JPWO2007099869A1 - Hcv治療及び予防剤 - Google Patents
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Abstract
Description
HCVは1989年に輸血後の非A非B型肝炎の主要な原因ウイルスとして発見された。HCVはエンベロープを有するRNAウイルスであり、そのゲノムは1本鎖(+)RNAからなり、フラビウイルス科のヘパチウイルス(Hepacivirus)属に分類される。
よって、C型肝炎の有効な治療法の確立が望まれており、その中でも、抗炎症剤により炎症を抑える対処療法とは別に、患部である肝臓においてHCVを減らすあるいは根絶させる薬剤の開発が強く望まれている。
近年、リバビリン(Ribavirin:1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド)がインターフェロンとの併用によるC型肝炎治療薬として市販されているが、有効率は依然低く、更なる新規なC型肝炎治療薬が望まれている。また、インターフェロンアゴニスト、インターロイキン−12アゴニストなど、患者の免疫力を増強させることによってウイルスを排除する手段も試みられているが、いまだ有効とされる薬剤は見出されていない。
しかし近年、HCVの非構造領域部分を用いてインビトロでのHCV複製を観測することが可能になったことにより、レプリコンアッセイ法によって抗HCV薬を容易に評価することができるようになった(非特許文献1)。この系でのHCV RNA複製のメカニズムは、肝細胞に感染した全長HCV RNAゲノムの複製と同一であると考えられている。従って、この系は、HCVの複製を阻害する化合物の同定に有用な細胞に基づくアッセイ系ということができる。
下記式(3)で表される化合物の塩酸塩U18666A(3β-(2-Diethylaminoethoxy)androst-5-en-17-one, HCl)は、細胞透過性の両イオン性アミノステロイドで、細胞膜のタンパク質透過性を阻害する化合物として知られている。
3-beta-hydroxysterol delta-24-reductase活性を阻害することで、細胞内のLDL由来コレステロールの生合成と移送を阻害するものと考えられている。また,Δ8-ステロールイソメラーゼ活性を阻害することも知られている。
また、コレステロールの生合成に関わる3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAレダクターゼを阻害する化合物であるロバスタチンが、HCVの複製阻害活性を有することが知られている(非特許文献2)。しかしながら、ロバスタチンのHCV複製阻害能は低く、コレステロールの生合成の阻害がHCV感染症の治療または予防に関与するか否かは定かではなかった。また、HCV感染症の治療または予防に対し、より高い効果を示す薬剤の提供が求められており、このような薬剤を提供するための効果的な薬剤のスクリーニング法も求められている。
しかしながら、コレステロール生合成に関与するDHCR24の活性および発現阻害が、HCVの複製阻害活性を有するか否かは解明されていなかった。
以上の結果より、DHCR24を特異的に阻害する化合物U18666Aは、抗HCV複製阻害活性を持ち、コレステロール生合成がHCV感染に関与していることが示唆された。
これらの結果より、コレステロール生合成がHCV感染に関与することがわかり、該生合成過程に存在する酵素活性を阻害することによって、HCV感染症の治療または予防を行うことが可能であると示唆された。
〔1〕 デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質を有効成分として含有する、HCV感染症を治療または予防するための薬剤。
〔2〕 デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質が以下の(a)または(b)である、〔1〕に記載の薬剤。
(a)DHCR24の酵素活性を阻害する物質
(b)DHCR24の発現を抑制する物質
〔3〕 DHCR24の酵素活性を阻害する物質が、下記一般式(1)
〔式中、Xは、下記:
からなる群から選ばれるいずれかの基を示し;
Wは、下記:
からなる群から選ばれるいずれかの基を示し;
Yは、水素原子またはメチル基を示し;
Vは、酸素原子又は硫黄原子を示し;
nは2〜6の整数を示し;
mは0または1を示し;
R1とR2は、互いに独立して、C1−C4アルキル基を示し、または隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合してモルフォリニル基を形成していてもよく;
は、単結合または二重結合を意味する。〕で表される化合物またはその薬学的に許容される塩である、〔2〕に記載の薬剤。
〔4〕 前記式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)
〔式中、R1、R2、m、nは、請求項3に記載のR1、R2、m、nと同意義である。〕で表される、〔3〕に記載の薬剤。
〔5〕 前記式(1)で表される化合物が、下記式(3)
で表される、〔3〕に記載の薬剤。
〔6〕 DHCR24の酵素活性を阻害する物質が、DHCR24を認識する抗体である、〔2〕に記載の薬剤。
〔7〕 DHCR24の発現を抑制する物質が、以下の(a)または(b)である、〔2〕に記載の薬剤。
(a)DHCR24をコードするDNAの転写産物と相補的なRNA
(b)DHCR24をコードするDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNA
〔8〕 HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の薬剤。
〔9〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素に被検化合物を接触させる工程
(b)(a)に記載の酵素と被検化合物の結合を検出する工程
(c)(a)に記載の酵素と結合する被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程
〔10〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)被検化合物を細胞に接触させる工程
(b)デスモステロールからコレステロールの生合成過程で合成される化合物の量を測定する工程
(c)被検化合物を接触させていない場合と比較して、上記化合物の量を減少させた被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程
〔11〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)被検化合物を細胞に接触させる工程
(b)デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素の発現レベルを測定する工程
(c)被検化合物を接触させていない場合と比較して、上記酵素の発現レベルを減少させた被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程
〔12〕 以下の(a)〜(d)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素をコードするDNAのプロモーター領域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDNAを有する細胞または細胞抽出液を提供する工程
(b)該細胞または該細胞抽出液に被検化合物を接触させる工程
(c)該細胞または該細胞抽出液における該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程
(d)被検化合物を接触させていない場合と比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルを減少させた被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程
〔13〕 以下の(a)〜(c)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素に被検化合物を接触させる工程
(b)該コレステロールの生合成過程に関与する酵素の活性を測定する工程
(c)被検化合物を接触させない場合と比較して、上記酵素の活性を低下させた被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程
〔14〕 デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素が、DHCR24である、〔9〕〜〔13〕のいずれかに記載のスクリーニング方法。
〔15〕 HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、〔9〕〜〔14〕のいずれかに記載のスクリーニング方法。
〔16〕 〔9〕〜〔15〕のいずれかに記載のスクリーニング方法に用いるためのキット。
〔17〕 デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質を対象に投与する工程を含む、HCV感染症を治療または予防する方法。
〔18〕 デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質が以下の(a)または(b)である、〔17〕に記載の方法。
(a)DHCR24の酵素活性を阻害する物質
(b)DHCR24の発現を抑制する物質
〔19〕 DHCR24の酵素活性を阻害する物質が、下記一般式(1)
〔式中、Xは、下記:
からなる群から選ばれるいずれかの基を示し;
Wは、下記:
からなる群から選ばれるいずれかの基を示し;
Yは、水素原子またはメチル基を示し;
Vは、酸素原子又は硫黄原子を示し;
nは2〜6の整数を示し;
mは0または1を示し;
R1とR2は、互いに独立して、C1−C4アルキル基を示し、または隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合してモルフォリニル基を形成していてもよく;
は、単結合または二重結合を意味する。〕で表される化合物またはその薬学的に許容される塩である、〔18〕に記載の方法。
〔20〕 前記式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)
〔式中、R1、R2、m、nは、請求項3に記載のR1、R2、m、nと同意義である。〕で表される、〔19〕に記載の方法。
〔21〕 前記式(1)で表される化合物が、下記式(3)
で表される、〔19〕に記載の方法。
〔22〕 DHCR24の酵素活性を阻害する物質が、DHCR24を認識する抗体である、〔18〕に記載の方法。
〔23〕 DHCR24の発現を抑制する物質が、以下の(a)または(b)である、〔18〕に記載の方法。
(a)DHCR24をコードするDNAの転写産物と相補的なRNA
(b)DHCR24をコードするDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNA
〔24〕 HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、〔17〕から〔23〕のいずれかに記載の方法。
〔25〕 HCV感染症を治療または予防するための薬剤を製造するための、デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質の使用。
〔26〕 デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質が以下の(a)または(b)である、〔25〕に記載の使用。
(a)DHCR24の酵素活性を阻害する物質
(b)DHCR24の発現を抑制する物質
〔27〕 DHCR24の酵素活性を阻害する物質が、下記一般式(1)
〔式中、Xは、下記:
からなる群から選ばれるいずれかの基を示し;
Wは、下記:
からなる群から選ばれるいずれかの基を示し;
Yは、水素原子またはメチル基を示し;
Vは、酸素原子又は硫黄原子を示し;
nは2〜6の整数を示し;
mは0または1を示し;
R1とR2は、互いに独立して、C1−C4アルキル基を示し、または隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合してモルフォリニル基を形成していてもよく;
は、単結合または二重結合を意味する。〕で表される化合物またはその薬学的に許容される塩である、〔26〕に記載の使用。
〔28〕 前記式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)
〔式中、R1、R2、m、nは、請求項3に記載のR1、R2、m、nと同意義である。〕で表される、〔27〕に記載の使用。
〔29〕 前記式(1)で表される化合物が、下記式(3)
で表される、〔27〕に記載の使用。
〔30〕 DHCR24の酵素活性を阻害する物質が、DHCR24を認識する抗体である、〔26〕に記載の使用。
〔31〕 DHCR24の発現を抑制する物質が、以下の(a)または(b)である、〔26〕に記載の使用。
(a)DHCR24をコードするDNAの転写産物と相補的なRNA
(b)DHCR24をコードするDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNA
〔32〕 HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、〔25〕から〔31〕のいずれかに記載の使用。
本発明において、コレステロールの生合成過程としては、より好ましくは3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAからコレステロールの生合成過程(図1)を挙げることが出来る。
本発明において、コレステロールの生合成過程を遮断する物質とは、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAからコレステロールの生合成過程に関わる生体内反応を、直接的もしくは間接的に阻害するものであれば如何なる物質であってもよい。該物質は、コレステロールの生合成過程に関わる酵素の活性を阻害する物質、コレステロールの生合成に関わる酵素の発現を阻害する物質であってもよく、また、これらの阻害剤を生成または増加させる物質であって、生合成に関わる酵素を間接的に阻害する物質であってもよい。
本発明において、コレステロールの生合成過程に関わる酵素としては、より好ましくは3-beta-hydroxysterol delta-24-reductase(DHCR24)を挙げることができる。
本発明の物質としては、コレステロール生合成過程の最終段階である、デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質を好ましい例として挙げることができる。該生合成過程を遮断する物質としては、該生合成に関与するDHCR24の酵素活性または該酵素の発現を阻害する化合物を挙げることができる。
下記一般式(1)
〔式中、Xは、下記:
からなる群から選ばれるいずれかの基を示し;
Wは、下記:
からなる群から選ばれるいずれかの基を示し;
Yは、水素原子またはメチル基を示し;
Vは、酸素原子又は硫黄原子を示し;
nは2〜6の整数を示し;
mは0または1を示し;
R1とR2は、互いに独立して、C1−C4アルキル基を示し、または隣接する窒素原子と一緒になって互いに結合してモルフォリニル基を形成していてもよく;
は、単結合または二重結合を意味する。〕で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を挙げることができる。
また、
としては、好ましくは二重結合である。
このような式(1)で表される化合物は、公知の方法を用いて製造することができる。たとえば、米国特許3000910、米国特許3210386、または米国特許3389051に記載された方法を用いて製造することができる。このうち、特に、式(3)で表される化合物の塩酸塩(U18666A)はCALBIOCHEM(R)により入手可能である。
アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造がつくられた部位とのハイブリッド形成による転写抑制、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエキソンとの接合点でのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行抑制、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始抑制、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻止、および核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現抑制などである。これらは、転写、スプライシング、または翻訳の過程を阻害して、標的遺伝子の発現を抑制する。
本発明においてRNAは、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域に対するアンチセンスRNAをコードしたアンチセンスコードDNAと、標的遺伝子mRNAのいずれかの領域のセンスRNAをコードしたセンスコードDNAより発現させることができる。また、これらのアンチセンスRNAおよびセンスRNAよりsiRNAを作成することもできる。
本発明のsiRNAにおいてRNA同士が対合した二重鎖RNAの部分は、完全に対合しているものに限らず、ミスマッチ(対応する塩基が相補的でない)、バルジ(一方の鎖に対応する塩基がない)などにより不対合部分が含まれていてもよい。本発明においては、siRNAにおけるRNA同士が対合する二重鎖RNA領域中に、バルジおよびミスマッチの両方が含まれていてもよい。
本発明のsiRNA、標的遺伝子と完全に相補的である必要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上(例えば、95%,96%,97%,98%,99%以上)の配列の相補性を有する。
(A)配列番号:3に記載の塩基配列を含むRNA、および配列番号:4に記載の塩基配列を含むRNAからなる2重鎖RNA
(B)配列番号:5に記載の塩基配列を含むRNA、および配列番号:6に記載の塩基配列を含むRNAからなる2重鎖RNA
また、ヘアピン型リボザイムも、本発明の目的のために有用である。ヘアピン型リボザイムは、例えばタバコリングスポットウイルスのサテライトRNAのマイナス鎖に見出される(J.M.Buzayan Nature 323:349,1986)。このリボザイムも、標的特異的なRNA切断を起こすように設計できることが示されている。
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるペプチド
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/もしくは挿入されたアミノ酸配列からなるペプチド
本発明で使用される該ペプチドを認識する抗体は、公知の手段を用いてポリクローナル又はモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される該ペプチドを認識する抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体としては、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるものがある。この抗体はDHCR24と結合することにより、DHCR24の酵素活性を阻害する。その結果として、コレステロールの合成が阻害され、ラフトを介したHCVウイルスの複製が抑制されるものと考えられる。
具体的には、該ペプチドを認識する抗体を作製するには次のようにすればよい。
該ペプチドをコードする塩基配列を公知の発現ベクター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換させた後、その宿主細胞中又は、培養上清中から目的の該ペプチドを公知の方法で精製し、この精製ペプチドを感作抗原として用いればよい。また、該ペプチドと他の蛋白質との融合蛋白質を感作抗原として用いてもよい。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター等が使用される。
このように免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞が取り出され、細胞融合に付される。細胞融合に付される好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞としての哺乳動物のミエローマ細胞は、すでに、公知の種々の細胞株、例えば、P3X63Ag8.653(Kearney, J. F. et al. J. Immnol. (1979) 123, 1548-1550)、P3X63Ag8U.1 (Current Topics in Microbiology and Immunology (1978) 81, 1-7) 、NS-1(Kohler. G. and Milstein, C. Eur. J. Immunol.(1976) 6, 511-519 )、MPC-11(Margulies. D. H. et al., Cell (1976) 8, 405-415 )、SP2/0 (Shulman, M. et al., Nature (1978) 276, 269-270)、FO(de St. Groth, S. F. et al., J. Immunol. Methods (1980) 35, 1-21 )、S194(Trowbridge, I. S. J. Exp. Med. (1978) 148, 313-323)、R210(Galfre, G. et al., Nature (1979) 277, 131-133 )等が適宜使用される。
より具体的には、前記細胞融合は例えば、細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、センダイウィルス(HVJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は、例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1〜10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
当該ハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えば、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。当該HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、通常数日〜数週間継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよびクローニングが行われる。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
具体的には、目的とする抗体を産生する細胞、例えばハイブリドーマから、抗体の可変(V)領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J. M. et al., Biochemistry (1979) 18, 5294-5299 )、AGPC法(Chomczynski, P. et al., Anal. Biochem. (1987)162, 156-159)等により全RNA を調製し、mRNA Purification Kit (Pharmacia製)等を使用してmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia製)を用いることによりmRNAを直接調製することができる。
本発明で使用される抗体を製造するには、後述のように抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。
キメラ抗体は、前記のようにして得た抗体V領域をコードするDNAをヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 125023、国際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。この既知の方法を用いて、本発明に有用なキメラ抗体を得ることができる。
具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(FR; framework region)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400、国際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。
キメラ抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来のC領域からなり、ヒト化抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域とヒト抗体由来のフレームワーク領域およびC領域からなり、ヒト体内における抗原性が低下しているため、本発明に使用される抗体として有用である。
本発明に使用されるヒト化抗体の好ましい具体例としては、ヒト化PM-1抗体が挙げられる(国際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。
例えば、SV40プロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mulliganらの方法(Mulligan, R. C. et al., Nature (1979) 277, 108-114) 、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mizushimaらの方法(Mizushima, S. and Nagata, S. Nucleic Acids Res. (1990) 18, 5322 )に従えば容易に実施することができる。
抗体分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei, S. P. et al J. Bacteriol. (1987) 169, 4379-4383)を使用すればよい。ペリプラズムに産生された抗体を分離した後、抗体の構造を適切にリフォールド(refold)して使用する(例えば、WO96/30394を参照)。
真核細胞を使用する場合、動物細胞、植物細胞、又は真菌細胞を用いる産生系がある。動物細胞としては、(1)哺乳類細胞、例えば、CHO、COS、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa、Veroなど、(2)両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、あるいは(3)昆虫細胞、例えば、sf9、sf21、Tn5などが知られている。植物細胞としては、ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌、例えばアスペルギルス属(Aspergillus)属、例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)などが知られている。
原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E.coli)、枯草菌が知られている。
一方、in vivoの産生系としては、動物を使用する産生系や植物を使用する産生系が挙げられる。動物を使用する場合、哺乳類動物、昆虫を用いる産生系などがある。
哺乳類動物としては、ヤギ、ブタ、ヒツジ、マウス、ウシなどを用いることができる(Vicki Glaser, SPECTRUM Biotechnology Applications, 1993)。また、昆虫としては、カイコを用いることができる。植物を使用する場合、例えばタバコを用いることができる。
具体的には、抗体を酵素、例えば、パパイン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、又は、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co, M.S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976、Better, M. & Horwitz, A. H. Methods in Enzymology (1989) 178, 476-496 、Pluckthun, A. & Skerra, A. Methods in Enzymology (1989) 178, 497-515 、Lamoyi, E., Methods in Enzymology (1989) 121, 652-663 、Rousseaux, J. et al., Methods in Enzymology (1989) 121, 663-66、Bird, R. E. et al., TIBTECH (1991) 9, 132-137参照)。
また、一旦scFvをコードするDNAが作製されれば、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いて常法に従って、scFvを得ることができる。
これら抗体の断片は、前記と同様にしてその遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。本発明でいう「抗体」にはこれらの抗体の断片も包含される。
洗浄後、5000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG(BIO SOURCE製)100μlを加え、室温にて1時間インキュベートする。洗浄後、基質溶液を加えインキュベーションの後、MICROPLATE READER Model 3550(Bio-Rad製)を用いて405nmでの吸光度を測定し、目的の抗体の濃度を算出する。
上記医薬製剤に含まれる有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、例えば、0.1〜99.5重量%、好ましくは0.5〜90重量%である。
上記経口投与は、固形、粉末又は液状の用量単位で行うことができ、例えば、末剤、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、ドロップ剤、舌下剤、その他の剤型などにより行うことができる。
また、本発明の薬剤を、処置を施したい領域に局所的に投与することもできる。例えば、手術中の局所注入、カテーテルの使用、または本発明の「デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質」をコードするDNAの標的化遺伝子送達により投与することも可能である。
本発明のスクリーニング方法の第一の態様としては、まず、デスモステロールからコレステロールの生合成に関与する酵素に被検化合物を接触させる。
本発明のスクリーニング方法における「デスモステロールからコレステロールの生合成に関与する酵素(以下「該生合成酵素」として約して使用される場合もある)」としては、好ましくはDHCR24等を挙げることができる。これら酵素の由来は、特に制限はなく、例えばこれらの酵素は酵母またはヒトを含む哺乳動物等の由来のものであってもよい。
第二の態様では、次いで、デスモステロールからコレステロールの生合成過程で合成される化合物の量を測定する。合成される化合物としては、中間生成物等も含まれるが、より好ましくは最終生成物であるコレステロールを挙げることができる。
合成された化合物の定量は、GC-MS法、MS-MS法、LC-MS法等公知の方法によって測定することができる。本方法においては、ついで、被検化合物を接触させていない場合と比較して、合成された化合物の量を減少させた場合に、被検化合物を、HCV感染症を治療または予防するための薬剤として選択する。
第三の態様では、次いで、デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素の発現レベルを測定する。該生合成酵素の発現レベルの測定は、当業者に公知の方法によって行うことができる。例えば、該生合成酵素のmRNAを定法に 従って抽出し、このmRNAを鋳型としたノーザンハイブリダイゼーション法、またはRT-PCR法を実施することによって該遺伝子の転写レベルの測定を行うことができる。さらに、DNAアレイ技術を用いて、該生合成酵素の発現レベルを測定することも可能である。
第三の態様においては、ついで、該生合成酵素の発現レベルが、被検化合物を接触させないときに比べ減少する場合に、被検化合物を、HCV感染症を治療または予防するための薬剤として選択する。
第四の態様において、「機能的に結合した」とは、生合成酵素のプロモーター領域に転写因子が結合することにより、レポーター遺伝子の発現が誘導されるように、生合成酵素のプロモーター領域とレポーター遺伝子とが結合していることをいう。従って、レポーター遺伝子が他の遺伝子と結合しており、他の遺伝子産物との融合タンパク質を形成する場合であっても、生合成酵素のプロモーター領域に転写因子が結合することによって、該融合タンパク質の発現が誘導されるものであれば、上記「機能的に結合した」の意に含まれる。
第四の態様においては、ついで、上記レポーター遺伝子の発現レベルが、被検化合物を接触させないときに比べ減少する場合に、被検化合物を、HCV感染症を治療または予防するための薬剤として選択する。
第五の態様では、次いで、上記生合成酵素の活性を測定する。生合成酵素の活性測定は、それぞれの酵素につき公知の方法で行うことができる。一般的には、基質と生成物との間の分光学的性質の差を利用して、その時間的変化を測定する活性測定法が使用されるが、酵素上の情報基(例えばトリプトファンやチロシンのようなアミノ酸残基、および補酵素等)からの情報をストップフロー法や種々の緩和法を用いて、酵素反応をより直接的に測定する方法が選択されてもよい。活性測定法に用いられる分光学的方法としては、吸光、蛍光、CD、NMR、ESR、IR、ラマン等を挙げることができる。第五の態様においては、ついで、上記生合成酵素の活性が、被検化合物を接触させないときに比べ低下する場合に、被検化合物を、HCV感染症を治療または予防するための薬剤として選択する。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
〔実施例1〕 ウェスタンブロット解析によるU18666AのHCVタンパク質合成阻害活性の測定
ウェスタンブロット解析は以下の方法でおこなった。U18666Aを0 nMから500 nMの範囲でレプリコン細胞Huh-3-1に与え、5%CO2存在下、37℃にて培養した。72時間後に培地を捨て、PBS (Phosphate buffered saline, Sigma cat. no. P3813)を加え、ピペッティングにより細胞をはがし、遠心により細胞を回収した。6穴プレートの細胞当たり200μLのCelLyticTM-M (Sigma cat. no. C2978)と2μLのプロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma cat. no. P8340)を加え、室温で15分間振とうした。遠心分離(15000回転、15分間)後、上清のタンパク定量をDye Reagent (nacalai tesque cat. no. 074-27)にておこなった(ウシγグロブリン標準液、BIO-RAD cat. no. 500-0005)。得られたタンパク質5μgを9−11%グラジエントゲル(第一化学薬品 cat. no. 317552)でトリス−グリシン−SDS緩衝液(BIO-RAD cat. no. 161-0772)を用いて電気泳動した。分子量サイズマーカーはBroad marker(BIORAD cat. no. 161-0318)を用いた。電気泳動したタンパク質をミニトランスブロットセル(BIO-RAD cat. no. 170-3930)にてメンブレン(Immobilon-FL、ミリポア cat. no. IPFL00010)に転写した。以下、オデッセイ(アロカ)のプロトコールに従い、一次抗体にHCVタンパク質由来の抗NS3ウサギ抗体 (Nature chemical biology, 2005, 1, p333)を用いてウエスタン解析を行った。その結果、U18666AによるHCVタンパク質合成の阻害の濃度依存性が確認された(図2)。各バンドの強度を定量し、HCVタンパク質の発現を50%減少させる薬剤濃度(IC50)を計算したところ、84 nMであった。
実験開始前日にルシフェラーゼ遺伝子を含むHCV レプリコン保持細胞 FLR 3-1を96 ウェル白色マルチウェルプレート (ルシフェラーゼアッセイ用; 発光測定) と96 ウェルマルチウェルプレート (毒性試験用; 吸光度) のそれぞれに4000個/ウェルで撒いた。この時5% H-FCSを含むD-MEM GlutaMax I 培地を使用した。試験開始当日に終濃度が0.24、0.89、3.90、62.5、250、1000 nMになるようにU18666Aを加えた。5% CO2 37℃で72時間培養後、ルシフェラーゼアッセイおよびWST-8による細胞毒性試験を行った。U18666Aを加えないものをコントロールとした。
ルシフェラーゼアッセイ法
培地交換を行い、1 well当たりの体積を75 μlにした。75 μlのBrightGlo (Promega; E2620) を加えてすぐにウェルの発光量をMithras 940 (Berthold) で測定した。
WST-8アッセイ法
TetraColor ONE (生化学工業; cat.# 800560) を培地100 μl当たりに7 μl加え、5% CO2 37℃で1時間から2時間培養した。培養後の発色をマイクロリーダーモデル550 (測定波長450 nm;対象波長650 nm; Bio-Rad)で測定した。
その結果、U18666AはHCVレプリコン阻害活性を示した(図3)。さらに、U18666Aはロバスタチンよりも明らかに高いHCVレプリコン阻害活性を示した。
細胞とトランスフェクション
実験開始前日にルシフェラーゼ遺伝子を含むHCV レプリコン保持細胞 FLR 3-1を96 ウェル白色マルチウェルプレート (ルシフェラーゼアッセイ用; 発光測定; SUMILON cat.# MS-8096) と96 ウェルマルチウェルプレート (毒性試験用; 吸光度; Falcon cat.# 353072) のそれぞれに4500個/100 μl/ウェルで撒いた。この時5% H-FCS(GIBCO, Cat#: 26140-079)を含むD-MEM GlutaMax I 培地 (GIBCO; cat.# 10569-010) を使用した。
試験開始当日、終濃度が1、3、10、30 nMになるようにDHCR24に対するsiRNA(表1)をLIC-LA3015を用いてFLR3-1にトランスフェクションした。
DHCR24 (Gene #; NM_014762)の配列を参考にして、5’非翻訳領域を含む配列から417番目および1024番目からの二種類のsiRNAをデザインした。
その結果、DHCR24の発現を抑制するためsiRNA処理した細胞では、コントロールsiRNA処理した細胞に対し有意にHCVレプリコン活性を阻害する効果が強く認められた(図4)。
Claims (20)
- デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質を有効成分として含有する、HCV感染症を治療または予防するための薬剤。
- デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質が以下の(a)または(b)である、請求項1に記載の薬剤。
(a)DHCR24の酵素活性を阻害する物質
(b)DHCR24の発現を抑制する物質 - DHCR24の酵素活性を阻害する物質が、DHCR24を認識する抗体である、請求項2に記載の薬剤。
- DHCR24の発現を抑制する物質が、以下の(a)または(b)である、請求項2に記載の薬剤。
(a)DHCR24をコードするDNAの転写産物と相補的なRNA
(b)DHCR24をコードするDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNA - HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、請求項1から7のいずれかに記載の薬剤。
- 以下の(a)から(c)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素に被検化合物を接触させる工程
(b)(a)に記載の酵素と被検化合物の結合を検出する工程
(c)(a)に記載の酵素と結合する被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程 - 以下の(a)から(c)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)被検化合物を細胞に接触させる工程
(b)デスモステロールからコレステロールの生合成過程で合成される化合物の量を測定する工程
(c)被検化合物を接触させていない場合と比較して、上記化合物の量を減少させた被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程 - 以下の(a)から(c)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)被検化合物を細胞に接触させる工程
(b)デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素の発現レベルを測定する工程
(c)被検化合物を接触させていない場合と比較して、上記酵素の発現レベルを減少させた被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程 - 以下の(a)から(d)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素をコードするDNAのプロモーター領域の下流にレポーター遺伝子が機能的に結合したDNAを有する細胞または細胞抽出液を提供する工程
(b)該細胞または該細胞抽出液に被検化合物を接触させる工程
(c)該細胞または該細胞抽出液における該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程
(d)被検化合物を接触させていない場合と比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルを減少させた被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程 - 以下の(a)から(c)の工程を含む、HCV感染症を治療または予防するための薬剤のスクリーニング方法。
(a)デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素に被検化合物を接触させる工程
(b)該コレステロールの生合成過程に関与する酵素の活性を測定する工程
(c)被検化合物を接触させない場合と比較して、上記酵素の活性を低下させた被検化合物を、HCV感染症を治療または予防する薬物として選択する工程 - デスモステロールからコレステロールの生合成過程に関与する酵素が、DHCR24である、請求項9から13のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、請求項9から14のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- 請求項9から15のいずれかに記載のスクリーニング方法に用いるためのキット。
- デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質を対象に投与する工程を含む、HCV感染症を治療または予防する方法。
- デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質が以下の(a)または(b)である、請求項17に記載の方法。
(a)DHCR24の酵素活性を阻害する物質
(b)DHCR24の発現を抑制する物質 - HCV感染症を治療または予防するための薬剤を製造するための、デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質の使用。
- デスモステロールからコレステロールの生合成過程を遮断する物質が以下の(a)または(b)である、請求項19に記載の使用。
(a)DHCR24の酵素活性を阻害する物質
(b)DHCR24の発現を抑制する物質
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