JPWO2006134649A1 - 多種材コンタクトレンズ - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、眼への装用時の異物感を低減して、優れた装用感を実現できる新規な構造の多種材コンタクトレンズを提供することにある。かかる課題を解決するために、本発明は、ハードレンズ材料で形成された中央部分56とソフトレンズ材料で形成された外周部分58の境界60を光学部16の後面と周辺部18の後面のうちで眼球表面12との離隔距離がより小さくなるようにされた方の後面に比して、レンズ後面における境界60の後面側端部と眼球表面12との離隔距離が大きくなるようにすることで、境界60の後面側端部62が眼球表面12に接触せしめられないようにした。

Description

本発明は、眼球表面に重ね合わせられて、眼の光学特性に補助乃至は矯正作用を及ぼすコンタクトレンズに係り、特に、互いに材料が異なる複数の部分から形成された多種材コンタクトレンズに関するものである。
従来から、近視や遠視,乱視,老眼の矯正などを目的として、角膜の表面に重ね合わせて装着するコンタクトレンズが提供されている。かかるコンタクトレンズに要求される性能等としては、(ア)目的とする光学特性が安定して発揮されることに加えて、敏感な生体組織である角膜や眼瞼に接して装着されることから、(イ)装用時の異物感が十分に抑えられることや、(ウ)装着時に涙液交換等による角膜表面への酸素供給が十分に行われることが、重視される。
ところで、コンタクトレンズは、一般に、硬質材料で形成されたハードタイプのコンタクトレンズと、軟質材料で形成されたソフトタイプのコンタクトレンズに大別される。総じて、ハードタイプのコンタクトレンズは、形状安定性に優れていること等から光学特性に優れているが、眼球上での動き量が大きく、装用時の異物感が問題となり易い。一方、ソフトタイプは、眼球上での動き量が小さいことから装用感に優れているが、軟質材料で形成されていることから変形を生じ易く、光学特性でハードタイプのコンタクトレンズには及ばなかった。
そこで、このようなハードタイプのコンタクトレンズとソフトタイプのコンタクトレンズの長所を兼ね備えたコンタクトレンズを開発する試みが為されており、その一つの手段として、特許文献1(特開昭49−120655号公報)にも示されているように、硬質材料からなるレンズコア(光学部)の外周全体に可撓性物質のふち部を接合した、多種材コンタクトレンズの一種としての複合コンタクトレンズが提案されている。このような複合コンタクトレンズでは、光学部となるレンズコアを硬質材料で形成することにより、光学部における形状変化を抑えて、優れた光学特性を実現できると共に、軟質材料で形成されたふち部をレンズコアの外周全体に設けることにより、装用時の異物感を低減させることが出来ると期待された。
しかしながら、このような特許文献1に示された複合コンタクトレンズでは、装用時の異物感が未だ大きく、満足できる装用感を得ることが困難であった。そして、本発明者が検討と実験を加えた結果、このような装用時の異物感が、硬質材で形成された部分(レンズコア)と軟質材で形成された部分(ふち部)の境界部分が眼球に接触せしめられることによって生じていると認識するに至った。
すなわち、特許文献1に示されている複合コンタクトレンズでは、レンズコアとふち部の接合部において、硬質材料で形成されたレンズコアの外周縁部のエッジが眼球に対して接触せしめられることとなる。このようなエッジが鋭敏な眼球表面に接触せしめられると、異物感や場合によっては痛み等が感知されるため、装用感の向上を十分に図ることが未だ困難だったのである。
ところで、特許文献1では、このような問題の発生を回避するために、レンズコアとふち部の境界部分における角膜に面する面(後面)が同一の放物面で構成されることが記載されている。しかしながら、本発明者の更なる研究と実験によって、加工や成形の精度を高めて製造時に接合部における段差を十分に小さくしたとしても、レンズコアを構成する硬質材料とふち部を構成する軟質材料の材質が相互に異なることから、特に異種材の接合部において、装用時の異物感が生じ得ることが明らかとなった。
すなわち、硬質材料で形成されたレンズコアと軟質材料で形成されたふち部では熱膨張係数や膨潤率,弾性係数等が異なる。それ故、装用状態における外気温や体温による温度変化などを原因とする熱膨張/熱収縮,涙液の吸収等を原因とする膨潤,ふち部への外力の作用を原因とする弾性変形等によって、異種材の接合部には、たとえ加工時に段差がなかったとしても、装用状態下で段差の発生が避け難いのである。加えて、レンズコアを形成する硬質材料とふち部を形成する軟質材料では、摩擦係数も異なることが多い。これらの理由から、コンタクトレンズの装用時において、異種材の接合部が角膜上で刺激し易く、特にコンタクトレンズが角膜上で移動する際に該接合部が角膜に引っ掛かるように強い刺激を与えるおそれがある。それ故、コンタクトレンズの後面において、仮に、接合部を挟んだレンズコア側とふち部側が、加工時において高精度に同一球面上に構成されていたとしても、かかる接合部が眼球表面に接触せしめられることによる異物感を回避することは、極めて困難であるとの知見を得たのである。
なお、特許文献2(特開昭48−66854号公報)に示されているように、硬質の芯層部を軟質の表層部で覆うことにより、眼球表面に接触せしめられる表面部分の材質を軟質材料で単一化して、多種材コンタクトレンズの接合部が眼球に接触せしめられることによる異物感や痛み等を回避する試みも為されている。しかしながら、このような構造とされた多種材コンタクトレンズは、製造が困難である。また、特に角膜への酸素供給を十分に行うためには、硬質材料として酸素透過性材料を採用することが望ましいが、特許文献2に示されているように、硬質材料で形成された芯層部が軟質材料で形成された表層部に埋設されていると、酸素透過性材料の利点であるガスの透過による角膜への酸素供給が殆ど期待できないという不具合もある。
特開昭49−120655号公報 特開昭48−66854号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、ハードタイプコンタクトレンズの優れた光学特性とソフトタイプコンタクトレンズの優れた装用感を高度に両立せしめ得る多種材コンタクトレンズであって、特に、異種材の接合部分が眼球表面に接触することによる異物感を低減して、より優れた装用感を実現できる新規な構造の多種材コンタクトレンズを提供することを、目的とする。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の第一の態様は、ハードレンズ材料で形成された中央部分とソフトレンズ材料で形成された外周部分からなる多種材コンタクトレンズにおいて、所定の光学特性が設定された光学部を前記中央部分に形成すると共に、該光学部の外周側に形成された周辺部に対して前記中央部分と前記外周部分の境界を位置せしめる一方、該光学部の後面および該周辺部の後面のうちで眼球表面に対してより近接位置せしめられる方の眼球近接側後面に比して、レンズ後面における該中央部分と該外周部分との境界線と眼球表面との離隔距離がより大きくなるように、該境界線が位置する領域の該レンズ後面の曲率半径を、該眼球近接側後面の曲率半径と異ならせたことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた多種材コンタクトレンズにおいては、中央部分と周辺部分の境界線で問題となり易い装用時の異物感や痛み等を回避して、優れた装用感を実現することが出来る。即ち、多種材コンタクトレンズにおいては、中央部分と外周部分の材料の違いによる熱膨張率や含水率、或いは、弾性率等の差によって、中央部分と外周部分の境界線に段差等が生じて、かかる段差等が眼球表面に接触せしめられることに起因する装用時の異物感や痛み等が問題となり易いが、本態様に係る多種材コンタクトレンズでは、レンズ後面における中央部分と外周部分の境界線を眼球表面から十分に離隔せしめることにより、眼への装用状態で境界に段差等が生じても、異物感や痛みを惹起することなく優れた装用感を実現することが出来る。
また、本態様の多種材コンタクトレンズでは、材質の境界面が、光学部から充分に外周側に外れた位置に形成されることから、材質の境界面における光線の反射や散乱,屈折等に起因するフレア等の問題も効果的に回避され得る。
なお、本態様において、好ましくは、境界線が位置する領域のレンズ後面の曲率半径寸法は、かかる領域に対して曲率半径方向で対向位置する眼球表面の曲率半径寸法との差の値が、上述の眼球近接側後面における曲率半径寸法とそれに対向位置する眼球表面の曲率半径寸法との差の値よりも大きくなるように設定される。
また、本発明において、光学部と周辺部の後面のうちの少なくとも眼球近接側後面に該当する方は、レンズ装用状態下で近接位置せしめられる眼球表面に対して略相似形となる曲率半径の湾曲面とされることが望ましい。
更にまた、本発明において、光学部と周辺部の各後面と眼球表面との離隔距離が略同じ程に小さく設定されていても良い。その場合には、光学部と周辺部の各後面が何れも眼球近接側後面とされる。
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記光学部の後面及び前記周辺部の後面のうちで眼球表面の曲率半径により近い曲率半径をもって形成されて眼球表面との離隔距離がより小さくなるようにされた方の後面における延長線に対する、レンズ後面における前記中央部分と前記外周部分との前記境界線の曲率半径方向での離隔距離:xを、0.01mm≦x≦0.25mmとしたことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた多種材コンタクトレンズにおいては、xの値を適切に設定することにより、レンズ後面における境界線を眼球表面から安定して離隔せしめることが出来る。これにより、コンタクトレンズの装用感の向上を一層効果的に実現できる。
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記周辺部のレンズ後面が、径方向において互いに曲率半径の異なる複数の湾曲面領域によって構成されており、前記境界線が位置する内周側周辺部の外側に、該領域とは異なる曲率を有する外周側周辺部が形成されていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた多種材コンタクトレンズでは、周辺部の後面曲率を複数段階に設定することで、例えば、外周側周辺部において、周辺部に要求されるコンタクトレンズの装用安定性等の機能を充分に確保しつつ、内周側周辺部において、境界線を眼球表面から充分に離隔位置せしめることが可能となる。
また、本発明の第四の態様は、前記第三の態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記光学部の後面が、前記外周側周辺部の後面よりも眼球表面の曲率半径により近い曲率半径をもって形成されて眼球表面との離隔距離がより小さくなるようにされており、且つ、該光学部の後面と該外周側周辺部の後面を径方向で滑らかにつなぐように前記内周側周辺部の後面が形成されていることを、特徴とする。
また、本発明の第五の態様は、前記第三の態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記外周側周辺部の後面が、前記光学部の後面よりも眼球表面の曲率半径により近い曲率半径をもって形成されて眼球表面との離隔距離がより小さくなるようにされており、且つ、該外周側周辺部の後面と該光学部の後面を径方向で滑らかにつなぐように前記内周側周辺部の後面が形成されていることを、特徴とする。
なお、前記第四及び第五の態様において、光学部の後面と外周側周辺部の後面を径方向で滑らかにつなぐとは、径方向断面において光学部の後面と外周側周辺部の後面に対して、何れも、内周側周辺部の後面が、各境界で共通接線をもって接続される湾曲面で構成されていることをいう。また、湾曲面の形状としては、二次曲線や三次曲線といった多次曲線、三角関数や円錐曲線等の滑らかな各種の湾曲面形状が採用され得る。このような後面形状を採用することにより、異種材の境界線だけでなく、光学部や周辺部の境界線部位における角膜への刺激が抑えられて、更に良好な装用感が実現され得る。
また、本発明の第六の態様は、前記第三乃至第五の何れか一つの態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記光学部の後面と前記内周側周辺部の後面と前記外周側周辺部の後面が何れも凹状の湾曲面によって形成されており、且つ、該光学部の後面よりも該内周側周辺部の後面の方が大きな曲率半径を有していると共に、該内周側周辺部の後面よりも該外周側周辺部の後面の方が大きな曲率半径を有していることを、特徴とする。
このような後面形状を採用することにより、眼球の角膜中央とその外周側に位置して角膜中央よりも曲率半径が大きい強膜付近に対して、光学部と外周側周辺部を巧く沿わせるようにしてコンタクトレンズの装用状態下での安定性の向上を図りつつ、内周側周辺部に位置する境界線と眼球表面との離隔距離を有利に確保することが可能となる。
また、本発明の第七の態様は、前記第一又は第二の態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、レンズ後面において前記境界線の位置する部分に、レンズ後面に開口して周方向の全周に亘って延びる凹溝を形成して、該凹溝の内面に該境界線を位置せしめたことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた多種材コンタクトレンズにおいては、レンズ後面における境界線が凹溝の内面に位置していることから、例えば、光学部や周辺部の後面を眼球表面にできるだけ沿った形状となしつつ、境界線の形成部位だけを積極的に眼球表面から離隔せしめて、境界線の眼球表面からの離隔状態を大きくすることが出来る。なお、凹溝の開口端縁部は、周辺部のレンズ後面に対して滑らかに接続される形状とすることが望ましい。
また、本発明の第八の態様は、前記第七の態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記凹溝の幅寸法:Wが、0.1mm≦W≦3.0mmであり、且つ、該凹溝の深さ寸法:Dが、0.005mm≦D≦0.15mmであることを、特徴とする。
このような本態様に従う凹溝の形状を採用することにより、光学部や周辺部の機能や強度等を大きく害することなく凹溝を形成して、境界線の眼球表面への接触を一層有利に防ぐことが可能となる。
また、本発明の第九の態様は、前記第一乃至第八の何れか一つの態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記中央部分を形成するハードレンズ材料のヤング率が3MPa〜3000MPaとされていると共に、前記外周部分を形成するソフトレンズ材料のヤング率が0.2MPa〜3MPaとされていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた多種材コンタクトレンズにおいては、光学部の形状安定性がより良好に発揮されて、一層優れた光学特性が実現され得ると共に、外周部分の柔軟性が十分に確保されて、一層優れた装用感が実現され得る。なお、より好適には、前記中央部分を形成するハードレンズ材料のヤング率が100MPa〜1500MPaとされると共に、前記外周部分を形成するソフトレンズ材料のヤング率が0.2MPa〜2MPaとされる。
また、本発明の第十の態様は、前記第一乃至第九の何れか一つの態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記中央部分が、酸素透過性のハードレンズ材料で形成されていることを、特徴とする。
また、本発明の第十一の態様は、前記第一乃至第十の何れか一つの態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記外周部分が、含水性のソフトレンズ材料で形成されていることを、特徴とする。
このような第十の態様や第十一の態様に従う構造とされた多種材コンタクトレンズにおいては、レンズを透過する酸素や涙液により、たとえコンタクトレンズの角膜上での移動量が小さい場合でも、角膜に対して酸素を一層有利に供給することが出来る。
また、本発明の第十二の態様は、前記第一乃至第十一の何れか一つの態様に係る多種材コンタクトレンズにおいて、前記周辺部の前記境界線よりも外周側の部分に、レンズ後面側に開口して周方向の全周に亘って連続して延びる周溝が形成されていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた多種材コンタクトレンズにおいては、角膜上の涙液層における涙液交換を有利に行うことが出来て、角膜に対する酸素の供給を有利に実現することが出来る。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた多種材コンタクトレンズにあっては、眼球表面への装着状態で異物感の原因となる中央部分と周辺部分の接合部が眼球表面から積極的に離隔せしめられていることから、異物感が低減されて優れた装用感が発揮され得る。
しかも、ハードレンズ材料とソフトレンズ材料の境界面が、光学部を外周側に所定距離だけ外れた周辺部に位置せしめられていることから、例えば、熱膨張係数や膨潤率,弾性等の相違に起因して材料の境界面に応力や歪等が発生した場合や、或いは屈折率の相違等に起因して境界面に光線の散乱やフレア等が発生した場合でも、それらに起因する光学特性への悪影響が軽減乃至は回避され得るのである。
本発明の第一の実施形態としての多種材コンタクトレンズを示す縦断面説明図である。 図1に示された多種材コンタクトレンズの正面図である。 図1に示された多種材コンタクトレンズの背面図である。 本発明の第二の実施形態としての多種材コンタクトレンズを示す縦断面説明図である。 本発明の第三の実施形態としての多種材コンタクトレンズを示す縦断面説明図である。 本発明の別の一実施形態としての多種材コンタクトレンズを示す縦断面説明図である。 本発明の第四の実施形態としての多種材コンタクトレンズを示す縦断面説明図である。
符号の説明
10 コンタクトレンズ
12 角膜表面
16 光学部
18 周辺部
22 光学部後面
38 第二周辺部後面
56 中央部分
58 外周部分
60 境界面
62 境界線
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、本発明の第一の実施形態としてのコンタクトレンズ10が、図1における縦断面図と、図2における正面図、図3における背面図によって、示されている。このコンタクトレンズ10は、全体として略球殻形状を有しており、よく知られているように眼球の角膜の表面12に重ね合わせた状態で装着されるようになっている。なお、本実施形態のコンタクトレンズ10は、レンズ中心軸14が光軸とされており、このレンズ中心軸14周りの回転体形状とされていることから、図1においては、半径方向の縦断面だけを示しておく。
より詳細には、かかるコンタクトレンズ10には、従来のものと同様に、正面視において中央部分に円形状の光学部16が形成されていると共に、光学部16の周りに円環形状の周辺部18が形成されている。また、周辺部18の外周縁部には、エッジ部19が形成されている。
光学部16は、光学部前面20および光学部後面22を有している。光学部後面22は、装着される角膜表面12の形状に対して、レンズ装用状態下で略相似形となるように、レンズ中心軸14上でレンズ後方(図1中の右方)に曲率中心が設定されて、適当な曲率半径:rBOZ をもった凹形の縦断面形状を有するベースカーブ面とされている。これにより、コンタクトレンズ10の装用状態下で光学部後面22と角膜の表面12の間に形成される隙間24の寸法:t0 が、全体に亘って略一定とされて、この隙間24に形成される涙液層によるレンズ作用が軽減乃至は回避されるようになっている。
なお、かかるベースカーブ面(光学部後面)22の縦断面形状は、装用者の角膜の形状や装用条件等を考慮して設定される。例えば、曲率半径:rBOZ を一定とした円弧形状の他、曲率半径:rBOZ を径方向で変化させた円錐曲線形状等の各種湾曲凹面形状が適宜に採用され得る。
また一方、コンタクトレンズ10の光学部前面20は、上述の如く設定されたベースカーブ面22と協働して目的とするレンズ度数を与え得る湾曲面形状として設計されている。具体的には、レンズ中心軸14上でレンズ後方に曲率中心が設定されて、適当な曲率半径:rFOZ をもった縦断面形状を有する湾曲凸状面とされている。なお、この光学部前面(フロントカーブ面)20は、ベースカーブ面22の形状や要求されるレンズ度数,装用条件等を考慮して決定される。例えば、曲率半径:rFOZ が一定の円弧形状の他、曲率半径:rFOZ が径方向で変化する円錐曲線形状等の各種湾曲凸面形状などが適宜に採用され得る。
なお、これら前後面光学部20,22によって形成される光学部16は、装用者の眼に対する光学的効果が期待される領域であって、その外周縁部、即ち周辺部18との境界は、一般に、レンズ前面およびレンズ後面においてそれぞれ縦断面上での曲率の変化点としてとらえることが出来る。しかし、例えば、光学部のレンズ面が半径方向で漸変するような縦断面形状で設計されている場合や、或いはかかる境界が径方向に所定幅をもって形成されてレンズ前後面間で光学部と周辺部を滑らかに繋ぐ接続領域等によって形成される場合等、レンズ前後面における光学部と周辺部の境界は、形状的に線(ライン)として必ずしも明確である必要はない。因みに、図1に示された本実施形態では、レンズ前面とレンズ後面の両方において、光学部16と周辺部18の曲率半径が異なっている。
一方、周辺部18は、第一周辺部26,第二周辺部28,第三周辺部30から構成されている。これら三つの周辺部26,28,30は、正面視においてレンズ中心軸14を中心として互いに同心の円環形状で広がっており、内周側から順次に連なって一体形成されている。
本実施形態において、光学部16の外周側に連続して一体形成された第一周辺部26は、その前面(第一周辺部前面)32が、光学部前面20よりも大きな曲率半径:rFPZ1(>rFOZ )を有する球状面とされている。また、第一周辺部26の後面(第一周辺部後面)34は、光学部後面22よりも大きな曲率半径:rBPZ1(>rBOZ )を有する球状面とされている。特に本実施形態では、第一周辺部後面の曲率半径が、第一周辺部前面の曲率半径以上の大きさに設定されている(rBPZ1≧rFPZ1)。
また、第一周辺部26の外周側に連続して一体形成された第二周辺部28は、その前面(第二周辺部前面)36が、第一周辺部前面32よりも大きな曲率半径:rFPZ2(>rFPZ1)を有する球状面とされている。更にまた、第二周辺部28の後面(第二周辺部後面)38は、第一周辺部後面34よりも更に大きな曲率半径:rBPZ2(>rBPZ1)を有する球状面とされている。
なお、光学部16の外周縁部と第一周辺部26の内周縁部との接続部位である第一ジャンクション50と、第一周辺部26の外周縁部と第二周辺部28の内周縁部との接続部位である第二ジャンクション52は、その前後面において、滑らかに接続される。具体的には、かかる前後面は、何れも、縦断面において折れ点を持たないように、二次曲線や三次曲線といった多次曲線、三角関数や円錐曲線等をもって、共通接線を有するように滑らかに接続されていることが望ましい。
また、第一ジャンクション50の厚さ寸法:T1 に比して、第二ジャンクション52の厚さ寸法:T2 は、T1 ×0.5<T2 <T1 とすることが望ましい。蓋し、T2 ≧T1 となると、眼瞼への刺激が大きくなって装用感が不良となり易い。一方、T2 ≦T1 ×0.5となると、強度不良になり易いと共に、表面形状が歪となって装用感不良になり易い。なお、第二周辺部28の外周縁部と第三周辺部30の内周縁部の接続部位である第三ジャンクション54は、良好な装用感と充分な強度を得るために、0.05mm〜0.25mmの厚さ寸法とされることが望ましい。
更にまた、第二周辺部28の外周側に連続して一体形成された第三周辺部30は、図1に示された縦断面形状において、その前後面40,42が何れも略直線的に、第二周辺部28の外周縁部から相互に接近する方向に向かって延び出している。これにより、第三周辺部30の縦断面形状が、先細状とされている。
さらに、この第三周辺部30の外周側には、エッジ部19が連続して一体形成されている。このエッジ部19は、略半円形の縦断面形状を有しており、その外周面が、コンタクトレンズ10の前面(第三周辺部前面40)と後面(第三周辺部後面42)を滑らかに繋いでいる。
これにより、図1に示されているように、本実施形態のコンタクトレンズ10では、光学部後面22が、装用される眼球角膜の表面12の形状に略一致するように(正確には、涙液層となる微小隙間24を挟んで略相似形となるように)設定されていると共に、この光学部後面22を基準として、周辺部18の後面34,38がリフトアップ(前方に離隔)されている。即ち、光学部後面22の延長線44に対して、第一周辺部後面34が比較的急にリフトアップ(離隔)していると共に、第一周辺部後面34の延長線46に対して、第二周辺部後面38が比較的緩やかにリフトアップしている。更に、第三周辺部後面42は、第二周辺部38の延長線から更に大きくリフトアップしている。
なお、このことから明らかなように、本実施形態では、光学部後面22が眼球近接側後面とされている。そして、後述する境界面(60)が位置する第一周辺部後面34の曲率半径(rBPZ1)が、光学部後面の曲率半径(rBOZ )よりも大きく設定されて異ならされているのである。
その結果、図1に例示されているように、コンタクトレンズ10の装用状態下では、眼球における角膜中央の表面12に対して光学部後面22が最も接近して重ね合わされるようになっている。また、第一周辺部後面34は、角膜の表面12から比較的に大きく離隔位置するようになっている。更にまた、第二周辺部後面38は、曲率半径が大きくなった角膜の外周部分や輪部或いは球結膜といった部分の表面12に対して緩やかに沿って広がるようになっている。更に、第三周辺部後面42は、眼球の表面12との間の隙間24を外周側に向かって開口させて涙液交換が促進されるように、眼球表面12に対して、外周側に向かって拡開状に離隔している。
上述の如き、全体として略球殻形状とされたコンタクトレンズ10は、二種類の異なる材料によって形成されている。具体的には、その軸方向の正面視(図1参照)で中央に位置する円形領域が、硬質材料で形成された中央部分56とされている。一方、該中央部分56の周りを取り囲む、軸方向の正面視で円環形状とされた領域が、軟質材料で形成された外周部分58とされている。即ち、これら中央部分56と外周部分58は、レンズ中心軸14を中心とする同軸的な回転体形状とされている。
ここにおいて、中央部分56を形成する硬質材料としては、そのヤング率:Yc が、3MPa≦Yc ≦3000MPaのものが好適に採用される。一方、外周部分58を形成する軟質材料としては、そのヤング率:Yp が、0.2MPa≦Yp ≦3MPaのものが好適に採用される。より好ましくは、100MPa≦Yc ≦1500MPa,0.2MPa≦Yp ≦2MPaとされる。
より具体的には、中央部分56を形成する硬質材料としては、従来から公知の各種ハードコンタクトレンズ用材料が採用可能であり、例えばメチルメタクリレート(MMA)等も採用可能であるが、好適には、シロキサニルメタクリレート(SMA)やフルオロメタクリレート(FMA)などの酸素透過性ハードコンタクトレンズ材料が採用される。また、外周部分58を形成する軟質材料としては、従来から公知の各種ソフトコンタクトレンズ用材料が採用可能であり、例えばハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)等の含水性ソフトコンタクトレンズ材料や、シリコン含有の含水性又は非含水性のソフトコンタクトレンズ材料が、何れも採用可能である。
そして、これら中央部分56と外周部分58は、コンタクトレンズ10の径方向中間部分においてレンズ中心軸14周りに広がる円形の境界面60によって区画されている。この異種材料の接合部である境界面60は、第一周辺部26に位置せしめられており、特に本実施形態では、第一周辺部26の径方向(幅方向)の略中央部分に位置せしめられている。
これにより、境界面60は、レンズ後面において、第一周辺部後面34上に境界線として露呈されている。なお、本実施形態では、境界面60が、レンズ中心軸14と略平行な円筒面とされているが、この境界面60は、レンズ中心軸14に対して傾斜したテーパ状面などであっても良い。
また、境界面60の位置は、光学部や周辺部の大きさを含めて、装用者の角膜直径や瞳孔径、角膜形状等に応じて設定されることとなり、限定されるものではないが、一般的な設計基準値として例示すると、次のとおりである。
(1)コンタクトレンズ10の外径寸法:DIA
9.0mm≦DIA≦15.0mm
(2)光学部前面20の外径寸法:FOZD
6.0mm≦FOZD≦10.0mm
(3)光学部後面22の外径寸法:BOZD
6.5mm≦BOZD≦10.0mm
(4)光学部後面22の曲率半径:BC
6.5mm≦BC≦9.3mm
(5)第一周辺部前面32の幅寸法:FP1W
0.5mm≦FP1W≦2.5mm
(6)第一周辺部後面34の幅寸法:BP1W
0.5mm≦BP1W≦2.0mm
(7)境界面60の直径寸法:MDIA
4.0mm≦MDIA≦13.5mm
(8)MDIA/DIAの値
0.4≦MDIA/DIA≦0.9
ところで、上述の如き硬質材料で形成された中央部分56と軟質材料で形成された外周部分58との二種材からなる複合構造のコンタクトレンズ10は、例えば、以下の如き方法で製造できる。
先ず、特開昭56−56313号公報に開示されているように、予め水溶性の不活性物質を配合して調製された軟質材料によって厚肉円板形状のレンズブランクスを重合成形する。次に、かかるレンズブランクスの略中央を軸方向に貫通する孔を、機械加工等によって形成して、レンズブランクスを略円環形状に加工する。その後、軟質材料からなるレンズブランクスに形成された貫通孔にガス透過性の硬質材料を充填して重合成形する。
これにより、中央が硬質材料によって形成されると共に、外周が軟質材料によって一体的に形成されたレンズブランクスを得ることが出来る。このようなレンズブランクスを得ることが出来れば、その後は、従来から周知の加工装置と加工方法に従い、かかるレンズブランクスに対して切削を施して、コンタクトレンズ10を目的とする形状に加工する。
さらに、得られたコンタクトレンズ10を適当な浸透圧の処理水に浸漬して、軟質材料に配合された水溶性の不活性物質を水で置換する。これにより、加工時には硬質とされていた軟質材料を、殆ど容積や形状を変化させることなく、含水させて軟質とすることができる。以て、目的とする、上述の如き複合構造のコンタクトレンズ10を得ることが出来るのである。
なお、本発明に従う構造とされたコンタクトレンズの製造方法は、特に限定されるものでなく、採用する材料等に応じて各種の製造方法が採用され得る。例えば、硬質材料からなる中央部分56と、軟質材料からなる外周部分58を、スピンキャスト法やモールド成形法、切削法等の適当な方法で互いに別途に製造した後、両者を固着して一体化することで、目的とする複合構造のコンタクトレンズ10を得ることも可能である。なお、中央部分56と外周部分58を固着するに際して接着剤を用いても良く、その場合には接合面である境界面60に接着剤層が介在せしめられることとなる。
而して、上述の如き構造とされたコンタクトレンズ10では、眼への装用状態において、角膜の表面12に対して光学部後面28が最も接近して重ね合わされると共に、第二周辺部28の後面38が角膜表面12の外周部分等に対してその表面に沿うようにして重ね合わされる。これにより、コンタクトレンズ10の全体が、特に軟質材料からなる第二周辺部28による角膜上での優れた位置決め作用に基づいて、眼の角膜上の所定位置に安定して保持され得ることとなる。そして、特に硬質材料からなる光学部16による優れた光学特性に基づいて、眼光学系に対して目的とする矯正作用が安定して発揮されるのである。
また、第二周辺部28を含む、コンタクトレンズ10の外周部分58が、軟質材料によって形成されていることから、硬質材料で形成された光学部16における優れた光学特性を確保しつつ、優れた装用感が発揮され得るのである。
特に、光学部16を形成する硬質材料として酸素透過性材料を採用することにより、装用時の眼の負担が軽減されて、より一層の装用感の向上が図られ得る。加えて、本実施形態では、第三周辺部30の後面42が外周に向かって角膜等の表面12から離隔して外方に拡開した形状とされていることから、コンタクトレンズ10と角膜との隙間24に形成される涙液層に対して、外部からの涙液の交換が一層効率的に実現されることとなり、この涙液交換作用によっても、眼の負担軽減が図られて、装用感が更に向上される。
一方、第一周辺部26の後面34は、コンタクトレンズ10の装用状態下において、内周縁部から外周側に行くに従って角膜表面12から離隔して位置せしめられることとなる。これにより、第一周辺部後面34の幅方向略中央に位置する境界線(境界面)60が、角膜表面12から大きな隙間をもって離隔位置せしめられる。
それ故、第一周辺部後面34の境界線62上で、温度歪や応力歪等に起因して段差や凹凸等が発生した場合でも、角膜表面12に対する接触が効果的に軽減乃至は回避され得る。その結果、角膜への刺激が抑えられて、かかる境界線62の存在に起因する装用感の悪化が回避され得るのである。
しかも、光学部16を形成する硬質材料と、周辺部18を形成する軟質材料の境界面60が、光学部16と周辺部18の境界となる第一ジャンクション50から外周側に外れた位置に設けられていることから、かかる境界面60における光線の散乱等に起因する光学系への悪影響が、極めて有効に抑えられ得る。これにより、目的とする光学特性が、光学部16によって、一層安定して高精度に発揮され得るのである。
なお、第一周辺部後面34における境界線62と角膜表面12との間の隙間寸法(第一周辺部後面34の曲率半径方向の離隔距離):Xは、0.01mm以上とされることが望ましく、より好適には0.01mm≦X≦0.25mmに設定される。蓋し、かかる隙間寸法:Xが小さ過ぎると、境界線62による角膜への当接刺激が問題となるおそれがある一方、隙間寸法:Xが大き過ぎると、周辺部18の角膜表面12からのリフト量(離隔寸法)が大きくなって装用感が低下してしまうおそれがあるからである。
また、このような離隔距離:Xを実現するために、コンタクトレンズ10の後面の設計に際しては、例えば、径方向縦断面において、光学部後面(BC)の延長線44と第一周辺部後面34上の境界線62との離隔距離:X0 を、0.01mm≦X0 ≦0.25mmとすることが望ましく、より好適には、0.05mm≦X0 ≦0.15mm、更に好適には0.09mm≦X0 ≦0.12mmとされる。
次に、図4には、本発明の第二の実施形態としてのコンタクトレンズ64が示されている。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
より詳細には、本実施形態にかかるコンタクトレンズ64は、前記第一の実施形態に係るコンタクトレンズ64と同様に、全体として略球殻形状を有しており、正面視において中央部分に円形状の光学部が形成されていると共に、光学部66の周りに円環形状の周辺部68が形成されている。また、周辺部68の外周縁部には、エッジ部19が形成されている。
本実施形態における光学部66は、光学部前面70及び光学部後面72を有している。特に本実施形態では、光学部後面72の曲率半径:rBOZ が角膜表面12の曲率半径に比して小さくされており、レンズ装用状態下で、光学部後面72の中央側が次第に装着される角膜表面12から離隔して、光学部後面72と角膜表面12との隙間74の寸法が中央側に向かって次第に大きくなるようになっている。
また、本実施形態における光学部では、好適には、径方向縦断面において、コンタクトレンズ64の中央での光学部後面72と後述する第二周辺部後面(86)の延長線75との離隔距離:Lが0.02mm≦L≦0.2mmとされており、より好適には、0.05mm≦L≦0.15mm,更に好適には、0.1mm≦L≦0.12mmとされる。蓋し、Lが小さ過ぎると、光学部後面72の中心部分が角膜の表面12に対して直接的に接触して眼球に傷をもたらす等の問題が生じるおそれがある一方、Lが大き過ぎると、光学部後面72と角膜の表面12の間に形成される涙液層の厚さが大きくなることから、コンタクトレンズ64の角膜上での動き量が必要以上に大きくなってレンズの位置ずれや浮き等が問題となり易い。また、涙液層の厚さが大きくなると、涙液層によるレンズ効果によって光学特性に悪影響を及ぼすおそれもある。
なお、本実施形態における光学部前面70及び光学部後面72の具体的な形状は、それぞれに前記第一の実施形態において示す各種の形状が同様に採用可能である。また、光学部66と周辺部68の境界についても、前記第一の実施形態における記載と同様である。また、特に本実施形態では、光学部前面70の曲率半径:rFOZ が光学部後面72の曲率半径:rBOZ に比して大きくされており、外周側に向かって次第に光学部66が厚肉となるようになっている。
一方、周辺部68は、第一周辺部76,第二周辺部78,第三周辺部30から構成されている。これら三つの周辺部76,78,30は、正面視においてレンズ中心軸14を中心として互いに同心の円環形状で広がっており、内周側から順次に連なって一体形成されている。
光学部66の外周側に連続して一体形成された第一周辺部76は、その前面(第一周辺部前面)80が、光学部前面70と同一の曲率半径:rFPZ1(=rFOZ )を有する球状面とされている。また、第一周辺部76の後面(第一周辺部後面)82は、光学部後面72と同一の曲率半径:rBPZ1(=rBOZ )を有する球状面とされている。なお、特に本実施形態では、第一周辺部前面80の曲率半径が、第一周辺部後面82の曲率半径以下の大きさに設定されている(rFPZ1≧rBPZ1)。
また、第一周辺部76の外周側に連続して一体形成された第二周辺部78は、その前面(第二周辺部前面)84が、第一周辺部前面80よりも大きな曲率半径:rFPZ2(>rFPZ1)を有する球状面とされている。更にまた、第二周辺部78の後面(第二周辺部後面)86は、第一周辺部後面82よりも更に大きな曲率半径:rBPZ2(>rBPZ1)を有する球状面とされている。特に本実施形態では、第二周辺部後面86は装着される角膜表面12に対して、レンズ装用状態下で略相似形となるようにレンズ中心軸14上で、レンズ後方(図1中の右方)に曲率中心が設定されている。これにより、コンタクトレンズ64の装用状態下で第二周辺部後面86と角膜表面12の間に形成される隙間74の寸法:t1 が、全体に亘って略一定とされている。
なお、本実施形態における第三周辺部68及びエッジ部19は、前記第一の実施形態と実質的に同一であることから、ここでは説明を省略する。また、光学部66と第一周辺部76の接続部位である第一ジャンクション50,第一周辺部76と第二周辺部78の接続部位である第二ジャンクション52,第二周辺部78と第三周辺部68の接続部位である第三ジャンクション54は、何れも前記第一の実施形態と実質的に同一であるため、説明を省略する。
これにより、図4に示されているように、本実施形態のコンタクトレンズ64では、第二周辺部78が、装用される眼球角膜の表面12の形状に略一致するように(正確には、涙液層となる微小隙間74を挟んで略相似形となるように)設定されていると共に、この第二周辺部後面86を基準として、光学部後面72,第一周辺部後面82,第三周辺部後面42がリフトアップ(前方に離隔)されている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、第二周辺部後面86が眼球近接側後面とされている。
その結果、図4に例示されているように、コンタクトレンズ64の装用状態下では、眼球における角膜の外周部分や輪部或いは球結膜といった部分の表面12に対して第二周辺部後面86が最も接近して重ね合わせられるようになっている。また、光学部後面72及び第一周辺部後面82が角膜の表面12から十分に離隔して位置するようになっている。更に、第三周辺部後面42が眼球表面12との間の隙間を外周側に向かって開口させて、涙液交換が促進されるように角膜表面12に対して外周側に向かって拡開状に離隔している。
上述の如き、全体として略球殻形状とされたコンタクトレンズ64は、二種類の異なる材料によって形成されている。具体的には、その軸方向の正面視で中央に位置する円形領域が、硬質材料で形成された中央部分88とされている。一方、該中央部分88の周りを取り囲む、軸方向の正面視で円環形状とされた領域が、軟質材料で形成された外周部分90とされている。即ち、これら中央部分88と外周部分90は、レンズ中心軸14を中心とする同軸的な回転体形状とされている。
なお、本実施形態におけるこれら中央部分88と外周部分90の具体的な材料等は、前記第一の実施形態と略同一であることから、冗長な記載を避けるために詳細な説明を省略する。
そして、これら中央部分88と外周部分90は、コンタクトレンズ64の径方向中間部分において、レンズ中心軸14周りに広がる円形の境界面92によって区画されている。この異種材料の接合部である境界面92は、第一周辺部76に位置せしめられており、特に本実施形態では、第一周辺部76の径方向(幅方向)の略中央部分に位置せしめられている。
これにより、境界面92は、レンズ後面において、第一周辺部後面82上に境界線94として露呈されている。なお、本実施形態では、境界面92がレンズ中心軸14に対して傾斜したテーパ状面とされている。
なお、第一周辺部後面82における境界線94と角膜表面12との間の隙間寸法(第一周辺部後面34の曲率半径方向の離隔距離):Xを前記第一の実施形態に示すような寸法範囲で適切に得るために、コンタクトレンズ64の後面の設計に際しては、径方向縦断面において、境界面92の後面側端部である境界線94と第二周辺部後面86の延長線との離隔距離:X0 が、好適には、0.01mm≦X0 ≦0.25mmとされている。また、より好適には、X0 は、0.05mm≦X0 ≦0.15mmとされており、更に好適には、0.09mm≦X0 ≦0.12mmとされている。蓋し、X0 が小さ過ぎると、境界線94が角膜表面12から離隔した状態を安定して維持することが難しい一方、X0 が大き過ぎると、涙液層の厚さが大きくなってレンズの動き量が大きくなり視力の矯正効果が安定して発揮されないおそれがあると共に、眼瞼への境界線94の接触による装用感の悪化が問題となり易い。
また、境界面92の位置は、光学部や周辺部の大きさを含めて装用者の角膜直径や瞳孔径、角膜形状等に応じて設定されることとなり、限定されるものではないが、一般的な設計基準値として例示すると、次のとおりである。
(1)コンタクトレンズ10の外径寸法:DIA
9.0mm≦DIA≦15.0mm
(2)光学部前面20の外径寸法:FOZD
6.0mm≦FOZD≦10.0mm
(3)光学部後面22の外径寸法:BOZD
6.5mm≦BOZD≦10.0mm
(4)光学部後面22の曲率半径:BC
6.5mm≦BC≦9.3mm
(5)第一周辺部前面32の幅寸法:FP1W
0.5mm≦FP1W≦2.5mm
(6)第一周辺部後面34の幅寸法:BP1W
0.5mm≦BP1W≦2.5mm
(7)境界面60の直径寸法:MDIA
4.0mm≦MDIA≦13.5mm
(8)MDIA/DIAの値
0.4≦MDIA/DIA≦0.9
なお、特に本実施形態では、径方向縦断面において、第二周辺部後面86の曲率半径:rBPZ2が、光学部後面72の曲率半径:rBOZ (BC)に対して、rBOZ +0.3mm≦rBPZ2≦rBOZ +2.0mmとされていることが望ましく、より好適には、rBOZ +0.9mm≦rBPZ2≦rBOZ +1.5mmとされる。即ち、第二周辺部後面86の曲率半径:rBPZ2が、好適には、6.8mm≦rBOZ ≦11.3mm、より好適には、7.4mm≦rBPZ2≦10.8mmとされる。蓋し、第二周辺部後面86の曲率半径:rBPZ2が小さ過ぎると、角膜の表面12に対してレンズが吸着し易くなって、脱着が困難となる等の不具合が生じるおそれがある一方、rBPZ2が大き過ぎると、第二周辺部78の外周側部分において角膜の表面12からの浮きが生じる等して、コンタクトレンズ64の動き量が大きくなり、安定して位置決め固定され難くなるおそれがある。
このような本実施形態に従う構造とされたコンタクトレンズ64においても、前記第一の実施形態と同様の優れた効果を発揮せしめることが出来る。
また、図5には、第三の実施形態としてのコンタクトレンズ96が示されている。なお、以下の説明において、前記第一又は第二の実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
より詳細には、本実施形態にかかるコンタクトレンズ96は、前記第一の実施形態と略同様に全体として略球殻形状を有しており、正面視において中央部分に円形状の光学部が形成されていると共に、光学部66の周りに円環形状の周辺部98が形成されている。また、周辺部98の外周縁部には、エッジ部19が形成されている。
本実施形態における光学部16については、前記第一の実施形態と実質的に同一とされていることから、ここでは詳細な説明を省略する。
一方、周辺部98は、第一周辺部100,第二周辺部102から構成されている。これら二つの周辺部100,102は、正面視においてレンズ中心軸14を中心として互いに同心の円環形状で広がっており、内周側から順次に連なって一体形成されている。
光学部16の外周側に連続して一体形成された第一周辺部100は、その前面(第一周辺部前面)104が、光学部前面20と同一の曲率半径:rFPZ1(=rFOZ )を有する球状面とされている。また、第一周辺部100の後面(第一周辺部後面)106は、光学部後面22と同一の曲率半径:rBPZ1(=rBOZ )を有する球状面とされている。なお、特に本実施形態では、第一周辺部前面104の曲率半径が、第一周辺部後面106の曲率半径と略同一の大きさに設定されている(rFPZ1=rBPZ1)。
また、第一周辺部100の外周側に連続して一体形成された第二周辺部102は、その前面(第二周辺部前面)108が、レンズ中心軸14上でレンズ後方(図5中の右方)に曲率中心が設定されている一方、第二周辺部102の後面(第二周辺部後面)110は、レンズ中心軸14上でレンズ前方(図5中の左方)に曲率中心が設定されており、全体として、第二周辺部102が外周側に向かって次第に薄肉とされている。
なお、本実施形態におけるエッジ部19は、前記第一の実施形態と実質的に同一であることから説明を省略する。また、光学部66と第一周辺部100の接続部位である第一ジャンクション50,第一周辺部100と第二周辺部102の接続部位である第二ジャンクション52は、何れも前記第一の実施形態と実質的に同一であることから説明を省略する。
これにより、図5に示されているように、本実施形態のコンタクトレンズ96では、光学部後面22及び第一周辺部後面106が、装用される眼球角膜の表面12の形状に略一致するように(正確には、涙液層となる微小隙間24を挟んで略相似形となるように)設定されていると共に、この光学部後面22及び第一周辺部後面106を基準として、第二周辺部後面110が外周側に向かって次第にリフトアップ(前方に離隔)されており、角膜表面12との間の隙間24を外周側に向かって開口させて、涙液交換が促進されるように角膜の表面12に対して外周側に向かって拡開状に離隔している。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、光学部後面22及び第一周辺部後面106が共に眼球近接側後面とされており、それら光学部後面22と第一周辺部後面106が、眼球における角膜の表面12に対して最も接近して重ね合わせられるようになっている。
上述の如き、全体として略球殻形状とされたコンタクトレンズ96は、二種類の異なる材料によって形成されている。具体的には、その軸方向の正面視で中央に位置する円形領域が、硬質材料で形成された中央部分112とされている。一方、該中央部分112の周りを取り囲む、軸方向の正面視で円環形状とされた領域が、軟質材料で形成された外周部分114とされている。即ち、これら中央部分112と外周部分114は、レンズ中心軸14を中心とする同軸的な回転体形状とされている。
なお、本実施形態におけるこれら中央部分112と外周部分114の具体的な材料等は、前記第一の実施形態と略同一であることから、詳細な説明を省略する。
そして、これら中央部分112と外周部分114は、コンタクトレンズ96の径方向中間部分において、レンズ中心軸14周りに広がる円形の境界面116によって区画されている。この異種材料の接合部である境界面116は、第二周辺部102に位置せしめられており、特に本実施形態では、周辺部98の径方向(幅方向)の略中央部分に位置せしめられている。
これにより、境界面116は、レンズ後面において、第一周辺部後面106上に境界線118として露呈されている。なお、本実施形態では、境界面116がレンズ中心軸14に対して略直交して広がる湾曲面で構成された筒状とされている。
なお、本実施形態におけるコンタクトレンズ96の一般的な設計基準値としてのコンタクトレンズ96の外形寸法:DIA,光学部前面20の外形寸法:FOZD,光学部後面22の外径寸法:BOZD,光学部後面22の曲率半径:BC,第一周辺部前面104の幅寸法:FP1W,第一周辺部後面106の幅寸法:BP1W,境界面116の直径寸法:MDIA,MDIA/DIAの値などは前記第一の実施形態と略同一であることから説明を省略する。なお、図5には、コンタクトレンズの外形寸法:DIAが9.0mm≦DIA≦11.0mmに設定された小径コンタクトレンズが本実施形態に係るコンタクトレンズ96の一例として示されている。
ここにおいて、本実施形態では、境界面116の後面側端部である境界線118を径方向に跨ぐように形成されて、周方向全周に亘って延びる周状凹溝120が後面側に開口するように形成されている。特に本実施形態では、図5に示されているように、第一周辺部後面106と第二周辺部後面110の境界である第二ジャンクション52を含む径方向位置において、周状凹溝120が形成されている。
これにより、本実施形態におけるコンタクトレンズ96の後面において、光学部後面22及び第一周辺部後面106が略全面に亘って略一定の厚さとされた涙液層を介して角膜表面12に重ね合わせられていると共に、境界線118が角膜の表面12から全周に亘って離隔して位置せしめられている。
また、本実施形態における周状凹溝120は、幅寸法:Wが0.1mm≦W≦3.0mmとされていることが望ましく、深さ寸法:Dが0.005mm≦D≦0.15mmとされていることが望ましい。また、幅寸法:Wが0.5mm≦W≦2.0mmとされていることがより望ましく、深さ寸法:Dが0.05≦D≦0.1mmとされていることがより望ましい。蓋し、幅寸法:Wが小さ過ぎると、周状凹溝120の開口側縁部を滑らかに第一周辺部後面106と第二周辺部後面110に接続することが困難となるおそれがある。一方、幅寸法:Wが大き過ぎると、必要とされる光学部66の直径を確保することが困難となる場合がある。また、深さ寸法:Dが小さ過ぎると、周状凹溝120の径方向中間部分に位置せしめられる境界線118が角膜表面12に触れて装用感の不良を生じるおそれがある。一方、深さ寸法:Dが大き過ぎると、コンタクトレンズ96の厚さが局所的に薄くなり過ぎて、適切な強度の確保が実現できないおそれがある。
なお、図5に示されているように、周状凹溝120の幅方向略中央に境界線118が位置するように周状凹溝120が形成されていることが望ましいが、必ずしも幅方向中央に境界線118が位置せしめられている必要はなく、周状凹溝120の幅方向での中間の一部に境界線が位置していれば良い。
また、周状凹溝120は、必ずしも第二ジャンクション52を跨ぐように形成されている必要はなく、中央部分112と外周部分114の境界線118を跨ぐように形成されていれば、周辺部68の後面の任意の径方向位置に形成することが出来る。
ところで、本実施形態に係るコンタクトレンズ96の製造方法は特に限定されるものではないが、前記第一の実施形態に示した方法を採用することによっても実現できる。なお、かかる製造方法については、前記第一の実施形態における記載と重複することから説明を省略する。
このような本実施形態に従う構造とされたコンタクトレンズ96においては、周状凹溝120によって境界面116の後面側端部である境界線118が角膜の表面12から離隔せしめられていることにより、境界線118の角膜の表面12への接触を回避することによる装用感の向上効果など、前記第一の実施形態において示された効果と同様な優れた効果を得ることが出来る。
特に、周状凹溝120と第二周辺部後面110とエッジ19が角膜表面12から離隔せしめられている一方、第二周辺部後面110に比して広い面積で形成されたこのような本態様に従う構造とされた光学部後面22と第一周辺部後面106が略全体に亘って角膜の表面12に沿って重ね合わせられている。それ故、比較的広い範囲で角膜の表面12に重ね合わせられることとなって、角膜表面12上に安定して位置決め固定されて、優れた光学特性を効果的に発揮せしめることが出来る。
なお、図5には、直径9mmから11mm程度の小径コンタクトレンズ96に本発明を適用した例を示したが、例えば、図6に示されているように、直径11mmから15mm程度の大径コンタクトレンズ122に対しても、本発明は適用され得る。なお、図6に示されたコンタクトレンズ122の各部位乃至は部材は、図5に示されたコンタクトレンズ96と実質的に同一であることから、ここでは説明を省略する。
次に、図7には、本発明の第四の実施形態としてのコンタクトレンズ124が示されている。なお、以下の説明において、前記第一乃至第三の何れかの実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
すなわち、本実施形態に係るコンタクトレンズ124は、全体として、前記第一の実施形態に係るコンタクトレンズ10と略同一の構造を有している。また、第二周辺部28には、後面38側に開口して周方向全周に亘って延びる周溝126が形成されている。なお、好適には、周溝126は、幅寸法:W2 が0.1mm≦W2 ≦2.0mmとされており、より好適には、0.5mm≦W2 ≦1.5mm、更に好適には、0.8mm≦W2 ≦1.2mmとされている。また、周溝126の深さ寸法:D2 は、0.002mm≦D2 ≦0.12mmとされていることが望ましく、より好適には、0.005mm≦D2 ≦0.1mm、更に好適には、0.007mm≦D2 ≦0.09mmとされている。
このような本実施形態に従う構造とされたコンタクトレンズ124においては、前記第一の実施形態で示した効果と略同一の効果を得ることが出来る。
また、特に本実施形態に係るコンタクトレンズ124では、涙液層を介して角膜表面12と略相似の湾曲形状とされて、角膜の表面12に接近して重ね合わせられる第二周辺部後面38に周溝126が形成されていることにより、第二周辺部後面38において、角膜の表面12と略等しい曲率半径とされて、角膜の表面12に涙液層を介して重ね合わせられる部分の面積が小さくなる。それ故、第二周辺部後面38と角膜の表面12との間に作用する表面張力が小さくなり、コンタクトレンズ124の外方の涙液が第二周辺部後面38と角膜表面12の対向面間を通じてコンタクトレンズ124に覆われた角膜上に位置する涙液層に容易に供給されて、涙液交換による角膜への酸素供給を有利に実現できるのである。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記第一乃至第四の実施形態では、周辺部18,68,98の後面の少なくとも一部が角膜の表面12に沿うように湾曲せしめられていたが、必ずしも周辺部18,68,98の後面の一部が角膜の表面12と略相似形状とされて沿うように重ね合わせられている必要はない。具体的には、例えば、光学部後面が角膜の表面と略同一の曲率半径で形成されて、涙液層を介して重ね合わせられていると共に、周辺部の後面が外周側に行くに従って角膜表面から次第に離隔するように形成されていても良い。
また、前記第一乃至第四の実施形態に示されているように、中央部分56,88,112がガス透過性の硬質材料で形成されていると共に、外周部分58,90,114が含水性の軟質材料で形成されることが角膜への酸素の供給等の面で望ましいが、必ずしもこのような構成及び材料に限定されるものではない。具体的には、例えば中央部分がガス透過性を有していない硬質材料で形成されたり、外周部分が非含水性の軟質材料で形成されても良い。
さらに、前記第一乃至第四の実施形態では、互いに材料が異なる中央部分56,88,112と外周部分58,90,114を有して成るコンタクトレンズ10,64,96(122),124を示したが、本発明に係る多種材コンタクトレンズは、必ずしも異なる材料を用いた二つの部材のみで構成されている必要はなく、中央部分や外周部分が二種類以上の異なる材料で形成されていてもよく、それによって、全体として、互いに異なる材料を用いた三種以上の複数の部材が接合されて構成されたコンタクトレンズを実現することも可能である。なお、この場合には、中央部と外周部の接合部のみならず、互いに材料が異なる各部材の接合箇所が、何れも、前記第一乃至第四の実施形態に示された境界線と同様に、角膜の表面12から離隔せしめられるようになっていることが望ましい。
また、前記第一乃至第四の実施形態では、周辺部18,68,98の外周部分(第二周辺部102,第三周辺部28,78)が、外周側に行くに従って次第に角膜表面12から離隔するようになっている。そして、周辺部をこのような構造とすることにより涙液交換による角膜への酸素供給を有利に実現することが出来るが、このような構造は必ずしも必要ではない。
また、光学部前面20,70の曲面形状は、球面形状の他、収差を考慮した非球面形状やトーリック面,二面の曲面によって構成されたバイフォーカル(二焦点)面,複数面の曲面によって構成されたマルチフォーカル(多焦点)面等、各種形状が、要求される眼の光学特性への補助乃至は矯正作用に応じて適宜に採用され得る。更に、光学部後面22,72は、球面の他、非球面やトーリック面等、各種形状が眼球表面12の形状等に応じて適宜に採用され得る。
また、前記第一乃至第四の実施形態で示されているように、周辺部18,68,98の後面は、必ずしも単一湾曲面で構成されている必要はなく、複数の湾曲面及び平面が組み合わせられることによって周辺部の後面が構成されていても良い。また、それら複数の面のうち任意の面が角膜の表面12にと略相似形状の湾曲面とされて角膜の表面12に重ね合わせられていても良い。具体的には、例えば、外周部後面が径方向で連続して形成された複数の湾曲面によって構成されており、それら複数の湾曲面で最外周に位置する湾曲面が角膜表面に沿う形状で形成されて、角膜表面に重ね合わせられていても良い。なお、該複数の湾曲面のうちの一つ以上の湾曲面が後面側に凸となる湾曲形状で形成されていても良い。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。

Claims (12)

  1. ハードレンズ材料で形成された中央部分とソフトレンズ材料で形成された外周部分からなる多種材コンタクトレンズにおいて、
    所定の光学特性が設定された光学部を前記中央部分に形成すると共に、該光学部の外周側に形成された周辺部に対して前記中央部分と前記外周部分の境界を位置せしめる一方、
    該光学部の後面および該周辺部の後面のうちで眼球表面に対してより近接位置せしめられる方の眼球近接側後面に比して、レンズ後面における該中央部分と該外周部分との境界線と眼球表面との離隔距離がより大きくなるように、該境界線が位置する領域の該レンズ後面の曲率半径を、該眼球近接側後面の曲率半径と異ならせたことを特徴とする多種材コンタクトレンズ。
  2. 前記光学部の後面及び前記周辺部の後面のうちで眼球表面の曲率半径により近い曲率半径をもって形成されて眼球表面との離隔距離がより小さくなるようにされた方の後面における延長線に対する、レンズ後面における前記中央部分と前記外周部分との前記境界線の曲率半径方向での離隔距離:xを、0.01mm≦x≦0.25mmとした請求項1に記載の多種材コンタクトレンズ。
  3. 前記周辺部のレンズ後面が、径方向において互いに曲率半径の異なる複数の湾曲面領域によって構成されており、前記境界線が位置する内周側周辺部の外側に、該領域とは異なる曲率を有する外周側周辺部が形成されている請求項1又は2に記載の多種材コンタクトレンズ。
  4. 前記光学部の後面が、前記外周側周辺部の後面よりも眼球表面の曲率半径により近い曲率半径をもって形成されて眼球表面との離隔距離がより小さくなるようにされており、且つ、該光学部の後面と該外周側周辺部の後面を径方向で滑らかにつなぐように前記内周側周辺部の後面が形成されている請求項3に記載の多種材コンタクトレンズ。
  5. 前記外周側周辺部の後面が、前記光学部の後面よりも眼球表面の曲率半径により近い曲率半径をもって形成されて眼球表面との離隔距離がより小さくなるようにされており、且つ、該外周側周辺部の後面と該光学部の後面を径方向で滑らかにつなぐように前記内周側周辺部の後面が形成されている請求項3に記載の多種材コンタクトレンズ。
  6. 前記光学部の後面と前記内周側周辺部の後面と前記外周側周辺部の後面が何れも凹状の湾曲面によって形成されており、且つ、該光学部の後面よりも該内周側周辺部の後面の方が大きな曲率半径を有していると共に、該内周側周辺部の後面よりも該外周側周辺部の後面の方が大きな曲率半径を有している請求項3乃至5の何れか一項に記載の多種材コンタクトレンズ。
  7. レンズ後面において前記境界線の位置する部分に、レンズ後面に開口して周方向の全周に亘って延びる凹溝を形成して、該凹溝の内面に該境界線を位置せしめた請求項1又は2に記載の多種材コンタクトレンズ。
  8. 前記凹溝の幅寸法:Wが、0.1mm≦W≦3.0mmであり、且つ、該凹溝の深さ寸法:Dが、0.005mm≦D≦0.15mmである請求項7に記載の多種材コンタクトレンズ。
  9. 前記中央部分を形成するハードレンズ材料のヤング率が3MPa〜3000MPaとされていると共に、前記外周部分を形成するソフトレンズ材料のヤング率が0.2MPa〜3MPaとされている請求項1乃至8の何れか一項に記載の多種材コンタクトレンズ。
  10. 前記中央部分が、酸素透過性のハードレンズ材料で形成されている請求項1乃至9の何れか一項に記載の多種材コンタクトレンズ。
  11. 前記外周部分が、含水性のソフトレンズ材料で形成されている請求項1乃至10の何れか一項に記載の多種材コンタクトレンズ。
  12. 前記周辺部の前記境界線よりも外周側の部分に、レンズ後面側に開口して周方向の全周に亘って連続して延びる周溝が形成されている請求項1乃至11の何れか一項に記載の多種材コンタクトレンズ。
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