JPWO2007046503A1 - キャリア間干渉除去装置及びこれを用いた受信装置 - Google Patents

キャリア間干渉除去装置及びこれを用いた受信装置 Download PDF

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Abstract

マルチキャリア信号を高速に移動しながら受信する際、受信信号に含まれるドップラーシフトに起因するキャリア間干渉の推定精度を向上させ、キャリア間干渉除去後の受信特性を向上させることができるキャリア間干渉除去装置を提供する。本発明のキャリア間干渉除去装置において、伝送路推定部101がキャリア信号から伝送路周波数特性を推定し、等化部102が前記伝送路周波数特性でキャリア信号を等化して仮のキャリアデータを出力し、信頼性算出部103が前記伝送路周波数特性をもとに信頼性を算出し、重み付け部104が仮のキャリアデータに信頼性を重み付けし、ICI成分推定部106が重み付けされた仮のキャリアデータと推定した伝送路周波数特性とをもとにICI成分を推定し、ICI除去演算部107がICI成分をキャリア信号から除去する。

Description

本発明は、移動体通信の分野においてマルチキャリア信号受信時のキャリア間干渉を軽減させるキャリア間干渉除去装置に関し、特に、伝送特性を改善する技術に関する。
現在、地上デジタル放送をはじめIEEE802.11aといった様々なデジタル通信において、直交周波数分割多重方式(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が伝送方式として広く採用されている。OFDMは、複数の狭帯域デジタル変調信号を互いに直交するサブキャリアにより周波数多重しており、周波数の利用効率に優れた伝送方式である。さらに、OFDMでは、1シンボル期間が有効シンボル期間とガードインターバル期間とで構成されており、シンボル内で周期性を有するために前記有効シンボル期間の信号の一部をガードインターバル期間へ複写されているため、マルチパス干渉によって生じるシンボル間の干渉の影響を軽減することが可能であり、マルチパス干渉に対しても優れた耐性を有している。
しかしながら、OFDMは、広帯域デジタル変調信号に比べ、1シンボル長が長くなるため、移動受信等において生じる伝搬路のフェージング環境下での時間変動に対する耐性が低くなってしまう。さらに、フェージング環境下では、マルチパス干渉による遅延分散に起因する受信信号の振幅の時間変動だけでなく、ドップラーシフトと呼ばれる周波数変動も生じる。このドップラーシフトにより、個々のサブキャリアの直交関係がくずれ、互い干渉を起こし、結果として正しく復調することが困難になってしまう。このサブキャリア同士が互いに干渉することはキャリア間干渉(ICI:Inter−Carrier Interference)と呼ばれており、このICIによる通信品質の劣化を抑えることが、大きな鍵となっている。
近年、ICIによる劣化を改善するための方法がいくつか提案されている。その一つに、非特許文献3に示す方法がある。
図40は非特許文献3に記載されているICI除去部の構成を表すブロック図である。
伝送路特性推定部4001が、FFT処理された信号(Yと表す)から、伝送路特性を推定し、仮等化部4002が、FFT後の信号を伝送路特性で除算することにより送信信号を仮推定する(X(s)と表す。sは現在のシンボル番号を表す)。
一方、伝送路特性一次微分算出部4003が、推定した伝送路特性から式1によって、各キャリアに対し、現在のシンボルの前後のシンボルの伝送路特性の差を算出することで伝送路特性H(s)の一次微分(H’(s)と表す)を算出し、乗算部4004へ出力する。
H’(s)=(H(s+1)−H(s−1))/(2・Ts) …(式1)
式1において、Tsは、OFDMシンボル長を示している。
その後、乗算部4004が、仮等化後の信号X(s)と伝送路特性の一次微分値H’(s)と定数行列であるΞを用いてICI成分K(s)を式2の演算により推定する。
K(s)=Ξdiag(H’(s))X(s) …(式2)
ここで、Ξは式3,4で表される。
Figure 2007046503
Figure 2007046503
本明細書中で、diag(A(s)) の表記は、下式のようなN行×N列の正方行列を示すものとする(n=0、…、N−1)。ただし、nはキャリア番号で、Nは全キャリア数である。
Figure 2007046503
次に、減算部1005が、FFT後の信号Yから、式2を用いて推定されたICI成分を減算することにより除去する。
ARIB STD−B31 IEEE Std 802.11a−1999 Karsten Schmidt他,"Low Complexity Inter−Carrier Interference Compensation for Mobile Reception of DVB−H" 9th International OFDM−Workshop 2004,Dresden.(P72〜76、Fig.4) 特表2004−519900
しかしながら、非特許文献3に示されるキャリア間干渉除去装置によると、マルチパスフェージング環境下において伝送路特性が周波数選択性を呈して、受信帯域内にディップが生じ、あるキャリアが他のキャリアと比べて相対的にレベルが落ち込んで雑音成分を多く含む場合や、特定のキャリアに妨害波が混入する場合などに、当該キャリアで推定する仮のキャリアデータおよび伝送路変動の推定に誤差が生じ、結果として他のキャリアに与える与干渉成分の算出に誤差が生じてしまう。
そして、当該キャリアにおける仮のキャリアデータの推定を大きく誤ると、キャリア間干渉を除去するどころか、かえってキャリア間干渉を増大させてしまうという問題がある。
上記問題に鑑み本発明は、マルチパスフェージング環境下において伝送路特性が周波数選択性を呈する場合や妨害波が混入する場合でも、ICI成分を精度良く推定、除去することが出来るキャリア間干渉除去装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、伝送路の状態により変動する周波数応答特性を示すキャリア信号を複数含んだマルチキャリア信号からキャリア間干渉成分を除去するキャリア間干渉除去装置であって、マルチキャリア信号を取得する取得部と、各キャリア信号の信頼性を各キャリアに係る周波数応答特性に基づき算出する信頼性算出部と、各キャリア信号を等化する等化部と、等化前の各キャリア信号に係る前記信頼性で、等化後の各キャリア信号を重み付けする重み付け部と、等化前の各キャリア信号に係る前記各周波数応答特性の変動量と、重み付けされた等化後の各キャリア信号とに基づきキャリア間干渉成分を算出し、等化前の各キャリア信号から除去するキャリア間干渉除去部とを備える。
本発明のキャリア間干渉除去装置は、上述の構成を備えることにより、キャリア信号を周波数応答特性に基づいた信頼性で重み付けした上で、キャリア間干渉成分の算出に用いるので、マルチキャリア信号を受信する際にマルチパスの影響が周波数選択性を呈し、更に電波の伝送路が高速に変動してキャリア間干渉が生じるような受信環境下でも、従来よりも正確にキャリア信号に生じるキャリア間干渉成分を推定し除去することができる。
本発明の実施の形態1におけるキャリア間干渉除去装置を含むOFDMの受信装置のブロック図である。 本発明の実施の形態1におけるキャリア間干渉除去装置のブロック図である。 非特許文献1に示されるOFDM信号の信号フォーマットである。 本発明の実施の形態1のキャリア間干渉除去装置における伝送路変動推定部のブロック図である。 本発明の実施の形態1のキャリア間干渉除去装置におけるICI除去演算部のブロック図である。 キャリア信号が周波数選択性を呈する様子を模式的に示した図である。 関数f(x)の一例として一次関数である場合の特性図である。 関数f(x)の一例として一次関数である場合に信頼性によって重み付けされるキャリアを模式的に示した図である。 関数f(x)の一例としてステップ関数である場合の特性図である。 関数f(x)の一例としてステップ関数である場合に信頼性によって重み付けれるキャリアを模式的に示した図である。 関数f(x)が一次関数で、入力が平均振幅で規格化される場合の特性図である。 キャリアの平均振幅を基準とする場合に一次関数によって重み付けされることを模式的に示した図である。 平均電力を複数キャリアで平均化した値で規格化する場合の平均電力を模式的に示した図である。 ISDB−T方式におけるTMCC信号およびAC信号のキャリアを模式的に示した図である。 本発明に係る信頼性算出部および重み付け部を非特許文献3に示されるキャリア間干渉の除去方式に適用した場合のブロック図である。 特許文献1に示される受信装置に本発明に係る信頼性算出部と重み付け部とを付加したブロック図である。 本発明の実施の形態2に係るキャリア間干渉除去装置を含む受信装置のブロック図である。 本発明の実施の形態3におけるキャリア間干渉除去装置の詳細なブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係るキャリア間干渉除去装置における信頼性算出部の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係るキャリア間干渉除去装置における妨害波判定部の構成を示すブロック図である。 本発明のキャリア間干渉除去装置をダイバーシチ構成の受信装置に適用した場合のブロック図である。 本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置を含むダイバーシチ受信のための復調部のブロック図である。 本発明の実施の形態6に係るキャリア間干渉除去装置の構成を示すブロック図である。 各ブランチの仮のキャリアデータの信号点と、合成キャリアデータの信号点との距離を示す模式図である。 ブランチ数が4の場合の各ブランチの仮のキャリアデータの信号点と、合成キャリアデータの信号点との距離を示す模式図である。 本発明の実施の形態7に係るキャリア間干渉除去装置の構成を示すブロック図である。 仮のキャリアデータに対してクリップ処理を施すブロックを含むキャリア間干渉除去装置のブロック図である。 クリップ処理部が、クリップする振幅を示す模式図を示す。 本発明の実施の形態9における受信装置のブロック図である。 図29における受信処理部のブロック図である。 図30における復調部のブロック図である。 図31における伝送路特性推定部のブロック図である。 図31におけるICI成分生成部のブロック図である。 本発明の実施の形態1においてダイバーシティ合成を3段とした受信装置のブロック図である。 図34における受信処理部のブロック図である。 図35における復調部のブロック図である。 本発明の実施の形態10における受信装置のブロック図である。 図37における受信処理部のブロック図である。 図38における復調部のブロック図である。 非特許文献3のICI除去部を示すブロック図である。 OFDMシンボルの模式図である。
符号の説明
1 キャリア間干渉除去装置
101 伝送路推定部
102 等化部
103 信頼性算出部
104 重み付け部
105 伝送路変動推定部
106 ICI成分推定部
107 ICI除去演算部
110 キャリア信号
111 伝送路周波数特性
112 仮のキャリアデータ
113 信頼性
114 重み付けされた仮のキャリアデータ
115 伝送路変動特性
116 ICI成分
117 ICI成分が除去されたキャリア信号
201 送信局
202 移動受信局
501 伝送路推定部
502 等化部
503 伝送路変動推定部
504 ICI成分推定部
505、506、507 シンボル遅延部
508 減算部
510 キャリア信号
511 伝送路周波数特性
514 仮のキャリアデータ
515 伝送路変動特性
516 ICI成分
517 ICI成分が除去されたキャリア信号
702 RF部
703 A/D部
704 シンボル同期部
705 ガード除去部
706 周波数領域変換部
707 ICI除去部
708 伝送路推定部
709 等化部
710 復号部
720 ベースバンド信号
726 伝送路周波数特性
727 キャリアデータ
901 伝送路変動量演算部
902、903 シンボル遅延部
1000 減算回路
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、マルチキャリア変調方式がOFDM方式であり、信号フォーマットが非特許文献1に示されるISDB−T方式である場合を例にして行う。
(実施の形態1)
本発明の一実施形態に係る受信装置は、キャリア間干渉除去装置を含んで構成されており、前記キャリア間干渉除去装置は、キャリアの伝送路周波数特性に基づきキャリア信号の信頼度を算出し、前記信頼度を用いてより正確にICI成分を推定する。よって、前記受信装置は、キャリア信号からICI成分をより正確に除去することができ、OFDM方式における高速移動時の受信性能は向上する。
以下に、本発明の一実施形態に係る受信装置1について、図面を参照しながら説明する。
<構成>
受信装置1は、図1に示すように、アンテナ701を介して所望チャンネルの電波を受信してRF(Radio Frequency)帯の信号をベースバンド信号720に変換するRF部702と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D部703と、OFDMシンボルの同期処理を行うシンボル同期部704と、OFDMシンボルに含まれるガードインターバルを除去するガード除去部705と、時間領域のOFDM信号を周波数領域のキャリア信号110に変換する周波数領域変換部706と、キャリア信号110からキャリア間干渉成分を推定して除去するICI除去部707と、ICI成分が除去されたキャリア信号117から伝送路の周波数応答特性を推定し、伝送路周波数特性726を出力する伝送路推定部708と、伝送路周波数特性726をもとにキャリア信号110を等化し、キャリアデータ727を出力する等化部709と、キャリアデータ727から誤り訂正処理を施して受信ビットデータ728を得る復号部710とを含んで構成される。
受信装置1は、具体的には、アンテナ、チューナー、復調LSIなどから構成される受信装置である。
ここで、周波数領域変換部706における時間領域信号から周波数領域信号の変換には、一例としてFFT(Fast Fourier Transform)演算を用いる。ICI除去部707以外は、OFDM信号を復調する受信装置としては公知なので詳細な動作説明は省略する。
次に、ICI除去部707に相当するキャリア間干渉除去装置707について、図2を参照しながら説明する。
図2は、キャリア間干渉除去装置707の詳細なブロック図である。
キャリア間干渉除去装置707は、図2に示すように、伝送路推定部101と、等化部102と、信頼性算出部103と、重み付け部104と、伝送路変動推定部105と、ICI成分推定部106と、ICI除去演算部107とを含んで構成される。
伝送路推定部101は、キャリア信号110から伝送路の周波数応答特性を推定し、伝送路周波数特性111を出力する。ISDB−T方式の場合、伝送路推定部101は、キャリア信号110に含まれるパイロットキャリアを用いて周波数応答特性を推定する。
以下に、周波数応答特性の推定について、図面を参照しながら説明する。
図41は、OFDMシンボルの模式図である。以下において、OFDMシンボルのシンボル長をT、ガード長をT、有効シンボル長をTとする。
図3は、OFDM信号のフォーマットを示しており、図中の白抜き丸はデータキャリアを示し、黒丸はパイロットキャリアを示す。また、sはシンボル番号を示す。パイロットキャリアは、受信側でそのキャリアデータX(pはパイロットキャリアのキャリア番号)が既知であるから、これを用いて、実際に受信したキャリアデータであるYを式5に示す除算によって等化し、パイロットキャリアにおける伝送路周波数特性Hを求める。
=Y/X ・・・(式5)
そして、近隣のOFDMシンボルのHとの間(シンボル方向)で、パイロットキャリアの間に位置するデータキャリアに対する伝送路周波数特性を補間により算出する。例えば、パイロットキャリア151の伝送路周波数特性をH(s−4)、パイロットキャリア152の伝送路周波数特性をH(s)とし、データキャリア153、154、155各々についての、伝送路周波数特性H(s−1)、H(s−2)、H(s−3)とする。ここで、nはキャリア番号である。この場合、H(s−1)、H(s−2)、H(s−3)は、H(s−4)とH(s)との間を補間することにより求められる。
さらに、シンボル毎に、キャリア方向に3キャリアおきに得られた周波数応答特性をキャリア方向に補間することで、データキャリアを含む全キャリアに対する伝送路周波数特性を推定する。
例えば、データキャリア156についてシンボル方向への補間により求められた伝送路周波数特性Hn+3(s)と、パイロットキャリア152の伝送路周波数特性H(s)との間をキャリア方向に補間することにより、データキャリア157の伝送路周波数特性Hn+1(s)と、データキャリア158の伝送路周波数特性Hn+2(s)を求める。
等化部102は、伝送路周波数特性H(s)をもとにキャリア信号Y(s)を式6に示す除算によって等化し、仮のキャリアデータX(s)を推定する。
(s)=Y(s)/H(s) ・・・(式6)
伝送路変動推定部105は、伝送路周波数特性H(s)から、ICIを除去するシンボルsの前後で生じる伝送路周波数特性の変動量H’(s)(以下、伝送路変動特性という。)を算出する。
伝送路変動推定部105は、図4に示すように、OFDMシンボル長Tだけ遅延させるシンボル遅延部902、903と、伝送路変動量演算部901とを含む。伝送路変動推定部105は、入力のキャリアnにおける伝送路周波数特性H(s+1)と2つのシンボル遅延部で遅延させたH(s−1)とを用いて伝送路変動量演算部901で、式7に基づく演算を行い、s番目のシンボルにおける伝送路変動特性H’(s)を推定する。
H’(s)=(H(s+1)−H(s−1))/(2・Ts)…(式7)
信頼性算出部103は、仮のキャリアデータX(s)に対する信頼性W(s)を算出する。キャリアnにおける信頼性W(s)は、各キャリア毎に伝送路周波数特性H(s)に基づいて算出され、その関係が後述する所定の関数f(・)で対応付けられる(式8)。abs[z]は、ベクトルzの振幅を示す。
(s)=f(abs[H(s)]) …(式8)
(n=0、…、N−1 ただし、n≠m)
重み付け部104は、信頼性算出部103で算出した重みW(s)を仮のデータシンボルX (s)に乗算により重み付けする。
X^(s)=X (s)・W(s) …(式9)
(n=0、…、N−1 ただし、n≠m)
ICI成分推定部106は、式10に示すように、リーク行列Ξと、伝送路変動特性H’(s)と、重み付けされた仮のキャリアデータX^(s)とを乗算することでICI成分K(s)を推定する。
K(s)=Ξ・H’(s)・W(s)・X(s)
=Ξ・H’(s)・X^(s) …(式10)
ここで、K(s)、Ξ、H’(s)、W(s)、X(s)は、それぞれ式11〜式15で示す行列で表される。ここで、は転置を示す。
K(s)=[K(s)、K(s)、・・・、KN−1(s)] …(式11)
Figure 2007046503
Figure 2007046503
H’(s)=diag(H’(s)) …(式12)
W(s)=diag(W(s)) …(式13)
(s)=[X (s)、X (s)、…、X N−1(s)] …(式14)

ICI除去演算部107は、(式15)に示すように、入力のキャリア信号Y(s)から推定したICI成分K(s)を差し引くことで、ICI成分を除去する。
(s)=Y(s)−K(s) …(式15)
ICI除去演算部107は、図5に示すように、減算回路1000で実現する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1におけるキャリア間干渉除去装置は、伝送路周波数特性をもとに信頼性を算出する信頼性算出部と重み付け部とを含むことを特徴とするものである。
<動作>
キャリア間干渉除去装置707の動作について詳細に説明する。
先ず、キャリア間干渉除去装置707は、ICI成分の推定に必要な仮のキャリアデータを推定する。そのため、伝送路推定部101が、伝送路周波数特性H(s)を推定し、等化部102が、H(s)を用いてキャリア信号Y(s)を等化して、仮のデータシンボルX(s)を得る。伝送路推定には、図3に示す受信側で既知のパイロットキャリアを用いる。ここで、マルチパスの遅延量とパス間の位相関係とによっては、図6(a)に示すように、キャリア間で相対的にレベルが異なり、特定のキャリア(例えば、キャリア161、キャリア162)のキャリアレベルが低くなる。
図6は、キャリア信号が周波数選択性を呈する様子を模式的に示した図である。
ここで、第nキャリアにおける伝送路周波数特性H(s)について、abs[H(s)]は、各キャリア信号の振幅そのものであり、H(s)の振幅が小さいと雑音レベルに近くなるため、式6によって等化すると、結果として仮のデータシンボルX (s)の推定を誤る可能性が高くなる。ひいては、他のキャリアに対する与干渉の推定を誤ることになる。また、誤ったキャリアデータで与干渉量(漏れ込み量)を算出すると、逆にICIを発生させてしまうことになる。したがって、キャリアデータの推定を間違っている可能性がある場合、すなわち信頼性の低いキャリアのキャリアデータについては、ICI成分の推定への寄与を下げるようにすれば、ICI成分の推定精度を向上させることができる。
そこで、本発明では、ICI成分の推定に必要な仮のキャリアデータX^(s)に対して、キャリアの信頼性に応じた重み付けを行い、ICI成分の推定においての信頼性を向上させている。
具体的には、信頼性算出部103が、伝送路周波数特性H(s)に基づいて、仮のデータシンボルX^(s)に対する信頼性W(s)を算出する。
したがって、あるキャリアnの信頼性(重み)W(s)は、式16に示すように、abs[H(s)]を入力xとする関数f(x)で表される。
(s)=f(abs[H(s)]) …(式16)
関数f(x)の詳細については、後述する。
次に、重み付け部104が、仮のデータシンボルX (s)に信頼性W(s)を乗算する。
一方、伝送路変動推定部105が、ICI成分を除去するsシンボル目のOFDMシンボルの前後の伝送路周波数特性H(s+1)、H(s−1)とから、伝送路変動H’(s)を算出し、ICI成分推定部106が、式10に示す演算により、ICI成分K(s)を推定する。
そして、ICI除去演算部107が、キャリア信号Y (s)から推定したICI成分K(s)を差し引くことにより除去する。
ICI除去部707の次段の伝送路推定部708と等化部709とが、ICI成分を除去したキャリア信号Y (s)について、再度、伝送路推定とそれに基づく等化処理を行い、復号部710が、誤り訂正処理を施してから受信ビットデータを得る。
ここで、信頼性算出部103が用いる関数f(x)および、その入力xについて説明する。はじめに、関数f(x)の入力xをabs[H]とする場合を述べる。
関数f(x)として、例えば、式17に示す関数が考えられる。ただし、α>1である。αはシステムに適した値を決定すればよい。
f(x)=0 (0≦x<(α−1)/α の場合)
=α(x−1)+1 ((α−1)/α≦x≦1の場合)
=1 (1<x の場合)
…(式17)
ここで、パイロットキャリアの振幅を1とし、これを基準とすると、式5よりabs[H]についても、abs[H]=1を基準とすることができるので、x=abs[H]となる。
式17は、キャリア信号の振幅abs[H]が、(α−1)/αから1の値をとる場合は、キャリア信号の振幅に比例した1次関数で信頼性が対応付けられ、(α−1)/αより小さければ信頼性を零にするものである(図7参照)。
信頼性を零にするということは、当該キャリアnにおけるキャリアmに対する与干渉を考慮しないことを意味する。
図7は、関数f(x)の一例として一次関数である場合の特性図である。
図8は、関数f(x)の一例として一次関数である場合に信頼性によって重み付けされるキャリアを模式的に示した図である。
f(x)の値が、0〜((α−1)/α)の間であるキャリア171と172については、信頼性が値0となる。
次に、関数f(x)を式18に示すようなステップ関数とする場合について述べる。
f(x)=0 (0≦x<a の場合)
=1 (a≦x の場合) …(式18)
例えば、x<aの領域において零になるようにステップ関数を選ぶと、キャリアの振幅が所定の閾値aより小さければ、当該キャリアにおける仮のキャリアデータの推定値は信頼性が低いと見なして与干渉を零にする。
図9は、関数f(x)の一例としてステップ関数である場合の特性図である。
図10は、関数f(x)の一例としてステップ関数である場合に信頼性によって重み付けされるキャリア信号を模式的に示した図である。
例えば、f(x)の値が、0〜aの値となるキャリア181については、信頼性が値0となる。
また、関数f(x)の入力の基準が、キャリアの平均振幅となるようにしても良い。
図11は、関数f(x)が一次関数で、入力が平均振幅で規格化される場合の特性図である。
図12は、キャリアの平均振幅を基準とする場合に一次関数によって重み付けされることを模式的に示した図である。ここで、平均振幅を算出するにあたって、全キャリア(キャリア0からキャリア(N−1))を用いて算出する場合(式19)や、当該キャリアnの複数の周辺キャリア(キャリア(n−L)からキャリア(n+L))のみから算出する場合(式20)が考えられる。
Figure 2007046503
Figure 2007046503
ただし、式20において、(n=0、1、・・・、L−1)に対しては、n=Lの平均値で、同様に、n=N−L、N−L+1、・・・、N−1)に対しては、n=N−L−1の平均値で代用する。なお、1<L<N−2の整数である。
また、関数f(x)の入力の基準が、キャリアの平均電力となるようにしても良い。
図13は、平均電力を複数キャリアで平均化した値で規格化する場合の平均電力を模式的に示した図である。
図13において、関数f(x)の入力の基準を、キャリアAに対する信頼性を求める場合は、キャリアAの周辺の複数キャリアで算出される平均電力で規格化した値とし、キャリアBについても同様に、キャリアBの周辺の複数キャリアで算出される平均電力で規格化した値とするといったように、当該キャリアnの周辺で算出した平均電力で規格化した値を用いて信頼性を求めることとしてもよい。
図13の場合には、キャリア191、192についての信頼性は0とされる。
このように、当該キャリアnの周辺で算出した平均電力で規格化した値で信頼性を求めることで、信頼性を零にする閾値が変化する。キャリアは、遠く離れたキャリアよりも近隣のキャリアからの方がより多くの与干渉を受けるため、当該キャリアの周辺で算出した平均電力を基準とした方が、キャリアレベルの相対関係をより正確に反映させることができ、キャリア信頼性をより正確に求めることができる。
また、関数f(x)の入力xを、キャリアの振幅の二乗値(電力)を入力にしても良い。この場合、入力xは、式21で示されるものである。
x=abs[H]・abs[H] …(式21)
また、キャリアnの振幅の二乗値(電力)を、キャリアnの周辺の複数キャリアで平均化した値で規格化したものとしても良い。
平均電力を算出するに当たっては、全キャリア(キャリア0からキャリア(N−1))を用いて算出する場合(式22)や、当該キャリアnの複数の周辺キャリア(キャリア(n−L)からキャリア(n+L))のみから算出する場合(式23)が考えられる。
Figure 2007046503
Figure 2007046503
ただし、式23において、(n=0、1、・・・、L−1)に対しては、n=Lの平均値で、同様に、n=N−L、N−L+1、・・・、N−1)に対しては、n=N−L−1の平均値で代用する。なお、2≦L≦N−2の整数である。
さらに、式24に示すように、上記入力値の対数値を入力としてもよい。
Figure 2007046503
例えば、式24は、式22の対数をとったものである。
以上、関数f(x)の入力xについて、キャリアの振幅値の場合、振幅の二乗値(電力)の場合、さらにそれらを複数キャリアの平均値で規格化した場合について述べた。
また、関数f(x)について、例として、一次関数で表現されるもの(式17)、所定の閾値を境に0または1となるステップ関数(式18)を示したが、効果的にキャリアの信頼性をICI成分の算出に反映できるものであればよいので、これらに限らない。
このように、本発明の実施の形態1におけるキャリア間干渉除去装置は、キャリアの信頼性をもとに信頼性を算出し(式8)、これを用いてICI成分を算出(式10)するので、ICI成分の推定の信頼性が向上する。
したがって、より正確にICI成分を除去することができ、結果的にOFDM方式の高速移動時の受信性能を向上させることができる。
なお、パイロットキャリアのキャリアについては、そのキャリアデータが受信側で既知であるので、データキャリアと比べて、与干渉成分を正しく推定することができる。したがって、パイロットキャリアにおける信頼性は高いと見なして、重み付けしないことが望ましい。
さらに、ISDB−T方式においては、特定のキャリアが、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)信号やAC(Auxiliary Channel)信号などの制御情報のために割り当てられている。TMCC信号により主に変調方式や符号化率などの伝送パラメータが送信され、AC信号により付加情報が送信される。
図14は、ISDB−T方式におけるTMCC信号およびAC信号のキャリアを模式的に示した図である。
TMCC信号とAC信号については、1次変調として差動BPSKが用いられているため、1次変調として64QAMなどを用いるデータキャリアより誤り率が格段に低い。そのため、TMCC信号およびAC信号のキャリアについては、確からしいキャリアデータを用いてICI成分の推定をすることができるので、TMCC信号およびAC信号のキャリアについては、信頼性が高いと見なして、重み付けしないことが望ましい。
したがって、パイロットキャリアのキャリア番号をp、TMCC信号およびAC信号のキャリア番号をtとすると、n=p、tにおいては信頼性W(s)は式25となる。
(s)=1 (n=p、t) …(式25)
なお、式10におけるW(s)の乗算について、式変形により式26であっても、演算結果が同じになる。
K(s)=Ξ・W(s)・H’(s)・X(s) ・・・(式26)
したがって、ICI成分を推定するための演算過程において、それを構成する回路ブロックにおけるW(s)を乗算する部位は問題とならず、同じ推定結果となる部位であればよい。
なお、伝送路変動推定部では、シンボルsの伝送路変動特性を求めるために、一例として、シンボルsに隣接する前後のシンボルs+1とシンボルs−1とからシンボルsにおける伝送路変動特性H’(s)を推定したが、次隣接のシンボルs+2とシンボルs−2とから求めても良く、算出に用いるシンボル番号によらない。
なお、本発明に係る信頼性算出部および重み付け部を、非特許文献3に示されるキャリア間干渉の除去方式に適用すると、その処理ブロック図は、図15のようになる。
図15は、本発明に係る信頼性算出部および重み付け部を非特許文献3に示されるキャリア間干渉の除去方式に適用した場合のブロック図である。
本発明に係る信頼性算出部および重み付け部を付加した図15に示すような処理によれば、より正確にキャリアに生じるキャリア間干渉成分を推定し、除去することができるので、受信特性を改善することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、仮のシンボルデータを推定し、ICI成分を除去後に再度、等化処理を行うフィードフォワード処理のICI除去方式に本発明を適用する場合について説明したが、実施の形態2は、本発明をフィードバック処理のICI除去方式に適用したものである。
実施の形態2におけるキャリア間干渉除去装置は、具体的には、信頼性算出部が推定する伝送路周波数特性に基づいて信頼性を算出し、これをキャリアデータの推定値に重み付けするものである。これにより、ICI成分推定の信頼性を高め、より正確にICI成分を除去してキャリアデータを推定することができ、結果的にOFDM方式の高速移動時の受信性能を向上させることができる。
以下、実施の形態2に係るキャリア間干渉除去装置1200について、図面を参照しながら説明する。
キャリア間干渉除去装置1200は、図16に示すように、減算部1102と、伝送路推定部1103と、等化部1104と、乗算部1105と、リーク行列乗算部1106と、信頼性算出部1201と、重み付け部1202とを含んで構成される。
キャリア間干渉除去装置1200は、具体的には、LSIの内部に実装される。
減算部1102は、キャリア間除去装置外部のFFT部により、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換されたキャリア信号を取得し、当該キャリア信号から推定したICI成分を減算により除去する。
伝送路推定部1103は、伝送路周波数特性Hと時間導関数d^(すなわち、伝送路の時間変動量)とを推定する。
等化部1104は、伝送路周波数特性Hを用いてキャリア信号1113を等化してキャリアデータs^1115を出力する。
信頼性算出部1201は、伝送路推定部1103により推定された伝送路周波数特性1114を基に、式27にしたがってキャリアの信頼性1210を算出する。
(s)=f(abs[H(s)]) ・・・(式27)
重み付け部1202は、推定したキャリアデータs^に対してキャリアごとにWで重み付けする。
乗算部1105は、時間導関数d^1116と、重み付け部1202により重み付けされたキャリアデータとを乗算し、さらにリーク行列乗算部1106がリーク行列Ξを乗算し、ICI成分1118を推定する。
そして、フィードバックによる繰り返し演算処理を複数回実行することでICI成分の精度を向上させていく。
上記処理を数式で表したものが式28であり、式28で示される演算により、キャリアデータを精度よく推定することができる。
Y(i)=Y−Ξ・(d^(i-1)・s^(i-1)・diag(W(s)))
…(式28)
ここで、iは演算回数である。
なお、キャリア間干渉除去装置1200の出力はキャリアデータであり、キャリア間干渉除去装置1200は、図17のICI除去部707に相当する。図17に示すように、後段に伝送路推定部と等化部とを含まず、復号部710が後段に接続される。
以上説明したように、本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置1200は、信頼性算出部1201が推定した伝送路周波数特性1114に基づいて信頼性1210を算出し、これをキャリアデータの推定値1115に重み付けするので、同様に、ICI成分推定の信頼性を高めることができる。
したがって、より正確にICI成分を除去してキャリアデータを推定することができ、結果的にOFDM方式の高速移動時の受信性能を向上させることができる。
以上、実施の形態1と実施の形態2で示したように、隣接キャリアに対し、キャリアの信頼性に基づいた重み付けを行ってICI成分を推定する本発明は、ICI除去方式として、ICI成分が周辺キャリアのキャリアデータに依存することに着目し、複数の周辺キャリアからの漏れ込みを考慮してICI成分を推定する方式に対して適用可能であり、詳細なICI除去方法、回路構成は問わない。
(実施の形態3)
実施の形態1及び2では、推定したICI成分を、受信したキャリア信号から差し引くことで除去する場合について説明したが、実施の形態3は、逆行列演算によって、直接にICI成分が除去されたキャリアデータを算出する場合に、本発明を適用したものである。
先ず、本実施の形態で行っている処理の内容について、数式を用いて概要を説明し、次いで構成、動作を説明する。
ICI成分の推定のための算出式(式10)において、信頼性で重み付けしない場合を考えると、式29となる。
K(s)=Ξ・H’(s)・X(s) …(式29)
一方、ICI成分除去後のキャリア信号は、Y(s)=H(s)・X(s)と表される。したがって、式29において、キャリアデータを仮のキャリアデータXとしたが、X(s)=X(s)とすれば、式15より、式30の関係式が得られる。
H(s)・X(s)=Y(s)−Ξ・H’(s)・X(s)…(式30)
これを変形して、
H(s)・X(s)+Ξ・H’(s)・X(s)=Y(s)…(式31)
さらに、
X(s)=(H(s)+Ξ・H’(s))−1・Y(s) …(式32)
が得られる。ここで、(・)−1は、逆行列演算を示す。
したがって、(H(s)+Ξ・H’(s))の逆行列を求め、受信したキャリア信号Y(s)を乗算すれば、式32に示すように、ICI成分を除去されたキャリアデータX(s)を直接に求めることができる。
(H(s)+Ξ・H’(s))はキャリア間干渉を含んだ伝送路周波数特性と考えられる。
式32において、H(s)とH’(s)とが推定すべき変数であるが、H’(s)は、式7で算出されるものであるから、キャリアレベルに応じて推定値の信頼性が決まる。
そこで、実施の形態1と同様に、H(s)に基づいて決定される信頼性W(s)を式33のように定義し、H’(s)に対して、各キャリアの信頼性に応じた重み付けをすれば、精度よくキャリア間干渉込みの伝送路周波数特性を算出できる。
(s)=f(abs[H(s)]) …(式33)
したがって、
X(s)=(H(s)+Ξ・H’(s)・diag(W(s)))−1・Y(s)
…(式34)
以上のように、式34で示される演算により、キャリアデータを精度よく推定することができる。
以下に、本実施の形態に係る、式34に基づいてキャリアデータを推定するキャリア間干渉除去装置1400について説明する。
キャリア間干渉除去装置1400は、図18に示すように、伝送路推定部101と、信頼性算出部103と、伝送路変動推定部105と、伝送路ICI特性推定部1401と、逆行列演算部1402と、伝送路ICI逆特性乗算部1403と、重み付け部1404とを含んで構成される。
説明済みのものと同じ構成要素には、同一の参照番号を付して、特に必要がない限り説明を省略する。
重み付け部1404は、伝送路変動推定部105が推定したH’(s)に、信頼性算出部103が算出した信頼性W(s)を乗算により重み付けし、その結果である伝送路変動特性1410を出力する。
伝送路ICI特性推定部1401は、式35に示すように、伝送路特性H(s)と、リーク行列Ξと重み付けされた伝送路変動特性H’(s)・diag(W(s))とでICIの相互干渉特性を含めた伝送路ICI特性K’(s)を推定する。
K’(s)=H(s)+Ξ・H’(s)・diag(W(s)) …(式35)
逆行列演算部1402は、伝送路ICI特性K’(s)の逆行列を算出し、伝送路ICI特性1411の逆特性を算出する。
伝送路ICI逆特性乗算部1403は、キャリア信号110に対して、伝送路ICI特性の逆特性1412を乗算して、キャリアデータを推定する。
なお、キャリア間干渉除去装置1400の出力は、キャリアデータであるので、キャリア間干渉除去装置1400を含む受信装置は、図17に示した受信装置と同様に、後段に伝送路推定部と等化部とを含まず、復号部が後段に接続される。
このように、本発明の実施の形態3におけるキャリア間干渉除去装置1400は、キャリアの信頼性が伝送路推定部101で推定された伝送路周波数特性Hに基づいて算出され、これを伝送路変動特性H’に対して重み付けするので、ICI成分込みの伝送路周波数特性(ここでは、伝送路ICI特性と呼んでいる。)の推定の信頼性を高めることができる。したがって、より正確にICI成分を除去してキャリアデータを求めることができ、結果的にOFDM方式の高速移動時の受信性能を向上させることができる。
(実施の形態4)
受信するチャネル帯域に妨害波が混入すると、これがICI成分の推定に悪影響を与え、ICI除去の効果は劣化してしまう。妨害波には、地上アナログ放送の信号であるNTSC(National Television System Committee)信号やCW(Continuous Wave)妨害などが考えられる。特に、NTSC信号において、映像副搬送波や主音声副搬送波は、狭帯域の妨害波となる。
本実施の形態は、このような妨害波を検出し、検出結果をキャリアの信頼値に反映させて、ICI除去効果の劣化を防ぐものである。
図19は、本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置内の信頼性算出部2100の構成を示すブロック図である。
信頼性算出部2100は、図19に示すように、伝送路判定部2101と妨害波判定部2102と判定部2103とを含んで構成される。
伝送路判定部2101は、第1の実施形態の信頼性算出部103と同じ機能を果たす。すなわち、伝送路周波数特性を入力として、所定の関数で信頼性値を伝送路情報として出力する。
妨害波判定部2103はキャリア毎に妨害波の検出を行う。
図20は、本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置内の妨害波判定部2103の構成を示すブロック図である。
妨害波判定部2103は、振幅二乗部2111と、シンボル方向平滑部2112と、シンボル内平滑部2113と、乗算部2114と、比較部2115とを含んで構成される。
振幅二乗部2111は、キャリア毎の伝送路変動特性の振幅を二乗して、変動特性振幅二乗値を、シンボル方向平滑部2112へ出力する。
シンボル方向平滑部2112は、キャリア毎に、変動特性振幅二乗値をシンボル方向に平滑化し、シンボル内平滑部2113と比較部2115に出力する。ここでは、一例として128シンボルにわたり伝送路変動特性を平滑化するが、これに限らない。
シンボル内平滑部2113は、シンボル方向平滑部2112が出力する平滑化された変動特性振幅二乗値に対する、シンボル内の全キャリアの平均値を算出し、乗算部2114に出力する。
乗算部2114は、シンボル内に平滑化された信号に所定の係数cを乗算し、比較部へ出力する。ここで、係数cは、一例として16とするが、これに限るものではない。
比較部2115は、乗算部2114の出力と、シンボル方向に平滑化された変動特性振幅二乗値とをキャリア毎に比較し、第nキャリアについての比較結果βを妨害波情報として判定部2102へ出力する。
ここでは、一例として、変動特性振幅二乗値が乗算部の出力以上であればβ=0とし、小さければβ=1とする2値であるが、妨害波の大きさに応じた値となる多値であってよく、これに限るものではない。
以下、妨害波判定部2103を用いる場合の効果について説明する。
狭帯域妨害波が存在すると、存在するキャリアの信頼性は低くなり、また、伝送路特性は大きな変動を受けるため、そのキャリア位置の伝送路変動特性は、全キャリアの伝送路変動特性の平均値(シンボル内平滑部の出力)よりも比較的大きくなる。そのため、全キャリアの伝送路変動特性の平均値に対して、比較的大きな伝送路変動特性H’を持つキャリアは妨害を受けていると判定できる。
また、シンボル方向へ平滑化することによって妨害波の検出精度を上げることができる。
判定部2102は、伝送路判定部2101が出力する伝送路情報と妨害波判定部が出力する妨害波情報とに基づいて信頼性値を出力する。ここでは、次式のように、伝送路情報と妨害波情報を掛け合わせたものを信頼性Wとして出力する。
Wn=f(H)・β …(式36)
以上のように構成された信頼性算出部2100により、伝送路特性で影響されたキャリアの信頼性だけでなく、妨害波の存在するキャリアを特定できて、そのキャリアに対してはβ=0として、判定部2102においてさらに考慮した信頼性値を求め、その信頼性値を用いた重み付けを施してICI成分を生成することで、妨害波の影響を受けた信頼性の低いキャリアからの誤ったICI成分の推定を抑制できるので、ICI成分推定精度が向上し、結果として高速移動時の受信性能が向上する。
(実施の形態5)
本実施の形態は、複数アンテナを用いてダイバーシチ受信する受信装置に本発明のキャリア間干渉除去装置を適用するものである。
まず、本実施の形態と、実施の形態1との相違点について説明する。
図21は、本実施の形態のキャリア間干渉除去装置を示すブロック図である。
伝送路推定部101が出力する伝送路周波数特性と、等化部102が出力する仮のキャリアデータをキャリア間干渉除去装置外部へ出力し、信頼性算出部103の出力を伝送路変動推定部105の出力に対して重み付けるよう構成する。
また、ICI成分推定部106の入力は、後述するブランチ合成によって得られるキャリアデータとする。
図22は、本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置2201を含むダイバーシチ受信のための受信装置2250のブロック図を示す。
キャリア間干渉除去装置2201は、受信装置におけるICI除去部2663及びICI除去部2664に相当する。
受信装置2250は、ブランチ毎に設けられる複数の復調部2251、2252と、合成部2253とを含んで構成される。
一つの復調部2251は、ICI除去部2263と伝送路推定部2265と等化部2267とを備え、同様に、復調部2252は、ICI除去部2264と伝送路推定部2266と等化部2268とを備える。
合成部2253は、キャリア合成部2281、2284と、合成キャリア重み付け部2282と合成キャリア信頼性算出部2283とを備える。
ここで、ダイバーシティ受信のための復調部を含む復調系をブランチ又は系統という。
本実施の形態の受信装置は、復調部2251を含むブランチと、復調部2252を含むブランチの2ブランチを備える。
キャリア合成部2281、2284は、各ブランチの復調部(2251、2252)から出力されるキャリアデータをキャリア毎に合成する。ここでは、合成方法として最大比合成(MRC:Maximum Ratio Combining)処理を用いる場合を示す。キャリア合成部2281では、次式のような演算を行う。
Xc1 (s)={|H(s,1)|2 ・X(s,1)+ |H(s,2)|2 }・X(s,2)}/(|H(s,1)|2 + |H(s,2)|2 …(式37)
ここで、
Xc1(s)=[ Xc1 (s),Xc1 (s),・・・,Xc1 N−1(s) ] …(式38)
とおく。また、X(s、b)と、H(s,b)の記載は、それぞれ第sシンボルの第b系統における、第n番目のキャリアに対するキャリアデータ及び伝送路周波数特性を示している。
そして、合成キャリア信頼性算出部2283は、合成キャリアデータ2315に対する信頼性値(合成キャリア信頼性値)を各キャリア毎に算出し、合成キャリア重み付け部2282は、合成キャリアデータ2315に対して合成キャリア信頼性値で重み付ける。
次に、復調部のICI除去部2263、2264について詳細に説明する。
まず、伝送路推定結果のH(s+1)とH(s−1)とから変動成分H’(s,b)を求める。ここでは、変動成分の算出方法の一例として次式に示すように、第s―1と第s+1シンボルとの隣接シンボルから変動を求める。
H’(s,b)={H(s+1, b)−H(s−1, b)}/(2・Ts)
…(式39)
ここで、
H’(s,b)=diag(H’(s,b)) …(式40)
とおく。
本実施形態では、このH’に対して信頼性に応じた重み付けを行う。ここでは、一例として、H(s,b)に基づく重み付けを行う。そして、さらに、合成キャリアデータ2315に対しても信頼性を算出して重み付けし、重み付けされた合成キャリアデータをもとにICI成分を推定して除去する。
合成キャリア信頼性算出部2283が算出する合成キャリア信頼性値は、例えばキャリア毎に求められる全ブランチの電力の総和を用いることができ、n番目のキャリアにおける信頼性値Pc1は次式の演算によって求められる。
Pc1(s)=|H(s,1)|2 + |H(s,2)|2 …(式41)
(n=0,・・・,N−1)
ここで、
Pc1(s)=diag(Pc1(s)) …(式42)
とおく。
よって、重み付け後の合成キャリアデータは、
Xc1^(s)=Pc1(s)・Xc1(s) …(式43)
となる。
合成キャリアデータXc1に対して重み付けしたものXc1^(s)を、仮のキャリアデータとして、ICI成分を推定する。したがって、第sシンボルの第b系統における、第n番目のキャリアに対するICI成分の推定値K(s,b)は、
(s,b)=Ξ・{H’(s,b)・W(s,b)}・Xc1^(s)
=Ξ・{diag(H’(s,b))・diag(w(s,b))}
・ {diag(Pc1(s))・Xc1(s)} …(式44)
となる。
このように、各ブランチで推定する伝送路変動特性に対しては各ブランチ毎にそのブランチの伝送路特性w(s,b)で重み付けし、また、ダイバーシチ合成によって求められた仮のデータシンボルに対しては、合成電力Pc1(s)で重み付ける。これにより、ダイバーシチ構成でICI除去を行う場合においても、効果的に除去することができる。
(実施の形態6)
実施の形態5では、合成キャリア信頼性算出部2283は伝送路周波数特性Hnに基づいて合成キャリア信頼性を算出したが、本実施の形態は、各ブランチの仮のキャリアデータと合成キャリアデータとに基づいて合成キャリア信頼性を算出するものである。このようにすれば、効果的に妨害波を受けたキャリアを判定し、当該キャリアに対して誤ったICI成分の推定を抑制することができる。
以下、ブランチ数が2の場合を例に説明する。
図23は、本実施の形態に係る受信装置における復調部2251、2252と合成部2302を含むキャリア間干渉除去装置2301の構成を示すブロック図である。
合成部2302における合成キャリア信頼性算出部2311は、各ブランチのキャリアデータ2312、2313と合成キャリアデータ2314とに基づいて合成キャリア信頼性値を算出することを特徴とする。
以下に、具体的な算出方法について詳説する。
妨害波の混入を受けていないキャリアは、送信局から受信機までの伝送路に対して、雑音の影響があるものの、受信側で伝送路推定を正しく行うことができるためにどのブランチも所定の信号点の周辺に集中する。
一方、妨害波の混入を受けたキャリアについては、伝送路推定を正しく行うことができず、各ブランチのキャリアデータX(s、b)が、各ブランチ間で信号点が乱れる。
したがって、各ブランチのキャリアデータ2312、2313の信号点と合成キャリアデータ2314の信号点との距離が、予め設定する所定の閾値より小さいかどうかを判定すれば、妨害波が混入しているかどうかを的確に判定することができる。
図24は、各ブランチのキャリアデータの信号点と、合成キャリアデータの信号点との距離を示す模式図である。図24において、各ブランチのキャリアデータX(s、b)と合成キャリアデータXc1(s)との距離をL(s、b)、閾値をγとし、bはブランチ番号(b∈1、2)を示す。
先ず、各ブランチについて、閾値γとL(s,b)との差であるLEN(s,b)を評価する。
LEN(s,1) = γ−L(s,1) …(式45)
LEN(s,2) = γ−L(s,2) …(式46)
ここでは、閾値γは変調方式で決まる符号間距離とし、閾値を越えたかどうかの2値で判定するので、L(s,b)が閾値γより小さいかどうか、すなわち、LEN(s,1)、LEN(s,2)のそれぞれの極性を判定する。
極性が負であれば閾値を越えていることになるので、当該キャリアに対する重みPc1(s)を下げる。ここでは、一例としてPc1(s)=0とする。
このようにすれば、効果的に妨害波を受けたキャリアを判定することができ、当該キャリアに対して誤ったICI成分の推定を抑制することができる。
なお、ブランチ数が4の場合、LENを下式のように表す。
LEN(s,1) = γ−L(s,1) …(式47)
LEN(s,2) = γ−L(s,2) …(式48)
LEN(s,3) = γ−L(s,3) …(式49)
LEN(s,4) = γ−L(s,4) …(式50)
上式で示される4つのLENのうち(図25参照)、3つ以上が負であれば、すなわち、3つ以上が閾値を越えていればPc1(s)=0にするようにする。
なお、ここでは3つ以上としたが、この数は所定の数であればよく、数が多いほど妨害波の検出を厳しくすることになる。
また、距離の合計(LEN(s,1)+LEN(s,2))を用いて、多値で判定してもよい。
さらに、各ブランチの仮のキャリアデータの信号点と合成キャリアデータの信号点とを所定の信号点で硬判定した結果に基づいて合成キャリア信頼性値を算出してもよい。
各ブランチの仮のキャリアデータと合成キャリアデータの硬判定結果を、それぞれX(s、1)”、Xc1(s)”とすると、
(s,1)”=Xc1(s)” …(式51)
(s,2)”=Xc1(s)” …(式52)
の2つの評価式うち、成立した式の数に応じて信頼性を判定する。
ここでは、各ブランチの硬判定結果が合成キャリアデータの硬判定結果とが、すべてのブランチで一致する場合に信頼性が高いとみなし、Pc1(s)=1とし、一つのブランチも一致しなければ、信頼性が低いとみなして、Pc1(s)=0とする。
なお、ブランチ数が4の場合は、
(s,1)”=Xc1(s)” …(式53)
(s,2)”=Xc1(s)” …(式54)
(s,3)”=Xc1(s)” …(式55)
(s,4)”=Xc1(s)” …(式56)
の4つの評価式うち、成立した式の数に応じて信頼性を判定する。
以上のようにすれば、各ブランチの仮のキャリアデータの信号点と、合成キャリアデータの信号点とに基づいて妨害波を検出することができ、その結果、当該キャリアに対して、誤ったICI成分の推定を抑制することができる。
以上の説明では、各ブランチのキャリアデータX(s,b)と合成キャリアデータXc1(s)との距離Lは、いわゆる、ユークリッド距離としたが、次式に示すように、同相成分(実数部)と直交成分(虚数部)とでそれぞれ距離を求め、その和を距離Lとしても、同様に評価することができる。この場合、ユークリッド距離を算出する場合と比べて演算が簡素になるため、ハードウェア回路を削除することができる。ここで、Re[x]は複素数xの同相成分(実数部)、Im[x]は直交成分(虚数部)を示す。
(s)=abs[Re[X(s,b)] − Re[Xc1(s)]]
+ abs[Im[X(s,b)] − Im[Xc1(s)]]
さらに、距離L(s)を一定期間平滑化したもの(ここでは、平滑化距離:Fil[L]と表記する。)を用いて評価してもよい。平滑化距離には、シンボル方向に数百、或いは数千シンボル分、キャリア方向には数キャリア、或いは数十キャリア分の情報を用いた平均値や、IIRフィルタを用いて平滑化した値を用いる。
具体的には、(式45)〜(式50)において、距離L(s)を平滑化距離Fil[L]に代えて平滑化距離と閾値との差分を評価する。これにより、特定のキャリアに妨害波が数シンボル以上に渡って連続して混入している場合に、あるシンボルで偶然にも閾値γと距離L(s)とが近い値であっても、効果的に妨害波の混入を判定することができる。
また、閾値γとして平均化距離Fil[L]に基づく値を用いて、平均化距離とあるシンボルにおける距離L(s)との差分を評価してもよい。このとき、閾値γとして距離Lの平均値だけでなく、平均値の整数倍や、単数倍を閾値γとして設定してもよい。これにより、妨害波の混入の大きさに応じた閾値を設定することができ、特定のキャリアに妨害波が数シンボルに渡って連続して混入している場合に、効果的に妨害波の混入を判定することができる。
なお、平滑化距離Fil[L]における平滑化については、シンボル方向とキャリア方向とのそれぞれ両方について行うと平滑化の効果は大きくなるが、どちらか一方であってもよい。
(実施の形態7)
本実施の形態は、合成キャリア信頼性算出部が、各ブランチの仮のキャリアデータのみに基づいて合成キャリア信頼性を算出するものである。
図26は、本実施の形態に係る受信装置における復調部2251、2252と合成部2402を含むキャリア間干渉除去装置2401の構成を示すブロック図である。
合成部2402における合成キャリア信頼性算出部2411は、各ブランチの仮のキャリアデータ2412、2413のみに基づいて合成キャリア信頼性値を算出することを特徴とする。
一例として、ブランチ数が2以上の場合は、特許文献(特開2006−41980)の段落0041に記載の内容と、硬判定結果に基づく場合を適用すればよく、さらに、ブランチ数が4以上の場合は、前記特許文献の段落0079及び0088に記載の内容を適用すればよい。
(実施の形態8)
ICI除去で用いられる等化後の仮のキャリアデータは、雑音や妨害波の混入によって誤差を含むが、元々、キャリアデータは、送信データで変調されて所定の信号点配置を有するものである。
本実施の形態は、振幅が極端に大きい場合には、所定の振幅でクリップ処理してからICIを除去するものである。
図27は、仮のキャリアデータに対してクリップ処理を施すブロックを含むキャリア間干渉除去装置のブロック図である。
クリップ処理部2401は、重み付けされたキャリアデータに対してクリップ処理を施して、ICI成分推定部106に対し出力する。
クリップ処理部2401は、以下に示すように所定の振幅でクリップ処理を施す。一例として、キャリアデータの同相成分、直交成分に対して、パイロットキャリアの振幅でクリップする場合を示す。
図28は、クリップ処理部2401が、クリップする振幅を示す模式図を示す。黒丸は64QAMで取り得る信号点の配置を示す。同相成分および直交成分は最大で±1の振幅をとる。白抜き丸はパイロットキャリアの位置を示す。
パイロットキャリアは同相成分上の±4/3に位置する。
仮のキャリアデータは、本来、変調されて所定の信号点(図33中の黒丸の位置)を取り得るが、雑音や妨害波の混入などの影響により、所定の信号点から離れて大きな振幅をとることがある。
図28に示したキャリアデータA,Bは、それぞれ、同相軸が3/4を、直交軸が−3/4を越えた場合で、これらに対し、それぞれ、同相軸成分を4/3に、同相軸成分を−4/3にクリップされる様子を示している。
本実施形態では、キャリアデータに対するクリップレベルについて、パイロットキャリアの振幅レベルでクリップする場合を示したが、これに限らない。
(実施の形態9)
本発明の受信装置の実施の形態9について、図29〜図35を参照して説明する。
図29は、本実施の形態に係るダイバーシティの受信装置を示したブロック図である。
前記受信装置は、アンテナ3001、3101と、所望の受信チャンネルの受信信号を選択するRF部3002、3102、復調処理を行う受信処理部3021、3121、および、第一の合成部3011と第二の合成部3012、さらに、第二の合成部3012の出力信号に対し誤り訂正を行う誤り訂正部3003、誤り訂正部3003で誤りを訂正されたMPEG(Moving Picture Experts Group)−2等で圧縮された信号のデコードを行うデコード部3004、及びデコード部3004でデコードされた映像・音声の出力を行う表示部3005から構成される。
図30に受信処理部3021の構成を示したブロック図を示す。
なお、受信処理部3121の構成は受信処理部3021と同じであり入力信号がRF部3102の出力である相違だけであるため受信処理部3021の説明をもって省略する。
受信処理部3021は、A/D部3031、直交復調部3032、FFT部3033、シンボル同期部3034、復調部3041で構成される。
A/D部3031は、RF部3002の出力を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。直交復調部3032は、A/D部3031により変換された結果である前記デジタル信号を直交復調することにより複素ベースバンド信号に変換し、FFT部3033およびシンボル同期部3034へ出力する。
シンボル同期部3034は、OFDMシンボル区間の同期をとり、FFT部3033へシンボル位置情報信号を出力する。
FFT部3033は、シンボル位置情報信号を基に、前記直交復調した信号をフーリエ変換し、周波数領域の信号に変換し、復調部3041へ出力する。
図31に復調部3041の構成のブロック図を示す。
復調部3041は、第一受信信号復調部3095と第二受信信号復調部3096とを含んで構成される。
第一受信信号復調部3095は、第一の伝送路推定部3051、第一の等化部3052とを含んで構成され、第二受信信号復調部3096は、ICI成分生成部3053と減算部3054と第二の伝送路推定部3056と、第二の等化部3055とを含んで構成される。
さらに第一の伝送路推定部3051の構成は、図32に示すように、既知信号であるSP(Scattered Pilot)を生成するSP生成部3061と入力信号からSP信号を抽出するSP抽出部3062と、除算部3063と、補間部3064から構成される。
なお、第二の伝送路推定部3056も第一の伝送路推定部3051と同じ構成要素から成る。ここで、SP信号とは、リファレンス信号であり、地上デジタルテレビ放送の伝送方式などで、送信信号に挿入されている信号であり、上述の実施の形態の説明で用いたパイロットシンボルと同様のものである。
FFT後の信号から、SP抽出部3062により、SP信号を抽出し、SP生成部3061で生成した既知信号により除算部3063で除算することにより、SP信号の伝送路特性を算出する。
算出したSP信号の伝送路特性を基に、補間部3064で補間処理を行いSP信号以外の信号の伝送路特性を算出する。
第一の等化部3052において、FFT後の信号を算出した伝送路特性で除算することにより、送信信号を推定し、図29における第一の合成部3011に仮等化後信号を出力する。
第一の伝送路推定部3051で算出された伝送路特性も第一の合成部3011に出力する。
第一の合成部3011では、受信処理部3021、3121から出力されたそれぞれの伝送路特性を用いて、それぞれの仮等化後の信号をダイバーシティ合成する。
ダイバーシティの合成としては、受信処理部3021の仮等化後の信号をX1 (s,1)、伝送路特性をH1(s,1)、受信処理部3121の仮等化後の信号をX1 (s,2)、伝送路特性をH1(s,2)と表したときに、式57で表すような最大比合成を用いて合成する。
Xc1 (s)=(|H1(s,1)|・X1 (s,1)+|H1(s,2)|・X1 (s,2))/(|H1(s,1)|+|H1(s,2)|) …(式57)
しかし、合成としては、式57に示すものに限らず、公知のダイバーシティ合成法を用いればよい。
第一の合成部3011にて合成された信号は、受信処理部3021、3121に出力される。
なお、第一の合成部3011の出力を、送信符号点により硬判定してから受信処理部3021、3121に出力してもよい。
第一の合成部3011の出力信号は、ICI成分生成部3053に入力され、また、第一の伝送路推定部3051で推定した伝送路特性もICI成分生成部3053に入力される。ICI成分の推定としては、様々なものが提案されており、ここでは、非特許文献3に記載されているICI成分推定法を用いることとする。
ICI成分生成部3053は、図33に示すように、伝送路特性一次微分算出部3091と乗算部3092から構成される。
伝送路特性一次微分算出部3091は、伝送路特性を入力し、各キャリアに対し、現在のシンボル(シンボル番号をpとする)の前後シンボルの伝送路特性から式57を用いて一次微分を算出し、乗算部3092に出力する。
乗算部3092では、第一の合成部3011の出力である合成後信号X〜と伝送路特性一次微分算出部3091の出力信号と、式3、式4で示す定数行列Ξとの乗算演算を行う。この演算は式2で示すとおりであり、以上により、ICI成分が推定、生成される。
ICI成分生成部3053におけるICI成分の生成法としては、非特許文献3の手法を用いたが、これに限定せず、公知のものを利用すればよい。
推定されたICI成分は、減算部3054により、FFT後の信号から減算することで、ICI成分を除去する。
第一の合成部3011の出力信号は、第一の等化部3052の出力信号よりも、ダイバーシティ効果により送信信号としての信頼性が増しており、その結果ICI成分生成の精度も向上し、より正しくICI除去が可能となる。
減算部3054の出力信号から、第二の伝送路推定部3056にて、ICI成分除去後の伝送路特性を推定する。
これにより、ICIが除去された信号の伝送路特性が算出される。
第二の等化部3055において、減算部3054の出力から推定した伝送路特性で除算を行うことにより、再び送信信号を推定する。
第二の等化部3055から出力される等化後信号は、ICIの影響が軽減されているので、第一の等化部3052の出力信号よりも、送信信号として推定精度が向上している。
第二の等化部3055の出力信号と第二の伝送路推定部3056で推定した伝送路特性が第二の合成部3012に出力される。
第二の合成部3012では、受信処理部3021、3121から出力されたそれぞれのICI除去後の信号の伝送路特性を用いて、それぞれの第二の等化後の信号をダイバーシティ合成する。
ダイバーシティの合成としては、受信処理部3021の第二の等化後の信号をX2 (s,1)、ICI除去後の信号の伝送路特性をH2(s,1)、受信処理部3121の第二の等化後の信号をX2 (s,2)、ICI除去後の信号の伝送路特性をH2(s,2)と表したときに、式58で表すような最大比合成を用いて合成する。
Xc2 (s)=(|H2(s,1)|・X2 (s,1)+|H2(s,2)|・X2 (s,2))/(|H2(s,1)|+|H2(s,2)|) …(式58)
しかし、合成としては、式58に示すものに限らず、公知のダイバーシティ合成法を用いればよい。
なお、ここでは、第一の合成部3011と第二の合成部3012を同じ最大比合成を用いて説明しているが、第一の合成部3011では、ICIの影響を受けた信号を合成し、第二の合成部3012では、ICIを除去した信号を合成するという、特性の異なる信号を処理することを鑑み、第一の合成部3011と第二の合成部3012で異なるダイバーシティ合成を用いて処理してもよい。
さらに、第一の伝送路推定部3051と第二の伝送路推定部3056を同じものとして説明しているが、第一の伝送路推定部3051では、ICIの影響を受けた信号の伝送路特性を推定し、第二の伝送路推定部3056では、ICIを除去した信号の伝送路特性を推定するという、特性の異なる信号を処理することを鑑み、第一の伝送路推定部3051と第二の伝送路推定部3052で異なる推定法を用いてもよい。
なお、第二の伝送路推定部3052を有さず、第一の伝送路推定部3051で推定した伝送路特性を用いて、第二の等化および第二のダイバーシティ合成を実施してもよい。しかし、ICI除去することによって、ICI除去前の信号と伝送路特性が変化しているので、ICI除去後の信号の伝送路特性をもって等化およびダイバーシティ合成する方がより効果的である。
第二の合成部3012により、ICI除去後の信号がダイバーシティ合成され、誤り訂正部3003に出力され、デコード、表示されることとなる。
第二の合成部3012の出力信号は、ダイバーシティ効果により、それぞれの受信処理部3021,3121の第二の等化後の信号よりも、推定した送信信号として、より確からしいこととなり、受信性能が向上する。
以上の構成によれば、ICI成分を生成するための仮等化後の信号に対してもダイバーシティ合成することで、仮等化後の信号の信頼性を向上させ、それを用いて各復調部においてICI成分を推定するので、各復調部でのICI成分の推定精度を向上させ、ICI除去を効果的に行うことができる。
そして、ICI除去後に再度伝送路特性を算出し、それを用いて最適な等化及びダイバーシティを行うことで、最終的な送信信号の推定精度が向上し、これにより、ICIやノイズの影響に対する耐性が強化され、移動時や弱電界環境下でも、安定した良好な受信が可能となる。
また、本実施の形態では、ダイバーシティ合成の段数を2段としているが、これに限らず、3段以上の構成にし、ICIを段階的に除去する構成としてもよい。
例として、ダイバーシティ合成を3段としたダイバーシティ受信装置の構成図を図34、図35、図36に示す。
図36における復調部3042では、ICI除去を行うたびに、ICI除去した信号から伝送路特性を推定し、それを用いて、等化およびダイバーシティ合成している。
ICI除去を段階的に行うことにより、さらに送信信号の推定精度が向上し、移動時や弱電界環境下でも安定した良好な受信が可能となる。
本実施の形態の受信装置において、受信処理の少なくとも一部を行うプログラムを用いてもよく、また受信装置における受信処理の少なくとも一部を行う受信方法を用いて実現してもよい。
また、本実施の形態を実現する受信処理の一部を行ういかなる受信装置、又は受信方法、又は受信回路、又はプログラムを組み合わせて実現してもよい。
(実施の形態10)
本発明の実施の形態10に係るダイバーシティ受信装置について、図37、図38、図39を用いて説明する。前述したものと同じ構成要素については、同じ符号を用い、説明を省略する。
図37は本実施の形態のダイバーシティ受信装置のブロック図を示す。
本実施の形態のダイバーシティ受信装置は、ダイバーシティ合成信号をフィードバックする構成としている点が、実施の形態9の受信装置と比較して大きく異なる。
図39に復調部3045のブロック図を示す。
復調部3045は、ICI成分生成部3083と、減算部3054と、等化部3081、伝送路推定部3082とを含んで構成される。
FFT部3033の出力信号は、減算部3054に入力され、ICI成分生成部3083の出力を減算する。
イタレーション(繰り返し処理)の1回目は、ICI成分生成部3083の出力は0である。
減算部3054の出力信号は、等化部3081および伝送路推定部3082に入力され、伝送路推定部3082で伝送路特性を推定し、等化部3081と合成部3015に出力する。
伝送路推定部3082は、実施の形態9で示した第一の伝送路推定部3051である。
等化部3081では、推定した伝送路特性で、ICI除去後の信号を除算することにより送信信号を推定し、等化後信号を合成部3015に出力する。
復調部3125は、復調部3025と同じ構成であり、入力信号が、RF部3002の出力信号ではなくRF部3102の出力信号であるという相違だけであるので説明を省略する。
図37において、復調部3025および復調部3125からそれぞれ伝送路特性と等化後信号が出力され、伝送路特性を基に合成部3015においてダイバーシティ合成される。
ダイバーシティ合成法としては、実施の形態9と同様に式1を用いればよいが、これに限らず公知のものを用いればよい。
この合成後の信号は復調部3025、3125におけるICI成分生成部3083に入力される。
なお、ICI成分生成部3083へ入力する際、合成部3015の出力信号を符号点に関して硬判定して入力してもよい。
これにより、ICI成分生成部3083にて、伝送路特性と合成部3015の出力を基にICI成分を推定・生成し、減算器でFFT後の信号から除算する。
ICI成分生成部3083は、図33のICI成分生成部3053の伝送路特性一次微分算出部3091において、式1ではなく、式59を用いて算出する点が異なるが、これに限定されない。
H’(s)=(H(s)−H(s−1))/Ts …(式59)
このイタレーションをシンボル区間内で繰り返すことにより、等化後の信号の推定精度は向上する。
シンボル区間内でのイタレーションの最終回での合成後信号は、誤り訂正部3003へ出力され、誤り訂正される。
次のシンボル区間に移行すると、そのシンボルに対応したFFT後信号に対し、新たなイタレーションが開始され、イタレーション一回目開始時には、ICI成分生成部3083における信号は0にリセットされる。
このような構成により、ICI除去しダイバーシティ合成した信号を各復調部において再帰的にICI成分生成に用いることで、各復調部でのICI成分の推定精度を向上させ、イタレーションを繰り返すほど、ノイズやICIの影響が軽減され、ICI除去を効果的に行うことができる。
さらに、再帰的に行うことで、実施の形態9に比べ、回路規模が削減することができる。これにより、ICIやノイズの影響に対する耐性が強化され、移動時や弱電界環境下でも、安定した良好な受信が可能となる。
なお、本実施の形態では、2つのアンテナによるダイバーシティ構成を用いて説明したが、これに限らず、2つ以上のアンテナによるダイバーシティ構成としてもよく、アンテナや復調部を増やすことによりさらに受信性能の改善を図ることができる。
また、実施の形態10の受信装置の各構成要素は、集積回路で実現してもよい。このとき、各構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部もしくは全てを含むように1チップ化されてもよい。
さらに、本実施の形態の受信装置における受信処理の少なくとも一部を行うプログラムを用いてもよく、また、実施の形態10の受信装置における受信処理の少なくとも一部を行う受信方法を用いて実現してもよい。
また、本実施の形態を実現する受信処理の一部を行ういかなる受信装置、又は受信方法、又は受信回路、又はプログラムを組み合わせて実現してもよい。
また、実施の形態9〜10において、A/D部3031は、直交復調部3032の直前に位置したものとして説明を行ったが、これに限らず、チューナに含まれてもよいし、直交復調部3032の直後としてもよく、これらに限られない。
また、実施の形態9〜10において、2つのアンテナによるダイバーシティ構成を用いて説明したが、これに限らず、2つ以上のアンテナによるダイバーシティ構成としてもよく、アンテナや復調部を増やすことによりさらに受信性能の改善を図ることができる。
さらに、2つ以上のアンテナを有した空間または角度ダイバーシティ構成に限定はせず、一つのアンテナで周波数ダイバーシティや時間ダイバーシティを実施してもよい。
また、復調部は複数備えず、メモリや多重処理を用いて復調部の機能を実現してもよい。
また、実施の形態9〜10において、地上デジタル放送波で用いられているOFDM信号として説明を行ったが、これに限らず、マルチキャリア伝送であればなんでもよく、さらに、ICIを除去する構成として説明したが、受信信号に含まれる干渉成分を推定した送信信号から生成し除去するものであれば、どのような干渉除去技術に適用してもよく、その場合、ICI成分生成部3053の代わりに、取り除くべき干渉成分を推定生成する干渉成分生成部を用いればよい。
<なお書き>
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)なお、以上の実施の形態で示したキャリア合成(最大比合成)は、各復調部で求めた伝送路周波数特性H(s,1)、H(s,2)と、等化部の出力信号X(s,1),X(s,2)とから、
Xc(s)=(|H(s,1)|・X(s,1)+|H(s,2)|・X(s,2))/(|H(s,1)|+|H(s,2)|) …(式60)
と合成していたが、それぞれ等化部を省略し、各復調部におけるキャリア信号Y(s,1)、Y(s,2)と、伝送路周波数特性H(s,1)、H(s,2)とから、
Xc(s)=(H(s,1)・Y(s,1)+H(s,2)・Y(s,2))/(|H(s,1)|+|H(s,2)|) …(式61)
とする合成を適用してもよい。ただし、*は複素共役を示す。
これは、ダイバーシチの受信装置において、キャリア合成部を複数含んで複数回キャリア合成を行う場合についても同様である。例えば、図22に示したように、キャリア合成部2281を第1番目のキャリア合成部、キャリア合成部2283を第2番目のキャリア合成部とすれば、第m番目のキャリア合成部において、キャリア信号をYm(s,b)、伝送路周波数特性をHm(s,b)、合成後のキャリアデータをXcm(s,b)とおくと、式61は、次式のように拡張した表記となる。
Xcm(s)=(Hm(s,1)・Ym(s,1)+Hm(s,2)・Ym(s,2))/(|Hm(s,1)|+|Hm(s,2)|
…(式62)
上記のようなキャリア合成の方法は、前述した実施の形態のキャリア合成の部分で、以下に述べるように適用される。
実施の形態5については、図21、22でおいて、等化部102と、ICI除去部2264に含む等化部(図示しない)を省略し、FFT部2261、2262の出力と、ICI除去部2263、2264で求めた伝送路特性から、キャリア合成部2281において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
また、等化部2267、2268を省略し、ICI除去演算部107の出力および、ICI除去部2264に含むICI除去演算部(図示しない)と、伝送路推定部2265,2266の出力から、キャリア合成部2284において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
さらに、実施の形態6の図23、実施の形態7の図26においても、同様である。また、図29、図30、図31で示した実施の形態9において、第一の等化部3052と、受信処理部3121に含む第一の等化部(図示しない)を省略し、FFT部3033および受信処理部3121に含むFFT部(図示しない)の出力と、第一の伝送路推定部3051および受信処理部3121に含む第一の伝送路推定部(図示しない)の出力から、第一の合成部3011において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
また、第二の等化部3055と受信処理部3121に含む第二の等化部(図示しない)を省略し、減算部3054および受信処理部3121に含む減算部(図示しない)の出力と、第二の伝送路推定部3056および受信処理部3121に含む第二の伝送路推定部(図示しない)の出力から、第二の合成部3012において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
また、図34、図35、図36で示した実施の形態9の、合成部が2段以上になる場合においても同様のことがあてはまり、第三の等化部3074と受信処理部3122に含む第三の等化部(図示しない)を省略し、減算部3073および受信処理部3122に含む減算部(図示しない)の出力と、第三の伝送路推定部3075および受信処理部3122に含む第二の伝送路推定部(図示しない)の出力から、第三の合成部3013において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
さらに、実施の形態10の図37、38、39については、等化部3081および受信処理部3125に含む等化部(図示しない)を省略し、減算部3054および受信処理部3125に含む減算部(図示しない)の出力と、伝送路推定部3082および受信処理部3125に含む伝送路推定部(図示しない)の出力から、合成部3015において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
(2)なお、以上の実施の形態では、時間領域と周波数領域との間の変換がFFTに基づくOFDM信号とそれに関する復調処理を示したが、複数のキャリアを周波数軸上で多重させたマルチキャリア信号に適用可能であり、例えば、ウェーブレット変換、コサイン変換、アダマール変換などを用いたマルチキャリア信号であってもよい。
(3)上記の受信装置及びキャリア間干渉除去装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成される。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIである。また、前記複数の構成部は個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
(4)上記の受信装置及びキャリア間干渉除去装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。前記RAM又は前記ハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(5)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、などから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(6)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号であるとしてもよい。
(7)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
本発明に係るキャリア間干渉除去装置およびこれを用いた受信装置は、マルチキャリア信号に含まれるドップラーシフトに起因するキャリア間干渉を除去するので、マルチキャリア信号を移動しながら受信する際に受信特性を改善することができる。したがって、高速走行する車両や列車に搭載されて、移動しながらOFDM方式による地上デジタル放送や無線LAN信号を受信する車載の受信装置に有用である。
本発明は、移動体通信の分野においてマルチキャリア信号受信時のキャリア間干渉を軽減させるキャリア間干渉除去装置に関し、特に、伝送特性を改善する技術に関する。
現在、地上デジタル放送をはじめIEEE802.11aといった様々なデジタル通信において、直交周波数分割多重方式(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が伝送方式として広く採用されている。OFDMは、複数の狭帯域デジタル変調信号を互いに直交するサブキャリアにより周波数多重しており、周波数の利用効率に優れた伝送方式である。さらに、OFDMでは、1シンボル期間が有効シンボル期間とガードインターバル期間とで構成されており、シンボル内で周期性を有するために前記有効シンボル期間の信号の一部をガードインターバル期間へ複写されているため、マルチパス干渉によって生じるシンボル間の干渉の影響を軽減することが可能であり、マルチパス干渉に対しても優れた耐性を有している。
しかしながら、OFDMは、広帯域デジタル変調信号に比べ、1シンボル長が長くなるため、移動受信等において生じる伝搬路のフェージング環境下での時間変動に対する耐性が低くなってしまう。さらに、フェージング環境下では、マルチパス干渉による遅延分散に起因する受信信号の振幅の時間変動だけでなく、ドップラーシフトと呼ばれる周波数変動も生じる。このドップラーシフトにより、個々のサブキャリアの直交関係がくずれ、互い干渉を起こし、結果として正しく復調することが困難になってしまう。このサブキャリア同士が互いに干渉することはキャリア間干渉(ICI:Inter−Carrier Interference)と呼ばれており、このICIによる通信品質の劣化を抑えることが、大きな鍵となっている。
近年、ICIによる劣化を改善するための方法がいくつか提案されている。その一つに、非特許文献3に示す方法がある。
図40は非特許文献3に記載されているICI除去部の構成を表すブロック図である。
伝送路特性推定部4001が、FFT処理された信号(Yと表す)から、伝送路特性を推定し、仮等化部4002が、FFT後の信号を伝送路特性で除算することにより送信信号を仮推定する(X(s)と表す。sは現在のシンボル番号を表す)。
一方、伝送路特性一次微分算出部4003が、推定した伝送路特性から式1によって、各キャリアに対し、現在のシンボルの前後のシンボルの伝送路特性の差を算出することで伝送路特性H(s)の一次微分(H’(s)と表す)を算出し、乗算部4004へ出力する。
H’(s)=(H(s+1)−H(s−1))/(2・Ts) …(式1)
式1において、Tsは、OFDMシンボル長を示している。
その後、乗算部4004が、仮等化後の信号X(s)と伝送路特性の一次微分値H’(s)と定数行列であるΞを用いてICI成分K(s)を式2の演算により推定する。
K(s)=Ξdiag(H’(s))X(s) …(式2)
ここで、Ξは式3,4で表される。
Figure 2007046503
Figure 2007046503
本明細書中で、diag(A(s)) の表記は、下式のようなN行×N列の正方行列を示すものとする(n=0、…、N−1)。ただし、nはキャリア番号で、Nは全キャリア数である。
Figure 2007046503
次に、減算部1005が、FFT後の信号Yから、式2を用いて推定されたICI成分を減算することにより除去する。
ARIB STD−B31 IEEE Std 802.11a−1999 Karsten Schmidt他,"Low Complexity Inter−Carrier Interference Compensation for Mobile Reception of DVB−H" 9th International OFDM−Workshop 2004,Dresden.(P72〜76、Fig.4) 特表2004−519900
しかしながら、非特許文献3に示されるキャリア間干渉除去装置によると、マルチパスフェージング環境下において伝送路特性が周波数選択性を呈して、受信帯域内にディップが生じ、あるキャリアが他のキャリアと比べて相対的にレベルが落ち込んで雑音成分を多く含む場合や、特定のキャリアに妨害波が混入する場合などに、当該キャリアで推定する仮のキャリアデータおよび伝送路変動の推定に誤差が生じ、結果として他のキャリアに与える与干渉成分の算出に誤差が生じてしまう。
そして、当該キャリアにおける仮のキャリアデータの推定を大きく誤ると、キャリア間干渉を除去するどころか、かえってキャリア間干渉を増大させてしまうという問題がある。
上記問題に鑑み本発明は、マルチパスフェージング環境下において伝送路特性が周波数選択性を呈する場合や妨害波が混入する場合でも、ICI成分を精度良く推定、除去することが出来るキャリア間干渉除去装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、伝送路の状態により変動する周波数応答特性を示すキャリア信号を複数含んだマルチキャリア信号からキャリア間干渉成分を除去するキャリア間干渉除去装置であって、マルチキャリア信号を取得する取得部と、各キャリア信号の信頼性を各キャリアに係る周波数応答特性に基づき算出する信頼性算出部と、各キャリア信号を等化する等化部と、等化前の各キャリア信号に係る前記信頼性で、等化後の各キャリア信号を重み付けする重み付け部と、等化前の各キャリア信号に係る前記各周波数応答特性の変動量と、重み付けされた等化後の各キャリア信号とに基づきキャリア間干渉成分を算出し、等化前の各キャリア信号から除去するキャリア間干渉除去部とを備える。
本発明のキャリア間干渉除去装置は、上述の構成を備えることにより、キャリア信号を周波数応答特性に基づいた信頼性で重み付けした上で、キャリア間干渉成分の算出に用いるので、マルチキャリア信号を受信する際にマルチパスの影響が周波数選択性を呈し、更に電波の伝送路が高速に変動してキャリア間干渉が生じるような受信環境下でも、従来よりも正確にキャリア信号に生じるキャリア間干渉成分を推定し除去することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、マルチキャリア変調方式がOFDM方式であり、信号フォーマットが非特許文献1に示されるISDB−T方式である場合を例にして行う。
(実施の形態1)
本発明の一実施形態に係る受信装置は、キャリア間干渉除去装置を含んで構成されており、前記キャリア間干渉除去装置は、キャリアの伝送路周波数特性に基づきキャリア信号の信頼度を算出し、前記信頼度を用いてより正確にICI成分を推定する。よって、前記受信装置は、キャリア信号からICI成分をより正確に除去することができ、OFDM方式における高速移動時の受信性能は向上する。
以下に、本発明の一実施形態に係る受信装置1について、図面を参照しながら説明する。
<構成>
受信装置1は、図1に示すように、アンテナ701を介して所望チャンネルの電波を受信してRF(Radio Frequency)帯の信号をベースバンド信号720に変換するRF部702と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D部703と、OFDMシンボルの同期処理を行うシンボル同期部704と、OFDMシンボルに含まれるガードインターバルを除去するガード除去部705と、時間領域のOFDM信号を周波数領域のキャリア信号110に変換する周波数領域変換部706と、キャリア信号110からキャリア間干渉成分を推定して除去するICI除去部707と、ICI成分が除去されたキャリア信号117から伝送路の周波数応答特性を推定し、伝送路周波数特性726を出力する伝送路推定部708と、伝送路周波数特性726をもとにキャリア信号110を等化し、キャリアデータ727を出力する等化部709と、キャリアデータ727から誤り訂正処理を施して受信ビットデータ728を得る復号部710とを含んで構成される。
受信装置1は、具体的には、アンテナ、チューナー、復調LSIなどから構成される受信装置である。
ここで、周波数領域変換部706における時間領域信号から周波数領域信号の変換には、一例としてFFT(Fast Fourier Transform)演算を用いる。ICI除去部707以外は、OFDM信号を復調する受信装置としては公知なので詳細な動作説明は省略する。
次に、ICI除去部707に相当するキャリア間干渉除去装置707について、図2を参照しながら説明する。
図2は、キャリア間干渉除去装置707の詳細なブロック図である。
キャリア間干渉除去装置707は、図2に示すように、伝送路推定部101と、等化部102と、信頼性算出部103と、重み付け部104と、伝送路変動推定部105と、ICI成分推定部106と、ICI除去演算部107とを含んで構成される。
伝送路推定部101は、キャリア信号110から伝送路の周波数応答特性を推定し、伝送路周波数特性111を出力する。ISDB−T方式の場合、伝送路推定部101は、キャリア信号110に含まれるパイロットキャリアを用いて周波数応答特性を推定する。
以下に、周波数応答特性の推定について、図面を参照しながら説明する。
図41は、OFDMシンボルの模式図である。以下において、OFDMシンボルのシンボル長をT、ガード長をT、有効シンボル長をTとする。
図3は、OFDM信号のフォーマットを示しており、図中の白抜き丸はデータキャリアを示し、黒丸はパイロットキャリアを示す。また、sはシンボル番号を示す。パイロットキャリアは、受信側でそのキャリアデータX(pはパイロットキャリアのキャリア番号)が既知であるから、これを用いて、実際に受信したキャリアデータであるYを式5に示す除算によって等化し、パイロットキャリアにおける伝送路周波数特性Hを求める。
=Y/X ・・・(式5)
そして、近隣のOFDMシンボルのHとの間(シンボル方向)で、パイロットキャリアの間に位置するデータキャリアに対する伝送路周波数特性を補間により算出する。例えば、パイロットキャリア151の伝送路周波数特性をH(s−4)、パイロットキャリア152の伝送路周波数特性をH(s)とし、データキャリア153、154、155各々についての、伝送路周波数特性H(s−1)、H(s−2)、H(s−3)とする。ここで、nはキャリア番号である。この場合、H(s−1)、H(s−2)、H(s−3)は、H(s−4)とH(s)との間を補間することにより求められる。
さらに、シンボル毎に、キャリア方向に3キャリアおきに得られた周波数応答特性をキャリア方向に補間することで、データキャリアを含む全キャリアに対する伝送路周波数特性を推定する。
例えば、データキャリア156についてシンボル方向への補間により求められた伝送路周波数特性Hn+3(s)と、パイロットキャリア152の伝送路周波数特性H(s)との間をキャリア方向に補間することにより、データキャリア157の伝送路周波数特性Hn+1(s)と、データキャリア158の伝送路周波数特性Hn+2(s)を求める。
等化部102は、伝送路周波数特性H(s)をもとにキャリア信号Y(s)を式6に示す除算によって等化し、仮のキャリアデータX(s)を推定する。
(s)=Y(s)/H(s) ・・・(式6)
伝送路変動推定部105は、伝送路周波数特性H(s)から、ICIを除去するシンボルsの前後で生じる伝送路周波数特性の変動量H’(s)(以下、伝送路変動特性という。)を算出する。
伝送路変動推定部105は、図4に示すように、OFDMシンボル長Tだけ遅延させるシンボル遅延部902、903と、伝送路変動量演算部901とを含む。伝送路変動推定部105は、入力のキャリアnにおける伝送路周波数特性H(s+1)と2つのシンボル遅延部で遅延させたH(s−1)とを用いて伝送路変動量演算部901で、式7に基づく演算を行い、s番目のシンボルにおける伝送路変動特性H’(s)を推定する。
H’(s)=(H(s+1)−H(s−1))/(2・Ts)…(式7)
信頼性算出部103は、仮のキャリアデータX(s)に対する信頼性W(s)を算出する。キャリアnにおける信頼性W(s)は、各キャリア毎に伝送路周波数特性H(s)に基づいて算出され、その関係が後述する所定の関数f(・)で対応付けられる(式8)。abs[z]は、ベクトルzの振幅を示す。
(s)=f(abs[H(s)]) …(式8)
(n=0、…、N−1 ただし、n≠m)
重み付け部104は、信頼性算出部103で算出した重みW(s)を仮のデータシンボルX (s)に乗算により重み付けする。
X^(s)=X (s)・W(s) …(式9)
(n=0、…、N−1 ただし、n≠m)
ICI成分推定部106は、式10に示すように、リーク行列Ξと、伝送路変動特性H’(s)と、重み付けされた仮のキャリアデータX^(s)とを乗算することでICI成分K(s)を推定する。
K(s)=Ξ・H’(s)・W(s)・X(s)
=Ξ・H’(s)・X^(s) …(式10)
ここで、K(s)、Ξ、H’(s)、W(s)、X(s)は、それぞれ式11〜式15で示す行列で表される。ここで、は転置を示す。
K(s)=[K(s)、K(s)、・・・、KN−1(s)] …(式11)
Figure 2007046503
Figure 2007046503
H’(s)=diag(H’(s)) …(式12)
W(s)=diag(W(s)) …(式13)
(s)=[X (s)、X (s)、…、X N−1(s)] …(式14)

ICI除去演算部107は、(式15)に示すように、入力のキャリア信号Y(s)から推定したICI成分K(s)を差し引くことで、ICI成分を除去する。
(s)=Y(s)−K(s) …(式15)
ICI除去演算部107は、図5に示すように、減算回路1000で実現する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1におけるキャリア間干渉除去装置は、伝送路周波数特性をもとに信頼性を算出する信頼性算出部と重み付け部とを含むことを特徴とするものである。
<動作>
キャリア間干渉除去装置707の動作について詳細に説明する。
先ず、キャリア間干渉除去装置707は、ICI成分の推定に必要な仮のキャリアデータを推定する。そのため、伝送路推定部101が、伝送路周波数特性H(s)を推定し、等化部102が、H(s)を用いてキャリア信号Y(s)を等化して、仮のデータシンボルX(s)を得る。伝送路推定には、図3に示す受信側で既知のパイロットキャリアを用いる。ここで、マルチパスの遅延量とパス間の位相関係とによっては、図6(a)に示すように、キャリア間で相対的にレベルが異なり、特定のキャリア(例えば、キャリア161、キャリア162)のキャリアレベルが低くなる。
図6は、キャリア信号が周波数選択性を呈する様子を模式的に示した図である。
ここで、第nキャリアにおける伝送路周波数特性H(s)について、abs[H(s)]は、各キャリア信号の振幅そのものであり、H(s)の振幅が小さいと雑音レベルに近くなるため、式6によって等化すると、結果として仮のデータシンボルX (s)の推定を誤る可能性が高くなる。ひいては、他のキャリアに対する与干渉の推定を誤ることになる。また、誤ったキャリアデータで与干渉量(漏れ込み量)を算出すると、逆にICIを発生させてしまうことになる。したがって、キャリアデータの推定を間違っている可能性がある場合、すなわち信頼性の低いキャリアのキャリアデータについては、ICI成分の推定への寄与を下げるようにすれば、ICI成分の推定精度を向上させることができる。
そこで、本発明では、ICI成分の推定に必要な仮のキャリアデータX^(s)に対して、キャリアの信頼性に応じた重み付けを行い、ICI成分の推定においての信頼性を向上させている。
具体的には、信頼性算出部103が、伝送路周波数特性H(s)に基づいて、仮のデータシンボルX^(s)に対する信頼性W(s)を算出する。
したがって、あるキャリアnの信頼性(重み)W(s)は、式16に示すように、abs[H(s)]を入力xとする関数f(x)で表される。
(s)=f(abs[H(s)]) …(式16)
関数f(x)の詳細については、後述する。
次に、重み付け部104が、仮のデータシンボルX (s)に信頼性W(s)を乗算する。
一方、伝送路変動推定部105が、ICI成分を除去するsシンボル目のOFDMシンボルの前後の伝送路周波数特性H(s+1)、H(s−1)とから、伝送路変動H’(s)を算出し、ICI成分推定部106が、式10に示す演算により、ICI成分K(s)を推定する。
そして、ICI除去演算部107が、キャリア信号Y (s)から推定したICI成分K(s)を差し引くことにより除去する。
ICI除去部707の次段の伝送路推定部708と等化部709とが、ICI成分を除去したキャリア信号Y (s)について、再度、伝送路推定とそれに基づく等化処理を行い、復号部710が、誤り訂正処理を施してから受信ビットデータを得る。
ここで、信頼性算出部103が用いる関数f(x)および、その入力xについて説明する。はじめに、関数f(x)の入力xをabs[H]とする場合を述べる。
関数f(x)として、例えば、式17に示す関数が考えられる。ただし、α>1である。αはシステムに適した値を決定すればよい。
f(x)=0 (0≦x<(α−1)/α の場合)
=α(x−1)+1 ((α−1)/α≦x≦1の場合)
=1 (1<x の場合)
…(式17)
ここで、パイロットキャリアの振幅を1とし、これを基準とすると、式5よりabs[H]についても、abs[H]=1を基準とすることができるので、x=abs[H]となる。
式17は、キャリア信号の振幅abs[H]が、(α−1)/αから1の値をとる場合は、キャリア信号の振幅に比例した1次関数で信頼性が対応付けられ、(α−1)/αより小さければ信頼性を零にするものである(図7参照)。
信頼性を零にするということは、当該キャリアnにおけるキャリアmに対する与干渉を考慮しないことを意味する。
図7は、関数f(x)の一例として一次関数である場合の特性図である。
図8は、関数f(x)の一例として一次関数である場合に信頼性によって重み付けされるキャリアを模式的に示した図である。
f(x)の値が、0〜((α−1)/α)の間であるキャリア171と172については、信頼性が値0となる。
次に、関数f(x)を式18に示すようなステップ関数とする場合について述べる。
f(x)=0 (0≦x<a の場合)
=1 (a≦x の場合) …(式18)
例えば、x<aの領域において零になるようにステップ関数を選ぶと、キャリアの振幅が所定の閾値aより小さければ、当該キャリアにおける仮のキャリアデータの推定値は信頼性が低いと見なして与干渉を零にする。
図9は、関数f(x)の一例としてステップ関数である場合の特性図である。
図10は、関数f(x)の一例としてステップ関数である場合に信頼性によって重み付けされるキャリア信号を模式的に示した図である。
例えば、f(x)の値が、0〜aの値となるキャリア181については、信頼性が値0となる。
また、関数f(x)の入力の基準が、キャリアの平均振幅となるようにしても良い。
図11は、関数f(x)が一次関数で、入力が平均振幅で規格化される場合の特性図である。
図12は、キャリアの平均振幅を基準とする場合に一次関数によって重み付けされることを模式的に示した図である。ここで、平均振幅を算出するにあたって、全キャリア(キャリア0からキャリア(N−1))を用いて算出する場合(式19)や、当該キャリアnの複数の周辺キャリア(キャリア(n−L)からキャリア(n+L))のみから算出する場合(式20)が考えられる。
Figure 2007046503
Figure 2007046503
ただし、式20において、(n=0、1、・・・、L−1)に対しては、n=Lの平均値で、同様に、n=N−L、N−L+1、・・・、N−1)に対しては、n=N−L−1の平均値で代用する。なお、1<L<N−2の整数である。
また、関数f(x)の入力の基準が、キャリアの平均電力となるようにしても良い。
図13は、平均電力を複数キャリアで平均化した値で規格化する場合の平均電力を模式的に示した図である。
図13において、関数f(x)の入力の基準を、キャリアAに対する信頼性を求める場合は、キャリアAの周辺の複数キャリアで算出される平均電力で規格化した値とし、キャリアBについても同様に、キャリアBの周辺の複数キャリアで算出される平均電力で規格化した値とするといったように、当該キャリアnの周辺で算出した平均電力で規格化した値を用いて信頼性を求めることとしてもよい。
図13の場合には、キャリア191、192についての信頼性は0とされる。
このように、当該キャリアnの周辺で算出した平均電力で規格化した値で信頼性を求めることで、信頼性を零にする閾値が変化する。キャリアは、遠く離れたキャリアよりも近隣のキャリアからの方がより多くの与干渉を受けるため、当該キャリアの周辺で算出した平均電力を基準とした方が、キャリアレベルの相対関係をより正確に反映させることができ、キャリア信頼性をより正確に求めることができる。
また、関数f(x)の入力xを、キャリアの振幅の二乗値(電力)を入力にしても良い。この場合、入力xは、式21で示されるものである。
x=abs[H]・abs[H] …(式21)
また、キャリアnの振幅の二乗値(電力)を、キャリアnの周辺の複数キャリアで平均化した値で規格化したものとしても良い。
平均電力を算出するに当たっては、全キャリア(キャリア0からキャリア(N−1))を用いて算出する場合(式22)や、当該キャリアnの複数の周辺キャリア(キャリア(n−L)からキャリア(n+L))のみから算出する場合(式23)が考えられる。
Figure 2007046503
Figure 2007046503
ただし、式23において、(n=0、1、・・・、L−1)に対しては、n=Lの平均値で、同様に、n=N−L、N−L+1、・・・、N−1)に対しては、n=N−L−1の平均値で代用する。なお、2≦L≦N−2の整数である。
さらに、式24に示すように、上記入力値の対数値を入力としてもよい。
Figure 2007046503
例えば、式24は、式22の対数をとったものである。
以上、関数f(x)の入力xについて、キャリアの振幅値の場合、振幅の二乗値(電力)の場合、さらにそれらを複数キャリアの平均値で規格化した場合について述べた。
また、関数f(x)について、例として、一次関数で表現されるもの(式17)、所定の閾値を境に0または1となるステップ関数(式18)を示したが、効果的にキャリアの信頼性をICI成分の算出に反映できるものであればよいので、これらに限らない。
このように、本発明の実施の形態1におけるキャリア間干渉除去装置は、キャリアの信頼性をもとに信頼性を算出し(式8)、これを用いてICI成分を算出(式10)するので、ICI成分の推定の信頼性が向上する。
したがって、より正確にICI成分を除去することができ、結果的にOFDM方式の高速移動時の受信性能を向上させることができる。
なお、パイロットキャリアのキャリアについては、そのキャリアデータが受信側で既知であるので、データキャリアと比べて、与干渉成分を正しく推定することができる。したがって、パイロットキャリアにおける信頼性は高いと見なして、重み付けしないことが望ましい。
さらに、ISDB−T方式においては、特定のキャリアが、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)信号やAC(Auxiliary Channel)信号などの制御情報のために割り当てられている。TMCC信号により主に変調方式や符号化率などの伝送パラメータが送信され、AC信号により付加情報が送信される。
図14は、ISDB−T方式におけるTMCC信号およびAC信号のキャリアを模式的に示した図である。
TMCC信号とAC信号については、1次変調として差動BPSKが用いられているため、1次変調として64QAMなどを用いるデータキャリアより誤り率が格段に低い。そのため、TMCC信号およびAC信号のキャリアについては、確からしいキャリアデータを用いてICI成分の推定をすることができるので、TMCC信号およびAC信号のキャリアについては、信頼性が高いと見なして、重み付けしないことが望ましい。
したがって、パイロットキャリアのキャリア番号をp、TMCC信号およびAC信号のキャリア番号をtとすると、n=p、tにおいては信頼性W(s)は式25となる。
(s)=1 (n=p、t) …(式25)
なお、式10におけるW(s)の乗算について、式変形により式26であっても、演算結果が同じになる。
K(s)=Ξ・W(s)・H’(s)・X(s) ・・・(式26)
したがって、ICI成分を推定するための演算過程において、それを構成する回路ブロックにおけるW(s)を乗算する部位は問題とならず、同じ推定結果となる部位であればよい。
なお、伝送路変動推定部では、シンボルsの伝送路変動特性を求めるために、一例として、シンボルsに隣接する前後のシンボルs+1とシンボルs−1とからシンボルsにおける伝送路変動特性H’(s)を推定したが、次隣接のシンボルs+2とシンボルs−2とから求めても良く、算出に用いるシンボル番号によらない。
なお、本発明に係る信頼性算出部および重み付け部を、非特許文献3に示されるキャリア間干渉の除去方式に適用すると、その処理ブロック図は、図15のようになる。
図15は、本発明に係る信頼性算出部および重み付け部を非特許文献3に示されるキャリア間干渉の除去方式に適用した場合のブロック図である。
本発明に係る信頼性算出部および重み付け部を付加した図15に示すような処理によれば、より正確にキャリアに生じるキャリア間干渉成分を推定し、除去することができるので、受信特性を改善することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、仮のシンボルデータを推定し、ICI成分を除去後に再度、等化処理を行うフィードフォワード処理のICI除去方式に本発明を適用する場合について説明したが、実施の形態2は、本発明をフィードバック処理のICI除去方式に適用したものである。
実施の形態2におけるキャリア間干渉除去装置は、具体的には、信頼性算出部が推定する伝送路周波数特性に基づいて信頼性を算出し、これをキャリアデータの推定値に重み付けするものである。これにより、ICI成分推定の信頼性を高め、より正確にICI成分を除去してキャリアデータを推定することができ、結果的にOFDM方式の高速移動時の受信性能を向上させることができる。
以下、実施の形態2に係るキャリア間干渉除去装置1200について、図面を参照しながら説明する。
キャリア間干渉除去装置1200は、図16に示すように、減算部1102と、伝送路推定部1103と、等化部1104と、乗算部1105と、リーク行列乗算部1106と、信頼性算出部1201と、重み付け部1202とを含んで構成される。
キャリア間干渉除去装置1200は、具体的には、LSIの内部に実装される。
減算部1102は、キャリア間除去装置外部のFFT部により、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換されたキャリア信号を取得し、当該キャリア信号から推定したICI成分を減算により除去する。
伝送路推定部1103は、伝送路周波数特性Hと時間導関数d^(すなわち、伝送路の時間変動量)とを推定する。
等化部1104は、伝送路周波数特性Hを用いてキャリア信号1113を等化してキャリアデータs^1115を出力する。
信頼性算出部1201は、伝送路推定部1103により推定された伝送路周波数特性1114を基に、式27にしたがってキャリアの信頼性1210を算出する。
(s)=f(abs[H(s)]) ・・・(式27)
重み付け部1202は、推定したキャリアデータs^に対してキャリアごとにWで重み付けする。
乗算部1105は、時間導関数d^1116と、重み付け部1202により重み付けされたキャリアデータとを乗算し、さらにリーク行列乗算部1106がリーク行列Ξを乗算し、ICI成分1118を推定する。
そして、フィードバックによる繰り返し演算処理を複数回実行することでICI成分の精度を向上させていく。
上記処理を数式で表したものが式28であり、式28で示される演算により、キャリアデータを精度よく推定することができる。
Y(i)=Y−Ξ・(d^(i-1)・s^(i-1)・diag(W(s)))
…(式28)
ここで、iは演算回数である。
なお、キャリア間干渉除去装置1200の出力はキャリアデータであり、キャリア間干渉除去装置1200は、図17のICI除去部707に相当する。図17に示すように、後段に伝送路推定部と等化部とを含まず、復号部710が後段に接続される。
以上説明したように、本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置1200は、信頼性算出部1201が推定した伝送路周波数特性1114に基づいて信頼性1210を算出し、これをキャリアデータの推定値1115に重み付けするので、同様に、ICI成分推定の信頼性を高めることができる。
したがって、より正確にICI成分を除去してキャリアデータを推定することができ、結果的にOFDM方式の高速移動時の受信性能を向上させることができる。
以上、実施の形態1と実施の形態2で示したように、隣接キャリアに対し、キャリアの信頼性に基づいた重み付けを行ってICI成分を推定する本発明は、ICI除去方式として、ICI成分が周辺キャリアのキャリアデータに依存することに着目し、複数の周辺キャリアからの漏れ込みを考慮してICI成分を推定する方式に対して適用可能であり、詳細なICI除去方法、回路構成は問わない。
(実施の形態3)
実施の形態1及び2では、推定したICI成分を、受信したキャリア信号から差し引くことで除去する場合について説明したが、実施の形態3は、逆行列演算によって、直接にICI成分が除去されたキャリアデータを算出する場合に、本発明を適用したものである。
先ず、本実施の形態で行っている処理の内容について、数式を用いて概要を説明し、次いで構成、動作を説明する。
ICI成分の推定のための算出式(式10)において、信頼性で重み付けしない場合を考えると、式29となる。
K(s)=Ξ・H’(s)・X(s) …(式29)
一方、ICI成分除去後のキャリア信号は、Y(s)=H(s)・X(s)と表される。したがって、式29において、キャリアデータを仮のキャリアデータXとしたが、X(s)=X(s)とすれば、式15より、式30の関係式が得られる。
H(s)・X(s)=Y(s)−Ξ・H’(s)・X(s)…(式30)
これを変形して、
H(s)・X(s)+Ξ・H’(s)・X(s)=Y(s)…(式31)
さらに、
X(s)=(H(s)+Ξ・H’(s))−1・Y(s) …(式32)
が得られる。ここで、(・)−1は、逆行列演算を示す。
したがって、(H(s)+Ξ・H’(s))の逆行列を求め、受信したキャリア信号Y(s)を乗算すれば、式32に示すように、ICI成分を除去されたキャリアデータX(s)を直接に求めることができる。
(H(s)+Ξ・H’(s))はキャリア間干渉を含んだ伝送路周波数特性と考えられる。
式32において、H(s)とH’(s)とが推定すべき変数であるが、H’(s)は、式7で算出されるものであるから、キャリアレベルに応じて推定値の信頼性が決まる。
そこで、実施の形態1と同様に、H(s)に基づいて決定される信頼性W(s)を式33のように定義し、H’(s)に対して、各キャリアの信頼性に応じた重み付けをすれば、精度よくキャリア間干渉込みの伝送路周波数特性を算出できる。
(s)=f(abs[H(s)]) …(式33)
したがって、
X(s)=(H(s)+Ξ・H’(s)・diag(W(s)))−1・Y(s)
…(式34)
以上のように、式34で示される演算により、キャリアデータを精度よく推定することができる。
以下に、本実施の形態に係る、式34に基づいてキャリアデータを推定するキャリア間干渉除去装置1400について説明する。
キャリア間干渉除去装置1400は、図18に示すように、伝送路推定部101と、信頼性算出部103と、伝送路変動推定部105と、伝送路ICI特性推定部1401と、逆行列演算部1402と、伝送路ICI逆特性乗算部1403と、重み付け部1404とを含んで構成される。
説明済みのものと同じ構成要素には、同一の参照番号を付して、特に必要がない限り説明を省略する。
重み付け部1404は、伝送路変動推定部105が推定したH’(s)に、信頼性算出部103が算出した信頼性W(s)を乗算により重み付けし、その結果である伝送路変動特性1410を出力する。
伝送路ICI特性推定部1401は、式35に示すように、伝送路特性H(s)と、リーク行列Ξと重み付けされた伝送路変動特性H’(s)・diag(W(s))とでICIの相互干渉特性を含めた伝送路ICI特性K’(s)を推定する。
K’(s)=H(s)+Ξ・H’(s)・diag(W(s)) …(式35)
逆行列演算部1402は、伝送路ICI特性K’(s)の逆行列を算出し、伝送路ICI特性1411の逆特性を算出する。
伝送路ICI逆特性乗算部1403は、キャリア信号110に対して、伝送路ICI特性の逆特性1412を乗算して、キャリアデータを推定する。
なお、キャリア間干渉除去装置1400の出力は、キャリアデータであるので、キャリア間干渉除去装置1400を含む受信装置は、図17に示した受信装置と同様に、後段に伝送路推定部と等化部とを含まず、復号部が後段に接続される。
このように、本発明の実施の形態3におけるキャリア間干渉除去装置1400は、キャリアの信頼性が伝送路推定部101で推定された伝送路周波数特性Hに基づいて算出され、これを伝送路変動特性H’に対して重み付けするので、ICI成分込みの伝送路周波数特性(ここでは、伝送路ICI特性と呼んでいる。)の推定の信頼性を高めることができる。したがって、より正確にICI成分を除去してキャリアデータを求めることができ、結果的にOFDM方式の高速移動時の受信性能を向上させることができる。
(実施の形態4)
受信するチャネル帯域に妨害波が混入すると、これがICI成分の推定に悪影響を与え、ICI除去の効果は劣化してしまう。妨害波には、地上アナログ放送の信号であるNTSC(National Television System Committee)信号やCW(Continuous Wave)妨害などが考えられる。特に、NTSC信号において、映像副搬送波や主音声副搬送波は、狭帯域の妨害波となる。
本実施の形態は、このような妨害波を検出し、検出結果をキャリアの信頼値に反映させて、ICI除去効果の劣化を防ぐものである。
図19は、本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置内の信頼性算出部2100の構成を示すブロック図である。
信頼性算出部2100は、図19に示すように、伝送路判定部2101と妨害波判定部2102と判定部2103とを含んで構成される。
伝送路判定部2101は、第1の実施形態の信頼性算出部103と同じ機能を果たす。すなわち、伝送路周波数特性を入力として、所定の関数で信頼性値を伝送路情報として出力する。
妨害波判定部2103はキャリア毎に妨害波の検出を行う。
図20は、本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置内の妨害波判定部2103の構成を示すブロック図である。
妨害波判定部2103は、振幅二乗部2111と、シンボル方向平滑部2112と、シンボル内平滑部2113と、乗算部2114と、比較部2115とを含んで構成される。
振幅二乗部2111は、キャリア毎の伝送路変動特性の振幅を二乗して、変動特性振幅二乗値を、シンボル方向平滑部2112へ出力する。
シンボル方向平滑部2112は、キャリア毎に、変動特性振幅二乗値をシンボル方向に平滑化し、シンボル内平滑部2113と比較部2115に出力する。ここでは、一例として128シンボルにわたり伝送路変動特性を平滑化するが、これに限らない。
シンボル内平滑部2113は、シンボル方向平滑部2112が出力する平滑化された変動特性振幅二乗値に対する、シンボル内の全キャリアの平均値を算出し、乗算部2114に出力する。
乗算部2114は、シンボル内に平滑化された信号に所定の係数cを乗算し、比較部へ出力する。ここで、係数cは、一例として16とするが、これに限るものではない。
比較部2115は、乗算部2114の出力と、シンボル方向に平滑化された変動特性振幅二乗値とをキャリア毎に比較し、第nキャリアについての比較結果βを妨害波情報として判定部2102へ出力する。
ここでは、一例として、変動特性振幅二乗値が乗算部の出力以上であればβ=0とし、小さければβ=1とする2値であるが、妨害波の大きさに応じた値となる多値であってよく、これに限るものではない。
以下、妨害波判定部2103を用いる場合の効果について説明する。
狭帯域妨害波が存在すると、存在するキャリアの信頼性は低くなり、また、伝送路特性は大きな変動を受けるため、そのキャリア位置の伝送路変動特性は、全キャリアの伝送路変動特性の平均値(シンボル内平滑部の出力)よりも比較的大きくなる。そのため、全キャリアの伝送路変動特性の平均値に対して、比較的大きな伝送路変動特性H’を持つキャリアは妨害を受けていると判定できる。
また、シンボル方向へ平滑化することによって妨害波の検出精度を上げることができる。
判定部2102は、伝送路判定部2101が出力する伝送路情報と妨害波判定部が出力する妨害波情報とに基づいて信頼性値を出力する。ここでは、次式のように、伝送路情報と妨害波情報を掛け合わせたものを信頼性Wとして出力する。
Wn=f(H)・β …(式36)
以上のように構成された信頼性算出部2100により、伝送路特性で影響されたキャリアの信頼性だけでなく、妨害波の存在するキャリアを特定できて、そのキャリアに対してはβ=0として、判定部2102においてさらに考慮した信頼性値を求め、その信頼性値を用いた重み付けを施してICI成分を生成することで、妨害波の影響を受けた信頼性の低いキャリアからの誤ったICI成分の推定を抑制できるので、ICI成分推定精度が向上し、結果として高速移動時の受信性能が向上する。
(実施の形態5)
本実施の形態は、複数アンテナを用いてダイバーシチ受信する受信装置に本発明のキャリア間干渉除去装置を適用するものである。
まず、本実施の形態と、実施の形態1との相違点について説明する。
図21は、本実施の形態のキャリア間干渉除去装置を示すブロック図である。
伝送路推定部101が出力する伝送路周波数特性と、等化部102が出力する仮のキャリアデータをキャリア間干渉除去装置外部へ出力し、信頼性算出部103の出力を伝送路変動推定部105の出力に対して重み付けるよう構成する。
また、ICI成分推定部106の入力は、後述するブランチ合成によって得られるキャリアデータとする。
図22は、本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置2201を含むダイバーシチ受信のための受信装置2250のブロック図を示す。
キャリア間干渉除去装置2201は、受信装置におけるICI除去部2663及びICI除去部2664に相当する。
受信装置2250は、ブランチ毎に設けられる複数の復調部2251、2252と、合成部2253とを含んで構成される。
一つの復調部2251は、ICI除去部2263と伝送路推定部2265と等化部2267とを備え、同様に、復調部2252は、ICI除去部2264と伝送路推定部2266と等化部2268とを備える。
合成部2253は、キャリア合成部2281、2284と、合成キャリア重み付け部2282と合成キャリア信頼性算出部2283とを備える。
ここで、ダイバーシティ受信のための復調部を含む復調系をブランチ又は系統という。
本実施の形態の受信装置は、復調部2251を含むブランチと、復調部2252を含むブランチの2ブランチを備える。
キャリア合成部2281、2284は、各ブランチの復調部(2251、2252)から出力されるキャリアデータをキャリア毎に合成する。ここでは、合成方法として最大比合成(MRC:Maximum Ratio Combining)処理を用いる場合を示す。キャリア合成部2281では、次式のような演算を行う。
Xc1 (s)={|H(s,1)|2 ・X(s,1)+ |H(s,2)|2 }・X(s,2)}/(|H(s,1)|2 + |H(s,2)|2 …(式37)
ここで、
Xc1(s)=[ Xc1 (s),Xc1 (s),・・・,Xc1 N−1(s) ] …(式38)
とおく。また、X(s、b)と、H(s,b)の記載は、それぞれ第sシンボルの第b系統における、第n番目のキャリアに対するキャリアデータ及び伝送路周波数特性を示している。
そして、合成キャリア信頼性算出部2283は、合成キャリアデータ2315に対する信頼性値(合成キャリア信頼性値)を各キャリア毎に算出し、合成キャリア重み付け部2282は、合成キャリアデータ2315に対して合成キャリア信頼性値で重み付ける。
次に、復調部のICI除去部2263、2264について詳細に説明する。
まず、伝送路推定結果のH(s+1)とH(s−1)とから変動成分H’(s,b)を求める。ここでは、変動成分の算出方法の一例として次式に示すように、第s―1と第s+1シンボルとの隣接シンボルから変動を求める。
H’(s,b)={H(s+1, b)−H(s−1, b)}/(2・Ts)
…(式39)
ここで、
H’(s,b)=diag(H’(s,b)) …(式40)
とおく。
本実施形態では、このH’に対して信頼性に応じた重み付けを行う。ここでは、一例として、H(s,b)に基づく重み付けを行う。そして、さらに、合成キャリアデータ2315に対しても信頼性を算出して重み付けし、重み付けされた合成キャリアデータをもとにICI成分を推定して除去する。
合成キャリア信頼性算出部2283が算出する合成キャリア信頼性値は、例えばキャリア毎に求められる全ブランチの電力の総和を用いることができ、n番目のキャリアにおける信頼性値Pc1は次式の演算によって求められる。
Pc1(s)=|H(s,1)|2 + |H(s,2)|2 …(式41)
(n=0,・・・,N−1)
ここで、
Pc1(s)=diag(Pc1(s)) …(式42)
とおく。
よって、重み付け後の合成キャリアデータは、
Xc1^(s)=Pc1(s)・Xc1(s) …(式43)
となる。
合成キャリアデータXc1に対して重み付けしたものXc1^(s)を、仮のキャリアデータとして、ICI成分を推定する。したがって、第sシンボルの第b系統における、第n番目のキャリアに対するICI成分の推定値K(s,b)は、
(s,b)=Ξ・{H’(s,b)・W(s,b)}・Xc1^(s)
=Ξ・{diag(H’(s,b))・diag(w(s,b))}
・ {diag(Pc1(s))・Xc1(s)} …(式44)
となる。
このように、各ブランチで推定する伝送路変動特性に対しては各ブランチ毎にそのブランチの伝送路特性w(s,b)で重み付けし、また、ダイバーシチ合成によって求められた仮のデータシンボルに対しては、合成電力Pc1(s)で重み付ける。これにより、ダイバーシチ構成でICI除去を行う場合においても、効果的に除去することができる。
(実施の形態6)
実施の形態5では、合成キャリア信頼性算出部2283は伝送路周波数特性Hnに基づいて合成キャリア信頼性を算出したが、本実施の形態は、各ブランチの仮のキャリアデータと合成キャリアデータとに基づいて合成キャリア信頼性を算出するものである。このようにすれば、効果的に妨害波を受けたキャリアを判定し、当該キャリアに対して誤ったICI成分の推定を抑制することができる。
以下、ブランチ数が2の場合を例に説明する。
図23は、本実施の形態に係る受信装置における復調部2251、2252と合成部2302を含むキャリア間干渉除去装置2301の構成を示すブロック図である。
合成部2302における合成キャリア信頼性算出部2311は、各ブランチのキャリアデータ2312、2313と合成キャリアデータ2314とに基づいて合成キャリア信頼性値を算出することを特徴とする。
以下に、具体的な算出方法について詳説する。
妨害波の混入を受けていないキャリアは、送信局から受信機までの伝送路に対して、雑音の影響があるものの、受信側で伝送路推定を正しく行うことができるためにどのブランチも所定の信号点の周辺に集中する。
一方、妨害波の混入を受けたキャリアについては、伝送路推定を正しく行うことができず、各ブランチのキャリアデータX(s、b)が、各ブランチ間で信号点が乱れる。
したがって、各ブランチのキャリアデータ2312、2313の信号点と合成キャリアデータ2314の信号点との距離が、予め設定する所定の閾値より小さいかどうかを判定すれば、妨害波が混入しているかどうかを的確に判定することができる。
図24は、各ブランチのキャリアデータの信号点と、合成キャリアデータの信号点との距離を示す模式図である。図24において、各ブランチのキャリアデータX(s、b)と合成キャリアデータXc1(s)との距離をL(s、b)、閾値をγとし、bはブランチ番号(b∈1、2)を示す。
先ず、各ブランチについて、閾値γとL(s,b)との差であるLEN(s,b)を評価する。
LEN(s,1) = γ−L(s,1) …(式45)
LEN(s,2) = γ−L(s,2) …(式46)
ここでは、閾値γは変調方式で決まる符号間距離とし、閾値を越えたかどうかの2値で判定するので、L(s,b)が閾値γより小さいかどうか、すなわち、LEN(s,1)、LEN(s,2)のそれぞれの極性を判定する。
極性が負であれば閾値を越えていることになるので、当該キャリアに対する重みPc1(s)を下げる。ここでは、一例としてPc1(s)=0とする。
このようにすれば、効果的に妨害波を受けたキャリアを判定することができ、当該キャリアに対して誤ったICI成分の推定を抑制することができる。
なお、ブランチ数が4の場合、LENを下式のように表す。
LEN(s,1) = γ−L(s,1) …(式47)
LEN(s,2) = γ−L(s,2) …(式48)
LEN(s,3) = γ−L(s,3) …(式49)
LEN(s,4) = γ−L(s,4) …(式50)
上式で示される4つのLENのうち(図25参照)、3つ以上が負であれば、すなわち、3つ以上が閾値を越えていればPc1(s)=0にするようにする。
なお、ここでは3つ以上としたが、この数は所定の数であればよく、数が多いほど妨害波の検出を厳しくすることになる。
また、距離の合計(LEN(s,1)+LEN(s,2))を用いて、多値で判定してもよい。
さらに、各ブランチの仮のキャリアデータの信号点と合成キャリアデータの信号点とを所定の信号点で硬判定した結果に基づいて合成キャリア信頼性値を算出してもよい。
各ブランチの仮のキャリアデータと合成キャリアデータの硬判定結果を、それぞれX(s、1)”、Xc1(s)”とすると、
(s,1)”=Xc1(s)” …(式51)
(s,2)”=Xc1(s)” …(式52)
の2つの評価式うち、成立した式の数に応じて信頼性を判定する。
ここでは、各ブランチの硬判定結果が合成キャリアデータの硬判定結果とが、すべてのブランチで一致する場合に信頼性が高いとみなし、Pc1(s)=1とし、一つのブランチも一致しなければ、信頼性が低いとみなして、Pc1(s)=0とする。
なお、ブランチ数が4の場合は、
(s,1)”=Xc1(s)” …(式53)
(s,2)”=Xc1(s)” …(式54)
(s,3)”=Xc1(s)” …(式55)
(s,4)”=Xc1(s)” …(式56)
の4つの評価式うち、成立した式の数に応じて信頼性を判定する。
以上のようにすれば、各ブランチの仮のキャリアデータの信号点と、合成キャリアデータの信号点とに基づいて妨害波を検出することができ、その結果、当該キャリアに対して、誤ったICI成分の推定を抑制することができる。
以上の説明では、各ブランチのキャリアデータX(s,b)と合成キャリアデータXc1(s)との距離Lは、いわゆる、ユークリッド距離としたが、次式に示すように、同相成分(実数部)と直交成分(虚数部)とでそれぞれ距離を求め、その和を距離Lとしても、同様に評価することができる。この場合、ユークリッド距離を算出する場合と比べて演算が簡素になるため、ハードウェア回路を削除することができる。ここで、Re[x]は複素数xの同相成分(実数部)、Im[x]は直交成分(虚数部)を示す。
(s)=abs[Re[X(s,b)] − Re[Xc1(s)]]
+ abs[Im[X(s,b)] − Im[Xc1(s)]]
さらに、距離L(s)を一定期間平滑化したもの(ここでは、平滑化距離:Fil[L]と表記する。)を用いて評価してもよい。平滑化距離には、シンボル方向に数百、或いは数千シンボル分、キャリア方向には数キャリア、或いは数十キャリア分の情報を用いた平均値や、IIRフィルタを用いて平滑化した値を用いる。
具体的には、(式45)〜(式50)において、距離L(s)を平滑化距離Fil[L]に代えて平滑化距離と閾値との差分を評価する。これにより、特定のキャリアに妨害波が数シンボル以上に渡って連続して混入している場合に、あるシンボルで偶然にも閾値γと距離L(s)とが近い値であっても、効果的に妨害波の混入を判定することができる。
また、閾値γとして平均化距離Fil[L]に基づく値を用いて、平均化距離とあるシンボルにおける距離L(s)との差分を評価してもよい。このとき、閾値γとして距離Lの平均値だけでなく、平均値の整数倍や、単数倍を閾値γとして設定してもよい。これにより、妨害波の混入の大きさに応じた閾値を設定することができ、特定のキャリアに妨害波が数シンボルに渡って連続して混入している場合に、効果的に妨害波の混入を判定することができる。
なお、平滑化距離Fil[L]における平滑化については、シンボル方向とキャリア方向とのそれぞれ両方について行うと平滑化の効果は大きくなるが、どちらか一方であってもよい。
(実施の形態7)
本実施の形態は、合成キャリア信頼性算出部が、各ブランチの仮のキャリアデータのみに基づいて合成キャリア信頼性を算出するものである。
図26は、本実施の形態に係る受信装置における復調部2251、2252と合成部2402を含むキャリア間干渉除去装置2401の構成を示すブロック図である。
合成部2402における合成キャリア信頼性算出部2411は、各ブランチの仮のキャリアデータ2412、2413のみに基づいて合成キャリア信頼性値を算出することを特徴とする。
一例として、ブランチ数が2以上の場合は、特許文献(特開2006−41980)の段落0041に記載の内容と、硬判定結果に基づく場合を適用すればよく、さらに、ブランチ数が4以上の場合は、前記特許文献の段落0079及び0088に記載の内容を適用すればよい。
(実施の形態8)
ICI除去で用いられる等化後の仮のキャリアデータは、雑音や妨害波の混入によって誤差を含むが、元々、キャリアデータは、送信データで変調されて所定の信号点配置を有するものである。
本実施の形態は、振幅が極端に大きい場合には、所定の振幅でクリップ処理してからICIを除去するものである。
図27は、仮のキャリアデータに対してクリップ処理を施すブロックを含むキャリア間干渉除去装置のブロック図である。
クリップ処理部2401は、重み付けされたキャリアデータに対してクリップ処理を施して、ICI成分推定部106に対し出力する。
クリップ処理部2401は、以下に示すように所定の振幅でクリップ処理を施す。一例として、キャリアデータの同相成分、直交成分に対して、パイロットキャリアの振幅でクリップする場合を示す。
図28は、クリップ処理部2401が、クリップする振幅を示す模式図を示す。黒丸は64QAMで取り得る信号点の配置を示す。同相成分および直交成分は最大で±1の振幅をとる。白抜き丸はパイロットキャリアの位置を示す。
パイロットキャリアは同相成分上の±4/3に位置する。
仮のキャリアデータは、本来、変調されて所定の信号点(図33中の黒丸の位置)を取り得るが、雑音や妨害波の混入などの影響により、所定の信号点から離れて大きな振幅をとることがある。
図28に示したキャリアデータA,Bは、それぞれ、同相軸が3/4を、直交軸が−3/4を越えた場合で、これらに対し、それぞれ、同相軸成分を4/3に、同相軸成分を−4/3にクリップされる様子を示している。
本実施形態では、キャリアデータに対するクリップレベルについて、パイロットキャリアの振幅レベルでクリップする場合を示したが、これに限らない。
(実施の形態9)
本発明の受信装置の実施の形態9について、図29〜図35を参照して説明する。
図29は、本実施の形態に係るダイバーシティの受信装置を示したブロック図である。
前記受信装置は、アンテナ3001、3101と、所望の受信チャンネルの受信信号を選択するRF部3002、3102、復調処理を行う受信処理部3021、3121、および、第一の合成部3011と第二の合成部3012、さらに、第二の合成部3012の出力信号に対し誤り訂正を行う誤り訂正部3003、誤り訂正部3003で誤りを訂正されたMPEG(Moving Picture Experts Group)−2等で圧縮された信号のデコードを行うデコード部3004、及びデコード部3004でデコードされた映像・音声の出力を行う表示部3005から構成される。
図30に受信処理部3021の構成を示したブロック図を示す。
なお、受信処理部3121の構成は受信処理部3021と同じであり入力信号がRF部3102の出力である相違だけであるため受信処理部3021の説明をもって省略する。
受信処理部3021は、A/D部3031、直交復調部3032、FFT部3033、シンボル同期部3034、復調部3041で構成される。
A/D部3031は、RF部3002の出力を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。直交復調部3032は、A/D部3031により変換された結果である前記デジタル信号を直交復調することにより複素ベースバンド信号に変換し、FFT部3033およびシンボル同期部3034へ出力する。
シンボル同期部3034は、OFDMシンボル区間の同期をとり、FFT部3033へシンボル位置情報信号を出力する。
FFT部3033は、シンボル位置情報信号を基に、前記直交復調した信号をフーリエ変換し、周波数領域の信号に変換し、復調部3041へ出力する。
図31に復調部3041の構成のブロック図を示す。
復調部3041は、第一受信信号復調部3095と第二受信信号復調部3096とを含んで構成される。
第一受信信号復調部3095は、第一の伝送路推定部3051、第一の等化部3052とを含んで構成され、第二受信信号復調部3096は、ICI成分生成部3053と減算部3054と第二の伝送路推定部3056と、第二の等化部3055とを含んで構成される。
さらに第一の伝送路推定部3051の構成は、図32に示すように、既知信号であるSP(Scattered Pilot)を生成するSP生成部3061と入力信号からSP信号を抽出するSP抽出部3062と、除算部3063と、補間部3064から構成される。
なお、第二の伝送路推定部3056も第一の伝送路推定部3051と同じ構成要素から成る。ここで、SP信号とは、リファレンス信号であり、地上デジタルテレビ放送の伝送方式などで、送信信号に挿入されている信号であり、上述の実施の形態の説明で用いたパイロットシンボルと同様のものである。
FFT後の信号から、SP抽出部3062により、SP信号を抽出し、SP生成部3061で生成した既知信号により除算部3063で除算することにより、SP信号の伝送路特性を算出する。
算出したSP信号の伝送路特性を基に、補間部3064で補間処理を行いSP信号以外の信号の伝送路特性を算出する。
第一の等化部3052において、FFT後の信号を算出した伝送路特性で除算することにより、送信信号を推定し、図29における第一の合成部3011に仮等化後信号を出力する。
第一の伝送路推定部3051で算出された伝送路特性も第一の合成部3011に出力する。
第一の合成部3011では、受信処理部3021、3121から出力されたそれぞれの伝送路特性を用いて、それぞれの仮等化後の信号をダイバーシティ合成する。
ダイバーシティの合成としては、受信処理部3021の仮等化後の信号をX1 (s,1)、伝送路特性をH1(s,1)、受信処理部3121の仮等化後の信号をX1 (s,2)、伝送路特性をH1(s,2)と表したときに、式57で表すような最大比合成を用いて合成する。
Xc1 (s)=(|H1(s,1)|・X1 (s,1)+|H1(s,2)|・X1 (s,2))/(|H1(s,1)|+|H1(s,2)|) …(式57)
しかし、合成としては、式57に示すものに限らず、公知のダイバーシティ合成法を用いればよい。
第一の合成部3011にて合成された信号は、受信処理部3021、3121に出力される。
なお、第一の合成部3011の出力を、送信符号点により硬判定してから受信処理部3021、3121に出力してもよい。
第一の合成部3011の出力信号は、ICI成分生成部3053に入力され、また、第一の伝送路推定部3051で推定した伝送路特性もICI成分生成部3053に入力される。ICI成分の推定としては、様々なものが提案されており、ここでは、非特許文献3に記載されているICI成分推定法を用いることとする。
ICI成分生成部3053は、図33に示すように、伝送路特性一次微分算出部3091と乗算部3092から構成される。
伝送路特性一次微分算出部3091は、伝送路特性を入力し、各キャリアに対し、現在のシンボル(シンボル番号をpとする)の前後シンボルの伝送路特性から式57を用いて一次微分を算出し、乗算部3092に出力する。
乗算部3092では、第一の合成部3011の出力である合成後信号X〜と伝送路特性一次微分算出部3091の出力信号と、式3、式4で示す定数行列Ξとの乗算演算を行う。この演算は式2で示すとおりであり、以上により、ICI成分が推定、生成される。
ICI成分生成部3053におけるICI成分の生成法としては、非特許文献3の手法を用いたが、これに限定せず、公知のものを利用すればよい。
推定されたICI成分は、減算部3054により、FFT後の信号から減算することで、ICI成分を除去する。
第一の合成部3011の出力信号は、第一の等化部3052の出力信号よりも、ダイバーシティ効果により送信信号としての信頼性が増しており、その結果ICI成分生成の精度も向上し、より正しくICI除去が可能となる。
減算部3054の出力信号から、第二の伝送路推定部3056にて、ICI成分除去後の伝送路特性を推定する。
これにより、ICIが除去された信号の伝送路特性が算出される。
第二の等化部3055において、減算部3054の出力から推定した伝送路特性で除算を行うことにより、再び送信信号を推定する。
第二の等化部3055から出力される等化後信号は、ICIの影響が軽減されているので、第一の等化部3052の出力信号よりも、送信信号として推定精度が向上している。
第二の等化部3055の出力信号と第二の伝送路推定部3056で推定した伝送路特性が第二の合成部3012に出力される。
第二の合成部3012では、受信処理部3021、3121から出力されたそれぞれのICI除去後の信号の伝送路特性を用いて、それぞれの第二の等化後の信号をダイバーシティ合成する。
ダイバーシティの合成としては、受信処理部3021の第二の等化後の信号をX2 (s,1)、ICI除去後の信号の伝送路特性をH2(s,1)、受信処理部3121の第二の等化後の信号をX2 (s,2)、ICI除去後の信号の伝送路特性をH2(s,2)と表したときに、式58で表すような最大比合成を用いて合成する。
Xc2 (s)=(|H2(s,1)|・X2 (s,1)+|H2(s,2)|・X2 (s,2))/(|H2(s,1)|+|H2(s,2)|) …(式58)
しかし、合成としては、式58に示すものに限らず、公知のダイバーシティ合成法を用いればよい。
なお、ここでは、第一の合成部3011と第二の合成部3012を同じ最大比合成を用いて説明しているが、第一の合成部3011では、ICIの影響を受けた信号を合成し、第二の合成部3012では、ICIを除去した信号を合成するという、特性の異なる信号を処理することを鑑み、第一の合成部3011と第二の合成部3012で異なるダイバーシティ合成を用いて処理してもよい。
さらに、第一の伝送路推定部3051と第二の伝送路推定部3056を同じものとして説明しているが、第一の伝送路推定部3051では、ICIの影響を受けた信号の伝送路特性を推定し、第二の伝送路推定部3056では、ICIを除去した信号の伝送路特性を推定するという、特性の異なる信号を処理することを鑑み、第一の伝送路推定部3051と第二の伝送路推定部3052で異なる推定法を用いてもよい。
なお、第二の伝送路推定部3052を有さず、第一の伝送路推定部3051で推定した伝送路特性を用いて、第二の等化および第二のダイバーシティ合成を実施してもよい。しかし、ICI除去することによって、ICI除去前の信号と伝送路特性が変化しているので、ICI除去後の信号の伝送路特性をもって等化およびダイバーシティ合成する方がより効果的である。
第二の合成部3012により、ICI除去後の信号がダイバーシティ合成され、誤り訂正部3003に出力され、デコード、表示されることとなる。
第二の合成部3012の出力信号は、ダイバーシティ効果により、それぞれの受信処理部3021,3121の第二の等化後の信号よりも、推定した送信信号として、より確からしいこととなり、受信性能が向上する。
以上の構成によれば、ICI成分を生成するための仮等化後の信号に対してもダイバーシティ合成することで、仮等化後の信号の信頼性を向上させ、それを用いて各復調部においてICI成分を推定するので、各復調部でのICI成分の推定精度を向上させ、ICI除去を効果的に行うことができる。
そして、ICI除去後に再度伝送路特性を算出し、それを用いて最適な等化及びダイバーシティを行うことで、最終的な送信信号の推定精度が向上し、これにより、ICIやノイズの影響に対する耐性が強化され、移動時や弱電界環境下でも、安定した良好な受信が可能となる。
また、本実施の形態では、ダイバーシティ合成の段数を2段としているが、これに限らず、3段以上の構成にし、ICIを段階的に除去する構成としてもよい。
例として、ダイバーシティ合成を3段としたダイバーシティ受信装置の構成図を図34、図35、図36に示す。
図36における復調部3042では、ICI除去を行うたびに、ICI除去した信号から伝送路特性を推定し、それを用いて、等化およびダイバーシティ合成している。
ICI除去を段階的に行うことにより、さらに送信信号の推定精度が向上し、移動時や弱電界環境下でも安定した良好な受信が可能となる。
本実施の形態の受信装置において、受信処理の少なくとも一部を行うプログラムを用いてもよく、また受信装置における受信処理の少なくとも一部を行う受信方法を用いて実現してもよい。
また、本実施の形態を実現する受信処理の一部を行ういかなる受信装置、又は受信方法、又は受信回路、又はプログラムを組み合わせて実現してもよい。
(実施の形態10)
本発明の実施の形態10に係るダイバーシティ受信装置について、図37、図38、図39を用いて説明する。前述したものと同じ構成要素については、同じ符号を用い、説明を省略する。
図37は本実施の形態のダイバーシティ受信装置のブロック図を示す。
本実施の形態のダイバーシティ受信装置は、ダイバーシティ合成信号をフィードバックする構成としている点が、実施の形態9の受信装置と比較して大きく異なる。
図39に復調部3045のブロック図を示す。
復調部3045は、ICI成分生成部3083と、減算部3054と、等化部3081、伝送路推定部3082とを含んで構成される。
FFT部3033の出力信号は、減算部3054に入力され、ICI成分生成部3083の出力を減算する。
イタレーション(繰り返し処理)の1回目は、ICI成分生成部3083の出力は0である。
減算部3054の出力信号は、等化部3081および伝送路推定部3082に入力され、伝送路推定部3082で伝送路特性を推定し、等化部3081と合成部3015に出力する。
伝送路推定部3082は、実施の形態9で示した第一の伝送路推定部3051である。
等化部3081では、推定した伝送路特性で、ICI除去後の信号を除算することにより送信信号を推定し、等化後信号を合成部3015に出力する。
復調部3125は、復調部3025と同じ構成であり、入力信号が、RF部3002の出力信号ではなくRF部3102の出力信号であるという相違だけであるので説明を省略する。
図37において、復調部3025および復調部3125からそれぞれ伝送路特性と等化後信号が出力され、伝送路特性を基に合成部3015においてダイバーシティ合成される。
ダイバーシティ合成法としては、実施の形態9と同様に式1を用いればよいが、これに限らず公知のものを用いればよい。
この合成後の信号は復調部3025、3125におけるICI成分生成部3083に入力される。
なお、ICI成分生成部3083へ入力する際、合成部3015の出力信号を符号点に関して硬判定して入力してもよい。
これにより、ICI成分生成部3083にて、伝送路特性と合成部3015の出力を基にICI成分を推定・生成し、減算器でFFT後の信号から除算する。
ICI成分生成部3083は、図33のICI成分生成部3053の伝送路特性一次微分算出部3091において、式1ではなく、式59を用いて算出する点が異なるが、これに限定されない。
H’(s)=(H(s)−H(s−1))/Ts …(式59)
このイタレーションをシンボル区間内で繰り返すことにより、等化後の信号の推定精度は向上する。
シンボル区間内でのイタレーションの最終回での合成後信号は、誤り訂正部3003へ出力され、誤り訂正される。
次のシンボル区間に移行すると、そのシンボルに対応したFFT後信号に対し、新たなイタレーションが開始され、イタレーション一回目開始時には、ICI成分生成部3083における信号は0にリセットされる。
このような構成により、ICI除去しダイバーシティ合成した信号を各復調部において再帰的にICI成分生成に用いることで、各復調部でのICI成分の推定精度を向上させ、イタレーションを繰り返すほど、ノイズやICIの影響が軽減され、ICI除去を効果的に行うことができる。
さらに、再帰的に行うことで、実施の形態9に比べ、回路規模が削減することができる。これにより、ICIやノイズの影響に対する耐性が強化され、移動時や弱電界環境下でも、安定した良好な受信が可能となる。
なお、本実施の形態では、2つのアンテナによるダイバーシティ構成を用いて説明したが、これに限らず、2つ以上のアンテナによるダイバーシティ構成としてもよく、アンテナや復調部を増やすことによりさらに受信性能の改善を図ることができる。
また、実施の形態10の受信装置の各構成要素は、集積回路で実現してもよい。このとき、各構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部もしくは全てを含むように1チップ化されてもよい。
さらに、本実施の形態の受信装置における受信処理の少なくとも一部を行うプログラムを用いてもよく、また、実施の形態10の受信装置における受信処理の少なくとも一部を行う受信方法を用いて実現してもよい。
また、本実施の形態を実現する受信処理の一部を行ういかなる受信装置、又は受信方法、又は受信回路、又はプログラムを組み合わせて実現してもよい。
また、実施の形態9〜10において、A/D部3031は、直交復調部3032の直前に位置したものとして説明を行ったが、これに限らず、チューナに含まれてもよいし、直交復調部3032の直後としてもよく、これらに限られない。
また、実施の形態9〜10において、2つのアンテナによるダイバーシティ構成を用いて説明したが、これに限らず、2つ以上のアンテナによるダイバーシティ構成としてもよく、アンテナや復調部を増やすことによりさらに受信性能の改善を図ることができる。
さらに、2つ以上のアンテナを有した空間または角度ダイバーシティ構成に限定はせず、一つのアンテナで周波数ダイバーシティや時間ダイバーシティを実施してもよい。
また、復調部は複数備えず、メモリや多重処理を用いて復調部の機能を実現してもよい。
また、実施の形態9〜10において、地上デジタル放送波で用いられているOFDM信号として説明を行ったが、これに限らず、マルチキャリア伝送であればなんでもよく、さらに、ICIを除去する構成として説明したが、受信信号に含まれる干渉成分を推定した送信信号から生成し除去するものであれば、どのような干渉除去技術に適用してもよく、その場合、ICI成分生成部3053の代わりに、取り除くべき干渉成分を推定生成する干渉成分生成部を用いればよい。
<なお書き>
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)なお、以上の実施の形態で示したキャリア合成(最大比合成)は、各復調部で求めた伝送路周波数特性H(s,1)、H(s,2)と、等化部の出力信号X(s,1),X(s,2)とから、
Xc(s)=(|H(s,1)|・X(s,1)+|H(s,2)|・X(s,2))/(|H(s,1)|+|H(s,2)|) …(式60)
と合成していたが、それぞれ等化部を省略し、各復調部におけるキャリア信号Y(s,1)、Y(s,2)と、伝送路周波数特性H(s,1)、H(s,2)とから、
Xc(s)=(H(s,1)・Y(s,1)+H(s,2)・Y(s,2))/(|H(s,1)|+|H(s,2)|) …(式61)
とする合成を適用してもよい。ただし、*は複素共役を示す。
これは、ダイバーシチの受信装置において、キャリア合成部を複数含んで複数回キャリア合成を行う場合についても同様である。例えば、図22に示したように、キャリア合成部2281を第1番目のキャリア合成部、キャリア合成部2283を第2番目のキャリア合成部とすれば、第m番目のキャリア合成部において、キャリア信号をYm(s,b)、伝送路周波数特性をHm(s,b)、合成後のキャリアデータをXcm(s,b)とおくと、式61は、次式のように拡張した表記となる。
Xcm(s)=(Hm(s,1)・Ym(s,1)+Hm(s,2)・Ym(s,2))/(|Hm(s,1)|+|Hm(s,2)|
…(式62)
上記のようなキャリア合成の方法は、前述した実施の形態のキャリア合成の部分で、以下に述べるように適用される。
実施の形態5については、図21、22でおいて、等化部102と、ICI除去部2264に含む等化部(図示しない)を省略し、FFT部2261、2262の出力と、ICI除去部2263、2264で求めた伝送路特性から、キャリア合成部2281において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
また、等化部2267、2268を省略し、ICI除去演算部107の出力および、ICI除去部2264に含むICI除去演算部(図示しない)と、伝送路推定部2265,2266の出力から、キャリア合成部2284において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
さらに、実施の形態6の図23、実施の形態7の図26においても、同様である。また、図29、図30、図31で示した実施の形態9において、第一の等化部3052と、受信処理部3121に含む第一の等化部(図示しない)を省略し、FFT部3033および受信処理部3121に含むFFT部(図示しない)の出力と、第一の伝送路推定部3051および受信処理部3121に含む第一の伝送路推定部(図示しない)の出力から、第一の合成部3011において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
また、第二の等化部3055と受信処理部3121に含む第二の等化部(図示しない)を省略し、減算部3054および受信処理部3121に含む減算部(図示しない)の出力と、第二の伝送路推定部3056および受信処理部3121に含む第二の伝送路推定部(図示しない)の出力から、第二の合成部3012において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
また、図34、図35、図36で示した実施の形態9の、合成部が2段以上になる場合においても同様のことがあてはまり、第三の等化部3074と受信処理部3122に含む第三の等化部(図示しない)を省略し、減算部3073および受信処理部3122に含む減算部(図示しない)の出力と、第三の伝送路推定部3075および受信処理部3122に含む第二の伝送路推定部(図示しない)の出力から、第三の合成部3013において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
さらに、実施の形態10の図37、38、39については、等化部3081および受信処理部3125に含む等化部(図示しない)を省略し、減算部3054および受信処理部3125に含む減算部(図示しない)の出力と、伝送路推定部3082および受信処理部3125に含む伝送路推定部(図示しない)の出力から、合成部3015において式62を用いて合成信号を算出してもよい。
(2)なお、以上の実施の形態では、時間領域と周波数領域との間の変換がFFTに基づくOFDM信号とそれに関する復調処理を示したが、複数のキャリアを周波数軸上で多重させたマルチキャリア信号に適用可能であり、例えば、ウェーブレット変換、コサイン変換、アダマール変換などを用いたマルチキャリア信号であってもよい。
(3)上記の受信装置及びキャリア間干渉除去装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成される。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIである。また、前記複数の構成部は個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
(4)上記の受信装置及びキャリア間干渉除去装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。前記RAM又は前記ハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
(5)上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、などから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(6)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号であるとしてもよい。
(7)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
本発明に係るキャリア間干渉除去装置およびこれを用いた受信装置は、マルチキャリア信号に含まれるドップラーシフトに起因するキャリア間干渉を除去するので、マルチキャリア信号を移動しながら受信する際に受信特性を改善することができる。したがって、高速走行する車両や列車に搭載されて、移動しながらOFDM方式による地上デジタル放送や無線LAN信号を受信する車載の受信装置に有用である。
本発明の実施の形態1におけるキャリア間干渉除去装置を含むOFDMの受信装置のブロック図である。 本発明の実施の形態1におけるキャリア間干渉除去装置のブロック図である。 非特許文献1に示されるOFDM信号の信号フォーマットである。 本発明の実施の形態1のキャリア間干渉除去装置における伝送路変動推定部のブロック図である。 本発明の実施の形態1のキャリア間干渉除去装置におけるICI除去演算部のブロック図である。 キャリア信号が周波数選択性を呈する様子を模式的に示した図である。 関数f(x)の一例として一次関数である場合の特性図である。 関数f(x)の一例として一次関数である場合に信頼性によって重み付けされるキャリアを模式的に示した図である。 関数f(x)の一例としてステップ関数である場合の特性図である。 関数f(x)の一例としてステップ関数である場合に信頼性によって重み付けれるキャリアを模式的に示した図である。 関数f(x)が一次関数で、入力が平均振幅で規格化される場合の特性図である。 キャリアの平均振幅を基準とする場合に一次関数によって重み付けされることを模式的に示した図である。 平均電力を複数キャリアで平均化した値で規格化する場合の平均電力を模式的に示した図である。 ISDB−T方式におけるTMCC信号およびAC信号のキャリアを模式的に示した図である。 本発明に係る信頼性算出部および重み付け部を非特許文献3に示されるキャリア間干渉の除去方式に適用した場合のブロック図である。 特許文献1に示される受信装置に本発明に係る信頼性算出部と重み付け部とを付加したブロック図である。 本発明の実施の形態2に係るキャリア間干渉除去装置を含む受信装置のブロック図である。 本発明の実施の形態3におけるキャリア間干渉除去装置の詳細なブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係るキャリア間干渉除去装置における信頼性算出部の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係るキャリア間干渉除去装置における妨害波判定部の構成を示すブロック図である。 本発明のキャリア間干渉除去装置をダイバーシチ構成の受信装置に適用した場合のブロック図である。 本実施の形態に係るキャリア間干渉除去装置を含むダイバーシチ受信のための復調部のブロック図である。 本発明の実施の形態6に係るキャリア間干渉除去装置の構成を示すブロック図である。 各ブランチの仮のキャリアデータの信号点と、合成キャリアデータの信号点との距離を示す模式図である。 ブランチ数が4の場合の各ブランチの仮のキャリアデータの信号点と、合成キャリアデータの信号点との距離を示す模式図である。 本発明の実施の形態7に係るキャリア間干渉除去装置の構成を示すブロック図である。 仮のキャリアデータに対してクリップ処理を施すブロックを含むキャリア間干渉除去装置のブロック図である。 クリップ処理部が、クリップする振幅を示す模式図を示す。 本発明の実施の形態9における受信装置のブロック図である。 図29における受信処理部のブロック図である。 図30における復調部のブロック図である。 図31における伝送路特性推定部のブロック図である。 図31におけるICI成分生成部のブロック図である。 本発明の実施の形態1においてダイバーシティ合成を3段とした受信装置のブロック図である。 図34における受信処理部のブロック図である。 図35における復調部のブロック図である。 本発明の実施の形態10における受信装置のブロック図である。 図37における受信処理部のブロック図である。 図38における復調部のブロック図である。 非特許文献3のICI除去部を示すブロック図である。 OFDMシンボルの模式図である。
符号の説明
1 キャリア間干渉除去装置
101 伝送路推定部
102 等化部
103 信頼性算出部
104 重み付け部
105 伝送路変動推定部
106 ICI成分推定部
107 ICI除去演算部
110 キャリア信号
111 伝送路周波数特性
112 仮のキャリアデータ
113 信頼性
114 重み付けされた仮のキャリアデータ
115 伝送路変動特性
116 ICI成分
117 ICI成分が除去されたキャリア信号
201 送信局
202 移動受信局
501 伝送路推定部
502 等化部
503 伝送路変動推定部
504 ICI成分推定部
505、506、507 シンボル遅延部
508 減算部
510 キャリア信号
511 伝送路周波数特性
514 仮のキャリアデータ
515 伝送路変動特性
516 ICI成分
517 ICI成分が除去されたキャリア信号
702 RF部
703 A/D部
704 シンボル同期部
705 ガード除去部
706 周波数領域変換部
707 ICI除去部
708 伝送路推定部
709 等化部
710 復号部
720 ベースバンド信号
726 伝送路周波数特性
727 キャリアデータ
901 伝送路変動量演算部
902、903 シンボル遅延部
1000 減算回路

Claims (29)

  1. 伝送路の状態により変動する周波数応答特性を示すキャリア信号を複数含んだマルチキャリア信号からキャリア間干渉成分を除去するキャリア間干渉除去装置であって、
    マルチキャリア信号を取得する取得部と、
    各キャリア信号の信頼性を各キャリアに係る周波数応答特性に基づき算出する信頼性算出部と、
    各キャリア信号を等化する等化部と、
    等化前の各キャリア信号に係る前記信頼性で、等化後の各キャリア信号を重み付けする重み付け部と、
    等化前の各キャリア信号に係る前記各周波数応答特性の変動量と、重み付けされた等化後の各キャリア信号とに基づきキャリア間干渉成分を算出し、等化前の各キャリア信号から除去するキャリア間干渉除去部と
    を備えることを特徴とするキャリア間干渉除去装置。
  2. 前記信頼性算出部は、前記周波数応答特性に基づく値を用いて所定の演算を行うことにより前記信頼性を算出する
    ことを特徴とする請求項1記載のキャリア間干渉除去装置。
  3. 前記信頼性算出部は、前記周波数応答特性に基づく値として、前記周波数応答特性の振幅値を用いる
    ことを特徴とする請求項2記載のキャリア間干渉除去装置。
  4. 前記信頼性算出部は、前記周波数応答特性に基づく値として、複数の等化前の各キャリア信号の前記周波数応答特性の振幅の平均値で、前記等化前の各キャリア信号の前記周波数応答特性の振幅を規格化した値を用いる
    ことを特徴とする請求項2記載のキャリア間干渉除去装置。
  5. 前記信頼性算出部は、前記周波数応答特性に基づく値として、前記周波数応答特性の振幅二乗値を用いる
    ことを特徴とする請求項2記載のキャリア間干渉除去装置。
  6. 前記信頼性算出部は、前記周波数応答特性に基づく値として、複数の等化前の各キャリア信号の周波数応答特性の振幅二乗値の平均値で、前記等化前の各キャリア信号の前記周波数応答特性の振幅二乗値を規格化した値を用いる
    ことを特徴とする請求項2記載のキャリア間干渉除去装置。
  7. 前記信頼性算出部は、複数の等化前の前記キャリア信号として、前記マルチキャリア信号に含まれる全てのキャリア信号を用いる
    ことを特徴とする請求項2記載のキャリア間干渉除去装置。
  8. 前記信頼性算出部は、複数の等化前の前記キャリア信号として、各キャリア信号の周波数から所定範囲内の周波数を有するキャリア信号を用いる
    ことを特徴とする請求項2記載のキャリア間干渉除去装置。
  9. 前記信頼性算出部は、前記周波数応答特性に基づく値が所定値以下の場合に、前記信頼性として、前記キャリア間干渉成分の推定における等化後の前記キャリア信号の影響を低下させる値を算出する演算を行う
    ことを特徴とする請求項2に記載のキャリア間干渉除去装置。
  10. 前記信頼性算出部は、前記周波数応答特性に基づく値が所定値以下の場合に、前記信頼性の値を0とする
    ことを特徴とする請求項9記載のキャリア間干渉除去装置。
  11. 前記キャリア間干渉除去部は、
    等化前の前記各キャリア信号から前記キャリア間干渉成分を減算によって除去する
    ことを特徴とする請求項1記載のキャリア間干渉除去装置。
  12. 各キャリア信号は、パイロットキャリア信号を含み、
    前記重み付け部は、パイロットキャリア信号に対しては重み付けしない
    ことを特徴とする請求項1記載のキャリア間干渉除去装置。
  13. 前記マルチキャリア信号はISDB−T方式のOFDM信号であり、
    前記重み付け部は、TMCCキャリア信号及びACキャリア信号に対しては重み付けしない
    ことを特徴とする請求項1記載のキャリア間干渉除去装置。
  14. 前記キャリア間干渉除去装置は、更に、
    前記キャリア間干渉成分の算出に先立ち、前記重み付けされた等化後のキャリア信号を所定の振幅でクリップするクリップ処理部を備える
    ことを特徴とする請求項1記載のキャリア間干渉除去装置。
  15. 前記信頼性算出部は、
    前記周波数応答特性の大きさに基づく伝送路情報を出力する伝送路判定部と、
    妨害波の大きさに基づく妨害波混入情報を出力する妨害波判定部と、
    前記伝送路情報と前記妨害波情報とに基づき前記信頼性を算出して出力する信頼性出力部と
    を含むことを特徴とする請求項1記載のキャリア間干渉除去装置。
  16. 前記妨害波判定部は、
    キャリア信号毎に伝送路応答特性の時間変動量の振幅を二乗して、変動量振幅二乗値を出力する振幅二乗部と、
    キャリア信号毎に、前記変動量振幅二乗値をシンボル方向に平滑化するシンボル方向平滑部と、
    前記シンボル方向平滑部が出力する平滑化された変動量振幅二乗値に対する、シンボル内の全キャリアの平均値を算出するシンボル内平滑部と、
    前記シンボル内平滑部の出力に対し、所定の係数を乗算する乗算部と、
    前記乗算部の出力と、前記平滑化された変動量振幅二乗値とをキャリア毎に比較し、比較結果を前記妨害波混入情報として出力する比較部と
    を含むことを特徴とする請求項15記載のキャリア間干渉除去装置
  17. 前記信頼性判定部は、
    前記信頼性として、前記伝送路情報と前記妨害波情報とを乗算し、当該乗算の結果を出力する
    ことを特徴とする請求項15記載のキャリア間干渉除去装置。
  18. ダイバーシティ受信を行う受信装置であって、
    自処理部に対応付けられたアンテナを用いて信号を受信し、当該受信信号を復調処理する受信処理部を複数備え、
    複数のうち1以上の受信処理部が、請求項1記載のキャリア間干渉除去装置を含む
    ことを特徴とする受信装置。
  19. 前記受信装置は、更に、
    複数の前記受信処理部各々から第1出力信号を受け付け、受け付けた全第1出力信号をダイバーシティ合成し、前記合成信号を前記複数の受信処理部各々に対し出力する第1合成部と、
    複数の前記受信処理部各々から第2出力信号を受け付け、受け付けた全第2出力信号をダイバーシティ合成する第2合成部と
    を含み、
    前記受信処理部各々は、
    前記受信信号を復調することにより前記第1出力信号を生成し、前記第1合成部に出力する第1受信信号処理部と、
    前記第1合成部から前記合成信号を受け付けて、前記合成信号を用いて前記受信信号を復調することにより第2出力信号を生成し、前記第2出力信号を前記第2合成部に出力する第2受信信号処理部と
    を含むことを特徴とする請求項18記載の受信装置。
  20. 前記第1合成部は、更に、
    前記合成信号を送信符号点により硬判定し、前記複数の受信処理部各々に対し出力する硬判定部を含む
    ことを特徴とする請求項19記載の受信装置。
  21. 前記受信装置は、更に、
    前記複数の受信処理部各々から出力信号を受け付け、受け付けた全出力信号をダイバーシティ合成し、合成信号を前記複数の受信処理部各々に対し出力する合成部を含み、
    前記受信処理部の各々は、前記合成部から前記合成信号を受け付け、当該合成信号を用いて前記受信信号を復調する
    ことを特徴とする請求項18記載の受信装置。
  22. 前記受信装置は、第1合成部及び第2合成部を含み、
    前記受信処理部の各々は、
    前記受信信号を直交変換する直交変換部と、
    前記直交変換部において直交変換された信号から干渉成分を除去し等化処理を行う干渉成分除去等化部とを含み、
    前記干渉成分除去等化部は、
    前記直交変換された信号の伝送路特性を推定する第1伝送路推定部と、
    前記直交変換された信号を、前記第1伝送路推定部により推定された前記伝送路特性で除算することにより等化する第1等化部と、
    前記第1合成部から合成信号を受け付けて、受け付けた合成信号と、前記第1伝送路推定部により推定された前記伝送路特性とから、前記直交変換された信号に含まれる干渉成分を生成する干渉成分生成部と、
    前記直交変換された信号から前記干渉成分を減算することにより除去する減算部と、
    前記減算部の出力信号の伝送路特性を推定する前記第2伝送路推定部と、
    前記減算部の出力信号を、前記第2伝送路推定部により推定された伝送路特性で除算することにより等化する第2等化部と
    を含み、
    前記第1合成部は、複数の前記第1伝送路推定部により推定された前記伝送路特性に基づき、複数の前記第1等化部各々により等化された信号をダイバーシティ合成することにより前記合成信号を生成し、当該合成信号を前記複数の受信処理部各々に対し出力し、
    前記第2合成部は、前記第2伝送路推定部各々において推定された伝送路特性に基づき、複数の前記第2等化部各々により等化された信号をダイバーシティ合成する
    ことを特徴とする請求項18記載の受信装置。
  23. 前記第1合成部は、更に、
    前記合成信号を送信符号点により硬判定し、前記複数の受信処理部各々に対し出力する硬判定部を含む
    ことを特徴とする請求項22記載の受信装置。
  24. 前記受信装置は、更に、
    ダイバーシティ受信によるダイバーシティ合成結果である合成キャリアに対する信頼性を算出し、合成キャリア信頼性値として出力する合成キャリア信頼性算出部と、
    前記合成キャリアに対して前記合成キャリア信頼性値で重み付ける合成キャリア重み付け部と、
    前記合成結果に対してキャリア毎に信頼性を算出して重み付けられた仮の合成キャリアを、前記受信処理部に対し処理すべき前記キャリアとして出力する合成キャリア出力部と
    を含むことを特徴とする請求項18記載の受信装置。
  25. 前記合成キャリア信頼性算出部は、各ブランチのキャリア電力の総和に基づいて前記合成キャリアデータ信頼性を算出する
    ことを特徴とする請求項24記載の受信装置。
  26. 前記合成キャリア信頼性算出部は、各ブランチのキャリア信号の受信信号点のブランチ間の距離と所定の閾値との差に基づいて前記合成キャリアデータ信頼性を算出する
    ことを特徴とする請求項24記載の受信装置。
  27. 前記合成キャリア信頼性算出部は、各ブランチのキャリア信号の受信信号点と合成信号の信号点との距離と所定の閾値との差に基づいて前記合成キャリアデータ信頼性を算出する
    ことを特徴とする請求項24記載の受信装置。
  28. 前記受信装置は合成部を含み、
    前記受信処理部の各々は、
    前記受信信号を直交変換する直交変換部と、
    前記直交変換部において直交変換された信号から干渉成分を除去し等化処理を行う干渉成分除去等化部とを含み、
    前記干渉成分除去等化部は、
    前記直交変換された信号から前記干渉成分生成部で生成された干渉成分を減算して除去する減算部と、
    前記減算部の出力信号の伝送路特性を推定する伝送路推定部と、
    前記減算部の出力信号を、前記伝送路特性推定部において推定した伝送路特性で除算することにより等化信号を生成する等化部と、
    前記伝送路特性と、前記合成部から受け付ける合成信号から、前記直交変換された信号に含まれる干渉成分を生成する干渉成分生成部と
    を含み、
    前記合成部は、前記複数の復調部における前記伝送路推定部において推定された伝送路特性をもとに、前記複数の受信処理部各々における前記等化信号をダイバーシティ合成することにより前記合成信号を生成し、前記合成信号を出力する
    ことを特徴とする請求項18記載の受信装置。
  29. OFDM信号のキャリア間干渉を除去して復号する受信装置であって、
    アナログの受信信号をデジタル信号に変換するA/D部と、
    OFDMシンボルごとに時間領域信号から周波数領域信号に変換する時間窓を決定するシンボル同期部と、
    OFDMシンボルに含まれるガードインターバルを除去するガード除去部と、
    時間領域信号を周波数領域に変換する周波数領域変換部と、
    キャリア信号からキャリア間干渉成分が除去するキャリア間干渉除去装置と、
    前記キャリア間干渉成分が除去された前記キャリア信号から伝送路の周波数応答特性を推定し、伝送路周波数特性を出力する伝送路推定部と、
    伝送路周波数特性をもとにキャリア信号を等化し、キャリアデータを出力する等化部と、
    キャリアデータから誤り訂正処理を施して受信ビットデータ得る復号部と
    を備え、
    前記キャリア間干渉除去装置は、
    伝送路の周波数応答特性を推定して伝送路周波数特性を出力する伝送路推定部と、
    前記伝送路周波数特性をもとに前記キャリア信号を等化して仮のキャリアデータを出力する等化部と、
    前記伝送路周波数特性の変動量を推定して伝送路変動特性を出力する伝送路変動推定部と、
    前記仮のキャリアデータの信頼性を算出する信頼性算出部と、
    前記仮のキャリアデータを前記信頼性で重み付けを行う重み付け部と、
    重み付けされた前記仮のキャリアデータと前記伝送路変動特性とからICI成分を推定するICI成分推定部と、
    前記キャリア信号から前記ICI成分を除去するICI除去演算部と
    を含むことを特徴とする受信装置。
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