以下においては、本発明の第1ないし第11の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態について、図1および図7を参照して説明する。
図1および図2に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1は、センサおよびランセットとしての機能を併せ持つものであり、樹脂成型体10および一対の電極11,12を備えている。
樹脂成型体10は、全体が樹脂成型により一体的に形成されており、本体部13および針部14を有している。
本体部13は、毛細管力を作用させる内部空間15を有するものであり、この内部空間15に試薬部16が形成されている。試薬部16は、本体部13に供給された血液により溶解するものであり、たとえば酸化還元酵素および電子伝達物質を含んでいる。このような試薬部16は、たとえば酸化還元酵素および電子で伝達物質を含む材料液を本体部13の内部空間15に保持させた後に、送風乾燥あるいは凍結乾燥などにより材料液を乾燥させることにより形成することができる。
針部14は、皮膚を切開するときに皮膚を穿刺するためのものであるとともに、皮膚から出液した血液を採取するためのものである。この針部14は、中空状に形成されており、針部14の内部においても、毛細管力が生じるように構成されている。針部14の内部は、本体部13の内部空間15に連通しており、皮膚から出液した血液に針部14の先端部を接触させた場合には、針部14および本体部13に生じる毛細管力により、針部14から血液が採取されるとともに、その血液が本体部13の内部空間15に供給される。内部空間15に血液が供給された場合には、血液によって試薬部16が溶解させられて内部空間15に液相反応系が構築される。
一対の電極11,12は、本体部13の内部空間15に構築される液相反応系に電圧を印加し、そのときの応答電流を測定するためのものである。各電極11,12は、本体部13の内部空間15において表面17が臨んでいるとともに、本体部13の突出部18において外部に露出している。各電極11,12は、内部空間15において試薬部16と接触しているとともに、突出部18において、後述する穿刺装置2のコネクタ22(図3および図4参照)と接触可能とされている。このような電極11,12は、たとえば金属板を、樹脂成型体10にインサート成型することにより形成することができる。
図3および図4に示したように、センサーランセット一体型デバイス1は、穿刺装置2に装着して使用される。穿刺装置2は、筐体20の内部に、移動機構21、コネクタ22、および制御板23を備えている。
筐体20は、各種の要素を収容するとともに、装置の外観形状を規定するものであり、開口20A,20Bを有している。開口20Aは、キャップ24により覆われる部分である。キャップ24は、開口20Aを規定するフランジ20Cにおいて、取り外し可能に固定されている。開口20Bは、操作ボタン25の移動を許容するものである。操作ボタン25は、測定開始の信号を生成させるためのものである。
移動機構21、デバイス1を移動させるためのものであり、ロッド26およびアクチュエータ27を備えている。ロッド26は、コネクタ22に接続されており、たとえば金属などの導体により断面円形状に形成されている。アクチュエータ27は、ロッド26を上下方向に往復移動させるためのものである。アクチュエータ27は、たとえばボイスコイルモータやソレノイドによりロッド26を移動させるように構成されている。このアクチュエータ27は、制御板23に導通接続されている。移動機構21は、モータの回転運動をロッド26の直線運動に変える構成であってもよい。
コネクタ22は、デバイス1の電極11,12間に電圧を印加するとともに、そのとき応答電流を測定するためのものである。このコネクタ22はまた、デバイス1を保持する役割をも有している。コネクタ22は、ホルダ部28および一対の端子29を備えている。ホルダ部28は、ロッド26に連結されており、ロッド26とともに上下方向に移動可能とされている。端子29は、端部においてデバイス1の電極11,12に接触するであり、ホルダ部28に固定されている。端子29は、制御板23に導通接続されているとともに、板バネとして構成されている。すなわち、端子29をデバイス1の電極11,12に接触させた状態では、端子29の弾性力によって、電極11,12ひいてはデバイス1に押圧力を作用させられる。その結果、デバイス1は、コネクタ22に保持される。
制御板23は、ロッド26の上下動、端子29に対する電圧の印加状態、あるいは端子29を介しての応答電流値の測定などを制御するためのものである。たとえば、操作ボタン25を押下することにより、図外のスイッチがオンされ、測定開始信号が生成され、その信号は制御板23に供給される。これにより、制御板23によってロッド26の所定の上下運動をさせられるとともに、端子29を介してデバイス1の電極11,12間に電圧が印加される。その一方で、制御板23は、端子29を利用して、応答電流値を把握するとともに、血液などの体液中のグルコースなどの特定成分の濃度を演算する。
次に、デバイス1および穿刺装置2を用いた測定動作について、図5および図6を参照して説明する。以下の説明においては、指示図面とともに、必要に応じて図1ないし図3をも参照するものとする。
図5に示したように、まず筐体20からキャップ24を外した状態とし、開口20Aを開放しておく。この状態において、コネクタ22にデバイス1を差し込む。コネクタ22にデバイス1を差し込んだ場合には、コネクタ22の端子29がデバイス1の電極11,12に接触するとともに端子29がデバイス1に押圧力を作用させ、デバイス1がコネクタ22に保持される(図4参照)。デバイス1の装着後においては、キャップ24をフランジ20Cに装着し、キャップ24により開口20Aを覆って図3に示した状態とする。
次いで、図6Aに示したように、キャップ24の先端を皮膚Skに接触させた状態として、操作ボタン25を押下する。これにより、測定開始信号が生成され、その信号が制御板23に供給される。制御板23は、先の信号を検出した場合には、アクチュエータ27を制御してロッド26を下動させる。これにより、コネクタ22およびデバイス1は、ロッド26とともに下動させられる。制御板23は、デバイス1の針部14の先端が皮膚Skに接触したときに、そのときまでのロッド26の移動距離を把握する。すなわち、制御板23は、図3に示した状態から皮膚Skまでの距離を把握する。なお、デバイス1における針部14の先端が皮膚に接触したか否かは、たとえば圧力センサなどによりロッド26に作用する負荷が大きくなる時点を検出することにより行なうことができる。
図6Bに示したように、制御板23はさらに、ロッド26ひいてはデバイス1を下動させ、デバイス1の針部14によって皮膚Skを穿刺する。
図6Cに示したように、制御板23は、針部14による皮膚Skの穿刺後においては、アクチュエータ27を制御して、ロッド26ひいてはデバイス1を上動させて皮膚Skから針部14を抜き取る。このとき、皮膚Skにおける穿刺部位は、針部14によって切開されているため、穿刺部位からは血液BLが出液する。
次いで、図6Dに示したように、制御板23は、アクチュエータ27を制御してロッド26ひいてはデバイス1を下動させ、デバイス1の針部14を皮膚Skに接触させる。ここで、デバイス1の針部14は、図6Aに示した動作において皮膚Skまでの距離が把握されているために、皮膚Skに対して適切に接触させられる。皮膚Skからは、穿刺部位から血液BLが出液しているため、針部14の先端は血液BLと接触させられる。一方、針部14は、上述のように毛細管力が作用するようになされているため、皮膚Skから出液した血液BLは、針部14を介してデバイス1の内部空間15に導入される。内部空間15もまた毛細管力が作用するものであるため、内部空間15は血液BLによって満たされる。このとき、試薬部16が溶解させられ、内部空間15には試薬と血液とを含む反応系が形成される。
一方、制御板23は、操作ボタン25の押下による信号を検出した場合には、端子29の間に電圧を印加する。そのため、内部空間15の反応系には電圧が印加される。これにより、端子29によって応答電流が測定される。制御板23はさらに、端子29によって測定される応答電流に基づいて、血液中の特定成分の濃度を演算する。このような演算は、公知に手法、たとえば応答電流値と濃度との関係を示す検量線に基づいて行なうことができる。
次に、デバイス1および穿刺装置2を用いた採血動作の他の例について、図7Aないし図7Dを参照して説明する。以下の説明においては、指示図面とともに、必要に応じて図2および図3をも参照するものとする。
まず、図7Aおよび図7Bに示したように、制御板23によってアクチュエータ27を制御してロッド26を下動させ、皮膚Skにデバイス1の針部14を突き刺す。この過程においては、針部14の先端を皮膚Skに接触したときに(図7Aに示した状態)、そのときまでのロッド26の移動距離を把握する。
次いで、図7Cおよび図7Dに示したように、ロッド26を上動させてデバイス1の針部14を皮膚Skからゆっくりと抜く。そうすることにより、針部14によって切開された皮膚Skの穿刺部位からは、血液BLが出液する。また、デバイス1の上動は、針部14の先端が皮膚Skにおける穿刺部位に接触した状態で停止させられる。これにより、針部14の先端が血液BLに接触し、デバイス1の内部に血液BLが導入される。
採血方法としては、図7Bに示したように、皮膚Skに針部14を突き刺した状態において、針部14の内部において生じる毛細管力により、針部14の内部に血液を導入する方法を採用することもできる。
センサ−ランセット一体型デバイス1では、樹脂成型により針部14が一体的に形成されている。また、電極11,12は、インサート成型により樹脂成型体10に造り込むことができる。そのため、センサ−ランセット一体型デバイス1は、部品点数が少なく、構成が簡易であり、しかも樹脂成型を利用して簡易に製造することができる。その結果、センサ−ランセット一体型デバイス1は、低コストで、1つのデバイスにセンサとしての機能とランセットとしての機能を付与することができる。また、デバイス1が低コストで製造可能であることから、このデバイス1を用いた採血方法では、採血コストを低減することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施の形態について、図8ないし図10を参照して説明する。
図8および図9に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Aは、それぞれ別体として形成されたセンサ10Aおよびランセット11Aを備えている。
センサ10Aは、基板12Aの上面12A′に、一対の電極13A,14Aおよび試薬部15Aが形成されたものである。一対の電極13A,14Aは、先に説明したセンサ−ランセット一体型デバイス1における一対の電極11,12(図1および図2参照)と同様に機能するものであり、カーボンペーストなどを用いたスクリーン印刷などにより形成されている。試薬部15Aは、電極13A,14Aの端部13A′,14A′を橋渡すように形成されている。
ランセット11Aは、全体が樹脂成型により一体的に形成されており、本体部16Aおよび針部17Aを有している。
本体部16Aは、センサ10Aを保持するための内部空間18Aを有している。この内部空間18Aは、高さ寸法がセンサ10Aの厚み寸法よりも大きく形成されており、内部空間18Aにセンサ10Aを収容した状態では、センサ10Aと内部空間18Aを規定する上面18A′との間に隙間19Aが形成される。この隙間19Aは、毛細管力を作用させるためのキャピラリとして機能するものである。
針部17Aは、先に説明したセンサ−ランセット一体型デバイス1における針部14(図1および図2参照)と同様に機能するものであり、本体部16Aと一体的かつ中空状に形成されている。
センサーランセット一体型デバイス1Aは、先に説明したセンサーランセット一体型デバイス1(図1および図2参照)と同様に、図3および図4を参照して説明した穿刺装置2に装着して使用される。すなわち、センサーランセット一体型デバイス1Aでは、穿刺装置2における移動機構21(図3および図4参照)によりデバイス1Aを移動させて針部17Aを皮膚に突き刺して皮膚から血液を採取することができる。皮膚からの血液の採取方法としては、図6を参照して説明した方法、あるいは図7を参照して説明した方法を適用することができる。その一方で、コネクタ22(図3および図4参照)により電極13A,14A間に電圧を印加して応答電流値を測定することにより、血液中の特定成分を分析することができる。
センサ−ランセット一体型デバイス1Aは、樹脂成型により針部17Aがランセット11Aに一体的に形成されているとともに、ランセット11Aにセンサ10Aを保持させることにより、センサとしての機能とランセットとしての機能を併せ持ったものとされている。このように、センサ−ランセット一体型デバイス1Aは、部品点数が少ない簡易な構成とされており、容易かつコスト的に有利に製造することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について、図11ないし図13を参照して説明する。
図11ないし図13に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Bは、センサ10Bおよび針部11Bを備えている。
センサ10Bは、基板12Bおよびカバー13Bの間にスペーサ14Bを介在させたものであり、全体に板状に形成されている。
基板12Bは、その上面12B′に、一対の電極15B,16Bおよび試薬部17Bが形成されたものである。一対の電極15B,16Bは、先に説明したセンサ−ランセット一体型デバイス1における一対の電極11,12(図1および図2参照)と同様に機能するものであり、カーボンペーストなどを用いたスクリーン印刷などにより形成されている。試薬部17Bは、電極15B,16Bの端部15B′,16B′を橋渡すように形成されている。
カバー13Bは、貫通孔18Bを備えたものであり、基板12Bを覆うように配置されている。
スペーサ14Bは、基板12Bとカバー13Bとの間の距離を規定するものであり、スリット19Bを備えている。スリット19Bは、センサ10Bにおけるキャピラリ10B′を規定するものである。キャピラリ10B′は、カバー13Bの貫通孔18Bに連通している。すなわち、キャピラリ10B′の内部の気体は、貫通孔18Bを介して外部に排出することができる。
針部11Bは、先に説明したセンサ−ランセット一体型デバイス1における針部14(図1および図2参照)と同様に機能するものであり、中空状に形成されている。この針部11Bは、樹脂あるいは金属により形成されており、毛細管力が作用するように構成されている。針部11Bは、キャピラリ10B′の入り口において基板12Bとカバー13Bとの間に固定されている。針部11Bの固定は、基板12Bとカバー13Bとの間に針部11Bを挟み込むことにより行なってもよいし、接着剤などを利用して行なってもよい。針部11Bは、キャップ10B″により被覆されている。
このキャップ10B″は、デバイス1Bの使用時に外されるものである。すなわち、デバイス1Bの未使用時において、針部11Bをキャップ10B″により被覆しておくことにより、針部11Bの汚染を防ぐことができる。また、キャップ10B″により針部11Bを被覆した状態で滅菌処理を行なうことにより、針部11Bの滅菌状態をキャップ10B″により適切に維持することができる。キャップ10B″はまた、デバイス1Bの使用後に針部11Bに取り付けることができる。その場合には、針部11Bによって使用者が負傷し、あるいは針部11Bに付着した血液が使用者を汚染することもないので衛生的である。
センサーランセット一体型デバイス1Bは、先に説明したセンサーランセット一体型デバイス1(図1および図2参照)と同様に、図3および図4を参照して説明した穿刺装置2に装着して使用される。すなわち、センサーランセット一体型デバイス1Bでは、穿刺装置2における移動機構21(図3および図4参照)によりデバイス1Bを移動させて針部11Bを皮膚に突き刺して皮膚から血液を採取することができる。皮膚からの血液の採取方法としては、図6を参照して説明した方法、あるいは図7を参照して説明した方法を適用することができる。その一方で、コネクタ22(図3および図4参照)により電極15B,16B間に電圧を印加して応答電流値を測定することにより、血液中の特定成分を分析することができる。
センサ−ランセット一体型デバイス1Bは、樹脂成型により針部11Bが別体として形成されているものの、キャピラリ10B′の入口に針部11Bを固定させることにより、センサとしての機能とランセットとしての機能を併せ持ったものとされている。このように、センサ−ランセット一体型デバイス1Bは、部品点数が少ない簡易な構成とされており、容易かつコスト的に有利に製造することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態について、図14ないし図16を参照して説明する。
図14ないし図16に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Cは、センサ10Cおよびランセット11Cを備えている。
センサ10Cは、先に説明した第3の実施の形態に係るセンサ10B(図11ないし図13参照)と同様なものである。このセンサ10Cは、基板12Cおよびカバー13Cの間にスペーサ14Cを介在させたものであり、キャピラリ10C′を有している。すなわち、基板12Cには、一対の電極15C,16Cおよび試薬部17Cが形成されており、カバー13Cは貫通孔18Cを備えており、スペーサ14Cはスリット19Cを備えている。
ランセット11Cは、針部11C′、ジョイント11C″を備えている。
針部11C′は、先に説明したセンサ−ランセット一体型デバイス1における針部14(図1および図2参照)と同様に機能するものであり、中空状に形成されている。この針部11C′は、樹脂あるいは金属により形成されており、毛細管力が作用するように構成されている。針部11C′の内部は、センサ10Cのキャピラリ10C′に連通している。針部11C′は、ジョイント11C″に対してインサート成形されている。
図14および図16に示したように、針部11Cは、先に説明した第3の実施の形態に係るセンサ10B(図11ないし図13参照)と同様なキャップ10C″により被覆されている。キャップ10C″は、ジョイント11C″を一体的に形成してもよいし、ジョイント11C″とは別体として形成してもよい。このようなキャップ11C″を設けることにより、デバイス1Cの未使用時において、針部11C′の汚染を防ぐとともに針部11C′の滅菌処理を適切に維持することができる。また、デバイス1Cの使用後に針部11C′にキャップ10C″を取り付けることにより、針部11C′による使用者の負傷、あるいは針部11C′に付着した血液による使用者の汚染を防止することができる。
ジョイント11C″は、ランセット11Cをセンサ10Cに固定するためのものである。このジョイント11C″は、センサ10Cの基板12C、カバー13Cおよびスペーサ14Cを挟み込んでいる。
図17に示したように、ランセット11Cは、針部11C′とジョイント11C″とを樹脂成形などにより一体的に形成してもよい。
センサーランセット一体型デバイス1Cは、先に説明したセンサーランセット一体型デバイス1(図1および図2参照)と同様に、図3および図4を参照して説明した穿刺装置2に装着して使用される。すなわち、センサーランセット一体型デバイス1Cでは、穿刺装置2における移動機構21(図3および図4参照)によりデバイス1Cを移動させて針部11C′を皮膚に突き刺して皮膚から血液を採取することができる。皮膚からの血液の採取方法としては、図6を参照して説明した方法、あるいは図7を参照して説明した方法を適用することができる。その一方で、コネクタ22(図3および図4参照)によりデバイス1Cの電極15C,16C間に電圧を印加して応答電流値を測定することにより、血液中の特定成分を分析することができる。
センサ−ランセット一体型デバイス1Cは、センサ10Cとランセット11C(針部11C′)とが別体として形成されているものの、センサ10Cにランセト11Cを固定することにより、センサとしての機能とランセットとしての機能を併せ持ったものとされている。このように、センサ−ランセット一体型デバイス1Cは、部品点数が少ない簡易な構成とされており、容易かつコスト的に有利に製造することができる。
次に、本発明の第5の実施の形態について、図18ないし図20を参照して説明する。
図18ないし図20に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Dは、センサ10Dおよびランセット11Dを備えたている。
センサ10Dは、基板12Dの上面13Dに電極14D,15Dおよび試薬部16Dを形成したものである。
ランセット11Dは、電極14D,15Dの端部14D′,15D′を露出させようにして、センサ10Dを覆うものであり、針部17D、溝18Dおよび貫通孔19Dを有している。このランセット11Dは、センサ10Dに対して、たとえば超音波融着などにより接合されている。もちろん、ランセット10Dは、両面テープや接着剤を用いてセンサ10Dに接合してもよい。
針部17Dは、先に説明したセンサ−ランセット一体型デバイス1における針部14(図1および図2参照)と同様に機能するものであり、毛細管力が作用する中空状に形成されている。この針部11Cは、樹脂あるいは金属により形成されている。針部17Dは、キャップ1D′により被覆されている。キャップ1D′は、たとえばランセット11Dに対して一体的に作りこまれている。針部17Dの内部には、樹脂が充填されている。この樹脂は、キャップ1D′に一体化しており、キャップ1D′を取り外すことにおり、キャップ1D′とともに除去されるものである。このようにして、針部17Dの内部に樹脂を充填すれば、針部17Dの滅菌状態をより一層維持することが可能となる。
図21に示したように、針部17Dは、ランセット11Dに一体的に形成してもよい。その場合、キャップ1D′は、ランセット11Dとは別工程において形成される。図21に示した針部17Dにおいても、針部17Dの内部に樹脂を充填しておくのが好ましい。そうすれば、針部17Dの滅菌状態をより一層維持することが可能となる。
図20に示したように、溝18Dは、センサ10Dにランセット11Dを接合したときにキャピラリ1D″を規定するものである。キャピラリ1D″は、毛細管力を作用させる空間であり、針部17Dの内部および貫通孔19Dに連通している。
貫通孔19Dは、針部17Dの内部およびキャピラリ1D″の内部の気体を排出するためのものである。
センサーランセット一体型デバイス1Dは、先に説明したセンサーランセット一体型デバイス1(図1および図2参照)と同様に、図3および図4を参照して説明した穿刺装置2に装着して使用される。すなわち、センサーランセット一体型デバイス1Dでは、穿刺装置2における移動機構21(図3および図4参照)によりデバイス1Dを移動させて針部17Dを皮膚に突き刺して皮膚から血液を採取することができる。皮膚からの血液の採取方法としては、図6を参照して説明した方法、あるいは図7を参照して説明した方法を適用することができる。その一方で、コネクタ22(図3および図4参照)によりデバイス1Dの電極14D,15Dに電圧を印加して応答電流値を測定することにより、血液中の特定成分を分析することができる。
センサ−ランセット一体型デバイス1Dは、針部17Dを有するランセット11Dをセンサ10Dに接合することにより、センサとしての機能とランセットとしての機能を併せ持ったものとされている。このように、センサ−ランセット一体型デバイス1Dは、部品点数が少ない簡易な構成とされており、容易かつコスト的に有利に製造することができる。
次に、本発明の第6の実施の形態について、図22ないし図24を参照して説明する。
図22ないし図24に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Eは、センサ10Eおよび針部11Eを備えている。
センサ10Eは、基板12Eに対してカバー13E接合したものであり、全体に板状に形成されている。
基板12Eには、一対の電極14E,15Eおよび試薬部16Eが設けられている。一対の電極14E,15Eは、一対の電極15B,16Bは、先に説明したセンサ−ランセット一体型デバイス1における一対の電極11,12(図1および図2参照)と同様に機能するものであり、両面が露出した状態で基板12Eに埋設されている。試薬部16Eは、電極14E,15Eを橋渡すように形成されている。
カバー13Eは、基板12Eを覆うものであり、基板12Eに対して、たとえば超音波融着などにより接合されている。もちろん、カバー13Eは、両面テープや接着剤を用いて基板12Eに接合してもよい。このカバー13Eは、溝16Eおよび貫通孔17Eを有しており、カバー13Eを基板12Eに対して接合したときにキャピラリ18Eが形成される。キャピラリ18Eは、毛細管力を作用させる空間であり、針部11Eの内部に連通している。
針部11Eは、先に説明したセンサ−ランセット一体型デバイス1における針部14(図1および図2参照)と同様に機能するものであり、毛細管力が作用する中空状に形成されている。この針部11Cは、樹脂あるいは金属により形成されており、キャピラリ18Eの入口において、基板12Eおよびカバー13Eの間に固定されている。針部11Bの固定は、基板12Bとカバー13Bとの間に針部11Bを挟み込むことにより行なってもよいし、接着剤などを利用して行なってもよい。針部11Bは、キャップ19Eにより被覆されている。針部11Eはまた、キャップ19Eにより被覆されており、針部11Eの汚染や使用者が負傷することが防止されている。
センサーランセット一体型デバイス1Eは、先に説明したセンサーランセット一体型デバイス1(図1および図2参照)と同様に、図3および図4を参照して説明した穿刺装置2に装着して使用される。すなわち、センサーランセット一体型デバイス1Bでは、穿刺装置2における移動機構21(図3および図4参照)によりデバイス1Bを移動させて針部11Eを皮膚に突き刺して皮膚から血液を採取することができる。皮膚からの血液の採取方法としては、図6を参照して説明した方法、あるいは図7を参照して説明した方法を適用することができる。ただし、穿刺装置のコネクタは、デバイス1Eの電極14E,15Eの構成がデバイス1(図1および図2参照)とは異なることから、それに応じて設計変更される。
センサ−ランセット一体型デバイス1Eは、樹脂成型などにより針部11Eが別体として形成されているものの、キャピラリ18Eの入口に針部11Eを固定させることにより、センサとしての機能とランセットとしての機能を併せ持ったものとされている。このように、センサ−ランセット一体型デバイス1Eは、部品点数が少ない簡易な構成とされており、容易かつコスト的に有利に製造することができる。
次に、本発明の第7の実施の形態について、図25を参照して説明する。
図25に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Fは、センサおよびランセットとしての機能を併せ持つものであり、センサ部10Fおよび針部11Fを備えている。
センサ部10Fは、端子12F,13F、キャピラリ14Fおよび排気口15Fを有している。端子12F,13Fは、外部のコネクタ(図示略)に接触させるためのものであり、電極の一部を構成している。キャピラリ14Fは、毛細管力により血液を吸引し、その血液を保持するためのものであり、血液を導入するための吸引口16Fを備えている。排気口15Fは、キャピラリ14Fに血液を吸引するときに、キャピラリ14Fの内部の気体を排出させるためのものである。
針部11Fは、皮膚を切開するときに皮膚を穿刺するためのものであり、吸引口16Fに隣接した部位において、センサ部10Fの構成要素に対して一体成型されている。この針部11Fは、センサ部10Fの構成要素を樹脂形成により形成するときに、その構成要素と同時に一体成型され、あるいは別体として形成された針をインサート成型することにより、センサ部10Fの構成要素に一体化されている。
センサーランセット一体型デバイス1Fは、先に説明したセンサーランセット一体型デバイス1(図1および図2参照)と同様に、図3および図4を参照して説明した穿刺装置2に装着して使用される。すなわち、センサーランセット一体型デバイス1Fでは、穿刺装置2における移動機構21(図3および図4参照)によりデバイス1Fを移動させて針部11Fを皮膚に突き刺して皮膚から血液を採取することができる。皮膚からの血液の採取方法としては、皮膚に針部11Fを突き刺したままとし、たとえば穿刺装置2の筐体20(図3および図4参照)の内部に負圧を発生させるなどして切開部位から血液を出液させる方法を採用することができる。この場合、キャピラリ14Fの吸引口16Fが針部11Fからずれているが、針部11Fを吸引口16Fに近接させることにより、針部11Fを皮膚から引き抜く際に、適切に吸引口16Fから血液を導入することができる。ただし、穿刺装置2においては、コネクタ22においてデバイス1Fの電極(端子12F,13F)に対して適切に電圧を印加できるように、コネクタの端子の配置は設計変更される。
センサ−ランセット一体型デバイス1Fでは、針部11Fがセンサ部10Fの構成要素に一体化された構成であるために、部品点数が少なく構成が簡易であるとともに製造が容易である。そのため、低い製造コストによって、1つのデバイスにセンサとしての機能とランセットとしての機能を付与することができる。
センサ−ランセット一体型デバイス1Fでは、端子12F,13Fは、必ずしも図25に示した位置に形成する必要はなく、他の場所に形成してもよく、また、センサ部11Fは、平面視矩形に限らず、円形などの形態であってもよい。
センサ−ランセット一体型デバイス1Fは、試薬部(キャピラリ14F)を有するセンサ部と針部10Fを有するランセット部とをそれぞれ別体として形成した後に、センサ部とランセット部とを一体化した構成、たとえば図8ないし図10に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Aのようには、ランセット部にセンサ部を収容した構成であってもよい。
センサ−ランセット一体型デバイス1Fはさらに、電極(端子12F,13F)を省略する一方で、試薬部(図示略)に発色剤を含ませるとともに試薬部の測光が可能なようにセンサ部10Fの少なくとも一部を透明に形成することにより、比色センサとして構成することもできる。この場合の比色センサは、透過光に基づいて試薬部の測光を行なうように構成してもよいし、反射光に基づいて試薬部の測光を行なうように構成してもよい。
次に、本発明の第8の実施の形態について、図26および図27を参照して説明する。
図26および図27に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Gは、センサおよびランセットとしての機能を併せ持つものであり、比色により血液中の特定成分を分析するように構成されたものである。このセンサ−ランセット一体型デバイス1Gは、実質的に、第1の実施の形態に係るセンサ−ランセット一体型デバイス1において、一対の電極11,12(図1および図2参照)を省略したものであり、樹脂成型体10Gおよび試薬部11Gを備えている。
樹脂成型体10Gは、本体部12Gおよび針部13Gを有しており、これらが樹脂成型により一体的に形成されている。本体部12Gは、試薬部11Gを配置するための内部空間14Gを有している。内部空間14Gは、毛細管力を作用させるように構成されている。針部13Gは、中空状に形成されており、毛細管力を作用させるように構成されている。この樹脂成型体10Gは、試薬部11Gにおける発色剤の呈色を検出できるように透明に形成されている。この場合、センサ−ランセット一体型デバイス1Gは、発色剤の呈色を、透過光に基づいて検出するように構成してもよいし、反射光に基づいて検出するようにしてもよい。
試薬部11Gは、樹脂成型体10Gの内部空間14Gに設けられたものであり、内部空間14Gに供給された血液により溶解するものである。この試薬部11Gは、発色剤を含んだものとされ、好ましくは、酸化還元酵素および電子伝達物質をさらに含んだものとされる。
センサーランセット一体型デバイス1Gは、デバイス1Gを移動させるための移動機構、試薬部31の発色剤の呈色の程度を測光するための測光機構を備えた穿刺装置に装着して使用される。すなわち、センサーランセット一体型デバイス1Gは、図3および図4を参照して説明した穿刺装置2において、コネクタに、端子29に代えて測光機構(たとえばフォトセンサ)を備えたものが使用される。この場合、図6を参照して説明した方法、あるいは図7を参照して説明した方法を適用することができる。
センサ−ランセット一体型デバイス1Gは、一対の電極11,12を省略した以外は、実質的に、図1および図2を参照して説明した第1の実施の形態に係るセンサ−ランセット一体型デバイス1と同様であるために、このセンサ−ランセット一体型デバイス1と同様な効果を奏することができる。
次に、本発明の第9の実施の形態について、図28ないし図36を参照して説明する。
図28ないし図30に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Hは、センサおよびランセットとしての機能を併せ持つものであり、センサ10Hおよびランセット11Hを備えている。
センサ10Hは、図14ないし図16を参照して説明した本発明の第4の実施の形態に係るセンサ−ランセット一体型デバイス1Cのセンサ10Cと同様なものである。すなわち、センサ10Hは、基板12Hおよびカバー13Hの間にスペーサ14Hを介在させたものであり、キャピラリ10H′を有している。基板12Hには、一対の電極15H,16Hおよび試薬部17Hが形成されており、カバー13Hは貫通孔18Hを備えており、スペーサ14Hはスリット19Hを備えている。ただし、センサ10Hは、カバー13Hに突起10H′が設けられている。この突起10H′は、後述する穿刺装置2H(図31および図32)に装着してデバイス1Hを使用するときに、デバイス1Hを回転させるために利用されるものである。
ランセット11Hは、針部11H′およびジョイント11H″を備えている。
針部11H′は、皮膚を切開するためのものであり、樹脂あるいは金属により形成されている。この針部11H′は、ジョイント11H″を介してセンサ10Hに固定されている。針部11H′は、ジョイント11H″に対して一体成型され、あるいはインサート成形されている。針部11H′はまた、キャップ1H′により被覆されており、針部11H′の汚染および使用者が負傷することが防止されている
ジョイント11H″は、ランセット11Hをセンサ10Hに固定するためのものである。このジョイント11H″は、基板12Hにおけるキャピラリ10H′の導入口とは反対側の端部に固定されている。すなわち、針部11H′は、キャピラリ10H′とは連通しておらず、キャピラリ10H′の導入口とは反対側から突出している。このような構成では、センサ10Hとは別にジョイント11H″を滅菌した後に、ジョイント11H″をセンサ10Hに固定することができる。そのため、ジョイント11H″(針部11H′)の滅菌の際に、センサ11Hの試薬部が劣化してしまうこともない。
図31および図32に示したように、センサーランセット一体型デバイス1Hは、穿刺装置2Hに装着して使用される。穿刺装置2Hは、基本的な構成が第1の実施の形態に係る穿刺装置2(図3および図4参照)と同様であるが、回転機構3を備えている点において異なっている。なお、以下において参照する図面においては、穿刺装置2(図3および図4参照)と同様な要素については同一の符号を付してあり、重複説明は省略する。
回転機構3は、コネクタ22に装着したデバイス1Hを回転させるためのものである。この回転機構3は、回転軸30およびガイド31を含んでいる。
回転軸30は、ロッド26の下端部に回転可能に連結されている一方で、コネクタ22に対して回転不能に連結されたものである。すなわち、回転軸30は、コネクタ22とともにロッド26に対して回転可能とされている。もちろん、回転軸30をコネクタ22に対して回転不能に連結する一方で、回転軸30をロッド26に対して回転可能に連結することにより、ロッド26に対してコネクタ22を回転可能としてもよい。
ガイド31は、デバイス1Hの回転動作を規制するためのものであり、デバイス1Hの突起10H′が係合される部分である。このガイド31は、突起10H′に係合させるための曲面32を有しており、コネクタ22とともにデバイス1Hを上動させたときに、突起10H′が曲面32上を摺動するようになっている。
より具体的には、図33Aに示したように、コネクタ22にデバイス1Hを装着してコネクタ22とともにデバイス1Hを上動させた場合には、デバイス1Hの突起10H′がガイド31の曲面32に干渉する。図32Bないし図32Dに示したように、さらにコネクタ22およびデバイス1Hを上動させた場合には、突起10H′がガイド31の曲面32上を摺動し、コネクタ22とともにデバイス1Hが180度回転させられる。
次に、デバイス1および穿刺装置2Hを用いた測定動作について、図34ないし図36を参照して説明する。
図34Aないし図34Cに示したように、まず筐体20からキャップ24を外した状態とし、開口20Aを開放しておく。この状態において、コネクタ22にデバイス1Hを差し込む。コネクタ22にデバイス1Hを差し込んだ場合には、コネクタ22の端子29がデバイス1Hの電極15H,16H(図32参照)に接触するとともに、端子29がデバイス1Hに押圧力を作用させる。これにより、デバイス1Hは、コネクタ22に保持される。デバイス1Hの装着後においては、デバイス1Hからキャップ1H′を取り外す一方で、キャップ24により開口20Aを覆う。
次いで、図35Aに示したように、キャップ24の先端を皮膚Skに接触させた状態として、操作ボタン25を押下する。これにより、測定開始信号が生成され、その信号が制御板23に供給される。制御板23は、先の信号を検出した場合には、アクチュエータ27を制御してロッド26を下動させる。これにより、コネクタ22およびデバイス1Hは、ロッド26とともに下動させられる。制御板23は、デバイス1Hの針部11Hの先端を皮膚Skに接触したときに、そのときまでのロッド26の移動距離を把握する。すなわち、制御板23は、図34Cに示した状態から皮膚Skまでの距離を把握する。なお、デバイス1Hにおける針部11H′の先端が皮膚に接触したか否かは、圧力センサや位置センサなどによりロッド26に作用する負荷が大きくなる時点を検出することにより行なうことができる。
図35Bに示したように、制御板23はさらに、ロッド26ひいてはデバイス1Hを下動させ、デバイス1Hの針部11Hによって皮膚Skを穿刺する。その後、図35Cに示したように、制御板23は、針部11Hによる皮膚Skの穿刺後においては、アクチュエータ27を制御して、ロッド26ひいてはデバイス1Hを上動させて皮膚Skから針部11Hを抜き取る。このとき、皮膚Skにおける穿刺部位は、針部11Hによって切開されているため、穿刺部位からは血液BLが出液する。
次いで、図36Aに示したように、制御板23は、アクチュエータ27を制御してロッド26ひいてはデバイス1Hをさらに上動させ、図32Aないし図32Dを参照して説明したように、デバイス1Hを180度回転させる。
次いで、図36Bに示したように、制御板23は、アクチュエータ27を制御してロッド26ひいてはデバイス1Hを下動させ、キャピラリ19H(図30参照)の導入口を皮膚Skに接触させる。ここで、デバイス1Hの針部11H′は、図35Aに示した動作において皮膚Skまでの距離が把握されているために、皮膚Skに対して適切に接触させられる。皮膚Skからは、穿刺部位から血液BLが出液しているため、針部11H′の先端は血液BLと接触させられる。一方、針部11H′は、上述のように毛細管力が作用するようになされているため、皮膚Skから出液した血液BLは、針部11H′を介して、図30に示したデバイス1Hのキャピラリ19Hに導入される。キャピリラ19Hもまた毛細管力が作用するものであるため、キャピラリ19Hは血液BLによって満たされる。このとき、試薬部17Hが溶解させられ、キャピラリ19Hの内部には試薬と血液とを含む反応系が形成される。
一方、図30ないし図32を参照すればわかるように、制御板23は、操作ボタン25の押下による信号を検出した場合には、端子29の間に電圧を印加する。そのため、キャピラリ19Hの反応系には電圧が印加される。これにより、端子29によって応答電流が測定される。制御板23はさらに、端子29によって測定される応答電流に基づいて、血液中の特定成分の濃度を演算する。このような演算は、公知に手法、たとえば応答電流値と濃度との関係を示す検量線に基づいて行なうことができる。
本実施の形態のセンサ−ランセット一体型デバイス1Hでは、ランセット11Hが一体成型あるいはインサート成形により、針部11H′がジョイント11H″に一体化された構成を有している。そのため、センサ−ランセット一体型デバイス1Hは、部品点数が少なく、構成が簡易であり、低コストで、1つのデバイスにセンサとしての機能とランセットとしての機能を付与することができる。また、デバイス1Hが低コストで製造可能であることから、このデバイス1Hを用いた採血方法では、採血コストを低減することが可能となる。
次に、本発明の第10の実施の形態について、図37ないし図39を参照して説明する。
図37ないし図39に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Iは、センサ10Iおよび針部11Iを備えたものであり、基本的な構成は、図22ないし図24を参照して説明したデバイス1Eと同様である。
針部11Iは、センサ10Iの膨出部12Iにおいて、キャピラリ13Iの吸引口14Iとは反対側から突出している。この針部11Iは、樹脂成形によりセンサ10Iの膨出部12Iに一体成型され、あるいは膨出部12Iに対してインサート成形されている。針部11Iは、キャップ15Iにより被覆されており、針部11Iの汚染や使用者が負傷することが防止されている。
デバイス1Iでは、吸引口14Iと針部11Iが反対に位置しているため、図31および図32を参照して説明した穿刺装置2Hに装着して使用される。すなわち、針部11Iによって皮膚を穿刺した後に、デバイス1Iを180度回転させ、吸引口14Iを皮膚の出液部位に接触させることにより、キャピラリ13Iに血液が導入される。
本実施の形態のセンサ−ランセット一体型デバイス1Iでは、針部11Iが樹脂成型により、あるいはインサート成形によりセンサ10Iに一体化されている。そのため、センサ−ランセット一体型デバイス1Iは、部品点数が少なく、構成が簡易であり、低コストで、1つのデバイスにセンサとしての機能とランセットとしての機能を付与することができる。また、デバイス1Iが低コストで製造可能であることから、このデバイス1Iを用いた採血方法では、採血コストを低減することが可能となる。
次に、本発明の第11の実施の形態について、図40を参照して説明する。
図40に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Jは、センサおよびランセットとしての機能を併せ持つものであり、センサ部10Jおよび針部11Jを備えている。デバイス1Jは、基本的な構成は、図25を参照して説明したデバイス1Fと同様である。
デバイス1Jは、デバイス1F(図25参照)とは異なり、針部11Jがキャピラリ12Jの吸引口13Jとは反対側に形成されている。この針部11Jは、センサ部10Jの構成要素を樹脂形成により形成するときに、その構成要素と同時に一体成型され、あるいは別体として形成された針をインサート成型することにより、センサ部10Jの構成要素に一体化されている。
デバイス1Jでは、吸引口13Jと針部11Jが反対に位置しているため、図31および図32を参照して説明した穿刺装置2Hに装着して使用される。すなわち、針部11Jによって皮膚を穿刺した後に、デバイス1Jを180度回転させ、吸引口13Jを皮膚の出液部位に接触させることにより、キャピラリ12Jに血液が導入される。ただし、穿刺装置においては、コネクタにおいてデバイス1Jの電極(端子14J,15J)に対して適切に電圧を印加できるように、コネクタの端子の配置は設計変更される。
本実施の形態のセンサ−ランセット一体型デバイス1Jでは、針部11Jが樹脂成型により、あるいはインサート成形によりセンサ部10Jに一体化されている。そのため、センサ−ランセット一体型デバイス1Jは、部品点数が少なく、構成が簡易であり、低コストで、1つのデバイスにセンサとしての機能とランセットとしての機能を付与することができる。また、デバイス1Jが低コストで製造可能であることから、このデバイス1Jを用いた採血方法では、採血コストを低減することが可能となる。
センサ−ランセット一体型デバイス1Jでは、端子14J,15Jは、必ずしも図示した位置に形成する必要はなく、他の場所に形成してもよく、また、センサ部11Jは、平面視矩形に限らず、円形などの形態であってもよい。
センサ−ランセット一体型デバイス1Jは、試薬部(キャピラリ16J)を有するセンサ部と針部11Jを有するランセット部とをそれぞれ別体として形成した後に、センサ部とランセット部とを一体化した構成、たとえば図8ないし図10に示したセンサ−ランセット一体型デバイス1Aのようには、ランセット部にセンサ部を収容した構成であってもよい。
センサ−ランセット一体型デバイス1Jはさらに、電極(端子14J,15J)を省略する一方で、試薬部(図示略)に発色剤を含ませるとともに試薬部の測光が可能なようにセンサ部10Jの少なくとも一部を透明に形成することにより、比色センサとして構成することもできる。この場合の比色センサは、透過光に基づいて試薬部の測光を行なうように構成してもよいし、反射光に基づいて試薬部の測光を行なうように構成してもよい。
デバイス1H,1I,1Jを用いる穿刺装置2Hの回転機構3は、回転軸30およびガイド31を備えた構成には限定されず、他の構成を採用することも可能である。回転機構としては、たとえば小型モータの回転力を利用するものを採用してもよい。また、回転機構によるデバイスの回転角度は、デバイスにおける針部と吸引口との位置関係より決定すればよく、それらの位置関係に応じて、回転機構による回転角度は0〜180度の範囲で設定される。