JPWO2006109858A1 - 糖タンパク質からの糖鎖の切り出し法、糖鎖の質量分析法、及び糖タンパク質の質量分析法 - Google Patents

糖タンパク質からの糖鎖の切り出し法、糖鎖の質量分析法、及び糖タンパク質の質量分析法 Download PDF

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Abstract

膜に固相化された糖タンパク質を直接膜上でMALDI−TOF MS分析するための、糖遊離酵素による膜上酵素反応方法;膜に固相化された糖タンパク質から切り出した糖を直接膜上でMALDI−TOF MS分析するための糖の質量分析法;及び、膜に固相化された糖タンパク質を直接膜上でMALDI−TOF MS分析するための糖タンパク質の質量分析法を提供する。支持体上に固相化された糖タンパク質に対し、糖鎖遊離酵素溶液を分注して糖鎖の切り出しを行い、切り出された糖鎖を得る方法であって、前記糖鎖遊離酵素溶液は、糖鎖遊離酵素を、実質的に揮発性成分からなる反応緩衝溶液中に含む溶液である、糖鎖の切り出し法。前記糖鎖の切り出し法を用いた、糖鎖の質量分析法及び糖タンパク質の質量分析法。

Description

本発明は、糖タンパク質の構造解析法に関する。特に、本発明は、支持体上に固相化された糖タンパク質を、質量分析法により構造解析を行う方法に関する。
生体タンパク質は、その半数以上が糖鎖修飾を受けている。そのため、機能や疾患における変異を考慮したタンパク質構造解析においては、タンパク質本体と修飾糖鎖の両方を解析する必要がある。従来の糖タンパク質の解析法では、2D−PAGEでの糖タンパク質を分離、糖タンパク質スポットの切り出し、チューブ内での糖タンパク質のペプチド消化又は糖鎖の切り出し、ペプチド消化物及び切り出した糖鎖それぞれのカラムなどによる分離・精製、及びMS解析を基盤とした構造解析が行われる。
一方、最近では、国際公開第98/47006号パンフレットやモレキュラー・アンド・セルラー・プロテオミクス、第1巻、2002年、p.490−499において、2D−PAGE後にPVDF膜へ転写固定したタンパク質に対して、ピエゾ素子等のインクジェット技術を用いた微量分注装置によるトリプシンの微量分注、膜上酵素反応、マトリックスの分注を行い、直接膜上でMALDI−TOF−MS解析によるペプチド解析を行う、といった、微量分注テクノロジーによる一連の解析法が報告されている。
そして、上記の微量分注テクノロジーの応用例として、モレキュラー・アンド・セルラー・プロテオミクス、第1巻、2002年、p.490−499においては、以下のような糖タンパク質の構造解析を行っている。すなわち、PVDF膜に転写固定された糖タンパク質に対しても同様に、電気泳動による展開、Roche社製のペプチド−N−グリコシダーゼF(PNGaseF)のタンパク質スポットへのプリントを行うことによる酵素反応、1μLの純水を用いたスポット中のN−グリカンの手動抽出、及び、LC−ESI MSでの糖鎖解析を行っている。一方、糖鎖を抽出したタンパク質スポットに対して純水を用いた洗浄(残存PNGaseFの除去のため)、同スポットへトリプシンの分注を行うことによる膜上酵素消化反応、マトリックスの分注を行い、直接ペプチド解析を行っている。このように、糖タンパク質の構造解析を行っている。
国際公開第98/47006号パンフレット モレキュラー・アンド・セルラー・プロテオミクス(Molecular & Cellular Proteomics)、第1巻、2002年、p.490−499
発明の目的
上記微量分注テクノロジーによるタンパク質の解析法では、一連の操作を膜上で行い、ケミカルプリンタ手法の有効性を報告している。
しかしながら、上記微量分注テクノロジーを応用した糖タンパク質の解析法では、糖鎖解析の際、PVDF膜に存在するN−グリカンを水を用いて手動で抽出し、その抽出物をLC−ESI MSで測定しているように、消化物の抽出や精製といった複雑な作業を伴う。このため、ケミカルプリンタを用いることのスループット性を生かしきれていない。
また、上記方法においては、PNGaseF処理の際、100mMリン酸ナトリウム緩衝溶液、25mM EDTA、pH7.2で緩衝された5unit/μL濃度の酵素溶液を500nLプリントしている。酵素反応溶液に多量に含まれるEDTAは、質量分析において糖鎖と重なる強いピークを生じることと、マトリックスの結晶化を妨げることとを考慮し、膜上での直接MALDI−TOF−MS解析を行うことは困難である。このため、LC−ESI MS解析法を採用し、EDTAを糖鎖からカラムでLC分離することによって、MS解析を達成している。
市販のPNGaseF(Roche社、タカラ社などから購入可能)では全てに前記と同様の緩衝溶液が含まれている。そこでPNGaseFの酵素反応を阻害せず、かつMALDI−TOF MSに影響を与えることのない膜上酵素反応の条件を開発する必要がある。
そこで本発明の目的は、膜に固相化された糖タンパク質を直接膜上でMALDI−TOF MS分析するための、糖鎖遊離酵素による膜上酵素反応方法;膜に固相化された糖タンパク質から切り出した糖鎖を直接膜上でMALDI−TOFMS分析するための糖鎖の質量分析法;及び、膜に固相化された糖タンパク質を直接膜上でMALDI−TOF MS分析するための糖タンパク質の質量分析法を提供することにある。
発明の概要
本発明者は、実質的に揮発性成分からなる反応緩衝溶液を用いることによって、上記本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明を含む。
<1> 支持体上に固相化された糖タンパク質に対して、糖鎖遊離酵素溶液を分注して糖鎖の切り出しを行い、切り出された糖鎖を得る方法であって、
前記糖鎖遊離酵素溶液は、実質的に揮発性成分からなる緩衝剤を含む反応緩衝溶液中に、糖鎖遊離酵素を含む溶液である、糖鎖の切り出し法。
<2> 前記糖鎖遊離酵素が、N−グリカナーゼ又はグリコペプチダーゼAである、<1>に記載の糖鎖の切り出し法。
<3> 前記反応緩衝溶液が、(NH)HCO緩衝溶液、CHCONH緩衝溶液、(NHCO緩衝溶液、及びN(CHCH緩衝溶液から選ばれる、<1>又は<2>に記載の切り出し法。
<4> 前記固相化された糖タンパク質は、前記糖鎖遊離酵素以外のエンドグリコシダーゼ又はエキソグリコシダーゼによって処理されている、<1>〜<3>のいずれかに記載の糖鎖の切り出し法。
<5> <1>〜<4>のいずれかに記載の方法によって得られた前記切り出された糖鎖を、同一支持体上でMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量分析により検出する、糖鎖の質量分析法。
<6> (1)<1>〜<4>のいずれかに記載の方法によって前記切り出された糖鎖を得る工程、
(2)前記固相化された糖タンパク質に対して、タンパク質分解酵素溶液を分注してペプチドの断片化を行い、ペプチド断片を得る工程、及び
(3)前記(1)で得られた前記切り出された糖鎖と前記(2)で得られたペプチド断片とを、同一支持体上でMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量分析により検出する工程を含む、糖タンパク質の質量分析法。
本発明によると、膜に固相化された糖タンパク質を直接膜上でMALDI−TOF MS分析することができる糖鎖遊離酵素による膜上酵素反応方法;膜に固相化された糖タンパク質から切り出した糖鎖を直接膜上でMALDI−TOFMS分析することができる糖鎖の質量分析法;及び、膜に固相化された糖タンパク質を直接膜上でMALDI−TOF MS分析することができる糖タンパク質の質量分析法を提供することができる。本発明によると、支持体上に固相化された糖タンパク質を直接質量分析に供することができ、糖鎖の抽出・精製の手間を省くことができるため、スループット性の高い質量分析法を提供することができる。
図1は、タンパク質スポットへのPNGaseF溶液及びトリプシン(Trypsin)溶液のプリントイメージである。
図2は、オバルブミンに対するPNGaseFのプリントで得られた糖鎖のマススペクトル(a)、及び、GlycoMod SearchによるN−グリカン(N−glycan)の同定結果(b)である。
図3は、オバルブミンに対するトリプシンのプリントで得られたペプチド断片のマススペクトル(a)、及び、Mascot Searchによるタンパク質の同定結果(b)である。
図4は、トランスフェリンに対するPNGaseFのプリントで得られた糖鎖のマススペクトル(a)、及び、GlycoMod SearchによるN−グリカン(N−glycan)の同定結果(b)である。
図5は、トランスフェリンに対するトリプシンのプリントで得られたペプチド断片のマススペクトル(a)、及び、Mascot Searchによるタンパク質の同定結果(b)である。
図6は、フェツインに対するPNGaseFのプリントで得られた糖鎖のマススペクトルである。
図7は、シアリダーゼ処理を行ったフェツインに対するPNGaseFのプリントで得られた糖鎖のマススペクトル(a)、及び、GlycoMod SearchによるN−グリカン(N−glycan)の同定結果(b)である。
<糖鎖の切り出し法>
本発明の糖鎖の切り出し法では、支持体上に固相化された糖タンパク質の糖鎖の切り出しを行う。本発明の糖鎖の切り出し法は、切り出した糖鎖を直接膜上で質量分析する場合に特に有用に用いられる。
支持体には、メンブレン、プレート、非磁性粒子、磁性粒子等から選ばれる少なくとも1つが用いられる。メンブレンを用いる場合、糖タンパク質は、電気的にメンブレンに転写させて使用することができる。メンブレンとしては、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ニトロセルロース、ポリアミド、ポリエチレン等の有機合成高分子及びその誘導体を挙げることができる。ポリアミドとしては、ナイロン等が挙げられる。
プレートとしては、ガラス製プレート、樹脂製プレート、金属製プレート等が挙げられる、このようなプレートを用いる場合は、糖タンパク質を含む試料の電気泳動後のゲルや、糖タンパク質が転写されたメンブレンを、プレートの表面に接触させて使用することができる。
本発明の糖鎖切り出し法が質量分析のために用いられる場合は、前記支持体には好ましくは金属製プレート、例えば質量分析用サンプルプレートが用いられる。支持体として質量分析用サンプルプレートを用いた場合は、糖鎖切り出し後、同一支持体上で質量分析が可能となる点で好ましい。このとき、質量分析用サンプルプレート上に固相化された糖タンパク質は、糖タンパク質を含む試料を電気泳動したゲルと、質量分析用サンプルプレートとを接触させて得たものとすることができる。また、質量分析用サンプルプレートに、糖タンパク質を(電気泳動後のゲル等から)メンブレンに転写したものを貼り付ける等行うことによって固着させて得たものであっても良い。なお固着には導電性両面粘着テープ等を用いた固定を行うと良い。
さらに、非磁性粒子を用いた支持体としては、ポリサッカライドゲルや合成ポリマー等を用いた支持体が用いられる。磁性粒子を用いた支持体としては、電気泳動後の被転写支持体としての支持体の基本構造に通電性の磁性金属を使用したもの等が用いられる。
本発明において、支持体上に固相化された糖タンパク質の好ましい例としては、糖タンパク質を含む試料を電気泳動展開した後、PVDF膜への転写を行い、転写されたPVDF膜を質量分析用サンプルプレートに固着させたものが挙げられる。
糖鎖遊離酵素としては特に限定はなく、例えば、ペプチドN−グリカナーゼやグリコペプチダーゼAなどを用いることができる。前記糖鎖遊離酵素は、以下の条件を満たす反応緩衝溶液中に含まれた、糖鎖遊離酵素溶液として用いる。糖鎖遊離酵素溶液中の糖鎖遊離酵素の濃度としては特に限定されず、1つの分注領域に所望の酵素量を含ませることができるように、当業者が適宜決定すればよい。例えば、1つの分注領域に5マイクロUnitsの酵素量が含まれるようにする場合、分注量を50nlとすれば、酵素溶液は100mUnits/ml濃度に調製すればよい。
本発明の反応緩衝溶液は、切り出した糖鎖を直接膜上でMALDI質量分析する場合に、糖鎖のイオン化を妨げる成分、及び、マススペクトル上で糖鎖由来ピークの検出を妨げる成分を実質的に含まない。
糖鎖のイオン化を妨げる成分としては、リン酸ナトリウムやリン酸カリウムなどが挙げられる。これらの塩は通常緩衝剤として用いられることの多い成分であるが、不揮発性であるため、膜上に残存する。このため、膜上でのマトリックスの結晶化が阻害され、糖鎖のイオン化が妨げられる。さらに、界面活性剤も同様に糖鎖のイオン化を妨げる成分である。
マススペクトル上で糖鎖由来のピークの検出を妨げる成分としては、EDTAや界面活性剤などが挙げられる。緩衝溶液中にこのような成分、例えばEDTAや界面活性剤を含んでいると、マススペクトルにおいて強いEDTAや界面活性剤のピークが検出され、一方で、糖鎖由来のピークはノイズに埋まってしまい、検出できなくなる。このため、糖鎖由来のピークの検出が妨げられる。
従って、本発明の反応緩衝溶液には、緩衝剤として実質的に上記のような成分を含まない。すなわち、本発明の反応緩衝溶液に用いられる緩衝剤は、実質的に揮発性物質から選ばれる。ここで、実質的に上記のような成分を含まないとは、上記の成分が、糖鎖のイオン化を妨げない程度、又は糖鎖由来のピークの検出を妨げない程度に含まれることを許容するという意味である。例えば、糖鎖のイオン化を妨げる成分については、1つの分注領域に含まれるトータル量として、例えばリン酸緩衝液の緩衝剤であれば25pico moleまで、Tris−HCl緩衝液の緩衝剤であれば1pico moleまでの微量が許容される。また、糖鎖由来のピークの検出を妨げる成分については、1つの分注領域に含まれるトータル量として、例えばEDTAや界面活性剤であれば0.5pico moleまでの微量が許容される。これら以外の不揮発性成分の許容量も、適宜定めることができる。このように、本発明の反応緩衝溶液は不揮発性成分をある程度含むことを許容するが、このような成分を全く含まない、揮発性成分のみからなる反応緩衝溶液であることが好ましい。
実質的に揮発性物質からなる緩衝剤を含む本発明の反応緩衝溶液は、例えば、揮発性の弱酸−揮発性の共役塩基や、揮発性の弱塩基−揮発性の共役酸といった緩衝系を有する。本発明における揮発性とは、0.1パスカル程度の減圧(平均的なロータリーポンプによる減圧に相当する)下において、室温(20〜37℃)、30分〜一昼夜で完全に気化する性質をいう。反対に、本発明における不揮発性とは、上記条件下において個体又は液体で存在する性質をいう。
本発明の緩衝溶液は、以下の成分を含む。揮発性弱酸の成分としては、ギ酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、ホウ酸等から1種又は複数種が選ばれ;揮発性弱塩基の成分としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、アニリン、ピリジン等から1種又は複数種が選ばれ;揮発性塩の成分としては、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等;及び、炭酸水素イオン、酢酸イオン、フェノラートイオン、ホウ酸イオン、安息香酸イオン等から1種又は複数種が選ばれる。
これらの成分を適宜組み合わせ、糖鎖遊離酵素の反応至適pHに調整する。具体的なpHとして、7〜9、好ましくは8〜9に調製することができる。本発明の反応緩衝溶液は具体的には、(NH)HCO緩衝溶液、CHCONH緩衝溶液、(NHCO緩衝溶液、N(CHCHを用いた緩衝溶液等から選ばれる。ここに挙げた緩衝溶液は、1種又は複数種を混合して用いても良い。
本発明で用いる反応緩衝溶液の濃度としては、10〜50mM程度、例えば25mM程度が好ましい。
例えば、本発明において、市販のN−グリカナーゼを用いる場合は、以下の操作を行う。市販のN−グリカナーゼ(例えばタカラ社製PNGaseF)は、EDTA、リン酸ナトリウムを含んでいる。これらを限外濾過法などによって除去し、本発明の反応緩衝溶液、例えば25mM重炭酸アンモニウムに交換した糖鎖遊離酵素溶液として用いる。
このような糖鎖遊離酵素溶液を支持体上に滴下するために、微量分注装置を用いることができる、微量分注装置としては、インクジェット法において用いられるような、ピエゾ素子などを搭載した装置を用いることができる。このような装置としては、ケミカルプリンタCHIP−1000(島津製作所製)などが挙げられる。
本発明において微量分注装置を用いると、一個のインクジェット吐出部から1回の分注操作につき添加される液量を、例えば100pl程度に制御することができる。インクジェットの機構によっては、これよりさらに少ない量に制御することもできる。また、吐出を繰り返すことによって所望の液量を滴下することも可能である。特定の1つの領域に対しては、例えばナノリットルレベルの液量を分注することができる。
また、微量分注装置を用いることによって、例えば100pl程度の吐出によって7800μm程度の極小の分注範囲を生じる。この分注範囲は、インクジェットの機構によってさらに小さい範囲に限局することもできる。従って、支持体上のターゲットとなる位置に性格に滴下を行うことが可能になる。本発明においては、具体的には、直径0.5mmよりも小さい分注範囲であることが好ましい。直径0.5mmよりも小さい分注範囲は、一個のプロテインスポットの約20%よりも小さい面積を占める程度の微小な領域である。
さらに、インクジェット吐出部の支持体上の相対位置を変えることにより分注位置をずらしていくことができるため、支持体上の異なるタンパク質スポットについて溶液を分注することもできる。
なお、糖鎖遊離酵素溶液に限らず、後に記載する他の酵素溶液、親水化剤溶液、水、マトリックス溶液など、支持体上へ滴下される溶液は全て、この微量分注装置を用いて分注することができる。
具体的には、分注する糖鎖遊離酵素溶液の量としては、展開に供した糖タンパク質の量にも依るが、1つ分注領域あたり、5マイクロunitsより多くの、好ましくは25マイクロunits以上の、例えば25マイクロunitsの糖鎖遊離酵素が含まれるように調節すると良い。このような量で、十分な酵素反応を起こすことができ、質量分析での検出ピークにおける1000ショットの積算スペクトルからは、S/N比が良好に得られ、ノイズも少ない。糖鎖遊離酵素溶液の分注量の上限値としては特に限定されない。例えば、50マイクロunitsの糖鎖遊離酵素量でも、25マイクロunitsの糖鎖遊離酵素量のときとほとんど差がないくらいの上記の良好な結果が得られる。このように、糖鎖遊離酵素量を多くしてもマススペクトルのノイズやS/N比において特に変化することはないため、分注量は当業者が適宜決定することができる。反対に、5マイクロunits以下の糖鎖遊離酵素量では、質量分析で得られるスペクトルにおいてノイズが高い結果になる。
また、タンパク質スポットの親水化処理剤としては、n−オクチル−β−D−グルコピラノシドやポリビニルピロリドンを用いることができる。このうち、ポリビニルピロリドンは、安定して糖鎖切り出しの反応が起こり、再現性も高いことから好ましい。ポリビニルピロリドンとしては、ポリビニルピロリドン360からポリビニルピロリドン40の分子量のものを広く用いることができ、このような分子量のポリビニルピロリドンはどのようなものでも同様の良好な反応効果が得られる。
親水化処理剤は、上述の緩衝溶液や揮発性有機溶媒に溶解して使用することができる。揮発性有機溶媒を用いる場合は、例えばメタノールを用いることができ、例えば60%(v/v)程度の水溶液として用いることができる。親水化処理剤の濃度としては、例えば、0.1〜5(w/v)%で用いることができる。ポリビニルピロリドンの場合であれば、0.25(w/v)%程度を用いると良い。親水化処理剤溶液の使用量は、当業者が適宜決定すればよい。
糖鎖の切り出し反応の条件としては、通常の条件を用いればよい。例えば、20〜37℃で30分〜一晩(例えば17時間)反応させればよい。
ここで、本発明の支持体上に固相化された糖タンパク質は、糖鎖遊離酵素による糖鎖切り出しの前に、予めエンドグリコシダーゼ処理又はエキソグリコシダーゼ処理が行われたものでも良い。なお、このように前処理として行われる場合に用いられるエンドグリコシダーゼは、前記の糖鎖遊離酵素とは異なるものである。
例えば、酸性糖鎖を有する糖鎖については、上記エンドグリコシダーゼ処理又はエキソグリコシダーゼ処理を行ったほうが良い場合がある。酸性糖鎖は、そのマイナスチャージのためにポジティブモードの質量分析では検出が難しいものがある。そして、そのような酸性糖鎖は、ネガティブモードで質量分析しても検出のためには多量のサンプルが必要となることがある。そのような酸性糖鎖の場合は、上記エンドグリコシダーゼ処理又はエキソグリコシダーゼ処理を行うことが好ましい。
この処理は、エンドグリコシダーゼ又はエキソグリコシダーゼを反応緩衝溶液中に含むグリコシダーゼ溶液を分注して酸性糖を加水分解することによって行われる。グリコシダーゼ溶液に用いられる反応緩衝溶液としては、上記の糖鎖の切り出しで用いられるものと同じ条件を満たす反応緩衝溶液をグリコシダーゼの至適pHで用いてもよいし、通常用いられる反応緩衝溶液(すなわち、EDTAやリン酸塩を含む緩衝溶液)を用いても良い。
例えば、エンドグリコシダーゼ処理又はエキソグリコシダーゼ処理によって切断した糖鎖断片を、後に同一支持体上で質量分析する場合は、上記の糖鎖の切り出しで用いられるのと同じ条件を満たす反応緩衝溶液を用いる。
一方、エンドグリコシダーゼ処理又はエキソグリコシダーゼ処理によって切断した糖鎖断片を、後に同一支持体上で質量分析しない場合は、通常の緩衝溶液を用いることができる。この場合は、グリコシダーゼ反応の後、水洗浄を行って、糖鎖断片を除去する。水洗浄においては、例えば5分の水洗浄を3回程度行うと良い。
エンドグリコシダーゼ処理又はエキソグリコシダーゼ処理の条件としては、通常の条件を用いればよい。例えば、20〜37℃で30分〜一晩(例えば17時間)反応させればよい。
酸性糖としては代表的なものにシアル酸が挙げられる。シアル酸を有する糖鎖を含む糖タンパク質としては、フェツイン、トランスフェリン、α1−酸性糖タンパク質などが挙げられる。
例えば、フェツインのN−glycanは2本鎖と3本鎖が知られており、多くの場合、糖鎖の末端全てにシアル酸が結合している。このように、フェツインは酸性を示すことから、質量分析においてポジティブモードでの検出を行うことが難しい。ネガティブモードでの検出を行うことも可能であるが、感度を高めるために多量のサンプルを用意することが必要な場合もある。そこで、フェツインの場合はシアリダーゼ処理を行うことが好ましい。
シアリダーゼ処理については、シアリダーゼの活性が高いことから、ごく少量の滴下量を用いればよい。例えば、0.1%(v/v)酢酸水溶液中に0.25munitsのシアリダーゼを含むシアリダーゼ溶液を用いることができる。これによって、糖鎖末端のシアル酸が加水分解される。遊離したシアル酸は検出をする必要がないため、水で洗浄することにより除去すると良い。この処理によって、後の質量分析が容易になる。
α1酸性糖タンパク質については、シアル酸が結合している糖鎖が限定されているため、シアリダーゼ処理無しでも検出できることがある。また、シアル酸が結合していてもその数は1個である。1個シアル酸が結合している程度の糖鎖であれば、シアリダーゼ処理無しでも質量分析でイオン化させることはあまり難しいことではない。従って、α1酸性糖タンパク質の場合は、シアリダーゼ処理は行っても良いし、行わなくとも良い。その必要性については、当業者が適宜決定すればよい。
また、トランスフェリンについても、シアリダーゼ処理なしでも検出が可能である。従って、トランスフェリンについてもシアリダーゼ処理は行っても良いし、行わなくとも良い。その必要性については、当業者が適宜決定すればよい。
<糖鎖の質量分析法>
本発明の糖鎖の質量分析法では、上述の糖鎖切り出し法を用いる。
すなわち、まず、支持体上に固相化された糖タンパク質に対して、上述の方法を行うことによって切り出された糖鎖を得る。次に、切り出された糖鎖について同一支持体上でMALDI質量分析を行う。
使用するマトリックス、マトリックスを溶解させるための溶媒、マトリックス濃度などについては、当業者が適宜決定することができる。糖鎖の加水分解を避けるため、TFAを含まない溶媒を用いることが好ましい。具体例としては、25%アセトニトリル水溶液を用いた10mg/ml濃度の2,5−DHBなどが挙げられる。マトリックス溶液は、すでに述べたような微量分注装置を用い、切り出しのための糖鎖遊離酵素などを滴下した位置と同じ位置に対して滴下する。マトリックス溶液を乾燥させた後、MALDI質量分析装置によって測定を行い、糖鎖の同定を行う。
本発明の糖鎖の質量分析法では、糖鎖の切り出しの工程において、すでに述べたような実質的に揮発性物質からなる反応緩衝溶液を用いたことで、イオン化が妨げられることなく、且つ糖鎖由来のピークの検出が妨げられることもない。このため、糖鎖の切り出しを行ったときと同一の支持体上で直接MALDI質量分析が可能となった。なお、得られるマススペクトルにおいては、ペプチドに由来するシグナルは検出されない。
<糖タンパク質の質量分析法>
本発明の糖タンパク質の質量分析法では、上述の糖鎖の切り出し法を用いる。
すなわち、まず、支持体上に固相化された糖タンパク質に対して、上述の方法を行うことによって切り出された糖鎖を得る。
一方で、支持体上に固相化された糖タンパク質について、タンパク質分解酵素溶液を滴下することによってペプチド断片を得る。このとき、糖鎖の質量分析の対象として用いたタンパク質のスポットと同じスポット内であって、前記の糖鎖切り出しのための糖鎖遊離酵素溶液を分注した位置と異なる位置に、タンパク質消化酵素を分注する。消化の条件としては、特に限定することなく、当業者が適宜決定することができる。
糖鎖切り出しを行った位置と、タンパク質消化を行った位置とに、すでに述べたようなマトリックス溶液を滴下し、乾燥させる。切り出された糖鎖について、MALDI質量分析装置によって測定を行い、糖鎖の同定を行う。ペプチドについてもMALDI質量分析装置によって測定を行い、PMF分析によりペプチドの同定を行う。
本発明の糖タンパク質の質量分析法では、糖鎖の切り出しの工程において、すでに述べたような実質的に揮発性物質からなる反応緩衝溶液を用いたことで、糖鎖の質量分析においては、イオン化が妨げられることなく、且つ糖鎖由来のピークの検出が妨げられることもない。このため、糖鎖の切り出しを行ったときと同一の支持体上で直接MALDI質量分析が可能となった。なお、得られる糖鎖のマススペクトルにおいては、ペプチドに由来するシグナルは検出されない。
なお、本発明において質量分析を行う場合は、MS及びMS/MS以上の多段階MSを行うことができる。多段階MSを行う場合は、試料量などを当業者が適宜調節することによって行えばよい。
以下に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
<実験例1>
標準糖タンパク質4種(オバルブミン、アシアロフェツイン、トランスフェリン、α1−酸性糖タンパク)のそれぞれ40pmolを、1次元の電気泳動(SDS−PAGE)によってゲル上に展開した。分離された各糖タンパク質を、ゲルからPVDF支持体上に電気的に転写した。Direct Blue 71を用いて染色を行った後、両面導電テープを用いてメンブレンをMALDI−TOFターゲットプレートに直接貼り付けた。このようにして、メンブレン上に固相化された各糖タンパク質を得た。
PNGaseF(タカラ社製)を限外ろ過し、緩衝溶液を25mM重炭酸アンモニウム水溶液と交換し、PNGaseF溶液を得た。別途トリプシン溶液を用意した。PNGaseF溶液とトリプシン溶液とを、メンブレン上に固相化された各糖タンパク質スポットへ、CHIP−1000(島津製作所製)を用いてプリント(分注)した。プリント後のメンブレンにおいて、α1−酸性糖タンパク(α1−AGP)及びオバルブミンのスポット部分を拡大したものを図1に示す。PNGaseF溶液とトリプシン溶液とを重ならないようにプリントすることによって、図1のように、1つのタンパク質スポットにつき、2つのPNGaseF溶液のプリント領域と2つのトリプシン溶液のプリント領域を得た。全てのプリント領域は、直径0.5mm以下にコントロールした。
マトリックス溶液(10mg/ml、2,5−DHB)を、各プリント位置(糖鎖切り出し位置及びペプチド消化位置)へ重ねてプリントした。乾燥後、膜上で直接MALDI−QIT−TOF質量分析装置AXIMA−QIT(島津製作所製)を用いて分析を行った。
本実施例で得られたマススペクトルのうち、オバルブミンに対するPNGaseFのプリントで得られた糖鎖のマススペクトルを図2(a)に示す。また、図2(a)のマススペクトル中*印でマークしたピーク((m/z)=1257.5,1419.6,1663.7,1745.8,1866.8)についてのGlycoMod Search(http://au.expasy.org/tools/glycomod/)による同定結果を図2(b)に示す。
オバルブミンに対するトリプシンのプリントで得られたペプチド断片のマススペクトルを図3(a)に示す。また、図3(a)のマススペクトル中印でマークしたピークについてのMascot Search(http://www.matrixscience.com/search_form_select.html)によるタンパク質の同定結果を図3(b)に示す。図3(b)が示すように、最も高いスコアでオバルブミン(Ovalbumin(chiken);矢印)がヒットした。
トランスフェリンに対するPNGaseFのプリントで得られた糖鎖のマススペクトルを図4(a)に示す。また、図4(a)のマススペクトル中*印でマークしたピーク((m/z)=1663.7,1976.9,2289.9)についてのGlycoMod Searchによる同定結果を図4(b)に示す。
トランスフェリンに対するトリプシンのプリントで得られたペプチド断片のマススペクトルを図5(a)に示す。また、図5(a)のMascot Searchによるタンパク質の同定結果を図5(b)に示す。図5(b)が示すように、最も高いスコアでトランスフェリン(transferrin(human);矢印)がヒットした。
このように、全ての糖タンパク質について、糖部分は既報で示されたN−グリカンが検出され、タンパク質部分は高スコアで同定が確認された。
[実施例2]
まず、シアル酸を有するフェツイン40pmolを用い、実施例1と同様にして糖鎖について質量分析を行った。得られたマススペクトルを図6に示す。図6が示すように、バックグラウンドノイズのみで、糖鎖のシグナルは得られなかった。
次に、シアル酸を有するフェツイン40pmolを用い、シアリダーゼ(ノイラミニダーゼ、ナカライテクス社製)(0.25mユニット量、0.1%酢酸水溶液)をプリントしてシアル酸を切断する反応を行い、メンブレンを純水で洗浄(5分×3回)し、乾燥させ、その後にPNGaseF処理を行った以外は、実施例1と同様に行って糖鎖について質量分析を行った。得られたマススペクトルを図7(a)に示す。また、図7(a)のマススペクトル中*印でマークしたピーク((m/z)=1663.7,2028.9)についてのGlycoMod Searchによる同定結果を図7(b)に示す。図7(b)が示すように、シアル酸を切断することによって糖鎖由来のシグナルを得ることができた。
上記実施例においては、オバルブミン、アシアロフェツイン、トランスフェリン、α1−酸性糖タンパク、及びフェツインを解析すべき糖タンパク質とし、糖鎖遊離酵素としてN−グリカナーゼを、反応緩衝溶液として重炭酸アンモニウム水溶液を用いて解析を行った。しかし、本発明は、上記以外の糖タンパク質、N−グリカナーゼ以外の糖鎖遊離酵素、及び、重炭酸アンモニウム水溶液以外の反応緩衝溶液にも適用される。そのため、これら実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変更は、すべて本発明の範囲内のものである。

Claims (6)

  1. 支持体上に固相化された糖タンパク質に対し、糖鎖遊離酵素溶液を分注して糖鎖の切り出しを行い、切り出された糖鎖を得る方法であって、
    前記糖鎖遊離酵素溶液は、実質的に揮発性成分からなる緩衝剤を含む反応緩衝溶液中に、糖鎖遊離酵素を含む溶液である、糖鎖の切り出し法。
  2. 前記糖鎖遊離酵素が、N−グリカナーゼ又はグリコペプチダーゼAである、請求の範囲第1項に記載の糖鎖の切り出し法。
  3. 前記反応緩衝溶液が、(NH)HCO緩衝溶液、CHCONH緩衝溶液、(NHCO緩衝溶液、及びN(CHCH緩衝溶液から選ばれる、請求の範囲第1項に記載の糖鎖の切り出し法。
  4. 前記固相化された糖タンパク質は、前記糖鎖遊離酵素以外のエンドグリコシダーゼ又はエキソグリコシダーゼによって処理されている、請求の範囲第1項に記載の糖鎖の切り出し法。
  5. 請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載の方法によって得られた前記切り出された糖鎖を、同一支持体上でMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量分析により検出する、糖鎖の質量分析法。
  6. (1)請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載の方法によって前記切り出された糖鎖を得る工程、
    (2)前記固相化された糖タンパク質に対して、タンパク質分解酵素溶液を分注してペプチドの断片化を行い、ペプチド断片を得る工程、及び
    (3)前記(1)で得られた前記切り出された糖鎖と前記(2)で得られたペプチド断片とを、同一支持体上でMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量分析により検出する工程を含む、糖タンパク質の質量分析法。
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