JP4448940B2 - 針一体型バイオセンサー - Google Patents

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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Description

本発明は、針一体型バイオセンサーに関する。さらに詳しくは、皮膚を突き刺して血液を得るための穿刺針と、皮膚の表面に取り出された体液を採取し、分析するためのバイオセンサーとを一体化した構成を有する針一体型バイオセンサーに関する。
従来より、糖尿病患者自らが採血して血中のグルコース値である血糖値を測定する場合がある。この場合、患者は採血針を着脱するランセットと称される採血器具を用い、自分の指先や腕などに採血針を刺して採血し、採血した血液を血糖値分析計に移して血糖値を測定している。このような測定方式では、患者は血糖値分析器、ランセット、採血針および分析素子といった数点からなる測定器具の一式を携帯所持し、必要時にそれらを組み合わせて測定しなければならず、操作法も長い訓練を要し、確実な測定を患者自身で行うことができるようになるまでかなりの時間を要する。実際に、指先、前腕以外の部位(腹壁、耳たぶ等)での測定は、熟練者ですら困難である。また、近年においては、より痛みの少ない低侵襲検体供給のニーズから、検体量が1μl以下で測定可能なバイオセンサーが開発されており、このような極微量な場合、またバイオセンサーへの検体を正確に供給する作業は非常に困難になる。その結果、測定の失敗を招き、被測定者である患者は再度穿刺して、またバイオセンサーも交換し、測定をやり直さなければならないという不都合がある。
特開平9−266898号公報 特公平8−20412号公報
そこで、いくつかの針一体型バイオセンサーが考え出された。まず、特許文献3に示された針一体型バイオセンサーでは、穿刺針の駆動部を備えたペン型(2色ボールペン様)の測定装置の内部に、穿刺針とバイオセンサーがそれぞれ別の位置にセットされており、ペン様の測定装置の先端部を被検体の皮膚に当て、穿刺した後、バイオセンサーを先端部に露出させ、採血を行なうことで血糖測定が行なわれる。しかし、この方法では、針およびバイオセンサーを測定装置にそれぞれセットするという煩わしさは解消されていない。
特開2000−217804号公報
また、特許文献4で示された針一体型バイオセンサーでは、穿刺針を外部の駆動に委ねるものであり、穿刺針が細長い小片状のバイオセンサーの長手方向に沿って平行に移動する一体構造をとっている。しかし、このタイプでは穿刺針がバイオセンサーから露出するため、穿刺針の先端を保護するカバーが必要であり、さらに穿刺後の採血をバイオセンサーへ送液するには毛細管現象のみを利用する他なかった。
再公表2002−056769号公報
さらに、従来の針一体型バイオセンサーでは、構造が複雑で、試料液として必要な採血量が多く、かつ無駄なスペースへの入り込みなどの影響があった。
本発明の目的は、穿刺後の採血を効率よくバイオセンサー内へ送液することを可能とする針一体型バイオセンサーを提供することにある。
かかる本発明の目的は、2枚の電気絶縁性基板に挟まれた空間に、電極およびスペーサーが設けられたバイオセンサーと、該バイオセンサー内に配置された被検体の皮膚を突き刺して体液を採取するための穿刺針とが穿刺針支持体を介して一体となって構成されたバイオセンサーにおいて、前記基板にはそれぞれ電極が形成されていない基板部分の切り離しを可能とする切断部が設けられるとともに、該穿刺針の先にある穿刺採血口が穿刺可能な軟質材料で密閉され、該穿刺針の後部側に設けられた伸縮性材料により2枚の基板の切断部を覆い、さらには2枚の基板と該穿刺針支持体との隙間を密閉することにより、バイオセンサー内部を密封し、該穿刺針が外部からの駆動を受けて軟質材料と皮膚の両方を同時に突き破った後、前記切断部で基板の一部を切り離し、バイオセンサー内部の体積を増加せしめることにより該内部を陰圧とすることで吸引採血し、検出成分を測定することを特徴とした針一体型バイオセンサーによって達成される。
本発明に係る針一体型バイオセンサーは、採血をバイオセンサー内へ送液するに際して毛細管現象に加えて吸引手段が併用されるため、穿刺後の採血を効率よくバイオセンサー内へ送液することができる。また、穿刺針がバイオセンサーに内包されているため、その先端を保護するカバーが必要なく、安全性の面においてもすぐれている。
さらに、穿刺針が電極の長軸方向に直交する態様で配置される場合には、穿刺後に必要以上の採血を行うことなく、効率的な測定を可能とするといったすぐれた効果を奏する。また、穿刺針を中心線とした左右非対称な形状とした場合には、使用時における測定装置への誤った挿入を防ぐこともできる。
基板としては、電気絶縁性のものであれば足り、例えばプラスチック、生分解性材料、紙などが用いられ、好ましくはポリエチレンテレフタレートが用いられる。基板には、電極形成部位よりも穿刺針の後部側に、切断部が形成される。切断部は、容易に切断し得る結合部、例えば基板間に少なくとも1箇所以上の線上結合部、好ましくは中心部が縊れている線状結合部として設けられ、または基板の少なくとも片面に基板を貫通しない深さで設けられた溝、好ましくはV字型の溝により構成される。線上結合部としては、具体的には、幅0.2〜2mm、好ましくは0.5〜1mm、長さ0.2〜2mm、好ましくは0.5〜1mmのものが用いられる。かかる切断部は、2枚の基板を相対して配置した場合に同位置となるように設けられる。
電極は、基板上にスクリーン印刷法、蒸着法、スパッタリング法、箔貼り付け法、メッキ法などにより形成され、その材料としては、カーボン、銀、銀/塩化銀、白金、金、ニッケル、銅、パラジウム、チタン、イリジウム、鉛、酸化錫、白金黒などが挙げられる。ここで、カーボンとしては、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、フラーレン、デンドリマーもしくはそれらの誘導体を用いることができる。
電極は、作用極と対極で形成される2極法または作用極と対極、参照極で形成される3極法、あるいはそれ以上の極数の電極法であってもよい。ここで、3極法を採用すると、測定対象物質の電気化学測定の他に、搬送路内に導入される採血の移動速度の計測ができ、これによりヘマトクリット値が測定できる。また、2組以上の電極系で構成されていても良い。
これらの電極は、1枚の基板上にまとめて、あるいは2枚の基板上に分かれて形成されるが、試料体積を少なくする観点からは、電極は2枚の基板上に相対して配置される対面構造、具体的には2枚の基板表面上に形成した電極をレジスト層や接着剤層などからなるスペーサーを挟んでなる対面構造が好ましい。これにより、電気化学反応が効率よく進み、電極間距離および電極面積の縮小などにより反応層の容積を効果的に少量化できるため、結果として少試料化を測ることが出来る。
電極が形成された基板上には、試薬層(電極反応部)を形成することができる。試薬層はスクリーン印刷法またはデスペンサー法により形成され、この試薬層の電極表面または基板表面への固定化は、乾燥を伴う吸着法または共有結合法により行うことができる。バイオセンサーの電極反応部に配置する試薬としては、例えば血糖値測定用に構成する場合、酸化酵素であるグルコースオキシターゼおよびメディエータとしてのフェリシアン化カリウムを含むものが挙げられる。試薬が血液によって溶解されると、酵素反応が開始される結果、反応層に共存させているフェリシアン化カリウムが還元され、還元型の電子伝達体であるフェロシアン化カリウムが蓄積される。その量は、基質濃度、すなわち血液中のグルコース濃度に比例する。一定時間蓄積された還元型の電子伝達体は、電気化学反応により酸化される。後述する測定装置本体内の電子回路は、このとき測定される陽極電流から、グルコース濃度(血糖値)を演算・決定し、本体表面に配置された表示部に表示する。
また、採血口の周辺および電極あるいは試薬層(電極反応部)表面に界面活性剤、脂質を塗布することができる。界面活性剤や脂質の塗布により、試料の移動を円滑にさせることが可能となる。
ここで、試料搬送路内への試薬層、界面活性剤あるいは脂質の塗布により、その内部に収まる穿刺針が汚染される可能性がある。このような汚染を防ぐためには、穿刺針先端の周囲にこれらの試薬を塗布しないようにすることが好ましい。
以上の採血が満たされる電極上に試薬層が設けられたバイオセンサーは、採血口から送り込まれる採血が電極上の試薬層と接触することにより、採血と試薬とが反応する。この反応は、電極における電気的な変化としてモニタリングされる。
さらに、バイオセンサーは電極がレジスト層により規定されていてもよく、このレジスト層もスクリーン印刷などで容易に形成できる。この場合のレジストも接着剤と同様、基板と反応あるいは溶解しないものであればよく、特に限定されないが、例えば、紫外線硬化型のビニル・アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂などが挙げられる。レジストの使用の目的は主に電極パターンを明確にし、上記の電極面積の規定をはっきりさせる以外にも、試薬層が存在しない試料搬送路を絶縁するなどの目的がある。そのため、レジスト層は接着剤層と同様のパターンを形成しても、形成しなくてもどちらでもよい。後者の場合、レジスト層は絶縁のために電極基板上に形成させるのが好ましい。さらに、このレジスト層は本発明の針一体型バイオセンサーの穿刺針が収まっている試料搬送路内における電極よりも厚く設けることで、穿刺針と電極との接触を抑えることができる。かかるレジスト層も、スクリーン印刷法により形成することが可能であり、例えば上記のいずれかの材料により約5〜500μm、好ましくは約10〜100μmの厚さで形成されるレジスト層はスペーサーとしても作用する。
2枚の基板は、アクリル樹脂系接着剤などの接着剤を介して接着されてバイオセンサーを構成する。かかる接着剤層も、スクリーン印刷法により形成することが可能であり、約5〜500μm、好ましくは約10〜100μmの厚さで形成され、かかる接着剤層はレジスト層同様スペーサーとしても作用する。なお、接着剤層中に上記試薬を含有させることもできる。接着剤層はレジスト層と同様のパターンあるいは異なるパターンのいずれであってもよい。
また、穿刺針を配置した以上の構成よりなる2枚の基板は、接続部に沿って折畳むことにより、折畳み成形体としてのバイオセンサーを製造することもできる。接続部としては、その長さがスペーサーの厚さ以上、すなわち0.5〜4mm、好ましくは1.0〜3.0mmのものが、好ましくは2枚の基板間に少なくとも2箇所以上設けられる。このような接続部は、絶縁性基板に、0.5〜0.9mm程度の長さであれば、例えば歯車状の薄い円盤であって、その凸部が刃となっているものを用いて、破線状のミシン目として形成され、また1〜4mm程度の長さの接続部については、絶縁性基板を型で打ち抜くことによりヒンジ成形される。ここで、1〜4mm程度の長さの接続部とした場合には、折畳み部分を熱圧着したり固定具を使って固定して反り返しを防ぐといった必要がない。このような折り畳み成形体であるバイオセンサーであれば、長大な基板の長軸方向に水平となるように折畳み線としての接続部を設け、さらに電極等を形成したうえで接続部に沿って折りたたんだ後、センサー形状に打ち抜くことにより、一度に大量のバイオセンサーを製造できる。このような製造方法により作製される針一体型バイオセンサーは、再現性も大変に良くなり、従来の積層法によっては成しえなかった特長を有している。
被検体の皮膚から体液を採取するための穿刺針については、被検体を穿刺する必要があるため、これに耐え得る強度を持ち、鋭利であることが望ましく、また穿刺時の痛みを抑えるために、細い穿刺針であることが好ましい。具体的には、テルモ社製で、21〜33ゲージのものが用いられる。穿刺針は被検体の皮膚を突き破ることができれば中空針であっても棒状針でも良い。さらに、穿刺針は使用されるまでバイオセンサー内に衛生的に収納されている必要があることから、抗菌・抗ウィルスに効果がある光触媒機能を針の先端表面に付与させても良い。その場合、酸化チタンまたは二酸化チタンの膜が望ましい。
バイオセンサー内には、被検体の皮膚を突き刺して体液を採取するための穿刺針が配置される。穿刺針は、電極と30〜90°の角度で交差する状態、好ましくは直交する状態で配置される。このような配置とすることで、穿刺針を電極の長軸方向と平行に配置した場合と比べて採血量を抑えることができるとともに、測定用端子が穿刺針の軌道から外れた位置に配置されることで針一体型バイオセンサーの形状を穿刺針を中心線とした左右非対称とすることが可能なため、使用者にとってはそれが目印となって測定装置への挿入を左右誤らずにすみ、測定装置も本発明の針一体型バイオセンサーの端子の位置を特定するための機構を備えることができる。
以上の構成よりなるバイオセンサーは、その穿刺採血口をシリコーンゴム、軟質ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、発泡スチロールなどの軟質材料で覆い、また穿刺駆動側についてはバイオセンサーを構成する2枚の基板と穿刺針の支持体との間を切断部も含めて、天然ゴムなどの伸縮性材料などで密栓状態となるように構成される。以上の構成により、センサー内部が密閉され、穿刺後の試料搬送路内への採血の移動について毛細管現象に加えて、吸引手段を併用することができるため、採血を円滑に行なうことが可能となる。ここで、本発明に係る針一体型バイオセンサーでは上述した如く、端子を穿刺針の軌道から外すことができるので、穿刺針を含む試料搬送路内部の気密性を保つための構造を容易に得ることができる。また、穿刺採血口を覆う軟質材料は、密封状態を維持するとともに、被検体の皮膚と穿刺採血口との密着性を向上させるといった効果も併せて奏する。
本発明の針一体型バイオセンサーは穿刺駆動を備えた測定装置により穿刺・採血・測定の一連の操作が成されることが望ましい。その場合、例えば穿刺駆動については針がバイオセンサーの軟質材を貫通して被検体の皮膚を突き破る機構と、穿刺直後、速やかに元の位置に戻る機構を備えていることが望ましい。
さらに、採血時の吸引力を高めるために、測定装置内の穿刺駆動系には、穿刺直後に穿刺針の配置を元に戻す方向の機構を使って、穿刺針を穿刺方向とは反対にさらに引っ張ることで切断部が切り離され、切断部を覆っている伸縮性材料が伸び、バイオセンサー内部が陰圧となるような機構が備えられる。
針一体型バイオセンサー用測定装置としては、針一体型バイオセンサーを使用した測定が繰り返し確実に行なえるための操作性および耐久性が確保され、かつ持ち運びが容易であるものが用いられ、測定装置は、下部にある導入部に針一体型バイオセンサーを穿刺針支持体が上を向くように挿入させ、バイオセンサーの端子が測定装置のコネクターと接続することで測定が可能な状態となり、次に、穿刺駆動を針一体型バイオセンサー内部に与えるために引き金を引くことで測定の準備が完了し、あとは穿刺開始ボタンのスイッチを押すことで穿刺・採血・測定の順序で自動的に作動し、最終的に測定結果が導かれる仕組みのものが用いられる。
測定装置の構造上の特徴の一例を、さらに詳しく述べる。本測定装置は穿刺針駆動部と測定装置部が一体化しており、穿刺針駆動部は引き金部、穿刺開始ボタン部、バネなどの弾性体による駆動部から構成される。一方、測定装置部については、センサー導入部、コネクター、電気化学測定用回路、メモリ部、操作パネル、バイオセンサーの電極における電気的な値を計測する計測部および計測部における計測値を表示する表示部を基本構成としており、さらに、無線手段として電波、例えばブルートゥース(登録商標)を搭載することもできる。かかるスライド構造により、針一体型バイオセンサーを確実にホールドした状態を保ったまま穿刺駆動を受けるので、測定装置全体としての強度を高めることができる。測定装置には、さらに針一体型バイオセンサーの穿刺針を中心線とした左右非対称構造を測定用端子の突出部で認識できる機構を備えることができる。
測定装置の穿刺駆動は、針一体型バイオセンサー上部を鉛直方向にたたいた後、速やかに戻る機構がよく、さらに被検体の皮膚を穿刺する深度が調整可能な機構を有することが好ましい。
測定装置には糖尿病疾患による視覚障害に対応した音声ガイド機能及び音声認識機能、電波時計の内臓による測定データ管理機能、測定データなどの医療機関などへの通信機能、充電機能などを併せ持たせることができる。
測定装置の計測部における計測方法としては、特に限定はしないがポテンシャルステップクロノアンペロメトリー法、クーロメトリー法またはサイクリックボルタンメトリー法などを用いることができる。
以上より、本発明の針一体型バイオセンサーは、使用者を限定することのない、すなわち、ユニバーサルな企画に対応し得るものとなっている。
本発明による実施態様の針一体型バイオセンサーについて、それぞれ図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に制限されるものではない。
図1は、本発明の針一体型バイオセンサーの一組立例を示している。図1a)〜d)は針一体型バイオセンサーの製作例であり、i)は針一体型バイオセンサーの製作に要する構成材料、ii) 及びiii)では、その成形体を示している。図1a)には切断部26が形成されたバイオセンサーの基板1、1間にミシン目による接続部21と一方の基板表面に導電体7、7が形成されているものとレジスト層6が示されている。該切断部は、電極を含まない基板部分に1×1mmで、その中心部が縊れているものが2箇所形成されている。該レジスト層6はスペーサー2の役割も果たすほか、電極面積を規定し、また、電極表面と穿刺針との接触を防ぐためにも設けられる。従って該レジスト6層には貫通穴4が設けられている。ここで、基板1は角を丸めることで安全に使用できるものとなっている。
図1b)はレジスト層の上に接着剤層5が形成される様子を示している。ここで、接着剤層5も基板1、1の板部材間に設けられるので、レジスト層6と同様、スペーサー2の役割を果たす。また、図1b)ii)ではレジスト層6と接着剤層5とで面積が規定された電極10およびその電極反応部13が示されている。図1c)i)には穿刺針部14の構成が示されており、穿刺針部14は穿刺針20とそれを支える支持体19および外部駆動の接続部17から構成され、外部駆動接続部17が穿刺駆動を備えた測定装置に接続されることで測定装置からの穿刺駆動を得られる仕組みとなっている。また、図1c)には穿刺針部14が試料搬送路8に沿って、電極と直交して配置されている様子がわかる。この図が示すように、穿刺針部14は電極表面10との接触をレジスト層6の形成により避けられる構造を採っている。したがって、試薬層13が電極10の表面に形成されていても、該試薬層13と穿刺針部14との接触を防ぐことができるため、結果として穿刺針20の試薬による汚染を防ぐことができる。図1c)iii)にはこのようにして形成された針一体型バイオセンサー3が示されている。
また、基板1、1の間には、ミシン目のような接続部を設けることで折畳み成形体18としてのバイオセンサーが組み立てられる。まず、このような折畳み方式で組み立てられるバイオセンサーは、積層法による製法とは異なり、基板同士の重ね合わせが不要なため、製造工程が簡略化できる特徴がある。したがって、高精度に成形されたセンサーを歩留りよく大量生産するのに適した方法と言える。また、折畳み構造に必要な基板の接続部21は、図1d)ii)で示されるように伸縮材16を基板1に固定するためのフック22にもなっている。
図1d)では、穿刺採血口12付近への軟質材15と基板1と穿刺針支持体17との間の空間を密閉するための伸縮材16により、試料搬送路・穿刺駆動部8が外気と遮断された状態が示されている。さらに伸縮材16は、切断部をも覆っている。また、該軟質材は被検体の皮膚を穿刺採血口12と密着させるためにも役立っている。
図2は、本発明の針一体型バイオセンサーの他の構成例を示している。図2a)〜d)は針一体型バイオセンサーの製作例であり、i)は針一体型バイオセンサーの製作に要する構成材料、ii)およびiii)では、その成形体を示している。図1で示した針一体型バイオセンサーとの相違点は接着剤層5が、切断部を避ける態様で設けられている点にある。このような態様で組み立てられるバイオセンサーは、図1の場合と比べて、さらに基板の切り離しが容易になるといった特徴がある。
図3は図1または2で示した針一体型バイオセンサー3の断面図を示している。図3b)は図3a)で示したA-A' 断面図を示している。この図が示すように、バイオセンサーの基板1上に設けられたパターン表面に穿刺針14が配置されている。図3c)は図3a)で示したB-B'断面図を示している。図3b)に示される如く、切断部26は、伸縮材16により覆われている。これらの図が示すように、本発明の針一体型バイオセンサー3は1枚の基板1の内側に形成された電極10、10の長軸方向に対して、穿刺針14が直交して配置されることで端子11を穿刺針14の軌道から外すことができる。また、端子11が穿刺針14の軌道から外れた位置に配置されるため、針一体型バイオセンサー3の形状が穿刺針を中心線とした左右非対称となり、使用者にとってはそれが目印となって測定装置への挿入を左右誤らずにすみ、測定装置も本発明の針一体型バイオセンサー3の端子11の位置を特定するための機構を備えることができる。また、電極の幅及び電極間距離を小さくすることで、その部分の基板の幅も小さくなるので、試料液量の少量化を図ることができる。
図4は図1および2で示した針一体型バイオセンサー3の使用例を示している。図4ではa)〜d)で各工程を示し、i)とii)ではそのときの針一体型バイオセンサー3の状態をi)では構成図、ii)では図3a)で示したA-A'断面図で示している。図4a)は穿刺駆動つきの測定装置に接続された針一体型バイオセンサー3の使用前の状態を示す。このとき、被検体としての皮膚が、針一体型バイオセンサー3の穿刺採血口12に密着している。図4b)は穿刺の状態が示されており、図示されてはいないが、穿刺針20はセンサーから突出して皮膚を突き刺している。図4c)は穿刺後に穿刺針部14が元の位置に戻った状態を示している。図4d)はその後、切断部25を切り離して、センサー内部体積を増加させることにより、センサー内を陰圧にしている様子を示す。このとき、伸縮材16が引き伸ばされているのがわかる。これにより、穿刺した皮膚からの採血24はセンサー内部へ吸引採血される。このとき、測定装置の押さえ具25によって、針一体型バイオセンサー3の両側を押さえ、固定することで、穿刺針部14を、穿刺方向とは反対の向きに引くことができ、その結果として切断部が切り離され、切断部を覆っている伸縮材16が引き伸ばされることで、バイオセンサー内部が陰圧となる。
図5は、本発明の針一体型バイオセンサーのさらに他の構成例を示している。図5a)〜d)は針一体型バイオセンサーの製作例であり、i)は針一体型バイオセンサーの製作に要する構成材料、ii)およびiii)では、その成形体を示している。図1で示した針一体型バイオセンサーとの相違点は切断部26が、図5a)ii)の拡大図a')とその断面図a'')に示されるように、基板を貫通しない深さで形成された溝(V字型)として設けられている点にある。このような態様で組み立てられるバイオセンサーは、図1の場合と比べて、切断部26が、基板間の結合が断続的に形成されるのではなく、溝、すなわち不断状態で形成されているため、未使用時における変形などの影響を受けにくいほか、図4c)ii)および図4d)ii)で示されるような測定装置による切断部26の切断の際、基板同士の切り離し操作が、該切断部の溝の方向に対して完全に直交した方向から行われるために、溝全体に均一に力がかって、基板同士が切断されるといった特徴がある。
本発明に係る針一体型バイオセンサーの一組立例を示す図である。 本発明に係る針一体型バイオセンサーの他の組立例を示す図である。 本発明に係る針一体型バイオセンサーの一構成例を示す図である。 本発明に係る針一体型バイオセンサーの一使用例を示す図である。 本発明に係る針一体型バイオセンサーのさらに他の組立例を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 スペーサー
3 針一体型バイオセンサー
4 貫通穴
5 接着剤層
6 レジスト層
7 導電体
8 試料搬送路・穿刺針通路
10 電極
11 端子
12 穿刺採血口
13 電極反応部(試薬層)
14 穿刺針部
15 軟質材
16 伸縮材
17 外部駆動接続部
18 折畳み成形体
19 穿刺針支持体
20 穿刺針
21 接続部
22 フック
23 接着部
24 採血
25 押さえ具
26 切断部

Claims (21)

  1. 2枚の電気絶縁性基板に挟まれた空間に、電極およびスペーサーが設けられたバイオセンサーと、該バイオセンサー内に配置された被検体の皮膚を突き刺して体液を採取するための穿刺針とが穿刺針支持体を介して一体となって構成されたバイオセンサーにおいて、
    前記基板にはそれぞれ電極が形成されていない基板部分の切り離しを可能とする切断部が設けられるとともに、
    該穿刺針の先にある穿刺採血口が穿刺可能な軟質材料で密閉され、該穿刺針の後部側に設けられた伸縮性材料により2枚の基板の切断部を覆い、さらには2枚の基板と該穿刺針支持体との隙間を密閉することにより、バイオセンサー内部を密封し、
    該穿刺針が外部からの駆動を受けて軟質材料と皮膚の両方を同時に突き破った後、前記切断部で基板の一部を切り離し、バイオセンサー内部の体積を増加せしめることにより該内部を陰圧とすることで吸引採血し、検出成分を測定することを特徴とした針一体型バイオセンサー。
  2. 切断部が、容易に切断し得る結合部により構成される請求項1記載の針一体型バイオセンサー。
  3. 容易に切断し得る結合部が、基板間に少なくとも1箇所以上の線上結合部として設けられ、または基板の少なくとも片面に基板を貫通しない深さで設けられた溝により構成される請求項2記載の針一体型バイオセンサー。
  4. 中心部が縊れている線状結合部が用いられる請求項3記載の針一体型バイオセンサー。
  5. V字型の溝が用いられる請求項3記載の針一体型バイオセンサー。
  6. 電極上および/またはその周辺に試薬層が設けられている請求項1記載の針一体型バイオセンサー。
  7. 穿刺針が、一方の基板に形成された電極の長軸方向に交差する態様で配置されたことを特徴とする請求項1記載の針一体型バイオセンサー。
  8. 穿刺針が、一方の基板に形成された電極の長軸方向に直交する態様で配置されたことを特徴とする請求項1記載の針一体型バイオセンサー。
  9. バイオセンサーが穿刺針を中心線とした左右非対称な形状である請求項1記載の針一体型バイオセンサー。
  10. スペーサーが、レジスト層および/または接着剤層により構成される請求項1記載の針一体型バイオセンサー。
  11. レジスト層が、電極よりも厚く形成される請求項10記載の針一体型バイオセンサー。
  12. 軟質材料がゲル、弾性材料または発泡性材料である請求項1記載の針一体型バイオセンサー。
  13. 弾性材料が、シリコーンゴムである請求項12記載の針一体型バイオセンサー。
  14. 伸縮性材料が、天然ゴムである請求項1記載の針一体型バイオセンサー。
  15. 穿刺直後、穿刺針支持体を穿刺方向と反対方向に引くことで、バイオセンサー基板に設けられた切断部が切り離され、バイオセンサー内部の体積を増加させて該内部を陰圧にすることを特徴とする請求項1記載の針一体型バイオセンサー。
  16. 穿刺駆動を備えた針一体型バイオセンサー用測定装置により、穿刺、採血、測定の一連の操作が自動で行われることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の針一体型バイオセンサー。
  17. 請求項1乃至15のいずれかに記載の針一体型バイオセンサーと、該バイオセンサーを挿入させてセットする針一体型バイオセンサー導入部、該バイオセンサーの電極における電気的な信号を捉えるコネクター部、コネクター部を介して電気的な値を計測する計測部、計測のための操作パネル部、計測部における計測値を表示する表示部、計測値を保存するメモリ部、穿刺針の駆動部、駆動部引き金部および穿刺針による穿刺を開始する穿刺開始ボタンを備えた針一体型バイオセンサー用測定装置。
  18. 穿刺駆動とともに、バイオセンサー基板の切断部おける切り離し機構を備えた請求項17記載の針一体型バイオセンサー用測定装置。
  19. さらに、針一体型バイオセンサーの穿刺針を中心線とした左右非対称構造を測定用端子の突出部で認識できる機構を備えた請求項17または18記載の針一体型バイオセンサー用測定装置。
  20. 計測部における計測方法として、ポテンシャルステップクロノアンペロメトリー法、クーロメトリー法またはサイクリックボルタンメトリー法が適用される請求項17乃至19のいずれかに記載の針一体型バイオセンサー用測定装置。
  21. 音声ガイド機能及び音声認識機能、電波時計の内臓による測定データ管理機能、測定データの医療機関への通信機能および充電機能の少なくとも一つの機能を備えた請求項17乃至20のいずれかに記載の針一体型バイオセンサー用測定装置。
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