マークを例えば複数のPhysical Cluster単位、あるいは複数のアドレスユニット単位で形成し、追記マークを形成する度に、ターゲットアドレスの手前でPLL回路の周波数を凹凸マークの周波数に追従させる。これにより、記録時間は多少増大するものの、安定して追記マークの形成が可能となる。
サーボ回路14は、追記マークを形成するターゲットアドレスを持つアドレスユニットの先頭位置で、トラック間にトラック位置を制御させる。その後、PE変調器21は、乱数発生器19で発生された擬似乱数系列RNによって副情報SDをスクランブルした拡散副情報RSDにPE変調を施す。そして、レーザ強度変調器22は、PE変調後拡散副情報PRSDに基づいて、光ディスクに照射するレーザ強度を変調して照射し、凹凸マークによるトラックのトラック間に追記マークを形成する。このようにして、媒体IDをトラック間に記録することが可能となる。
このようにすれば、追記マークを凹凸マークのトラック間に形成することが可能となり、凹凸マークの再生精度に一切影響を与えることなく、媒体IDを記録することが可能となる。
なお、通常、トラック間に反射率を変化させた追記マークを形成した場合、再生時に凹凸マークにトラッキングを制御するときのトラッキング誤差信号に直流成分が入り込み、正常にトラッキング動作を行うことができるか懸念される。しかしながら、本実施の形態では、トラック間に形成する追記マークにPE変調を施した記録パルスを使用するので、追記マークが形成された領域と形成されない領域が50%の確率で存在する。トラッキング制御を行う帯域では、トラック間の反射率は、常に追記マークの反射率と追記マーク以外の反射率の平均となるため余計な直流成分は出力されない。
次に、図3あるいは図7に示すように、レーザ光を照射することによって凹凸マークのトラック上に間欠的な追記マークを形成することによって媒体IDを記録する時の光ディスク記録装置6の記録動作について補完的に説明する。
この場合も上述と同様に追記マークを形成するターゲットアドレスが“N”であった場合は、図6の光ディスク記録装置の追加動作として、タイミング生成器18は、アドレス“N”を持つアドレスユニットの先頭位置から、追記マークの形成を行う領域内で、138チャネルビット単位に“+1”のカウントを行う前述のサブフレームカウンタから、3チャネルビットに1発の記録ゲート信号WGを生成して、レーザ強度変調器22に出力する。記録ゲート信号WGは、サブフレームカウンタのカウント値を3で除算した余が“0”となるタイミングで出力すれば生成可能である。
PE変調器21は、乱数発生器19で発生した擬似乱数系列RNによって副情報SDをスクランブルした拡散副情報RSDにPE変調を施し、PE変調後拡散副情報PRSDをレーザ強度変調器22に出力する。レーザ強度変調器22は、PE変調後拡散副情報PRSDと、タイミング生成器18からの記録ゲート信号WGとの論理積を算出した信号に基づいて、レーザ光を照射するための記録パルスWPを生成し、記録パルスWPを光学ヘッド13へ出力する。光学ヘッド13は、記録パルスWPに基づいて光ディスク上の凹凸マークのトラック上に記録強度のレーザ光を照射することによって、間欠的に追記マークを形成する。このようにして、トラック上に媒体IDを間欠的に記録することができる。
このようにすれば、追記マークを凹凸マークの3チャネルビット間に1チャネルビット分だけ記録することができ、凹凸マークの再生精度への影響を低減させることが可能となる。また、追記マークを間欠的に記録することにより、目視による追記マークの判別をより困難にすることができ、副情報が光ディスクのどの位置に記録されているかの判別をより困難にすることができる。
なお、本実施の形態では、追記マーク長を凹凸マークの1チャネルビット分で説明したがこれに限るものではない。例えば、通常、光ディスク記録装置は、チャネルクロックより細かい単位で記録パルスの照射タイミングを変調するタイミング変調器(記録補償回路)を有している。これを用いれば、チャネルビット長よりも小さい領域にレーザ光を照射し、追記マークを形成できる。また、追記マーク長が凹凸マークの最短マーク長(Blu−rayディスクでは2チャネルビット)以下であれば、凹凸マークと追記マークとの分離が可能である。そのため、追記マーク長が凹凸マークの最短マーク長以下となるようにレーザ光を照射し、追記マークを形成してもよい。
また、凹凸マークの最短マーク長より大きい追記マークを離散的に形成することも本発明の範囲である。凹凸マークの最長マーク長より長い追記マークの記録方法については前述の通りである。しかしながらこの場合には、凹凸マーク長より半径方向に幅の狭い追記マークを形成することが望ましい。
以上のように、本実施の形態の光ディスク記録装置によって、凹凸マークのトラック上の反射膜にレーザ光を照射し、媒体固有の媒体IDを光ディスクに記録することができる。また、本実施の形態の光ディスク記録装置は、一般的な光ディスク記録装置に対して、絶大なコストアップとなる構成要素を必要としないで媒体IDの記録を実現できる。また、光ディスク1枚ごとに異なる媒体IDを利用すれば、ネットワーク越しの認証サーバによって媒体を管理する、ネットワークベースの著作権管理を実現可能な光ディスクを提供することができる。
なお、本実施の形態では、1フレームに14ビットの媒体IDを記録する方法を開示したが、本発明はこれに限るものではない。本発明の主眼は、フレーム構造に同期して媒体IDを記録することであり、例えば、1フレームに1ビットの媒体IDを記録してもよいし(この場合は、フレーム=サブフレームとなる)、2フレームに1ビットの媒体IDを記録してもよい(この場合は、フレーム<サブフレーム)。
また、フレーム同期に重要な役割のある同期符号の記録されている領域、アドレスの記録されている領域または特定フレームの領域には追記マークを記録しない方法も考えられる。このようにすれば、凹凸マークの再生精度の悪化を極力防ぐことが可能となる。
また、追記マークの再生信頼性を向上させるために、同じビットを複数の離散した領域に複数回記録してもよい。これによって、光ディスク上に傷や埃などがあって読み取り精度の悪い領域があったとしても、繰り返し同じビットが記録されているので、媒体IDのリーダビリティを向上させることができる。
さらに、媒体IDにエラー訂正符号が付与されていれば、媒体IDの再生信頼性をさらに向上させることが可能である。この場合、エラー訂正のためのパリティビットは、本実施の形態で開示した光ディスク記録装置内で付与してもよいし、鍵管理機構で付与してもよい。また、エラー検出コードが付与されている場合、パリティによる誤訂正を判断できるためなおよい。
(1−4)実施の形態1の光ディスク再生装置
図8は、実施の形態1の光ディスク製造方法の検査工程において用いられる光ディスク再生装置(検査装置)の構成を示すブロック図である。第2の製造工程300では、凹凸マーク上にレーザ光を照射し、反射膜の反射率を変化させることにより追記マークを形成し、媒体IDが重畳記録された光ディスクを作成している。光ディスク再生装置7は、第2の製造工程300において媒体IDが記録された光ディスクから媒体IDを再生し、光ディスクに正常に媒体IDが記録されているかを検査する。
図8に示す光ディスク再生装置7は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、エラー訂正器24、タイミング生成器18、乱数発生器19、PE変調器21、LPF25、2値化器26、相関積分器27、メモリ11、再生精度算出器28、認証符号検証器29及びシステムコントローラ23を備える。なお、光ディスク再生装置7の構成要素は、前述の実施の形態1の光ディスク記録装置6と同一装置内に実装されても良い。
スピンドルモータ12は、光ディスク再生装置7に光ディスク241が挿入されると、挿入された光ディスク241に対応した回転数で光ディスク241を回転させる。
光学ヘッド13は、スピンドルモータ12によって挿入された光ディスク241の回転数が目的の回転数に達した後、光ディスク241に再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からチャネル信号CSを生成してアナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSに基づいて、レーザスポット位置の半径方向のズレを示すトラッキングエラー信号TEとレーザスポットのフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEとを抽出して、サーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSを波形等化したり、増幅したりして凹凸マークに対応したアナログ再生信号ASを抽出してデジタル信号処理器16及びLPF25に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるフォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカス位置のズレ量を補正するためのフォーカス制御信号FCを算出するとともに、トラッキングエラー信号TEに基づいてトラッキング位置のズレ量を補正するためのトラッキング制御信号TCを算出して光学ヘッド13に出力する。光学ヘッド13は、これらの制御信号を基にレーザスポットのフォーカス位置とトラッキング位置を補正してレーザ光を照射する。また、サーボ回路14は、再生信号に基づいて線速度を算出し、回転数を制御するための回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。スピンドルモータ12は、サーボ回路14から入力される回転制御信号SCに基づいて回転数を補正する。
デジタル信号処理器16は、内部にPLL(Phase Locked Loop)回路を備え、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出するとともに、抽出したクロック信号CKでアナログ再生信号ASをサンプリングして量子化した後、2値化してデジタル再生信号DSを生成し、フォーマッタ17に出力する。また、デジタル信号処理器16は、抽出したクロック信号CKをタイミング生成器18及び2値化器26に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから一定周期ごとに付与されている同期パターンを検出し、デジタル再生信号DSをフレーム構造にフォーマットする。また、フォーマッタ17は、同期パターンに基づいて、所定数のフレームのアドレスを含む集合をアドレスユニット単位にフォーマットする。また、フォーマッタ17は、アドレスを基に、エラー訂正を行うPhysical Cluster単位にフォーマットする。このようにフォーマットされた再生信号はフォーマットデータFDとしてエラー訂正器24に出力される。また、フォーマッタ17は、フレーム単位の同期パターンの検出タイミングである同期符号検出タイミング信号SYをタイミング生成器18に出力する。また、フォーマッタ17は、アドレスユニット単位に付与されたアドレス情報ADRを乱数発生器19に出力する。
タイミング生成器18は、媒体IDを再生するターゲットアドレスを持つアドレスユニットの先頭位置で乱数発生器19へ初期値をセットするタイミングを示す初期値セットタイミング信号SETを生成して、乱数発生器19に出力する。なお、本実施の形態では、ターゲットアドレスが予めシステムコントローラ23に設定されているものとして説明する。
タイミング生成器18は、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKと、フォーマッタ17から入力される同期符号検出タイミング信号SYとに基づいて動作するカウンタを備える。カウンタは、クロック信号CKに同期してフレーム内のクロックをカウントするとともに、同期符号検出タイミング信号SYのタイミングで、保持しているカウント値をリセットする。また、カウンタは、媒体ID(副情報)の1ビットを検出するためのサブフレーム単位に1を加算するカウンタを併設しており、このサブフレームカウント値CNTを乱数発生器19、相関積分器27及びメモリ11に出力する。また、タイミング生成器18は、サブフレーム内で前の半分が“L”、後の半分が“H”となるようなPE変調信号PEを生成してPE変調器21に出力する。
乱数発生器19は、シフトレジスタからなる一般的なM系列発生回路で構成され、タイミング生成器18から入力される初期値セットタイミング信号SETの出力されるタイミングで、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRを、擬似乱数系列RNを発生させる初期値としてM系列発生回路のシフトレジスタにセットする。また、乱数発生器19は、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTが更新されるタイミングでシフトレジスタをシフトして1ビットの擬似乱数系列RNを生成してPE変調器21に出力する。なお、乱数発生器19は、本実施の形態の光ディスク記録装置6における乱数発生器19と同一の形態を有する。
PE変調器21は、乱数発生器19から入力される擬似乱数系列RNに、タイミング生成器18から入力されるPE変調信号PEに基づいてPE変調を施す。PE変調器21は、一般的な排他的論理和ゲートで構成され、擬似乱数系列RNとPE変調信号PEとの排他的論理和を算出することで相関系列PERを生成して相関積分器27に出力する。
LPF25は、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASの帯域制限を行う一般的な低域通過フィルタで構成され、アナログ再生信号ASの低域成分のみを抽出して帯域制限再生信号LPSを生成して2値化器26に出力する。なお、LPF25は、凹凸マークの最長マークよりも遅い帯域を通過させるためのフィルタである。これによって、再生信号から凹凸マークを示す帯域を制限した帯域制限再生信号LPSがLPF25から2値化器26に出力される。2値化器26は、LPF25から入力される帯域制限再生信号LPSの直流成分をカットして、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKに同期して帯域制限再生信号LPSのゼロクロス点を検出して2値化再生信号BSを生成して相関積分器27に出力する。
相関積分器27は、内部にアップダウンカウンタを有し、PE変調器21からの相関系列PERと、2値化器26からの2値化再生信号BSとの相関を算出して積分する。アップダウンカウンタは、相関系列PERと2値化再生信号BSとに相関が認められるとき、すなわち相関系列PERが“H”でありかつ2値化再生信号BSが“H”であるとき、あるいは相関系列PERが“L”でありかつ2値化再生信号BSが“L”であるときに内部のカウンタをインクリメントする。
一方、アップダウンカウンタは、相関系列PERと2値化再生信号BSとに相関が認められないとき、すなわち相関系列PERが“H”でありかつ2値化再生信号BSが“L”であるとき、あるいは相関系列PERが“L”でありかつ2値化再生信号BSが“H”であるときに内部のカウンタをデクリメントする。また、相関積分器27は、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTが更新されるタイミングで、保持している相関積分値CINをメモリ11に出力した後、相関積分値を“0”に初期化する。従って、媒体IDの1ビットを検出する範囲であるサブフレーム内での、相関系列PERと2値化再生信号BSとの積分値がメモリ11に出力される。
メモリ11は、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTに対応したメモリ空間に記憶されている値に、相関積分器27から入力される相関積分値CINを加算して記憶する。よって、メモリ11は、媒体IDの全ビットに対応したそれぞれのメモリ空間を持ち、媒体IDの再生中には、媒体IDの1ビットごとの積分値が記憶される。
認証符号検証器29は、メモリ11の媒体IDの各ビットに対応した積分値のうち、符号ビットを媒体情報として入力する。すなわち、認証符号検証器29は、積分値が“+”のときは、ビット値=“0”、積分値が“−”のときは、ビット値=“1”を媒体IDとして算出する。認証符号検証器29は、算出した媒体IDに付与されている認証符号に基づいて、読み出した媒体IDが正常であるか、または改竄が無いかを判定する。この認証符号にはデジタル署名やMACが用いられ、認証符号検証器29は、デジタル署名の署名検証が正常であるか、あるいは付与されているMACが正常であるかを判定する。認証符号検証器29は、正常であると判定された場合、抽出した媒体IDを出力し、正常でないと判断された場合、継続して再生動作を行う。但し、再生動作が規定時間以上続いてもなお正常な媒体IDが検出できていない場合には、不正ディスクあるいは欠陥ディスクとして排除し、再生動作を完了する。なお、媒体IDにエラー訂正やエラー検出のためのパリティが付与されているときは、これに基づいて再生動作の継続を判定してもよい。すなわち、認証符号検証器29は、メモリの符号ビットから媒体IDを抽出し、付与されているパリティによってエラー訂正やエラー検出を行う。エラーと判断されれば、再生動作を継続し、エラーと判断されない場合はデジタル署名検証やMAC検証を行う。
再生精度算出器28は、メモリ11からの媒体IDの各ビットに対応した積分値を入力し、積分値の絶対値の平均と標準偏差とを求め、平均と標準偏差とに基づくガウス分布から、媒体IDのビットエラー率を推定して、これを閾値判定することによって、正常に媒体IDが記録されているかを判定する。閾値に満たない、すなわち、正常に媒体IDが記録されていないと判定した場合には、再生しているディスクを欠陥品として排除する。また、上記のビットエラー率の推定は、上記ガウス分布のマイナス無限大から0までの積分によって求めることができる。
なお、本実施の形態において、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14及びアナログ信号処理器15がトラッキング部の一例に相当し、アナログ信号処理器15が再生信号抽出部の一例に相当し、デジタル信号処理器16がクロック抽出部の一例に相当し、LPF25及び2値化器26が分離部の一例に相当し、フォーマッタ17、タイミング生成器18、乱数発生器19、PE変調器21、相関積分器27及びメモリ11が副情報再生部の一例に相当し、フォーマッタ17が同期符号検出部の一例に相当し、LPF25が帯域制限フィルタの一例に相当し、乱数発生器19が相関系列生成部の一例に相当し、相関積分器27が相関検出部の一例に相当し、認証符号検証器29が再生部の一例に相当する。
次に、光ディスク再生装置7の動作について詳細に説明する。図9は、実施の形態1における光ディスク再生装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。なお、以下の説明では、光ディスクをBlu−ray ROMディスクとして説明する。
光ディスク再生装置7のデジタル信号処理器16から出力されるデジタル再生信号DSは、エラー訂正の単位(ユーザデータで64キロバイト)であるPhysical Clusterが連続して再生される。Physical Clusterは、16のアドレス情報ADRが付与されたアドレスユニットからなる。アドレスユニットは、同期符号が付与された31のフレームからなり、1フレームは、1932チャネルビットからなる。
ここで、媒体IDの検出を開始するターゲットアドレスを“N”とすると、タイミング生成器18は、アドレス“N”が付与されたアドレスユニットの先頭位置で、乱数発生器19に初期値セットタイミング信号SETを出力し、フォーマッタ17は、アドレス“N”を乱数発生器19に出力する。
タイミング生成器18は、1フレーム内で媒体IDの1ビットを検出するサブフレーム(1サブフレームは138チャネルビット)単位に1を加算するカウンタを有し、このカウンタのカウント値をサブフレームカウント値CNTとして乱数発生器19、相関積分器27及びメモリ11に出力する。
乱数発生器19は、タイミング生成器18からの初期値セットタイミング信号SETの出力タイミングで、内部のシフトレジスタに、フォーマッタ17から出力されたアドレス“N”を初期値としてセットする。また、乱数発生器19は、タイミング生成器18からのサブフレームカウント値CNTの更新されるタイミングで内部のシフトレジスタをシフトして1ビットずつ擬似乱数系列RNを発生し、PE変調器21に出力する。
また、タイミング生成器18は、サブフレームの前半の69チャネルビットが“L”で、後半の69チャネルビットが“H”となるPE変調信号PEを生成してPE変調器21に出力する。PE変調器21は、タイミング生成器18から入力されるPE変調信号PEと、乱数発生器19から出力される擬似乱数系列RNの排他的論理和を算出して、相関系列PERを生成し、相関積分器27に出力する。
また、図9では、3種類の追記マークSMKの記録形態を示しており、いずれも光ディスク上の凹凸マークMKと、レーザ光が照射されることによって反射率の変化した追記マークSMKとの記録形態を示している。いずれにしても、追記マークSMKの記録されていない部分より、追記マークSMKの記録された部分では、アナログ信号処理器15から出力されるアナログ再生信号ASの示す反射光レベルが平均的に大きくなる。これは、光ディスクに付与された反射膜が、レーザ光が照射されることによって反射率が上がる特性を有しているからである。
また、追記マークSMKの反射光強度への影響である変調度r2は、凹凸マークMKの反射光レベルの変調度r1に比べて小さい。望ましくは、追記マークSMKの反射光レベルの変調度r2は、凹凸マークMKの反射光レベルの変調度r1の1/2(半分)以下であれば、追記マークSMKの記録による凹凸マークMKの再生精度への影響を希少化することができる。なお、前述のような反射光レベルの関係は、追記マークSMKを記録するときのレーザ強度を調整したり、レーザ光を照射する時間を調整したりして、凹凸マークMKのトラック方向への幅に対して、追記マークSMKのトラック方向への幅を小さくすることで実現できる。
また、図9に示すように凹凸マークMKのトラック間に追記マークSMKがある場合にも、通常、凹凸マークMKを読み出すときのレーザスポットは、凹凸マークMKのトラック方向への幅よりも広く、追記マークSMKの形成された領域でのアナログ再生信号ASの反射光レベルの特性が変化してしまう。
また、離散的に追記マークSMKを配した場合においても、追記マークSMKを形成した部分では反射率が高くなり、アナログ再生信号ASの反射光レベルの特性が変化する。
通常、光ディスク再生装置では、アナログ再生信号ASのゼロクロス点の誤差を検出して、誤差に追従して補正するいわゆるベースラインコントロール回路を具備している場合が多い。しかしながら、本実施の形態における追記マークSMKは、サブフレーム(=138チャネルビット=Blu−rayディスク1倍速で約480KHz)単位に形成され、通常のベースラインコントロール回路の追従帯域外であり、ゼロクロス点が補正されて追記マークSMKの再生が不可能になることはない。
LPF25は、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに通過帯域制限を施す帯域制限回路(フィルタ)で構成され、本実施の形態では、カットオフ周波数として、サブフレームの帯域より高く、凹凸マークの最長マーク長のマーク/ランドの組み合わせの帯域よりも低い帯域が設定された低域通過フィルタによって実現されている。LPF25を通過して得られる帯域制限再生信号LPSは、追記マークSMKが施されている部分で“H”となり、追記マークSMKが施されていない部分で“L”となる。
2値化器26は、LPF25から入力される帯域制限再生信号LPSを、デジタル信号処理器16からのクロック信号CKに同期させて、ゼロクロス点を算出して2値化して、2値化再生信号BSを生成し、相関積分器27に出力する。
相関積分器27は、タイミング生成器18のサブフレームカウント値CNTの示すサブフレームの範囲で、2値化器26からの2値化再生信号BSとPE変調器21からの相関系列PERとの相関値を積分してメモリ11に出力する。すなわち、相関積分器27は、クロック信号CKに同期して、相関系列PERが“H”であり、かつ2値化再生信号BSが“H”であるとき、あるいは相関系列PERが“L”であり、かつ2値化再生信号BSが“L”であるとき、両者に相関があると判断して内部のアップダウンカウント値をインクリメントする。
一方、相関積分器27は、相関系列PERが“H”であり、かつ2値化再生信号BSが“L”であるとき、あるいは相関系列PERが“L”であり、かつ2値化再生信号BSが“H”であるとき、両者に相関がないと判断して内部のアップダウンカウント値をデクリメントする。相関積分器27は、これをサブフレーム内で繰り返し行い、サブフレーム内の媒体IDの1ビットに対応する積分値を算出する。また、相関積分器27は、タイミング生成器18からのサブフレームカウント値CNTの更新されるタイミングで、内部に保持している1ビット分の相関積分値CINをメモリ11に出力するとともに、内部に保持していた積分値をリセットする。
メモリ11は、相関積分器27から入力される1ビット分の相関積分値CINを、タイミング生成器18から入力されるサブフレームカウント値CNTの示すメモリ空間に記憶されている値に加算する。
認証符号検証器29は、媒体IDの1ビットに対応したメモリ11の符号ビットを入力し、付与された認証符号やエラー訂正符号から正常な読み出しができているかを確認する。システムコントローラ23は、認証符号検証器29が検証の結果、正常な媒体IDの読み出しを確認した時点で、再生動作を終了する。一方、システムコントローラ23は、認証符号検証器29によってデジタル署名検証又はMAC検証で不正と判断されたり、エラー訂正不能又はエラービット有りと判断された場合には、再生動作を継続して、媒体IDのビット毎の積分動作を継続する。また、システムコントローラ23は、指定時間範囲内に正常な媒体IDの読み出しが不可能であった場合には、不正ディスクとして排除する。
再生精度算出器28は、媒体IDの各ビットの積分値をメモリ11から取得し、各ビット毎の積分値の絶対値の平均値及び標準偏差を算出し、これらをガウス分布に近似して、媒体IDのビットエラーレートを推測し、そのビットエラーレートを基に光ディスクの検証を行う。再生精度算出器28は、検証結果が規定値以上のビットエラーレートであった場合には、媒体IDの読み出し精度の悪い光ディスクとして判定する。読み出し精度が悪いと判定された光ディスクは、排除される。
なお、媒体IDの読み出し精度を検査する検査工程においては、不正ディスクであると判断する判断基準を十分に低く見積もる必要がある。なぜならば、光ディスク再生装置間で媒体IDの読み出しの信頼性にもばらつきがあるため、これらも十分に考慮した規定値を設定する必要がある。また、本実施の形態では、メモリ11に記憶された積分値の平均とばらつきとに基づいて、媒体IDの読み出し精度の信頼性を推測しているが、本発明は特にこれに限定されず、ばらつきはある程度光ディスク内では固有に出力されるため、単に平均値だけから推測しても構わない。
また、媒体IDの読み出し精度の信頼性の指標として、媒体IDが認証符号検証器29によってエラー訂正可能あるいはエラービット無しと判断されるまでの積分時間自体を用いても構わない。なぜならば、媒体IDの記録精度がよい場合には、読み出しのための積分時間が短く、悪い場合には積分時間が多くかかるためである。例えば、媒体IDのビット毎の積分値が完全にガウス分布をなしているとすると、媒体IDの信号成分が半分になれば同じ精度で媒体IDを読み出すための時間は4倍必要となる。
以上のように、本実施の形態の光ディスク再生装置7は、凹凸マーク上の反射膜の反射率を変化させた追記マークによって媒体IDが記録された光ディスクから、凹凸マークの主情報を再生するのと同時に、再生信号の反射光レベルの変動を積分することによって媒体IDを再生する。また、媒体IDのビット毎の積分値の平均値及びばらつき、または媒体IDの読み出しが完了するまでの時間に基づいて媒体IDの記録精度を判定し、記録精度が悪いと判定された光ディスクは、不正ディスクとして排除する。また、媒体IDは、デジタル署名情報、MAC、あるいはエラー訂正符号化されることによって記録されており、デジタル署名検証不可のとき、MAC検証不可のとき、あるいはエラー訂正不能のときは十分な積分が成されていないとして積分動作を継続するとともに、積分時間が規定時間より長くなった場合には不正ディスクと判断して光ディスクを排除する。
なお、本実施の形態において、媒体IDが記録される記録場所は、コントロール領域CTLに限定されず、光ディスク上のユーザ領域USRであってもよく、凹凸マークでアドレス情報が記録される領域であればいかなる領域でも構わない。
また、本実施の形態における光ディスクは、凹凸マークによって情報が記録されている再生専用の光ディスクとして説明しているが、本発明はこれに限定されない。ウォブルトラックを有し追記膜や相変化膜の付与された追記ディスクや書き換えディスクにおいても、レーザ光を照射することによって主情報を記録した後、再度、同領域にレーザ光を照射して媒体IDを記録することも可能である。これによって、追記ディスクや書き換えディスクにおいても媒体IDを記録することができる。これらのディスクでは、媒体IDを主情報の暗号化の鍵として記録することができれば、記録ごとに鍵を変化させて記録可能な光ディスクを提供することができ著作権保護の強度を向上することができる。
また、本発明を用いれば、再生専用の光ディスクであっても媒体IDが記録できるので、ネットワーク型の著作権管理を実現しうる。すなわち、ネットワークを介して接続された管理サーバによって、光ディスクに記録したコンテンツの再生、移動あるいは複製に関する回数情報を管理する。これにより、再生専用の光ディスクであったとしても、バックアップの目的でコンテンツをハードディスク等の他の媒体に複製したり、ハードディスクにコンテンツを移動させて視聴するというようなユーザにとって利便性のある使用方法を提供することができる。なお、例えば、光ディスクからハードディスクにコンテンツを移動させたときは、移動時に管理サーバに自身の媒体IDを送付し、管理サーバでは媒体IDに関連付けてコンテンツが移動していることを記録する。管理サーバは、媒体IDを含むコンテンツの再生許可願いを受け取ったら自身に記憶した管理情報によってコンテンツが移動済みであると判断して、再生願いを棄却する。このようなシステムを構築することにより、著作権を保護しつつ、コンテンツを移動できる環境を提供できる。
(実施の形態2)
(2−1)実施の形態2の光ディスク
図10は、実施の形態2に係る光ディスクの構造を示す概念図である。図10に示す光ディスク1は、光ディスク記録装置や光ディスク再生装置にローディングされるときクランプされるクランプ領域CLPと、著作権に関する情報、光ディスク1の物理特性あるいは光ディスク1の管理情報が凹凸マークによって記録されている内周側及び外周側の2つのコントロール領域CTLと、例えば暗号化された映画タイトルやPCデータ情報が凹凸マークによって記録されたユーザ領域USRとから構成される。
また、光ディスク1の少なくともユーザ領域USRとコントロール領域CTLとは、ポリカなどの光ディスク基板1Pに凹凸マークを転写して、その上にレーザ光が照射されることによって反射率の変化する反射膜1Lを付与した後、保護膜1Cを付与して形成されている。
また、光ディスク1の内周側のコントロール領域CTLには、レーザ光が照射されることによって凹凸マークMK上の反射膜の反射率を変化させた、あるいは反射膜自体を除去した、光ディスクの半径方向に長く、かつ凹凸マークの成すトラックを横断するプリマークPMが、光ディスクの反射膜を付与した後に形成されている。また、プリマークPMの円周方向の長さは凹凸マークMKの最長マークよりも長く記録されている。このプリマークPMは、レーザ光が照射されることによって反射率が向上する、あるいは減少する記録マークとしてもよいし、例えば反射膜を除去する場合には無反射のマークとして記録しても良い。
また、光ディスクのアドレス情報を有する領域、すなわち、少なくともコントロール領域CTL及びユーザ領域USRには、ディスク整形し、プリマークPMを記録した後、実施の形態1の媒体IDの記録方法と同様に、凹凸マークMKのトラック上にレーザ光を照射して追記マークを形成することによって、凹凸マークMKで記録されたアドレス位置から、プリマークPMまでの距離を物理位置情報として記録する。また、物理位置情報は、凹凸マークMKの基準位置であるアドレスを含むとともに、1つのプリマークPMに対して、一定距離半径方向に乖離した少なくとも2点が1組として記録される。
よって、本実施の形態の光ディスク1のコントロール領域CTLには、アドレスを含む凹凸マークMKが転写され、その反射膜にレーザ光を照射することによって、反射膜の反射率を変化させた、あるいは反射膜を除去したプリマークPMが追記される。また、凹凸マークMKの基準となるアドレス位置からプリマークPMまでの半径方向の距離が物理位置情報として取得される。また、物理位置情報は、1つのプリマークPMに対して異なる半径位置で2回以上検出される。そして、少なくともユーザ領域USRあるいはコントロール領域CTLのアドレスの記録された領域の凹凸マークMKのトラックに基づいて、レーザが照射され、トラック上の反射膜の反射率を変化させて形成する追記マークとして物理位置情報が記録されている。
本実施の形態におけるプリマークPMは、光ディスク半径方向に長い。従って、これを複製する場合には、光ディスクの記録開始位置、回転数及び線速度などをすべてコピー元とコピー先とで同一に必要がある。これらが、多少たりともずれていると、コピー元の再生位置(角度位置)とコピー先の記録位置(角度位置)とにずれが生じ、半径方向に直線的な記録マークとして複製することが不可能になる。従って、このようなマークをそのまま複製することは極めて困難となる。
また、記録時に基準のアドレス位置からプリマークPMまでの距離(物理位置情報)が、再生クロックによって計測されて、凹凸マーク上の追記マークとして記録されている。また、1つのプリマークPMに対して、少なくとも1つの基準アドレスから、半径方向に数トラック乖離した2点までの物理位置情報が記録されている。再生時には、追記マークを再生して、ターゲットアドレスと少なくとも2点の記録時の物理位置情報が取得されて、取得したターゲットアドレスからプリマークまでの物理位置情報が少なくとも記録時と同様の2点で確認される。
従って、不正に複製された光ディスクでなければ、これら記録時の物理位置情報と、再生時の物理位置情報とには相関があり、光ディスクの再生が許可される。一方、これらに相関が無ければ、不正コピーによって複製された光ディスクであると判断されて光ディスクの再生が許可されない。また、1つのアドレス位置から1つのプリマークPMの少なくとも2点の物理位置情報を比較することによって、プリマークPMが半径方向に対して直線的であるか否かの判定を行うことができる。通常、不正コピーによってコピー元の記録位置とコピー先の記録位置とがずれれば、半径方向への直線性を失ったプリマークPMが複製される。このように少なくとも2点の物理位置情報を検証することによって直線性が判断されるので、不正コピーへの耐性を向上させることができる。
また、プリマークPMは、光ディスク1の円周上に複数設けても良い。これら全てのプリマークPMの物理位置情報が確認されることにより、不正コピーへの耐性を向上させることができる。
また、本実施の形態におけるプリマークPMの記録位置は、内周側のコントロール領域CTLであると説明しているが、外周側のコントロール領域CTL、あるいはユーザ領域USRであってもよく、アドレス情報の記録されている領域であればいかなる領域であっても構わない。
また、プリマークPMの記録位置と追記マークの記録位置とは、互いに所定半径距離を乖離して記録されることが望ましい。なぜなら、ともに反射膜の反射率を変化させることによって記録するので、同じ領域に記録すればこれらの情報を分離することが困難となるためである。
(2−2)実施の形態2の光ディスク製造方法
図11は、実施の形態2における光ディスク製造方法を示す模式図である。実施の形態2における光ディスク製造方法は、オーサリング工程100、第1の製造工程200、第2の製造工程500、第3の製造工程600及び第4の製造工程700の手順で光ディスクを作成する。
オーサリング工程100は、実施の形態1のオーサリング工程100と同様の工程であり、光ディスクに記録するコンテンツデータを、光ディスクのフォーマットにオーサリングする工程であり、記録するコンテンツデータを鍵管理機構によって作成された暗号鍵を用いて暗号化し、暗号化したコンテンツデータをオーサリングして、第1の製造工程200に出力する。
第1の製造工程200は、実施の形態1における第1の製造工程200と同様の工程であり、入力工程201、マスタリング工程202、スタンプ工程203、スパッタリング工程204及び保護膜付与工程205が順に行われることで、物理位置情報が記録されていない光ディスク40が成形される。すなわち、入力工程201において、オーサリング工程100でオーサリングされたコンテンツデータが入力され、マスタリング工程202において、光ディスク原盤が作成され、スタンプ工程203において、スタンパを作成して光ディスク基盤にスタンプすることで、凹凸記録マークが転写され、スパッタリング工程204において、凹凸マーク上にレーザが照射されることによって反射率が変化する反射膜が蒸着され、保護膜付与工程205において、凹凸マーク上に保護膜が付与されて光ディスク40が成形される。成形された光ディスク40は、第2の製造工程500に移される。
第2の製造工程500において、プリマーク記録装置70は、光ディスクの内周側のコントロール領域CTLに対応した半径位置に、レーザ光を照射することによって半径方向に直線的なプリマークを記録する。プリマーク記録装置70は、第1の製造工程200において成形された光ディスク40をローディングすると、CAV(Constant Angular Velocity)制御によって光ディスクを回転させる。プリマーク記録装置70は、光ディスク40が所定の回転数に達したとき、プリマークを記録する半径位置に光学ヘッドを移動させ、ディスク一回転に同期した回転同期信号に同期して間欠的にレーザ光を照射し、光ディスク一回転ごとに所定量光学ヘッドを外周側に移動させる。これを連続して行うことで、光ディスク40上に半径方向に長いプリマークが形成される。
なお、プリマーク記録装置70は、半導体レーザを照射して、反射膜の反射率を変化させてプリマークを形成する形態でもよいし、YaGレーザを用いたイニシャライザによってビームを照射して、反射膜をトリミングすることによってプリマークを記録してもよい。第2の製造工程500において光ディスクの内周側のコントロール領域CTLにプリマークの形成された光ディスク50は、第3の製造工程600に移される。
第3の製造工程600は、第2の製造工程500でプリマークの形成された光ディスク50から、凹凸マークによるアドレス情報を基準にプリマークの物理位置情報を計測する工程である。
物理位置情報取得装置80は、第2の製造工程500においてプリマークが形成された光ディスク50をローディングすると、内周側のコントロール領域CTLのプリマークの形成された半径位置に光学ヘッドを移動させる。続いて、物理位置情報取得装置80は、凹凸マークで記録されているアドレス情報を基準にプリマークの光ディスク上における物理位置情報を計測する。物理位置情報は、凹凸マーク再生時の再生クロックをカウントすることで算出される基準のアドレス位置からプリマークの開始点までのクロック数である。すなわち、物理位置情報取得装置80は、基準アドレス位置からの距離あるいは角度に関する情報として物理位置情報を取得する。
また、物理位置情報取得装置80は、1つのアドレス基準位置から半径方向に所定距離だけ乖離した少なくとも2点のプリマーク位置を計測して、基準アドレス情報と対応付けて、第4の製造工程700に出力する。
また、物理位置情報取得装置80は、円周方向に複数のプリマークが存在するときは、2つ以上のプリマークの物理位置情報を検出して第4の製造工程700に出力する。
第4の製造工程700は、実施の形態1の第2の製造工程300と同様の工程であり、実施の形態1では所定アドレス位置からレーザ光を照射して反射膜の反射率を変化させることによって媒体IDを記録するが、本実施の形態では、第3の製造工程600において取得された物理位置情報をさらに記録する点が異なる。なお、第4の製造工程700では、実施の形態1の第2の製造工程300と同様の光ディスク記録装置6が用いられるので、本実施の形態では詳細な説明を省略する。
図12は、第3の製造工程600で検出されて第4の製造工程700に出力される、基準アドレス位置からプリマークまでの位置を表す物理位置情報のデータフォーマットを示す図である。物理位置情報90は、媒体ID91、プリマーク位置情報92及び改竄防止符号93によって構成される。
媒体ID91は、実施の形態1の媒体IDと同様であり、鍵管理機構から発行される光ディスク1枚毎に個別の識別情報である。
プリマーク位置情報92は、光ディスク製造方法の第3の製造工程600において、凹凸マークで記録されたアドレス情報を基準として、プリマークの開始位置までの再生クロックのクロック数と、凹凸マークのアドレス位置とを対応させたデータである。なお、円周方向に複数のプリマークが記録されている場合には、それぞれに対応した基準アドレスを含む。また、1つのアドレス位置からは、同じプリマークの所定半径位置乖離した少なくとも2つのプリマーク位置情報92が検出される。すなわち、図12のプリマーク位置情報92は、基準アドレス1に対して、プリマーク開始位置1A及びプリマーク開始位置1Bが対応付けられている。プリマーク開始位置1Aは、基準アドレスと同じトラックで検出したプリマークの開始位置であり、プリマーク開始位置1Bは、基準アドレス1から数トラック外周側、あるいは内周側に移動して獲得したプリマークの開始位置である。
改竄防止符号93は、例えばMAC(Message Authentication Code)で構成される。例えば、媒体ID91及びプリマーク位置情報92のハッシュ値が算出され、このハッシュ値がMACとして生成される。また、ハッシュ値の生成に用いる鍵情報は鍵管理機構から取得する。再生時には、同じように媒体ID91とプリマーク位置情報92とに基づいてハッシュ値を算出し、算出したハッシュ値と物理位置情報に含まれるハッシュ値(改竄防止符号93)とを比較することによって、物理位置情報に改竄が無かったかを判定し、改竄がないと判断されたときのみ再生を継続するようにする。
以上のように、実施の形態2における光ディスク製造方法では、凹凸マークによってコンテンツデータが記録された光ディスクが成形された後、内周側のコントロール領域CTLに半径方向に直線的なプリマークが記録され、このプリマークの物理位置情報が凹凸マークで記録されたアドレス位置を基準に検出され、凹凸マークのトラック上にレーザが照射されることによって反射率の変化した追記マークが形成され、この追記マークで物理位置情報が記録される。
なお、実施の形態2における光ディスク製造方法で用いられるプリマーク記録装置、物理位置情報取得装置及び光ディスク記録装置は同一の装置として構成することが望ましいが、ここでは各機能の説明を簡潔に行うため別装置として説明した。
また、本実施の形態2の光ディスクは、半径方向に長いプリマークを記録しているとともに、このプリマークの物理位置情報を製造工程で測定し、測定した物理位置情報を追記マークとして記録している。前述のように、半径方向に長いプリマークを複製するためには、複製先及び複製元で、記録開始位置、回転数及び線速度を寸分狂わず制御することが必要となる。しかしながら、これらを一致させることは事実上不可能に近いので不正な複製を排除できる。また、そのプリマークの物理位置情報は、実施の形態1の媒体IDと同様の方法で記録するので、実施の形態1に比べ、実施の形態2の光ディスクは、不正な複製に対する耐性が極めて高くなる。
(2−3)実施の形態2のプリマーク記録装置
図13は、実施の形態2の光ディスク製造方法の第2の製造工程500で使用するプリマーク記録装置の構成を示すブロック図である。
プリマーク記録装置70は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、アナロク信号処理器15、サーボ回路14、PLL回路30、カウンタ31、記録タイミング生成器32、レーザ強度変調器22及びシステムコントローラ23を備える。
スピンドルモータ12は、第1の製造工程200において作成された物理位置情報が未記録の光ディスク40がドライブに挿入されると、CAV(Constant Angular Velocity)制御によって、光ディスク40を回転させる。また、スピンドルモータ12は、ディスク一回転に同期して複数回出力される回転同期信号FSを生成してPLL回路30に出力する。
光学ヘッド13は、光ディスク40にレーザ光を照射し、その反射光からチャネル信号CSを生成して、アナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから、レーザ光を照射するフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEを生成してサーボ回路14に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるフォーカスエラー信号FEから、フォーカス位置を補正するためのフォーカス制御信号FCを生成して、光学ヘッド13に出力する。これにより、光学ヘッド13は、フォーカス位置の補正をしながらレーザ光を照射する。
PLL回路30は、スピンドルモータ12からのディスク一回転に同期した回転同期信号FSに追従した回転同期クロックCAVCKを生成して、カウンタ31に出力する。なお、回転同期信号FSは、一回転に1出力でも構わないが、複数回出力されることが望ましい。例えば、一回転で4回出力されるとすれば、ディスクの回転角15度ごとに出力されるし、360回出力されれば、ディスクの回転角1度ごとに出力され、PLL回路30は、これらの回転同期信号FSに追従した回転同期クロックCAVCKを生成する。また、1回転に1回程度の回転同期信号FSしか得られない場合には、回転同期信号FSに同期した回転同期クロックCAVCKを生成した後、逓倍回路を用いて、出力する回転同期クロックCAVCKの周波数を上げることが望ましい。
カウンタ31は、PLL回路30から出力された回転同期クロックCAVCKをカウントする。すなわち、カウンタ31は、ディスクの回転角をカウントしているに等しい。また、カウンタ31は、ディスク一回転で初期化される。すなわち、回転同期信号FSがディスク1回転で360回出力される場合、カウンタ31は、360カウントごとに初期化される。このカウンタ31のカウント値は、回転同期クロックカウント値CAVCNTとして記録タイミング生成器32に出力される。
記録タイミング生成器32は、カウンタ31からの回転同期クロックカウント値CAVCNTに基づいて、記録レーザ光を照射するタイミングを生成する。例えば、記録タイミング生成器32は、回転同期クロックカウント値CAVCNTを90で除算したときの余が0の時を検出してプリマーク記録タイミング信号PMWGを生成する。よって、記録タイミング生成器32は、ディスクの一回転に4回、且つ回転角1度の範囲で、プリマーク記録タイミング信号PMWGを生成する。記録タイミング生成器32によって生成されたプリマーク記録タイミング信号PMWGは、レーザ強度変調器22に出力される。
レーザ強度変調器22は、記録タイミング生成器32からのプリマーク記録タイミング信号PMWGの出力タイミングで、レーザに流れる電流量を増大させて記録パワーのレーザ光を照射するためのプリマーク記録パルスPWPを生成して光学ヘッド13に出力する。なお、プリマーク記録タイミング信号PMWGの出力されていない部分では、再生強度のレーザ光を照射するためのプリマーク記録パルスPWPを出力する。
また、光学ヘッド13は、ディスク一回転ごとに所定量だけ外周側にレーザスポット位置を移動させる。なお、所定量は、レーザ光が照射されることによって一回転で記録するプリマークの半径方向の長さ以下にする。これにより、光ディスクの半径方向に直線的、かつ連続的なプリマークが記録可能となる。
以上のように、プリマーク記録装置70は、凹凸マークが転写された光ディスクの成形後、CAV制御により光ディスクの回転を制御し、光ディスクの角度情報(ここでは、回転同期クロックカウント値CAVCNT)に基づいてレーザ光を照射する。これにより、半径方向に長いプリマークを記録することができる。
なお、プリマーク記録装置70は、半導体レーザではなく、高出力のYaGレーザ等を用いても構わない。この場合には、レーザ光が照射された部分の反射膜が融解し、除去されることが知られている。
(2−4)実施の形態2の物理位置情報取得装置
図14は、実施の形態2の光ディスク製造方法の第3の製造工程600における物理位置情報取得装置の構成を示すブロック図である。
物理位置情報取得装置80は、実施の形態2の第2の製造工程500においてプリマークの記録された光ディスクに対して、プリマークの記録された半径位置の凹凸マークのアドレスを抽出し、抽出したアドレスを基準としてプリマークの開始点を物理位置情報として検出する。物理位置情報取得装置80は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、エラー訂正器24、AD33、スライサ34、カウンタ35、メモリ11、媒体ID付与器36、改竄防止符号付与器37及びシステムコントローラ23を備える。
スピンドルモータ12は、プリマークが記録された光ディスク50をローディングすると、光ディスク50に応じた回転数で光ディスク50を回転させて、光学ヘッド13をプリマークの記録されている所定の半径位置に移動させる。
光学ヘッド13は、スピンドルモータ12が所定の回転数に達したとき、光ディスク50に再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からチャネル信号CSを生成して、アナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから、凹凸マークのトラックに対してレーザスポットのトラッキング位置の誤差を示すトラッキングエラー信号TEと、レーザスポットのフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEとを生成して、サーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSを増幅したり、波形等化したりして、凹凸マークに対応したアナログ再生信号ASを生成して、デジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるトラッキングエラー信号TEから、レーザスポットのトラッキング位置を制御するトラッキング制御信号TCを生成するとともに、フォーカスエラー信号FEからフォーカス位置を制御するためのフォーカス制御信号FCを生成して、光学ヘッド13に出力する。光学ヘッド13は、これらの制御信号に基づいてトラッキング位置及びフォーカス位置を制御してレーザ光を照射する。また、サーボ回路14は、半径位置に対応した回転数と現在の回転数とを比較して、回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。スピンドルモータ12は、この回転制御信号SCに基づいて回転数を制御して、光ディスク50を回転させる。
デジタル信号処理器16は、内部にPLL回路を有し、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出する。また、デジタル信号処理器16は、クロック信号CKに同期して、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASを量子化して、2値化したデジタル再生信号DSを生成して、フォーマッタ17に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから、一定周期で付与されている同期符号を検出して、同期符号の付与されたデータ群であるフレーム単位にフォーマットする。そして、フォーマッタ17は、同期符号の同期パターンを判定してフレーム位置を判別し、フレーム位置に従って、複数フレームからなりアドレス情報ADRが付与されたアドレスユニット単位に分割する。また、フォーマッタ17は、アドレス情報ADRに従って、エラー訂正を行う単位であるPhysical Cluster単位にフォーマットして、フォーマットデータFDを生成しエラー訂正器24に出力する。また、フォーマッタ17は、同期符号のタイミングを示すフレームパルスFPLSと、アドレスユニット単位に付与されているアドレス情報ADRとを抽出して、カウンタ35に出力する。
エラー訂正器24は、フォーマッタ17から入力されるフォーマットデータFDからエラー訂正のためのパリティを分離して、データのエラー訂正を行うことによって凹凸マークで記録された再生データを出力する。
AD33は、一般的なアナログ−デジタル変換器で構成され、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASを、入力されるクロックに同期して量子化を行い、量子化された量子化再生信号RDをスライサ34に出力する。
スライサ34は、入力される量子化再生信号RDを所定のスライスレベルでスライスして、2値化したプリマーク検出信号PMDETを生成してカウンタ35に出力する。なお、所定のスライスレベルは、物理位置情報取得装置80におけるデジタル信号処理器16が2値化するためのスライスレベルに比べて、高くあるいは低く設定される。これは、プリマークがレーザ光が照射されることによって反射率を上げて記録されているか、あるいは反射膜を除去する無反射マークとして記録されているかに応じて決定される。なお、所定スライスレベルは、固定値ではなく、数回プリマーク上を走査して、自動的に設定することが望ましい。
カウンタ35は、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKをカウントするチャネルビットカウンタと、フレーム数をカウントするフレームカウンタから構成される。
チャネルビットカウンタは、デジタル信号処理器16から入力されるクロック信号CKに同期してクロック数をカウントするとともに、フォーマッタ17から入力されるフレームの開始位置を示すフレームパルスFPLSで初期化される。
フレームカウンタは、フォーマッタ17から入力されるフレームパルスFPLSをカウントし、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRの更新されるタイミングで初期化される。
また、カウンタ35は、スライサ34からのプリマーク検出信号PMDETのタイミングで、チャネルビットカウンタ及びフレームカウンタの双方の現在のカウント値と、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRとに基づいてプリマーク位置情報POSを生成してメモリ11に出力する。
メモリ11は、カウンタ35から出力されるプリマーク位置情報POSを一時記憶する。なお、光ディスクの円周方向に複数のプリマークが記録されている場合には、それぞれに対応したプリマーク位置情報POSを計測して記憶する。
媒体ID付与器36は、光ディスクのプリマークの検出の完了にともなって、メモリ11に記憶されたプリマーク位置情報POSに、外部から入力される媒体IDを対応付ける。
改竄防止符号付与器37は、外部から与えられる、あるいは内部に秘密に記憶している鍵を用いて、媒体ID及びプリマーク位置情報POSのハッシュ値を算出して改竄防止符号(例えばMAC)を生成し、生成した改竄防止符号を媒体ID及びプリマーク位置情報POSに付与して物理位置情報を生成する。この物理位置情報は、本実施の形態2の第4の製造工程700に出力される。
なお、前述のように、プリマーク位置情報POSは1つのプリマークに対して、同じアドレスから所定半径方向に乖離した2箇所で計測することが、不正な複製をより効果的に防止する。この場合、フォーマッタ17は、基準アドレス位置と同じトラック上でプリマークの開始位置を検出した後、一旦、内周側に1トラックジャンプして、再度同じアドレス位置のトラックを再生し、再度基準アドレスのタイミングで、数トラック外周側あるいは内周側にトラック位置を移動させるためのトラックジャンプ信号TJを生成して、サーボ回路14に出力する。
サーボ回路14は、トラックジャンプ信号TJに基づいて、トラッキング位置を数トラック外周側あるいは内周側に移動させる。トラックジャンプが完了すれば、再生信号からプリマーク位置を判断することによって、1つのプリマークから、所定半径位置乖離した複数箇所でプリマーク位置を検出することができる。
なお、物理位置情報取得装置80は、再生時のクロック信号CKをカウントすることで基準アドレスからプリマーク開始位置までの物理位置情報を抽出する。従って、トラックジャンプによって再生時のクロック信号CKが乱れれば正しい物理位置情報を検出することが不可能となる。したがって、フォーマッタ17は、トラックジャンプ信号TJをサーボ回路14に出力するタイミングで、デジタル信号処理器16のPLL回路によって生成されるクロック信号CKの発振帯域を固定するためのPLLホールド信号を生成して、デジタル信号処理器16に出力する。デジタル信号処理器16は、PLLホールド信号の出力区間ではPLL回路の発信帯域を固定することによって、トラックジャンプがあった場合にも安定したクロック信号CKを供給することが可能となる。
図15は、実施の形態2の光ディスクをBlu−rayディスクとした時の、物理位置情報取得装置80の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
物理位置情報取得装置80のデジタル信号処理器16からフォーマッタ17に出力されるデジタル再生信号DSは、フォーマッタ17によって、凹凸マークに対応した主情報のエラー訂正の単位であるPhysical Cluster単位にフォーマットされる。1Physical Clusterは、アドレスを有する16のアドレスユニットから構成される。さらに、1アドレスユニットは、同期符号を伴う31のフレームに分割できる。また、1フレームは、先頭に30チャネルビットの同期符号を有する1932チャネルビットで構成されている。
また、物理位置情報取得装置80のカウンタ35は、デジタル信号処理器16からのクロック信号CKに同期したカウンタであり、クロック信号CKをカウントするチャネルビットカウンタと、フォーマッタ17からのフレーム先頭位置を示したフレームパルスをカウントするフレームカウンタとで構成される。
チャネルビットカウンタは、クロック信号CKに同期してクロック数をカウントするとともに、フレームパルスFPLSのタイミングで初期化する。すなわち、1フレームで0〜1931までカウントするカウンタとして動作する。
フレームカウンタは、フレームパルスをカウントするカウンタで、1アドレスユニットで0〜15までカウントする。なお、フレームカウンタは、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRの更新タイミングで初期化される。
次に、プリマークの検出方法について説明する。物理位置情報取得装置80は、光ディスクの凹凸マークに再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からアナログ再生信号ASを生成する。また、デジタル信号処理器16では、このアナログ再生信号ASから内部に持つPLL回路によって、アナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出する。また、デジタル信号処理器16では、このアナログ再生信号ASをクロック信号CKに同期して量子化し、スライスレベルSL1でスライスすることによって2値化し、デジタル再生信号DSを生成する。
光ディスクには、内周側のコントロール領域CTLに凹凸マークMKのトラックを横断する半径方向に直線的なプリマークPMが予め記録されている。なお、本実施の形態2では、レーザ光を照射して反射率を向上させることによりプリマークを形成する場合の動作について説明する。
凹凸マーク上をトラッキングして再生中、プリマークがあると、凹凸マークを再生しているときの反射光の最大レベルHよりも反射率が高いため、アナログ再生信号ASの変調度が向上する。
スライサ34は、凹凸マークのアナログ再生信号ASを2値化するためのスライスレベルSL1より高く、且つ凹凸マークの反射光の最大レベルHよりも高いレベルのプリマーク位置を検出するためのスライスレベルSL2でスライスして、プリマーク検出信号PMDETを生成し、カウンタ35へ出力する。
カウンタ35は、プリマーク検出信号PMDETの立ち上がりを検出すると内部のチャネルビットカウンタ及びフレームカウンタのカウント動作を停止し、各カウント値(チャネルビットカウント値BCNT及びフレームカウント値FCNT)を保持する。
また、保持したフレームカウント値FCNT及びチャネルビットカウント値BCNTは、アドレス情報ADRとともに、プリマーク位置情報POSとしてメモリ11に転送し、メモリ11で保持する。
以上のように、物理位置情報取得装置80は、再生信号のアドレスと、フレーム位置と、チャネルビット位置とにより、基準アドレスからプリマーク開始位置までのプリマーク位置情報を抽出できる。アナログ再生信号ASを2値化するときのスライスレベルを凹凸マークとプリマークとでそれぞれ設定することによって、凹凸マークとプリマークとを区別して検出することができる。また、本実施の形態2では、レーザ光が照射されることによって反射率を上げたプリマークで説明したが、反射膜を除去して無反射状態にするプリマークの場合には、逆に、凹凸マークの反射光の最小レベルより低いレベルをプリマーク検出のためのスライス値SL2として設定する。
また、凹凸マークの反射光の最大レベルとプリマークの反射光の最大レベルに大きな差が認められない場合、凹凸マークの反射光の最小レベルとプリマークの反射光の最小レベルに大きな差が認められない場合、あるいはプリマーク部分の雑音が大きく、正常にスライスできない場合には、凹凸マークのスライスレベルSL1をプリマーク検出のためのスライスレベルSL2と設定しても良い。この場合、プリマーク検出信号の出力区間(=プリマーク幅)が、凹凸マークの円周方向の最大幅より広いことを検出して、プリマークと凹凸マークとの区別を行うことができる。
次に、実施の形態2に係る光ディスク再生装置の構成について説明する。図16は、実施の形態2に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。図16に示す光ディスク再生装置71は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、エラー訂正器24、タイミング生成器18、乱数発生器19、PE変調器21、LPF25、2値化器26、相関積分器27、メモリ11、認証符号検証器29、AD33、スライサ34、カウンタ35及びシステムコントローラ23を備える。
なお、実施の形態2に係る光ディスク再生装置71は、図8に示す光ディスク再生装置7と、図14に示す物理位置情報取得装置80とを組み合わせた構成であり、各構成要素は、光ディスク再生装置7及び物理位置情報取得装置80と同一であるので、説明を省略する。
なお、本実施の形態において、フォーマッタ17、メモリ11、認証符号検証器29、AD33、スライサ34及びカウンタ35が位置確認部の一例に相当し、システムコントローラ23が比較部及び再生制限部の一例に相当する。
図17及び図18は、実施の形態2に係る光ディスク再生装置における不正ディスク判定処理を説明するためのフローチャートである。光ディスク再生装置71では、電源がONされ、光ディスクの挿入されていない状態から光ディスクが挿入された時点で、不正ディスク判定処理が開始される。なお、開始タイミングは、暗号化されたプログラムへのアクセス前、あるいは一定期間ごとに周期的に行っても良い。
まず、光ディスク241が光ディスク再生装置71にローディングされる(ステップS1)。ローディング完了後、システムコントローラ23は、トラック方向にレーザ光を照射して反射膜の反射率を変化させることによって形成される追記マークにより物理位置情報の記録されたアドレスNの位置(例えば、ユーザエリア内)に光学ヘッド13をシークさせる(ステップS2)。
シーク完了後、システムコントローラ23は、光ディスクに記録されている副情報(物理位置情報)を再生する(ステップS3)。なお、この物理位置情報の再生手順は、実施の形態1の光ディスク再生装置7の媒体IDを再生する手順と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、システムコントローラ23は、エラー訂正器24によって、再生した物理位置情報に付与しているエラー訂正のためのパリティに基づいて物理位置情報のエラー訂正を行い、エラー訂正が正常に行われたか否かを判断する(ステップS4)。この結果、エラー訂正が不可能であると判断された場合(ステップS4でNO)、積分時間が短いとして、ステップS2の処理へ戻り、副情報の再生動作が継続される。
一方、エラー訂正が正常に行われたと判断された場合(ステップS4でYES)、システムコントローラ23は、メモリ11に副情報(物理位置情報)を記憶する(ステップS5)。
システムコントローラ23は、物理位置情報から新たに検証用の改竄防止符号(検証用ハッシュ値)を生成し、生成した検証用の改竄防止符号と、物理位置情報に付与されている改竄防止符号(再生ハッシュ値)とが整合するか否かを判断する。これにより、システムコントローラ23は、物理位置情報が改竄されているか否かを判断する(ステップS6)。互いの改竄防止符号に整合がある場合、システムコントローラ23は、物理位置情報に不正な改竄がないと判断して処理を継続する。一方、互いの改竄防止符号に整合が無い場合、システムコントローラ23は、途中で物理位置情報が改竄されたか、不正メーカによって作成された光ディスクであると判断して、処理の中断動作に移行する。
改竄があると判断された場合(ステップS6でYES)、ステップS15以降の再生停止処理に移行する。一方、改竄がないと判断された場合(ステップS6でNO)、システムコントローラ23は、物理位置情報の中から、記録時に抽出したプリマーク位置情報を検出するための基準アドレスMを取得する(ステップS7)。次に、システムコントローラ23は、取得した基準アドレスMに、光学ヘッド13をシークさせる(ステップS8)。
光学ヘッド13が基準アドレスMに達したとき、プリマーク検出動作に移行する。なお、プリマーク検出動作は、本実施の形態2の物理位置情報取得装置80の動作と同様であるので、ここでは説明を省略する。プリマーク位置情報を検出するプリマーク検出動作が完了すれば、前述の説明の通り、基準アドレスMからのフレーム位置情報(フレームカウント値FCNT)及びチャネルビット位置情報(チャネルビットカウント値BCNT)が出力される(ステップS9)。
次に、システムコントローラ23は、ステップS3において再生された副情報(物理位置情報)に含まれるフレームカウント値FCNTと、プリマーク検出動作で取得したフレームカウント値FCNTとを比較し、互いのフレームカウント値FCNTに整合があるか否かを判断する(ステップS10)。互いのフレームカウント値FCNTに整合がないと判断された場合(ステップS10でNO)、ステップS13以降のリトライ処理に移行する。
互いのフレームカウント値FCNTに整合があると判断された場合(ステップS10でYES)、システムコントローラ23は、ステップS3において再生された副情報(物理位置情報)に含まれるチャネルビットカウント値BCNTと、プリマーク検出動作で取得したチャネルビットカウント値BCNTを比較し、互いのチャネルビットカウント値BCNTに整合があるか否かを判断する(ステップS11)。互いのチャネルビットカウント値BCNTに整合がないと判断された場合(ステップS11でNO)、ステップS13以降のリトライ処理に移行する。整合があれば次の処理に進み、整合が無ければリトライ処理に移行する(ステップS11)。
一方、互いのチャネルビットカウント値BCNTに整合があると判断された場合(ステップS11でYES)、システムコントローラ23は、全てのプリマークを検出したか否かを判断する(ステップS12)。ここで、全てのプリマークを検出していないと判断された場合(ステップS12でNO)、ステップS8の処理へ戻り、システムコントローラ23は、次のプリマークの位置情報を確認するための基準アドレスに光学ヘッド13をシークさせる。全てのプリマークを検出したと判断された場合(ステップS12でYES)、システムコントローラ23は、再生動作を許可して、不正ディスク判定処理を終了する。
次に、ステップS13以降のリトライ処理について説明する。ステップS10,S11において互いのチャネルビットカウント値BCNT又は互いのフレームカウント値FCNTに整合がないと判断された場合、システムコントローラ23は、予め記憶されているリトライ回数をインクリメントする(ステップS13)。
次に、システムコントローラ23は、リトライ回数をインクリメントした結果、リトライ回数が予め設定されている許容範囲内であるか否かを判断する(ステップS14)。リトライ回数が許容範囲内であると判断された場合(ステップS14でYES)、再度ステップS8の処理へ戻り、システムコントローラ23は、基準アドレスMに光学ヘッド13をシークさせて、プリマーク検出動作を行う。一方、リトライ回数が許容範囲を超えたと判断された場合(ステップS14でNO)、ステップS15以降の再生停止処理に移行する。
次に、ステップS15以降の再生停止処理について説明する。再生停止処理は、リトライ回数の許容範囲を上回ったとき、あるいは改竄有無判定で改竄が有ると判定されたときに、光ディスクを不正なディスクとして排除する処理である。まず、システムコントローラ23は、現在の再生動作を停止させる(ステップS15)。このとき、光ディスクの送出以外の全てのコマンドを受け付けないようにすることが望ましい。
再生動作を停止したとき、システムコントローラ23は、エラー情報を生成して、出力する。このエラー情報は、再生動作が停止に陥った原因を含むことが望ましい(ステップS16)。なお、エラー情報は、モニタなどの表示部に出力されて表示され、ユーザに通知される。
以上のように、光ディスク再生装置による不正ディスク判定処理によって、追記マークで記録した物理位置情報に改竄などがあった場合、不正ディスクとして判定され、再生動作を停止することができる。また、物理位置情報に含まれる記録時のプリマークの位置情報と、光ディスク再生装置で検出したプリマークの位置情報とが一致しなければ、不正にコピーされた光ディスクとして再生を停止できる。よって、不正に物理位置情報を改竄して記録した光ディスクや、正規の光ディスクを複製した光ディスクに対して再生の停止が可能となり、光ディスクに記録された著作物の権利を守ることができる。
また、光ディスク再生装置71の構成は、前述の実施の形態2の光ディスク製造方法における第3の製造工程600の物理位置情報取得装置80の構成と、実施の形態1の光ディスク再生装置7の構成とを併せ持つ構成として実現される。すなわち、実施の形態2における光ディスク再生装置は、物理位置情報取得装置80におけるプリマークの物理位置情報の検出機能と、実施の形態1の光ディスク再生装置7の副情報の再生機能を併せ持つことによって実現できる。但し、本実施の形態2の光ディスク再生装置には、前述の不正ディスク判定処理を実現するためのプログラムが格納されている。
また、前述の不正ディスク判定処理では、説明の簡略化のため同じ基準アドレスで、半径方向に所定距離乖離した2点で、プリマークの位置情報を検出する説明を省いたが、1つの基準アドレスから半径方向に向かって2点の位置情報を検出して、プリマークの直線性を判断してもよい。具体的には、一旦、基準アドレスの記録された同じトラック上でプリマーク位置を検出して、トラックを内側に一本移動して、もう一度同じアドレス位置にシークする。再度、ターゲットアドレス位置に到達した時点で、トラック位置を内側あるいは外側に数トラック移行してプリマークの位置を確認する。不正にコピーされてプリマークが半径方向に直線的でない場合であったとしても、基準アドレスに基づいてプリマークの有無を判断した後、半径方向に数トラックジャンプし、再度プリマークの有無を判断することによって、プリマークが直線状でない、あるいは物理位置情報の整合性がないと判断し、光ディスクの再生が停止される。
また、本実施の形態2の不正ディスク判定処理では、全てのプリマークの位置情報を確認しているが、本発明は特にこれに限定されず、再生起動時間の短縮のために、記録されているプリマークのうち、部分的に確認しても良い。例えば、放射状に形成された8本のプリマークのうち、4本のプリマークの位置情報のみを確認してもよい。
(実施の形態3)
(3−1)実施の形態3の光ディスク
図19は、実施の形態3に係る光ディスクの構成を示す概念図である。実施の形態3の光ディスク150は、コンテンツデータの記録されたユーザ領域151と、光ディスク150の識別情報が記録された副情報記録領域152とで構成される。
ユーザ領域151には、予めコンテンツデータが凹凸マークで記録されており、副情報記録領域152には、凹凸マークあるいはウォブル案内溝は記録されていない。また、光ディスク150の反射膜は、レーザ光が照射されることによって反射率が変化する記録膜で構成される。
光ディスク150の識別情報の記録された副情報記録領域152には、特別な同期符号は含まれておらず、ユーザ領域151の基準となるアドレスを有するアドレスユニット153の先頭位置の角度位置と同じ角度位置から識別情報が記録されている。
光ディスクの角度位置情報は、光ディスク記録装置あるいは光ディスク再生装置のスピンドルモータから出力される回転同期信号に基づいて決定される。光ディスク記録装置あるいは光ディスク再生装置は、ディスク1回転に同期した回転同期信号のPLL制御によって、一回転に同期したクロック信号を生成する。このクロックをカウントした値(FG Counter)によって光ディスクの角度位置を算出する。
図19の例では、ディスク一回転について360カウントする例を示している。すなわち、ディスクの回転角1°ごとに1周期のクロックが生成され、これに同期したカウンタは、クロックごとに1カウントして、角度情報を抽出している。また、本例では、カウント値が“300”の時にアドレス値Mの基準となるアドレスユニットが開始している。よって、光ディスク記録装置は、アドレス値Mを持ったアドレスユニットの先頭位置を予め再生して、回転同期のカウント値を抽出した後、副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッドを移動し、回転同期のカウント値“300”から、識別情報を1ビットずつ回転同期信号のクロックに同期して記録する。
以上より、本実施の形態3における光ディスク150は、ユーザ領域151に凹凸マークによってコンテンツデータが予め記録された後、ユーザ領域151における基準アドレス位置の角度が抽出され、副情報記録領域152における抽出された角度から光ディスクの識別情報が追加記録される。
なお、識別情報は、媒体固有情報の記録に使用できる。凹凸マークが予め転写された光ディスクに識別情報を記録することができるため、スタンパなどで凹凸マークを転写して作成する再生専用光ディスクであっても光ディスク1枚ごとに固有の情報を追加記録することが可能となる。
また、本実施の形態3では、一回転で360カウントする、すなわち光ディスクが1°回転するごとに1カウントする例を説明したがこれに限られない。基準となるアドレス位置を、確実に判別することが可能な分解能であれば、どのような分解能であっても構わない。例えば、Blu−rayディスクの場合、半径位置23mm付近では、一回転辺り32のアドレスユニットが記録される。従って、この場合、32のアドレス位置を確実に判別することのできる一回転あたり64カウント(5.6°ごとに1カウント)程度以上の分解能でよい。
(3−2)実施の形態3の光ディスク記録装置
次に、実施の形態3の光ディスク記録装置について説明する。図20は、実施の形態3に係る光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。図20に示す光ディスク記録装置250は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、PLL回路38、角度計測器39、乱数発生器19、EOR40、メモリ11、レーザ強度変調器22及びシステムコントローラ23を備える。
スピンドルモータ12は、光ディスク記録装置250に光ディスクがローディングされると、光ディスクを回転させる。光学ヘッド13は、光ディスクに再生強度のレーザ光を照射して、その反射光からチャネル信号CSを生成して、アナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから、光学ヘッド13のレーザ光が照射される位置のフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEと、凹凸マークのトラック位置とレーザ光が照射されると位置との半径方向のズレを示すトラッキングエラー信号TEとを生成して、サーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから凹凸マークに対応した信号成分を抽出して、増幅したり波形等化したりしてアナログ再生信号ASを生成して、デジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるフォーカスエラー信号FEから、フォーカス位置のズレを補正するためのフォーカス制御信号FCを生成するとともに、トラッキングエラー信号TEからトラッキング位置のズレを補正するためのトラッキング制御信号TCを生成して光学ヘッド13に出力する。また、サーボ回路14は、チャネル信号CSに基づいて、再生している半径位置における線速度を算出して、再生信号から回転速度を求め、最適な回転数と成るように回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。
なお、光ディスク記録装置250は、光ディスクがローディングされると、まず、予めシステムコントローラ23に設定されている基準アドレス位置にシークし、一回転ごとに内周側に1本トラックを移動することで、基準アドレス位置のトラック位置を保持し、基準アドレス位置の半径位置に対応する回転数を保持する。
デジタル信号処理器16は、内部に持つPLL回路によって、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出して、クロック信号CKに同期して、入力されるアナログ再生信号ASを量子化し、2値化したデジタル再生信号DSを生成してフォーマッタ17に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから一定間隔ごとに付与されている同期符号を検出して、検出タイミングでフレーム単位に再構成し、同期符号の同期パターンによって、アドレス情報を含むアドレスユニット単位にフレームを分割して、アドレスユニット単位に付与されているアドレス情報ADRを抽出して、角度計測器39に出力する。
PLL回路38は、一般的なPLL回路で構成され、スピンドルモータ12から入力される回転同期信号FSと内部で発生したクロック信号CKとの位相誤差を算出して、位相誤差が“0”になるように、内部で発生させたクロック信号CKの周波数を変更する。従って、PLL回路38では、光ディスクの回転に同期したクロック信号CKを生成することができ、このクロック信号CKを角度計測器39、乱数発生器19及びメモリ11に出力する。
角度計測器39は、PLL回路38からのクロック信号CKをカウントし、光ディスクの角度位置を測定する。角度計測器39は、PLL回路38からのクロック信号CKをカウントして、フォーマッタ17からのアドレス情報ADRが、予めシステムコントローラ23に設定された基準アドレス情報である場合には、基準アドレス情報を持ったアドレスユニットの先頭位置のタイミングでのカウント値を記憶する。すなわち、角度計測器39は、基準アドレス位置の角度位置を抽出して保持する。
角度計測器39によって、基準アドレス位置の角度位置が測定されれば、システムコントローラ23は、角速度の一定となるCAV制御によってスピンドルモータ12を制御し、ディスク内周の副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッド13を移動させる。
副情報記録領域に光学ヘッド13が移動された後、PLL回路38は、前記と同様に、スピンドルモータ12からの回転同期信号FSに同期したクロック信号CKを生成して、角度計測器39に出力する。
角度計測器39は、PLL回路38から入力されるクロック信号CKをカウントするとともに、記憶している基準アドレスの角度位置を示すカウント値を角度位置情報ANGとして生成して、乱数発生器19及びメモリ11に出力する。
メモリ11は、予め入力された副情報(媒体固有情報)SDを記憶しており、角度計測器39からの角度位置情報ANGに従って、副情報SDを1ビットずつ、入力されるクロック信号CKに同期して、EOR40に出力する。なお、メモリ11は、角度位置情報ANGの“0”の位置、すなわち基準アドレスの角度位置から、副情報のビット順に1ビットずつ出力する。
乱数発生器19は、メモリ11と同様に、角度計測器39から入力される角度位置情報ANGの先頭位置で初期化して、クロック信号CKに同期して1ビットずつ擬似乱数系列RNを生成してEOR40に出力する。なお、乱数発生器19は、シフトレジスタによって構成される一般的なM系列生成器であり、PLL回路38から入力されるクロック信号CKに同期して内部のシフトレジスタをシフトして、1ビットずつ擬似乱数系列RNを生成する。
EOR40は、一般的な排他的論理和ゲートであり、メモリ11からの副情報SDと、乱数発生器19からの擬似乱数系列RNの排他的論理和を算出して、記録データWDを生成して、レーザ強度変調器22に出力する。
レーザ強度変調器22は、EOR40から入力される記録データWDに従って、記録レーザを照射するタイミングや強度を示す記録パルスWPを生成して光学ヘッド13に出力する。
光学ヘッド13は、レーザ強度変調器22から入力される記録パルスWPに従って、レーザに流す電流値を制御して、レーザ光を照射することによって、光ディスクの副情報記録領域に追記マークを形成し、副情報(媒体識別情報)を記録する。
以上により、光ディスク記録装置250は、回転同期信号FSから生成したクロック信号CKに基づいて、予め凹凸マークで記録された基準アドレスの角度位置をカウンタによって算出した後、光学ヘッド13を副情報記録領域に移動させ、基準アドレスの角度位置情報と同じ角度位置から、副情報を回転同期信号FSに同期したクロック信号CKに同期して記録する。これによって、スタンパによって転写することによって作成された光ディスクであっても、媒体固有情報などを記録することができる。
また、本実施の形態3の光ディスク記録装置250は、凹凸マークによって記録されたアドレスの角度位置を元に擬似乱数系列RNを発生させて、擬似乱数系列RNでスクランブルした副情報を記録している。よって、光ディスクが不正に複製された場合、基準アドレスの角度位置と、副情報を記録した開始位置の角度位置とに誤差が生じ、正しいタイミングで擬似乱数系列RNを発生することができないので、このような不正ディスクの再生動作を停止することができる。
なお、本実施の形態において、PLL回路38がクロック生成部の一例に相当し、角度計測器39が基準角度抽出部の一例に相当し、光学ヘッド13、乱数発生器19、EOR40、メモリ11及びレーザ強度変調器22が副情報記録部の一例に相当する。
図21は、実施の形態3の光ディスク記録装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。まず、光ディスク記録装置250に光ディスクがローディングされると、スピンドルモータ12によって光ディスクが回転し、基準となるアドレス(M)の位置に光学ヘッド13が移動する。
また、スピンドルモータ12から出力した回転同期信号FSに基づいて、PLL回路38によって回転同期信号FSに同期したクロック信号CKが生成される。
光学ヘッド13は、光ディスクに再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からチャネル信号CSを抽出して、アナログ信号処理器15に出力する。アナログ信号処理器15は、チャネル信号CSに基づいてアナログ再生信号ASを生成して、デジタル信号処理器16に出力する。デジタル信号処理器16は、アナログ再生信号ASを量子化して、2値化したデジタル再生信号DSを生成する。フォーマッタ17は、デジタル再生信号DSから、一定間隔ごとに付与された同期符号を検出して、フレーム単位にフォーマットし、フレームを、同期信号の同期パターンに基づいてアドレス情報ADRを持つアドレスユニットに分割する。
角度計測器39は、PLL回路38から入力されるクロック信号CKに同期したカウンタであり、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRが、予めシステムコントローラ23に設定されている基準アドレスである場合には、そのアドレスの示すアドレスユニットの先頭位置に対応した、クロックのカウント値を抽出して記憶する。本例では、基準アドレスは“M”であり、基準アドレスのアドレスユニットの先頭位置に対応したカウント値は“300”である。
基準アドレス位置のカウント値(角度位置)の計測が完了した後、CAV制御によりスピンドルモータ12の回転を制御し、光ディスク内周の副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッド13を移動させる。光学ヘッド13が副情報記録領域に到達した後も同様に、角度計測器39は、回転同期信号FSに同期したクロック信号CKをカウントする。
メモリ11は、カウント値が、角度計測器39に記憶している基準アドレスのカウント値となる位置から、クロック信号CKに同期して、内部に予め記憶した副情報を1ビットずつ出力する。すなわち、メモリ11は、基準アドレスの角度位置と同じ角度位置から、1ビットずつ副情報を出力する。
乱数発生器19も同様に、基準アドレスの角度位置と同じ角度位置から、1ビットずつ擬似乱数系列RNを出力する。EOR40は、メモリ11からの副情報SDと、乱数発生器19からの擬似乱数系列RNとの排他的論理和を算出することによって、副情報SDをスクランブルした記録データWDを生成する。
レーザ強度変調器22は、EOR40から入力される記録データWDに従って、記録レーザを照射するタイミングや、記録パワーを示した記録パルスWPを生成する。光学ヘッド13は、記録パルスWPを基に光ディスクにレーザ光を照射し、ディスク表面に反射率の変化した追記マークSMKを形成することで、副情報を追記する。
以上のように、光ディスク記録装置250を用いれば、凹凸マークを転写した再生型光ディスクであっても、光ディスクを作成後、凹凸マークの基準アドレスの角度位置と同じ角度位置を開始点として、副情報記録領域に光ディスク1枚ごとに固有の媒体固有情報を記録することができる。
複製元光ディスクと複製先光ディスクとの記録開始点のずれや、線速度や回転速度のずれによって、基準アドレス位置と媒体固有情報を記録する開始点とにずれが生じる。ずれが生じれば、媒体固有情報を再生する開始点がずれ、正しい情報を再生することはできない。よって、不正に複製された光ディスクの再生を禁止することができる。
(3−3)実施の形態3の光ディスク再生装置
次に、実施の形態3の光ディスク再生装置について説明する。図22は、実施の形態3の光ディスク再生装置350の構成を示すブロック図である。図22に示す光ディスク再生装置350は、スピンドルモータ12、光学ヘッド13、サーボ回路14、アナログ信号処理器15、デジタル信号処理器16、フォーマッタ17、PLL回路38、角度計測器39、乱数発生器19、AD41、2値化器42、EOR43、メモリ11及びシステムコントローラ23を備える。
スピンドルモータ12は、光ディスク再生装置350に光ディスクがローディングされると、光ディスクを回転させる。光学ヘッド13は、光ディスクに再生レーザを照射して、その反射光からチャネル信号CSを生成して、アナログ信号処理器15に出力する。
アナログ信号処理器15は、光学ヘッド13から入力されるチャネル信号CSから、レーザ光のフォーカス位置のズレを示すフォーカスエラー信号FEと、凹凸マークのトラック位置に対してレーザ光の半径位置のズレを示すトラッキングエラー信号TEとを生成して、サーボ回路14に出力する。また、アナログ信号処理器15は、チャネル信号CSの凹凸マークに対応した信号成分を抽出して、増幅したり波形等化したりしてアナログ再生信号ASを生成してデジタル信号処理器16に出力する。
サーボ回路14は、アナログ信号処理器15から入力されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、フォーカス位置のズレを補正するためのフォーカス制御信号FCを生成し、トラッキングエラー信号TEに基づいて、トラッキング位置を補正するためのトラッキング制御信号TCを生成して、光学ヘッド13に出力する。また、サーボ回路14は、チャネル信号CSに基づいて、再生している半径位置における線速度を算出して、現在の線速度とのずれを判定して、回転数を補正するための回転制御信号SCを生成してスピンドルモータ12に出力する。
デジタル信号処理器16は、内部に持つPLL回路によって、アナログ信号処理器15から入力されるアナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出して、クロック信号CKに同期して、入力されるアナログ再生信号ASを量子化し、2値化したデジタル再生信号DSを生成してフォーマッタ17に出力する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSに一定間隔ごとに付与された同期符号を検出してフレーム単位にフォーマットして、同期符号の同期パターンによって、アドレス情報を含むアドレスユニット単位にフレームを分割して、アドレスユニット単位に付与されているアドレス情報ADRを抽出して、角度計測器39に出力する。
PLL回路38は、一般的なPLL回路で構成され、スピンドルモータ12からの回転同期信号FSと内部で発生するクロック信号CKとの位相誤差を算出して、位相誤差が“0”になるように、クロック信号CKの周波数を制御する。したがって、PLL回路38は、回転同期信号FSに同期したクロック信号CKを生成して、AD41、角度計測器39及び乱数発生器19に出力する。
角度計測器39は、PLL回路38から入力されるクロック信号CKをカウントするカウンタで構成され、システムコントローラ23に予め設定された基準アドレスと、フォーマッタ17から入力されるアドレス情報ADRとが等しいときに、基準アドレスのアドレスユニットの先頭位置における、カウンタのカウント値を抽出して記憶する。すなわち、カウンタは、回転同期信号FSに同期したクロック信号CKをカウントしているため、光ディスクの角度位置を計測していることとなる。基準アドレスの示すアドレスユニットの先頭位置におけるカウント値は、基準アドレスの示すアドレスユニットの先頭位置の角度位置を抽出していることとなる。
角度計測器39によって、基準アドレスの角度位置が抽出された後、システムコントローラ23は、角速度が一定となるCAV制御によってスピンドルモータ12を制御し、ディスク内周の副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッド13を移動させる。
副情報記録領域に光学ヘッド13が移動された後、PLL回路38は、前記と同様に、スピンドルモータ12からの回転同期信号FSに同期したクロック信号CKを生成して、角度計測器39に出力する。角度計測器39は、PLL回路38から入力されるクロック信号CKをカウントして、そのカウント値を角度位置情報ANGとして乱数発生器19に出力する。
乱数発生器19は、角度計測器39に記憶された基準アドレスでのカウント値と、現在のカウント値とが同じである場合、すなわち、基準アドレス位置の角度位置と、現在の角度位置とが同じである場合に、その位置を開始点として、クロック信号CKに同期して、擬似乱数系列RNを1ビットずつ生成してEOR43に出力する。
AD41は、一般的なアナログ−デジタル変換器で構成され、PLL回路38からのクロック信号CKに同期して、アナログ信号処理器15からのアナログ再生信号ASをサンプリングして量子化し、量子化再生信号DASを生成して、2値化器42に出力する。
2値化器42は、AD41から入力される量子化再生信号DASを2値化して2値化再生信号BSを生成してEOR43に出力する。光ディスク再生装置350は、副情報記録領域の再生時において追記マークへのトラッキング制御を行わないので、副情報記録領域の再生信号は、追記マークの存在しない反射光と、追記マークを横断あるいは走査する反射光とに切り分けることができる。2値化器42は、この2つの反射光の違いを2値化して出力する。よって、低域通過フィルタを用いて量子化再生信号DASを所定帯域で平均化した後、2値化すれば、より効率的に2値化することができる。
EOR43は、一般的な、排他的論理和ゲートで構成され、2値化器42からの2値化再生信号BSと、乱数発生器19からの擬似乱数系列RNとの排他的論理和を算出する。乱数発生器19は、実施の形態3の光ディスク記録装置250と同様の構成であるので、記録時に擬似乱数系列RNによってスクランブルされた副情報SDは、EOR43によりデスクランブルされることになる。よって、EOR43は、デスクランブルした副情報SDを生成してメモリ11に出力する。メモリ11は、デスクランブルされた副情報SDを1ビットずつ記憶する。
以上のように、光ディスク再生装置350は、基準となるアドレスの示すアドレスユニットの先頭位置の角度位置を予め抽出し、抽出した角度位置を記録開始点として、光ディスクの副情報記録領域から副情報を再生する。不正に複製された光ディスクは、記録開始点のずれや、線速度や回転数のずれによって基準アドレス位置と副情報の記録開始点とがずれる。よって、正しい開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製された光ディスクから正しい副情報を再生することはできない。
なお、光ディスク再生装置350は、正しい副情報が再生されていないと判断したときは、再生動作を停止させる。正しい副情報であるかの判定方法は、記録時に副情報をエラー訂正符号化して記録しておき、副情報の再生後にエラー訂正を行い、訂正不能やエラーが検出されたときには、正しい副情報が再生できていないとして再生動作を停止する。また、副情報の記録時にMACなどの改竄防止符号を付与して、再生時において検出した副情報からMACを算出して、算出したMACと副情報に付与されているMACとの整合を確認して、整合が無いときは、正しい副情報が記録されていないとして、再生動作を停止する。
なお、本実施の形態において、PLL回路38がクロック生成部の一例に相当し、角度計測器39が基準角度抽出部の一例に相当し、乱数発生器19、AD41、2値化器42、EOR43及びメモリ11が副情報再生部の一例に相当する。
図23は、実施の形態3の光ディスク再生装置の特徴的な動作を示したタイミングチャートである。PLL回路38は、スピンドルモータ12の回転同期信号FSに同期したクロック信号CKを生成する。
また、光学ヘッド13は、光ディスクに再生レーザを照射して、その反射光からチャネル信号CSを生成し、アナログ信号処理器15に出力する。アナログ信号処理器15は、チャネル信号CSに基づいてアナログ再生信号ASを生成して、デジタル信号処理器16に出力する。デジタル信号処理器16のPLL回路は、アナログ再生信号ASに同期したクロック信号CKを抽出するとともに、アナログ再生信号ASを量子化して、2値化したデジタル再生信号DSを生成する。
フォーマッタ17は、デジタル信号処理器16から入力されるデジタル再生信号DSから、一定間隔ごとに付与された同期符号を検出して、フレーム単位にフォーマットし、フレームを、同期符号の同期パターンに基づいて、アドレス情報ADRを含むアドレスユニットに分割する。
角度計測器39は、PLL回路38からの光ディスクの回転に同期したクロック信号CKをカウントして、光ディスクの回転位置(角度位置)を計測する。また、予めシステムコントローラに設定された基準アドレスの示すアドレスユニットの先頭位置におけるカウント値、すなわち基準アドレスの角度位置を算出して記憶する。本例では、基準アドレスが“M”であり、基準アドレスの角度位置が“300”である。
基準アドレスの角度位置の計測が完了した後、角速度が一定となるCAV制御によりスピンドルモータ12の回転を制御し、光ディスク内周の副情報記録領域に対応した半径位置に光学ヘッド13を移動させる。
副情報記録領域では、追記マークSMKへのトラッキング制御は行わないで、光ディスクに再生強度のレーザ光を照射し、その反射光からアナログ再生信号ASが生成される。また、アナログ再生信号ASは、2値化器42で2値化され、追記マークSMKの存在しない領域と追記マークSMKの存在する領域とに分離される。
また、副情報記録領域の再生においても同様に、PLL回路38は、光ディスクの回転に同期したクロック信号CKを生成し、角度計測器39は、クロック信号CKをカウントして、光ディスクの角度位置を算出する。
乱数発生器19は、角度計測器39のカウント値を基に、基準アドレスの角度位置と同等の角度位置から、クロック信号CKに同期して擬似乱数系列RNを1ビットずつ生成する。EOR43は、乱数発生器19で発生した擬似乱数系列RNによって、再生される2値化再生信号BSのデスクランブルを行って副情報SDを再生する。
以上のように、光ディスク再生装置350は、基準アドレス位置の示すアドレスユニットの先頭位置の角度位置を予め抽出し、抽出した角度位置を開始点として、光ディスクの副情報記録領域から副情報を再生する。不正に複製された光ディスクは、記録開始位置のずれや、線速度や回転数のずれによって基準アドレス位置と副情報の記録開始位置がずれる。よって、正しい開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製されたディスクから正しい副情報を再生することはできない。
なお、光ディスク再生装置350は、正しい副情報が再生されていないと判断したときは、再生動作を停止させる。正しい副情報であるかの判定方法は、記録時に副情報をエラー訂正符号化して記録しておき、副情報の再生後にエラー訂正を行い、訂正不能やエラーが検出されたときには、正しい副情報が再生できていないとして再生動作を停止する。また、副情報の記録時にMACなどの改竄防止符号を付与して、再生時において検出した副情報からMACを算出して、算出したMACと副情報に付与されているMACとの整合を確認して、整合が無いときは、正しい副情報が記録されていないとして、再生動作を停止する。
本実施の形態の光ディスク、光ディスク記録装置及び光ディスク再生装置によれば、副情報の記録は、転写された凹凸マークで示されるアドレスのうち基準アドレスの角度位置を再生して、基準アドレスの角度位置を開始点として、副情報記録領域に副情報が記録される。
また、副情報の再生も同様に、転写された凹凸マークで示される記録時と同様の基準アドレスの角度位置を算出して、基準アドレスの角度位置を開始点として、副情報記録領域から副情報を再生することができる。
すなわち、副情報の再生動作によって、凹凸マークの基準アドレスの角度位置が、記録時と再生時とで整合しているか否かが判定される。通常、光ディスクが不正に複製されれば、記録位置のずれや、線速度や回転数の誤差によって、基準アドレスの角度位置と副情報記録位置の角度位置とがずれる。これらの関係がずれれば、副情報を再生する正しいタイミングが生成できないので副情報の再生が不可能となる。これによって、不正な光ディスクの再生を禁止することができる。
また、実施の形態3における光ディスクは、副情報記録領域に副情報を記録する際、角度計測器39のカウンタ値に基づいて、追記マークSMKを記録しない追記マーク未記録領域を設定してもよい。このようにすれば、副情報記録領域内の一部に扇形の領域として、追記マークSMKも、凹凸マークMKも記録されない、いわゆるミラー領域が形成される。また、このミラー領域は、トラッキングを行うトラッキングサーボの追従帯域より広く設けることが望ましい。このようにすれば、例え追記マークSMKにトラッキング制御を行って、追記マークSMKを複製しようとしても、追記マーク未記録領域でトラッキング制御が不可能となって追記マークSMKを複製することが不可能となる。
また、本実施の形態3では、角度位置を抽出するための基準アドレスを予めシステムコントローラ23に設定される固定値として説明したが、これに限らない。例えば、記録時には任意のアドレスを選択しておいて、実施の形態1で説明した媒体IDの変わりに、選択したアドレスを基準アドレスとして記録する。これにより、光ディスク1枚ごとに異なるアドレス位置を基準として副情報が記録されるため、光ディスクの不正な解析を防止することができる。この場合、アドレスは、改竄防止符号を付与したり、暗号化したりして記録することが望ましい。これによって、正式な暗号鍵を持たない海賊版メーカでは、アドレス情報の記録が実質不可能となる。
また、副情報記録領域の再生には、追記マークへSMKのトラッキング制御が行われないので、副情報は、光ディスクの半径方向に複数トラックの範囲で記録することが望ましい。
また、追記マークSMKへのトラッキングを行って副情報を読み出しても、もちろん構わない。この場合は、そもそも追記マーク未記録領域を設けないか、追記マーク未記録領域内ではトラッキング制御を行わないようにして追記マークSMKの再生を行う。また、追記マーク未記録領域も、実施の形態1の媒体IDのように、凹凸マークMKのトラック上の反射膜にレーザ光を照射し、反射率を変化させて記録しても構わない。この場合には、媒体ごとに固有の追記マーク未記録領域を設定することができる。
また、実施の形態3では、角度計測器39によって一回転に360のカウントを行う形態で説明した。これは、光ディスク一回転を円周方向に360分割したブロックで、ブロック内に追記マークが存在するか否かを判定して副情報を抽出している。よって、このブロックの任意ブロックに追記マークSMKや、反射膜を除去した傷ブロックを形成して、どのブロックに追記マークSMKあるいは傷ブロックが存在するかを、例えば実施の形態1の媒体IDとして記録しても良い。
また、実施の形態3では、副情報記録領域の一回転で副情報を再生する形態で説明したが、これに限られない。通常、トラッキング制御なしに追記マークSMKを再生すると、一部の領域では追記マーク間のミラー領域を再生してしまう可能性があるので、このときは正しい副情報の再生は行えない。従って、一回転に半径方向の内周側、あるいは外周側に移動させながら、一回転のタイミングに同期して、再生された2値化再生信号BSを積算して抽出すれば、安定した副情報の再生が可能となる。
また、副情報記録領域を、半径位置に従って複数の領域に分割して、それぞれに異なる基準アドレスを設定したり、異なる乱数系列を設定したりすれば、セキュリティ強度を高めることができる。
また、同様に半径位置に従った複数領域にそれぞれ異なる情報を記録すれば、副情報の記録容量を向上させることが可能となる。
また、実施の形態3では、副情報記録領域には凹凸マークMKが形成されていない形態で説明したが、これに限られない。凹凸マークMK上に追記マークSMKを記録しても、凹凸マークMKの記録帯域は、追記マーク帯域より十分高いので、これらを簡単に分離できるので、安定して追記マークSMKの再生を行うことが可能である。
(4)その他の実施の形態
ここで、実施の形態1及び実施の形態2で説明を省いたが、追記マークの他の記録形態について説明する。実施の形態1では追記マークにより媒体IDが記録され、実施の形態2では追記マークにより物理位置情報が記録される。図24は、その他の実施の形態の追記マークの記録形態を示す概念図である。
実施の形態1及び2において、追記マークの形状及び形成位置は、種々の変更が可能である。図24(A)は、トラック間に間欠的に形成された追記マークを示す図であり、図24(B)は、凹凸マーク上に蛇行して形成された追記マークを示す図であり、図24(C)は、円周方向の間隔が短く、かつ間欠的に形成された追記マークを示す図であり、図24(D)は、凹凸マークの半径方向の長さよりも長く、かつ連続的に形成された追記マークを示す図であり、図24(E)は、凹凸マークの半径方向の長さよりも長く、かつ間欠的に形成された追記マークを示す図である。
図24(A)において、追記マークSMKは、凹凸マークMKのトラック間に、凹凸マークの円周方向の最長マークより低い帯域で、かつ間欠的に形成されている。実施の形態1では、凹凸マークの円周方向の最長マークより低い帯域で1つの追記マークSMKを記録する例を説明したが、間欠的な追記マークにすれば、より一層凹凸マークMKの再生精度への影響を低減することが可能となる。また、トラック間は、凹凸マークMKのトラック間の中心とは限らない。凹凸マークMKのトラック間にトラッキングするとき、トラック位置を予めオフセットさせておくことによって、トラック間の中心位置から外れた位置に追記マークMKが形成される。よって、再生時には、凹凸マークMKのトラックにトラッキングして追記マークSMKを検出するので、追記マークSMKの検出精度を向上することができる。
図24(B)において、追記マークSMKは、凹凸マークMK上に蛇行して形成されている。実施の形態1では、追記マークSMKを円周方向に直線状に形成しているが、本発明は特にこれに限定されず、追記マークSMKを円周方向に蛇行して形成してもよい。
図24(C)において、追記マークSMKは、半径方向に太さが不均一になるように形成されている。このような追記マークSMKは、追記マークSMKを記録するときにレーザ強度を上げたり下げたりして、複数の記録パルス(マルチパルス)で記録して、1つ1つのマルチパルス幅を狭くする、すなわち記録強度のレーザ光が照射される時間を短くすることによって形成される。間欠的ではあるものの、円周方向の追記マークSMKの間隔が接近しているため、追記マークSMKが繋がっている。
図24(D)において、追記マークSMKは、凹凸マークMKよりも半径方向の長さが長く形成されている。追記マークSMKの特性によっては、記録時に凹凸マークMKよりも半径方向に太い追記マークSMKを形成しても、再生時に凹凸マークMKの変調度の方が高くなるケースが知られている。よって、このようなときは凹凸マークMKよりも半径方向に太い追記マークSMKを形成してもよい。
図24(E)において、追記マークSMKは、図24(D)と同様に凹凸マークよりも半径方向の長さが長く、かつ間欠的に形成されている。この場合、間欠的に追記マークSMKが形成されているので、凹凸マークMKの再生精度への影響を低減することが可能となる。
図24(A)〜(E)に示すどのような形態も、本発明の範囲であり、各実施の形態で説明した効果と同様の効果を得るものである。また、本発明は、このような形状には限定されない。凹凸マークを記録して、ディスクを成形後、ディスクの反射率を変化させて追記マークを記録する発明は、全て本発明の範囲である。
また、実施の形態1では追記マークによって媒体IDを記録し、実施の形態2では追記マークによって物理位置情報を記録しているが、本発明はこれに限られない。例えば、ユーザ領域に記録された暗号化コンテンツを復号化するための鍵情報などの復号化に関する情報や、光ディスクが正当であることを示した証明書データ、コンテンツの移動又は複製の許可されている回数、時間及び期間に関する情報、不正ディスクであることを示す情報など、記録されるデジタル著作物に関する情報であればどのような情報でも記録することができる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る光ディスクは、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した後、前記凹凸マーク上に反射膜を形成した光ディスクであって、前記光ディスクが成形された後、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、前記凹凸マークの最長マークよりも長い間隔で、かつ前記チャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、前記反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、前記主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
この構成によれば、光ディスクの凹凸マーク上に反射膜が形成された後、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、凹凸マークの最長マークよりも長い間隔で、かつチャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射される。これによって、反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
したがって、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークの半径方向の幅は、前記凹凸マークの半径方向の幅に比べて狭いことが好ましい。この構成によれば、追記マークの半径方向の幅は、凹凸マークの半径方向の幅に比べて狭いので、再生時において、追記マークを形成することによる反射光レベルの変動を凹凸マークの変調度より小さくすることができ、凹凸マークの再生精度の悪化を軽減することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラック上に形成されていることが好ましい。この構成によれば、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラック上に追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラック間に形成されていることが好ましい。この構成によれば、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラック間に追記マークを形成することができる。また、半径方向に隣接するトラック間に追記マークが形成されるので、凹凸マークの再生精度に影響を与えることなく追記マークを形成することができる。また、凹凸マークのトラック間の反射率を変化させて追記マークか形成されるので、主情報である凹凸マークの再生に何ら影響を与えることがない上、凹凸マークのトラックピッチは追記マークの有無に関係なく同じトラックピッチで形成されるためディスク容量が削減されることはない。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マークを有する第1のトラックと前記第1のトラックに隣接する第2のトラックとの中間位置に形成されていることが好ましい。この構成によれば、凹凸マークを有する第1のトラックと第1のトラックに隣接する第2のトラックとの中間位置に追記マークが形成されるので、凹凸マークの再生精度に影響を与えることなく追記マークを形成することができる。なお、中間位置には、第1のトラックと第2のトラックとの中央部分だけでなく、第1のトラックと第2のトラックとの略中央部分も含まれる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マークを有する第1のトラックと前記第1のトラックに隣接する第2のトラックとの中間位置より、前記第1のトラック側に形成されていることが好ましい。この構成によれば、凹凸マークを有する第1のトラックと第1のトラックに隣接する第2のトラックとの中間位置より、第1のトラック側に追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報の1ビットは、複数の追記マークを伴って記録されていることが好ましい。この構成によれば、複数の追記マークを伴って、1ビットの副情報を記録することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報の1ビットは、間欠的に形成された前記追記マークの集合として記録されていることが好ましい。この構成によれば、副情報の1ビットは、間欠的に形成された追記マークの集合として、1ビットの副情報を記録することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークの円周方向の長さは、前記凹凸マークの円周方向の最短マーク長以下であることが好ましい。この構成によれば、追記マークの円周方向の長さは、凹凸マークの円周方向の最短マーク長以下であるので、凹凸マークの再生精度を悪化させることなく、追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークの円周方向の長さは、前記チャネルビット長以下であることが好ましい。この構成によれば、追記マークの円周方向の長さは、チャネルビット長以下であるので、凹凸マークの再生精度を悪化させることなく、追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークを形成することによって生じる反射光レベルの変動である追記マークの変調度は、前記凹凸マークの反射光レベルと前記凹凸マーク以外の前記反射膜の反射光レベルとの差である凹凸マークの変調度より小さいことが好ましい。
この構成によれば、追記マークを形成することによって生じる反射光レベルの変動である追記マークの変調度は、凹凸マークの反射光レベルと凹凸マーク以外の反射膜の反射光レベルとの差である凹凸マークの変調度より小さいので、追記マークによる影響を抑えつつ、凹凸マークを再生することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークの変調度は、前記凹凸マークの変調度の1/2より平均的に小さいことが好ましい。この構成によれば、追記マークの変調度は、凹凸マークの変調度の1/2より平均的に小さいので、凹凸マークの再生信号のエッジ位置を誤って再生することがなくなり、凹凸マークの再生精度に影響を与えることなく、追記マークを形成することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記レーザ光が照射された部分の前記反射膜の反射率を高くすることにより形成されることが好ましい。この構成によれば、追記マークは、レーザ光が照射された部分の反射膜の反射率を高くすることにより形成される。通常、再生専用の光ディスクの金属膜はレーザ光が照射されることによって反射率が下がってしまうので、レーザ光が照射された部分の反射膜の反射率を高くする光ディスクでなければ副情報を記録することができず、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報は、擬似乱数系列によって周波数拡散されて記録されていることが好ましい。この構成によれば、副情報は、擬似乱数系列によって周波数拡散されて記録されているので、反射率の変動を周波数的に解析しようとしても雑音成分と区別することが困難となり、副情報を解析して不正に光ディスクを複製することを防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報は、PE変調が施されて記録されていることが好ましい。この構成によれば、副情報は、PE変調が施されて記録されているので、反射率を変化させる部分と変化させない部分との出現確率が略等しくなり、再生時のトラッキング信号や再生信号に直流成分が付与されてしまうことを回避することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記追記マークは、前記凹凸マーク上の前記トラックに直交する方向に形成され、前記副情報は、前記追記マークが形成された領域の前記光ディスクにおける物理的な位置を表す物理位置情報を含むことが好ましい。
この構成によれば、追記マークは、凹凸マーク上のトラックに直交する方向に形成され、副情報には、追記マークが形成された領域の光ディスクにおける物理的な位置を表す物理位置情報が含まれる。したがって、再生時において、凹凸マーク上のトラックに直交する方向に形成された追記マークの物理的な位置を検出し、予め記録されている物理位置情報と比較することにより、不正に複製された光ディスクであるか否かを判断することができ、不正に複製された光ディスクの再生を禁止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク製造方法は、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した光ディスク原盤を作成するマスタリングステップと、前記光ディスク原盤の凹凸マークを、光ディスク基板に転写するスタンプステップと、前記光ディスク基板上に反射膜を形成するスパッタリングステップと、前記スパッタリングステップにおいて前記光ディスクの凹凸マーク上に反射膜が形成された後、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、前記凹凸マークの最長マークより長い間隔で、かつ前記チャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、前記反射膜の光学的特性を変化させて追記マークを形成し、前記主情報を再生するのに必要な副情報を重畳記録する副情報記録ステップとを含む。
この構成によれば、マスタリングステップにおいて、変調された主情報に従って、チャネルビット長の整数倍に同期した凹凸マークを形成した光ディスク原盤が作成される。そして、スタンプステップにおいて、光ディスク原盤の凹凸マークが、光ディスク基板に転写され、スパッタリングステップにおいて、光ディスク基板上に反射膜が形成される。スパッタリングステップにおいて光ディスクの凹凸マーク上に反射膜が形成された後、副情報記録ステップにおいて、凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って、凹凸マークの最長マークより長い間隔で、かつチャネルビット長の整数倍に同期した連続的又は間欠的なレーザ光が照射されることによって、反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
したがって、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録装置は、予め主情報が凹凸マークによって記録された光ディスクに、前記主情報を再生するのに必要な副情報を重畳記録する光ディスク記録装置であって、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従ってレーザ光が照射される位置を制御するトラッキング部と、前記凹凸マークに再生レーザ光を照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記凹凸マークのチャネルビット長に同期したチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記チャネルクロックの整数倍で、かつ前記再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した記録レーザ光を照射し、前記光ディスクの記録面に形成された反射膜の光学的特性を変化させて追記マークを形成し、前記光ディスクに前記副情報を重畳記録する副情報記録部とを備える。
この構成によれば、トラッキング部によって、予め主情報が記録された凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従ってレーザ光が照射される位置が制御される。そして、再生信号抽出部によって、凹凸マークに再生レーザ光を照射した反射光から再生信号が抽出され、クロック抽出部によって、凹凸マークのチャネルビット長に同期したチャネルクロックが抽出される。続いて、副情報記録部によって、チャネルクロックの整数倍で、かつ再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した記録レーザ光が照射され、光ディスクの記録面に形成された反射膜の光学的特性を変化させて追記マークが形成され、光ディスクに主情報を再生するのに必要な副情報が重畳記録される。
したがって、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を記録することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク再生装置は、光ディスクの凹凸マークから主情報を再生するとともに、レーザ光が照射されることによって前記光ディスクの反射膜の光学的特性を変化させて形成された追記マークから前記主情報を再生するのに必要な副情報を再生する光ディスク再生装置であって、前記凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従って前記レーザ光が照射される位置を制御するトラッキング部と、前記凹凸マークに再生レーザを照射した反射光から再生信号を抽出する再生信号抽出部と、前記再生信号からチャネルビット長に同期したチャネルクロックを抽出するクロック抽出部と、前記再生信号から凹凸マークに対応した凹凸マーク再生信号と、前記追記マークに対応した追記マーク再生信号とを分離する分離部と、前記チャネルクロックの整数倍で、かつ前記凹凸マーク再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した前記追記マーク再生信号から前記副情報を再生する副情報再生部とを備える。
この構成によれば、トラッキング部によって、予め主情報が記録された凹凸マークの円周方向に形成された螺旋状のトラックに従ってレーザ光が照射される位置が制御される。そして、再生信号抽出部によって、凹凸マークに再生レーザを照射した反射光から再生信号が抽出され、クロック抽出部によって、再生信号からチャネルビット長に同期したチャネルクロックが抽出される。続いて、分離部によって、再生信号から凹凸マークに対応した凹凸マーク再生信号と、追記マークに対応した追記マーク再生信号とが分離され、副情報再生部によって、チャネルクロックの整数倍で、かつ凹凸マーク再生信号の帯域よりも低い帯域に同期した追記マーク再生信号から、主情報を再生するのに必要な副情報が再生される。
したがって、主情報の読み取り精度を悪化させることなく、主情報を再生するのに必要な副情報を再生することができ、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記再生信号から所定間隔で付与されている同期符号を検出する同期符号検出部をさらに備え、前記副情報再生部は、前記同期符号検出部による前記同期符号の検出タイミングに同期して前記副情報を再生することが好ましい。
この構成によれば、同期符号検出部によって、再生信号から所定間隔で付与されている同期符号が検出され、副情報再生部によって、同期符号検出部による同期符号の検出タイミングに同期して副情報が再生される。したがって、再生信号には所定間隔で同期符号が予め付与されており、この同期符号の検出タイミングに同期して副情報が再生されるので、容易に副情報を再生することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記副情報再生部は、相関系列を生成する相関系列生成部と、前記相関系列生成部によって生成された前記相関系列と、前記追記マーク再生信号との相関値を検出する相関検出部と、前記相関検出部によって検出された前記相関値に基づいて前記副情報を再生する再生部とを含むことが好ましい。
この構成によれば、相関系列生成部によって、相関系列が生成され、相関検出部によって、相関系列生成部により生成された相関系列と、追記マーク再生信号との相関値が検出され、再生部によって、相関検出部により検出された相関値に基づいて副情報が再生されるので、生成された相関系列と追記マーク再生信号との相関値に基づいて副情報を再生することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記再生信号から所定間隔で付与されている同期符号を検出する同期符号検出部をさらに備え、前記相関系列生成部は、前記同期符号検出部によって検出された前記同期符号の検出タイミングに同期して前記相関系列を生成することが好ましい。
この構成によれば、同期符号検出部によって、再生信号から所定間隔で付与されている同期符号が検出され、相関系列生成部によって、同期符号検出部により検出された同期符号の検出タイミングに同期して相関系列が生成される。したがって、再生信号には所定間隔で同期符号が予め付与されており、この同期符号の検出タイミングに同期して相関系列が生成されるので、同期符号の検出タイミングに同期して生成された相関系列と追記マーク再生信号との相関値に基づいて副情報を再生することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記分離部は、前記再生信号から、前記凹凸マークに対応した帯域より低い帯域の信号成分を前記追記マーク再生信号として抽出する帯域制限フィルタを含むことが好ましい。
この構成によれば、帯域制限フィルタによって、再生信号から、凹凸マークに対応した帯域より低い帯域の信号成分が追記マーク再生信号として抽出される。したがって、帯域制限フィルタによって、凹凸マーク再生信号と追記マーク再生信号とを分離することが可能となり、互いの再生精度を確保することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記追記マークは、前記凹凸マーク上の前記トラックに直交する方向に形成され、前記副情報は、前記追記マークが形成された領域の前記光ディスクにおける物理的な位置を表す物理位置情報を含み、前記トラックに直交して形成された前記追記マークの前記凹凸マーク位置を基準とした物理位置情報を確認する位置確認部と、前記副情報再生部によって再生された前記副情報に含まれる前記物理位置情報と、前記位置確認部によって確認された前記物理位置情報とを比較する比較部と、前記比較部による比較の結果、前記物理位置情報が一致しない場合、前記主情報の再生を制限する再生制限部とをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、追記マークは、凹凸マーク上のトラックに直交する方向に形成され、副情報は、追記マークが形成された領域の光ディスクにおける物理的な位置を表す物理位置情報を含む。そして、位置確認部によって、トラックに直交して形成された追記マークの凹凸マーク位置を基準とした物理位置情報が確認され、比較部によって、副情報再生部により再生された副情報に含まれる物理位置情報と、位置確認部によって確認された物理位置情報とが比較される。その後、再生制限部によって、比較部による比較の結果、物理位置情報が一致しない場合、主情報の再生が制限される。
したがって、不正に複製された光ディスクの場合、記録時の物理位置情報と、再生時の物理位置情報とには相関がなく、これらの物理位置情報は一致しないので、主情報の再生が制限され、不正に複製された光ディスクから情報を再生することを防止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスクは、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより前記主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクであって、前記副情報記録領域は、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置に基づいた記録開始点から、前記レーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えるように追記マークが形成され、前記副情報が重畳記録される。
この構成によれば、光ディスクは、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とが含まれる。そして、副情報記録領域は、主情報記録領域における基準位置の角度位置に基づいた記録開始点から、レーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えるように追記マークが形成され、副情報が重畳記録される。
したがって、不正に複製された光ディスクは、記録開始点のずれや、線速度や回転数のずれによって基準位置と副情報の記録開始点とがずれるため、正しい記録開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製された光ディスクから正しい副情報を再生することはできず、不正に複製された光ディスクから主情報を再生することを防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記副情報記録領域は、前記副情報記録領域における所定角度範囲で、前記追記マークを形成しない追記マーク未記録領域を含むことが好ましい。この構成によれば、副情報記録領域には、追記マークを形成しない追記マーク未記録領域が所定角度範囲で含まれるので、追記マークにトラッキング制御を行って、追記マークを複製しようとしても、追記マーク未記録領域でトラッキング制御が不可能となり、追記マークを複製することが不可能となり、光ディスクの不正な複製を防止することができる。
また、上記の光ディスクにおいて、前記基準位置を特定する情報は、前記凹凸マークの円周方向の螺旋状のトラック上にレーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えて記録されていることが好ましい。
この構成によれば、基準位置を特定する情報は、凹凸マークの円周方向の螺旋状のトラック上にレーザ光が照射されることによって反射膜の反射率を変えて記録されているので、例えば、記録時において、任意の基準位置を選択し、選択した基準位置を反射膜の反射率を変えて記録する。これにより、光ディスク1枚ごとに異なる基準位置が記録されるため、光ディスクの不正な解析を防止することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク記録装置は、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより前記主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクに前記主情報及び前記副情報を記録する光ディスク記録装置であって、前記光ディスクの回転に同期したクロック信号を生成するクロック生成部と、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置を抽出する基準角度抽出部と、前記基準角度抽出部によって抽出された前記角度位置に基づいて特定される前記副情報記録領域における記録開始点から、前記クロック生成部によって生成された前記クロック信号に同期したレーザ光が照射されることによって前記副情報を重畳記録する副情報記録部とを備える。
この構成によれば、光ディスクには、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とが含まれている。そして、クロック生成部によって、光ディスクの回転に同期したクロック信号が生成され、基準角度抽出部によって、主情報記録領域における基準位置の角度位置が抽出される。続いて、副情報記録部によって、基準角度抽出部により抽出された角度位置に基づいて特定される副情報記録領域における記録開始点から、クロック生成部により生成されたクロック信号に同期したレーザ光が照射され、副情報が重畳記録される。
したがって、不正に複製された光ディスクは、記録開始点のずれや、線速度や回転数のずれによって基準位置と副情報の記録開始点とがずれるため、正しい記録開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製された光ディスクから正しい副情報を再生することはできず、不正に複製された光ディスクから主情報を再生することを防止することができる。
また、上記の光ディスク記録装置において、前記基準位置は、前記凹凸マークで記録されるアドレスにより特定されることが好ましい。この構成によれば、主情報記録領域における基準位置を凹凸マークで記録されるアドレスにより特定することができる。
また、上記の光ディスク記録装置において、前記クロック信号の周期は、前記アドレスの記録されている周期より短いことが好ましい。この構成によれば、クロック信号の周期は、アドレスの記録されている周期より短いので、アドレス周期内に1つ以上の追記マークを記録することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク再生装置は、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、前記凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより前記主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とを含む光ディスクから前記主情報及び前記副情報を再生する光ディスク再生装置であって、前記光ディスクの回転に同期したクロック信号を生成するクロック生成部と、前記主情報記録領域における基準位置の角度位置を抽出する基準角度抽出部と、前記基準角度抽出部によって抽出された前記角度位置に基づいて特定される前記副情報記録領域における再生開始点から、前記クロック生成部によって生成された前記クロック信号に同期して前記副情報を再生する副情報再生部とを備える。
この構成によれば、光ディスクには、凹凸マークにより主情報が記録されている主情報記録領域と、凹凸マークの形成後にレーザ光が照射されることによって形成される追記マークにより主情報を再生するのに必要な副情報が記録されている副情報記録領域とが含まれている。そして、クロック生成部によって、光ディスクの回転に同期したクロック信号が生成され、基準角度抽出部によって、主情報記録領域における基準位置の角度位置が抽出される。続いて、副情報再生部によって、基準角度抽出部により抽出された角度位置に基づいて特定される副情報記録領域における再生開始点から、クロック生成部により生成されたクロック信号に同期して副情報が再生される。
したがって、不正に複製された光ディスクは、記録開始点のずれや、線速度や回転数のずれによって基準位置と副情報の記録開始点とがずれるため、正しい記録開始点で副情報を再生することが不可能となり、不正に複製された光ディスクから正しい副情報を再生することはできず、不正に複製された光ディスクから主情報を再生することを防止することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記基準位置は、前記凹凸マークで記録されるアドレスにより特定されることが好ましい。この構成によれば、主情報記録領域における基準位置を凹凸マークで記録されるアドレスにより特定することができる。
また、上記の光ディスク再生装置において、前記クロック信号の周期は、前記アドレスの記録されている周期より短いことが好ましい。この構成によれば、クロック信号の周期は、アドレスの記録されている周期より短いので、アドレス周期内に1つ以上の追記マークを記録することができる。
本発明に係る光ディスク、光ディスク製造方法、光ディスク記録装置及び光ディスク再生装置は、例え再生専用の光ディスクであったとしても、副情報を記録することができるばかりでなく、その副情報は、不正に他の光ディスクへ複製できないので、光ディスクに記録する主情報の著作権を不正に侵害することのない光ディスク、光ディスク製造方法、光ディスク記録装置及び光ディスク再生装置を提供することが可能となる。
実施の形態1に係る光ディスクの構造を示す概念図である。
実施の形態1に係る光ディスクの内周側のコントロール領域の記録面を示す概念図である。
実施の形態1に係る光ディスクの内周側のコントロール領域の記録面を示す概念図である。
実施の形態1に係る光ディスクの内周側のコントロール領域の記録面を示す概念図である。
実施の形態1における光ディスク製造方法を示す模式図である。
実施の形態1の光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態1における光ディスク記録装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
実施の形態1の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態1における光ディスク再生装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
実施の形態2に係る光ディスクの構造を示す概念図である。
実施の形態2における光ディスク製造方法を示す模式図である。
実施の形態2における物理位置情報のデータフォーマットを示す図である。
実施の形態2に係るプリマーク記録装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態2に係る物理位置情報取得装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態2の物理位置情報取得装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
実施の形態2に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態2に係る光ディスク再生装置における不正ディスク判定処理を説明するための第1のフローチャートである。
実施の形態2に係る光ディスク再生装置における不正ディスク判定処理を説明するための第2のフローチャートである。
実施の形態3に係る光ディスクの構成を示す概念図である。
実施の形態3に係る光ディスク記録装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態3の光ディスク記録装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
実施の形態3の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態3の光ディスク再生装置の特徴的な動作を示すタイミングチャートである。
図24(A)は、トラック間に間欠的に形成された追記マークを示す図であり、図24(B)は、凹凸マーク上に蛇行して形成された追記マークを示す図であり、図24(C)は、円周方向の間隔が短く、かつ間欠的に形成された追記マークを示す図であり、図24(D)は、凹凸マークの半径方向の長さよりも長く、かつ連続的に形成された追記マークを示す図であり、図24(E)は、凹凸マークの半径方向の長さよりも長く、かつ間欠的に形成された追記マークを示す図である。