JP4689321B2 - ズームレンズ及びそれを有する光学機器 - Google Patents

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Description

本発明は、ズームレンズ及びそれを有する光学機器に関し、例えばビデオカメラや電子スチルカメラ、銀塩写真用カメラに好適なものである。
最近、ホームビデオカメラや電子スチルカメラ等の小型軽量化に伴い、撮像用のズームレンズの小型化にも目覚しい進歩が見られ、特にレンズ全長の短縮化や前玉径の小型化、レンズ構成の簡略化にも力が注がれている。これらの目的を達成する一つの手段として、物体側の第1レンズ群以外のレンズ群を移動させてフォーカスを行う、所謂リヤーフォーカス式のズームレンズが知られている。
一般にリヤーフォーカス式のズームレンズは、第1レンズ群を移動させてフォーカスを行うズームレンズに比べて第1レンズ群の有効径が小さくなり、レンズ系全体の小型化が容易になる。また近接撮影、特に極至近撮影が容易となる。さらに、小型軽量のレンズ群を移動させているので、レンズ群の駆動力が小さくて済み、迅速な焦点合わせができる等の特徴がある。
従来のリヤーフォーカス式のズームレンズとして、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群の4つのレンズ群を有し、第2レンズ群を移動させて変倍を行い、第4レンズ群を移動させて変倍に伴う像面変動とフォーカスを行うものが知られている(例えば特許文献1,2)。
一般に、カメラの非使用時に収納性を高めるには各レンズ群を沈胴させるのが効果的である。しかし、第2レンズ群がほとんどの変倍機能を有する上記のようなズームタイプのズームレンズでは、第1レンズ群、第2レンズ群の偏芯に対する敏感度が大きすぎて沈胴には適さない。
これに対して、変倍比3倍程度のズームレンズにおいて、物体側より順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群の4つのレンズ群を有し、第1レンズ群を単一のレンズで構成すると共に第2、第3、第4レンズ群を移動させて変倍を行い、第4レンズ群を移動させてフォーカスを行って光学系を簡素化して沈胴構造にも適した光学系が知られている(例えば特許文献3)。
また変倍比3倍乃至4倍程度のズームレンズにおいて、物体側より順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群の4つのレンズ群を有し、第1レンズ群を単一のレンズで構成すると共に第1、第2、第3、第4レンズ群を移動させて変倍を行っている光学系も知られている(例えば特許文献4、5)。
特開平7−270684号公報 特開平11−305124号公報 特開平10−62687号公報 特開2001−194586号公報 特開2004−109653号公報
光学系を小型化するために光学系を構成する各レンズ群の屈折力を強めつつ、レンズ枚数を削減しようとするとレンズ肉厚が増してしまいレンズ系の短縮効果が不十分になると同時に諸収差の補正が困難になってくる。
また非使用時に各レンズ群を沈胴して収納しようとするとメカ構造的にどうしてもレンズ及びレンズ群の倒れなどの誤差が大きくなり、レンズ及びレンズ群の敏感度が大きいと光学性能の劣化や変倍時の像ゆれが生じてしまうのでレンズやレンズ群の敏感度はなるべく小さくするのが望ましい。
物体側より順に正、負、正、正の屈折力のレンズ群より成る4群構成のズームレンズで第2レンズ群、第4レンズ群だけを移動させてズーミングを行おうとすると、殆どの変倍を第2レンズ群で行わなければならなくなり、どうしても第1レンズ群と第2レンズ群の屈折力を大きくせざるを得なくなる。
これに対して特許文献3で示された光学系では、第1レンズ群や第2レンズ群の敏感度が比較的小さくなるので沈胴構造には適している。しかしながら第1レンズ群が変倍時に固定であるので広角端でのレンズ全長の短縮化や前玉径の小型化が必ずしも十分でない。
また特許文献4で示された光学系では第1レンズ群を変倍時に移動させることで小型、大口径かつ高性能を達成している。しかしながら第1レンズ群の広角端から望遠端への変倍に伴う移動量が小さいために広角端で入射瞳を十分短くすることが出来ず、前玉径の小型化が必ずしも十分でない。
また特許文献5で示された光学系では、変倍に際して第3レンズ群に主たる変倍効果を持たせ、更に第1レンズ群を物体側に移動させることで第2レンズ群にも変倍効果を持たせることにより4倍程度の変倍比を得ている。しかし、第2レンズ群の変倍効果が必ずしも十分でなく、また3群の光軸方向の厚みが大きく沈胴時のレンズ全長と前玉径の小型化が不十分である。
本発明は、ズーミングにおける各レンズ群の移動量と各レンズ群の屈折力を適切に設定し、第2レンズ群と第3レンズ群の変倍比を適切に配置することで、撮影時及び沈胴時のレンズ全長の小型化を達成すると共に、広角端から望遠端に至る変倍の全変倍範囲にわたり良好なる光学性能を有するズームレンズ及びそれを有する光学機器の提供を目的とする。
本発明の一実施形態のズームレンズは、
物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、前記4つのレンズ群を移動させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は一つのレンズ成分からなり、
広角端から望遠端のズーミングに際し前記第2レンズ群は像側に凸の軌跡で移動し、
広角端に比べ望遠端で、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は広がり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は狭まり、
広角端から望遠端へのズームに伴う前記第1レンズ群と第2レンズ群の移動量を各々m1、m2、前記第2レンズ群の広角端と望遠端における横倍率を各々β2w、β2t、前記第3レンズ群の広角端と望遠端における横倍率を各々β3w、β3tとするとき、
|m2/m1|<0.15
1.75<β2T/β2w<2.30
1.2<(β2w・β3t)/(β2t・β3w)<2.0
の条件を満足することを特徴としている。
本発明の別実施形態としてのズームレンズは、
物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、前記4つのレンズ群を移動させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は一つのレンズ成分からなり、
広角端から望遠端のズーミングに際し前記第2レンズ群は像側に凸の軌跡で移動し、
広角端に比べ望遠端で、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は広がり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は狭まり、
広角端から望遠端へのズームに伴う前記第1レンズ群と第2レンズ群の移動量を各々m1、m2、前記第2レンズ群の広角端と望遠端における横倍率を各々β2w、β2t、前記第3レンズ群の広角端と望遠端における横倍率を各々β3w、β3t、前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面頂点から最も像面側にあるレンズ面頂点までの距離をd3、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
|m2/m1|<0.15
1.2<(β2w・β3t)/(β2t・β3w)<2.0
0.50<d3/fw<0.75
の条件を満足することを特徴としている。
本発明によれば、小型で高性能なズームレンズ及びそれを有する光学機器を達成することができる。
以下に本発明のズームレンズ及びそれを有する光学機器の実施形態について説明する。尚、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態1のズームレンズの要部断面図、図2〜図4は本発明の実施形態1のズームレンズの広角端、中間焦点距離、望遠端における収差図である。
図5は、本発明の実施形態2のズームレンズの要部断面図、図6〜図8は本発明の実施形態2のズームレンズの広角端、中間焦点距離、望遠端における収差図である。
図9は、本発明の実施形態3のズームレンズの要部断面図、図10〜図12は本発明の実施形態3のズームレンズの広角端、中間焦点距離、望遠端における収差図である。
図13は、本発明の実施形態4のズームレンズの要部断面図、図14〜図16は本発明の実施形態4のズームレンズの広角端、中間焦点距離、望遠端における収差図である。
図17は本発明の光学機器の要部概略図である。
各実施形態のズームレンズのレンズ断面図において、L1は正の屈折力の第1レンズ群、L2は負の屈折力の第2レンズ群、L3は正の屈折力の第3レンズ群、L4は正の屈折力の第4レンズ群である。SPは開口絞りである。Gは光学フィルター、フェースプレート等に相当する光学ブロックである。IPは像面であり、CCDやCMOS等の固体撮像素子(光学変換素子)の撮像面が位置している。FPはフレアーカット絞りであり、第3レンズ群L3の像面側に配置し、不要光をカットしている。
収差図において、d,gはd線及びg線、△M、△Sはメリジオナル像面、サジタル像面、倍率色収差はg線によって表している。
各実施形態では、広角端から望遠端へのズーミングに際して矢印のように、各レンズ群を移動させている。尚、広角端と望遠端とは変倍用のレンズ群が機構上、光軸方向に移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
実施形態1〜4では広角端から望遠端への変倍に際して、矢印のように第1レンズ群L1を像面側に凸状の軌跡に沿って物体側へ移動している。また、第3レンズ群L3を物体側へ移動している。第4レンズ群L4を物体側へ凸状の軌跡に沿って移動している。第2レンズ群L2を像面側へ凸状の略往復軌跡に沿って移動させて変倍に伴う像面変動を補正していると共に、変倍作用の一部を担っている。第1レンズ群L1と第3レンズ群L3は、広角端に比べ望遠端で物体側に位置するように移動している。以上のように各実施形態において、第1レンズ群L1をズーミングに際して移動させることにより、広角端でのレンズ全長を短縮し、光軸方向における小型化と前玉径の縮小化を図っている。
また第4レンズ群L4を光軸上移動させてフォーカシングを行うリヤーフォーカス式を採用している。望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカスを行う場合には同図矢印4cに示すように第4レンズ群L4を前方に繰り出すことによって行っている。第4レンズ群L4の実線の曲線4aと点線の曲線4bは各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの広角端から望遠端への変倍に伴う際の像面変動を補正する為の移動軌跡を示している。各実施形態では、軽量な第4レンズ群L4をフォーカスに使うことで迅速な自動焦点検出を容易にしている。
なお、絞りSPはズーミングに際して第3レンズ群L3と一体に移動しても、別体にて移動しても、固定としてもよい。一体とすると移動/可動で分けられる群数が少なくなり、メカ構造が簡素化しやすくなる。また、第3レンズ群L3と別体にて移動させる場合は、前玉径の小型化に有利である。また、絞りSPを固定とする場合は絞りユニットを移動させる必要がない為、変倍の際、駆動させるアクチュエータの駆動トルクを小さく設定でき省電力化の点で有利である。
第1レンズ群L1は有効レンズ径が大きいので、単一のレンズ(一つのレンズ成分)で構成することで第1レンズ群L1の重量を軽量化し、移動のためのアクチュエータの負荷を低減している。第2レンズ群L2は、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズ、両レンズ面が凹面の負レンズ、物体側に凸面を向けた正レンズの独立の3つのレンズより構成している。これにより変倍時の収差変動を少なくし、特に広角端における歪曲収差や望遠端における球面収差を良好に補正している。第3レンズ群L3は物体側から2枚の正レンズと像面側に凹面を向けた負レンズで構成し、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3間の主点間隔を小さくすることで第3レンズ群以降のレンズ長を短縮している。第3レンズ群L3は1以上の非球面を用いている。
各実施形態では、変倍に際して第3レンズ群L3を物体側に移動させることにより第3レンズ群L3で主な変倍効果をもたせ、更に正の屈折力の第1レンズ群L1を物体側へ移動することで第2レンズ群L2にも変倍効果を持たせて第1レンズ群L1、第2レンズ群L2の屈折力をあまり大きくすることなく4倍程度の変倍比を得ている。
各実施形態においては、光学性能を維持しつつレンズ全長や前玉有効径の小型化を達成する為、m1,m2をそれぞれ第1レンズ群、第2レンズ群の広角端から望遠端への移動量としたとき、次の条件を満足している。
|m2/m1|<0.15 (1)
なお、ここで移動量m1、m2は、物体側から像面側への移動を「正」符合とし、その逆を「負」符号としている。また、レンズ群の移動が略往復又は凸状の軌跡に沿った移動のときは広角端の位置に対する望遠端の位置の差分を表し、完全往復移動の場合はゼロとなる。
条件式(1)は第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2のズーミングの際の移動量を適切に設定し、ズームレンズの小型化を達成する為のものである。条件式(1)を第2レンズ群L2の条件として考えると、第2レンズ群L2が略往復移動の軌跡を取ることを意味する。条件式(1)の上限を超えて第2レンズ群L2の望遠端の位置が広角端の位置よりも大きく物体側に配されると、第1レンズ群L1の移動により第2レンズ群L2に持たせている変倍効果が小さくなりズームレンズ全系で十分な変倍比を得ることが難しくなる。逆に第2レンズ群L2の望遠端の位置が広角端の位置よりも大きく像側に配されると、主たる変倍作用を有する第3レンズ群L3の変倍における移動距離が十分に取れずズームレンズ全系で十分な変倍比を得ることが難しくなる。条件式(1)の上限を超えて十分な変倍比を得ようとすると、ズームレンズの光軸方向の全長を長くする必要が生じ、ズームレンズは大型化し前玉径の縮小化も困難となる。一方、条件式(1)を第1レンズ群L1の条件として考えたとき、条件式(1)の上限を超えて変倍における第1レンズ群L1の移動量が小さくなると広角端で前玉からの入射瞳までの距離が十分に短くならず、前玉径の小型化が難しくなる。
条件式(1)は、より好ましくは、
|m2/m1|<0.13 (1a)
を満足すると尚良い。更に好ましくは、
|m2/m1|<0.12 (1b)
を満足すると良い。
また、本実施形態のズームレンズは、β2w、β2Tをそれぞれ第2レンズ群の広角端、望遠端における横倍率としたとき、次の条件を満足している。
1.75<β2T/β2w<2.30 (2)
条件式(2)はズーミング時の第2レンズ群L2の変倍効果を適切に設定し、レンズ全長を短く保ちながら十分な変倍比を達成する為のものである。条件式(2)の下限を超えて第2レンズ群L2の変倍作用が小さくなり過ぎると、第3レンズ群L3の変倍作用の負担が大きくなり、第3レンズ群L3の正の屈折力を大きくする必要が生じ、第3レンズ群L3の偏芯に対する敏感度が高くなり製造誤差の影響による性能劣化が大きくなり、かつペッツバール和が正の方向に大きくなり過ぎて像面湾曲が負に増大するので良くない。逆に上限を超えて第2レンズ群L2の変倍作用が大きくなり過ぎると、第2レンズ群L2の屈折力を大きくする必要が生じて第2レンズ群L2の敏感度が高くなり製造上の誤差の影響が大きくなると共に、第1レンズ群L1のズーミング時の移動量を大きくする必要が生じて、望遠端でのレンズ全長が長くなるので良くない。
条件式(2)は、より好ましくは、
1.75<β2T/β2w<2.10 (2a)
を満足すると尚良い。更に好ましくは、
1.76<β2T/β2w<2.00 (2b)
を満足すると良い。
また、本実施形態のズームレンズは、β2w、β2Tをそれぞれ第2レンズ群の広角端、望遠端における横倍率としたとき、次の条件を満足している。
また、β3w、β3Tをそれぞれ第3レンズ群の広角端、望遠端における横倍率としたとき、次の条件を満足している。
1.2<(β2w・β3t)/(β2t・β3w)<2.0 (3)
条件式(3)は第2レンズ群L2に対する第3レンズ群L3の変倍効果の比を表す式で、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の変倍効果を適切に配分する為のものである。条件式(3)の上限を超えて第3レンズ群L3の変倍作用が大きくなり過ぎると、第3レンズ群L3の正の屈折力を大きくする必要が生じ、第3レンズ群L3の偏芯に対する敏感度が高くなり製造誤差の影響による性能劣化が大きくなり、かつペッツバール和が正の方向に大きくなり過ぎて像面湾曲が負に増大するので良くない。条件式(3)の下限を超えて第2レンズL2の変倍作用が大きくなり過ぎると、第2レンズ群L2の屈折力を大きくする必要が生じて第2レンズ群L2の敏感度が高くなり製造上の誤差の影響が大きくなると共に、第1レンズ群のズーミング時の移動量を大きくする必要が生じて、望遠端でのレンズ全長が長くなるので良くない。
条件式(3)は、より好ましくは、
1.3<(β2w・β3t)/(β2t・β3w)<1.8 (3a)
を満足すると尚良い。更に好ましくは、
1.4<(β2w・β3t)/(β2t・β3w)<1.75 (3b)
を満足すると良い。
また、本実施形態のズームレンズは、d3を前記第3レンズ群において最も物体側にあるレンズ面頂点から最も像面側にあるレンズ面頂点までの距離とし、fwを広角端における全系の焦点距離としたとき、次の条件を満足している。
0.50<d3/fw<0.75 (4)
条件式(4)は第3レンズ群L3の全長を適切に設定し、高い光学性能を維持しながらレンズ全長の小型化を達成する為のものである。条件式(4)の上限を超えて第3レンズ群L3の全長が大きくなり過ぎると、レンズ全長が長くなり、特に沈胴時のレンズ全長を短くすることができず良くない。逆に条件式(4)の下限を超えて第3レンズ群L3の全長が短くなり過ぎると、主たる変倍作用を持つ第3レンズ群L3の変倍時の収差変動が大きくなり過ぎ、ズーム全域に渡って良好な光学性能を得ることが困難となる。
条件式(4)は、より好ましくは、
0.55<d3/fw<0.75 (4a)
を満足すると尚良い。更に好ましくは、
0.60<d3/fw<0.75 (4b)
を満足すると良い。
更に、d23wを広角端における前記第2レンズ群の最も像面側にあるレンズ面頂点から前記第3レンズ群の最も物体側にあるレンズ面頂点までの距離とすると、次の条件を満足している。
2.0<d23w/fw<2.7 (5)
条件式(5)は広角端でのズームレンズの小型化を達成する為のものである。条件式(5)の上限を超えて広角端における第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔が大きくなり過ぎると、広角端でのレンズ全長が大きくなり前玉径も大型化し良くない。条件式(5)の下限を超えて広角端における第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔が小さくなり過ぎると、第3レンズ群L3のズーミングの際の移動距離が小さくなり第3レンズ群L3の正の屈折力を大きくする必要が生じ、第3レンズ群L3の偏芯に対する敏感度が高くなり製造誤差の影響による性能劣化が大きくなり、かつペッツバール和が正の方向に大きくなり過ぎて像面湾曲が負に増大するので良くない。
条件式(5)は、より好ましくは、
2.2<d23w/fw<2.7 (5a)
を満足すると尚良い。更に好ましくは、
2.3<d23w/fw<2.7 (5b)
を満足すると良い。
次に本発明の実施形態1〜4に各々対応する数値実施例1〜4を示す。各数値実施例においてiは物体側からの光学面の順序を示し、Riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径、Diは第i面と第i+1面との間の間隔、Niとνiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材料の屈折率、アッベ数を示す。非球面形状は光軸方向にX軸、光軸と垂直方向にH軸、光の進行方向を正としRを近軸曲率半径、Kを離心率、B,C,D、E、を各々非球面係数としたとき
Figure 0004689321
なる式で表している。
また、例えば「e−Z」の表示は「10−Z」を意味する。
また前述の各条件式と数値実施例の関係を表1に示す。
Figure 0004689321
Figure 0004689321
Figure 0004689321
Figure 0004689321
Figure 0004689321
以上のように各実施形態によれば正、負、正、正の屈折力のレンズ群より成る4群構成のズームレンズで全てのレンズ群を移動させて変倍を行うとともに各レンズ群の移動量や屈折力配置を前述の如く適切に設定することにより光学性能を良好に維持したままレンズ全長の短縮化を達成している。特に変倍比4程度以上、Fナンバー2.8程度以上の高変倍比、大口径比を持ちかつ良好な光学性能を維持しつつレンズ系全体の小型化を図ったズームレンズを実現している。また、広角端から望遠端に至る変倍の全変倍範囲にわたり良好なる光学性能を有するズームレンズを実現している。
次に、数値実施例1〜4のズームレンズを撮影光学系とした光学機器の実施形態を図17を用いて説明する。図17において、10はビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の光学機器本体、11は本発明のズームレンズによって構成された撮影光学系、12は撮影光学系11によって被写体像を受光するCCD等の撮像素子、13は撮像素子12が受光した被写体象を記録する記録手段、14は不図示の表示素子に表示された被写体像を観察するためのファインダーである。上記表示素子は液晶パネル等によって構成され、撮像素子12上に形成された被写体像が表示される。15は前記ファインダーと同等の機能を有する液晶表示パネルである。このように本発明のズームレンズをビデオカメラ等の光学機器に適用することにより、小型で高い光学性能を有する光学機器を実現している。
本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の広角端におけるレンズ断面図 本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の広角端の収差図 本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の中間のズーム位置の収差図 本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の望遠端の収差図 本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の広角端におけるレンズ断面図 本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の広角端の収差図 本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の中間のズーム位置の収差図 本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の望遠端の収差図 本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の広角端におけるレンズ断面図 本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の広角端の収差図 本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の中間のズーム位置の収差図 本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の望遠端の収差図 本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の広角端におけるレンズ断面図 本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の広角端の収差図 本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の中間のズーム位置の収差図 本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の望遠端の収差図 本発明の光学機器の要部概略図
符号の説明
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
d d線
g g線
△M メリジオナル像面
△S サジタル像面
SP 絞り
FP フレアーカット絞り
IP 結像面
G CCDのフェースプレートやローパスフィルター等のガラスブロック
ω 半画角
Fno Fナンバー

Claims (13)

  1. 物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、前記4つのレンズ群を移動させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
    前記第1レンズ群は一つのレンズ成分からなり、
    広角端から望遠端のズーミングに際し前記第2レンズ群は像側に凸の軌跡で移動し、
    広角端に比べ望遠端で、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は広がり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は狭まり、
    広角端から望遠端へのズームに伴う前記第1レンズ群と第2レンズ群の移動量を各々m1、m2、前記第2レンズ群の広角端と望遠端における横倍率を各々β2w、β2t、前記第3レンズ群の広角端と望遠端における横倍率を各々β3w、β3tとするとき、
    |m2/m1|<0.15
    1.75<β2T/β2w<2.30
    1.2<(β2w・β3t)/(β2t・β3w)<2.0
    の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
  2. 前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面頂点から最も像面側にあるレンズ面頂点までの距離をd3、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
    0.50<d3/fw<0.75
    の条件を満足することを特徴とする請求項1記載のズームレンズ。
  3. 物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成され、前記4つのレンズ群を移動させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
    前記第1レンズ群は一つのレンズ成分からなり、
    広角端から望遠端のズーミングに際し前記第2レンズ群は像側に凸の軌跡で移動し、
    広角端に比べ望遠端で、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は広がり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は狭まり、
    広角端から望遠端へのズームに伴う前記第1レンズ群と第2レンズ群の移動量を各々m1、m2、前記第2レンズ群の広角端と望遠端における横倍率を各々β2w、β2t、前記第3レンズ群の広角端と望遠端における横倍率を各々β3w、β3t、前記第3レンズ群の最も物体側のレンズ面頂点から最も像面側にあるレンズ面頂点までの距離をd3、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
    |m2/m1|<0.15
    1.2<(β2w・β3t)/(β2t・β3w)<2.0
    0.50<d3/fw<0.75
    の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
  4. 前記第1レンズ群の一つのレンズ成分は、1枚の正レンズであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  5. 前記第1レンズ群の一つのレンズ成分は、1枚の正レンズと1枚の負レンズとを接合した接合レンズであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  6. 前記第2レンズ群は、2枚の負レンズと1枚の正レンズの独立のレンズより成ることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  7. 前記第4レンズ群によりフォーカスを行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  8. 前記第3レンズ群は1以上の非球面を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  9. 前記第4レンズ群は1以上の非球面を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  10. 広角端における前記第2レンズ群の最も像面側にあるレンズ面頂点から前記第3レンズ群の最も物体側にあるレンズ面頂点までの距離をd23w、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
    2.0<d23w/fw<2.7
    の条件を満足することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  11. 前記第3レンズ群と一体で移動可能な絞りを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  12. 固体撮像素子上に像を形成することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載のズームレンズと、該ズームレンズによって形成される像を受光する固体撮像素子とを有することを特徴とする光学機器。
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