JPWO2007029728A1 - ポリエステル樹脂水性分散体、それから得られる被膜、および該被膜を利用した包装袋 - Google Patents
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Abstract
Description
また接着性とは、少なくとも1つの基材の表面に樹脂被膜が形成されている2つの基材を、被膜形成面が接触するように重ねてヒートシールしたとき、樹脂被膜が2つの基板を強固に連結・結合し得る特性をいうものとする。
また例えば、多価アルコール成分として脂肪族グリコール、脂環式グリコール、エーテル結合含有グリコールなどが挙げられるが、多価アルコール成分中の長鎖エーテル結合含有グリコールの割合を増やすと、樹脂のTgは低下する。一方、長鎖エーテル結合含有グリコールの割合を減らすと、樹脂のTgは増大する。
組み合わせ(1);
ポリエステル樹脂(A)(芳香族ジカルボン酸;芳香族トリカルボン酸;脂肪族グリコール);
ポリエステル樹脂(B)(芳香族ジカルボン酸;脂肪族ジカルボン酸;芳香族トリカルボン酸;脂肪族グリコール)。
ポリエステル樹脂(A)(芳香族ジカルボン酸;芳香族トリカルボン酸;脂肪族グリコール);
ポリエステル樹脂(B)(芳香族ジカルボン酸;芳香族トリカルボン酸;脂肪族グリコール、長鎖エーテル結合含有グリコール)。
組み合わせ(3);
ポリエステル樹脂(A)(芳香族ジカルボン酸;芳香族トリカルボン酸;脂肪族ジカルボン酸;脂肪族グリコール);
ポリエステル樹脂(B)(芳香族ジカルボン酸;脂肪族ジカルボン酸;芳香族トリカルボン酸;脂肪族グリコール)。
ポリエステル樹脂(A)(芳香族ジカルボン酸;脂肪族グリコール);
ポリエステル樹脂(B)(芳香族ジカルボン酸;脂肪族ジカルボン酸;芳香族トリカルボン酸;脂肪族グリコール)。
ポリエステル樹脂(A)(芳香族ジカルボン酸;脂肪族グリコール);
ポリエステル樹脂(B)(芳香族ジカルボン酸;芳香族トリカルボン酸;脂肪族グリコール、長鎖エーテル結合含有グリコール)。
上記の組み合わせの中でも、組み合わせ(1)〜(3)が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体は、ポリエステル樹脂(A)水性分散体とポリエステル樹脂(B)水性分散体を使用し、これらを所定の割合で攪拌混合することにより製造できる。混合は、一般的な攪拌装置を使用して、容易におこなうことができる。
本発明の樹脂水性分散体は、被膜形成能に優れているので、ディッピング法、はけ塗り法、スプレーコート法、カーテンフローコート法などの公知の成膜方法により各種基材表面に均一にコーティングし、加熱処理に供することにより水性媒体を除去して、均一な樹脂被膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーターなどを使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、ポリエステル樹脂の種類や基材の種類などにより適宜選択されるものであるが、本発明のポリエステル樹脂水性分散体の基材としてよく用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに造膜する場合、経済性も考慮したうえで、加熱温度としては、80〜130℃が好ましい。尚、樹脂被膜の厚さとしては、その用途や目的によって適宜選択されるものであるが、0.1〜30μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。
(1)ポリエステル樹脂の構成
1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。また、1H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
数平均分子量は、GPC分析(島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型および紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=1/9(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
水性分散体を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物(固形分)の質量を秤量し(Ygとする)、次式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=Y/X×100
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−UNIPORT HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n−ブタノール]を用い、水性分散体を水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
水性分散体を0.1%に水で希釈し、日機装製、MICROTRAC UPA(モデル9340−UPA)を用いて体積平均粒径を測定した。
厚み計(ユニオンツール社製、MICROFINE)を用いて、基材の厚みを予め測定しておき、水性分散体を用いて基材上に樹脂被膜を形成した後、この樹脂被膜を有する基材の厚みを同様の方法で測定し、その差を樹脂被膜の厚さとした。
水性分散体を二軸延伸PETフィルム(ユニチカ株式会社製、厚さ38μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、100℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。樹脂被膜を目視にて観察し、クラックなどが見られず、かつ透明な樹脂被膜を形成しているか否かにより以下のように分類し、○を合格と判定した。
○:クラックなどが見られず、かつ透明
×:クラックなどが見られ、不透明
前記(9)と同様に被膜を形成した。次いで、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅18mm)を端部を残して樹脂被膜に貼りつけ、その上から消しゴムでこすって十分に接着させた後に、粘着テープの端部をフィルムに対して直角としてから瞬間的に引き剥がした。この引き剥がした粘着テープ面を表面赤外分光装置(パーキンエルマー社製SYSTEM2000、Ge60°50×20×2mmプリズムを使用)で分析することにより、粘着テープ面に樹脂被膜が付着しているか否かにより以下のように分類し、○を合格と判定した。
○:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められない。
×:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められる。
前記(9)と同様にして、PETフィルムのコロナ処理面に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した後、被膜形成面に2軸延伸PETフィルムの非コロナ処理面(非コート面)を重ねた状態で500Paの荷重をかけ、38℃の雰囲気下で24時間放置後、25℃まで冷却した後、2枚のPETフィルムを手で剥がし、容易にPETフィルムをはがすことができるか否かにより以下のように分類し、○を合格と判定した。
○:容易にPETフィルムを剥がすことができ、全く融着跡が認められない。
×:PETフィルムを剥がすのに少し抵抗があり、融着跡が認められる。
前記(9)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成させた後、2枚の樹脂被膜形成PETフィルムを、コート面が接触するように重ねて、ヒートプレス機(シール圧0.2MPaで10秒間)にて130℃でプレスした。このサンプルを25mm幅で切り出し、1日後、引張試験機(インテスコ株式会社製インテスコ精密万能材料試験機2020型)を用い、引張速度200mm/分、引張角度180度で被膜の剥離強度を測定することでヒートシール性を評価した。剥離強度0.08N/25mm以上が実用性のある強度である。
[ポリエステル樹脂P−1の製造例]
テレフタル酸2907g、イソフタル酸1246g、エチレングリコール1133g、ネオペンチルグリコール1614gからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として三酸化アンチモンを1.8gを添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、6時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、270℃になったところでトリメリット酸105gを添加し、250℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。これを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−1を得た。
テレフタル酸2077g、イソフタル酸2077g、エチレングリコール1210g、ネオペンチルグリコール1484gからなる混合物をオートクレーブ中で、240℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3gを添加した後、系の温度を265℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、260℃になったところでトリメリット酸32gを添加し、260℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系の圧力を徐々に減じて30分後に13Paとし、その後1時間脱泡をおこなった。次いで系を窒素ガスで加圧状態にしてストランド状に払出し、水冷後、カッティングしてペレット状(直径約3mm、長さ約3mm)のポリエステル樹脂P−2を得た。
テレフタル酸1911g、イソフタル酸1911g、アジピン酸292gエチレングリコール1210g、ネオペンチルグリコール1484gからなる混合物をオートクレーブ中で、240℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3gを添加した後、系の温度を265℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、260℃になったところで無水トリメリット酸38gを添加し、260℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系の圧力を徐々に減じて30分後に13Paとし、その後1時間脱泡をおこなった。次いで系を窒素ガスで加圧状態にしてストランド状に払出し、水冷後、カッティングしてペレット状(直径約3mm、長さ約3mm)のポリエステル樹脂P−3を得た。
テレフタル酸2492g、イソフタル酸623g、セバシン酸1263g、エチレングリコール1311g、ネオペンチルグリコール1315gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3gを添加した後、系の温度を270℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、265℃になったところで無水トリメリット酸38gを添加し、265℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。これを室温まで冷却し、シート状のポリエステル樹脂P−4を得た。
テレフタル酸2492g、イソフタル酸415g、セバシン酸1516g、エチレングリコール1210g、ネオペンチルグリコール1484gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3gを添加した後、系の温度を270℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、265℃になったところで無水トリメリット酸29gを添加し、265℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。これを室温まで冷却し、シート状のポリエステル樹脂P−5を得た。
テレフタル酸2077g、イソフタル酸2077g、ポリテトラフラン1000が1125g、エチレングリコール1358g、ネオペンチルグリコール1510gからなる混合物をオートクレーブ中で、240℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート12.8gを添加した後、系の温度を250℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、トリメリット酸32gを添加し、250℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。これを室温まで冷却し、シート状のポリエステル樹脂P−6を得た。
テレフタル酸2907g、イソフタル酸1246g、エチレングリコール1133g、ネオペンチルグリコール1614gからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として三酸化アンチモンを1.8gを添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、6時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、270℃になったところでイソフタル酸125g、トリメリット酸105gを添加し、250℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。これを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−7を得た。
テレフタル酸2492g、イソフタル酸623g、セバシン酸1263g、エチレングリコール1311g、ネオペンチルグリコール1315gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3gを添加した後、系の温度を270℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、265℃になったところでイソフタル酸125g、無水トリメリット酸38gを添加し、265℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。これを室温まで冷却し、シート状のポリエステル樹脂P−8を得た。
テレフタル酸2907g、イソフタル酸664g、セバシン酸707g、エチレングリコール1133g、ネオペンチルグリコール1614gからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として三酸化アンチモンを1.8gを添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、6時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、270℃になったところでトリメリット酸105gを添加し、250℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。これを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−9を得た。
テレフタル酸1744g、イソフタル酸1744g、アジピン酸584g、エチレングリコール1210g、ネオペンチルグリコール1484gからなる混合物をオートクレーブ中で、240℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3gを添加した後、系の温度を265℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、260℃になったところで無水トリメリット酸38gを添加し、260℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系の圧力を徐々に減じて30分後に13Paとし、その後1時間脱泡をおこなった。次いで系を窒素ガスで加圧状態にしてストランド状に払出し、水冷後、カッティングしてペレット状(直径約3mm、長さ約3mm)のポリエステル樹脂P−10を得た。
このようにして得られたポリエステル樹脂の特性を分析した結果を表1に示す。
(ポリエステル樹脂水性分散体E−1の製造)
ジャケット付きの密閉できる2リットル用ガラス容器を備えた撹拌機(特殊機化工業株式会社製、T.K.ロボミックス)を用いて、300gのポリエステル樹脂P−1、180gのイソプロパノール、10gのトリエチルアミン、および510gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7000rpmとして撹拌した。次いで、ジャケットに熱水を通して加熱し、系内温度を73〜75℃に保って、60分間撹拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、回転速度を5000rpmに下げて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルターで濾過をおこなって、有機溶剤の含有率が3質量%を超えるポリエステル樹脂水性分散体を得た。この分散体は乳白色で均一であった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.4質量%
体積平均粒子径:150nm
[溶解工程]2Lのポリエチレン製容器にポリエステル樹脂P−4を400gとMEKを600g投入し、約60℃の温水で容器を加熱しながら、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂をMEKに溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液を得た。
[転相乳化工程]次いで、ジャケット付きガラス容器(内容量2L)に前記ポリエステル樹脂溶液500gを仕込み、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)で攪拌した(回転速度600rpm)。次いで、攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミン13gを添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水487gを添加した。蒸留水を全量添加する間、系内温度は常に15℃以下であった。蒸留水添加終了後、30分間攪拌して固形分濃度が20質量%の水性分散体を得た。
[脱溶剤工程]次いで得られたポリエステル樹脂水性分散体800gを丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を約284g留去した。冷却後、フラスコ内の液状物を600メッシュ(あやたたみ織り)のステンレスフィルターでろ過し、濾液の固形分濃度を測定したところ31.0質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度を調整した。このポリエステル樹脂水性分散体E−4の特性値は次の通りであった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.1質量%
体積平均粒子径:130nm
ポリエステル樹脂(A)水性分散体としてE−1を、ポリエステル樹脂(B)水性分散体としてE−4を用い、E−4 70gにE−1 30gを添加した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−12を得た。
(ポリエステル樹脂水性分散体E−2の製造)
[溶解工程]2Lのポリエチレン製容器にポリエステル樹脂P−2を400gとMEKを600g投入し、約60℃の温水で容器を加熱しながら、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂をMEKに溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液を得た。
[転相乳化工程]次いで、ジャケット付きガラス容器(内容量2L)に前記ポリエステル樹脂溶液500gを仕込み、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)で攪拌した(回転速度600rpm)。次いで、攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミン3.2gを添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水496.8gを添加した。蒸留水を全量添加する間、系内温度は常に15℃以下であった。蒸留水添加終了後、30分間攪拌して固形分濃度が20質量%の水性分散体を得た。
[脱溶剤工程]次いで得られたポリエステル樹脂水性分散体800gを丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を約284g留去した。冷却後、フラスコ内の液状物を600メッシュ(あやたたみ織り)のステンレスフィルターでろ過し、濾液の固形分濃度を測定したところ31.0質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度を調整した。このポリエステル樹脂水性分散体E−2の特性値は次の通りであった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.1質量%
体積平均粒子径:80nm
ポリエステル樹脂(A)水性分散体としてE−2を、ポリエステル樹脂(B)水性分散体としてE−4を用い、E−4 70gにE−2 30gを添加した以外は、実施例3と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−14を得た。
(ポリエステル樹脂水性分散体E−3の製造)
ポリエステル樹脂をP−3、トリエチルアミンを5g、蒸留水495gとした以外はE−2と同様にしてポリエステル樹脂水性分散体E−3を得た。特性値は次の通りであった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.1質量%
体積平均粒子径:85nm
(ポリエステル樹脂水性分散体E−5の製造)
ポリエステル樹脂をP−5、トリエチルアミンを22g、蒸留水478gとした以外はE−4と同様にしてポリエステル樹脂水性分散体E−5を得た。特性値は次の通りであった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.1質量%
体積平均粒子径:140nm
(ポリエステル樹脂水性分散体E−6の製造)
ポリエステル樹脂をP−6、塩基性化合物として25wt%アンモニア水4.4g、蒸留水495.6gとした以外はE−4と同様にしてポリエステル樹脂水性分散体E−6を得た。特性値は次の通りであった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.07質量%
体積平均粒子径:148nm
実施例1で製造したポリエステル樹脂水性分散体E−1を単独で使用して、各種特性評価をおこなった。
実施例3で製造したポリエステル樹脂水性分散体E−2を単独で使用して、各種特性評価をおこなった。
実施例5で製造したポリエステル樹脂水性分散体E−3を単独で使用して、各種特性評価をおこなった。
実施例1で製造したポリエステル樹脂水性分散体E−4を単独で使用して、各種特性評価をおこなった。
実施例6で製造したポリエステル樹脂水性分散体E−5を単独で使用して、各種特性評価をおこなった
実施例7で製造したポリエステル樹脂水性分散体E−6を単独で使用して、各種特性評価をおこなった
(ポリエステル樹脂水性分散体E−7の製造)
ジャケット付きの密閉できる2リットル用ガラス容器を備えた撹拌機(特殊機化工業株式会社製、T.K.ロボミックス)を用いて、300gのポリエステル樹脂P−7、180gのイソプロパノール、17gのトリエチルアミン、および503gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7000rpmとして撹拌した。次いで、ジャケットに熱水を通して加熱し、系内温度を73〜75℃に保って、60分間撹拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、回転速度を5000rpmに下げて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した3質量%を超えるポリエステル樹脂水性分散体を得た。この分散体は乳白色で均一であった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.3質量%
体積平均粒子径:50nm
このポリエステル樹脂水性分散体E−7を単独で使用して、各種特性評価をおこなった。
(ポリエステル樹脂水性分散体E−8の製造)
[溶解工程]2Lのポリエチレン製容器にポリエステル樹脂P−8を400gとMEKを600g投入し、約60℃の温水で容器を加熱しながら、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂をMEKに溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液を得た。
[転相乳化工程]次いで、ジャケット付きガラス容器(内容量2L)に前記ポリエステル樹脂溶液500gを仕込み、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)で攪拌した(回転速度600rpm)。次いで、攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミン16gを添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水484gを添加した。蒸留水を全量添加する間、系内温度は常に15℃以下であった。蒸留水添加終了後、30分間攪拌して固形分濃度が20質量%の水性分散体を得た。
[脱溶剤工程]次いで得られたポリエステル樹脂水性分散体800gを丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を約284g留去した。冷却後、フラスコ内の液状物を600メッシュ(あやたたみ織り)のステンレスフィルターでろ過し、濾液の固形分濃度を測定したところ31.0質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度を調整した。このポリエステル樹脂水性分散体E−8の特性値は次の通りであった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.1質量%
体積平均粒子径:60nm
このポリエステル樹脂水性分散体E−8を単独で使用して、各種特性評価をおこなった。
(ポリエステル樹脂水性分散体E−9の製造)
ジャケット付きの密閉できる2リットル用ガラス容器を備えた撹拌機(特殊機化工業株式会社製、T.K.ロボミックス)を用いて、300gのポリエステル樹脂P−9、180gのイソプロパノール、10gのトリエチルアミン、および510gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7000rpmとして撹拌した。次いで、ジャケットに熱水を通して加熱し、系内温度を73〜75℃に保って、60分間撹拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、回転速度を5000rpmに下げて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した3質量%を超えるポリエステル樹脂水性分散体を得た。この分散体は乳白色で均一であった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.3質量%
体積平均粒子径:150nm
このポリエステル樹脂水性分散体E−9を単独で使用して、各種特性評価をおこなった。
(ポリエステル樹脂水性分散体E−10の製造)
[溶解工程]2Lのポリエチレン製容器にポリエステル樹脂P−10を400gとMEKを600g投入し、約60℃の温水で容器を加熱しながら、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂をMEKに溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液を得た。
[転相乳化工程]次いで、ジャケット付きガラス容器(内容量2L)に前記ポリエステル樹脂溶液500gを仕込み、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)で攪拌した(回転速度600rpm)。次いで、攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミン6gを添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水494gを添加した。蒸留水を全量添加する間、系内温度は常に15℃以下であった。蒸留水添加終了後、30分間攪拌して固形分濃度が20質量%の水性分散体を得た。
[脱溶剤工程]次いで得られたポリエステル樹脂水性分散体800gを丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を約284g留去した。冷却後、フラスコ内の液状物を600メッシュ(あやたたみ織り)のステンレスフィルターでろ過し、濾液の固形分濃度を測定したところ31.0質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度を調整した。このポリエステル樹脂水性分散体E−10の特性値は次の通りであった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.1質量%
体積平均粒子径:144nm
このポリエステル樹脂水性分散体E−10を単独で使用して、各種特性評価をおこなった。
ポリエステル樹脂(A)水性分散体としてE−1を、ポリエステル樹脂(B)水性分散体としてE−4を用い、E−1 90gにE−4 10gを添加した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−18を得た。
ポリエステル樹脂(A)水性分散体としてE−1を、ポリエステル樹脂(B)水性分散体としてE−4を用い、E−4 85gにE−1 15gを添加した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−19を得た。
ポリエステル樹脂(A)水性分散体としてE−1を、ポリエステル樹脂(B)水性分散体としてE−8を用い、E−8 60gにE−1 40gを添加した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−20を得た。
ポリエステル樹脂(A)水性分散体としてE−7を、ポリエステル樹脂(B)水性分散体としてE−4を用い、E−4 60gにE−7 40gを添加した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−21を得た。
<比較例15>
ポリエステル樹脂(A)水性分散体としてE−9を、ポリエステル樹脂(B)水性分散体としてE−4を用い、E−9 70gにE−4 30gを添加した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−18を得た。
ポリエステル樹脂(A)水性分散体としてE−1を、ポリエステル樹脂(B)水性分散体としてE−10を用い、E−10 70gにE−1 30gを添加した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−19を得た。
比較例1〜3、11は、ポリエステル樹脂(A)の含有率が多いため、低温造膜性や低温ヒートシール性に劣る被膜であった。
比較例4〜6、8、12は、ポリエステル樹脂(B)の含有率が多いため、低温ヒートシール性に優れるものの、耐ブロッキング性に劣る被膜であった。
比較例7は、ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量の範囲を下回っており、またポリエステル樹脂(B)を含有していないため、低温造膜性(密着性)や低温ヒートシール性に劣る被膜であった。
比較例9、10は本発明のポリエステル樹脂(A)および(B)のどちらにも該当しないガラス転移温度であり、単独で使用した場合は耐ブロッキング性に劣る被膜であった。
比較例13は、ポリエステル樹脂(B)の数平均分子量の範囲を下回っているため、低温ヒートシール性に劣る被膜であった。
比較例14は、ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量の範囲を下回っているため、低温造膜性(密着性)や低温ヒートシール性に劣る被膜であった。
比較例15は、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度の範囲を下回っているため、耐ブロッキング性に劣る被膜であった。
比較例16は、ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度の範囲を上回っているため、低温ヒートシール性に劣る被膜であった。
Claims (7)
- 数平均分子量が5000以上、ガラス転移温度が50℃以上であるポリエステル樹脂(A)と、数平均分子量が9000以上、ガラス転移温度が30℃以下であるポリエステル樹脂(B)とを、(A)/(B)=80/20〜20/80(質量比)の範囲で含有していることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体。
- ポリエステル樹脂(A)および/またはポリエステル樹脂(B)はその末端にカルボキシル基を有しており、かつ、カルボキシル基の一部または全部が塩基性化合物で中和されていることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂水性分散体。
- ポリエステル樹脂(A)の酸価が4〜40mgKOH/gであることを特徴とする請求項2記載のポリエステル樹脂水性分散体。
- ポリエステル樹脂(B)の酸価が2〜10mgKOH/gであることを特徴とする請求項2または3記載のポリエステル樹脂水性分散体。
- 有機溶剤の含有率が3質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリエステル樹脂水性分散体。
- 請求項1〜5いずれかに記載のポリエステル樹脂水性分散体から水性媒体を除去してなる被膜。
- 請求項6に記載の被膜を熱融着してなる包装袋。
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