JPWO2006120882A1 - 架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物、ポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末、ポリテトラフルオロエチレン成形体、樹脂ブレンド組成物、および樹脂ブレンド成形体 - Google Patents

架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物、ポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末、ポリテトラフルオロエチレン成形体、樹脂ブレンド組成物、および樹脂ブレンド成形体 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、高価な装置や生産性の悪いホットコイニング法などを必要とすることなく圧縮成形などの通常の成形方法により製造可能であり、かつ、製造中に有毒な物質を生じず、かつ、従来の強度、結晶性、および表面特性などを維持しており、かつ、異方性も不均一性もなく、かつ、従来のPTFE樹脂よりも変形しにくいPTFE樹脂を提供することにある。架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物は、ポリテトラフルオロエチレンおよび架橋剤を含有する。ポリテトラフルオロエチレンは、シアノ基(−CN)、カルボキシル基(−COOH)、アルコキシカルボニル基(−COOR(Rは1価の有機基)、および酸ハライド基(—COX(Xはハロゲン原子))より成る群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有する。架橋剤は、1または複数の反応性官能基と反応して環状構造を形成可能である。

Description

本発明は、架橋構造を形成可能であるポリテトラフルオロエチレン組成物および架橋構造を有するポリテトラフルオロエチレン樹脂に関する。また、本発明は、ポリテトラフルオロエチレン組成物あるいは架橋構造を有するポリテトラフルオロエチレン樹脂との樹脂ブレンド組成物にも関する。また、本発明は、樹脂ブレンド組成物から得られる樹脂ブレンド成形体にも関する。
ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略する)樹脂は、耐薬品性、耐摩擦性、耐候性、電気絶縁性、難燃性などに優れており、摺動材、難燃性添加剤、低誘電率膜材料などとして広く利用されている。しかし、PTFE樹脂は摺動環境下や高温での圧縮環境下において磨耗やクリープが大きいという問題がある。このため、産業界ではPTFE樹脂の摩耗特性やクリープ特性などの一層の向上が望まれている。この問題を解決する手法としては、「PTFE樹脂に添加剤を配合する」という手法や「PTFE樹脂に電離性放射線を照射してPTFE樹脂を架橋化させる(例えば、特許文献1および2参照)」という手法などが当業者に広く知られている。また、他にも「カルボキシル基などが導入されているPTFE樹脂を熱処理することによりPTFE樹脂を架橋する(例えば、特許文献3参照)」という手法や、「フッ化ピッチとPTFE樹脂とを混合した後、加熱または電離性放射線の照射によりPTFE樹脂を架橋化させる(例えば、特許文献4参照)」という手法、「PTFE樹脂に比表面積が1.0〜2.0m2/gの炭素繊維を配合する(例えば、特許文献5参照)」という手法などが報告されている。
特開平7−118423号公報 特開2001−329069号公報 特開平3−234753号公報 特開平2003−119293号公報 特開2003−41083号公報
ところが、「添加剤や炭素繊維を配合する」という手法ではPTFE樹脂の成形体の諸物性に異方性が生じるおそれがあるとともにPTFE樹脂の表面特性(低摩擦性など)に悪影響を及ぼすおそれがある。また、「PTFE樹脂に電離性放射線を照射して架橋化させる」という手法によれば低摩耗性を有するPTFE樹脂が得られると報告されているが、この手法により得られるPTFE樹脂成形体には電離性放射線によるPTFE主鎖の切断に起因する強度低下や結晶性低下が見られるという問題があるのに加え、非結晶部分が先に架橋されることによる架橋の不均一性といった放射線架橋物そのものに由来する問題もある。また、この手法では、PTFEの融点以上の高温下におけるPTFE成形体の熱処理が必要となり、それに加えて、その上下20℃、好ましくは5℃といった精密な温度管理が必要となり、さらに、良好な架橋効率を得るためには熱処理を低酸素濃度下で行う必要がある。このため、この手法を採用するためには必然的に高価な装置が必要となるという問題がある。また、この手法では、装置の構成上、PTFE成形体に電離性放射線を均一に照射することが困難であるため、粉末の場合は不均一に架橋構造が導入されるという問題があり、フィルムの場合はしわが生じる等の問題がある。なお、熱による架橋の場合では、性能向上効果が乏しい。また、「フッ化ピッチを利用してPTFEを架橋させる」という手法では、架橋反応中において有毒なHFガスやF2ガスなどが生じるという問題がある。さらに、上記のようにして得られる架橋PTFEの粉末(以下、架橋PTFE粉末という)の圧縮成形には、特開平2001−240682号公報、特開2002−114883号公報などに示されるように、架橋PTFE粉末のみでの圧縮成形が困難であるため圧縮成形前に未架橋PTFEと混合することが必要であるという問題、架橋PTFEの含有率が向上すると圧縮成形が困難となるという問題、および圧縮成形時に融点以上の温度から加圧冷却するホットコイニング法を用いる必要があるため生産性が悪いという問題などが存在する。
本発明の課題は、高価な装置や生産性の悪いホットコイニング法などを必要とすることなく圧縮成形などの通常の成形方法により製造可能であり、かつ、製造中に有毒な物質を生じず、かつ、従来の強度、結晶性、および表面特性などを維持しており、かつ、異方性も不均一性もなく、かつ、従来のPTFE樹脂よりも変形しにくいPTFE樹脂を提供することにある。
本発明に係る架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物は、ポリテトラフルオロエチレンおよび架橋剤を含有する。ポリテトラフルオロエチレンは、シアノ基(−CN)、カルボキシル基(−COOH)、アルコキシカルボニル基(−COOR(Rは1価の有機基)、および酸ハライド基(―COX(Xはハロゲン原子))より成る群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有する。架橋剤は、1または複数の反応性官能基と反応して環状構造を形成可能である。
上記架橋剤は、アミドキシム系架橋剤、アミドラゾン系架橋剤、アミノフェノール系架橋剤、アミノチオフェノール系架橋剤、およびアミノフェニル系架橋剤より成る群から選択される少なくとも1種の架橋剤であることが好ましい。
また、上記架橋剤は、一般式(1)で示される架橋性反応基を少なくとも2個含む化合物、ならびに一般式(2)、(3)および(4)で示される化合物より成る群から選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
(式中、R1は、同一であるか又は相違し、−NH2、−NHR2、−OH、又は−SHであり、R2は、フッ素原子または1価の有機基である)
(式中、R3は、−SO2−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、又は単結合手であり、
(式中、Rf 1は、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基である)
(式中、nは1〜10の整数である)
また、上記架橋剤は、一般式(5)で示される化合物であってもよい。
(式中、R1は、上記R1と同一であり、R5は、−SO2−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、単結合手、または、
で示される基である)
そして、上記架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物を加熱するなどして架橋反応させれば、本願の目的のポリテトラフルオロエチレン成形体やポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末を得ることができる。
また、上記ポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末を圧縮成形や、ラム押出成形、ペースト押出成形するなどしても、本願の目的のポリテトラフルオロエチレン成形体を得ることができる。
さらに、上記の架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物およびポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末は、成形用樹脂・エラストマー等の他の樹脂あるいは樹脂前駆体に改質材として分散あるいはブレンドされることもできる。このようなブレンド成形体を得る方法としては、上記架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物と樹脂または樹脂前駆体とを混合したものを加熱成形する方法や、上記ポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末と他の樹脂または樹脂前駆体とを混合したものを成形する方法などが挙げられる。なお、前者の方法においては、加熱成形中に架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物中の架橋剤がポリテトラフルオロエチレンと反応し架橋構造を形成する。なお、ここにいう「樹脂」としては、特に限定されることなく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・エチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、スチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂、アクリロニトリル・ブチレン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリレート・スチレン共重合体樹脂(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエンゴム・スチレン共重合体樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート共重合体樹脂(ASA樹脂)、シリコーン・アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂(SAS樹脂)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルホン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステルアミド樹脂、芳香族アゾメチン樹脂、ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびポリエーテルニトリル樹脂などが挙げられる。また、ここでは、フッ素樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、およびポリクロロトリフルオロエチレン等が含まれる。また、ここにいう「樹脂前駆体」としては、特に限定されることなく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、およびジアリルフタレート樹脂などの硬化前の液や、溶液、固体粉末などが挙げられる。
本発明に係る架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物を架橋反応させれば、従来の強度、結晶性、表面特性を維持しており、かつ、異方性も不均一性もなく、かつ、従来のポリテトラフルオロエチレン樹脂よりも変形しにくいポリテトラフルオロエチレン樹脂を提供することができる。また、この架橋反応を行わせるには、高価な装置や生産性の悪いホットコイニング法などは必要なく圧縮成形などの通常の成形方法で足りる。また、この架橋反応中に有毒な物質は生じない。
また、上記架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物およびポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末は単体でも成形可能であり、例えばポリテトラフルオロエチレン等の他のフッ素樹脂と混合する際にも、高重量比で成形可能である。さらに、上記架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物およびポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末は、圧縮成形の際、フリーベーキング法により成形できるという特徴を有する。そして、このようにしてできた成形体は、従来の表面特性を維持しつつ異方性もなく従来のポリテトラフルオロエチレン樹脂よりも変形しにくいものとなっている。
さらに、本発明に係るポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末または架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物は、成形用樹脂・エラストマーなどの他の材料に、難燃性、非粘着性、摺動性、撥水撥油性、電気特性、耐汚染性、耐蝕性、耐候性などを向上させる改質材として分散あるいはブレンドされることもできる。
〔架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物〕
本発明の実施の形態に係る架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物は、ポリテトラフルオロエチレンおよび架橋剤を含有する。以下に、本実施の形態において採用されるポリテトラフルオロエチレンおよび架橋剤をそれぞれ説明する。なお、以下、ポリテトラフルオロエチレンをPTFEと略する。
〔PTFE〕
本実施の形態に係るPTFEとしては、架橋剤と反応可能な架橋部位として、シアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)、アルコキシカルボニル基(−COOR7基、R7は一価の有機基)、酸ハライド基(−COX:Xはハロゲン)を、主鎖および/または側鎖末端に有するものが好ましく挙げられる。これらの中でも、反応性の点からはシアノ基あるいは酸ハライド基がより好ましい。また、製造が容易な点からはカルボキシル基、あるいはアルコキシカルボニル基がより好ましく、特にカルボキシル基であることが好ましい。
架橋剤と反応可能な架橋部位はPTFEへ高分子反応により導入されるものであってもよいし、架橋部位を与える単量体とテトラフルオロエチレン(以下、TFEと略する)との共重合により導入されるものであってもよい。高分子反応によりPTFEに官能基を導入する手法としては、PTFEを放射線や、レーザー、電子線、プラズマ、コロナ放電などにより処理して官能基を導入する乾式法や、電気化学的に又はLi金属/ナフタレン錯体により還元する湿式法などが従来より知られている。なお、製造容易であることから後者の手法を採用することが好ましい。
本実施の形態に係るPTFEにおいて、架橋部位を与える単量体の含有量は、必須の単量体となるTFEに対して、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.03モル%以上、更に好ましくは0.06モル%以上、好ましくは50モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは5モル%以下である。架橋部位を与える単量体の含有量が0.01モル%以下であれば十分な効果が得られず、単量体の含有量が50モル%以上であれば重合体を得るのが困難になるからである。
本実施の形態において、架橋部位を与える単量体としては、エチレン性不飽和結合をもち、かつ、官能基としてシアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基を有するものであり、かつ、TFEと共重合性をもつものであれば任意の化合物を用いることができる。単量体としては、鎖状および環状のいずれの化合物も用いることができる。単量体が環状化合物であれば、上記官能基を有するシクロペンテンおよびその誘導体、ノルボルネンおよびその誘導体、多環ノルボルネンおよびその誘導体、ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ならびにこれらの化合物の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子、特にはフッ素原子や、含フッ素アルキル基に置換した化合物などを一例として挙げることができる。なお、重合性の観点から、単量体は鎖状化合物であるのが好ましい。また、鎖状化合物の中でも特に、下記の一般式で示される単量体が好ましい。
CY12=CY3(O)m(R8n−Z1 (7)
(式中、Y1〜Y3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、−CH3、または−CF3であり、R8は2価の有機基であり、nは0または1であり、mは、nが0である場合は0、nが1である場合は0または1であり、Z1はシアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH)、アルコキシカルボニル基(−COOR9基、R9は1価の有機基)、酸ハライド基(−COX基、Xはハロゲン基)である)
上記の中でも、重合性の観点から、Y1〜Y3が水素原子またはハロゲン原子であるものが望ましく、ハロゲン原子の中でも特にフッ素原子が好ましい。具体的には、CH2=CH−、CH2=CF−、CFH=CF−、CFH=CH−、CF2=CF−が好ましい構造として挙げられる。特に、CH2=CH−、CH2=CF−、CF2=CF−の構造がより好ましい。なお、n=0の場合、CH2=CHCN、CH2=CHCOOR、CF2=CFCN、CF2=CFCOORといった化合物が架橋可能な単量体として例示し得る。
n=0の場合はm=0であるが、n=1の場合はmは0であっても1であってもよい。mが1である場合は、CH2=CHO−、CH2=CFO−、CFH=CFO−、CFH=CHO−、CF2=CFO−が好ましい構造として挙げられる。特に、CH2=CHO−、CH2=CFO−、およびCF2=CFO−が好ましい構造として挙げられる。
8としては、2価の有機基から任意のものを選ぶことができるが、合成や重合の容易性の観点から、炭素数1〜100のエーテル結合を含んでいてもよいアルキレン基が好ましい。なお、炭素数は、1〜50であることがより好ましく、1〜20であることがさらに好ましい。そのようなアルキレン基は、水素原子の一部または全部がハロゲン原子、特にはフッ素原子に置換されていてもよい。炭素数が100以上であれば、重合が困難になり、架橋を行っても好ましい特性を得ることができないからである。上記アルキレン基は、直鎖型や分岐型のアルキレン基でよい。そのような直鎖型や分岐型のアルキレン基を構成する最小構造単位の一例を下記に示す。
(i)直鎖型の最小構造単位:
−CH2−、−CHF−、−CF2−、−CHCl−、−CFCl−、−CCl2
(ii)分岐型の最小構造単位:
8で表されるアルキレン基がエーテル基を含有しない場合、R8で表されるアルキレン基は、これらの最小構造単位単独で、または、直鎖型(i)同士、分岐鎖型(ii)同士、もしくはこれらを適宜組み合わせて構成される。また、R8で表されるアルキレン基がエーテル基を含有する場合、R8で表されるアルキレン基は、これらの最小構造単位単独と酸素原子で、または、直鎖型(i)同士、分岐鎖型(ii)同士と酸素原子で、もしくはこれらを適宜組み合わせて構成することができるが、酸素原子同士が結合することはない。なお、R8で表されるアルキレン基は、以上の例示のなかでも、塩基による脱HCl反応が起こらず、より安定なことから、Clを含有しない構成単位から構成されることが好ましい。
また、R8は、−R10−、―(OR10)−、または−(R10O)−(R10は炭素数1〜6のフッ素を含んでいてもよいアルキレン基)で示される構造を有することがさらに好ましい。R10の好ましい具体例としては、つぎの直鎖型または分岐鎖型のものが例示できる。
直鎖型のものとしては、−CH2−、−CHF−、−CF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CF2CF2−、−CH2CF2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CF2−、−CH2CF2CH2−、−CH2CF2CF2−、−CF2CH2CH2−、−CF2CF2CH2−、−CF2CH2CF2−、−CF2CF2CF2−、―CH2CF2CH2CF2−、―CH2CF2CF2CF2−、―CH2CH2CF2CF2−、―CH2CH2CH2CH2−、―CH2CF2CH2CF2CH2−、―CH2CF2CF2CF2CH2−、―CH2CF2CF2CH2CH2−、―CH2CH2CF2CF2CH2−、―CH2CF2CH2CF2CH2−、―CH2CF2CH2CF2CH2CH2−、―CH2CH2CF2CF2CH2CH2−、―CH2CF2CH2CF2CH2CH2−などが例示でき、分岐鎖型のものとしては、
などを挙げることができる。また、上記の構成から、下記の化合物が一例として例示し得る。
CH2=CH−(CF2n−Z2 (8)
(式中、nは2〜8の整数)
CY4 2=CY4(CF2n−Z2 (9)
(式中、Y4は水素原子またはフッ素原子、nは1〜8の整数である)
CF2=CFCF2f 4−Z2 (10)
(式中、
であり、nは0〜5の整数である)
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2m
(OCH2CF2CF2nOCH2CF2−Z2 (11)
(式中、mは0〜5の整数であり、nは0〜5の整数である)
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2m
(OCF(CF3)CF2nOCF(CF3)−Z2 (12)
(式中、mは0〜5の整数であり、nは0〜5の整数である)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2n−Z2 (13)
(式中、mは0〜5の整数であり、nは1〜8の整数である)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m−Z2 (14)
(式中、mは1〜5の整数である)
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2nCF(−Z2)CF3 (15)
(式中、nは1〜4の整数である)
CF2=CFO(CF2nOCF(CF3)−Z2 (16)
(式中、nは2〜5の整数である)
CF2=CFO(CF2n−(C64)−Z2 (17)
(式中、nは1〜6の整数である)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)−Z2 (18)
(式中、nは1〜2の整数である)
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)−Z2 (19)
(式中、nは0〜5の整数である)、
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−Z2 (20)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数である)
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)−Z2 (21)
CH2=CFCF2OCH2CF2−Z2 (22)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)−Z2 (23)
(式中、mは0以上の整数である)
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2n−Z2 (24)
(式中、nは1以上の整数である)
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3)OCF2−Z2 (25)
CF2=CF−(CF2C(CF3)F)n−Z2 (26)
(式中、nは、1〜5の整数である)、
CF2=CFO−(CFY5n−Z2 (27)
(式中、Y5はFまたは−CF3であり、nは1〜10の整数である)
CF2=CFO−(CF2CFY6O)m−(CF2n−Z2 (28)
(式中、Y6はFまたは−CF3であり、mは1〜10の整数であり、nは1〜3の整数である)
CH2=CFCF2O−(CF(CF3)CF3O)n−CF(CF3)−Z2 (29)
(式中、nは0〜10の整数である)
CF2=CFCF2O−(CF(CF3)CF2O)n−CF(CF3)−Z2 (30)
(式中、nは1〜10の整数である)
(一般式(8)〜(30)中、Z2は、シアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH)、アルコキシカルボニル基(−COOR11基、R11は1価の有機基)、酸ハライド基(−COX基、Xはハロゲン基)である)
なお、上記R11は水素原子または一価の有機基であるが、−COOR11基が架橋部位として作用するためには、−COOR11基が架橋剤の反応性官能基と反応しやすい構造であることが好ましい。つまり、R11が脱離しやすいことが好ましい。そのようなR11としては、トルエンスルホン酸、ニトロトルエンスルホン酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸などのスルホニルエステル、リン酸エステル、ならびに有機リン酸エステルなどが挙げられる。しかし、スルホニルエステルは、脱離するスルホン酸の酸性度が高く金属(例えば成形器の金型)を腐食するおそれがあるため好ましくない。また、リン酸エステルや有機リン酸エステルは、脱離するリン酸および有機リン酸が環境に悪影響を与えることが懸念されるため好ましくない。したがって、R11はエーテル結合や芳香環を含んでもよいアルキル基であることが好ましい。この場合、炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。また、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されているものは脱離性が高いことから好ましい。R11がエーテル結合や芳香環を含んでもよいアルキル基である場合、R11としては、具体的に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1,2,2―ヘプタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基などが挙げられる。また、反応性が高い点では―COXで示される酸ハライド基が好ましい。しかし、PTFEの重合は水系で行われる場合、酸ハライド基は水中では不安定であるため好ましくない。なお、PTFEの重合が非水溶液系で行われる場合、酸ハライド基は好ましい。
一般式(8)〜(30)で示される単量体では、そのシアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、または酸ハライド基が、架橋部位となり、架橋剤と架橋反応が進行する。
一般式(9)で示される単量体としては、具体的には、
CF2=CF−CF2−CN、CF2=CF−CF2CF2−CN、
CF2=CF−CF2−COOH、CF2=CF−CF2CF2−COOH、
CF2=CF−CF2−COOCH3、CF2=CF−CF2CF2−COOCH3
などが挙げられるが、架橋反応性の点で、
CF2=CF−CF2−CN、CF2=CF−CF2CF2−CN
であることが好ましく、重合反応性が優れている点で、
CF2=CF−CF2−COOH、CF2=CF−CF2CF2−COOH、
CF2=CF−CF2−COOCH3、CF2=CF−CF2CF2−COOCH3
であることが好ましい。
一般式(26)で示される単量体としては、具体的には、
CF2=CFCF2C(CF3)FCN、CF2=CF(CF2C(CF3)F)2CN、
CF2=CFCF2C(CF3)FCOOH、
CF2=CF(CF2C(CF3)F)2COOH、
CF2=CFCF2C(CF3)FCOOCH3
CF2=CF(CF2C(CF3)F)2COOCH3
などが挙げられるが、重合反応性という点で、CF2=CFCF2C(CF3)FCOOH、
であることが好ましい。
一般式(27)で示される単量体としては、具体的には、
CF2=CFOCF2CF2CF2CN、CF2=CFOCF2CF2CN、
CF2=CFOCF2CN、
CF2=CFOCF2CF2CF2COOH、CF2=CFOCF2CF2COOH、
CF2=CFOCF2COOH、
CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3
CF2=CFOCF2CF2COOCH3、CF2=CFOCF2COOCH3
などが挙げられるが、架橋反応性、重合反応性という点で、
CF2=CFOCF2CF2CF2COOH、CF2=CFOCF2CF2COOH、
CF2=CFOCF2CF2CF2COOCH3
CF2=CFOCF2CF2COOCH3
であることが好ましい。
一般式(28)で示される単量体としては、具体的には、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOH、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOCH3
などが挙げられるが、反応性の点で、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN、
であることが好ましく、製造が容易な点で、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOH、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOCH3
であることが好ましい。
一般式(29)で示される単量体としては、具体的には、
CH2=CFCF2OCF(CF3)CN、
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CN、
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)2CF(CF3)CN、
CH2=CFCF2OCF(CF3)COOH、
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOH、
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)2CF(CF3)COOH、
CH2=CFCF2OCF(CF3)COOCH3
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH3
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)2CF(CF3)COOCH3
などが挙げられるが、重合反応性という点で、CH2=CFCF2OCF(CF3)CN、
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CN、
CH2=CFCF2OCF(CF3)COOH、
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOH、
CH2=CFCF2OCF(CF3)COOCH3
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH3
であることが好ましい。
一般式(30)で示される単量体としては、具体的には、
CF2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CN、
CF2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOH、
CF2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH3
などが挙げられるが、反応性の点で、
CF2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CN、
であることが好ましく、製造が容易な点で、
CF2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOH、
CF2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH3
であることが好ましい。
また、一般的に、上記反応性官能基は、−CF(CF3)−CNや−CF(CF3)−COORのように分岐アルキレン基に結合しているよりも、−CF2−CNや−CF2−COORのように直鎖アルキレン基に結合している方が高い反応性を示すため好ましい。
なお、本実施の形態に係るPTFEでは、上述の反応性官能基含有単量体を共重合成分として用いると同時に、任意の単量体も共重合成分として用いることができる。架橋部位を与える単量体以外の単量体は、特に限定されず、例えば、TFE以外のフッ素含有単量体やフッ素非含有単量体などが挙げられる。このような共重合可能な単量体は架橋剤と反応しない官能基を有していてもよい。架橋剤と反応しない官能基としては、ヒドロキシル基、スルホン酸基、リン酸基、スルホン酸イミド基、スルホン酸アミド基、リン酸イミド基、リン酸アミド基、カルボン酸アミド基、およびカルボン酸イミド基などが挙げられる。架橋剤と反応しない官能基を有する単量体を共重合成分に用いた場合は、接着性改善、分散性改善などの効果が期待される。また、このような官能基を含有しない単量体を共重合成分として導入した場合は、粒径の調整、融点の調整、および力学特性の調整などを行うことができる。また、上記「フッ素含有単量体」としては、例えば、フルオロオレフィン、環式のフッ素化された単量体、およびフッ素化アルキルビニルエーテル等が挙げられる。上記フルオロオレフィンとしては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン(VDF)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン等が挙げられる。また、上記環式のフッ素化された単量体としては、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)等が挙げられる。また、上記フッ素化アルキルビニルエーテルとしては、例えば、一般式CY7 2=CY8OR12又はCY7 2=CY8(OR13nOR12(Y7は同一若しくは異なってHまたはFであり、Y8はH又はFであり、R12は水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基または末端に官能基をもつアルキル基であり、R13は同一若しくは異なって、水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキレン基であり、nは0〜10の整数である)で表されるものが挙げられる。なお、上記フッ素化アルキルビニルエーテルとしては、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が好ましい。また、上記「フッ素非含有単量体」としては、上記TFEと共重合性を有するものであれば特に限定されず、例えば炭化水素系単量体等が挙げられる。上記炭化水素性単量体は、フッ素以外のハロゲン原子、酸素、窒素等の元素、各種置換基等を有するものであってもよい。上記炭化水素系単量体としては、例えば、アルケン類、アルキルビニルエーテル類、ビニルエステル類、アルキルアリルエーテル類、アルキルアリルエステル類等が挙げられる。
本発明に用いられるTFEは、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などの通常の重合法により製造することができる。重合時の温度、時間などの重合条件としては、モノマーの種類などを考慮して適宜決定すればよい。
乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルオロカーボン鎖または、フルオロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が好ましい。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)等の過硫酸塩や、ジコハク酸パーオキシド(DSP)、ジグルタル酸パーオキシド等の有機過酸化物を、単独で又はこれらの混合物の形で使用することができる。また、上記重合開始剤として、亜硫酸ナトリウム等の還元剤と共用し、レドックス系にしたものを用いてもよい。好ましくはカルボキシル基またはカルボキシル基を生成し得る基(例えば、酸フルオライド、酸クロライド、−CF2OHなどが挙げられる。これらはいずれも水の存在下、カルボキシル基を生ずる)を主鎖末端に存在させ得るものが好ましい。具体例としては、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)などが挙げられる。
また、分子量の調整に通常使用される連鎖移動剤を使用してもよい。そのような連鎖移動剤として作用する化合物は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、および水溶性有機化合物の少なくとも1つから成るものである。上記連鎖移動剤は、炭化水素から成りハロゲン化炭化水素を含まないもの、ハロゲン化炭化水素から成り炭化水素を含まないもの、および、炭化水素とフッ化炭化水素とから成るもののいずれであってもよく、また、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、および水溶性有機化合物は、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。上記連鎖移動剤としては、反応系内で分散性および均一性が良好である点で、メタン、エタン、ブタン、HFC−134a、HFC−32、メタノール、およびエタノールより成る群から選択される少なくとも1つから成るものであることが好ましい。
また、さらには、ヨウ素や臭素原子をもつ化合物を利用することにより、分子量分布が狭いものが得られ、分子量の調整が容易になる。そのようなヨウ素原子をもつ連鎖移動剤としては一般式(31)〜(39)で表される下記の化合物が一例として例示し得る。
I(CF2CF2nI (31)
ICH2CF2CF2(OCF(CF3)CF2mOCF(CF3)−Z3 (32)
ICH2CF2CF2(OCH2CF2CF2mOCH2CF2−Z3 (33)
I(CF2n3 (34)
I(CH2CF2n3 (35)
ICF2CF2OCF2CF(CF3)OCF2CF2−Z3 (36)
ICH2CF2CF2OCH2CF2−Z3 (37)
ICF2CF2OCF2CF2−Z3 (38)
ICF2CF2O(CF2nOCF2CF2−Z3 (39)
(式中、Z3はシアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)、アルコキシカルボニル基(−COOR14基、R14は炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基)であり、mは0〜5の整数であり、nは1以上の整数である)で示される化合物などを用いることができる。これらの中でも、架橋剤と反応可能な架橋部位を有する点から、一般式(32)〜(39)で示される連鎖移動剤が好ましい。
乳化重合で得られた重合反応混合物から重合生成物を単離する方法としては、酸処理により凝析する方法や、凍結乾燥または超音波などにより凝析する方法などが採用できるが、工程の簡略化の点から機械力により凝析する方法が好ましい。機械力により凝析する方法では、通常水性分散液が、10〜20重量%のポリマー濃度になるように希釈され、場合によってはpH調整された後、攪拌機付きの容器中で激しく攪拌される。また、インラインミキサー等を使用して連続的に凝析を行ってもよい。さらに、凝析前や凝析中に着色のための顔料や機械的性質を改良するための充填剤を添加すれば、顔料や充填剤が均一に混合されたPTFEファインパウダーを得ることができる。
凝析されたPTFEの乾燥は、湿潤粉末をあまり流動させない状態、好ましくは静置の状態を保ちながら、減圧や、高周波、熱風等の手段を用いて行う。粉末同士の、特に高温での摩擦は、一般にPTFEファインパウダーに好ましくない影響を与える。これは、この種のPTFE粒子が小さなせん断力でも簡単にフィブリル化して、元の安定な粒子構造の状態を失う性質を持っているからである。乾燥温度は10〜250℃好ましくは100〜200℃である。
本発明で用いるPTFEは、重合生成物を酸処理することにより、重合生成物に存在しているカルボン酸の金属塩やアンモニウム塩などの基をカルボキシル基に変換することができる。酸処理法としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸などにより洗浄するか、これらの酸で重合反応後の混合物の系をpH3以下にする方法が適当である。
また、ヨウ素や臭素を含有するPTFEを発煙硝酸により酸化してカルボキシル基を導入することもできる。
さらに、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基の導入方法としては、国際公開第00/05959号パンフレットに記載の方法も用いることができる。
〔架橋剤〕
本発明の実施の形態に係る架橋剤は、1または複数の上記反応性官能基と反応して環状構造を形成可能なものである。この架橋剤は、架橋反応可能な官能基のなかでも、1または複数の上記の反応性官能基と反応して複素環を形成することが好ましい。なお、この架橋剤としては、特にπ電子欠乏型複素環環化反応を引き起こすものが好ましい。そして、この場合、架橋反応中に、耐酸化性および耐薬品性などに優れたπ電子欠乏型複素環(アゾ―ル、トリアゾール、アジン、ジアジン、トリアジンなど)が形成される。これにより、従来にない強固な架橋構造を形成することができる。このような、π電子欠乏型複素環を形成する架橋反応としては、例えば、「新編へテロ環化合物 基礎編、応用編、山中ら、講談社サイエンテイフィック 2004」に記載の公知の反応が利用できる。最終的に形成される架橋構造としては、例えば、シアノ基を含有するPTFEとシアノ基を複数個含有する架橋剤とからトリアジン環化反応を経て形成される架橋構造、シアノ基を含有するPTFEとヒドラジン基を複数個含有する架橋剤とからトリアゾール環化反応を経て形成される架橋構造、酸ハライド基、カルボキシル基、あるいはアルコキシカルボニル基を含有するPTFEとグアニジンを複数個含有する架橋剤とからトリアゾール環化反応を経て形成される架橋構造、酸ハライド基、カルボキシル基、あるいはアルコキシカルボニル基を含有するPTFEとアミドラゾンを複数個含有する架橋剤とから成るトリアゾール環化による架橋構造などが挙げられる。この中でもとりわけ、1,2結合形成による閉環反応を利用した1,3アゾ―ルの環合成反応を架橋反応として利用することが好ましい。また、複素環を架橋点として導入することにより、PTFEの他材との密着性が向上するという効果もある。
そのような架橋剤としては、下記の一般式(1)で示される架橋性反応基を少なくとも2個含むビスジアミノフェニル系化合物、ビスアミノフェノール系化合物、およびビスアミノチオフェノール系化合物、ならびに一般式(2)で示されるビスアミドラゾン系化合物およびビスアミドキシム系化合物、一般式(3)で示されるビスアミドラゾン系化合物、一般式(4)で示されるビスアミドキシム系化合物より成る群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
(式中、R1は、同じかまたは異なり、−NH2、−NHR2、−OHまたは−SHであり、R2は、フッ素原子または1価の有機基である)
(式中、R3は、−SO2−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、又は単結合手であり、
(式中、Rf 1は炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基である)
(式中、nは1〜10の整数である)
一般式(1)で示される架橋性反応基を少なくとも2個有する化合物は、架橋性反応基を2〜3個有することが好ましく、より好ましくは2個有するものである。一般式(1)で示される架橋性反応基が2個未満であると、架橋することができない。
一般式(1)で示される架橋性反応基における置換基R2は、水素原子以外の1価の有機基またはフッ素原子である。N−R2結合は、N−H結合よりも耐酸化性が高いため好ましい。
1価の有機基としては、限定されるものではないが、脂肪族炭化水素基、フェニル基またはベンジル基が挙げられる。具体的には、例えば、R2の少なくとも1つが−CH3、−C25、−C37などの炭素数1〜10、特に1〜6の低級アルキル基;−CF3、−C25、−CH2F、−CH2CF3、−CH225などの炭素数1〜10、特に1〜6のフッ素原子含有低級アルキル基;フェニル基;ベンジル基;−C65、−CH265などのフッ素原子で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基;−C65-n(CF3n、−CH265-n(CF3n(nは1〜5の整数)などの、−CF3で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基などが挙げられる。
これらのうち、耐熱性が特に優れており、架橋反応性が良好であり、さらに合成が比較的容易である点から、フェニル基、−CH3が好ましい。
また、架橋剤としては、下記の一般式(5)で示される化合物が、合成が容易な点から好ましい。
(式中、R1は上記R1と同じ、R5は、−SO2−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、単結合手、または、
で示される基である)
炭素数1〜6のアルキレン基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができ、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基としては、
などが挙げられる。なお、これらの架橋剤は、特公平2−59177号公報、特開平8−120146号公報などで、ビスジアミノフェニル化合物の例示として知られているものである。
これらの中でもより好ましい架橋剤としては、一般式(6)で示される化合物である。
(式中、R6は、同一であるか又は相違し、いずれも水素原子、炭素数1〜10のアルキル基;フッ素原子を含有する炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基;ベンジル基;フッ素原子および/または−CF3で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基である)
なお、本実施の形態に係る架橋剤としては、上述したような、1,2結合形成による閉環反応を利用した1,3ベンゾアゾ―ルの環合成反応を架橋反応として利用できるものが特に好ましい。ベンゾアゾ―ルおよび芳香環が導入されることにより、PTFEの他材との密着性が向上するからである。
具体例としては、限定的ではないが、例えば、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−メチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−エチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−プロピルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−パーフルオロフェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−ベンジルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性が優れており、架橋反応性が特に良好である点から、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンがさらに好ましい。
これらのビスアミドキシム系架橋剤、ビスアミドラゾン系架橋剤、ビスアミノフェノール系架橋剤、ビスアミノチオフェノール系架橋剤、またはビスジアミノフェニル系架橋剤などは、本発明に用いられるPTFEが有するシアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、酸ハライド基と反応し、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環を形成し、PTFE架橋体を与える。
上記説明した架橋剤は、従来の強度、結晶性、および表面特性などを維持しており、かつ、異方性も不均一性もなく、かつ、従来のPTFE樹脂よりも変形しにくいPTFE架橋体を与えるものである。また、本実施の形態では、上述の架橋剤を採用することにより、PTFEと他材との密着性が向上するという効果もある。
架橋剤の添加量は、PTFE100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、0.03〜10重量部であることがより好ましい。架橋剤が、0.01重量部未満であると、実用上充分な機械的強度、耐熱性、耐薬品性が得られない傾向があり、20重量部を超えると、架橋に多大な時間がかかる上、PTFE架橋体が脆くなる傾向があるからである。また、架橋剤の添加量を調整することにより、PTFE成形体の物性を変化させることができる。例えば、上記PTFEに導入されている反応性官能基の全てと反応し得る量の架橋剤を添加してもよいし、上記PTFEに導入されている反応性官能基の全てと反応させることなく未架橋部位を残し他材との密着性改善など、官能基由来の効果を意図した量の架橋剤を添加するようにしてもよい。
〔架橋性PTFE組成物の調整方法〕
本発明に係る架橋性PTFE組成物は、上記各成分を、密閉式混合機などを用いて混合する等の乾式の混合方法により調製することができる。また、この架橋性PTFE組成物は、架橋剤を水もしくは有機溶媒に溶解もしくは分散させた液にPTFEを浸漬させる若しくは浸漬した後に溶液を攪拌する、または水もしくは有機溶媒に分散したPTFEディスパージョン液と架橋剤を混合して攪拌する等の湿式の混合方法により調製することも可能である。なお、湿式の混合手法を採用する場合には、さらに架橋剤とPTFEの接触性を高めるため、超音波振動を利用することが好ましい。また、重合後、一次粒子を保持したデイスパージョン溶液を攪拌しつつ、NMP、DMF、あるいはDMSOといった極性の高い有機溶媒に溶解させた架橋剤溶液を滴下することにより、架橋密度を向上させることができる。
〔PTFE架橋体粉末の調製方法〕
本発明に係るPTFE架橋体粉末は、適宜適切であると思われる条件下で処理されて得られる。例えば、オキサゾール架橋を行なう場合は、架橋性PTFE組成物あるいはPTFE架橋体粉末を空気循環炉に入れ、120〜320℃で1〜300分間保持することによってPTFE架橋体を得ることができる。また、イミダゾール架橋行なう場合は、比較的低い架橋温度(例えば、120〜280℃、好ましくは120〜250℃)で良好な物性をもつPTFE架橋体を得ることができる。なお、加熱温度は一定でなく、段階的に変化させるようにしてもよい。例えば、架橋剤の融点付近の温度で保持して架橋剤をPTFEに十分含浸させた後に昇温し架橋反応を行わせる手法なども考えられる。また、生成したPTFE架橋体粉末を100℃以上で一定時間保持することにより、内在する未反応の架橋剤や架橋反応時の副生物などの不純物を除去することができる。かかる場合、200℃以上で1時間以上保持することが好ましい。
〔成形体の調製方法〕
架橋性PTFE組成物あるいはPTFE架橋体粉末から成形体を得る方法は通常の方法でよく、例えば、圧縮成形法や、ラム押出成形法、ペースト押出成形法などの公知の方法が挙げられる。圧縮成形法により成形体を得る場合は、ホットコイニング法での成形も可能であるが、ホットコイニング法よりも生産性の高いフリーベーキング法での成形も可能である。上記架橋性PTFE組成物あるいはPTFE架橋体粉末を金型に充填し、2〜100MPa、好ましくは10〜70MPaの圧力で圧縮して予備成形体を得た後に、得られた予備成形体を空気循環炉中において融点〜420℃、好ましくは融点〜380℃の温度で10分間〜10日間、好ましくは30分〜5時間焼成すればよい。この際、昇温速度、冷却速度は、任意であってもかまわないが、10〜100℃/hrが好ましく、20〜60℃/hrがより好ましい。また、例えば、300℃までは昇温速度を高くし、300℃以上で昇温速度を低くし、300℃までは冷却速度を低くし、300℃以下で冷却速度を高めるといった段階的な温度調整方法を採用することもできる。
本発明に係る架橋性PTFE組成物を架橋成形することにより、本発明に係るPTFE成形体を得ることができる。本発明に係るPTFE成形体は、従来の強度、結晶性、および表面特性などを維持しており、かつ、異方性も不均一性もなく、かつ、従来のPTFE樹脂よりも変形しにくいものである。また、このPTFE成形体は、耐熱性や耐薬品性にも優れる。
本発明に係るPTFE架橋体は粉末あるいは成形体として利用可能である。粉末として利用される具体例としては、改質材が挙げられる。PTFE粉末を汎用樹脂、特にエンジニアリングプラスチックや、フッ素樹脂、フッ素ゴムに添加し、改質材として利用することは、特開昭60−110749号公報、特開昭62−72751号公報、特開2000−109668号公報、特開11−269350号公報、および特開10−9270号公報などの特許文献に開示されており公知であるが、本発明に係るPTFE架橋体粉末もまた適宜用途に合わせて改質材として用いることができる。PTFE架橋体を粉末で改質材として用いる場合、PTFEは低分子量であることが好ましい。
また、本発明に係るPTFE架橋体粉末を成形用樹脂・エラストマーなどの他の材料に分散あるいはブレンドすることにより、難燃性、非粘着性、摺動性、撥水撥油性、電気特性、耐汚染性、耐蝕性、耐候性、力学特性などを向上させることができる。なお、PTFE架橋体粉末の代わりに、架橋性PTFE組成物を他の材料に分散あるいはブレンドさせた後に、その分散物あるいはブレンド物を加熱してPTFEを架橋してもかまわない。
他の材料の具体例としては、限定的ではないが、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・エチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、およびポリスチレン樹脂などの汎用プラスチックや、ポリメチルペンテン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、スチレン・メチルメタアクリレート共重合体樹脂、アクリロニトリル・ブチレン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリレート・スチレン共重合体樹脂(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエンゴム・スチレン共重合体樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート共重合体樹脂(ASA樹脂)、シリコーン・アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂(SAS樹脂)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン樹脂、芳香族ポリエステルアミド樹脂、芳香族アゾメチン樹脂、ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびポリエーテルニトリル樹脂などのエンジニアリングプラスチックや、PTFE、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンーパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン系共重合体(FEP)、などのフッ素樹脂や、テトラフルオロエチレンーパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合エラストマー、ビニリデンフルオライドーヘキサフルオロプロピレン共重合エラストマー、ビニリデンフルオライドーテトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合エラストマーなどのフッ素ゴムが挙げられる。また、他の材料は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、およびジアリルフタレート樹脂などの硬化前の液や、溶液、固体粉末などであってもかまわない。かかる場合、硬化過程(例えば、熱硬化過程)を経て成形体を得ることができる。本発明に係るPTFE架橋体粉末を改質材として利用する場合、添加量としては相手材に対して1〜80wt%であることが好ましく、5〜50wt%であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、PTFE架橋体粉末あるいは架橋性PTFE組成物の分散対象あるいはブレンド対象となる樹脂としては、結晶融点またはガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂が好ましく挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステルアミド樹脂、芳香族アゾメチン樹脂、ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、およびポリエーテルニトリル樹脂などである。
これらの中でも好ましい樹脂は、(1)耐熱性が高いもの、つまりPTFE架橋体粉末とのブレンドの際、ブレンド物の熱安定性を低下させないことが必要であり また、熱可塑性樹脂自体の耐熱性が高いために、熱可塑性樹脂の耐衝撃性や耐薬品性を改良する目的で、一般的な改質剤、添加剤を用いると、ブレンド物の耐熱性が低下してしまうため、耐熱性の高い含フッ素樹脂の添加が望まれているような樹脂、(2)機械的強度および寸法安定性に優れているもので、フッ素樹脂のそれらの物性を改質できるもの、(3)成形性に優れたもので、含フッ素樹脂とのブレンド物に優れた加工性を与えうるもの等であり、例えば、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂などは本発明の好ましい対象として挙げられる。
さらに具体的には、一般的に耐熱性、耐薬品性を損なわずに耐衝撃性の改良が強く望まれているポリアリーレンサルファイド樹脂や、自動車部品用材料として使用される際に耐溶剤性、特に耐ガソホール性などの改良が望まれているポリアミド樹脂、添加によりフッ素樹脂の成形性および機械的物性の向上が期待できる芳香族ポリエステル樹脂、その中でも特に高弾性率で成形加工性や寸法安定性に優れているため、フッ素樹脂との相溶性を向上させることにより、フッ素樹脂の機械的物性、成形性、寸法安定性、荷重たわみ温度の大巾なる向上を期待できる異方性溶融相を形成する液晶ポリエステル樹脂が特に好ましい対象として挙げることができる。
一方、本発明のPTFE架橋体粉末と熱可塑性樹脂との親和性を考慮した場合、ポリフェニレンサイファイド樹脂はチオレート基(またはチオール基)を、ポリアミド樹脂はアミノ基およびカルボキシ基ならびにアミド結合を、芳香族ポリエステル樹脂はヒドロキシ基およびカルボキシル基ならびにエステル結合を含んでいるため、本発明のPTFE架橋体粉末中の官能基との親和性が高く、その意味でも好ましい対象と言える。
なお、本発明に係るPTFE架橋体粉末の表面には官能基が露出していると考えられるため、その官能基が熱可塑性樹脂の主鎖や末端の一部分と反応すること、その官能基と熱可塑性樹脂の官能基の一部分が化学反応を起こしその反応生成物が未反応物を含むブレンド物の相溶性改質剤として作用すること、熱可塑性樹脂との間で界面親和性や界面接着性が現れること等が想定される。なお、PTFE架橋体粉末が架橋性PTFE組成物である場合は、さらにこの傾向が強まることが想定される。
以上のようにPTFE架橋体粉末と熱可塑性樹脂とのブレンドにより互いに良好な分散性がえられるメカニズムは明瞭ではないが、このことにより本発明が限定されるものではない。
本発明に係るPTFE架橋体粉末との親和性あるいは反応性を高めるため、熱可塑性樹脂を常法に従って変性することも本発明から排除されるものではない。また、本発明の樹脂ブレンド物には、PTFE架橋体粉末および熱可塑性樹脂以外の樹脂成分が含まれていてもかまわない。
PTFE架橋体粉末のブレンド対象となるポリフェニレンスルフィド樹脂としては、特公昭45−3368号公報に記載されているような公知の方法により得られたものであれば特に制限はないが、下式(40):
で示される繰り返し単位を70モル%以上含むものが好ましい。さらに、繰り返し単位としてp−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上含有するポリフェニレンスルフィド樹脂が特に好ましい。この際、残りの繰り返し単位としては共重合可能な単位であれば制限はなく、例えばo−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、ジフェニルスルフィドエーテル単位、ジフェニルスルフィドスルホン単位、ジフェニルスルフィドケトン単位、ビフェニルスルフィド単位、ナフタレンスルフィド単位、3官能フェニレンスルフィド単位などが挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合されていてもランダム共重合されていてもよい。
好ましいポリフェニレンスルフィド樹脂の具体例としては、ポリ(p−フェニレンスルフィド)樹脂、ポリ(p−フェニレンスルフィド)−ポリ(m−フェニレンスルフィド)ブロック共重合体樹脂、ポリ(p−フェニレンスルフィド)−ポリスルホンブロック共重合体樹脂、ポリ(p−フェニレンスルフィド)−ポリフェニレンスルフィドスルホン共重合体樹脂などが挙げられる。
また、直鎖状のものであっても、酸素共存下酸素架橋させたものであっても、また不活性ガス雰囲気下、加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。
また、本発明に係るPTFE架橋体粉末との相溶性をさらに高めるために反応性の高い官能基をポリフェニレンスルフィド樹脂中に導入してもよい。導入される官能基としては、アミノ基、カルボン酸基、水酸基などが適当であり、その導入方法としてはこれら官能基を含有するハロゲン化芳香族化合物を共重合する方法やポリフェニレンスルフィド樹脂と官能基を含有する低分子量化合物との高分子反応により導入する方法などが挙げられる。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄など)を行なうことによりナトリウムイオンを低減させたものであってもよい。
上記のようにして得られたポリフェニレンサルファイド樹脂とPTFE架橋体粉末から成る樹脂ブレンド物は単に官能基を含まない含フッ素樹脂をブレンドしただけでは得られないような優れた機械的特性、特に耐衝撃性を成形体に与えることができる。
また含フッ素樹脂が本来有する耐熱性、耐薬品性、摺動性、ポリフェニレンスルフィド樹脂が本来有する耐熱性、機械特性を兼ね供えることができるため、この樹脂ブレンド物は、耐熱性、電気特性を利用した電気・電子部品、摺動性を利用した自動車用部品、耐薬品性を利用した化学プラント用パイプ、バルブポンプ用ギヤ部品などの成形材料としてとくに有用である。
ところで、ポリアミド樹脂は、高強度、高靭性、加工性、耐油性に優れており、ホース、チューブ、パイプ等に広く応用されている。しかし、ポリアミド樹脂は、アルコール系の溶剤に対して弱く特に低級アルコールを含むガソリンを用いた場合の耐ガソホール性に劣り、体積膨潤や燃料透過が大きくなり強度低下などの材料劣化を起こすため、この点について改善が求められている。さらには、摩耗係数の低下も求められている。
しかし、本発明に係るPTFE架橋体粉末をこのポリアミド樹脂とブレンドすることにより、また、官能基を有しないフッ素樹脂とポリアミド樹脂とのブレンド物に本発明に係るPTFE架橋体粉末あるいは架橋性PTFE組成物を添加することによりポリアミド樹脂の耐溶剤性、耐ガソホール性を改良した樹脂を得ることができる。
ポリアミド樹脂は、通常下記式:
2N−(CH2p”−NH2
(式中、p″は3〜12の整数)により示される線状ジアミンと下記式:
HO2C−(CH2q”−CO2
(式中、q″は2〜12の整数)により示される線状カルボン酸との縮合により製造されたものや、ラクタムの開環重合により製造されたものが使用できる。これらのポリアミド樹脂の好ましい例としては、ナイロ6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン4,6、ナイロン3,4、ナイロン6,9、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン4等が挙げられる。また、ナイロン6/6,10、ナイロン6/6,12、ナイロン6/4,6、ナイロン6/12、ナイロン6/6,6、ナイロン6/6,6/6,10、ナイロン6/4,6/6,6、ナイロン6/6,6/6,12、ナイロン6/4,6/6,10、ナイロン6/4,6/12等の共重合ポリアミド類も使用可能である。
さらにナイロン6/6,T(Tはテレフタル酸成分)、テレフタル酸、イソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸とメタキシレンジアミンまたは脂環族ジアミンから得られる半芳香族ポリアミド類、メタキシレンジアミンと線状カルボン酸から得られるポリアミド類を挙げることができる。
上記のようなPTFE架橋体粉末とポリアミド樹脂とから成る樹脂ブレンド物または官能基を含まないフッ素樹脂とポリアミド樹脂とのブレンド物にPTFE架橋体粉末を添加した樹脂ブレンド物は、単に官能基を含まないフッ素樹脂をブレンドしただけでは得られないような、耐薬品性、低温耐衝撃性、機械的特性を成形品に与えることができ、特にアルコール(例えばメタノール、エタノールなど)メチル−t−ブチルエーテルなどを含む改質ガソリン、酸などに対する優れた耐薬品性、不透過性を有する材料として有用であり、成形体、例えば、ホース、チューブ、パイプ、シール、ガスケット、パッキング、シート、フィルム等に有用である。また、特にガソリン、メタノール混合ガソリンに対する耐薬品性や不透過性を要求される自動車部品、例えば、燃料配管ホース、チューブ、ガスケットなどに有用な材料となり得る。
従来の含フッ素樹脂に代えて本発明に係るPTFE架橋体粉末と、耐熱性熱可塑性樹脂、その中でも特に芳香族ポリエステル樹脂またはポリカーボネート樹脂とをブレンドすることにより、また従来の含フッ素樹脂と芳香族ポリエステル樹脂またはポリカーボネート樹脂をブレンドする際、PTFE架橋体粉末を添加することによりフッ素樹脂単体がもつ機械的特性、荷重たわみ温度、寸法安定性を改良した樹脂ブレンド物を得ることができる。
ところで、ポリカーボネートは、その機械的強度、耐衝撃性、および耐候性などの特徴のため自動車あるいは建築分野に利用が広まっているが、耐薬品性、特に耐アルカリ性や耐溶剤性に劣る欠点を有する。
ポリアミド樹脂の耐薬品性の改良と同様の方法でポリカーボネート樹脂に本発明に係るPTFE架橋体粉末のうち、ヒドロキシ基を有するPTFE架橋体粉末をブレンドすることにより機械的物性を著しく低下させずに耐薬品性をより効果的に改良した樹脂ブレンド物を得ることができる。
本発明に係る樹脂ブレンド物において用いる芳香族ポリエステル樹脂としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4‘−ビフェニルジカルボン酸などの二塩基酸とエチングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどの2価アルコールとの縮合物(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、ポリ[2,2−プロパンビス(4−フェニルテレ/イソフタレート)]樹脂など)および異方性溶融相を形成する芳香族ポリエステル(液晶コポリエステル)等が挙げられる。
また、本発明に係る樹脂ブレンド物において用いられるポリカーボネート樹脂はビスフェノール化合物とホスゲンまたは炭酸ジエステルとの反応により得られるものである。ビスフェノール化合物としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと略す)が特に好ましいが、ビスフェノールAの一部または全部を他のビスフェノール化合物で置換してもよい。ビスフェノールA以外のビスフェノール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、またはこれらのアルキル置換体、アリール置換体、ハロゲン置換体などが挙げられる。
なお、これらの中でも、液晶ポリエステルは、それ自体の配向性により強度、弾性率などの機械的特性、荷重たわみ温度などの熱的性質、寸法安定性などに最も優れた性能を有し、溶融時には高流動性を示す。さらに、液晶ポリエステルは、その他の樹脂と溶融ブレンドすることにより樹脂ブレンド物中で配向し、樹脂ブレンド物に上記と同様な優れた特性を与えることができ、フッ素樹脂の機械的特性、荷重たわみ温度、寸法安定性、成形性の改良組成物や、熱可塑性エラストマー組成物を得るための最も好ましい対象となり得る。本発明に用いる液晶ポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸の1種または2種以上、芳香族ジオール、脂環式ジオール、脂肪族ジオールの1種または2種以上、芳香族ヒドロキシカルボン酸の1種または2種以上から選ばれた成分で構成される液晶コポリエステルが挙げられる。代表的な組合せとしては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸、ビフェニルジオール、テレフタル酸を主成分とするもの(例えば、住友化学工業(株)製のエコノールE2000、E6000、E7000、日本石油化学(株)製のXydar RC/FC400,300、ポリプラスチックス(株)製のベクトラCシリーズ、上野製薬(株)製のUENO LCP2000、出光石油化学(株)製の出光LCP300)、パラヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシナフトエ酸を主成分とするもの(例えば、アイ・シー・アイ・ジャパン(株)製のVICTREX SRP、上野製薬(株)製のUENO LCP1000、ポリプラスチックス(株)製のベクトラAシリーズ、三菱化成(株)製のノバキュレートE324、出光石油化学(株)製の出光LCP300、ユニチカ(株)製のロッドランLC−5000)、パラヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、脂肪族ジオールを主成分とするもの(例えば、三菱化成(株)製のノバキュレートE310、出光石油化学(株)製の出光LCP100、ユニチカ(株)製のロッドランLC−3000、イーストマンコダック(株)製のX7G)等が挙げられる。
上記のようにして得られた芳香族ポリエステル樹脂またはポリカーボネート樹脂を含む樹脂ブレンド物のうち上記の含フッ素樹脂の機械的特性、荷重たわみ温度、寸法安定性および成形性を改良した樹脂ブレンド物は、それに加えて含フッ素樹脂本来の優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性を合わせ持ち、その結果、寸法安定性、耐熱性、電気特性を必要とする電気、電子部品、例えば、コネクター、チップ、キャリヤ、ソケット、プリント配線基板、電線被覆材、耐薬品性を必要とする半導体関連品、特に成形性、強度不足でフッ素樹脂単体では困難であった大型ウエハーバスケット、またはバルブ、ケミカルポンプ部品、耐熱性、摺動性などを必要とする機械関係、例えば自動車用燃料廻りの部品、ギヤ、軸受けなどに特に有用な材料となり得る。また、このような樹脂ブレンド物は、当然熱可塑性エラストマーとしての射出成形などによる成形性、リサイクル性をももっている。
したがって、本発明に係る樹脂ブレンド物は、チューブ、薬栓、ガスケット、注射器などの医療・生化学分野、チューブ、Oリング、シール材などの半導体工業分野、耐熱電線被覆材、シール材などの電気・電子分野、ホース、シール材などの食品工業分野、燃料系ホース、チューブ、ガスケット、等速ショインドブーツ、ラックアンドピニオンブーツ等の自動車関連分野、耐圧ホース、ダイヤフラム、パッキング、ガスケット、ホース等の化学工業分野、シーリング材などの建材分野などの用途に有用な材料である。
さらに、本発明に係る樹脂ブレンド物は、その効果を損なわない範囲において、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、グラファイトウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、マグネシウムウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、アルミナウィスカー、炭化珪素ウィスカー、窒化珪素ウィスカー、ウォラスナイト、ゾノライト、セピオライト、石膏繊維、スラグ繊維などの繊維状の強化剤、カーボン粉末、グラファイト粉末、炭酸カルシウム粉末、タルク、マイカ、クレイ、ガラスビーズ等の無機充填剤、ポリイミド樹脂などの耐熱性樹脂、さらに二硫化モリブデンのような固体潤滑剤やその他の着色剤、難燃剤など通常使用される無機または有機の充填剤を含んでいてもよく、その配合量は組成物全体の通常1〜30重量%である。このとき、本発明に係る樹脂ブレンド物に含まれる未反応の官能基が存在することによってこれらの充填効果が一層向上する場合もあり得る。
また、本発明に係る架橋性PTFE組成物やPTFE架橋体粉末を単独で用いることにより、従来のPTFEを用いた成形体よりも、力学特性、摺動性、耐熱性、および耐候性に優れたPTFE成形体を容易に得ることができる。そして、このようなPTFE成形体は、パッキン、ガスケット、チューブ、ライニング、コーティング、絶縁テープ、軸受け、エアドームの屋根膜、気体・液体分離膜、セパレータ、担持膜などの広い用途に利用することができる。成形体の形状としては、特に限定されないが、チューブ、フィルム、シート、繊維、多孔膜などの形状が挙げられる。当該形状への成形方法としては、公知の手法を用いることができる。具体的には、架橋性PTFE組成物を成形した後にPTFEを架橋するという方法や、PTFE架橋体粉末そのものを成形するという方法などが挙げられるが、これらの方法は状況に応じて適宜選択することができる。例えば、繊維に成形する場合であれば、架橋性PTFE組成物の成形体を延伸し繊維状に成形した後に架橋処理してもよいし、架橋処理済みのPTFE成形体を延伸し繊維化してもよい。また、他材をライニング・コーティングする材料として本架橋性PTFE組成物を用いる場合であれば、未架橋PTFEデイスパージョンを塗布した後に架橋するという方法や、架橋処理済みのPTFEデイスパージョンを塗布するという方法、架橋性PTFE組成物をライニング・コーティングした後に架橋するという方法、架橋処理済みのPTFE成形体を用いてライニング・コーティングするという方法などを採用することができる。ただし、一般的には、未架橋体を成形した後に架橋することが好ましい。
本発明において、特に高純度かつ非汚染性が要求されない分野では、必要に応じてPTFE成形体に配合される通常の添加物、例えば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤などを配合することができ、上記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋助剤を1種またはそれ以上配合してもよい。
本発明に係る架橋性PTFE組成物は、必要に応じて、架橋処理後にさらに別の処理が加えられてもよい。架橋処理後のPTFEにさらに処理を加えることにより、特定の性能を向上させる手法は数多く紹介されているが、本発明に係るPTFE架橋体についても適宜公知の諸手法を利用することによりその性能を向上させることができる。例えば、本発明のPTFE架橋体に親水性を付与したい場合であれば、(1)PTFE架橋体に、放射線や、レーザー、電子線、プラズマ、コロナ放電などを照射したり、(2)PTFE架橋体を電気化学的に、あるいはLi金属/ナフタレン錯体により還元したり、(3)PTFE架橋体に界面活性剤を添加したり、(4)PTFE架橋体にポリビニルアルコールやポリエチレングリコールなどの親水性高分子を含浸させたり、(5)PTFE架橋体に金属酸化物を付着させたり、(6)PTFE架橋体に無機粉末を混合充填したりすればよい。
以下に、本発明について実際に行われた例を述べる。
〔実施例〕
(1)反応性官能基を有するPTFEの製造方法
(合成例1)
内容量6Lの撹拌機付きステンレススチール製反応器に、3560gの脱イオン水、94gのパラフィンワックス及び5.4gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム分散剤を入れた。次いで反応器の内容物を70℃まで加熱しながら吸引すると同時にTFE単量体でパージして反応器内の酸素を除いた。その後、0.17gのエタンガスと16.6gのパーフルオロブテン酸(PFBA)とを反応器に加え、内容物を280rpmで攪拌した。反応器中にTFE単量体を0.73MPaの圧力となるまで加えた。20gの脱イオン水に溶解した0.36gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を反応器に注入し、反応器を0.83MPaの圧力にした。開始剤の注入後に圧力の低下が起こり重合の開始が観測された。TFE単量体を反応器に加えて圧力を保ち、約1.1KgのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた。その後に、反応器を排気し、内容物を反応器から取り出して冷却した。上澄みのパラフィンワックスをPTFE水性分散液から取り除いた。
得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は23.7重量%であり、平均一次粒子径は0.22μmであった。なお、この平均一次粒子径は、固形分0.15重量%に調製されたPTFE水性分散液が注入された所定のセルに550nmの光を入射したときの透過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向径を測定して算出した数平均一次粒子径との相関関係を求めた後に、得られた試料について測定した上記の透過率を上記の相関関係に当てはめることにより求めた(検量線法)。
得られたPTFE水性分散液を脱イオン水で固形分濃度が約15重量%となるように希釈し、高速撹拌条件下で凝固させた。凝固した粉末を145℃で18時間乾燥した。このときのPTFE粉末のPFBA変性量は0.28mol%であった。なお、変性量は、プローブ直径:4.0mm、測定時回転数:13〜15KHz、測定雰囲気:窒素、測定温度:150℃の測定条件を採用した19F?MASNMR(BRUKER社製)測定法により、TFE由来のピークと変性剤由来のピーク(PFBAの場合は−179〜−190ppmのピーク、CBVEおよびCNVEの場合は−77〜−88ppmのピーク)とを検出し、それらのピークの面積比から求めた。
(合成例2)
合成例1におけるPFBAの量を6.6gとした以外は合成例1と同様に重合を行った。
このとき得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は23.8重量%であり、平均一次粒子径は0.20μmであった。また、このときのPTFE粉末のPFBA変性量は0.14mol%であった。
(合成例3)
合成例1におけるPFBAの量を6.6gとし、エタンの量を3.0mlとした以外は合成例1と同様に重合を行った。
このとき得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は23.7重量%であり、平均一次粒子径は0.23μmであった。また、このときのPTFE粉末のPFBA変性量は0.12mol%であった。
なお、本合成例では、連鎖移動剤としてのエタンの添加量が合成例1および2のそれよりも少ないため、本合成例で得られるPTFEは合成例1および2で得られるPTFEの分子量よりも大きいものになる。ちなみに、このことはASTM D 4895−89に準拠して作製されたサンプルを用いて水中置換法により測定した標準比重〔SSG〕により確認されている。
(合成例4)
合成例1におけるPFBAの量を1.7gとし、エタンの量を3.0mlとした以外は合成例1と同様に重合を行った。
このとき得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は23.2重量%であり、平均一次粒子径は0.20μmであった。また、このときのPTFE粉末のPFBA変性量は0.03mol%であった。
(合成例5)
内容量6Lの撹拌機付きステンレススチール製反応器に、3380gの脱イオン水を入れた。次いで反応器の内容物を70℃まで加熱しながら吸引すると同時にTFE単量体でパージして反応器内の酸素を除いた。その後、0.51gのエタンガスと6.6gのPFBAとを反応器に加え、内容物を700rpmで攪拌した。反応器中にTFE単量体を0.73MPaの圧力となるまで加えた。20gの脱イオン水に溶解した0.68gのAPS開始剤を反応器に注入し、反応器を0.83MPaの圧力にした。開始剤の注入後に圧力の低下が起こり重合の開始が観測された。TFE単量体を反応器に加えて圧力を保ち、約0.8KgのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた。そして、反応器を排気し室温まで冷却した後、得られたPTFE粉末を脱イオン水で洗浄した上で濾別した。
得られたPTFE粉末を145℃で18時間乾燥した。このときのPTFE粉末のPFBA変性量は0.20mol%であった。
(合成例6)
合成例5における6.6gのPFBAを15.2gのCBVEとした以外は合成例5と同様に重合を行った。
このとき得られたPTFE粉末を145℃で18時間乾燥した。また、このときのPTFE粉末のCBVE変性量は0.45mol%であった。
(合成例7)
合成例5における6.6gのPFBAを15.2gのCBVEとし、APS開始剤の量を0.07gとし、エタンを用いなかった以外は合成例5と同様に重合を行った。
このとき得られたPTFE粉末を粗く粉砕した後に145℃で18時間乾燥した。その後、微粉砕機で平均粒径が10〜150μmになるまで粉砕して、成形用のPTFE粉末を得た。このときのPTFE粉末のCBVE変性量は0.35mol%であった。
(合成例8)
合成例1における16.6gのPFBAを14.6gのパーフルオロ[3−(1―メチルー2−ビニルオキシーエトキシ)プロピオニトリル](以下、CNVEと略する)とした以外は合成例1と同様に重合を行った。
このとき得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は23.1重量%であり、平均一次粒子径は0.17μmであった。また、このときのPTFE粉末のCNVE変性量は0.14mol%であった
(合成例9)
合成例1における16.6gのPFBAを15.7gのパーフルオロ[3−(1―メチルー2−ビニルオキシーエトキシ)プロピオン酸メチル](以下、RVEEと略する)、エタンガスの量0.17gを0.07gとした以外は合成例1と同様に重合を行った。
このとき得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は23.5重量%であり、平均一次粒子径は0.18μmであった。また、このときのPTFE粉末のRVEE変性量は0.25mol%であった。
(2)架橋性PTFE組成物、PTFE架橋体粉末、およびPTFE成形体の調製、ならびに物性測定
合成例1で得られた100gのPTFE粉末と0.12gの2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下、BDHFと略する)とを200gのTHF溶媒中で混合し、室温下でよく攪拌した。THF溶媒を30℃で減圧下7時間静置することにより取り除き、架橋性PTFE組成物を調製した。
得られた架橋性PTFE組成物を空気循環炉に入れ、220℃で2時間加熱処理した後ゆっくり室温まで冷却してPTFE架橋体粉末を得た。
(耐摩耗性の測定)
42gのPTFE架橋体粉末を直径32mmの円筒形の金型に室温で充填した。次に徐々に加圧し19.6MPaで5分間保持した後、金型から取り出して予備成形体を得た。この予備成形体を200℃の空気循環炉に入れ、25℃/時間の昇温速度で380℃まで加熱して1時間焼結した後、60℃/時間の冷却速度で200℃まで冷却して炉内から取り出し室温までゆっくりと冷却した。得られた成形体から、外径25.6mm、内径20.0mm、高さ15.0mmの摺動試験片を削り出した。
オリエンテック(株)社製EFM−III―Fを使用し、相手材はSUS304製を用い、圧力0.4MPa、速度1m/sec、試験時間7時間の条件下で摩擦摩耗試験を行い、摩擦係数および比摩耗量を調べた。結果は表1に記載する。
(耐クリープ性の測定)
15gのPTFE架橋体粉末を直径29.0mmの円筒形の金型に室温で充填した。次に徐々に加圧し14.0MPaで2分間保持した後、金型から取り出して予備成形体を得た。この予備成形体を、290℃の空気循環炉に入れ、120℃/時間の昇温速度で380℃まで加熱して30分間焼結した後、60℃/時間の冷却速度で294℃まで冷却し、294℃で24分間保持した後、炉内から取り出して室温までゆっくりと冷却した。得られた成形体から、直径11.0mm、高さ10.0mmの円筒状の圧縮クリープ試験片を削り出した。
ASTM D621−64に準拠し、得られた試験片の室温(23±2℃)における圧縮クリープを調べた。圧力13.7MPaで24時間加重した後の変形量を全変形とした。次に荷重を開放して24時間経過した後の変形率を永久歪みとした。結果は表1に記載する。
(引張試験)
12gのPTFE架橋体粉末を直径29.0mmの円筒形の金型に室温で充填した。次に徐々に加圧し14.0MPaで2分間保持した後、金型から取り出して予備成形体を得た。この予備成形体を、290℃の空気循環炉に入れ、120℃/時間の昇温速度で380℃まで加熱して30分間焼結した後、60℃/時間の冷却速度で294℃まで冷却し、294℃で24分間保持した後、炉内から取り出して室温までゆっくりと冷却した。得られた成形体を厚み0.5mmのフィルム状に切削加工した後、空気循環炉中380℃で5分間アニ−ル処理を行い、60℃/時間の冷却速度で250℃まで冷却し5分間保持した後炉内から取り出し、室温まで冷却した。得られたフィルムからASTM D 4895−94に記載のミクロダンベルを打ち抜き、引張試験片とした。
引張試験は(株)島津製作所社製オートグラフAG−300kNIを用いて、引張速度50mm/分で行い、降伏点強度および弾性率を求めた。結果は表1に記載する。
(接着性試験)
PTFE架橋体粉末を圧縮成形してシート状にした後、そのシート状の成形体を2枚のアルミ箔にはさみ、350℃に設定したプレス機にセットし、3MPaで10分間加圧した。得られた積層体を幅1cmに切断し、T字剥離試験を行った。結果は表1に記載する。
実施例1におけるBDHFの量を0.24gとして架橋性PTFE組成物を調製した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表1に記載する。
実施例1におけるBDHFの量を0.48gとして架橋性PTFE組成物を調製した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表1に記載する。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例2で得られたものに代えた以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表2に記載する。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例2で得られたものに代え、さらにBDHFの量を0.24gとして架橋性PTFE組成物を調製した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表2に記載する。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例2で得られたものに代え、さらにBDHFの量を0.48gとして架橋性PTFE組成物を調製した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表2に記載する。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例3で得られたものに代え、さらにBDHFの量を0.24gとして架橋性PTFE組成物を調製した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表3に記載する。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例4で得られたものに代え、さらにBDHFの量を0.24gとして架橋性PTFE組成物を調製した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製し、試験を行った。結果は表3に記載する。
(3)PTFEと架橋性PTFE組成物と混合成形体の調製および物性測定
ダイキン工業社製PTFE粉末(F−104)100重量部に対し、実施例2で得られたPTFE架橋体粉末4.7重量部を加え、ロッキングミキサーにより十分に混合させた後、実施例1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表4に記載する。
ダイキン工業社製PTFE粉末(F−104)100重量部に対し、実施例2で得られたPTFE架橋体粉末25.0重量部を加え、ロッキングミキサーにより十分に混合させた後、実施例1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表4に記載する。
ダイキン工業社製PTFE粉末(F−104)100重量部に対し、実施例2で得られたPTFE架橋体粉末42.9重量部を加え、ロッキングミキサーにより十分に混合させた後、実施例1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表4に記載する。
(比較例1)
実施例1におけるPTFE架橋体粉末をダイキン工業社製PTFE粉末(F−104)に代えた以外は実施例1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表5に記載する。
(比較例2)
実施例1におけるPTFE架橋体粉末をダイキン工業社製PTFE粉末(F−104)に代え、実施例1と同様に各測定用の試験片を作製した後、その試験片に真空下で100kGyのガンマ線を照射した。その後、実施例1と同様に試験を行った。結果は表5に記載する。
(比較例3)
実施例1におけるPTFE架橋体粉末をダイキン工業社製PTFE粉末(F−104)に代え、実施例1と同様に各測定用の試験片を作製した後、その試験片に真空下で1000kGyのガンマ線を照射した。その後、実施例1と同様に試験を行った。結果は表5に記載する。
実施例3で得られたPTFE架橋体粉末210gを直径50mmの金型に充填し、成形圧力が29.4MPaになるまで徐々に圧力を加え、さらに5分間その圧力を保持し予備成形体を作製した。得られた予備成形体を金型から取り出して電気炉に入れ、50℃/hrの昇温速度で室温から300℃まで昇温し、続いて25℃/hrの昇温速度で340℃まで昇温した。340℃で5時間保持した後、25℃/hrの降温速度で300℃まで冷却し、続いて50℃/hrの降温速度で冷却した。得られた成形体から実施例1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表6に記載する。
ダイキン工業社製PTFE粉末(M−111)100重量部に対し、実施例3で得られたPTFE架橋体粉末100重量部を加え、カッターミキサー(愛工舎製作所社製 K−55型)を用いて3000回転/分で1分間十分に混合した。得られた混合粉末210gを直径50mmの金型に充填し、成形圧力が29.4MPaになるまで徐々に圧力を加え、さらに5分間その圧力を保持し予備成形体を作製した。得られた予備成形体を金型から取り出して電気炉に入れ、50℃/hrの昇温速度で室温から300℃まで昇温し、続いて25℃/hrの昇温速度で365℃まで昇温した。365℃で5時間保持した後、25℃/hrの降温速度で300℃まで冷却し、続いて50℃/hrの降温速度で冷却した。得られた成形体から実施例1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表6に記載する。
ダイキン工業社製PTFE粉末(M−111)100重量部に対し、実施例3で得られたPTFE架橋体粉末400重量部を加えたこと以外は実施例13と同様に行った。得られた成形体から実施例1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表6に記載する。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例5で得られたものに代え、さらにBDHFの量を0.35gとして架橋性PTFE組成物を調製した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製した。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例6で得られたものに代え、さらにBDHFの量を0.80gとして架橋性PTFE組成物を調製した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製した。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例7で得られたものに代え、さらにBDHFの量を0.62gとして架橋性PTFE組成物を調製した後、実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製した。
(比較例4)
ダイキン工業社製PTFE粉末(M−111)210gを直径50mmの金型に充填し、成形圧力が29.4MPaになるまで徐々に圧力を加え、さらに5分間その圧力を保持し予備成形体を作製した。得られた予備成形体を金型から取り出して電気炉に入れ、50℃/hrの昇温速度で室温から365℃まで昇温した。そして、365℃で5時間保持した後、50℃/hrの降温速度で冷却した。得られた成形体から実施例1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表6に記載する。
実施例3で得られた架橋性PTFE組成物500gをカッターミキサー(愛工舎製作所社製K−55型)を用いて3000回転/分の回転速度で1分間十分に粉砕した後、目開き300ミクロンのメッシュを用いて篩い、篩上に残った粉末を除去して架橋性PTFE組成物を調製した。
そして、得られた架橋性PTFE組成物210gを直径50mmの金型に充填し、成形圧力が29.4MPaになるまで徐々に圧力を加え、さらに5分間その圧力を保持し予備成形体を作製した。その後、得られた予備成形体を金型から取り出して電気炉に入れ、50℃/hrの昇温速度で室温から220℃まで昇温した。次いで、220℃で2時間保持した後、50℃/hrの昇温速度で300℃まで昇温し、続いて、25℃/hrの昇温速度で365℃まで昇温した。そして、365℃で5時間保持した後、25℃/hrの降温速度で300℃まで冷却し、引き続いて50℃/hrの降温速度で冷却した。得られた成形体から実施例1と同様に各測定用の試験片を作製し、試験を行った。結果は表7に記載する。
実施例18における成形圧力を49.0MPaとした以外は実施例18と同様に予備成形体を作製し、試験を行った。結果は表7に記載する。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例8で得られたものに代え、さらにBDHFの量を0.25gとして架橋性PTFE組成物を調製した後、実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製した。
実施例1におけるPTFE粉末を合成例9で得られたものに代え、さらにBDHFの量を0.44gとして架橋性PTFE組成物を調製した後、実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製した。
実施例1における0.12gのBDHFを0.72gの6,6−ジアニリノー3,3−[2,2,2−トリフルオロー1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ジアニリンとして架橋性PTFE組成物を調整した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製した。
実施例1における0.12gのBDHFを0.50gの2,2−ビス(3−アミノー4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンとして架橋性PTFE組成物を調整した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製した。
実施例1における0.12gのBDHFを0.30gの3,3´−ジアミノベンジジンとして架橋性PTFE組成物を調整した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製した。
実施例1における0.12gのBDHFを0.26gの2,3,6,7―テトラアミノナフタレンして架橋性PTFE組成物を調整した以外は実施例1と同様にPTFE架橋体粉末を調製した。
55.0gのポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製 パンライトL−1125WP)を280℃に設定した内容積60cmのブラベンダーミキサー(東洋精機株式会社製 ラボプラストミル)に投入し、回転数50rpmで5分間溶融させたのち実施例3で得られた6.0gの架橋性PTFE組成物を加え、回転数50rpmで10分間混錬して樹脂ブレンド組成物を得た。
実施例における55.0gのポリカーボネート樹脂を57.0gのナイロン66(旭化成株式会社製 レオナ1300S)とした以外は実施例26と同様に混錬して樹脂ブレンド組成物を得た。
実施例における55.0gのポリカーボネート樹脂を72.0gの液晶ポリエステル(ポリプラスチックス株式会社製 べクトラA130)に代え、さらに架橋性PTFE組成物6.0gを7.9gとし、280℃から320℃に設定温度を代えた以外は実施例26と同様に混錬して樹脂ブレンド組成物を得た
実施例における55.0gのポリカーボネート樹脂を77.0gのフッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製 ネオフロンEFEP RP―5000)に代え、さらに架橋性PTFE組成物6.0gを8.5gとした以外は実施例26と同様に混錬して樹脂ブレンド組成物を得た。
実施例における55.0gのポリカーボネート樹脂を93.0gのテトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(ダイキン工業株式会社製 ネオフロンFEP NP−30)に代え、さらに架橋性PTFE組成物6.0gを10.3gとし、280℃から300℃に設定温度を代えた以外は実施例26と同様に混錬して樹脂ブレンド組成物を得た。
実施例における55.0gのポリカーボネート樹脂を93.0gのテトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(ダイキン工業株式会社製 ネオフロンPFA AP−231)に代え、さらに架橋性PTFE組成物6.0gを10.3gとし、280℃から320℃に設定温度を代えたこと以外は実施例26と同様に混錬して樹脂ブレンド組成物を得た。
実施例における55.0gのポリカーボネート樹脂を92.0gのポリクロロトリフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製 ネオフロンPCTFE M−300)に代え、さらに架橋性PTFE組成物6.0gを10.3gとし、280℃から320℃に設定温度を代えた以外は実施例26と同様に混錬して樹脂ブレンド組成物を得た。
実施例における55.0gのポリカーボネート樹脂を82.0gのテトラフルオロエチレンーエチレン共重合体(ダイキン工業株式会社製 ネオフロンETFE EP−610)に代え、さらに架橋性PTFE組成物6.0gを9.1gとした以外は実施例26と同様に混錬して樹脂ブレンド組成物を得た。
表1〜5から明らかなように、本発明に係るPTFE成形体は、従来の表面特性を維持している。また、本発明に係るPTFE成形体は、従来のPTFE樹脂と比べると、引張弾性率やクリープ特性が向上しており、変形しにくくなっていることが窺える。
なお、表5には電離性放射線で架橋処理されたポリテトラフルオロエチレンの諸物性も併せて記載されているが(比較例2および3参照)、電離性放射線による架橋処理方法は、高価な専用装置が必要であるという問題、大面積や粉末を均一に架橋することができないという問題、また、架橋処理される部分が表面に偏るという問題を抱えており、必ずしも好ましい架橋処理方法であるとは言えない。
また、表6および表7から明らかなように、本発明に係るPTFE架橋体粉末は、未改質のPTFEの改質剤として有効に作用することが窺える。
本発明に係る架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物は従来の強度、結晶性、および表面特性などを維持しており、かつ、異方性も不均一性もなく、かつ、従来のPTFE樹脂よりも変形しにくいポリテトラフルオロエチレン樹脂を提供することができ、その架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物を架橋して得られるポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末は改質材などとして有用であり、ポリテトラフルオロエチレン成形体は摺動材などとして有用である。

Claims (13)

  1. シアノ基(−CN)、カルボキシル基(−COOH)、アルコキシカルボニル基(−COOR(Rは1価の有機基)、および酸ハライド基(―COX(Xはハロゲン原子))より成る群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を、主鎖および側鎖末端の少なくとも一方に有するポリテトラフルオロエチレンと、
    1または複数の前記反応性官能基と反応して環状構造を形成可能である架橋剤と、
    を含有する、架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物。
  2. 前記架橋剤は、アミドキシム系架橋剤、アミドラゾン系架橋剤、アミノフェノール系架橋剤、アミノチオフェノール系架橋剤、およびアミノフェニル系架橋剤より成る群から選択される少なくとも1種の架橋剤である、
    請求項1に記載の架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物。
  3. 前記架橋剤は、一般式(1):

    (式中、R1は、同一であるか又は相違し、−NH2、−NHR2、−OH、又は−SHであり、R2は、フッ素原子または1価の有機基である)で示される架橋性反応基を少なくとも2個含む化合物、一般式(2):

    (式中、R3は、−SO2−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、又は単結合手であり、

    で示される化合物、一般式(3):

    (式中、Rf 1は、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基である)で示される化合物、および一般式(4):
    (式中、nは1〜10の整数である)で示される化合物より成る群から選択される少なくとも1種の化合物である、
    請求項2に記載の架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物。
  4. 前記架橋剤は、一般式(5):

    (式中、R1は、前記R1と同一であり、R5は、−SO2−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、単結合手、または、又は

    で示される基である)で示される化合物である、
    請求項3に記載の架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物を架橋反応させて得られる、ポリテトラフルオロエチレン成形体。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物を架橋反応させて得られる、ポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末。
  7. 請求項6に記載のポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末を成形して成る、ポリテトラフルオロエチレン成形体。
  8. 請求項1から4のいずれかに記載の架橋性ポリテトラフルオロエチレン組成物と、
    樹脂または樹脂前駆体と、
    を含有する、樹脂ブレンド組成物。
  9. 前記樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンより成る群から選択される少なくとも1つのフッ素樹脂である、請求項8に記載の樹脂ブレンド組成物。
  10. 請求項8または9に記載の樹脂ブレンド組成物を成形して成る、樹脂ブレンド成形体。
  11. 請求項6に記載のポリテトラフルオロエチレン架橋体粉末と、
    樹脂または樹脂前駆体と、
    を含有する、樹脂ブレンド組成物。
  12. 前記樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンより成る群から選択される少なくとも1つのフッ素樹脂である、請求項11に記載の樹脂ブレンド組成物。
  13. 請求項11または12に記載の樹脂ブレンド組成物を成形して成る、樹脂ブレンド成形体。
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