JPWO2006085542A1 - 低Co水素吸蔵合金 - Google Patents

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Abstract

Coの含有率が極めて低く、出力特性(特にパルス放電特性)、活性(活性度)及び寿命特性を高水準に維持可能な水素吸蔵合金を提供せんとする。一般式MmNiaMnbAlcCod又はMmNiaMnbAlcCodFeeで表される合金組成を製造する際、各水素吸蔵合金原料を所定範囲に秤量、混合し、結晶格子のa軸長及びc軸長がともに所定範囲に入り、且つ平衡水素圧が0.06MPa以下となるように製造方法及び製造条件を調整して水素吸蔵合金を製造する。結晶格子のa軸長は499pm以上、c軸長は405pm以上であればよいが、ABxの値によってa軸長及びc軸長を更に細かく規定することにより、高耐久性を備えた水素吸蔵合金にできる。

Description

本発明は、CaCu5型の結晶構造を有するAB5型水素吸蔵合金に関し、詳しくは合金中のコバルトの含有割合が極めて少なく、それでいて電気自動車及びハイブリッド自動車用途等で特に要求される出力特性、活性、寿命特性を備えた低Co水素吸蔵合金に関する。
水素吸蔵合金は、水素と反応して金属水素化物となる合金であり、室温付近で多量の水素を可逆的に吸蔵・放出するため、ハイブリッド自動車やデジタルスチルカメラに搭載されるニッケル・水素電池や燃料電池等、様々な分野で実用化が研究されている。
水素吸蔵合金としては、LaNi5に代表されるAB5 型合金、ZrV0.4Ni1.5に代表されるAB2型合金、そのほかAB型合金やA2B型合金など様々な合金が知られている。その多くは、水素との親和性が高く水素吸蔵量の多い元素グループ(Ca、Mg、希土類元素、Ti、Zr、V、Nb、Pt、Pdなど)と、水素との親和性が比較的低く吸蔵量は少ないが、水素化反応が速く反応温度を低くする元素グループ(Ni、Mn、Cr、Feなど)との組合せで構成される。いずれの型の合金も、組成によって特性が大きく変るため、最大水素吸蔵量及び有効水素吸蔵量の向上(高容量化)、長寿命化、高出力化などを目的として様々な合金組成が研究されている。
本発明者らの研究グループは、これらの中でCaCu5型の結晶構造を有するAB5 型水素吸蔵合金、詳しくはAサイトに希土類系の混合物であるMm(ミッシュメタル)を用い、BサイトにNi、Al、Mn、Coの4元素を用いてなるMm−Ni−Mn−Al−Co合金に着目し研究を進めてきた。この種のMm−Ni−Mn−Al−Co合金は、他の合金組成に比べて、比較的安価な材料で負極を構成でき、しかもサイクル寿命が長く、過充電時の発生ガスによる内圧上昇が少ない密閉型ニッケル水素蓄電池を構成できるなどの特徴を備えている。
ところで、Mm−Ni−Mn−Al−Co合金の構成元素において、Coは合金の微粉化を抑制し、寿命特性の向上に効果を発揮する重要な元素であるため、従来は10重量%程度のCo(モル比で0.6〜1.0)を配合するのが一般的であった。しかし、Coは非常に高価な金属であり、今後の水素吸蔵合金の利用拡大を考慮するとCoを低減することが好ましいが、Coを低減すれば出力特性や寿命特性の低下につながるため、出力特性及び寿命特性を維持しつつCoを低減することが研究課題の一つであった。特に電気自動車(EV:ElectricVehicle)及びハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle;電気モータと内燃エンジンという2つの動力源を併用した自動車)用電源等への利用開発にあたり、Coを低減しつつ出力特性と寿命特性を高水準に維持することが必須の課題であった。
かかる課題に鑑み、Co量を低減しつつ、それでいて電池特性を維持するための提案が種々開示されている。
例えば、特許文献1(特開平9−213319号公報)には、Mm−Ni−Mn−Al−Co系合金の組成を変化させ、これにさらに少量の1元素を加えることが提案されている。
また、特許文献2(特開2002−294373号公報)には、従来のCo量が多い合金に比して安価で、リサイクル性も考慮しうる二次電池用負極用水素吸蔵合金を提供すべく、式(1)の組成を有し、実質的に単相で、かつ結晶の平均長径が30〜160μm、若しくは5μm〜30μm未満である水素吸蔵合金が提案されている。
RNiXCoyZ …(1)(R:希土類元素等、M:Mg、Al、Mn等、3.7≦x≦5.3、0.1≦y≦0.5、0.1≦z≦1.0、5.1≦x+y+z≦5.5)
また、本発明者が属する研究グループも、例えば特許文献3(特開2001−18176号公報)において、コバルトの含有割合を少なくすることと同時に水素吸蔵特性に優れ、微粉化特性や良好な初期特性や出力特性を有し、しかも耐久性や保存性について高い信頼性を有する水素吸蔵合金として、一般式MmNiaMnbCocCud(式中、Mmはミッシュメタル、3.7≦a≦4.2、0.3<b≦0.6、0.2≦c≦0.4、0<d≦0.4、5.00≦a+b+c+d≦5.35)で表されるCaCu5型の結晶構造を有する水素吸蔵合金を提案している。
特許文献4(特開2001−40442号公報)においては、コバルトの含有割合を少なくすることと同時に水素吸蔵特性に優れると共に、微粉化特性や良好な初期特性や出力特性を有し、しかも耐久性や保存性について高い信頼性を有する水素吸蔵合金として、一般式MmNiaMnbAlcCode(式中、Mmはミッシュメタル、XはFe及び/又はCu、3.7≦a≦4.2、0≦b≦0.3、0≦c≦0.4、0.2≦d≦0.4、0≦e≦0.4、5.00≦a+b+c+d+e≦5.20、但しb=c=0の場合を除く、また0<b≦0.3、かつ0<c≦0.4の場合は、b+c<0.5である)で表されるCaCu5型の結晶構造を有する水素吸蔵合金を提案している。
特許文献5(特開2001−348636号公報)においては、コバルトの含有割合を極めて少なくすることによって製造コストを低減し、かつ微粉化特性及び水素吸蔵特性に優れると共に、良好な出力特性及び保存特性を有する水素吸蔵合金として、一般式MmNiaMnbAlcCod(式中、Mmはミッシュメタル、4.1<a≦4.3、0.4<b≦0.6、0.2≦c≦0.4、0.1≦d≦0.4、5.2≦a+b+c+d≦5.45)もしくは一般式MmNiaMnbAlcCode(式中、Mmはミッシュメタル、XはCu及び/又はFe、4.1<a≦4.3、0.4<b≦0.6、0.2≦c≦0.4、0.1≦d≦0.4、0<e≦0.1、5.2≦a+b+c+d+e≦5.45)で表されるCaCu5型の結晶構造を有するAB5 型水素吸蔵合金であって、c軸の格子長が406.2pm以上であることを特徴とする水素吸蔵合金を提案している。
特許文献1:特開平9−213319号公報
特許文献2:特開2002−294373号公報
特許文献3:特開2001−18176号公報
特許文献4:特開2001−40442号公報
特許文献5:特開2001−348636号公報
上述のように、本発明者が属する研究グループは、低Co組成の水素吸蔵合金であってもc軸の格子長を所定の範囲に制御することにより電池の寿命特性を維持できることを見出したが、次世代電気自動車及びハイブリッド自動車のためさらに開発を進めるうち、Coをさらに低減し、かつ出力特性(特にパルス放電特性)、活性(活性度)及び寿命特性を高水準に維持するためには「c軸の格子長を制御する」という発想では限界があることが分かってきた。
そこで本発明は、Coの含有率を更に低い水準まで低減させたとしても、特に寿命特性を高水準にすることができる低Co水素吸蔵合金を提供せんとするものである。
前記課題に鑑み本発明者が鋭意研究を重ねた結果、一般式MmNiaMnbAlcCodで示される合金の組成において、Coの組成割合(モル比)を0.35以下に低減させた場合であっても、水素触媒能を備えたNiの組成割合(モル比)を4.0以上に高め、かつMnの組成割合(モル比)が所定範囲に入るように合金組成を調整した上で、結晶格子のa軸長、c軸長がともに一定範囲に入り、且つ水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧が0.06MPa以下となるように合金組成及び製造条件を調整することにより、特に寿命特性(耐久性ともいう)を高水準にすることができることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を想到したものである。また、一般式MmNiaMnbAlcCodFeeで示される合金の組成についても、同様の手段でほぼ同様或いはそれ以上好ましい結果が得られることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を想到したものである。
本発明は、一般式MmNiaMnbAlcCod(式中、Mmはミッシュメタル、4.0≦a≦4.7、0.30≦b≦0.65、0.20≦c≦0.50、0<d≦0.35、5.2≦a+b+c+d≦5.5)で表すことができるCaCu5型結晶構造を有する低Co水素吸蔵合金であって、当該CaCu5 型結晶構造の結晶格子のa軸長が499.0pm以上であり、かつc軸長が405.0pm以上であって、45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧が0.06MPa以下であることを特徴とする低Co水素吸蔵合金を提案する。
また、本発明は、一般式MmNiaMnbAlcCodFee(式中、Mmはミッシュメタル、4.0≦a≦4.7、0.30≦b≦0.65、0.20≦c≦0.50、0<d≦0.35、0<e≦0.11、5.2≦a+b+c+d+e≦5.5)で表すことができるCaCu5型結晶構造を有する低Co水素吸蔵合金であって、当該CaCu5 型結晶構造の結晶格子のa軸長が499.0pm以上であり、かつc軸長が405.0pm以上であり、45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧が0.06MPa以下であることを特徴とする低Co水素吸蔵合金を提案する。
上記の如き所定の組成式で表すことができるCaCu5 型結晶構造を有する低Co水素吸蔵合金であって、結晶格子のa軸長が499pm以上であり、かつc軸長が405pm以上の範囲にある低Co水素吸蔵合金であれば、Coの含有率を従来より更に低い水準まで低減させたとしても、出力特性(特にパルス放電特性)、活性(活性度)及び寿命特性をいずれも高水準にすることができる。具体的には、電気自動車及びハイブリッド自動車用途(具体的には電気自動車及びハイブリッド自動車に搭載される電池の負極活物質)に要求される程度にCo量を低減でき、しかも寿命特性を維持でき、かつ活性度を80%以上に向上させることができる。
さらに、45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧が0.06MPa以下であれば、寿命特性(耐久性)をより一層確実に高水準に維持することができる。
本発明において「結晶格子のa軸長及びc軸長」は、インゴット状の水素吸蔵合金を粉砕、分級して−20μm(20μmφの篩目を通過する粒子径)に調整した合金粉を、粉末X線回折装置を使用し、CuKα線により1°/minの走査速度、100−150°の角度で測定し、誤差関数測定法(wilson&pike法)により格子定数の精密化を行った上で算出した値であり、本発明で特定するa軸長及びc軸長の値には±0.1pmのばらつきが含まれる。尚、精密化するのに使用したピークは以下の通りである。
・100〜104°付近にあるミラー指数(303)で指数付けされるピーク。
・105〜106°付近にあるミラー指数(321)で指数付けされるピーク。
・106〜107°付近にあるミラー指数(402)で指数付けされるピーク。
・110〜114°付近にあるミラー指数(411)で指数付けされるピーク。
・116〜118°付近にあるミラー指数(313)で指数付けされるピーク。
・126〜129°付近にあるミラー指数(412)で指数付けされるピーク。
・129〜132°付近にあるミラー指数(501)で指数付けされるピーク。
・139〜142°付近にあるミラー指数(331)で指数付けされるピーク。
サンプル1〜30を、横軸:a軸長、縦軸:c軸長からなる座標中にプロットした図である。
サンプル1〜30をMn割合(モル比)で区分し、各Mn割合毎、Alの割合(横軸)とa軸長(縦軸)との関係をプロットした図である。
サンプル1〜30をMn割合(モル比)で区分し、各Mn割合毎、Alの割合(横軸)とc軸長(縦軸)との関係をプロットした図である。
サンプル1〜30の中から、Mn割合(モル比)が0.35のサンプル26(Ni4.50Mn0.35Al0.35Co0.10)を選び、このサンプルのMmの割合(モル比)を変えてABx5.20〜5.40の合金を作製し、得られた合金のABx(横軸)とa軸長(縦軸)との関係を示した図である。
図4と同じ合金のABx(横軸)とc軸長(縦軸)との関係を示した図である。
サンプル1〜30の中から、Mn割合(モル比)が0.40のサンプル9(Ni4.45Mn0.40Al0.35Co0.10)を選び、このサンプルのMmの割合(モル比)を変えてABx5.20〜5.40の合金を作製し、得られた合金のABx(横軸)とa軸長(縦軸)との関係を示した図である。
図6と同じ合金のABx(横軸)とc軸長(縦軸)との関係を示した図である。
サンプル1〜30の中から、Mn割合(モル比)が0.45のサンプル14(Ni4.40Mn0.45Al0.35Co0.10)を選び、このサンプルのMmの割合(モル比)を変えてABx5.20〜5.40の合金を作製し、得られた合金のABx(横軸)とa軸長(縦軸)との関係を示した図である。
図8と同じ合金のABx(横軸)とc軸長(縦軸)との関係を示した図である。
サンプル1〜30の中から、Mn割合(モル比)が0.50のサンプル22(Ni4.35Mn0.50Al0.35Co0.10)を選び、このサンプルのMmの割合(モル比)を変えてABx5.20〜5.40の合金を作製し、得られた合金のABx(横軸)とa軸長(縦軸)との関係を示した図である。
図10と同じ合金のABx(横軸)とc軸長(縦軸)との関係を示した図である。
サンプル1〜30の中から、Mn割合(モル比)が0.55のサンプル6(Ni4.30Mn0.55Al0.35Co0.10)を選び、このサンプルのMmの割合(モル比)を変えてABx5.20〜5.40の合金を作製し、得られた合金のABx(横軸)とa軸長(縦軸)との関係を示した図である。
図12と同じ合金のABx(横軸)とc軸長(縦軸)との関係を示した図である。
サンプル1〜30の中から、Mn割合(モル比)が0.60のサンプル10(Ni4.25Mn0.60Al0.35Co0.10)を選び、このサンプルのMmの割合(モル比)を変えてABx5.20〜5.40の合金を作製し、得られた合金のABx(横軸)とa軸長(縦軸)との関係を示した図である。
図14と同じ合金のABx(横軸)とc軸長(縦軸)との関係を示した図である。
図4と同じ合金のABx(横軸)と、50サイクル後の微粉化残存率(縦軸)との関係を示した図である。
図6と同じ合金のABx(横軸)と、50サイクル後の微粉化残存率(縦軸)との関係を示した図である。
図8と同じ合金のABx(横軸)と、50サイクル後の微粉化残存率(縦軸)との関係を示した図である。
図10と同じ合金のABx(横軸)と、50サイクル後の微粉化残存率(縦軸)との関係を示した図である。
図12と同じ合金のABx(横軸)と、50サイクル後の微粉化残存率(縦軸)との関係を示した図である。
図14と同じ合金のABx(横軸)と、50サイクル後の微粉化残存率(縦軸)との関係を示した図である。
縦軸:c軸長、横軸:a軸長からなる座標中に、5.20≦ABx(a+b+c+d)<5.25のサンプルをプロットし、50サイクル後の微粉化残存率が50%以上となる領域を示した図である(但し、この図中には50サイクル後の微粉化残存率が50%以上となるものが存在しないので、領域は示されていない)。
縦軸:c軸長、横軸:a軸長からなる座標中に、5.25≦ABx(a+b+c+d)<5.30のサンプルをプロットし、50サイクル後の微粉化残存率が50%以上となる領域を示した図である。
縦軸:c軸長、横軸:a軸長からなる座標中に、5.30≦ABx(a+b+c+d)<5.35のサンプルをプロットし、50サイクル後の微粉化残存率が50%以上となる領域を示した図である。
縦軸:c軸長、横軸:a軸長からなる座標中に、5.35≦ABx(a+b+c+d)<5.40のサンプルをプロットし、50サイクル後の微粉化残存率が50%以上となる領域を示した図である。
縦軸:c軸長、横軸:a軸長からなる座標中に、5.40≦ABx(a+b+c+d)<5.45のサンプルをプロットし、50サイクル後の微粉化残存率が50%以上となる領域を示した図である。
縦軸:200サイクル後の微粉化残存率(サンプル27を100とした時の相対値)、横軸:プラトー圧(平衡水素圧)からなる座標中に、サンプル1〜37をプロットしたグラフである。
試験で作製した開放型試験セルの構成を説明するための縦側断面図である。
発明を実施するための形態
以下に本発明の実施形態について詳細に述べるが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意であり、「好ましくはXより大きく、Yより小さい」の意を包含するものである。
本発明の水素吸蔵合金は、一般式MmNiaMnbAlcCod(式中、Mmはミッシュメタル、4.0≦a≦4.7、0.30≦b≦0.65、0.20≦c≦0.50、0<d≦0.35、5.2≦a+b+c+d≦5.5)又は一般式MmNiaMnbAlcCodFee(式中、Mmはミッシュメタル、4.0≦a≦4.7、0.30≦b≦0.65、0.20≦c≦0.50、0<d≦0.35、0<e≦0.11、5.2≦a+b+c+d+e≦5.5)で表すことができるCaCu5型結晶構造を有する低Co水素吸蔵合金であって、当該CaCu5 型結晶構造の結晶格子のa軸長が499.0pm以上であり、かつc軸長が405.0pm以上の範囲にあり、さらに45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧(以下「プラトー圧」ともいう)が0.06MPa以下であることを特徴とする、CaCu5型結晶構造を有するABx型の低Co水素吸蔵合金である。
本発明の低Co水素吸蔵合金は、ABx組成におけるAサイトを構成する元素の合計モル数に対するBサイトを構成する元素の合計モル数の比率a+b+c+d又はa+b+c+d+e(この比率を「ABx」或いは「a+b+c+d(+e)」とも称する)が、5.2≦ABx≦5.5であるから、Bサイトリッチの非化学量論組成からなるものである。この範囲のABxであれば、電池寿命や微粉化特性の低下を抑制できる一因をなし、水素吸蔵特性及び出力特性の低下も抑制することができる。このような観点から、ABxは5.25以上であるのがより好ましく、また5.45以下であるのがより好ましい。
本発明の低Co水素吸蔵合金において、出力特性(特にパルス放電特性)、活性(活性度)及び寿命特性を向上させる観点から、a軸長は499.0pm以上であるのが好ましく、503.0pm以下であるのが好ましい。特に499.7pm以上であるのがより好ましく、502.7pm以下であるのがより好ましい。他方、c軸長は405.0pm以上であるのがより好ましく、408.0pm以下であるのがより好ましい。中でも特に405.6pm以上であるのがより好ましく、407.4pm以下であるがより好ましい。
例えば、a軸長が499.7pm〜501.2pmであり、c軸長が405.6pm〜406.2pmである場合は好ましい一例である。
本発明者はさらに、ABxのレベルによって好ましいa軸長及びc軸長が異なることを見出し、この知見に基づき、ABx範囲毎に好ましいa軸長及びc軸長を提案する。
一般式MmNiaMnbAlcCodで表すことができるCaCu5型結晶構造を有する低Co水素吸蔵合金に関しては、
(イ) 5.25≦ABx<5.30の組成においては、a軸長が500.5pm以上502.7pm以下であり、かつc軸長が405.6pm以上406.9pm以下であるのが好ましい。
(ロ) 5.30≦ABx<5.35の組成においては、a軸長が500.0pm以上502.4pm以下であり、かつc軸長が405.9pm以上407.2pm以下であるのが好ましい。
(ハ) 5.35≦ABx<5.40の組成においては、a軸長が499.8pm以上502.3pm以下であり、かつc軸長が406.0pm以上407.3pm以下であるのが好ましい。
(ニ) 5.40≦ABx<5.45の組成においては、a軸長が499.7pm以上502.3pm以下であり、かつc軸長が406.1pm以上407.4pm以下であるのが好ましい。
また、一般式MmNiaMnbAlcCodFeeで表すことができるCaCu5型結晶構造を有する低Co水素吸蔵合金に関しては、
(ホ) 5.25≦ABx<5.30の組成においては、a軸長が500.5pm以上503.0pm以下であり、かつc軸長が405.6pm以上407.9pm以下であるのが好ましい。
(ヘ) 5.30≦ABx<5.35の組成においては、a軸長が500.0pm以上502.8pmpm以下であり、かつc軸長が405.6pm以上408.2pm以下であるのが好ましい。
(ト) 5.35≦ABx<5.40の組成においては、a軸長が499.8pm以上502.8pm以下であり、かつc軸長が405.6pm以上408.3pm以下であるのが好ましい。
(チ) 5.40≦ABx<5.45の組成においては、a軸長が499.7pm以上502.6pm以下であり、かつc軸長が405.7pm以上408.4pm以下であるのが好ましい。
それぞれのABxの範囲によって上記の範囲のa軸長及びc軸長に制御することにより、ハイブリッド自動車などに求められる寿命特性、すなわち、水素吸蔵合金を粉砕し、篩い分けして粒度20〜53μmの範囲に調整して水素吸蔵合金粉末とし、この水素吸蔵合金粉末の平均粒径(;サイクル前粒度、D50)を粒度分布測定装置により測定した後、この水素吸蔵合金粉末2gを秤量してPCTホルダー中に入れ、1.75MPaの水素圧で2回表面洗浄し、次いで3MPaの水素を導入するようにして活性化を2回行い、次に、PCT装置により、水素吸蔵合金粉末2.0gに45℃にて水素の吸蔵・放出を50回繰り返すサイクル試験を行い、50サイクル試験後の水素吸蔵合金粉末の平均粒径(;サイクル後粒度、D50)を粒度分布測定装置により測定したときの、サイクル前粒度に対するサイクル後粒度の割合(微粉化残存率(%))が50%以上を示す寿命特性、を備えた水素吸蔵合金とすることができる。
但し、測定するサンプル(水素吸蔵合金)の粒度が極めて細かい微粉であったり、合金表面の酸化が激しい場合には、上記の活性化条件では正確なデータが得られないことがある。そのため、この場合には上記の活性化条件における時間及び温度を引き上げることにより測定精度を上げるのが好ましい。
ハイブリッド自動車の用途に求められる水準の高耐久性を維持するためには、50サイクル後の微粉化残存率(%))が50%以上であることが必要である。上述のようにABxの範囲毎にa軸長及びc軸長を制御することにより、Coの組成割合(モル比)が0.35以下であるから安価で、しかも上述のように次世代ハイブリッド自動車用電池の負極活物質に要求される高耐久性を満足する水素吸蔵合金を提供することができる。
このような高耐久性は、ハイブリッド自動車用途だけではなく他の用途に使用される電池においても得られるものであるから、高耐久性という点に関してその用途をハイブリッド自動車用に限定するものではない。
Ni、Mn、Al及びCo、或いは、Ni、Mn、Al、Co及びFeの組成割合に関しては、上述のように5.2≦a+b+c+d(+e)≦5.5、中でも好ましくは5.25≦a+b+c+d(+e)又はa+b+c+d(+e)≦5.45の範囲内で適宜調整すればよいが、本発明の低Co水素吸蔵合金の特徴を考えると、Coの組成割合(モル比)を低くし、Ni、Mn、Al、Feの割合およびABxを調整するとともに製造条件を調整することによって、結晶格子のa軸長さおよびc軸長さ、並びに平衡水素圧を調整するのがよい。よって、各元素の組成割合は、例えば先ずCo及びNiの組成割合(モル比)を決め、次にMnの組成割合が所定範囲内に入るようにMn、Al、Feの組成割合を変えてABxを調整するようにして合金組成を決定するのが好ましい。
Coの割合(d)は、0<d≦0.35、好ましくは0<d≦0.3、更に好ましくは0<d≦0.2の範囲内で調整するのがよい。0<d≦0.35の範囲内であれば、水素吸蔵特性や微粉化特性を劣化させることもなく、しかも充分にコスト削減の利益を享受できる。
Niの割合(a)は、4.0≦a≦4.7、好ましくは4.1≦a≦4.6、更に好ましくは4.2≦a≦4.5の範囲内で調整するのがよい。4.0≦a≦4.7の範囲内であれば、充分な出力特性を得ることができ、しかも微粉化特性や寿命特性に悪影響を与えることもない。
Mnの割合(b)は、0.30≦b≦0.65の範囲内で調整するのがよい。本発明の合金においては、Mnの割合も重要な要素であり、Mnの割合を0.30≦b≦0.65の範囲に調整しないと、50サイクル後の微粉化残存率を50%以上に確保することは難しい。また、45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧を0.055MPa以下にする観点からは、好ましくは0.31≦b≦0.65、平衡水素圧が0.050MPa以下にする観点からは0.32≦b≦0.65であり、中でも好ましくは0.35≦b≦0.60、更に好ましくは0.35≦b≦0.55である。
Alの割合(c)は、0.20≦c≦0.50の範囲内で調整するのがよい。0.2≦c≦0.5の範囲内であれば、プラトー圧が必要以上に高くなって充放電のエネルギー効率を悪化させる影響が少なく、しかも水素吸蔵量を低下させる影響も少ない。また、45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧を0.055MPa以下にする観点からは、好ましくは0.21≦c≦0.50、平衡水素圧が0.050MPa以下にする観点からは0.22≦c≦0.50であり、中でも好ましくは0.30≦c≦0.50、更に好ましくは0.30≦c≦0.45である。
Feの割合(e)は、0<e≦0.11、好ましくは0.001<e≦0.11、更に好ましくは0.002<e≦0.11の範囲内で調整するのがよい。0<e≦0.11の範囲内であれば、活性度を低下させる影響も少なく、微粉化特性を向上させることができる。
上記組成において「Mm」は、少なくともLa及びCeを含む希土類系の混合物(ミッシュメタル)であればよい。通常のMmは、La及びCeのほかにPr、Nd、Sm等の希土類を含んでいる。例えばCe(40〜50%)、La(20〜40%)、Pr、Ndを主要構成元素とする希土類混合物を挙げることができる。Mm中のLaの含有量は、Mm中の含有量において10〜90質量%、特に10〜85質量%、中でも15〜30重量%、その中でも特に18〜30重量%であるのが好ましい。
なお、本発明の水素吸蔵合金は、本発明が所望する効果に影響を与えない程度の不純物を含んでいてもよい。例えばTi,Mo,W,Si,Ca,Pb,Cd,Mgのいずれかの不純物を0.05重量%程度以下であれば含んでいてもよい。
上記の要件を満たす低Co水素吸蔵合金の中でも、45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧が0.06MPa以下であるもの、特に0.055MPa以下、中でも特に0.050MPa以下であるものが好ましい。
ここで、45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)が0.5である時とは、平衡水素圧がプラトー領域にある状態の略中心を意味し、プラトー領域の圧力の平均値の指標としての意味を有している。
平衡水素圧が0.06MPa以下であると、水素の吸蔵・放出を200回繰り返した後の微粉化残存率が顕著に高まり、寿命特性(耐久性)が顕著に高まることが確認されている。このような平衡水素圧と微粉化特性との関係について検討すると、数十サイクル程度の吸蔵・放出サイクルでは平衡水素圧は微粉化特性に影響しないが、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)などのように長期サイクル使用を想定する必要がある場合には、平衡水素圧を0.06MPa以下とすることが寿命特性(耐久性)を維持する上で特に重要である。このようなメカニズムは試験的に確かめた訳ではないが、水素吸蔵合金は水素の吸蔵・放出に伴い、格子体積の膨張収縮が起こり、微粉化を引き起こす。特に水素の放出、つまり格子体積が収縮する時に微粉化を引き起こし易い。そのため、平衡水素圧が高く容易に水素を放出する合金ほど、格子体積の収縮速度が速いため合金が割れ易く、微粉化特性の低下を引き起こすのではないかと考えられる。
上記平衡水素圧が、0.055MPa以下、更に0.050MPa以下となると、寿命特性(耐久性)は勿論よくなるが、そればかりか高温域における水素ガス発生の抑制や自己放電の減少の点でもさらに好ましくなる。
その一方で、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧の下限値としては、0.020MPa以上、特に0.030MPa以上、中でも特に0.040MPa以上であるのが好ましい。
水素吸蔵合金負極の平衡電位(20℃、6MKOH、1気圧、酸化水銀電極基準)と平衡水素圧との関係は次のネルンスト式で与えられる。
Eeq(H2O/H)−Eeq(HgO/Hg)=−0.9324−0.0291LogPH2
この式から分るように、平衡水素圧が低くなり過ぎると、電池の負極として用いた場合に、負極の平衡電位が貴な方向にシフトし、電池電圧が低下して十分な出力特性が得られなくなる可能性がある。
EV及びHEV用途に水素吸蔵合金を使用する場合、単セルを数十〜数百本直列につないで使用することを考慮する必要がある。つまり、他の用途では問題とならない各単セル一本当りの極僅かな電圧差がEV及びHEV用途では全体の電圧に大きな影響を及ぼすことになる。そのため、平衡水素圧の上限のみならず、平衡水素圧の圧力範囲が重要であり、0.06MPa〜0.02MPa、好ましくは0.06MPa〜0.03MPa、さらに好ましくは0.06MPa〜0.04MPaの範囲に調整することが重要である。
なお、プラトー圧の測定方法を後述する実施例に示したが、測定するサンプル(水素吸蔵合金)の粒度が極めて細かい微粉であったり、合金表面の酸化が激しい場合には、実施例で示した測定方法の活性化条件では正確なデータが得られないことがある。そのため、この場合には実施例で示した活性化の時間及び温度を引き上げることにより測定精度を上げるのが好ましい。また、そのようにしても正確なデータが得られない場合、例えば、電池を解体して得られた負極合金のように、微粉化が進み、合金表面の酸化が激しく、さらには合金成分以外の添加物を含有するようなもの(測定サンプル)については、それらの原因によりPCT測定に関与しなかった重量分を差し引いて考える必要がある。その方法としては、実施例において示した開放型試験セルにより20サイクル容量を求め、「20サイクル容量(mAh/g)」=((96500(A・s)×[H/M])/(3600(s/h)×水素吸蔵合金1金属あたりの平均原子量(g)))×1000(mA/A)の式から[H/M]を求める。そして、この[H/M]に合致するよう合金重量を換算したPCTデータを求め、その[H/M]0.5における平衡水素圧を求めるようにすればよい。
ここで言うところの水素吸蔵合金1金属あたりの平均原子量とは、例えばLaNiの場合、「水素吸蔵合金1金属あたりの平均原子量(g)」=(138.9+58.7×5)/6=72.1(g)のことである。
電池を解体して得られた負極合金のようにアルカリ液中に浸漬した合金は、プラトー圧が0.002MPa程度は高くなる可能性がある。
また、使用済の電池を解体して得た水素吸蔵合金のプラトー圧は、使用前プラトー圧から0.01MPa程度高くなることはほとんどないから、使用済プラトー圧から使用前プラトー圧を推測することができる。
(低Co水素吸蔵合金の製造方法)
本発明の低Co水素吸蔵合金の製造方法は特に限定するものではないが、一般式MmNiaMnbAlcCod(4.0≦a≦4.7、0.3≦b≦0.65、0.2≦c≦0.5、0<d≦0.35、5.2≦a+b+c+d≦5.5)又は一般式MmNiaMnbAlcCodFee(式中、Mmはミッシュメタル、4.0≦a≦4.7、0.3≦b≦0.65、0.2≦c≦0.5、0<d≦0.35、0<e≦0.11、5.2≦a+b+c+d+e≦5.5)の合金組成となるように、各水素吸蔵合金原料を秤量、混合した上で、結晶格子のa軸長及びc軸長がともに所定範囲になり、且つ45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)における水素吸蔵量(H/M)0.5の平衡水素圧が所定値以下となるように製造方法及び製造条件を調整して水素吸蔵合金を製造すればよい。
例えば、水素吸蔵合金原料を秤量、混合し、この混合物を溶解して鋳造し、次いで熱処理するようにして水素吸蔵合金を製造すればよく、この際、鋳造条件(鋳造方法、鋳造温度、冷却速度など)、熱処理条件などの製造条件を合金組成に合わせて適宜選択、制御することによって、結晶格子のa軸長及びc軸長を所定範囲に調整することができる。多くの場合、鋳造における冷却速度を速くすれば結晶格子のa軸長及びc軸長を変化させることができ、また、熱処理温度を高くすれば多くの場合には結晶格子のc軸長を成長させることができる。但し、合金種によっては熱処理温度が低温であってもc軸長が成長するものもあるから、合金種によって適宜制御することが必要である。
また、結晶格子のa軸長及びc軸長をともに所定範囲内に入るように調整するには、結晶を均質に成長させることも重要な要素の一つである。結晶の均質化を図るためには、熱処理のほかにも、例えば特開2002−212601号に開示されているように、熱処理前の合金を分級して合金粉末の粒径を制御することも有効であるとも考えられる。よって、このような手段も結晶格子のa軸長及びc軸長を所望の範囲に調整する手段の一つとして採用することが可能である。
また、プラトー圧を調整するには、ABxの値、MnやAlの置換量、鋳造時の冷却速度、熱処理(アニール)条件特に熱処理温度などを合金組成に合わせて適宜調整すればよい。
多くの場合、ABxの値を大きくしたり、MnやAlの置換量を増加させることでプラトー圧を低下させることができるが、これらのバランスが重要である。
また、一般的な水冷式鋳型であれば、鋳造時の冷却速度は、溶湯温度が高温であることにより温度差が大きいことから、プラトー圧に与える影響範囲を十分に超えているため、従来はプラトー圧には影響しないものと考えていた。しかし、実際に冷却速度を速くしてみた結果、プラトー圧に影響することが判明した。
鋳造方法としては、鋳型鋳造法が好ましいが、例えばツインロール法(具体的には特願2002−299136の段落[0013]〜[0016]参照)、その他の鋳造法でも製造可能である。
ここでは、鋳型鋳造法による製造方法の一例について説明する。
先ず、所望の合金組成となるように、水素吸蔵合金原料を秤量、混合し、例えば誘導加熱による高周波加熱溶解炉を用いて、上記水素吸蔵合金原料を溶解して溶湯となす。これを鋳型、例えば水冷型の鋳型に流し込んで水素吸蔵合金を1350〜1550℃で鋳造し、所定の冷却速度(所定の冷却水量)で冷却する。この際の鋳湯温度は1200〜1450℃とする。なお、ここでいう鋳造温度とは、鋳造開始時(鋳型注ぎ込み前)のルツボ内溶湯温度であり、鋳湯温度とは鋳型注ぎ込み口温度(鋳型前温度)である。
次に、得られた水素吸蔵合金を不活性ガス雰囲気中、例えばアルゴンガス中で熱処理する。熱処理条件は1040〜1080℃、3〜6時間が好ましい。
なお、上述のように、鋳造時の冷却速度は、水素吸蔵合金の結晶格子のa軸長およびc軸長ばかりではなく、プラトー圧にも影響する。また、冷却速度が遅過ぎると、得られる水素吸蔵合金は十分な寿命特性が得られなくなり、冷却速度が速過ぎると、良好な初期活性が得られなくなる。そのため、水素吸蔵合金の結晶格子のa軸長、c軸長及びプラトー圧ばかりではなく、寿命特性や初期活性なども考慮して、適当な冷却速度を設定することが重要である。
(低Co水素吸蔵合金の利用)
得られた水素吸蔵合金(インゴット)は、粗粉砕、微粉砕により必要な粒度の水素吸蔵合金粉末とし、必要に応じて、金属材料や高分子樹脂等により合金表面を被覆したり、酸やアルカリで表面を処理したりするなど適宜表面処理を施し、各種の電池の負極活物質として用いることができる。ただし、必要に応じてであるから、このような処理は常に必要な訳ではない。
電池用負極の調製は、負極活物質に公知の方法により結着剤、導電助剤などを混合、成形すれば水素吸蔵合金負極を製造できる。
このようにして得られる水素吸蔵合金負極は、二次電池のほか一次電池(燃料電池含む)にも利用することができる。例えば、水酸化ニッケルを活物質とする正極と、アルカリ水溶液よりなる電解液と、セパレータからニッケル−MH(MetalHydride)二次電池を構成することができ、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池(リチウム電池など他の電池と組み合わせて使用するハイブリッド型の燃料電池も含む)、小型又は携帯型の各種電気機器、電動工具などの電源用途に好適に利用することができる。
なお、本明細書において「ハイブリッド自動車」とは、電気モータと内燃エンジンという2つの動力源を併用した自動車の意味であり、この際「内燃エンジン」にはガソリンエンジンばかりでなく、ディ−ゼルエンジン、その他のエンジンも含まれる。
中でも、本発明の低Co水素吸蔵合金は、電動工具やデジタルカメラなどの電池のように充放電深度の限界域間(H/M=0若しくは約0.1〜約0.8)で充放電される電池ではなく、電気自動車やハイブリッド自動車用電池など、充放電深度の中心領域で充放電される電池の負極活物質に用いた場合に、初期活性、寿命特性(サイクル特性)ともに顕著に優れた性能を発揮するため、このような充放電深度の中心領域で充放電される電池の負極活物質として特に好ましい。
ここで、「充放電深度の中心領域で充放電される電池」とは、充放電深度の限界域(H/M=0若しくは約0.1〜約0.8)には満たない水素吸蔵量領域で充放電される電池を意味し、例えばH/M=約0.2〜約0.7、特に約0.4〜0.6を主な使用領域とする電池が好ましく、具体的には電気自動車及びハイブリッド自動車などの自動車に搭載される電池を挙げることができる。
なお、ヒートポンプ、太陽・風力などの自然エネルギーの貯蔵、水素貯蔵、アクチュエータなどに使用される水素吸蔵合金への利用も可能である。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
[サンプルの作製]
表1に示した合金組成となるように、各水素吸蔵合金原料を秤量、混合し、その混合物をルツボにいれて高周波溶解炉に固定し、10-4Torr以下まで真空状態にした後、アルゴンガス雰囲気中で加熱溶解して水冷式銅鋳型に流し込み、表2に示した鋳造温度で鋳造を行い、表2に示した冷却水量で冷却を行い、合金を得た。さらに、この合金をアルゴン雰囲気中で1060℃、6時間の熱処理を行い、インゴット状の水素吸蔵合金(サンプル1〜37)を得た。
なお、Ceの含有量については表1に示した範囲内であることは確認できているが、より詳細な定量はできていない。また、不純物については定量できていない。
Figure 2006085542
[特性及び物性評価]
上記で得られたサンプル1〜37について、下記に示す方法によって諸物性値及び諸特性値を測定し、結果を表2に示した。
<a軸長><c軸長>
水素吸蔵合金(インゴット)を粉砕し、篩い分けして−20μm(20μmφの篩目を通過する粒子径)に分級したものをガラスホルダーに充填して粉末X線回折装置(RIGAKU製XRD)に供した。CuKα線により1°/minの走査速度、100−150°の角度で測定を行い、誤差関数測定法(wilson&pike法)により格子定数の精密化を行った上、a軸長(pm)及びc軸長(pm)を算出した。算出したa軸長及びc軸長の値には±0.1pmのばらつきがある。
尚、精密化するのに使用したピークは以下の通りである。
・100〜104°付近にあるミラー指数(303)で指数付けされるピーク。
・105〜106°付近にあるミラー指数(321)で指数付けされるピーク。
・106〜107°付近にあるミラー指数(402)で指数付けされるピーク。
・110〜114°付近にあるミラー指数(411)で指数付けされるピーク。
・116〜118°付近にあるミラー指数(313)で指数付けされるピーク。
・126〜129°付近にあるミラー指数(412)で指数付けされるピーク。
・129〜132°付近にあるミラー指数(501)で指数付けされるピーク。
・139〜142°付近にあるミラー指数(331)で指数付けされるピーク。
<PCT容量(H/M)><プラトー圧(PH2/MPa)>
水素吸蔵合金(インゴット)を粉砕し、篩い分けして300μm〜500μm(300μmφの篩目を通過しないが、500μmφの篩目を通過する粒子径)に分級したものをPCT装置(自動ジーベルツ装置(鈴木商館製))により、45℃にてPCT曲線を測定した時の0.5MPaにおける水素吸蔵量(H/M)、並びにそのように測定した時のプラトー圧(H/M=0.5、MPa)を求めた。
詳細に説明すると、PCT測定の前に次のような操作を実施した。
(1)合金付着水分処理:マントルヒーター(250℃)中、PCTホルダーを加熱した状態で1.75MPaの水素を導入し、10分間放置後、真空引きを行う一連の操作を2回実施した。
(2)合金活性化処理:マントルヒーターからPCTホルダーを取り出し、3MPaの水素を導入し、10分間保持をした。その後、マントルヒーター(250℃)中でPCTホルダーを加熱した状態で10分間真空引きを行った。この一連の操作を2回実施した。
そして、マントルヒーターからPCTホルダーを取り出し、45℃の恒温槽にホルダーを移動させた後、真空引きを30分行い、その後、吸蔵終了圧力1.7MPaまでPCT測定を行った。得られた45℃における圧力−組成等温線図から、圧力が0.5MPaのときの水素吸蔵量をPCT容量H/M(H/M:金属原子M1個当たりの水素原子H量)、並びに、H/Mが0.5のときの圧力(MPa)をブラトー圧として求めた。
<微粉化残存率(200−D(%vs.サンプル27))(10−D(%))(50−D(%))>
水素吸蔵合金(インゴット)を粉砕し、篩い分けして粒度20μm〜53μm(20μmφの篩目を通過しないが、53μmφの篩目を通過する粒子径)の範囲に調整して水素吸蔵合金粉末とした。この水素吸蔵合金粉末を粒度分布測定装置(日揮装(株)製マイクロトラック)により平均粒径(D50)を測定し、これをサイクル前粒度とした。
次に、水素吸蔵合金粉末2gを秤量し、PCTホルダー中に試料を入れ、上記のPCT容量(H/M)測定と同様に、PCT測定前に行なった操作(1)(2)を実施した。
活性化処理後、PCT装置(自動ジーベルツ装置(鈴木商館製))により、前記水素吸蔵合金粉末2.0gに水素の吸蔵・放出を10回、50回又は200回繰り返すサイクル試験を行った(温度条件:45℃、導入圧力:1.1MPa、吸蔵時間:300sec、排出圧力:0.0MPa、放出時間:420sec)。この際、水素が吸蔵されることにより導入圧の80%以下となった場合、自動的に1.1MPaまで水素が導入されるように設定した。
その後、回収して再び平均粒径(D50)を測定した時の平均粒径(D50)をサイクル後粒度とし、両平均粒径(D50)を使用して次式から10サイクル後、50サイクル後又は200サイクル後の微粉化残存率(%)を算出した。
微粉化残存率(%)=(サイクル後粒度/サイクル前粒度)×100
なお、200サイクル後の微粉化残存率(%)については、サンプル27の値(%)を100とした場合の相対値として示した。サンプル1〜37について見ると、微粉化残存率が低いサンプル群と高いサンプル群に分かれるため、分り易いように、微粉化残存率が低いサンプル群の一つであるサンプル27を対照とする相対値として示したものである。
<電極セルの作製>
水素吸蔵合金(インゴット)を粉砕し、篩い分けして−45μm(45μmφの篩目を通過する粒子径)に分級した水素吸蔵合金粉末を、ニッケル粉末(導電材)及びポリエチレン粉末(結合材)と共に4.12g混合し、得られた混合粉をプレスして直径15mm、厚さ1.8mmのペレットを作製し、150℃×1時間真空焼成を行って焼結させてペレット電極を作製した。
このペレット電極を負極とし、十分な容量の正極(焼結式水酸化ニッケル)でセパレータ(日本バイリーン製)を介して挟み込み、比重1.30のKOH水溶液中に浸漬させて開放型試験セル(図28参照)を作製した。
詳しくは次のとおりである。
JIS H 7205に準じた次の試験方法により、電極セルの放電容量を測定した。
1) 水素吸蔵合金1gに、導電材としてのニッケル粉末3g、及び結着材としてのポリエチレン粉末0.12gを混合し、得られた粉1.24g(水素吸蔵合金0.3g含有)を発泡Ni上に加圧成形して直径15mm、厚さ1.8mmのペレット型とし、150℃×1時間真空焼成を行ってペレット電極を作製し、このペレット電極を負極とし、これを計算負極容量の2倍以上の容量をもつ正極(焼結式水酸化ニッケル)でセパレータを介して挟み込み、30wt%のKOH水溶液中に浸漬させて開放型試験セルを作製した。
2) 開放型試験セルを充放電装置に接続し、温度調整可能な恒温槽中に入れた。試験条件は測定項目に応じて適宜条件の設定を行う必要があり、例えば20サイクル容量であれば、充電:0.2C×6時間(120%対計算負極容量)、放電0.2C、0.7Vカット、温度20℃の条件下で測定した。
なお、上記の「計算負極容量」とは、PCT(H/M)の測定方法で得られたH/Mを電気化学的容量に換算した容量である。例えば、H/M=0.8の場合、「計算負極容量(mAh/g)」=((96500(A・s)×0.8)/(3600(s/h)×水素吸蔵合金1金属あたりの平均原子量(g)))×1000(mA/A)という式で換算することができる。
<初期容量(1∞/mAh/g)><20サイクル容量(20∞/mAh/g)>
上記の開放型試験セルを充放電装置(HOKUTO製充放電試験機)に接続し、温度調整可能な恒温槽(YAMATO製)中に入れた。充電から放電までを1サイクルとし、1サイクル目の充電から4サイクル目の充電まで、6サイクル目の放電から16サイクル目の充電まで、18サイクル目の放電から20サイクル目の放電までを充電:0.2C×6時間、放電0.2C、0.7Vカット、温度20℃の条件下で実施した。このときの1サイクル目の放電容量(mAh/g)を初期容量とし、初期活性を表す指標とした。また、20サイクル目の放電容量(mAh/g)を20サイクル容量とした。なお、上記以外のサイクルについての条件は「活性度」の試験項目に記載する。
<活性度>
上記試験の4サイクル目の放電から6サイクル目の充電、16サイクル目の放電から18サイクル目の充電までを充電:1C×1時間12分、放電:1C、0.7Vカット、温度0℃の条件下で実施した。このときの5サイクル目の放電容量(mAh/g)を5サイクル容量、17サイクル目の放電容量(mAh/g)を17サイクル容量とした。
そして、活性度(%)を次の式により算出した。
活性度(%)=(5サイクル容量/17サイクル容量)×100
<0℃・21サイクル目容量(0℃、1C、Cap/mAh/g)><パルス>
上記サイクル試験において、20サイクル容量を測定後、0℃にて0.2C×6時間充電し、1C、0.7Vカットで放電させた21サイクル目の放電容量(mAh/g)を21サイクル容量とした。容量が大きい程、低温特性が良好であることを示す指標となる。
また、21サイクル容量測定後、そのまま0℃にて0.2C×6時間充電し、0.2C×2.5時間放電した。その後、電位が安定するまで30分間放置し、2Cで放電させたときの10秒後の電圧値(V)をパルスとした。電圧が高い程、低温時の出力特性が良好であることを示す指標となる。
Figure 2006085542
図1は、サンプル1〜30のa軸長及びc軸長を、横軸:a軸長、縦軸:c軸長からなる座標中にプロットした図である。
図1及び表2の結果より、a軸長及びc軸長がある範囲内にあれば、活性、出力特性及び寿命特性のいずれも良好になることが分かった。中でも、サンプル2、17、22及び24は活性、出力特性、寿命特性の点で特に良好なものと評価することができた。
また、表2の結果において、鉄(Fe)を含有する合金組成のサンプル31〜37についてみると、鉄(Fe)を含有させることにより寿命特性が良好になることが分った。さらにまた、冷却水量を多くすると、つまり冷却速度を高めると、c軸長が大きくなり寿命特性も上昇する傾向があることが分かった。
図2及び図3は、サンプル1〜30をMn割合(モル比)で区分し、Mn割合毎、Alの割合(横軸)とa軸長(縦軸)又はc軸長(縦軸)との関係をプロットしたグラフである。
また、図4〜図21並びに表3〜表5は、サンプル1〜30の中から、Mn割合(モル比)の異なるサンプル(サンプル6、9、10、14、22、26)を選び、抽出したサンプルの合金組成においてMmの割合(モル比)を変えてABx5.2〜5.4の合金を作製し(作製条件は抽出したサンプルに同じ)、抽出したサンプル毎、言い換えればMn割合毎に、ABxとa軸長(縦軸)又はc軸長(縦軸)との関係を示したのが図4〜図15並びに表3及び表4であり、ABxと50サイクル後の微粉化残存率との関係を示したのが図16〜図21並びに表5である。
これより、ABxとa軸長及びc軸長との間には相関があり、ABxが大きくなると、a軸長は小さくなり、c軸長は大きくなる傾向があることが分かった。
Figure 2006085542
Figure 2006085542
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また、図22〜図26及び表6〜表9は、サンプル1〜30をABxで区分し、それぞれのABx毎にa軸長とc軸長さとの関係を示すと共に、更に50サイクル後の微粉化残存率50%以上の領域を示したグラフである。
例えば図22の場合、すなわち5.20≦ABx<5.25の場合は、50サイクル後の微粉化が50%を上回るサンプルは存在しなかった。これに対し、図23〜図26の場合は、例えば図23に示されるように、a軸長が500.5pm以上502.7pm以下であり、かつc軸長が405.6pm以上406.9pm以下の範囲(図中の枠)内のサンプルは、50サイクル後の微粉化残存率が50%以上となり、枠外のサンプルは50%を下回る結果となった。他の図についても同様のことが言えた。
このように、AB比(ABx)範囲を細かく区分し、各AB比(ABx)範囲毎にa軸長及びc軸長の範囲を特定することにより、50サイクル後の微粉化残存率が50%以上となる低Co水素吸蔵合金を特定できることが判明した。
Figure 2006085542
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図27は、サンプル1〜37について、プラトー圧(平衡水素圧)と200サイクル後の微粉化残存率との関係を示したグラフである。これより、平衡水素圧が0.060MPaを超えたサンプル(サンプル13、26、27)は微粉化残存率が顕著に低いことが確認できた。サンプル13、26、27のプラトー圧(平衡水素圧)が高い原因については、確かではないがサンプル13はMn及びAlの置換量が少ないことが主な原因であり、サンプル26はMnの置換量が少ないことが主な原因であり、サンプル27は、Alの置換量が少ないことが主な原因であると推定される。

Claims (12)

  1. 一般式MmNiaMnbAlcCod(式中、Mmはミッシュメタル、4.0≦a≦4.7、0.30≦b≦0.65、0.20≦c≦0.50、0<d≦0.35、5.2≦a+b+c+d≦5.5)で表すことができるCaCu5型結晶構造を有する低Co水素吸蔵合金であって、
    当該CaCu5 型結晶構造の結晶格子のa軸長が499.0pm以上であり、かつc軸長が405.0pm以上であって、
    45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧が0.06MPa以下であることを特徴とする低Co水素吸蔵合金。
  2. 5.25≦a+b+c+d<5.30の組成においては、結晶格子のa軸長が500.5pm以上502.7pm以下であり、かつc軸長が405.6pm以上406.9pm以下であることを特徴とする請求項1記載の低Co水素吸蔵合金。
  3. 5.30≦a+b+c+d<5.35の組成においては、結晶格子のa軸長が500.0pm以上502.4pm以下であり、かつc軸長が405.9pm以上407.2pm以下であることを特徴とする請求項1記載の低Co水素吸蔵合金。
  4. 5.35≦a+b+c+d<5.40の組成においては、結晶格子のa軸長が499.8pm以上502.3pm以下であり、かつc軸長が406.0pm以上407.3pm以下であることを特徴とする請求項1記載の低Co水素吸蔵合金。
  5. 5.40≦a+b+c+d<5.45の組成においては、結晶格子のa軸長が499.7pm以上502.3pm以下であり、かつc軸長が406.1pm以上407.4pm以下であることを特徴とする請求項1記載の低Co水素吸蔵合金。
  6. 一般式MmNiaMnbAlcCodFee(式中、Mmはミッシュメタル、4.0≦a≦4.7、0.30≦b≦0.65、0.20≦c≦0.50、0<d≦0.35、0<e≦0.11、5.2≦a+b+c+d+e≦5.5)で表すことができるCaCu5型結晶構造を有する低Co水素吸蔵合金であって、
    当該CaCu5 型結晶構造の結晶格子のa軸長が499.0pm以上であり、かつc軸長が405.0pm以上であり、
    45℃における圧力−組成等温線図(PCT曲線)において、水素吸蔵量(H/M)0.5における平衡水素圧が0.06MPa以下であることを特徴とする低Co水素吸蔵合金。
  7. 5.25≦a+b+c+d+e<5.30の組成においては、結晶格子のa軸長が500.5pm以上503.0pm以下であり、かつc軸長が405.6pm以上407.9pm以下であることを特徴とする請求項6記載の低Co水素吸蔵合金。
  8. 5.30≦a+b+c+d+e<5.35の組成においては、結晶格子のa軸長が500.0pm以上502.8pm以下であり、かつc軸長が405.6pm以上408.2pm以下であることを特徴とする請求項6記載の低Co水素吸蔵合金。
  9. 5.35≦a+b+c+d+e<5.40の組成においては、結晶格子のa軸長が499.8pm以上502.8pm以下であり、かつc軸長が405.6pm以上408.3pm以下であることを特徴とする請求項6記載の低Co水素吸蔵合金。
  10. 5.40≦a+b+c+d+e<5.45の組成においては、結晶格子のa軸長が499.7pm以上502.6pm以下であり、かつc軸長が405.7pm以上408.4pm以下であることを特徴とする請求項6記載の低Co水素吸蔵合金。
  11. 水素吸蔵合金を粉砕し、篩い分けして粒度20μm〜53μmの範囲に調整して水素吸蔵合金粉末とし、この水素吸蔵合金粉末の平均粒径(;サイクル前粒度、D50)を粒度分布測定装置により測定した後、この水素吸蔵合金粉末2gを秤量してPCTホルダー中に入れ、1.75MPaの水素圧で2回表面洗浄し、次いで3MPaの水素を導入するようにして活性化を2回行い、次に、PCT装置により、45℃にて水素の吸蔵・放出を50回繰り返すサイクル試験を行い、50サイクル試験後の水素吸蔵合金粉末の平均粒径(;サイクル後粒度、D50)を粒度分布測定装置により測定したときの、下記の式で得られる微粉化残存率が50%以上であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか又は請求項7〜10のいずれかに記載の低Co水素吸蔵合金。
    微粉化残存率(%)=(サイクル後粒度/サイクル前粒度)×100
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の低Co水素吸蔵合金を負極活物質として用いてなる構成を備えた電池。




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