JPWO2007010989A1 - 神経分化誘導ペプチド及びその利用 - Google Patents

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Abstract

本発明によって提供される神経分化誘導剤は、少なくとも一種の細胞を神経細胞に分化誘導し得る少なくとも一種のペプチドを含有する神経分化誘導剤であって、前記ペプチドとして:SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む人為的に合成されたペプチド;を含有する。

Description

本発明は、神経分化誘導性を有するペプチドとその利用に関する。特にそのペプチドを有効成分とする神経分化誘導剤に関する。
本願は2005年7月20日に出願された日本国特許出願第2005−210674号、2005年8月11日に出願された日本国特許出願第2005−233782号および2005年9月22日に出願された日本国特許出願第2005−276795号に基づく優先権を主張しており、これら出願の全内容は本明細書中に参照として援用されている。
再生医療分野における一つの課題として神経細胞の再生が挙げられる。例えば、種々の中枢神経系疾患の治療として、神経幹細胞或いは胚性幹細胞(ES細胞)を利用して神経細胞を再生することが期待されている(特開2004−357543号公報)。しかし、神経幹細胞等は入手(採取)が困難である。また、これら幹細胞は患部にそのまま移植されても神経細胞にほとんど分化せず生着も困難である。仮に生着した場合でもグリア細胞に分化してしまうものがほとんどである。
また、皮膚幹細胞や脂肪幹細胞等の体性(成体)幹細胞は、比較的入手が容易な幹細胞であり、これら幹細胞より神経細胞を分化することができれば医療産業上の利用価値は高い。しかし、従来、短時間に且つ高効率にこれら体性幹細胞から神経細胞を分化誘導する方法は未だ確立されておらず、かかる方法の確立、具体的には、そのような目的に適する神経分化誘導剤の開発が望まれている。例えば特開平9−323928号公報には、ピロリドン誘導体を有効成分とする神経分化誘導剤が記載されているが、体性幹細胞から神経細胞を分化誘導する効果については記載がない。
本発明は、上記の特開平9−323928号公報に記載されるような従前の化学物質を有効成分とする神経分化誘導剤の開発アプローチとは全く異なるアプローチにより創出されたものである。本発明の一つの目的は、神経分化誘導性を有するペプチドの提供である。また、そのようなペプチドを有効成分とする神経分化誘導剤(薬学的組成物)の提供を他の目的とする。また、そのようなペプチドを設計することを他の目的とする。また、そのようなペプチドを使用して神経細胞を生産する方法または神経細胞を発生させる方法を提供することを他の目的とする。
本発明によって提供される神経分化誘導ペプチドは、それ単独で自然界において神経分化誘導ペプチドとして存在するものではない人為的に設計された神経分化誘導ペプチドである。本発明者は、エロンジンA(ElonginA)と複合体を形成して転写調節因子として働くことが知られているエロンジンBC(ElonginBC)コンプレックス(具体的にはElonginCの一部)に結合し得る領域(アミノ酸配列)であるSOCS−ボックスを有する種々のSOCSタンパク質(サイトカイン情報伝達のサプレッサー)に着目した。例えば、以下の文献:
(1).PNAS、95巻、1998年、pp.114−119;
(2).ジーン・アンド・ディベロップメント(GENES & DEVELOPMENT)、12巻、1998年、pp.3872−3881;
(3).ジーン・アンド・ディベロップメント(GENES & DEVELOPMENT)、18巻、2004年、pp.2867−2872;および
(4).ジーン・アンド・ディベロップメント(GENES & DEVELOPMENT)、18巻、2004年、pp.3055−3065;
を参照されたい(これら文献の全内容は本明細書中に参照として援用されている。)。
そして、鋭意検討の結果、SOCSタンパク質及びそれらのファミリータンパク質(以下総称して「SOCS系タンパク質」という。)を構成するペプチド鎖(アミノ酸配列)の一部であって、ElonginBCコンプレックスに結合すると考えられている特定領域「BC−ボックス」の全部又は一部を構成するアミノ酸配列から成るペプチドが、体性幹細胞に対する高い神経分化誘導活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで開示される神経分化誘導ペプチドは、少なくとも一種の細胞を神経細胞に分化誘導し得るペプチド(以下「神経分化誘導ペプチド」ともいう。)である。
即ち、本発明は、そのようなペプチドとして、SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む人為的に合成されたペプチドを提供する。
ここで開示されるペプチドの好ましい一態様では、前記BC−ボックス由来配列又はその改変配列のN末端側又はC末端側に、細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列を含む。かかる細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列の好ましい例として配列番号16、17及び18のいずれかに示すものが挙げられる。
また、ここで開示されるペプチドの好ましい他の一態様では、ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が50以下である。
また、ここで開示されるペプチドの好ましい他の一態様では、前記BC−ボックス由来配列として配列番号1〜配列番号15(即ち計15通りの配列)のうちのいずれかに示すアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む。配列番号1〜配列番号15のうちのいずれかに示すアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含むペプチドは好ましい例である。
また、ここで開示されるペプチドの好ましい他の一態様では、前記BC−ボックス由来配列として、配列番号41〜配列番号101(即ち計61通りの配列)のうちのいずれかに示すアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む。配列番号41〜配列番号101のうちのいずれかに示すアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含むペプチドは好ましい例である。
また、ここで開示されるペプチドの好ましい他の一態様では、配列番号19〜配列番号40、配列番号102及び配列番号103(即ち計24通りの配列)のうちのいずれかに示すアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む。これらアミノ酸配列から構成されるペプチドは好ましい例である。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの神経分化誘導ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド(例えばそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチド)を提供する。
好ましいポリヌクレオチドとして、配列番号1〜103(即ち計103通りの配列)のうちのいずれかに示されるアミノ酸配列(または該配列において部分的な改変が施されて成る改変配列)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えばそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチド)が挙げられる。
また本発明は、ここで開示される少なくとも一種の神経分化誘導ペプチドを含有する神経分化誘導剤を提供する。
即ち、ここで開示される神経分化誘導剤は、SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む人為的に合成されたペプチドを含む。
好ましくは、前記ペプチドは前記BC−ボックス由来配列又はその改変配列のN末端側又はC末端側に細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列を含む。
また、全アミノ酸残基数が50以下である前記ペプチドを有効成分とする神経分化誘導剤が好ましい。
また、前記BC−ボックス由来配列として配列番号1〜配列番号15のうちのいずれか或いは配列番号41〜配列番号101のうちのいずれかに示すアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含むペプチドを有効成分とする神経分化誘導剤が好ましい。
また、配列番号19〜配列番号40、配列番号102及び配列番号103のうちのいずれかに示すアミノ酸配列を含むペプチドを有効成分とする神経分化誘導剤が好ましい。
ここで開示される神経分化誘導剤は、典型的には、一種又は二種以上の神経分化誘導ペプチドと薬学的に許容され得る担体とを含む。
また、本発明は他の側面として、ここで開示される神経分化誘導ペプチドを製造する方法を提供する。即ち、この方法は、SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含み、且つ、少なくとも一種の細胞に対して神経分化誘導性を有するペプチド鎖を設計すること、および、前記設計したペプチド鎖を合成すること、を包含する。
好ましくは、前記BC−ボックス由来アミノ酸配列又はその改変アミノ酸配列のN末端側又はC末端側に細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列を含むペプチド鎖を設計する。
また、好ましくは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が50以下となるように該ペプチド鎖を設計する。
また、本発明は他の側面として、ここで開示される神経分化誘導ペプチドを利用する種々の方法を提供する。
その一つとして本発明は、少なくとも一種の細胞材料から神経細胞を生産する方法を提供する。
即ち、本発明に係る神経細胞生産方法は、SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む人為的に合成されたペプチドを用意すること、および、該ペプチドを前記細胞材料に供給すること、を包含する。
本生産方法の好ましい一態様では、前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列又はその改変配列のN末端側又はC末端側に、細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列を含む。
また、好ましい他の一態様では、前記ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が50以下である。
また、好ましい他の一態様では、前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列として配列番号1〜配列番号15のうちのいずれか或いは配列番号41〜配列番号101のうちのいずれかに示すアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む。
また、好ましい他の一態様では、前記ペプチドは、配列番号19〜配列番号40、配列番号102及び配列番号103のうちのいずれかに示すアミノ酸配列を含む。
また、本発明は、ここで開示される神経分化誘導ペプチドを利用する方法として、生体又は生組織中に神経細胞を発生させる方法を提供する。
即ち、本発明に係る神経細胞発生方法は、SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む人為的に合成されたペプチドを用意すること、および、生体又は生体外に一時的又は永久的に摘出された生組織に前記ペプチドを付与すること、を包含する。
本発生方法の好ましい一態様では、前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列又はその改変配列のN末端側又はC末端側に、細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列を含む。
また、好ましい他の一態様では、前記ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が50以下である。
また、好ましい他の一態様では、前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列として配列番号1〜配列番号15のうちのいずれか或いは配列番号41〜配列番号101のうちのいずれかに示すアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む。
また、好ましい他の一態様では、前記ペプチドは、配列番号19〜配列番号40、配列番号102及び配列番号103のうちのいずれかに示すアミノ酸配列を含む。
本発明の神経分化誘導剤に含まれる有効成分たるペプチドは、上述のとおり、前記BC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む合成ペプチドであるため容易に製造することができる。このため、所望する量のペプチド(延いては神経分化誘導剤)を容易に調製することができる。
また、本発明によると、そのような神経分化誘導剤(神経分化誘導ペプチド)を利用することにより、従来は困難であった非神経細胞(典型的には脂肪幹細胞、皮膚幹細胞等の体性幹細胞、或いは胚性幹細胞)を神経細胞に分化誘導することが容易に実現される。このため、比較的大量に調達し得る細胞材料(脂肪幹細胞等)を使用して、用途(例えば、神経の再生が要求されるような神経疾患の治療)に応じて所望される量の神経細胞を供給することができる。或いはまた、神経再生が必要な患部や体外に摘出した一時的又は永久的な生組織(細胞塊等の培養物を含む)に適当量を投与することにより、神経細胞の発生を実現することができる。
<配列表フリーテキスト>
配列番号1〜配列番号103 合成ペプチド
図1は、マウス神経幹細胞にサンプル1のペプチドを10ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図2は、マウス神経幹細胞にサンプル1のペプチドを10ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図3は、マウス神経幹細胞にサンプル6のペプチドを10ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図4は、マウス神経幹細胞にサンプル6のペプチドを10ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図5は、マウス神経幹細胞にサンプル1のペプチドを100ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図6は、マウス神経幹細胞にサンプル1のペプチドを100ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図7は、マウス神経幹細胞にサンプル6のペプチドを100ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図8は、マウス神経幹細胞にサンプル6のペプチドを100ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図9は、マウス神経幹細胞にペプチドを添加しないで培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図10は、マウス神経幹細胞にペプチドを添加しないで培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図11は、ヒト脂肪幹細胞にサンプル1のペプチドを10ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図12は、ヒト脂肪幹細胞にサンプル1のペプチドを10ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図13は、ヒト脂肪幹細胞にサンプル6のペプチドを10ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図14は、ヒト脂肪幹細胞にサンプル6のペプチドを10ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図15は、ヒト脂肪幹細胞にサンプル1のペプチドを100ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図16は、ヒト脂肪幹細胞にサンプル1のペプチドを100ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図17は、ヒト脂肪幹細胞にサンプル6のペプチドを100ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図18は、ヒト脂肪幹細胞にサンプル6のペプチドを100ng/mLの濃度で添加して培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図19は、ヒト脂肪幹細胞にペプチドを添加しないで培養した後の神経分化の状態をマーカー:MAPsを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。 図20は、ヒト脂肪幹細胞にペプチドを添加しないで培養した後の神経分化の状態をマーカー:NeuNを使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光顕微鏡写真である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば神経分化誘導ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチド合成、ポリヌクレオチド合成、ペプチドを成分とする神経分化誘導剤(薬剤組成物)の調製に関するような一般的事項)は、医学、薬学、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、衛生学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、場合に応じてアミノ酸をIUPAC-IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
また、本明細書中で引用されている全ての文献の全ての内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
本明細書において「人為的に合成された神経分化誘導ペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみで独立して自然界に安定的に存在するものではなく、人為的な化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造され、所定の系(例えば神経分化誘導剤を構成する組成物)の中で安定して存在し得るペプチド断片をいう。
本明細書において「ペプチド」とは、複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されない。従ってアミノ酸残基数が10程度までのオリゴペプチド或いはそれ以上のアミノ酸残基から成るポリペプチドも本明細書における神経分化誘導ペプチドに包含される。
本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。
本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「部分的な改変が施されたアミノ酸配列(改変アミノ酸配列)」とは、当該所定のアミノ酸配列が有する神経分化誘導性を損なうことなく、1個または数個(例えば9個以下、好ましくは5個以下、特に好ましくは2,3個)のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、1個又は数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列)、或いは、所定のアミノ酸配列について1個又は数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が付加(挿入)した若しくは欠失した配列等は、本明細書でいう「部分的な改変が施された配列(改変アミノ酸配列)」に包含される典型例である。
また、本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、ヌクレオチドの数によって限定されない。種々の長さのDNAフラグメント及びRNAフラグメントが本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。また、「人為的に設計されたポリヌクレオチド」とは、そのヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に合成されたポリヌクレオチドをいう。
本発明者は、エロンジンBCコンプレックス(具体的にはエロンジンCのアミノ酸配列部分の一部)に結合する領域(ドメイン又はモチーフ)であるBC−ボックスに存在するアミノ酸配列であって、人為的に合成可能な比較的短いペプチド鎖であっても神経分化誘導性を発揮し得るアミノ酸配列及び該配列から成るペプチドを特定した。
その典型例である配列番号1〜15は、SOCS系タンパク質として同定された各種タンパク質のBC−ボックスに含まれるアミノ酸配列である(上記4つの文献参照)。
具体的には、mSOCS−1(配列番号1),mSOCS−2(配列番号2),mSOCS−3(配列番号3),mSOCS−4(配列番号4),mSOCS−5(配列番号5),hSOCS−6(配列番号6),hSOCS−7(配列番号7),hRAR−1(配列番号8),hRAR−like(配列番号9),mWSB−1(配列番号10),mWSB−2(配列番号11),mASB−1(配列番号12),mASB−2(配列番号13),hASB−3(配列番号14),LRR−1(配列番号15)に含まれるBC−ボックスのN末端から14個又は15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列及び該配列から成るペプチドを示している(上記4つの文献参照)。
また、特に詳細な説明は省略するが、配列番号41〜101は、ウイルス(HIV、AdV、SIV等)や哺乳動物から同定された種々のSOCS系タンパク質のBC−ボックスに含まれるアミノ酸配列及び該配列から成るペプチドを示している。例えば、配列番号96および配列番号100は、ヒトから同定されたSOCS系タンパク質(MUF1)のBC−ボックスに含まれるアミノ酸配列である。また、配列番号101は、マウスから同定されたSOCS系タンパク質mCIS(cytokine-inducible SH2-containing protein)のBC−ボックスに含まれるアミノ酸配列である。
これらは例示であり、本発明に関するBC−ボックスの構成アミノ酸配列をこれらに限定することを意図したものではない。ここに例示するまでもなく、様々なBC−ボックスの構成アミノ酸配列が本願出願当時に出版されている数々の文献に記載されている。それらアミノ酸配列は一般的な検索手段によって容易に知ることができる。
本発明では、これら配列番号を付与し、本明細書に添付の配列表に示したアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基(例えば配列表に示すアミノ酸配列のN末端側の10個のアミノ酸残基)から成るペプチドを神経分化誘導ペプチドとして好適に利用することができる。
また、これら配列表に示したアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列(好ましくは10個〜15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列)に基づく適当な改変配列を神経分化誘導ペプチドとして利用することができる。
例えば、各配列番号に示すBC−ボックスのN末端から14個又は15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列のうち、数個のアミノ酸残基を欠失させたアミノ酸配列、例えば各配列番号に示すBC−ボックスのN末端から8個、9個、10個、11個、12個又は13個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列(即ち各配列番号に示すBC−ボックスのC末端側の数個のアミノ酸残基を欠失させて成る改変アミノ酸配列)であって、神経分化誘導性を有するペプチドが好ましい。
或いは、各配列番号に示すBC−ボックスのN末端から14個又は15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列のさらにC末端側に数個のアミノ酸残基を付加したものも好適な改変アミノ酸配列となり得る。
また、神経分化誘導ペプチドは、前記BC−ボックス由来アミノ酸配列又はその改変アミノ酸配列(以下、総称して「BC−ボックス関連配列」ともいう。)のみから成るペプチドであってもよいが、神経分化誘導性の向上の観点からは、いわゆる細胞膜通過ドメイン(タンパク質導入ドメイン:Protein Transduction Domain)を構成するアミノ酸配列の導入が好ましい。このようなドメイン(モチーフ)を備えるペプチドであれば、所定の細胞材料(ターゲットである細胞)に供給した際、細胞内に速やかに導入され得、神経分化誘導活性を向上させることができる。
多くの好適な細胞膜通過ドメイン(ペプチド断片)が知られているが、それらのうちの好適な幾つかの例を配列番号16,17及び18に示した。配列番号16は、HIVのTATに含まれるタンパク質導入ドメインのアミノ酸配列と該配列から成るペプチドを示している。配列番号17は、前記TATを改変したタンパク質導入ドメイン(PTD4)のアミノ酸配列と該配列から成るペプチドを示している。配列番号18は、ショウジョウバエ(Drosophila)の変異体AntennapediaのANTの関連アミノ酸配列と該配列から成るペプチドを示している。
なお、配列表に示した上述の細胞膜通過ドメインはあくまでも例示であり、使用可能なドメインはこれらに限定されない。本発明の実施に使用可能な様々な細胞膜通過ドメインが本願出願当時に出版されている数々の文献に記載されている。それら細胞膜通過ドメインのアミノ酸配列は一般的な検索手段によって容易に知ることができる。
本発明によって提供される神経分化誘導ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、神経分化誘導ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させ得る。
神経分化誘導ペプチドは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が100以下(好適には50以下、特に好ましくは30以下)であるものが望ましい。このような鎖長の短いペプチドは、化学合成が容易であり、容易に神経分化誘導ペプチドを提供することができる。なお、ペプチドのコンホメーション(立体構造)については、使用する環境下で神経分化誘導性を発揮する限りにおいて、特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。かかる観点から、神経分化誘導剤に適用する神経分化誘導ペプチドとしては、直鎖状であり比較的低分子量(典型的には50以下(特に30以下)のアミノ酸残基数)のものが好適である。
全体のアミノ酸配列に対するBC−ボックス関連配列の占める割合(即ちペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数に占めるBC−ボックス関連配列部分を構成するアミノ酸残基数の個数%)は、神経分化誘導活性を失わない限り特に限定されないが、当該割合は50%以上が好ましい。なお、本発明の神経分化誘導ペプチドとしては、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、神経分化誘導活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。
本発明の神経分化誘導ペプチドは、神経分化誘導性を失わない限りにおいて、神経分化誘導関連配列に含まれ得ない配列を部分的に含み得る。特に限定するものではないが、かかる部分配列としてはペプチド鎖におけるBC−ボックス関連配列部分の3次元形状(典型的には直鎖形状)を維持し得る配列が好ましい。
ここで開示される神経分化誘導ペプチドのうちペプチド鎖の比較的短いものは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。
ここで開示される神経分化誘導ペプチドは、市販のペプチド合成機(例えば、PerSeptive
Biosystems社、Applied Biosystems社等から入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて神経分化誘導ペプチドを生合成してもよい。このアプローチは、ペプチド鎖の比較的長いポリペプチドを製造する場合に好適である。すなわち、所望する神経分化誘導ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のDNAを合成する。そして、このDNAと該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の神経分化誘導ペプチドを得ることができる。一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の神経分化誘導ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。すなわち、目的の神経分化誘導ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社から提供されているpETシリーズおよびアマシャムバイオサイエンス社から提供されているpGEXシリーズのようなGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞(典型的には大腸菌)を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出及び精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(設計した神経分化誘導ペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、本発明の神経分化誘導ペプチドを製造することができる。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち神経分化誘導ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology,
19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の東洋紡績(株)から入手可能なPROTEIOS(商標)Wheat germ cell-free protein
synthesis kit)が市販されている。
従って、上述のようにして、利用するアミノ酸配列(BC−ボックス関連配列)をひとたび決定し、ペプチド鎖を設計しさえすれば、そのアミノ酸配列に従って無細胞タンパク質合成システムによって目的の神経分化誘導ペプチドを容易に合成・生産することができる。例えば、日本の(株)ポストゲノム研究所のピュアシステム(登録商標)に基づいて本発明の神経分化誘導ペプチドを容易に生産することができる。
ここで開示される神経分化誘導ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、神経分化誘導ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、神経分化誘導ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
本発明によると、新規なアミノ酸配列の神経分化誘導ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提供される。例えば、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が50以下(特に好ましくは30以下)であって、配列番号1〜103のいずれかで示されるアミノ酸配列或いは該配列の改変配列(神経分化誘導関連配列)を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそれら配列から実質的に構成された)人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
好適な本発明の神経分化誘導ペプチドは少なくとも一種の細胞に対して高い神経分化誘導活性を有する。このため、神経分化誘導剤の有効成分として好適に使用し得る。なお、神経分化誘導剤に含有される神経分化誘導ペプチドは、神経分化誘導活性を損なわない限りにおいて、塩の形態であってもよい。例えば、常法に従って通常使用されている無機酸又は有機酸を付加反応させることにより得られ得る該ペプチドの酸付加塩を使用することができる。或いは、神経分化誘導活性を有する限り、他の塩(例えば金属塩)であってもよい。
神経分化誘導剤は、有効成分である神経分化誘導ペプチドの他、使用形態に応じて医薬(薬学)上許容され得る種々の担体を含み得る。希釈剤、賦形剤等としてペプチド医薬において一般的に使用される担体が好ましい。神経分化誘導剤の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、典型的には、水、生理学的緩衝液、種々の有機溶媒が挙げられる。適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であり得る。或いはリポソームであってもよい。また、神経分化誘導剤に含有させ得る副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。
神経分化誘導剤の形態に関して特に限定はない。例えば、典型的な形態として、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル、軟膏が挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水又は適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
なお、神経分化誘導ペプチド(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。この書籍の全内容は本明細書中に参照として援用されている。
本発明によって提供される神経分化誘導剤は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。
例えば、ここで開示されるBC−ボックス関連配列を含む神経分化誘導ペプチド(即ち該ペプチドを含む神経分化誘導剤は、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射によって患者(即ち生体)に所望する量だけ投与することができる。或いは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。これにより、生体内で、典型的には患部又はその周辺に存在する体性幹細胞から、神経細胞を発生(生産)させることができる。このため、神経再生が有力な治療法となる種々の神経疾患を効果的に治療することが可能となる。例えば、パーキンソン病、脳梗塞、アルツハイマー病、脊髄損傷による身体の麻痺、脳挫傷、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脳腫瘍、網膜変性症等の神経疾患を再生医療的アプローチによって治療することが実現される。
或いはまた、生体から一時的に又は永久的に摘出した細胞材料、即ち生組織や細胞塊(例えば体性幹細胞の培養物)に、適当量の神経分化誘導剤(神経分化誘導ペプチド)を付与することによって、体外(インビトロ)で神経細胞を効率よく発生させることができる。このことは当該細胞材料中に所望する神経細胞を大量に生産し得ることを意味する。
而して、大量に生産された神経細胞、或いは該生産された神経細胞を含む細胞材料(生組織や細胞塊)を再び生体内(典型的には神経再生が要求されている患部)に戻すことによっても、生体に直接神経分化誘導剤(神経分化誘導ペプチド)を投与する場合と同様の治療効果が得られ得る。
以上の説明から明らかなように、本発明はまた、ここで開示される神経分化誘導ペプチドのいずれかを利用することによって、神経疾患治療に有用な、神経細胞に分化誘導された細胞、細胞塊又は生組織を提供することができる。
また、本発明の神経分化誘導ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、いわゆる遺伝子治療に使用する素材として用い得る。例えば、神経分化誘導ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント、或いはRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする部位に導入することにより、常時、生体(細胞)内で本発明に係る神経分化誘導ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明の神経分化誘導ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、上述した患者等に対し、神経疾患を治療し又は予防する薬剤として有用である。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1:ペプチド合成>
計24種類のペプチド(サンプル1〜24)を後述するペプチド合成機を用いて製造した。表1には、これら合成ペプチドのアミノ酸配列を列挙している。
表1に示すように、サンプル1〜24は、いずれもN末端側に細胞膜通過ドメインであるPTD4(配列番号17)を有し、そのC末端側に隣接してBC−ボックス関連配列を有している。すなわち、サンプル1ではhSOCS−6(配列番号6)、サンプル2ではmWSB−1(配列番号10)、サンプル3ではmASB−1(配列番号12)、サンプル4ではhSOCS−7(配列番号7)、サンプル5ではmWSB−2(配列番号11)、サンプル6ではLRR−1(配列番号15)、サンプル7ではmASB−2(配列番号13)、サンプル8ではhASB−3(配列番号14)、サンプル9ではmSOCS−5(配列番号5)、サンプル10ではhRAR−1(配列番号8)、サンプル11ではmSOCS−1(配列番号1)、サンプル12ではmSOCS−2(配列番号2)、サンプル13では,mSOCS−3(配列番号3)、そしてサンプル14ではmSOCS−4(配列番号4)に含まれるBC−ボックスのN末端から14個又は15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。
また、サンプル15はhSOCS−6(配列番号6)に含まれるBC−ボックスのN末端から10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。また、サンプル16はmASB−1(配列番号12)に含まれるBC−ボックスのN末端から10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。また、サンプル17はmWSB−1(配列番号10)に含まれるBC−ボックスのN末端から10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。
また、サンプル18はhSOCS−6(配列番号6)に含まれるBC−ボックスのN末端から15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列のうち、C末端アミノ酸残基RをKに置換した改変アミノ酸配列を有する。また、サンプル19はHIV−1
VIF A(配列番号80)に含まれるBC−ボックスのN末端から15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。また、サンプル20はM−SSB1(配列番号92)に含まれるBC−ボックスのN末端から15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。また、サンプル21はSIV
VIF CPZ−GAB(配列番号89)に含まれるBC−ボックスのN末端から15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。また、サンプル22はhSOCS−6(配列番号6)に含まれるBC−ボックスのN末端から10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列のうち、N末端から7番目のアミノ酸残基RをKに置換した改変アミノ酸配列を有する。
また、サンプル23はMUF1(配列番号96)に含まれるBC−ボックスのN末端から10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。また、サンプル24はmCIS(配列番号101)に含まれるBC−ボックスのN末端から15個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列を有する。
なお、いずれのサンプルも、C末端アミノ酸のカルボキシル基(−COOH)はアミド化(−CONH)されている。
上述した各ペプチドは、市販のペプチド合成機(アプライドバイオシステム社製品 433A)を用いて固相合成法(Fmoc法)により合成した。なお、縮合剤としてHATU(Applied Biosystems社製品)を使用し、固相合成法に用いた樹脂及びアミノ酸はNOVA biochem社から購入した。アミノ酸配列のC末端をアミド化する場合には、固相担体として「Rink Amide resin (100〜200 mesh)」 を使用した。
而して、上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応及び縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。具体的には、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)(ペプチド合成用グレード、関東化学(株)製品)によって、アミノ酸のアミノ保護基であるFmocを切断除去し、DMFで洗浄し、Fmoc−アミノ酸(-OH)各4eqを反応させ、DMFで洗浄する操作を反復した。そして、ペプチド鎖の伸長反応が全て終了した後、20%ピペリジン/DMFによりFmoc基を切断し、DMF、メタノールの順で上記反応物を洗浄した。
固相合成後、合成したペプチド鎖を樹脂と共に遠沈管に移し、エタンジオール1.8mL、m-クレゾール0.6mL、チオアニソール3.6mL及びトリフルオロ酢酸24mLを加え、室温で2時間撹拌した。その後、ペプチド鎖に結合していた樹脂を濾過して除去した。
次いで、濾液に冷却エタノールを加え、氷冷水で冷却してペプチド沈澱物を得た。その後、遠心分離(2500rpmで5分間)によって上澄みを廃棄した。沈殿物に冷ジエチルエーテルを新たに加えて十分に撹拌した後、上記と同じ条件で遠心分離を行った。この撹拌と遠心分離の処理を計3回反復して行った。
得られたペプチド沈殿物を真空乾燥し、高速液体クロマトグラフ(Waters 600:Waters社製品)を用いて精製を行った。
具体的には、プレカラム(日本ウォーターズ(株)製品、Guard-Pak
Delta-pak C18 A300)及びC18逆相カラム(日本ウォーターズ(株)製品、XTerra(登録商標)カラム、MS C18、5μm、4.6×150mm)を使用し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液との混合液を溶離液に用いた。即ち、溶離液に含まれる上記トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の分量を経時的に増大させつつ(容積比で10%から80%への濃度勾配を設ける)、1.5mL/分の流速で上記カラムを用いて30〜40分間の分離精製を行った。なお、逆相カラムから溶離したペプチドは紫外線検出器(490E Detector:Waters社製品)を用いて波長:220nmで検出され、記録チャート上にピークとして示される。
また、溶離した各ペプチドの分子量をPerSeptive Biosystems社製のVoyager DE RP(商標)を用いてMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のペプチドが合成・精製されていることが確認された。
<実施例2:合成ペプチドの神経分化誘導活性評価>
上記実施例1で得られた神経分化誘導ペプチドのうち、サンプル1(YARAAARQARA−SLQYLCRFVIRQYTR)及びサンプル6(YARAAARQARA−TLLESSARTILHNRI)の二つのペプチドについて、神経分化誘導活性を調べた。
即ち、これらサンプルペプチドを、マウスから採取した神経幹細胞の培養液中およびヒトから採取した脂肪幹細胞の培養液中にそれぞれ添加し、インキュベーションした。添加濃度は、何れのペプチドについても10ng/mL及び100ng/mLとした。
そして、ペプチドを添加して24時間経過後、常法である免疫抗体法により評価した。具体的には、ニューロンマーカーとしてMAPs(Microfilament Associated Proteins)及びNeuN(Neuronal
nuclei)を加え、共焦点レーザー顕微鏡で神経分化の程度を評価した。MAPsは、比較的未熟なニューロンから成熟したニューロンまで幅広く染色(検出)し得るマーカーであり、NeuNは、成熟ニューロンを特異的に染色(検出)し得るマーカーである。
その結果、顕微鏡写真である図1〜図20に示すように、上記二種類の幹細胞は何れも上記二種類のサンプルペプチド(濃度10ng/mL)で顕著な神経分化が認められた。濃度100ng/mLの場合、さらに顕著な神経分化が認められた。かかる神経分化は、サンプルペプチドを添加しないでインキュベーションした対照(コントロール)では認められなかった。
また、サンプル2(YARAAARQARA−SLQHICRMSIRRVMS)、サンプル3(YARAAARQARA−TLLSLCRVAVRRALG)、サンプル4(YARAAARQARA−SLQHLCRFRIRQLVR)、サンプル5(YARAAARQARA−SLKHLCRKALRSFLT)、サンプル7(YARAAARQARA−PLAHLCRLRVRKAIG)、サンプル8(YARAAARQARA−SLTHLCRLEIRSSIK)、サンプル9(YARAAARQARA−SLQYICRAVICRCTT)、サンプル10(YARAAARQARA−SLQDLCCRAVVSCTP)、サンプル11(YARAAARQARA−PLQELCRQRIVAAVG)、サンプル12(YARAAARQARA−TLQHFCRLAINKCT)、サンプル13(YARAAARQARA−TLQHLCRKTVNGHLD)、サンプル14(YARAAARQARA−SLQHICRTVICNCTT)、サンプル15(YARAAARQARA−SLQYLCRFVI)、サンプル16(YARAAARQARA−TLLSLCRVAV)、サンプル17(YARAAARQARA−SLQHICRMSI)、サンプル18(YARAAARQARA−SLQYLCRFVIRQYTK)、サンプル19(YARAAARQARA−SLQYLALKALVTPKK)、サンプル20(YARAAARQARA−PLMDLCRRSVRLALG)、サンプル21(YARAAARQARA−SLQFLALKALISERR)、サンプル22(YARAAARQARA−SLQYLCKFVI)、サンプル23(YARAAARQARA−ALFELCGRAV)及びサンプル24(YARAAARQARA−SLQHLCRLVINRLVA)について上記と同様の試験を行ったところ、何れのサンプルについても、上記二種類の幹細胞で顕著な神経分化が認められた。
このことから、本発明に係る神経分化誘導ペプチド(神経分化誘導剤)は、効果的に幹細胞等の細胞を神経細胞(ニューロン)に分化させ得ることが確かめられた。
<実施例3:顆粒剤の調製>
サンプル1のペプチド50mgと結晶化セルロース50mg及び乳糖400mgとを混合した後、エタノールと水の混合液1mLを加え混練した。この混練物を常法に従って造粒し、神経分化誘導ペプチドを主成分とする顆粒剤(顆粒状神経分化誘導剤)を得た。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
上述のように本発明の神経分化誘導ペプチドは高い神経分化誘導活性を有しているため、医薬用のペプチド成分として利用することができる。

Claims (22)

  1. 少なくとも一種の細胞を神経細胞に分化誘導し得る少なくとも一種のペプチドを含有する神経分化誘導剤であって、前記ペプチドとして:
    SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む人為的に合成されたペプチド;
    を含有する神経分化誘導剤。
  2. 前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列又はその改変配列のN末端側又はC末端側に、細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列を含む、
    請求項1に記載の神経分化誘導剤。
  3. 前記ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が50以下である、請求項1又は2に記載の神経分化誘導剤。
  4. 前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列として配列番号1〜配列番号15及び配列番号41〜配列番号101のうちのいずれかに示すアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の神経分化誘導剤。
  5. 前記ペプチドは、配列番号19〜配列番号40、配列番号102及び配列番号103のうちのいずれかに示すアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の神経分化誘導剤。
  6. 少なくとも一種の細胞を神経細胞に分化誘導し得る少なくとも一種の人為的に合成されたペプチドであって、
    SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列と、
    前記BC−ボックス由来アミノ酸配列又はその改変アミノ酸配列のN末端側又はC末端側に、細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列と、
    を含む合成ペプチド。
  7. 前記ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が50以下である、請求項6に記載の合成ペプチド。
  8. 前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列として配列番号1〜配列番号15及び配列番号41〜配列番号101のうちのいずれかに示すアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の合成ペプチド。
  9. 配列番号19〜配列番号40、配列番号102及び配列番号103のうちのいずれかに示すアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の合成ペプチド。
  10. 少なくとも一種の細胞を神経細胞に分化誘導し得るペプチドを製造する方法であって、
    SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含み、且つ、少なくとも一種の細胞に対して神経分化誘導性を有するペプチド鎖を設計すること、
    および
    前記設計したペプチド鎖を合成すること、
    を包含する方法。
  11. 前記BC−ボックス由来アミノ酸配列又はその改変アミノ酸配列のN末端側又はC末端側に、細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列を含むペプチド鎖を設計する、請求項10に記載の方法。
  12. ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が50以下となるように該ペプチド鎖を設計する、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 少なくとも一種の細胞材料から神経細胞を生産する方法であって、
    SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む人為的に合成されたペプチドを用意すること、
    および、
    該ペプチドを前記細胞材料に供給すること、
    を包含する方法。
  14. 前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列又はその改変配列のN末端側又はC末端側に、細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が50以下である、請求項13又は14に記載の方法。
  16. 前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列として配列番号1〜配列番号15及び配列番号41〜配列番号101のうちのいずれかに示すアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記ペプチドは、配列番号19〜配列番号40、配列番号102及び配列番号103のうちのいずれかに示すアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の方法。
  18. 生体又は生組織中に神経細胞を発生させる方法であって、
    SOCS系タンパク質に属する何れか一種のタンパク質のBC−ボックスを構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るBC−ボックス由来アミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む人為的に合成されたペプチドを用意すること、
    および、
    生体又は生体外に一時的又は永久的に摘出された生組織に、前記ペプチドを付与すること、
    を包含する方法。
  19. 前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列又はその改変配列のN末端側又はC末端側に、細胞膜通過ドメインを構成するアミノ酸配列を含む、
    請求項18に記載の方法。
  20. 前記ペプチドを構成する全アミノ酸残基数が50以下である、請求項18又は19に記載の方法。
  21. 前記ペプチドは、前記BC−ボックス由来配列として配列番号1〜配列番号15及び配列番号41〜配列番号101のうちのいずれかに示すアミノ酸配列から選択される少なくとも10個の連続するアミノ酸残基から成るアミノ酸配列又は該配列に部分的な改変が施されたアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記ペプチドは、配列番号19〜配列番号40、配列番号102及び配列番号103のうちのいずれかに示すアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の方法。

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