JPWO2007072896A1 - 急性冠症候群の予後予測方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、急性冠症候群の予後予測のための診断用マーカーを提供することを目的とする。本発明に従って、血中における可溶性LOX−1の濃度を測定することにより、急性冠症候群の再発リスクの予測が可能となる。
Description
本発明は、将来の急性冠症候群の再発リスクを予測する方法及びこの方法を実施するためのキットに関する。
不安定狭心症から急性心筋梗塞、さらにはこれらに合併する心臓性突然死までの一連の病態は包括的に急性冠症候群(ACS)と呼ばれる。いずれも心臓に栄養を供給する冠動脈の動脈硬化により生じた粥腫(プラーク)が崩壊し、これに血栓が付着した結果、冠動脈の狭窄や閉塞が生じて発症するとされる。現代社会において、急性冠症候群は増加の一途をたどっているが、その大部分は何の前兆もなく突然に発症するため、救命できず突然死の経過をたどることも多い。また、たとえ速やかに病院に収容された場合でも、救命のために緊急心臓手術、緊急経皮経管冠動脈血管形成術(PCI)等が必要になることも多く、その医療経済上の負担は計り知れない。
抗血小板剤や、コレステロール低下剤(スタチン)などの治療により、急性冠症候群の再発はある程度は防止できるようになったが、それでも大規模臨床試験の示すところでは、スタチンによる再発症の減少は30%程度であり、残りの70%の患者ではこのような薬物での治療でも予防できていないことになる。したがって急性冠症候群の再発症を完全に阻止する新しい治療法が期待されるが、現在のところこのような治療法はない。このような状況下においては、発症リスクの高い症例を正確に同定し、集中的に管理することで発症を未然に防ぐか、それができなかったとしても病院外での突然の発症を防ぐことが救命と予後の改善のためには有用であろうと考えられる。
現在のところ臨床の現場においては、冠動脈造影・左室造影を含む心臓カテーテル検査や心エコーなどの機器検査を行う、もしくはバイオマーカーを利用することによって再発の予知を行っている。しかし、前者は時間・コスト面から診断として簡便に行えるものではなく患者の負担も決して軽くない。また再発予知という観点からは完全な情報を提供しない。例えば、冠動脈造影での冠動脈の狭窄度では、発症の危険を予知できないことがすでにこれまでの研究で示されている(後記非特許文献4)。後者においては、トロポニンT、H−FABP、高感度CRPなど急性期のマーカーや、総コレステロール、トリグリセリド、HDLコレステロール、レムナント様リポタンパク質(RLP)コレステロールなどの危険因子としてのマーカーが利用されているが、その感度・特異度から、再発予知のためのマーカーとしての効果については満足できるものではなかった(後記非特許文献5)
急性冠症候群の発症は、粥状動脈硬化プラークの破綻あるいは糜爛に続発して生じる閉塞性の血栓形成に起因することが近年明らかになってきた。プラークの破綻、糜爛には血管壁内での催炎症反応、酸化ストレスが重要な役割を担うことが示されてきたが、中でも酸化変性を受けたLDL(低比重リポタンパク質)により惹起された、プロテアーゼ活性の増加及びアポトーシス(細胞死)を中心とする血管壁の機能障害がその主要な原因として知られている。LOX−1(Lectin−like oxidized low−density lipoprotein receptor−1:レクチン様酸化低比重リポタンパク質受容体−1)は、この酸化LDLの受容体タンパク質として同定されたものである(後記非特許文献1)。このLOX−1は、生体内において通常膜タンパク質として細胞表面に発現しているが、プロテアーゼの作用により膜貫通部近傍の細胞外ドメインにて切断されて可溶性(soluble)LOX−1として血中に遊離することが知られている(後記非特許文献2)。また急性冠症候群の急性期(acute phase)においては、この可溶性LOX−1の血中濃度が著明に上昇することから、急性冠症候群の一次的診断マーカーとしての可能性が報告されている(後記非特許文献3)。しかし、急性冠症候群の再発を予測するためのマーカーとしての可能性については未知であった。
Nature、 1997、Vol.386、p73−77 Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.、2000、20(3)、p715−720 Circulation、2005、112(6)、p812−818 Levine GN等、 N.Engl.J.Med.、1995年、第332巻、512〜521ページ:Libby、 Circulation、 1995年、第91巻、2844〜2850頁 M.Panteghini、Role and importance of biochemical markers in clinical cardiology:European Heart J.(2004)25、1187−1196
Nature、 1997、Vol.386、p73−77 Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.、2000、20(3)、p715−720 Circulation、2005、112(6)、p812−818 Levine GN等、 N.Engl.J.Med.、1995年、第332巻、512〜521ページ:Libby、 Circulation、 1995年、第91巻、2844〜2850頁 M.Panteghini、Role and importance of biochemical markers in clinical cardiology:European Heart J.(2004)25、1187−1196
急性冠症候群の再発を未然に防ぐため、感度が高い予後予測方法を提供することが本発明の目的である。
本発明者らは、急性冠症候群に罹患した患者について約7年間における予後の追跡調査を行ない、可溶性LOX−1の血中濃度と急性冠症候群の再発率との関係を調べた。そして、可溶性LOX−1の濃度と急性冠症候群の再発率との間には高い相関があることを見出した結果、本発明を完成させた。
本発明に従って被験者由来の被検試料に含まれる可溶性LOX−1濃度を測定することにより、急性冠症候群の再発を予知することが可能となる。
本発明は、被検者由来の被検試料における可溶性LOX−1の濃度を測定する工程を含む、その測定値を急性冠症候群が再発する可能性の指標とする、急性冠症候群を再発する可能性の高い被検者の選別方法に関するものである。また、本発明は、被検者由来の被検試料における可溶性LOX−1の濃度を測定する工程を含み、ここで、被検試料における濃度が、基準値よりも大きくなる場合、前記被検者に急性冠症候群が再発する可能性が高いことを指標とする、急性冠症候群を再発する可能性が高い被検者の選別方法に関するものである。この方法を用いれば、急性冠症候群を再発する可能性が高い被検者を容易に選別、もしくはその発症リスクを予測することができる。
具体的には、本発明には、被検者に由来する試料中の可溶性LOX−1の濃度を測定する工程が含まれる。「被検者」は特に限定されないが、健常人のほかに急性冠症候群に罹患している者(測定の結果、罹患していたことが判明した者も含む)や、急性冠症候群に罹患していると疑われる者が好ましい。
上記被検者から試料(以下、「被検試料」という)を採取する。被検試料には、尿、全血、血漿、血清、または血液に由来するものが含まれるが、血清や血漿が好ましい。
次いで、上記被検試料における可溶性LOX−1の濃度を測定する。本発明の可溶性LOX−1は、例えば、配列番号1のアミノ酸配列で示されるヒトLOX−1の細胞外ドメインの一部が、プロテアーゼにより切断されることにより生じる。そして切断箇所の違いによって種々の可溶性LOX−1が血中に存在する。このようなアミノ酸配列の具体例としては、例えば配列番号2や3に記載したものが挙げられるが、これらに1〜5個のアミノ酸が欠失、付加、あるいは置換されたものでもよい。このとき、可溶性LOX−1の濃度は当業者に周知の種々の方法(例えば、ウェスタンブロット法、ラジオイムノアッセイ)により測定することが可能であるが、一般にはヒト可溶性LOX−1と特異的に結合する抗体または抗体断片を用いるELISA法が望ましい。抗体は、可溶性LOX−1ポリペプチドまたはその一部を特異的に認識するものである。このような抗体は常法を用いて(例えば、新生化学実験講座1、タンパク質1、389ページ、1992年)得ることができる。また、公知の方法(単クローン抗体、講談社サイエンティフィック、1983年)に従えば、モノクローナル抗体を得ることもできる。そして、かかる抗体は、被検試料中の可溶性LOX−1濃度を測定するための診断キットの構成品として、また診断用マーカーとして使用することも可能である。
ELISA法につき詳述すれば、その原理は酵素免疫測定法に基づいている。即ち、この方法によれば、例えば、まず固体支持体(例えばプレート)に抗ヒト可溶性LOX−1抗体、好ましくはモノクローナル抗体(第1抗体)を固相化し、更に非特異吸着を防ぐために非特異的タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)でブロッキングを行う。次に、上記固相化プレートにヒト可溶性LOX−1標準液又は被検試料を加えて反応させる。反応後、プレートを洗浄し、酵素マーカーで標識した抗ヒト可溶性LOX−1抗体(第2抗体)を加えて反応させる。プレートを洗浄後、基質を加えて酵素反応を行い、プレートに残った酵素活性を吸光度として読みとる。
上記において、第1抗体としてポリクローナル抗体を、第2抗体としてモノクローナル抗体を用いることもできる。上記方法に従えば、用いる標準液又は被検試料中の可溶性LOX−1濃度が高いほど、強い酵素活性(吸光度)が認められる。上記標準液の吸光度をプロットして標準曲線(検量線)を作成し、被検試料の吸光度を該標準曲線と対比させれば、被検試料中に含まれる可溶性LOX−1の濃度を簡便に読みとることができる。この値を、予め設定した基準値(カットオフ)と比較することにより被検試料の提供者である被検者の急性冠症候群に罹患する可能性を判断することができる。
具体的には、得られた測定値を、基準値と比較し基準値より高い場合、被検者は急性冠症候群を再発する可能性が高い群、即ち高リスク群として選別されることになる。基準値は被検者の年齢、性別、罹患している他の疾患等にも依存するが、当業者であれば個々の患者について許容できる擬陽性または擬陰性結果に応じて別の基準値を設定することができる。例えば、後述の実施例3の結果などから判断して被検者から血清を採取し、被検試料とした場合にその基準値として、3ng/mlと設定することができる。そして、この基準値を越える被検者においては急性冠症候群が再発するリスクは非常に高いといえる。また、過去に急性冠症候群に罹患したことがないランダムなヒト対照群における測定値や、同一患者において以前に測定した値を基準値として、リスクの予測に利用することができる。
かくして、本発明は急性冠症候群の再発を予測する上で極めて有用な判断材料を提供するものである。
本発明の一つの側面は、可溶性LOX−1の濃度を測定する工程を含む、急性冠症候群を再発する可能性が高い被検者の選別方法を提供することである。
本発明の別の側面は、可溶性LOX−1の急性冠症候群の再発診断用マーカーとしての使用である。
本発明の別の側面は、上記方法において使用される、ヒト可溶性LOX−1と特異的に結合する抗体または抗体断片を含むキットの提供である。以下、本発明キット及びこれを利用して被検試料中の可溶性LOX−1濃度を測定する方法につき詳述し、本発明をさらに明らかにする。
本発明の一つの側面は、可溶性LOX−1の濃度を測定する工程を含む、急性冠症候群を再発する可能性が高い被検者の選別方法を提供することである。
本発明の別の側面は、可溶性LOX−1の急性冠症候群の再発診断用マーカーとしての使用である。
本発明の別の側面は、上記方法において使用される、ヒト可溶性LOX−1と特異的に結合する抗体または抗体断片を含むキットの提供である。以下、本発明キット及びこれを利用して被検試料中の可溶性LOX−1濃度を測定する方法につき詳述し、本発明をさらに明らかにする。
本発明キットを利用した測定法において、被検試料としては血清や血漿が好ましく、これらは被検者より採血後に、常法に従い調製できる。
本発明に係わるキットは、ヒト可溶性LOX−1に対するモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体(抗ヒト可溶性LOX−1抗体)を必須成分として、これと可溶性LOX−1に対するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のそれぞれとの組み合わせ、あるいは2種類のモノクローナル抗体の組み合わせを含有していることが好ましい。
プレート上に固定化する抗体はモノクローナル抗体が好ましく、予め固定化されたプレート形態として用いられるのがよい。また、アフィニィティゲル形態としてそのまま用いることができ、また該ゲルを振とう及び遠心分離が可能であってアフィニィティゲル非結合フラクションを除去可能な適当な容器もしくはテストチューブに調製して用いることもできる。
本発明に係わるキットは、ヒト可溶性LOX−1に対するモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体(抗ヒト可溶性LOX−1抗体)を必須成分として、これと可溶性LOX−1に対するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のそれぞれとの組み合わせ、あるいは2種類のモノクローナル抗体の組み合わせを含有していることが好ましい。
プレート上に固定化する抗体はモノクローナル抗体が好ましく、予め固定化されたプレート形態として用いられるのがよい。また、アフィニィティゲル形態としてそのまま用いることができ、また該ゲルを振とう及び遠心分離が可能であってアフィニィティゲル非結合フラクションを除去可能な適当な容器もしくはテストチューブに調製して用いることもできる。
また予め適当な緩衝液で上記固相化プレート又はゲルを平衡化しておくことも好ましい。更に上記固相化プレート又はゲルには、プロクリン150等の通常の保存剤を含ませることができる。更なる本発明キット成分としてELISAのための第2抗体として、酵素標識した抗ヒト可溶性LOX−1抗体を供給するのがより好ましい。尚、本発明キットには、必要に応じてウシ血清アルブミン等の安定化剤及び/又は保存剤を添加配合することができる。この保存剤はキットの使用に際し、実験値に影響を与えないものから選択される。
また本発明キットには、吸着防止のための3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸等の界面活性剤や、水溶性もしくは水と混和し得るグリセリン、アルコール類、グリコール類等を含有させること、及び脱脂質のためのエタノールとジエチルエーテル、クロロホルムとメタノールのような混合有機溶媒等を含有させることもできる。
実施例1
(1)可溶性LOX−1を認識するポリクローナル抗体の作製
ヒトLOX−1細胞外ドメイン(hisタグ付き)発現大腸菌を培養し、この大腸菌からNi−NTAゲルカラムにより、ヒトLOX−1細胞外ドメインタンパク質を精製した。本タンパク質約0.8mg/mlを含む生理食塩液を、等量のフロインドコンプリートアジュバントと良く混和してエマルジョンとした。このエマルジョン0.5mlをウサギ(日本白色種、雌性)の背部に3週間隔で6回免疫した。最終免疫終了後、10日目に全採血を行って、抗血清を得た。
(1)可溶性LOX−1を認識するポリクローナル抗体の作製
ヒトLOX−1細胞外ドメイン(hisタグ付き)発現大腸菌を培養し、この大腸菌からNi−NTAゲルカラムにより、ヒトLOX−1細胞外ドメインタンパク質を精製した。本タンパク質約0.8mg/mlを含む生理食塩液を、等量のフロインドコンプリートアジュバントと良く混和してエマルジョンとした。このエマルジョン0.5mlをウサギ(日本白色種、雌性)の背部に3週間隔で6回免疫した。最終免疫終了後、10日目に全採血を行って、抗血清を得た。
(2)酵素標識抗体の作製
酵素(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)4.61mgを0.1mol/lリン酸塩緩衝液(pH6.0)0.4mlに溶かし、そこにスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート0.4mgを加えて30℃で60分間反応させた.反応液をゲルろ過カラムにより精製しマレイミド化酵素3.10mgを得た。
酵素(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)4.61mgを0.1mol/lリン酸塩緩衝液(pH6.0)0.4mlに溶かし、そこにスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート0.4mgを加えて30℃で60分間反応させた.反応液をゲルろ過カラムにより精製しマレイミド化酵素3.10mgを得た。
一方、抗血清のIgG画分をペプシン消化した後、ゲルろ過カラムにて精製しF(ab’)2画分を得た。さらにF(ab’)2画分をメルカプトエチルアミンにて還元し、ゲルろ過HPLCで精製してFab’画分を得た。
得られたマレイミド化酵素3.10mgとFab’画分3.11mgを0.1mol/lリン酸塩緩衝液(pH6.0)0.52ml中4℃で18時間反応させた後、ゲルろ過HPLCで精製して酵素標識抗体3.47mgを得た。得られた酵素標識抗体のFab’画分1分子あたりに導入された酵素分子は、平均1.0個であった。防腐剤としてプロクリン150を0.1vol%となるよう酵素標識抗体溶液に添加した後、分注し−80℃で凍結保管した。
得られたマレイミド化酵素3.10mgとFab’画分3.11mgを0.1mol/lリン酸塩緩衝液(pH6.0)0.52ml中4℃で18時間反応させた後、ゲルろ過HPLCで精製して酵素標識抗体3.47mgを得た。得られた酵素標識抗体のFab’画分1分子あたりに導入された酵素分子は、平均1.0個であった。防腐剤としてプロクリン150を0.1vol%となるよう酵素標識抗体溶液に添加した後、分注し−80℃で凍結保管した。
(3)抗体固相化プレートの作製
抗血清のIgG画分0.1mgを0.1vol%プロクリン150を含む0.1mol/lリン酸塩緩衝液(pH7.0)10mlに加え混合後、96穴マイクロプレートの各ウェルに0.1ml添加し、室温で一夜静置した。測定緩衝液(0.5g/dlウシ血清アルブミン、0.1g/dl 3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸及び0.1vol%プロクリン150を含む0.1mol/lリン酸塩緩衝液、pH7.0)約0.2mlで2回洗浄し、さらに測定緩衝液0.2mlを加えて室温で2時間以上ブロッキングした。
抗血清のIgG画分0.1mgを0.1vol%プロクリン150を含む0.1mol/lリン酸塩緩衝液(pH7.0)10mlに加え混合後、96穴マイクロプレートの各ウェルに0.1ml添加し、室温で一夜静置した。測定緩衝液(0.5g/dlウシ血清アルブミン、0.1g/dl 3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸及び0.1vol%プロクリン150を含む0.1mol/lリン酸塩緩衝液、pH7.0)約0.2mlで2回洗浄し、さらに測定緩衝液0.2mlを加えて室温で2時間以上ブロッキングした。
(4)ELISA
抗体固相化プレートのウェルに測定緩衝液0.1ml及び標準試料溶液又はヒト血清試料0.01mlを加えて室温で2時間インキュベーションした後、測定緩衝液約0.2mlで2回洗浄した。次いで、酵素標識抗体溶液希釈液(約900ng/ml)0.1mlを加え、室温で16時間インキュベーションし、測定緩衝液約0.2mlで2回洗浄した後、基質液(たとえばTMB+、DAKO製)0.1mlを加え遮光下室温で正確に30分間静置した。さらに0.5mol/l硫酸0.1mlで反応を停止させ、450nmの吸光度をプレートリーダーで測定した。
(5)ELISAの標準曲線
ヒト血清中の可溶性LOX−1を定量限界1ng/ml、定量範囲1 〜 100ng/mlで測定可能なELISA法を確立した。標準曲線の例を図1に示す。
抗体固相化プレートのウェルに測定緩衝液0.1ml及び標準試料溶液又はヒト血清試料0.01mlを加えて室温で2時間インキュベーションした後、測定緩衝液約0.2mlで2回洗浄した。次いで、酵素標識抗体溶液希釈液(約900ng/ml)0.1mlを加え、室温で16時間インキュベーションし、測定緩衝液約0.2mlで2回洗浄した後、基質液(たとえばTMB+、DAKO製)0.1mlを加え遮光下室温で正確に30分間静置した。さらに0.5mol/l硫酸0.1mlで反応を停止させ、450nmの吸光度をプレートリーダーで測定した。
(5)ELISAの標準曲線
ヒト血清中の可溶性LOX−1を定量限界1ng/ml、定量範囲1 〜 100ng/mlで測定可能なELISA法を確立した。標準曲線の例を図1に示す。
実施例2
急性冠症候群発症後の再発の予見における可溶性LOX−1の有用性
急性冠症候群患者(107例)から、急性冠症候群初発時の急性期に採取した末梢静脈血に含まれる可溶性LOX−1の濃度を、上記ELISA法により測定した。全ての患者については、その後の臨床経過を最長で約7年間追跡しており、この結果に基づいて、急性冠症候群が再発(それによって死亡した患者も含む)した患者群(15例)と非発症である患者群(88例)に分けた。そして各群と可溶性LOX−1濃度の相関関係について、クラスカル−ウォリスによる検定(新版 医学への統計学、朝倉書店、1993年)を行った。
また、現在臨床において急性冠症候群の一次マーカーとして使用されている血中高感度CRP値(71例)、血中トロポニンT濃度(89例)、左室駆出分画(LVEF)(88例)と比較した。なお、トロポニンTについては、電気化学発光イムノアッセイキット(Roche社)により、高感度CRPについてはイムノネフェロメトリーアッセイキット(Dade Behring社)により、そしてLVEFについては心臓超音波法により測定を行った。具体的な測定方法については製造業者の指定に従った。
急性冠症候群発症後の再発の予見における可溶性LOX−1の有用性
急性冠症候群患者(107例)から、急性冠症候群初発時の急性期に採取した末梢静脈血に含まれる可溶性LOX−1の濃度を、上記ELISA法により測定した。全ての患者については、その後の臨床経過を最長で約7年間追跡しており、この結果に基づいて、急性冠症候群が再発(それによって死亡した患者も含む)した患者群(15例)と非発症である患者群(88例)に分けた。そして各群と可溶性LOX−1濃度の相関関係について、クラスカル−ウォリスによる検定(新版 医学への統計学、朝倉書店、1993年)を行った。
また、現在臨床において急性冠症候群の一次マーカーとして使用されている血中高感度CRP値(71例)、血中トロポニンT濃度(89例)、左室駆出分画(LVEF)(88例)と比較した。なお、トロポニンTについては、電気化学発光イムノアッセイキット(Roche社)により、高感度CRPについてはイムノネフェロメトリーアッセイキット(Dade Behring社)により、そしてLVEFについては心臓超音波法により測定を行った。具体的な測定方法については製造業者の指定に従った。
検定の結果、可溶性LOX−1の血中濃度については、再発症群と非再発症群において、P<0.003と統計学的に有意性を示した(図2)。一方その他のマーカーや検査法については、血中高感度CRP値(0.348)、血中トロポニンT濃度(0.782)、左室駆出分画(LVEF)(0.782)といずれも有意性を示さなかった(図3〜5)。このように、可溶性LOX−1については、その他のマーカーや検査法と異なり、急性冠症候群の再発(再発に基づく死亡も含む)と高い相関を示すことがわかる。
実施例3
可溶性LOX−1について、再発もしくは死亡までの時間も考慮に入れた統計処理に基づき、カプラン−マイヤー曲線(新版 医学への統計学、朝倉書店、1993年)を求めた。カットオフを3ng/mlおよびは5ng/mlに設定した。その結果、いずれの場合も、陽性(カットオフ値よりも高い値)の患者群は、陰性(カットオフ値よりも低い値)の患者群よりも、高い頻度で早期の急性冠症候群の再発もしくは再発による死亡例がみられた(図6、図7)。
これらの結果は、可溶性LOX−1は、一次的診断マーカーとしてのみならず急性冠症候群の再発予測(予後予測)のマーカー(二次的診断マーカー)としても有用であることを示すものである。
可溶性LOX−1について、再発もしくは死亡までの時間も考慮に入れた統計処理に基づき、カプラン−マイヤー曲線(新版 医学への統計学、朝倉書店、1993年)を求めた。カットオフを3ng/mlおよびは5ng/mlに設定した。その結果、いずれの場合も、陽性(カットオフ値よりも高い値)の患者群は、陰性(カットオフ値よりも低い値)の患者群よりも、高い頻度で早期の急性冠症候群の再発もしくは再発による死亡例がみられた(図6、図7)。
これらの結果は、可溶性LOX−1は、一次的診断マーカーとしてのみならず急性冠症候群の再発予測(予後予測)のマーカー(二次的診断マーカー)としても有用であることを示すものである。
本発明は、今後患者数の増加が予想される急性冠症候群の再発リスクの高い患者を正確に同定し集中的に管理することが可能となる。
Claims (6)
- 被検者由来の被検試料における可溶性LOX−1の濃度を測定する工程を含む、その測定値を急性冠症候群が再発する可能性の指標とする、急性冠症候群を再発する可能性の高い被検者の選別方法。
- 前記測定値が、基準値よりも大きくなる場合、前記被検者に急性冠症候群が再発する可能性が高いことの指標とする、請求項1記載の選別方法。
- 前記測定がヒト可溶性LOX−1と特異的に結合する抗体または抗体断片を用いて行うものである請求項1または2のいずれかに記載の方法。
- 前記測定がELISAによるものである請求項3記載の方法。
- 請求項1から4のいずれかの方法に使用するためのキット。
- 可溶性LOX−1の急性冠症候群の再発診断用マーカーとしての使用。
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