JPWO2006118261A1 - α−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体およびその製造方法 - Google Patents

α−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、エチレンを含むα−オレフィンモノマーから導かれる構成単位(A)、環状オレフィンモノマーから導かれる構成単位(B)およびポリエンモノマーから導かれる構成単位(C)を含み、非晶性であるかまたは結晶融解熱が90kJ/kg未満であることを特徴としている。本発明によれば、側鎖に二重結合を導入した環状オレフィン系共重合体であるα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体およびその効率的な製造方法を提供することができる。本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、架橋反応用に利用でき、ポリマーの強度や耐熱性向上が期待できる。また、変性を行うことで共重合体に官能基を導入できるため、極性基含有ポリオレフィンを製造するための原料として利用することもできる。

Description

本発明は、二重結合を含有する、α−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体およびその製造方法に関する。詳しくは、本発明は、二重結合を含有し、エチレンから導かれる構成単位を含有する、α−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体およびその製造方法に関する。
α−オレフィンと特定の環状オレフィンとを共重合させて得られる環状オレフィン系共重合体は、光-学特性、機械特性、熱特性等に優れ、しかもこれらのバランスが良いため、例えば光学メモリディスク、光学ファイバー、光学フィルム等の光学材料として有望である。しかしながら、その構造が飽和炭化水素であることから化学的な修飾が困難である。上記環状オレフィン系共重合体にさらなる機能を付与するためには、主鎖に反応性の高い二重結合を導入することが望まれている。これにより例えば、二重結合部位を架橋してポリマー強度を向上させることができ、さらにポリマー鎖中の二重結合部をエポキシ化等の変性することで極性基を導入することが可能になり、様々な機能を付与したポリオレフィン系材料の開発が期待される。
一方、環状オレフィン系共重合体は、従来バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成されるバナジウム系触媒存在下に、α−オレフィンと特定の環状オレフィンとを共重合させることで製造されているが、このようなバナジウム系触媒は重合活性が低く、環状オレフィン系共重合体を高収率で得ることは困難である。また、得られる環状オレフィン系共重合体は分子量分布が広く、組成分布も不均一である。
環状オレフィンに対する重合活性に優れた触媒としては、メタロセンとアルミノキサンとからなる触媒が、特開昭61-221206号公報(特許文献1)、特開平5-9223号公報(特許文献2)、特開平5-320258号公報(特許文献3)、特開平8-3230号公報(特許文献4)等に示されている。これらのジルコニウム化合物とアルミノキサンから成る触媒を用いると、得られる重合体の分子量分布が狭く、バナジウム系触媒で得られる重合体よりも均一な組成分布を有する重合体を生成するものの、環状オレフィンの取り込み効率が悪く、目的の環状オレフィン共重合体を得るためには環状オレフィンを多量に仕込まなければならないという問題点があった。また、触媒コストが高いという問題もあった。
さらに、上記のバナジウム系触媒又はメタロセン系触媒を用いて、例えば鎖状オレフィン/環状オレフィン/5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)の3元共重合を行うことによって、ポリマーにビニル基の導入を試みた場合、環状オレフィン部のみならずビニル基部分も一部重合が進行してしまう。その結果、重合に関与しないフリーなビニル基を、ポリマーに効率よく導入することはできず、分子量分布が広がる、ゲル化が生じる等、ポリマー物性にも悪影響を及ぼすという問題があった。
また、特開平7-082323号公報には、0.01〜3.5モル%の二重結合を含有するエチレン系不飽和共重合体が開示されているが、実質的に融点が120℃以上の結晶性ポリマーであり、透明性などの光学特性が劣るため、本発明の意図するものではない。
特開昭61-221206号公報 特開平5-9223号公報 特開平5-320258号公報 特開平8-3230号公報
本発明は、反応性の高い二重結合を含有する環状オレフィン系共重合体及び、該共重合体の効率的な製造方法を提供することを課題としており、具体的には、α−オレフィンと、環状オレフィンと、ポリエンとの共重合体であって、ポリエンに由来する共重合に関与しない二重結合を多く保持する共重合体およびその製造方法を提供することを課題としている。
本発明者は、環状オレフィン部の重合反応性に優れる一方で、ポリエンが有するビニル基等の二重結合部分の重合反応性は低いという選択性を持つ重合系を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の重合条件下において、このような重合反応が進行し、その結果として、新規な二重結合含有環状オレフィン系共重合体を見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、下記構成単位(A)、構成単位(B)および構成単位(C)を含み、非晶性であるかまたは結晶融解熱が90kJ/kg未満であることを特徴としている。
(A)一般式(I)中のR300が水素である構成単位を含有する、一般式(I)で表される少なくとも一種の構成単位、
(B)一般式(II)で表される構成単位、一般式(III)で表される構成単位および一般式(IV)で表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位、
(C)一般式(V)で表される構成単位、一般式(VI)で表される構成単位および一般式(VII)で表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位、
Figure 2006118261
〔式(I)中、R300は水素原子又は炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。〕、
Figure 2006118261
〔式(II)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕、
Figure 2006118261
〔式(III)中、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕、
Figure 2006118261
〔式(IV)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。〕、
Figure 2006118261
〔式(V)中、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。〕、
Figure 2006118261
〔式(VI)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75〜R76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕、
Figure 2006118261
〔式(VII)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75〜R76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕。
このような本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が3以下であることが好ましい。
また、α−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上であることが好ましい。
さらに、本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、構成単位(A)、構成単位(B)および構成単位(C)の合計に対する構成単位(C)の割合が、0.1〜25モル%であることが好ましい。
本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体の製造方法は、
(K)下記一般式(VIII)で表される遷移金属化合物と、
(M)(m-1)有機金属化合物、
(m-2)有機アルミニウムオキシ化合物、
(m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物と
からなる触媒の存在下に、α−オレフィンと、環状オレフィンと、ポリエンとを共重合し、請求項1〜4のいずれかに記載の共重合体を製造することを特徴としている。
Figure 2006118261
〔式(VIII)中、Mは3族から11族の遷移金属を表す。mは、1〜4の整数を示し、R1〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合には、一つの配位子に含まれるR1〜R6うちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基とが連結されていてもよく(但し、R1同士が結合されることはない)、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。〕。
このような本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体の製造方法では、共重合したポリエンの、二重結合残存率が90モル%以上であることが好ましい。
本発明によれば、側鎖に二重結合を導入した環状オレフィン系共重合体であるα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体およびその効率的な製造方法を提供することができる。
本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、側鎖に二重結合を有するため、架橋反応用に利用でき、ポリマーの強度や耐熱性向上が期待できる。また、エポキシ化、カルボキシル化、アミノ化、ヒドロシリル化等の変性や、極性モノマーでグラフト変性を行うことで、α−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体に官能基を導入することが可能となり、極性基含有ポリオレフィンを製造するための原料として利用することもできる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、エチレンを含有するα−オレフィンと、環状オレフィンと、ポリエンとをモノマーとし、これらを共重合して得られる。
α−オレフィンモノマー
本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体の共重合原料であるα−オレフィンモノマーとしては、エチレンを単独で、または、エチレンと炭素原子数3〜31のα−オレフィンを組み合わせて用いることができる。すなわち、本発明において共重合モノマーとして使用可能なα−オレフィンは、下記式(1a)で表されるα−オレフィンの1種以上であって、少なくともエチレンを含む。
Figure 2006118261
式(Ia)中、R300は水素原子又は炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
式(1a)で表されるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、4、4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラドデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン及び1-エイコセンなどを挙げることができる。これらのα−オレフィンは、エチレンのみで、または、エチレンと一種類以上のR300が炭素原子数1〜29のα−オレフィンとを組み合わせて用いることが可能である。エチレン以外のα−オレフィンとしては、式(Ia)中のR300が炭素原子数1〜8のα−オレフィンが好ましく、α−オレフィンモノマーとして特に好ましくは、エチレン単独、またはエチレンとプロピレンとを併用したモノマーが挙げられる。
環状オレフィンモノマー
本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体の共重合原料である環状オレフィンモノマーとしては、付加共重合して前記式(II)、(III)または(IV)のいずれかの構成単位を形成するものをいずれも用いることができる。具体的には、前記式(II)、(III)、(IV)に対応する下記式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンモノマーが好適に用いられる。
Figure 2006118261
(式(IIa)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
Figure 2006118261
(式(IIIa)中、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)
Figure 2006118261
(式(IVa)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)
まずは前記式(IIa)で表される環状オレフィンについて説明する。
式(IIa)中において、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、上記炭素原子数1〜20のアルキル基に1個または複数のハロゲン原子が置換した基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロヘキシルなどが挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル、ナフチルなどが挙げられる。
さらに上記一般式(IIa)において、R75とR76とが、R77とR78とが、R75とR77とが、R76とR78とが、R75とR78とが、またはR76とR77とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の基を形成していてもよい。多環の基を形成している場合には、単環の場合よりも少ない含有量で高いTgの共重合体を得られるので耐熱性の面から好ましい。また、少ない環状オレフィン仕込み量で製造できる利点がある。ここで形成される単環または多環としては、たとえば以下のようなものが挙げられる。
Figure 2006118261
なお上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、上記一般式(IIa)においてそれぞれR75(R76)またはR77(R78)が結合している炭素原子を表す。
次に前記式(IIIa)で表される環状オレフィンについて説明する。
式(IIIa)中において、ハロゲン原子は、式(IIa)と同様、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、アリール基、アラルキル基などが挙げられ、具体的には、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、フェニルエチルなどが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどの基が挙げられる。
ここで、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接または炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R89とR93とが、または、R90とR91とが互いに共同して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
さらに、y=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。具体的には、y=z=0のとき、R95とR92とにより形成される以下のような芳香族環が挙げられる。多環の基を形成している場合には、単環の場合よりも少ない含有量で高いTgの共重合体を得られるので耐熱性の面から好ましく、少ない環状オレフィン仕込み量で製造できる利点がある。ここで形成される単環または多環としては、たとえば以下のようなものが挙げられる。
Figure 2006118261
(ここで、lは上記一般式(IIIa)におけるdと同じである。)
次に前記式(IVa)で表される環状オレフィンについて説明する。
式(IVa)において、炭素原子数1〜5の炭化水素基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはシクロアルキル基を挙げることができる。
上記のような一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンとしては、具体的には、トリシクロ-3-デセン誘導体、トリシクロ-3-ウンデセン誘導体、テトラシクロ-3-ドデセン誘導体、ペンタシクロ-4-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ-3-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ-4-ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ-3-ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ-4-ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ-5-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-4-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ-5-ドコセン誘導体、ノナシクロ-5-ペンタコセン誘導体、ノナシクロ-6-ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン誘導体などが挙げられる。
以下に、上記一式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状オレフィンの具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
さらにこれらの環状オレフィンは一種類単体でも、またはこれらの複数の混合物も用いることが可能である。
Figure 2006118261
Figure 2006118261
Figure 2006118261
Figure 2006118261
Figure 2006118261
ポリエンモノマー
本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体の共重合原料であるポリエンとしては、環状または鎖状の種々のポリエン化合物、好ましくはジエン化合物が好適に使用できる。このようなポリエンとしては、付加共重合して前記式(V)、(VI)または(VII)で表される構成単位を形成するものをいずれも用いることができる。具体的には、前記式(V)、(VI)、(VII)に対応する下記式(Va)、(VIa)または(VIIa)で表されるポリエンが好適に用いられる。
Figure 2006118261
(式(Va)中、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。)
Figure 2006118261
(式(Via)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75〜R76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
Figure 2006118261
(式(VIIa)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75〜R76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
一般式(Va)で表される直鎖状ポリエンとしては、具体的には、例えば1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、DMDT、1,3-ブタジエン、1,5-ヘキサジエンなどが挙げられる。また、1,3-ブタジエン、1,5-ヘキサジエンなどのポリエンから環化した環化性のポリエンを用いてもよい。
一般式(VIa)で表される環状ポリエンとしては、具体的には、例えば5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-n-プロピリデン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-6-メチル-2-ノルボルネン、8-エチリデン-9-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンなどが挙げられる。このうち、5-エチリデン-2-ノルボルネンが好ましい。
一般式(VIIa)で表される環状ポリエンとしては、特に限定されるものではないが、たとえば以下に示す環状ポリエンを挙げることができる。本発明では、一般式(VIIa)で表される環状ポリエンとして、5-ビニル-2-ノルボルネン、8-ビニル-9-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンを好ましく用いることができ、さらに5-ビニル-2-ノルボルネンが特に好ましく用いることができる。
Figure 2006118261
Figure 2006118261
本発明において、これらのポリエンは、一種単独で用いてもよく、またこれらの二種以上を組み合わせて用いてもよい。
α−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体
本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、上述したα−オレフィンモノマー、環状オレフィンモノマーおよびポリエンモノマーを共重合することにより好適に製造することができるものであって、下記構成単位(A)、(B)および(C)を含む。なお、構成単位(A)は上述したα−オレフィンモノマーから、構成単位(B)は上述した環状オレフィンモノマーから、構成単位(C)は上述したポリエンモノマーから、それぞれ付加共重合により好適に導かれる。
・構成単位(A)
構成単位(A)は、一般式(I)中のR300が水素である構成単位を含有する、一般式(I)で表される少なくとも一種の構成単位である。
Figure 2006118261
(式(I)中、R300は水素原子又は炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)
・構成単位(B)
構成単位(B)は、一般式(II)で表される構成単位、一般式(III)で表される構成単位および一般式(IV)で表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位である。
Figure 2006118261
(式(II)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
Figure 2006118261
(式(III)中、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)、
Figure 2006118261
(式(IV)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)。
・構成単位(C)
構成単位(C)は、一般式(V)で表される構成単位、一般式(VI)で表される構成単位および一般式(VII)で表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位である。
Figure 2006118261
(式(V)中、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。)、
Figure 2006118261
(式(VI)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75〜R76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
Figure 2006118261
(式(VII)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75〜R76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、エチレンから導かれる構成単位を含有する。また、本発明の共重合体は、構成単位(C)を含有することにより、側鎖、すなわち共重合の主鎖以外の部分に二重結合を有する。
本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、目的とする用途に合わせて、モノマーの仕込み比によりそのコモノマー含有量、及び、ガラス転移温度(Tg)をコントロールできる。得られる共重合体の耐熱性を考慮した場合、Tgが70℃以上、好ましくは100℃以上、さらに130℃以上であることが好ましい。
また本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、透明性などの光学的特性を損なわないために、非晶性(結晶融解熱(ΔH)が0)であるかまたは結晶融解熱(ΔH)が90kJ/kg未満、好ましくは0(非晶性)〜80kJ/kg、さらに0(非晶性)〜60kJ/kgであることが好ましい。
さらに、本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、ポリエンモノマーに由来する構成単位のうち、90モル%以上、100モル%以下、好ましくは95〜100モル%が、上記構成単位(C)としてポリマー中に存在する。すなわち、ポリエンモノマー中の共重合部位以外の二重結合の90モル%以上、100モル%以下、好ましくは95〜100モル%が、通常重合終了後に残存している。
本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、構造単位(A)、構造単位(B)、および構造単位(C)を、モル比(A)/((B)+(C))で表して99/1〜1/99、好ましくは90/10〜40/60、さらに好ましくは85/15〜50/50の割合で含有していることが望ましい。また、(C)/((A)+(B))のモル比は0.1/99.9〜25/75、好ましくは0.5/99.5〜15/85、さらに好ましくは1/99〜10/90の割合であることが好ましい。さらに、(C)/((A)+(B)+(C))のモル比は0.1/100〜25/100が好ましい。
本発明に係る共重合体の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、触媒、助触媒、H2添加等、重合温度の重合条件等により制御可能であり、好ましくは、0.02〜15dl/gの範囲とすることができる。
また、本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体は、分子量分布の狭い共重合体とすることができ、好ましくは分子量分布(Mw/Mn)が3以下、より好ましくは2.7以下、さらに好ましくは2.3以下とすることができる。
共重合触媒
本発明に係るα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体を製造する際に用いることのできる、好適な共重合触媒としては、
(K)下記一般式(VIII)で表される遷移金属化合物と、
(M)(m-1)有機金属化合物、
(m-2)有機アルミニウムオキシ化合物、
(m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物と
からなる触媒を挙げることができる。
Figure 2006118261
(式(VIII)中、Mは3族から11族の遷移金属を表す。mは、1〜4の整数を示し、R1〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合には、一つの配位子に含まれるR1〜R6うちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基とが連結されていてもよく(但し、R1同士が結合されることはない)、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)。
(K)遷移金属化合物
本発明に係る共重合体を製造する際に好適に用いられる共重合触媒を構成する(K)遷移金属化合物は、上記式(VIII)で表される化合物である。
上記式(VIII)中、Mは周期律表第3から11族の遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは3から6族の金属原子であり、より好ましくは4族または5族の金属である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、コバルト、鉄、ルテニウム等が挙げられるが、好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムであり、特に好ましくは、チタンである。mは1から4の整数を示すが、好ましくは1または2、さらに好ましくは2である。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
これらのうち、特に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましい。特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
次に上記で説明したR1〜R5の例について、より具体的に説明する。
アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などが挙げられる。
アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基などが挙げられる。
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、p-メトキシベンゾイル基などが挙げられる。
エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p-クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられる。
アミド基として具体的には、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基などが挙げられる。
イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられる。
アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられる。
スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられる。
スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
1〜R5は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
またR6はフェニル基に直接結合した炭素が1級,2級および3級炭素である脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基および芳香族基であり、R6として好ましい脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状(2級)のアルキル基;脂環族炭化水素基としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、2,6-ジメチルシクロヘキシル、2,4,6-トリメチルシクロヘキシル、3,5-ジメチルシクロヘキシル、2,3,4,5,6ペンタメチルシクロヘキシル、2,2-ジメチルシクロヘキシル、2,2,6,6-テトラメチルシクロヘキシル、3,5-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;芳香族基としてはフェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基または炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。
本発明では、R6としては特に、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状(2級)のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基であることも好ましい。
また、mが2以上の場合には、一つの配位子に含まれるR1〜R6うちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基とが連結されていてもよい(但し、R1同士が結合されることはない)。さらに、mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。これらのうちでは、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられる。
酸素含有基としては、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イオウ含有基としては、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
窒素含有基として具体的には、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ケイ素含有基として具体的には、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記R1〜R6で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
スズ含有基として具体的には、前記R1〜R5で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
本発明では、このような(K)遷移金属化合物として、上記式(VIII)で表される遷移金属化合物のうち、下記一般式(IX)で表される遷移金属化合物を用いると、さらに望ましい特性を有する共重合体を製造することが可能となるため好ましい。
Figure 2006118261
(式(IX)中、mは、1〜4の整数を示し、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、R6は、フェニル基に結合した炭素が1級、2級、または3級炭素である脂肪族炭化水素基、フェニル基に結合した炭素が1級、2級、または3級炭素である脂環族炭化水素基および芳香族基から選ばれ、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合には、一つの配位子に含まれるR1〜R6うちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基とが連結されていてもよく(但し、R1同士が結合されることはない)、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
以下に、本発明で共重合触媒の成分として好適に用いられる(K)遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006118261
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なお、上記例示中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、n-Prはノルマルプロピル基を、i-Prはイソプロピル基を、n-Buはノルマルブチル基を、i-Buはイソブチル基を、t-Buはターシャリーブチル基を、Phはフェニル基を示す。
このような遷移金属化合物(K)の製造方法は、特に限定されることなく、たとえば以下のようにして製造することができる。
まず、遷移金属化合物(K)を構成する配位子は、サリチルアルデヒド類化合物を、式R1-NH2第1級アミン類化合物(R1は前記と同義である。)、例えばアルキルアミン類化合物と反応させることにより得られる。具体的には、両方の出発化合物を溶媒に溶解する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもメタノール、エタノール等のアルコール溶媒、またはトルエン等の炭化水素溶媒が好ましい。次いで、室温から還流条件で、約1〜48時間攪拌すると、対応する配位子が良好な収率で得られる。配位子化合物を合成する際、触媒として、蟻酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒を用いてもよい。また、脱水剤として、モレキュラーシーブス、無水硫酸マグネシウムまたは無水硫酸ナトリウムを用いたり、ディーンスタークにより脱水しながら行うと、反応進行に効果的である。
次に、こうして得られた配位子を遷移金属M含有化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、合成した配位子を溶媒に溶解し、必要に応じて塩基と接触させてフェノキサイド塩を調製した後、金属ハロゲン化物、金属アルキル化物等の金属化合物と低温で混合し、-78℃から室温、もしくは還流条件下で、約1〜48時間攪拌する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の極性溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒などが好ましく使用される。また、フェノキサイド塩を調製する際に使用する塩基としては、n-ブチルリチウム等のリチウム塩、水素化ナトリウム等のナトリウム塩等の金属塩や、トリエチルアミン、ピリジン等を例示することができるが、この限りではない。
また、化合物の性質によっては、フェノキサイド塩調製を経由せず、配位子と金属化合物とを直接反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することもできる。さらに、合成した遷移金属化合物中の金属Mを、常法により別の遷移金属と交換することも可能である。また、例えばR1〜R6の一つ以上が水素である場合には、合成の任意の段階において、水素以外の置換基を導入することができる。
また、遷移金属化合物を単離せず、配位子と金属化合物との反応溶液をそのまま重合に用いることもできる。
触媒成分(M)
上述した(K)遷移金属化合物とともに好適に用いられる触媒成分(M)は、(m-1)有機金属化合物、(m-2)有機アルミニウムオキシ化合物、(m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(m-1)有機金属化合物
本発明で好適に用いられる(m-1)有機金属化合物としては、具体的には下記のような周期表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(m-1a) 一般式 Ra mAl(ORb)npq
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
(m-1b) 一般式 M2 AlRa 4
(式中、M2 はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(m-1c) 一般式 Rab3
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
前記(m-1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。
一般式 Ra mAl(ORb)3-m
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlX3-m
(式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlH3-m
(式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAl(ORbnq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
(m-1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ tert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルブチルアルミニウム、トリ2-メチルペンチルアルミニウム、トリ3-メチルペンチルアルミニウム、トリ4-メチルペンチルアルミニウム、トリ2-メチルヘキシルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;(i-C49)xAly(C510)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
また(m-1a)に類似する化合物も使用することができ、たとえば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2などを挙げることができる。
前記(m-1b)に属する化合物としては、
LiAl(C25)4、LiAl(C715)4などを挙げることができる。またその他にも、(m-1) 有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを使用することもできる。
このような(m-1) 有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。上記のような(m-1) 有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
(m-2)有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で用いられる(m-2) 有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記(1)〜(3)のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(m-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 2006118261
(上記式で表されるボロン化合物中、R7は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
前記式で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(X)で表されるアルキルボロン酸と、
7-B(OH)2 …(X)
(式中、R7は前記と同じ基を示す。)
有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
前記一般式(X)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n-プロピルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n-ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5-ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(m-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記のような (m-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
(m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物
本発明で用いられる遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(m-3) (以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP-5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(XI)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006118261
式(XI)中において、R9+はH+またはカチオンであり、R10〜R13は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
9+としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素などが挙げられる。
N,N-ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N-ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(XII)または(XIII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
Figure 2006118261
(式(XII)中、Etはエチル基を示す。)
Figure 2006118261
(式(XIII)中、Etはエチル基を示す。)
ボラン化合物として具体的には、たとえば
デカボラン;ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
カルボラン化合物として具体的には、たとえば
4-カルバノナボラン、1,3-ジカルバノナボラン、6,9-ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド-1-フェニル-1,3-ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド-1-メチル-1,3-ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド-1,3-ジメチル-1,3-ジカルバノナボラン、7,8-ジカルバウンデカボラン、2,7-ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド-11-メチル-2,7-ジカルバウンデカボラン、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-トリメチルシリル-1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムブロモ-1-カルバドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム7-カルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム7,8-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム2,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムドデカハイドライド-8-メチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-エチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-ブチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-アリル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-9-トリメチルシリル-7,8-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-4,6-ジブロモ-7-カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等との有機塩が使用できるが、この限りではない。
上記のような (m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物(イオン化イオン性化合物)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明では、遷移金属化合物(K)を触媒成分とする場合、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(m-2)とを併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(K)と、(m-1) 有機金属化合物、(m-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(m-3) 遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物(イオン化イオン性化合物)から選ばれる少なくとも1種の化合物(M)とともに、必要に応じて後述するような担体(N)を用いることもできる。
担体(N)
本発明で用いることのできる担体(N)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25 、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支ない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
無機塩化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機塩化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
本発明で用いられる粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO4)2・H2O、α-Zr(HPO4)2、α-Zr(KPO4)2・3H2O、α-Ti(HPO4)2、α-Ti(HAsO4)2・H2O、α-Sn(HPO4)2・H2O、γ―Zr(HPO4)2、γ-Ti(HPO4)2、γ-Ti(NH4PO4)2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜30000Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl、ZrClなどの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH3)6]+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基等)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
重合の際における各触媒成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1) 成分(K)を単独で重合器に添加する方法。
(2) 成分(K)をおよび成分(M)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3) 成分(K)を担体(N)に担持した触媒成分、成分(M)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4) 成分(M)を担体(N)に担持した触媒成分、成分(K)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5) 成分(K)と成分(M)とを担体(N)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(2) 〜(5) の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
成分(M)が担体(N)に担持されている上記(4)(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(M)を、任意の順序で添加してもよい。この場合成分(M)は同一でも異なっていてもよい。
また、上記の成分(N)に成分(K)が担持された固体触媒成分、成分(N)に成分(K)および成分(M)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
本発明に係る共重合体の製造方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、上述したα−オレフィンモノマー、環状オレフィンモノマー、およびポリエンモノマーを共重合することにより、本発明のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体を得ることができる。
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(K)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
成分(m-1)は、成分(m-1)と、成分(K)中の全遷移金属原子(Metal)とのモル比〔(m-1)/Metal〕が通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。成分(m-2)は、成分(m-2)中のアルミニウム原子と、成分(K)中の全遷移金属(Metal)とのモル比〔(m-2)/Metal〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。成分(m-3)は、成分(m-3)と、成分(K)中の遷移金属原子(Metal)とのモル比〔(m-3)/Metal〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常-50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られる共重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する成分(M)の量により調節することもできる。上記に記載の触媒系を用いて得られる共重合体中の環状オレフィン+環状ポリエンに由来する構造単位は、そのモノマー仕込み比により、全構造単位中、1〜99mol%、好ましくは10〜50mol%の範囲において自由にコントロールできる。さらにこの時、上記の触媒系は高い環状オレフィン及び環状ポリエン転化率を示す。
また、ポリエンとしてビニル基含有環状オレフィンを用いた場合において、そのポリエンに由来する構造単位の含量が全体の0.1〜30mol%の範囲で、ビニル基を重合することなく環状オレフィン部のみを反応させることができる。
上記に記載の触媒系を用いて得られる共重合体中の分子量に関しては、上記の触媒系の成分を選択、及び重合条件を選択することにより任意に制御可能である。
上記に記載の触媒系を用いて得られる共重合体の分子量分布に関しては、上記の触媒系の成分を選択及び重合条件を選択することにより、Mw/Mnが3以下、好ましくは2.7以下、さらに好ましくは2.3以下の狭分子量分布ポリマーを合成することができる。
上記に記載の触媒系を用いて得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)関しては、上記の触媒系の成分を選択、および重合条件を選択することにより、Tgが70℃以上、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上の高Tgポリマーを合成することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ポリマーの分析方法>
(1)分子量、分子量分布
得られたポリマーの分子量、分子量分布は以下のような条件でGPC測定を行った。
装置:GPC Alliance2000 (Waters社)
カラム:TSKgel GMH6-HT × 2 + TSKgel GMH6-HTL×2 (計30cm×4本、東ソー社)
検出器:示差屈折計、測定溶媒:o-ジクロロベンゼン、測定流量:1mL/min、
測定温度:140℃、試料注入量:500μL、
標準試料:単分散ポリスチレン×16(東ソー社)
(2)得られたポリマー中のモノマー組成比
13C-NMRにより環状オレフィン含有量を測定した。
装置:日本電子製 EX400、周波数:100.4MHz
(3)極限粘度[η]
共重合体の極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定した。
(4)ガラス転移温度Tg
得られたポリマーのガラス転移温度(Tg)は、以下の条件でDSC測定を行って求めた。
装置:島津製作所 DSC-60
測定条件:300℃で5分間ホールドした試料を0℃まで急冷し、その後昇温速度 20℃/minで250℃まで昇温する過程においてTgを求めた。
(5)二重結合残存率の測定
ガスクロマトグラフィーを用いた内部標準法(内部標準:デカン)により、液状モノマーのポリマー転化率を求めた。消費された液状モノマーが全てコポリマー中に取り込まれたと仮定して、ポリマー収量から引き去ることにより、コポリマー中のエチレン等のガス状モノマーの組成を算出した。得られたコポリマーの組成から計算される二重結合の含量と、実際に1H NMRにより測定した二重結合含量との差から二重結合残存率を以下の式により計算した。
二重結合残存率=100×[1H−NMRにより測定した二重結合含量]/[コポリマー組成より算出した二重結合含量]
(6)結晶融解熱(ΔH)(kJ/kg)の測定:
示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。
示差走査熱量計(島津製作所 DSC-60)により、アルミパンに入れたサンプルを窒素雰囲気下、300℃で加熱融解し、0℃まで冷却した後、速度20℃/分で昇温し、結晶融解熱を測定した。
[実施例1]
十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにシクロヘキサン235mLを装入し、液相及び気相を50L/hの流量のエチレンで飽和させた。その後、このオートクレーブにメチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で1.25mmol、5mlのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(TD)、2.5mlの5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、引き続き、遷移金属化合物(1)を0.002mmol加え、重合を開始した。エチレンガス雰囲気下25℃常圧で10分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することで重合を停止した。重合終了後、反応物を5mLの濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(それぞれ500ml)混合溶媒に投入してポリマーを全量析出し、撹拌後グラスフィルターでろ過した。ポリマーを130℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TD/VNB共重合体を0.618g得た(活性:1854kg/molh)。GPCによる分子量及び分子量分布測定の結果は、Mw;47.6万、Mw/Mn;2.48であった。13C−NMRによるコモノマー含量分析の結果、エチレン;65mol%、TD;21mol%、VNB:13mol%であった。([η]及びTgは下記の表1に記載)。なお、得られたポリマーの結晶融解熱(ΔH)は0kJ/kgであり、ポリマーは非晶性であった。
Figure 2006118261
[実施例2〜6]
VNB仕込み量、遷移金属化合物(1)仕込み量、及び、H2流量を変更した以外は、実施例1と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーの結晶融解熱(ΔH)は0kJ/kgであり、ポリマーは非晶性であった。結果を下記の表1に示す。
Figure 2006118261
[実施例7]
十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブにシクロヘキサン245mlを加え、液相および気相を50L/hの流量のエチレンで飽和させた。その後、このオートクレーブにメチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で1.25mmol、5mlのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(TD)、1mlの5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、さらにガスクロマトグラフィー(GC)の内部標準として1mlのデカンを加えた。引き続き、遷移金属化合物(1)を0.001mmol加えることにより、重合を開始した。エチレンおよび水素混合ガス雰囲気下(エチレン:50L/h;水素:3l/h)、25℃常圧で10分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することで重合を停止した。重合終了後、反応物を5mlの濃塩酸を加えたアセトン/メタノール(それぞれ500ml)混合溶媒に投入してポリマーを全量析出し、撹拌後グラスフィルターでろ過した。ポリマーを130℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TD/VNB共重合体を0.444g得た(活性:2662kg/mol h)。GCにより決定したTDおよびVNBの転化率はそれぞれ5.4%および8.1%であり、この値とポリマー収量から計算した共重合体組成は、エチレン/TD/VNB = 61/29/10であった。この組成より計算されるビニル基と脂肪族領域の主鎖とのプロトンの比は29.0/800.6であり、実際に共重合体の1H−NMRスペクトルで測定したビニル基(4.1−5.5 ppm)と脂肪族領域の主鎖(0−2 ppm)との積分比は26.9/800.6であった。したがってビニル基の残存率は92.7%であった。なお、得られたポリマーの結晶融解熱(ΔH)は0kJ/kgであり、ポリマーは非晶性であった。
[実施例8〜12](連続重合)
攪拌羽根を備えた実質内容積3リットルのガラス製重合器(攪拌回転数=1500rpm)を用いて、表2に示した条件下、25℃常圧で連続的にエチレンとTDとVNBとの三元共重合を行った。重合器側部より液相へエチレン/水素混合ガスを吹き込み、遷移金属化合物(1)のトルエン溶液、MAOのトルエン溶液、TD、VNBのシクロヘキサン溶液及びシクロヘキサンをそれぞれ1L/h(合計4L/h)の速度で、連続的に供給した(平均滞留時間:30分)。原料フィード開始2時間経過後、規定時間サンプリングを行い、得られた重合溶液は20mlの濃塩酸を加えた水1Lに懸濁させて30分間、400回転で撹拌した。水層は除去し、溶媒留去後130℃で10時間減圧乾燥し、エチレン/TD/VNB共重合体を得た。重合活性および得られた共重合体の分析値を表3に示した。ビニル基の残存率は実施例7と同様の方法により求めた。なお、得られたポリマーの結晶融解熱(ΔH)は0kJ/kgであり、ポリマーは非晶性であった。
Figure 2006118261
Figure 2006118261
本発明では、ポリマー中に複数個の二重結合を導入したα-オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体を提供する。この二重結合は、架橋反応用に利用でき、ポリマーの強度や耐熱性向上効果が期待できる。さらに、エポキシ化、カルボキシル化、アミノ化、ヒドロシリル化等の変性を行うことで、α−オレフィン・環状オレフィン共重合体に官能基を導入することが可能となり、様々な用途で利用価値が増している極性基含有ポリオレフィン製造の原料として利用することもできる。

Claims (6)

  1. 下記構成単位(A)、構成単位(B)および構成単位(C)を含み、非晶性であるかまたは結晶融解熱が90kJ/kg未満であることを特徴とするα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体;
    (A)一般式(I)中のR300が水素である構成単位を含有する、一般式(I)で表される少なくとも一種の構成単位、
    (B)一般式(II)で表される構成単位、一般式(III)で表される構成単位および一般式(IV)で表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位、
    (C)一般式(V)で表される構成単位、一般式(VI)で表される構成単位および一般式(VII)で表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位、
    Figure 2006118261
    (式(I)中、R300は水素原子又は炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。)、
    Figure 2006118261
    (式(II)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
    Figure 2006118261
    (式(III)中、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。)、
    Figure 2006118261
    (式(IV)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)、
    Figure 2006118261
    (式(V)中、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。)、
    Figure 2006118261
    (式(VI)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75〜R76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)、
    Figure 2006118261
    (式(VII)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75〜R76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)。
  2. 分子量分布(Mw/Mn)が3以下であることを特徴とする請求項1に記載のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体。
  3. ガラス転移温度(Tg)が70℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体。
  4. 構成単位(A)、構成単位(B)および構成単位(C)の合計に対する構成単位(C)の割合が、0.1〜25モル%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体。
  5. (K)下記一般式(VIII)で表される遷移金属化合物と、
    (M)(m-1)有機金属化合物、
    (m-2)有機アルミニウムオキシ化合物、
    (m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物
    から選ばれる少なくとも1種の化合物と
    からなる触媒の存在下に、α−オレフィンと、環状オレフィンと、ポリエンとを共重合し、請求項1〜4のいずれかに記載の共重合体を製造することを特徴とするα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体の製造方法;
    Figure 2006118261
    (式(VIII)中、Mは3族から11族の遷移金属を表す。mは、1〜4の整数を示し、R1〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合には、一つの配位子に含まれるR1〜R6うちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基とが連結されていてもよく(但し、R1同士が結合されることはない)、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)。
  6. 共重合したポリエンの、二重結合残存率が90モル%以上であることを特徴とする請求項5に記載のα−オレフィン・環状オレフィン・ポリエン共重合体の製造方法。
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