JPWO2006090719A1 - 海洋生物付着防止剤及びその方法 - Google Patents
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Abstract
イオン架橋性基を官能基とする多官能性水溶性ポリマーを主成分として含有し、海洋環境に配される物体の表面に水溶液の形態で適用した後、イオン架橋させることにより当該物体表面に前記水溶性ポリマーのハイドロゲル膜を形成し得る、海洋生物付着防止剤である。さらに、イオン架橋性基を官能基とする多官能性水溶性ポリマーを主成分とする水溶液を前記物体の表面に適用して前記水溶液の被膜を形成する第1工程、場合により存在してもよい、前記水溶液の被膜を乾燥させ、前記水溶性ポリマーの被膜を形成させる第2工程、及び、前記物体の表面に形成された前記水溶液の被膜又は前記水溶性ポリマーの被膜に、海水等の多価金属イオン含有水溶液を適用し、前記水溶性ポリマーをイオン架橋してハイドロゲル膜を前記物体の表面に形成させる第3工程、を有する、海洋環境に配される物体の、海洋生物による付着を防止する方法である。
Description
本発明は、海洋環境に配される物体(例えば、魚網、底引網、原子力発電所の取水口、船底)に海洋生物が付着することを有効に防止可能な、海洋生物付着防止剤に関する。
現在、漁網や船底には、汚損生物が付着するのを防ぐため、防汚剤(抗付着剤)と呼ばれる薬物が塗布されている。この薬剤は、除草効果のある有機窒素硫黄または無機銅系化合物を主成分としており、海水中に浸漬されると徐々に溶け出し除草効果を示すというものである。つまりこれは、網などの表面だけでなく、付近に棲息する有用海藻のコンブやウニ・アワビ等の食用海産物にも無差別的に影響を与えることを意味しており、実際にこうした薬剤を使用し続けた結果、日本の沿岸各地で雌の貝に雄の生殖器が発現する奇形が数多く見られるようになった。近年、この防汚剤は、環境に対する影響の低さと効果の持続性を考慮して改良が続けられているが、毒物に対する耐性が比較的高い貝類にも効果を示すためには、やはりある程度の高い毒性が必要となる。しなしながら、結果的に生態系に多大な影響を与えるため、海洋汚染の原因となる薬物徐放型の防汚剤の使用は恒久的に禁止すべきである。
そこで、本発明者らは、従来の防汚剤に取って代わる、生態系や自然環境への影響のない防汚処理技術を研究した結果、海洋生物の付着を防止するためにある種のハイドロゲルが有効であるという知見を得、当該成果を特許出願した(特許文献1)。
WO03/067990
しかしながら、その後の本発明者らによる研究の結果、ハイドロゲル自体は海洋生物付着防止効果を奏するものの、実際のフィールド(海中)でも耐え得る程の接着強度でハイドロゲルを適用対象物の表面に付着させることが、実は極めて困難であることが判明した。特に、中長期に亘る海洋生物付着防止効果を担保するためにはある程度の厚さのハイドロゲルを当該表面に付着させる必要があるところ、所望の厚さでかつ高強度で接着させることは、以下で述べるように困難を極めた。
まず、本発明者らは、ハイドロゲルを調製し、当該ゲルを適用対象物の表面に接着する各種手法を試みた。しかしながら、いずれの手法においても満足のいく強度で接着することが困難であったことに加え、仮に十分な強度で接着できたとしても、複雑の形状を持つ適用対象物の場合、当該表面の被覆が非常に困難であるという別の問題も抱えている。このように、含水のゲルを適用対象物の表面に接着させること、ましてやある程度の厚さのゲルを複雑な形状の適用対象物の表面に接着させること、更には、海中において中長期的に接着状態を維持できる程、十分な強度で接着させることは、極めて困難であるという結論に至った。
そこで、本発明者らは、次の手法として、アクリル酸等のモノマー溶液を適用対象物の表面に塗布した後、重合・架橋する手法を検討した。しかしながら、例えば、特許文献1の実施例1に記載された手法(モノマーとしてアクリル酸、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド、重合開始剤として過硫酸カリウム)に従ってフィールド(屋外)でラジカル重合を実施した場合には、ラジカル反応が空気中の酸素によって阻害される結果、適用対象物の表面に満足のいくゲルを形成させることができなかった。ここで、ラジカル重合に際しては、60℃以上で数時間加熱する方法や紫外光(UV)を照射する手法があるが、いずれの手法も、大型の船や排水口、直径数十メートルの網に適用することは技術的にも容易でなく現実的でない。
加えて、本発明者らの試験の結果、モノマー溶液を塗布する手法の場合には、乾燥する過程で海島状になる傾向があることが判明した。海島状になると、均一な層が形成できないことに加え、形成された薄ゲルは剥離し易く、所望のゲル厚にすることもできない。加えて、以下の実施例4の<モノマー水溶液>のような手法の場合には、モノマー自体が溶液中に拡散してしまうため、薄ゲルすら出来ないことも判明した。
更には、実際に使用する際、モノマー溶液を適用対象物の表面に塗布した後、重合・架橋工程まで時間をあけてしまうと、当該液が部分的に乾燥してしまうことが想定される(例えば夏場)。この場合、モノマーを重合するためには分子同士が衝突しなくてはならず、そのため、高いモノマー濃度とモノマー運動性が当該反応に要求されるところ、部分的にでも乾燥すると当該乾燥部で反応が進まずゲルが形成されない事態に陥る。
更に、モノマーを適用対象物の表面に塗布する手法の場合、未反応のモノマーが多少なりとも残存するところ、一般的にモノマーは生物に有害であるため、周囲の海洋環境に悪影響を及ぼす。
そこで、本発明は、海洋生物付着防止に有効なハイドロゲルを適用対象物の表面に簡単かつ十分な接着強度で固定させることができ、かつ、ゲル厚の調整も容易であると共に、低コスト・高環境安全性を達成でき、かつ、特殊な設備や装置も不要である、極めて実用的な海洋生物付着防止剤を提供することを目的とする。
本発明(1)は、イオン架橋性基を官能基とする多官能性水溶性ポリマー(例えば、多価金属イオンでイオン架橋してゲルを形成し得る水溶性ポリマー)を主成分として含有することを特徴とする、海洋環境に配される物体の表面に水溶液の形態で適用した後、イオン架橋させることにより当該物体表面に前記水溶性ポリマーのハイドロゲル膜を形成し得る、海洋生物付着防止剤である。
本発明(2)は、前記水溶性ポリマーが、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(PAMPS)、ポリビニルフェノール、ポリマレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アルギン酸、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、天然ガム、寒天、アガロース、カラゲナン、フコダイン、フルセララン、ラミナラン、イバラノリ、キリンサイ、アラビアゴム、ガッチゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンゴム、アラビノガラクタン、ペクチン及びアミロペクチンからなる群より選択される一種以上の化合物又は塩である、前記発明(1)の海洋生物付着防止剤である。
本発明(3)は、海洋環境に配される物体の、海洋生物による付着を防止する方法において、
イオン架橋性基を官能基とする多官能性水溶性ポリマーを主成分とする水溶液を前記物体の表面に適用し、前記水溶液の被膜を形成する第一工程;
場合により存在していてもよい、前記水溶液の被膜を乾燥させ、前記水溶性ポリマーの被膜を形成させる第二工程;及び
前記物体の表面に形成された前記水溶液の被膜又は前記水溶性ポリマーの被膜に、多価金属イオン含有水溶液を適用し、前記水溶性ポリマーをイオン架橋してハイドロゲル膜を前記物体の表面に形成させる第三工程
を有することを特徴とする方法である。
イオン架橋性基を官能基とする多官能性水溶性ポリマーを主成分とする水溶液を前記物体の表面に適用し、前記水溶液の被膜を形成する第一工程;
場合により存在していてもよい、前記水溶液の被膜を乾燥させ、前記水溶性ポリマーの被膜を形成させる第二工程;及び
前記物体の表面に形成された前記水溶液の被膜又は前記水溶性ポリマーの被膜に、多価金属イオン含有水溶液を適用し、前記水溶性ポリマーをイオン架橋してハイドロゲル膜を前記物体の表面に形成させる第三工程
を有することを特徴とする方法である。
本発明(4)は、前記水溶性ポリマーが、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(PAMPS)、ポリビニルフェノール、ポリマレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アルギン酸、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、天然ガム、寒天、アガロース、カラゲナン、フコダイン、フルセララン、ラミナラン、イバラノリ、キリンサイ、アラビアゴム、ガッチゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンゴム、アラビノガラクタン、ペクチン及びアミロペクチンからなる群より選択される一種以上の化合物又は塩である、前記発明(3)の方法である。
本発明(5)は、前記多価金属イオン含有水溶液が、海水である、前記発明(3)又は(4)の方法である。
本発明(6)は、前記第三工程が、前記水溶液の被膜又は前記水溶性ポリマーの被膜が前記物体の表面に形成された前記物体を、海水に浸漬させるものである、前記発明(5)の方法である。
本発明によれば、海洋生物付着防止に有効なハイドロゲルを適用対象物の表面に簡単かつ十分な接着強度で固定させることができ、かつ、ゲル厚の調整も容易であると共に、低コスト・高環境安全性を達成でき、かつ、特殊な設備や装置も不要である、極めて実用的な海洋生物付着防止剤を提供することが可能になるという効果を奏する。更に、このようなゲルを船底、船側面などに塗布、コート、被覆して用いた場合には、摩擦抵抗を低減する効果がある(特願2001−13617参照)ことから、一層効果的である。また、消耗型薬剤の不使用によって、漁業就業者の金銭的負担が軽減されるという効果も期待される。
まず、本発明に係る海洋生物付着防止剤について説明する。本海洋生物付着防止剤は、イオン架橋性基を官能基とする多官能性水溶性ポリマーを主成分として含有することを特徴とする。以下、まず、当該水溶性ポリマーについて詳述する。
まず、当該水溶性ポリマーが有する「イオン架橋性基」とは、イオン架橋基同士が多価金属イオン{例えば、二価、三価の金属イオン(例えば、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+)}でイオン架橋され得る基であれば特に限定されないが、海水を用いてイオン架橋を行う場合には、海水のpH(例えば8〜8.5)においてイオン化されているかイオン化され得る基であることが好適である。このような基として、例えば、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、この「イオン架橋性基」の他に、金属イオンと配位結合し得る官能基(例えば、アミンやOH基等)を有していてもよい。また、「水溶性」とは、25℃の水に0.01質量%(wt%)以上溶解することを意味する。更に、当該水溶性ポリマーは、イオン架橋性基以外の官能基を有していてもいなくともよい。
次に、当該水溶性ポリマーの好適例を挙げる。まず、第一群は、不飽和有機酸を必須成分とし不飽和化合物を任意成分とする単独重合体又は共重合体或いはそれらの塩である。ここで、必須成分としての不飽和有機酸の例は、不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸、イタコン酸、桂皮酸、プロピオル酸;電子吸引性の芳香環に結合したヒドロキシル基を有する不飽和酸、例えば、ビニル−フェノール;不飽和スルホン酸、例えば、2−メチル−プロペン−スルホン酸、ビニル−スルホン酸、アリル−スルホン酸、スチレン−スルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸;不飽和リン酸、例えば、ビニル−リン酸、ホスフェートエステルである。任意成分としての不飽和化合物の例は、アクリルアミドである。具体的には、例えば、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(PAMPS)、ポリビニルフェノール又はポリマレイン酸或いはそれらの塩(例えばナトリウム塩)である。次に、第二群は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等の、架橋性基としての水酸基を有する不飽和カルボン酸エステルの単独重合体又は共重合体である。次に、第三群は、イオン性多糖類、例えば、アルギン酸塩、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、天然ガム、寒天、アガロース、カラゲナン、フコダイン、フルセララン、ラミナラン、イバラノリ、キリンサイ、アラビアゴム、ガッチゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンゴム、アラビノガラクタン、ペクチン及びアミロペクチンである。
ここで、本発明に係る水溶性ポリマーは、前記の例からも分かるように、合成高分子でも天然高分子でもよい。ここで、水溶性ポリマーは、好適には重合度が1000以上の高分子である。例えば、ポリアクリル酸は、その分子量、直鎖状・分岐鎖状等の形状等、特に限定されるものではなく、例えば、通常、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が10,000〜1,500,000程度である。
尚、前記水溶性ポリマーは、周知の方法で製造可能であると共に市販もされている。例えば、ポリアクリル酸の市販品としては、例えば、昭和電工(株)製のビスコメート(登録商標)シリーズ(例えば、部分中和物としてNP−600、NP−700、NP−800;SL−104Y)、(株)日本触媒製のアクアリック(登録商標)L、Hシリーズ、日本純薬(株)製のジュリマー(商標)シリーズ等を挙げることができる。
以上、本防止剤の構成成分について説明したので、続いて、組成物である本防止剤について説明することとする。まず、本防止剤は、前記水溶性ポリマーを主成分として含有する。ここで、「主成分」とは、全組成物(乾燥物)中の過半数(例えば重量)を当該成分が占めることを指す。そして、本組成物は、使用時には水溶液の形態で用いる。この際、当該水溶性ポリマーの配合量が少なすぎると、粘度が小さくなるので十分な厚さの皮膜が形成されない事態が想定される一方、当該水溶性ポリマーの配合量が多すぎると、粘度が高くなるので作業性が悪くなる事態が想定される。したがって、用いるポリマーの種類や分子量等に応じ、好適な粘度となるように適宜配合量を決定する。ここで、粘度(動的粘性率)は、10Pa・s以上であることが好適である。上限は、特に限定されないが、例えば107Pa・s以下である。より好適な粘度範囲は、102〜106Pa・sである。尚、測定条件は、所定条件下(温度:27.0℃、Frequency:0.01rad/s、Strain:1%)、回転型レオメータ(ARES−100FRTN1)で測定した値を指す。尚、当該水溶性ポリマーの含有量については、特に限定されないが、例えば、水溶性ポリマーがポリアクリル酸である場合は、全重量に基づき、10重量%以上(より好適には20〜50重量%)であることが好適である。
尚、本発明に係る海洋生物付着防止剤は、使用時においては、前記のように水溶液の形態にあるが、これに限定されるものではなく、乾燥形態であり使用時に水を添加するタイプや、濃縮状態にあり使用時に水で希釈するタイプも包含する。尚、本明細書における「水溶液」とは、水溶性ポリマーが完全に溶解している場合に限られず、部分的に分散状態にある場合(即ち、一部溶けきっていない場合)も包含する。
ここで、本発明における「海洋生物」とは、海洋に生息する植物・動物であれば特に限定されず、例えば、コンブ等の海洋植物や、フジツボ、カサネカンザシ、ムラサキガイ、ホヤ等の海洋動物を挙げることができる。
また、付着防止の対象である「海洋環境に配される物体」とは、海洋環境に配されるいかなる物体をも意味し、例えば、海水中に沈められる物体や、海水付近に存在することにより海洋生物の付着が問題となる物体、例えば、船(特に、船底)、海水取水路、波消しブロック、排水路やテトラポット等の水中構築物、養殖網、ブイや定置網の養殖漁業や海洋施設を包含する。更には、水族館、生簀や家庭用の水槽のような、擬似的な海洋環境に配される物体(水槽自体も含む)も「海洋環境に配される物体」に該当する。
次に、本発明に係る海洋生物付着防止剤の使用方法(海洋環境に配される物体上へのハイドロゲルの形成方法)について説明する。まず、本海洋生物付着防止剤が乾燥形態にある場合や濃縮形態にある場合には、所定量の水を添加することにより、好適な粘度のポリマー水溶液を調製する(第0工程)。
ここで、当該ポリマー水溶液に前記物体を適用する前に、例えば多価金属イオン水溶液を添加することにより、当該ポリマー水溶液中のポリマーを不完全に(弱く)イオン架橋させてもよい(第0工程の2)。この場合、添加する多価金属イオンの当量が、系内に存在するポリマーのイオン性架橋基の当量よりも少なくなるように設定する。この際、前記多価金属イオン水溶液の一部又は全部が海水であってもよい。
次に、ポリマー水溶液(場合により、弱くイオン架橋したポリマー水溶液)を前記物体に適用する(第1工程)。ここで、適用方法は、例えば、ポリマー水溶液に当該物体を浸漬させる手法や、刷毛等で当該物体に塗布する手法、スプレー等により当該物体に吹き付ける手法を挙げることができる。ここで、適用厚さは、本発明のようにポリマー水溶液を用いると、通常、一回の適用当たり、数ナノメートルから数マイクロメートルの厚さを構築することが可能である。
次に、場合により、当該ポリマー水溶液が適用された前記物体を乾燥させてもよい(第2工程)。乾燥条件は特に限定されず、例えば、外気温下で数日放置する態様を挙げることができる。尚、乾燥させることにより、第3工程における、前記物体を海水中に沈める際、当該ポリマー水溶液が滴り落ちることによる効果の低減を防止できると共に、当該ポリマー水溶液が人や搬送体に付着することが無くなるので、取り扱い上も好都合である。
次に、前記被膜形成物体(前記ポリマー水溶液の被膜又は前記水溶性ポリマーの被膜が表面に形成された前記物体)にイオン架橋剤を適用する。ここで、イオン架橋剤としては、前記のように、多価(例えば、二価、三価)カチオン(例えば、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+)が好適であり、形成されるハイドロゲルを高強度にする観点からは、Fe3+がより好適である。例えば、Fe2(SO4)3、FeCl3、CaCl2及びMgCl2の水溶液が使用可能である。この場合、イオン架橋剤の量は、系内に存在するイオン架橋性基をイオン架橋するのに十分な当量であることが好適であり、例えば、20〜50重量%のポリアクリル酸水溶液を用いた場合には、Fe3+水溶液の好適濃度は、1×10−3M以上であり、より好適には5×10−3M〜1×10−1Mである。Ca2+及びMg2+の場合、水溶液における好適濃度は、1M以上であり、より好適には1M〜10Mである。
但し、実用的には、これらの多価金属イオン(Fe3+のような三価カチオン、Mg2+、Ca2+、Cu2+及びZn2+のような二価カチオン)を含有する海水を利用することが好都合である。即ち、被膜形成物体を海中に沈めるか、海水を当該物体に吹き付けることにより、前記ポリマーがイオン架橋する結果、海洋生物付着防止効果を奏するハイドロゲルが形成される。
ここで、前記のように、通常は一回の操作(上記の第1工程から第3工程までの操作)で数ナノメートルから数マイクロメートルの厚さのハイドロゲルが形成可能である。しかしながら、例えば、長時間持続性を担保するため等、より厚いハイドロゲル(例えば、数十マイクロメートル、ミリメートル)を形成させる必要がある場合には、例えば、前記操作を何回も繰返し行ったり、或いは、水溶性ポリマーの濃度を上げたり分子量を大きくしたりすることにより、水溶性ポリマーの粘度を大きくすることを介して、ハイドロゲルの厚さは適宜調整可能である。
次に、前記のような操作を経て形成されるハイドロゲルは、膨潤度が1.5〜500であるハイドロゲルが好適であり、特に好適には膨潤度が2〜100のハイドロゲルである。ここで、膨潤度とは、ハイドロゲル中の水重量とポリマー重量との合計を、ポリマー重量で除した値をいう。
加えて、形成されるハイドロゲルは、プロトンを放出し得るものであることが好適である。具体的には、プロトン濃度が、10−6mol/L〜5mol/L(最も好適には、10−2mol/L〜1mol/L)であるものが好適である。ここで、ハイドロゲル中のプロトン濃度は、Macromol.Rapid Commun.16,713−716(1995)に記載された方法に従って決定することができる。ここで、「プロトン濃度」とは、水溶性ポリマーがもともと保持していたプロトンのモル数をハイドロゲルの体積で除した値、即ち、当該水溶性ポリマーから解離したプロトンのモル数と、未だ当該水溶性ポリマーに結合している非解離のプロトンのモル数とを合わせたものを、ハイドロゲルの体積で除した値を指す。
以下、実施例を参照しながら、本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1(適用例)
物体として、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを使用した。最初に、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックをPAA水溶液(35重量%水溶液、Aldrich製、重量平均分子量250,000、動的粘性率:1.02×106Pa・s)に浸漬させた。その後、PAA水溶液からコンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを引き出し、続いて、CaCl2水溶液(1.9M)に浸漬させたことにより、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロック上に白色のPAAハイドロゲルが形成された。尚、CaCl2水溶液(2.5M)及びMgCl2水溶液(1.0M、1.4M)をCaCl2水溶液(1.9M)の代わりに使用した場合においても、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロック上に白色のPAAハイドロゲルが形成された。
物体として、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを使用した。最初に、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックをPAA水溶液(35重量%水溶液、Aldrich製、重量平均分子量250,000、動的粘性率:1.02×106Pa・s)に浸漬させた。その後、PAA水溶液からコンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを引き出し、続いて、CaCl2水溶液(1.9M)に浸漬させたことにより、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロック上に白色のPAAハイドロゲルが形成された。尚、CaCl2水溶液(2.5M)及びMgCl2水溶液(1.0M、1.4M)をCaCl2水溶液(1.9M)の代わりに使用した場合においても、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロック上に白色のPAAハイドロゲルが形成された。
実施例2(適用例)
物体として、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを使用した。最初に、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックをPAA水溶液(35重量%水溶液、Aldrich製、重量平均分子量250,000、動的粘性率:1.02×106Pa・s)に浸漬させた。その後、PAA水溶液からコンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを引き出し、続いて、Fe2(SO4)3水溶液(4.4×10−3M)に浸漬させたことにより、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロック上に赤みを帯びたPAAハイドロゲルが形成された。尚、Fe2(SO4)3水溶液(1.75×10−2M)を使用した場合においても、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロック上に赤みを帯びたPAAハイドロゲルが形成された。
物体として、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを使用した。最初に、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックをPAA水溶液(35重量%水溶液、Aldrich製、重量平均分子量250,000、動的粘性率:1.02×106Pa・s)に浸漬させた。その後、PAA水溶液からコンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを引き出し、続いて、Fe2(SO4)3水溶液(4.4×10−3M)に浸漬させたことにより、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロック上に赤みを帯びたPAAハイドロゲルが形成された。尚、Fe2(SO4)3水溶液(1.75×10−2M)を使用した場合においても、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロック上に赤みを帯びたPAAハイドロゲルが形成された。
実施例3(フィールド試験例)
抗付着剤として、PAA水溶液(35重量%)と海水とを所定容量比で混合して得られた混合溶液を、また、物体として、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを使用して、長期屋外試験を実施した。
抗付着剤として、PAA水溶液(35重量%)と海水とを所定容量比で混合して得られた混合溶液を、また、物体として、コンクリートブロックとエキスパンドメタル付コンクリートブロックを使用して、長期屋外試験を実施した。
最初に、PAA水溶液(35重量%、Ardrich製、重量平均分子量250,000、動的粘性率:1.02×106Pa・s)を濃縮溶液として用いた。そして、この濃縮溶液を所定容量比で海水と混合することにより、希釈溶液(試験溶液)を調整した(濃縮溶液:海水=2:1、動的粘性率:6.5×104Pa・s)。次に、サンプル1(ロープで結ばれたコンクリートブロック)及びサンプル2(ロープで結ばれた、エキスパンドメタル付コンクリートブロック)に関し、両サンプルを試験溶液に浸漬した後、乾燥した(3回繰返し)。その後、サンプル1、サンプル2及び対照(試験液非適用)を所定期間海水中に沈めた(サンプル1及び対照に関しては3ヶ月;サンプル2及び対照に関しては4ヶ月)。図1(a)及び(b)は、夫々、試験開始時におけるサンプル1(試験液適用)及び対照(試験液非適用)の写真である。図2(a)及び(b)は、夫々、開始から3ヶ月後におけるサンプル1(試験液適用)及び対照(試験液非適用)の写真である。これら写真から明らかなように、試験溶液が適用されたサンプル1に関しては、殆ど海洋生物の付着は確認されなかった。一方、対照に関しては、多量の海洋生物(主にフジツボ)の付着が確認された。
次に、図3(a−1)〜(b−2)は、夫々、試験開始時におけるサンプル2(試験液適用)及び対照(試験液非適用)の写真である。図4(a−1)〜(b−2)は、夫々、開始から1ヶ月後におけるサンプル2(試験液適用)及び対照(試験液非適用)の写真である。ここで、対照にはこの段階で多量の海洋生物(主にフジツボ)が付着したので、これ以上当該試験を継続することが不可能になった。図5(a−1)〜(a−2)は、開始から3ヶ月後における、試験液が適用されたサンプル2の写真である。図6(a−1)〜(a−2)は、開始から4ヶ月後における、試験液が適用されたサンプル2の写真である。これら写真から明らかなように、試験溶液が適用されたサンプル2に関しては、試験開始から4ヶ月後ですら、殆ど海洋生物の付着は確認されなかった。一方、対照に関しては、試験開始から1ヶ月後に、多量の海洋生物(主にフジツボ)の付着が確認された。
実施例4(基盤剥離試験)
本実施例では、水溶性ポリマー水溶液を塗布してイオン架橋させることによりハイドロゲルを金属基盤表面に形成させた場合と、当該ポリマーを構成するモノマー水溶液を塗布して重合・イオン架橋させることによりハイドロゲルを金属基盤表面に形成させた場合との、基盤剥離性についての比較試験を行った。ここで、金属基盤としてはアルミ基盤を、水溶性ポリマー水溶液としてはポリアクリル酸(Ardrich製、重量平均分子量250,000)35wt%水溶液(動的粘性率:1.02×106Pa・s)を、モノマー水溶液としてはアクリル酸35wt%水溶液を、イオン架橋剤としては塩化アルミニウム(III)10wt%水溶液を用いた。
本実施例では、水溶性ポリマー水溶液を塗布してイオン架橋させることによりハイドロゲルを金属基盤表面に形成させた場合と、当該ポリマーを構成するモノマー水溶液を塗布して重合・イオン架橋させることによりハイドロゲルを金属基盤表面に形成させた場合との、基盤剥離性についての比較試験を行った。ここで、金属基盤としてはアルミ基盤を、水溶性ポリマー水溶液としてはポリアクリル酸(Ardrich製、重量平均分子量250,000)35wt%水溶液(動的粘性率:1.02×106Pa・s)を、モノマー水溶液としてはアクリル酸35wt%水溶液を、イオン架橋剤としては塩化アルミニウム(III)10wt%水溶液を用いた。
<水溶性ポリマー水溶液>
まず、適用(塗布)は、(1)アルミ基盤半分の表面に筆を用いてポリマー溶液を塗布、(2)その後、架橋剤の溶液に浸漬、(3)5分後架橋剤溶液より基盤を引き上げ乾燥、という手順で実施した。そして、この(1)から(3)までの一連の工程を1回行ったものを、ポリマー1回塗、3回行ったものをポリマー3回塗と定義した。ここで、図7にポリマー1回塗のアルミ基盤の様子(図中、Aの領域がゲル領域であり、Bの領域が無処理領域である)を、図8にポリマー3回塗のアルミ基盤の様子(図中、Aの領域がゲル領域であり、Bの領域が無処理領域である)を示す。このように、ポリマーを塗布した基盤に関しては、溶液中にポリマーが拡散することなく、基盤上でポリマーが重合しゲル化している様子が観察された。また、作業工程を繰り返すことによりゲルの厚みは増した。
まず、適用(塗布)は、(1)アルミ基盤半分の表面に筆を用いてポリマー溶液を塗布、(2)その後、架橋剤の溶液に浸漬、(3)5分後架橋剤溶液より基盤を引き上げ乾燥、という手順で実施した。そして、この(1)から(3)までの一連の工程を1回行ったものを、ポリマー1回塗、3回行ったものをポリマー3回塗と定義した。ここで、図7にポリマー1回塗のアルミ基盤の様子(図中、Aの領域がゲル領域であり、Bの領域が無処理領域である)を、図8にポリマー3回塗のアルミ基盤の様子(図中、Aの領域がゲル領域であり、Bの領域が無処理領域である)を示す。このように、ポリマーを塗布した基盤に関しては、溶液中にポリマーが拡散することなく、基盤上でポリマーが重合しゲル化している様子が観察された。また、作業工程を繰り返すことによりゲルの厚みは増した。
<モノマー水溶液>
まず、適用(塗布)は、(1)アルミ基盤半分の表面にキムワイプ(登録商標)を用いてモノマー溶液を塗布、(2)その後、架橋剤の溶液に浸漬、(3)5分後架橋剤溶液より基盤を引き上げ乾燥、という手順で実施した。そして、この(1)から(3)までの一連の工程を1回行ったものを、モノマー1回塗と定義した。ここで、図9にモノマー1回塗のアルミ基盤の様子(図中、Aの領域が適用領域であり、Bの領域が無処理領域である)を示す。このように、モノマーを塗布した基盤では、架橋剤溶液中で基盤上のモノマーが溶液中に拡散してしまい、基盤上でのゲル化には至らなかった。
まず、適用(塗布)は、(1)アルミ基盤半分の表面にキムワイプ(登録商標)を用いてモノマー溶液を塗布、(2)その後、架橋剤の溶液に浸漬、(3)5分後架橋剤溶液より基盤を引き上げ乾燥、という手順で実施した。そして、この(1)から(3)までの一連の工程を1回行ったものを、モノマー1回塗と定義した。ここで、図9にモノマー1回塗のアルミ基盤の様子(図中、Aの領域が適用領域であり、Bの領域が無処理領域である)を示す。このように、モノマーを塗布した基盤では、架橋剤溶液中で基盤上のモノマーが溶液中に拡散してしまい、基盤上でのゲル化には至らなかった。
実施例5(海水中剥離耐久性試験)
実施例4の<水溶性ポリマー水溶液>に係る「ポリマー1回塗」及び「ポリマー3回塗」の夫々が、生海水内でどの程度の剥離耐久性を有しているかについて試験を実施した。具体的には、塩濃度3.5%の生海水が入った恒温漕内を流速約10cm/s、水温27.0℃に設定し、当該「ポリマー1回塗」及び「ポリマー3回塗」が適用されたアルミ基盤の夫々を、流れの向きに垂直に72時間静置した後、基盤表面のゲルの剥離度合いを観察した。その結果を図10及び図11に示す。ここで、図10は、ポリマー1回塗のアルミ盤表面の様子(図中、Aの領域が適用領域であり、Bの領域が無処理領域である)を示したものであり、図11は、ポリマー3回塗のアルミ盤表面の様子(図中、Aの領域が適用領域であり、Bの領域が無処理領域である)を示したものである。これら図からも分かるように、「ポリマー1回塗」・「ポリマー3回塗」共に、若干の剥離はあるものの大部分がそのまま残存することが確認された。
実施例4の<水溶性ポリマー水溶液>に係る「ポリマー1回塗」及び「ポリマー3回塗」の夫々が、生海水内でどの程度の剥離耐久性を有しているかについて試験を実施した。具体的には、塩濃度3.5%の生海水が入った恒温漕内を流速約10cm/s、水温27.0℃に設定し、当該「ポリマー1回塗」及び「ポリマー3回塗」が適用されたアルミ基盤の夫々を、流れの向きに垂直に72時間静置した後、基盤表面のゲルの剥離度合いを観察した。その結果を図10及び図11に示す。ここで、図10は、ポリマー1回塗のアルミ盤表面の様子(図中、Aの領域が適用領域であり、Bの領域が無処理領域である)を示したものであり、図11は、ポリマー3回塗のアルミ盤表面の様子(図中、Aの領域が適用領域であり、Bの領域が無処理領域である)を示したものである。これら図からも分かるように、「ポリマー1回塗」・「ポリマー3回塗」共に、若干の剥離はあるものの大部分がそのまま残存することが確認された。
Claims (6)
- イオン架橋性基を官能基とする多官能性水溶性ポリマーを主成分として含有することを特徴とする、海洋環境に配される物体の表面に水溶液の形態で適用した後、イオン架橋させることにより当該物体表面に前記水溶性ポリマーのハイドロゲル膜を形成し得る、海洋生物付着防止剤。
- 前記水溶性ポリマーが、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリビニルフェノール、ポリマレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アルギン酸、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、天然ガム、寒天、アガロース、カラゲナン、フコダイン、フルセララン、ラミナラン、イバラノリ、キリンサイ、アラビアゴム、ガッチゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンゴム、アラビノガラクタン、ペクチン及びアミロペクチンからなる群より選択される一種以上の化合物又は塩である、請求項1記載の海洋生物付着防止剤。
- 海洋環境に配される物体の、海洋生物による付着を防止する方法において、
イオン架橋性基を官能基とする多官能性水溶性ポリマーを主成分とする水溶液を前記物体の表面に適用し、前記水溶液の被膜を形成する第一工程;
場合により存在していてもよい、前記水溶液の被膜を乾燥させ、前記水溶性ポリマーの被膜を形成させる第二工程;及び
前記物体の表面に形成された前記水溶液の被膜又は前記水溶性ポリマーの被膜に、多価金属イオン含有水溶液を適用し、前記水溶性ポリマーをイオン架橋してハイドロゲル膜を前記物体の表面に形成させる第三工程
を有することを特徴とする方法。 - 前記水溶性ポリマーが、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリビニルフェノール、ポリマレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アルギン酸、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、天然ガム、寒天、アガロース、カラゲナン、フコダイン、フルセララン、ラミナラン、イバラノリ、キリンサイ、アラビアゴム、ガッチゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンゴム、アラビノガラクタン、ペクチン及びアミロペクチンからなる群より選択される一種以上の化合物又は塩である、請求項3記載の方法。
- 前記多価金属イオン含有水溶液が、海水である、請求項3又は4記載の方法。
- 前記第三工程が、前記水溶液の被膜又は前記水溶性ポリマーの被膜が表面に形成された前記物体を、海水に浸漬させるものである、請求項5記載の方法。
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