JPWO2007088843A1 - 光ディスク装置 - Google Patents

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Abstract

第1の情報層および第2の情報層を含む複数の情報層を備える光ディスク20にデータを記録すること、および光ディスク20からデータを再生することの少なくとも一方を実行する光ディスク装置である。光ビームを放射する光源3、4と、対物レンズ1と、情報層に対して垂直な方向に対物レンズを移動させるアクチュエータ2と、光ビームの情報層上における集束状態に応じたフォーカスエラー信号を生成するフォーカスエラー生成器7と、フォーカスエラー信号に応じてアクチュエータを駆動し、光ビームの焦点を所望の情報層上に位置させるフォーカス制御手段とを備えている。本発明では、対物レンズ1の移動を行うことによって光ビームの焦点を光ディスク20の第1の情報層から第2の情報層まで移動させるフォーカスジャンプを実行するとき、対物レンズ1の移動時において、光ビームの波長および開口数の少なくとも一方を変更することができる。

Description

本発明は、フォーカス制御を動作状態からホールド状態に切り換えた後、対物レンズを退避させることなく、レーザの波長または開口数を切り換え、目的の情報担体の情報層に移動する方式に関する。
光ディスクに記録されているデータは、比較的弱い一定の光量の光ビームを回転する光ディスクに照射し、光ディスクによって変調された反射光を検出することによって再生される。
再生専用の光ディスクには、光ディスクの製造段階でピットによる情報が予めスパイラル状に記録されている。これに対して、書き換え可能な光ディスクや追記型の光ディスクでは、スパイラル状のランドまたはグルーブを有するトラックが形成された基材表面に、光学的にデータの記録/再生が可能な記録材料膜が蒸着等の方法によって堆積されている。書き換え型の場合は相変化型の記録膜が使用されるが、追記型の場合、有機色素材料膜などが使用される。
書き換え型または追記型の光ディスクにデータを記録する場合、記録すべきデータに応じて光量を変調した光ビームを光ディスクに照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
なお、トラックの深さ、および記録材料膜の厚さは、光ディスク基材の厚さに比べて小さい。このため、光ディスクにおいてデータが記録されている部分は、2次元的な面を構成しており、「情報記録面」と称される場合がある。本明細書では、このような情報記録面が深さ方向にも物理的な大きさを有していることを考慮し、「情報記録面」の語句を用いる代わりに、「情報層」の語句を用いることとする。光ディスクは、このような情報層を少なくとも1つ有している。なお、1つの情報層が、現実には、相変化材料層や反射層などの複数の層を含んでいてもよい。
書き換え型または追記型の光ディスクにデータを記録するとき、または、このような光ディスクに記録されているデータを再生するとき、光ビームが情報層における目標トラック上で常に所定の集束状態となる必要がある。このためには、「フォーカス制御」および「トラッキング制御」が必要となる。「フォーカス制御」は、光ビームの焦点の位置が常に情報層上に位置するように対物レンズの位置を情報層の法線方向に制御することである。一方、トラッキング制御とは、光ビームのスポットが所定のトラック上に位置するように対物レンズの位置を光ディスクの半径方向(以下、「ディスク径方向」と称する。)に制御することである。
従来、高密度・大容量の光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM,DVD−RAM,DVD−RW,DVD−R,DVD+RW,DVD+R等の光ディスクが実用化されてきた。また、CD(Compact Disc)は今も普及している。最近は、ハイビジョン画質でデータの記録が可能な光ディスクが要望され、Blu−ray Disk(以下、「BD」と称する。)が開発されている。書き換え型ディスクであるBD−REが実用化されているが、BD−REよりも低コストで生産可能な追記型ディスクであるBD−R光ディスクの開発も進められている。また、BDとは異なる規格に従ったHD−DVD(High Definition−DVD)の開発も進められている。
CD、DVD、およびBDなどの光ディスクは、表面(光入射側表面)および裏面(レーベル面)を有し、それらの間に少なくとも1つの情報層を有している。いずれの光ディスクも全体の厚さは約1.2mmであり、直径は12cmまたは8cmである。
CDの情報層は、表面から約1.1mmの深さに位置している。CDの情報層からデータを読み出すには、近赤外レーザ(波長:780nm)を集束し、その焦点が情報層上に位置するように制御する必要がある。光ビームの集束に用いる対物レンズの開口数(NA)は、約0.45である。DVDの情報層は、表面から約0.6mmの深さに位置している。現実のDVDでは、約0.6mmの厚さを有する2枚の基板が接着層を介して張り合わせられている。2層の情報層を有する光ディスクの場合、表面2から情報層までの距離は、それぞれ、約0.57mmおよび約0.63mm程度であり、近接している。DVDの情報層からデータを読み出し、あるいはデータを書き込むには、赤色レーザ(波長:660nm)を集束し、その焦点が情報層上に位置するように制御する必要がある。光ビームの集束に用いる対物レンズのNAは、約0.6である。
一方、BDは、表面の側に厚さ100μmの薄いカバー層(透明層)が設けられており、情報層は表面から約0.1mmの深さに位置している。BDの情報層からデータを読み出すには、青紫レーザ(波長:405nm)を集束し、その焦点が情報層上に位置するように制御する必要がある。光ビームの集束に用いる対物レンズのNAは、0.85である。また、HD−DVDは、DVDに類似する断面構成を有しており、その情報記録層は、表面から約0.6mmの深さに位置しているが、HD−DVDの情報層からデータを読み出すには、BDと同様に、青紫レーザ(波長:405nm)を利用し、光ビームの集束に用いる対物レンズのNAは、0.65に設定することが検討されている。
このように多様な光ディスクが流通している状況においては、1つの光ディスク装置によって多くの種類の光ディスクの記録/再生が可能なことが求められている。これを実現するには、光ディスク装置が複数種類の光ディスクに対応可能な光源および光学系を備えるとともに、光ディスク装置に装填された光ディスクの種別を適切に判別することが必要になる。
一方、複数の情報層を備える光ディスクが存在する。図11は、2層の光ディスクの構成を模式的に示す斜視図である。図示されている光ディスク25は、第1の情報層21および第2の情報層22を備える2層式光ディスクである。光ディスク25は、より詳細には、第1のおよび第2の情報層21、22と、これらの情報層21、22を支持する基材24と、第1の情報層21をカバーする保護層23とを備えている。
この光ディスク25の第1の情報層21からデータを読み出すためには、第1の情報層21上に光ビームの焦点を位置させるようにフォーカス制御を実行する必要がある。第1の情報層21からデータを読み出す動作をしているとき、次に第2の情報層22からデータを読み出すためには、第1の情報層21から前記第2の情報層22へ光ビームの焦点位置をシフトさせる必要がある。このような焦点位置のシフトを本明細書では「フォーカスジャンプ」と称することにする。フォーカスジャンプを実行するためには、光ビームを集束する対物レンズの位置を光ディスクの情報面に対して垂直な方向に移動させる必要がある。
このような「フォーカスジャンプ」に伴って光ビームの焦点位置が情報層間を移動するとき、フォーカスエラー信号の絶対値が大きくなる。このため、フォーカスジャンプは、フォーカス制御を停止(ホールド)してから開始し、対物レンズの移動に伴って光ビームの焦点が目標とする情報層に充分に接近した段階でフォーカス制御を再び開始する必要がある。
図12は、2層の光ディスクから得られるフォーカスエラー信号を示すグラフであり、その横軸はディスクに対する対物レンズの位置、縦軸はフォーカスエラー信号の値である。図13(a)〜(c)は、従来の光ディスク装置におけるフォーカスジャンプのタイミングチャートである。図13(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、図13(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、図13(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャートである。
図11に示す光ディスク25に対し、対物レンズを近づけていくと、図12に示すようにフォーカスエラー信号に2つのS字カーブS1、S2が発生する。図12のポイントA、Bが各情報層における合焦点位置である。S字カーブS1は、図11の光ディスク25における第1の情報層21から発生し、S字カーブS2は第2の情報層22から発生する。第1の情報層21の再生動作中、S字カーブS1のポイントAに対応する位置に対物レンズが位置する。この状態でフォーカスジャンプを行うと、フォーカスエラー信号は第1の情報層21のS字カーブS1および中間層領域26を通過した後、第2の情報層22から発生するS字カーブS2のポイントCの位置に移動する。その後、ポイントCからポイントBの方向にS字カーブS2が観測されることになる。
理想的には、対物レンズがポイントCに移動した時点でフォーカスアクチュエータにより対物レンズにブレーキをかけ、第2の情報層22からのS字カーブS2の合焦点位置Bで対物レンズ1が停止するように制御する。しかし、中間層領域26には、S字カーブのピーク値に対して約10%程度の振幅を有するノイズが存在する場合がある。
従って、第1の情報層21から第2の情報層22に対するフォーカスジャンプを行っても、対物レンズにブレーキをかけるタイミングが明確でなく、合焦点位置Bで対物レンズを停止させることは困難である。
そこで、S字カーブS2のポイントC、Bの間に対物レンズが位置するタイミングでブレーキを掛け、フォーカス制御をONすることが行われる。すなわち、ポイントDからS字カーブS2のピーク値に達するまでブレーキを掛けたり、ポイントDからブレーキを開始し、S字カーブS2のピーク値とポイントBの間の所定位置までブレーキを掛けたりしている。
図13(c)に示すように、まず時刻taでフォーカス制御をOFFにした後、図13(b)に示すように、時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路(不図示)へ出力する。対物レンズは、光ディスクに近づく方向に移動し、図13(a)で示すようにポイントCを通り、フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、減速パルス(ブレーキパルス)をフォーカスアクチュエータ駆動回路へ出力する。その後、対物レンズは、徐々に減速する。時刻teで減速パルスの印加で停止される。このとき、フォーカス制御が再びONになり、フォーカスジャンプが完了する。
特開2000−200431号公報(段落22〜23、図5)
上記の従来技術では、1枚の光ディスクが2層の情報層を備えているが、いずれの情報層も同一波長の光ビームでデータの記録再生が可能である。このため、フォーカスジャンプに際して、光源を切り換える必要はない。
一枚の光ディスクが、例えばCD層とDVD層を積層した構成(ハイブリッド構造)を備えている場合は、それらの情報層間でフォーカスジャンプを行うことができない。なぜならば、CD層およびDVD層の間では、データ記録密度や記録再生に必要な光源波長およびNAが異なるため、上述したフォーカスジャンプを行うことができないからである。
長波長の光ビームをNAの低い光学系を用いて照射すべき情報層に対して、短波長の光ビームをNAの高い光学系を用いて集束すると、情報層のデータを破壊するという危険性がある。また、高NAの光学系は、焦点距離が短いため、低いNAの光学系を必要とする情報層に焦点を合わせる目的で対物レンズをディスク表面側に移動すると、焦点が合うより先に対物レンズがディスク表面に衝突するという問題があった。
更に、ディスクの種別判定ができていない場合、フォーカス制御動作を開始した後、再生または記録に必要な波長およびNAを決定する場合が多いため、最適な波長および/またはNAを変更する場合、一旦、フォーカス制御の動作を停止し、対物レンズを光ディスクから遠ざける退避動作を行った後に、光源波長および/またはNAを切り換える必要がある。従来技術によれば、そのような切り換えを行った後、再度目的の情報層をサーチし、フォーカス制御を再開する必要がある。この一連の動作には200ミリ秒〜2秒程度の時間を要する。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、異なる種類の情報層間においてフォーカスジャンプを改良することにより、光学系の切り換えを短時間で実行し得る光ディスク装置を提供することにある。
本発明の光ディスク装置は、第1の情報層および第2の情報層を含む複数の情報層を備える光ディスクにデータを記録すること、および前記光ディスクからデータを再生することの少なくとも一方を実行する光ディスク装置であって、前記光ディスクは、前記第1の情報層のデータおよび前記第2の情報層のデータが、それぞれ、波長および開口数の少なくとも一方が異なる光ビームによって再生されるハイブリッド型光ディスクであり、光ビームを放射する光源と、前記光ビームを集束する対物レンズと、前記情報層に対して垂直な方向に前記対物レンズを移動させる垂直移動手段と、前記光ビームの前記情報層上における集束状態に応じた信号を生成する集束状態検出手段と、前記信号に応じて前記垂直移動手段を駆動し、前記光ビームの焦点を所望の情報層上に位置させるフォーカス制御手段とを備え、前記垂直移動手段を駆動して前記対物レンズの移動を行うことによって光ビームの焦点を前記光ディスクの第1の情報層から第2の情報層まで移動させるフォーカスジャンプを実行するとき、前記対物レンズの移動時において、前記光ビームの波長および開口数の少なくとも一方を変更することができる。
好ましい実施形態において、前記フォーカスジャンプを実行するとき、前記開口数の変化に応じて前記対物レンズの移動方向を決定するジャンプ方向決定部を備える。
好ましい実施形態において、前記対物レンズの移動方向が前記光ディスクに近づく方向に決定された場合は、極性が正の加速パルスおよび負の減速パルスをこの順序で前記垂直移動手段に与え、前記対物レンズの移動方向が前記光ディスクから離れる方向に決定された場合は、極性が負の加速パルスおよび正の減速パルスをこの順序で前記垂直移動手段に与える。
好ましい実施形態において、前記光源は、前記光ディスクの第1の情報層のための第1の光ビーム、および前記第2の情報層のための第2の光ビームを含む波長の異なる複数の光ビームを放射することができ、前記フォーカスジャンプを実行するとき、前記光ディスクを照射する光ビームを前記第1の光ビームと第2の光ビームとの間で切り換える。
好ましい実施形態において、前記フォーカスジャンプを実行するとき、前記光ディスクを照射する光ビームの光束断面のサイズを変化させる手段を備えている。
好ましい実施形態において、前記フォーカスジャンプを実行するとき、前記対物レンズをディスク衝突回避位置まで退避させない。
好ましい実施形態において、フォーカスジャンプの加速時は、少なくとも1つのパルス駆動指令を、前記垂直移動手段に与え、前記パルス駆動加速指令中または加速指令後に前記光ビームの波長または開口数を切り換える。
好ましい実施形態において、前記光ビームの波長または開口数を切り換えた後、前記収束状態検出手段からの信号が所定レベルに達してから、前記垂直移動手段へ減速指令を出力する。
好ましい実施形態において、前記対物レンズは複数であり、前記光ビームの波長の切り換えに応じて前記対物レンズを切り換える。
好ましい実施形態において、前記対物レンズは複数であり、前記開口数の切り換えは、前記対物レンズを切り換えることによって実行する。
好ましい実施形態において、所望の情報層に対しフォーカス制御を開始するフォーカス引き込み手段を備えており、前記フォーカス引き込み手段は、前記第1の情報層から前記第2の情報層への光ビームの焦点移動に失敗したとき、前記光ビームの波長または開口数を切り換えた状態で前記第2の情報層に対するフォーカス引き込みを実行する。
好ましい実施形態において、前記光ビームの波長の切り換えが実行される期間または開口数の切り換えが実行される期間において、前記フォーカス制御手段は前記垂直移動手段の駆動信号をホールドする。
本発明の他の光ディスク装置は、少なくとも1つの情報層を備える光ディスクにデータを記録すること、および前記光ディスクからデータを再生することの少なくとも一方を実行する光ディスク装置であって、光ビームを放射することができる光源と、前記光ビームを集束する対物レンズと、前記情報層に対して垂直な方向に前記対物レンズを移動させる垂直移動手段と、前記光ビームの前記情報層上における集束状態に応じた信号を生成する集束状態検出手段と、前記信号に応じて前記垂直移動手段を駆動し、前記光ビームの焦点を所望の情報層上に位置させるフォーカス制御手段とを備え、前記情報層上に前記光ビームの焦点が位置するときに前記フォーカス制御手段の出力をホールドし、前記光ビームの波長および開口数の少なくとも一方を切り換えた後、前記情報層と同一の情報層に前記光ビームの焦点を位置させる。
好ましい実施形態において、前記開口数の切り換えを実行するときは、前記フォーカス制御手段のホールドされた出力に対して加速パルスおよび減速パルスを付加する。
好ましい実施形態において、開口数の切り換えタイミングは、前記対物レンズの加速指令を前記垂直制御手段に与えているとき、または、その後である。
好ましい実施形態において、前記開口数の切り換えと同期して前記光ビームの波長を切り換える。
本発明の光ディスク装置によれば、対物レンズの待避動作を行うことなく、フォーカスジャンプの途中で光学系(光源波長および/またはNA)を切り換えることが可能となるため、異なる種類の情報層間でのフォーカスの移動を短時間で完了することができる。このため、例えばDVD層(DVD規格に準拠した情報層)およびBD層(BD規格に準拠した情報層)などが積層されたハイブリッド型の光ディスクにおいて、異なる規格の情報層に跨ったデータの再生/記録をユーザーの指示などに従って短時間で実行することも可能になる。これにより、例えばDVD層にはSD画質の映像やオーディオ機器向けの高音質な音楽を保存し、BD層には映画などHD画質の映像を保存することも可能になるため、ハイブリッド型ディスクの利便性が大きく向上する。
本発明の実施形態1による光ディスク装置を示すブロック図である。 実施形態1におけるフォーカスジャンプのタイミングチャートであり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、フォーカスジャンプ時の光源AのON/OFFタイミングチャート、(e)は、フォーカスジャンプ時の光源BのON/OFFタイミングチャートを示す図である。 実施形態1における波長切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、光源AのON/OFFタイミングチャート、(e)は、光源BのON/OFFタイミングチャートを示す図である。 本発明の実施形態2によるディスク装置を示すブロック図である。 (a)は、2層の光ディスクにおけるNA:0.65のときのフォーカスエラーのS字波形図、(b)は、2層の光ディスクにおけるNA:0.85のときのフォーカスエラーのS字波形模式図、(c)は、2層の光ディスクに対するNA別の対物レンズの関係を示す模式図である。 実施形態2におけるNA切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、フォーカスジャンプ時の光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 実施形態2におけるNA切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 本発明の実施形態3に係る光ディスク装置を示すブロック図である。 本発明の実施形態3に係る光ディスク装置におけるフォーカスジャンプのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、フォーカスジャンプ時の光源AのON/OFFタイミングチャート、(e)は、フォーカスジャンプ時の光源BのON/OFFタイミングチャート、(f)は、フォーカスジャンプ時の光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 本発明の実施形態3に係る光ディスク装置における波長およびNA切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、光源AのON/OFFタイミングチャート、(e)は、光源BのON/OFFタイミングチャート、(f)は、光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 2層構造を有する光ディスクの斜視図である。 2層の情報層を有する光ディスクにおけるフォーカスエラー信号のS字波形を示す図である。 従来の光ディスク装置におけるフォーカスジャンプのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャートである。 3層構造を有する光ディスクの斜視図である。 (a)は、3層の光ディスクにおけるNA:0.6のときのフォーカスエラーのS字波形図、(b)は、3層の光ディスクにおけるNA:0.85のときのフォーカスエラーのS字波形模式図、(c)は、3層の光ディスクに対するNA別の対物レンズの関係を示す模式図である。 実施形態4におけるNA切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、フォーカスジャンプ時の光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 実施形態4に係る光ディスク装置を示すブロック図である。 (a)から(c)は、対物レンズの位置を示す概略図である。 (a)から(c)は、対物レンズの位置を示す概略図である。 (a)および(b)は、対物レンズホルダの位置を示す概略図である。 (a)および(b)は、対物レンズホルダの位置を示す概略図である。 本発明による光ディスク装置におけるジャンプ方向・距離演算部31の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1 対物レンズ
2 アクチュエータ
3 第1の光源
4 第2の光源
5 受光部
6 プリアンプ
7 フォーカスエラー生成器
8 マイクロコンピュータ
9 フォーカスアクチュエータ駆動回路
10 ディスクモータ
11 光源切り換え部
12 NA切り換え素子
13 NA切り換え部
14 対物レンズホルダ
15 ジャンプ駆動生成部
17 フォーカス制御部
18 対物レンズB
20 光ディスク
21 第1の情報層
22 第2の情報層
23 保護層
24 基材
25 2層の光ディスク
26 中間層領域
27 保護層領域
28 基材領域
31 ジャンプ方向・距離演算部
本発明による光ディスク装置の好ましい実施形態では、対物レンズの待避動作を行うことなく、フォーカスジャンプの途中で光学系(光源波長および/またはNA)を切り換えることが可能となる。このため、例えばDVD層(DVD規格に準拠した情報層)およびBD層(BD規格に準拠した情報層)などが積層されたハイブリッド型の光ディスクにおいて、異なる規格の情報層からスムーズにデータの再生/記録を実行することが可能になる。
ハイブリッド型の光ディスクとしては、例えば以下の表1〜4に示すような構成を備える光ディスクが検討されている。
Figure 2007088843
Figure 2007088843
Figure 2007088843
Figure 2007088843
表1の構成では、各情報層のNAが相互に近いため、フォーカスジャンプを行うときにNAを変更する必要は無いが、光ビームの波長が異なるため、光源を切り換える必要がある。
表2の構成では、各情報層のNAが大きく異なるため、フォーカスジャンプを行うときにNAを変更する必要がある。ただし、光ビームの波長は等しいため、光源を切り換える必要はない。
表3の構成では、各情報層のNAおよび光ビームの波長の両方が大きく異なるため、フォーカスジャンプを行うときにNAおよび光源の両方を切り換える必要がある。
表4の構成では、複数の情報層が、NAおよび光ビームの波長の両方が大きく異なる組と、変化しない組とを含む。この場合、フォーカスジャンプを行うときにNAおよび光源の両方を切り換える場合と、切り換えない場合がある。
このようにハイブリッド型の光ディスクでは、各情報層の組み合わせにより、種々の態様があるため、本発明の光ディスクは、その少なくとも1つに対応した構造を備えることができる。なお、1つの光ディスク装置が、上記の表に示される全てのタイプの光ディスクに対応する構造を備える必要はない。例えば、本発明の光ディスク装置は、表1のタイプの光ディスクに対しては対応できるが、表2または表3のタイプの光ディスクには対応できない構造を備えていても良い。
なお、光ディスク装置が「光ビームの波長」および「NA」の両方を切り換えることのできる構成を備えている場合は、波長およびNAの一方のみを切り換えることが必要な光ディスク(例えば表1、2に示す光ディスク)にも対応することができる。
以下に説明する実施形態1〜4は、それぞれ、表1〜4の光ディスクに対応した光ディスク装置である。本発明による光ディスク装置は、このような実施形態に限定されず、他の具体的構成を備えていてもよい。
なお、フォーカスジャンプを行わない場合でも、光ビームの波長やNAの切り換えが必要な場合がある。例えば、1つの光ディスク装置が、DVDやBDなどの複数種類の光ディスクに対応できる場合、光ディスク装置に装填された光ディスクの種類を判別する動作が必要になる。この判別を行うとき、例えばBD用の短波長光ビームで光ディスクを照射する場合がある。この照射により、その光ディスクがDVDであると判定された場合は、光ビームの波長およびNAを変更する必要がある。そのような場合でも、対物レンズの退避動作を行うことなく、波長およびNAの切り換えを行うことができれば、迅速なフォーカス移動を実現することができる。
(実施形態1)
まず図1を参照して、本発明による光ディスク装置の第1の実施形態を説明する。図1は本実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置は、表1に示すような複数の情報層を備える光ディスク20にデータを記録し、光ディスク20からデータを再生することができる。光ディスク20が光ディスク装置に装填されると、ディスクモータ10によって所定の回転数で回転させられる。
この光ディスク装置は、第1の光源3および第2の光源4を含む光源ユニットを備えており、第1の光源3および第2の光源4は、それぞれ、異なる波長を有する光ビームを放射する。図では、簡単のため、第1の光源3を「光源A」、第2の光源4を「光源B」と記載している。本実施形態における第1の光源3および第2の光源4は、いずれも、同一の光ピックアップ内に配置されている。この光ピックアップは、光源3、4以外に、光源3、4から放射された光ビームを集束する対物レンズ1と、対物レンズ1の光軸方向位置を変化させるフォーカスアクチュエータ2と、光ディスク20で反射された光ビームを受け、電気信号を生成する受光部5などを備えている。現実の光ピックアップ内に配置されているアクチュエータは、対物レンズ1を光軸方向に移動させるだけではなく、光軸方向に対して垂直な方向に移動させることもできる。より具体的には、このアクチュエータは、フォーカスアクチュエータ2とトラッキングアクチュエータ(不図示)に分かれており、対物レンズ1の光軸方向における位置は、光ピックアップ内のフォーカスアクチュエータ2によって調整される。対物レンズ1の光軸に垂直な方向における位置は、光ピックアップ内のトラッキングアクチュエータ(不図示)によって調整される。
なお、光ディスク装置内には、光ピックアップ自体を光ディスク半径方向に沿って移動するための移送台(不図示)が設けられている。
受光部5は、複数のフォトダイオードを有しており、各フォトダイオードに入射した光の強さ(光量)に応じた光電流を生成する。受光部5の出力に基づいて、フォーカスエラー(FE)信号、トラッキングエラー(TE)信号、および再生信号などが生成されることになる。
受光部5の出力(光電流)はプリアンプ6に送られ、プリアンプ6で電圧信号に変換される。プリアンプ6の出力は、集束状態検出手段として機能するフォーカスエラー生成器7に与えられる。フォーカスエラー生成器7は、プリアンプ6の出力を受け取り、フォーカスエラー信号を生成する。フォーカスエラー信号は、フォーカス制御手段として機能するフォーカス制御部17に与えられ、フォーカス制御部17は、フォーカスエラー信号に対するフィルタ演算を行う。フォーカス制御部17の出力は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に与えられる。
対物レンズ1の光軸方向における位置は、光ピックアップ内のフォーカスアクチュエータ2によって調整される。具体的には、フォーカスアクチュエータ2内のコイル(不図示)が、フォーカスアクチュエータ駆動回路9からの駆動電流によって磁界を形成し、その磁力により、対物レンズ1を光ディスク20の情報層に対して略垂直な方向に移動させる。本実施形態では、フォーカスアクチュエータ2内のコイルを流れる駆動電流が多くなるほど、対物レンズ1は光ディスク20に接近する。
フォーカスアクチュエータ駆動回路9から流れる駆動電流の大きさは、フォーカス制御が動作しているとき(フォーカス制御がONのとき)、フォーカス制御部17からフォーカスアクチュエータ駆動回路9に与えられる信号に基づいて制御される。一方、フォーカスジャンプ動作中におけるフォーカス制御が動作していないとき(フォーカス制御がOFFのとき)、フォーカスアクチュエータ駆動回路9から流れる駆動電流の大きさは、ジャンプ駆動生成部15からフォーカスアクチュエータ駆動回路9に与えられる信号に基づいて制御される。
フォーカス制御が動作しているとき(フォーカス制御がONのとき)は、フォーカスエラー信号の振幅がゼロとなるように対物レンズ1の位置が調節され、その結果、光ディスク20における目的とする情報面上に光ビームの焦点が位置することになる。
ジャンプ駆動生成部15は、マイクロコンピュータ8からの指令に基づいて、加速および減速パルス信号によりフォーカスアクチュエータ駆動回路9を制御し、フォーカスジャンプに必要な対物レンズ1の加速・減速を行う。本実施形態におけるジャンプ駆動生成部15は、フォーカスジャンプ用のパルス信号を生成し、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に送出する。これにより、例えば光ディスク20における第1の情報層上に位置していた光ビームの焦点が、第2の情報層上に移動することになる。
マイクロコンピュータ8は、フォーカス制御部17、ジャンプ駆動生成部15、ディスクモータ10、および光源切り換え部11を制御する。
光ディスク20に対するデータの記録再生は、光ビームのスポットが所望の情報層における目的トラックを追従するようにフォーカス制御およびトラッキング制御を実行した状態で行われる。データの再生は、プリアンプ6からの出力に対し、波形等化、クロック抽出を行い、記録されているデータをデジタルデータに変換して行われる。このデジタルデータは、デコーダ(不図示)により、復調、エラー訂正、デスクランブル処理を受け、再生データが生成される。一方、光ディスク20にユーザデータを記録する場合は、記録されるべきユーザデータに対して、エンコーダ(不図示)がスクランブル、エラー訂正符号付与、変調の各処理を行い、符号化された記録信号を生成する。不図示の記録処理部は、エンコーダから記録信号を受け取り、マルチパルス化および記録補償処理を行い、レーザ発光パルス信号を生成する。レーザ駆動部は、レーザ発光パルス信号を受け取り、光源3、4が放射する光ビームのパワーを変調する。
本実施形態の光ディスク装置は、光ディスク20を照射する光ビームの光源として、光源3、4を切り換える光源切り換え部11を備えている。このような構成を採用することにより、第1の光源3から放射される光ビームを用いて光ディスク20からデータを再生することもできるし、第2の光源4から放射される光ビームを用いて光ディスク20からデータを再生することもできる。データの記録再生にいずれの光ビームを用いるかは、光源切り換え部11による光源の切り換えで決定することができる。図1では、簡単のため、第1の光源3から放射された光ビームが対物レンズ1によって集束されている状態が記載され、現実には、第1の光源3と対物レンズ1との間には、不図示のビームスプリッタやコリメータレンズなどの光学素子が配置されている。これらの光学素子を介して、第2の光源4から放射された光ビームも対物レンズ1によって集束されることになる。第1の光源3および第2の光源4は、別々の半導体レーザパッケージから構成されていても良いが、同一基板上に一体的に集積されていてもよい。光源切り換え部11は、第1の光源3および第2の光源4に対して選択的に駆動電流を供給することにより、一方の光源を発光させることができる。
以下、本実施形態の光ディスク装置の動作を説明する。
本実施形態では、光ディスク20が図11に示す構造を備えるハイブリッドディスクと同様の構成を有しているものとする。具体的には、表1に示す構成を備えており、第1の情報層は、波長:405nm、NA:0.65の光学系に対応するHD−DVD規格に従った情報層であり、第2の情報層22は、波長:650nm、NA:0.6の光学系に対応するDVD規格に従った情報層である。これらの情報層は、異なる波長の光ビームによってアクセスされるが、光ビームのNAは近く、フォーカスジャンプに伴ってNAの切り換えを行う必要はない。
このような光ディスク20の再生/記録を行うとき、第1の情報層21および第2の情報層22のいずれか一方の情報層上に光ビームが集束される。第1の情報層21に対するデータの再生/記録を行うとき、第1の光源3から放射される青紫色の光ビーム(波長:405nm程度)が用いられ、第2の光源4は、赤色の光ビーム(波長:650nm程度)を放射していない状態にある。
まず、第1の光源3から放射される光ビームを対物レンズ1によって集束し、光ディスク20の第1の情報層21上に光ビームスポットを形成するものとする。光ディスク20からの反射光は、対物レンズ1を介して受光部5に入射する。本実施形態における受光部5は、4つの領域に分割されており、それぞれの領域で検出された光量に応じて光電流を生成し、プリアンプ6へ出力する。プリアンプ6は、I/V変換器により、入力された光電流を電圧に変換し、変換された各信号はフォーカスエラー生成器7に送られる。
フォーカスエラー生成器7は、4分割された受光部5の出力信号であるプリアンプ6の4つの出力に従い、非点収差法によるフォーカスエラー信号を生成する。フォーカスエラー信号は、フォーカス制御部17において位相補償、ゲイン補償などのフィルタ演算が行われ、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に出力される。
対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9による駆動信号に基づき、フォーカスアクチュエータ2によって駆動され、光ビームスポットが光ディスク20の第1の情報層に対して所定の収束状態となるようにフォーカス制御が実現される。フォーカス制御が実行されているときは、光ディスク20の回転に伴う面振れが生じても、面振れに追従して対物レンズ1が上下するため、光ビームの焦点が常に第1の情報層上に位置することが可能になる。
光ディスク20の最内周側には、管理情報が記録されている領域が存在し、その領域からデータを読み出すことにより、光ディスク20がどのような構成を備えているかがわかる。ハイブリッド型の光ディスクの場合、各情報層がどのような規格に基づく情報層であるかが読み出された情報に基づいて決定される。
第1の情報層21の再生/記録の途中または終了後、第2の情報層22の再生/記録を行う場合、第1の情報層21から第2の情報層22へのフォーカスジャンプを行う必要がある。フォーカスジャンプは、例えば不図示の装置(例えばリモコン)によるユーザーからの要求に応じて行われても良い。フォーカスジャンプを行う場合、まず、図1に示すマイクロコンピュータ8が、第1の情報層21に対するフォーカス制御をホールドする。すなわち、フォーカス制御部17にホールド指令を出力する。ホールド指令に基づいてフォーカス制御部17はフォーカスアクチュエータ駆動回路9への出力をホールドすると、マイクロコンピュータ8は、ジャンプ駆動生成部15に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。フォーカス制御をONからホールド状態に切り換えると、光ディスクの面触れに応じて対物レンズ1を追従させるための動作は実行されない。なお、後に説明する光源の切り替えに要する時間は短いため、光源の切り替え中に光ディスク20と対物レンズ1との間隔はほとんど変化しない。また、フォーカス制御がONからホールド状態に切り換わると同時に、ジャンプ駆動生成部15は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、対物レンズ1によって形成される光ビームスポットが第1の情報層21から第2の情報層22へ移動するようにフォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、加速パルスを出力する。
光ビームの焦点が第1の情報層21から第2の情報層22へ移動する途中において、マイクロコンピュータ8は光源切り換え部11に対して光源切り換え信号を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、青紫色の光ビームを照射している第1の光源3からの放射を停止し、第2の光源4による赤色の光ビームの放射を開始する。光源の切り換えに要する時間は1ミリ秒以下である。赤色光ビームの放射が開始された後、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー生成器7の出力信号であるフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスエラー信号が所定レベルに達するのを確認し、その後、ジャンプ駆動生成部15に対して減速指令を出力する。ジャンプ駆動生成部15は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、減速パルスを出力する。
マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー信号に基づき、赤色の光ビームの焦点位置が第2の情報層22の位置に合致した時点(すなわちフォーカスエラー信号=0となった時点)で、フォーカス制御部17に対してホールド解除指令を出力する。フォーカス制御部17は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、出力のホールドを解除し、フォーカス制御を再開する。こうして、フォーカスジャンプが完了する。
以降、赤色の光ビームの焦点と第2の情報層22との間の位置ずれ(誤差)は、フォーカスエラー信号に基づいて検出され、フォーカス制御部17およびフォーカスアクチュエータ駆動回路9により、対物レンズ1の位置が制御される。すなわち、赤色の光ビームの焦点と第2の情報層22との間の位置ずれが0となるようにフィードバック制御が実行される。
従来の光ディスク装置におけるフォーカスジャンプは、光ビームの波長を途中で切り換えずに焦点位置だけを移動させることにより実行されていた。光ビームの波長切り換えが必要な場合、従来は、フォーカス制御をON状態から一時的にOFF状態に切り換えた後、いったん対物レンズを待避位置まで後退させていた。次に、光ビームの波長を切り換え、その後、対物レンズを待避位置から光ディスクに再接近させつつ、目的の情報層に焦点を移動させるためのフォーカスサーチ(フォーカス引き込み)を行っていた。そして、目的の情報層に焦点が到達した後、フォーカス制御をOFF状態からON状態に変化させていた。このため、従来は、目的の情報層におけるフォーカス制御の再開までに200ミリ秒〜2秒程度の時間が必要であった。
これに対し、本実施形態の光ディスク装置では、フォーカス制御をホールドした状態で光源の切り換えを行うため、フォーカス制御の再開に必要な余分の時間を省略することが可能になり、約2ミリ秒以下に短縮され得る。
次に、図2を参照して、本実施形態のフォーカスジャンプを更に詳細に説明する。
まず、第1の情報層21の合焦点位置(図12のポイントA)に焦点が位置するようにフォーカス制御が行われている状態を考える。このとき、フォーカスエラー信号は、図2(a)において時刻taまでの期間に示されるように、略ゼロの値を示すことになる。このとき、光ビームは第1の光源3から放射されており、第2の光源4は光ビームを放射していない状態にある。
時刻taにおいて、マイクロコンピュータ8は、図2(c)に示すようにフォーカス制御部17の状態をONからホールド状態に切り換え、その出力をホールドする。ジャンプ駆動生成部15は、図2(b)に示すように、時刻taから時刻tbまでの期間、加速パルス(加速指令)をフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。この結果、フォーカスアクチュエータ駆動回路9には、ホールドされていた出力に加速パルスが付加された駆動信号が入力されることになる。加速パルスの存在により、対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9およびフォーカスアクチュエータ2により、光ディスク20に近づく方向に移動を開始する。
加速指令(第1指令)は、光ディスク20に対する相対速度が増大するように対物レンズ1を駆動する指令である。これに対し、減速指令(第2指令)は、光ディスク20に対する相対速度が減少するように対物レンズ1を駆動する指令である。従って、停止状態(光ディスク20との相対速度が0の状態)の対物レンズ1は、最初に加速指令を受けて移動を開始し、その後に減速指令を受けて停止する。このことは、移動の方向に依存しない。加速の方向(レンズ移動方向)は、加速パルスの極性によって規定される。対物レンズ1を光ディスク20に近づける方向に移動させる場合、加速パルスの極性は「正」である。一方、対物レンズ1を光ディスク20から遠ざける方向に移動させる場合の加速パルスの極性は「負」となる。減速パルスは、常に加速パルスの後に印加され、減速パルスの極性は、加速パルスの極性の逆である。
フォーカスジャンプを行うとき、まず「加速指令」により、現在光ビーム照射中の情報層から光ビームの集束点が離れる方向に対物レンズ1を駆動した後、「減速指令」により、目的情報層に対する光ビーム集束点の相対速度を低減し、光ビーム集束点が目的情報層上に停止するように対物レンズ1を駆動する。
フォーカスジャンプを開始した後の時刻tfにおいて、マイクロコンピュータ8は、光源切り換え部11に対して光ビームの光源切り換え指令を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、図2(d)および図2(e)に示すように第1の光源3からの放射を停止するとともに、第2の光源4からの放射を開始させる。こうして光ビームの焦点位置が図12に示すS字カーブS1の領域または中間層領域26に位置する間に、異なる光源に切り換えられる。
対物レンズ1の移動により、光ビームの焦点位置は図2(a)におけるポイントCを通り抜け、フォーカスエラー信号が増加しだす。このときのフォーカスエラー信号は、第2の光源4から放射された光ビームの第2の情報層22による反射光から生成されたものである。
フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、ジャンプ駆動生成部15はマイクロコンピュータ8に従って減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図2(b))。その結果、対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスの出力を終了する。
時刻teにおいて、マイクロコンピュータ8は、図2(c)に示すようにフォーカス制御部17の状態を再びOFFからONに切り換え、フォーカスジャンプを終了する。
上記の説明では、第1の情報層21から第2の情報層22へフォーカスジャンプを実行しているが、本実施形態では、同様にして第2の情報層22から第1の情報層21へフォーカスジャンプを行うこともできる。
本実施形態では、図12に示すS字カーブS2のポイントCとポイントBとの間に対物レンズ1が位置するタイミングでブレーキを掛け、フォーカス制御をONする。ポイントDからS字カーブS2のピーク値に達するまでブレーキを掛けても良いし、また、ポイントDからブレーキを開始し、S字カーブS2のピーク値とポイントBの間の所定位置までブレーキを掛けても良い。
なお、ブレーキを掛けるタイミングを制御するために、S字カーブのピークtoピークの値に対して所定の割合のレベルに基準を設定し、この基準に基づいてブレーキを掛けても良い。
光源を切り換える時刻tfは、加速パルスの出力を終了した時刻tbから減速パルスの出力を開始する時刻tdまでの間に設定しているが、加速パルスを出力している間、すなわち時刻taから時刻tbまでの期間内に光源を切り換えてもよい。時刻taから時刻tbまでの期間は、0.1〜1ミリ秒程度である。フォーカス制御をホールドしている期間は、このように短いが、光ディスク20の面振れが大きい場合は、フォーカス制御を再開したとき、S字カーブS2を検出することができない場合がある。面振れの影響を抑制するためには、光ディスクの最内周側に近い位置でフォーカスジャンプを行うことが好ましい。また、S字カーブS2を検出に失敗したときは、フォーカスジャンプを失敗したと判定し、リカバリ動作として、一旦対物レンズ1を退避した後、第2の光源4から放射される光ビームにより、第2の情報層22に対するフォーカス引き込みを実行することになる。
なお、第1の光源3は青紫色の光ビームを放射し、第2の光源4は赤色の光ビームを放射しているが、光源の色(波長)は上記の例に限定されない。また、光ディスク20の構成も、上記の例に限定されず、3層以上の情報層を備えていても良い。
本実施形態の説明では、光ビームの切り換えにより、対物レンズから光ビームの焦点までの距離が変化しないと仮定している。この距離が変化する場合は、焦点距離の変化量と、第1の情報層21から第2の情報層22までの距離との関係から、ジャンプ方向(加速パルス方向および減速パルス方向)を変化させるべき場合がある。この場合(ジャンプ方向が逆になる場合)、フォーカスエラー信号のS字波形の正負が反転する。すなわち、光ビームの切り換えるだけで、焦点位置が第2の情報層22を通り越し、さらに奥(正方向)に移動してしまうため、対物レンズを光ディスク20から遠ざける方向(負方向)に移動させないと、第2の情報層22上に焦点を位置させることができない場合がある。そのような場合、焦点の位置が光ディスクの奥から手前に移動することになるため、図2(a)に示すフォーカスエラー信号のS時カーブS2の極性が図示されている極性に対して反転する。
以上説明してきたように、本実施形態では、フォーカス制御をホールド状態に保持したまま、すなわち、対物レンズの位置を退避位置に後退させることなく、光ビームの切り換えおよびフォーカスジャンプが可能となるため、ハイブリッドディスクの異なる情報層で連続再生を実現することも可能になり、切り換え動作に伴うユーザーの待ち時間を大きく低減することができる。
本実施形態の光ディスク装置は、異なる情報層間でフォーカスジャンプを行う場合に顕著な効果を発揮するだけではなく、同一情報層に対するデータの再生/記録を行う場合にも有効である。ここでは、再生/記録中の情報層から光ビームの光源(波長)を切り換えて、同じ情報層に移動する方法を説明する。
通常、CD、DVD、HD−DVDなど複数の規格の光ディスクに対応する光ディスク装置は、所定の光源による光ビームで光ディスクの情報層をサーチした情報(反射光量、フォーカスエラー信号のS字振幅など)や、フォーカス制御を掛けた状態で得られる情報(反射光量、TE信号振幅、ディスクの情報エリアに書かれている内容など)から光ディスクの種別を判定し、最適な光源に切り換える。この際、従来はフォーカス制御を一旦外して、光ビームの光源を最適な光源に変更し、その後にフォーカス制御を再度かけなおすという動作(この「動作」とは、単に「フォーカス制御をOFFからONにする動作」を意味するのではなく、「対物レンズを待避位置まで下げた後、光ディスクに近づけながらフォーカスサーチ(フォーカス引き込み)を行う一連の動作」を意味する)を行っていた。このために約200ミリ秒〜2秒の時間が必要であった。これに対して本実施形態では、フォーカス制御を外さず(「フォーカス制御をホールドしたまま、対物レンズを待避位置に移動させることなく)、ホールド状態のまま光ビームの光源を切り換えるため、切り換え後の光源によるデータの再生/記録を開始するまでに要する時間は約1ミリ秒以下に短縮され得る。
以下、図3を参照しながら、対物レンズの待避動作を行うことなく同一の情報層に対する光源の切り換えを実行する実施形態を説明する。図3は、本実施形態における波長切り換えのタイミングチャートである。
ここでは、説明の都合上、第1の光源3を青紫色の光源、第2の光源4を赤色の光源とし、第1の光源3を第2の光源4に変更する場合を説明する。これは、例えばHD−DVD層という仮定で第1の光源3を用いてディスク判別を行った結果、ディスク判別時に光ビームの焦点が位置していた情報層が、第2の光源4が放射する光ビームで照射されるべき情報層(例えばDVD層)であることがわかった場合に相当する。
このような場合、まずマイクロコンピュータ8は図3(c)に示すように時刻taでフォーカス制御をホールドする(すなわち、図1に示すフォーカス制御部17の出力をホールドする)。その結果、対物レンズ1の軸方向位置が固定される。フォーカスエラー信号は、その後、理想的にはフォーカスエラー信号は0レベルを維持するが、実際には光ディスクと対物レンズ1との間隔にずれが微妙に生じだすため、図3(a)に示すようにゼロレベルから徐々にシフトしてゆくことになる。ジャンプ駆動生成部15から出力されるフォーカス駆動信号は、図3(b)に示すように加速パルス/減速パルスを含まず、対物レンズ1の加速/減速は実行されない。
次に、マイクロコンピュータ8は、図3(d)および図3(e)に示すように時刻tfにおいて、図1の光源切り換え部11に対して光ビームの光源切り換え指令を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、青紫色の第1の光源3をOFFし(図3(d))、赤色の第2の光源4をONする(図3(e))。光源を切り換える時刻tfは、時刻taの後である必要は無く、時刻taと同時でもよい。
光源の切り換え後、光源の発光状態が安定するまでの所定時間が経過した時刻teにおいて、マイクロコンピュータ8は、図3(c)に示すようにフォーカス制御を再びONにし、同一情報層に対する光源の切り換えを終了する。フォーカス制御の再開により、フォーカスエラー信号がゼロレベルに近づくようにフォーカス駆動が実行され、切り換え後の光源から放射される光ビームの焦点が情報層上に正しく位置することになる。
なお、対物レンズ1から光ビームの焦点位置までの距離が、光源の切り換えによって変化する場合、光源の切り換えと同期して加速パルス/減速パルスを出力してもよい。
上記の例では、複数の光源の切り換えを行なうことにより、光ビームの波長を切り換えているが、波長の異なる複数の光ビームを単一の光源から放射できる場合は、そのような光源を用いて光ビームの切り換えを行っても良い。
本実施形態によれば、ディスク判別後に光源の切り換えが必要になったときでも、対物レンズの待避動作およびフォーカスサーチに要する時間を省略でき、ユーザーが要求するデータの再生/記録動作を迅速に開始することが可能になる。
(実施形態2)
次に、図4を参照しながら、本発明による光ディスク装置の第2の実施形態を説明する。図4は、本実施形態の光ディスク装置を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置が図1に示す光ディスク装置と大きく異なる点は、表2に示す構成の光ディスクに対応するため、本実施形態の光ディスク装置がNA切り換え素子12およびNA切り換え部13を備えている点にある。NA切り換え素子12は、光ビームの開口数(NA)を切り換えることができ、NA切り換え部13は、NA切り換え素子12を駆動する。NA切り換え素子12としては、光ビームの光束断面のサイズを変化させる液晶シャッタなどの素子を用いることができる。
以下、本実施形態におけるフォーカス制御を説明する。
第1の光源3から放射された光ビームは、NA切り換え素子12により、対物レンズ1の出力が所望のNAを示すように切り換えられた後、対物レンズ1によって集束させられ、光ディスク20の情報層に光ビームスポットを形成する。この光ビームスポットの光ディスク20からの反射光は再び対物レンズ1およびNA切り換え素子12を介し受光部5に入力される。
ここでは、光ディスク20が、表2に示すように第1の情報層21としてC層(BD層、波長:405nm、NA:0.85)を、第2の情報層22としてB層(HD−DVD層、波長:405nm、NA:0.65)を備えるハイブリッドディスクである場合について説明する。ここで、C層は第1の情報層21に相当し、B層は第2の情報層に相当する。
第2の情報層22からの再生/記録動作中に第1の情報層21を再生/記録しようとする場合、まず、前記第2の情報層22においてマイクロコンピュータ8はフォーカス制御をホールド状態にする。すなわちフォーカス制御部17にホールド指令を出力する。
フォーカス制御部17がフォーカスアクチュエータ駆動回路9への出力をホールドすると同時に、マイクロコンピュータ8は、NA切り換え部13に対し、NA切り換え信号を出力する一方で、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。
NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動し、NAを0.65から0.85程度に切り換える。
ジャンプ方向・距離演算部31は、光ビームスポットを第1の情報層21と第2の情報層22との間で移動させる場合における対物レンズ1の移動方向および移動距離を決定する。後に詳述するように、NAの切り換えに伴って対物レンズ1の焦点距離が変化するため、移動先の情報層と移動元の情報層との位置関係のみならず、焦点距離の変化をも考慮したうえで、対物レンズ1の移動方向および移動距離を決定する必要がある。
ジャンプ方向・距離演算部31は、対物レンズ1の移動方向および移動距離を決定した後、ジャンプ駆動生成部15に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。ジャンプ駆動生成部15は、ジャンプ方向・距離演算部31の指令に従い、ここでは、光ビームスポットが第2の情報層22から第1の情報層21へ移動するようにフォーカスアクチュエータ駆動回路9に対して加速パルスを出力する。
マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー信号が所定レベルに達すると、ジャンプ駆動生成部15に対して減速指令を出力する。ジャンプ駆動生成部15は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、減速パルスを出力する。
また、マイクロコンピュータ8はフォーカスエラー信号に基づき、NA=0.85程度の光ビームの焦点が第1の情報層21と合致した時点(すなわちフォーカスエラー信号=0となった時点)で、フォーカス制御部17に対してホールド解除指令を出力する。フォーカス制御部17は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、出力のホールドを解除し、フォーカス制御を再開する。
以上の手順でフォーカスジャンプが完了する。以降、NA=0.85程度の光ビームの焦点と第1の情報層21との間に位置ずれ(誤差)は、0となるようにフィードバック制御が実行される。
従来、フォーカスジャンプに際してNAの切り換えが必要な場合、いったんフォーカス制御をOFF状態にし、次に対物レンズ1を退避位置に後退させ、光ビームのNAを切り換えた後に、目的の層を探査してフォーカス制御を再開していた。そのため、目的の層でのフォーカス制御再開までに200ミリ秒〜2秒程度の時間が必要であった。本実施形態では、フォーカスジャンプに要する時間は0.2〜2ミリ秒程度である。
以下、図5および図6を参照しながら、本実施形態のフォーカスジャンプを詳細に説明する(表2の光ディスクに対応)。図5(a)〜(c)は、2層の光ディスクにおけるNA別フォーカスエラーのS字波形模式図である。
NAが0.65の光学系において、2層の光ディスク20(光ディスク20は、図11の光ディスク25の構成を備える。)に対物レンズ1を近づけていくと、フォーカス制御をOFFにしている場合、図5(a)に示すように、フォーカスエラー信号に2つのS字カーブS1、S2が発生する。図5(a)のポイントA、Bが、それぞれ、第1の情報層21、第2の情報層22における合焦点位置である。一方、NAが0.85の光学系においては、図5(b)に示すようにフォーカスエラー信号に1つのS字カーブS1’が発生する。ここで注目すべきは、図5(b)のポイントA’が第2の情報層22より奥の位置ではなく、第1の情報層21における合焦点位置である点にある。図5(b)に光ディスク20の光入射側面に近い第1の情報層21から得られるS字カーブS1’のみを記載している。第2情報層22から得られるS字カーブを図5(b)に記載していない理由は、NAが0.85の光学系では、NAが0.65の光学系に比べて焦点距離が短くなるため、光ビームの焦点が第2の情報層22に達しない場合があるためである。
図5(c)の状態(2)に示すように、NAが0.65の光学系によって第2の情報層22を再生しているときは、図5(a)に示すS字カーブS2のポイントBに焦点が位置する。この状態で、第2の情報層22から第1の情報層21にフォーカスジャンプを行うとともに、NAの切り換えを行う。
本実施形態では、NAを0.65から0.85に切り換えると、対物レンズ1の焦点距離が短くなり、その焦点距離の変化量(減少量)は、第2の情報層22から第1の情報層21までの層間距離(約0.5mm)よりも大きい。図18(a)は、NA=0.65の状態で第2の情報層22に合焦している状態を示し、図18(b)は、NAを0.65から0.85に切り換えた状態を示している。図18(b)では、わかりやすさのため、対物レンズ1の位置を変えずにNAのみを変更した場合の状態を示している。このように、対物レンズ1の位置を固定したままでNAを0.65から0.85に増加させると、光ビームの焦点は、第1情報層21よりも手前に位置することになる。このような場合、光ビームの焦点を第1の情報層21に位置させるためには、図18(c)に示すように、対物レンズ1を、光ディスク20に近づく方向に移動させる必要がある。
なお、図19(a)から(c)に示すように、第1の情報層21から第2の情報層22にフォーカスジャンプを行う場合、本実施形態では、NAが0.85から0.65に減少し、焦点距離が長くなるため、対物レンズ1は、光ディスク20から離れる方向に移動させる必要がある。
ジャンプ方向・距離演算部31は、光ビームスポットを第1の情報層21と第2の情報層22との間で移動させる指令を受けると、NAの増加/減少を判断した上で、NAが増加する場合は、対物レンズ1が光ディスクに近づく方向にジャンプ方向を決定し、NAが減少する場合は、対物レンズ1を光ディスクから遠ざける方向にジャンプ方向を決定する。
ジャンプの距離については、情報面21と情報面22の距離およびNA変更に伴う焦点距離の変化量の合計で決定し、演算されたジャンプの距離に応じ加速および減速のパルスの印加時間を変更することができる。なお、フォーカスジャンプにとってジャンプ距離の演算は必須ではないため、距離を演算しなくてもよい。
本実施形態においてNAを0.65から0.85に切り換えるタイミングは、フォーカス制御をホールド状態にし、対物レンズ1を光ディスク20に近づける方向に移動させる動作を開始した後に行う。NAの切り換えが行われるまでは、対物レンズ1の移動に伴い、図5(a)に示すフォーカスエラー信号のS字カーブS2のポイントB(第2の情報面22)から右半分が検出される。S字カーブS2の通過中または通過後にNAを0.65から0.85に切り換えると、光ビームの焦点は、第1の情報層21よりも対物レンズ1に近い位置にくるため、更に対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させてゆくと、焦点位置は、図5(b)に示すポイントCに達することになる。更に、焦点位置をポイントCからポイントA’の方向に移動させると、フォーカスエラー信号中にS字カーブS1’が観測される。
対物レンズ1の焦点がポイントCに移動した時点でフォーカスアクチュエータ2により対物レンズ1にブレーキを掛け、第1の情報層21からのS字カーブS1’の合焦点位置A’で対物レンズ1が停止するように制御しようとすると、合焦点位置A’で対物レンズ1を停止させることは困難である。その理由は、図5(a)から図5(c)に示す基材領域28および保護層領域27では、実際にはS字カーブのピーク値に対して大きい場合は約10%程度のノイズ成分が含まれるからである。そのため、第2の情報層22から第1の情報層21へフォーカスジャンプを行ったとき、対物レンズ1にブレーキを掛けるタイミングが明確でなく、合焦点位置A’で対物レンズ1を停止させることが難しくなる。
そこで、本実施形態では、S字カーブS1’のポイントCとA’の間に対物レンズ1が位置するタイミング(ポイントD)でブレーキを掛け、フォーカス制御をONする。なお、ポイントDからS字カーブS1’のピーク値に達するまでブレーキを掛けても良いし、また、ポイントDからブレーキを開始し、S字カーブS1’のピーク値とポイントA’の間の所定位置までブレーキを掛けても良い。
次に、図6を参照しながら、本実施形態におけるフォーカスジャンプをより詳細に説明する。
まず、第2の情報層22の合焦点位置(図5のポイントB)に焦点が位置するようにフォーカス制御が行われている状態を考える。このとき、フォーカスエラー信号は、図6(a)において時刻taまでの期間に示されるように、略ゼロの値を示すことになる。このとき、NAは0.65である。
時刻taにおいて、マイクロコンピュータ8は、図6(c)に示すようにフォーカス制御部17をOFFにし、その出力をホールドする。同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、前述したようにしてジャンプ方向および距離を決定し、ジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ジャンプ方向・距離演算部31の指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図6(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、フォーカスアクチュエータ2により、光ディスク20に近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図6(d)に示すようにNAを0.65から0.85に切り換えるため、時刻tfにおいて、NA切り換え部13に対し光ビームのNA切り換え指令を出力する。NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動し、NAを0.65程度から0.85程度に切り換える。
対物レンズ1の移動により、図6(a)で示すようにポイントCを通り、フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従い、ジャンプ駆動生成部15が減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図6(b))。対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。同時にマイクロコンピュータ8は、図6(c)に示すようにフォーカス制御部17を再びONし、フォーカスジャンプを終了する。
上記の例では、第2の情報層22から第1の情報層21へフォーカスジャンプを行っているが、逆に、第1の情報層21から第2の情報層22へフォーカスジャンプを行ってもよい。この場合、対物レンズ1を光ディスク20から離れる方向に移動させる場合は、図6(b)の信号波形の極性を反転させた加速パルスおよび減速パルスを、この順序で印加すればよい。その場合、対物レンズ1は、光ディスク20から遠ざかる方向に加速され、やがて減速して停止することになる。
ブレーキを掛けるタイミングを明確に制御するために、S字カーブのピークtoピークの値に対して所定の割合のレベルに基準を設定し、この基準に基づいてブレーキを掛けても良い。
なお、光ビームのNAを切り換える時刻tfは、加速パルス終了後(時刻tb)から減速パルス開始(時刻td)までの期間に限定されず、加速パルス出力中(時刻taと時刻tbの間)でもよい。
NA切り換え素子12による光ビームのNAは、上記の例に限定されない。同様に、2層の光ディスク20の構成も上記の例に限定されない。
対物レンズ1から光ビームの焦点までの距離がNAの切り換えによって変化する場合、この変化量と、第1の情報層21と第2の情報層22の距離の関係からジャンプ方向(加速パルス方向および減速パルス方向)とフォーカスエラー信号のS字波形の正負が反転する場合がある。
なお、上記で現在再生中の情報層から異なる情報層にフォーカスジャンプする説明をしたが、現在再生/記録中の情報層から光ビームのNAを切り換えて、同じ情報層に移動してもよい。前述したように、ディスク判別を行った後、光ビームのNAを判別動作時のものから変更することが必要になる場合がある。現在再生/記録中の情報層から光ビームのNAを切り換えて、同じ情報層に移動する方法に関して説明する。
以下、図7を参照しながら、同一の情報層上で光ビームのNAを切り換える実施形態を説明する。図7は、本実施形態に係る光ディスク装置におけるNA切り換えのタイミングチャートである。
NAを切り換えるときは、通常、図5(c)の状態(1)および状態(3)に示すように対物レンズと光ディスクの距離を変更する必要がある。そのため、NAの切り換え前後において、第1の情報層の再生/記録を行う場合、図7(a)のS字カーブS1のポイントAから、図7(b)のS字S1’のポイントA’に向けて、対物レンズを移動させる必要がある。
まずマイクロコンピュータ8は、図7(c)に示すように時刻taでフォーカス制御部17をOFFにし、その出力をホールドする。また、同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してジャンプ開始指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、NAの切り換えに伴って必要になる対物レンズ1の移動方向および距離を決定し、ジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。NAを0.65から0.85に増加させる場合は、対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図7(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9およびフォーカスアクチュエータ2により、光ディスクに近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図7(d)に示すように時刻tfにおいてNA切り換え部13に対して光ビームのNA切り換え指令を出力する。NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動しNAをB層(第2の情報層22)用の0.65程度からC層(第1の情報層21)用の0.85程度に切り換える(図7(d))。ここで、焦点の移動は第1の情報面21(S字カーブS1)から第1の情報面21(S字カーブS1’)への移動であり、第2の情報面22(S字カーブS2)からの移動でない点に注目されたい。対物レンズ1の移動により、図7(a)で示すようにポイントCを通り、フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従い、ジャンプ駆動生成部15は減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図7(b))。
こうして、対物レンズ1は徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。同時にマイクロコンピュータ8は、図7(c)に示すようにフォーカス制御部17を再びONし、フォーカスジャンプを終了する。
上記の例では、NA=0.65からNA=0.85へ変更する場合におけるフォーカスジャンプを行っているが、逆にNA=0.85からNA=0.65へ変更することもできる。この場合、加速パルスの極性が図6(b)に示す加速パルスの極性(正)とは反対の負となる。その結果。対物レンズ1は、光ディスクから離れる方向に加速され、移動を開始する。やがて、図6(b)に示す減速パルスの極性(負)とは反対の正の極性を有する減速パルスが印加されると、対物レンズ1は減速され、停止することになる。
NAを切り換える時刻tfは、時刻taから若干の待ち時間経過後であってもよいし、時刻taと同時でもよい。対物レンズ1から光ビームの焦点位置までの距離が、NA切り換えによって変化しない場合は、加速パルス/減速パルスを出力せず、NA切り換え中のみフォーカス制御をホールドする処理を行うことになる。
(実施形態3)
次に、本発明による光ディスク装置の第3の実施形態を説明する。図8は、本実施形態における光ディスク装置を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置が図4に示す光ディスク装置と大きく異なる点は、表3に示す光ディスクに対応するため、光源の切り換えに伴って光学系(波長およびNAの両方)を切り換える機構を備えている点にある。
本実施形態の光ディスク装置は、発光波長の異なる第1の光源3および第2の光源4を備えており、対物レンズホルダ14が対物レンズ1および対物レンズ18を保持している。対物レンズホルダ14では、対物レンズ1が、対物レンズ18に比べて光ディスク20に近い位置に保持されている。図8には、簡単のため、対物レンズ1の焦点と対物レンズ18の焦点がともに光ディスク20に対して同じ距離に位置するように記載されているが、現実には、例えば図20(a)、(b)に示すように、対物レンズ1の焦点は、対物レンズ18の焦点よりも下方に位置している。これは、焦点距離の短い対物レンズ1を、その焦点距離に応じて光ディスク20に近づけすぎると、光ディスク20と衝突する危険があるため、衝突が生じにくいように充分な間隔を確保しておくためである。本実施形態では、このような衝突を避けるため、対物レンズ1と対物レンズ18との間にある段差を比較的小さな大きさに調整している。
フォーカスアクチュエータ2は、対物レンズホルダ14を光ビーム方向(光ディスクに垂直な方向)に駆動する。対物レンズ1および対物レンズ18は、対物レンズホルダ14で固定されているため、フォーカスアクチュエータ2により、対物レンズ1および対物レンズ18は、光ビーム方向に駆動される。
以下、本実施形態の動作を説明する。
本実施形態では、光ディスク20として、表3に示すように第1の情報層21(BD層、波長:405nm、NA:0.85)と第2の情報層22(DVD層、波長:650nm、NA:0.6)とが積層されたハイブリッドディスクを用いる。
第1の情報層21の記録/再生は、第1の光源3および対物レンズ1を用いて行われるのに対して、第2の情報層22の記録/再生は、第2の光源4および対物レンズ18を用いて行われる。このようなハイブリッドディスクの再生/記録を行うとき、第1の情報層21および第2の情報層22のいずれか一方の情報層上に光ビームが集束される。
第2の情報層22に対するデータの再生/記録を行うとき、第2の光源4から放射される赤色の光ビーム(波長:650nm程度)を対物レンズ18で集束し、第1の光源3は、青紫色の光ビーム(波長:405nm程度)を放射しない状態にある。
次に、第1の情報層21の再生/記録を行う場合は、第2の情報層22から第1の情報層21へのフォーカスジャンプを行う必要がある。このフォーカスジャンプを行う場合、まず、図8に示すマイクロコンピュータ8が、第2の情報層22に対するトラッキング制御をOFFにし、フォーカス制御部17にホールド指令を出力する。
フォーカス制御部17がフォーカスアクチュエータ駆動回路9への出力をホールドすると同時に、マイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。
ジャンプ方向・距離演算部31は、指令に応じて対物レンズ1の移動方向および移動距離を決定する。本実施形態では、光ディスク20からの距離が異なる2つの対物レンズ1、18が対物レンズホルダ14によって支持されている点で、前述の実施形態と異なっている。以下、図20、21を参照しつつ、この点を説明する。
図20(a)、(b)は、NAを増加させる場合におけるフォーカスジャンプの様子を示す模式断面図である。図20(a)の状態では、NA0.85の対物レンズ1から光ビーム(波長:405nm)は出射しておらず、NA0.6の対物レンズ18から光ビーム(波長:650nm)が第2の情報層(DVD層)22に集光している。この第2の情報層22から第1の情報層(BD層)21にフォーカスジャンプを行う場合、NAを0.6から0.85に増加させる必要がある。図20(b)は、フォーカスジャンプ後の状態を示しており、NA0.85の対物レンズ1から光ビーム(波長:405nm)が第1の情報層(BD層)21に集光している。この状態では、NA0.6の対物レンズ18から光ビーム(波長:650nm)は出射していない。
図20(a)と図20(b)とを比較すると明らかなように、図20(a)の状態から図20(b)の状態に変化させるには、レンズホルダ14を光ディスク20に近づける必要がある。これは、図20(a)および図20(b)に示されるように、対物レンズ1によって集光される光ビームの焦点の位置が、対物レンズ18によって集光される光ビームの焦点の位置よりも下方に位置している(光ディスク20から離れている)ためである。
図21(a)、(b)は、NAを減少させる場合におけるフォーカスジャンプの様子を示す模式断面図である。図21(a)の状態では、NA0.6の対物レンズ18からは光ビーム(波長:650nm)が出射しておらず、NA0.85の対物レンズ1から光ビーム(波長:405nm)が第1の情報層(BD層)21に集光している。この第1の情報層21から第2の情報層(DVD層)22にフォーカスジャンプを行う場合、NAを0.85から0.6に減少させる必要がある。図21(b)は、フォーカスジャンプ後の状態を示しており、この状態では、NA0.6の対物レンズ18から光ビーム(波長:650nm)が第2の情報層(DVD層)22に集光している。なお、NA0.85の対物レンズ1から光ビーム(波長:405nm)は出射していない。
図21(a)と図21(b)とを比較すると明らかなように、図21(a)の状態から図21(b)の状態に変化させるには、レンズホルダ14を光ディスク20から遠ざける必要がある。
ジャンプ方向・距離演算部31は、移動先の情報層までの方向および距離と、光源の切り換えに伴う焦点距離の変化量とに基づいてジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ここでは、対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図6(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。
光ビームスポットが第2の情報層22から第1の情報層21へ移動中に、マイクロコンピュータ8は、光源切り換え部11に対して光源切り換え信号を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、赤色の光ビームを照射している第2の光源4の発光を停止し、第1の光源3による青紫色の光ビームの放射を開始する。
青紫色の光ビームの放射が開始された後、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー生成器7の出力信号であるフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスエラー信号が所定レベルに達するのを確認し、その後、ジャンプ駆動生成部15に対し、減速指令を出力する。
ジャンプ駆動生成部15は、ジャンプ方向・距離演算部13の指令に従い、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、減速パルスを出力する。また、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー信号に基づいて、青紫色の光ビームの焦点が第1の情報層21の位置と合致した時点(すなわちフォーカスエラー信号=0となった時点)で、フォーカス制御部17に対し、ホールド解除指令を出力する。
フォーカス制御部17は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、出力のホールドを解除しフォーカス制御を再開する。以上の手順でフォーカスジャンプが完了する。以降、青紫色の光ビームの焦点と第1の情報層21との誤差は、受光部5、プリアンプ6およびフォーカスエラー生成器7を通しフォーカスエラー信号として検出され、フォーカスエラー信号に従いフォーカス制御部17、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、対物レンズホルダ14を通し対物レンズ1が制御される。すなわち、青紫色の光ビームの焦点とC層との誤差が0となるようにフィードバック制御される。
次に、図5および図9を参照しながら、本実施形態におけるフォーカスジャンプをより詳細に説明する。本実施形態ではNA=0.6であり、図5におけるNA(0.65)とは異なっている。
まず、第2の情報層22の合焦点位置(図5のポイントB)に焦点が位置するようにフォーカス制御が行われている状態を考える。このとき、フォーカスエラー信号は、図9(a)において時刻taまでの期間に示されるように、略ゼロの値を示すことになる。このとき、NAは0.6である。
時刻taにおいて、マイクロコンピュータ8は、図9(c)に示すようにフォーカス制御部17をOFFにし、その出力をホールドする。同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、他の実施形態と同様にジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ここでは、対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図9(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。対物レンズ1および対物レンズ18は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、フォーカスアクチュエータ2により、光ディスクに近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図9(d)および図9(e)に示すように時刻tfにおいて光源切り換え部11に対して光ビームの光源切り換え指令を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、第2の情報層22のための第2の光源4をOFFし、同時に第1の情報層21のための第1の光源3をONする。その結果、使用する対物レンズは対物レンズ18から対物レンズ1に切り換わり、NAは図9(f)に示すように0.6から0.85に切り換わる。
対物レンズ1の移動により、図9(a)に示すようにポイントCを通り抜けフォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従いジャンプ駆動生成部15は減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図9(b))。対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。また、同時にマイクロコンピュータ8は図9(c)に示すようにフォーカス制御部17を再びONし、フォーカスジャンプを終了する。
以下、図10を参照しながら、同一の情報層上で光源および光学系の両方を切り換える実施形態を説明する。ここでは、第2の光源(赤色)4を第1の情報層のための第1の光源(青紫色)3に変更する例を説明する。
まずマイクロコンピュータ8は、図10(c)に示すように、時刻taでフォーカス制御部17をOFFし、出力をホールドする。同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してジャンプ開始指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、NAの切り換えに伴って必要になる対物レンズ1の移動方向および距離を決定する。ジャンプ方向・距離演算部31からの指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図10(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。
対物レンズ1および対物レンズ18は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、フォーカスアクチュエータ2を通じ光ディスクに近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図10(d)および図10(e)に示すように時刻tfにおいて光源切り換え部11に対し光ビームの光源切り換え指令を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、第2の光源4をOFFし(図10(d))、同時に第1の光源3をONする。その結果、使用する対物レンズは対物レンズ18から対物レンズ1に切り換わり、NAは図10(f)に示すように0.6から0.85に切り換わる。
対物レンズ1の移動により、図10(a)で示すようにポイントCを通り抜けフォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従いジャンプ駆動生成部15は減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図10(b))。対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。
また、光ビームの焦点位置と対物レンズ1および対物レンズ18までの距離が、波長およびNA切り換えにより変化しない場合においては、加速パルス、減速パルスを出力せず、波長およびNA切り換え中のみフォーカス制御をホールド処理することになる。
本実施形態では、NAの切り換えを対物レンズの切り換えによって行っているが、1つの対物レンズに対しNA切り換え素子を用いることで、NAの切り換えを行っても良い。
(実施形態4)
次に、本発明による光ディスク装置の第4の実施形態を説明する。図17は、本実施形態における光ディスク装置を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置が図8に示す光ディスク装置と大きく異なる点は、1つの対物レンズ1が波長の異なる2つの光源3、4に対応している点にある。すなわち、本実施形態の光ディスク装置は、発光波長の異なる第1の光源3および第2の光源4と、NA切り換え素子12およびNA切り換え部13とを備えている。NA切り換え素子12は、実施形態2におけるNA切り換え素子12と同じ構成を備えており、NA切り換え部13の働きにより、光源に応じて光ビームの開口数(NA)を切り換えることができる。
本実施形態では、表1〜4に示す各ハイブリッド型光ディスクに対応することができるが、以下においては、表4に示す構成の光ディスクに対する動作を説明する。本実施形態で使用する光ディスクは、図14に示す構成の光ディスク30である。光ディスク30は、第1の情報層21(波長:405nm、NA:0.85)と、第2の情報層22(波長:405nm、NA:0.85)と、第3の情報層29(波長:650nm、NA:0.6)とが積層されたハイブリッドディスクである。
この光ディスク30において、第1の情報層21および第2の情報層22の記録/再生は、波長が405nmの第1の光源3を用いて行われるのに対して、第3の情報層29の記録/再生は、波長が650nmの第2の光源4を用いて行われる。NA切り換え素子12により、第1の光源3が使用されるときのNAは0.85に設定されるのに対して、第2の光源4が使用されるときのNAは0.6に設定される。
まず、第3の情報層29に対するデータの再生/記録が行われているとする。このとき、第2の光源4から放射される赤色の光ビーム(波長:650nm程度)を対物レンズ1で集束し、第1の光源3は、青紫色の光ビーム(波長:405nm程度)を放射しない状態にある。
次に、第2の情報層22の再生/記録を行う場合を考える。この場合、第3の情報層29から第2の情報層22へのフォーカスジャンプを行う必要がある。このフォーカスジャンプを行う場合、まず、図17に示すマイクロコンピュータ8が、第3の情報層29に対するトラッキング制御をOFFにし、フォーカス制御部17にホールド指令を出力する。次にマイクロコンピュータ8は、フォーカス制御部17がフォーカスアクチュエータ駆動回路9への出力をホールドすると同時に、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。
ジャンプ方向・距離演算部31は、光ビームスポットを第3の情報層29から第2の情報層22へ移動させる場合における対物レンズの移動方向および移動距離を前述したように決定する。ジャンプ方向・距離演算部31は、移動先の情報層までの方向および距離と、光源の切り換えに伴う焦点距離の変化量とに基づいてジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ここでは、対物レンズを光ディスク30に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図6(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。
光ビームスポットが第3の情報層29から第2の情報層22へ移動中に、マイクロコンピュータ8は、光源切り換え部11に対して光源切り換え信号を出力する一方で、NA切り換え部13に対しては、NA切り換え信号を出力する。
光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、赤色の光ビームを照射している第2の光源4の発光を停止し、第1の光源3による青紫色の光ビームの放射を開始する。一方、NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動し、NAを0.6から0.85程度に切り換える。
青紫色の光ビーム(波長:405nm、NA:0.85)の放射が開始された後、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー生成器7の出力信号であるフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスエラー信号が所定レベルに達するのを確認し、その後、ジャンプ駆動生成部15に対し、減速指令を出力する。
ジャンプ駆動生成部15は、ジャンプ方向・距離演算部31の指令に従い、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、減速パルスを出力する。また、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー信号に基づいて、青紫色の光ビームの焦点が第1の情報層21の位置と合致した時点(すなわちフォーカスエラー信号=0となった時点)で、フォーカス制御部17に対し、ホールド解除指令を出力する。
フォーカス制御部17は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、出力のホールドを解除しフォーカス制御を再開する。以上の手順でフォーカスジャンプが完了する。以降、青紫色の光ビームの焦点と第1の情報層21との誤差は、受光部5、プリアンプ6およびフォーカスエラー生成器7を通しフォーカスエラー信号として検出され、フォーカスエラー信号に従いフォーカス制御部17、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、対物レンズホルダ14を通し対物レンズ1が制御される。すなわち、青紫色の光ビームの焦点とC層との誤差が0となるようにフィードバック制御される。
以下、図15および図16を参照しながら、本実施形態のフォーカスジャンプを詳細に説明する。図15(a)〜(c)は、3層の光ディスク30におけるNA別フォーカスエラーのS字波形模式図である。
NAが0.6または0.65の光学系において、3層の光ディスク30(図14)にフォーカス制御OFF状態で対物レンズ1を近づけていくと、図15(a)に示すように、フォーカスエラー信号に3つのS字カーブS1、S2、S3が発生する。図15(a)のポイントA、Bが、それぞれ、第1の情報層21、第2の情報層22における合焦点位置であり、ポイントCが、第3の情報層29における合焦点位置である。一方、NAが0.85の光学系においては、図15(b)に示すようにフォーカスエラー信号に2つのS字カーブS1’、S2’が発生する。図15(b)のポイントA’が第1の情報層21における合焦点位置であり、ポイントB’が第2の情報層22における合焦点位置である。図15(b)には、光ディスク30の光入射側面に近い第1の情報層21から得られるS字カーブS1’と第2の情報層22から得られるS字カーブS2’のみを記載している。
図15(c)の状態(3)に示すように、NAが0.6の光学系によって第3の情報層29を再生しているときは、図15(a)に示すS字カーブS3のポイントCに対物レンズ1が位置する。この状態から、第2の情報層22にフォーカスジャンプを行うとともに、NAの切り換えを行う。本実施形態でも、NAを0.6から0.85に切り換えると、対物レンズ1の焦点距離が短くなり、その焦点距離の変化量(減少量)は、第3の情報層29から第1の情報層21までの層間距離(約0.5mm)よりも大きい。このため、対物レンズ1の位置を固定したままでNAを0.6から0.85に切り換えても、光ビームの焦点は、第1情報層21よりも手前に位置することになる。従って、対物レンズ1は、光ディスク20に近づく方向に移動させる必要がある。
本実施形態においてNAを0.6から0.85に切り換えるタイミングは、フォーカス制御をOFFにし、対物レンズ1を光ディスク20に近づける方向に移動させる動作を開始した後に行う。NAの切り換えが行われるまでは、対物レンズ1の移動に伴い、図15(a)に示すフォーカスエラー信号のS字カーブS3のポイントF(第2の情報層22)から右半分が検出される。S字カーブS3の通過中または通過後にNAを0.6から0.85に切り換えると、光ビームの焦点は、第1の情報層21よりも対物レンズ1に近い位置にくるため、更に対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させてゆくと、焦点位置は、図15(b)に示すポイントCに達することになる。本実施形態では、第2の情報層22にジャンプするため、S字カーブS1’を通過し、次のS字カーブS2’が検出されるまで対物レンズ1の移動を続ける。
対物レンズ1の焦点がポイントEに移動した時点でフォーカスアクチュエータ2により対物レンズ1にブレーキを掛け、フォーカス制御をONすることにより、第2の情報層22からのS字カーブS2’の合焦点位置B’で対物レンズ1が停止するように制御する。
なお、本実施形態では、第3の情報層29から第2の情報層22にフォーカスジャンプを行っているが、フォーカスジャンプは、第3の情報層29から第1の情報層21に行っても良いし、逆に、第1の情報層21または第2の情報層22から第3の情報層29に対して行っても良い。
次に、図16を参照しながら、本実施形態におけるフォーカスジャンプをより詳細に説明する。
まず、第3の情報層29の合焦点位置(図15(a)のポイントF)に焦点が位置するようにフォーカス制御が行われている状態を考える。このとき、フォーカスエラー信号は、図16(a)において時刻taまでの期間に示されるように、略ゼロの値を示すことになる。このとき、NAは0.6である。
時刻taにおいて、マイクロコンピュータ8は、図16(c)に示すようにフォーカス制御部17をOFFにし、その出力をホールドする。同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、移動先の情報層までの方向および距離と、NAの切り換えに伴う焦点距離の変化量とに基づいてジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ここでは、対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図16(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、フォーカスアクチュエータ2により、光ディスク30に近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図16(d)に示すようにNAを0.6から0.85に切り換えるため、時刻tfにおいて、NA切り換え部13に対し光ビームのNA切り換え指令を出力する。NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動し、NAを0.6程度から0.85程度に切り換える。
対物レンズ1の移動により、図16(a)で示すように1つめのS字カーブS1’を通過し、フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントE)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従い、ジャンプ駆動生成部15が減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図16(b))。対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。同時にマイクロコンピュータ8は、図16(c)に示すようにフォーカス制御部17を再びONし、フォーカスジャンプを終了する。
なお、光ビームのNAを切り換える時刻tfは、加速パルス終了後(時刻tb)から減速パルス開始(時刻td)までの期間に限定されず、加速パルス出力中(時刻taと時刻tbの間)でもよい。
本実施形態では、NAの切り替えが必要になる情報層間のフォーカスジャンプを説明したが、図14の光ディスク30の場合、NAの切り替えが必要のない情報層間でフォーカスジャンプを行う場合がある。例えば、第1の情報層21と第2の情報層22の間でフォーカスジャンプを行う場合は、NAは0.85のままである。また、ハイブリッド型ではない通常の多層光ディスクが装填された場合も、フォーカスジャンプに際してNAを変更する必要はない。このような場合を想定すると、フォーカスジャンプ指令が与えられたとき、NAの変更を伴うか否かを判断し、その判断結果に応じて対物レンズの移動方向を決定する必要がある。このような場合の動作を、図22を参照しながら以下に説明する。
まず、ある情報層に対してデータの記録・再生を行っている途中、あるいは、そのような記録・再生を終了した後、マイクロコンピュータ8からジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令が与えられると、NAの変更が必要か否かを判定する(ステップS10)。NAの変更が必要か否かは、フォーカスジャンプを行なう前のNA(現在のNA)の値と、ジャンプ先の情報層のNAの値を比較することにより判定される。各情報層のNAに関する情報は、起動時または光ディスク挿入直後に光ディスクの管理領域から管理情報のひとつとして読み出されており、例えば光ディスク装置のメモリ内に各情報層とNAとを対応付けたデータが格納されている。このようなデータは、好ましくはテーブル形式である。マイクロコンピュータ8から出されるフォーカスジャンプ指令によってジャンプ先が特定されるため、ジャンプ先の情報層のNAが上述したデータに基づいて決定される。
こうして得たジャンプ先のNAが現在のNAと等しい場合、すなわち、NAの変更が必要ない場合は、ステップS14に進む。ステップS14では、ジャンプ先の情報層が現在の情報層に対して光ディスクの上の層側(光入射側面から奥)に位置するか否かがジャンプ方向・距離演算部31によって判断される。この場合、NAの変更は必要ないため、フォーカスジャンプに際して焦点距離の変化も生じない。したがって、ジャンプ先の情報層が現在の情報層に対して光ディスクの上の層側に位置するときは、対物レンズの移動方向(ジャンプ方向)を上向きに設定する(ステップS20)。逆に、ジャンプ先の情報層が現在の情報層に対して光ディスクの下の層側(光入射側面に近い側)に位置するときは、対物レンズの移動方向(ジャンプ方向)を下向きに設定する(ステップS22)。この場合、対物レンズの移動距離は、現在の情報層とジャンプ先の情報層との間隔に等しい。
上述のステップS10において、NAの変更が必要であると判定された場合は、ステップS12に進む。ステップS12では、フォーカスジャンプに伴ってNAを増加させるか否かが判定される。NAを増加させる場合は、対物レンズまたはレンズホルダの焦点距離が短縮するため、対物レンズを光ディスクに近づける方向(上向き)に移動させる必要がある(ステップS16)。
再び図22を参照する。図22のステップS12において、NAを減少させると判断された場合、図21(a)および図21(b)を参照して説明したように、対物レンズの焦点距離が長くなるため、対物レンズまたはレンズホルダを光ディスクから離れる方向(下向き)に移動させることが必要になる(ステップS18)。
なお、NAの変更が必要になる場合、対物レンズまたは対物レンズホルダの移動距離は、現在の情報層とジャンプ先の情報層との間隔、および焦点位置の変化量に基づいて決定される。
このように、NA変更の有無に応じて対物レンズまたは対物レンズホルダの移動方向が決定されると、その方向に応じてジャンプ駆動部15(図17)がフォーカスアクチュエータ駆動回路9に送出する加速パルスの正負が決定される。実際のフォーカスジャンプは、前述した実施形態におけるフォーカスジャンプと同様に実行される。
以上説明してきたように、本発明の各実施形態によれば、フォーカス制御をホールドしたまま、対物レンズの位置を退避位置に後退させることなく(あらためてフォーカスサーチを実行することなく)、光ビームの波長およびNAを高速に切り換えることが可能になる。このため、フォーカス制御動作後におけるディスク判別結果に伴う光ビームの波長およびNA切り換え時間が短縮され、光ディスク装置の起動時間を大幅に低減できる光ディスク装置を提供することが可能となる。
本発明の光ディスク装置では、フォーカスジャンプに際して集束手段をディスクから退避することなく光学系の波長またはNAを切り換えるため、ハイブリッド構造を光ディスクの利用度が向上する。また、ディスク判別を行ってからセットされている光ディスクに対応する光学系への切り換え時間が短縮するため、多様な光ディスクに一台で対応する光ディスク装置の性能が向上する。
本発明は、フォーカス制御を動作状態からホールド状態に切り換えた後、対物レンズを退避させることなく、レーザの波長または開口数を切り換え、目的の情報担体の情報層に移動する方式に関する。
光ディスクに記録されているデータは、比較的弱い一定の光量の光ビームを回転する光ディスクに照射し、光ディスクによって変調された反射光を検出することによって再生される。
再生専用の光ディスクには、光ディスクの製造段階でピットによる情報が予めスパイラル状に記録されている。これに対して、書き換え可能な光ディスクや追記型の光ディスクでは、スパイラル状のランドまたはグルーブを有するトラックが形成された基材表面に、光学的にデータの記録/再生が可能な記録材料膜が蒸着等の方法によって堆積されている。書き換え型の場合は相変化型の記録膜が使用されるが、追記型の場合、有機色素材料膜などが使用される。
書き換え型または追記型の光ディスクにデータを記録する場合、記録すべきデータに応じて光量を変調した光ビームを光ディスクに照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
なお、トラックの深さ、および記録材料膜の厚さは、光ディスク基材の厚さに比べて小さい。このため、光ディスクにおいてデータが記録されている部分は、2次元的な面を構成しており、「情報記録面」と称される場合がある。本明細書では、このような情報記録面が深さ方向にも物理的な大きさを有していることを考慮し、「情報記録面」の語句を用いる代わりに、「情報層」の語句を用いることとする。光ディスクは、このような情報層を少なくとも1つ有している。なお、1つの情報層が、現実には、相変化材料層や反射層などの複数の層を含んでいてもよい。
書き換え型または追記型の光ディスクにデータを記録するとき、または、このような光ディスクに記録されているデータを再生するとき、光ビームが情報層における目標トラック上で常に所定の集束状態となる必要がある。このためには、「フォーカス制御」および「トラッキング制御」が必要となる。「フォーカス制御」は、光ビームの焦点の位置が常に情報層上に位置するように対物レンズの位置を情報層の法線方向に制御することである。一方、トラッキング制御とは、光ビームのスポットが所定のトラック上に位置するように対物レンズの位置を光ディスクの半径方向(以下、「ディスク径方向」と称する。)に制御することである。
従来、高密度・大容量の光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM,DVD−RAM,DVD−RW,DVD−R,DVD+RW,DVD+R等の光ディスクが実用化されてきた。また、CD(Compact Disc)は今も普及している。最近は、ハイビジョン画質でデータの記録が可能な光ディスクが要望され、Blu−ray Disk(以下、「BD」と称する。)が開発されている。書き換え型ディスクであるBD−REが実用化されているが、BD−REよりも低コストで生産可能な追記型ディスクであるBD−R光ディスクの開発も進められている。また、BDとは異なる規格に従ったHD−DVD(High Definition-DVD)の開発も進められている。
CD、DVD、およびBDなどの光ディスクは、表面(光入射側表面)および裏面(レーベル面)を有し、それらの間に少なくとも1つの情報層を有している。いずれの光ディスクも全体の厚さは約1.2mmであり、直径は12cmまたは8cmである。
CDの情報層は、表面から約1.1mmの深さに位置している。CDの情報層からデータを読み出すには、近赤外レーザ(波長:780nm)を集束し、その焦点が情報層上に位置するように制御する必要がある。光ビームの集束に用いる対物レンズの開口数(NA)は、約0.45である。DVDの情報層は、表面から約0.6mmの深さに位置している。現実のDVDでは、約0.6mmの厚さを有する2枚の基板が接着層を介して張り合わせられている。2層の情報層を有する光ディスクの場合、表面2から情報層までの距離は、それぞれ、約0.57mmおよび約0.63mm程度であり、近接している。DVDの情報層からデータを読み出し、あるいはデータを書き込むには、赤色レーザ(波長:660nm)を集束し、その焦点が情報層上に位置するように制御する必要がある。光ビームの集束に用いる対物レンズのNAは、約0.6である。
一方、BDは、表面の側に厚さ100μmの薄いカバー層(透明層)が設けられており、情報層は表面から約0.1mmの深さに位置している。BDの情報層からデータを読み出すには、青紫レーザ(波長:405nm)を集束し、その焦点が情報層上に位置するように制御する必要がある。光ビームの集束に用いる対物レンズのNAは、0.85である。また、HD−DVDは、DVDに類似する断面構成を有しており、その情報記録層は、表面から約0.6mmの深さに位置しているが、HD−DVDの情報層からデータを読み出すには、BDと同様に、青紫レーザ(波長:405nm)を利用し、光ビームの集束に用いる対物レンズのNAは、0.65に設定することが検討されている。
このように多様な光ディスクが流通している状況においては、1つの光ディスク装置によって多くの種類の光ディスクの記録/再生が可能なことが求められている。これを実現するには、光ディスク装置が複数種類の光ディスクに対応可能な光源および光学系を備えるとともに、光ディスク装置に装填された光ディスクの種別を適切に判別することが必要になる。
一方、複数の情報層を備える光ディスクが存在する。図11は、2層の光ディスクの構成を模式的に示す斜視図である。図示されている光ディスク25は、第1の情報層21および第2の情報層22を備える2層式光ディスクである。光ディスク25は、より詳細には、第1のおよび第2の情報層21、22と、これらの情報層21、22を支持する基材24と、第1の情報層21をカバーする保護層23とを備えている。
この光ディスク25の第1の情報層21からデータを読み出すためには、第1の情報層21上に光ビームの焦点を位置させるようにフォーカス制御を実行する必要がある。第1の情報層21からデータを読み出す動作をしているとき、次に第2の情報層22からデータを読み出すためには、第1の情報層21から前記第2の情報層22へ光ビームの焦点位置をシフトさせる必要がある。このような焦点位置のシフトを本明細書では「フォーカスジャンプ」と称することにする。フォーカスジャンプを実行するためには、光ビームを集束する対物レンズの位置を光ディスクの情報面に対して垂直な方向に移動させる必要がある。
このような「フォーカスジャンプ」に伴って光ビームの焦点位置が情報層間を移動するとき、フォーカスエラー信号の絶対値が大きくなる。このため、フォーカスジャンプは、フォーカス制御を停止(ホールド)してから開始し、対物レンズの移動に伴って光ビームの焦点が目標とする情報層に充分に接近した段階でフォーカス制御を再び開始する必要がある。
図12は、2層の光ディスクから得られるフォーカスエラー信号を示すグラフであり、その横軸はディスクに対する対物レンズの位置、縦軸はフォーカスエラー信号の値である。図13(a)〜(c)は、従来の光ディスク装置におけるフォーカスジャンプのタイミングチャートである。図13(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、図13(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、図13(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャートである。
図11に示す光ディスク25に対し、対物レンズを近づけていくと、図12に示すようにフォーカスエラー信号に2つのS字カーブS1、S2が発生する。図12のポイントA、Bが各情報層における合焦点位置である。S字カーブS1は、図11の光ディスク25における第1の情報層21から発生し、S字カーブS2は第2の情報層22から発生する。第1の情報層21の再生動作中、S字カーブS1のポイントAに対応する位置に対物レンズが位置する。この状態でフォーカスジャンプを行うと、フォーカスエラー信号は第1の情報層21のS字カーブS1および中間層領域26を通過した後、第2の情報層22から発生するS字カーブS2のポイントCの位置に移動する。その後、ポイントCからポイントBの方向にS字カーブS2が観測されることになる。
理想的には、対物レンズがポイントCに移動した時点でフォーカスアクチュエータにより対物レンズにブレーキをかけ、第2の情報層22からのS字カーブS2の合焦点位置Bで対物レンズ1が停止するように制御する。しかし、中間層領域26には、S字カーブのピーク値に対して約10%程度の振幅を有するノイズが存在する場合がある。
従って、第1の情報層21から第2の情報層22に対するフォーカスジャンプを行っても、対物レンズにブレーキをかけるタイミングが明確でなく、合焦点位置Bで対物レンズを停止させることは困難である。
そこで、S字カーブS2のポイントC、Bの間に対物レンズが位置するタイミングでブレーキを掛け、フォーカス制御をONすることが行われる。すなわち、ポイントDからS字カーブS2のピーク値に達するまでブレーキを掛けたり、ポイントDからブレーキを開始し、S字カーブS2のピーク値とポイントBの間の所定位置までブレーキを掛けたりしている。
図13(c)に示すように、まず時刻taでフォーカス制御をOFFにした後、図13(b)に示すように、時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路(不図示)へ出力する。対物レンズは、光ディスクに近づく方向に移動し、図13(a)で示すようにポイントCを通り、フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、減速パルス(ブレーキパルス)をフォーカスアクチュエータ駆動回路へ出力する。その後、対物レンズは、徐々に減速する。時刻teで減速パルスの印加で停止される。このとき、フォーカス制御が再びONになり、フォーカスジャンプが完了する。
特開2000−200431号公報(段落22〜23、図5)
上記の従来技術では、1枚の光ディスクが2層の情報層を備えているが、いずれの情報層も同一波長の光ビームでデータの記録再生が可能である。このため、フォーカスジャンプに際して、光源を切り換える必要はない。
一枚の光ディスクが、例えばCD層とDVD層を積層した構成(ハイブリッド構造)を備えている場合は、それらの情報層間でフォーカスジャンプを行うことができない。なぜならば、CD層およびDVD層の間では、データ記録密度や記録再生に必要な光源波長およびNAが異なるため、上述したフォーカスジャンプを行うことができないからである。
長波長の光ビームをNAの低い光学系を用いて照射すべき情報層に対して、短波長の光ビームをNAの高い光学系を用いて集束すると、情報層のデータを破壊するという危険性がある。また、高NAの光学系は、焦点距離が短いため、低いNAの光学系を必要とする情報層に焦点を合わせる目的で対物レンズをディスク表面側に移動すると、焦点が合うより先に対物レンズがディスク表面に衝突するという問題があった。
更に、ディスクの種別判定ができていない場合、フォーカス制御動作を開始した後、再生または記録に必要な波長およびNAを決定する場合が多いため、最適な波長および/またはNAを変更する場合、一旦、フォーカス制御の動作を停止し、対物レンズを光ディスクから遠ざける退避動作を行った後に、光源波長および/またはNAを切り換える必要がある。従来技術によれば、そのような切り換えを行った後、再度目的の情報層をサーチし、フォーカス制御を再開する必要がある。この一連の動作には200ミリ秒〜2秒程度の時間を要する。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、異なる種類の情報層間においてフォーカスジャンプを改良することにより、光学系の切り換えを短時間で実行し得る光ディスク装置を提供することにある。
本発明の光ディスク装置は、第1の情報層および第2の情報層を含む複数の情報層を備える光ディスクにデータを記録すること、および前記光ディスクからデータを再生することの少なくとも一方を実行する光ディスク装置であって、前記光ディスクは、前記第1の情報層のデータおよび前記第2の情報層のデータが、それぞれ、波長および開口数の少なくとも一方が異なる光ビームによって再生されるハイブリッド型光ディスクであり、光ビームを放射する光源と、前記光ビームを集束する対物レンズと、前記情報層に対して垂直な方向に前記対物レンズを移動させる垂直移動手段と、前記光ビームの前記情報層上における集束状態に応じた信号を生成する集束状態検出手段と、前記信号に応じて前記垂直移動手段を駆動し、前記光ビームの焦点を所望の情報層上に位置させるフォーカス制御手段とを備え、前記垂直移動手段を駆動して前記対物レンズの移動を行うことによって光ビームの焦点を前記光ディスクの第1の情報層から第2の情報層まで移動させるフォーカスジャンプを実行するとき、前記対物レンズの移動時において、前記光ビームの波長および開口数の少なくとも一方を変更することができる。
好ましい実施形態において、前記フォーカスジャンプを実行するとき、前記開口数の変化に応じて前記対物レンズの移動方向を決定するジャンプ方向決定部を備える。
好ましい実施形態において、前記対物レンズの移動方向が前記光ディスクに近づく方向に決定された場合は、極性が正の加速パルスおよび負の減速パルスをこの順序で前記垂直移動手段に与え、前記対物レンズの移動方向が前記光ディスクから離れる方向に決定された場合は、極性が負の加速パルスおよび正の減速パルスをこの順序で前記垂直移動手段に与える。
好ましい実施形態において、前記光源は、前記光ディスクの第1の情報層のための第1の光ビーム、および前記第2の情報層のための第2の光ビームを含む波長の異なる複数の光ビームを放射することができ、前記フォーカスジャンプを実行するとき、前記光ディスクを照射する光ビームを前記第1の光ビームと第2の光ビームとの間で切り換える。
好ましい実施形態において、前記フォーカスジャンプを実行するとき、前記光ディスクを照射する光ビームの光束断面のサイズを変化させる手段を備えている。
好ましい実施形態において、前記フォーカスジャンプを実行するとき、前記対物レンズをディスク衝突回避位置まで退避させない。
好ましい実施形態において、フォーカスジャンプの加速時は、少なくとも1つのパルス駆動指令を、前記垂直移動手段に与え、前記パルス駆動加速指令中または加速指令後に前記光ビームの波長または開口数を切り換える。
好ましい実施形態において、前記光ビームの波長または開口数を切り換えた後、前記収束状態検出手段からの信号が所定レベルに達してから、前記垂直移動手段へ減速指令を出力する。
好ましい実施形態において、前記対物レンズは複数であり、前記光ビームの波長の切り換えに応じて前記対物レンズを切り換える。
好ましい実施形態において、前記対物レンズは複数であり、前記開口数の切り換えは、前記対物レンズを切り換えることによって実行する。
好ましい実施形態において、所望の情報層に対しフォーカス制御を開始するフォーカス引き込み手段を備えており、前記フォーカス引き込み手段は、前記第1の情報層から前記第2の情報層への光ビームの焦点移動に失敗したとき、前記光ビームの波長または開口数を切り換えた状態で前記第2の情報層に対するフォーカス引き込みを実行する。
好ましい実施形態において、前記光ビームの波長の切り換えが実行される期間または開口数の切り換えが実行される期間において、前記フォーカス制御手段は前記垂直移動手段の駆動信号をホールドする。
本発明の他の光ディスク装置は、少なくとも1つの情報層を備える光ディスクにデータを記録すること、および前記光ディスクからデータを再生することの少なくとも一方を実行する光ディスク装置であって、光ビームを放射することができる光源と、前記光ビームを集束する対物レンズと、前記情報層に対して垂直な方向に前記対物レンズを移動させる垂直移動手段と、前記光ビームの前記情報層上における集束状態に応じた信号を生成する集束状態検出手段と、前記信号に応じて前記垂直移動手段を駆動し、前記光ビームの焦点を所望の情報層上に位置させるフォーカス制御手段とを備え、前記情報層上に前記光ビームの焦点が位置するときに前記フォーカス制御手段の出力をホールドし、前記光ビームの波長および開口数の少なくとも一方を切り換えた後、前記情報層と同一の情報層に前記光ビームの焦点を位置させる。
好ましい実施形態において、前記開口数の切り換えを実行するときは、前記フォーカス制御手段のホールドされた出力に対して加速パルスおよび減速パルスを付加する。
好ましい実施形態において、開口数の切り換えタイミングは、前記対物レンズの加速指令を前記垂直制御手段に与えているとき、または、その後である。
好ましい実施形態において、前記開口数の切り換えと同期して前記光ビームの波長を切り換える。
本発明の光ディスク装置によれば、対物レンズの待避動作を行うことなく、フォーカスジャンプの途中で光学系(光源波長および/またはNA)を切り換えることが可能となるため、異なる種類の情報層間でのフォーカスの移動を短時間で完了することができる。このため、例えばDVD層(DVD規格に準拠した情報層)およびBD層(BD規格に準拠した情報層)などが積層されたハイブリッド型の光ディスクにおいて、異なる規格の情報層に跨ったデータの再生/記録をユーザーの指示などに従って短時間で実行することも可能になる。これにより、例えばDVD層にはSD画質の映像やオーディオ機器向けの高音質な音楽を保存し、BD層には映画などHD画質の映像を保存することも可能になるため、ハイブリッド型ディスクの利便性が大きく向上する。
本発明による光ディスク装置の好ましい実施形態では、対物レンズの待避動作を行うことなく、フォーカスジャンプの途中で光学系(光源波長および/またはNA)を切り換えることが可能となる。このため、例えばDVD層(DVD規格に準拠した情報層)およびBD層(BD規格に準拠した情報層)などが積層されたハイブリッド型の光ディスクにおいて、異なる規格の情報層からスムーズにデータの再生/記録を実行することが可能になる。
ハイブリッド型の光ディスクとしては、例えば以下の表1〜4に示すような構成を備える光ディスクが検討されている。
Figure 2007088843
Figure 2007088843
Figure 2007088843
Figure 2007088843
表1の構成では、各情報層のNAが相互に近いため、フォーカスジャンプを行うときにNAを変更する必要は無いが、光ビームの波長が異なるため、光源を切り換える必要がある。
表2の構成では、各情報層のNAが大きく異なるため、フォーカスジャンプを行うときにNAを変更する必要がある。ただし、光ビームの波長は等しいため、光源を切り換える必要はない。
表3の構成では、各情報層のNAおよび光ビームの波長の両方が大きく異なるため、フォーカスジャンプを行うときにNAおよび光源の両方を切り換える必要がある。
表4の構成では、複数の情報層が、NAおよび光ビームの波長の両方が大きく異なる組と、変化しない組とを含む。この場合、フォーカスジャンプを行うときにNAおよび光源の両方を切り換える場合と、切り換えない場合がある。
このようにハイブリッド型の光ディスクでは、各情報層の組み合わせにより、種々の態様があるため、本発明の光ディスクは、その少なくとも1つに対応した構造を備えることができる。なお、1つの光ディスク装置が、上記の表に示される全てのタイプの光ディスクに対応する構造を備える必要はない。例えば、本発明の光ディスク装置は、表1のタイプの光ディスクに対しては対応できるが、表2または表3のタイプの光ディスクには対応できない構造を備えていても良い。
なお、光ディスク装置が「光ビームの波長」および「NA」の両方を切り換えることのできる構成を備えている場合は、波長およびNAの一方のみを切り換えることが必要な光ディスク(例えば表1、2に示す光ディスク)にも対応することができる。
以下に説明する実施形態1〜4は、それぞれ、表1〜4の光ディスクに対応した光ディスク装置である。本発明による光ディスク装置は、このような実施形態に限定されず、他の具体的構成を備えていてもよい。
なお、フォーカスジャンプを行わない場合でも、光ビームの波長やNAの切り換えが必要な場合がある。例えば、1つの光ディスク装置が、DVDやBDなどの複数種類の光ディスクに対応できる場合、光ディスク装置に装填された光ディスクの種類を判別する動作が必要になる。この判別を行うとき、例えばBD用の短波長光ビームで光ディスクを照射する場合がある。この照射により、その光ディスクがDVDであると判定された場合は、光ビームの波長およびNAを変更する必要がある。そのような場合でも、対物レンズの退避動作を行うことなく、波長およびNAの切り換えを行うことができれば、迅速なフォーカス移動を実現することができる。
(実施形態1)
まず図1を参照して、本発明による光ディスク装置の第1の実施形態を説明する。図1は本実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置は、表1に示すような複数の情報層を備える光ディスク20にデータを記録し、光ディスク20からデータを再生することができる。光ディスク20が光ディスク装置に装填されると、ディスクモータ10によって所定の回転数で回転させられる。
この光ディスク装置は、第1の光源3および第2の光源4を含む光源ユニットを備えており、第1の光源3および第2の光源4は、それぞれ、異なる波長を有する光ビームを放射する。図では、簡単のため、第1の光源3を「光源A」、第2の光源4を「光源B」と記載している。本実施形態における第1の光源3および第2の光源4は、いずれも、同一の光ピックアップ内に配置されている。この光ピックアップは、光源3、4以外に、光源3、4から放射された光ビームを集束する対物レンズ1と、対物レンズ1の光軸方向位置を変化させるフォーカスアクチュエータ2と、光ディスク20で反射された光ビームを受け、電気信号を生成する受光部5などを備えている。現実の光ピックアップ内に配置されているアクチュエータは、対物レンズ1を光軸方向に移動させるだけではなく、光軸方向に対して垂直な方向に移動させることもできる。より具体的には、このアクチュエータは、フォーカスアクチュエータ2とトラッキングアクチュエータ(不図示)に分かれており、対物レンズ1の光軸方向における位置は、光ピックアップ内のフォーカスアクチュエータ2によって調整される。対物レンズ1の光軸に垂直な方向における位置は、光ピックアップ内のトラッキングアクチュエータ(不図示)によって調整される。
なお、光ディスク装置内には、光ピックアップ自体を光ディスク半径方向に沿って移動するための移送台(不図示)が設けられている。
受光部5は、複数のフォトダイオードを有しており、各フォトダイオードに入射した光の強さ(光量)に応じた光電流を生成する。受光部5の出力に基づいて、フォーカスエラー(FE)信号、トラッキングエラー(TE)信号、および再生信号などが生成されることになる。
受光部5の出力(光電流)はプリアンプ6に送られ、プリアンプ6で電圧信号に変換される。プリアンプ6の出力は、集束状態検出手段として機能するフォーカスエラー生成器7に与えられる。フォーカスエラー生成器7は、プリアンプ6の出力を受け取り、フォーカスエラー信号を生成する。フォーカスエラー信号は、フォーカス制御手段として機能するフォーカス制御部17に与えられ、フォーカス制御部17は、フォーカスエラー信号に対するフィルタ演算を行う。フォーカス制御部17の出力は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に与えられる。
対物レンズ1の光軸方向における位置は、光ピックアップ内のフォーカスアクチュエータ2によって調整される。具体的には、フォーカスアクチュエータ2内のコイル(不図示)が、フォーカスアクチュエータ駆動回路9からの駆動電流によって磁界を形成し、その磁力により、対物レンズ1を光ディスク20の情報層に対して略垂直な方向に移動させる。本実施形態では、フォーカスアクチュエータ2内のコイルを流れる駆動電流が多くなるほど、対物レンズ1は光ディスク20に接近する。
フォーカスアクチュエータ駆動回路9から流れる駆動電流の大きさは、フォーカス制御が動作しているとき(フォーカス制御がONのとき)、フォーカス制御部17からフォーカスアクチュエータ駆動回路9に与えられる信号に基づいて制御される。一方、フォーカスジャンプ動作中におけるフォーカス制御が動作していないとき(フォーカス制御がOFFのとき)、フォーカスアクチュエータ駆動回路9から流れる駆動電流の大きさは、ジャンプ駆動生成部15からフォーカスアクチュエータ駆動回路9に与えられる信号に基づいて制御される。
フォーカス制御が動作しているとき(フォーカス制御がONのとき)は、フォーカスエラー信号の振幅がゼロとなるように対物レンズ1の位置が調節され、その結果、光ディスク20における目的とする情報面上に光ビームの焦点が位置することになる。
ジャンプ駆動生成部15は、マイクロコンピュータ8からの指令に基づいて、加速および減速パルス信号によりフォーカスアクチュエータ駆動回路9を制御し、フォーカスジャンプに必要な対物レンズ1の加速・減速を行う。本実施形態におけるジャンプ駆動生成部15は、フォーカスジャンプ用のパルス信号を生成し、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に送出する。これにより、例えば光ディスク20における第1の情報層上に位置していた光ビームの焦点が、第2の情報層上に移動することになる。
マイクロコンピュータ8は、フォーカス制御部17、ジャンプ駆動生成部15、ディスクモータ10、および光源切り換え部11を制御する。
光ディスク20に対するデータの記録再生は、光ビームのスポットが所望の情報層における目的トラックを追従するようにフォーカス制御およびトラッキング制御を実行した状態で行われる。データの再生は、プリアンプ6からの出力に対し、波形等化、クロック抽出を行い、記録されているデータをデジタルデータに変換して行われる。このデジタルデータは、デコーダ(不図示)により、復調、エラー訂正、デスクランブル処理を受け、再生データが生成される。一方、光ディスク20にユーザデータを記録する場合は、記録されるべきユーザデータに対して、エンコーダ(不図示)がスクランブル、エラー訂正符号付与、変調の各処理を行い、符号化された記録信号を生成する。不図示の記録処理部は、エンコーダから記録信号を受け取り、マルチパルス化および記録補償処理を行い、レーザ発光パルス信号を生成する。レーザ駆動部は、レーザ発光パルス信号を受け取り、光源3、4が放射する光ビームのパワーを変調する。
本実施形態の光ディスク装置は、光ディスク20を照射する光ビームの光源として、光源3、4を切り換える光源切り換え部11を備えている。このような構成を採用することにより、第1の光源3から放射される光ビームを用いて光ディスク20からデータを再生することもできるし、第2の光源4から放射される光ビームを用いて光ディスク20からデータを再生することもできる。データの記録再生にいずれの光ビームを用いるかは、光源切り換え部11による光源の切り換えで決定することができる。図1では、簡単のため、第1の光源3から放射された光ビームが対物レンズ1によって集束されている状態が記載され、現実には、第1の光源3と対物レンズ1との間には、不図示のビームスプリッタやコリメータレンズなどの光学素子が配置されている。これらの光学素子を介して、第2の光源4から放射された光ビームも対物レンズ1によって集束されることになる。第1の光源3および第2の光源4は、別々の半導体レーザパッケージから構成されていても良いが、同一基板上に一体的に集積されていてもよい。光源切り換え部11は、第1の光源3および第2の光源4に対して選択的に駆動電流を供給することにより、一方の光源を発光させることができる。
以下、本実施形態の光ディスク装置の動作を説明する。
本実施形態では、光ディスク20が図11に示す構造を備えるハイブリッドディスクと同様の構成を有しているものとする。具体的には、表1に示す構成を備えており、第1の情報層は、波長:405nm、NA:0.65の光学系に対応するHD−DVD規格に従った情報層であり、第2の情報層22は、波長:650nm、NA:0.6の光学系に対応するDVD規格に従った情報層である。これらの情報層は、異なる波長の光ビームによってアクセスされるが、光ビームのNAは近く、フォーカスジャンプに伴ってNAの切り換えを行う必要はない。
このような光ディスク20の再生/記録を行うとき、第1の情報層21および第2の情報層22のいずれか一方の情報層上に光ビームが集束される。第1の情報層21に対するデータの再生/記録を行うとき、第1の光源3から放射される青紫色の光ビーム(波長:405nm程度)が用いられ、第2の光源4は、赤色の光ビーム(波長:650nm程度)を放射していない状態にある。
まず、第1の光源3から放射される光ビームを対物レンズ1によって集束し、光ディスク20の第1の情報層21上に光ビームスポットを形成するものとする。光ディスク20からの反射光は、対物レンズ1を介して受光部5に入射する。本実施形態における受光部5は、4つの領域に分割されており、それぞれの領域で検出された光量に応じて光電流を生成し、プリアンプ6へ出力する。プリアンプ6は、I/V変換器により、入力された光電流を電圧に変換し、変換された各信号はフォーカスエラー生成器7に送られる。
フォーカスエラー生成器7は、4分割された受光部5の出力信号であるプリアンプ6の4つの出力に従い、非点収差法によるフォーカスエラー信号を生成する。フォーカスエラー信号は、フォーカス制御部17において位相補償、ゲイン補償などのフィルタ演算が行われ、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に出力される。
対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9による駆動信号に基づき、フォーカスアクチュエータ2によって駆動され、光ビームスポットが光ディスク20の第1の情報層に対して所定の収束状態となるようにフォーカス制御が実現される。フォーカス制御が実行されているときは、光ディスク20の回転に伴う面振れが生じても、面振れに追従して対物レンズ1が上下するため、光ビームの焦点が常に第1の情報層上に位置することが可能になる。
光ディスク20の最内周側には、管理情報が記録されている領域が存在し、その領域からデータを読み出すことにより、光ディスク20がどのような構成を備えているかがわかる。ハイブリッド型の光ディスクの場合、各情報層がどのような規格に基づく情報層であるかが読み出された情報に基づいて決定される。
第1の情報層21の再生/記録の途中または終了後、第2の情報層22の再生/記録を行う場合、第1の情報層21から第2の情報層22へのフォーカスジャンプを行う必要がある。フォーカスジャンプは、例えば不図示の装置(例えばリモコン)によるユーザーからの要求に応じて行われても良い。フォーカスジャンプを行う場合、まず、図1に示すマイクロコンピュータ8が、第1の情報層21に対するフォーカス制御をホールドする。すなわち、フォーカス制御部17にホールド指令を出力する。ホールド指令に基づいてフォーカス制御部17はフォーカスアクチュエータ駆動回路9への出力をホールドすると、マイクロコンピュータ8は、ジャンプ駆動生成部15に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。フォーカス制御をONからホールド状態に切り換えると、光ディスクの面触れに応じて対物レンズ1を追従させるための動作は実行されない。なお、後に説明する光源の切り替えに要する時間は短いため、光源の切り替え中に光ディスク20と対物レンズ1との間隔はほとんど変化しない。また、フォーカス制御がONからホールド状態に切り換わると同時に、ジャンプ駆動生成部15は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、対物レンズ1によって形成される光ビームスポットが第1の情報層21から第2の情報層22へ移動するようにフォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、加速パルスを出力する。
光ビームの焦点が第1の情報層21から第2の情報層22へ移動する途中において、マイクロコンピュータ8は光源切り換え部11に対して光源切り換え信号を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、青紫色の光ビームを照射している第1の光源3からの放射を停止し、第2の光源4による赤色の光ビームの放射を開始する。光源の切り換えに要する時間は1ミリ秒以下である。赤色光ビームの放射が開始された後、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー生成器7の出力信号であるフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスエラー信号が所定レベルに達するのを確認し、その後、ジャンプ駆動生成部15に対して減速指令を出力する。ジャンプ駆動生成部15は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、減速パルスを出力する。
マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー信号に基づき、赤色の光ビームの焦点位置が第2の情報層22の位置に合致した時点(すなわちフォーカスエラー信号=0となった時点)で、フォーカス制御部17に対してホールド解除指令を出力する。フォーカス制御部17は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、出力のホールドを解除し、フォーカス制御を再開する。こうして、フォーカスジャンプが完了する。
以降、赤色の光ビームの焦点と第2の情報層22との間の位置ずれ(誤差)は、フォーカスエラー信号に基づいて検出され、フォーカス制御部17およびフォーカスアクチュエータ駆動回路9により、対物レンズ1の位置が制御される。すなわち、赤色の光ビームの焦点と第2の情報層22との間の位置ずれが0となるようにフィードバック制御が実行される。
従来の光ディスク装置におけるフォーカスジャンプは、光ビームの波長を途中で切り換えずに焦点位置だけを移動させることにより実行されていた。光ビームの波長切り換えが必要な場合、従来は、フォーカス制御をON状態から一時的にOFF状態に切り換えた後、いったん対物レンズを待避位置まで後退させていた。次に、光ビームの波長を切り換え、その後、対物レンズを待避位置から光ディスクに再接近させつつ、目的の情報層に焦点を移動させるためのフォーカスサーチ(フォーカス引き込み)を行っていた。そして、目的の情報層に焦点が到達した後、フォーカス制御をOFF状態からON状態に変化させていた。このため、従来は、目的の情報層におけるフォーカス制御の再開までに200ミリ秒〜2秒程度の時間が必要であった。
これに対し、本実施形態の光ディスク装置では、フォーカス制御をホールドした状態で光源の切り換えを行うため、フォーカス制御の再開に必要な余分の時間を省略することが可能になり、約2ミリ秒以下に短縮され得る。
次に、図2を参照して、本実施形態のフォーカスジャンプを更に詳細に説明する。
まず、第1の情報層21の合焦点位置(図12のポイントA)に焦点が位置するようにフォーカス制御が行われている状態を考える。このとき、フォーカスエラー信号は、図2(a)において時刻taまでの期間に示されるように、略ゼロの値を示すことになる。このとき、光ビームは第1の光源3から放射されており、第2の光源4は光ビームを放射していない状態にある。
時刻taにおいて、マイクロコンピュータ8は、図2(c)に示すようにフォーカス制御部17の状態をONからホールド状態に切り換え、その出力をホールドする。ジャンプ駆動生成部15は、図2(b)に示すように、時刻taから時刻tbまでの期間、加速パルス(加速指令)をフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。この結果、フォーカスアクチュエータ駆動回路9には、ホールドされていた出力に加速パルスが付加された駆動信号が入力されることになる。加速パルスの存在により、対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9およびフォーカスアクチュエータ2により、光ディスク20に近づく方向に移動を開始する。
加速指令(第1指令)は、光ディスク20に対する相対速度が増大するように対物レンズ1を駆動する指令である。これに対し、減速指令(第2指令)は、光ディスク20に対する相対速度が減少するように対物レンズ1を駆動する指令である。従って、停止状態(光ディスク20との相対速度が0の状態)の対物レンズ1は、最初に加速指令を受けて移動を開始し、その後に減速指令を受けて停止する。このことは、移動の方向に依存しない。加速の方向(レンズ移動方向)は、加速パルスの極性によって規定される。対物レンズ1を光ディスク20に近づける方向に移動させる場合、加速パルスの極性は「正」である。一方、対物レンズ1を光ディスク20から遠ざける方向に移動させる場合の加速パルスの極性は「負」となる。減速パルスは、常に加速パルスの後に印加され、減速パルスの極性は、加速パルスの極性の逆である。
フォーカスジャンプを行うとき、まず「加速指令」により、現在光ビーム照射中の情報層から光ビームの集束点が離れる方向に対物レンズ1を駆動した後、「減速指令」により、目的情報層に対する光ビーム集束点の相対速度を低減し、光ビーム集束点が目的情報層上に停止するように対物レンズ1を駆動する。
フォーカスジャンプを開始した後の時刻tfにおいて、マイクロコンピュータ8は、光源切り換え部11に対して光ビームの光源切り換え指令を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、図2(d)および図2(e)に示すように第1の光源3からの放射を停止するとともに、第2の光源4からの放射を開始させる。こうして光ビームの焦点位置が図12に示すS字カーブS1の領域または中間層領域26に位置する間に、異なる光源に切り換えられる。
対物レンズ1の移動により、光ビームの焦点位置は図2(a)におけるポイントCを通り抜け、フォーカスエラー信号が増加しだす。このときのフォーカスエラー信号は、第2の光源4から放射された光ビームの第2の情報層22による反射光から生成されたものである。
フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、ジャンプ駆動生成部15はマイクロコンピュータ8に従って減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図2(b))。その結果、対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスの出力を終了する。
時刻teにおいて、マイクロコンピュータ8は、図2(c)に示すようにフォーカス制御部17の状態を再びOFFからONに切り換え、フォーカスジャンプを終了する。
上記の説明では、第1の情報層21から第2の情報層22へフォーカスジャンプを実行しているが、本実施形態では、同様にして第2の情報層22から第1の情報層21へフォーカスジャンプを行うこともできる。
本実施形態では、図12に示すS字カーブS2のポイントCとポイントBとの間に対物レンズ1が位置するタイミングでブレーキを掛け、フォーカス制御をONする。ポイントDからS字カーブS2のピーク値に達するまでブレーキを掛けても良いし、また、ポイントDからブレーキを開始し、S字カーブS2のピーク値とポイントBの間の所定位置までブレーキを掛けても良い。
なお、ブレーキを掛けるタイミングを制御するために、S字カーブのピークtoピークの値に対して所定の割合のレベルに基準を設定し、この基準に基づいてブレーキを掛けても良い。
光源を切り換える時刻tfは、加速パルスの出力を終了した時刻tbから減速パルスの出力を開始する時刻tdまでの間に設定しているが、加速パルスを出力している間、すなわち時刻taから時刻tbまでの期間内に光源を切り換えてもよい。時刻taから時刻tbまでの期間は、0.1〜1ミリ秒程度である。フォーカス制御をホールドしている期間は、このように短いが、光ディスク20の面振れが大きい場合は、フォーカス制御を再開したとき、S字カーブS2を検出することができない場合がある。面振れの影響を抑制するためには、光ディスクの最内周側に近い位置でフォーカスジャンプを行うことが好ましい。また、S字カーブS2を検出に失敗したときは、フォーカスジャンプを失敗したと判定し、リカバリ動作として、一旦対物レンズ1を退避した後、第2の光源4から放射される光ビームにより、第2の情報層22に対するフォーカス引き込みを実行することになる。
なお、第1の光源3は青紫色の光ビームを放射し、第2の光源4は赤色の光ビームを放射しているが、光源の色(波長)は上記の例に限定されない。また、光ディスク20の構成も、上記の例に限定されず、3層以上の情報層を備えていても良い。
本実施形態の説明では、光ビームの切り換えにより、対物レンズから光ビームの焦点までの距離が変化しないと仮定している。この距離が変化する場合は、焦点距離の変化量と、第1の情報層21から第2の情報層22までの距離との関係から、ジャンプ方向(加速パルス方向および減速パルス方向)を変化させるべき場合がある。この場合(ジャンプ方向が逆になる場合)、フォーカスエラー信号のS字波形の正負が反転する。すなわち、光ビームの切り換えるだけで、焦点位置が第2の情報層22を通り越し、さらに奥(正方向)に移動してしまうため、対物レンズを光ディスク20から遠ざける方向(負方向)に移動させないと、第2の情報層22上に焦点を位置させることができない場合がある。そのような場合、焦点の位置が光ディスクの奥から手前に移動することになるため、図2(a)に示すフォーカスエラー信号のS時カーブS2の極性が図示されている極性に対して反転する。
以上説明してきたように、本実施形態では、フォーカス制御をホールド状態に保持したまま、すなわち、対物レンズの位置を退避位置に後退させることなく、光ビームの切り換えおよびフォーカスジャンプが可能となるため、ハイブリッドディスクの異なる情報層で連続再生を実現することも可能になり、切り換え動作に伴うユーザーの待ち時間を大きく低減することができる。
本実施形態の光ディスク装置は、異なる情報層間でフォーカスジャンプを行う場合に顕著な効果を発揮するだけではなく、同一情報層に対するデータの再生/記録を行う場合にも有効である。ここでは、再生/記録中の情報層から光ビームの光源(波長)を切り換えて、同じ情報層に移動する方法を説明する。
通常、CD、DVD、HD−DVDなど複数の規格の光ディスクに対応する光ディスク装置は、所定の光源による光ビームで光ディスクの情報層をサーチした情報(反射光量、フォーカスエラー信号のS字振幅など)や、フォーカス制御を掛けた状態で得られる情報(反射光量、TE信号振幅、ディスクの情報エリアに書かれている内容など)から光ディスクの種別を判定し、最適な光源に切り換える。この際、従来はフォーカス制御を一旦外して、光ビームの光源を最適な光源に変更し、その後にフォーカス制御を再度かけなおすという動作(この「動作」とは、単に「フォーカス制御をOFFからONにする動作」を意味するのではなく、「対物レンズを待避位置まで下げた後、光ディスクに近づけながらフォーカスサーチ(フォーカス引き込み)を行う一連の動作」を意味する)を行っていた。このために約200ミリ秒〜2秒の時間が必要であった。これに対して本実施形態では、フォーカス制御を外さず(フォーカス制御をホールドしたまま、対物レンズを待避位置に移動させることなく)、ホールド状態のまま光ビームの光源を切り換えるため、切り換え後の光源によるデータの再生/記録を開始するまでに要する時間は約1ミリ秒以下に短縮され得る。
以下、図3を参照しながら、対物レンズの待避動作を行うことなく同一の情報層に対する光源の切り換えを実行する実施形態を説明する。図3は、本実施形態における波長切り換えのタイミングチャートである。
ここでは、説明の都合上、第1の光源3を青紫色の光源、第2の光源4を赤色の光源とし、第1の光源3を第2の光源4に変更する場合を説明する。これは、例えばHD−DVD層という仮定で第1の光源3を用いてディスク判別を行った結果、ディスク判別時に光ビームの焦点が位置していた情報層が、第2の光源4が放射する光ビームで照射されるべき情報層(例えばDVD層)であることがわかった場合に相当する。
このような場合、まずマイクロコンピュータ8は図3(c)に示すように時刻taでフォーカス制御をホールドする(すなわち、図1に示すフォーカス制御部17の出力をホールドする)。その結果、対物レンズ1の軸方向位置が固定される。フォーカスエラー信号は、その後、理想的にはフォーカスエラー信号は0レベルを維持するが、実際には光ディスクと対物レンズ1との間隔にずれが微妙に生じ出すため、図3(a)に示すようにゼロレベルから徐々にシフトしてゆくことになる。ジャンプ駆動生成部15から出力されるフォーカス駆動信号は、図3(b)に示すように加速パルス/減速パルスを含まず、対物レンズ1の加速/減速は実行されない。
次に、マイクロコンピュータ8は、図3(d)および図3(e)に示すように時刻tfにおいて、図1の光源切り換え部11に対して光ビームの光源切り換え指令を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、青紫色の第1の光源3をOFFし(図3(d))、赤色の第2の光源4をONする(図3(e))。光源を切り換える時刻tfは、時刻taの後である必要は無く、時刻taと同時でもよい。
光源の切り換え後、光源の発光状態が安定するまでの所定時間が経過した時刻teにおいて、マイクロコンピュータ8は、図3(c)に示すようにフォーカス制御を再びONにし、同一情報層に対する光源の切り換えを終了する。フォーカス制御の再開により、フォーカスエラー信号がゼロレベルに近づくようにフォーカス駆動が実行され、切り換え後の光源から放射される光ビームの焦点が情報層上に正しく位置することになる。
なお、対物レンズ1から光ビームの焦点位置までの距離が、光源の切り換えによって変化する場合、光源の切り換えと同期して加速パルス/減速パルスを出力してもよい。
上記の例では、複数の光源の切り換えを行なうことにより、光ビームの波長を切り換えているが、波長の異なる複数の光ビームを単一の光源から放射できる場合は、そのような光源を用いて光ビームの切り換えを行っても良い。
本実施形態によれば、ディスク判別後に光源の切り換えが必要になったときでも、対物レンズの待避動作およびフォーカスサーチに要する時間を省略でき、ユーザーが要求するデータの再生/記録動作を迅速に開始することが可能になる。
(実施形態2)
次に、図4を参照しながら、本発明による光ディスク装置の第2の実施形態を説明する。図4は、本実施形態の光ディスク装置を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置が図1に示す光ディスク装置と大きく異なる点は、表2に示す構成の光ディスクに対応するため、本実施形態の光ディスク装置がNA切り換え素子12およびNA切り換え部13を備えている点にある。NA切り換え素子12は、光ビームの開口数(NA)を切り換えることができ、NA切り換え部13は、NA切り換え素子12を駆動する。NA切り換え素子12としては、光ビームの光束断面のサイズを変化させる液晶シャッタなどの素子を用いることができる。
以下、本実施形態におけるフォーカス制御を説明する。
第1の光源3から放射された光ビームは、NA切り換え素子12により、対物レンズ1の出力が所望のNAを示すように切り換えられた後、対物レンズ1によって集束させられ、光ディスク20の情報層に光ビームスポットを形成する。この光ビームスポットの光ディスク20からの反射光は再び対物レンズ1およびNA切り換え素子12を介し受光部5に入力される。
ここでは、光ディスク20が、表2に示すように第1の情報層21としてC層(BD層、波長:405nm、NA:0.85)を、第2の情報層22としてB層(HD−DVD層、波長:405nm、NA:0.65)を備えるハイブリッドディスクである場合について説明する。ここで、C層は第1の情報層21に相当し、B層は第2の情報層に相当する。
第2の情報層22からの再生/記録動作中に第1の情報層21を再生/記録しようとする場合、まず、前記第2の情報層22においてマイクロコンピュータ8はフォーカス制御をホールド状態にする。すなわちフォーカス制御部17にホールド指令を出力する。
フォーカス制御部17がフォーカスアクチュエータ駆動回路9への出力をホールドすると同時に、マイクロコンピュータ8は、NA切り換え部13に対し、NA切り換え信号を出力する一方で、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。
NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動し、NAを0.65から0.85程度に切り換える。
ジャンプ方向・距離演算部31は、光ビームスポットを第1の情報層21と第2の情報層22との間で移動させる場合における対物レンズ1の移動方向および移動距離を決定する。後に詳述するように、NAの切り換えに伴って対物レンズ1の焦点距離が変化するため、移動先の情報層と移動元の情報層との位置関係のみならず、焦点距離の変化をも考慮したうえで、対物レンズ1の移動方向および移動距離を決定する必要がある。
ジャンプ方向・距離演算部31は、対物レンズ1の移動方向および移動距離を決定した後、ジャンプ駆動生成部15に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。ジャンプ駆動生成部15は、ジャンプ方向・距離演算部31の指令に従い、ここでは、光ビームスポットが第2の情報層22から第1の情報層21へ移動するようにフォーカスアクチュエータ駆動回路9に対して加速パルスを出力する。
マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー信号が所定レベルに達すると、ジャンプ駆動生成部15に対して減速指令を出力する。ジャンプ駆動生成部15は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、減速パルスを出力する。
また、マイクロコンピュータ8はフォーカスエラー信号に基づき、NA=0.85程度の光ビームの焦点が第1の情報層21と合致した時点(すなわちフォーカスエラー信号=0となった時点)で、フォーカス制御部17に対してホールド解除指令を出力する。フォーカス制御部17は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、出力のホールドを解除し、フォーカス制御を再開する。
以上の手順でフォーカスジャンプが完了する。以降、NA=0.85程度の光ビームの焦点と第1の情報層21との間に位置ずれ(誤差)は、0となるようにフィードバック制御が実行される。
従来、フォーカスジャンプに際してNAの切り換えが必要な場合、いったんフォーカス制御をOFF状態にし、次に対物レンズ1を退避位置に後退させ、光ビームのNAを切り換えた後に、目的の層を探査してフォーカス制御を再開していた。そのため、目的の層でのフォーカス制御再開までに200ミリ秒〜2秒程度の時間が必要であった。本実施形態では、フォーカスジャンプに要する時間は0.2〜2ミリ秒程度である。
以下、図5および図6を参照しながら、本実施形態のフォーカスジャンプを詳細に説明する(表2の光ディスクに対応)。図5(a)〜(c)は、2層の光ディスクにおけるNA別フォーカスエラーのS字波形模式図である。
NAが0.65の光学系において、2層の光ディスク20(光ディスク20は、図11の光ディスク25の構成を備える。)に対物レンズ1を近づけていくと、フォーカス制御をOFFにしている場合、図5(a)に示すように、フォーカスエラー信号に2つのS字カーブS1、S2が発生する。図5(a)のポイントA、Bが、それぞれ、第1の情報層21、第2の情報層22における合焦点位置である。一方、NAが0.85の光学系においては、図5(b)に示すようにフォーカスエラー信号に1つのS字カーブS1’が発生する。ここで注目すべきは、図5(b)のポイントA'が第2の情報層22より奥の位置ではなく、第1の情報層21における合焦点位置である点にある。図5(b)に光ディスク20の光入射側面に近い第1の情報層21から得られるS字カーブS1’のみを記載している。第2情報層22から得られるS字カーブを図5(b)に記載していない理由は、NAが0.85の光学系では、NAが0.65の光学系に比べて焦点距離が短くなるため、光ビームの焦点が第2の情報層22に達しない場合があるためである。
図5(c)の状態(2)に示すように、NAが0.65の光学系によって第2の情報層22を再生しているときは、図5(a)に示すS字カーブS2のポイントBに焦点が位置する。この状態で、第2の情報層22から第1の情報層21にフォーカスジャンプを行うとともに、NAの切り換えを行う。
本実施形態では、NAを0.65から0.85に切り換えると、対物レンズ1の焦点距離が短くなり、その焦点距離の変化量(減少量)は、第2の情報層22から第1の情報層21までの層間距離(約0.5mm)よりも大きい。図18(a)は、NA=0.65の状態で第2の情報層22に合焦している状態を示し、図18(b)は、NAを0.65から0.85に切り換えた状態を示している。図18(b)では、わかりやすさのため、対物レンズ1の位置を変えずにNAのみを変更した場合の状態を示している。このように、対物レンズ1の位置を固定したままでNAを0.65から0.85に増加させると、光ビームの焦点は、第1情報層21よりも手前に位置することになる。このような場合、光ビームの焦点を第1の情報層21に位置させるためには、図18(c)に示すように、対物レンズ1を、光ディスク20に近づく方向に移動させる必要がある。
なお、図19(a)から(c)に示すように、第1の情報層21から第2の情報層22にフォーカスジャンプを行う場合、本実施形態では、NAが0.85から0.65に減少し、焦点距離が長くなるため、対物レンズ1は、光ディスク20から離れる方向に移動させる必要がある。
ジャンプ方向・距離演算部31は、光ビームスポットを第1の情報層21と第2の情報層22との間で移動させる指令を受けると、NAの増加/減少を判断した上で、NAが増加する場合は、対物レンズ1が光ディスクに近づく方向にジャンプ方向を決定し、NAが減少する場合は、対物レンズ1を光ディスクから遠ざける方向にジャンプ方向を決定する。
ジャンプの距離については、情報面21と情報面22の距離およびNA変更に伴う焦点距離の変化量の合計で決定し、演算されたジャンプの距離に応じ加速および減速のパルスの印加時間を変更することができる。なお、フォーカスジャンプにとってジャンプ距離の演算は必須ではないため、距離を演算しなくてもよい。
本実施形態においてNAを0.65から0.85に切り換えるタイミングは、フォーカス制御をホールド状態にし、対物レンズ1を光ディスク20に近づける方向に移動させる動作を開始した後に行う。NAの切り換えが行われるまでは、対物レンズ1の移動に伴い、図5(a)に示すフォーカスエラー信号のS字カーブS2のポイントB(第2の情報面22)から右半分が検出される。S字カーブS2の通過中または通過後にNAを0.65から0.85に切り換えると、光ビームの焦点は、第1の情報層21よりも対物レンズ1に近い位置にくるため、更に対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させてゆくと、焦点位置は、図5(b)に示すポイントCに達することになる。更に、焦点位置をポイントCからポイントA’の方向に移動させると、フォーカスエラー信号中にS字カーブS1’が観測される。
対物レンズ1の焦点がポイントCに移動した時点でフォーカスアクチュエータ2により対物レンズ1にブレーキを掛け、第1の情報層21からのS字カーブS1’の合焦点位置A’で対物レンズ1が停止するように制御しようとすると、合焦点位置A’で対物レンズ1を停止させることは困難である。その理由は、図5(a)から図5(c)に示す基材領域28および保護層領域27では、実際にはS字カーブのピーク値に対して大きい場合は約10%程度のノイズ成分が含まれるからである。そのため、第2の情報層22から第1の情報層21へフォーカスジャンプを行ったとき、対物レンズ1にブレーキを掛けるタイミングが明確でなく、合焦点位置A’で対物レンズ1を停止させることが難しくなる。
そこで、本実施形態では、S字カーブS1’のポイントCとA’の間に対物レンズ1が位置するタイミング(ポイントD)でブレーキを掛け、フォーカス制御をONする。なお、ポイントDからS字カーブS1’のピーク値に達するまでブレーキを掛けても良いし、また、ポイントDからブレーキを開始し、S字カーブS1’のピーク値とポイントA’の間の所定位置までブレーキを掛けても良い。
次に、図6を参照しながら、本実施形態におけるフォーカスジャンプをより詳細に説明する。
まず、第2の情報層22の合焦点位置(図5のポイントB)に焦点が位置するようにフォーカス制御が行われている状態を考える。このとき、フォーカスエラー信号は、図6(a)において時刻taまでの期間に示されるように、略ゼロの値を示すことになる。このとき、NAは0.65である。
時刻taにおいて、マイクロコンピュータ8は、図6(c)に示すようにフォーカス制御部17をOFFにし、その出力をホールドする。同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、前述したようにしてジャンプ方向および距離を決定し、ジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ジャンプ方向・距離演算部31の指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図6(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、フォーカスアクチュエータ2により、光ディスク20に近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図6(d)に示すようにNAを0.65から0.85に切り換えるため、時刻tfにおいて、NA切り換え部13に対し光ビームのNA切り換え指令を出力する。NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動し、NAを0.65程度から0.85程度に切り換える。
対物レンズ1の移動により、図6(a)で示すようにポイントCを通り、フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従い、ジャンプ駆動生成部15が減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図6(b))。対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。同時にマイクロコンピュータ8は、図6(c)に示すようにフォーカス制御部17を再びONし、フォーカスジャンプを終了する。
上記の例では、第2の情報層22から第1の情報層21へフォーカスジャンプを行っているが、逆に、第1の情報層21から第2の情報層22へフォーカスジャンプを行ってもよい。この場合、対物レンズ1を光ディスク20から離れる方向に移動させる場合は、図6(b)の信号波形の極性を反転させた加速パルスおよび減速パルスを、この順序で印加すればよい。その場合、対物レンズ1は、光ディスク20から遠ざかる方向に加速され、やがて減速して停止することになる。
ブレーキを掛けるタイミングを明確に制御するために、S字カーブのピークtoピークの値に対して所定の割合のレベルに基準を設定し、この基準に基づいてブレーキを掛けても良い。
なお、光ビームのNAを切り換える時刻tfは、加速パルス終了後(時刻tb)から減速パルス開始(時刻td)までの期間に限定されず、加速パルス出力中(時刻taと時刻tbの間)でもよい。
NA切り換え素子12による光ビームのNAは、上記の例に限定されない。同様に、2層の光ディスク20の構成も上記の例に限定されない。
対物レンズ1から光ビームの焦点までの距離がNAの切り換えによって変化する場合、この変化量と、第1の情報層21と第2の情報層22の距離の関係からジャンプ方向(加速パルス方向および減速パルス方向)とフォーカスエラー信号のS字波形の正負が反転する場合がある。
なお、上記で現在再生中の情報層から異なる情報層にフォーカスジャンプする説明をしたが、現在再生/記録中の情報層から光ビームのNAを切り換えて、同じ情報層に移動してもよい。前述したように、ディスク判別を行った後、光ビームのNAを判別動作時のものから変更することが必要になる場合がある。現在再生/記録中の情報層から光ビームのNAを切り換えて、同じ情報層に移動する方法に関して説明する。
以下、図7を参照しながら、同一の情報層上で光ビームのNAを切り換える実施形態を説明する。図7は、本実施形態に係る光ディスク装置におけるNA切り換えのタイミングチャートである。
NAを切り換えるときは、通常、図5(c)の状態(1)および状態(3)に示すように対物レンズと光ディスクの距離を変更する必要がある。そのため、NAの切り換え前後において、第1の情報層の再生/記録を行う場合、図7(a)のS字カーブS1のポイントAから、図7(b)のS字S1’のポイントA’に向けて、対物レンズを移動させる必要がある。
まずマイクロコンピュータ8は、図7(c)に示すように時刻taでフォーカス制御部17をOFFにし、その出力をホールドする。また、同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してジャンプ開始指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、NAの切り換えに伴って必要になる対物レンズ1の移動方向および距離を決定し、ジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。NAを0.65から0.85に増加させる場合は、対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図7(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9およびフォーカスアクチュエータ2により、光ディスクに近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図7(d)に示すように時刻tfにおいてNA切り換え部13に対して光ビームのNA切り換え指令を出力する。NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動しNAをB層(第2の情報層22)用の0.65程度からC層(第1の情報層21)用の0.85程度に切り換える(図7(d))。ここで、焦点の移動は第1の情報面21(S字カーブS1)から第1の情報面21(S字カーブS1')への移動であり、第2の情報面22(S字カーブS2)からの移動でない点に注目されたい。対物レンズ1の移動により、図7(a)で示すようにポイントCを通り、フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従い、ジャンプ駆動生成部15は減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図7(b))。
こうして、対物レンズ1は徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。同時にマイクロコンピュータ8は、図7(c)に示すようにフォーカス制御部17を再びONし、フォーカスジャンプを終了する。
上記の例では、NA=0.65からNA=0.85へ変更する場合におけるフォーカスジャンプを行っているが、逆にNA=0.85からNA=0.65へ変更することもできる。この場合、加速パルスの極性が図6(b)に示す加速パルスの極性(正)とは反対の負となる。その結果。対物レンズ1は、光ディスクから離れる方向に加速され、移動を開始する。やがて、図6(b)に示す減速パルスの極性(負)とは反対の正の極性を有する減速パルスが印加されると、対物レンズ1は減速され、停止することになる。
NAを切り換える時刻tfは、時刻taから若干の待ち時間経過後であってもよいし、時刻taと同時でもよい。対物レンズ1から光ビームの焦点位置までの距離が、NA切り換えによって変化しない場合は、加速パルス/減速パルスを出力せず、NA切り換え中のみフォーカス制御をホールドする処理を行うことになる。
(実施形態3)
次に、本発明による光ディスク装置の第3の実施形態を説明する。図8は、本実施形態における光ディスク装置を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置が図4に示す光ディスク装置と大きく異なる点は、表3に示す光ディスクに対応するため、光源の切り換えに伴って光学系(波長およびNAの両方)を切り換える機構を備えている点にある。
本実施形態の光ディスク装置は、発光波長の異なる第1の光源3および第2の光源4を備えており、対物レンズホルダ14が対物レンズ1および対物レンズ18を保持している。対物レンズホルダ14では、対物レンズ1が、対物レンズ18に比べて光ディスク20に近い位置に保持されている。図8には、簡単のため、対物レンズ1の焦点と対物レンズ18の焦点がともに光ディスク20に対して同じ距離に位置するように記載されているが、現実には、例えば図20(a)、(b)に示すように、対物レンズ1の焦点は、対物レンズ18の焦点よりも下方に位置している。これは、焦点距離の短い対物レンズ1を、その焦点距離に応じて光ディスク20に近づけすぎると、光ディスク20と衝突する危険があるため、衝突が生じにくいように充分な間隔を確保しておくためである。本実施形態では、このような衝突を避けるため、対物レンズ1と対物レンズ18との間にある段差を比較的小さな大きさに調整している。
フォーカスアクチュエータ2は、対物レンズホルダ14を光ビーム方向(光ディスクに垂直な方向)に駆動する。対物レンズ1および対物レンズ18は、対物レンズホルダ14で固定されているため、フォーカスアクチュエータ2により、対物レンズ1および対物レンズ18は、光ビーム方向に駆動される。
以下、本実施形態の動作を説明する。
本実施形態では、光ディスク20として、表3に示すように第1の情報層21(BD層、波長:405nm、NA:0.85)と第2の情報層22(DVD層、波長:650nm、NA:0.6)とが積層されたハイブリッドディスクを用いる。
第1の情報層21の記録/再生は、第1の光源3および対物レンズ1を用いて行われるのに対して、第2の情報層22の記録/再生は、第2の光源4および対物レンズ18を用いて行われる。このようなハイブリッドディスクの再生/記録を行うとき、第1の情報層21および第2の情報層22のいずれか一方の情報層上に光ビームが集束される。
第2の情報層22に対するデータの再生/記録を行うとき、第2の光源4から放射される赤色の光ビーム(波長:650nm程度)を対物レンズ18で集束し、第1の光源3は、青紫色の光ビーム(波長:405nm程度)を放射しない状態にある。
次に、第1の情報層21の再生/記録を行う場合は、第2の情報層22から第1の情報層21へのフォーカスジャンプを行う必要がある。このフォーカスジャンプを行う場合、まず、図8に示すマイクロコンピュータ8が、第2の情報層22に対するトラッキング制御をOFFにし、フォーカス制御部17にホールド指令を出力する。
フォーカス制御部17がフォーカスアクチュエータ駆動回路9への出力をホールドすると同時に、マイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。
ジャンプ方向・距離演算部31は、指令に応じて対物レンズ1の移動方向および移動距離を決定する。本実施形態では、光ディスク20からの距離が異なる2つの対物レンズ1、18が対物レンズホルダ14によって支持されている点で、前述の実施形態と異なっている。以下、図20、21を参照しつつ、この点を説明する。
図20(a)、(b)は、NAを増加させる場合におけるフォーカスジャンプの様子を示す模式断面図である。図20(a)の状態では、NA0.85の対物レンズ1から光ビーム(波長:405nm)は出射しておらず、NA0.6の対物レンズ18から光ビーム(波長:650nm)が第2の情報層(DVD層)22に集光している。この第2の情報層22から第1の情報層(BD層)21にフォーカスジャンプを行う場合、NAを0.6から0.85に増加させる必要がある。図20(b)は、フォーカスジャンプ後の状態を示しており、NA0.85の対物レンズ1から光ビーム(波長:405nm)が第1の情報層(BD層)21に集光している。この状態では、NA0.6の対物レンズ18から光ビーム(波長:650nm)は出射していない。
図20(a)と図20(b)とを比較すると明らかなように、図20(a)の状態から図20(b)の状態に変化させるには、レンズホルダ14を光ディスク20に近づける必要がある。これは、図20(a)および図20(b)に示されるように、対物レンズ1によって集光される光ビームの焦点の位置が、対物レンズ18によって集光される光ビームの焦点の位置よりも下方に位置している(光ディスク20から離れている)ためである。
図21(a)、(b)は、NAを減少させる場合におけるフォーカスジャンプの様子を示す模式断面図である。図21(a)の状態では、NA0.6の対物レンズ18からは光ビーム(波長:650nm)が出射しておらず、NA0.85の対物レンズ1から光ビーム(波長:405nm)が第1の情報層(BD層)21に集光している。この第1の情報層21から第2の情報層(DVD層)22にフォーカスジャンプを行う場合、NAを0.85から0.6に減少させる必要がある。図21(b)は、フォーカスジャンプ後の状態を示しており、この状態では、NA0.6の対物レンズ18から光ビーム(波長:650nm)が第2の情報層(DVD層)22に集光している。なお、NA0.85の対物レンズ1から光ビーム(波長:405nm)は出射していない。
図21(a)と図21(b)とを比較すると明らかなように、図21(a)の状態から図21(b)の状態に変化させるには、レンズホルダ14を光ディスク20から遠ざける必要がある。
ジャンプ方向・距離演算部31は、移動先の情報層までの方向および距離と、光源の切り換えに伴う焦点距離の変化量とに基づいてジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ここでは、対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図6(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。
光ビームスポットが第2の情報層22から第1の情報層21へ移動中に、マイクロコンピュータ8は、光源切り換え部11に対して光源切り換え信号を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、赤色の光ビームを照射している第2の光源4の発光を停止し、第1の光源3による青紫色の光ビームの放射を開始する。
青紫色の光ビームの放射が開始された後、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー生成器7の出力信号であるフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスエラー信号が所定レベルに達するのを確認し、その後、ジャンプ駆動生成部15に対し、減速指令を出力する。
ジャンプ駆動生成部15は、ジャンプ方向・距離演算部13の指令に従い、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、減速パルスを出力する。また、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー信号に基づいて、青紫色の光ビームの焦点が第1の情報層21の位置と合致した時点(すなわちフォーカスエラー信号=0となった時点)で、フォーカス制御部17に対し、ホールド解除指令を出力する。
フォーカス制御部17は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、出力のホールドを解除しフォーカス制御を再開する。以上の手順でフォーカスジャンプが完了する。以降、青紫色の光ビームの焦点と第1の情報層21との誤差は、受光部5、プリアンプ6およびフォーカスエラー生成器7を通しフォーカスエラー信号として検出され、フォーカスエラー信号に従いフォーカス制御部17、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、対物レンズホルダ14を通し対物レンズ1が制御される。すなわち、青紫色の光ビームの焦点とC層との誤差が0となるようにフィードバック制御される。
次に、図5および図9を参照しながら、本実施形態におけるフォーカスジャンプをより詳細に説明する。本実施形態ではNA=0.6であり、図5におけるNA(0.65)とは異なっている。
まず、第2の情報層22の合焦点位置(図5のポイントB)に焦点が位置するようにフォーカス制御が行われている状態を考える。このとき、フォーカスエラー信号は、図9(a)において時刻taまでの期間に示されるように、略ゼロの値を示すことになる。このとき、NAは0.6である。
時刻taにおいて、マイクロコンピュータ8は、図9(c)に示すようにフォーカス制御部17をOFFにし、その出力をホールドする。同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、他の実施形態と同様にジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ここでは、対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図9(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。対物レンズ1および対物レンズ18は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、フォーカスアクチュエータ2により、光ディスクに近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図9(d)および図9(e)に示すように時刻tfにおいて光源切り換え部11に対して光ビームの光源切り換え指令を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、第2の情報層22のための第2の光源4をOFFし、同時に第1の情報層21のための第1の光源3をONする。その結果、使用する対物レンズは対物レンズ18から対物レンズ1に切り換わり、NAは図9(f)に示すように0.6から0.85に切り換わる。
対物レンズ1の移動により、図9(a)に示すようにポイントCを通り抜けフォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従いジャンプ駆動生成部15は減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図9(b))。対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。また、同時にマイクロコンピュータ8は図9(c)に示すようにフォーカス制御部17を再びONし、フォーカスジャンプを終了する。
以下、図10を参照しながら、同一の情報層上で光源および光学系の両方を切り換える実施形態を説明する。ここでは、第2の光源(赤色)4を第1の情報層のための第1の光源(青紫色)3に変更する例を説明する。
まずマイクロコンピュータ8は、図10(c)に示すように、時刻taでフォーカス制御部17をOFFし、出力をホールドする。同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してジャンプ開始指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、NAの切り換えに伴って必要になる対物レンズ1の移動方向および距離を決定する。ジャンプ方向・距離演算部31からの指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図10(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。
対物レンズ1および対物レンズ18は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、フォーカスアクチュエータ2を通じ光ディスクに近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図10(d)および図10(e)に示すように時刻tfにおいて光源切り換え部11に対し光ビームの光源切り換え指令を出力する。光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、第2の光源4をOFFし(図10(d))、同時に第1の光源3をONする。その結果、使用する対物レンズは対物レンズ18から対物レンズ1に切り換わり、NAは図10(f)に示すように0.6から0.85に切り換わる。
対物レンズ1の移動により、図10(a)で示すようにポイントCを通り抜けフォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントD)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従いジャンプ駆動生成部15は減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図10(b))。 対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。
また、光ビームの焦点位置と対物レンズ1および対物レンズ18までの距離が、波長およびNA切り換えにより変化しない場合においては、加速パルス、減速パルスを出力せず、波長およびNA切り換え中のみフォーカス制御をホールド処理することになる。
本実施形態では、NAの切り換えを対物レンズの切り換えによって行っているが、1つの対物レンズに対しNA切り換え素子を用いることで、NAの切り換えを行っても良い。
(実施形態4)
次に、本発明による光ディスク装置の第4の実施形態を説明する。図17は、本実施形態における光ディスク装置を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置が図8に示す光ディスク装置と大きく異なる点は、1つの対物レンズ1が波長の異なる2つの光源3、4に対応している点にある。すなわち、本実施形態の光ディスク装置は、発光波長の異なる第1の光源3および第2の光源4と、NA切り換え素子12およびNA切り換え部13とを備えている。NA切り換え素子12は、実施形態2におけるNA切り換え素子12と同じ構成を備えており、NA切り換え部13の働きにより、光源に応じて光ビームの開口数(NA)を切り換えることができる。
本実施形態では、表1〜4に示す各ハイブリッド型光ディスクに対応することができるが、以下においては、表4に示す構成の光ディスクに対する動作を説明する。本実施形態で使用する光ディスクは、図14に示す構成の光ディスク30である。光ディスク30は、第1の情報層21(波長:405nm、NA:0.85)と、第2の情報層22(波長:405nm、NA:0.85)と、第3の情報層29(波長:650nm、NA:0.6)とが積層されたハイブリッドディスクである。
この光ディスク30において、第1の情報層21および第2の情報層22の記録/再生は、波長が405nmの第1の光源3を用いて行われるのに対して、第3の情報層29の記録/再生は、波長が650nmの第2の光源4を用いて行われる。NA切り換え素子12により、第1の光源3が使用されるときのNAは0.85に設定されるのに対して、第2の光源4が使用されるときのNAは0.6に設定される。
まず、第3の情報層29に対するデータの再生/記録が行われているとする。このとき、第2の光源4から放射される赤色の光ビーム(波長:650nm程度)を対物レンズ1で集束し、第1の光源3は、青紫色の光ビーム(波長:405nm程度)を放射しない状態にある。
次に、第2の情報層22の再生/記録を行う場合を考える。この場合、第3の情報層29から第2の情報層22へのフォーカスジャンプを行う必要がある。このフォーカスジャンプを行う場合、まず、図17に示すマイクロコンピュータ8が、第3の情報層29に対するトラッキング制御をOFFにし、フォーカス制御部17にホールド指令を出力する。次にマイクロコンピュータ8は、フォーカス制御部17がフォーカスアクチュエータ駆動回路9への出力をホールドすると同時に、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。
ジャンプ方向・距離演算部31は、光ビームスポットを第3の情報層29から第2の情報層22へ移動させる場合における対物レンズの移動方向および移動距離を前述したように決定する。ジャンプ方向・距離演算部31は、移動先の情報層までの方向および距離と、光源の切り換えに伴う焦点距離の変化量とに基づいてジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ここでは、対物レンズを光ディスク30に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図6(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。
光ビームスポットが第3の情報層29から第2の情報層22へ移動中に、マイクロコンピュータ8は、光源切り換え部11に対して光源切り換え信号を出力する一方で、NA切り換え部13に対しては、NA切り換え信号を出力する。
光源切り換え部11は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、赤色の光ビームを照射している第2の光源4の発光を停止し、第1の光源3による青紫色の光ビームの放射を開始する。一方、NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動し、NAを0.6から0.85程度に切り換える。
青紫色の光ビーム(波長:405nm、NA:0.85)の放射が開始された後、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー生成器7の出力信号であるフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスエラー信号が所定レベルに達するのを確認し、その後、ジャンプ駆動生成部15に対し、減速指令を出力する。
ジャンプ駆動生成部15は、ジャンプ方向・距離演算部31の指令に従い、フォーカスアクチュエータ駆動回路9に対し、減速パルスを出力する。また、マイクロコンピュータ8は、フォーカスエラー信号に基づいて、青紫色の光ビームの焦点が第1の情報層21の位置と合致した時点(すなわちフォーカスエラー信号=0となった時点)で、フォーカス制御部17に対し、ホールド解除指令を出力する。
フォーカス制御部17は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、出力のホールドを解除しフォーカス制御を再開する。以上の手順でフォーカスジャンプが完了する。以降、青紫色の光ビームの焦点と第1の情報層21との誤差は、受光部5、プリアンプ6およびフォーカスエラー生成器7を通しフォーカスエラー信号として検出され、フォーカスエラー信号に従いフォーカス制御部17、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、対物レンズホルダ14を通し対物レンズ1が制御される。すなわち、青紫色の光ビームの焦点とC層との誤差が0となるようにフィードバック制御される。
以下、図15および図16を参照しながら、本実施形態のフォーカスジャンプを詳細に説明する。図15(a)〜(c)は、3層の光ディスク30におけるNA別フォーカスエラーのS字波形模式図である。
NAが0.6または0.65の光学系において、3層の光ディスク30(図14)にフォーカス制御OFF状態で対物レンズ1を近づけていくと、図15(a)に示すように、フォーカスエラー信号に3つのS字カーブS1、S2、S3が発生する。図15(a)のポイントA、Bが、それぞれ、第1の情報層21、第2の情報層22における合焦点位置であり、ポイントCが、第3の情報層29における合焦点位置である。一方、NAが0.85の光学系においては、図15(b)に示すようにフォーカスエラー信号に2つのS字カーブS1’、S2’が発生する。図15(b)のポイントA’が第1の情報層21における合焦点位置であり、ポイントB’が第2の情報層22における合焦点位置である。図15(b)には、光ディスク30の光入射側面に近い第1の情報層21から得られるS字カーブS1’と第2の情報層22から得られるS字カーブS2’のみを記載している。
図15(c)の状態(3)に示すように、NAが0.6の光学系によって第3の情報層29を再生しているときは、図15(a)に示すS字カーブS3のポイントCに対物レンズ1が位置する。この状態から、第2の情報層22にフォーカスジャンプを行うとともに、NAの切り換えを行う。本実施形態でも、NAを0.6から0.85に切り換えると、対物レンズ1の焦点距離が短くなり、その焦点距離の変化量(減少量)は、第3の情報層29から第1の情報層21までの層間距離(約0.5mm)よりも大きい。このため、対物レンズ1の位置を固定したままでNAを0.6から0.85に切り換えても、光ビームの焦点は、第1情報層21よりも手前に位置することになる。従って、対物レンズ1は、光ディスク20に近づく方向に移動させる必要がある。
本実施形態においてNAを0.6から0.85に切り換えるタイミングは、フォーカス制御をOFFにし、対物レンズ1を光ディスク20に近づける方向に移動させる動作を開始した後に行う。NAの切り換えが行われるまでは、対物レンズ1の移動に伴い、図15(a)に示すフォーカスエラー信号のS字カーブS3のポイントF(第2の情報層22)から右半分が検出される。S字カーブS3の通過中または通過後にNAを0.6から0.85に切り換えると、光ビームの焦点は、第1の情報層21よりも対物レンズ1に近い位置にくるため、更に対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させてゆくと、焦点位置は、図15(b)に示すポイントCに達することになる。本実施形態では、第2の情報層22にジャンプするため、S字カーブS1’を通過し、次のS字カーブS2’が検出されるまで対物レンズ1の移動を続ける。
対物レンズ1の焦点がポイントEに移動した時点でフォーカスアクチュエータ2により対物レンズ1にブレーキを掛け、フォーカス制御をONすることにより、第2の情報層22からのS字カーブS2’の合焦点位置B’で対物レンズ1が停止するように制御する。
なお、本実施形態では、第3の情報層29から第2の情報層22にフォーカスジャンプを行っているが、フォーカスジャンプは、第3の情報層29から第1の情報層21に行っても良いし、逆に、第1の情報層21または第2の情報層22から第3の情報層29に対して行っても良い。
次に、図16を参照しながら、本実施形態におけるフォーカスジャンプをより詳細に説明する。
まず、第3の情報層29の合焦点位置(図15(a)のポイントF)に焦点が位置するようにフォーカス制御が行われている状態を考える。このとき、フォーカスエラー信号は、図16(a)において時刻taまでの期間に示されるように、略ゼロの値を示すことになる。このとき、NAは0.6である。
時刻taにおいて、マイクロコンピュータ8は、図16(c)に示すようにフォーカス制御部17をOFFにし、その出力をホールドする。同時にマイクロコンピュータ8は、ジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令を出力する。ジャンプ方向・距離演算部31は、移動先の情報層までの方向および距離と、NAの切り換えに伴う焦点距離の変化量とに基づいてジャンプ駆動生成部15の動作を制御する。ここでは、対物レンズ1を光ディスク20に近づく方向に移動させるようにジャンプ駆動生成部15に指示を送出する。この指示により、ジャンプ駆動生成部15は、図16(b)に示すように時刻taから時刻tbまで加速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する。対物レンズ1は、フォーカスアクチュエータ駆動回路9、フォーカスアクチュエータ2により、光ディスク30に近づく方向に移動を開始する。
次に、マイクロコンピュータ8は、図16(d)に示すようにNAを0.6から0.85に切り換えるため、時刻tfにおいて、NA切り換え部13に対し光ビームのNA切り換え指令を出力する。NA切り換え部13は、マイクロコンピュータ8の指令に従い、NA切り換え素子12を駆動し、NAを0.6程度から0.85程度に切り換える。
対物レンズ1の移動により、図16(a)で示すように1つ目のS字カーブS1’を通過し、フォーカスエラー信号がレベルfd(ポイントE)に達した時点(時刻td)で、マイクロコンピュータ8に従い、ジャンプ駆動生成部15が減速パルスをフォーカスアクチュエータ駆動回路9へ出力する(図16(b))。対物レンズ1は、徐々に減速し、時刻teでジャンプ駆動生成部15は減速パルスを終了する。同時にマイクロコンピュータ8は、図16(c)に示すようにフォーカス制御部17を再びONし、フォーカスジャンプを終了する。
なお、光ビームのNAを切り換える時刻tfは、加速パルス終了後(時刻tb)から減速パルス開始(時刻td)までの期間に限定されず、加速パルス出力中(時刻taと時刻tbの間)でもよい。
本実施形態では、NAの切り替えが必要になる情報層間のフォーカスジャンプを説明したが、図14の光ディスク30の場合、NAの切り替えが必要のない情報層間でフォーカスジャンプを行う場合がある。例えば、第1の情報層21と第2の情報層22の間でフォーカスジャンプを行う場合は、NAは0.85のままである。また、ハイブリッド型ではない通常の多層光ディスクが装填された場合も、フォーカスジャンプに際してNAを変更する必要はない。このような場合を想定すると、フォーカスジャンプ指令が与えられたとき、NAの変更を伴うか否かを判断し、その判断結果に応じて対物レンズの移動方向を決定する必要がある。このような場合の動作を、図22を参照しながら以下に説明する。
まず、ある情報層に対してデータの記録・再生を行っている途中、あるいは、そのような記録・再生を終了した後、マイクロコンピュータ8からジャンプ方向・距離演算部31に対してフォーカスジャンプ指令が与えられると、NAの変更が必要か否かを判定する(ステップS10)。NAの変更が必要か否かは、フォーカスジャンプを行なう前のNA(現在のNA)の値と、ジャンプ先の情報層のNAの値を比較することにより判定される。各情報層のNAに関する情報は、起動時または光ディスク挿入直後に光ディスクの管理領域から管理情報のひとつとして読み出されており、例えば光ディスク装置のメモリ内に各情報層とNAとを対応付けたデータが格納されている。このようなデータは、好ましくはテーブル形式である。マイクロコンピュータ8から出されるフォーカスジャンプ指令によってジャンプ先が特定されるため、ジャンプ先の情報層のNAが上述したデータに基づいて決定される。
こうして得たジャンプ先のNAが現在のNAと等しい場合、すなわち、NAの変更が必要ない場合は、ステップS14に進む。ステップS14では、ジャンプ先の情報層が現在の情報層に対して光ディスクの上の層側(光入射側面から奥)に位置するか否かがジャンプ方向・距離演算部31によって判断される。この場合、NAの変更は必要ないため、フォーカスジャンプに際して焦点距離の変化も生じない。したがって、ジャンプ先の情報層が現在の情報層に対して光ディスクの上の層側に位置するときは、対物レンズの移動方向(ジャンプ方向)を上向きに設定する(ステップS20)。逆に、ジャンプ先の情報層が現在の情報層に対して光ディスクの下の層側(光入射側面に近い側)に位置するときは、対物レンズの移動方向(ジャンプ方向)を下向きに設定する(ステップS22)。この場合、対物レンズの移動距離は、現在の情報層とジャンプ先の情報層との間隔に等しい。
上述のステップS10において、NAの変更が必要であると判定された場合は、ステップS12に進む。ステップS12では、フォーカスジャンプに伴ってNAを増加させるか否かが判定される。NAを増加させる場合は、対物レンズまたはレンズホルダの焦点距離が短縮するため、対物レンズを光ディスクに近づける方向(上向き)に移動させる必要がある(ステップS16)。
再び図22を参照する。図22のステップS12において、NAを減少させると判断された場合、図21(a)および図21(b)を参照して説明したように、対物レンズの焦点距離が長くなるため、対物レンズまたはレンズホルダを光ディスクから離れる方向(下向き)に移動させることが必要になる(ステップS18)。
なお、NAの変更が必要になる場合、対物レンズまたは対物レンズホルダの移動距離は、現在の情報層とジャンプ先の情報層との間隔、および焦点位置の変化量に基づいて決定される。
このように、NA変更の有無に応じて対物レンズまたは対物レンズホルダの移動方向が決定されると、その方向に応じてジャンプ駆動部15(図17)がフォーカスアクチュエータ駆動回路9に送出する加速パルスの正負が決定される。実際のフォーカスジャンプは、前述した実施形態におけるフォーカスジャンプと同様に実行される。
以上説明してきたように、本発明の各実施形態によれば、フォーカス制御をホールドしたまま、対物レンズの位置を退避位置に後退させることなく(あらためてフォーカスサーチを実行することなく)、光ビームの波長およびNAを高速に切り換えることが可能になる。このため、フォーカス制御動作後におけるディスク判別結果に伴う光ビームの波長およびNA切り換え時間が短縮され、光ディスク装置の起動時間を大幅に低減できる光ディスク装置を提供することが可能となる。
本発明の光ディスク装置では、フォーカスジャンプに際して集束手段をディスクから退避することなく光学系の波長またはNAを切り換えるため、ハイブリッド構造を光ディスクの利用度が向上する。また、ディスク判別を行ってからセットされている光ディスクに対応する光学系への切り換え時間が短縮するため、多様な光ディスクに一台で対応する光ディスク装置の性能が向上する。
本発明の実施形態1による光ディスク装置を示すブロック図である。 実施形態1におけるフォーカスジャンプのタイミングチャートであり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、フォーカスジャンプ時の光源AのON/OFFタイミングチャート、(e)は、フォーカスジャンプ時の光源BのON/OFFタイミングチャートを示す図である。 実施形態1における波長切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、光源AのON/OFFタイミングチャート、(e)は、光源BのON/OFFタイミングチャートを示す図である。 本発明の実施形態2によるディスク装置を示すブロック図である。 (a)は、2層の光ディスクにおけるNA:0.65のときのフォーカスエラーのS字波形図、(b)は、2層の光ディスクにおけるNA:0.85のときのフォーカスエラーのS字波形模式図、(c)は、2層の光ディスクに対するNA別の対物レンズの関係を示す模式図である。 実施形態2におけるNA切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、フォーカスジャンプ時の光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 実施形態2におけるNA切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 本発明の実施形態3に係る光ディスク装置を示すブロック図である。 本発明の実施形態3に係る光ディスク装置におけるフォーカスジャンプのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、フォーカスジャンプ時の光源AのON/OFFタイミングチャート、(e)は、フォーカスジャンプ時の光源BのON/OFFタイミングチャート、(f)は、フォーカスジャンプ時の光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 本発明の実施形態3に係る光ディスク装置における波長およびNA切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、光源AのON/OFFタイミングチャート、(e)は、光源BのON/OFFタイミングチャート、(f)は、光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 2層構造を有する光ディスクの斜視図である。 2層の情報層を有する光ディスクにおけるフォーカスエラー信号のS字波形を示す図である。 従来の光ディスク装置におけるフォーカスジャンプのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャートである。 3層構造を有する光ディスクの斜視図である。 (a)は、3層の光ディスクにおけるNA:0.6のときのフォーカスエラーのS字波形図、(b)は、3層の光ディスクにおけるNA:0.85のときのフォーカスエラーのS字波形模式図、(c)は、3層の光ディスクに対するNA別の対物レンズの関係を示す模式図である。 実施形態4におけるNA切り換えのタイミングチャートを示す図であり、(a)は、フォーカスジャンプ時のフォーカスエラー信号波形、(b)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス駆動信号波形、(c)は、フォーカスジャンプ時のフォーカス制御ON/OFFタイミングチャート、(d)は、フォーカスジャンプ時の光ビームのNA切り換えタイミングチャートである。 実施形態4に係る光ディスク装置を示すブロック図である。 (a)から(c)は、対物レンズの位置を示す概略図である。 (a)から(c)は、対物レンズの位置を示す概略図である。 (a)および(b)は、対物レンズホルダの位置を示す概略図である。 (a)および(b)は、対物レンズホルダの位置を示す概略図である。 本発明による光ディスク装置におけるジャンプ方向・距離演算部31の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1 対物レンズ
2 アクチュエータ
3 第1の光源
4 第2の光源
5 受光部
6 プリアンプ
7 フォーカスエラー生成器
8 マイクロコンピュータ
9 フォーカスアクチュエータ駆動回路
10 ディスクモータ
11 光源切り換え部
12 NA切り換え素子
13 NA切り換え部
14 対物レンズホルダ
15 ジャンプ駆動生成部
17 フォーカス制御部
18 対物レンズB
20 光ディスク
21 第1の情報層
22 第2の情報層
23 保護層
24 基材
25 2層の光ディスク
26 中間層領域
27 保護層領域
28 基材領域
31 ジャンプ方向・距離演算部

Claims (10)

  1. 第1の情報層および第2の情報層を含む複数の情報層を備える光ディスクにデータを記録すること、および前記光ディスクからデータを再生することの少なくとも一方を実行する光ディスク装置であって、
    前記光ディスクは、前記第1の情報層のデータおよび前記第2の情報層のデータが、それぞれ、波長および開口数の少なくとも一方が異なる光ビームによって再生されるハイブリッド型光ディスクであり、
    光ビームを放射する光源と、
    前記光ビームを集束する対物レンズと、
    前記情報層に対して垂直な方向に前記対物レンズを移動させる垂直移動手段と、
    前記光ビームの前記情報層上における集束状態に応じた信号を生成する集束状態検出手段と、
    前記信号に応じて前記垂直移動手段を駆動し、前記光ビームの焦点を所望の情報層上に位置させるフォーカス制御手段と、
    を備え、
    前記垂直移動手段を駆動して前記対物レンズの移動を行うことによって光ビームの焦点を前記光ディスクの第1の情報層から第2の情報層まで移動させるフォーカスジャンプを実行するとき、前記対物レンズの移動時において、前記光ビームの波長および開口数の少なくとも一方を変更することができる、光ディスク装置。
  2. 前記フォーカスジャンプを実行するとき、前記開口数の変化に応じて前記対物レンズの移動方向を決定するジャンプ方向決定部を備える請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 前記対物レンズの移動方向が前記光ディスクに近づく方向に決定された場合は、極性が正の加速パルスおよび負の減速パルスをこの順序で前記垂直移動手段に与え、
    前記対物レンズの移動方向が前記光ディスクから離れる方向に決定された場合は、極性が負の加速パルスおよび正の減速パルスをこの順序で前記垂直移動手段に与える、請求項2に記載の光ディスク装置。
  4. フォーカスジャンプの加速時は、少なくとも1つのパルス駆動指令を、前記垂直移動手段に与え、前記パルス駆動加速指令中または加速指令後に前記光ビームの波長または開口数を切り換える請求項1に記載の光ディスク装置。
  5. 前記光ビームの波長または開口数を切り換えた後、前記収束状態検出手段からの信号が所定レベルに達してから、前記垂直移動手段へ減速指令を出力する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  6. 前記光ビームの波長の切り換えが実行される期間または開口数の切り換えが実行される期間において、前記フォーカス制御手段は前記垂直移動手段の駆動信号をホールドする請求項1に記載の光ディスク装置。
  7. 少なくとも1つの情報層を備える光ディスクにデータを記録すること、および前記光ディスクからデータを再生することの少なくとも一方を実行する光ディスク装置であって、
    光ビームを放射することができる光源と、
    前記光ビームを集束する対物レンズと、
    前記情報層に対して垂直な方向に前記対物レンズを移動させる垂直移動手段と、
    前記光ビームの前記情報層上における集束状態に応じた信号を生成する集束状態検出手段と、
    前記信号に応じて前記垂直移動手段を駆動し、前記光ビームの焦点を所望の情報層上に位置させるフォーカス制御手段と
    を備え、
    前記情報層上に前記光ビームの焦点が位置するときに前記フォーカス制御手段の出力をホールドし、前記光ビームの波長および開口数の少なくとも一方を切り換えた後、前記情報層と同一の情報層に前記光ビームの焦点を位置させる、光ディスク装置。
  8. 前記開口数の切り換えを実行するときは、前記フォーカス制御手段のホールドされた出力に対して加速パルスおよび減速パルスを付加する、請求項7に記載の光ディスク装置。
  9. 開口数の切り換えタイミングは、前記対物レンズの加速指令を前記垂直制御手段に与えているとき、または、その後である、請求項8に記載の光ディスク装置。
  10. 前記開口数の切り換えと同期して前記光ビームの波長を切り換える、請求項7に記載の光ディスク装置。
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