JPWO2006070853A6 - 歩留向上剤用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の抄紙系に対して、高い歩留率を実現できることはもちろんのこと、同時に紙の高地合性が確保でき、さらには使用方法が簡便な新規な歩留向上剤の提供。
【解決手段】(A)カチオン性水溶性高分子及び(B)両性水溶性高分子を含む歩留向上剤用組成物。(A)成分としては、カチオン当量値が0.05〜4.00meq/gを有する共重合体、又は0.5%塩粘度が30〜200mPa.sを有するものが好ましい。(B)成分としては、カチオン性ラジカル重合性単量体単位、アニオン性ラジカル重合性単量体単位及びノニオン性ラジカル重合性単量体単位を有する共重合体、又は多糖類の存在下に、カチオン性ラジカル重合性単量体とアニオン性ラジカル重合性単量体を重合させて得られた両性水溶性高分子が好ましい。さらに、カチオン性ラジカル重合性単量体単位のアニオン性ラジカル重合性単量体単位に対するモル基準の割合(以下Ca/Anという)がCa/An<1.2を満たすものが地合性に優れる点で好ましい。

Description

本発明は、カチオン性水溶性高分子及び両性水溶性高分子を含む歩留向上剤用組成物に関するものであり、本発明の組成物は、歩留向上剤及び製紙工業の技術分野で賞用され得るものである。
従来より、抄紙工程においては、填料を含む紙料を抄紙機に送入する最終濃度に希釈する際、又は希釈後に、歩留向上剤を添加し、抄紙機からの白水中へのパルプ及び填料流出を抑制し、歩留を向上させている。
歩留向上剤としては、通常、水溶性の高分子量ポリエチレンオキサイドやカチオン性ポリアクリルアミド等の水溶性重合体が用いられている。
しかしながら、これら水溶性重合体含む歩留向上剤は、歩留率をより向上させる目的で、歩留向上剤を比較的多量に使用する必要があり、その結果、巨大なフロックが生成し、紙の地合性を極度に悪化させてしまうという問題を有するものであった。
この問題を解決するため、最近では、カチオン性重合体とアニオン性化合物又は重合体を併用するデュアルシステムと呼ばれる方法が脚光を浴びている。その代表例としては、カチオン性重合体を添加後にベントナイト等のアニオン性無機化合物を添加する方法(特許文献1)や、カチオン性重合体の添加後にアニオン性コロイダルシリカを添加する方法等が挙げられる(特許文献2)。
特開平4−281095号公報(特許請求の範囲) 特許第2945761号公報(特許請求の範囲)
特許文献1及び同2記載の歩留向上剤は、歩留率と紙の地合性のバランス性に比較的優れているものの、そのレベルは未だ不十分であり、さらに、これらの歩留向上剤は2液を併用して使用する必要があるため、抄紙工程においてそれぞれの剤の添加箇所、添加のタイミング及び添加量のバランス等といった、使用方法が煩雑であるという問題を有するものであった。
本発明者らは、前記課題を解決するため、イオン当量の異なる2種の両性高分子を含む組成物からなる歩留向上剤を提案している(特許文献3)。
この歩留向上剤は、前記課題を解決する優れた性能を有するものであるが、さらなる歩留向上性能が要求される用途においては、不十分となる場合があった。特に、適用する紙料によっては、歩留率及び地合性が不十分であった。
本発明者らは、種々の抄紙系に対して、高い歩留率を実現できることはもちろんのこと、同時に紙の高地合性が確保でき、さらには使用方法が簡便な新規な歩留向上剤を見出すため、鋭意検討を行ったのである。
特開2003−175302号公報(特許請求の範囲)
本発明者らは、種々の検討の結果、カチオン性水溶性高分子及び両性水溶性高分子を含む組成物が有効であること見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書においては、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表し、アクリルアミド又はメタクリルアミドを(メタ)アクリルアミドと表す。
1.歩留向上剤用組成物
本発明は、(A)カチオン性水溶性高分子〔以下(A)成分という〕及び(B)両性水溶性高分子〔以下(B)成分という〕を含む歩留向上剤用組成物に関する。以下、それぞれの成分について説明する。
1−1.(A)成分
本発明で使用する(A)成分のカチオン性水溶性高分子は、カチオン性を有する重合体であれば種々のものが使用できる。
(A)成分としては、カチオン性ラジカル重合性単量体(以下単にカチオン性単量体という)単位及びノニオン性ラジカル重合性単量体(以下ノニオン性単量体という)単位を有する共重合体が好ましい。
1−1−1.カチオン性単量体
カチオン性単量体としては、ラジカル重合性を有するものであれば種々の化合物が使用でき、具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノ‐2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩酸塩及び硫酸塩等の3級塩;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩等の3級塩;ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付加物等のハロゲン化アリール付加物等の4級塩、並びにジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付加物等のハロゲン化アリール付加物等の4級塩等が挙げられる。
これらの中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩が好ましく、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのハロゲン化アルキル付加物がより好ましい。
1−1−2.ノニオン性単量体及びその他の単量体
ノニオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加メトキシ(メタ)アクリレート及びエチレンオキサイド付加(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリルアミドが好ましい。
単量体としては、必要に応じて、前記以外の単量体を併用することもできる。当該単量体の例としては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びビニルアセテート等が挙げられる。
1−1−3.製造方法
(A)成分の製造方法については特に制限はなく、一般的な重合方法を採用することができる。例えば、水溶液重合であれば、重合開始剤として過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩や、レドックス系の重合開始剤等を用いて、熱ラジカル重合を行なう方法や、ベンゾイン及びアセトフェノン型の光重合開始剤を用いて紫外線照射により光ラジカル重合を行なうこともできる。又、逆相のエマルション重合であれば、前記重合開始剤以外に、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル等の水不溶性開始剤を用いて重合を行っても良い。
得られたゲル状の重合体は、その後、公知の方法で切断・細断する。細断した重合体は、バンド式乾燥機、回転式乾燥機、遠赤外線式乾燥機及び振動流動式乾燥機等の乾燥機を使用し、温度60〜150℃程度で乾燥し、ロール式粉砕機等で粉砕して粉末状の重合体とされ、粒度調整される。
油中水型(逆相)エマルション重合で得られた(A)成分を実際に使用する場合には、HLBの比較的高い親水性界面活性剤を添加し、水で希釈、転相させて水中油型エマルションとして使用する。
(A)成分としては、粉末状品のものが好ましく使用される。
本発明における(A)成分は、カチオン当量として0.05〜4.00meq/gを有するものが好ましい。カチオン当量が0.05meq/gに満たないと、抄造した紙の地合性が損なわれることがあり、4.00meq/gを超えると、歩留率が低下してしまうことがある。
本発明におけるカチオン当量値とは、コロイド滴定法により測定した値をいう。
本発明における(A)成分は、当該好ましいカチオン当量となる様にカチオン性単量体を使用すれば良いが、0.5〜55.0モル%使用したものが好ましい。
(A)成分としては、分子量の指標である0.5%塩粘度が30〜200mPa・sのものが好ましく、30〜120mPa・sのものがより好ましく、30〜90mPa・sのものが特に好ましい。この値が、30mPa・sに満たないと、歩留率が低下することがあり、200mPa・sを超えると、地合性が損なわれることがある。
尚、本発明において0.5%塩粘度とは、4%塩化ナトリウム水溶液に重合体を0.5%溶解した試料を25℃で、B型粘度計にて、ローターNo.1又は2を用いて、60rpmで測定した値をいう。
1−2.(B)成分
本発明で使用する(B)成分の両性水溶性高分子は、種々の重合体が使用でき、カチオン性単量体単位とアニオン性ラジカル重合性単量体(以下単にアニオン性単量体という)単位を有する共重合体が好ましい。
1−2−1.カチオン性単量体
カチオン性単量体としては、前記と同様の単量体が使用できる。
これらの中でも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩が好ましく、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのハロゲン化アルキル付加物がより好ましい。
1−2−2.アニオン性単量体
アニオン性単量体としては、ラジカル重合性を有するものであれば種々の化合物が使用でき、具体的には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸及びその塩が挙げられる。塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
1−2−3.その他の単量体
本発明における(B)成分は、前記カチオン性単量体及びアニオン性単量体を必須とするものであるが、必要に応じてノニオン性単量体を併用することができる。
ノニオン性単量体としては、前記と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリルアミドが好ましい。
単量体としては、必要に応じて、前記以外の単量体を併用することもできる。当該単量体の例としては、前記と同様のものが挙げられる。
本発明における好ましい単量体の組合せとしては、[1]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルアクリレートの3級塩又は4級塩、アニオン性単量体としてアクリル酸塩及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、[2]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルメタクリレートの3級塩又は4級塩、アニオン性単量体としてアクリル酸塩及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、並びに[3]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルメタクリレートの3級塩又は4級塩、ジアルキルアミノアルキルアクリレートの3級塩又は4級塩、アニオン性単量体としてアクリル酸塩及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体がある。
(B)成分は、前記と同様の製造方法により製造したものが挙げられる。
(B)成分の両性水溶性高分子としては、多糖類の存在下に、カチオン性単量体とアニオン性単量体を重合させて得られたもの(以下、多糖類変性両性高分子という)が、歩留率と地合性を高度に両立できるという理由で好ましい。
以下、多糖類変性両性高分子について、それぞれの成分及び製造方法について説明する。
1−2−4.多糖類変性両性高分子
1)多糖類
本発明における多糖類としては、種々のものが使用できる。
例えば、天然物系多糖類としては、澱粉が挙げられ、具体的には、馬鈴薯澱粉、モチ馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、モチトウモロコシ澱粉、高アミローストウモロコシ澱粉、小麦粉澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、グルマンナン及びガラクタン等、並びに小麦粉、トウモロコシ粉、切干甘藷及び切干タピオカ等の原料澱粉等が挙げられる。
澱粉以外の多糖類としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、デキストラン、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、キチン並びにキトサン等が挙げられる。
多糖類としては、澱粉が好ましく、具体的には、前記したもの等が挙げられ、馬鈴薯澱粉、モチ馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、モチトウモロコシ澱粉、高アミローストウモロコシ澱粉、小麦粉澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、グルマンナン及びガラクタン等が好ましい。
澱粉としては、化学的又は酵素的に修飾して得られる加工澱粉を使用することができる。加工方法としては、例えば、酸化、エステル化、エーテル化及び酸処理化等が挙げられる。
本発明における多糖類としては、前記した多糖類を常法によりカチオン化又は両性化されたものが、後記する単量体との共重合性に優れ、又凝集剤としての性能に優れるため好ましい。
多糖類のカチオン化は、常法に従えば良い。
カチオン化としては、原料澱粉をカチオン化剤で処理する方法が挙げられる。カチオン化剤の具体例としては、ジエチルアミノエチルクロライド等の3級アミン、並びに3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド及びグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
カチオン化された多糖類のカチオン置換度は、窒素原子換算で0.01〜0.06質量/質量%であることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.06質量/質量%である。
多糖類としては、カチオン化後に、公知の反応がなされたものであっても良い。例えば、アニオン化反応がなされた両性多糖類でも良い。アニオン化反応の具体例としては、無機リン酸等によるリン酸エステル化;尿素リン酸化及び次亜ハロゲン酸塩等による酸化;モノクロロ酢酸によるカルボキシメチル化;並びに硫酸化等が挙げられる。
多糖類としては、糊液として使用することが好ましいため、多糖類にクッキングの処理がなされたものを使用することが好ましい。ここで、クッキングとは、多糖類を糊化温度以上に加熱処理する方法である。この場合の加熱温度としては、使用する澱粉の種類に応じて適宜設定すれば良いが、70℃以上が好ましい。澱粉のクッキングは、バッチ式でも、連続式でも行うことができる。
クッキングは、前記カチオン化後に行うことも、カチオン化と同時に行うこともできる。
使用する澱粉糊液の粘度は、固形分濃度が10〜40質量%で、25℃においてB型粘度計で測定した値が、100〜10000mPa・sであることが好ましい。
本発明で使用する多糖類の糊液は、水で希釈して3〜10質量%のスラリーとしたものを使用することが好ましい。
尚、使用する多糖類の糊液が老化し、固化したり、水への分散性が乏しくなった場合には、使用前にクッキングの処理がなされたものを使用することが好ましい。この場合のクッキングの方法としては、前記と同様の方法が挙げられる。
2)単量体
カチオン性単量体、アニオン性単量体及びその他の単量体としては、前記と同様の単量体が使用でき、好ましい単量体としても前記と同様のものが使用できる。
3)製造方法
多糖類変性両性高分子は、多糖類の存在下、カチオン性単量体及びアニオン性単量体を重合させて得られたものである。
この場合の製造方法としては、重合開始剤及び多糖類の存在下、カチオン性単量体及びアニオン性単量体を、常法に従い重合させる方法等が挙げられる。
以下、使用するそれぞれの成分及び重合方法等について、説明する。
(1)多糖類と単量体の割合・組み合わせ
本発明の多糖類変性両性高分子における、多糖類と単量体の割合としては、多糖類及び全単量体の合計量に対して、単量体が50質量%以上が好ましく、50〜99質量%がより好ましい。
単量体の割合が50質量%に満たない場合は、得られる高分子が水に不溶性となったり、得られる高分子を凝集剤として使用する場合において、高分量の高分子が得られない場合がある。
本発明における好ましい単量体の組合せとしては、[1]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルアクリレートの3級塩又は4級塩、アニオン性単量体としてアクリル酸塩及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、[2]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルメタクリレートの3級塩又は4級塩、アニオン性単量体としてアクリル酸塩及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体、並びに[3]カチオン性単量体としてジアルキルアミノアルキルメタクリレートの3級塩又は4級塩、ジアルキルアミノアルキルアクリレートの3級塩又は4級塩、アニオン性単量体としてアクリル酸塩及びノニオン性単量体としてアクリルアミドからなる共重合体がある。
(2)重合開始剤
重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、レドックス系重合開始剤及び光重合開始剤等が挙げられる。
以下、それぞれの重合開始剤について説明する。
○アゾ系重合開始剤
アゾ系重合開始剤としては、種々の化合物が使用でき、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(10時間半減期温度69℃、以下括弧内の温度は同様の意味を示す)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(65℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトチル)(67℃)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](86℃)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩(56℃)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩(44℃)等を挙げることができる。
アゾ系重合開始剤は、単独で使用しても又は2種以上を併用しても良い。
前記したアゾ系重合開始剤の中でも、水に対する溶解性が高い点、不溶解分を含有しないか又は含有量の少ない多糖類変性両性高分子を生成する点、高分子量の多糖類変性両性高分子を生成する点、多糖類変性両性高分子中の未反応単量体が少ない点等から、アゾ系重合開始剤として、10時間半減期温度が50℃以上の化合物が好ましく、50〜90℃の化合物がより好ましく、50〜70℃の化合物が更に好ましい。
アゾ系重合開始剤の使用割合としては、多糖類及び単量体の合計量に対して、50〜5000ppmが好ましく、より好ましくは100〜3000ppmであり、更に好ましくは300〜1000ppmである。アゾ系重合開始剤の使用割合が50ppmに満たない場合は、重合が不完全で残存モノマーが多くなり、一方5000ppmを超えると得られる水溶液高分子が低分子量体となる。
○レドックス系重合開始剤
レドックス系重合開始剤は、酸化剤と還元剤を併用したものである。
酸化剤としては、多糖類の水素引抜き効果があり、多糖類に単量体を好ましくグラフトできる点で、過酸化物が好ましい。過酸化物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド等の有機過酸化物、過酸化水素、並びに臭素酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、重合開始時の低温状態においても水素引き抜き効果に優れる点で、過硫酸塩が好ましい。
還元剤としては、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩、アスコルビン酸及びその塩、ロンガリット、亜ニチオン酸及びその塩、トリエタノールアミン、並びに硫酸第一銅が挙げられる。
過酸化物と還元剤の好ましい組合わせとしては、過硫酸塩と亜硫酸塩、過硫酸塩と亜硫酸水素塩等が挙げられる。
酸化剤の割合としては、多糖類及び単量体の合計量に対して、10〜1000ppmが好ましく、より好ましくは20〜500ppmであり、特に好ましくは40〜200ppmである。この割合が10ppmに満たないと、水素引き抜きが不十分となり、一方1000ppmを超えると、多糖類変性両性高分子の分子量が小さくなり十分な性能が発揮できないことがある。
還元剤の割合としては、多糖類及び単量体の合計量に対して10〜1000ppmが好ましく、より好ましくは20〜500ppmである。
レドックス系重合開始剤を使用する場合には、重合促進剤として、塩化第二銅、塩化第一鉄、等の無機金属系の重合促進剤を添加することが好ましい。
○光重合開始剤
光重合開始剤としては、多糖類の水素引抜き効果があり、多糖類に単量体を好ましくグラフトできる点で、ケタール型光重合開始剤及びアセトフェノン型光重合開始剤等が好ましい。この場合、光開裂して発生してベンゾイルラジカルが発生し、これが水素引抜き剤として機能する。
ケタール型光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1-オン及びベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
アセトフェノン型光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、4‐(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び2−ヒドロキシ−2メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕のオリゴマー等が挙げられる。
これら以外にも、ベンゾイン型光重合開始剤、チオキサントン型光重合開始剤及び特開2002−097236で記載された様なポリアルキレンオキサイド基を有する光重合開始剤も使用することができる。
光重合開始剤の割合としては、多糖類及び単量体の合計量に対して、10〜1000ppmが好ましく、より好ましくは20〜500ppmであり、更に好ましくは40〜200ppmである。この量が10ppmに満たないと、水素引き抜きが不十分となるか又は残存モノマーが多くなることがあり、1000ppmを超えると多糖類変性両性高分子の分子量が小さくなり性能が発揮できないことがある。
光重合開始剤を使用する場合には、トリエタノールアミン及びメチルジエタノールアミン等のアミン系光増感剤等の光増感剤を併用することもできる。
(3)重合形式
重合形式としては、水溶液重合、逆相懸濁重合及び逆相エマルション重合等が挙げられ、取り扱いが容易である点で、水溶液重合及び逆相エマルション重合が好ましい。
水溶液重合を採用する場合においては、水性媒体中に、多糖類及び単量体を溶解又は分散させ、重合開始剤の存在下10〜100℃で重合させる方法等が挙げられる。原料の多糖類及び単量体は、水中に溶解又は分散させたものを、水性媒体に添加して使用する。
逆相エマルション重合を採用する場合においては、多糖類及び単量体を含む水溶液と、HLBが3〜6である疎水性界面活性剤を含む有機分散媒とを攪拌混合し乳化させた後、重合開始剤の存在下10〜100℃で重合させ、油中水型(逆相)重合体エマルションを得る方法が挙げられる。有機分散媒としては、ミネラルスピリット等の高沸点炭化水素系溶剤等が挙げられる。
水性媒体中又は有機分散媒中の多糖類及び単量体の割合は、目的に応じて適宜設定すれば良く、20〜70質量%が好ましい。
重合方法としては、使用する重合開始剤の種類に従い、光重合やレドックス重合等を行えば良い。
具体的な重合方法としては、多糖類及び単量体を含む水溶液に、又は多糖類及び単量体を含む逆相乳化液に重合開始剤を添加すれば良い。
重合方法としては、光重合とレドックス重合を併用することも可能である。
分子量の調節を行う場合、連鎖移動剤を使用しても良い。連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール及びメルカプトプロピオン酸等のチオール化合物や、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸水素ナトリウム及び次亜リン酸ナトリウム等の還元性無機塩類等が挙げられる。
本発明では、水溶液重合が好ましく、この場合、特に重合時間が早く生産性に優れるため、重合を光照射下で行うことが好ましい。
光照射重合を行う場合において、照射する光としては、紫外線又は/及び可視光線が用いられ、そのうちでも紫外線が好ましい。
光照射の強度は、単量体の種類、光重合開始剤及び/又は光増感剤の種類や濃度、目的とする多糖類変性両性高分子の分子量、重合時間などを考慮して決定されるが、一般に0.5〜1,000W/m2が好ましく、5〜400W/m2がより好ましい。
光源としては、例えば、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ、メタルハライドランプ及び高圧水銀ランプ等を使用することができる。
光照射重合反応において、単量体の水溶液の温度は特に制限されないが、光重合反応を温和な条件下で円滑に進行させるために、通常は、5〜100℃であることが好ましく、10〜95℃であることがより好ましい。重合開始時の温度としては、得られる多糖類変性両性高分子の分子量を大きいものとすることができ、さらに除熱が容易である点で、5〜15℃が好ましい。
単量体の水溶液の光照射重合反応は、バッチ式で行っても、又は連続式で行っても良い。
(4)好ましい重合方法
多糖類変性両性高分子の製造方法としては、多糖類、アゾ系重合開始剤及び水素引抜き剤の存在下、カチオン性単量体及びアニオン性単量体を重合する方法が、多糖類に高分子量の重合体をグラフトすることができるうえ、残存モノマー量が少なく、得られる多糖類変性両性高分子を凝集剤として使用した場合、各種凝集性能に優れたものとなる理由で好ましい。
アゾ系重合開始剤としては、前記と同様のものが挙げられる。
水素引抜き剤としては、レドックス系水素引抜き剤(以下RD引抜き剤という)及び光重合開始剤系水素引抜き剤(以下PT引抜き剤という)等が挙げられる。RD引抜き剤及びPT引抜き剤は、多糖類から水素引き抜きする他、単量体の重合開始剤としても機能する。
RD引抜き剤としては、酸化剤等が好ましく、具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。この場合、還元剤と併用することが好ましい。
PT引抜き剤としては、ケタール型光重合開始剤及びアセトフェノン型光重合開始剤等が好ましく、具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。
多糖類変性両性高分子としては、多糖類に単量体の高分子がグラフト化した、グラフト共重合体が主成分であれば良いが、多糖類に単量体の高分子がグラフトしなかった重合体が存在していても良い。
1−2−5.得られた(B)成分の処理方法
水溶液重合により得られた(B)成分は、通常ゲル状で、前記と同様の方法で、切断・細断、乾燥、粉砕して粉末状の高分子とされ、粒度調整され、あるいは添加剤等が加えられて使用される。
油中水型(逆相)エマルション重合で得られた(B)成分を実際に使用する場合には、前記と同様の方法で、水で希釈、転相させて水中油型エマルションとして使用する。
(B)成分としては、粉末状品のものが好ましく使用される。
(B)成分としては、0.5%塩粘度が10〜100Pa・sのものが好ましく、高度な歩留率と地合性を達成するためには、10〜80mPa・sのものがより好ましく、10〜50mPa・sのものが特に好ましい。この値が10〜100Pa・sの範囲外のものは、抄造した紙の地合性が損なわれることがある。
(B)成分における、カチオン性単量体のアニオン性単量体に対するモル基準の割合Ca/Anとしては、目的に応じて適宜設定すれば良い。
地合が特に要求される紙種の場合は、Ca/An<1.2を満たすものが好ましく、Ca/Anが0.5〜0.9のものがより好ましい。
一方、歩留率が特に要求される紙種の場合は、Ca/An>5を満たすものが好ましく、Ca/Anが5〜15のものがより好ましい。
この様な(B)成分は、前記単量体割合を満たす様にカチオン性単量体とアニオン性単量体を共重合して得ることができる。
1−3.組成物の調製方法
本発明の組成物は、前記(A)成分及び(B)成分を併用してなるものである。
本発明の組成物は、(A)成分及び(B)成分を混合することにより製造することができる。又、後記する抄紙工程において、それぞれの成分を別々に添加することもできる。
(A)成分及び(B)成分としては、それぞれ1種を使用することも、2種以上を併用することもでき、(A)成分及び(B)成分の1種づつを使用することが簡便であり好ましい。
組成物における(A)成分及び(B)成分の割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良いが、(A)成分が40〜90質量%及び(B)成分が10〜60質量%の範囲が好ましい。
本発明の組成物の重合体としては、粉末状のものや逆相乳化物が好ましく、粉末状のものがより好ましい。
実際の使用に当たっては、重合体が粉末の場合には、粉末を水に溶解させ水溶液として使用し、重合体が逆相乳化物の場合には、水で希釈、転相させて水中油型エマルションとして使用する。この場合の固形分としては、いずれの場合も、0.01〜0.5質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%である。
粉末を水に溶解させ水溶液として使用する場合において、水溶液のpHとしては4〜6のものが好ましい。
2.抄紙方法
本発明の組成物を使用した抄紙方法は、常法に従えば良く、紙料に対して、本発明の組成物を添加した後、抄紙すれば良い。
歩留向上剤の添加方法としては常法に従えば良く、例えば、紙料を抄紙機に送入する最終濃度に希釈する際、又は希釈後に添加する。
歩留向上剤が適用される紙料としては、通常の抄紙工程で使用されるものであればよく、通常、少なくともパルプ及び填料を含み、必要に応じて填料以外の添加剤、具体的には、サイズ剤、定着剤、紙力増強剤及び着色剤等を含むものである。
本発明の歩留向上剤は、パルプとして、パルプ中に占める脱墨古紙等の古紙比率が比較的高いものに好ましく適用できる。又、本発明の歩留向上剤は、填料比率の高い抄紙系、中性抄紙系、高速抄紙系に好ましく適用できる。
填料としては、白土、カオリン、アガライト、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸石灰、硫酸バリウム、酸化亜鉛及び酸化チタン等が挙げられる。サイズ剤としては、アクリル酸・スチレン共重合体等が挙げられ、定着剤としては、硫酸バンド、カチオン澱粉及びアルキルケテンダイマー等が挙げられ、紙力増強剤としては、澱粉及びカチオン性又は両性ポリアクリルアミド等が挙げられる。
歩留向上剤の好ましい添加割合としては、紙料中の乾燥パルプ質量当たり、50〜500ppmが好ましく、より好ましくは100〜500ppmである。
歩留向上剤の添加後の紙料のpHとしては、5〜10に維持することが好ましく、より好ましくは5〜8である。歩留向上剤の添加後に、紙料は直ちに抄紙機に送入される。
本発明の組成物によれば、歩留向上剤として、抄紙工程における添加場所、タイミング等の影響を受けにくい1液タイプとして使用することができ、紙の地合性と抄紙工程の歩留率を高度にバランス化することができる。
本発明は、(A)成分及び(B)成分を含む歩留向上剤用組成物である。
(A)成分としては、カチオン性単量体単位とノニオン性単量体単位を有する共重合体であって、カチオン当量値が0.05〜4.00meq/gを有するものが好ましく、又0.5%塩粘度が30〜200mPa.sを有するものが好ましい。
(B)成分としては、カチオン性ラジカル重合性単量体単位、アニオン性ラジカル重合性単量体単位及びノニオン性ラジカル重合性単量体単位を有する共重合体、又は多糖類の存在下に、カチオン性ラジカル重合性単量体とアニオン性ラジカル重合性単量体を重合させて得られた両性水溶性高分子が好ましい。
(B)成分としては、地合が特に要求される紙種の場合はCa/An<1.2を満たすものが好ましい。一方、歩留率が特に要求される紙種の場合は、Ca/An>5を満たすものが好ましい。
又、(B)成分としては、0.5%塩粘度が10〜100mPa.sを有するものが好ましい。
本発明の組成物は、紙料に対して、前記したいずれかの組成物を添加した後、抄紙する抄紙方法に好ましく使用できる。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下において、「%」とは、質量%を意味し、「部」とは質量部を意味する。
○製造例1(カチオン性高分子の製造)
ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(以下、「DAC」という。)水溶液及びアクリルアミド(以下、「AM」という。)水溶液を、各単量体がモル比でDAC/AM=10/90(重量比でDAC/AM=23.2/76.8)で固形分28%となる様に、ステンレス製反応容器に合計760g仕込んだ。
続いて、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液温度を10℃に調節後、全単量体及び澱粉の固形分重量を基準として、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩(以下、V−50という。)を1000ppm、塩化第二銅を0.3ppm、過硫酸アンモニウムを30ppm、亜硫酸水素ナトリウムを30ppmとなるように加えて、反応容器の上方から、100Wブラックライトを用いて6.0mW/cm2の照射強度で60分間照射して重合を行い、含水ゲル状のカチオン性高分子を得た。
得られたカチオン性高分子を容器から取り出し、乾燥・粉砕して粉末状の両性高分子を得た。このカチオン性をC−1という。
得られた高分子について、0.5%塩粘度(以下単に塩粘度という)を測定した。それらの結果を、表1に示す。
尚、表1における略号は、以下を意味する。又、0.5%塩粘度は、単に塩粘度と記載した。
・DAC:ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩
・AA:アクリル酸
・AM:アクリルアミド
Figure 2006070853
○製造例2(両性高分子の製造)
使用する成分及び割合を、上記表1の通り変更し、且つ重合時の最高到達温度が85〜90℃となる様固形分濃度を調整する以外は製造例1と同様の方法で粉末状の両性高分子を製造した。
得られた両性高分子について、塩粘度を測定した。それらの結果を、表1に示す。
○製造例3(多糖類変性両性高分子の製造)
DAC水溶液、AA水溶液及AM水溶液を、各単量体がモル比でDAC/AA/AM=42/5/53(重量比でDAC/AA/AM=66.3/3.0/30.7)で固形分56%となる様に、ステンレス製反応容器に合計760g仕込んだ。
両性化澱粉スラリー〔王子コンスターチ(株)製エースKT−245。固形分:22%以下、「KT−245」という。〕を、イオン交換水を使用して、固形分5%まで希釈し、さらに80℃で30分加熱しクッキングし、固形分6%の両性化澱粉スラリーとした。当該両性化澱粉スラリーを、単量体及び澱粉の固形分換算合計量に対して3%分に相当する213gを仕込み、イオン交換水を20g加えて、全単量体及び澱粉の固形分濃度43%、総重量1.0kgに調整して、攪拌分散させた。
続いて、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液温度を10℃に調節後、全単量体及び澱粉の固形分重量を基準として、V−50を1000ppm、塩化第二銅を0.3ppm、過硫酸アンモニウムを30ppm、亜硫酸水素ナトリウムを30ppmとなるように加えて、反応容器の上方から、100Wブラックライトを用いて6.0mW/cm2の照射強度で60分間照射して重合を行い、含水ゲル状の水溶性両性高分子を得た。
得られた両性高分子を容器から取り出し、乾燥・粉砕して粉末状の両性高分子を得た。この両性高分子をSCR−1という。
得られた高分子について、塩粘度を測定した。それらの結果を、表2に示す。
Figure 2006070853
○製造例4及び同5
使用する成分及び割合を、上記表2の通り変更する以外は製造例3と同様の方法で高分子を製造した。
得られた高分子について、塩粘度を測定した。それらの結果を、表2に示す。
〇実施例1及び同2
下記表3に示す(A)成分及び(B)成分を、下記表3に示す割合で混合して組成物を製造した。歩留向上剤としては、下記組成物0.05質量%を含む水溶液を使用した。
Figure 2006070853
脱墨古紙及び広葉樹クラフトパルプを、離解、叩解し、脱墨古紙(50SS%)と広葉樹クラフトバルプ(50SS%)とからなる固形分1%のパルプスラリー(以下原料パルプスラリーという)を使用した。尚、古紙及びパルプの離解は、1%の試料を使用する以外は、JIS P 8121に準拠したカナダ標準ろ水度(カナディアン スタンダード
フリーネス、以下CSFという)で350mlとなるまで行った。
原料パルプスラリーに、1000rpmで攪拌しながら、下記[1]〜[5]の成分を10秒おきにこの順で添加し、ダイナミックドレネージジャー法にて総歩留率を測定した。又地合性は歩留向上剤添加後のパルプスラリーを使用して、熊谷理機工業(株)製角型ブロンズスクリ−ンにより坪量60g/m2となる様に抄紙し、角型シートマシーンプレスにてプレス後、オートドライヤー100℃にて乾燥して出来た紙の地合をフォーメーションテスターによって地合指数(数値大程良好)を測定した。
得られた結果を表4に示す。尚、パルプスラリーの最終pHは7.9であった。
[1]軽質炭酸カルシウム:20%(パルプスラリー中のパルプ固形分に対する割合。以下、単に「対パルプ」と表す)
[2]カチオン澱粉:0.3%(対パルプ)
[3]硫酸バンド:1.7%(対パルプ)
[4]紙力増強剤〔DAC/AA/AM=20/10/70(モル比)の共重合体の15%水溶液。粘度;3500mPa.s〕:0.5%
[5]歩留向上剤:150ppm(対パルプ)
Figure 2006070853
〇比較例1〜3
歩留向上剤として表1に示したCO−1、CO−2及びC−1を用いる以外は実施例1と同様の方法により歩留向上剤としての性能を評価した。得られた結果を表4に示す。
〇考察
表4の結果より、本発明の歩留向上剤は、総歩留率と地合性が共に優れていた。
これに対して、実施例と同じ単量体組成を有する単独の両性高分子を使用した比較例1及び2では、歩留率と地合性のバランスが劣っていた。又、(A)成分のみを使用した比較例3では、歩留率が比較的良好なものの、地合性に劣っていた。
〇実施例3〜同5
下記表5に示す(A)成分及び(B)成分を、下記表5に示す割合で混合して組成物を製造した。歩留向上剤としては、下記組成物0.05質量%を含む水溶液を使用した。
Figure 2006070853
原料パルプスラリーとして、脱墨古紙及び広葉樹クラフトパルプを、離解、叩解し、脱墨古紙(70SS%)と広葉樹クラフトバルプ(30SS%)とからなる固形分1%のパルプスラリーを使用した。
原料パルプスラリーに、1000rpmで攪拌しながら、実施例1と同様の方法で前記[1]〜[5]の成分を添加し、総歩留率を測定した。
得られた結果を表6に示す。尚、パルプスラリーの最終pHは7.9であった。
Figure 2006070853
〇比較例4〜同7
歩留向上剤として表6に示したものを使用した以外は実施例3と同様の方法により歩留向上剤としての性能を評価した。得られた結果を表6に示す。
〇考察
表6の結果より、(B)成分として多糖類変性両性高分子を含む歩留向上剤は、総歩留率と地合性が共に優れていた。
これに対して、実施例3〜同5と同じ単量体組成を有する単独の両性高分子を使用した、比較例4〜同6では、総歩留率が不十分で、地合性が全く不十分なものであった。又、(A)成分のみからなる比較例7では、総歩留率に優れるものの、地合性が全く不十分なものであった。
本発明の組成物は、歩留向上剤として好ましく利用でき、製紙工業において利用できる。

Claims (8)

  1. (A)カチオン性水溶性高分子及び(B)両性水溶性高分子を含む歩留向上剤用組成物。
  2. 前記(A)成分が、カチオン性ラジカル重合性単量体単位とノニオン性ラジカル重合性単量体単位を有する共重合体であって、カチオン当量値が0.05〜4.00meq/gを有する共重合体である請求項1記載の歩留向上剤用組成物。
  3. 前記(A)成分が、0.5%塩粘度が30〜200mPa.sを有するものである請求項1又は請求項2記載の歩留向上剤用組成物。
  4. 前記(B)成分が、カチオン性ラジカル重合性単量体単位、アニオン性ラジカル重合性単量体単位及びノニオン性ラジカル重合性単量体単位を有する共重合体である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の歩留向上剤用組成物。
  5. 前記(B)成分が、多糖類の存在下に、カチオン性ラジカル重合性単量体とアニオン性ラジカル重合性単量体を重合させて得られた両性水溶性高分子である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の歩留向上剤用組成物。
  6. 前記(B)成分が、カチオン性ラジカル重合性単量体単位のアニオン性ラジカル重合性単量体単位に対するモル基準の割合(以下Ca/Anという)がCa/An<1.2を満たすものである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の歩留向上剤用組成物。
  7. 前記(B)成分が、0.5%塩粘度が10〜100mPa.sを有するものである請求項1〜請求項6のいずれかに記載の組成物を含有してなる歩留向上剤用組成物。
  8. 紙料に対して、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の歩留向上剤用組成物を添加した後、抄紙することを特徴とする抄紙方法。
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