JPWO2007097461A1 - C型肝炎治療用抗体 - Google Patents

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Abstract

C型肝炎の治療に有効な抗体及び抗ウイルス剤を提供すること。抗DHCR24抗体を用いることにより、細胞に感染したHCVの複製を抑制し、感染細胞を障害することが可能である。したがって、本発明の抗DHCR24抗体は、C型肝炎の治療に有効である。

Description

本発明は、C型肝炎を治療するための抗DHCR24抗体に関する。さらに、本発明は、前記抗体及び医薬的に許容可能な担体を含む、抗ウイルス剤に関する。
C型肝炎ウイルス(HCV)は輸血後の非A非B肝炎の主な原因ウイルスであり、このウイルスに起因する肝炎は慢性化率が高い。このウイルスのcDNAは、1989年にChooらによりクローニングされ(Choo,Q.L.ら、Science、244、359−362、1989)、フラビウイルス科に属する1本鎖RNAウイルスであることが知られている(Kato,N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,9524−9528,1990)。又、幾つかのグループにより全塩基配列およびアミノ酸配列の解明がなされている。
C型肝炎の治療手段の発見が急がれているが、その理由の1つとして、100%有効な抗ウイルス効果を示す治療薬が確立していないことが挙げられる。現在、最も有効な治療法は、ペグ化インターフェロンとリバビリンとの併用療法である。しかしながら、この療法でも、日本で抗体陽性者が多く且つインターフェロンの効果が低い遺伝子型1bのHCV感染者における著効率は50%程度にとどまっており、新規抗ウイルス剤の開発が切望されている。更に、HCV陽性者は全世界で1億7千万人、日本でも200万人以上存在するといわれ、C型肝炎から肝癌・肝硬変に移行する確率も高いことから、早急な治療手段の確立が必要とされている。また、これまでに、HCVの複製に関与する非構造タンパク質(NS3、NS5)のプロテアーゼ活性を阻害すること等による抗ウイルス薬の開発が試みられているが、ウイルス遺伝子に変異が多いことなどから十分な有効性は得られていない。
DHCR24(24-dehydrocholesterol reductase)はSeladin−1とも呼ばれ、コレステロール合成経路の最終段階であるデスモステロールからコレステロールへの還元を行う酵素である(Bae,H.ら、Biochem J.326:609−16、1997)。DHCR24のノックアウトマウスは致死性ではないが、全身臓器の細胞膜にコレステロールの欠損が観察されている(Wechslerら、Science 302:2087、2003)。一方、DHCR24はアルツハイマー病で減少し、神経細胞が障害される(Crameriら、EMBO J.1−12、2006)。副腎腫瘍との関連も報告されている。さらに最近は、siRNA発現ベクターを用いたランダムスクリーニング系から、DHCR24のノックダウンがRasの誘導する老化(senescence)をバイパスして、細胞を形質転換することが明らかとなっている(Wuら、Nature 432:640−645、2004)。これは、DHCR24は、ヒト2倍体細胞(WI38)において、造腫瘍ストレスや酸化ストレス時にp53及びMDM2(ユビキチンE3リガーゼ)に結合し、p53をMDM2から解離させ、p53を活性化するためであると考えられている。
本発明者らは、DHCR24を認識する抗体を取得し、この抗体が、がんの診断や治療に有効であることを開示している(WO2005/019268号)。
本発明は、C型肝炎の治療に有効な抗体を提供することを目的とする。また、本発明は、HCV感染細胞を特異的に傷害する抗ウイルス剤を提供することを目的とする。
HCVが感染した細胞では、DHCR24の発現上昇がみられることから、DHCR24がHCVの複製に必須の役割を果たす可能性が考えられた。本発明者らは、DHCR24に対する抗体が、HCVの複製を抑制し、HCV複製細胞(レプリコン細胞)を傷害することを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明は、C型肝炎を治療するための抗DHCR24抗体を提供するものである。
また、本発明は、前記抗体及び医薬的に許容可能な担体を含む、抗ウイルス剤を提供するものである。
さらに、本発明は、前記抗体をC型肝炎の治療に有効な量で投与することを含む、C型肝炎の治療方法を提供する。
また、本発明は、C型肝炎の治療に有効な量の抗DHCR24抗体および使用説明書を含む、C型肝炎治療用キットを提供する。
ルシフェラーゼ遺伝子及びneo遺伝子と、HCVの非構造タンパク質領域(NS3−NS5b)とを融合させたユニットの構造と、HCVレプリコン細胞の樹立方法の概略を示す図である。 抗DHCR24抗体2−152によるHCVレプリコン複製抑制活性を、ルシフェラーゼアッセイにより解析した結果を示す図である。 抗DHCR24抗体2−152によるHCVレプリコン細胞障害活性を、WST−8を用いて解析した結果を示す図である。 抗DHCR24抗体2−152処理によってアポトーシスを起こしたレプリコン細胞をアポトーシスマーカーであるアネキシンVで染色した結果を示す顕微鏡写真である。PIは細胞核を染色した写真であり、Mergeは左2つの写真を重ね合わせたものである。 HuH−7細胞(左パネル)やレプリコン細胞Rep3−1(右パネル)の表面に存在するDHCR24の表出をFACS解析により検出した結果を示す図である。黒い領域は正常IgG反応細胞群を示し、白い領域は抗DHCR24 IgG反応細胞群を示す。
本発明は、C型肝炎を治療するための抗DHCR24抗体に関するものである。本発明の抗体は、HCVの複製を抑制し、HCV複製細胞を抑制することができる。
抗DHCR24抗体のHCVに対する効果を判定するには、HCVレプリコン細胞を使用する(Lohmannら、Science、285、110−113、1999)。HCVレプリコン細胞とは、HCVの複製に必要な非構造タンパク質(NS)領域に、インディケーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を連結させたものである。本細胞に抗DHCR24抗体を添加後、ルシフェラーゼ活性を測定することにより、その抗HCV複製活性を明らかにすることができる。また、抗DHCR24抗体の抗ウイルス活性は、HCV感染系(Wakitaら、Nature Medicine、11、791−796、2005)を用いた阻害活性により検討することができる。
本発明の抗DHCR24抗体は、DHCRへの結合能を有していれば、いかなる抗体でもよく、由来や形状などで限定されない。なお、DHCRへの結合能は、DHCRに特異的に結合することが好ましい。
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいが、治療や診断に用いる場合には、モノクローナル抗体であることが好ましい。
また、本発明の抗体はマウス抗体、ヒト抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、ラクダ抗体など、どのような動物由来の抗体でもよい。
さらに、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体などのアミノ酸配列を置換した改変抗体でもよいし、又、各種分子を結合させた抗体修飾物、抗体断片、低分子化抗体、糖鎖改変抗体など、いかなる抗体でもよい。
1. 抗DHCR24抗体
本発明で使用される抗DHCR24抗体は、公知の手段を用いてポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体として得ることができる。本発明の抗DHCR24抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるもの、などを含む。
このような抗体は、例えば、以下のような当業者に公知の方法によって得ることが可能である。
2. 抗体産生ハイブリドーマ
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、例えば以下のようにして作製できる。すなわち、DHCR24タンパク質又はDHCR24発現細胞(例えば、HCVタンパク質をコードする遺伝子を導入した肝細胞、肝癌細胞、など)を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
具体的には、モノクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。
まず、抗体取得の感作抗原として使用されるDHCR24タンパク質を、GenBank:NM 014762に開示されたDHCR24遺伝子/アミノ酸配列を発現させることによって得る(又はAm.J.Hum.Genet.69(4)、685−694(2001);J.Neurosci.20(19)、7345−7352(2000)に記載の配列)。すなわち、DHCR24をコードする遺伝子配列を公知の発現ベクター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換させた後、その宿主細胞中または培養上清中から目的のヒトDHCR24タンパク質を公知の方法で精製する。
次に、この精製DHCR24タンパク質を感作抗原として用いる。あるいは、DHCR24の部分ペプチドを感作抗原として使用することもできる。この際、部分ペプチドはヒトDHCR24のアミノ酸配列より化学合成により得ることも可能である。
本発明の抗DHCR24抗体の認識するDHCR24分子上のエピトープは特定のものに限定されず、DHCR24分子上に存在するエピトープならばどのエピトープを認識してもよい。従って、本発明の抗DHCR24抗体を作製するための抗原は、DHCR24分子上に存在するエピトープを含む断片ならば、如何なる断片も用いることが可能である。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、あるいはウサギ、サル等が使用される。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものに所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4〜21日毎に数回投与する。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することもできる。
このように哺乳動物を免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞を採取し、細胞融合に付されるが、好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞は、公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J.Immnol.123、1548−1550、1979)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology、81、1−7、1978)、NS−1(Kohler.G.及びMilstein,C.、Eur.J.Immunol.、6、511−519、1976)、MPC−11(Margulies.D.H.ら、Cell、8、405−415、1976)、SP2/0(Shulman,M.ら、Nature、276、269−270、1978)、FO(deSt.Groth,S.F.ら、J.Immunol.Methods、35、1−21、1980)、S194(Trowbridge,I.S.、J.Exp.Med.、148、313−323、1978)、R210(Galfre,G.ら、Nature、277、131−133、1979)等が好適である。
前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーとミルステインらの方法(Kohler.G.及びMilstein,C.、Methods Enzymol.、73、3−46、1981)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定することができる。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1〜10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI 1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したPEG溶液(例えば平均分子量1,000〜6,000程度)を通常30〜60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)を形成する。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。上記HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングを行う。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroでDHCR24に感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞と融合させ、DHCR24への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878号公報参照)。さらに、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原となるDHCR24を投与して抗DHCR24抗体産生細胞を取得し、これを不死化させた細胞からDHCR24に対するヒト抗体を取得してもよい(WO94/25585号公報、WO93/12227号公報、WO92/03918号公報、WO94/02602号公報参照)。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
3. 組換え型抗体
本発明では、モノクローナル抗体として、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型のものを用いることができる(例えば、Vandamme,A.M.ら、Eur.J.Biochem.、192、767−775、1990参照)。
具体的には、抗DHCR24抗体を産生するハイブリドーマから、抗DHCR24抗体の可変(V)領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin,J.M.ら、Biochemistry、18、5294−5299、1979)、AGPC法(Chomczynski,P.ら、Anal.Biochem.、162、156−159、1987)等により行って全RNAを調製し、mRNA精製キット(ファルマシア製)等を使用して目的のmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA精製キット(ファルマシア製)を用いることによりmRNAを直接調製することもできる。
得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First−strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業社製)等を用いて行う。また、cDNAの合成および増幅を行うには、5’−Ampli FINDER RACE Kit(クローンテック製)およびPCRを用いた5’−RACE法(Frohman,M.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85、8998−9002、1988;Belyavsky,A.ら、Nucleic Acids Res.、17、2919−2932、1989)等を使用することができる。
得られたPCR産物から目的とするDNA断片を精製し、ベクターDNAと連結する。さらに、これより組換えベクターを作製し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。そして、目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認する。
目的とする抗DHCR24抗体のV領域をコードするDNAを得たのち、これを、所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAを含有する発現ベクターへ組み込む。
本発明で使用される抗DHCR24抗体を製造するには、通常、抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより、宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させる。
抗体遺伝子の発現は、抗体重鎖(H鎖)または軽鎖(L鎖)をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を同時形質転換させてもよいし、あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換させてもよい(WO94/11523号公報参照)。
また、組換え型抗体の産生には上記宿主細胞だけではなく、トランスジェニック動物を使用することができる。例えば、抗体遺伝子を、乳汁中に固有に産生されるタンパク質(ヤギβカゼインなど)をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギまたはその子孫が産生する乳汁から所望の抗体を得る。また、トランスジェニックヤギから産生される所望の抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい(Ebert,K.M.ら、Bio/Technology、12、699−702、1994)。
4. 改変抗体
本発明の抗体には、上記抗体のほかに、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した改変抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト化(Humanized)抗体などを含む。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体は、前記のようにして得た抗体V領域をコードするDNAをヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる。この既知の方法を用いて、キメラ抗体を得ることができる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、これは、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(EP125023号公報、WO96/02576号公報参照)。
具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(FR)とを連結するように設計したDNA配列を、CDR及びFR両方の末端領域にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCR法により合成する(WO98/13388号公報に記載の方法を参照)。
CDRを介して連結されるヒト抗体のFR領域は、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように、抗体の可変領域におけるFR領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato,K.ら、Cancer Res.、53、851−856、1993)。
キメラ抗体及びヒト型化抗体のC領域には、ヒト抗体のものが使用され、例えばH鎖では、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4を、L鎖ではCκ、Cλを使用することができる。また、抗体またはその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C領域を修飾してもよい。
一般的に、キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来の定常領域とからなる。一方、ヒト化抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域と、ヒト抗体由来のFR領域およびC領域とからなる。キメラ抗体やヒト化抗体はヒト体内における抗原性が低下されているため、治療目的などでヒトに投与する場合に有用と考えられる。
5. 抗体修飾物
本発明で使用される抗体は、抗体の全体分子に限られずDHCR24に結合する限り、抗体の断片又はその修飾物であってもよく、2価抗体も1価抗体も含まれる。例えば、抗体の断片としては、Fab、F(ab’)2、Fv、1個のFabと完全なFcを有するFab/c、またはH鎖若しくはL鎖のFvを適当なリンカーで連結させた1本鎖Fv(scFv)、diabodyなどが挙げられる。具体的には、抗体を酵素、例えばパパイン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、または、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co,M.S.ら、J.Immunol.、152、2968−2976、1994;Better,M.&Horwitz,A.H.、Methods in Enzymology、178、476−496、1989;Academic Press,Inc.、Plueckthun、A.&Skerra,A.、Methods in Enzymology、178、476−496、1989;Academic Press,Inc.、Lamoyi,E.、Methods in Enzymology、121、652−663、1989;Rousseaux,J.ら、Methods in Enzymology、121、663−669、1989;Bird,R.E.ら、TIBTECH、9、132−137、1991参照)。
scFvは、抗体のH鎖V領域とL鎖V領域とを連結することにより得られる。このscFvにおいて、H鎖V領域とL鎖V領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して連結される(Huston,J.S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85、5879−5883、1988)。scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖V領域は、本明細書に抗体として記載されたもののいずれの由来であってもよい。V領域を連結するペプチドリンカーとしては、例えばアミノ酸5〜20残基程度の任意の1本鎖ペプチドが用いられる。
scFvをコードするDNAは、前記抗体のH鎖またはH鎖V領域をコードするDNA、およびL鎖またはL鎖V領域をコードするDNAのうち、それらの配列のうちの全部又は所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を鋳型とし、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにペプチドリンカー部分をコードするDNA、およびその両端が各々H鎖、L鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合わせて増幅することにより得られる。
また、一旦scFvをコードするDNAが作製されると、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いることにより、常法に従ってscFvを得ることができる。
これら抗体の断片は、前記と同様にしてその遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。本発明における「抗体」にはこれらの抗体の断片も包含される。
抗体の修飾物として、細胞障害性物質やポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗DHCR24抗体を挙げることができる。細胞障害性物質としては、例えば、放射性同位元素、化学療法剤、細菌由来トキシン等を挙げることができる。本発明における「抗体」には、このような他の物質と結合している抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。
さらに、本発明で使用される抗体は、2重特異性抗体(bispecific antibody)であってもよい。2重特異性抗体はDHCR24分子上の異なるエピトープを認識する抗原結合部位を有する2重特異性抗体であってもよいし、一方の抗原結合部位がDHCR24を認識し、他方の抗原結合部位が化学療法剤、細胞由来トキシン、放射性物質等の細胞障害性物質を認識してもよい。この場合、DHCR24を発現している細胞に直接細胞障害性物質を作用させ腫瘍細胞に特異的に傷害を与え、腫瘍細胞の増殖を抑えることが可能である。2重特異性抗体は2種類の抗体のHL対を結合させて作製することもできるし、異なるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを融合させて2重特異性抗体産生融合細胞を作製し、得ることもできる。さらに、遺伝子工学的手法により2重特異性抗体を作製することも可能である。
又、抗体の細胞障害活性を増強させる目的で、抗体の糖鎖を改変してもよい。抗体の糖鎖改変技術は既に知られている(例えば、WO/0061739号、WO02/31140号など)。
6. 組換え型抗体または改変抗体の発現および産生
前記のように構築した抗体遺伝子は、公知の方法により発現させ、取得することができる。哺乳類細胞の場合、常用される有用なプロモーター、発現させる抗体遺伝子、その3’側下流にポリAシグナルを機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウィルス前期プロモーター/エンハンサー(human cytomegalovirus immediate early promoter/enhancer)を挙げることができる。
また、その他に本発明で使用される抗体発現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レトロウィルス、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、シミアンウィルス40(SV40)等のウィルスプロモーター/エンハンサー、あるいはヒトエロンゲーションファクター1α(HEF1α)などの哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサー等が挙げられる。
SV40プロモーター/エンハンサーを使用する場合はMulliganらの方法(Nature、277、108、1979)により、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合はMizushimaらの方法(Nucleic Acids Res.、18、5322、1990)により、容易に遺伝子発現を行うことができる。
大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列及び発現させる抗体遺伝子を機能的に結合させて当該遺伝子を発現させることができる。プロモーターとしては、例えばlacZプロモーター、araBプロモーターを挙げることができる。lacZプロモーターを使用する場合はWardらの方法(Nature、341、544−546、1998;FASEB J.、6、2422−2427、1992)により、あるいはaraBプロモーターを使用する場合はBetterらの方法(Science、240、1041−1043、1988)により発現させることができる。
抗体分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei,S.P.ら、J.Bacteriol.、169、4379、1987)を使用すればよい。そして、ペリプラズムに産生された抗体を分離した後、抗体の構造を適切に組み直して(refold)使用する。
複製起源としては、SV40、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィルス(BPV)等の由来のものを用いることができ、さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは、選択マーカーとしてアミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
本発明で使用される抗体の製造のために、任意の発現系、例えば真核細胞又は原核細胞系を使用することができる。真核細胞としては、例えば樹立された哺乳類細胞系、昆虫細胞系、真糸状菌細胞および酵母細胞などの動物細胞等が挙げられ、原核細胞としては、例えば大腸菌細胞等の細菌細胞が挙げられる。
好ましくは、本発明で使用される抗体は、哺乳類細胞、例えばCHO、COS、ミエローマ、BHK、Vero、HeLa細胞中で発現される。
次に、形質転換された宿主細胞をin vitroまたはin vivoで培養して目的とする抗体を産生させる。宿主細胞の培養は公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM、MEM、RPMI 1640、IMDMを使用することができ、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
7. 抗体の分離、精製
前記のように発現、産生された抗体は、細胞、宿主動物から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製はアフィニティーカラムを用いて行うことができる。例えば、プロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D、POROS、Sepharose F.F.(ファルマシア製)等が挙げられる。その他、通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば、上記アフィニティーカラム以外のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual.、Ed Harlow、David Lane、Cold Spring Harbor Laboratory、1988)。
8. 抗体の活性の確認
抗体の抗原結合活性(Antibodies A Laboratory Manual.、Ed Harlow、David Lane、Cold Spring Harbor Laboratory、1988)の測定には公知の手段を使用することができる。
本発明で使用される抗DHCR24抗体の抗原結合活性を測定する方法として、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)あるいは蛍光抗体法を用いることができる。例えば、酵素免疫測定法を用いる場合、DHCR24をコーティングしたプレートに、抗DHCR24抗体を含む試料、例えば、抗DHCR24抗体産生細胞の培養上清や精製抗体を加える。アルカリフォスファターゼ等の酵素で標識した2次抗体を添加し、プレートをインキュベートし、洗浄した後、p−ニトロフェニルリン酸などの酵素基質を加えて吸光度を測定することで抗原結合活性を評価することができる。
さらに、本発明は、抗DHCR24抗体及び医薬的に許容可能な担体を含む、抗ウイルス剤に関するものである。本発明の抗ウイルス剤は、HCV感染細胞に有効である。
また、本発明は、抗DHCR24抗体をC型肝炎の治療に有効な量で投与することを含む、C型肝炎の治療方法に関するものである。
本発明の抗体を抗ウイルス剤として用いる場合、有効投与量は、1回につき体重1kgあたり0.001〜1,000mgの範囲で選ぶことができる。あるいは、患者あたり0.01〜100,000mg/bodyの投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明の抗DHCR24抗体を含有する抗ウイルス剤はこれらの投与量に制限されるものではない。
また、本発明の抗ウイルス剤の投与時期としては、疾患の臨床症状が生ずる前後を問わず投与することができる。
本発明の抗ウイルス剤は1日1〜3回、1週間に1〜7日投与することが可能である。
本発明の抗ウイルス剤は、通常、非経口投与で、例えば注射剤(皮下注、静注、筋注、腹腔内注など)で投与されるが、特に限定されず、経皮、経粘膜、経鼻、経肺、経口などで投与してもよい。
しかしながら、本発明の抗ウイルス剤は上記投与量、投与方法などに限定されるものではない。
本発明の抗DHCR24抗体を有効成分として含有する抗ウイルス剤は、常法にしたがって製剤化することができ(Remington’s Pharmaceutical Science、latest edition、Mark Publishing Company、Easton、米国)、医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。
このような担体および医薬添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、寒天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤等が挙げられる。
実際の添加物は、本発明の抗ウイルス剤の剤型に応じて上記の中から単独で又は適宜組み合わせて選ばれるが、もちろんこれらに限定されるものではない。例えば、注射用製剤として使用する場合、精製された抗DHCR24抗体を溶剤、例えば生理食塩水、緩衝液、ブドウ糖溶液等に溶解し、これに吸着防止剤、例えばTween80、Tween20、ゼラチン、ヒト血清アルブミン等を加えたものを使用することができる。あるいは、使用前に溶解再構成する剤形とするために凍結乾燥したものであってもよく、凍結乾燥のための賦形剤としては、例えば、マンニトール、ブドウ糖等の糖アルコールや糖類を使用することができる。
また、本発明は、C型肝炎の治療に有効な量の抗DHCR24抗体及び使用説明書を含む、キットに関するものである。
1. 材料と方法
1.1 レプリコン細胞
本研究では、HCVレプリコン細胞A及びBを用いた(図1)。HCVレプリコン細胞は、American Type Culture Collection(ATCC)から購入したHuH−7細胞に、ルシフェラーゼ遺伝子とneo遺伝子を融合させたユニットと、2種類(A、B)のHCVの非構造タンパク質領域(NS3−NS5b)とを組み込み、G418で選択することによって樹立した。本細胞を用いたルシフェラーゼ活性の測定により、HCV複製活性を解析することができる。
レプリコン細胞は、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;シグマ)に、GlutaMax−I(インビトロジェン)、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)G418(500μg/ml)、10%FCS(シグマ)を加えて培養した。
1.2 モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、WO2005/019268号に記載のクローン2−152を用いた。2−152抗体のエピトープは、DHCR24の517アミノ酸のうちC末側270アミノ酸に存在する。
1.3 HCVレプリコン複製抑制活性の測定
96ウェルプレート(ファルコン)に、ウェルあたり8×103、6×103、又は4.5×103のレプリコン細胞を捲き、翌日、抗体を1又は10μg/mlで添加し、それぞれ24、48、又は72時間反応させた。培地と等量のBright−Glo試薬(プロメガ)を添加後、ルミノメーター(AccuFLEX Lumi400、アロカ)でルシフェラーゼ活性を測定した。抗体を添加していない細胞、normal IgGを添加した細胞を対照として用いた。結果を相対発光量(RLU)で示す(図2)。
1.4 レプリコン細胞障害活性の測定
上記のようにしてレプリコン細胞を抗体と反応させた後、水溶性テトラゾリウム塩WST−8を発色試薬として用いるCell Counting Kit−8溶液(同仁化学研究所)を10μl/ウェルで添加し、37℃で1時間反応後、OD450を測定した(対照波長650nm)。抗体を添加していない細胞、normal IgGを添加した細胞を対照として用いた。
2. 結果
HCVレプリコン複製抑制活性を測定したところ、図2に示すように、normal IgGを添加した細胞ではレプリコンの複製は全く抑制されないが、2−152抗体を10μg/mlで添加した場合、レプリコン細胞A、Bともに48時間以降は顕著な複製抑制が認められた(Studentのt検定でp<0.05)。
更に、レプリコン細胞障害活性をWST法で解析した結果、図3に示すように、normal IgGを添加したレプリコン細胞は全く障害されないが、2−152抗体を10μg/mlで添加した場合、レプリコン細胞Aでは72時間後に、レプリコン細胞Bでは48時間後に吸光度が著しく低下し(Studentのt検定でp<0.05)、細胞が障害されたことが明らかとなった。
1. アポトーシスアッセイ
2−152抗体で処理したレプリコン細胞は、抗体によりアポトーシスが誘導されているのではないかと考え、アネキシンVを用いてアポトーシスの検討を行った。アポトーシスの初期段階ではホスファチジルセリンが表出するため、これをアネキシンVで観察することができる。2−152抗体をレプリコン細胞に10μg/mlで24時間反応させた後、アネキシンV−FITC(Apoalart Annexin V;クローンテック社)で染色し、オリンパス位相差蛍光顕微鏡で観察した。また、細胞膜の透過性が上昇している細胞の核をヨウ化プロピジウム(PI)で対比染色し、アネキシンVだけで染色されるアポトーシス細胞の存在を確認した。
2−152抗体で抗理した細胞では、PIで染色される細胞以外の細胞でアネキシンVによる蛍光が観察された。このことから、2−152抗体がアポトーシスを誘導することが示唆された。
2. FACS解析
肝癌細胞(HuH−7)とレプリコン細胞を正常マウスIgGまたは2−152抗体で反応させた後、抗マウスIgG−Alexa488(モレキュラープローブ社)で染色し、2−152抗体が認識するDHCR24の細胞表面での発現をFACS−Caliber(ベクトン・ディッキンソン社)で解析した。
未固定の細胞でも2−152抗体で染色された(染色が強い細胞ほど右側に反応曲線が現れる)。特に、レプリコン細胞の表面にはHuH−7細胞よりもDHCR24が多く表出している事が明らかとなった。
宿主細胞成分であるDHCR24に対する抗体を用いることにより、ウイルス遺伝子の変異等により、これまで有効な治療手段のなかったC型肝炎の有効な治療が可能となる。

Claims (8)

  1. C型肝炎を治療するための抗DHCR24抗体。
  2. C型肝炎ウイルス複製を抑制することができる、請求項1に記載の抗体。
  3. C型肝炎ウイルス複製細胞を障害する、請求項1に記載の抗体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体及び医薬的に許容可能な担体を含む、抗ウイルス剤。
  5. C型肝炎ウイルス感染細胞に有効である、請求項4に記載の抗ウイルス剤。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体をC型肝炎の治療に有効な量で投与することを含む、C型肝炎の治療方法。
  7. C型肝炎を治療するための医薬の製造における抗DHCR24抗体の使用。
  8. C型肝炎の治療に有効な量の抗DHCR24抗体および使用説明書を含む、C型肝炎治療用キット。
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