JP2001295196A - 歩留向上方法 - Google Patents

歩留向上方法

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JP2001295196A
JP2001295196A JP2000031549A JP2000031549A JP2001295196A JP 2001295196 A JP2001295196 A JP 2001295196A JP 2000031549 A JP2000031549 A JP 2000031549A JP 2000031549 A JP2000031549 A JP 2000031549A JP 2001295196 A JP2001295196 A JP 2001295196A
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Hidetoshi Sakamoto
坂本英俊
Kenji Sakai
健自 境
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カチオン性あるいは両性高分子とアニオン性
物質とを組み合わせて抄紙工程におけるワイヤ−上の歩
留率向上を図る場合、既存のアニオン性水溶性高分子の
水溶液を添加すると、高粘性のため紙料中に分散しにく
く地合が悪化する危険が高い。そのため分散の良いアニ
オン性水溶性高分子水溶液を提供する。 【解決手段】 カチオン性水溶性高分子、両性水溶性高
分子、カチオン性デンプンあるいは両性デンプンのう
ち、一種または二種以上を抄紙前の製紙原料に添加、混
合した後、無機塩あるいは無機酸により、アニオン性水
溶性高分子の見かけ粘度を低下させた水溶液を添加する
ことにより達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、製紙方法に関する
ものであり、詳しくは製紙原料分散液中にカチオン性及
び/または両性高分子物質を添加混合した後、特定の処
理により水溶液粘度を低下させたアニオン性水溶性高分
子を添加することにより、抄紙後の地合を崩すことなく
高歩留率を達成することのできる歩留向上方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】製紙工業において抄紙工程におけるワイ
ヤ−上の歩留率を向上させることは、排水負荷の軽減、
製造コストの低下、填量分を効率良くリサイクルするこ
となど重要な意味を有している。そのため現在まで種々
の歩留向上法が提案されている。たとえば、カチオン性
または両性高分子を添加、混合した後、コロイドシリカ
を添加、混合して抄紙する方法(特開平3−27676
号公報)、アニオン化度25〜60モル%の水溶性高分
子を添加した後、カチオン性デンプンあるいはポリアク
リルアミドのホフマン反応物を添加する方法(特開昭6
0−185900号公報)、カチオン性高分子を添加、
混合した後、ベントナイトを添加する方法(特開昭62
−191598号公報)、高分子量カチオン性高分子を
添加、混合した後、中分子量アニオン性高分子を添加す
る方法(特開4−245998号公報)、カチオン性高
分子を添加、混合した後、アニオン性高分子とベントナ
イトの混合物を添加する方法(特開昭64−61588
号公報)などである。このうち特にカチオン性高分子と
アニオン性高分子を併用する方法は、アニオン性高分子
を添加する順序として普通、カチオン性高分子を添加す
る後になるため添加場所としてスクリ−ン出口になるこ
とが多い。そのため、マシンまでの距離が短く、どうし
てもアニオン性高分子の分散が不均一となり、抄紙後の
地合崩れなどの危険を常にはらんでいる。この点に関し
て、アニオン性物質として、ベントナイトやコロイドシ
リカを添加する方法は、分散の点では良いが凝集力の点
で不足であり、カチオン性高分子との組み合わせで生成
するフロック強度がやや弱すぎる傾向がある。そのた
め、併用するカチオン性高分子と組み合わせる最適なア
ニオン性物質の検討が切望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カチ
オン性および/または両性高分子物質と組み合わせるこ
とにより、ワイヤ−上の歩留を向上させる処方を開発す
ることにある。すなわち、既存のコロイドシリカやベン
トナイトに較べ併用するカチオン性高分子の添加量の微
妙な調節や抄紙工程で係る種々のせん断力に影響されに
くく、しかも抄紙後の紙の地合崩れをおこさない適度な
強度を有するフロック生成をするアニオン性物質、特に
従来のアニオン性水溶性高分子溶液に較べ分散の良い処
方を検討することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
鋭意研究を重ねた結果、カチオン性あるいは両性高分子
物質のうち一種または二種以上と無機塩あるいは無機酸
により、特定物質の添加処理により水溶液粘度を低下さ
せたアニオン性水溶性高分子とを組み合わせることによ
り、歩留率が向上することがわかり本発明に達した。す
なわち本発明の請求項1の発明は、抄紙前の製紙原料中
にカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子、カチオ
ン性デンプンあるいは両性デンプンのうち一種又は二種
以上を添加、混合した後、無機塩あるいは無機酸によ
り、アニオン性水溶性高分子の見かけ粘度を低下させた
水溶液を添加することを特徴とする歩留向上方法に関す
る。
【0005】請求項2の発明は、アニオン性水溶性高分
子が、アニオン性単量体を5〜50モル%含有する単量
体混合物の共重合体であることを特徴とする請求項1に
記載の歩留向上方法である。
【0006】請求項3の発明は、アニオン性水溶性高分
子が、(メタ)アクリル酸を5〜50モル%、アクリル
アミドを50〜95モル%含有する単量体混合物の共重
合体であるあることを特徴とする請求項1あるいは2に
記載の歩留向上方法である。
【0007】請求項4の発明は、アニオン性水溶性高分
子分の分子量が、100万以上、2000万以下である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歩留
向上方法である。
【0008】請求項5の発明は、カチオン性あるいは両
性水溶性高分子の分子量が、100万以上、2000万
以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
記載の製紙方法である。
【0009】請求項6カチオン性あるいは両性デンプン
の分子量が、5万以上、500万以下であることを特徴
とする請求項1〜5のいずれかに記載の製紙方法であ
る。
【0010】請求項7の発明は、アニオン性水溶性高分
子の見かけ粘度低下させた水溶液の粘度が、0.1〜
0.5重量%において5〜1000mPa・sであるこ
とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の歩留向
上方法である。
【0011】請求項8の発明は、無機塩あるいは無機酸
が塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硫
酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩酸
あるいは硝酸のうちから選択された少なくとも一つであ
ることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の歩
留向上方法である。
【0012】請求項9の発明は、抄紙pHが6.0〜
9.0であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか
に記載の製紙方法である。
【0013】請求項10の発明は、抄紙前の製紙原料中
にカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子、カチオ
ン性デンプンあるいは両性デンプンのうち一種又は二種
以上をファンポンプの手前あるいはスクリ−ンの入り口
で添加し、無機塩あるいは無機酸により、アニオン性水
溶性高分子の見かけ粘度を低下させた水溶液をスクリ−
ンの入り口あるいは出口で添加することを特徴とする請
求項1〜9のいずれかに記載の製紙方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で使用するアニオン性水溶
性高分子は、アニオン性単量体を含有する水溶性単量体
混合物を、定法により共重合した共重合体である。具体
的な重合方法としては、水溶液重合、油中水型エマルジ
ョン重合、有機溶媒中での分散重合など一般的な粉末
品、水溶液品あるいはエマルジョン品など使用可能であ
る。使用するアニオン性単量体としては、メタクリル
酸、アクリル酸あるいはイタコン酸などである。また、
共重合する他の非イオン性の単量体としては、(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢
酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアク
リルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルム
アミド、N−ビニルアセトアミドなどがあげられ、これ
らアニオン性単量体あるいは非イオン性の単量体のうち
から一種または二種以上と組み合わせた共重合が可能で
ある。最も好ましい組み合わせとしては、アクリル酸と
アクリルアミドである。これらアニオン性単量体が
(共)重合体中でしめる割合は5〜50モル%であり、
好ましくは10〜50モル%である。5モル%未満で
は、アニオン性重合体としての機能が発現せず、50モ
ル%以上では、歩留率が低下する。
【0015】分散液を構成する高分子の分子量として
は、100万〜2000万であり、好ましくは、500
万〜2000万である。100万以下では凝集力が不足
し歩留率が低下し、2000万以上では、凝集力が強す
ぎ抄紙後の地合崩れを起こす。また、溶液粘度も高くな
り過ぎ分散性も悪くなるほか、水溶液の取り扱いも悪く
なる。
【0016】重合条件は通常、使用する単量体や共重合
モル%によって適宜決めていき、温度としては0〜10
0℃の範囲で行う。重合開始はラジカル重合開始剤を使
用する。たとえば、アンモニウムやカリウムのペルオク
ソニ硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムのようなレドックス
系、あるいは水溶性のアゾ開始剤、たとえば2、2−ア
ゾビスアミジノプロパンニ塩化水素化物、2、2−アゾ
ビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン]ニ塩化水素化物、油溶性のアゾビスイソ
ブチロニトリル、過酸化物では、ラウリルパ−オキサイ
ドなどがある。油溶性の開始剤を使用する場合は、水混
和性の溶剤に一度溶解して重合溶液に添加する。
【0017】アニオン性水溶性高分子と組み合わせて使
用するカチオン性水溶性高分子あるいは両性水溶性高分
子は、アクリル系カチオン性単量体、たとえば、(メ
タ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノ
プロピル(メタ)アクリルアミドなどの無機酸や有機酸
の塩、あるいは塩化メチルや塩化ベンジルによる四級ア
ンモニウム塩の単独あるいは共重合体、あるいはアクリ
ルアミドなど非イオン性単量体との共重合体である。例
えば単量体として、(メタ)アクリロイルオキシエチル
トリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイル
オキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム
塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチ
ルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエ
チルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)ア
クリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベン
ジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノ
プロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などがあ
げられ、これら単量体と非イオン性単量体との共重合体
である。共重合する単量体としてはアクリルアミドが好
ましい。また(メタ)アクリル酸などアニオン性単量体
を共重合することにより両性高分子を合成し使用するこ
ともできる。これらカチオン性高分子中のカチオン性基
を構成するカチオン性単量体のモル%は10〜80モル
%である。また両性高分子の場合、カチオン性単量体の
構成モル%は、20〜80モル%である。アニオン性単
量体の構成モル%は、5〜30モル%であり、好ましく
は、10〜20モル%である。
【0018】これらカチオン性水溶高分子性あるいは両
性水溶性高分子の分子量は、100万〜2000万であ
るが、好ましくは300万〜1500万である。100
万以下では凝集力が不足し歩留率が低下し、2000万
以上では、凝集力が高すぎ抄紙後の地合崩れを起こす。
また、溶液粘度も高くなり過ぎ分散性も悪くなるほか、
水溶液の取り扱いも悪くなる。
【0019】また本発明で使用するカチオンデンプンの
カチオン化度としては、グルコ−ス単位に対して0.5
モル%以上、5モル%以下、好ましくは1モル%以上、
5モル%以下である。0.5モル%以上ではカチオン性
が低すぎ併用するアニオン性水溶性高分子との相互作用
が弱すぎ、また5モル%以上変性したカチオン性デンプ
ンは市販されていないので実用的ではない。さらに両性
デンプンのカチオン化度は1モル%以上、5モル%以下
であり、アニオン化度は0.5モル%以上、2モル%以
下である。カチオン化度が1モル%以下では、両性高分
子の効果が発現せず、また5モル%以上ではカチオン性
が高くなり過ぎ両性高分子の効果が発現しない。アニオ
ン化度が0.2モル%未満、2モル%以上における場合
も前記と同様に両性高分子の効果が発現しないからであ
る。
【0020】これらカチオン性あるいは両性デンプンの
分子量としては、1万以上、500万位かであり、酸化
処理あるいは酵素処理をして分子量を下げたものより
も、天然のデンプン類をそのままカチオン性あるいは両
性に変性したものが好ましい。
【0021】本発明で使用する無機塩あるいは無機酸に
より、アニオン性水溶性高分子の見かけ粘度を低下させ
た水溶液は、まず既存の水溶液製品、エマルジョン製品
あるいは粉末製品の0.1〜0.5重量%、好ましくは
0.2〜0.3重量%の水溶液を調製し、その後、前記
無機塩の場合は、液量に対して2.0〜5.0重量%添
加する。また、無機酸の場合は、液量に対して0.2〜
1.0重量%添加する。通常、アクリル酸/アクリルア
ミド=20/80(モル比)の共重合体の粉末で分子量
1300万程度、0.2重量%の水溶液粘度は400〜
800mPa・sであるが、これに無機塩を対水溶液4
重量%添加すると、40〜100mPa・sになる。し
たがって、この場合は約1/10の水溶液粘度となる。
また、無機塩を対水溶液2〜3重量%添加でも、1/5
程度に減少し十分効果を発揮する。0.5重量%溶液で
は、無機塩添加前では、300〜2000mPa・sで
あるが、塩添加後では、5〜1000mPa・sにな
る。さらに無機酸を添加する場合は、カルボキシル基の
解離度の変化を利用してpHを3.0〜4.0に調節す
ることにより粘度を低下させる。本発明のメリットとし
て、通常のアニオン性水溶性高分子がそのまま使用可能
なことである。見かけ粘度が低いということは、それだ
け製紙原料中での分散性が良く、添加場所としてスクリ
−ンの出口などマシンにより近い場所で添加しても、不
均一な分散によるトラブルの危険性が低いといえる。
【0022】アニオン性水溶性高分子の見かけ粘度を低
下させるための無機塩としては、アルカリ金属のハロゲ
ン化物あるいは硝酸塩である。すなわち、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨ
ウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硝酸ナトリウム、硫
酸ナトリウム、硫酸カリウムあるいは硫酸アンモニウム
などである。無機酸としては、塩酸あるいは硝酸であ
る。これらのなかで特に好ましいものは、塩化ナトリウ
ムである。
【0023】上記アニオン性水溶性高分子の添加量とし
ては、製紙原料の固形分に対して20ppm〜5000
ppmであり、好ましくは50ppm〜1000ppm
である。またカチオン性あるいは両性高分子の添加量と
しては、20ppm〜5000ppmであり、好ましく
は50ppm〜1000ppmである。さらにカチオン
性あるいは両性デンプンの添加量としては、500pp
m〜10000ppmであり、好ましくは2000pp
m〜10000ppmである。カチオン性あるいは両性
高分子物質の添加場所としては、製紙原料が白水により
希釈されるファンポンプ入り口、あるいはスクリ−ン入
り口などが考えられる。またアニオン性水溶性高分子の
添加場所としては、スクリ−ン入り口あるいはスクリ−
ン出口などが考えられる。
【0024】本発明の歩留向上に関する製紙方法の適用
可能な抄紙pHとしては、酸性抄紙にも適用可能だが、
中性抄紙において他の処理法に比較して優れた効果を発
揮する。従って、抄紙pHとして6.0〜9.0の範囲
においてメリットがある。対象となる紙製品として、上
質あるいは中質の印刷用紙、または中芯原紙などであ
る。
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0025】(アニオン性水溶液高分子溶液の調製)ア
クリル酸ナトリウム/アクリルアミド=20/80(モ
ル比)からなる共重合体を水溶液重合品、油中水型エマ
ルジョン重合品、油中水型分散重合法後、重合物を粉末
品とした製品をそれぞれ合成し、0.2重量%とした溶
液を調製した。次ぎに、塩化ナトリウムを対液4.0重
量%となるよう添加し溶液粘度を減少させたもの(試作
−1、2、3)塩酸で溶液pHを4.0に調整したもの
(試作−4、5、6)、また塩化ナトリウムを添加しな
いもの(比較−1、2、3)をそれぞれ調製し、各溶液
の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0026】
【実施例1〜12】上質紙製造用の製紙原料(LBKP
を主体としたもの、pH6.23、全ss分2.37
%、灰分0.41%)を検体として、パルプ濃度0.9
重量%に水道水を用いて希釈、ブリット式ダイナミック
ジャ−テスタ−により歩留率を測定した。添加薬品とし
て、カチオン性デンプン、対製紙原料0.5重量%(以
下同様)、軽質炭酸カルシウム、20%、中性ロジンサ
イズ、0.5%、硫酸バンド0.6%、表2のカチオン
性/両性高分子C−1〜C−2、AM−1〜AM−2を
それぞれ0.02%、および表1の本発明、塩化ナトリ
ウム添加処理によるアニオン性水溶性高分子溶液、試作
−1、2、3を0.01%それぞれこの順で15秒間隔
により下記試験条件で添加し、攪拌を開始する。全薬品
添加後のpHは6.87であった。30秒後に10秒間
白水を排出し、30秒間白水を採取し、下記条件で総歩
留率を測定した。なお、攪拌条件は、回転数1000
r.p.m.、ワイヤー125Pスクリーン(200メ
ッシュ相当)、総歩留率(SS濃度)はADVANTE
C NO.2にて濾過し測定した。また乾燥後、濾紙を
600℃で焼却し灰分を測定することにより炭酸カルシ
ウムの歩留率を算出した。定結果を表3に示す。
【0027】
【比較例1〜12】アニオン性水溶性高分子として、無
機塩及び無機酸を添加していないもの比較−1、2、3
を用い、実施例1〜12と同様にブリット式ダイナミッ
クジャ−テスタ−により歩留率を測定した。結果を表3
に示す。
【0028】表3の結果から、本発明の塩化ナトリウム
添加処理した溶液を使用した場合は、いずれも良好な地
合と高い総歩留率と灰分歩留率を達成していることがわ
かる。それに対して、無機塩及び無機酸を添加していな
いものを用いた比較例1〜12は、地合の悪化と歩留率
が低下していることがわかる。
【0029】
【実施例13〜24】中質紙原料(LBKP/DIP/
TMP=10/60/30、pH7.1、全ss2.4
0%、灰分0.30%)を用い、中性抄紙の条件で実施
例1〜8と同様な操作により歩留率を測定した。添加薬
品として、カチオン性デンプン、対製紙原料0.25
%、タルク5.5%、中性ロジンサイズ、0.2%、硫
酸バンド0.5%、表2のカチオン性/両性高分子をそ
れぞれ0.015%、および本発明の塩酸添加処理した
アニオン性水溶性高分子溶液、試作−4、5、6を0.
01%それぞれこの順で添加した。全薬品添加後のpH
は7.15であった。結果を表4に示す.
【0030】
【比較例13〜24】表2のカチオン/両性高分子、ま
た表1の無機塩及び無機酸を添加していないアニオン性
水溶性高分子、比較−1、2、3を用い、実施例13〜
24と同様にブリット式ダイナミックジャ−テスタ−に
より歩留率を測定した。結果を表4に示す。
【0031】表4の結果から、本発明の無機酸添加処理
したものを使用した場合は、いずれも良好な地合と高い
総歩留率及び灰分歩留率を達成していることがわかる。
それに対して、無機塩及び無機酸を添加していないアニ
オン性水溶性高分子を用いた場合は、地合の悪化と明ら
かに総歩留率と灰分歩留率が低下していることがわか
る。
【0032】
【実施例25〜36】ダンボ−ルの中芯原紙用原料(p
H7.5、全ss2.56%、灰分0.53%)を用
い、中性抄紙の条件で実施例12〜24と同様な操作に
より歩留率を測定した。添加薬品として、表2のカチオ
ン性/両性高分子を0.010%添加し、および表1の
本発明、塩化ナトリウム添加処理したアニオン性水溶性
高分子、試作−1、2、3を0.005%それぞれこの
順で添加した。全薬品添加後のpHは7.52であっ
た。結果を表5に示す.
【0033】
【比較例25〜36】表2カチオン/両性高分子を用
い、また無機塩及び無機酸を添加していないアニオン性
水溶性高分子、比較−1、2、3を用い、実施例24〜
36と同様にブリット式ダイナミックジャ−テスタ−に
より歩留率を測定した。結果を表5に示す。
【0034】表5の結果から、本発明の無機塩添加処理
したものを使用した場合は、いずれも良好な地合と高い
総歩留率及び灰分歩留率を達成していることがわかる。
それに対して、無機塩及び無機酸を添加していないアニ
オン性水溶性高分子を用いた場合は、地合の悪化と明ら
かに総歩留率と灰分歩留率が低下していることがわか
る。
【0035】
【実施例37〜48】上質紙製造用の製紙原料(実施例
1〜8と同様な原料)を検体として試験を行った。添加
薬品として、表2のカチオン性/両性高分子凝集剤を
0.015、軽質炭酸カルシウム、15%、中性サイズ
剤としてアルキルケテンダイマ−を0.15%、本発明
の塩化ナトリウム添加処理したアニオン性水溶性高分
子、試作−1、2、3を0.015%それぞれこの順で
添加した。全薬品添加後のpHは8.41であった。結
果を表6に示す。
【0036】
【比較例37〜48】実施例37〜48と同様に試験を
行った。アニオン性水溶性高分子として表1無機塩及び
無機酸を添加していないもの比較−1、2、3を用い
た。結果を表6に示す。
【0037】表6の結果から、本発明の無機塩添加処理
したものを使用した場合は、いずれも良好な地合と高い
総歩留率及び灰分歩留率を達成していることがわかる。
それに対して、無機塩及び無機酸を添加していないアニ
オン性水溶性高分子を用いた場合は、地合の悪化と明ら
かに総歩留率と灰分歩留率が低下していることがわか
る。
【0038】
【表1】 溶液粘度:mPa・s
【0039】
【表2】 AAM:アクリルアミド、AAC:アクリル酸(モル
%) DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニ
ウム塩化物(モル%)
【0040】
【表3】 総歩留率:単位は%、灰分歩留率:単位は% 地合、○:良、△:やや不良、×:不良
【0041】
【表4】 総歩留率:単位は%、灰分歩留率:単位は% 地合、○:良、△:やや不良、×:不良
【0042】
【表5】 総歩留率:単位は%、灰分歩留率:単位は% 地合、○:良、△:やや不良、×:不良
【0043】
【表6】 総歩留率:単位は%、灰分歩留率:単位は% 地合、○:良、△:やや不良、×:不良

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抄紙前の製紙原料中にカチオン性水溶性
    高分子、両性水溶性高分子、カチオン性デンプンあるい
    は両性デンプンのうち一種又は二種以上を添加、混合し
    た後、無機塩あるいは無機酸により、アニオン性水溶性
    高分子の見かけ粘度を低下させた水溶液を添加すること
    を特徴とする歩留向上方法。
  2. 【請求項2】 アニオン性水溶性高分子が、アニオン性
    単量体を5〜50モル%含有する単量体混合物の共重合
    体であることを特徴とする請求項1に記載の歩留向上方
    法。
  3. 【請求項3】 アニオン性水溶性高分子が、(メタ)ア
    クリル酸を5〜50モル%、アクリルアミドを50〜9
    5モル%含有する単量体混合物の共重合体であるあるこ
    とを特徴とする請求項1あるいは2に記載の歩留向上方
    法。
  4. 【請求項4】 アニオン性水溶性高分子分の分子量が、
    100万以上、2000万以下であることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の歩留向上方法。
  5. 【請求項5】 カチオン性あるいは両性水溶性高分子の
    分子量が、100万以上、2000万以下であることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製紙方法。
  6. 【請求項6】 カチオン性あるいは両性デンプンの分子
    量が、5万以上、500万以下であることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の製紙方法。
  7. 【請求項7】 アニオン性水溶性高分子の見かけ粘度を
    低下させた水溶液の濃度が、0.1〜0.5重量%であ
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の歩
    留向上方法。
  8. 【請求項8】 アニオン性水溶性高分子の見かけ粘度を
    低下させた水溶液の粘度が濃度0.1〜0.5重量%に
    おいて、5〜1000mPa・sであることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載の歩留向上方法。
  9. 【請求項9】 無機塩あるいは無機酸が塩化ナトリウ
    ム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、
    硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩酸あるいは硝酸の
    うちから選択された少なくとも一つであることを特徴と
    する請求項1〜8のいずれかに記載の歩留向上方法。
  10. 【請求項10】 抄紙pHが6.0〜9.0であること
    を特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の製紙方
    法。
  11. 【請求項11】 抄紙前の製紙原料中にカチオン性水溶
    性高分子、両性水溶性高分子、カチオン性デンプンある
    いは両性デンプンのうち一種又は二種以上をファンポン
    プの手前あるいはスクリ−ンの入り口で添加し、無機塩
    あるいは無機酸により、アニオン性水溶性高分子の見か
    け粘度を低下させた水溶液をスクリ−ンの入り口あるい
    は出口で添加することを特徴とする請求項1〜10のい
    ずれかに記載の製紙方法。 【0001】
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