JPWO2007077909A1 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
キャビティ部12aにゲート口およびエアベント部が形成されていない上金型と、キャビティ部15aのコーナの1箇所にゲート口15fが形成され、エアベント部が形成されていない下金型との間にリードフレームを装着し、上金型と下金型とを中圧のクランプ圧力で締めてキャビティ部12a,15aにより形成される型内を減圧した後、その型内にモールド樹脂を流入する。一旦、上金型と下金型とを低圧のクランプ圧力で締めてキャビティ部12a,15aにより形成される型内にモールド樹脂を流入しながら、残存エアを排気した後、上金型と下金型とを高圧のクランプ圧力で締めてキャビティ部12a,15aにより形成される型内に充填されたモールド樹脂を成形する。
Description
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、トランスファモールド方式によって半導体装置を樹脂封止する方法に適用して有効な技術に関するものである。
例えば溶融樹脂の注入時に、上型キャビティブロックの接触面とリードフレーム上面との全域に隙間を形成し、キャビティ内に溶融樹脂に低圧をかけて溶融樹脂を移動充填し、上記隙間から排気して予備型締めを行い、その後に上型キャビティブロックの接触面とリードフレーム上面との全域の隙間をなくし、溶融樹脂の移送圧力を上げて溶融樹脂を加圧して封止する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
また、被成形品をクランプするクランプ面圧を、キャビティからエアを排出可能とし、キャビティから樹脂が漏出することを阻止するクランプ圧力に設定し、このクランプ圧力によって被成形品をクランプした状態で、キャビティ内に樹脂が充填されるまで型締めしてキャビティ内からエアを排出し、クランプ圧面を、キャビティ内に充填された樹脂を成形する際の成形圧力によってキャビティから樹脂が漏出しない閉鎖圧に設定した後、樹脂に成形圧をかけて樹脂モールドする技術が開示されている(例えば特許文献2参照)。
また、型開きした状態で、上型と下型の間に被成形品と樹脂を供給し、樹脂モールド領域をエアシールして真空排気した後、上型と下型とを型締めして被成形品を樹脂モールドするモールド方法が開示されている(例えば特許文献3参照)。
また、キャビティの外周部に設けられキャビティ内の空気を外界と通気させるエアベントと、このエアベントに連通するように設けられた吸引用通路と、吸引用通路に設けられ金型外部に通じる吸引口とを有する樹脂封止用金型が開示されている(例えば特許文献4参照)。
また、モールド金型は、基板をクランプし、樹脂充填部より封止樹脂をキャビティ凹部へ樹脂圧を印加しながら送出すると共に、エア吸引手段により半導体チップと基板との隙間部分のエアを基板排気孔より吸引して隙間部分を樹脂封止する樹脂封止装置が開示されている(例えば特許文献5参照)。
また、被成形品をモールド金型でクランプして樹脂充填する際に、トランスファ圧力を徐々に上昇させるとともに、トランスファ圧力の圧力増に従って被成形品に対する型締め力を徐々に上昇させて樹脂充填し、キュア時にはキュア開始時から所定時間経過した後、トランスファ圧力を徐々に緩和するとともに、トランスファ圧力に従って被成形品に対する型締め力を徐々に緩和させてキュアする樹脂モールド方法が開示されている(例えば特許文献6参照)。
特開2000−100845号公報(段落[0033]〜[0042]、図3〜図7)
特開2005−88395号公報(段落[0019]〜[0024]、図2〜図4)
特開2005−53143号公報(段落[0018]〜[0020]、図1〜図3)
特開平7−88901号公報(段落[0012]〜[0014]、図1)
特開2001−267345号公報(段落[0021]〜[0027]、図4)
特開平5−147063号公報(段落[0010]〜[0011]、図1)
トランスファモールド方式では、一般にモールド金型からのモールド樹脂(例えばエポキシレジン)の離型性を良くするために、モールド樹脂にはワックスが添加されている。しかし、抜き回数が増すに従いこのワックスがキャビティの表面に付着してモールド金型の熱により酸化し、この酸化したワックスに起因してモールド樹脂のモールド金型からの離型性が悪くなるという問題がある。そこで、モールド樹脂を用いた1000〜1500ショットのモールドを行った後、クリーニング樹脂(例えばメラミン系樹脂)を用いた5〜6ショットのクリーニングを行い、モールド金型に付着しているモールド樹脂を除去している。クリーニング樹脂は、酸化したワックスに起因してモールド金型に付着したモールド樹脂を強制的に剥ぎ取る性質を有している。
しかし、このクリーニングを実施しても、モールド金型からのモールド樹脂の離型性が充分に回復しないことから、上記クリーニングを行った後、さらにモールド金型からのモールド樹脂の離型性を向上させることのできる樹脂(例えばワックス系レジン;以下、単に離型用樹脂と記す)を用いた2〜3ショットのモールドを行い、モールド金型からのモールド樹脂の離型性向上を図っている。
ところで、モールド樹脂をモールド金型へ注入する際、モールド金型の流路部およびキャビティ部内にトラップしているエアがモールド樹脂内に巻き込まれないように、各キャビティ部の中央またはコーナにエアベント部(エアの逃げ通路)が設けられている。エアベント部の寸法はパッケージ仕様によって異なるが、例えばQFP(Quad Flat Package)では、幅0.5〜1mm程度、深さ30〜45μmのエアベント部が3箇所のコーナ部に設けられている。
しかしながら、この狭いエアベント部には前述した離型用樹脂が付着した状態となりやすく、離型用樹脂が付着した状態でモールドを行うと、エアが除去できずにモールド樹脂内に巻き込まれて、モールド樹脂に未充填不良が発生する。そこで、手作業によりエアベント部に付着した離型用樹脂の除去を行っているが、エアベント部に付着した離型用樹脂の除去には多大な時間が必要となる。例えばマトリックスフレームをモールドするモールド金型には100〜300個のエアベント部が備わっているため、エアベント部に付着した離型用樹脂の除去に1回当り2時間程度を要する。
減圧モールドにより、キャビティ部内のエアをキャビティ部外へ強制的に排気する手段があるが、ほとんどのモールド金型ではエアの吸引にはエアベント部を利用している。このため、エアベント部が詰まった場合はキャビティ部内が減圧できず、キャビティ部外へのエアの排気ができなくなるので、モールド樹脂の未充填不良を解消する有効な手段とはなりにくい。
また、モールド金型の上金型と下金型との全域に30〜40μmの隙間を形成した状態でモールド樹脂に低圧をかけてモールド樹脂をキャビティ部内に充填し、上記隙間から排気した後に上金型と下金型との全域の隙間をなくして封止する方式があるが、モールド樹脂は溶融樹脂であるため、隙間からモールド樹脂が漏れる、または排気されるエアがモールド樹脂内に巻き込まれてパッケージの内部および外部にボイドが発生するなどの問題が生じる。
また、減圧モールドを行うには、減圧箇所以外からのエアの侵入を防止するために、モールド金型にシーリング用の溝を加工し、加工した箇所に耐熱用O(オー)リングを設置する必要がある。しかし、リードフレーム面の外側にシーリング用のOリングを組み付けるスペースが必要となるため、モールド金型が大型となり、これに伴いモールドプレスも大型となる。さらに、Oリングは通常シリコン系ゴムからなるため、強度が弱く、Oリングとシーリング用の溝との間に異物(例えばモールド後のレジン屑等)を挟み込んだ場合はOリングが破損し、その箇所からエアが侵入して減圧量が低下する。よってOリングの管理が必要となる。
本発明の目的は、半導体チップ封止用モールド金型のクリーニング時間の短縮を図ることのできる技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、モールド樹脂の未充填不良を防止することにより、半導体製品の製造歩留まりを向上させることのできる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明による半導体装置の製造方法は、キャビティ部にゲート口およびエアベント部が形成されていない上金型と、キャビティ部のコーナの1箇所にゲート口が形成され、エアベント部が形成されていない下金型との間に半導体チップがボンディングされたリードフレームを装着し、上金型と下金型とを中圧のクランプ圧力で締めて上金型のキャビティ部と下金型のキャビティ部とで形成される型内を減圧する工程、上金型と下金型とを中圧のクランプ圧力で締めた状態で、上金型のキャビティ部と下金型のキャビティ部とで形成される型内の減圧を止めて、その型内に前記半導体チップを封止するモールド樹脂を流入する工程、上金型と下金型とを低圧のクランプ圧力で締めて、上金型のキャビティ部と下金型のキャビティ部とで形成される型内にモールド樹脂を流入しながら、その型内の残存エアを排出する工程、上金型と下金型とを高圧のクランプ圧力で締めて、上金型のキャビティ部と下金型のキャビティ部とで形成される型内のモールド樹脂を成形する工程とを有する。
本発明による半導体装置の製造方法は、キャビティ部にゲート口およびエアベント部が形成されていない上金型と、キャビティ部のコーナの1箇所にゲート口が形成され、エアベント部が形成されていない下金型との間に半導体チップがボンディングされたリードフレームを装着し、上金型と下金型とを中圧のクランプ圧力で締めて上金型のキャビティ部と下金型のキャビティ部とで形成される型内を減圧する工程、上金型と下金型とを中圧のクランプ圧力で締めた状態で、上金型のキャビティ部と下金型のキャビティ部とで形成される型内の減圧を止めて、その型内に前記半導体チップを封止するモールド樹脂を流入する工程、上金型と下金型とを低圧のクランプ圧力で締めて、上金型のキャビティ部と下金型のキャビティ部とで形成される型内にモールド樹脂を流入しながら、その型内の残存エアを排出する工程、上金型と下金型とを高圧のクランプ圧力で締めて、上金型のキャビティ部と下金型のキャビティ部とで形成される型内のモールド樹脂を成形する工程とを有する。
本発明による半導体装置の製造方法は、キャビティ部にゲート口およびエアベント部が形成されていない上金型と、キャビティ部のコーナの1箇所にゲート口が形成され、エアベント部が形成されていない下金型との間に、単位フレームのパッケージ領域の第1の角部に設けられたゲート部と、第1の角部と対称の位置にある第2の角に設けられ、ベントが形成されたフローキャビティ部とを有する半導体チップがボンディングされたリードフレームを、上金型のゲート口とリードフレームのゲート部とを対応させて装着する工程、上金型と下金型とを締めることにより形成される樹脂流入経路およびゲート口を経由してポット部からキャビティ部により形成される型内に半導体チップを封止するモールド樹脂を流入し、フローキャビティ部に形成されたベントからキャビティ部により形成される型内のエアを排気する工程とを有する。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
モールド金型の上金型および下金型にエアベント部を形成しないことにより、エアベント部に付着した離型用樹脂の除去が不要となり、モールド金型のクリーニング時間を短縮することができる。また、エアベント部を形成しないことにより、エアベント部に付着した離型用樹脂の除去の見逃しによるキャビティ内の減圧の不具合、あるいはエアベント部に付着した離型用樹脂の突発的な剥がれによる異物の発生とその異物の付着に起因したモールド樹脂の未充填不良がなくなり、半導体製品の製造歩留まりが向上する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、本実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、本実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、本実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、本実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
また、本実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1によるリードフレームにおいて、その外形の一例を示す平面図である。図1に示すリードフレームは、例えば、QFP向けのマトリックス型のリードフレームとなっており、リードフレームの長手方向(x軸方向)を列とし、この列の方向と直交する方向(y軸方向)を行とすると、半導体製品1つ分に該当する単位フレーム1が6行2列に配置された構成となっている。なお、本実施の形態1におけるマトリックス型のリードフレームとは、行と列のそれぞれの中に単位フレーム1を2つ以上有するものである。また、本実施の形態1においては、前述したx軸とy軸に直行し、リードフレームの厚さの方向をz軸方向として用いる。
図1は、本実施の形態1によるリードフレームにおいて、その外形の一例を示す平面図である。図1に示すリードフレームは、例えば、QFP向けのマトリックス型のリードフレームとなっており、リードフレームの長手方向(x軸方向)を列とし、この列の方向と直交する方向(y軸方向)を行とすると、半導体製品1つ分に該当する単位フレーム1が6行2列に配置された構成となっている。なお、本実施の形態1におけるマトリックス型のリードフレームとは、行と列のそれぞれの中に単位フレーム1を2つ以上有するものである。また、本実施の形態1においては、前述したx軸とy軸に直行し、リードフレームの厚さの方向をz軸方向として用いる。
各単位フレーム1は、ダイボンディング工程によって半導体チップが搭載されるタブ2と、タブ2を囲むように設けられ、半導体チップ上のパッドとワイヤーボンディング工程によって接続される多数のリード3と、半導体チップを含む樹脂封止領域となるパッケージ領域(キャビティ部)の角部に設けられ、パッケージ領域内にモールド樹脂を流入する際の入口の領域となるゲート部4などを含んでいる。また、各単位フレーム1の間および各単位フレーム1の周辺には、複数の孔5やスリット6などが設けられているが、これらは、リードフレームの位置決めのためや、モールド樹脂の流入に伴うリードフレームの歪みを緩和するためのものである。そして、列方向に隣接する単位フレーム1の間には、樹脂流入経路となるランナ部7が設けられている。このランナ部7は、複数の孔8のパターンを有するものとなっている。
図2は、本実施の形態1による半導体装置の製造方法において、その工程フローの一例を示すフロー図である。図2においては、図1で示したようなリードフレームを用いて、モールディング装置によるモールド工程と、切断装置による切断工程と、めっき装置によるめっき工程とを順に行なっている。
モールド工程には、ボンディングされたリードフレームを装置内に搬入し、所定の位置にセットするロード処理(S200)と、セットされたリードフレームに対して上金型および下金型を用いてモールド樹脂を流入する樹脂流入処理(S201)と、樹脂流入処理によって残存したカル部からランナ部のモールド樹脂を除去するゲートブレイク処理(S202)と、ゲートブレイク処理後のリードフレームを所定の位置から取り外し、次の装置へ搬出するアンロード処理(S203)などが含まれている。
切断工程には、前述した樹脂流入処理(S201)によって残存したゲート部のモールド樹脂を除去するゲートカット処理(S204)と、リードフレームのリード間を繋いでいるダムバーやこのダムバー周りに溜められた残存樹脂などを除去するダムカット処理(S205)などが含まれている。めっき工程には、モールド樹脂の外側のリードとなり、インナーリードに繋がるリードとなるアウターリードに対して半田めっきなどを行うめっき処理(S206)などが含まれている。
本願発明においては、リードフレームのモールド工程で上金型および下金型を用いて行う樹脂注入処理が主要な特徴となっており、その詳細および効果等については以降の説明で明らかにする。
まず、本実施の形態1によるモールド工程について、図3〜図5を用いて以下に説明する。図3は、図2のモールド工程をリードフレームによって詳細に説明するための説明図であり、(a)は樹脂流入処理前のリードフレーム、(b)は、樹脂流入処理後のリードフレーム、(c)は、ゲートブレイク処理後にアンロード処理されるリードフレームを示すものである。図4は、モールド金型の概略構成例を示す平面図であり、(a)は上金型の平面図、(b)は下金型の平面図である。図5は、図4のモールド金型において、A−A’間の断面構成例を示す図であり、(a)は上金型の断面図、(b)は下金型の断面図である。
図3(a)では、フレーム本体100のタブ上に半導体チップ9がダイボンディングされ、この半導体チップ9とフレーム本体100のリード3とがワイヤーボンディングされたリードフレームが示されている。このリードフレームは、図1のリードフレームの1行分を示したものであり、ゲート部4とランナ部7とを備えている。そして、このリードフレームに対して、上金型および下金型を用いてモールド樹脂を流入する。
そうすると、リードフレームは、図3(b)に示すように、半導体チップ9およびリード3の一部の領域となるインナーリードを含んだキャビティ部のモールド樹脂10aと、ゲート部4の残存樹脂10bと、ランナ部7の残存樹脂10cと、図示しないカル部などの残存樹脂を有した状態となる。この内、ランナ部7の残存樹脂10cは、リードフレームの片面だけに存在し、図3(a)に示すような樹脂除去用の孔8の上部に形成される。
次いで、ゲートブレイク処理として、樹脂除去用の孔8に向けて、装置に備え付けられているエジェクタピンを突き出すことで、ランナ部7の残存樹脂10cから図示しないカル部の残存樹脂に至る部分を除去する。これによって、図3(c)に示すように、リードフレームは、キャビティ部のモールド樹脂10aとゲート部4の残存樹脂10bとを有する状態となる。その後、この状態でモールド工程を終え、アンロード処理を行う。アンロード処理では、リードフレームを、両サイドにガイドを備えた搬送レールなどに載せ、切断工程が行われる切断装置に向けて搬送する。
図4(a)に示す上金型は、例えば、10行4列のマトリックス型リードフレームを2つ搭載可能な金型となっており、そのマトリックス型リードフレームの搭載エリア内に、凹形状の型となるキャビティ部12aとキャビティランナ部12bとが設けられている。また、マトリックス型リードフレームの搭載エリアの外部には、モールド樹脂の供給源に対応するカル部12cと、カル部12c間を連結する連結ランナ12dとが設けられている。さらに、連結ランナ12dの両端にはキャビティ部12aを減圧するための減圧カル部12eが設けられている。なお、その他の構成として、モールド樹脂を流入した後に上金型を突き放す際に必要なリターンピン駆動用の孔13や、上金型と下金型とを位置合せするための凸状のウエッジ14などが設けられている。
図4(b)に示す下金型は、前述した上金型に対応した構成となっている。上金型と同様、マトリックス型リードフレームの搭載エリア内に、凹形状の型となるキャビティ部15aとキャビティランナ部15bとを有し、2行のリードフレームのキャビティランナ部15bを繋ぐ流路としてブランチランナ部15cが設けられている。また、下金型では、上金型のカル部12cに対応するポット部15dと、上金型の減圧カル部12eに対応し、減圧開閉駆動ピンの持ち上げに用いられるピン持ち上げ部15eとが設けられている。なお、その他の構成として、モールド樹脂を流入した後に下金型を突き放す際に必要なリターンピン駆動用の孔16や、上金型と下金型を位置合せするための凹状のウエッジ17などが設けられている。
モールド樹脂を流入する処理は、このような上金型および下金型によってリードフレームを挟み込み、ポット部15dにモールド樹脂を供給することで行われる。ポット部15dに供給されたモールド樹脂は、ブランチランナ部15cを経由し、リードフレームの両面に位置するキャビティランナ部12b,15bを経てキャビティ部12a,15aにより形成される型内に流し込まれる。
ここで、図4(a),(b)のカル部12cおよびポット部15dからキャビティ部12a,15aに至るまでの樹脂流入経路であるA−A’間の断面構成は、例えば図5(a),(b)のようになっている。なお、図4におけるA−A’間の線は、説明の便宜上、キャビティランナ部12b,15bとブランチランナ部15cとを通るものとする。
図5(a)に示す上金型は、キャビティ部12aと、キャビティランナ部12bと、カル部12cとを有し、さらに、キャビティ部12aに突出可能なように設けられたエジェクタピン18aと、キャビティランナ部12bに突出可能なように設けられたエジェクタピン18bと、カル部12cに突出可能なように設けられたエジェクタピン18cと、図4(a)の孔13に対応するリターンピン19とを有している。さらに、図示はしないが、減圧カル部12eに突出可能なように設けられた減圧開閉駆動ピンを有している。
図5(b)に示す下金型は、キャビティ部15aと、キャビティランナ部15bと、ブランチランナ部15cと、ポット部15dと、ゲート口15fとを有し、さらに、キャビティ部15aに突出可能なように設けられたエジェクタピン20aと、キャビティランナ部15bおよびブランチランナ部15cに突出可能なように設けられたエジェクタピン20bと、ポット部15dにセットしたモールド樹脂を送り出すためのピストンとなるプランジャ21と、図4(b)の孔16に対応するリターンピン22とを有している。さらに、図示はしないが、ピン持ち上げ部15eに、減圧開閉駆動ピンを押し上げるピン持ち上げ用プランジャを有している。
モールド樹脂を流入する際には、このような上金型および下金型によってリードフレームを挟み込み、ポット部15dにモールド樹脂を供給することで行われる。ポット部15dに供給されたモールド樹脂は、プランジャ21によって送り出され、ブランチランナ部15cを経由し、リードフレームの両面に位置するキャビティランナ部12b,15bを経てキャビティ部12a,15aにより形成される型内に流し込まれる。そして、流入したモールド樹脂を硬化させた後、エジェクタピン18a,18b,18c,20a,20bおよびリターンピン19,22によって上金型と下金型とリードフレームを乖離させると、リードフレームは、図3(b)に示すような状態となる。
次に、本実施の形態1による上金型および下金型の特徴的な形状について、図6を用いて以下に説明する。図6は、図4のモールド金型のキャビティ部の拡大平面図であり、(a)は上金型の平面図、(b)は下金型の平面図である。
図6(a)に示す上金型のキャビティ部12aには、モールド樹脂を流入するゲート口およびエアの逃げ通路となるエアベント部が設けられていない。また、図6(b)に示す下金型のキャビティ部15aには、モールド樹脂を流入するゲート口15fがキャビティ部15aのコーナの1箇所に設けられているが、エアベント部は設けられていない。
前述したように、従来のモールド金型の1つのキャビティ部には1〜3箇所のエアベント部が設けられている。トランスファモールド方式では、複数回のモールドを行った後、クリーニング樹脂を用いたモールド金型のクリーニングと、モールド金型からのモールド樹脂の離型性の向上を図るための離型用樹脂を用いたモールドとを順次行っているが、エアベント部は狭く、このエアベント部に離型用樹脂が付着した状態となりやすい。このため、手作業によりエアベント部に付着した離型用樹脂を除去しているが、エアベント部に付着した離型用樹脂の除去には多大な時間が必要となる。
しかし、図6(a),(b)に示すように、本願発明によるモールド金型の上金型および下金型のキャビティ部にはエアベント部が形成されていないので、エアベント部の離型用樹脂の除去が不要となり、モールド金型のクリーニング時間を短縮することができる。
ところで、エアの逃げ通路となるエアベント部を形成しないことにより、キャビティ部12a,15aにより形成される型内に残存するエアはエアベント部を利用して排気することはできない。そこで、キャビティ部12a,15aにより形成される型内にモールド樹脂を流入する前に、ゲート口15fと、キャビティランナ部12b,15bと、連通ランナ12dとを経由し、上金型の減圧カル部12eおよび下金型のピン持ち上げ部15eを用いてキャビティ部12a,15aにより形成される型内を強制的に減圧することにより、その型内から排気する。
次に、本実施の形態1によるキャビティ部からのエアの排気方法およびキャビティ部へのモールド樹脂の流入方法について、図7〜図14を用いて以下に説明する。図7は、モールド金型の減圧部の概略構成例を示す断面図である。図8は、エア排気処理および樹脂流入処理における動作シーケンスの一例であり、(a)は下金型のプレス位置、(b)はリードフレームを挟むクランプ圧力、(c)は下金型のポット部からモールド樹脂を押し出すプランジャのトランスファ位置である。図9〜図14は、エア排気処理および樹脂流入処理を順次説明するモールド金型の概略構成例を示す図あり、(a)は減圧部の上金型および下金型の断面図、(b)は樹脂流入部の上金型および下金型の断面図、(c)はリードフレーム設置部の上金型および下金型が重なった要部平面図である。
図7に示す減圧部の上金型には、減圧カル部12eに突き出ることが可能な減圧開閉駆動ピン23と、減圧開閉駆動ピン23に繋がるスプリング24と、減圧開閉駆動ピン23の側面に形成された凹部を経由して減圧カル部12eからエアを吸引するエア吸引穴25などが設けられている。エア吸引穴25の他端は真空ポンプユニットに接続されている。また、減圧部の下金型には、ピン持ち上げ用プランジャ26が設けられており、ブランジャホルダ27およびOリング28により保持されている。
キャビティ12a,15aにより形成される型内からエアを排気する場合は、減圧開閉駆動ピン23を減圧カル部12eに突き出して、減圧カル部12eとエア吸引孔25とを繋げる。これにより、キャビティ部12a,15aにより形成される型内からエアが排気され、この排気されたエアはキャビティランナ部12b,15bと、連結ランナ12dと、減圧カル部12eなどを経由してエア吸引孔25へと排気される。図7には、キャビティ12a,15aにより形成される型内からエアを排気する場合におけるモールド金型の状態を示している。キャビティ12a,15aにより形成される型内にモールド樹脂を流入する場合は、ピン持ち上げ用プランジャ26を上昇させることにより減圧開閉駆動ピン23を持ち上げて、減圧カル部12eとエア吸引穴25とを遮断し、エアの排気を止める。
次に、エア排気およびモールド樹脂流入の処理手順の一例について説明する。ここでは、キャビティ部により形成される型内のエアが完全に排気できない場合を想定し、キャビティ部により形成される型内を減圧した後、その型内へモールド樹脂を流入する中圧クランプ、キャビティ部により形成される型内へモールド樹脂を注入しながら、その型内の残存エアを排気する低圧クランプ、およびキャビティ部により形成される型内に充填したモールド樹脂を成形する高圧クランプの圧力の異なる3段クランプを用いる方法を採用した。
[動作手順1]まず、下金型の所定の位置にリードフレームを搭載する。この段階でのモールド金型の状態は図9(a),(b),(c)に示される。図9(a)は、減圧部の上金型および下金型の断面図であり、図7に示した上金型と下金型とが離れた状態が示されている。また、図9(b)は、樹脂流入部の上金型および下金型の断面図であり、上金型に設けられたキャビティ部12aと、キャビティランナ部12bと、カル部12c、および下金型に設けられたキャビティ部15aと、ゲート口15fと、モールド樹脂29が投入されたポット部15dと、ブランジャ部21とが示されている。さらに、下金型にはリードフレームに搭載された半導体チップ9が示されている。また、図9(c)は、リードフレーム設置部の上金型と下金型とが重なった平面図であり、上金型のキャビティ部12aと、キャビティランナ部12bと、カル部12c、および下金型のキャビティ部15aと、キャビティランナ部15bと、ポット部15dが重なって示されている。
[動作手順2]続いて、上金型の下面と下金型の上面とが突き当たるまで下金型を上昇させて、型締めをする。この時、上金型と下金型との間にリードフレームが挟みこまれており、この挟み込まれたリードフレームの外枠フレームの平坦性が良好であることから、リードフレームが上金型と下金型との間でのシールリングの役割を果たしている。そのため、従来の真空引きモールド方法のようにモールド金型全体を真空引きする必要がなく、モールディング装置の小型化を実現することができる。この段階でのモールド金型の状態は図8のステップ1および図10(a),(b),(c)に示される。図10(a),(b),(c)は図9(a),(b),(c)と同じ箇所を示している。
[動作手順3]続いて、キャビティ部12a,15aにより形成された型内の減圧を開始する。この段階でのモールド金型の状態は図8のステップ2および図11(a),(b),(c)に示される。図11(a),(b),(c)は図9(a),(b),(c)と同じ箇所を示している。リードフレームを挟むクランプ圧力は、例えば55〜155MPa程度の第1の圧力に設定される(中圧クランプ)。
上金型に設けられた減圧開閉駆動ピン23は、減圧カル部12eに突き出している。減圧開閉駆動ピン23を減圧カル部12eに突き出すことにより、ゲート口15f、キャビティランナ部12b,15b、ブランチランナ部15c、連結ランナ12d、減圧カル部12e、そしてエア吸引穴25を経由して、キャビティ部12a,15aにより形成された型内を減圧し、エアを排気する。モールド金型のシーリングには下金型に搭載したリードフレームを利用し、上金型と下金型とをクランプすることで、リードフレームと接する上金型のキャビティ部12aと下金型のキャビティ部15aとに隙間を空けずにキャビティ部12a,15aにより形成された型内を減圧することができる。型内の減圧は、例えば−70〜−100kPa程度に設定される。この時、上金型と下金型との間のシールリングとしてリードフレームの外枠フレームを用いているために、従来のモールド金型全体を真空引きする方法と比較して本願のような減圧方法ではモールド金型内を十分に減圧するまでには至らないが、エアベントを用いたモールド方式のように、まったく上金型と下金型との間を減圧しない方式と比較すると、後の樹脂流入時のモールド金型内に残存するエアは非常に少なくなる。
[動作手順4]キャビティ部12a,15aにより形成された型内を減圧した後、その型内へモールド樹脂を流入する。この段階でのモールド金型の状態は図8のステップ3および図12(a),(b),(c)に示される。図12(a),(b),(c)は図9(a),(b),(c)と同じ箇所を示している。リードフレームを挟むクランプ圧力は、例えば55〜155MPa程度の第1の圧力に設定される(中圧クランプ)。
減圧部のピン持ち上げ用プランジャ26を上昇させることにより減圧開閉駆動ピン23を持ち上げて、その後、樹脂流入部のブランジャ21を上昇させてポット部15dに投入したモールド樹脂29をカル部12c、ブランチランナ部15c、キャビティランナ部12b,15b、ゲート口15fを通じて移送し、キャビティ部12a,15aにより形成された型内へ注入する。この時、モールド金型内は予め減圧してあるので、樹脂流入時には残存エアによる樹脂巻き込みなどは起こりにくく、モールド樹脂29のモールド金型内への流入はスムーズになる。
[動作手順5]続いて、キャビティ部12a,15aにより形成された型内の残存エアを排気する。すでに述べたように本願においてはリードフレームの外枠フレームを上金型と下金型とのシールリングとして用いており、予めモールド金型内を減圧してあるが十分な減圧にまでなっていないため、モールド金型内への樹脂流入に伴いキャビティ部12a,15aにより形成された型内のコーナ部分には少量のエアが残る可能性がある。この段階でのモールド金型の状態は図8のステップ4および図13(a),(b),(c)に示される。図13(a),(b),(c)は図9(a),(b),(c)と同じ箇所を示している。リードフレームを挟むクランプ圧力は、前記第1の圧力よりも低い、例えば1〜55MPa程度の第2の圧力に設定される(低圧クランプ)。
クランプ圧力を第1の圧力よりも低い第2の圧力とすることで、上金型の下面のリードフレーム押さえ面とリードフレームの上面との間に、例えば2〜5μm程度の僅かな隙間を作り、その隙間からキャビティ部12a,15aにより形成された型内に残存するエアを排気する。ここでクランプ圧力を第2の圧力に下げることにより、上金型と下金型との間に挟まれたリードフレームを挟む圧力は下がるが、リードフレームはその自重で下金型の上面に残されたままになり、その結果上金型の下面のリードフレーム押さえ面とリードフレームの上面との間に上記隙間が形成されるようになる。排気される残存エアは、モールド金型内を予め減圧しているので、従来のエアベントを用いたモールド方式のモールド金型と比較すると少ない体積である。この時、減圧部においては減圧カル部12eとエア吸引穴25とが遮断されて、エアの排気は止められている。しかし、キャビティ部12a,15aにより形成された型内へは引き続いてモールド樹脂29が流入されており、流入されるモールド樹脂29の圧力により、キャビティ部12a,15aにより形成された型内に残存しているエアが外へ排気され、さらにキャビティ部12a,15aにより形成された型内にモールド樹脂29が注入される。また、モールド金型内に残存するわずかのエアを排気するだけなので上金型と下金型との間に大きな隙間を開ける必要がなく、モールド樹脂がモールド金型から外に漏れ出すような隙間でないため、モールド樹脂はモールド金型からバリ状に漏れることはない。
[動作手順6]続いて、キャビティ部12a,15aにより形成された型内に充填したモールド樹脂29を成形する。この段階でのモールド金型の状態は図8のステップ5および図14(a),(b),(c)に示される。図14(a),(b),(c)は図9(a),(b),(c)と同じ箇所を示している。リードフレームを挟むクランプ圧力は、前記第1の圧力よりも高い、例えば155MPa以上の第3の圧力に設定される(高圧クランプ)。
クランプ圧力を第3の圧力としてリードフレームを挟むことにより、リードフレームの外にモールド樹脂29が漏れることなくキャビティ部12a,15aにより形成された型内に充填されたモールド樹脂29を成形することができる。
[動作手順7]続いて、モールド樹脂29の硬化を所定時間行った後、減圧部のピン持ち上げ用プランジャ26および樹脂流入部のプランジャ21を所定の位置まで下降させ、リターンピン19,22およびエジェクタピン18a,18b,18c,20a,20bを用いてモールド樹脂により封止されたリードフレームおよび樹脂流路内の硬化したモールド樹脂を剥離する。
なお、上記動作手順1〜7を行うモールド工程では、キャビティ部12a,15aにより形成された型内を減圧した後、その型内へモールド樹脂29を流入する中圧クランプ、キャビティ部12a,15aにより形成された型内へモールド樹脂29を流入しながら、その型内の残存エアを排気する低圧クランプ、およびキャビティ部12a,15aにより形成された型内に充填したモールド樹脂29を成形する高圧クランプの3つのクランプ圧力を用いたが、キャビティ部12a,15aにより形成された型内を減圧した後、キャビティ部12a,15aにより形成された型内にモールド樹脂29を流入しながら、その型内の残存エアの排気を行う低圧クランプ、およびキャビティ部12a,15aにより形成された型内に充填したモールド樹脂29を成形する高圧クランプの圧力の異なる2段クランプを用いることもできる。
図15は、エア排気処理および樹脂流入処理における動作シーケンスの他の例であり、(a)は下金型のピン持ち上げ用プランジャ部のプレス位置、(b)はリードフレームを挟むクランプ圧力、(c)は下金型のポット部からモールド樹脂を押し出すプランジャのトランスファ位置が示されている。
キャビティ部により形成された型内の減圧(図15のステップ2)およびキャビティ部により形成された型内へのモールド樹脂の流入(図15のステップ3、4)を行う際、例えば1〜55MPa以下の一定のクランプ圧力を加える(低圧クランプ)。キャビティ部により形成された型内の減圧は、減圧部のエア吸引穴からキャビティ部により形成された型内のエアを強制的に排気して行う。この時も上金型と下金型との間のシールリングとしてリードフレームの外枠フレームを用いているために、従来のモールド金型全体を真空引きする方法と比較して本願のような減圧方法ではモールド金型内を十分に減圧するまでには至らないが、エアベントを用いたモールド方式のように、まったく上金型と下金型との間を減圧しない方式と比較すると、後の樹脂流入時のモールド金型内に残存するエアは非常に少なくなる。
キャビティ部により形成された型内の減圧を所定時間行った後、その型内へモールド樹脂が流入されるが、低圧クランプを採用することにより、モールド樹脂の流入と同時にキャビティ部により形成された型内に残存しているエアが外へ排気される。モールド金型内は予め減圧してあるので、樹脂流入時には残存エアによる樹脂巻き込みなどは起こりにくく、また、樹脂流入に伴い低圧クランプ時にモールド金型から排気される残存エアは、従来のエアベントを用いたモールド方式のモールド金型に比較すると少ない体積である。従って、上金型と下金型との隙間が小さいこともあり、モールド樹脂がモールド金型から外に漏れ出してバリ状に漏れることはない。
その後、キャビティ部により形成された型内に充填したモールド樹脂を成形する(図15のステップ5)。この際、例えば155MPa以上の一定のクランプ圧力を加えることにより(高圧クランプ)、リードフレームの外にモールド樹脂が漏れることなくモールド樹脂を成形することができる。
図16は、半導体チップ上のパッドとリードフレームのリードとを接続するワイヤの流れ特性を示すグラフ図であり、上金型および下金型にエアベント部を形成したモールド金型を用いてモールド樹脂を形成した場合、および上金型および下金型にエアベント部を形成しないモールド金型を用いてモールド樹脂を形成した場合のワイヤ流れ特性を示している。なお、図16の横軸はワイヤ流れ率を示し、横軸はそのワイヤ流れ率の発生率を示しており、ここでのワイヤ流れ率とは最大変位量をループ長さで除した値である。図から、エアベント部を形成しないモールド金型を用いた場合のワイヤ流れ率の発生率は、エアベント部を形成したモールド金型を用いた場合のワイヤ流れ率の発生率とほぼ同等であることが分かる。
図17は、モールド樹脂に形成されるボイドおよび未充填箇所の発生率を示すグラフ図であり、上金型および下金型にエアベント部を形成したモールド金型を用いてモールド樹脂を形成した場合、および上金型および下金型にエアベント部を形成しないモールド金型を用いてモールド樹脂を形成した場合のボイドおよび未充填箇所の発生率を示している。なお、図17の横軸はボイドの大きさおよび未充填箇所を示し、縦軸にそれぞれの大きさのボイドおよび未充填箇所の発生率を示しており、ここでの発生率とは発生数/検査総数である。図から、エアベント部を形成しないモールド金型を用いても、ボイドおよびモールド樹脂の未充填箇所はほとんど発生せず、これらの発生率はエアベント部を形成したモールド金型を用いた場合とほぼ同等であることが分かる。
このように、本実施の形態1によれば、上金型および下金型にエアベント部を形成しないことにより、エアベント部に付着した離型用樹脂の除去が不要となり、モールド金型のクリーニング時間を短縮することができる。また、エアベント部を形成しないことにより、エアベント部に付着した離型用樹脂の除去の見逃しによるキャビティ部により形成された型内の減圧の不具合、あるいはエアベント部に付着した離型用樹脂の突発的な剥がれによる異物の発生とその異物の付着に起因したモールド樹脂の未充填不良がなくなり、半導体製品の製造歩留まりが向上する。
さらに、キャビティ部により形成された型内のエアを強制的に排気することにより、キャビティ部により形成された型内にモールド樹脂を注入する際のエアの巻き込みが無くなるので、55MPa以下の低いクランプ圧力でリードフレームの押さえができて、モールドプレスの小型化が可能となる。また、キャビティ部により形成された型内を減圧する際のモールド金型のシーリングにリードフレームを利用することができるので、例えば設置されたリードフレームの外周部にOリングを設ける等のシーリング機能を有する装備を付設する必要がなく、モールド金型が小型化できる。これによりモールドプレスの小型化が可能となる。また、Oリングを設けないことにより、Oリングの欠損等がないので、キャビティ部の減圧を安定して行うことができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2においては、前述した実施の形態1と同様に、リードフレームのモールド工程で上金型および下金型を用いて行う樹脂注入処理が主要な特徴となっており、上金型および下金型にエアベント部を形成しないモールド金型が用いられるが、キャビティ部により形成された型内のエアの排気方法が前述した実施の形態1と相違する。すなわち、本実施の形態2では、既存のモールド金型に設けられているエアベント部に類似するベントをリードフレームに形成し、そのベントを通してキャビティ部により形成された型内のエアを強制的に排気する。以下に、本実施の形態2によるモールド工程について詳細に説明する。
本実施の形態2においては、前述した実施の形態1と同様に、リードフレームのモールド工程で上金型および下金型を用いて行う樹脂注入処理が主要な特徴となっており、上金型および下金型にエアベント部を形成しないモールド金型が用いられるが、キャビティ部により形成された型内のエアの排気方法が前述した実施の形態1と相違する。すなわち、本実施の形態2では、既存のモールド金型に設けられているエアベント部に類似するベントをリードフレームに形成し、そのベントを通してキャビティ部により形成された型内のエアを強制的に排気する。以下に、本実施の形態2によるモールド工程について詳細に説明する。
図18は、本実施の形態2によるリードフレームにおいて、その外形の一例を示す平面図である。図18に示すリードフレームは、例えば、前述した図1に示したQFP向けのマトリックス型のリードフレームと同様な構成となっており、半導体製品1つ分に該当する単位フレーム51が6行2列に配置されている。なお、図18には、リードフレームのうち3行2列のみを示している。また、各単位フレーム51は、半導体チップが搭載されるタブ52と、タブ52を囲むように設けられた多数のリード53と、パッケージ領域の角部に設けられ、パッケージ領域内にモールド樹脂を流入する際の入口の領域となるY字形状の吊りを備えるゲート部54と、単位フレーム51の間および各単位フレーム51の周辺に設けられた複数の孔55やスリット56と、列方向に隣接する単位フレーム51の間に設けられた樹脂流入経路となるランナ部57とが設けられている。ゲート部54に形成された吊りは、モールド工程においてこの部分に残る残留樹脂を補強するために設けられている。すなわち、吊りを形成しないと、モールド金型から取り出した際に残留樹脂が垂れ下がり、その後の搬送、さらには切断工程やめっき工程において使用される装置にひっかかるなどの不具合が生じる。
前述した図1に示したリードフレームと異なる点は、さらに、ゲート部54が形成されたパッケージ領域の角部とパッケージ領域の中心を原点に対称の位置にある角部に、Y字形状の吊りを備えるフローキャビティ部58が設けられている。このフローキャビティ部58のY字形状の吊りの周囲には、Y字を残して3つの孔59が形成されており、そのうち外側に位置する2つの孔にそれぞれ繋がって所定の深さのベント60が形成されている。ベント60はX方向(またはY方向)と45度の角度を成して、リードフレームの表面(半導体チップが搭載される側)に形成されている。フローキャビティ部58に形成されたY字形状の吊りは、ゲート部54に形成された吊りと同様、モールド工程においてこの部分に残る残留樹脂を補強するために設けられている。
また、ゲート部54およびフローキャビティ部58以外の2箇所のパッケージ領域の角部には、キャビティ部により形成された型内に注入されるモールド樹脂が外部へ漏れるのを防ぐために、レジン溜め部61が設けられている。このレジン溜め部61には孔62が形成されており、さらにこの孔62にパッケージ領域の中心の方向から繋がる所定の深さのベント63が形成されている。ベント63はX方向(またはY方向)と45度の角度を成して、リードフレームの表面に形成されている。
図19は、リードフレームに形成されたフローキャビティ部58の全体の拡大平面図である。フローキャビティ部58に形成された2つのベント60の深さは、例えばリードフレームの板厚、ベント60の加工精度およびモールド金型によるつぶし量(例えば0.01mm)を基に決定され、例えばリードフレームの厚さの50%程度とすることができる。例えばリードフレームの板厚が0.125mmである場合、ベントの深さは0.0625mmとなる。ベント60の幅は、所定の範囲内で任意に設定することが可能である。しかし、パッケージ領域の3箇所の角部からほぼ均一にエアが排気できるように、フローキャビティ部58に形成されるベント60の断面積とレジン溜め部61に形成されるベント63の断面積とをほぼ同じとすることが望ましい。依って、フローキャビティ部58に形成されるベント60の幅はレジン溜め部61に形成されるベント63の断面積を考慮して設定される。例えば、後述する理由からレジン溜め部61に形成するベント63の幅を0.2mmとした場合、フローキャビティ部58に形成される2つのベント60のそれぞれの幅(図中の符号H/2)は0.1mmとなる。以上のことから、本実施の形態2によるリードフレームでは、フローキャビティ部58に形成されるベント60の幅を0.1mm、ベント60の深さを0.0625mmとした。
図20は、リードフレームに形成されたレジン溜め部61の拡大図であり、(a)はレジン溜め部61の全体の拡大平面図、(b)はレジン溜め部61に形成されたベント63の拡大断面図を示す。レジン溜め部61のベント63の深さは、前述したフローキャビティ部58のベント60と同様に、例えばリードフレームの板厚、ベント63の加工精度およびモールド金型によるつぶし量(例えば0.01mm)を基に決定され、例えばリードフレームの厚さの50%程度とすることができる。しかし、ベント63の幅は、前述したフローキャビティ部58のベント60と異なり、任意に設定することはできない。すなわち、レジン溜め部61のベント63は、キャビティ部により形成された型内に注入されるモールド樹脂ではなく、上記型内に残存するエアを押し出すことが目的である。そのため、レジン溜め部61のベント63の幅を広くしすぎると、モールド樹脂が押し出されてしまう。従って、レジン溜め部61のベント63の幅(図中の符号H2)は最大でも0.2mmとすることが望ましい。以上のことから、本実施の形態2によるレジン溜め部61に形成されるベント63の幅を0.2mm、ベント63の深さを0.0625mmとした。
但し、フローキャビティ部58およびレジン溜め部61のベント60,63をウエットエッチングにより形成する場合は、深さを一定とする断面形状が矩形のベント60,63を形成することは難しい。従って、0.0625mmの深さを目標にベント60,63は形成されるが、図20(b)に示すように、ベント60,63の深さは、実際には0.0625mmよりも深くなると考えられる。なお、前述したフローキャビティ部58およびレジン溜め部61のベント60,63の幅および深さの設定基準は一例であって、これに限定されるものではない。例えば前述したフローキャビティ部58およびレジン溜め部61のベント60,63の幅および深さの設定基準にモールド樹脂に含まれるフィラの粒径を加えることができる。
図21は、フローキャビティ部58に形成されたベントの第1の変形例である。前述した図19では、フローキャビティ部58のY字形状の吊りの周囲に形成された3つの孔59のうち、外側に位置する2つの孔59にそれぞれ繋がる2つのベント60を示したが、上記外側に位置する2つの孔59のいずれか一方の孔59に繋がる1つのベント60aをX方向(またはY方向)と45度の角度を成して形成してもよい。この場合、レジン溜め部61に形成されるベント63と断面積を同じとするため、ベント60aの幅を0.2mm、ベント60aの深さを0.0625mmとする。
図22は、フローキャビティ部58に形成されたベントの第2の変形例である。前述した図21では、フローキャビティ部58のY字形状の吊りの周囲に形成された3つの孔59のうち外側に位置する2つの孔59のいずれか一方の孔59に繋がる1つのベント60aを示したが、上記3つの孔59のいずれにも繋がらず、外側に位置する2つの孔59の間を通る1つのベント60bをX方向(またはY方向)と45度の角度を成して形成してもよい。この場合、レジン溜め部61に形成されるベント63と断面積を同じとするため、ベント60bの幅を0.2mm、ベント60bの深さを0.0625mmとする。
なお、本実施の形態2では、パッケージ領域の3箇所の角部からエアを強制的に排気するとしたが、レジン溜め部61にベントを形成しないで、フローキャビティ部58の1箇所からエアを排気することもできる。また、本実施の形態2では、フローキャビティ部58およびレジン溜め部61に形成されるベント60,63はリードフレームの表面のみに形成したが、裏面のみ、または表面および裏面の両面に形成してもよい。
次に、本実施の形態2によるモールド工程について、図23を用いて以下に説明する。図23(a)はタブ52上に半導体チップを搭載する前のフレーム101、(b)は半導体チップを搭載した後にモールド樹脂封止されたフレーム101を示すものである。
図23(a)に示すフレーム101のタブ52上に半導体チップをダイボンディングした後、この半導体チップとフレーム101のリード53とをワイヤーボンディングする。このフレーム101は、図18のリードフレームの1単位フレーム51を示したものであり、Y字形状の吊りを備えるゲート部54と、Y字形状の吊りを備えるベント60が形成された1箇所のフローキャビティ部58と、ベント63が形成された2箇所のレジン溜め部61とを有している。
そして、このフレーム101に対して、上金型および下金型を用いてモールド樹脂を流入する。上金型および下金型には、例えば前述した図4(a)に示す上金型および図4(b)に示す下金型を用いる。すなわち、前述した図6(a)に示すように、上金型のキャビティ部12aには、モールド樹脂を流入するゲート口およびエアの逃げ道となるエアベント部が設けられていない。また、前述した図6(b)に示すように、下金型のキャビティ部15aには、モールド樹脂を流入するゲート口がキャビティ部15aのコーナの1箇所に設けられているが、エアベント部は設けられていない。従って、上金型および下金型にはエアの逃げ通路となるエアベント部を形成しないことにより、キャビティ部12a,15aにより形成される型内に残存するエアはエアベント部を利用して排気することはできない。しかし、リードフレームのフローキャビティ部58に形成されたベント60およびレジン溜め部61に形成されたベント63を利用して、キャビティ部12a,15aにより形成される型内に残存するエアを排気することができる。
モールド樹脂を流入処理した後は、フレーム101は半導体チップおよびリード53の一部の領域となるインナーリードを含んだキャビティ部のモールド樹脂64aと、ゲート部54の残存樹脂64bと、フローキャビティ部58の残存樹脂64cと、ランナ部57の残存樹脂と、カル部などの残存樹脂とを有した状態となる。
次いで、ゲートブレイク処理として、樹脂除去用の孔に向けて、装置に備え付けられているエジェクタピンを突き出すことで、ランナ部57の残存樹脂からカル部の残存樹脂に至る部分を除去する。これによって、図23(b)に示すように、フレーム101は、キャビティ部のモールド樹脂64aとゲート部54の残存樹脂64bとフローキャビティ部58の残存樹脂64cとを有する状態となる。その後、この状態でモールド工程を終え、アンロード処理を行う。
このように、本実施の形態2によれば、キャビティ部により形成される型内に残存するエアは、フローキャビティ部58に形成されたベント60およびレジン溜め部61に形成されたベント63を利用して排気することができるので、エアベント部が設けられていない上金型および下金型を用いることができる。これにより、前述した実施の形態1と同様に、エアベント部の離型用樹脂の除去が不要となり、モールド金型のクリーニング時間を短縮することができる。また、エアベント部に付着した離型用樹脂の除去の見逃しによるキャビティ部により形成された型内の減圧の不具合、あるいはエアベント部に付着した離型用樹脂の突発的な剥がれによる異物の発生とその異物の付着に起因したモールド樹脂の未充填不良がなくなり、半導体製品の製造歩留まりが向上する。
図24は、ゲート部65およびフローキャビティ部66に十字形状の吊りを備えたフレーム102を示す。図24(a)はタブ67上に半導体チップを搭載する前のフレーム102、(b)は半導体チップを搭載した後にモールド樹脂封止されたフレーム102を示すものである。
このフレーム102もリードフレームの1単位フレームを示したものであり、十字形状の吊りを備えるゲート部65と、十字形状の吊りを備えるベント68が形成された1箇所のフローキャビティ部66と、ベント69が形成された2箇所のレジン溜め部70とを有している。従って、キャビティ部にモールド樹脂を流入するゲート口およびエアの逃げ道となるエアベント部が設けられていない上金型(前述した図4(a)および図6(a)参照)、およびキャビティ部にモールド樹脂を流入するゲート口がキャビティ部のコーナの1箇所に設けられているが、エアベント部は設けられていない下金型(前述した図4(b)および図6(b)参照)を用いても、リードフレームのフローキャビティ部66に形成されたベント68およびレジン溜め部70に形成されたベント69を利用して、キャビティ部により形成される型内に残存するエアを排気することができる。これにより、前述したY字形状の吊りを備えるリードフレームと同様の効果を得ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば前記実施の形態1において、図6に示すように、キャビティ部により形成された型内へモールド樹脂を流入するゲート口を下金型に設けたが、上金型に設けても良く、あるいは上金型と下金型の両面に設けてもよい。
本発明の半導体装置の製造方法は、特にQFP、L−QFP(Low profile-QFP)およびT−QFP(Thin-QFP)仕様等のマトリックス型のリードフレームをトランスファモールド方式により樹脂封止する半導体装置の製造方法に対して広く適用可能である。
Claims (29)
-
以下の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法;
(a)複数の第1のキャビティ部と、前記第1のキャビティ部のコーナの1箇所に設けられた第1のゲート口とを備える第1の金型と、複数の第2のキャビティ部を備える第2の金型とを有するモールド金型を準備する工程、
(b)半導体チップがボンディングされたリードフレームを準備する工程、
(c)前記第1の金型と前記第2の金型との間に前記リードフレームを装着して前記第1の金型と前記第2の金型とを第1のクランプ圧力で締めて、前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される排気経路および前記第1のゲート口を経由して前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内を減圧する工程、
(d)前記第1の金型と前記第2の金型とを前記第1のクランプ圧力で締めた状態で、前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内の減圧を止めて、前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される樹脂流入経路および前記第1のゲート口を経由してポット部から前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内に、前記半導体チップを封止する樹脂を流入する工程、
(e)前記工程(d)の後、前記第1の金型と前記第2の金型とを前記第1のクランプ圧力よりも低い第2のクランプ圧力で締めて、前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される前記樹脂流入経路および前記ゲート口を経由して前記ポット部から前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内に前記樹脂を流入する工程、
(f)前記工程(e)の後、前記第1の金型と前記第2の金型とを前記第1のクランプ圧力よりも高い第3のクランプ圧力で締める工程。 - 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記工程(e)では前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内の残存エアが排気されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
-
以下の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法;
(a)複数の第1のキャビティ部と、前記第1のキャビティ部のコーナの1箇所に設けられた第1のゲート口とを備える第1の金型と、複数の第2のキャビティ部を備える第2の金型とを有するモールド金型を準備する工程、
(b)半導体チップがボンディングされたリードフレームを準備する工程、
(c)前記第1の金型と前記第2の金型との間に前記リードフレームを装着して前記第1の金型と前記第2の金型とを第2のクランプ圧力で締めて、前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される排気経路および前記第1のゲート口を経由して前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内を減圧する工程、
(d)前記第1の金型と前記第2の金型とを前記第2のクランプ圧力で締めた状態で、前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内の減圧を止めて、前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される樹脂流入経路および前記第1のゲート口を経由してポット部から前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内に、前記半導体チップを封止する樹脂を流入する工程、
(e)前記工程(d)の後、前記第1の金型と前記第2の金型とを前記第2のクランプ圧力よりも高い第3のクランプ圧力で締める工程。 - 請求項1または3記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2のキャビティ部には、前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内のエアを逃がすエアベント部が形成されていないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1または3記載の半導体装置の製造方法において、前記第2の金型に備わる前記第2のキャビティ部のコーナの1箇所に、前記第1の金型に備わる前記第1のキャビティ部のコーナに設けられた前記第1のゲート口と対応する位置に第2のゲート口が設けられていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1または3記載の半導体装置の製造方法において、前記第1の金型と前記第2の金型とを前記第2のクランプ圧力で締めた状態では、前記第2の金型の下面のリードフレーム押え面と前記リードフレームの上面との間に隙間が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項6記載の半導体装置の製造方法において、前記隙間の距離が2〜5μmであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記リードフレームを挟む前記第1のクランプ圧力は55〜155MPaであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1または3記載の半導体装置の製造方法において、前記リードフレームを挟む前記第2のクランプ圧力は1〜55MPaであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1または3記載の半導体装置の製造方法において、前記リードフレームを挟む前記第3のクランプ圧力は155MPa以上であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1または3記載の半導体装置の製造方法において、前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される前記排気経路は減圧カル部に接続し、前記工程(b)では、ピン持ち上げ用ブランジャにより前記減圧カル部に備わる減圧開閉駆動ピンを上下駆動させることにより、前記排気経路が開閉することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1または3記載の半導体装置の製造方法において、前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される前記樹脂流入経路は前記ポット部に接続し、前記工程(d)では、前記ポット部に投入された前記樹脂はブランジャにより前記樹脂流入経路へ押し出されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1または3記載の半導体装置の製造方法において、前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される前記排気経路は、前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される前記樹脂流入経路の一部を利用することを特徴とする半導体装置の製造方法。
-
以下の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法;
(a)複数の第1のキャビティ部と、前記第1のキャビティ部のコーナの1箇所に設けられた第1のゲート口とを備える第1の金型と、複数の第2のキャビティ部を備える第2の金型とを有するモールド金型を準備する工程、
(b)単位フレームのパッケージ領域の第1の角部に設けられたゲート部と、前記第1の角部と前記パッケージ領域の中心を原点として対称の位置にある第2の角に設けられ、第1のベントが形成されたフローキャビティ部とを有し、前記パッケージ領域の中央に半導体チップがボンディングされたリードフレームを準備する工程、
(c)前記第1の金型の前記第1のゲート口と前記リードフレームの前記ゲート部との位置を対応させて、前記第1の金型と前記第2の金型との間に前記リードフレームを装着する工程、
(d)前記第1の金型と前記第2の金型とを締めることにより形成される樹脂流入経路および前記第1のゲート口を経由してポット部から前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内に前記半導体チップを封止する樹脂を流入し、前記リードフレームの前記フローキャビティ部に形成された前記第1のベントから前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内のエアを排気する工程。 - 請求項14記載の半導体装置の製造方法において、前記第1のベントの深さは前記リードフレームの板厚の50%程度であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項14記載の半導体装置の製造方法において、前記第1のベントは前記リードフレームの表面のみに形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項14記載の半導体装置の製造方法において、前記第1のベントは前記リードフレームの裏のみに形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項14記載の半導体装置の製造方法において、前記第1のベントは前記リードフレームの表と裏の両面に形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項14記載の半導体装置の製造方法において、さらに、前記リードフレームは、前記単位フレームの前記パッケージ領域の前記第1および前記第2の角部とは異なる他の角部に孔が形成され、前記孔に繋がる第2のベントが形成されたレジン溜め部を有し、
前記(d)工程において、前記リードフレームの前記フローキャビティ部に形成された前記第1のベントおよび前記リードフレームの前記レジン溜め部に形成された前記第2のベントから前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内のエアを排気することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項19記載の半導体装置の製造方法において、前記フローキャビティ部に形成される前記第1のベントの断面積と、前記レジン溜め部に形成される前記第2のベントの断面積とが同じであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項19記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2のベントの深さは前記リードフレームの板厚の50%程度であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項19記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2のベントは前記リードフレームの表面のみに形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項19記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2のベントは前記リードフレームの裏のみに形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
-
請求項19記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2のベントは前記リードフレームの表と裏の両面に形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項14または19記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2のキャビティ部には、前記第1のキャビティ部と前記第2のキャビティ部とで形成される型内のエアを逃がすエアベント部が形成されていないことを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項14または19記載の半導体装置の製造方法において、前記第2の金型に備わる前記第2のキャビティ部のコーナの1箇所に、前記第1の金型に備わる前記第1のキャビティ部のコーナに設けられた前記第1のゲート口と対応する位置に第2のゲート口が設けられていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項14または19記載の半導体装置の製造方法において、前記リードフレームの前記パッケージ領域の前記第1および第2の角部に、吊りが形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項27記載の半導体装置の製造方法において、前記吊りはY字形状であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項27記載の半導体装置の製造方法において、前記吊りは十字形状であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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---|---|---|---|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20091225 |