JPWO2007136134A1 - 疎水性薬物内包ポリマーミセルの製造方法 - Google Patents

疎水性薬物内包ポリマーミセルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2007136134A1
JPWO2007136134A1 JP2008516731A JP2008516731A JPWO2007136134A1 JP WO2007136134 A1 JPWO2007136134 A1 JP WO2007136134A1 JP 2008516731 A JP2008516731 A JP 2008516731A JP 2008516731 A JP2008516731 A JP 2008516731A JP WO2007136134 A1 JPWO2007136134 A1 JP WO2007136134A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrophobic drug
lower alcohol
block copolymer
hydrophobic
aqueous medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008516731A
Other languages
English (en)
Inventor
優子 天野
優子 天野
保雄 山本
保雄 山本
加藤 泰己
泰己 加藤
充訓 原田
充訓 原田
達之 林
達之 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NanoCarrier Co Ltd
Original Assignee
NanoCarrier Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NanoCarrier Co Ltd filed Critical NanoCarrier Co Ltd
Publication of JPWO2007136134A1 publication Critical patent/JPWO2007136134A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/107Emulsions ; Emulsion preconcentrates; Micelles
    • A61K9/1075Microemulsions or submicron emulsions; Preconcentrates or solids thereof; Micelles, e.g. made of phospholipids or block copolymers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/02Drugs for disorders of the nervous system for peripheral neuropathies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/04Centrally acting analgesics, e.g. opioids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/10Antimycotics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P5/00Drugs for disorders of the endocrine system

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、ポリマーミセル中に疎水性薬物を内包させる方法であって、以下の段階:(1−a)前記疎水性薬物を低級アルコールに溶解または分散し、(1−b)親水性領域と疎水性領域とを有するブロックコポリマーからなる前記ポリマーミセルを含有する水性媒体を準備し、(1−c)該疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液と、前記ポリマーミセルを含有する該水性媒体とを混合することで、該ポリマーミセル中に該疎水性薬物を内包させる;を含んでなり、ここで前記疎水性薬物の水溶解度は、前記低級アルコール中での溶解度よりも低い、方法を提供する。

Description

本発明は、エタノール等の低級アルコールを薬物導入媒体として用いることにより、疎水性薬物をポリマーミセルに内包させる方法に関する。
水難溶性または疎水性の薬物の生物学的利用能を高めるべく、薬物をリポソームやポリマーミセルなどの粒子に内包した系が知られている。これらのうち、親水性ポリマーセグメントと疎水性ポリマーセグメントを有するブロックコポリマーを用い、疎水性ポリマーセグメントと薬物との疎水性結合形成能を始めとする相互作用を介して薬物を該ポリマーのミセル中に内包する方法は、広範な薬物への適用が可能であり、しかもナノメーターサイズの非常に小さな薬物内包ポリマーミセルを提供できることから、特に関心が持たれている(特許第2777530号)。腫瘍部位では新生血管に200nm程度の間隙があることが知られており、ナノメーターサイズの粒子はその間隙から漏れ出し、腫瘍へ蓄積することが知られている。薬物内包ポリマーミセルはその粒子径が大きいと腫瘍への薬物の集積性が減少してしまうことが考えられる。そのため、粒子径は200nm以下、好ましくは150nm以下であることが望ましい。また、治療効果の観点から、ポリマーミセルに内包される薬物量は多い方が望ましい。更に、薬物は往々にして高価であり、経済的及び生産的効率を考慮すると、薬物が高い収率でポリマーミセル内に内包されることが所望される。
親水性セグメントおよび疎水性セグメントを有するブロックコポリマーを使用して疎水性薬物を内包したポリマーミセルの製造方法としては、薬剤の内包率の高さやミセル粒子径の小ささの観点から、いわゆる乾固法が有利である(特開2003−342168号公報)。乾固法は、ブロックコポリマーと疎水性薬物を揮散性の有機溶媒に分散溶解して溶液を形成した後、該有機溶媒を除去し、こうして得られる残存物を水と一緒にし、次いで該残存物が水に均一分散するのに十分な時間、所定の温度で撹拌することで、制御された粒子径の薬物内包ポリマーミセルを含有する製剤を製造する。
しかしながら、乾固法は一般に薬物とポリマーミセルを長時間、例えば一晩中攪拌することを要し、また生成される薬物の内包率や粒子径も満足たる成果が得られない場合もあった。また、乾固法ではジクロロメタンやクロロホルムといった有機溶媒が一般に使用され、その毒性が懸念されてもいる。従って、そのような毒性の高い有機溶媒を使用することなく、薬物をブロックコポリマーに内包させる簡便な方法が所望される。
本発明の課題は、短時間でかつ簡単に、しかも高い内包率において粒子径の小さい薬物内包ポリマーミセルの形成を可能にする方法の提供を課題とする。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、薬物導入媒体としてエタノールやメタノールといった低級アルコールを用いることにより、親水性及び疎水性領域を有するブロックコポリマーからなるミセル内に薬物を簡単に導入出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本願発明は以下の態様を含む。
[1]ポリマーミセル中に疎水性薬物を内包させる方法であって、以下の段階:
(1−a)前記疎水性薬物を低級アルコールに溶解または分散し、
(1−b)親水性領域と疎水性領域とを有するブロックコポリマーからなる前記ポリマーミセルを含有する水性媒体を準備し、
(1−c)該疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液と、前記ポリマーミセルを含有する該水性媒体とを混合することで、該ポリマーミセル中に該疎水性薬物を内包させる;
を含んでなり、ここで前記疎水性薬物の水溶解度は、前記低級アルコール中での溶解度よりも低い、方法。
[2]前記段階(1−c)が、前記疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液を、前記ポリマーミセルを含有する前記水性媒体に添加することを含んでなる、[1]の方法。
[3]前記段階(1−c)が、前記ポリマーミセルを含有する前記水性媒体を、前記疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液に添加することを含んでなる、[1]の方法。
[4]前記段階(1−c)において、さらに前記低級アルコール溶液又は分散液と前記水性媒体との混合物にエネルギーを与えることを含む、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5]前記段階(1−c)の後、さらに前記低級アルコールを除去または濃度を低下させる段階を含む、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6]ポリマーミセル中に疎水性薬物を内包させる方法であって、以下の段階:
(2−a)前記疎水性薬物及び親水性領域と疎水性領域とを有するブロックコポリマーの両者を低級アルコールに溶解または分散し、
(2−b)該疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液と、水性媒体とを混合することで、該ブロックコポリマーからポリマーミセルを形成するとともに、該ミセル中に該疎水性薬物を内包させる;
を含んでなり、ここで前記疎水性薬物の水溶解度は、前記低級アルコール中での溶解度よりも低い、方法。
[7]前記段階(2−b)が、前記疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液を、前記水性媒体に添加することを含んでなる、[6]の方法。
[8]前記段階(2−b)が、前記水性媒体を、前記疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液に添加することを含んでなる、[6]の方法。
[9]前記段階(2−b)において、さらに前記疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した水性媒体と低級アルコールとの混合物にエネルギーを与えることを含む、[6]〜[8]のいずれかの方法。
[10]前記段階(2−b)の後、さらに前記低級アルコールを除去または濃度を低下させる段階を含む、[6]〜[9]のいずれかの方法。
[11]前記水性媒体が水又は水性緩衝液である、[1]〜[10]のいずれかの方法。
[12]前記ブロックコポリマーの親水性領域がポリエチレングリコール(PEG)である、[1]〜[11]のいずれかの方法。
[13]前記疎水性領域がアミノ酸および/又はその誘導体からなる、[1]〜[12]のいずれかの方法。
[14]前記アミノ酸および/又はその誘導体がグルタミン酸またはアスパラギン酸および/又はそれらの誘導体である、[13]の方法。
[15]前記疎水性薬物が抗がん剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、中枢神経薬、末梢神経系薬、ホルモン剤、麻酔薬及び鎮痛剤からなる群から選ばれる、[1]〜[14]のいずれかの方法。
本発明により、短時間でかつ簡単に、しかも高い内包率において粒子径の小さい薬物内包ポリマーミセルの形成が可能となる。また、本発明において使用する空ミセルは大量調製が可能である。それ故本発明によれば大量に調製しておいた空ミセルに薬物を簡単に内包させることができるため、本発明は薬物内包ミセルのスクリーニングにも利用できる。
本発明者は、驚くべきことに、薬物導入媒体としてエタノールやメタノールといった低級アルコールを用いることにより、親水性及び疎水性領域からなるブロックコポリマーのミセル内に薬物を、短時間でかつ簡単に、しかも高い内包率で粒子径の小さい薬物内包ポリマーミセルの形成が可能となることを見出した。
本発明は内包すべき疎水性薬物の水/低級アルコール中での溶解度の違いを利用した方法である。疎水性薬物は水よりも有機溶媒中で高い溶解度を有する。従って、疎水性薬物を予め有機溶媒に溶解又は分散させておき、その後薬物の周囲を水性環境に置換して該疎水性薬物の溶解度を下げることで該疎水性薬物を高分子ポリマーミセルの疎水性部分内に内包させることができると考え、有機溶媒としてエタノールやメタノールといった低級アルコールを利用してみたところ、驚くべきことに薬物は空ミセルに混合されて瞬時にミセル内に内包されることを見出した。
具体的には、本発明の方法の一つの態様は以下の段階を含む。
(1−a)疎水性薬物を低級アルコールに溶解または分散し、
(1−b)親水性領域と疎水性領域とを有するブロックコポリマーからなるポリマーミセルを含有する水性媒体を準備し、
(1−c)該疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液と、前記ポリマーミセルを含有する該水性媒体とを混合することで、該ポリマーミセル中に該疎水性薬物を内包させる。
上記段階(1−a)における「溶解または分散」の“分散”とは、低級アルコール中で溶質が均一に分散され、沈殿を生じていない状態を意味する。
上記段階(1−b)におけるポリマーミセルの形成は、例えばブロックコポリマーを含む溶液を攪拌することで行うことができる。好ましくは、ミセルの形成には超音波、圧力および/または剪断力の如きエネルギーをかけて行う。超音波を使用する場合、例えばBioruptor(日本精機)を用い、レベル4、氷冷しながら1秒間欠、5分〜10分間照射することによって行うことができる。
上記段階(1−c)では、疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液を、ポリマーミセルを含有する前記水性媒体に添加してもよいし、ポリマーミセルを含有する前記水性媒体を、前記疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液に添加して混合してもよい。添加は、添加される側の溶液又は媒体などを攪拌しながら、徐々に行うのが好ましい。また混合は、混合溶液又は媒体に超音波、圧力および/または剪断力の如きエネルギーをかけて行ってよい。超音波を使用する場合、例えば上記ポリマーミセルの形成と同じ条件で行うことができる。
本発明の方法のもう一つの態様は以下の段階を含む。
(2−a)疎水性薬物及び親水性領域と疎水性領域とを有するブロックコポリマーの両者を低級アルコールに溶解または分散し、
(2−b)該疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液と、水性媒体とを混合することで、該ブロックコポリマーからポリマーミセルを形成するとともに、該ミセル中に該疎水性薬物を内包させる。
上記段階(2−a)における「溶解または分散」の“分散”も、低級アルコール中で溶質が均一に分散され、沈殿を生じていない状態を意味する。
上記段階(2−b)では、疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液を、水性媒体に添加してもよいし、水性媒体を、疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液に添加してもよい。添加は、添加される側の溶液又は媒体などを攪拌しながら、徐々に行うのが好ましい。
上記段階(2−b)におけるミセル形成も、例えばブロックコポリマーを含む溶液を攪拌することで行うことができ、好ましくは、ミセルの形成には超音波、圧力および/または剪断力の如きエネルギーをかけて行う。超音波を使用する場合、例えば上記(1−b)におけるポリマーミセルの形成の形式と同じ条件で行うことができる。
薬物内包ポリマーミセルを調製した後に低級アルコールを除去する場合は、限外ろ過、透析などにより、所望の水性媒体に置き換えることができ、さらに、低級アルコールの揮発、超遠心などの方法によっても行うことができるがこれらの方法に限定されない。また、低級アルコールの濃度を低下させる場合は、水、緩衝液または生理食塩水などにより希釈することで行うことができるがこれらの方法に限定されない。また、上記の低級アルコールを除去する方法によっても、低級アルコールを希釈できることは言うまでもない。
・低級アルコール
本発明でいう「低級アルコール」とは、疎水性薬物が水性媒体に比べその中で高い溶解度を示し、かつ水と混和するものをいい、特に限定されるわけではないが、好ましくは炭素数が1〜7個、より好ましくは1〜4個の低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等である。特にエタノールまたはメタノールが好ましい。
・疎水性薬物
本発明の方法に従い、ポリマーミセルに効率よく内包できる疎水性薬物は、水溶解度が低級アルコール中での溶解度よりも低い、あらゆる薬物であってよく、各種抗がん剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、中枢神経薬、末梢神経系薬、ホルモン剤、麻酔薬、鎮痛剤など、様々である。抗がん剤の例として、ドセタキセル、タミバロテン、エキセメスタン、フルタミド等が挙げられる。中枢神経系薬の例として、プロホフール、ブコローム、ビペリデン、トリアゾラム、ケトプロフェン、フェイトニン、アモバルビタール、イブプロフェン、インドメタシン等が挙げられる。末梢神経系薬の例として、リドカイン、キシロカイン、フロプロピオン等が挙げられる。ホルモン剤の例として、オキセンドロン、テストステロン、エストラジオール、マキサカルシトール等が挙げられる。その他、アルプロスタジル、ピレタニド、フロセミド、ミコナゾール、各種疎水性ビタミン類、ヒノキチオール等が挙げられる。尚、本発明においては、「薬物」は医薬品に限定されず、生体内で生理作用を発揮する、あらゆる低分子化合物を意味する。ここで低分子とは分子量が1500以下のものをいう。
使用する薬物の量は特に制限されないが、一般的にはブロックコポリマーと薬物の総重量に対して、0.1〜50、好ましくは0.1〜30重量%が使用される。
・水性媒体
本発明でいう水性媒体とは、疎水性薬物のその中での溶解度が、本発明の低級アルコール中での溶解度よりも低いあらゆる水性媒体であってよく、例えば水、生理食塩水、緩衝能を有する水性緩衝液、例えばリン酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液などが上げられる。特に好ましいのは水である。
・疎水性薬物及び親水性領域と疎水性領域とを有するブロックコポリマー
本発明の薬物内包ポリマーミセルを形成するのに用いることのできるポリマーは、親水性領域と疎水性の領域からなるブロックコポリマーであり、これらのブロックコポリマーは、本発明の目的に沿うものであれば、いかなる親水性領域といかなる疎水性領域とを含むものであってもよいが、具体的には、次のようなものを包含する。
限定されるものでないが、親水性領域としては、ポリ(エチレングリコール)[またはポリ(エチレンオキシド)]、ポリサッカライド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリアミノ酸あるいはこれらの誘導体由来の領域が挙げられる。ここでポリサッカライドとしては、デンプン、デキストラン、フルクタン、ガラクタン等が挙げられる。これらのうち、ポリ(エチレングリコール)セグメントは片末端に種々の官能基を有するものが提供されており、また、領域の大きさも制御されたものが容易に利用できることから、好ましい。
他方、限定されるものではないが、全体として、疎水性の領域としては、酸性アミノ酸、特に、ポリ(アスパラギン酸)及び/又はその誘導体、ポリ(グルタミン酸)及び/又はその誘導体を挙げることができる。具体的には、限定されるものではないが、例えばポリ(β−ベンジルアスパルテート)、ポリ(β−ベンジルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アルキルアスパルテート)、ポリ(β−アルキルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アリルアスパルテート)、ポリ(β−アリルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アリルアスパルテート)、ポリ(β−アラルキルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アラルキルアスパルテート)、ポリ(γ−ベンジルグルタメート)、ポリ(γ−ベンジルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(γ−アルキルグルタメート)、ポリ(γ−アルキルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(γ−アラルキルグルタメート)、ポリ(γ−アラルキルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(β−アルキルアスパルタミド−コ−アスパラギン酸)、ポリ(γ−アラルキルグルタミド−コ−グルタミン酸)などのポリ(酸性アミノ酸誘導体)を挙げることができる。
本発明で用いることのできるブロックコポリマーは、上記の親水性領域と疎水性の領域からなり、水性媒体(例えば、水または緩衝化された水もしくは水混和性溶媒、メタノール、ポリエチレングリコール、糖類、等を含有する水性溶液)中でポリマーミセルを形成しうる、それぞれの分子量を有する領域の組み合わせからなるすべてを挙げることができるが、好ましくは、親水性領域がポリ(エチレングリコール)からなり、疎水性の領域が上記のポリ(アミノ酸)及び/又はその誘導体からなるものである。
このようなポリ(アミノ酸誘導体)セグメントは、それ自体公知の、ポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ベンジルエステルまたは、ポリエチレングリコール−コ−ポリグルタミン酸ベンジルエステルから調製することができる。ポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ベンジルエステルまたは、ポリエチレングリコール−コ−ポリグルタミン酸ベンジルエステルの調製は、肩末端が保護され、もう一方の末端がアミノ基であるポリエチレングリコール、例えば、MeO−PEG−CHCHCH−NHを開始剤として、脱水された有機溶媒中で、N−カルボキシ−β−ベンジル−L−アスパルテート(BLA−NCA)もしくは、N−カルボキシ−γ−ベンジル−L−グルタメート(BLG−NCA)を所望の重合度(アミノ酸ユニット数)となるように添加し、反応させることにより得ることができる。
上記で得られたブロックコポリマーの末端をアセチルクロライドまたは無水酢酸よりアセチル化を施した後、アルカリ加水分解によりベンジル基を除去してポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸またはポリエチレングリコール−コ−ポリグルタミン酸とした後、有機溶媒中で、所望のエステル化率となるようにベンジルアルコールを添加し、縮合剤、例えば、N−N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはN−N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)存在下で反応させることにより、部分的にベンジルエステルを有するブロックコポリマーを得ることができる。
さらに、例えば、ベンジルアルコールの代わりに、1−オクタノールを反応させれば、ポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸オクチルエステル、ポリエチレングリコール−コ−ポリグルタミン酸オクチルエステルが得られ、同様に1−ドデカノールを用いれば、ポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ドデシルエステルが、1−ヘキサデカノールを用いればポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ヘキサデシルエステルをそれぞれ得ることが出来る。
また、アミド結合により疎水性側鎖を導入する場合は、前述の通り、ポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ベンジルエステルまたは、ポリエチレングリコール−コ−ポリグルタミン酸ベンジルエステルをアセチル化を施した後、アルカリ加水分解によりベンジル基を除去したカルボキシル基にアミノ基を有する疎水性側鎖を反応させるか、ポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ベンジルエステルと一級アミンを有する化合物を反応させ、アミノリシスを利用してエステル結合からアミド結合へ変換して導入することができる。
さらに、はじめに所望のアミド化率になるように有機溶媒中で1−オクチルアミンなどをポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ベンジルエステルに添加して一定時間反応させた後、未変換のベンジルエステルに対して大過剰量の1,8−ジアミノオクタンなどを加えることにより、疎水性基の末端がアミノ基で置換された疎水性側鎖とアミノ基で置換されていない疎水性側鎖が混在するポリ(アミノ酸誘導体)セグメントにすることもできる。エステル化又はアミド化の割合は、アミノ酸ユニット数全体に対して40%〜100%である。アスパラギン酸、グルタミン酸は、いずれかの光学活性型のものであるか、それらの混合物であることができる。以上の親水性セグメントと疎水性のセグメントは、それ自体既知の例えば、エステル結合、アミド結合、イミノ結合、炭素−炭素結合、エーテル結合等で連結されうる。
特に、製造容易であり、本発明で都合よく使用できるブロックコポリマーとしては、下記式(I)および(II)で示すことのできるものを挙げることができる。
Figure 2007136134
または
Figure 2007136134
上記各式中RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい官能基が置換したもしくは未置換の低級アルキル基を表し、Rは水素原子、飽和もしくは不飽和のC〜C29脂肪族カルボニル基またはアリールカルボニル基を表し、Rは水酸基、飽和もしくは不飽和のC〜C30脂肪族オキシ基またはアリール−低級アルキルオキシ基を表し、Rは−O−または−NH−を表し、Rは、水素原子、フェニル基、−(CH−フェニル基、未置換もしくは、アミノ基またはカルボキシル基で置換されたC〜C16アルキル基、またはベンジル基を表し、Rはメチレン基またはエチレン基を表し、nは10〜2500の整数であり、xは10〜300となる整数であり、mは0〜300となる整数であり(但し、mが存在する場合、(COCHNH)のユニットと(CORCHNH)のユニット、又は(NHCHCO)と(NHCHRCO)のユニットはランダムに存在し、Rは1つのブロックコポリマー内の各アミノ酸ユニットにおいて任意に選択可能であるが、Rが水素原子である場合、x+mの全体の60%未満である)、yは1又は2の整数を表し、Lは−NH−、−O−、−O−Z−NH−、−CO−、−CH−、−O−Z−S−Z−および−OCO−Z−NH−(ここで、Zは独立してC〜Cアルキレン基である。)からなる群より選ばれる連結基を表し、Lが−OCO−Z−CO−および−NHCO−Z−CO−(ここで、Zは独立してC〜Cアルキレン基である。)から選択される連結基を表す。保護されていてもよい官能基としては、ヒドロキシル基、アセタール基、ケタール基、アルデヒド基、糖残基等が挙げられる。RおよびRが保護されていてもよい官能基が置換した低級アルキル基を表す場合の親水性セグメントは、例えば、WO96/33233、WO96/32434、WO97/06202に記載の方法に従うことができる。低級アルキルとは炭素数が例えば7個以下、好ましくは4個以下の直鎖又は分枝鎖アルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などが含まれる。
形成した薬物内包ポリマーミセルについて、必要であれば、それを含有する水性溶液を孔径0.22μmの親水性フィルターでろ過する。0.22μmのフィルターは、通常、注射剤(静脈注射用、動脈注射用、筋肉注射用、腹腔内注射用、等)の調製に際して、使用されることが公知である。薬物内包ポリマーミセル水溶液は、0.22μmのフィルターを用いて除菌ろ過しても、極めて高収率で除菌済み薬物内包ポリマーミセル水溶液を得ることができる。すなわち、本発明によれば、注射剤が効率よく提供できる。このような注射剤は、本発明の好適な態様の一つとして、各種の糖類および/または各種のポリエチレングリコール(マクロゴール)を、低級アルコールの濃度を低下させたおよび/または除去した除菌ろ過前の薬物内包ポリマーミセル水溶液(または水性溶液)に加える工程をさらに含んでなる方法により製造できる。限定されるものでないが、使用できる糖類としては、マルトース、トレハロース、キシリトール、グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、マンニトールおよびデキストリン等が挙げられ、使用できるポリエチレングリコールとしては、分子量が約1000〜約35000であって、例えば、マクロゴール1000、1540、4000、6000、20000および35000等が挙げられる。こうして、本発明によれば、注射剤中で薬物内包ポリマーミセルを安定化しうる助剤を注射剤に簡易、かつ、安全に加えることができる。
このような注射剤は簡易、かつ、安全に製造できるだけでなく、それらを凍結乾燥した場合には、乾燥製剤を水または水性溶液を用いて薬物内包ポリマーミセル含有溶液に再溶解または再構成するときでも、ミセル粒子間での凝集がほとんど起こらない注射液が提供できる。
凍結乾燥製剤が上記のような作用効果を奏するには、凍結乾燥前の溶液における糖類は、その最終濃度が0.1〜15%(w/v)になるように加え、ポリエチレングリコールはその最終濃度が0.5〜10%(w/v)になるように加えるのがよい。通常、ブロックコポリマーと糖類またはポリエチレングリコールとの割合は、それぞれ重量で1:1〜1:10または1:0.5〜1:10である。
以下に比較例、実施例を示し、本発明を具体的に示す。
以下においては、ポリエチレングリコール−ポリ(β−ベンジル−L−アスパラギン酸)ブロックコポリマーをA、ポリエチレングリコール−ポリ(γ−ベンジル−L−グルタミン酸)ブロックコポリマーをGと略す。また、例えばブロックコポリマーのPEG鎖の平均分子量12,000、ポリアミノ酸鎖40残基、ポリアミノ酸側鎖のベンジル基の導入率が60%の場合、各ブロックコポリマーの後に、12−40(60)と表記する。従って、例えばポリエチレングリコール−ポリ(β−ベンジル−L−アスパラギン酸)ブロックコポリマーのPEG鎖の平均分子量が12,000、ポリアミノ酸鎖が40残基、ポリアミノ酸側鎖のベンジル基の導入率が60%の場合、A12−40(60)と表記する。
<実施例1:エタノール法−1>
ブロックコポリマー、A12−40(100)、A12−40(60)、G12−40(100)、G12−40(60)をそれぞれ20mg各スクリュー管に秤量し、水3mLを添加した後、超音波処理(レベル4、1秒間欠10分、日本精機)を行い空ミセルとした。この各空ミセル溶液2mLを撹拌しておき、そこへエタノールに溶解したドセタキセル(3.5mg/mL)200uLを徐々に添加し、再度超音波処理を行いドセタキセル内包ミセルとした(ポリマー対ドセタキセルの重量比5%(w/w)、最終エタノール濃度10%(v/v))。
調製したミセルの粒子径は、NICOMP(商標)380ZLS(PSS・NICOMP)にて測定し、ガウス分布、またはNicomp分布の強度の平均値を用いた。内包率は、ミセルをMILLEX(登録商標)−GV PVDF,0.22um(Millipore)にてろ過し、ろ液を超遠心分離(200,000g、1時間、20℃)した。ろ過前サンプル、ろ液、超遠心分離後の上清の280nmにおける吸光度を分光光度計にて測定した。
ドセタキセルの最大吸光度は280nmであり、ブロックコポリマーも280nmの吸光がみられるため、内包率は以下の方法によって求めた。
ろ過前サンプル、ろ液および同時にコントロールとして同条件で調製した空ミセル溶液のそれぞれを50%(v/v)アセトニトリルで20〜200倍に希釈し、ポリマーミセルを崩壊させた。同様に、超遠心分離後の上清を50%(v/v)アセトニトリルで希釈した。
上記ろ液中のポリマーミセルを崩壊させた液の280nmにおける吸光度から上記空ミセル溶液中のポリマーミセルを崩壊させた液の280nmにおける吸光度を差し引き、ろ液中のドセタキセルに由来する280nmにおける吸光度を求めた。更に、ろ液にはエタノールが含まれるためミセルに内包されていないドセタキセルがわずかに溶解していることから、超遠心分離後の上清の50%(v/v)アセトニトリル希釈液の280nmにおける吸光度を測定した。それぞれの吸光度をドセタキセルの検量線に当てはめ、得られた値に希釈率を乗算してそれぞれの液中のドセタキセル量を求めた。
ミセルに内包されたドセタキセル量は、ろ液中のドセタキセル量から超遠心分離後の上清中のドセタキセル量を差し引いて求めた。
またろ過前サンプル中のポリマーミセルを崩壊させた液の280nmにおける吸光度から、空ミセル溶液中のポリマーミセルを崩壊させた液の280nmにおける吸光度を差し引き、検量線からろ過前サンプルのドセタキセル量を求めた。内包率は、ミセルに内包されたドセタキセル量をろ過前サンプルのドセタキセル量で除し求めた。
内包率(%)
=ミセルに内包されたドセタキセル量/ろ過前サンプルのドセタキセル量×100
調製したドセタキセル内包ミセルの粒子径および内包率を表1に示した。
Figure 2007136134
<実施例2:エタノール法−1>
ドセタキセルの代わりにインドメタシンを用いた以外は実施例1と同様の条件でミセル調製を行い、粒子径を測定し、以下の方法により内包率を求めた。インドメタシンの最大吸光度は320nmであり、ブロックコポリマーも320nmに吸光がみられるため、ろ過前サンプル、ろ液、空ミセル溶液のそれぞれを50%(v/v)アセトニトリルで20〜200倍に希釈しポリマーミセルを崩壊させ、それぞれの320nmにおける吸光度を測定した。同様に、超遠心分離後の上清を50%(v/v)アセトニトリルで20〜200倍に希釈し320nmにおける吸光度を測定し、実施例1と同様の方法により、インドメタシンの検量線から内包率を求めた。その結果を表2に示した。
Figure 2007136134
<実施例3:エタノール法−1>
ドセタキセルの代わりにα−トコフェロールを用いた以外は実施例1と同様の条件でミセル調製を行い、粒子径を測定し、以下の方法により内包率を求めた。α−トコフェロールの最大吸光度は291nmであり、ブロックコポリマーも291nmに吸光がみられるため、ろ過前サンプル、ろ液、空ミセル溶液のそれぞれを50%(v/v)アセトニトリルで20〜200倍に希釈しポリマーミセルを崩壊させ、それぞれの291nmにおける吸光度を測定した。同様に、超遠心分離後の上清を50%(v/v)アセトニトリルで20〜200倍に希釈し291nmにおける吸光度を測定し、実施例1と同様の方法により、α−トコフェロールの検量線から内包率を求めた。その結果を表3に示した。
Figure 2007136134
<実施例4:エタノール濃度の影響>
ブロックコポリマー、A12−40(100)、G12−40(100)をそれぞれ20mg各スクリュー管に秤量し、水3mLを添加した後、超音波処理を行い空ミセルとした。この各空ミセル溶液2mLを撹拌しておき、そこへエタノールに溶解したドセタキセル(7.0mg/mL)100uLを徐々に添加し、再度超音波処理を行いドセタキセル内包ミセルとした(ポリマー対ドセタキセルの重量比5%(w/w)、最終エタノール濃度5%(v/v))。同様に、A12−40(100)、G12−40(100)をそれぞれ20mg秤量し、それに対し水2.4mLを添加し、超音波処理を行った。そのうち各1.6mLにドセタキセル(1.8mg/mL)400uLを徐々に添加し、再度超音波処理を行った(最終エタノール濃度20%(v/v))。またA12−40(100)、G12−40(100)をそれぞれ20mg秤量し、それに対し水2.1mLを添加し、超音波処理を行った。そのうち各1.4mLにドセタキセル(1.2mg/mL)600uLを徐々に添加し、再度超音波処理を行った(最終エタノール濃度30%(v/v))。
調製したミセルの粒子径および内包率を、実施例1と同様に求めた。ただし、超遠心分離は最終エタノール濃度が5%(v/v)の際には200,000g、1時間、20℃、最終エタノール濃度が20および30%(v/v)の際には500,000g、1時間、20℃とした。その結果を表4に示した。
Figure 2007136134
<実施例5:エタノール濃度の影響>
ドセタキセルの代わりにインドメタシンを用いた以外は実施例4と同様の条件でミセル調製を行い、粒子径を測定、内包率を実施例2に記載の方法により求めた。その結果を表5に示した。
Figure 2007136134
<実施例6:エタノール法−2>
ブロックコポリマー、A12−40(100)、G12−40(100)、G12−40(60)をそれぞれ20mg各スクリュー管に秤量し、水3mLを添加した後、超音波処理を行い空ミセルとした。エタノールに溶解したドセタキセル(3.5mg/mL)200uLを撹拌しておき、そこへ各空ミセル溶液2mLを徐々に添加し、再度超音波処理を行いドセタキセル内包ミセルとした(ポリマー対ドセタキセルの重量比5%(w/w)、最終エタノール濃度10%(v/v))。調製したミセルの粒子径および内包率を実施例1と同様に求め、その結果を表6に示した。
Figure 2007136134
<実施例7:エタノール法−2>
ドセタキセルの代わりにインドメタシンを用いた以外は実施例6と同様の条件でミセル調製を行い、粒子径を測定し、実施例2に記載の方法により内包率を求めた。その結果を表7に示した。
Figure 2007136134
<実施例8:エタノール法−3>
ブロックコポリマー、A12−40(100)、G12−40(100)、G12−40(60)をそれぞれ20mg各スクリュー管に秤量し、さらにドセタキセル各1mgを秤量し、エタノール300uLを添加して40℃に加温することで分散溶解した。これを撹拌しておき、そこへ水3mLを徐々に添加した後、超音波処理を行った。これをドセタキセル内包ミセルとした(ポリマー対ドセタキセルの重量比5%(w/w)、最終エタノール濃度10%(v/v))。調製したミセルの粒子径および内包率を実施例1と同様に求め、その結果を表8に示した。
Figure 2007136134
<実施例9:エタノール法−3>
ドセタキセルの代わりにインドメタシンを用いた以外は実施例8と同様の条件でミセル調製を行い、粒子径を測定し、実施例2に記載の方法により内包率を求めた。その結果を表9に示した。
Figure 2007136134
<比較例1:乾固法>
ブロックコポリマー、A12−40(100)、A12−40(60)、G12−40(100)、G12−40(60)をそれぞれ20mg各スクリュー管に秤量し、さらにドセタキセル各1mgを秤量し、ジクロロメタン1mLを添加して溶解した。これを窒素ガスにより乾燥させ、さらにデシケータ内で減圧乾燥を行った。そこへ水3mLを添加し、4℃にて一晩撹拌した後、超音波処理を行うことでドセタキセル内包ミセルとした(ポリマー対ドセタキセルの重量比5%(w/w))。調製したミセルの粒子径および内包率を実施例1と同様に求め、その結果を表10に示した。
Figure 2007136134
<比較例2:乾固法>
ドセタキセルの代わりにインドメタシンを用いた以外は比較例1と同様の条件でミセル調製を行い、粒子径を測定し、実施例2に記載の方法で内包率を求めた。その結果を表11に示した。
Figure 2007136134
<比較例3:分散法>
ブロックコポリマー、A12−40(100)、A12−40(60)、G12−40(100)、G12−40(60)をそれぞれ20mg各スクリュー管に秤量し、水3mLを添加し4℃にて撹拌した。ドセタキセル10mgをジクロロメタン1mLに溶解し、そのうち100uLを撹拌している各ポリマー分散溶液3mL中に添加し、激しく撹拌した。その後、スクリュー管の蓋をとり、一晩撹拌しながらジクロロメタンを揮発させ、超音波処理を行ったものをドセタキセル内包ミセルとした(ポリマー対ドセタキセルの重量比5%(w/w))。調製したミセルの粒子径および内包率を実施例1と同様に求め、その結果を表12に示した。
Figure 2007136134
<比較例4:分散法>
ドセタキセルの代わりにインドメタシンを用いた以外は比較例3と同様の条件でミセル調製を行い、粒子径を測定し、実施例2に記載の方法で内包率を求めた。その結果を表13に示した。
Figure 2007136134

Claims (15)

  1. ポリマーミセル中に疎水性薬物を内包させる方法であって、以下の段階:
    (1−a)前記疎水性薬物を低級アルコールに溶解または分散し、
    (1−b)親水性領域と疎水性領域とを有するブロックコポリマーからなる前記ポリマーミセルを含有する水性媒体を準備し、
    (1−c)該疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液と、前記ポリマーミセルを含有する該水性媒体とを混合することで、該ポリマーミセル中に該疎水性薬物を内包させる;
    を含んでなり、ここで前記疎水性薬物の水溶解度は、前記低級アルコール中での溶解度よりも低い、方法。
  2. 前記段階(1−c)が、前記疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液を、前記ポリマーミセルを含有する前記水性媒体に添加することを含んでなる、請求項1記載の方法。
  3. 前記段階(1−c)が、前記ポリマーミセルを含有する前記水性媒体を、前記疎水性薬物を溶解または分散した低級アルコール溶液に添加することを含んでなる、請求項1記載の方法。
  4. 前記段階(1−c)において、さらに前記低級アルコール溶液又は分散液と前記水性媒体との混合物にエネルギーを与えることを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記段階(1−c)の後、さらに前記低級アルコールを除去または濃度を低下させる段階を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. ポリマーミセル中に疎水性薬物を内包させる方法であって、以下の段階:
    (2−a)前記疎水性薬物及び親水性領域と疎水性領域とを有するブロックコポリマーの両者を低級アルコールに溶解または分散し、
    (2−b)該疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液と、水性媒体とを混合することで、該ブロックコポリマーからポリマーミセルを形成するとともに、該ミセル中に該疎水性薬物を内包させる;
    を含んでなり、ここで前記疎水性薬物の水溶解度は、前記低級アルコール中での溶解度よりも低い、方法。
  7. 前記段階(2−b)が、前記疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液を、前記水性媒体に添加することを含んでなる、請求項6記載の方法。
  8. 前記段階(2−b)が、前記水性媒体を、前記疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した低級アルコール溶液又は分散液に添加することを含んでなる、請求項6記載の方法。
  9. 前記段階(2−b)において、さらに前記疎水性薬物及びブロックコポリマーの両者を溶解または分散した水性媒体と低級アルコールとの混合物にエネルギーを与えることを含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記段階(2−b)の後、さらに前記低級アルコールを除去または濃度を低下させる段階を含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記水性媒体が水又は水性緩衝液である、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記ブロックコポリマーの親水性領域がポリエチレングリコール(PEG)である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記疎水性領域がアミノ酸および/又はその誘導体からなる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記アミノ酸および/又はその誘導体がグルタミン酸またはアスパラギン酸および/又はそれらの誘導体である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記疎水性薬物が抗がん剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、中枢神経薬、末梢神経系薬、ホルモン剤、麻酔薬及び鎮痛剤からなる群から選ばれる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
JP2008516731A 2006-05-23 2007-05-23 疎水性薬物内包ポリマーミセルの製造方法 Pending JPWO2007136134A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006142984 2006-05-23
JP2006142984 2006-05-23
PCT/JP2007/060936 WO2007136134A1 (ja) 2006-05-23 2007-05-23 疎水性薬物内包ポリマーミセルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2007136134A1 true JPWO2007136134A1 (ja) 2009-10-01

Family

ID=38723439

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008516731A Pending JPWO2007136134A1 (ja) 2006-05-23 2007-05-23 疎水性薬物内包ポリマーミセルの製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2007136134A1 (ja)
WO (1) WO2007136134A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9415059B2 (en) 2009-08-31 2016-08-16 Nanocarrier Co., Ltd. Particulate composition and pharmaceutical composition containing the same
JP4653242B1 (ja) 2010-02-12 2011-03-16 ナノキャリア株式会社 粒子状医薬組成物
US20160129117A1 (en) 2013-07-03 2016-05-12 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Novel Boronic Acid Compound Preparation
US20190231885A1 (en) 2015-11-10 2019-08-01 Sun Pharma Global Fze Topical formulations and uses thereof
EP3378495B1 (en) 2015-11-18 2020-08-05 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Composition comprising novel glutamic acid derivative and block copolymer, and use thereof
CN109843316A (zh) 2016-02-29 2019-06-04 太阳制药全球公司 含有环孢菌素的局部制剂及其用途

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6115846A (ja) * 1984-06-26 1986-01-23 インペリアル・ケミカル・インダストリーズ・ピーエルシー 薬剤学的又は獣医学的認容性で、両親媒性の非架橋線状、枝分れ又はグラフトブロックコポリマー
JPH06107565A (ja) * 1992-08-14 1994-04-19 Res Dev Corp Of Japan 物理吸着型高分子ミセル医薬
JPH10512287A (ja) * 1995-09-21 1998-11-24 サム・ヤン・カンパニー・リミテッド 生分解性高分子ミセル−タイプ薬物組成物およびその製造方法
JP2004018494A (ja) * 2002-06-19 2004-01-22 Japan Science & Technology Corp ブロック共重合体−薬剤複合体の製造法
WO2004082718A1 (ja) * 2003-03-20 2004-09-30 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha 難水溶性抗癌剤と新規ブロック共重合体を含むミセル調製物
JP2005029480A (ja) * 2003-07-08 2005-02-03 Nano Career Kk ピルビニウムを内包した高分子ミセルを含有する抗癌剤
JP2005524730A (ja) * 2002-05-03 2005-08-18 ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ ポリマー性マイクロエマルション
JP2006509736A (ja) * 2002-10-21 2006-03-23 ロレアル 両親媒性ブロックコポリマーを用いた水溶液に脂質親和性化合物を溶解させる方法、及び化粧品用組成物

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6115846A (ja) * 1984-06-26 1986-01-23 インペリアル・ケミカル・インダストリーズ・ピーエルシー 薬剤学的又は獣医学的認容性で、両親媒性の非架橋線状、枝分れ又はグラフトブロックコポリマー
JPH06107565A (ja) * 1992-08-14 1994-04-19 Res Dev Corp Of Japan 物理吸着型高分子ミセル医薬
JPH10512287A (ja) * 1995-09-21 1998-11-24 サム・ヤン・カンパニー・リミテッド 生分解性高分子ミセル−タイプ薬物組成物およびその製造方法
JP2005524730A (ja) * 2002-05-03 2005-08-18 ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ ポリマー性マイクロエマルション
JP2004018494A (ja) * 2002-06-19 2004-01-22 Japan Science & Technology Corp ブロック共重合体−薬剤複合体の製造法
JP2006509736A (ja) * 2002-10-21 2006-03-23 ロレアル 両親媒性ブロックコポリマーを用いた水溶液に脂質親和性化合物を溶解させる方法、及び化粧品用組成物
WO2004082718A1 (ja) * 2003-03-20 2004-09-30 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha 難水溶性抗癌剤と新規ブロック共重合体を含むミセル調製物
JP2005029480A (ja) * 2003-07-08 2005-02-03 Nano Career Kk ピルビニウムを内包した高分子ミセルを含有する抗癌剤

Also Published As

Publication number Publication date
WO2007136134A1 (ja) 2007-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2003099260A1 (fr) Procede de production d'une preparation pharmaceutique a base de micelles polymere contenant un medicament a injecter
Kwon et al. Block copolymer micelles as vehicles for hydrophobic drugs
Hsu et al. pH-responsive polymeric micelles self-assembled from benzoic-imine-containing alkyl-modified PEGylated chitosan for delivery of amphiphilic drugs
JP3523821B2 (ja) 薬物が封入されたポリマーミセルの製造方法および該ポリマーミセル組成物
JP5543492B2 (ja) 水難溶性薬物を含有する高分子ミセル組成物の製造方法
US20120141556A1 (en) Lyophilizing composition of drug-encapsulating polymer micelle and method for preparation thereof
JPWO2007136134A1 (ja) 疎水性薬物内包ポリマーミセルの製造方法
BRPI0714718A2 (pt) polipeptìdeo fisiologicamente ativo, micela polimérica com proteìna em seu interior e processo para produção da micela polimérica
CN1761485B (zh) 含略微水溶性抗癌剂和新型嵌段共聚物的胶束制剂
Park et al. Nanoaggregate of thermosensitive chitosan-Pluronic for sustained release of hydrophobic drug
CN101910274A (zh) 含紫杉烷的两亲嵌段共聚物胶束组合物及其制备方法
WO2011088688A1 (zh) 以氨基酸为稳定剂的聚合物胶束载药系统
CN107556438B (zh) 多重响应性交联聚合物及载药纳米胶束和它们的制备方法
EP1800694A1 (en) Controlled release gels
KR100502840B1 (ko) 약물 담지능력이 우수한 블록 공중합체 미셀 조성물
JP2018145115A (ja) 高分子複合体
KR100289074B1 (ko) 난용성약물함유시스템
US20120289469A1 (en) Methods and compositions for maintaining active agents in intra-articular spaces
JPWO2007126110A1 (ja) 低分子薬物内包ポリマーミセルの製造方法
JP2003342167A (ja) カンプトテシン誘導体の製剤およびその調製方法
JP6775591B2 (ja) 両親媒性ブロックポリマーを用いた薬剤内包分子集合体
JP3615721B2 (ja) 薬物含有高分子ミセルの製造方法
JP5046957B2 (ja) フッ素系有機溶媒を用いた薬物封入ポリマーミセルを含有する医薬組成物の製造方法
KR101419137B1 (ko) 약물전달을 위한 기체생성 약물전달체 및 이의 제조방법
JP2005029480A (ja) ピルビニウムを内包した高分子ミセルを含有する抗癌剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120828

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130423