JPWO2006118175A1 - アクリル系収縮性繊維 - Google Patents
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Abstract
繊度が1dtex以上の繊維であっても、染色可能であり、かつ染色後においても高い収縮機能を有するアクリル系収縮性繊維およびそれを用いたパイル布帛製品を得ることが課題であった。本発明のアクリル系収縮性繊維は、アクリロニトリル40〜93重量%、スルホン酸基含有モノマー2〜10重量%およびこれらと共重合可能なモノマー5〜58重量%を含む共重合体からなり、平均繊度が1dtex以上であることを特徴とすることにより、上記課題を解決したものとなる。
Description
本発明は、アクリル系収縮性繊維およびそれを用いたパイル布帛製品に関する。
従来、アクリル系繊維は、獣毛様風合いを有し、その特徴から玩具、衣料等の立毛商品
に用いられている。前記立毛商品のなかでも、パイル布帛製品の分野では、天然調の外観や優れた立毛感を付与するために、天然毛皮のダウンヘアー部に相当する部分を収縮性繊維で、ガードヘアー部に相当する部分を非収縮性繊維で構成する例が多い。
に用いられている。前記立毛商品のなかでも、パイル布帛製品の分野では、天然調の外観や優れた立毛感を付与するために、天然毛皮のダウンヘアー部に相当する部分を収縮性繊維で、ガードヘアー部に相当する部分を非収縮性繊維で構成する例が多い。
従来の収縮性繊維は、染色すると染色時の熱で収縮するため、染色後にはそれ以上収縮できないものとなる。従って、従来の収縮性繊維を染色した後に、パイル布帛の短パイル部を構成する繊維として用いた場合には、該繊維が本来収縮性能を発現すべきパイル布帛製造のテンター工程において、もはや収縮しないため、ガードヘアー部とダウンヘアー部の段差を生じさせることができなくなる問題があった。一方、テンター工程で収縮性を発現させるために、染色時に収縮しない程度の温度で処理した場合には、染料が吸尽せず、十分な発色が得られない問題があった。
上記の理由により、従来の収縮性繊維は、紡糸工程で予め着色することによる、限られた色相のものしか市場に提供することができなかった。このことは、意匠性が重視されるパイル布帛の分野では、致命的な欠点であった。
これまでに、アクリル系収縮性繊維を得るための方法として、アクリロニトリル80重量%以上とスルホン酸基含有モノマー0.5〜5重量%およびビニル系モノマー5〜15重量%の重合体を原料とし、湿式紡糸の際、4〜10倍に紡糸延伸した後、乾燥時に30%以上収縮させ、さらに1.2〜2.0倍の延伸比で乾熱延伸する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、アクリロニトリル90〜95重量%、スルホン酸基含有ビニルモノマー0〜0.5重量%および他のビニルモノマー10〜4.5重量%の重合体を原料とし、2〜6倍に紡糸延伸し乾燥した後、加圧水蒸気中で30%以上緩和させ、更に1.6〜2.2倍乾熱延伸する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、これら先行文献に記載の方法においては、アクリル系収縮性繊維を染色することに関してまでは、記載されていない。そして、本発明者らの知見では、これら先行文献に記載の収縮性繊維は、80℃以上において染色すると染色時に収縮してしまい、ガードヘアー部とダウンヘアー部とからなるパイル布帛を作成するために、本来、収縮機能を発現すべきテンター工程において、もはや十分に収縮しないものとなってしまう。よって、これら先行文献に記載の方法では、ガードへアー部とダウンヘアー部の段差が発現しないため、外観に優れたパイル布帛製品が得られないことが確認されている。また、特許文献1および特許文献2に記載のアクリル系収縮性繊維においては、80℃未満の染色では充分な染色性が得られず、したがって、染色性と染色後の収縮機能とを両立できる加工条件が存在しないという問題を有するものであった。
さらに、繊度が0.01〜0.5dtexの極細アクリル繊維において、p−スチレンスルホン酸ナトリウムや2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムおよびメタリルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有モノマーを0.4〜1.4モル%共重合することにより、低温での染色性が改良されることについても開示されている(特許文献3、特許文献4および特許文献5参照)。しかしながら、この方法では、極細繊度のアクリル系合成繊維の染色が可能とはなるものの、繊度が1dtexを超えるような場合には、充分な低温染色性と染色後の収縮機能とを両立するのは困難であった。
特開平4−119114号公報
特開2003−268623号公報
特開平8−325833号公報
特開平8−325834号公報
特開平8−325835号公報
本発明は、上記の従来技術の問題を解消し、繊度が1dtex以上の繊維であっても、染色可能であり、かつ染色後においても高い収縮機能を有するアクリル系収縮性繊維およびそれを用いたパイル布帛製品を得ることにある。
前記課題を解決するために検討した結果、スルホン酸基含有モノマーを、従来とは異なる特定の範囲で含有する共重体よりなる原料を用いて紡糸し、かつ特定の条件で染色することで、繊度が1dtex以上の繊維であっても、低温で染色ができ、しかも染色後においても高い収縮機能を有するアクリル系収縮性繊維が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、アクリロニトリル40〜93重量%、スルホン酸基含有モノマー2〜10重量%およびこれらと共重合可能なモノマー5〜58重量%を含む共重合体からなり、平均繊度が1dtex以上であることを特徴とするアクリル系収縮性繊維に関する。
ここで、前記平均繊度が1〜15dtexであることが好ましい。
また、前記共重合体が、前記スルホン酸基含有モノマーを5重量%を超えて10重量%以下含んでなることが好ましい。
さらに、前記スルホン酸基含有モノマーが、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、イソプレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、80℃未満の温浴においてカチオン染料で染色したときの相対飽和値が、0.2以上であることが好ましい。
さらに、80℃未満の温浴においてカチオン染料で染色したときの相対飽和値が、0.4以上であることが好ましい。
また、80℃未満の温浴においてカチオン染料で染色処理した後に、130℃で5分間乾熱処理したときの収縮率が20%以上であることが好ましい。
また、本発明は、前記アクリル系収縮性繊維を、50℃以上80℃未満の温浴においてカチオン染料で染色してなる染色されたアクリル系収縮性繊維に関する。
さらに、本発明は、ガードヘアー部とダウンヘアー部とからなり、前記ダウンヘアー部に前記染色されたアクリル系収縮性繊維を用いたことを特徴とするパイル布帛製品に関する。
以上にしてなる本発明のアクリル系収縮性繊維は、低温で染色可能であり、かつ染色後においても高い収縮機能を有する。したがって、衣料、ぬいぐるみ等の玩具、およびインテリア用品等の広範囲にわたって、これまでにない新たな商品企画を可能とするものである。
本発明のアクリル系収縮性繊維は、前述のとおり、アクリロニトリル40〜93重量%、スルホン酸基含有モノマー2〜10重量%およびこれらと共重合可能なモノマー5〜58重量%を含む共重合体からなり、平均繊度が1dtex以上であることを特徴とする。
本発明のアクリル系収縮性繊維を構成する共重合体における前記アクリロニトリルの含有量は、40〜93重量%であり、50〜90重量%であることがより好ましく、60〜90重量%であることがさらに好ましい。前記アクリロニトリルの含有量が40重量%未満では、得られる繊維の耐熱性が低くなる。一方で、前記アクリロニトリルの含有量が93重量%を超えると、耐熱性が高くなり過ぎ充分な収縮率が得られない。
本発明のアクリル系収縮性繊維を構成する共重合体における前記スルホン酸基含有モノマーとしては、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、イソプレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類等が好ましく、これらを単独もしくは2種以上混合して用いることができる。本発明のアクリル系収縮性繊維を構成する共重合体におけるスルホン酸基含有モノマーの含有量は2〜10重量%であり、5重量%を超えて10重量%以下とすることがより好ましく、6〜8重量%であることがさらに好ましい。前記スルホン酸基含有モノマーの含有量が2重量%未満では、充分な低温染色性が得られない。一方、前記スルホン酸基含有モノマーの含有量が10重量%を超えると、重合体の親水性が強くなり過ぎ、糸条を形成する凝固過程において繊維にボイドや膠着が生じ、強度が低下する他、工程での糸切れが多くなり、操業性も悪化する。
前記共重合体において、その他共重合可能なモノマーとは、アクリル酸やメタクリル酸およびイタコン酸等に代表されるカルボキシル基含有ビニルモノマー、前記カルボキシル基含有ビニルモノマーの金属塩類若しくはアミン塩類、前記カルボキシル基含有ビニルモノマーの低級アルキルエステル、前記カルボキシル基含有ビニルモノマーのグリシジルエステル、前記カルボキシル基含有ビニルモノマーのNまたはN,N−アルキル置換したアミノアルキルエステル、および前記カルボキシル基含有ビニルモノマーの4級化アミノアルキルエステル、並びに、アクリルアミドやメタクリルアミド、および前記アクリルアミドやメタクリルアミドのNまたはN,N−アルキル置換したアミノアルキルエステル、或いは、ビニル基含有低級アルキルエーテル、酢酸ビニルに代表されるビニル基含有低級カルボン酸エステル、塩化ビニルや塩化ビニリデン、臭化ビニルや臭化ビニリデン等に代表されるハロゲン化ビニルまたはハロゲン化ビニリデン類、さらにはスチレンなどが好ましく、これらのモノマーを単独もしくは2種以上混合して用いることができる。その他の共重合可能なモノマーは共重合体において充分な収縮率を得るために5重量%以上が好ましく、繊維の耐熱性を維持する観点から58重量%以下が好ましく、7〜42重量%がより好ましい。
前記共重合体は、重合開始剤として既知の化合物、例えばパーオキシド系化合物、アゾ系化合物、または各種のレドックス系化合物を用い、乳化重合、懸濁重合、溶液重合等のビニル重合方法により得ることができるが、例えば前記共重合体におけるスルホン酸基含有モノマーの含有量が5重量%を超えて10重量%以下と高い範囲においては、懸濁重合では得られる共重合体粒子が細かくなり過ぎ回収が困難となる傾向がある為、工業的には乳化重合や或いは水との混合溶媒を使用した溶液重合で得ることが好ましい。
前記共重合体は、有機溶剤、例えばアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドあるいは無機溶剤、例えば塩化亜鉛、硝酸、ロダン塩等に溶解させて紡糸原液とすることができる。この紡糸原液に、酸化チタンまたは着色用顔料のような無機または有機の顔料、防鎮、着色防止、耐候性等に効果のある安定剤等を、紡糸に支障をきたさない範囲で添加することも可能である。
本発明のアクリル系収縮性繊維は、前記のような紡糸原液をノズルより紡出し、糸条を形成し得る常法の湿式あるいは乾式の紡糸法で製造することができ、例えば前記共重合体におけるスルホン酸基含有モノマーの含有量が5重量%を超えて10重量%以下と高い範囲の湿式紡糸においては、凝固浴で糸条を形成する際に、前記重合体の親水性が高いために水が重合体粒子を取り囲む速度が速くなり過ぎ糸条を形成するのが困難になるが、あらかじめ、凝固浴組成にアセトンやメチルエチルケトンに代表されるケトン類、メタノールやエタノールに代表されるアルコール類などの前記共重合体に対する貧溶媒を適量加えたり、或いは凝固浴に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどの無機塩類を適量加えるなどして凝固速度を調整する工夫を施すことで、良好な糸条を形成させることが可能となる。凝固浴で糸条を形成させ、洗浄延伸浴を通した後、乾燥を行う。また必要に応じて、更に延伸、熱処理を行ってもよい。さらに、得られた繊維を70〜140℃で1.3〜4.0倍に延伸して収縮性繊維を得ることができる。
このようにして得られた本発明のアクリル系収縮性繊維は、低温で染色可能である。充分に染色するためには、染色温度が50℃以上であることが好ましく、かつ、染色時の繊維の収縮に起因する染色後の乾熱処理による繊維の収縮率不足を起こさないために、染色温度が80℃未満であることが好ましい。さらに、上記染色温度の範囲において、60〜75℃であることがより好ましい。
本発明でいう相対飽和値とは、繊維の染色能力の指標であり、繊維を任意の温度で60分間、任意の過飽和な量のMalachite Greenを用いて、浴比1:200(=繊維重量:染液重量)で染色し、飽和染着量を求め、該飽和染着量より求められる。前記飽和染着量および前記相対飽和値は下記の式(1)および(2)より求められる。
(飽和染着量)=((Ao−A)/Ao)×X) (1)
A :染色後の残染浴の吸光度(618nm)
Ao:染色前の染浴の吸光度(618nm)
X :Malachite Greenの過飽和濃度(%omf)
(相対飽和値)=(飽和染着量)×400/463 (2)
A :染色後の残染浴の吸光度(618nm)
Ao:染色前の染浴の吸光度(618nm)
X :Malachite Greenの過飽和濃度(%omf)
(相対飽和値)=(飽和染着量)×400/463 (2)
上記吸光度の測定は、紫外可視分光光度計(株式会社、島津製作所製、UV−2550)を用いて行った。
本発明のアクリル系収縮性繊維は、相対飽和値が0.2以上で淡色の染色が可能となる為、80℃未満の染色における相対飽和値が0.2以上であることが好ましい。さらには、相対飽和値が0.4以上で淡色から中色、0.8以上で淡色から濃色まで染色による色揃えが可能となるため、相対飽和値は0.4以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。
なお、染色堅牢性、発色性および経済性の点からカチオン染料を用いて染色を行うことが好ましい。カチオン染料としては従来公知のものが使用でき、とくに限定されるものではない。たとえば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のMaxilonシリーズや保土ヶ(株)製のCathilonシリーズ等があげられる。また、カチオン染料の使用量はとくに限定されるものではないが、50℃以上80℃未満の染色温度範囲においては、アクリル系収縮性繊維100重量部に対して0.1〜3.0重量部が色揃え、経済性の観点から好ましい。染色促染剤はとくに必要ないが、従来公知の染色促染剤を公知技術例に沿って使用しても良い。染色機についても、従来のものを使用することが出来る。
本発明でいう収縮率とは、染色処理を施した後の収縮性繊維が、パイル布帛の加工工程におけるテンター工程でどれだけ収縮するかという指標であり、下記式(3)により求められる。ここでいうテンター工程とは、パイルの毛抜けを防止するため、パイルの裏面に接着剤を付着させ、その付着剤を所定の温度で乾燥させる工程である。
収縮率(%)=((Ldo−Ld)/Ldo)×100 (3)
Ldo:染色後(乾熱処理前)の繊維の長さ
Ld :乾熱130℃で5分間処理後の繊維の長さ
Ld :乾熱130℃で5分間処理後の繊維の長さ
本発明のアクリル系収縮性繊維を、パイル布帛の短パイル部を構成する繊維として用いる場合には、後に詳述するように、パイル布帛の加工工程におけるテンター工程で収縮させる。テンター工程は、通常、乾熱130℃前後で行われるため、前記収縮率は乾熱130℃で測定するものとする。また、乾熱処理前後のおのおの繊維の長さは10mg/dtexの荷重下で測定した。
本発明のアクリル系収縮性繊維を染色した後に、130℃、5分間の乾熱処理を行ったときの収縮率は20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。前記収縮率が20%未満になると、パイル布帛に加工した時、非収縮性繊維との段差が小さくなるため、段差が強調されず、天然調または、意匠性のある外観特性をもつパイル布帛が得られない。
本発明のアクリル系収縮性繊維は、低温で染色可能であり、かつ染色後においても高い収縮機能を有する。したがって、本発明のアクリル系収縮性繊維をダウンヘアー部に用いることにより、色相のバリエーションに富み、しかもガードヘアー部とダウンヘアー部の段差を生じさせたパイル布帛を提供することが可能となり、このようなパイル布帛が求められる衣料、ぬいぐるみ等の玩具、およびインテリア用品等の広範囲にわたって、新たな商品企画を可能とするものである。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」および「%」は特記しない限り重量部および重量%を意味する。
(製造例1)
内容積5Lの耐圧重合反応装置に、日産化学社製ジメチルホルムアミド(DMF)2920g、旭化成工業社製アクリロニトリル(AN)800g、東亜合成社製アクリル酸メチル(MA)120g、東亜合成社製2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(SAM)の50%水溶液160gを投入し、窒素置換した。重合機内温度を55℃に調整し、開始剤として2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AIVN)5gを投入し重合を開始した。途中、AIVN10gを追加しながら2時間重合し、その後70℃に昇温して10時間重合させ、共重合体(AN/MA/SAM=80/12/8(重量比))の25%溶液(DMF/水混合溶媒)を得た。
内容積5Lの耐圧重合反応装置に、日産化学社製ジメチルホルムアミド(DMF)2920g、旭化成工業社製アクリロニトリル(AN)800g、東亜合成社製アクリル酸メチル(MA)120g、東亜合成社製2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(SAM)の50%水溶液160gを投入し、窒素置換した。重合機内温度を55℃に調整し、開始剤として2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AIVN)5gを投入し重合を開始した。途中、AIVN10gを追加しながら2時間重合し、その後70℃に昇温して10時間重合させ、共重合体(AN/MA/SAM=80/12/8(重量比))の25%溶液(DMF/水混合溶媒)を得た。
共重合体濃度25%の前記溶液を紡糸原液とし、紡糸原液を0.08mmφ、2000孔の口金を通して20℃、50%DMF/30%アセトンの混合溶媒系水溶液中に吐出し、溶剤濃度の順次低下する5つの洗浄延伸浴を通して2.1倍に延伸した後、さらに60℃で水洗した。その後、得られた繊維に油剤を付与した後130℃の雰囲気下で乾燥させ、熱ローラーを用いて115℃の乾熱雰囲気下で1.7倍の延伸処理を行い、4.4dtexの延伸糸(収縮性繊維)を作成した。
(製造例2〜10)
共重合体組成を表1に示す割合とした以外は、製造例1と同様の方法で、表1に示す繊度のアクリル系収縮性繊維(製造例2〜9)を作成した。また、共重合体組成を表1に示す割合とした以外は製造例1と同様の重合方法により重合し、0.12mmφ、800孔の口金を通した以外は製造例1と同様の方法により紡糸して、以下製造例1と同様の方法で製造例10のアクリル系収縮性を作成した。
共重合体組成を表1に示す割合とした以外は、製造例1と同様の方法で、表1に示す繊度のアクリル系収縮性繊維(製造例2〜9)を作成した。また、共重合体組成を表1に示す割合とした以外は製造例1と同様の重合方法により重合し、0.12mmφ、800孔の口金を通した以外は製造例1と同様の方法により紡糸して、以下製造例1と同様の方法で製造例10のアクリル系収縮性を作成した。
(実施例1〜11および比較例1〜4)
2.5%omfのMalachite Green染浴200ccに対して、酢酸と酢酸ナトリウムをそれぞれ0.05g/L、0.02g/Lとなるように加え、pHを3〜4に調整した。製造例1〜10で得られたいずれかの収縮性繊維1gを、この染浴によりそれぞれ表2に記載の条件において、60分間染色した。そのときの操業性、相対飽和値、染色後の130℃5分の乾熱処理における収縮率を測定した結果を表2に示した。
2.5%omfのMalachite Green染浴200ccに対して、酢酸と酢酸ナトリウムをそれぞれ0.05g/L、0.02g/Lとなるように加え、pHを3〜4に調整した。製造例1〜10で得られたいずれかの収縮性繊維1gを、この染浴によりそれぞれ表2に記載の条件において、60分間染色した。そのときの操業性、相対飽和値、染色後の130℃5分の乾熱処理における収縮率を測定した結果を表2に示した。
また、製造例1で得た繊維を32mmにカットし、繊維詰め密度0.30g/cm3でオーバーマイヤー染色機に詰め染色処理を行なった。この時の染色処方は、Maxilon Yellow 2RL 200% 0.68%omf、Maxilon Red GRL 200% 0.15%omf、Maxilon Blue GRL 300% 0.14%omf(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)目標色はライトブラウンであった。また、この時の昇温速度は室温から3℃/分とし、50℃に到達した時点で染料を加え、引続き昇温した後70℃に達したところで60分間保温を行なった。さらに、染色完了後、染色液を冷却して染色綿を取出し遠心脱水を行なった後、乾燥機中60℃の温度で乾燥させた。このようにして得られた染色後のアクリル系収縮性繊維700gと市販のアクリル系繊維「カネカロン(登録商標)」RFM(BR803)22dtex、51mm(鐘淵化学工業株式会社製)300gとを混綿、縫製、プレポリシング、プレシャーリングの後、予備仕上げでのピンテンター乾燥機の温度を130℃で、最終目付けが720g/m2で平均パイル長が22mmのミンク調段差パイル布帛を作成した。これによるダウンヘアー部の収縮率は22%で、このようにして作成されたミンク調のパイル布帛は、ダウンヘアーは目標色相(ライトブラウン)を充分達成し、且つ、明確な段差を有するものであった。このときの各評価方法は、以下のとおりである。
(A)染色達成度官能評価
それぞれの濃度における染着、発色性評価を視覚的及び感覚的な観点から実施した。
(B)ピンテンターによる乾熱処理前後のダウンヘアー部分(成分)の収縮率の測定
段差パイル布帛においてダウンヘアー部を構成するアクリル系収縮性繊維の収縮率は、ピンテンターによる乾熱処理前後のパイル布帛中のパイル部を構成している繊維を毛並みが揃うように垂直に立たせ、ノギスを用いることで測定した。つまり、パイル部のダウンヘアー部(成分)を構成している繊維の根元からダウンヘアーの先端までの長さ(パイル布帛裏面からの長さではない)の測定を10ヶ所について行ない、その平均値を求め、次式より算出されるものである。
それぞれの濃度における染着、発色性評価を視覚的及び感覚的な観点から実施した。
(B)ピンテンターによる乾熱処理前後のダウンヘアー部分(成分)の収縮率の測定
段差パイル布帛においてダウンヘアー部を構成するアクリル系収縮性繊維の収縮率は、ピンテンターによる乾熱処理前後のパイル布帛中のパイル部を構成している繊維を毛並みが揃うように垂直に立たせ、ノギスを用いることで測定した。つまり、パイル部のダウンヘアー部(成分)を構成している繊維の根元からダウンヘアーの先端までの長さ(パイル布帛裏面からの長さではない)の測定を10ヶ所について行ない、その平均値を求め、次式より算出されるものである。
収縮率(%)=100×(1−Sa/Sb)
[式中、Sbはピンテンターによる乾熱処理前のダウンヘアー成分のパイル長(mm)、Saはピンテンターによる乾熱処理後のダウンヘアー部分(成分)のパイル長(mm)]なお、本発明でいうパイル部とは、パイル布帛(立毛布帛)の基布(地糸の部分)の部分を除く立毛部分を指すものである。
[式中、Sbはピンテンターによる乾熱処理前のダウンヘアー成分のパイル長(mm)、Saはピンテンターによる乾熱処理後のダウンヘアー部分(成分)のパイル長(mm)]なお、本発明でいうパイル部とは、パイル布帛(立毛布帛)の基布(地糸の部分)の部分を除く立毛部分を指すものである。
(C)段差外観官能評価
前記のようにして作成されたパイル布帛に対し、段差パイル布帛としての段差の程度を視覚的及び感覚的な観点から官能評価を実施した。
前記のようにして作成されたパイル布帛に対し、段差パイル布帛としての段差の程度を視覚的及び感覚的な観点から官能評価を実施した。
本発明のアクリル系収縮性繊維は、アクリロニトリル40〜93重量%、スルホン酸基含有モノマー2〜10重量%およびこれらと共重合可能なモノマー5〜58重量%を含む共重合体からなり、平均繊度が1dtex以上であることを特徴とすることにより、低温で染色可能であり、かつ染色後においても高い収縮機能を有するものとなる。したがって、衣料、ぬいぐるみ等の玩具、およびインテリア用品等の広範囲にわたって、これまでにない新たな商品企画を可能とするものである。
Claims (9)
- アクリロニトリル40〜93重量%、スルホン酸基含有モノマー2〜10重量%およびこれらと共重合可能なモノマー5〜58重量%を含む共重合体からなり、平均繊度が1dtex以上であることを特徴とするアクリル系収縮性繊維。
- 前記平均繊度が1〜15dtexである請求項1記載のアクリル系収縮性繊維。
- 前記共重合体が、前記スルホン酸基含有モノマーを、5重量%を超えて10重量%以下含んでなる請求項2に記載のアクリル系収縮性繊維。
- 前記スルホン酸基含有モノマーが、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、イソプレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の金属塩類若しくはアミン塩類からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項3に記載のアクリル系収縮性繊維。
- 80℃未満の温浴においてカチオン染料で染色したときの相対飽和値が、0.2以上である請求項1に記載のアクリル系収縮性繊維。
- 80℃未満の温浴においてカチオン染料で染色したときの相対飽和値が、0.4以上である請求項5に記載のアクリル系収縮性繊維。
- 80℃未満の温浴においてカチオン染料で染色処理した後に、130℃で5分間乾熱処理したときの収縮率が20%以上である請求項1に記載のアクリル系収縮性繊維。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系収縮性繊維を、50℃以上80℃未満の温浴においてカチオン染料で染色してなる染色されたアクリル系収縮性繊維。
- ガードヘアー部とダウンヘアー部とからなり、前記ダウンヘアー部に請求項8に記載の染色されたアクリル系収縮性繊維を用いたことを特徴とするパイル布帛製品。
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