JPWO2007018109A1 - 塩素化芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

塩素化芳香族化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

(課題) カチオン重合の開始剤として用いることができるような高品質のクミルクロライド等、芳香族塩素化炭化水素のさらに簡便な製造方法を提供する。(解決手段) Ar(R1C=CH2)nで表される化合物を含有する有機溶液と、塩酸濃度が30重量%以上の塩酸水とを撹拌混合する塩素化反応工程と、塩素化反応工程で得られた反応液から水相の一部又は全部を抜き出した後、塩酸濃度が30重量%以上の塩酸水を反応液に添加する工程とを、上記化合物が所期の塩素化反応率となるまで繰り返し行うことにより、芳香族塩素化炭化水素の製造を行う。

Description

本発明は簡便な方法で効率よく芳香族塩素化炭化水素を得る新規な製造方法である。
クミルクロライド(CC(CHCl)、ジクミルクロライド(1,4−Cl(CHCCC(CHCl)のような塩素化芳香族化合物は、末端官能性ポリイソブチレン、あるいはポリイソブチレンをブロック成分とするブロック共重合体、例えばイソブチレン−スチレン共重合体等をカチオン重合して製造する際の開始剤として用いられることが知られている(特許文献1、特許文献2)。
このような開始剤を合成する反応としては、氷冷下、α−メチルスチレンや1,4−ジイソプロペニルベンゼンに塩化水素を付加する反応(非特許文献1、非特許文献2)が知られている。
しかしながら、上記方法では、クロル化の試薬として塩化水素あるいは塩素等のガスを使用しており、製造の際には気−液反応となることから、撹拌効率等の反応条件が大きく収率に影響する。また、化学量論的にも大過剰の塩素化試薬を必要とするという問題がある。更に、反応の際に氷冷することが必要であり、工業的に有利な方法とは言い難く、高効率かつ簡便な製造法が求められている。
米国特許第4946899号明細書 米国特許第4276394号明細書 H.C.Brown、Min−Hon Rei、Journal of American Chemical Society、1966年、第31巻、1090−1093頁 O.Nuyken、 S.D.Pask、 A.Vischer and M.Walter、Makromol.Chem.)、1985年、第186巻、173−190頁
本発明の課題は、上記現状に鑑み、カチオン重合の開始剤として用いることができる高品質のクミルクロライド、ジクミルクロライド等の塩素化芳香族化合物の簡便で効率的な製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、一般式(1):
Ar(RC=CH (1)
(式中、Arはn価の芳香環基、Rは置換または非置換の一価の脂肪族炭化水素基を示す、nは1〜5の整数)で表される化合物を含有する有機溶液と、塩酸濃度が30重量%以上の塩酸水とを撹拌混合する塩素化反応工程と、
塩素化反応工程で得られた反応液から水相の一部又は全部を抜き出した後、塩酸濃度が30重量%以上の塩酸水を反応液に添加する工程
とを一般式(1)で表される化合物が所期の塩素化反応率となるまで繰り返し行うことを特徴とする、一般式(2):
Ar(RCCHCl) (2)
(式中、Ar,R、nは前記と同じ)で表される塩素化芳香族化合物の製造方法に関する。
好ましい実施態様として、一般式(1):
Ar(RC=CH (1)
(式中、Arはn価の芳香環基、Rは置換または非置換の一価の脂肪族炭化水素基を示す、nは1〜5の整数)で表される化合物を含有する有機溶液と、塩酸濃度が30重量%以上の塩酸水とを撹拌混合した後、該反応液の水相の塩酸濃度が30重量%未満となった際に、該水相の一部又は全部を抜き出し、水相の塩酸濃度が30重量%以上となるように新たな塩酸水を追加することを特徴とする、一般式(2):
Ar(RCCHCl) (2)
(式中、Ar,R、nは前記と同じ)で表される塩素化芳香族化合物の製造方法が挙げられる。塩酸水の追加は、塩素化反応率が95モル%以上となるまで繰り返すのが好ましい。また、塩化水素ガスを併用してもよい。
また、本発明の別の実施態様は、一般式(1):
Ar(RC=CH (1)
(式中、Arはn価の芳香環基、Rは置換または非置換の一価の脂肪族炭化水素基を示す、nは1〜5の整数)で表される化合物を含有する有機溶液と塩酸水とを混合して、塩素化反応を行った後、水相を分離し、油相に塩化水素ガスを接触させることを特徴とする、一般式(2):
Ar(RCCHCl) (2)
(式中、Ar,R、nは前記と同じ)で表される塩素化芳香族化合物の製造方法に関するものである。
好ましい実施態様としては、上記発明において、一般式(1)で表される化合物が、α−メチルスチレン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5−トリイソプロペニルベンゼン、(1,3−ジイソプロペニル−5−tert−ブチル)ベンゼンのいずれかである塩素化芳香族化合物の製造方法が挙げられる。
本発明にかかる製造方法によれば、カチオン重合の開始剤として用いることができる高品質のクミルクロライド、ジクミルクロライド等の塩素化芳香族化合物を、従来の塩化水素ガスや塩素ガスを用いる方法と比べて簡便かつ効率的に得ることができる。
本発明では、一般式(1):
Ar(RC=CH (1)
(式中、Arはn価の芳香環基、Rは置換または非置換の一価の脂肪族炭化水素基を示す、nは1〜5の整数)で表される化合物を含有する有機溶液と、30重量%以上の塩酸濃度の塩酸水とを撹拌混合して、一般式(1)で表される化合物を塩素化する(塩素化反応工程)。
この塩素化反応では、一般式(1)で表される化合物を含有する有機溶液と30重量%以上の塩酸濃度の塩酸水とを撹拌混合した後、反応液の水相の一部またはすべてを抜き出し、その後、30重量%以上の塩酸濃度の塩酸水を一般式(1)で表される化合物を含有する反応液に添加し、さらに撹拌混合することにより行う。塩素化反応工程および反応液から水相を抜き出して塩酸水を反応液に添加する工程は、一般式(1)で表される化合物が期待する塩素化反応率となるまで繰り返し行う。反応効率の点から、塩酸水の添加は、塩素化反応率が95モル%以上となるまで繰り返し行うのが好ましい。また、塩素化反応の際、反応中の溶液の塩酸濃度が30重量%未満となった際に、この溶液の水相の一部又はすべてを抜き出し、水相の塩酸濃度が30重量%以上となるように新たな塩酸水を追加し、この操作を、所期の塩素化反応率となるまで繰り返すのが好ましい。
これにより、一般式(2):
Ar(RCCHCl) (2)
(式中、Ar,R、nは前記と同じ)で表される塩素化芳香族化合物を効率よく製造することが可能になる。なお、生産効率等の点から、最終的な塩素化反応率は95モル%以上となるようにするのが好ましい。
一般式(1)および(2)で示される化合物において、Arで示される芳香環基の例としては、C−、p−C−、m−C−、o−C−、1,3,5−C−基等を挙げることができる。R、Rとしては、メチル基、エチル基等の炭化水素基があげられ、これらは塩素原子のような置換基を有していてもよい。このような化合物としては、具体的には、α−メチルスチレン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5−トリイソプロペニルベンゼン、(1,3−ジイソプロペニル−5−tert−ブチル)ベンゼン等が挙げられる。
一般式(1)および(2)で示される化合物において、nは1〜5の整数であって、所望の重合体構造や物性に従って、適宜選択される。
本発明にかかる方法を利用して製造される塩素化芳香族化合物としては、具体的には、(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[CC(CHCl]、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,4−Cl(CHCCC(CHCl]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3−Cl(CHCCC(CHCl]、1,2−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,2−Cl(CHCCC(CHCl]、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3,5−(ClC(CH]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン[1,3−(C(CHCl)−5−(C(CH)C]等が挙げられる。
本発明においては、上述した一般式(1)で表されるビニル基含有芳香族化合物と有機溶媒とを混合した上で、これに塩酸水を加えて撹拌を行ってもよいし、一般式(1)で表されるビニル基含有芳香族化合物が液状の場合には、これに塩酸水を直接加えて攪拌を行ってもよい。
本反応で用いる有機溶媒としては、従来公知のものであれば特に制限無く使用することができるが、例えばペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ノルボルネン、エチルシクロヘキサン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、クロロエタン、ジクロロエタン、プロピルクロライド、ブチルクロライド等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、HMPAなどを使用することが可能である。
このうち、塩酸の溶解度が低くて油水分離しやすいという理由から、飽和炭化水素、あるいは芳香族炭化水素が好ましく、ペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ノルボルネン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼンなど水との相互溶解度が低い有機溶媒がさらに好ましい。また、工業的な重合溶媒として用いられるハロゲン化炭化水素も好適に使用できる。
反応の際に用いる溶媒量としては特に制限されるものでは無いが、その後の取り扱い上の観点で、原料に対して溶媒量が重量比で0〜10倍であるのが好ましく、0〜3倍であるのがさらに好ましい。
塩酸水の添加順序は、製造上の制約等の必要に応じて変更することができる。すなわち、塩酸水に一般式(1)で表される化合物や一般式(1)で表される化合物を含有する有機溶液を加えてもよい。
本発明においては、塩酸水としては、反応液の水相の塩酸濃度が30重量%となるようにするため、30重量%以上のものを使用する。
また、塩酸水溶液は、必要量を一度に添加するのではなく、上記のとおり、複数回に分けて添加する。より詳細に説明すると、塩素化反応が進行して反応液の水相の塩酸濃度が低下した際に、水相の一部又は全部を抜き出して、新たな塩酸水を反応液に添加する。塩酸水の添加は、一定時間毎に行ってもよい。これにより、反応効率が向上し、従来に比べてより少量の塩酸で塩素化を行うことが可能となる。塩酸水の交換頻度は特に制限するものではなく、所期の塩素化反応率になるまで繰りかえし交換する。なお、撹拌した反応液の水相の塩酸濃度が30重量%未満となった場合に、水相の一部又は全部を抜き出して、新たな塩酸水を反応液に添加するのが好ましい。
塩酸水と一般式(1)で表される化合物を反応させる際の温度は、0〜50℃が好ましく、反応速度および目的物質の安定性の点から0〜40℃がさらに好ましい。0℃よりも低い温度条件では、反応速度が低下するだけでなく、結晶化領域となる可能性があり、不均一な反応系となる。また、装置材質の腐食、塩酸濃度制御の観点から、50℃を超える反応温度は好ましくない。
反応の際は、塩酸水と一般式(1)で表される化合物を含有する溶液を撹拌する。撹拌は、油相と水相が二相分離した状態で行っても良いが、油相の液滴が水相中で分散相として存在する条件であることが好ましい。ここで、塩酸濃度は、反応進行中に少量の反応液を取り出し、反応液の水相を中和滴定することにより測定することができる。また、塩素化反応率は、HNMR分析により求めることができる。具体的には、例えば、α−メチルスチレンの塩素化の場合は、原料であるα−メチルスチレンのビニルプロトン(2H)の積分値と、目的物であるクミルクロライドのメチルプロトン(6H)の積分値の比から、塩素化反応率を求めることができる。
攪拌翼としては、特に限定されるものではなく、ピッチドパドル、傾斜パドル等のパドル翼、タービン翼や、大型攪拌翼として住友重機械工業(株)が推奨するマックスブレンド翼や神鋼パンテック社が推奨するフルゾーンなども使用することができる。また、攪拌槽内には、混合をより良好とする為、邪魔板(バッフル)を設けてもよい。
本発明においては、純度向上の観点から、水相の一部又は全部を抜き出した後に、塩化水素ガスを供給することによって、塩素化反応率を向上させてもよい。用いる塩化水素ガス量としては、反応機が気相部を有する限り、投入したガスが全て反応するのは困難であるため定義するのは困難であるが、反応機内に投入した量のうち液中に溶解あるいは分散等して反応で消失する量が、不純物,例えばイソプロペニル基に対して当量以上用いるのが好ましく、効率よく純度アップを図るためには不純物に対して2当量以上であることが好ましい。液中の塩化水素ガス溶解量を増大させて反応速度を促進する、あるいは気相中の塩化水素ガス分圧を大きくするのが、不純物の残存量を低減させる上で効果的である。
また、反応させる際の温度は、塩素水の反応の場合と同様の理由により、0〜50℃が好ましく、0〜40℃がさらに好ましい。なお、このように塩酸水を混合して反応を行った後、塩化水素ガスを供給して更に反応を行う方法を用いる場合には、一般式(1)で表される化合物が所期の塩素化反応率になる前に塩酸水の交換をやめて、塩化水素ガスを供給することが可能である。また、この場合は、濃度が30重量%未満の塩酸水を反応に用いることも可能である。
有機相と塩化水素ガスの接触方法としては特に限定するものではないが、塩化水素ガスをバブリングする方法や、塩化水素ガス加圧下の攪拌槽で混合するなどの一般的な気液反応操作方法を用いることができる。
なお、塩化水素ガスを用いた場合、最終的に、目的物質を含有する反応液中に塩化水素ガスを含んだまま塩素化芳香族化合物を開始剤として重合に用いると、重合体の品質を悪化させることがあるため、例えば一般的なガス抜き操作として知られる、不活性ガスのバブリングあるいは減圧操作等の公知の方法により行うことが好ましい。
本発明にかかる方法によれば、前記の非特許文献1に示されている塩化水素ガスのみを用いる方法と比べて、反応温度を高く設定することが可能である。塩化水素を用いる反応系では反応を0℃付近でおこなう必要があったが、この方法に従えば、室温付近でも副反応が抑えられ、目的とする化合物を高収率で得ることが可能である。すなわち本発明にかかる方法によれば、0℃以上で反応をおこなうことが可能であり、さらに、反応温度を10〜40℃として、反応速度を上げることも可能である。反応温度を上げることにより冷却が不要になり、製造設備を簡略化して製造コストを下げることも可能である。
以下に、具体的な実施例を示すが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
攪拌機つきフラスコ内に、α―メチルスチレン50gと、α−メチルスチレンに対して当量となるように36重量%濃塩酸22gを添加し、これを30℃の温度条件下で2時間混合した。その後、撹拌を停止して油相と水相とを静置分離させた後、水相をスポイトにより全量抜き出し、あらたに1/2当量の濃塩酸(36重量%濃塩酸11g)を加えて反応を継続し、以降1時間毎に1/2当量毎に濃塩酸の交換を繰り返し、累計7時間反応を行った。これにより、反応の際の水相の塩酸濃度が30重量%以上となるようにした。7時間の反応させた後、水相を分離し、引き続き窒素置換を行って塩酸を除去した。その後、クミルクロライドを得た。反応時間毎の塩素化反応率の値を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同一の装置を用いて、同一の処方で、30℃の温度条件下で混合液を2時間混合した。その後、撹拌を停止して油相と水相とを静置分離させて水相をスポイトにより全量抜き出し、あらたに1/2当量の濃塩酸を加えて反応を継続し、以降1時間毎に1/2当量毎に濃塩酸の交換を繰り返し、累計4時間の反応を行った。これにより、反応の際の水相の塩酸濃度が30重量%以上となるようにした。4時間の反応終了後、水相を分離した。引き続き、有機相に塩化水素ガスを100cc/minの条件で2時間通気した。塩化水素ガスの通気を終了させた後、窒素置換を行い、クミルクロライドを得た。反応時間毎の塩素化反応率の値を表1に示す。
(実施例3)
α―メチルスチレンと、36重量%濃塩酸とを含有する溶液を1時間混合した後に塩酸水を交換し、その後からの濃塩酸の交換頻度を2時間毎とし、その際、36重量%濃塩酸を22gずつ添加した以外は実施例1と同様にして合計7時間反応を実施した。これにより、反応の際の水相の塩酸濃度が30重量%以上となるようにした。反応時間毎の塩素化反応率の値を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同一の装置を用いて、α−メチルスチレン50gを仕込み、α−メチルスチレンに対して4倍当量となるよう36重量%濃塩酸88g(実施例3で分割して添加したトータルの濃塩酸量)を添加し、30℃の温度条件下で7時間混合した。
結果を表1に示すが、実施例3で分割添加した塩酸の合計量を一気に添加しても、分割添加のような高純度の塩素化芳香族化合物を得ることができなかった。
(比較例2)
使用する濃塩酸の濃度を29重量%とした以外は、実施例3と同一の条件で反応を行った。反応の際の水相の塩酸濃度は、常に30重量%を下回っていた。その結果を表1に合わせて示すが、濃塩酸の濃度が低いと、繰り返し塩酸水を交換しても高純度の塩素化芳香族化合物を得ることができないことがわかる。
(分析方法)
反応の進行は、反応溶液を取り出し、その水相(塩酸水)を中和滴定して塩酸濃度を測定することにより確認した。具体的には、精秤した塩酸水2gを純水で希釈し、これにフェノールフタレイン溶液を添加して1N−水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。また、反応率は、NMR分析により求めた。
Figure 2007018109
以上のように、本発明にかかる方法によれば、従来の方法に比べて、容易にしかも効率的に高純度の塩素化芳香族化合物を得られることがわかる。
この塩素化芳香族化合物を用いて重合反応を行った例を以下に示す。
実施例3で得られたクミルクロライドを所定量秤量し、特別な精製処理を加えずそのまま重合用開始剤として使用した。重合実験は以下のとおり実施した。
(重合実施例1)
反応容器にn−ブチルクロライド595mL、n−ヘキサン66.1mLを仕込み、反応容器をドライアイス−エタノール浴をおいて、混合溶媒の温度を−50℃まで冷却した後に、イソブチレンモノマー276mL(2.92モル)を仕込み、実施例3で作成したクミルクロライド0.882g(0.0057モル)、ピコリン0.53g(0.0057モル)を仕込んだ。原料を仕込んだ後に、反応容器内を攪拌混合しながらドライアイス-エタノールの浴槽温度を−75℃とした。反応容器内の温度が−70℃となった時点で、重合触媒であるTiC1を3.57g(0.0188モル)反応容器へ添加することによって反応を開始した。重合触媒添加後105分後に重合溶液を大量のメタノール中に添加してポリマーを単離し、溶剤を分離してポリマーを採取し、60℃で一昼夜減圧乾燥して重合体を得た。
GPC分析によって重合体製品の分子量とその分布を測定した結果は、数平均分子量Mn=32100、分子量分布Mw/Mn=1.18(Mw:重量平均分子量)であり分子量分布の狭い良好な重合体を得た。
(重合実施例2)
重合実施例1と同様の操作によりイソブチレンを重合した後に、引き続きスチレン37mL(0.32モル)を添加し、120分間重合を継続した。反応終了後に反応液を大量の水中へ注ぎ込んで攪拌することによって洗浄し、有機相と水相を分離して触媒を除去した。実施例1と同様の蒸発操作で有機相の揮発成分を除去して重合体製品を得た。
GPC分析によって重合体製品の分子量とその分布を測定した結果は、イソブチレン重合後の数平均分子量Mn=32900、分子量分布Mw/Mn=1.16、スチレン重合後の数平均分子量Mn=39300、分子量分布Mw/Mn=1.18であり分子量分布の狭い良好なイソブチレン−スチレンブロック重合体を得た。
以上のように、本発明にかかる方法により得られる高純度の塩素化芳香族化合物を用いることにより、分子量分布および分散度が良好なポリイソブチレン重合体やイソブチレン−スチレン共重合体等を得ることが可能であることがわかる。
なお、実施例ではα−メチルスチレンを開始剤原料として用いた場合について記載したが、本発明にかかる方法は、nが1のものだけでなく、nが2以上のものにも適用することができることは言うまでもない。

Claims (6)

  1. 一般式(1):
    Ar(RC=CH (1)
    (式中、Arはn価の芳香環基、Rは置換または非置換の一価の脂肪族炭化水素基を示す、nは1〜5の整数)で表される化合物を含有する有機溶液と、塩酸濃度が30重量%以上の塩酸水とを撹拌混合する塩素化反応工程と、
    塩素化反応工程で得られた反応液から水相の一部又は全部を抜き出した後、塩酸濃度が30重量%以上の塩酸水を反応液に添加する工程
    とを一般式(1)で表される化合物が所期の塩素化反応率となるまで繰り返し行うことを特徴とする、一般式(2):
    Ar(RCCHCl) (2)
    (式中、Ar,R、nは前記と同じ)で表される塩素化芳香族化合物の製造方法。
  2. 一般式(1):
    Ar(RC=CH (1)
    (式中、Arはn価の芳香環基、Rは置換または非置換の一価の脂肪族炭化水素基を示す、nは1〜5の整数)で表される化合物を含有する有機溶液と、塩酸濃度が30重量%以上の塩酸水とを撹拌混合した後、該反応液の水相の塩酸濃度が30重量%未満となった際に、該水相の一部又は全部を抜き出し、水相の塩酸濃度が30重量%以上となるように新たな塩酸水を追加することを特徴とする、請求項1に記載の塩素化芳香族化合物の製造方法。
  3. 塩酸水の追加を、塩素化反応率が95モル%以上となるまで繰り返すことを特徴とする請求項1または2に記載の塩素化芳香族化合物の製造方法。
  4. 塩化水素ガスを併用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塩素化芳香族化合物の製造方法。
  5. 一般式(1):
    Ar(RC=CH (1)
    (式中、Arはn価の芳香環基、Rは置換または非置換の一価の脂肪族炭化水素基を示す、nは1〜5の整数)で表される化合物を含有する有機溶液と塩酸水とを混合して塩素化反応を行った後、水相を分離し、油相に塩化水素ガスを接触させることを特徴とする、一般式(2):
    Ar(RCCHCl) (2)
    (式中、Ar,R、nは前記と同じ)で表される塩素化芳香族化合物の製造方法。
  6. 一般式(1)で表される化合物がα−メチルスチレン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5−トリイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニル−5−(tert−ブチル)ベンゼンのいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の塩素化芳香族化合物の製造方法。
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