本発明は、ズームレンズ系及びそれを備えた撮像光学機器に関する。特に本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像光学機器に好適なズームレンズ系、及び該ズームレンズ系を備えた撮像光学機器に関する。
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ(以下、単に「デジタルカメラ」という)に代表される撮像光学機器が急速に普及し、記録される画像の画素数が500万画素を超えるデジタルカメラが多数商品化されている。その中でも、小型軽量化されたデジタルカメラが特に要望されている。
このように撮像光学機器の小型軽量化がさらに求められる中で、以下のようなレンズ系が提案されている(特開2004−212616号公報、特開2004−252204号公報及び特開2005−24844号公報)。
特開2004−212616号公報、特開2004−252204号公報及び特開2005−24844号公報に記載のレンズ系は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群と、負のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群と、正のパワーを有する第4レンズ群とを備えたズームレンズ系である。そして該第2レンズ群は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第1レンズ素子と、負のパワーを有する第2レンズ素子と、正のパワーを有する第3レンズ素子との3枚のレンズ素子で構成されている。このように、特開2004−212616号公報、特開2004−252204号公報及び特開2005−24844号公報に記載のレンズ系では、第2レンズ群を最少のレンズ素子で構成することにより、小型軽量化が図られている。
特開2004−212616号公報
特開2004−252204号公報
特開2005−24844号公報
しかしながら、特開2004−212616号公報及び特開2004−252204号公報に記載のレンズ系の場合には、第1レンズ素子及び第3レンズ素子のd線に対する屈折率がいずれも1.85未満であり、これら第1レンズ素子及び第3レンズ素子の曲率半径は比較的小さくなる。このため、屈折時の収差発生量が多く、高次収差の発生がレンズ系全体の収差に性能を劣化させるような影響を及ぼし、偏芯等の製造誤差に対する性能劣化の敏感度も高くなるという問題がある。
また、特開2005−24844号公報に記載のレンズ系の場合にも、第1レンズ素子のd線に対する屈折率が1.85未満であり、前記レンズ系と同様の問題がある。また、第2レンズ素子と第3レンズ素子との間隔が短いため、各レンズ素子に必要なパワーがさらに大きくなり、その結果、高次収差の発生量を低減することが困難となり、敏感度が高くなる。このような高い敏感度への対策法としては、通常、レンズ素子の芯を調整しながら組立てを行う調芯組立法が多用されるものの、製造コストが高くなるという問題がある。
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、小型軽量化及び低コスト化が図られ、かつ低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系及びそれを備えた撮像光学機器を提供することを目的とする。
前記目的の1つは、以下のズームレンズ系により達成される。すなわち本発明は、
物体側から像側へと順に、
正のパワーを有する第1レンズ群と、
負のパワーを有する第2レンズ群と、
正のパワーを有する第3レンズ群と
を少なくとも備えた複数のレンズ群からなり、
各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行い、
前記第2レンズ群が、物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子Aと、
非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、
正のパワーを有するレンズ素子Cとを備え、
以下の条件(1)及び(2):
1.85<NdA<2.20 ・・・(1)
1.88<NdC<2.20 ・・・(2)
(ここで、
NdA:レンズ素子Aのd線に対する屈折率、
NdC:レンズ素子Cのd線に対する屈折率
である)を満足する
ズームレンズ系
に関する。
また前記目的の1つは、以下の撮像光学機器により達成される。すなわち本発明は、
物体の光学的な像を形成する撮像光学系と、
前記撮像光学系によって形成された光学的な像を電気的な画像信号に変換する撮像素子とを備え、
前記撮像光学系が、
物体側から像側へと順に、
正のパワーを有する第1レンズ群と、
負のパワーを有する第2レンズ群と、
正のパワーを有する第3レンズ群と
を少なくとも備えた複数のレンズ群からなり、
各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行い、
前記第2レンズ群が、物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子Aと、
非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、
正のパワーを有するレンズ素子Cとを備え、
以下の条件(1)及び(2):
1.85<NdA<2.20 ・・・(1)
1.88<NdC<2.20 ・・・(2)
(ここで、
NdA:レンズ素子Aのd線に対する屈折率、
NdC:レンズ素子Cのd線に対する屈折率
である)を満足する
ズームレンズ系である、撮像光学機器
に関する。
本発明によれば、少ないレンズ枚数かつ簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系を低コストで実現することができる。
また本発明によれば、小型軽量で高性能な撮像機能を有する撮像光学機器を実現することができる。
図1は、実施の形態1に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。
図2は、実施の形態2に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。
図3は、実施の形態3に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。
図4は、実施の形態4に係る撮像光学機器の構成の一例を示す概略斜視図である。
図5は、実施例1のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図である。
図6は、実施例1のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。
図7は、実施例2のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図である。
図8は、実施例2のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。
図9は、実施例3のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図である。
図10は、実施例3のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。
符号の説明
A、B、C レンズ素子
S 像面
1 第1レンズ群
2 第2レンズ群
3 第3レンズ群
4 第4レンズ群
5 開口絞り
6 光学ローパスフィルタ
7 第3Aレンズ群
8 第3Bレンズ群
9 光軸
12 レンズ鏡筒
13 撮像光学機器
14 ストロボ
15 光学ビューファインダ
以下、実施の形態にて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。
図1に示すように、実施の形態1に係るズームレンズ系は、物体側(図1中、左側)から像側(像面S側)へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群1と、負のパワーを有する第2レンズ群2と、正のパワーを有する第3レンズ群3と、正のパワーを有する第4レンズ群4とで構成されており、各レンズ群の間隔を変化させて変倍が行われる。第3レンズ群3の最も物体側には、光路を規制するための開口絞り5が配置されている。また、第4レンズ群4と像面Sとの間の該像面Sの近傍に、光学ローパスフィルタ6が配置されている。この光学ローパスフィルタ6は、像面Sに配置されるCCD、CMOS等の撮像素子のサンプリングによる折返し像を少なくするためのものであり、水晶板等の透明な平行平板を用いて形成されている。図1中、各レンズ群からの矢印は、広角側から望遠側へ変倍する際の各レンズ群の移動経路を示している。なお、第4レンズ群4からの矢印は、該第4レンズ群4が変倍時に像面Sに対して固定された状態にあることを示している。
次に、各レンズ群の具体的構成について詳細に説明する。
図1に示すように、第1レンズ群1は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負のパワーを有するメニスカスレンズ素子(以下、「負メニスカスレンズ素子」という)L1と、物体側に凸面を向けた正のパワーを有するメニスカスレンズ素子(以下、「正メニスカスレンズ素子」という)L2と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L3との3枚のレンズ素子で構成されており、負メニスカスレンズ素子L1と正メニスカスレンズ素子L2とは接合されている。
ここで、ズームレンズ系の小型軽量化を最重視する場合には、第1レンズ群は1枚のレンズ素子で構成されることが望ましい(後述する実施の形態3参照)。ただしこの場合には、第1レンズ群単独での色収差や球面収差の補正が不充分となる傾向があるため、望遠側のFナンバーを比較的大きく(暗く)することが好ましい。したがって、第1レンズ群を構成するレンズ素子の枚数は、望遠側のFナンバーの要求に応じて適宜選択される。第1レンズ群を2枚のレンズ素子(後述する実施の形態2参照)〜3枚のレンズ素子(本実施の形態1)で構成することにより、第1レンズ群単独での色収差や球面収差の補正が良好になされるので、望遠側においてもFナンバーが小さく(明るく)、比較的解像度の高いズームレンズ系を実現することができる。このように、第1レンズ群は、要求される仕様に応じて、例えば1〜3枚のレンズ素子で構成されることが好ましい。
第2レンズ群2は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ素子L4(レンズ素子A)と、両凹形状の負のパワーを有するレンズ素子(以下、「両凹負レンズ素子」という)L5(レンズ素子B)と、物体側に強い両凸形状の正のパワーを有するレンズ素子(以下、「両凸正レンズ素子」という)L6(レンズ素子C)とで構成されている。ここで、レンズ素子Aは、広角端における歪曲収差を良好に補正するために必要であり、レンズ素子Cは、第2レンズ群2の色収差及び非点収差を補正している。さらに、これらレンズ素子A及びレンズ素子Cは、d線に対する屈折率Ndが大きい高屈折率材料で形成されており(表1参照)、第2レンズ群2を構成するレンズ素子によって発生する収差を低減することができ、収差を良好に補正し、かつ第2レンズ群2を構成するレンズ素子の偏芯による性能劣化の敏感度を低くすることができる。また特に、小型軽量化を達成しながら、高倍率で口径が大きいズームレンズ系を実現しようとすると、球面収差及びコマ収差の補正が不充分となりやすいので、これら第2レンズ群2の球面収差及びコマ収差を良好に補正するために、レンズ素子Bは、像側の面9が非球面である。
このように、実施の形態1に係るズームレンズ系では、第2レンズ群2が、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子Aと、非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、正のパワーを有するレンズ素子Cとで構成され、しかもレンズ素子A及びレンズ素子Cのd線に対する屈折率がいずれも、後述するようなの特定の大きい範囲に含まれる。したがって、実施の形態1では、少ないレンズ枚数かつ簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系が実現される。
第3レンズ群3は、物体側から像側へと順に、開口絞り5と、第3Aレンズ群7と、第3Bレンズ群8とで構成されている。ここで、第3Aレンズ群7は、ぶれ補正のために、光軸9(以下、「光軸」とは「光軸9」を示す)と垂直な方向(矢印10で示す方向)に移動(偏芯)可能なぶれ補正レンズ群である。また、第3Bレンズ群8は、フォーカス調整のために、光軸方向における第3Aレンズ群との間隔を変化させるように光軸方向(矢印11で示す方向)に移動可能なフォーカシングレンズ群である。また、該第3レンズ群3には、駆動機構としての各駆動アクチュエータが一体に組み込まれている。
このように、実施の形態1に係るズームレンズ系では、第3レンズ群3を、第3Aレンズ群7と第3Bレンズ群8との2つのレンズ群に分割し、第3Aレンズ群7にぶれ補正機能を、第3Bレンズ群8にフォーカス機能をそれぞれ付与していることにより、電力供給による制御が必要なぶれ補正駆動部及びフォーカス駆動部を集約することができる。したがって、駆動アクチュエータ等の部材をコンパクトに効率よく配置することができる。
また、組立て時の検査においても電気部品の検査が集約されるので、組立てコストの低減を図ることもできる。
また、結像性能に係る収差補正においても、第3レンズ群3の全長が長く構成されるので、効果的なビネッティング(vignetting)を行うことができる。特に、例えば35mmフィルム換算で28mm相当の画角以上の広画角を必要とするズームレンズ系の場合には、収差補正の効果が大きい。
さらに、レンズ素子を保持するレンズ鏡筒の収納時には、第3Aレンズ群7と第3Bレンズ群8との間隔が略なくなるので、収納時にズームレンズ系の薄型化を図ることができる。
なお第3レンズ群3は、ぶれ補正レンズ群としての第3Aレンズ群7及びフォーカシングレンズ群としての第3Bレンズ群8以外のレンズ素子を含んでいてもよいが、ズームレンズ系の小型軽量化を考慮すると、第3Aレンズ群7及び第3Bレンズ群8のみで構成されていることが好ましい。
開口絞り5は、第3Aレンズ群7及び第3Bレンズ群8と同様に、第3レンズ群3に含まれており、変倍時には、該開口絞り5、第3Aレンズ群7及び第3Bレンズ群8が略一体的に光軸方向に移動する。しかし、本実施の形態1に係るズームレンズ系において、開口絞り5は、第3Aレンズ群7には含まれておらず、ぶれ補正時に光軸と垂直な方向に移動することはない。
このように、第3レンズ群3に開口絞り5が含まれている場合、ズームレンズ系の撮像に係るシャッタや開口径制御等の制御部も第3レンズ群3に集約することができる。したがって、ズームレンズ系がさらにコンパクトに構成されると共に、組立てコストの低減を図ることができる。また、ぶれ補正レンズ群である第3Aレンズ群7の外径を小さくすることができ、該第3Aレンズ群7の小型軽量化を図ることができるという点から、開口絞り5は、第3Aレンズ群7の近傍に配置されることが好ましい。さらに、非点収差を良好に補正することができるという点から、開口絞り5は、第3Aレンズ群7の物体側に配置されていることがより好ましい。
なお、本発明においては、開口絞りが第3Aレンズ群に含まれる構成とすることも可能である。しかし、開口絞りは、通常シャッタ駆動アクチュエータ等の質量が大きい部材を有するため、本実施の形態1に係るズームレンズ系のように、ぶれ補正レンズ群としての第3Aレンズ群には含まれていない方が好ましい。
ぶれ補正レンズ群である第3Aレンズ群7は、物体側から像側へと順に、両面13、14が非球面である両凸正レンズ素子L7と、両凸正レンズ素子L8と、両凹負レンズ素子L9とで構成されており、両凸正レンズ素子L8と両凹負レンズ素子L9とが接合されている。そして特に、第3Aレンズ群7中、最も物体側の凸形状の非球面13と最も像側の凹形状の面17とにより、第3Aレンズ群7の軸上色収差、球面収差、コマ収差及び非点収差が良好に補正され、結像性能の劣化が小さい、高いぶれ補正機能が発現される。また、第3Aレンズ群7には、物体側から像側へと順に、正レンズ素子(L7)と、正レンズ素子(L8)と負レンズ素子(L9)との接合レンズ素子とが含まれるので、各レンズ素子の光軸と垂直な方向への移動(偏芯)による結像性能への敏感度が小さくなり、製造誤差による性能劣化が軽減される。
フォーカシングレンズ群である第3Bレンズ群8は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L10のみで構成されている。そして、第3Bレンズ群8としての非点収差を良好に補正し、偏芯による性能劣化感度を低減するために、正メニスカスレンズ素子L10は、物体側の面18が非球面である。このように、第3Bレンズ群8には非球面を有するレンズ素子が含まれているので、第3Bレンズ群8内の球面収差及びコマ収差が良好に補正され、物体の距離による球面収差の変化の少ない良好なフォーカス性能が発現される。
第4レンズ群4は、両凸正レンズ素子L11のみで構成されている。該第4レンズ群4は、像面Sに配置される撮像素子へのテレセントリック性を達成するためのコンデンサレンズとしての役割を果たすので、シェーディングが少なく、周辺部まで明るい画像を得ることができる。また、フォーカスの効果を必要としないので、広角側から望遠側へ変倍する際に、第4レンズ群4は、像面Sに対して固定される。その結果、第4レンズ群4と撮像素子との間の構造を、撮像素子付近に付着すると問題になる微細な塵、埃等の不純物が入り難い防塵密閉構造とすることができるので、撮影画像に写りこむ不純物の問題を解消することができる。
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。実施の形態2に係るズームレンズ系は、物体側(図2中、左側)から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群1と、負のパワーを有する第2レンズ群2と、正のパワーを有する第3レンズ群3と、正のパワーを有する第4レンズ群4とで構成されており、基本的な構成等は前記実施の形態1に係るズームレンズ系と同一である。よって、これら各レンズ群の具体的構成についてのみ詳細に説明する。
図2に示すように、第1レンズ群1は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ素子L1と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L2との2枚のレンズ素子で構成されており、これら負メニスカスレンズ素子L1と正メニスカスレンズ素子L2とは接合されている。このように、第1レンズ群1は2枚のレンズ素子で構成されているので、第1レンズ群1単独で色収差や球面収差が良好に補正され、望遠側においてもFナンバーが小さく(明るく)、比較的解像度の高いズームレンズ系を実現することができる。
第2レンズ群2は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ素子L3(レンズ素子A)と、両凹負レンズ素子L4(レンズ素子B)と、物体側に強い凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L5(レンズ素子C)とで構成されている。ここで、レンズ素子Aは、広角端における歪曲収差を良好に補正するために必要であり、レンズ素子Cは、第2レンズ群2の色収差及び非点収差を補正している。さらに、これらレンズ素子A及びレンズ素子Cは、d線に対する屈折率Ndが大きい高屈折率材料で形成されており(表4参照)、第2レンズ群2を構成するレンズ素子によって発生する収差を低減することができ、収差を良好に補正し、かつ第2レンズ群2を構成するレンズ素子の偏芯による性能劣化の敏感度を低くすることができる。また特に、小型軽量化を達成しながら、高倍率で口径が大きいズームレンズ系を実現しようとすると、球面収差及びコマ収差の補正が不充分となりやすいので、これら第2レンズ群2の球面収差及びコマ収差を良好に補正するために、レンズ素子Bは、像側の面7が非球面である。
このように、実施の形態2に係るズームレンズ系では、第2レンズ群2が、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子Aと、非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、正のパワーを有するレンズ素子Cとで構成され、しかもレンズ素子A及びレンズ素子Cのd線に対する屈折率がいずれも、後述するようなの特定の大きい範囲に含まれる。したがって、実施の形態2では、少ないレンズ枚数かつ簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系が実現される。
第3レンズ群3は、開口絞り5と、第3Aレンズ群7と、第3Bレンズ群8とで構成されており、該第3レンズ群3には、前記実施の形態1に係るズームレンズ系と同様に、駆動機構としての各駆動アクチュエータが一体に組み込まれている。
ぶれ補正レンズ群である第3Aレンズ群7は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向け、物体側の面11が非球面であり、平凸形状の正のパワーを有するレンズ素子L6と、両凸正レンズ素子L7と、両凹負レンズ素子L8とで構成されており、両凸正レンズ素子L7と両凹負レンズ素子L8とが接合されている。そして特に、第3Aレンズ群7中、最も物体側の凸形状の非球面11と最も像側の凹形状の面15とにより、第3Aレンズ群7の軸上色収差、球面収差、コマ収差及び非点収差が良好に補正され、結像性能の劣化が小さい、高いぶれ補正機能が発現される。また、第3Aレンズ群7には、物体側から像側へと順に、正レンズ素子(L6)と、正レンズ素子(L7)と負レンズ素子(L8)との接合レンズ素子とが含まれるので、各レンズ素子の光軸と垂直な方向への移動(偏芯)による結像性能への敏感度が小さくなり、製造誤差による性能劣化が軽減される。
フォーカシングレンズ群である第3Bレンズ群8は、両凸正レンズ素子L9のみで構成されている。そして、第3Bレンズ群8としての非点収差を良好に補正し、偏芯による性能劣化感度を低減するために、両凸正レンズ素子L9は、物体側の面16が非球面である。このように、第3Bレンズ群8には非球面を有するレンズ素子が含まれているので、第3Bレンズ群8内の球面収差及びコマ収差が良好に補正され、物体の距離による球面収差の変化の少ない良好なフォーカス性能が発現される。
第4レンズ群4は、両凸正レンズ素子L10のみで構成されている。
(実施の形態3)
図3は、実施の形態3に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。実施の形態3に係るズームレンズ系は、物体側(図3中、左側)から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群1と、負のパワーを有する第2レンズ群2と、正のパワーを有する第3レンズ群3と、正のパワーを有する第4レンズ群4とで構成されており、基本的な構成等は前記実施の形態1に係るズームレンズ系と同一である。よって、これら各レンズ群の具体的構成についてのみ詳細に説明する。
図3に示すように、第1レンズ群1は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L1のみで構成されている。これにより、ズームレンズ系の小型軽量化が図られている。
第2レンズ群2は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ素子L2(レンズ素子A)と、両凹負レンズ素子L3(レンズ素子B)と、物体側に強い凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L4(レンズ素子C)とで構成されている。ここで、レンズ素子Aは、広角端における歪曲収差を良好に補正するために必要であり、レンズ素子Cは、第2レンズ群2の色収差及び非点収差を補正している。さらに、これらレンズ素子A及びレンズ素子Cは、d線に対する屈折率Ndが大きい高屈折率材料で形成されており(表7参照)、第2レンズ群2を構成するレンズ素子によって発生する収差を低減することができ、収差を良好に補正し、かつ第2レンズ群2を構成するレンズ素子の偏芯による性能劣化の敏感度を低くすることができる。また特に、小型軽量化を達成しながら、高倍率で口径が大きいズームレンズ系を実現しようとすると、球面収差及びコマ収差の補正が不充分となりやすいので、これら第2レンズ群2の球面収差及びコマ収差を良好に補正するために、レンズ素子Bは、像側の面6が非球面である。
このように、実施の形態3に係るズームレンズ系では、第2レンズ群2が、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子Aと、非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、正のパワーを有するレンズ素子Cとで構成され、しかもレンズ素子A及びレンズ素子Cのd線に対する屈折率がいずれも、後述するようなの特定の大きい範囲に含まれる。したがって、実施の形態3では、少ないレンズ枚数かつ簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系が実現される。
第3レンズ群3は、開口絞り5と、第3Aレンズ群7と、第3Bレンズ群8とで構成されており、該第3レンズ群3には、前記実施の形態1に係るズームレンズ系と同様に、駆動機構としての各駆動アクチュエータが一体に組み込まれている。
ぶれ補正レンズ群である第3Aレンズ群7は、物体側から像側へと順に、物体側の面10が非球面である両凸正レンズ素子L5と、両凸正レンズ素子L6と、両凹負レンズ素子L7とで構成されており、両凸正レンズ素子L6と両凹負レンズ素子L7とが接合されている。そして特に、第3Aレンズ群7中、最も物体側の凸形状の非球面10と最も像側の凹形状の面14とにより、第3Aレンズ群7の軸上色収差、球面収差、コマ収差及び非点収差が良好に補正され、結像性能の劣化が小さい、高いぶれ補正機能が発現される。また、第3Aレンズ群7には、物体側から像側へと順に、正レンズ素子(L5)と、正レンズ素子(L6)と負レンズ素子(L7)との接合レンズ素子とが含まれるので、各レンズ素子の光軸と垂直な方向への移動(偏芯)による結像性能への敏感度が小さくなり、製造誤差による性能劣化が軽減される。
フォーカシングレンズ群である第3Bレンズ群8は、両凸正レンズ素子L8のみで構成されている。そして、第3Bレンズ群8としての非点収差を良好に補正し、偏芯による性能劣化感度を低減するために、両凸正レンズ素子L8は、物体側の面15が非球面である。このように、第3Bレンズ群8には非球面を有するレンズ素子が含まれているので、第3Bレンズ群8内の球面収差及びコマ収差が良好に補正され、物体の距離による球面収差の変化の少ない良好なフォーカス性能が発現される。
第4レンズ群4は、両凸正レンズ素子L9のみで構成されている。
次に、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系のような、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群と、負のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群とを少なくとも備えた複数のレンズ群からなり、各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行い、該第2レンズ群が、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子Aと、非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、正のパワーを有するレンズ素子Cとを備えたズームレンズ系が満足することが望ましい条件について説明する。なお、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系に対して、複数の条件を規定することができるが、各条件のすべてを満足する構成のズームレンズ系が最も望ましい。しかし、各条件を個別に満足させることにより、それぞれの条件に対応する効果を奏するズームレンズ系を得ることも可能である。
例えば実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(1)及び(2)を満足する。
1.85<NdA<2.20 ・・・(1)
1.88<NdC<2.20 ・・・(2)
ここで、
NdA:レンズ素子Aのd線に対する屈折率、
NdC:レンズ素子Cのd線に対する屈折率
である。
前記条件(1)及び(2)は、それぞれ第2レンズ群のレンズ素子A及びレンズ素子Cの屈折率を規定する式である。
条件(1)及び(2)について、いずれか一方でも下限値を下回った場合、下限値を下回った方のレンズ素子の曲率半径が小さくなって、収差発生量が多くなる。レンズ素子Bの非球面によって第2レンズ群としての収差はある程度のレベルに補正することができるものの、各レンズ素子が発生させている収差は補正されずに残るため、これが敏感度として残留してしまう。一方、条件(1)及び(2)について、いずれか一方でも上限値を上回った場合、第2レンズ群を構成するレンズ素子のコストが高くなると共に、可視光領域の青色側における透過率が不充分となって、良好な色再現性を得ることができない。
なお、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、さらに収差の発生量が少ない、低敏感度で良好な収差性能を得ることができるという点から、第2レンズ群は、以下の条件(1a)及び(2a)の少なくとも1つを満足することが好ましい。
1.90<NdA ・・・(1a)
1.93<NdC ・・・(2a)
また、例えば実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(3)、(4)及び(5)の少なくとも1つを満足することが好ましい。
1.0<(R21+R22)/(R21−R22)< 4.0 ・・・(3)
−0.7<(R23+R24)/(R23−R24)< 0.7 ・・・(4)
−4.0<(R25+R26)/(R25−R26)<−0.9 ・・・(5)
ここで、
R21:レンズ素子Aの物体側面の曲率半径(mm)、
R22:レンズ素子Aの像側面の曲率半径(mm)、
R23:レンズ素子Bの物体側面の曲率半径(mm)、
R24:レンズ素子Bの像側面の曲率半径(mm)、
R25:レンズ素子Cの物体側面の曲率半径(mm)、
R26:レンズ素子Cの像側面の曲率半径(mm)
である。
前記条件(3)は、レンズ素子Aの形状係数(shape factor)を示す式であり、レンズ素子Aが物体側に凸面を向けたメニスカスレンズ素子であることを示している。また条件(4)は、レンズ素子Bの形状係数を示す式であり、レンズ素子Bが両凹形状のレンズ素子であることを示している。該レンズ素子Bは非球面を有し、該非球面によって第2レンズ群の軸上収差を効果的に補正する役割を果たしている。したがって、レンズ素子Bは、物体側及び像側共に、屈折力を分割する構成であることが好ましい。さらに条件(5)は、レンズ素子Cの形状係数を示す式であり、レンズ素子Cが物体側に強い凸形状を有するレンズ素子であることを示している。該レンズ素子Cは、色収差を補正するために正のパワーを有しており、また球面収差及び非点収差をアンダー(補正不足)方向に補正する役割を果たしている。
第2レンズ群が条件(3)、(4)及び(5)の少なくとも1つを満足することにより、軸上収差から軸外収差にわたって良好にバランスがとれた収差補正を実現することができる。また特に、第2レンズ群が条件(3)、(4)及び(5)を全て満足する場合には、軸上収差から軸外収差にわたってさらにバランスがとれた、より優れた収差補正を実現することができる。
条件(3)の下限値を下回ると、レンズ素子Aが両凹形状となるため、該レンズ素子Aによる負の歪曲の発生が大きくなり過ぎる傾向がある。一方、条件(3)の上限値を上回ると、レンズ素子Aの像側面による軸上収差の発生量が大きくなるため、レンズ素子Aの敏感度が高くなる傾向がある。
条件(4)の下限値を下回っても、上限値を上回っても、レンズ面による収差発生量が片側の面に集中し、敏感度が高くなる傾向がある。
条件(5)の下限値を下回ると、球面収差及び非点収差が補正過剰(オーバー)となる傾向がある。逆に、条件(5)の上限値を上回ると、球面収差及び非点収差が補正不足(アンダー)となる傾向がある。
なお、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(3a)及び(3b)の少なくとも1つを満足することがさらに好ましい。
1.6<(R21+R22)/(R21−R22) ・・・(3a)
(R21+R22)/(R21−R22)<3.0 ・・・(3b)
前記条件(3a)を満足することにより、ズームレンズ系全体の歪曲収差を小さくすることができ、その結果、歪の小さい、より良好な像を得ることができる。一方、条件(3b)を満足することにより、レンズ素子Aとレンズ素子Bとの面間隔が大きくなり過ぎず、ズームレンズ系をより小型軽量化することができる。
また、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(4a)を満足することがさらに好ましい。
0.0<(R23+R24)/(R23−R24) ・・・(4a)
前記条件(4a)を満足することにより、主に軸上収差の補正不足(アンダー)をレンズ素子Bの非球面によって効果的に補正しながら、該非球面によって光軸から離れるにしたがって負のパワーが小さくなる形状に対し、近軸的なパワーの配分を大きくしておくことができる。その結果、収差発生量を適切に分配し、敏感度の低いより良好な収差補正を実現することが可能となる。
また、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、球面収差を補正するために適切なレンズ素子Cの形状係数は、該レンズ素子Cの屈折率によっても最適値が若干異なるが、例えばレンズ素子Cのd線に対する屈折率NdCが1.93よりも大きい場合には、第2レンズ群が以下の条件(5a)を満足することがさらに好ましい。
(R25+R26)/(R25−R26)<−1.6 ・・・(5a)
さらに、例えば実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(6)を満足することが好ましい。
0.20<|T24/FL2ALL|<0.40 ・・・(6)
ここで、
T24:レンズ素子Bの像側面とレンズ素子Cの物体側面との面間隔(mm)、
FL2ALL:第2レンズ群全体のd線に対する焦点距離(mm)
である。
前記条件(6)の下限値を満足することにより、第2レンズ群内における負のパワーと正のパワーとの主点間隔を大きくし、第2レンズ群を構成するレンズ素子のパワーをより小さくすることができ、第2レンズ群における各レンズ素子による収差の発生量をさらに少なくすることができる。その結果、良好にバランスがとれた収差補正を実現し、敏感度の低いズームレンズ系を実現することが可能となる。一方、条件(6)の上限値を上回ると、収差補正上は好ましいが、第2レンズ群の光軸方向の厚みが大きくなりすぎて、ズームレンズ系の小型軽量化を達成することが困難となる。
なお、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、さらに良好にバランスがとれた収差補正を実現し、敏感度のより低いズームレンズ系を実現することができるという点から、第2レンズ群は、以下の条件(6a)を満足することが好ましい。
0.23<|T24/FL2ALL| ・・・(6a)
(実施の形態4)
図4は、実施の形態4に係る撮像光学機器の構成の一例を示す概略斜視図である。
図4に示すように、撮像光学機器13は、レンズ鏡筒12と、CCD、CMOS等の撮像素子(図示せず)と、ストロボ14と、光学ビューファインダ15とを備えており、レンズ鏡筒12には、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系(図示せず)のいずれかが保持されている。
このように、撮像光学機器13には、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系のいずれかが搭載されているので、該撮像光学機器13は、小型軽量で高い撮像機能を有する。
実施の形態4に係る撮像光学機器は、解像度の高い静止画や動画を撮影することができるデジタルカメラとしてだけでなく、例えば携帯電話機器、PDA(Personal Digital Assistance)、監視システムにおける監視カメラ、Webカメラ、車載カメラ等としても適用することができる。
次に、具体的実施例をあげて、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系をさらに詳細に説明する。なお、各実施例において、表中の長さの単位はすべて「mm」である。表中、CRは光学面の曲率半径(以下の式中も同じ)、Tは光学面間隔、Ndはレンズ素子のd線に対する屈折率、Vdはレンズ素子のd線に対するアッベ数を示している。また、表中、非球面を有する光学面には「*」を付しており、その非球面形状は、光軸上で物体側から像側に向かってX軸を定義したとき、次式で規定される。
ここで、Kは円錐定数、Anはn次の非球面係数を表している。
図5は、実施例1のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図である。図6は、実施例1のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。図7は、実施例2のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図である。図8は、実施例2のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。図9は、実施例3のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図である。図10は、実施例3のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。
各縦収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)歪曲収差、(d)は軸上色収差、(e)は倍率色収差を示す。球面収差図において、縦軸はFナンバーを表し、実線はd線の特性である。非点収差図において、縦軸は半画角を表し、実線はサジタル平面の特性、破線はメリディオナル平面の特性である。歪曲収差図において、縦軸は半画角を表し、実線はd線の特性である。図5及び図6の軸上色収差図において、縦軸はFナンバーを表し、実線はd線の特性、短破線はF線の特性、長破線はC線の特性である。図7〜図10の軸上色収差図において、縦軸はFナンバーを表し、実線はd線の特性、破線はg線の特性である。図5及び図6の倍率色収差図において、縦軸は半画角ωを表し、短破線はd線に対するF線の特性、長破線はd線に対するC線の特性である。図7〜図10の倍率色収差図において、縦軸は半画角ωを表し、破線はd線に対するg線の特性である。
各縦収差図から明らかなように、実施例1〜3のズームレンズ系はいずれも、通常状態において高い収差性能を示す。
(実施例1)
実施例1のズームレンズ系は、実施の形態1に係るズームレンズ系に対応する。実施例1のズームレンズ系のレンズデータを表1に、非球面データを表2に、変倍時に可変な光学面間隔データを表3に示す。なお表2中、「D+00」、「D−02」等は、「×10+00」、「×10−02」等を表す。
表 1
表 2
表 3
また、焦点距離(mm)、Fナンバー及び入射画角(°)は以下のとおりである。
焦点距離 :6.45〜24.51
Fナンバー:2.9〜4.2
入射画角 :76.0〜22.0
(実施例2)
実施例2のズームレンズ系は、実施の形態2に係るズームレンズ系に対応する。実施例2のズームレンズ系のレンズデータを表4に、非球面データを表5に、変倍時に可変な光学面間隔データを表6に示す。なお表5中、「D+00」、「D−02」等は、「×10+00」、「×10−02」等を表す。
表 4
表 5
表 6
また、焦点距離(mm)、Fナンバー及び入射画角(°)は以下のとおりである。
焦点距離 :6.45〜24.51
Fナンバー:2.9〜4.3
入射画角 :76.6〜22.2
(実施例3)
実施例3のズームレンズ系は、実施の形態3に係るズームレンズ系に対応する。実施例3のズームレンズ系のレンズデータを表7に、非球面データを表8に、変倍時に可変な光学面間隔データを表9に示す。なお表8中、「D+00」、「D−02」等は、「×10+00」、「×10−02」等を表す。
表 7
表 8
表 9
また、焦点距離(mm)、Fナンバー及び入射画角(°)は以下のとおりである。
焦点距離 :6.45〜24.50
Fナンバー:2.9〜5.0
入射画角 :76.3〜22.1
以下の表10に、前記各条件の対応値を示す。
表 10
本発明のズームレンズ系は、少ないレンズ素子で簡単な構成であり、小型軽量であると共に、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能を有するので、例えば小型軽量化が望まれる高性能なデジタルカメラ等の撮像光学機器に有用である。
本発明は、ズームレンズ系及びそれを備えた撮像光学機器に関する。特に本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像光学機器に好適なズームレンズ系、及び該ズームレンズ系を備えた撮像光学機器に関する。
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ(以下、単に「デジタルカメラ」という)に代表される撮像光学機器が急速に普及し、記録される画像の画素数が500万画素を超えるデジタルカメラが多数商品化されている。その中でも、小型軽量化されたデジタルカメラが特に要望されている。
このように撮像光学機器の小型軽量化がさらに求められる中で、以下のようなレンズ系が提案されている(特開2004−212616号公報、特開2004−252204号公報及び特開2005−24844号公報)。
特開2004−212616号公報、特開2004−252204号公報及び特開2005−24844号公報に記載のレンズ系は、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群と、負のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群と、正のパワーを有する第4レンズ群とを備えたズームレンズ系である。そして該第2レンズ群は、物体側から像側へと順に、負のパワーを有する第1レンズ素子と、負のパワーを有する第2レンズ素子と、正のパワーを有する第3レンズ素子との3枚のレンズ素子で構成されている。このように、特開2004−212616号公報、特開2004−252204号公報及び特開2005−24844号公報に記載のレンズ系では、第2レンズ群を最少のレンズ素子で構成することにより、小型軽量化が図られている。
特開2004−212616号公報
特開2004−252204号公報
特開2005−24844号公報
しかしながら、特開2004−212616号公報及び特開2004−252204号公報に記載のレンズ系の場合には、第1レンズ素子及び第3レンズ素子のd線に対する屈折率がいずれも1.85未満であり、これら第1レンズ素子及び第3レンズ素子の曲率半径は比較的小さくなる。このため、屈折時の収差発生量が多く、高次収差の発生がレンズ系全体の収差性能を劣化させるような影響を及ぼし、偏芯等の製造誤差に対する性能劣化の敏感度も高くなるという問題がある。
また、特開2005−24844号公報に記載のレンズ系の場合にも、第1レンズ素子のd線に対する屈折率が1.85未満であり、前記レンズ系と同様の問題がある。また、第2レンズ素子と第3レンズ素子との間隔が短いため、各レンズ素子に必要なパワーがさらに大きくなり、その結果、高次収差の発生量を低減することが困難となり、敏感度が高くなる。このような高い敏感度への対策法としては、通常、レンズ素子の芯を調整しながら組立てを行う調芯組立法が多用されるものの、製造コストが高くなるという問題がある。
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、小型軽量化及び低コスト化が図られ、かつ低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系及びそれを備えた撮像光学機器を提供することを目的とする。
前記目的の1つは、以下のズームレンズ系により達成される。すなわち本発明は、
(i)物体側から像側へと順に、
正のパワーを有する第1レンズ群と、
負のパワーを有する第2レンズ群と、
正のパワーを有する第3レンズ群と
を少なくとも備えた複数のレンズ群からなり、
各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行い、
前記第1レンズ群が、広角側から望遠側への変倍に際して像面に対して移動し、
前記第2レンズ群が、物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子Aと、
非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、
正のパワーを有するレンズ素子Cとを備え、
以下の条件(1)及び(2):
1.85<NdA<2.20 ・・・(1)
1.88<NdC<2.20 ・・・(2)
(ここで、
NdA:レンズ素子Aのd線に対する屈折率、
NdC:レンズ素子Cのd線に対する屈折率
である)を満足する
ズームレンズ系、及び
(ii)物体側から像側へと順に、
正のパワーを有する第1レンズ群と、
負のパワーを有する第2レンズ群と、
正のパワーを有する第3レンズ群と
を少なくとも備えた複数のレンズ群からなり、
各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行い、
前記第2レンズ群が、広角側から望遠側への変倍に際して像面に凸の軌跡を描きながら、一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、
前記第2レンズ群が、物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子Aと、
非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、
正のパワーを有するレンズ素子Cとを備え、
以下の条件(1)及び(2):
1.85<NdA<2.20 ・・・(1)
1.88<NdC<2.20 ・・・(2)
(ここで、
NdA:レンズ素子Aのd線に対する屈折率、
NdC:レンズ素子Cのd線に対する屈折率
である)を満足する
ズームレンズ系
に関する。
また前記目的の1つは、以下の撮像光学機器により達成される。すなわち本発明は、
(i)物体の光学的な像を形成する撮像光学系と、
前記撮像光学系によって形成された光学的な像を電気的な画像信号に変換する撮像素子とを備え、
前記撮像光学系が、
物体側から像側へと順に、
正のパワーを有する第1レンズ群と、
負のパワーを有する第2レンズ群と、
正のパワーを有する第3レンズ群と
を少なくとも備えた複数のレンズ群からなり、
各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行い、
前記第1レンズ群が、広角側から望遠側への変倍に際して像面に対して移動し、
前記第2レンズ群が、物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子Aと、
非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、
正のパワーを有するレンズ素子Cとを備え、
以下の条件(1)及び(2):
1.85<NdA<2.20 ・・・(1)
1.88<NdC<2.20 ・・・(2)
(ここで、
NdA:レンズ素子Aのd線に対する屈折率、
NdC:レンズ素子Cのd線に対する屈折率
である)を満足する
ズームレンズ系である、撮像光学機器、及び
(ii)物体の光学的な像を形成する撮像光学系と、
前記撮像光学系によって形成された光学的な像を電気的な画像信号に変換する撮像素子とを備え、
前記撮像光学系が、
物体側から像側へと順に、
正のパワーを有する第1レンズ群と、
負のパワーを有する第2レンズ群と、
正のパワーを有する第3レンズ群と
を少なくとも備えた複数のレンズ群からなり、
各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行い、
前記第2レンズ群が、広角側から望遠側への変倍に際して像面に凸の軌跡を描きながら、一旦像側へ移動した後、物体側へ移動し、
前記第2レンズ群が、物体側から像側へと順に、
負のパワーを有するレンズ素子Aと、
非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、
正のパワーを有するレンズ素子Cとを備え、
以下の条件(1)及び(2):
1.85<NdA<2.20 ・・・(1)
1.88<NdC<2.20 ・・・(2)
(ここで、
NdA:レンズ素子Aのd線に対する屈折率、
NdC:レンズ素子Cのd線に対する屈折率
である)を満足する
ズームレンズ系である、撮像光学機器
に関する。
本発明によれば、少ないレンズ枚数かつ簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系を低コストで実現することができる。
また本発明によれば、小型軽量で高性能な撮像機能を有する撮像光学機器を実現することができる。
以下、実施の形態にて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。
図1に示すように、実施の形態1に係るズームレンズ系は、物体側(図1中、左側)から像側(像面S側)へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群1と、負のパワーを有する第2レンズ群2と、正のパワーを有する第3レンズ群3と、正のパワーを有する第4レンズ群4とで構成されており、各レンズ群の間隔を変化させて変倍が行われる。第3レンズ群3の最も物体側には、光路を規制するための開口絞り5が配置されている。また、第4レンズ群4と像面Sとの間の該像面Sの近傍に、光学ローパスフィルタ6が配置されている。この光学ローパスフィルタ6は、像面Sに配置されるCCD、CMOS等の撮像素子のサンプリングによる折返し像を少なくするためのものであり、水晶板等の透明な平行平板を用いて形成されている。図1中、各レンズ群からの矢印は、広角側から望遠側へ変倍する際の各レンズ群の移動経路を示している。なお、第4レンズ群4からの矢印は、該第4レンズ群4が変倍時に像面Sに対して固定された状態にあることを示している。
次に、各レンズ群の具体的構成について詳細に説明する。
図1に示すように、第1レンズ群1は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負のパワーを有するメニスカスレンズ素子(以下、「負メニスカスレンズ素子」という)L1と、物体側に凸面を向けた正のパワーを有するメニスカスレンズ素子(以下、「正メニスカスレンズ素子」という)L2と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L3との3枚のレンズ素子で構成されており、負メニスカスレンズ素子L1と正メニスカスレンズ素子L2とは接合されている。
ここで、ズームレンズ系の小型軽量化を最重視する場合には、第1レンズ群は1枚のレンズ素子で構成されることが望ましい(後述する実施の形態3参照)。ただしこの場合には、第1レンズ群単独での色収差や球面収差の補正が不充分となる傾向があるため、望遠側のFナンバーを比較的大きく(暗く)することが好ましい。したがって、第1レンズ群を構成するレンズ素子の枚数は、望遠側のFナンバーの要求に応じて適宜選択される。第1レンズ群を2枚のレンズ素子(後述する実施の形態2参照)〜3枚のレンズ素子(本実施の形態1)で構成することにより、第1レンズ群単独での色収差や球面収差の補正が良好になされるので、望遠側においてもFナンバーが小さく(明るく)、比較的解像度の高いズームレンズ系を実現することができる。このように、第1レンズ群は、要求される仕様に応じて、例えば1〜3枚のレンズ素子で構成されることが好ましい。
第2レンズ群2は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ素子L4(レンズ素子A)と、両凹形状の負のパワーを有するレンズ素子(以下、「両凹負レンズ素子」という)L5(レンズ素子B)と、物体側に強い両凸形状の正のパワーを有するレンズ素子(以下、「両凸正レンズ素子」という)L6(レンズ素子C)とで構成されている。ここで、レンズ素子Aは、広角端における歪曲収差を良好に補正するために必要であり、レンズ素子Cは、第2レンズ群2の色収差及び非点収差を補正している。さらに、これらレンズ素子A及びレンズ素子Cは、d線に対する屈折率Ndが大きい高屈折率材料で形成されており(表1参照)、第2レンズ群2を構成するレンズ素子によって発生する収差を低減することができ、収差を良好に補正し、かつ第2レンズ群2を構成するレンズ素子の偏芯による性能劣化の敏感度を低くすることができる。また特に、小型軽量化を達成しながら、高倍率で口径が大きいズームレンズ系を実現しようとすると、球面収差及びコマ収差の補正が不充分となりやすいので、これら第2レンズ群2の球面収差及びコマ収差を良好に補正するために、レンズ素子Bは、像側の面9が非球面である。
このように、実施の形態1に係るズームレンズ系では、第2レンズ群2が、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子Aと、非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、正のパワーを有するレンズ素子Cとで構成され、しかもレンズ素子A及びレンズ素子Cのd線に対する屈折率がいずれも、後述するようなの特定の大きい範囲に含まれる。したがって、実施の形態1では、少ないレンズ枚数かつ簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系が実現される。
第3レンズ群3は、物体側から像側へと順に、開口絞り5と、第3Aレンズ群7と、第3Bレンズ群8とで構成されている。ここで、第3Aレンズ群7は、ぶれ補正のために、光軸9(以下、「光軸」とは「光軸9」を示す)と垂直な方向(矢印10で示す方向)に移動(偏芯)可能なぶれ補正レンズ群である。また、第3Bレンズ群8は、フォーカス調整のために、光軸方向における第3Aレンズ群7との間隔を変化させるように光軸方向(矢印11で示す方向)に移動可能なフォーカシングレンズ群である。また、該第3レンズ群3には、駆動機構としての各駆動アクチュエータが一体に組み込まれている。
このように、実施の形態1に係るズームレンズ系では、第3レンズ群3を、第3Aレンズ群7と第3Bレンズ群8との2つのレンズ群に分割し、第3Aレンズ群7にぶれ補正機能を、第3Bレンズ群8にフォーカス機能をそれぞれ付与していることにより、電力供給による制御が必要なぶれ補正駆動部及びフォーカス駆動部を集約することができる。したがって、駆動アクチュエータ等の部材をコンパクトに効率よく配置することができる。
また、組立て時の検査においても電気部品の検査が集約されるので、組立てコストの低減を図ることもできる。
また、結像性能に係る収差補正においても、第3レンズ群3の全長が長く構成されるので、効果的なビネッティング(vignetting)を行うことができる。特に、例えば35mmフィルム換算で28mm相当の画角以上の広画角を必要とするズームレンズ系の場合には、収差補正の効果が大きい。
さらに、レンズ素子を保持するレンズ鏡筒の収納時には、第3Aレンズ群7と第3Bレンズ群8との間隔が略なくなるので、収納時にズームレンズ系の薄型化を図ることができる。
なお第3レンズ群3は、ぶれ補正レンズ群としての第3Aレンズ群7及びフォーカシングレンズ群としての第3Bレンズ群8以外のレンズ素子を含んでいてもよいが、ズームレンズ系の小型軽量化を考慮すると、第3Aレンズ群7及び第3Bレンズ群8のみで構成されていることが好ましい。
開口絞り5は、第3Aレンズ群7及び第3Bレンズ群8と同様に、第3レンズ群3に含まれており、変倍時には、該開口絞り5、第3Aレンズ群7及び第3Bレンズ群8が略一体的に光軸方向に移動する。しかし、本実施の形態1に係るズームレンズ系において、開口絞り5は、第3Aレンズ群7には含まれておらず、ぶれ補正時に光軸と垂直な方向に移動することはない。
このように、第3レンズ群3に開口絞り5が含まれている場合、ズームレンズ系の撮像に係るシャッタや開口径制御等の制御部も第3レンズ群3に集約することができる。したがって、ズームレンズ系がさらにコンパクトに構成されると共に、組立てコストの低減を図ることができる。また、ぶれ補正レンズ群である第3Aレンズ群7の外径を小さくすることができ、該第3Aレンズ群7の小型軽量化を図ることができるという点から、開口絞り5は、第3Aレンズ群7の近傍に配置されることが好ましい。さらに、非点収差を良好に補正することができるという点から、開口絞り5は、第3Aレンズ群7の物体側に配置されていることがより好ましい。
なお、本発明においては、開口絞りが第3Aレンズ群に含まれる構成とすることも可能である。しかし、開口絞りは、通常シャッタ駆動アクチュエータ等の質量が大きい部材を有するため、本実施の形態1に係るズームレンズ系のように、ぶれ補正レンズ群としての第3Aレンズ群には含まれていない方が好ましい。
ぶれ補正レンズ群である第3Aレンズ群7は、物体側から像側へと順に、両面13、14が非球面である両凸正レンズ素子L7と、両凸正レンズ素子L8と、両凹負レンズ素子L9とで構成されており、両凸正レンズ素子L8と両凹負レンズ素子L9とが接合されている。そして特に、第3Aレンズ群7中、最も物体側の凸形状の非球面13と最も像側の凹形状の面17とにより、第3Aレンズ群7の軸上色収差、球面収差、コマ収差及び非点収差が良好に補正され、結像性能の劣化が小さい、高いぶれ補正機能が発現される。また、第3Aレンズ群7には、物体側から像側へと順に、正レンズ素子(L7)と、正レンズ素子(L8)と負レンズ素子(L9)との接合レンズ素子とが含まれるので、各レンズ素子の光軸と垂直な方向への移動(偏芯)による結像性能への敏感度が小さくなり、製造誤差による性能劣化が軽減される。
フォーカシングレンズ群である第3Bレンズ群8は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L10のみで構成されている。そして、第3Bレンズ群8としての非点収差を良好に補正し、偏芯による性能劣化感度を低減するために、正メニスカスレンズ素子L10は、物体側の面18が非球面である。このように、第3Bレンズ群8には非球面を有するレンズ素子が含まれているので、第3Bレンズ群8内の球面収差及びコマ収差が良好に補正され、物体の距離による球面収差の変化の少ない良好なフォーカス性能が発現される。
第4レンズ群4は、両凸正レンズ素子L11のみで構成されている。該第4レンズ群4は、像面Sに配置される撮像素子へのテレセントリック性を達成するためのコンデンサレンズとしての役割を果たすので、シェーディングが少なく、周辺部まで明るい画像を得ることができる。また、フォーカスの効果を必要としないので、広角側から望遠側へ変倍する際に、第4レンズ群4は、像面Sに対して固定される。その結果、第4レンズ群4と撮像素子との間の構造を、撮像素子付近に付着すると問題になる微細な塵、埃等の不純物が入り難い防塵密閉構造とすることができるので、撮影画像に写りこむ不純物の問題を解消することができる。
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。実施の形態2に係るズームレンズ系は、物体側(図2中、左側)から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群1と、負のパワーを有する第2レンズ群2と、正のパワーを有する第3レンズ群3と、正のパワーを有する第4レンズ群4とで構成されており、基本的な構成等は前記実施の形態1に係るズームレンズ系と同一である。よって、これら各レンズ群の具体的構成についてのみ詳細に説明する。
図2に示すように、第1レンズ群1は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ素子L1と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L2との2枚のレンズ素子で構成されており、これら負メニスカスレンズ素子L1と正メニスカスレンズ素子L2とは接合されている。このように、第1レンズ群1は2枚のレンズ素子で構成されているので、第1レンズ群1単独で色収差や球面収差が良好に補正され、望遠側においてもFナンバーが小さく(明るく)、比較的解像度の高いズームレンズ系を実現することができる。
第2レンズ群2は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ素子L3(レンズ素子A)と、両凹負レンズ素子L4(レンズ素子B)と、物体側に強い凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L5(レンズ素子C)とで構成されている。ここで、レンズ素子Aは、広角端における歪曲収差を良好に補正するために必要であり、レンズ素子Cは、第2レンズ群2の色収差及び非点収差を補正している。さらに、これらレンズ素子A及びレンズ素子Cは、d線に対する屈折率Ndが大きい高屈折率材料で形成されており(表4参照)、第2レンズ群2を構成するレンズ素子によって発生する収差を低減することができ、収差を良好に補正し、かつ第2レンズ群2を構成するレンズ素子の偏芯による性能劣化の敏感度を低くすることができる。また特に、小型軽量化を達成しながら、高倍率で口径が大きいズームレンズ系を実現しようとすると、球面収差及びコマ収差の補正が不充分となりやすいので、これら第2レンズ群2の球面収差及びコマ収差を良好に補正するために、レンズ素子Bは、像側の面7が非球面である。
このように、実施の形態2に係るズームレンズ系では、第2レンズ群2が、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子Aと、非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、正のパワーを有するレンズ素子Cとで構成され、しかもレンズ素子A及びレンズ素子Cのd線に対する屈折率がいずれも、後述するようなの特定の大きい範囲に含まれる。したがって、実施の形態2では、少ないレンズ枚数かつ簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系が実現される。
第3レンズ群3は、開口絞り5と、第3Aレンズ群7と、第3Bレンズ群8とで構成されており、該第3レンズ群3には、前記実施の形態1に係るズームレンズ系と同様に、駆動機構としての各駆動アクチュエータが一体に組み込まれている。
ぶれ補正レンズ群である第3Aレンズ群7は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向け、物体側の面11が非球面であり、平凸形状の正のパワーを有するレンズ素子L6と、両凸正レンズ素子L7と、両凹負レンズ素子L8とで構成されており、両凸正レンズ素子L7と両凹負レンズ素子L8とが接合されている。そして特に、第3Aレンズ群7中、最も物体側の凸形状の非球面11と最も像側の凹形状の面15とにより、第3Aレンズ群7の軸上色収差、球面収差、コマ収差及び非点収差が良好に補正され、結像性能の劣化が小さい、高いぶれ補正機能が発現される。また、第3Aレンズ群7には、物体側から像側へと順に、正レンズ素子(L6)と、正レンズ素子(L7)と負レンズ素子(L8)との接合レンズ素子とが含まれるので、各レンズ素子の光軸と垂直な方向への移動(偏芯)による結像性能への敏感度が小さくなり、製造誤差による性能劣化が軽減される。
フォーカシングレンズ群である第3Bレンズ群8は、両凸正レンズ素子L9のみで構成されている。そして、第3Bレンズ群8としての非点収差を良好に補正し、偏芯による性能劣化感度を低減するために、両凸正レンズ素子L9は、物体側の面16が非球面である。このように、第3Bレンズ群8には非球面を有するレンズ素子が含まれているので、第3Bレンズ群8内の球面収差及びコマ収差が良好に補正され、物体の距離による球面収差の変化の少ない良好なフォーカス性能が発現される。
第4レンズ群4は、両凸正レンズ素子L10のみで構成されている。
(実施の形態3)
図3は、実施の形態3に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。実施の形態3に係るズームレンズ系は、物体側(図3中、左側)から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群1と、負のパワーを有する第2レンズ群2と、正のパワーを有する第3レンズ群3と、正のパワーを有する第4レンズ群4とで構成されており、基本的な構成等は前記実施の形態1に係るズームレンズ系と同一である。よって、これら各レンズ群の具体的構成についてのみ詳細に説明する。
図3に示すように、第1レンズ群1は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L1のみで構成されている。これにより、ズームレンズ系の小型軽量化が図られている。
第2レンズ群2は、物体側から像側へと順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ素子L2(レンズ素子A)と、両凹負レンズ素子L3(レンズ素子B)と、物体側に強い凸面を向けた正メニスカスレンズ素子L4(レンズ素子C)とで構成されている。ここで、レンズ素子Aは、広角端における歪曲収差を良好に補正するために必要であり、レンズ素子Cは、第2レンズ群2の色収差及び非点収差を補正している。さらに、これらレンズ素子A及びレンズ素子Cは、d線に対する屈折率Ndが大きい高屈折率材料で形成されており(表7参照)、第2レンズ群2を構成するレンズ素子によって発生する収差を低減することができ、収差を良好に補正し、かつ第2レンズ群2を構成するレンズ素子の偏芯による性能劣化の敏感度を低くすることができる。また特に、小型軽量化を達成しながら、高倍率で口径が大きいズームレンズ系を実現しようとすると、球面収差及びコマ収差の補正が不充分となりやすいので、これら第2レンズ群2の球面収差及びコマ収差を良好に補正するために、レンズ素子Bは、像側の面6が非球面である。
このように、実施の形態3に係るズームレンズ系では、第2レンズ群2が、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子Aと、非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、正のパワーを有するレンズ素子Cとで構成され、しかもレンズ素子A及びレンズ素子Cのd線に対する屈折率がいずれも、後述するようなの特定の大きい範囲に含まれる。したがって、実施の形態3では、少ないレンズ枚数かつ簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能のズームレンズ系が実現される。
第3レンズ群3は、開口絞り5と、第3Aレンズ群7と、第3Bレンズ群8とで構成されており、該第3レンズ群3には、前記実施の形態1に係るズームレンズ系と同様に、駆動機構としての各駆動アクチュエータが一体に組み込まれている。
ぶれ補正レンズ群である第3Aレンズ群7は、物体側から像側へと順に、物体側の面10が非球面である両凸正レンズ素子L5と、両凸正レンズ素子L6と、両凹負レンズ素子L7とで構成されており、両凸正レンズ素子L6と両凹負レンズ素子L7とが接合されている。そして特に、第3Aレンズ群7中、最も物体側の凸形状の非球面10と最も像側の凹形状の面14とにより、第3Aレンズ群7の軸上色収差、球面収差、コマ収差及び非点収差が良好に補正され、結像性能の劣化が小さい、高いぶれ補正機能が発現される。また、第3Aレンズ群7には、物体側から像側へと順に、正レンズ素子(L5)と、正レンズ素子(L6)と負レンズ素子(L7)との接合レンズ素子とが含まれるので、各レンズ素子の光軸と垂直な方向への移動(偏芯)による結像性能への敏感度が小さくなり、製造誤差による性能劣化が軽減される。
フォーカシングレンズ群である第3Bレンズ群8は、両凸正レンズ素子L8のみで構成されている。そして、第3Bレンズ群8としての非点収差を良好に補正し、偏芯による性能劣化感度を低減するために、両凸正レンズ素子L8は、物体側の面15が非球面である。このように、第3Bレンズ群8には非球面を有するレンズ素子が含まれているので、第3Bレンズ群8内の球面収差及びコマ収差が良好に補正され、物体の距離による球面収差の変化の少ない良好なフォーカス性能が発現される。
第4レンズ群4は、両凸正レンズ素子L9のみで構成されている。
次に、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系のような、物体側から像側へと順に、正のパワーを有する第1レンズ群と、負のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群とを少なくとも備えた複数のレンズ群からなり、各レンズ群の間隔を変化させて変倍を行い、該第2レンズ群が、物体側から像側へと順に、負のパワーを有するレンズ素子Aと、非球面を有し、かつ負のパワーを有するレンズ素子Bと、正のパワーを有するレンズ素子Cとを備えたズームレンズ系が満足することが望ましい条件について説明する。なお、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系に対して、複数の条件を規定することができるが、各条件のすべてを満足する構成のズームレンズ系が最も望ましい。しかし、各条件を個別に満足させることにより、それぞれの条件に対応する効果を奏するズームレンズ系を得ることも可能である。
例えば実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(1)及び(2)を満足する。
1.85<NdA<2.20 ・・・(1)
1.88<NdC<2.20 ・・・(2)
ここで、
NdA:レンズ素子Aのd線に対する屈折率、
NdC:レンズ素子Cのd線に対する屈折率
である。
前記条件(1)及び(2)は、それぞれ第2レンズ群のレンズ素子A及びレンズ素子Cの屈折率を規定する式である。
条件(1)及び(2)について、いずれか一方でも下限値を下回った場合、下限値を下回った方のレンズ素子の曲率半径が小さくなって、収差発生量が多くなる。レンズ素子Bの非球面によって第2レンズ群としての収差はある程度のレベルに補正することができるものの、各レンズ素子が発生させている収差は補正されずに残るため、これが敏感度として残留してしまう。一方、条件(1)及び(2)について、いずれか一方でも上限値を上回った場合、第2レンズ群を構成するレンズ素子のコストが高くなると共に、可視光領域の青色側における透過率が不充分となって、良好な色再現性を得ることができない。
なお、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、さらに収差の発生量が少ない、低敏感度で良好な収差性能を得ることができるという点から、第2レンズ群は、以下の条件(1a)及び(2a)の少なくとも1つを満足することが好ましい。
1.90<NdA ・・・(1a)
1.93<NdC ・・・(2a)
また、例えば実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(3)、(4)及び(5)の少なくとも1つを満足することが好ましい。
1.0<(R21+R22)/(R21−R22)< 4.0 ・・・(3)
−0.7<(R23+R24)/(R23−R24)< 0.7 ・・・(4)
−4.0<(R25+R26)/(R25−R26)<−0.9 ・・・(5)
ここで、
R21:レンズ素子Aの物体側面の曲率半径(mm)、
R22:レンズ素子Aの像側面の曲率半径(mm)、
R23:レンズ素子Bの物体側面の曲率半径(mm)、
R24:レンズ素子Bの像側面の曲率半径(mm)、
R25:レンズ素子Cの物体側面の曲率半径(mm)、
R26:レンズ素子Cの像側面の曲率半径(mm)
である。
前記条件(3)は、レンズ素子Aの形状係数(shape factor)を示す式であり、レンズ素子Aが物体側に凸面を向けたメニスカスレンズ素子であることを示している。また条件(4)は、レンズ素子Bの形状係数を示す式であり、レンズ素子Bが両凹形状のレンズ素子であることを示している。該レンズ素子Bは非球面を有し、該非球面によって第2レンズ群の軸上収差を効果的に補正する役割を果たしている。したがって、レンズ素子Bは、物体側及び像側共に、屈折力を分割する構成であることが好ましい。さらに条件(5)は、レンズ素子Cの形状係数を示す式であり、レンズ素子Cが物体側に強い凸形状を有するレンズ素子であることを示している。該レンズ素子Cは、色収差を補正するために正のパワーを有しており、また球面収差及び非点収差をアンダー(補正不足)方向に補正する役割を果たしている。
第2レンズ群が条件(3)、(4)及び(5)の少なくとも1つを満足することにより、軸上収差から軸外収差にわたって良好にバランスがとれた収差補正を実現することができる。また特に、第2レンズ群が条件(3)、(4)及び(5)を全て満足する場合には、軸上収差から軸外収差にわたってさらにバランスがとれた、より優れた収差補正を実現することができる。
条件(3)の下限値を下回ると、レンズ素子Aが両凹形状となるため、該レンズ素子Aによる負の歪曲の発生が大きくなり過ぎる傾向がある。一方、条件(3)の上限値を上回ると、レンズ素子Aの像側面による軸上収差の発生量が大きくなるため、レンズ素子Aの敏感度が高くなる傾向がある。
条件(4)の下限値を下回っても、上限値を上回っても、レンズ面による収差発生量が片側の面に集中し、敏感度が高くなる傾向がある。
条件(5)の下限値を下回ると、球面収差及び非点収差が補正過剰(オーバー)となる傾向がある。逆に、条件(5)の上限値を上回ると、球面収差及び非点収差が補正不足(アンダー)となる傾向がある。
なお、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(3a)及び(3b)の少なくとも1つを満足することがさらに好ましい。
1.6<(R21+R22)/(R21−R22) ・・・(3a)
(R21+R22)/(R21−R22)<3.0 ・・・(3b)
前記条件(3a)を満足することにより、ズームレンズ系全体の歪曲収差を小さくすることができ、その結果、歪の小さい、より良好な像を得ることができる。一方、条件(3b)を満足することにより、レンズ素子Aとレンズ素子Bとの面間隔が大きくなり過ぎず、ズームレンズ系をより小型軽量化することができる。
また、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(4a)を満足することがさらに好ましい。
0.0<(R23+R24)/(R23−R24) ・・・(4a)
前記条件(4a)を満足することにより、主に軸上収差の補正不足(アンダー)をレンズ素子Bの非球面によって効果的に補正しながら、該非球面によって光軸から離れるにしたがって負のパワーが小さくなる形状に対し、近軸的なパワーの配分を大きくしておくことができる。その結果、収差発生量を適切に分配し、敏感度の低いより良好な収差補正を実現することが可能となる。
また、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、球面収差を補正するために適切なレンズ素子Cの形状係数は、該レンズ素子Cの屈折率によっても最適値が若干異なるが、例えばレンズ素子Cのd線に対する屈折率NdCが1.93よりも大きい場合には、第2レンズ群が以下の条件(5a)を満足することがさらに好ましい。
(R25+R26)/(R25−R26)<−1.6 ・・・(5a)
さらに、例えば実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、第2レンズ群は、以下の条件(6)を満足することが好ましい。
0.20<|T24/FL2ALL|<0.40 ・・・(6)
ここで、
T24:レンズ素子Bの像側面とレンズ素子Cの物体側面との面間隔(mm)、
FL2ALL:第2レンズ群全体のd線に対する焦点距離(mm)
である。
前記条件(6)の下限値を満足することにより、第2レンズ群内における負のパワーと正のパワーとの主点間隔を大きくし、第2レンズ群を構成するレンズ素子のパワーをより小さくすることができ、第2レンズ群における各レンズ素子による収差の発生量をさらに少なくすることができる。その結果、良好にバランスがとれた収差補正を実現し、敏感度の低いズームレンズ系を実現することが可能となる。一方、条件(6)の上限値を上回ると、収差補正上は好ましいが、第2レンズ群の光軸方向の厚みが大きくなりすぎて、ズームレンズ系の小型軽量化を達成することが困難となる。
なお、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系において、さらに良好にバランスがとれた収差補正を実現し、敏感度のより低いズームレンズ系を実現することができるという点から、第2レンズ群は、以下の条件(6a)を満足することが好ましい。
0.23<|T24/FL2ALL| ・・・(6a)
(実施の形態4)
図4は、実施の形態4に係る撮像光学機器の構成の一例を示す概略斜視図である。
図4に示すように、撮像光学機器13は、レンズ鏡筒12と、CCD、CMOS等の撮像素子(図示せず)と、ストロボ14と、光学ビューファインダ15とを備えており、レンズ鏡筒12には、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系(図示せず)のいずれかが保持されている。
このように、撮像光学機器13には、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系のいずれかが搭載されているので、該撮像光学機器13は、小型軽量で高い撮像機能を有する。
実施の形態4に係る撮像光学機器は、解像度の高い静止画や動画を撮影することができるデジタルカメラとしてだけでなく、例えば携帯電話機器、PDA(Personal Digital Assistance)、監視システムにおける監視カメラ、Webカメラ、車載カメラ等としても適用することができる。
次に、具体的実施例をあげて、実施の形態1〜3に係るズームレンズ系をさらに詳細に説明する。なお、各実施例において、表中の長さの単位はすべて「mm」である。表中、CRは光学面の曲率半径(以下の式中も同じ)、Tは光学面間隔、Ndはレンズ素子のd線に対する屈折率、Vdはレンズ素子のd線に対するアッベ数を示している。また、表中、非球面を有する光学面には「*」を付しており、その非球面形状は、光軸上で物体側から像側に向かってX軸を定義したとき、次式で規定される。
ここで、Kは円錐定数、Anはn次の非球面係数を表している。
図5は、実施例1のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図である。図6は、実施例1のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。図7は、実施例2のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図である。図8は、実施例2のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。図9は、実施例3のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図である。図10は、実施例3のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。
各縦収差図において、(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)歪曲収差、(d)は軸上色収差、(e)は倍率色収差を示す。球面収差図において、縦軸はFナンバーを表し、実線はd線の特性である。非点収差図において、縦軸は半画角を表し、実線はサジタル平面の特性、破線はメリディオナル平面の特性である。歪曲収差図において、縦軸は半画角を表し、実線はd線の特性である。図5及び図6の軸上色収差図において、縦軸はFナンバーを表し、実線はd線の特性、短破線はF線の特性、長破線はC線の特性である。図7〜図10の軸上色収差図において、縦軸はFナンバーを表し、実線はd線の特性、破線はg線の特性である。図5及び図6の倍率色収差図において、縦軸は半画角ωを表し、短破線はd線に対するF線の特性、長破線はd線に対するC線の特性である。図7〜図10の倍率色収差図において、縦軸は半画角ωを表し、破線はd線に対するg線の特性である。
各縦収差図から明らかなように、実施例1〜3のズームレンズ系はいずれも、通常状態において高い収差性能を示す。
(実施例1)
実施例1のズームレンズ系は、実施の形態1に係るズームレンズ系に対応する。実施例1のズームレンズ系のレンズデータを表1に、非球面データを表2に、変倍時に可変な光学面間隔データを表3に示す。なお表2中、「D+00」、「D−02」等は、「×10+00」、「×10-02」等を表す。
また、焦点距離(mm)、Fナンバー及び入射画角(°)は以下のとおりである。
焦点距離 :6.45〜24.51
Fナンバー:2.9〜4.2
入射画角 :76.0〜22.0
(実施例2)
実施例2のズームレンズ系は、実施の形態2に係るズームレンズ系に対応する。実施例2のズームレンズ系のレンズデータを表4に、非球面データを表5に、変倍時に可変な光学面間隔データを表6に示す。なお表5中、「D+00」、「D−02」等は、「×10+00」、「×10-02」等を表す。
また、焦点距離(mm)、Fナンバー及び入射画角(°)は以下のとおりである。
焦点距離 :6.45〜24.51
Fナンバー:2.9〜4.3
入射画角 :76.6〜22.2
(実施例3)
実施例3のズームレンズ系は、実施の形態3に係るズームレンズ系に対応する。実施例3のズームレンズ系のレンズデータを表7に、非球面データを表8に、変倍時に可変な光学面間隔データを表9に示す。なお表8中、「D+00」、「D−02」等は、「×10+00」、「×10-02」等を表す。
また、焦点距離(mm)、Fナンバー及び入射画角(°)は以下のとおりである。
焦点距離 :6.45〜24.50
Fナンバー:2.9〜5.0
入射画角 :76.3〜22.1
以下の表10に、前記各条件の対応値を示す。
本発明のズームレンズ系は、少ないレンズ素子で簡単な構成であり、小型軽量であると共に、各レンズ素子による収差の発生量が少ない、低敏感度で優れた収差性能を有するので、例えば小型軽量化が望まれる高性能なデジタルカメラ等の撮像光学機器に有用である。
実施の形態1に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図
実施の形態2に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図
実施の形態3に係るズームレンズ系の、通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図
実施の形態4に係る撮像光学機器の構成の一例を示す概略斜視図
実施例1のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図
実施例1のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図
実施例2のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図
実施例2のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図
実施例3のズームレンズ系の、通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図
実施例3のズームレンズ系の、通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図
符号の説明
A、B、C レンズ素子
S 像面
1 第1レンズ群
2 第2レンズ群
3 第3レンズ群
4 第4レンズ群
5 開口絞り
6 光学ローパスフィルタ
7 第3Aレンズ群
8 第3Bレンズ群
9 光軸
12 レンズ鏡筒
13 撮像光学機器
14 ストロボ
15 光学ビューファインダ