JP2007327157A - パイル部の色調変化を有するパイル布帛 - Google Patents

パイル部の色調変化を有するパイル布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】 パイル表面に色模様を付加する方法として、従来のプリント処理や抜染処理といった、作業工数が多く、製造コストや環境面での課題を有する方法を、通常のパイル縫製の加工工程の条件や加工設備の小改良で、容易にパイル表面に色模様を付与する事を可能とするもので、従来方法と比較して、製造コストの削減や環境への悪影響を少なくする事が可能とするものである。
【解決手段】 アクリル系繊維を、染色した繊維を用いてパイルを縫製し、パイル縫製のテンター工程やポリッシング工程等のパイル加工の加熱温度の条件及び加熱方法の操作にて、低温で染色したパイル部が色変化する事を用いて、パイル表面に色模様を付与したパイル布帛。
【選択図】なし

Description

本発明は、パイル加工の加熱温度の条件及び加熱方法にて、パイル表面に色調変化を付与した事を特徴とするパイル布帛に関する。
従来、アクリル系繊維のパイル布帛に、色模様を付与する方法としては、ポリアクリロニトリル系合成繊維からなる抜染プリント布帛の製造方法として特許文献1に記載されているように、染色された繊維を用いて縫製したパイル布帛のパイル部の毛先に染料を還元分解する抜染剤を塗布して、蒸気を吹きかける事で、抜染剤を塗布した毛先部分を脱色する。さらに脱色した毛先に色を添付するために、パイル部の先端に、プリント専用の糊に混合した染料を用いてパイル表面に、ブリント加工し、色模様を付加する方法が一般的に用いられている。
特開平05−36367号公報 しかし、こうした技術はパイル布帛を製作した後に、前述した抜染加工やプリント加工という、特殊な加工方法が必要で、製造コストが高くなることに加えて、プリント処理や抜染処理後のCOD(化学的酸素要求量)値の高い、パイルの洗浄水が発生するなど、環境面の課題がある。
そこで本発明は、特殊な加工方法を用いずに、低コストでパイル部に模様を付与したパイル布帛を提供するものである。
すなわち本発明は、アクリル系繊維を用いてなるパイル布帛であって、パイル縫製の加工工程における加熱により、アクリル系繊維パイル部の色調を変化させてなるパイル布帛である。
上記パイル部を構成する繊維の色調を変化させた部分と変色させていない部分との色差が、色差計のΔE値で4.0以上であるのが好ましい。
また、ここでアクリル系繊維は、アクリロニトリル40〜95重量%とアクリルニトリルと共重合可能なモノマー5〜60重量%を含有する重合体(A)50〜99重量部と、アクリロニトリル5〜70重量%とアクリル酸エステル15〜80重量%とスルホン酸含有モノマー15〜50重量%を合計で100重量%となるよう含有する重合体(B)を1〜50重量部とを混合し、(A)と(B)の総量が100重量部とした重合体組成物を用いて製造されるものであるのが好ましい。
上記アクリル系繊維は、染色温度70℃での染色相対飽和値が0.8以上であるものがより好ましい。
本発明は、パイル表面に色模様を付加する方法して、従来のプリント処理や抜染処理といった、作業工数が多く、製造コストや環境面での課題を有する方法を用いず、通常のパイル縫製の化工工程の条件や加工設備の小改良で、容易にパイル表面に色模様を付与する事を可能とするものである。
本発明は、パイル縫製の加工工程における加熱により、アクリル系繊維パイル部の色調を変化させてなるパイル布帛であり、ここでいう加熱とは、パイル縫製の加工工程での加熱条件操作による加熱が好ましい。特に、どのような工程装置であっても良いが、一般的にパイル布帛の製造に用いられる工程の中で、例えば、パイル布帛のバックコーティングを施した後に行う、テンター乾燥の際(テンター工程)に加熱を行っても良いし、パイル部の毛先の仕上げ工程(例えば、ポリッシング工程)にて加熱を行っても良い。
本発明のアクリル系繊維を構成する重合体としては、アクリロニトリル40〜95重量%とアクリルニトリルと共重合可能なモノマー5〜60重量%を含有する重合体(A)50〜99重量部と、アクリロニトリル5〜70重量%とアクリル酸エステル15〜80重量%とスルホン酸含有モノマー15〜50重量%を合計で100重量%となるよう含有する重合体(B)を1〜50重量部とを混合し、(A)と(B)の総量が100重量部とした重合体組成物が好ましい。(A)は、アクリロニトリルを40〜95重量%用いる事が好ましく、アクリロニトリルの含有量が40重量%未満では、得られる繊維の耐熱性が低く、紡糸工程での繊維間の融着が多くなりパイル布帛には不適な繊維となる。またアクリロニトリルの含有量が90重量%を超えると、耐熱性は高くなるが、風合いが固くなり、アクリル系繊維の特徴である柔らかな風合いを有するパイル布帛が得られない傾向がある。
本発明の重合体(A)において、アクリロニトリルと共重合可能なモノマーとは塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン等のハロゲン含有モノマーや、酢酸ビニル等のビニルモノマー更にはアリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸含有モノマー、またはこれらの金属塩類およびアミン塩類等をさす。また、これらのモノマーは、単独もしくは2種以上混合して用いる事もできる。これらのモノマーは重合体(A)において、繊維にがさつきを生じず触感を良くするために5重量%以上である事が好ましく、疎水性を低くし十分な染色性を得るために60重量%以下である事が好ましいため、5〜60重量%用いる事が好ましい。
本発明の重合体(B)において、アクリロニトリルの含有量は、繊維の耐熱性を維持するため5重量%以上にする事が好ましく、繊維中のボイド発生を抑制するために70重量%以下にする事が好ましく、5〜70重量%用いる事が好ましい。本発明の重合体(B)において、アクリル酸エステルとは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が好ましく、これらのモノマーを単独もしくは2種以上混合して用いる事ができる。本発明の重合体(B)において、アクリル酸エステルは、十分な染色性を得るため15重量%以上である事が好ましく、繊維にボイドや膠着が生じるのを防ぐため80重量%以下である事が好ましく、15〜80重量%である事が好ましい。本発明の重合体(B)において、スルホン酸含有モノマーとは、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはこれらの金属塩類およびアミン塩類等が好ましく、単独もしくは2種以上混合して用いる事ができる。本発明の重合体(B)において、スルホン酸含有モノマー含有量は、重合体(B)の添加量を少なくし、低温での染色性も維持するためには、15%から50%である事が好ましい。更に、染色後の変色を実現するためには、スルホン酸含有モノマーの含有量20%〜50%が好ましく、紡糸工程での浴溶出の観点より、40%以下の含有率が、より好ましい。
本発明のアクリル系繊維の製造は、重合体(A)及び重合体(B)をアセトン或いはDMF等の溶媒に溶解させて紡糸原液とし、一般的な湿式紡糸あるいは乾式の紡糸法にて、紡糸原液をノズルより紡出し、乾燥、延伸操作を行う。また必要に応じ、熱処理や緩和処理を行ってもよい。ノズルより紡出した繊維は、凝固浴や乾熱熱・蒸熱雰囲気で1.3〜4.0倍に延伸し強度を向上させ、繊維製品となる。また、延伸後に乾熱や蒸熱雰囲気で、熱処理し繊維の歪みを除去した繊維製品としても良い。また、この紡糸原液に、酸化チタンまたは着色用顔料のような無機及び/又は有機の顔料、防鎮、着色紡糸、耐候性等に効果のある安定剤等を紡糸に支障をきたさない限り使用する事も可能である。
本発明においては、アクリル系繊維を80℃以下の低温で染色したものを用いるのが好ましいが、上記した、特定の重合体組成から得られる繊維を用いることで、低温染色が可能となる。
また、本発明では、染色温度70℃以上の染色で染色相対飽和値が0.8以上で良好な発色を有するものが好ましい。
染色温度70℃においては、定かではないが、染料の反応基とスルホン酸モノマーの反応基が、完全にイオン結合を完結していないため、染色後のパイル縫製の加工工程での加熱にてイオン反応が完結して、加熱前の色と異なる発色をする傾向にあると考えられる。
本願発明のアクリル系繊維においては、重合体(A)及び重合体(B)をDMFやアセトンに溶解して得られた紡糸原液を用いて紡糸する事が好ましいが、より効果的に変色させるためには、アセトンを用いることが、より好ましい。
(繊維の染色方法)
得られた繊維を、アクリル系繊維の一般的なカチオン染料の三原色を用いて染色する。実用的な染色例としては、Maxilon Red GRL、Blue GRL、Yellow3GRL(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製)を目的とする配合色に混合し、 トータルで約0.5%omfの染料に調合する。更に、ウルトラMT#100(ミテジマ化学株式会社製)0.5g/Lの染色助剤を用いて70℃で60分間染色する。このときの染色の相対飽和値は0.8以上であることが、好ましい。一般的にアクリル系繊維、例えば「カネカロン(登録商標)」SE 3.3dtex 38mm(株式会社カネカ製)がMaxilon Red GRL(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製) 0.5%omf程度の染料を吸尽した場合の発色を淡色、1%omf程度の染料を吸尽した場合の発色を中濃色、2%omf程度の染料を吸尽した場合の発色を濃色とした場合、本発明のアクリル系繊維は相対飽和値が0.8以上で濃色にまで染色可能となり、市場で使用されている、ほとんどの色に染色可能となる。従って、相対飽和は0.8以上が好ましい。
本発明でいう染色の相対飽和値とは、繊維の染色能力の指標であり、繊維を所定の温度で60分間、過飽和な量のMalachite Greenを用いて染色し飽和染着量を求め、飽和染着量より相対飽和値を求めた。飽和染着量、相対飽和値は下記の式より求めた。
飽和染着量=((Ao−A)/Ao)×2.5)
A:染色後の染浴の吸光度(618nm)
Ao:染色前の染浴の吸光度(618nm)
相対飽和値=飽和染着量×400/463
(パイル縫製の加工工程における加熱処理)
また、本願発明のパイル縫製の加工工程において加熱処理は、先述したように特に加工工程のいずれの工程でであるかには限定されないが、テンター工程においてパイル部を変色させる方法としては以下の2つの場合が例示される。
例えば、テンター工程でパイル部全面のパイル部が変色したパイル布帛を縫製するためには、上記方法の低温で染色した本願記載の繊維を混綿し、加工時の静電気を抑制するために、2%omf程度の水分を噴霧し、調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製テンターを用いて130℃で5分、接着剤を乾燥させると共にパイル部の色を変色させた。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーン、シャーリングマシーンでポリッシャー仕上げ及びシャーリングを行ってパイル布帛に仕上げた。
また、テンター工程でパイル部の任意の部分におけるパイル部が変色したパイル布帛を縫製するためには、同様に低温で染色した本願記載の繊維を混綿・調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製テンターで通常のパイル加工を実施する速度で、縫製後のパイル布帛を処理する際に、乾燥室の入り口部分に、熱風温度が110℃以上で、かつ乾燥内部の温度より10℃以上高い熱風、100℃以上の蒸気を噴霧するノズルを入り口に並行して設置して、パイル部に吹き付けることで、パイル部を構成する繊維表面の色調を変化させ模様を付与した。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーン、シャーリングマシーンでポリッシャー仕上げ及びシャーリングを行って、色模様を有するパイル布帛に仕上げた。
ここでの高温の熱風、蒸気の噴霧ノズルの形状、大きさは色模様に、応じて任意に設定する事が可能である。また、噴霧の方向は、パイル部の表面及び裏面からの、いずれからの噴霧でも良いが、熱効率の観点より、パイルの表面からの噴霧が、より好ましい。ここで示すパイル部とは、基布以外の立毛部分を構成する繊維を示す。
さらに、ポリッシング工程でパイル部表面のパイル部の先端が変色したパイル布帛を縫製するためには、次のような加工工程をとることが例示される。
染色した本願記載の繊維を混綿・調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製のテンターで温度120℃以下で5分間、接着剤を乾燥させた。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーンでパイルの先端をテンター処理温度より、10℃以上高い140〜180℃高温で通常のポリシング処理を複数回行い、パイルの先端を変色させ、その後シャーリングを行って、パイル部を構成する繊維の先端部分がパイルの根元部分と異なった色を有するパイル布帛に仕上げた。
(ハイパイルの外観評価(色差))
上記の方法で、作成したパイル布帛の、変色した部分と変色していないパイル部の色差を測定した結果、いずれも、視覚的にも色差は、明確で、ΔE値で4.0以上の変化をしている結果となった。
(色差(ΔE)の測定方法)
パイルの色差変化の測定は、日本電色工業製の色差測定装置(RS−232C)を用いて、染色後の繊維のLab値を基準として、変色後のLab値との差を、色差として換算した値をΔEとした。
以下に実施例を記す。
(実施例1)
内容積20Lの耐圧重合反応装置にイオン交換水12000g、ラウリル硫酸ナトリウム54g、亜硫酸25.8g、亜硫酸水素ナトリウム13.2g、硫酸鉄0.06g、アクリロニトリル(以下ANと記す。)294g、塩化ビニル(以下VCと記す。)3150gを投入し、窒素置換した。重合機内温を50℃に調整し、開始剤として過硫酸アンモニウム2.1gを投入し、重合を開始した。途中、AN2526g、スチレンスルホン酸ナトリウム(以下3Sと記す。)30g、過硫酸アンモニウム13.8gを追加しながら、重合時間5時間10分で重合した。その後、未反応VCを回収し、ラテックスを重合機より払い出し、塩析、熱処理、ろ過、水洗、脱水、乾燥し、重合体Aを得た。
次に、内容積5Lの耐圧重合反応装置にアセトン1400g、水930g、AN150g、アクリル酸メチル(以下MAと記す。)540g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ(以下SAMと記す。)300g、メタリルスルホン酸ソーダ(以下MXと記す。)10gを投入し、窒素置換した。重合機内温度を55℃に調整し、開始剤として2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5gを投入し重合を開始した。途中、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを追加しながら16時間重合し、その後70℃に昇温し6時間重合させ重合体濃度30重量%の重合体Bの溶液を得た。重合Aが30%になるようにアセトンを加え溶解した重合体Aの溶液に、重合体Bの溶液を重合体の重量比が重合体A:重合体B=96:4の比率になるように混合した物を紡糸原液とした。得られた、紡糸原液を0.08mmφ、8500孔の口金を通して25℃、30重量%のアセトン水溶液中に吐出し、さらに25℃、20重量%アセトン水溶液中で2.0倍に延伸した後60℃で水洗した。ついで130℃で乾燥、更に125℃で2.0倍に延伸したのち、145〜150℃の熱処理を行って、7.8dtexの繊維を得た。
パイルを縫製するために、下記方法の低温で染色した本願記載の繊維を混綿・調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製テンターを用いて130℃で5分、接着剤を乾燥させると共にパイル部の色を変色させた。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーン、シャーリングマシーンでポリッシャー仕上げ及びシャーリングを行ってパイル布帛に仕上げた。
[染料処方]ブラウン系
Maxilon Red GRL :0.13%omf
Maxilon Blue GRL :0.12%omf
Maxilon Yellow 3GRL :0.25%omf
[染色条件]
助剤:なし
浴比:1:15
温度×時間:70℃×60分
染色装置:オーバーマイヤー染色器(日阪製作所製 型式HUHT−250/350)。
(実施例2)
同様に実施例1と同様の染料処方で染色した繊維を混綿・調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製テンターの入り口部分で、周囲より10℃以上高温である150℃の熱風を、パイル部に3秒以上、2分以下の時間吹き付け、部分的に色を変化させパイルに色模様を付与した。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーン、シャーリングマシーンでポリッシャー仕上げ及びシャーリングで毛先の長さを整え、パイル布帛に仕上げた。
ここでの高温の熱風の噴霧ノズルの形状、大きさは色模様に、応じて任意に設定する事が可能である。また、噴霧の方向は、パイルの表面及び裏面からの、いずれからの噴霧でも良いが、熱効率の観点より、パイルの表面からの噴霧が、より好ましい。
(実施例3)
実施例1と同様の染料処方で染色した繊維を混綿・調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製のテンターで温度120℃以下で5分間、接着剤を乾燥させた。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーンで、パイルの先端を150℃の高温でポリシング処理を3回実施し、パイルの先端を変色させ、その後シャーリングマシーンで毛先の長さを整え、毛先の色の異なるパイル布帛に仕上げた。
(実施例4)
下記に示す染料処方で染色した繊維を混綿・調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製のテンターで温度120℃以下で5分間、接着剤を乾燥させた。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーンで、パイルの先端を140℃以上の150℃の高温でポリシング処理し、パイルの先端を変色させ、その後シャーリングマシーンで毛先の長さを整え、毛先の色の異なるパイル布帛に仕上げた。
[染料処方] 紺色
Maxilon Red GRL、 :0.12%omf
Maxilon Blue GRL、 :0.25%omf
Maxilon Yellow3GRL :0.13%omf
[染色条件]
実施例1と同様とした。
(比較例1)
市販されているアクリル系合成繊維RCL7.8dtex((株)カネカ製のモダクリル繊維)を実施例1と同様の染料処方で60分間のボイル染色し、パイル用の染色綿を作成した。また同様実施例1と同様の染料処方でAH3.3dtex((株)カネカ製のモダクリル繊維)を60分間のボイル染色し、パイル用の染色綿を作成した。
染色されたRCL7.8dtexを50重量%,AH3.3dtexを50重量%の比率で混綿して、調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製のテンターで温度120℃以下で5分間、接着剤を乾燥させた。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーンで、パイルの先端を140℃以上の150℃の高温でポリシング処理し、その後シャーリングマシーンで毛先の長さを整え、パイル布帛に仕上げた。
[染料処方]
Maxilon Red GRL :0.13%omf
Maxilon Blue GRL :0.12%omf
Maxilon Yellow 3GRL :0.25%omf
[染色条件]
実施例1と同様とした。
(比較例2)
市販されているアクリル系合成繊維:カネカロン((株)カネカ製)のRCL7.7detxを、抜染用染料を用いて、ボイル60分間の染色を行い、染色綿を得た。、Dystarジャパン製のAstragal Yellow 3Rと保土ヶ谷化学社製のCathilon Red CD−FGHLおよびCathilon Blue GHLを用いた。
[染料処方]
Astragal Yellow 3R :2.10%omf
Cathilon Red CD−FGHL :0.75%omf
Cathilon Blue GHL :1.70%omf
[染色条件]
実施例1と同様とした。
得られた染色綿を混綿・調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製テンターを用いて130℃で5分、接着剤を乾燥させると共にパイル部の色を変色させた。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーン、シャーリングマシーンでポリッシャー仕上げ及びシャーリングを行ってパイル布帛に仕上げた。このパイル布帛にローラープリントで、表1に記載のプリント用の糊をパイルの毛先3〜4mmに添付し、98〜102℃の蒸気蒸し器内で20分の処理した後、水洗・乾燥処理を行い、更にポリッシャー仕上げ及びシャーリングを行って,毛先の色の異なるパイル布帛に仕上げた。
Figure 2007327157
(比較例3)
市販されているアクリル系合成繊維:カネカロン((株)カネカ製)のRCL7.7dtexを、抜染用染料を用いて、ボイル60分間の染色を行い、染色綿を得た。
[染料処方]
比較例2と同様とした。
[染色条件]
実施例1と同様とした。
得られた染色綿を混綿・調湿した後、Kodama Tech Co.Ltd.製オープナー、Howa Machinery Ltd.Nagoya製カードを用いてスライバーを作成した。次いでMayer社製ハイパイル編織機でスライバーニッティングを行い、岩倉精機社製シャーリングマシーンでパイル部をカットしてパイル長を一定に揃えた後、パイルの裏面にアクリル酸エステル系接着剤を付着させ、Hirano Tecseed社製テンターを用いて130℃で5分、接着剤を乾燥させると共にパイル部の色を変色させた。その後、岩倉精機社製ポリッシャーマシーン、シャーリングマシーンでポリッシャー仕上げ及びシャーリングを行ってパイル布帛に仕上げた。このパイル布帛にローラープリントで、表2に記載の抜染用の糊をパイルの毛先3〜4mmに添付し、98〜102℃の蒸気蒸し器内で20分の処理した後、水洗・乾燥処理を行い、更にポリッシャー仕上げ及びシャーリングを行って、毛先の脱色されたパイル布帛に仕上げた。
Figure 2007327157
実施例1〜6,比較例1,2で得られたパイル商品の評価結果を表3に示す。
Figure 2007327157
表3に示すように、実施例1〜4はΔE値の測定結果より、パイル部の表面の色相が目視で判断できるレベルに変化をしている。比較例1、及び2のようにプリントや抜染処理を施すと大きな色相変化は得られているが、本実施例ではプリントや抜染の加工賃は不要であると伴に、抜染後のパイルの洗浄が不要であり、経済的且つ環境的にも、非常に有効なものとなっている。

Claims (4)

  1. アクリル系繊維を用いてなるパイル布帛であって、パイル縫製の加工工程における加熱により、アクリル系繊維パイル部の色調を変化させてなるパイル布帛。
  2. パイル部を構成する繊維の色調を変化させた部分と変色させていない部分との色差が、色差計のΔE値で4.0以上である請求項1に記載のパイル布帛。
  3. アクリル系繊維が、アクリロニトリル40〜95重量%とアクリルニトリルと共重合可能なモノマー5〜60重量%を含有する重合体(A)50〜99重量部と、アクリロニトリル5〜70重量%とアクリル酸エステル15〜80重量%とスルホン酸含有モノマー15〜50重量%を合計で100重量%となるよう含有する重合体(B)を1〜50重量部とを混合し、(A)と(B)の総量が100重量部とした重合体組成物を用いて製造されるものである請求項1又は2に記載のパイル布帛。
  4. アクリル系繊維が、染色温度70℃での染色相対飽和値が0.8以上である請求項1〜3のいずれかに記載のパイル布帛。
JP2006160323A 2006-06-08 2006-06-08 パイル部の色調変化を有するパイル布帛 Pending JP2007327157A (ja)

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