JP3947666B2 - 抜染性に優れたアクリル系合成繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来よりも高い品質、特に染色性と抜染性に優れるアクリル系合成繊維及びそれを含有するパイル布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲンを含有するアクリル系合成繊維は、その特徴である獣毛様、難燃性の性質を生かし、フェイクファー等のハイパイル製品、カーテン、椅子張り、カーペット等のインテリア繊維製品等に広く用いられている。
しかしながら、従来からハロゲンを含有するアクリル系合成繊維は、一般のアクリル繊維と比べ抜染性が劣る欠点を有している。この現象はハロゲン含有量が高いほど顕著である。この主要因としては、共重合しているハロゲン含有単量体が疎水性であるため繊維内部への抜染剤の浸透が困難であると考えられている。スチーム処理を長時間行うことで抜染剤の浸透は進むものの、アクリル系繊維が本来有している風合いを損ねるという問題が生じている。
【0003】
これらの問題を改善する方法としては、抜染用捺染糊に繊維を膨潤あるいは溶解する化合物を混用する方法が、特開昭53−31885号公報、特開昭55−22040号公報、特開昭53−111178号公報に提案されている。さらに特開2000−355886号公報では膨潤性能を有する促染剤を用いることが提案されている。
【0004】
しかし、これらの方法では化合物の効果が最も発揮される使用量(濃度)で繊維の収縮や風合いの硬化等の問題を引き起こしたり、操作が煩雑であったり、価格的に問題がある等、工業的に十分応用できる方法とは言えないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、染色等の品質や風合いを損なうことなく、特に高濃度に先染めが施された繊維の抜染性が改善されたアクリル系合成繊維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのアルキルエステル類、ビニルエステル類等の単量体を、ハロゲン含有アクリル系共重合体に共重合することで、高濃度に先染めが施された繊維の抜染性が改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、ハロゲンを含有するアクリル系合成繊維であって、濃色先染め繊維を白色抜染した後の白度がb値で15以下となる抜染性を有するアクリル系合成繊維に関する。
【0008】
このように優れた抜染性を有する本発明のアクリル系合成繊維は、アクリロニトリル含有量が35〜55重量%、塩化ビニルの含有量が45〜65重量%、スルホン酸基含有単量体の含有量が0〜5重量%および単量体Aの含有量が0.2〜5重量%である単量体を共重合したハロゲン含有アクリル系共重合体からなるものである。ここで単量体Aとは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのアルキルエステル類、ビニルエステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体である。
【0009】
さらに、単量体Aはアクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、スルホン酸基含有単量体はパラスチレンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム及びイソプレンスルホン酸ナトリウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0010】
また、上記アクリル系合成繊維は、濃色先染め繊維を白色抜染した後の白度がb値で15以下となる抜染性を有しているのが好ましい。
【0011】
また、本発明は上記アクリル系合成繊維を含有するパイル布帛、特に白色抜染又は着色抜染処理を施してなるパイル布帛に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0013】
本発明のアクリル系合成繊維は、ハロゲンを含有するアクリル系合成繊維でありながら、優れた抜染性を有している。本発明において、抜染性は、濃色先染め繊維を白色抜染した後の白度で評価される。
【0014】
ここでいう先染めとは、抜染処理を実施する前に、アクリル系合成繊維を抜染用染料及び各種染色用助剤を用いて常法の浸染方式もしくは連染方式により、黒もしくはそれに近い濃色に染色することである。使用する抜染用染料としては、還元性抜染剤、即ち、塩化第一錫及び加工錫等の錫系抜染剤、又はジンクホルムアルデヒドスルホキシレート等の亜鉛系抜染剤によって還元分解出来るカチオン染料が好ましく、一般的には染料構造中にアゾ基(−N=N−)を発色団として1個以上もつカチオン染料である。
【0015】
本発明においては上記先染された繊維を白色抜染して抜染性を評価する。白色抜染には従来から通常の抜染に用いられる抜染用捺染糊を使用する。抜染用捺染糊とは、一般的には抜染剤、染色酸、糊剤などを配合した粘性の水溶液である。抜染剤としては、還元性の強力なジンクホルムアルデヒドスルホキシレート等の亜鉛系抜染剤を用いる事が好ましい。染色酸は不揮発性有機酸が好ましく、酒石酸、リンゴ酸等が一般的である。糊剤は一般捺染において用いられるものであれば何れも使用できるが、抜染用染料を還元分解する性質を有するものが好ましい。例えば、でんぷん系糊、ローカストビーン系糊、ガラクトマンナン系糊等があるが、熱安定性、耐薬品性を持たせる為に分子中のグルコース基を結ぶグルコシッド結合(−O−)の一部又は大部分を切断したものが、糊剤を高濃度で溶解した場合に於いても比較的低粘度の粘性水溶液(捺染糊)を得ることが出来るので好ましい。さらに抜染性の向上を目的としてカチオン系活性剤を使用することもある。ここでカチオン系活性剤とは、通常、アクリル系繊維をカチオン染料を用いて染色する際に、緩染・均染剤として使用する第4級アンモニウム塩であり、芳香族アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等の種類があるが、分子中にC12〜C18のアルキル基を含む第4級アンモニウム塩が好ましい。本発明の抜染方法では、それらカチオン系活性剤を抜染糊中に0.1〜5部混合したものを用いている。
【0016】
本発明のアクリル系合成繊維は、上記白色抜染処理後の白度がb値で15以下を示すものであり、好ましくは11以下である。白度の評価は実施例の項で詳細に述べるが、短繊維の状態で評価する。
【0017】
また本発明のアクリル系合成繊維は、アクリロニトリル含有量が35〜55重量%、塩化ビニルの含有量が45〜65重量%、スルホン酸基含有単量体の含有量が0〜5重量%およびアクリル酸、メタクリル酸及びこれらのアルキルエステル類、ビニルエステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体Aの含有量が0.2〜5重量%であるハロゲン含有アクリル系共重合体より得られるアクリル系合成繊維である。
【0018】
上記アクリロニトリルの含有量が35重量%より少ない場合は、耐熱性、力学的特性に劣り、さらには風合いが獣毛様から遠ざかり好ましくない。また55重量%を越えると難燃性の低下や風合いが獣毛様から遠ざかり好ましくない。
【0019】
本発明で用いられる塩化ビニルのハロゲン含有アクリル系共重合体中の含有量は、獣毛様や難燃性を確保するという点において、45〜65重量%の範囲であることが好ましい。難燃性は塩化ビニルの増加に伴い向上するが、少なくとも45重量%必要である。また、塩化ビニルが65重量%を越えると風合いが獣毛様から遠ざかり、ベタツキ感があってボリューム感に欠けるためである。
【0020】
本発明のアクリル系合成繊維には、染色性改善を目的としてスルホン酸基含有単量体を共重合させてもよい。用いられるスルホン酸基含有単量体としては、例えば、パラスチレンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、イソプレンスルホン酸ナトリウム(2−メチル−1,3―ブタジエン−1−スルホン酸ナトリウム)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(アクリルアミド−t−ブチル−スルホン酸ナトリウム)、パラスチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸(2−メチル−1,3―ブタジエン−1−スルホン酸)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(アクリルアミド−t−ブチル−スルホン酸)などが挙げられる。なかでも、良好な反応性、入手のし易さの面から、パラスチレンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム又はイソプレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。スルホン酸基含有単量体を用いる場合、共重合体中のスルホン酸基含有単量体の含有量は0.1〜5重量%の範囲が好ましい。0.1重量%より少ない場合は、繊維に十分な染色性が得られず、5重量%以上では、十分な染色性が得られるが、染料の吸尽量が飽和となり、コスト的に不利となる。効果、コストから、スルホン酸含有単量体量を0.4〜2重量%とすることがより好ましい。
【0021】
本発明においては、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのアルキルエステル類、ビニルエステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体Aを、上記単量体成分と共重合させることにより、目的とする抜染性を有するアクリル系合成繊維を得ることができる。単量体Aの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体であるアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルのようなアルキルエステル類、また蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステルが挙げられる。この中でも、良好な反応性、入手のし易さの面から、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルが好ましい。またハロゲン含有アクリル系共重合体中の単量体Aの含有量は0.2〜5重量%の範囲である。0.2重量%より少ない場合は、繊維に十分な染色性、抜染性が得られず、5重量%以上では、耐熱性や強度等の力学的特性が低下し、さらにコスト的に不利となる。効果、コストから0.5〜3重量%とすることがより好ましい。
【0022】
上記単量体成分からなるハロゲン含有アクリル系共重合体は、重合開始剤として既知の化合物、例えばパーオキシド系化合物、アゾ系化合物、または各種のレドックス系化合物を用い、通常のビニル重合方法により得ることができる。
【0023】
ハロゲン含有アクリル系共重合体の紡糸方法としては、湿式紡糸法、乾式紡糸法および半乾半湿式紡糸等、紡糸原液に溶剤を使用する紡糸方法があり、一般的には湿式紡糸が用いられる。
【0024】
本発明において、紡糸原液に使用される溶媒とは、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、Nメチル−2−ピロリドン、アセトニトリル等がある。
【0025】
紡糸原液は紡糸性、工程安定性を考慮し、上記の共重合体にとって溶解性の高い溶媒で溶解すれば良く、公知の一般的な溶解方法を用いることが出来る。紡糸原液は共重合体濃度20重量%以上として紡糸するのが好ましい。
【0026】
この紡糸原液を紡糸口金より紡出し、延伸、乾燥及び熱処理を行う。湿式紡糸用の紡糸浴としては、水または水と紡糸原液に用いた同じ溶剤を混合した水溶液を用いることができる。
【0027】
延伸方法は特に限定はなく、公知の延伸装置を用いることができるが、延伸倍率は4倍以上であることが好ましい。延伸倍率が4倍未満では、強度、弾性率等の物性及び光沢等の外観に劣るため好ましくない。
【0028】
通常は延伸の後、必要に応じて紡糸油剤を付与した後に乾燥緻密化及び熱処理を施し、本発明のアクリル系合成繊維を得る。
【0029】
なお必要に応じ、これらの繊維には防錆、着色防止、耐光性等に効果のある安定剤等を添加してもよい。
【0030】
本発明のアクリル系合成繊維は、ハロゲン含有量が高いにもかかわらず、抜染性に優れている。本発明においては、抜染性の評価基準として先に述べたような白色抜染での白度で評価するが、一般的には、抜染とは、白色抜染だけでなく着色抜染もあり、抜染性とは、白色抜染の場合は抜染部分の白色の白度及び先染め部に白抜きされた模様の輪郭の鮮明さ、着色抜染の場合は抜染部分の染料分解と同時に染着する着抜用染料(耐還元性染料)本来の発色性、及び先染め部に別色に染色された模様の輪郭の鮮明さなどでも評価される。本発明のアクリル系合成繊維は、白色抜染だけでなく着色抜染にも優れており、このような一般的な抜染性の指標においても充分目的を達成しうるものである。
【0031】
本発明のアクリル系合成繊維は、その抜染性が必要となる織編物やパイル布帛などに利用できる。なかでも、従来安定した抜染製品を得ることが困難とされるパイル布帛に利用することが出来る点で優れている。その場合の抜染用染料としては、還元性抜染剤、即ち、塩化第一錫及び加工錫等の錫系抜染剤、又はジンクホルムアルデヒドスルホキシレート等の亜鉛系抜染剤によって還元分解出来るカチオン染料が好ましく、一般的には染料構造中にアゾ基(−N=N−)を発色団として1個以上もつカチオン染料である。しかしながら詳細は明確になっていないが、錫系抜染剤と亜鉛系抜染剤では還元分解できる染料の種類に違いがある為、予め使用する抜染剤の種類や目的に合せて染料を選定することが好ましい。
【0032】
一般の抜染に於いては、抜染用染料を使用して先染めした繊維を使用してアクリル系繊維製品、例えばパイル布帛とした後、それに抜染用捺染糊を印捺し、20分〜30分間蒸熱し、洗浄−水洗−乾燥の工程を経て仕上を行うという形で抜染を行う。
【0033】
そのとき使用する抜染用捺染糊としては、白色抜染の場合は、抜染性の評価方法として上述したような抜染用捺染糊が使用できるが、更に着色抜染の場合には、さし色染料及び染料溶解剤を目的に応じて配合し、抜染剤として着色抜染の場合は塩化第一錫等の錫系抜染剤を用いる事が好ましい。さし色染料としては錫系抜染剤によって還元分解されない耐還元性カチオン染料であり、その染料の溶解剤としては尿素が一般的に用いられる。
【0034】
さらに本発明の白色抜染又は着色抜染処理を施したパイル布帛においては、より優れた抜染性の向上を目的として、特開2000−355886に記載されたようなカチオン系活性剤を使用することが好ましい。この方法で抜染したアクリル系繊維は、先染め染料を完全に還元分解出来る為、異色の汚染を受ける事なく目標とする白色或いは別色の模様を発現し且つ模様惚けを起さない等の効果を持つものである。
【0035】
本発明のアクリル系合成繊維は、抜染性だけでなく、染色性、発色性にも優れた繊維である。その理由は定かではないが、親水性を有する単量体Aが疎水性であるハロゲン含有単量体の中に入ることで染色・抜染時の水の浸透を促進する働きをし、その結果、染料や抜染剤の拡散を促し、染着座席であるスルホン酸基へ到達速度を大幅に速めているためと考えられる。抜染過程としては、染着座席置換−染料の遊離−還元分解 が繰り返されて比較的短時間内に抜染が完了すると考えられる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、実施例に先立ち、測定法等の定義について説明する。
(樹脂組成の測定方法)
(1)アクリロニトリル含有量
ヤナコ製CHNコーダを用いて樹脂中の窒素含有量を測定し、この窒素分をアクリロニトリル由来の窒素分とし、アクリロニトリル含有量を計算した。
【0037】
(2)単量体Aの含有量
バリアン社製の1H−NMR(300MHz)を用いて測定した。
【0038】
(3)スルホン酸基含有単量体の含有量
三菱化学製試料燃焼装置QF−02を用い、アルゴン/O2=100/100、加熱温度900℃、加熱時間35分の条件で燃焼ガスを0.3重量%のH22水溶液中に吸収させ、横河製のイオンクロマトグラフィーIC−7000を使い、硫黄の含有量を求めた。この硫黄含有量からスルホン酸基含有単量体の含有量を算出した。
【0039】
(染色吸尽率評価)
アクリル繊維の染色性の基準となるマラカイトグリーン(M.G.)染料を吸尽させ、下記式の相対飽和値SF値に変換し、吸尽力を評価した。染色は沸騰水中、60分間行った。
【0040】
SF=M.G.の染着量×400/463(M.G.の分子量)
(発色性評価)
(1)染色方法
染色機(オーバーマイヤー)に繊維をセットし、ウルトラリン酸(ウルトラMT−110:御弊島化学製)にてpH約3.5に調整した染色浴を仕立て、染色機を稼動させつつ50℃に昇温した。更に合計染料濃度0.36%owfでグレー色になるように調合したカチオン染料(Maxilon Yellow/Maxilon Red/Maxilon Blue=11.5/10.3/10.7:重量比 いずれもCiba−Geigy製)を酢酸で溶解し熱湯で希釈して投入した。次いで90℃まで1分間に1℃の速度で昇温し15分間保った後、0.5℃/分で沸騰するまで昇温し、更に30分間沸騰染色した。その後5℃/分の速度で50℃まで冷却し、通常の水洗、乾燥を経て染色糸を得た。
【0041】
(2)発色性の測定
白度測定と同様に、グレー色に染色された繊維を十分に開繊して1g計り取り、直径30mmの試料台にいれて標準光源Cのもとで色差計タイプΣ90(日本電色工業製)を使用してL値を測定した。
【0042】
(抜染性評価)
(1)先染め方法
染色機(オーバーマイヤー)に繊維をセットし、ウルトラリン酸(ウルトラMT−110:御弊島化学製)にてpH約3.5に調整した染色浴を仕立て、染色機を稼動させつつ50℃に昇温した。更に下記染料処方にて計量した染料を酢酸で溶解し熱湯で希釈して投入した。次いで90℃まで1分間に1℃の速度で昇温し15分間保った後、0.5℃/分で沸騰するまで昇温し、更に60分間沸騰染色した。その後5℃/分の速度で50℃まで冷却し、通常の水洗、乾燥を経て染色糸を得た。
【0043】
Cathilon Discharge Yellow NLH:1.65%omf
Cathilon Red CD−FGLH:0.737%omf
Cathilon Blue GLH(200):1.007%omf
(いずれも保土谷化学社製)
(2)白色抜染処方と抜染性評価
(2−1)短繊維の白色抜染処方と白度評価
抜染剤としてDecrolin(BASF社製)15部、糊剤としてローカストビーン系糊Meypro Gum NP−25(30%濃度:Meyhall社製)10部、緩染剤として第4級アンモニウム塩 Astragal PAN(Bayer社製)1部、酒石酸0.1部、水73.9部を混合して抜染糊を調製した。この抜染糊220gをポット染色機にセットして昇温し、沸騰後、先染めした繊維(短繊維)2gを投入し、30分間抜染を行った後、水洗−乾燥により抜染された繊維を得た。この短繊維を十分に開繊して1g計り取り、直径30mmの試料台にいれて標準光源Cのもとで色差計タイプΣ90(日本電色工業製)を使用して抜染処理後の白度を測定した。なお本実施例・比較例では、b値が11以下を合格とした。
(2−2)パイル原反の白色抜染処方と抜染性評価
抜染剤としてDecrolin(BASF社製)20部、糊剤としてローカストビーン系糊Meypro Gum NP−25(30%濃度:Meyhall社製)40部、緩染剤として第4級アンモニウム塩 Astragal PAN(Bayer社製)1部、酒石酸0.1部、水38.9部を用い、抜染用捺染糊の粘度がB型粘度計で8000〜10000cpになるように調整した。この抜染用捺染糊をローラー捺染機を用いて200〜300g/m2の印捺量でハイパイル原反のパイル面に印奈し、約98℃の蒸し機内で蒸熱処理を30分間実施した後、水洗−乾燥を行った。次いで、ハイパイル原反のパイル乱れ及び風合いを改善するために、ポリッシング−シャーリング処理を行い、ハイパイル生地を最終製品の形態に整えた。このようにして得られた抜染品を、汚染用カラースケール(5級が最も良く、1級が最も悪い)を用いて評価した。
【0044】
次に実施例及び比較例で用いた共重合体の製造例を示す。尚、以下に示す「部」は「重量部」を意味する。
【0045】
(製造例1)[共重合体▲1▼の製造方法]
内容積14Lの耐圧重合反応装置に、イオン交換水200部、アクリロニトリル3.8部、塩化ビニル49.5部、酢酸ビニル2部、ラウリル硫酸ナトリウム0.87部、亜硫酸0.43部、亜硫酸水素ナトリウム0.22部、硫酸第一鉄0.001部、過硫酸アンモニウム0.035部を仕込み、重合温度50℃、重合時間5時間で乳化重合を行なった。重合途中にアクリロニトリル43.95部、パラスチレンスルホン酸ナトリウム0.75部、過硫酸アンモニウム0.23部を追加した。重合終了後、未反応の塩化ビニルを回収し、共重合体ラテックスを得た。得られた共重合体の組成は、アクリロニトリル50.0重量%、塩化ビニル47.8重量%、酢酸ビニル1.5重量%、パラスチレンスルホン酸ナトリウム0.7重量%であった。
【0046】
(製造例2)[共重合体▲2▼の製造方法]
内容積14Lの耐圧重合反応装置に、イオン交換水200部、アクリロニトリル5.5部、塩化ビニル48.5部、ラウリル硫酸ナトリウム0.87部、亜硫酸0.43部、亜硫酸水素ナトリウム0.22部、硫酸第一鉄0.001部、過硫酸アンモニウム0.035部を仕込み、重合温度50℃、重合時間5時間で乳化重合を行なった。重合途中にアクリロニトリル42.5部、メタクリル酸メチル3部、パラスチレンスルホン酸ナトリウム0.5部、過硫酸アンモニウム0.23部を追加した。重合終了後、未反応の塩化ビニルを回収し、共重合体ラテックスを得た。得られた共重合体の組成は、アクリロニトリル50.5重量%、塩化ビニル46.5重量%、メタクリル酸メチル2.5重量%、パラスチレンスルホン酸ナトリウム0.5重量%であった。
【0047】
(製造例3)[共重合体▲3▼の製造方法]
製造例2のメタクリル酸メチルの代わりにアクリル酸を使用した以外は、全く同様にして重合を実施した。得られた共重合体の組成は、アクリロニトリル51.0wt%、塩化ビニル46.0重量%、アクリル酸2.5重量%、パラスチレンスルホン酸ナトリウム0.50重量%であった。
(製造例4)[共重合体▲4▼の製造方法]
内容積14Lの耐圧重合反応装置に、イオン交換水200部、アクリロニトリル4.9部、塩化ビニル52.5部、ラウリル硫酸ナトリウム0.87部、亜硫酸0.43部、亜硫酸水素ナトリウム0.22部、硫酸第一鉄0.001部、過硫酸アンモニウム0.035部を仕込み、重合温度50℃、重合時間5時間で乳化重合を行なった。重合途中にアクリロニトリル42.1部、パラスチレンスルホン酸ナトリウム0.5部、過硫酸アンモニウム0.23部を追加した。重合終了後、未反応の塩化ビニルを回収し、共重合体ラテックスを得た。得られた共重合体の組成は、アクリロニトリル49.0重量%、塩化ビニル50.5重量%、パラスチレンスルホン酸ナトリウム0.5重量%であった。
【0048】
製造例1〜4で得られた共重合体の組成一覧を表1に示した。
【0049】
【表1】
Figure 0003947666
(実施例1)
共重合体▲1▼をアセトンに溶解し、樹脂濃度28重量%の紡糸原液を得た。口径0.1ミリのノズルを用い、25℃−30%アセトン水溶液の凝固浴中に押し出し、80℃熱水中で3倍に延伸、水洗後、120℃×5分の乾燥、130℃で2倍に延伸、160℃×3分の緩和熱処理を行い、3.3dtex、繊維長32mmの短繊維を得た。この短繊維を上記方法で染色吸尽率とグレー染色による発色性を評価した。また抜染用先染めを行った後、短繊維での抜染を行い抜染性を評価した。さらに、この抜染用先染めを行った繊維をフェアノート機にて開繊した後、カーディング機にてスライバーを形成し、スライバーニッティング方式によりパイル長10mmのハイパイル原反を作成した。上記方法にてハイパイル生地の抜染を行ったところ、パイル毛先から約2mmの深さで均一に抜染されており、抜染部分の白色の白度及び、先染め部分と抜染部分の境界は鮮明に発現しており、また、パイル部分の風合いも良好であった。
【0050】
(実施例2)
共重合体▲2▼を用いた以外は実施例1と同様な方法で、3.3dtex、繊維長32mmの短繊維を得て、染色吸尽率と発色性と抜染性を実施例1と同様に評価した。また先染め繊維を用いて実施例1と同様にハイパイル原反を得た。ハイパイル生地の抜染を行ったところ、実施例1と同様、パイル毛先から約2mmの深さで均一に抜染されており、抜染部分の白色の白度及び、先染め部分と抜染部分の境界は鮮明に発現しており、また、パイル部分の風合いも良好であった。
【0051】
(実施例3)
共重合体▲3▼を用いた以外は実施例1同様の方法で、3.3dtex、繊維長32mmの短繊維を得て、染色吸尽率と発色性と抜染性を実施例1と同様に評価した。また先染め繊維を用いて実施例1と同様にハイパイル原反を得た。ハイパイル生地の抜染を行ったところ、実施例1と同様、パイル毛先から約2mmの深さで均一に抜染されており、抜染部分の白色の白度及び、先染め部分と抜染部分の境界は鮮明に発現しており、また、パイル部分の風合いも良好であった。
(比較例1)
共重合体▲4▼を用いた以外は実施例1同様の方法で、3.3dtex、繊維長32mmの短繊維を得て、染色吸尽率と発色性と抜染性を実施例1と同様に評価した。また先染め繊維を用いて実施例1と同様にハイパイル原反を得た。ハイパイル生地の抜染を行ったところ、抜染部分の抜染が不完全で黄色になっており、先染め部分と抜染部分の境界も不鮮明で抜染糊のブリードによる模様惚けがあり、抜染品と言えるものではなかった。
【0052】
得られた繊維及びパイル布帛の特性を表2に示す。
【0053】
【表2】
Figure 0003947666
実施例1〜3はいずれも比較例1と比べて、短繊維の抜染性及びパイル原反の抜染性のみならず染色吸尽性、発色性にも優れていることが判る。
【0054】
【発明の効果】
本発明のアクリル系共重合体樹脂を用いて溶液紡糸することにより、難燃性や獣毛性を損なうこと無く、優れた染色性、抜染性を有する合成繊維及びパイル布帛を得ることができる。

Claims (4)

  1. アクリロニトリル含有量が35〜55重量%、塩化ビニルの含有量が45〜65重量%、スルホン酸基含有単量体の含有量が0〜5重量%および下記に示す単量体Aの含有量が0.2〜5重量%である単量体を共重合したハロゲン含有アクリル系共重合体からなる、抜染性に優れたアクリル系合成繊維。
    単量体A:アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのアルキルエステル類、ビニルエステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体。
  2. 単量体Aが、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載のアクリル系合成繊維。
  3. スルホン酸基含有単量体が、パラスチレンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム及びイソプレンスルホン酸ナトリウムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2記載のアクリル系合成繊維。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載のアクリル系合成繊維を使用したパイル布帛。
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