JPWO2007017992A1 - 圧電振動デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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宏征 石原
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Abstract

水晶振動子では、ベースとキャップとが接合されて筐体であるパッケージが構成され、このパッケージ内に内部空間が形成される。この内部空間のベース上に、水晶振動片が保持されるとともに、パッケージの内部空間が気密封止されている。また、このベースへの水晶振動片の搭載について、内部空間内における水晶振動片の+X軸方向が設定されている。

Description

本発明は、圧電振動デバイス及びその製造方法に関する。
現在、圧電振動デバイスとして、例えば、音叉型水晶振動子(以下、水晶振動子という)などが挙げられる。この種の圧電振動デバイスでは、その筐体がベースとキャップとから構成され、筐体内部は気密封止されている。また、この筐体内部では、水晶振動片が、ベース上の電極パッドに導電性接着剤を介して接合されている。
この水晶振動片は、その基板が、基部と、この基部から突出した2本の脚部とから構成されてなり、異電位で構成された励振電極が脚部に形成されている。また、基板には、基部において励振電極を電極パッドと電気的に接続させるための引出電極が形成されている。この引出電極は、励振電極から引き出し形成されている(例えば、特許文献1ご参照)。
特開2004−200910号公報
ところで、上記したような水晶振動子の耐衝撃性を測るために、水晶振動子を落下させて、落下前後の水晶振動子の特性(周波数や抵抗値(CI値)など)の変動量を測定すると、落下衝撃により、落下前後の水晶振動子の特性に変動が見られる。特に、周波数変動は、導電性接着剤を介した水晶振動片と電極パッドとの接着状態に起因し、周波数が低くなる。
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、衝撃時の周波数変動を抑えた圧電振動デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、ベースとキャップとから内部空間を有するパッケージが構成され、前記内部空間内の前記ベース上に圧電振動片が保持された圧電振動デバイスにおいて、前記内部空間内における前記圧電振動片の+X軸方向が設定されたことを特徴とする。
本発明によれば、前記内部空間内における前記圧電振動片の前記+X軸方向が設定されているので、衝撃時の周波数変動を抑えることが可能となる。また、本発明は、他の軸方向(例えば±Y軸,±Z軸など)に限定されるものではないため、他の軸方向を任意の方向に向けることが可能となる。その結果、前記内部空間内における前記圧電振動片の保持設計の自由度を増やすことが可能となる。なお、ここでいう+X軸方向とは、+X軸方向から数度傾いた+X軸方向も含む。すなわち、他の軸方向から+X軸方向と認識できる+X軸方向のずれは本発明でいう+X軸方向の定義に含まれるが、ずれのない+X軸方向が好適である。
前記構成において、前記圧電振動片には、前記+X軸方向を判別する判別手段が設けられてもよい。
この場合、前記圧電振動片には前記+X軸方向を判別する判別手段が設けられているので、容易に前記内部空間内における前記圧電振動片の保持位置をその前記+X軸方向に基づいて設定することが可能となる。そのため、前記圧電振動片の保持位置を間違えることを減らすことが可能となり、その結果、歩留まりを向上させることが可能となる。
前記構成において、前記圧電振動片は、基部と、この基部から突出した複数本の脚部とから構成され、前記判別手段は、前記脚部の突出端部に設けられてもよい。
この場合、前記圧電振動片は、基部と、この基部から突出した複数本の脚部とから構成され、前記判別手段は、前記脚部の突出端部に設けられているので、前記+X軸方向を判別するために、前記圧電振動片全体を判別対象とする必要がなく、判別対象を前記突出端部に限定することが可能となる。その結果、容易に前記圧電振動片の前記+X軸方向を判別することが可能となる。
前記構成において、前記突出端部には、突出端面と±X軸側側面とが含まれ、前記判別手段は、前記突出端面から前記−X軸側側面にかけて形成された切欠部であってもよい。
具体的に、前記判別手段は、前記突出端面から前記−X軸側側面にかけて形成された前記切欠部である。この場合、前記突出端部の前記切欠部の位置を確認することで容易に前記圧電振動片の前記+X軸方向を判別することが可能となる。
前記構成において、前記圧電振動片は、基部と、この基部から突出した複数本の脚部とから構成され、前記脚部に、異電位で構成された励振電極が形成され、前記基部および前記脚部に、前記励振電極を前記基部で外部電極と電気的に接続させるために前記励振電極から引き出された引出電極が形成され、前記基部の表側主面に、少なくとも一つの側面から±X軸方向に沿って溝部が形成されてもよい。
この場合、前記圧電振動片は、基部と前記複数本の脚部とから構成され、前記脚部に前記励振電極が形成され、前記基部および前記脚部に前記引出電極が形成され、前記基部の表側主面に、少なくとも一つの側面から±X軸方向に沿って溝部が形成されているので、衝撃時の周波数変動を抑えるのに好適である。具体的に、振動方向に垂直に前記複数の溝部が形成されているので、前記溝部によって、前記脚部から前記基部を介して外部へ伝わる振動漏れを抑制することが可能となる。
前記構成において、前記基部の表側主面には、前記溝部が±Y軸方向に沿って複数形成されてもよい。
この場合、前記基部の前記表側主面に前記溝部が±Y軸方向に沿って複数形成されているので、前記複数の溝部によって、前記脚部から前記基部を介して外部へ伝わる振動漏れを抑制することが可能となる。また、本発明では、前記溝部が前記±Y軸方向に沿って複数形成されるので、1つの溝部が形成された場合と比較して、前記脚部から前記基部を介して外部へ伝わる振動漏れを抑制するのに好ましい。さらに、本発明では前記溝部が前記±Y軸方向に沿って複数形成されるので、1つの溝部が形成された場合と比較して、前記各溝部の前記±Y軸方向の寸法は短くなるように設定されることが想定される。この場合、1つの溝部が形成された場合と比較して、本発明にかかる圧電振動片の前記基部の強度を上げることが可能となる。
前記構成において、前記溝部の少なくとも1つの前記±X軸方向の寸法は、その前記±Y軸方向側に隣接する他の前記溝部の前記±X軸方向の寸法より長くてもよい。
この場合、前記溝部の少なくとも1つの前記±X軸方向の寸法は、その前記±Y軸方向向側に隣接する他の前記溝部の前記±X軸方向の寸法より長いので、前記基部の表側主面に形成される前記引出電極の形成領域を確保することが可能となる。そのため、前記溝部の形成による前記引出電極のショートを防ぐことが可能となる。
前記構成において、前記表側主面の前記溝部が形成された部位に対向する前記基部の裏側主面の対向部位で、前記引出電極と外部電極とが電気的に接続されてもよい。
この場合、前記表側主面の前記溝部が形成された部位に対向する前記基部の前記裏側主面の対向部位で、前記引出電極と外部電極とが電気的に接続されるので、電極の導通面積によって、温度特性に影響を及ぼすのを抑制することが可能となる。また、製造工程における常温偏差の周波数のバラツキを抑えることが可能となる。
すなわち、前記表側主面の前記溝部が形成された部位に対向する前記裏側主面の前記対向部位に前記溝部が形成された場合、前記引出電極だけでなく基板素地にも外部電極(導電性接着剤を介在させた場合、導電性接着剤も含む)が接着する。なお、前記溝部内には電極が形成されないものとする。このとき、前記引出電極の面積が減少することで、結果として前記引出電極と外部電極との導電性接着剤による導通面積が減少するので、温度特性を悪くする傾向にある。ここでいう温度特性とは、温度変化に対する抵抗値(基板に水晶が用いられている場合はCI値)の変動を示す特性で、一部の温度において抵抗値が急激に変化する(ジャンプする)という不具合があった。これに対して、本発明では、前記表側主面の前記溝部が形成された部位に対向する前記裏側主面の前記対向部位に前記溝部が形成されていないので、このような不具合がなく、温度特性に影響を及ぼすのを抑制することが可能となる。
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスの製造方法は、内部空間を有するパッケージをベースとキャップとから構成し、前記内部空間内の前記ベース上に圧電振動片を保持する圧電振動デバイスの製造方法において、前記内部空間内における前記圧電振動片の+X軸方向を設定する設定工程と、前記設定工程で設定した前記+X軸方向に前記圧電振動片の前記+X軸方向をあわせて前記圧電振動片を前記ベース上に保持する保持工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、前記設定工程と前記保持工程とを有するので、衝撃時の周波数変動を抑えることが可能となる。また、本発明は、他の軸方向(±Y軸、±Z軸など)に限定されるものではないため、他の軸方向を任意の方向に向けることが可能となる。その結果、前記内部空間内における前記圧電振動片の保持設計の自由度を増やすことが可能となる。
前記方法において、前記圧電振動片の前記+X軸方向を判別する判別工程を有してもよい。
この場合、前記判別工程を有するので、容易に前記内部空間内における前記圧電振動片の保持位置を前記+X軸方向に基づいて設定することが可能となる。そのため、前記圧電振動片の保持位置を間違えることを減らすことができ、その結果、歩留まりを向上させることが可能となる。
本発明にかかる圧電振動デバイスおよびその製造方法によれば、衝撃時の周波数変動を抑えることが可能となる。
図1は、本実施例にかかる、キャップを外した状態の水晶振動子の概略平面図である。 図2は、本実施例にかかる水晶振動子の内部空間を示した概略側面図である。 図3(a)は、本実施例にかかる水晶振動片の概略平面図である。図3(b)は、本実施例にかかる水晶振動片の概略裏面図である。 図4は、本実施例の他の例にかかる水晶振動片の概略平面図である。 図5は、本実施例の別の実施例にかかる、キャップを外した状態の水晶振動子の概略平面図である。 図6は、本実施例の別の実施例にかかる水晶振動子の内部空間を示した概略側面図である。
符号の説明
1 水晶振動子(圧電振動デバイス)
11 ベース
12 キャップ
13 内部空間
2 水晶振動片(圧電振動片)
221,222 第1,2脚部(脚部)
23 基部
231,232 基部の両側端(基部の側面)
233 溝部
241 表側主面
242 裏側主面
26 突出端部
261 突出端面
262,263 ±X軸側側面
264 切欠部
27,28 第1,2励振電極(励振電極)
291,292 引出電極
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとして音叉型水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
本実施例にかかる音叉型水晶振動子1(以下、水晶振動子という)は、図1,2に示すように、フォトリソグラフィ法で成形された音叉型水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片であり、以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持するベース11と、ベース11に保持した水晶振動片2を気密封止するためのキャップ12とからなる。
この水晶振動子1では、図1,2に示すように、ベース11とキャップ12とが接合されて筐体であるパッケージが構成され、このパッケージ内に内部空間13が形成される。この内部空間13のベース11上に、水晶振動片2が保持されるとともに、パッケージの内部空間13が気密封止されている。この際、ベース11と水晶振動片2とは、導電性接着剤14を用いて接合されている。
次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
ベース11は、図1,2に示すように、底部と、この底部から上方に延出した壁部とから構成される箱状体に形成されている。このベース11は、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板上に、セラミック材料の直方体が積層して凹状に一体的に焼成されている。また、壁部は、底部の表面外周に沿って成形されている。この壁部の上面は、キャップ12との接合領域であり、この接合領域には、キャップ12と接合するためのメタライズ層(図示省略)が設けられている。
また、セラミック材料が積層して凹状に一体的に焼成されたベース11の内部空間13における側壁には、図2に示すように、段部15が形成され、この段部15上に下記する電極パッド161,162が形成され、これら電極パッド161,162上に水晶振動片2が片保持して設けられる。
また、内部空間13内のベース11の段部15の表面には、水晶振動片2の励振電極27,28(下記参照)と電気的に接続する電極パッド161,162が形成されている。これら電極パッド161,162は、それぞれに対応した引回し電極171,172を介して、ベース11の裏面111に形成される端子電極(図示省略)に電気的に接続され、これら端子電極が外部部品や外部機器の外部電極に接続される。なお、これらの端子電極、電極パッド161,162、引回し電極171,172は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース11と一体的に焼成して形成される。そして、これらの端子電極、電極パッド161,162、引回し電極171,172のうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
キャップ12は、金属材料からなり、図2に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形されている。このキャップ12は、下面にろう材(図示省略)が形成されており、シーム溶接やビーム溶接等の手法によりベース11に接合されて、キャップ12とベース11とによる水晶振動子1のパッケージが構成される。なお、本実施例でいう内部空間13とは、キャップ12とベース11により気密封止された領域のことをいう。また、キャップ12をセラミック材料とし、ガラス材料を介して気密封止してもよい。
導電性接着剤14の材料には、複数の銀フィラを含有したシリコンが用いられ、導電性接着剤14を硬化させることで、複数の銀フィラが結合して導電性物質となる。
次に、内部空間13に配された水晶振動子1の各構成について説明する。
水晶振動片2は、図1〜3に示すように、音叉型水晶振動片であり、異方性材料の水晶片である基板21からエッチング形成される。
基板21は、2本の脚部221,222(第1脚部,第2脚部)と、基部23とから構成され、2本の脚部221,222が基部23から突出して形成されている。
また、第1,2脚部221,222の両主面(表側主面241と裏側主面242)には、水晶振動子1の小型化により劣化するCI値を改善させるために、凹溝部25が形成されている。
さらに、水晶振動片2には、+X軸方向を判別する判別手段が設けられている。この判別手段は、第1,2脚部221,222それぞれの突出端部26に設けられている。なお、ここでいう突出端部には、突出端面261と、±X軸側側面262,263(図3(a)に示す第1,2脚部221,222それぞれの左側側面が+X軸側側面262であり、右側側面が−X軸側側面263である)と、表裏側主面241,242とから構成されている。そして、判別手段は、突出端面261から−X軸側側面263にかけて形成された切欠部264である。また、ここでいう+X軸方向とは、+X軸方向から数度傾いた+X軸方向も含む。すなわち、他の軸方向から+X軸方向と認識できる+X軸方向のずれは本実施例でいう+X軸方向の定義に含まれるが、ずれのない+X軸方向が好適である。
この水晶振動片2の表側主面241には、異電位で構成された2つの励振電極27,28(第1励振電極,第2励振電極)と、これらの第1,2励振電極27,28を電極パッド161,162に電気的に接続させるための引出電極291,292が形成され、引出電極291,292は第1,2励振電極27,28から引き出されている。そして、引出電極291,292と電極パッド161,162が導電性接着剤14を介して接合されて、引出電極291,292と電極パッド161,162とが電気的に接続される。
第1励振電極27は、図3に示すように、第1脚部221の表裏側主面241,242に形成された第1主面電極271と、第2脚部222の両側面(対向側面等)に形成された第2側面電極272とにより構成される。そして、これら第1主面電極271と第2側面電極272とが引出電極291によって接続されている。
同様に、第2励振電極28は、図3に示すように、第2脚部222の表裏側主面241,242に形成された第2主面電極281と、第1脚部221の両側面(対向側面等)に形成された第1側面電極282とにより構成される。そして、これら第2主面電極281と第1側面電極282とが引出電極292によって接続されている。
上記した第1,2励振電極27,28は、例えば、クロムの下地電極層と、金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成される。また、上記した引出電極291,292は、例えば、クロムの下地電極層と、金の中間電極層と、クロムの上部電極層と、から構成された積層薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成され、クロムの上部電極層のみが部分的にマスクして真空蒸着法等の手法により形成される。
また、基部23の表側主面241に、図3(a)に示すように、その両側端231,232からそれぞれ±X軸方向に沿って溝部233が形成されている。また、両側端231,232それぞれにおいて、溝部233が±Y軸方向に沿って4つずつ形成されている。
また、これら溝部233の少なくとも一つの±X軸方向の寸法は、その+Y軸方向側に隣接する他の溝部233の±X軸方向の寸法より長い。具体的に、基部23の脚部側に形成されている溝部233の±X軸方向の寸法は、他の溝部233の±X軸方向の寸法より長い。
また、基部23の表側主面241の溝部233が形成された部位に対向する基部23の裏側主面242の対向部位まで引出電極291,292が引き出され、この基部23の裏側主面242の対向部位において、引出電極291,292と電極パッド161,162とが導電性接着剤14を介して電気的に接続される。本実施例でいう溝部233が形成された部位に対向する基部23の裏側主面242の対向部位とは、溝部233に対応する基部23の裏側主面の対向位置のことをいう(図3参照)。
次に、上記した水晶振動片2のパッケージへの搭載に関して以下に図面を参照して説明する。
上記したように構成されたベース11上に水晶振動片2を配する。この時、このベース11への水晶振動片2の搭載について、内部空間13内における水晶振動片2の+X軸方向を設定する(本発明でいう設定工程)。本実施例では、内部空間13内における水晶振動片2の配置が、水晶振動片2の+X軸方向が図1に示す方向に設定されている。具体的に、内部空間13内における水晶振動片2が、ベース11に対して基部23で片側保持され、さらに、この片側保持された水晶振動片2の基部23が、図1に示すようにベース11を平面視してベース11の下側に配された場合、水晶振動片の+X軸方向は、ベース11の右側から左側に向かう方向に設定される。また、水晶振動片2の+X軸方向は、上記した判別手段(切欠部264)により判断する(本発明でいう判別工程)。
そして、設定工程で設定した+X軸方向に水晶振動片2の+X軸方向をあわせて水晶振動片2をベース11上に保持する(本発明でいう保持工程)。この保持工程では、上記した水晶振動片2の引出電極291,292とベース11の電極パッド161,162とを、導電性接着剤14により接合して、図1に示すように、水晶振動片2を、基部23においてベース11に片保持する。
保持工程の後に、ベース11の壁部の上面にキャップ12を配し、シーム溶接やビーム溶接等の手法により、ろう材を介してキャップ12とベース11とを接合し、図2に示すような水晶振動子1を製造する。なお、この水晶振動子1の内部空間13は、気密封止されている。
上記したように、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、内部空間13内における水晶振動片2の+X軸方向が予め設定されているので、衝撃時の周波数変動を抑えることが可能となる。また、本実施例にかかる水晶振動片2によれば、内部空間13内における配置方向が他の軸方向(例えば±Y軸,±Z軸など)に限定されるものではないため、他の軸方向を任意の方向に向けることが可能となる。その結果、内部空間13内における水晶振動片2の保持設計の自由度を増やすことが可能となる。
また、水晶振動片2には+X軸方向を判別する判別手段が設けられているので、容易に内部空間内における水晶振動片2の保持位置をその+X軸方向に基づいて設定することが可能となる。そのため、水晶振動片2の保持位置を間違えることを減らすことができ、その結果、歩留まりを向上させることが可能となる。
また、水晶振動片2は、基部23と第1,2脚部221,222とから構成され、判別手段は、第1,2脚部221,222の突出端部26に設けられているので、+X軸方向を判別するために、水晶振動片2全体を判別対象とする必要がなく、判別対象を突出端部26に限定することが可能となる。その結果、容易に水晶振動片2の+X軸方向を判別することが可能となる。
具体的に、判別手段は、突出端面261から−X軸側側面263にかけて形成された切欠部264である。この場合、突出端部26の切欠部264の位置を確認することで容易に水晶振動片2の+X軸方向を判別することが可能となる。
また、水晶振動片2は、基部23と第1,2脚部221,222とから構成され、第1,2脚部221,222に第1,2励振電極27,28が形成され、基部23および第1,2脚部221,222に引出電極291,292が形成され、基部23の表側主面241に、両側端231,232から±X軸方向に沿って溝部233が形成されているので、衝撃時の周波数変動を抑えるのに好適である。具体的に、振動方向に垂直に8つの溝部233が形成されているので、溝部233によって、第1,2脚部221,222から基部23へ伝わる振動漏れを抑制することが可能となる。
また、基部23の表側主面241の両側端231,232を含むその近傍に8つの溝部が±Y軸方向に沿って形成されているので、8つの溝部233によって、第1,2脚部221,222から基部23を介して外部へ伝わる振動漏れを抑制することが可能となる。また、本実施例では、溝部233が±Y軸方向に沿って8つ形成されるので、1つの溝部233が形成された場合と比較して、第1,2脚部221,222から基部23を介して外部へ伝わる振動漏れを抑制するのに好ましい。さらに、本実施例では溝部233が±Y軸方向に沿って8つ形成されるので、1つの溝部233が形成された場合と比較して、本実施例では各溝部233の±Y軸方向の寸法は短くなるように設定されることが想定される。この場合、1つの溝部233が形成された場合と比較して、本実施例にかかる水晶振動片2の基部23の強度を上げることが可能となる。
また、基部23の脚部側に形成されている溝部233の±X軸方向の寸法は、その±Y軸方向側に隣接する他の溝部233の±X軸方向の寸法より長いので、基部23の表側主面241に形成される引出電極291,292の形成領域を確保することが可能となる。そのため、溝部233の形成による引出電極291,292のショートを防ぐことが可能となる。
また、基部23の表側主面241の溝部233が形成された部位に対向する裏側主面242の対向部位で、引出電極291,292と電極パッド161,162とが電気的に接続されるので、電極の導通面積によって、温度特性に影響を及ぼすのを抑制することが可能となる。また、製造工程における常温偏差の周波数のバラツキを抑えることが可能となる。
すなわち、表側主面241の溝部233が形成された部位に対向する裏側主面242の対向部位に溝部233が形成された場合、引出電極291,292だけでなく基板素地にも電極パッド161,162もしくは導電性接着剤14が接着する。なお、溝部233内には電極が形成されないものとする。このとき、引出電極291,292の面積が減少することで、結果として引出電極291,292と電極パッド161,162との導電性接着剤14による導通面積が減少するので、温度特性を悪くする傾向にある。ここでいう温度特性とは、温度変化に対する抵抗値(基板に水晶が用いられている場合はCI値)の変動を示す特性で、一部の温度において抵抗値が急激に変化する(ジャンプする)という不具合があった。これに対して、本実施例では、表側主面241の溝部233が形成された部位に対向する裏側主面242の対向部位に溝部233が形成されていないので、このような不具合がなく、温度特性に影響を及ぼすのを抑制することが可能となる。
本実施例にかかる水晶振動子1の製造方法によれば、設定工程と保持工程とを有するので、衝撃時の周波数変動を抑えることが可能となる。また、本実施例にかかる水晶振動片2によれば、内部空間13内における配置方向が他の軸方向(例えば±Y軸,±Z軸など)に限定されるものではないため、他の軸方向に限定されるものではないため、他の軸方向を任意の方向に向けることが可能となる。例えば、図1に示すような水晶振動片2の第1,2脚部221,222から基部23に向けた軸が+Y軸ではなく、−Y軸であってもよい。その結果、内部空間13内における水晶振動片2の保持設計の自由度を増やすことが可能となる。
また、判別工程を有するので、容易に内部空間13内における水晶振動片2の保持位置を+X軸方向に基づいて設定することが可能となる。そのため、水晶振動片2の保持位置を間違えることを減らすことができ、その結果、歩留まりを向上させることが可能となる。
なお、本実施例では、2本の第1,2脚部221,222から構成されているが、脚部が複数本で構成されていればその本数は限定されるものでなく、例えば、4本の脚部から構成されてもよい。
また、本実施例では、基部の表側主面241に、その両側端231,232からそれぞれ±X軸方向に沿って溝部233が形成されているが、これは好適な例であり、これに限定されるものではなく、いずれか一方の側面から±X軸方向のいずれかの方向に沿って溝部233が形成されることで、本発明の作用効果を有することができる。
また、本実施例では、両側端231,232それぞれにおいて、溝部233が±Y軸方向に沿って4つずつ(合計8つ)形成されているが、溝部233の本数はこれに限定されるものでなく、任意に設定可能である。
また、本実施例では、基部の表側主面241に、その両側端231,232からそれぞれ±X軸方向に沿って溝部233が形成されているが、これは好適な例であり、両側端231,232の近傍であってもよく、厳密に両側端231,232からそれぞれ±X軸方向に沿って溝部233が形成されていなくてもよい。
また、本実施例では、基部23の脚部側に形成されている溝部233の±X軸方向の寸法は、他の溝部233の±X軸方向の寸法より長いが、これに限定されるものではなく、溝部233の少なくとも一つの±X軸方向の寸法が、その−Y軸方向側に隣接する他の溝部233の±X軸方向の寸法より長ければよい。例えば、図4に示すような溝部233であってもよい。この図4に示す溝部233の場合、すべての溝部233において、溝部233の±X軸方向の寸法は、その−Y軸方向側に隣接する他の溝部233の±X軸方向の寸法より長くなるように設定されている。
また、本実施例では、溝部233が形成された部位に対向する基部23の裏側主面242の対向部位とは、溝部233に対応する基部23の裏側主面の対向位置としているが、これに限定されるものではなく、溝部233に対応する基部23の裏側主面の対向位置及びその近傍領域を、溝部233が形成された部位に対向する基部23の裏側主面242の対向部位としてもよい。
また、本実施例では、基部23に、振動方向と垂直方向に沿って8つの溝部233を形成しているが、これは衝撃時の周波数変動を抑えるのに好適な例であり、基部23の形態は上記した図1〜4に示す形態に限定されるものではなく、衝撃時の周波数変動を抑える基部23の構成であればよい。例えば、以下に示す別の実施例であってもよい。
また、本実施例では、脚部221,222に対して基部23の幅方向(±X軸方向)の寸法が広くなるように設計されているが、これに限定されるものではなく、脚部221,222と基部23との幅方向(±X軸方向)の寸法が同一であってもよい。例えば、以下に示す別の実施例であってもよい。
また、本実施例では、内部空間13内における水晶振動片2の配置方向が図1に示す方向とされているが、これに限定されるものではなく、以下に示す別の実施例にかかる水晶振動片2の内部空間13内における配置方向であってもよい。
別の実施例は、図5,6に示すように、上記した本実施例に対して、水晶振動片2の基板21の形状、接着剤の種類、および水晶振動子1の内部空間13内における水晶振動片2の配置方向が異なる。そこで、別の実施例では、上記した実施例1と異なる構成について説明し、他の同一の構成についての説明を省略する。そのため、同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例と同様の作用効果及び変形例を有する。
図5,6に示す水晶振動子1は、水晶振動片2と、水晶振動片2を保持するベース11と、ベース11に保持した水晶振動片2を気密封止するためのキャップ12とからなる。
この水晶振動子1では、図5,6に示すように、ベース11とキャップ12とが接合されて筐体であるパッケージが構成され、このパッケージ内に内部空間13が形成される。この内部空間13のベース11上に、水晶振動片2が保持されるとともに、パッケージの内部空間13が気密封止されている。この際、ベース11と水晶振動片2とは、導電性バンプ18を用いて接合されている。
導電性バンプ18にはAu等の金属バンプやメッキバンプが用いられ、導電性バンプ18によりベース11に水晶振動片2が電気機械的に接合される。もしくは、導電性バンプ18に半田等の金属バンプやメッキバンプが用いられ、熱接合により導電性バンプ18を介して水晶振動片2がベース11に電気機械的に接合される。
水晶振動片2の基板21は、2本の脚部221,222と、基部23とから構成され、2本の脚部221,222が基部23から突出して形成されている。また、この基板21では、脚部221,222と基部23との幅方向(±X軸方向)の寸法が同一とされる。すなわち、基板21の側面が、その脚部211,222の側面から基部23の側面231,232にかけてそれぞれ面一に形成されたストレート形状からなる。
また、基部23には、図5,6に示すように、その表側主面241から裏側主面242にかけて8つの貫通部234が貫通形成されている。具体的に、これら貫通部234は、基部23のその両側端231,232からそれぞれ±X軸方向に沿って形成されている。また、これら貫通部234は、両側端231,232それぞれにおいて±Y軸方向に沿って4つずつ形成されている。これら貫通部234の少なくとも一つの±X軸方向の寸法は、その+Y軸方向側に隣接する他の貫通部234の±X軸方向の寸法より長い。具体的に、基部23の脚部側に形成されている貫通部234の±X軸方向の寸法は、他の貫通部234の±X軸方向の寸法より長い。
次に、上記した水晶振動片2のパッケージへの搭載に関して以下に図面を参照して説明する。
上記したように構成されたベース11上に水晶振動片2を配する。この時、このベース11への水晶振動片2の搭載について、内部空間13内における水晶振動片2の+X軸方向を設定する(本発明でいう設定工程)。ここでは、内部空間13内における水晶振動片2の配置が、水晶振動片2の+X軸方向が図5に示す方向に設定されている。具体的に、内部空間13内における水晶振動片2が、ベース11に対して基部23で片側保持され、さらに、この片側保持された水晶振動片2の基部23が、図5に示すようにベース11を平面視してベース11の下側に配された場合、水晶振動片の+X軸方向は、ベース11の左側から右側に向かう方向に設定される。また、水晶振動片2の+X軸方向は、上記した判別手段(切欠部264)により判断する(本発明でいう判別工程)。
そして、設定工程で設定した+X軸方向に水晶振動片2の+X軸方向をあわせて水晶振動片2をベース11上に保持する(本発明でいう保持工程)。この保持工程では、上記した水晶振動片2の引出電極291,292とベース11の電極パッド161,162とを、導電性バンプ18により接合して、図5に示すように、水晶振動片2を、基部23においてベース11に片保持する。
保持工程の後に、ベース11の壁部の上面にキャップ12を配し、シーム溶接やビーム溶接等の手法により、ろう材を介してキャップ12とベース11とを接合し、図6に示すような水晶振動子1を製造する。なお、この水晶振動子1の内部空間13は、気密封止されている。
上記した別の実施例に示すように、水晶振動片2に貫通部234を形成した水晶振動片2をベース11に接合する場合、導電性接着剤14ではなく導電性バンプ18を用いたほうが水晶振動片2のベース11への電気機械的な接合強度を上げるのに好ましい。また、上記した別の実施例は、上記した本実施例よりも基部23の図5に示す±Y軸方向の寸法が長いので、上記した別の実施例の構成によれば上記した本実施例に比べて耐衝撃性を考慮しなくてもよく、その結果、溝部233ではなく貫通部234を設けた場合であっても衝撃時の周波数変動を抑えることが可能となる。
なお、本発明は、その精神(主旨)または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
また、この出願は、2005年8月10日に日本で出願された特願2005−231754号に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。
本発明は、音叉型水晶振動子などの圧電振動デバイス及びその製造方法に適用できる。

Claims (10)

  1. ベースとキャップとから内部空間を有するパッケージが構成され、前記内部空間内の前記ベース上に圧電振動片が保持された圧電振動デバイスにおいて、
    前記内部空間内における前記圧電振動片の+X軸方向が設定されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
  2. 前記圧電振動片には、前記+X軸方向を判別する判別手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動デバイス。
  3. 前記圧電振動片は、基部と、この基部から突出した複数本の脚部とから構成され、
    前記判別手段は、前記脚部の突出端部に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の圧電振動デバイス。
  4. 前記突出端部には、突出端面と±X軸側側面とが含まれ、
    前記判別手段は、前記突出端面から前記−X軸側側面にかけて形成された切欠部であることを特徴とする請求項3に記載の圧電振動デバイス。
  5. 前記圧電振動片は、基部と、この基部から突出した複数本の脚部とから構成され、
    前記脚部に、異電位で構成された励振電極が形成され、
    前記基部および前記脚部に、前記励振電極を前記基部で外部電極と電気的に接続させるために前記励振電極から引き出された引出電極が形成され、
    前記基部の表側主面に、少なくとも一つの側面から±X軸方向に沿って溝部が形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1つに記載の圧電振動デバイス。
  6. 前記基部の表側主面には、前記溝部が±Y軸方向に沿って複数形成されたことを特徴とする請求項5に記載の圧電振動デバイス。
  7. 前記溝部の少なくとも1つの前記±X軸方向の寸法は、その前記±Y軸方向側に隣接する他の前記溝部の前記±X軸方向の寸法より長いことを特徴とする請求項6に記載の圧電振動デバイス。
  8. 前記表側主面の前記溝部が形成された部位に対向する前記基部の裏側主面の対向部位で、前記引出電極と外部電極とが電気的に接続されることを特徴とする請求項5乃至7のうちいずれか1つに記載の圧電振動デバイス。
  9. 内部空間を有するパッケージをベースとキャップとから構成し、前記内部空間内の前記ベース上に圧電振動片を保持する圧電振動デバイスの製造方法において、
    前記内部空間内における前記圧電振動片の+X軸方向を設定する設定工程と、
    前記設定工程で設定した前記+X軸方向に前記圧電振動片の前記+X軸方向をあわせて前記圧電振動片を前記ベース上に保持する保持工程と、を有することを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
  10. 前記圧電振動片の前記+X軸方向を判別する判別工程を有することを特徴とする請求項9に記載の圧電振動デバイスの製造方法。
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