本発明は、光源が出力する光ビームの強度を制御する光強度制御装置、およびその光強度制御装置を備えた光ピックアップ装置に関する。
光ディスク媒体が備える情報層からの情報の読み取りまたは情報層への情報の書き込みに用いられる光ピックアップ装置には、光源から出力したレーザビームの一部分をモニタし、光ディスク媒体の情報層に対して適切な光強度でレーザビームの照射が行われるように光強度制御装置が備えられている。
図8は、特許文献1に開示されている光ピックアップ装置400を示す図である。図8を参照して、情報媒体109はDVD(Digital Versatile Disc)またはCD(Compact Disc)であり、光ピックアップ装置400は、情報媒体109に対して情報の記録再生を行う。
光ピックアップ装置400は、波長650nmのDVD用光ビーム121を出力するDVD光源101と、波長780nmのCD用光ビーム122を出力するCD光源102と、ビームスプリッタ103と、1/2波長板104と、偏光ビームスプリッタ105と、1/4波長板106と、コリメートレンズ107と、対物レンズ108と、センサレンズ110と、光検出部111と、受光素子112とを備える。
ビームスプリッタ103は、DVD用光ビーム121のP波成分およびS波成分を全て透過し、CD用光ビーム122のP波成分およびS波成分を全て反射する。偏光ビームスプリッタ105は、光ビームのP波成分を透過しS波成分を反射する。光検出部111は、情報媒体109で反射した反射光からトラッキングエラー信号や情報信号等を検出する。受光素子112は、光源駆動回路(図示せず)に帰還する電気信号を光強度に応じて出力する素子であり、前光モニタと称される。
なお、CD用光ビーム122の光路はDVD用光ビーム121の光路から中心を外して描いているが、実際には同一の光路を通過する。また、1/2波長板104はDVD用光ビーム121およびCD用光ビーム122の有効光束外の光を受光する位置に配置されている。
次に、光ピックアップ装置400の動作を説明する。光源101が出力したDVD用光ビーム121はビームスプリッタ103を透過し、偏光ビームスプリッタ105では光ビーム121の有効光束のP波成分のみが選択され、1/4波長板106で円偏光に変換される。1/4波長板106を透過した光ビーム121は、コリメートレンズ107および対物レンズ108を経てDVDディスク109の情報層に光スポットを形成する。情報層で反射した反射光は、対物レンズ108およびコリメートレンズ107を透過し、1/4波長板106で再びP波成分に変換され、偏光ビームスプリッタ105で反射されてセンサレンズ110へ導かれる。センサレンズ110を透過した反射光は、光検出部111で受光される。
また、光源102が出力したCD用光ビーム122は、ビームスプリッタ103で全反射されることによりP波成分の光ビームとなる。光ビーム121と同様に、光ビーム122の有効光束は、偏光ビームスプリッタ105、1/4波長板106、コリメートレンズ107および対物レンズ108を経てCDディスク109の情報層に光スポットを形成する。情報層で反射した反射光は、対物レンズ108、コリメートレンズ107、1/4波長板106、偏光ビームスプリッタ105およびセンサレンズ110を経て、光検出部111で受光される。
一方、DVD用光ビーム121中の有効光束外の光は、1/2波長板104を透過することでS波成分に偏光され、偏光ビームスプリッタ105で全反射されて受光素子112で受光される。受光素子112は、受光した光量に応じた電気信号を出力し、光源101を駆動する光源駆動回路(図示せず)に帰還する。
また、CD用光ビーム122中の有効光束外の光も、1/2波長板104を透過することでS波成分に偏光され、偏光ビームスプリッタ105で全反射されて、受光素子112で受光される。受光素子112は、受光した光量に応じた電気信号を出力し、光源101を駆動する光源駆動回路に帰還する。
このように、互いに異なる波長の光ビームを出力する独立した光源101および102を備えた光ピックアップ装置400では、それぞれ独立して光ビームの偏光方向を変えられるため、DVD用光ビーム121およびCD用光ビーム122それぞれの強度を制御することができた。
しかしながら、近年、記録型DVDの普及、さらに光ディスク装置の高速記録が要望されるに伴い、光ピックアップ装置の温度変化に対する安定性が求められている。また、光ピックアップ装置の小型化に対する要望も強く、波長が互いに異なる複数種類の光ビームを出力する単一光源を採用することで、光ピックアップ装置を小型化することが提案されている。
しかしながら、DVD用光ビームを出力する活性層とCD用光ビームを出力する活性層とを同一のパッケージに収納した単一光源を採用すると、上述のように独立して偏光方向を変えることができない課題が発生する。また、光ビームの出力に起因する光源の温度変化が、光ビームの偏光比および偏向角に変動をもたらし、光ディスク媒体に照射される光ビームの強度が変動してしまう課題がある。この偏光方向を自由に変えることができない点と、光ビームの強度の変動を防止するため、光強度制御光(以下、モニタ光と称す)をP波成分とS波成分とに分離する偏光分離素子を用いて、P波成分で光源の光強度を制御する光ピックアップ装置が特許文献2に開示されている。
図9は、特許文献2に開示される従来の光ピックアップ装置を示す図である。半導体レーザ素子201は、2つの互いに異なる波長の光ビームを出力する2つの活性層201aおよび201bを備えている。第1活性層201aはDVD用の波長650nm(以下、DVD波長と称す)の光ビーム221を出力し、第2活性層201bはCD用の波長780nm(以下、CD波長と称す)の光ビーム222を出力する。
半導体レーザ素子201から出力された光ビーム221または222は、コリメートレンズ204を介して偏光ビームスプリッタ(以下、PBSと称す)206に平行光として到達する。PBS206は、入射した光ビームのP波成分の大部分(例えば90%)を通過させ、一部分(例えば10%)を偏光分離面206aで反射させ、S波成分の一部分(例えば10%)を通過させ、大部分(例えば90%)を反射させる。
PBS206を通過した光ビームは1/4波長板209を通過することで円偏光に変換され、対物レンズ210を介して光ディスク211に達してその記録面で反射される。光ディスク211の記録面で反射された光ビームは、対物レンズ210および1/4波長板209を介してPBS206まで戻る。1/4波長板209は反射された光ビームの円偏光を直線偏光に変換する。PBS206は復路の光ビームを偏光分離面206aで反射し、反射した光ビームは集光レンズ205およびマルチレンズ212を介して光検出器213の受光面に到達する。
一方、PBS206によって反射された光ビームの方向には、更にPBS207が設けられている。PBS207は、コリメートレンズ204から入射された光ビームをPBS206が反射する方向に配置されている。PBS207にはフロントモニタ用の反射した光ビームが入射する。PBS207は入射した光ビームのP波成分をほぼ100%通過させ、その光ビームのS波成分を偏光分離面207aでほぼ100%反射する。P波成分の反射およびS波成分の通過はほぼ0%である。光ビームがPBS207を通過した方向にはフロントモニタ208が備えられており、PBS207を通過したP偏光成分のみをフロントモニタ208で受光することによりレーザ出射パワー制御を行う。DVD用の光ビームとCD用の光ビームとをそれぞれ出力する2つの活性層を同一パッケージに収納した光源を用いる光ピックアップ装置500では、光源の光強度を制御するモニタ光にはP波成分を用いていた。
このように、半導体レーザ素子201が出力する光ビームのP波成分をモニタ光として採用することで、半導体レーザ素子201が出力する光強度の制御を安定に実現することができる。
特開2004−110897号公報 特開2002−109773号公報
しかしながら、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、CD−RおよびCD−RWの記録型光ディスク媒体全般に対応する要望と、高速記録に対する要望とを満足するため、光源にはさらなる高出力が要求され、次のような課題が新たに発生した。すなわち、上述の特許文献2で提案されている光ピックアップ装置では、P波成分のみに基づき光源が出力する光強度の制御を行っているが、P波成分だけでは特にCD−RやCD−RWに対する光強度制御が不充分であることが判明した。具体的には、CD−RやCD−RWのように基板が厚く且つ記録容量が小さい光ディスク媒体では、基材を透過する光ビームの複屈折の程度が大きくなったり、ディスクの面内で複屈折の程度が変化したりするという基材の特性に起因して、反射光のP波成分とS波成分との割合がディスク毎に異なってしまうという課題がある。また、高速記録を行うために光源の駆動電流を向上させると、光源の温度変化によりP波成分とS波成分との比が変動するという課題もある。P波成分とS波成分との割合が大きく変動する状態では、P波成分のみに基づき光源が出力する光強度の制御を行う方法では、光強度制御が不充分になってしまう。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、光ビームの温度特性による偏光角および偏光比変動が起こっても光ビームの光強度を安定に制御することができる光強度制御装置を提供することを目的とする。
本発明の光強度制御装置は、波長が互いに異なる複数種類の光ビームを出力する光源と、前記光ビームを受光して前記光ビームの強度に応じた電気信号に変換する受光部と、前記光源と前記受光部との間に設けられた偏光分離部とを備えた光強度制御装置であって、前記複数種類の光ビームは、第1光ビームと、前記第1光ビームよりも波長が長い第2光ビームとを含んでおり、前記偏光分離部は、前記第2光ビームのうちの第1偏光方向の光成分と、前記第2光ビームのうちの前記第1偏光方向と直交する第2偏光方向の光成分との両方を前記受光部へ導き、前記偏光分離部は、前記第1光ビームのうちの第1偏光方向の光成分を前記受光部へ導き、前記第1光ビームのうちの前記第1偏光方向と直交する第2偏光方向の光成分の前記受光部への進行を抑制することを特徴とする。
ある実施形態によれば、前記第2光ビームのうちの前記第1偏光方向の光成分を前記偏光分離部が前記受光部へ導く割合と、前記第2光ビームのうちの前記第2偏光方向の光成分を前記偏光分離部が前記受光部へ導く割合とは同じである。
ある実施形態によれば、前記第1光ビームのうちの前記第2偏光方向の光成分を前記偏光分離部が前記受光部へ導く割合は、前記第1光ビームのうちの前記第1偏光方向の光成分を前記偏光分離部が前記受光部へ導く割合よりも低い。
ある実施形態によれば、前記第2光ビームは、前記複数種類の光ビームのうちで最も波長が長い光ビームである。
ある実施形態によれば、前記第1偏光方向の光成分はP波成分であり、前記第2偏光方向の光成分はS波成分である。
ある実施形態によれば、前記第1光ビームよりも波長が短い第3光ビームを出力するさらなる光源をさらに備え、前記偏光分離部は、前記第3光ビームのうちの第1偏光方向の光成分を前記受光部へ導き、前記第3光ビームのうちの前記第1偏光方向と直交する第2偏光方向の光成分の前記受光部への進行を抑制する。
ある実施形態によれば、前記受光部が出力した前記電気信号に応じて、前記光源が出力する前記光ビームの強度を制御する制御部をさらに備える。
本発明の光ピックアップ装置は、前記光強度制御装置と、前記複数種類の光ビームを情報媒体へ集光させる集光部と、前記光源から出力された前記光ビームを、前記集光部へ向かう方向と、前記偏光分離部へ向かう方向とに分離するさらなる偏光分離部と、前記情報層で反射した反射光を受光して、前記反射光の強度に応じた電気信号に変換するさらなる受光部とを備えることを特徴とする。
ある実施形態によれば、光ピックアップ装置は、前記第1光ビームよりも波長が短い第3光ビームを出力するさらなる光源と、前記光源から出力された前記第1および第2光ビームと、前記さらなる光源から出力された前記第3光ビームとを前記さらなる偏光分離部へ導く光学素子とをさらに備え、前記偏光分離部は、前記第3光ビームのうちの第1偏光方向の光成分を前記受光部へ導き、前記第3光ビームのうちの前記第1偏光方向と直交する第2偏光方向の光成分の前記受光部への進行を抑制する。
本発明によれば、受光部は、複数種類の光ビームのうちの波長が長い光ビームのP波成分とS波成分の両方を受光する。また、受光部は、波長が短い光ビームのP波成分は受光するがS波成分は受光しない。CD用光ビーム(無偏光光学系)のP波成分とS波成分の両方を用いて光強度制御を行うとともに、DVD用光ビーム(偏光光学系)のP波成分のみを用いて光強度制御を行うことにより、光源の温度特性による偏光角および偏光比変動が起こっても、光ビームの光強度を安定に制御することができる。
本発明の実施形態による光ピックアップ装置を示す図である。
本発明の実施形態による偏光比と変動率との関係を示す図である。
本発明の実施形態による偏光比と変動率との関係を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による偏光比と変動率との関係を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による光ピックアップ装置を示す図である。
本発明の実施形態による光ピックアップ装置を示す図である。
従来の光ピックアップ装置を示す図である。
従来の光ピックアップ装置を示す図である。
符号の説明
1 光源
1a 第1活性層
1b 第2活性層
2 偏光ビームスプリッタ
4 1/4波長板
5 対物レンズ
6 情報媒体
7 偏光ビームスプリッタ
8 フロントモニタ
10 光検出器
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態の説明では、光源が出力する光および光路中を進行する光束を光ビームと呼ぶ。また、図面では、従来技術の説明と同様に、複数の光路を独立して描いているが、これは説明を理解し易くするためであり、実際の各光路は各種レンズ、波長板、ビームスプリッタ等の光学部品の実質的に真ん中に存在する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態の光ピックアップ装置100を示す図である。光ピックアップ装置100は、光源1が出力するレーザビームによって光ディスク媒体6に情報を書き込んだり、光ディスク媒体6に記録された情報を読み取ったりする。光源1は例えば半導体レーザ素子である。光ディスク媒体6は、例えばDVDまたはCDである。DVDの種類としては、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、DVD−R、DVD+R等がある。CDの種類としては、CD−ROM、CD−RW、CD−R等がある。光ピックアップ装置100は、DVDとCDとの両方に対して情報の記録再生ができる。
光ピックアップ装置100は、光強度制御装置100aと、コリメートレンズ3と、1/4波長板4と、対物レンズ5とを備える。光強度制御装置100aはハイブリッドと称されることもある。
光強度制御装置100aは、光ビームを出力する光源1と、光ビームを分離するPBS(偏光ビームスプリッタ)2および7と、光ビームを受光する受光素子8および光検出器10と、マルチレンズ9と、光ビームの強度を制御する制御部11とを備える。
光源は、波長が互いに異なる複数種類の光ビームを出力する。光源1は2つの活性層1aおよび1bを備えており、この活性層1aおよび1bが2つの互いに異なる波長の光ビームを出力する。第1活性層1aは例えばDVD用の波長650nm(以下、DVD波長と称す)の光ビーム21を出力し、第2活性層1bは例えばCD用の波長780nm(以下、CD波長と称す)の光ビーム22を出力する。光源1から出力された光ビーム21および22はPBS2に到達する。複数種類の光ビームは、光ディスク媒体の種類に応じて別々に出射されるが、動作によっては同時に出射されてもよい。
PBS2は、光ビーム21および22を、コリメートレンズ3へ向かう方向とPBS7へ向かう方向とに分離する。PBS2は、入射したDVD用光ビーム21のP波成分の大部分(例えば90%)とS波成分の一部分(例えば10%)を透過し、P波成分の一部分(例えば10%)とS波成分の大部分(例えば90%)とを偏光分離面2aで反射する。また、PBS2は、入射したCD用光ビーム22のP波成分およびS波成分の大部分(例えば各90%)を透過し、P波成分およびS波成分の一部分(例えば各10%)を偏光分離面2aで反射させる。P波成分およびS波成分は、それぞれP偏光成分およびS偏光成分とも称される。S波成分はP偏光方向と直交する偏光方向を有する光である。PBS2を透過した光ビームはコリメートレンズ3へ向かい、偏光分離面2aで反射された光ビームはPBS7へ向かう。偏光分離面2aで反射された光ビームの偏光方向は、PBS2を透過した光ビームの偏光方向とほぼ垂直な方向である。
PBS2を通過した光ビーム21または22は、コリメートレンズ3で平行光にされ、1/4波長板4に到達する。1/4波長板4は、通過したDVD波長の光ビーム21の直線偏光を円偏光に変換する。1/4波長板4を通過した光ビーム21または22は、対物レンズ5で集光されて光ディスク媒体6の基材を透過し、光ディスク媒体6の情報層に光スポットを形成し、情報層で反射される。このように、光源から情報層に至る光路を往路と称し、情報層で反射し後述する光検出器まで至る光路を復路と称す。光ディスク媒体6の情報層で反射された光ビームは、基材、対物レンズ5、1/4波長板4、コリメートレンズ3を通ってPBS2まで戻る。1/4波長板4は反射されたDVD波長の光ビーム21の円偏光を直線偏光に変換する。PBS2は復路の光ビームを偏光分離面2aで反射し、反射した光ビームはマルチレンズ9を通って光検出器10の受光面に到達する。光検出器10は、受光した反射光をその光強度に応じた電気信号に変換する。
一方、光源1が出力した光ビームがPBS2の偏光分離面2aで反射された方向には、PBS7が設けられている。PBS7は、光路上において光源1と受光素子8との間に設けられている。PBS7では、PBS2で反射した光ビームの入射方向に向かって偏光分離面7aが配置されており、PBS2で反射した光ビームが偏光分離面7aに入射する。PBS7にはPBS2を介して光源1から直接光ビームが入射し、その入射した光ビームは、光源1が出力する光ビームの強度を制御するために用いられるので、PBS7に入射する光ビームはフロントモニタ光またはフロントモニタ用光ビーム等と称される。
PBS7は、CD波長の光ビーム22のうちのP波成分22pおよびS波成分22sとの両方を受光素子8へ導く。また、PBS7は、DVD波長の光ビーム21のうちのP波成分21pを受光素子8へ導くが、S波成分21sは偏光分離面7aで反射して受光素子8への進行を抑制する。PBS7がP波成分22pを受光素子8へ導く割合と、S波成分22sを受光素子8へ導く割合とは同じである。PBS7がS波成分21sを受光素子8へ導く割合は、P波成分21pを受光素子8へ導く割合よりも低い。例えば、PBS7は、P波成分21pをほぼ100%通過させて受光素子8へ導き、S波成分21sのほぼ100%を偏光分離面7aで反射させて受光素子8へは導かない。また、PBS7は、P波成分22pとS波成分22sとの両方をほぼ100%通過させて受光素子8へ導く。すなわち、DVD波長のP波成分21pの反射およびS波成分21sの通過はほぼ0%で、CD波長のP波成分22pおよびS波成分22sの反射はほぼ0%である。
PBS7を光ビームが通過する方向には、入射する光ビームに対して受光面が垂直となるように受光素子8が配置されている(以下、受光素子8をフロントモニタ8と称す)。フロントモニタ8は、受光した光ビームをその光強度に応じた電気信号(フロントモニタ信号)に変換する。制御部11は、フロントモニタ8が出力したフロントモニタ信号に応じて、光源1が出力する光ビームの強度を制御する。制御部11は、フロントモニタ信号が所定の基準値より高ければ光ビームの強度を弱くし、低ければ光ビームの強度を強くする。PBS7およびフロントモニタ8は光強度制御装置100aの光学系を成している。
光強度制御装置100aの各構成要素は、DVD波長の光ビームを用いるときは偏光光学系を成しており、CD波長の光ビームを用いるときは無偏光光学系を成している。DVD波長のP波成分21pとCD波長のP波成分22pおよびS波成分22sとがフロントモニタ8に入射し、フロントモニタ信号が生成される。これにより、光源1の温度特性によりDVD波長の光ビームおよびCD波長の光ビームの偏光角の変動および/または偏光比変動が起こっても、対物レンズ5から出力される光ビームの光強度を安定に制御することができる。その原理を、図2A〜図4Bを参照して詳述する。
図2Aは、偏光光学系においてP波成分とS波成分との偏光比が任意の初期値から200に変動したときの、偏光比とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図2Bは、無偏光光学系においてP波成分とS波成分との偏光比が任意の初期値から200に変動したときの、偏光比とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図3Aは、偏光光学系において偏光角が任意の初期値から+5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図3Bは、無偏光光学系において偏光角が任意の初期値から+5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図4Aは、偏光光学系において偏光角が任意の初期値から−5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図4Bは、無偏光光学系において偏光角が任意の初期値から−5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図2A〜図4Bにおいて、●印(実線部)は、P波成分からフロントモニタ光量(FM)を検出したときの上記各関係を示している。また、□印(破線部)は、P波成分およびS波成分との合算からフロントモニタ光量を検出したときの上記各関係を示している。
フロントモニタ光量については対物レンズの出射光量で規格化しており、その値での変動率を算出している。ここで、偏光比の初期値Xでのフロントモニタ8に入射する光量をAxとし、偏光比200でのフロントモニタに入射する光量をAyとしたとき、変動率は、(変動率)=(Ay−Ax)/Axで定義される。また、偏光角の初期値Xでのフロントモニタに入射する光量をAxとし、偏光角X+5deg(または偏光角X−5deg)でのフロントモニタに入射する光量をAzとしたとき、変動率は、(変動率)=(Az−Ax)/Axで定義される。
図2Aおよび図2Bを参照して、偏光光学系ではP波成分からフロントモニタ光量を検出すると変動率の抑制効果は極めて良好となり、無偏光光学系ではP波成分とS波成分との合算からフロントモニタ光量を検出すると変動率の抑制効果は極めて良好となる。すなわち、偏光光学系(DVD)ではP波成分のみからフロントモニタ光量を検出し、無偏光光学系(CD)の場合にはP波成分とS波成分との合算からフロントモニタ光量を検出することで、P波成分とS波成分との偏光比の変化に対するフロントモニタ光量の変動率の安定化が達成でき、光源1の光強度制御の精度を飛躍的に向上させることができる。
また、図3Aおよび図4Aを参照して、偏光角と変動率との相関においても、偏光光学系では、P波成分およびS波成分の合計から検出した場合と比べて、P波成分からフロントモニタ光量を検出すると極めて高い変動率抑制効果が得られることが分かる。一方、図3Bおよび図4Bを参照して、無偏光光学系では、P波成分から検出した場合に比べて、P波成分およびS波成分の合計からフロントモニタ光量を検出すると極めて高い変動率抑制効果が得られることが分かる。すなわち、偏光光学系(DVD)ではP波成分のみからフロントモニタ光量を検出し、無偏光光学系(CD)の場合にはP波成分とS波成分との合算からフロントモニタ光量を検出することで、偏光角の変動に対するフロントモニタ光量の変動率の安定化が達成でき、光源1の光強度制御の精度を飛躍的に向上させることができる。
次に、図5A〜図5Cを参照して、偏光光学系におけるPBS7のP波成分の透過率TpおよびS波成分の透過率Tsの好ましい値を説明する。図5Aは、偏光光学系において偏光比が任意の初期値から200に変動したときの、偏光比とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図5Bは、偏光光学系において偏光角が任意の初期値から+5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図5Cは、偏光光学系において偏光角が任意の初期値から−5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。ここで、光源1のレーザダイオード特性として、偏光比規格を30以上、偏光角規格を±10deg以内とする。このとき、図5A〜図5Cから、PBS7のP波成分の透過率Tpが90%でS波成分の透過率Tsが10%であれば、変動率を±3%以内に小さくできることが分かる。すなわち、P波成分の透過率Tpは90%以上(90〜100%)であることが好ましく、S波成分の透過率Tsは10%以下(0〜10%)であることが好ましい。
(実施形態2)
図6は、本実施形態の光ピックアップ装置200を示す図である。
光ピックアップ装置200は、光ピックアップ装置100の光強度制御装置100aの代わりに、光強度制御装置200aを備える。光強度制御装置200aは、光源1、PBS2および7の代わりに、光源51、PBS52および57を備える。
光源51は、第1活性層1aおよび第2活性層1bに加えて第3活性層1cを備える。第1活性層1aは例えばDVD波長の650nmの光ビーム21を出力し、第2活性層1bは例えばCD波長の780nmの光ビーム22を出力し、第3活性層1cは例えば405nmの光ビーム23を出力する。光ディスク媒体6がBD(Blu−ray Disc)等の青紫レーザ光を用いて情報の記録再生を行う光ディスク媒体であるときは、光ビーム23が用いられる。以下、405nmをBD波長と称す。CD波長、DVD波長、BD波長の中で、CD波長が最も長く、BD波長が最も短い。
PBS52および57は、PBS2および7の機能に加えて、BD波長の光ビーム23を分離する機能を有する。PBS52はその偏光分離面52aで、DVD波長およびBD波長の光ビームのP波成分の大部分(例えば各90%)とS波成分の一部分(例えば各10%)とを透過し、P波成分の一部分(例えば各10%)とS波成分の大部分(例えば各90%)とを偏光分離面52aで反射する。また、PBS52は、CD波長の光ビームのP波成分およびS波成分の大部分(例えば各90%)を通過し、P波成分およびS波成分の一部分(例えば各10%)を反射する。PBS52で反射された光ビームの偏光方向は、PBS52を透過した光ビームの偏光方向とほぼ垂直な方向である。
PBS52を通過した光ビームはコリメートレンズ3で平行光にされ、1/4波長板4に到達する。1/4波長板4は、通過したDVD波長およびBD波長の光ビームの直線偏光を円偏光に変換する。1/4波長板4を通過した光ビーム21、22または23は、対物レンズ5で集光されて光ディスク媒体6の基材を透過し、その情報層に光スポットを形成し、情報層で反射される。光ディスク媒体56の情報層で反射された光ビームは、基材、対物レンズ5、1/4波長板4、コリメートレンズ3を通ってPBS52まで戻る。1/4波長板4は反射されたDVD波長およびBD波長の光ビームの円偏光を直線偏光に変換する。PBS52は、復路の光ビームを偏光分離面52aで反射し、反射した光ビームはマルチレンズ9を通過して光検出器10の受光面に到達する。
一方、光源51が出力した光ビームがPBS52で反射された方向には、PBS57が設けられている。PBS57は、光源51から出力した光ビームをPBS52で反射した光ビームの入射方向に向かって偏光分離面57aが配置さており、PBS52で反射した光ビームが偏光分離面57aに入射する。
PBS57は、入射したDVD波長およびBD波長の光ビームのP波成分21pおよび23pをほぼ100%通過させて、フロントモニタ8へ導き、S波成分21sおよび23sのほぼ100%を偏光分離面57aで反射させて、フロントモニタ8へは導かない。また、PBS57は、CD波長の光ビームのP波成分22pおよびS波成分22sの両方をほぼ100%通過させてフロントモニタ8へ導く。すなわち、DVD波長およびBD波長のP波成分の反射およびS波成分の通過はほぼ0%で、CD波長のP波成分およびS波成分の反射はほぼ0%である。
PBS57を光ビームが通過する方向には、入射する光ビームに対して受光面が垂直となるようにフロントモニタ8が配置されている。フロントモニタ8は、受光した光ビームをその光強度に応じたフロントモニタ信号に変換する。PBS57およびフロントモニタ8は光強度制御装置200の光学系を成している。
光強度制御装置200aの各構成要素は、DVD波長およびBD波長の光ビームを用いるときは偏光光学系を成しており、CD波長の光ビームを用いるときは無偏光光学系を成している。DVD波長およびBD波長のP偏光成分と、CD波長のP偏光成分およびS偏光成分とがフロントモニタ8に入射し、フロントモニタ信号が生成される。これにより、DVD波長、BD波長およびCD波長の光ビームの偏光角の変動および/または偏光比変動が、光源51の温度特性により起こっても、光強度制御装置100aと同様に対物レンズ5から出力される光ビームの光強度を安定に制御することができる。
なお、BD波長の青紫レーザ光を用いて情報の記録再生を行うHD−DVDはDVDと同じ基板厚さを有しているので、HD−DVDの基板に起因する複屈折はDVDと同程度である。このため、HD−DVDシステムに本発明を適用した場合でも、上述の本発明の効果と同様の効果が得られる。ブルーレイディスクは、より薄い0.1mmの基板厚さを有しているので、複屈折の影響がより少なく、さらに効果は顕著である。
このように、光ピックアップ装置200aでは、CD、DVDおよびBDの3種類のディスクに対応した3波長の光ビームを出力する光源51の光強度の制御の精度を格段に向上させることができる。
(実施形態3)
図7は、本実施形態の光ピックアップ装置300を示す図である。
光ピックアップ装置300は、光ピックアップ装置200の光強度制御装置200aの代わりに、光強度制御装置300aを備える。光強度制御装置300aは、光源51の代わりに、光源1および61とPBS62とを備える。
光源1は第1活性層1aおよび第2活性層1bを備え、光源61はBD波長のレーザ光を出力する第3活性層61aを備えている。PBS62は、光源1が出力したDVD波長のレーザ光21およびCD波長のレーザ光22と、光源61が出力したBD波長のレーザ光23とをPBS52へ導く光学素子である。
PBS62の偏光分離面62aは、DVD波長の光ビーム21およびCD波長の光ビーム22を完全に透過し、BD波長の光ビーム23を完全に反射する。その後の光強度制御装置300aの動作は、光強度制御装置200aと同様である。これにより、光源1が出力するDVD波長の光ビーム21およびCD波長の光ビーム22と、光源61が出力するBD波長の光ビーム23との全ての光強度を高精度に制御することができる。なお、光強度制御装置300aは光源を2つ備えるため装置サイズが若干大型化するが、第1〜第3活性層を同一パッケージに収納する半導体レーザ素子は開発されたばかりであり、現時点では光源を2つ備える光強度制御装置300aの方が、光強度制御装置200aよりも信頼性の点で優れているといえる。
本発明は、光ビーム強度の制御を行う技術分野で特に有用であり、例えば、広い波長域に渡って光ビームの高精度な光強度制御を行う光ピックアップ装置を実現することができる。
本発明は、光源が出力する光ビームの強度を制御する光強度制御装置、およびその光強度制御装置を備えた光ピックアップ装置に関する。
光ディスク媒体が備える情報層からの情報の読み取りまたは情報層への情報の書き込みに用いられる光ピックアップ装置には、光源から出力したレーザビームの一部分をモニタし、光ディスク媒体の情報層に対して適切な光強度でレーザビームの照射が行われるように光強度制御装置が備えられている。
図8は、特許文献1に開示されている光ピックアップ装置400を示す図である。図8を参照して、情報媒体109はDVD(Digital Versatile Disc)またはCD(Compact Disc)であり、光ピックアップ装置400は、情報媒体109に対して情報の記録再生を行う。
光ピックアップ装置400は、波長650nmのDVD用光ビーム121を出力するDVD光源101と、波長780nmのCD用光ビーム122を出力するCD光源102と、ビームスプリッタ103と、1/2波長板104と、偏光ビームスプリッタ105と、1/4波長板106と、コリメートレンズ107と、対物レンズ108と、センサレンズ110と、光検出部111と、受光素子112とを備える。
ビームスプリッタ103は、DVD用光ビーム121のP波成分およびS波成分を全て透過し、CD用光ビーム122のP波成分およびS波成分を全て反射する。偏光ビームスプリッタ105は、光ビームのP波成分を透過しS波成分を反射する。光検出部111は、情報媒体109で反射した反射光からトラッキングエラー信号や情報信号等を検出する。受光素子112は、光源駆動回路(図示せず)に帰還する電気信号を光強度に応じて出力する素子であり、前光モニタと称される。
なお、CD用光ビーム122の光路はDVD用光ビーム121の光路から中心を外して描いているが、実際には同一の光路を通過する。また、1/2波長板104はDVD用光ビーム121およびCD用光ビーム122の有効光束外の光を受光する位置に配置されている。
次に、光ピックアップ装置400の動作を説明する。光源101が出力したDVD用光ビーム121はビームスプリッタ103を透過し、偏光ビームスプリッタ105では光ビーム121の有効光束のP波成分のみが選択され、1/4波長板106で円偏光に変換される。1/4波長板106を透過した光ビーム121は、コリメートレンズ107および対物レンズ108を経てDVDディスク109の情報層に光スポットを形成する。情報層で反射した反射光は、対物レンズ108およびコリメートレンズ107を透過し、1/4波長板106で再びP波成分に変換され、偏光ビームスプリッタ105で反射されてセンサレンズ110へ導かれる。センサレンズ110を透過した反射光は、光検出部111で受光される。
また、光源102が出力したCD用光ビーム122は、ビームスプリッタ103で全反射されることによりP波成分の光ビームとなる。光ビーム121と同様に、光ビーム122の有効光束は、偏光ビームスプリッタ105、1/4波長板106、コリメートレンズ107および対物レンズ108を経てCDディスク109の情報層に光スポットを形成する。情報層で反射した反射光は、対物レンズ108、コリメートレンズ107、1/4波長板106、偏光ビームスプリッタ105およびセンサレンズ110を経て、光検出部111で受光される。
一方、DVD用光ビーム121中の有効光束外の光は、1/2波長板104を透過することでS波成分に偏光され、偏光ビームスプリッタ105で全反射されて受光素子112で受光される。受光素子112は、受光した光量に応じた電気信号を出力し、光源101を駆動する光源駆動回路(図示せず)に帰還する。
また、CD用光ビーム122中の有効光束外の光も、1/2波長板104を透過することでS波成分に偏光され、偏光ビームスプリッタ105で全反射されて、受光素子112で受光される。受光素子112は、受光した光量に応じた電気信号を出力し、光源101を駆動する光源駆動回路に帰還する。
このように、互いに異なる波長の光ビームを出力する独立した光源101および102を備えた光ピックアップ装置400では、それぞれ独立して光ビームの偏光方向を変えられるため、DVD用光ビーム121およびCD用光ビーム122それぞれの強度を制御することができた。
しかしながら、近年、記録型DVDの普及、さらに光ディスク装置の高速記録が要望されるに伴い、光ピックアップ装置の温度変化に対する安定性が求められている。また、光ピックアップ装置の小型化に対する要望も強く、波長が互いに異なる複数種類の光ビームを出力する単一光源を採用することで、光ピックアップ装置を小型化することが提案されている。
しかしながら、DVD用光ビームを出力する活性層とCD用光ビームを出力する活性層とを同一のパッケージに収納した単一光源を採用すると、上述のように独立して偏光方向を変えることができない課題が発生する。また、光ビームの出力に起因する光源の温度変化が、光ビームの偏光比および偏向角に変動をもたらし、光ディスク媒体に照射される光ビームの強度が変動してしまう課題がある。この偏光方向を自由に変えることができない点と、光ビームの強度の変動を防止するため、光強度制御光(以下、モニタ光と称す)をP波成分とS波成分とに分離する偏光分離素子を用いて、P波成分で光源の光強度を制御する光ピックアップ装置が特許文献2に開示されている。
図9は、特許文献2に開示される従来の光ピックアップ装置を示す図である。半導体レーザ素子201は、2つの互いに異なる波長の光ビームを出力する2つの活性層201aおよび201bを備えている。第1活性層201aはDVD用の波長650nm(以下、DVD波長と称す)の光ビーム221を出力し、第2活性層201bはCD用の波長780nm(以下、CD波長と称す)の光ビーム222を出力する。
半導体レーザ素子201から出力された光ビーム221または222は、コリメートレンズ204を介して偏光ビームスプリッタ(以下、PBSと称す)206に平行光として到達する。PBS206は、入射した光ビームのP波成分の大部分(例えば90%)を通過させ、一部分(例えば10%)を偏光分離面206aで反射させ、S波成分の一部分(例えば10%)を通過させ、大部分(例えば90%)を反射させる。
PBS206を通過した光ビームは1/4波長板209を通過することで円偏光に変換され、対物レンズ210を介して光ディスク211に達してその記録面で反射される。光ディスク211の記録面で反射された光ビームは、対物レンズ210および1/4波長板209を介してPBS206まで戻る。1/4波長板209は反射された光ビームの円偏光を直線偏光に変換する。PBS206は復路の光ビームを偏光分離面206aで反射し、反射した光ビームは集光レンズ205およびマルチレンズ212を介して光検出器213の受光面に到達する。
一方、PBS206によって反射された光ビームの方向には、更にPBS207が設けられている。PBS207は、コリメートレンズ204から入射された光ビームをPBS206が反射する方向に配置されている。PBS207にはフロントモニタ用の反射した光ビームが入射する。PBS207は入射した光ビームのP波成分をほぼ100%通過させ、その光ビームのS波成分を偏光分離面207aでほぼ100%反射する。P波成分の反射およびS波成分の通過はほぼ0%である。光ビームがPBS207を通過した方向にはフロントモニタ208が備えられており、PBS207を通過したP偏光成分のみをフロントモニタ208で受光することによりレーザ出射パワー制御を行う。DVD用の光ビームとCD用の光ビームとをそれぞれ出力する2つの活性層を同一パッケージに収納した光源を用いる光ピックアップ装置500では、光源の光強度を制御するモニタ光にはP波成分を用いていた。
このように、半導体レーザ素子201が出力する光ビームのP波成分をモニタ光として採用することで、半導体レーザ素子201が出力する光強度の制御を安定に実現することができる。
特開2004−110897号公報
特開2002−109773号公報
しかしながら、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、CD−RおよびCD−RWの記録型光ディスク媒体全般に対応する要望と、高速記録に対する要望とを満足するため、光源にはさらなる高出力が要求され、次のような課題が新たに発生した。すなわち、上述の特許文献2で提案されている光ピックアップ装置では、P波成分のみに基づき光源が出力する光強度の制御を行っているが、P波成分だけでは特にCD−RやCD−RWに対する光強度制御が不充分であることが判明した。具体的には、CD−RやCD−RWのように基板が厚く且つ記録容量が小さい光ディスク媒体では、基材を透過する光ビームの複屈折の程度が大きくなったり、ディスクの面内で複屈折の程度が変化したりするという基材の特性に起因して、反射光のP波成分とS波成分との割合がディスク毎に異なってしまうという課題がある。また、高速記録を行うために光源の駆動電流を向上させると、光源の温度変化によりP波成分とS波成分との比が変動するという課題もある。P波成分とS波成分との割合が大きく変動する状態では、P波成分のみに基づき光源が出力する光強度の制御を行う方法では、光強度制御が不充分になってしまう。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、光ビームの温度特性による偏光角および偏光比変動が起こっても光ビームの光強度を安定に制御することができる光強度制御装置を提供することを目的とする。
本発明の光強度制御装置は、波長が互いに異なる複数種類の光ビームを出力する光源と、前記光ビームを受光して前記光ビームの強度に応じた電気信号に変換する受光部と、前記光源と前記受光部との間に設けられた偏光分離部とを備えた光強度制御装置であって、前記複数種類の光ビームは、第1光ビームと、前記第1光ビームよりも波長が長い第2光ビームとを含んでおり、前記偏光分離部は、前記第2光ビームのうちの第1偏光方向の光成分と、前記第2光ビームのうちの前記第1偏光方向と直交する第2偏光方向の光成分との両方を前記受光部へ導き、前記偏光分離部は、前記第1光ビームのうちの第1偏光方向の光成分を前記受光部へ導き、前記第1光ビームのうちの前記第1偏光方向と直交する第2偏光方向の光成分の前記受光部への進行を抑制することを特徴とする。
ある実施形態によれば、前記第2光ビームのうちの前記第1偏光方向の光成分を前記偏光分離部が前記受光部へ導く割合と、前記第2光ビームのうちの前記第2偏光方向の光成分を前記偏光分離部が前記受光部へ導く割合とは同じである。
ある実施形態によれば、前記第1光ビームのうちの前記第2偏光方向の光成分を前記偏光分離部が前記受光部へ導く割合は、前記第1光ビームのうちの前記第1偏光方向の光成分を前記偏光分離部が前記受光部へ導く割合よりも低い。
ある実施形態によれば、前記第2光ビームは、前記複数種類の光ビームのうちで最も波長が長い光ビームである。
ある実施形態によれば、前記第1偏光方向の光成分はP波成分であり、前記第2偏光方向の光成分はS波成分である。
ある実施形態によれば、前記第1光ビームよりも波長が短い第3光ビームを出力するさらなる光源をさらに備え、前記偏光分離部は、前記第3光ビームのうちの第1偏光方向の光成分を前記受光部へ導き、前記第3光ビームのうちの前記第1偏光方向と直交する第2偏光方向の光成分の前記受光部への進行を抑制する。
ある実施形態によれば、前記受光部が出力した前記電気信号に応じて、前記光源が出力する前記光ビームの強度を制御する制御部をさらに備える。
本発明の光ピックアップ装置は、前記光強度制御装置と、前記複数種類の光ビームを情報媒体へ集光させる集光部と、前記光源から出力された前記光ビームを、前記集光部へ向かう方向と、前記偏光分離部へ向かう方向とに分離するさらなる偏光分離部と、前記情報層で反射した反射光を受光して、前記反射光の強度に応じた電気信号に変換するさらなる受光部とを備えることを特徴とする。
ある実施形態によれば、光ピックアップ装置は、前記第1光ビームよりも波長が短い第3光ビームを出力するさらなる光源と、前記光源から出力された前記第1および第2光ビームと、前記さらなる光源から出力された前記第3光ビームとを前記さらなる偏光分離部へ導く光学素子とをさらに備え、前記偏光分離部は、前記第3光ビームのうちの第1偏光方向の光成分を前記受光部へ導き、前記第3光ビームのうちの前記第1偏光方向と直交する第2偏光方向の光成分の前記受光部への進行を抑制する。
本発明によれば、受光部は、複数種類の光ビームのうちの波長が長い光ビームのP波成分とS波成分の両方を受光する。また、受光部は、波長が短い光ビームのP波成分は受光するがS波成分は受光しない。CD用光ビーム(無偏光光学系)のP波成分とS波成分の両方を用いて光強度制御を行うとともに、DVD用光ビーム(偏光光学系)のP波成分のみを用いて光強度制御を行うことにより、光源の温度特性による偏光角および偏光比変動が起こっても、光ビームの光強度を安定に制御することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態の説明では、光源が出力する光および光路中を進行する光束を光ビームと呼ぶ。また、図面では、従来技術の説明と同様に、複数の光路を独立して描いているが、これは説明を理解し易くするためであり、実際の各光路は各種レンズ、波長板、ビームスプリッタ等の光学部品の実質的に真ん中に存在する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態の光ピックアップ装置100を示す図である。光ピックアップ装置100は、光源1が出力するレーザビームによって光ディスク媒体6に情報を書き込んだり、光ディスク媒体6に記録された情報を読み取ったりする。光源1は例えば半導体レーザ素子である。光ディスク媒体6は、例えばDVDまたはCDである。DVDの種類としては、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、DVD−R、DVD+R等がある。CDの種類としては、CD−ROM、CD−RW、CD−R等がある。光ピックアップ装置100は、DVDとCDとの両方に対して情報の記録再生ができる。
光ピックアップ装置100は、光強度制御装置100aと、コリメートレンズ3と、1/4波長板4と、対物レンズ5とを備える。光強度制御装置100aはハイブリッドと称されることもある。
光強度制御装置100aは、光ビームを出力する光源1と、光ビームを分離するPBS(偏光ビームスプリッタ)2および7と、光ビームを受光する受光素子8および光検出器10と、マルチレンズ9と、光ビームの強度を制御する制御部11とを備える。
光源は、波長が互いに異なる複数種類の光ビームを出力する。光源1は2つの活性層1aおよび1bを備えており、この活性層1aおよび1bが2つの互いに異なる波長の光ビームを出力する。第1活性層1aは例えばDVD用の波長650nm(以下、DVD波長と称す)の光ビーム21を出力し、第2活性層1bは例えばCD用の波長780nm(以下、CD波長と称す)の光ビーム22を出力する。光源1から出力された光ビーム21および22はPBS2に到達する。複数種類の光ビームは、光ディスク媒体の種類に応じて別々に出射されるが、動作によっては同時に出射されてもよい。
PBS2は、光ビーム21および22を、コリメートレンズ3へ向かう方向とPBS7へ向かう方向とに分離する。PBS2は、入射したDVD用光ビーム21のP波成分の大部分(例えば90%)とS波成分の一部分(例えば10%)を透過し、P波成分の一部分(例えば10%)とS波成分の大部分(例えば90%)とを偏光分離面2aで反射する。また、PBS2は、入射したCD用光ビーム22のP波成分およびS波成分の大部分(例えば各90%)を透過し、P波成分およびS波成分の一部分(例えば各10%)を偏光分離面2aで反射させる。P波成分およびS波成分は、それぞれP偏光成分およびS偏光成分とも称される。S波成分はP偏光方向と直交する偏光方向を有する光である。PBS2を透過した光ビームはコリメートレンズ3へ向かい、偏光分離面2aで反射された光ビームはPBS7へ向かう。偏光分離面2aで反射された光ビームの偏光方向は、PBS2を透過した光ビームの偏光方向とほぼ垂直な方向である。
PBS2を通過した光ビーム21または22は、コリメートレンズ3で平行光にされ、1/4波長板4に到達する。1/4波長板4は、通過したDVD波長の光ビーム21の直線偏光を円偏光に変換する。1/4波長板4を通過した光ビーム21または22は、対物レンズ5で集光されて光ディスク媒体6の基材を透過し、光ディスク媒体6の情報層に光スポットを形成し、情報層で反射される。このように、光源から情報層に至る光路を往路と称し、情報層で反射し後述する光検出器まで至る光路を復路と称す。光ディスク媒体6の情報層で反射された光ビームは、基材、対物レンズ5、1/4波長板4、コリメートレンズ3を通ってPBS2まで戻る。1/4波長板4は反射されたDVD波長の光ビーム21の円偏光を直線偏光に変換する。PBS2は復路の光ビームを偏光分離面2aで反射し、反射した光ビームはマルチレンズ9を通って光検出器10の受光面に到達する。光検出器10は、受光した反射光をその光強度に応じた電気信号に変換する。
一方、光源1が出力した光ビームがPBS2の偏光分離面2aで反射された方向には、PBS7が設けられている。PBS7は、光路上において光源1と受光素子8との間に設けられている。PBS7では、PBS2で反射した光ビームの入射方向に向かって偏光分離面7aが配置されており、PBS2で反射した光ビームが偏光分離面7aに入射する。PBS7にはPBS2を介して光源1から直接光ビームが入射し、その入射した光ビームは、光源1が出力する光ビームの強度を制御するために用いられるので、PBS7に入射する光ビームはフロントモニタ光またはフロントモニタ用光ビーム等と称される。
PBS7は、CD波長の光ビーム22のうちのP波成分22pおよびS波成分22sとの両方を受光素子8へ導く。また、PBS7は、DVD波長の光ビーム21のうちのP波成分21pを受光素子8へ導くが、S波成分21sは偏光分離面7aで反射して受光素子8への進行を抑制する。PBS7がP波成分22pを受光素子8へ導く割合と、S波成分22sを受光素子8へ導く割合とは同じである。PBS7がS波成分21sを受光素子8へ導く割合は、P波成分21pを受光素子8へ導く割合よりも低い。例えば、PBS7は、P波成分21pをほぼ100%通過させて受光素子8へ導き、S波成分21sのほぼ100%を偏光分離面7aで反射させて受光素子8へは導かない。また、PBS7は、P波成分22pとS波成分22sとの両方をほぼ100%通過させて受光素子8へ導く。すなわち、DVD波長のP波成分21pの反射およびS波成分21sの通過はほぼ0%で、CD波長のP波成分22pおよびS波成分22sの反射はほぼ0%である。
PBS7を光ビームが通過する方向には、入射する光ビームに対して受光面が垂直となるように受光素子8が配置されている(以下、受光素子8をフロントモニタ8と称す)。フロントモニタ8は、受光した光ビームをその光強度に応じた電気信号(フロントモニタ信号)に変換する。制御部11は、フロントモニタ8が出力したフロントモニタ信号に応じて、光源1が出力する光ビームの強度を制御する。制御部11は、フロントモニタ信号が所定の基準値より高ければ光ビームの強度を弱くし、低ければ光ビームの強度を強くする。PBS7およびフロントモニタ8は光強度制御装置100aの光学系を成している。
光強度制御装置100aの各構成要素は、DVD波長の光ビームを用いるときは偏光光学系を成しており、CD波長の光ビームを用いるときは無偏光光学系を成している。DVD波長のP波成分21pとCD波長のP波成分22pおよびS波成分22sとがフロントモニタ8に入射し、フロントモニタ信号が生成される。これにより、光源1の温度特性によりDVD波長の光ビームおよびCD波長の光ビームの偏光角の変動および/または偏光比変動が起こっても、対物レンズ5から出力される光ビームの光強度を安定に制御することができる。その原理を、図2A〜図4Bを参照して詳述する。
図2Aは、偏光光学系においてP波成分とS波成分との偏光比が任意の初期値から200に変動したときの、偏光比とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図2Bは、無偏光光学系においてP波成分とS波成分との偏光比が任意の初期値から200に変動したときの、偏光比とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図3Aは、偏光光学系において偏光角が任意の初期値から+5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図3Bは、無偏光光学系において偏光角が任意の初期値から+5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図4Aは、偏光光学系において偏光角が任意の初期値から−5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図4Bは、無偏光光学系において偏光角が任意の初期値から−5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図2A〜図4Bにおいて、●印(実線部)は、P波成分からフロントモニタ光量(FM)を検出したときの上記各関係を示している。また、□印(破線部)は、P波成分およびS波成分との合算からフロントモニタ光量を検出したときの上記各関係を示している。
フロントモニタ光量については対物レンズの出射光量で規格化しており、その値での変動率を算出している。ここで、偏光比の初期値Xでのフロントモニタ8に入射する光量をAxとし、偏光比200でのフロントモニタに入射する光量をAyとしたとき、変動率は、(変動率)=(Ay−Ax)/Axで定義される。また、偏光角の初期値Xでのフロントモニタに入射する光量をAxとし、偏光角X+5deg(または偏光角X−5deg)でのフロントモニタに入射する光量をAzとしたとき、変動率は、(変動率)=(Az−Ax)/Axで定義される。
図2Aおよび図2Bを参照して、偏光光学系ではP波成分からフロントモニタ光量を検出すると変動率の抑制効果は極めて良好となり、無偏光光学系ではP波成分とS波成分との合算からフロントモニタ光量を検出すると変動率の抑制効果は極めて良好となる。すなわち、偏光光学系(DVD)ではP波成分のみからフロントモニタ光量を検出し、無偏光光学系(CD)の場合にはP波成分とS波成分との合算からフロントモニタ光量を検出することで、P波成分とS波成分との偏光比の変化に対するフロントモニタ光量の変動率の安定化が達成でき、光源1の光強度制御の精度を飛躍的に向上させることができる。
また、図3Aおよび図4Aを参照して、偏光角と変動率との相関においても、偏光光学系では、P波成分およびS波成分の合計から検出した場合と比べて、P波成分からフロントモニタ光量を検出すると極めて高い変動率抑制効果が得られることが分かる。一方、図3Bおよび図4Bを参照して、無偏光光学系では、P波成分から検出した場合に比べて、P波成分およびS波成分の合計からフロントモニタ光量を検出すると極めて高い変動率抑制効果が得られることが分かる。すなわち、偏光光学系(DVD)ではP波成分のみからフロントモニタ光量を検出し、無偏光光学系(CD)の場合にはP波成分とS波成分との合算からフロントモニタ光量を検出することで、偏光角の変動に対するフロントモニタ光量の変動率の安定化が達成でき、光源1の光強度制御の精度を飛躍的に向上させることができる。
次に、図5A〜図5Cを参照して、偏光光学系におけるPBS7のP波成分の透過率TpおよびS波成分の透過率Tsの好ましい値を説明する。図5Aは、偏光光学系において偏光比が任意の初期値から200に変動したときの、偏光比とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図5Bは、偏光光学系において偏光角が任意の初期値から+5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。図5Cは、偏光光学系において偏光角が任意の初期値から−5deg変動したときの、初期偏光角とフロントモニタ光量の変動率との関係を示すグラフである。ここで、光源1のレーザダイオード特性として、偏光比規格を30以上、偏光角規格を±10deg以内とする。このとき、図5A〜図5Cから、PBS7のP波成分の透過率Tpが90%でS波成分の透過率Tsが10%であれば、変動率を±3%以内に小さくできることが分かる。すなわち、P波成分の透過率Tpは90%以上(90〜100%)であることが好ましく、S波成分の透過率Tsは10%以下(0〜10%)であることが好ましい。
(実施形態2)
図6は、本実施形態の光ピックアップ装置200を示す図である。
光ピックアップ装置200は、光ピックアップ装置100の光強度制御装置100aの代わりに、光強度制御装置200aを備える。光強度制御装置200aは、光源1、PBS2および7の代わりに、光源51、PBS52および57を備える。
光源51は、第1活性層1aおよび第2活性層1bに加えて第3活性層1cを備える。第1活性層1aは例えばDVD波長の650nmの光ビーム21を出力し、第2活性層1bは例えばCD波長の780nmの光ビーム22を出力し、第3活性層1cは例えば405nmの光ビーム23を出力する。光ディスク媒体6がBD(Blu−ray Disc)等の青紫レーザ光を用いて情報の記録再生を行う光ディスク媒体であるときは、光ビーム23が用いられる。以下、405nmをBD波長と称す。CD波長、DVD波長、BD波長の中で、CD波長が最も長く、BD波長が最も短い。
PBS52および57は、PBS2および7の機能に加えて、BD波長の光ビーム23を分離する機能を有する。PBS52はその偏光分離面52aで、DVD波長およびBD波長の光ビームのP波成分の大部分(例えば各90%)とS波成分の一部分(例えば各10%)とを透過し、P波成分の一部分(例えば各10%)とS波成分の大部分(例えば各90%)とを偏光分離面52aで反射する。また、PBS52は、CD波長の光ビームのP波成分およびS波成分の大部分(例えば各90%)を通過し、P波成分およびS波成分の一部分(例えば各10%)を反射する。PBS52で反射された光ビームの偏光方向は、PBS52を透過した光ビームの偏光方向とほぼ垂直な方向である。
PBS52を通過した光ビームはコリメートレンズ3で平行光にされ、1/4波長板4に到達する。1/4波長板4は、通過したDVD波長およびBD波長の光ビームの直線偏光を円偏光に変換する。1/4波長板4を通過した光ビーム21、22または23は、対物レンズ5で集光されて光ディスク媒体6の基材を透過し、その情報層に光スポットを形成し、情報層で反射される。光ディスク媒体56の情報層で反射された光ビームは、基材、対物レンズ5、1/4波長板4、コリメートレンズ3を通ってPBS52まで戻る。1/4波長板4は反射されたDVD波長およびBD波長の光ビームの円偏光を直線偏光に変換する。PBS52は、復路の光ビームを偏光分離面52aで反射し、反射した光ビームはマルチレンズ9を通過して光検出器10の受光面に到達する。
一方、光源51が出力した光ビームがPBS52で反射された方向には、PBS57が設けられている。PBS57は、光源51から出力した光ビームをPBS52で反射した光ビームの入射方向に向かって偏光分離面57aが配置さており、PBS52で反射した光ビームが偏光分離面57aに入射する。
PBS57は、入射したDVD波長およびBD波長の光ビームのP波成分21pおよび23pをほぼ100%通過させて、フロントモニタ8へ導き、S波成分21sおよび23sのほぼ100%を偏光分離面57aで反射させて、フロントモニタ8へは導かない。また、PBS57は、CD波長の光ビームのP波成分22pおよびS波成分22sの両方をほぼ100%通過させてフロントモニタ8へ導く。すなわち、DVD波長およびBD波長のP波成分の反射およびS波成分の通過はほぼ0%で、CD波長のP波成分およびS波成分の反射はほぼ0%である。
PBS57を光ビームが通過する方向には、入射する光ビームに対して受光面が垂直となるようにフロントモニタ8が配置されている。フロントモニタ8は、受光した光ビームをその光強度に応じたフロントモニタ信号に変換する。PBS57およびフロントモニタ8は光強度制御装置200の光学系を成している。
光強度制御装置200aの各構成要素は、DVD波長およびBD波長の光ビームを用いるときは偏光光学系を成しており、CD波長の光ビームを用いるときは無偏光光学系を成している。DVD波長およびBD波長のP偏光成分と、CD波長のP偏光成分およびS偏光成分とがフロントモニタ8に入射し、フロントモニタ信号が生成される。これにより、DVD波長、BD波長およびCD波長の光ビームの偏光角の変動および/または偏光比変動が、光源51の温度特性により起こっても、光強度制御装置100aと同様に対物レンズ5から出力される光ビームの光強度を安定に制御することができる。
なお、BD波長の青紫レーザ光を用いて情報の記録再生を行うHD−DVDはDVDと同じ基板厚さを有しているので、HD−DVDの基板に起因する複屈折はDVDと同程度である。このため、HD−DVDシステムに本発明を適用した場合でも、上述の本発明の効果と同様の効果が得られる。ブルーレイディスクは、より薄い0.1mmの基板厚さを有しているので、複屈折の影響がより少なく、さらに効果は顕著である。
このように、光ピックアップ装置200aでは、CD、DVDおよびBDの3種類のディスクに対応した3波長の光ビームを出力する光源51の光強度の制御の精度を格段に向上させることができる。
(実施形態3)
図7は、本実施形態の光ピックアップ装置300を示す図である。
光ピックアップ装置300は、光ピックアップ装置200の光強度制御装置200aの代わりに、光強度制御装置300aを備える。光強度制御装置300aは、光源51の代わりに、光源1および61とPBS62とを備える。
光源1は第1活性層1aおよび第2活性層1bを備え、光源61はBD波長のレーザ光を出力する第3活性層61aを備えている。PBS62は、光源1が出力したDVD波長のレーザ光21およびCD波長のレーザ光22と、光源61が出力したBD波長のレーザ光23とをPBS52へ導く光学素子である。
PBS62の偏光分離面62aは、DVD波長の光ビーム21およびCD波長の光ビーム22を完全に透過し、BD波長の光ビーム23を完全に反射する。その後の光強度制御装置300aの動作は、光強度制御装置200aと同様である。これにより、光源1が出力するDVD波長の光ビーム21およびCD波長の光ビーム22と、光源61が出力するBD波長の光ビーム23との全ての光強度を高精度に制御することができる。なお、光強度制御装置300aは光源を2つ備えるため装置サイズが若干大型化するが、第1〜第3活性層を同一パッケージに収納する半導体レーザ素子は開発されたばかりであり、現時点では光源を2つ備える光強度制御装置300aの方が、光強度制御装置200aよりも信頼性の点で優れているといえる。
本発明は、光ビーム強度の制御を行う技術分野で特に有用であり、例えば、広い波長域に渡って光ビームの高精度な光強度制御を行う光ピックアップ装置を実現することができる。
本発明の実施形態による光ピックアップ装置を示す図である。
本発明の実施形態による偏光比と変動率との関係を示す図である。
本発明の実施形態による偏光比と変動率との関係を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による偏光比と変動率との関係を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による初期偏光角に所定の変動を加えた場合の変動率を示す図である。
本発明の実施形態による光ピックアップ装置を示す図である。
本発明の実施形態による光ピックアップ装置を示す図である。
従来の光ピックアップ装置を示す図である。
従来の光ピックアップ装置を示す図である。
符号の説明
1 光源
1a 第1活性層
1b 第2活性層
2 偏光ビームスプリッタ
4 1/4波長板
5 対物レンズ
6 情報媒体
7 偏光ビームスプリッタ
8 フロントモニタ
10 光検出器