JP2014028933A - 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法 - Google Patents

環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法 Download PDF

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雅弘 北畑
Tomokazu Kawakami
智教 川上
Isamu Shigemoto
勇 茂本
Koji Yamauchi
幸二 山内
Kohei Yamashita
浩平 山下
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Abstract

【課題】工業的に有用な環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を経済的且つ短時間で効率よく製造する方法を提供することを課題としている。
【解決手段】少なくともジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および比誘電率が27.5以上31以下の有機溶媒を含む混合物を加熱し反応させることにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を高収率で得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む組成物の製造方法に関し、融点が低く、低温での加工性に優れるという特徴を有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を、短時間かつ高収率に製造する方法に関するものである。
芳香族環式化合物はその環状であることから生じる特性に基づく高機能材料や機能材料への応用展開可能性、たとえば包接能を有する化合物としての特性や、開環重合による高分子量直鎖状高分子の合成のための有効なモノマーとしての活用など、その構造に由来する特異性で近年注目を集めている。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンも芳香族環式化合物の範疇に属し、上記同様に注目に値する化合物である。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの合成方法としては、例えば下式に示した通り、両末端に水酸基を有する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーと4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを反応させることによる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法が開示されている(非特許文献1)。
この方法では線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーと4,4’−ジフルオロベンゾフェノンが擬似希釈条件下のため選択的に反応する。そのため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは環状2量体(m=2)の単核体しか得ることができない。ここで、環状2量体(m=2)の融点は440℃以上の高い融点を持つため、加工性に劣っていた。
また同発明者らにより、下式に示した両末端に水酸基を有する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーと、両末端にフッ素基を有する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーを反応させる方法が開示されている(非特許文献2)。
この方法では鎖長の長いオリゴマーを原料に用いているため、得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの繰り返し数mが3および/または6の環状物のみが得られる。ここで、環状3量体(m=3)と環状6量体(m=6)の融点はそれぞれ366℃、324℃の高い融点を持つため、加工性に劣っていた。
また、非特許文献1および2記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの合成は擬似希釈条件下での反応で行っており、その維持が必須であるため反応に極めて長時間(非特許文献1、2ともに65時間)を要し、効率的な合成方法とは言い難い方法であった。さらに、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン合成原料に用いている両末端水酸基のオリゴマーや両末端フッ素基のオリゴマーを別途調製する工程も必須となる。
ここで、反応に用いたヒドロキノン1molに対し得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物のモル数を、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成物収率と定義する。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物とは繰り返し数m(mはいくつであっても構わない)の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物を主要成分とする組成物である。これに従うと、非特許文献1における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのヒドロキノン1molに対する組成物収率は3.4mol%となる。また、非特許文献2の組成物収率に関しては、反応前後の物質量の収支が記載されていないため不明であるが、非特許文献1と同様に多量のヒドロキノンを用いるという点で同じ合成スキームであるため組成物収率は低いことが容易に推測される。
このように、非特許文献1および2で開示された製造方法は反応時間・組成物収率の点で生産性が低い方法であり、得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物も融点が高いため、加工性の点でも劣っており、工業的利用にあたっては、多くの課題を有していた。
一方、前記課題を改善した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法が特許文献1に開示されている。特許文献1で得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、環数の異なる3つ以上の環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含むため融点が270℃以下と低く加工性に優れている。また、反応時間は4〜9時間であり、非特許文献1および2で開示された製造方法と比較して短時間で製造可能である。しかしながら、工業的利用にあたっては、より高効率に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造する方法が求められ、更なる高組成物収率化が望まれていた。
特許4888612号公報
Macromol. Chem. Phys. 1996, 197, 4069 Macromolecules 1996, 29, 5502
これら従来技術においては、組成物収率が不十分、重合時間が長い、得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの加工性に劣るなどの問題点があった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、高組成物収率、短時間で加工性に優れた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造する方法を提供せんとするものである。
本発明はかかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.少なくともジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および比誘電率が27.5以上31以下である有機溶媒を含む混合物を加熱し反応させることを特徴とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
2.有機溶媒が混合溶媒であり、かつ混合溶媒の比誘電率が27.5以上31以下であることを特徴とする1項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
3.沸点が100℃以上の溶媒のみで構成される混合溶媒を用いることを特徴とする2項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
4.混合溶媒が非プロトン性極性溶媒と非極性溶媒を含むことを特徴とする2〜3項のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
5.非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる少なくとも1種を用い、非極性溶媒としてトルエンおよび/またはp−キシレンを用いることを特徴とする4項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
6.ジヒドロキシ芳香族化合物がヒドロキノンであることを特徴とする1〜5項のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
本発明によれば、融点が低く加工性に優れる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を短時間かつ高組成物収率に製造することができる。さらには、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の混合物収率をも高めることもできる。ここで環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物とは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物から線状ポリフェニレンエーテルケトンを除いた、様々な繰り返し数を持つ環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが混合した混合物である。さらに、反応に用いたヒドロキノン1molに対し得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物のモル数を混合物収率と定義する。これにより従来技術における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法の生産性が低く工業化困難であるという課題を解消することができる。
分子動力学シミュレーションより得られた、線状ポリフェニレンエーテルケトンオリゴマーの低誘電率溶媒および高誘電率溶媒中それぞれの末端間距離の出現頻度分布を示した図である。 高誘電率溶媒中で線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーの末端に溶媒が強く配位していることを示した図である。 実施例および比較例で用いた有機溶媒の比誘電率と環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物収率を示した図である。 実施例および比較例で用いた有機溶媒の比誘電率と環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物収率を示した図である。
本発明は、前記課題、つまり高組成物収率、短時間で加工性に優れた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造する方法について、鋭意検討し、製造方法として、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および、比誘電率が特定の範囲にある有機溶媒を含む混合物を加熱し反応させてみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。ここで、本発明における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは、パラフェニレンケトン、およびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、下記構造式(1)で表される環式化合物である。
また本発明においては、後述するように比誘電率が特定な範囲にある有機溶媒を用いる。通常比誘電率はLCRメータなどによって測定することができるが、純溶媒については、例えば文献、化学便覧基礎編改訂2判(丸善、1975)などの値を引用することができる。一方、混合溶媒については、下記数式(1)により純溶媒の比誘電率と混合後の体積分率によって求めた値を本発明における混合溶媒の比誘電率とする。
εは混合溶媒の比誘電率を、εiは成分iの純溶媒の比誘電率を、Vは混合溶媒の体積を、Viは成分iの溶媒の体積を、nは混合溶媒に含まれる溶媒の成分数を表す。つまり混合溶媒の比誘電率は純溶媒の体積分率により規定される。なお混合溶媒の体積Vは下記数式(2)で表される。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン
本発明における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、構造式(1)で表され、構造式(1)における繰り返し数mの範囲は2〜40であり、2〜20がより好ましく、2〜15がさらに好ましく、2〜10が特に好ましい範囲として例示できる。繰り返し数mが大きくなると環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの融点が高くなる傾向にあるため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを低温で溶融解させるとの観点から、繰り返し数mを前記範囲にすることが好ましい。
また、構造式(1)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは異なる繰り返し数mからなる混合物であることが好ましく、少なくとも異なる3つ以上の繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物であることがさらに好ましく、4つ以上の繰り返し数mからなる混合物であることがより好ましく、5つ以上の繰り返し数mからなる混合物であることが特に好ましい。さらに、これら繰り返し数mが連続するものであることが特に好ましい。単一の繰り返し数mを有する単独化合物と比較して異なる繰り返し数mからなる混合物の融点は低くなる傾向にあり、さらに2種類の異なる繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物と比較して、3種類以上の繰り返し数mからなる混合物の融点はさらに低くなる傾向にあり、さらに不連続の繰り返し数mからなる混合物よりも連続する繰り返し数mからなる混合物の方がさらに融点が低くなる傾向にある。なおここで、各繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは高速液体クロマトグラフィーによる成分分割により分析が可能であり、さらに環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成、すなわち環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに含まれる各繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は、高速液体クロマトグラフフィーにおける各環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのピーク面積比率より算出することが可能である。
また、本発明における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であり、65重量%以上含む組成物であることがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましく、75重量%以上含む組成物であることがよりいっそう好ましい。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における不純物成分、即ち環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外の成分としては線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを主に挙げることができる。この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは融点が高いため、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が高くなると環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点が高くなる傾向にある。従って、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が上記範囲にあることで、融点の低い環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物となる傾向にあり、さらに環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物をポリフェニレンエーテルエーテルケトンプレポリマーとして用いた際に、十分に高重合度化が進行したポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られるという観点からも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が上記範囲にあることが好ましい。
上記のような特徴を有する本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の還元粘度(η)としては、0.1dL/g以下であることが好ましく例示でき、0.09dL/g以下であることがより好ましく、0.08dL/g以下であることがさらに好ましく例示できる。なお、本発明における還元粘度とは特に断りのない限り、濃度0.1g/dL(環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の重量/98重量%濃硫酸の容量)の濃硫酸溶液について、スルホン化の影響を最小にするために溶解完了直後に、25℃においてオストワルド型粘度計を用いて測定した値である。また、還元粘度の計算は下記数式(3)により行った。
ここでtはサンプル溶液の通過秒数、t0は溶媒(98重量%濃硫酸)の通過秒数、Cは溶液の濃度を表す。
以上より本発明の方法で得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、通常環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む純度の高いものであり、かつ融点が低く加工性に優れるといった、一般的に得られる線状のポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは異なる特性を有する工業的にも利用価値の高いものである。
次に、本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を得るための望ましい製造方法で用いる原料について述べる。
(2)ジハロゲン化芳香族ケトン化合物
本発明で用いられるジハロゲン化芳香族ケトン化合物は構造式(2)で表される芳香族ケトン化合物である。
ここで、構造式(2)におけるXとはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチンなどから選ばれるハロゲノ基であり、さらに構造式(2)に含まれる2つのハロゲノ基は同一であっても異なるハロゲノ基であっても問題ない。これらジハロゲン化芳香族ケトン化合物の具体例としては、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジブロモベンゾフェノン、4,4’−ジヨウ化ベンゾフェノン、4−フルオロ−4’−クロロベンゾフェノン、4−フルオロ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−フルオロ−4’−ヨウ化ベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ヨウ化ベンゾフェノン、4−ブロモ−4’−ヨウ化ベンゾフェノンなどが挙げられる。これらの中でも反応性の観点から4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、また経済性の観点から4,4’−ジクロロベンゾフェノンが好ましい具体例として挙げることができ、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンが特に好ましい具体例として挙げることができる。これらジハロゲン化芳香族ケトン化合物は単独の化合物を用いても良いし、2種類以上の混合物として用いても問題ない。
(3)ジヒドロキシ芳香族化合物
本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造の好ましい手法において用いられるジヒドロキシ芳香族化合物は、構造式(3)で表される芳香族化合物である。
ここで構造式(3)における繰り返し数qに特に制限はないが、q=0であるヒドロキノンを好ましい具体例として挙げることができる。また、構造式(3)における繰り返し数qの上限についても特に制限はないが、q=2以下であるジヒドロキシ芳香族化合物を好ましいジヒドロキシ芳香族化合物として挙げることができる。これらジヒドロキシ芳香族化合物は単独で用いても良いし、2種類以上の混合物として用いても良い。
これらジヒドロキシ芳香族化合物の使用量は、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物1.0molに対し、0.8〜1.2molの範囲であることが好ましく、0.9〜1.1molの範囲がより好ましく、0.95〜1.05molの範囲がさらに好ましく、0.98〜1.03molの範囲が特に好ましい。ジヒドロキシ芳香族化合物の使用量を上記好ましい範囲にすることで、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解反応が抑制可能であり、かつ環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの分離が困難な線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成も抑制できる傾向にあるため好ましい。
(4)塩基
本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造において用いる塩基としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムなどのアルカリ金属の重炭酸塩、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウムなどのアルカリ土類金属の重炭酸塩、または水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物を挙げることができ、なかでも取り扱いの容易さ・反応性の観点から炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩、および炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの重炭酸塩が好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムがさらに好ましく、炭酸カリウムがよりいっそう好ましく用いられる。これらは単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても問題ない。また、これら塩基は無水物の形で用いることが好ましいが、水和物または水性混合物として用いることも可能である。なお、ここでの水性混合物とは水溶液、もしくは水溶液と固体成分の混合物、もしくは水と固体成分の混合物のことを指す。
次に前述の原料を用いた好ましい環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法について説明する。
(5)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法
本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法としては、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および比誘電率が27.5以上31以下である有機溶媒を含む混合物を加熱して反応させることによる製造方法が挙げられる。以下、この環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法につき詳細を記す。
本発明者らは比誘電率の異なる種々の溶媒を用いて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成物収率および混合物収率と溶媒の比誘電率の関係を研究した結果、次のような知見を得た。
(A)比誘電率が低すぎる場合、ジヒドロキシ芳香族化合物やポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶解性の低下および反応中間体であるヒドキノン塩の生成効率の低下のため反応を完結させることができない。
(B)比誘電率が高すぎる場合、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーの反応性末端に溶媒が強く配位し、環化しにくくなるため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成物および混合物収率が著しく低下する。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成物および混合物収率を最大にする溶媒の比誘電率の範囲は、上記(A)の知見から下限が定まり、(B)の知見から上限が定まる。
また上記(B)の知見は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成物および混合物収率向上において、非常に重要な知見であるが、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーの環状物形成能と誘電率の関係を分子構造から明確に示すことは、これまで実験的なアプローチからでは困難であった。そこで、発明者らは後述する分子動力学シミュレーションによって、溶媒の誘電率と環状物形成能の関係を調べた。
溶媒中での線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーの環状物形成能は、末端が接近する確率を分子シミュレーションより求め、その確率の大小から定性的に評価することができる。そこで低誘電率溶媒と高誘電率溶媒中における線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーの末端間距離分布を分子動力学シミュレーションにより比較し、それぞれの溶媒中における線状オリゴマーの環状物形成能を評価した。分子動力学法とは分子集団系の運動方程式を構成分子のすべてに対し逐一解くことにより、それぞれの分子の軌跡を求める手法である。
線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーとして下記構造式(4)で表されるモデルを使用した。
構造式(4)における繰り返し数nの範囲は3〜4である。また高誘電率溶媒モデルとして比誘電率が32(Macromolecules, 40, 1489, 2007)であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を、低誘電率溶媒モデルとして比誘電率が2.3(化学便覧基礎編 改訂2判、丸善、1975)であるp−キシレンを用いた。系の組成として溶媒に対し線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーが濃度10重量%となるように溶液系を作成した。詳細な組成を以下に示す。
Nose−Hoover chain法[M.Tuckerman,B.J.Berne and G.J.Martyna,J.Chem.Phys.,97,1990(1992).]により温度を250℃に、Andersenの方法[H.C.Andersen,J.Chem.Phys.,72,2384(1980)]により圧力を1atmに制御することで圧力・温度一定アンサンブルを構成した。静電相互作用は寄与を実空間と格子空間に分けることで無限遠までの寄与を考慮できるEwald法を用いた。それぞれの系に対し10nsの分子動力学シミュレーションを行った。分子動力学計算で用いるポテンシャルパラメータについては、ポリマーの電荷、結合長および結合角の平衡位置、二面角力場パラメータを量子化学計算によって最適化した。その他のパラメータについては、汎用パラメータDREIDING[S.L.Mayo,B.D.Olafson,W.A.Goddard III,J.Phys.Chem.,94,8897(1990).]を用いた。
分子動力学シミュレーションにより得られた末端(−Oと−F)の軌跡から直接末端間距離を算出することにより、横軸を末端間距離、縦軸をその末端間距離の出現頻度としたヒストグラムを作成し、末端間距離分布を解析した。なおヒストグラムの幅は0.1オングストローム、縦軸の出現頻度はその総和が1となるよう規格化した。末端間距離の出現頻度分布を図1に示した。線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーが環化するためには反応性の末端が5オングストローム程度にまで接近しなければならないため、図1のような末端間距離の出現頻度を比較することにより環状物の形成能を定性的に評価することができる。図1より、高誘電率溶媒中では線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーの末端同士が末端間距離5オングストローム以下の近距離に接近する確率が、低誘電率溶媒中の数分の一〜数十分の一に減少することがわかった。これは前述の通り高誘電率溶媒中では末端に強く溶媒が配位し、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーが主鎖を屈曲させ末端同士を接近させることを妨げるためと考える。シミュレーションの軌跡を可視化すると、高誘電率溶媒中では常に溶媒が末端に配位している様子が確認できた。シミュレーションの軌跡の中で代表的なスナップショットを図2に示した。以上より、高誘電率溶媒中の環状物形成能の低下メカニズムについて分子レベルでの知見を分子動力学シミュレーションより得た。
上記(A)、(B)の知見を基に、本発明者らはさらに実験を重ね、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成物および混合物収率を向上させるにあたって、有機溶媒の比誘電率が27.5以上31以下であることが好ましく、28〜30がより好ましく、28.5〜29.5の範囲がもっとも好ましいことを究明した。
また高温で反応を行うため、高温領域での安定性に優れた有機溶媒であることが望ましい。高温領域での安定性の指標として沸点を用いると、沸点が100℃以上であることが好ましく、105℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることが特に好ましい。
以上より本発明に用いる有機溶媒としては、比誘電率が27.5以上31以下かつ高温領域での安定性に優れていれば(沸点が100℃以上であることが好ましい)、反応の阻害や生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解などの好ましくない副反応を実質的に引き起こさない限り、どのような単一溶媒または混合溶媒でも良い。溶媒の価格、入手のしやすさを考慮すると、比誘電率の異なる複数種類の溶媒を所望の比誘電率になるように調整した混合溶媒が好適に用いられる。混合溶媒の組み合わせとしては、少なくとも1種類の極性溶媒と少なくとも1種類の非極性溶媒を混合したものが好ましい。極性溶媒としては、反応阻害および副反応を引き起こさないことを考慮すると非プロトン性極性溶媒が好ましい。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド(スルホラン)などのスルホキシド・スルホン系溶媒、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、ジフェニルエーテルなどのジアリールエーテル類、ベンゾフェノン、アセトフェノンなどのケトン類、およびこれらの混合物などが好適に用いられる。また、非極性溶媒としては例えば、オクタン、デカンなどの脂肪族系非極性溶媒、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンなどの芳香族系非極性溶媒、およびこれらの混合物などが好適に用いられる。これらの溶媒のなかでもN−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドおよびテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドから選ばれる少なくとも1種とo−、m−、p−キシレンおよびトルエンから選ばれる少なくとも1種の混合溶媒がより好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドから選ばれる少なくとも1種とp−キシレンおよび/またはトルエンを混合し前述の範囲に比誘電率を調整したものが特に好ましく用いられる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造する際の混合物中の有機溶媒の量は、好ましくは混合物中のベンゼン環成分1.0molに対して1.2リットル以上、より好ましくは1.3リットル以上、さらに好ましくは1.5リットル以上、特に好ましくは2.0リットル以上含むものが望まれる。また、混合物中の有機溶媒の量の上限に特に制限はないが、混合物中のベンゼン環成分1.0molに対して100リットル以下であることが好ましく、50リットル以下がより好ましく、20リットル以下がさらに好ましく、10リットル以下が特に好ましい。有機溶媒の使用量を多くすると、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン生成の選択率(分子内で反応が生じ環化するか、分子間で反応が生じ線状ポリマーとなるかの確率)が向上する傾向となるが、多すぎる場合、反応容器の単位体積当たりの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成量が低下する傾向にあり、さらに反応に要する時間が長時間化する傾向にある。従って、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成選択率と生産性を両立するとの観点から、前記した有機溶媒の使用範囲とすることが好ましい。なお、ここでの有機溶媒の量は、常温常圧下での溶媒の体積を基準とし、反応混合物における有機溶媒の使用量とは、反応系内に導入した有機溶媒の量から脱水操作などにより反応系外に除外された有機溶媒の量を差し引いた量である。また、ここでの混合物中のベンゼン環成分とは、反応により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン構成成分となり得る原料に含まれるベンゼン環成分であり、これら原料におけるベンゼン環成分の「モル数」とは「化合物を構成するベンゼン環の数」を表す。例えば、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1molはベンゼン環成分2mol、ヒドロキノン1molはベンゼン環成分1mol、さらに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1molとヒドロキノン1molを含む混合物はベンゼン環成分3molを含む混合物と計算する。また、トルエンなど反応により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン構成成分と成り得ない成分はベンゼン環成分0molとみなす。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法における塩基の使用量は、ジヒドロキシ芳香族化合物に対して化学量論的比率として当量以上が望ましく、塩基の具体的な使用量は、例えば炭酸ナトリウムや炭酸カリウムのような2価の塩基の使用量をYmol、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウムのような1価の塩基の使用量をZmolとした場合、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造する際に用いたジヒドロキシ芳香族化合物1.0molに対して(Y+2Z)が1.0から1.1molの範囲にあることが好ましく、1.00molから1.05molの範囲にあることがより好ましく、1.00molから1.03molの範囲にあることがさらに好ましく例示できる。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造する際の塩基の使用量がこれら好適な範囲にあることにより、ジヒドロキシ芳香族化合物の金属塩を十分に生成させることが可能であり、さらに大過剰の塩基による生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解反応といった好ましくない反応の進行を抑制することもできるため好ましい。
また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造するに際し、ジヒドロキシ芳香族化合物と塩基から別途調製したジヒドロキシ芳香族化合物の金属塩を用いることもでき、この場合には上記した好ましい塩基を追加して、過剰量の塩基を供給することができる。この供給する塩基の過剰量は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造するために用いたジヒドロキシ芳香族化合物1.0molに対して(Y+2Z)が0〜0.10molの範囲にあることが好ましく、0〜0.05molの範囲にあることが好ましく、0〜0.03molの範囲にあることがさらに好ましく例示できる。塩基の過剰量を好適な範囲にすることにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解反応といった好ましくない反応の進行を抑制することもできるため好ましい。
ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および比誘電率が27.5以上31以下である有機溶媒を含む混合物を加熱して反応させる反応温度は、反応に用いるジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機溶媒の種類、量によって多様化するため一意的に決めることはできないが、通常120〜350℃、好ましくは150〜330℃、より好ましくは200〜320℃の範囲が例示できる。これら好ましい温度範囲ではより高い反応速度が得られる傾向にある。また、反応は一定の温度で行う1段階反応、段階的に温度を上げていく多段反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応のいずれでも構わない。
反応時間は、使用した原料の種類や量、あるいは反応温度に依存するので一概に規定することはできないが、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。この好ましい時間以上とすることで、未反応の原料成分を十分に減少できる傾向にある。一方、反応時間に特に上限はないが、40時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは10時間以内、より好ましくは6時間以内も採用できる。
ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および比誘電率が27.5以上31以下である有機溶媒を含む混合物を加熱して反応させる際、混合物には前記必須成分以外に実質的に反応を阻害しない成分や、反応を加速する効果を有する成分を加えることも可能である。本製造方法においては、バッチ式および連続式などの公知の各種重合方式、反応方式を採用することができる。また、製造における雰囲気は非酸化性雰囲気下が望ましく、窒素、ヘリウム、およびアルゴンなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましく、経済性および取り扱いの容易さから窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
また、上記反応は、反応系内に水が多量に存在すると、反応速度の低下や環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの分離が困難な副反応生成物が生成するといった悪影響が顕在化する傾向にある。反応中に系内に存在する水分量としては、3.0重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以下であることがさらに好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることが特に好ましい。従って、塩基として水和物や水性混合物を用いた場合の水や反応により副生する水を、必要に応じて反応系外への除外操作を行うことにより、水分量をこの好ましい範囲以下とすることが好ましい。なお、ここでの系内に存在する水分量は反応混合物総重量に対する重量分率であり、水分量はカールフィッシャー法により測定することができる。脱水操作を行う時期に特に制限はないが、(a)必須成分を混合した後、または(b)ジハロゲン化芳香族ケトン化合物以外の必須成分を混合した後であることが好ましい。ここで(b)による方法で脱水操作を行った場合、脱水操作後にジハロゲン化芳香族ケトン化合物、もしくはジハロゲン化芳香族ケトン化合物および比誘電率が27.5以上31以下の有機溶媒を加えることにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造を行う。水の除去方法としては、例えば高温加熱による脱水が挙げられる。脱水温度として通常60〜170℃、好ましくは80〜170℃、より好ましくは100〜170℃の範囲を例示できる。
なお、水の除去は好ましい温度範囲内における一定温度で行う方法、段階的に温度を上げていく方法、もしくは連続的に温度を変化させていく形式の方法のいずれでも構わない。
(6)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法
本発明の(5)項に記した手法により得られた反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを分離回収することが可能である。上記製造方法により得られた反応混合物には少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒が含まれ、その他成分として未反応原料や副生塩、水などが含まれる場合もある。この様な反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収する方法に特に制限はなく、例えば必要に応じて有機溶媒の一部もしくは大部分を蒸留などの操作により除去した後に、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分に対する溶解性が低く、有機溶媒と混和し、副生塩に対して溶解性を有する溶剤と必要に応じて加熱下で接触させて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合固体として回収する方法が例示できる。このような特性を有する溶剤は一般に比較的極性の高い溶剤であり、用いた有機溶媒や副生塩の種類により好ましい溶剤は異なるので限定はできないが、例えば水やメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノールに代表されるアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンに代表されるケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどに代表される酢酸エステル類が例示でき、入手性、経済性の観点から水、メタノールおよびアセトンが好ましく、水が特に好ましい。
このような溶剤による処理を行うことにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合固体に含有される有機溶媒や副生塩の量を低減することが可能である。この処理により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは共に固体成分として析出するので、公知の固液分離法により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物を回収することが可能であり、これにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合固体に含有される有機溶媒や副生塩の量がさらに低減される傾向にある。
また、上記の溶剤による処理方法としては、溶剤と反応混合物を混合する方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。溶剤による処理を行う際の温度に特に制限はないが、20〜220℃の範囲が好ましく、50〜200℃の範囲がさらに好ましい。このような範囲では例えば副生塩の除去が容易となり、また比較的低圧の状態で処理を行うことが可能であるため好ましい。ここで、溶剤として水を用いる場合、水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましいが、必要に応じてギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、アクリル酸、クロトン酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などの有機酸性化合物およびそのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、また、硫酸やリン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物およびアンモニウムイオンなどを含む水溶液を用いることも可能である。この処理後に得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合固体が、処理に用いた溶剤を含有する場合には必要に応じて乾燥などを行い、溶剤を除去することも可能である。
上記した回収方法では、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合物として回収され、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が得られる。この組成物の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの含有量をさらに上げるためにこの混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを分離回収する方法としては、例えば環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶解性の差を利用した分離方法、より具体的には、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性が高く、且つ線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性に乏しい溶剤を、必要に応じて加熱下で上記環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合物と接触させて、溶剤可溶成分として環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得る方法が例示できる。一般に線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは結晶性が高く、溶剤への溶解性が非常に低いという特徴を有することが知られており、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶剤への溶解性の違いが大きいため、上記の溶解性の差を利用した分離方法により効率よく環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得ることが可能である。
ここで用いる溶剤としては環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを溶解可能な溶剤であれば特に制限はないが、溶解を行う環境において環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは溶解するが、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは溶解しにくい溶剤が好ましく、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは溶解しない溶剤がより好ましい。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合物を前記溶剤と接触させる際の反応系圧力は常圧もしくは微加圧が好ましく、特に常圧が好ましく、このような圧力の反応系はそれを構築する反応器の部材が安価であるという利点がある。このような観点から反応系圧力は、高価な耐圧容器を必要とする加圧条件は避けることが望ましい。用いる溶剤としてはポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分の分解や架橋など好ましくない副反応を実質的に引き起こさないものが好ましく、上記混合物を溶剤と接触させる操作を、例えば常圧還流条件下で行う場合に好ましい溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トリメチルリン酸、N、N−ジメチルイミダゾリジノンなどの極性溶媒を例示できるが、なかでもベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トリメチルリン酸、N,N−ジメチルイミダゾリジノンが好ましく、トルエン、キシレン、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフランがより好ましく例示できる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物を溶剤と接触させる際の雰囲気に特に制限はないが、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、この中でも特に経済性および取り扱いの容易さの観点から窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
上記、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物を溶剤と接触させる温度に特に制限はないが、一般に温度が高いほど環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶剤への溶解は促進される傾向にある。前記した通り、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物の溶剤との接触は常圧下で行うことが好適であるため、上限温度は使用する溶剤の大気圧下での還流温度にすることが好ましく、前記した好ましい溶剤を用いる場合には例えば20〜150℃を具体的な温度範囲として例示できる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物を溶剤と接触させる時間は、用いる溶剤の種類や温度などによって異なるため一意的には限定できないが、例えば1分〜50時間が例示でき、このような範囲では環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶剤への溶解が十分になる傾向にある。
上記混合物を溶剤と接触させる方法は、公知の一般的な手法を用いれば良く、特に限定はないが、例えば環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物と溶剤を混合し、必要に応じて撹拌した後に溶液部分を回収する方法、各種フィルター上の上記混合物に溶剤をシャワーすると同時に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを溶剤に溶解させる方法、ソックスレー抽出法原理による方法などいかなる方法も用いることができる。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物と溶剤を接触させる際の溶剤の使用量に特に制限はないが、例えば混合物重量に対する浴比で0.5〜100の範囲が例示できる。浴比がこの様な範囲の場合、上記混合物と溶剤を均一に混合し易く、また環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが溶剤に十分に溶解し易くなる傾向にある。一般に浴比が大きい方が環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶剤への溶解には有利であるが、大きすぎてもそれ以上の効果は望めず、逆に溶剤使用量増大による経済的不益が生じることがある。なお、混合物と溶剤の接触を繰り返し行う場合は、小さい浴比でも十分な効果が得られる場合が多く、ソックスレー抽出法は、その原理上、類似の効果が得られるのでこの場合も小さい浴比で十分な効果が得られる場合が多い。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物を溶剤と接触させた後に、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを溶解した溶液が固形状の線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む固液スラリー状で得られた場合、公知の固液分離法を用いて溶液部を回収することが好ましい。固液分離方法としては、例えば濾過による分離、遠心分離、デカンテーションなどを例示できる。このようにして分離した溶液から溶剤の除去を行うことにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収が可能となる。一方、固体成分については環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンがまだ残存している場合、再度溶剤との接触および溶液の回収を繰り返し行うことにより高い組成物および混合物収率で環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得ることも可能である。
前述のようにして得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む溶液から溶剤の除去を行い、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを固形成分として得ることが可能である。ここで溶剤の除去は、例えば加熱し、常圧下で処理する方法や、膜を利用した溶剤除去を例示できるが、より組成物および混合物収率を高く、また効率よく環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得るとの観点では常圧以下で加熱して溶剤を除去する方法が好ましい。なお、前述のようにして得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む溶液は温度によっては固形物を含む場合もあるが、この場合の固形物も環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに属するものであるので、溶剤の除去時に溶剤に可溶の成分とともに回収することが好ましく、これにより高い組成物および混合物収率で環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得られるようになる。ここで溶剤の除去は、少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、よりいっそう好ましくは95重量%以上の溶剤を除去することが好ましい。加熱による溶剤の除去を行う際の温度は用いる溶剤の種類に依存するため一意的には限定できないが、通常、20〜150℃、好ましくは40〜120℃の範囲が選択できる。また、溶剤の除去を行う圧力は常圧以下が好ましく、これにより溶剤の除去をより低温で行うことが可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の定量分析に高速液体クロマトグラフィー、赤外分光分析装置(IR)、示差走査型熱量測定装置(DSC)、オストワルド型粘度計を用いた。また合成に用いた溶媒の比誘電率は数式(1)、(2)によって算出し、還元粘度は数式(3)によって算出した。詳細は以下の通りである。
(A)測定装置
(高速液体クロマトグラフィー)
装置 :島津株式会社製 LC−10Avpシリーズ
カラム :関東化学株式会社製 Mightysil RP−18GP150−4.6
検出器 :フォトダイオードアレイ検出器(UV=270nmを使用)
カラム温度 :40℃
サンプル :0.1重量%THF溶液
移動相 :THF/0.1w%トリフルオロ酢酸水溶液。
(マススペクトル分析)
装置 ;株式会社日立製作所製 M−1200H。
(MALDI−TOF−MS)
装置 ;島津製作所製AXIMA−TOF2。
(示差走査型熱量測定)
装置 :セイコーインスツル株式会社製 ロボットDSC。
(赤外分光分析)
装置 :Perkin Elmer System 2000 FT−IR
サンプル調製:KBr法。
(粘度測定)
粘度計 :オストワルド型粘度計
溶媒 :98重量%硫酸
サンプル濃度:0.1g/dL(サンプル重量/溶媒容量)
測定温度 :25℃
還元粘度計算式:数式(3)。
(B)純溶媒の比誘電率
N−メチル−2−ピロリドン :32(Macromolecules, 40, 1489, 2007)
トルエン :2.4(化学便覧基礎編 改訂2判、丸善、1975)
p−キシレン :2.3(化学便覧基礎編 改訂2判、丸善、1975)
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン:37.6(J. Chem. Eng. Data, 21(2), 150, 1976)
テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド :42.2(J.Chem.Eng.Data, 47(3), 421, 2002)
ジフェニルエーテル :3.7(化学便覧基礎編 改訂2判、丸善、1975)。
(C)混合溶媒の比誘電率
混合溶媒比誘電率計算式 :数式(1)、(2)。
[実施例1]
有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン45mL、トルエン5mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は29.0であった。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.091g(5mmol)、ヒドロキノン0.551g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.691g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
このようにして得られた反応混合物25gを分取し、1重量%酢酸水溶液75gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水25gに分散させ70℃で30分間保持して濾過して固形分を得る操作を3回繰り返した。得られた固形分を70℃で一晩真空乾燥に処し、乾燥固体0.61gを得た。
さらに、上記で得られた乾燥固体0.5gをクロロホルム50gを用いて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム1gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール15gに滴下した。これにより生じた析出成分を平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。
この白色粉末は赤外分光分析における吸収スペクトルよりフェニレンエーテルケトン単位からなる化合物であることを確認、また高速液体クロマトグラフィーにより成分分割したマススペクトル分析、さらにMALDI−TOF−MSによる分子量情報により、この白色粉末は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることが分かった。また反応に用いたヒドロキノン1molに対する、得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物(白色固体)の収率(組成物収率)は16.3mol%であった。さらに、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物(白色固体)中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は87重量%であった。よって、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中に含まれる、繰り返し数mが2〜8の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物のヒドロキノン1molに対する収率(混合物収率)は14.2mol%であった。なお、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外の成分は線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーであった。このような環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点を測定した結果、160℃の融点を有することが分かった。また、オストワルド粘度計と数式(3)より還元粘度を測定した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は0.02dL/g未満の還元粘度を有していることが分かった。
[実施例2]
有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン42.5mL、トルエン7.5mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は27.6であった。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.091g(5mmol)、ヒドロキノン0.551g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.691g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を15.8mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とし、また環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は89重量%であり、混合物収率は14.1mol%であった。さらに、得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は162℃の融点を有することが分かった。また環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は0.02dL/g未満の還元粘度を有していることが分かった。
[実施例3]
有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン43mL、p−キシレン7mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は27.8であった。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.091g(5mmol)、ヒドロキノン0.551g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.691g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を16.0mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とし、また環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は87重量%であり、混合物収率は13.9mol%であった。さらに、得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は161℃の融点を有することが分かった。また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は0.02dL/g未満の還元粘度を有していることが分かった。
[実施例4]
有機溶媒としてテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド33mL、トルエン17mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は28.7であった。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.092g(5mmol)、ヒドロキノン0.550g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.693g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を15.9mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とし、また環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は88重量%であり、混合物収率は14.0mol%であった。さらに、得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は164℃の融点を有することが分かった。また環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は0.02dL/g未満の還元粘度を有していることが分かった。
[実施例5]
有機溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン40mL、トルエン10mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は30.6であった。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.092g(5mmol)、ヒドロキノン0.551g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.692g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を16.2mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とし、また環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は87重量%であり、混合物収率は14.1mol%であった。さらに、得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は160℃の融点を有することが分かった。また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は0.02dL/g未満の還元粘度を有していることが分かった。
[比較例1]
有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン50mLを用いた。この有機溶媒の比誘電率は32.0である。
撹拌機を具備した100mLオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.092g(5mmol)、ヒドロキノン0.552g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.691g(5mmol)、N−メチル−2−ピロリドン50mLを仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を15.0mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は88%であり、混合物収率は13.2mol%であった。
[比較例2]
有機溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン50mLを用いた。この有機溶媒の比誘電率は37.6である。
攪拌機を具備した100mLオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.091g(5mmol)、ヒドロキノン0.550g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.692g(5mmol)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン50mLを仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を11.9mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は83重量%であり、混合物収率は9.9mol%であった。
[比較例3]
有機溶媒としてテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド50mLを用いた。この有機溶媒の比誘電率は42.2である。
撹拌機を具備した100mLオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.091g(5mmol)、ヒドロキノン0.552g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.690g(5mmol)、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド50mLを仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を9.3mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は79重量%であり、混合物収率は7.3mol%であった。
[比較例4]
有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン25mL、トルエン25mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は17.2であり。
撹拌機を具備した100mLオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.092g(5mmol)、ヒドロキノン0.552g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.691g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を4.1mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は63重量%であり、混合物収率は2.6mol%であった。
[比較例5]
有機溶媒としてジフェニルエーテル50mLを用いた。この有機溶媒の比誘電率は3.7である。
撹拌機を具備した100mLオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.091g(5mmol)、ヒドロキノン0.550g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.692g(5mmol)、ジフェニルエーテル50mLを仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
このようにして得られた反応混合物には原料が残存しており、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成は確認されなかった。
[比較例6]
有機溶媒としてテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド40mL、トルエン10mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は34.2であり。
撹拌機を具備した100mLオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.090g(5mmol)、ヒドロキノン0.553g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.691g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を12.3mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は79重量%であり、混合物収率は9.7mol%であった。
[比較例7]
有機溶媒としてテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド30mL、トルエン20mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は26.3であり。
撹拌機を具備した100mLオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.091g(5mmol)、ヒドロキノン0.553g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.692g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を12.7mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は84重量%であり、混合物収率は10.7mol%であった。
[比較例8]
有機溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン44mL、トルエン6mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は33.4であり。
撹拌機を具備した100mLオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.091g(5mmol)、ヒドロキノン0.550g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.691g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を14.2mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は86重量%であり、混合物収率は12.2mol%であった。
[比較例9]
有機溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン34mL、トルエン16mLの混合溶媒を用いた。数式(1)、(2)によって算出した混合溶媒の比誘電率は26.3であり。
撹拌機を具備した100mLオートクレーブに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.095g(5mmol)、ヒドロキノン0.550g(5mmol)、無水炭酸カリウム0.690g(5mmol)、上記混合溶媒を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
実施例1記載の方法により上記反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を14.0mol%の組成物収率で得た。得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は84重量%であり、混合物収率は11.8mol%であった。
実施例1〜5および比較例1〜9に対応する合成に用いた溶媒の比誘電率、および環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および混合物収率を図3、4に示した。
図3、4より有機溶媒の比誘電率が31を超える範囲では、比誘電率が低下するに際し環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成物および混合物収率が上昇する(比較例1〜3、6、8)。また比誘電率が27.5未満の範囲では、比誘電率が低下するに際し環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成物および混合物収率が低下する(比較例4、7、9)。さらに比誘電率が極端に低い溶媒の場合には、反応が起こらない(比較例5)。一方溶媒の比誘電率を27.5以上31以下に調整した、実施例1〜5では、比較例1〜9に比べ非常に大きな組成物および混合物収率で環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および混合物を製造することができた。
以上より溶媒の比誘電率を27.5以上31以下に調整することにより効率的に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および混合物を製造することができる。

Claims (6)

  1. 少なくともジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および比誘電率が27.5以上31以下である有機溶媒を含む混合物を加熱し反応させることを特徴とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
  2. 有機溶媒が混合溶媒であり、かつ混合溶媒の比誘電率が27.5以上31以下であることを特徴とする請求項1に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
  3. 沸点が100℃以上の溶媒のみで構成される混合溶媒を用いることを特徴とする請求項2に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
  4. 混合溶媒が非プロトン性極性溶媒と非極性溶媒を含むことを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
  5. 非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる少なくとも1種を用い、非極性溶媒としてトルエンおよび/またはp−キシレンを用いることを特徴とする請求項4に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
  6. ジヒドロキシ芳香族化合物がヒドロキノンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法。
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