JPWO2006070479A1 - 磁気ヘッドおよびその製造方法、磁気ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
ランプロード方式の磁気ディスク装置10は、ディスクエンクロージャ11の内部に格納された、磁気ディスク12と、磁気ヘッド20と、アクチュエータ30とから構成され、さらに磁気ディスク装置10が記録再生動作を行わない場合に磁気ヘッド20が退避するためのランプ部40が設けられている。ランプ部40は、磁気ヘッド20の走行経路上で、磁気ディスク12の外側に、一部が磁気ディスク12の外縁部の上方に張り出すように配置される。磁気ヘッド20の先端部に設けられたロードバー25は、表面に潤滑層が形成され、磁気ヘッドのロード動作およびアンロード動作の際に、ランプ部40の表面とロードバー25との摩擦係数を低減し、ランプ部40からの摩耗粉の発生を抑制する。
Description
本発明は、ランプロード方式の磁気ヘッドおよびその製造方法、ならびにその磁気ヘッドを備えた磁気ディスク装置に関する。
近年、通信技術の高速化により取り扱う情報の情報量が急激に増加し、磁気ディスク装置、特にハードディスク装置が広汎に用いられるようになってきた。ハードディスク装置は、大容量、高記録密度、高速アクセス性に加え、小型化、軽量化が図られ、ノートブック型パーソナルコンピュータや携帯端末機に搭載されている。
ハードディスク装置は、磁気ヘッドが、回転する磁気ディスク上を十数nmの極低浮上量で浮上しながら記録・再生動作を行う。また、記録・再生動作を行わない場合は磁気ディスクの回転が停止し、磁気ヘッドは磁気ディスクの表面に接触した状態で静置される。しかし、このような状態で外部から衝撃が加えられると、衝撃の影響で磁気ヘッドが磁気ディスクの表面をたたいて凹みや記録層が損傷される。このような状態では、磁気ディスクに記録された情報を再生できなくなる。
このような問題を解決するために、ハードディスク装置には、未使用時に磁気ヘッドを磁気ディスク面から待避させるランプロード方式が採用されている。図1に示すように、磁気ヘッド100は、記録・再生動作時には、矢印Aで示す磁気ディスク103上を浮上している。記録・再生動作終了後、磁気ヘッド100は磁気ディスク103の外周側に移動して、ランプ部104に磁気ヘッド100の先端部に設けられたロードバー102を接触させる(矢印Bで示す位置)。さらに、磁気ヘッド100は、ロードバー102をランプ部104の傾斜部に接触させながら上方に移動し、これと同時に、ヘッドスライダ101が磁気ディスク103面から上方に引き上げられ、矢印Cで示す位置に静止する。このようにして磁気ヘッド100はアンロード動作が行われる。また、ロード動作の際は、磁気ヘッド100はロードバー102をランプ部104に接触させながら磁気ディスク103側に移動する。そして、ヘッドスライダ101と磁気ディスク103面との間にエアベアリングを形成し、ロードバー102がランプ部104から離れ、磁気ディスク103面上を浮上する。
通常、ロードバー102はステンレス等の金属材料からなり、ランプ部104は樹脂材料からなる。ロード動作およびアンロード動作の際には、ロードバー102がランプ部104に接触しながら移動するため、ロード動作およびアンロード動作の多数回の繰り返しにより樹脂製のランプ部104が摺動により摩耗粉が発生するおそれがある。摩耗粉は、ロードバー102に付着し、磁気ヘッド100がロードされた際に磁気ディスク103の表面に落下する。さらにそのような摩耗粉は磁気ヘッド100のスライダ面に付着する。このように、摩耗粉あるいはその集積物が磁気ヘッド100のスライダ面と磁気ディスク103面との間の空間に存在することで、磁気ヘッド100の浮上安定性が著しく損なわれ、ついにはヘッドクラッシュが発生してしまうという問題がある。
このような問題を解決するため、ランプ部に摩耗粉が落下するように溝を設け、磁気ディスク表面への摩耗粉の付着を回避する磁気ディスク装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、このような対策を施しても、微細な摩耗粉が磁気ディスクや磁気ヘッドが収納されている空間に舞い上がる場合には、磁気ディスクの表面への摩耗粉の付着が回避できず、上記の問題が発生してしまう。
特開2000−132937号公報
そこで、本発明は上記の課題を解決した新規かつ有用な磁気ヘッドおよびその製造方法、磁気ディスク装置を提供することを概括課題とする。
本発明のより具体的な目的は、摺動によるランプ部の摩耗粉の発生を抑制し、高信頼性の磁気ヘッドおよびその製造方法、磁気ディスク装置を提供することである。
本発明の一観点によれば、ランプロード方式の磁気ディスク装置に用いる磁気ヘッドであって、記録素子および/または再生素子を有するヘッドスライダと、前記ヘッドスライダを支持するサスペンションと、を備え、前記サスペンションはその先端部に、磁気ディスク装置のランプ部に接触しながら磁気ヘッドのロード動作およびアンロード動作を行う磁気ヘッド支持部を有し、前記磁気ヘッド支持部の表面に潤滑層が形成されてなることを特徴とする磁気ヘッドが提供される。
本発明によれば、ロードバーの表面に潤滑層が形成されているので、磁気ヘッドのロード動作やアンロード動作の際に、磁気ヘッド支持部とランプ部との摩擦係数を低減し、磁気ディスク装置のランプ部の表面とロードバーとの摺動による摩耗粉の発生を抑制できる。
前記潤滑層は、磁気ヘッド支持部の表面に実質的に化学結合する化学吸着層を有してもよい。潤滑層は、その潤滑剤分子が磁気ヘッド支持部の表面に実質的に化学結合しているので、潤滑剤分子が磁気ヘッド支持部の表面に強固に結合している。したがって、磁気ヘッドのロード動作やアンロード動作の際に、磁気ディスク装置のランプ部の表面と摺動しても飛散や摩耗し難く、長期間に亘って摩耗粉の発生を抑制できる。
本発明の他の観点によれば、ランプロード方式の磁気ディスク装置であって、磁気ディスクと、上記いずれかの磁気ヘッドと、その磁気ヘッドが磁気ヘッド支持部を接触させてロード動作およびアンロード動作を行うランプ部とを備える磁気ディスク装置が提供される。
本発明によれば、磁気ヘッドの磁気ヘッド支持部に潤滑層が設けられているので、磁気ヘッドのロード動作やアンロード動作の際に、磁気ヘッド支持部とランプ部との摩擦係数を低減し、ランプ部の表面とロードバーとの摺動による摩耗粉の発生を抑制できる。その結果、摩耗粉が磁気ヘッドのヘッドスライダ面や、磁気ディスクの表面への付着を抑制し、磁気ヘッドの浮上特性の安定性が維持される。よって、長期信頼性の高い磁気ディスク装置を実現できる。
前記ランプ部は、その表面に他の潤滑層が形成されてもよい。磁気ヘッド支持部とランプ部との摩擦係数を低減し、ランプ部からの摩耗粉の発生をいっそう抑制できる。
本発明のその他の観点によれば、ランプロード方式の磁気ディスク装置に用いる磁気ヘッドの製造方法であって、前記磁気ディスク装置のランプ部に接触しながら磁気ヘッドのロード動作およびアンロード動作を行う磁気ヘッド支持部を有するサスペンションの組立工程と、前記磁気ヘッド支持部の表面に潤滑層を形成する工程と、を含むことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法が提供される。
本発明によれば、サスペンションのロードバーに潤滑層を形成でき、ロードバーとランプ部との摩擦係数を低減し、摺動による摩耗粉の発生を抑制できる。
前記潤滑層を形成する工程は、前記磁気ヘッド支持部にパーフルオロハイドロカーボンまたはパーフルオロポリエーテルの主鎖を有する潤滑剤分子からなる潤滑剤を希釈した潤滑剤希釈溶液を塗布する処理を含んでもよい。
さらに、前記潤滑剤希釈溶液を塗布する処理の後に、前記磁気ヘッド支持部の表面に実質的に化学結合する化学吸着層を形成する潤滑層の固定化処理を行ってもよい。潤滑層を構成する潤滑剤分子と磁気ヘッド支持部の表面との間で化学結合を生じさせ、潤滑層を磁気ヘッド支持部の表面に強固に結合させる。その結果、潤滑層の飛散や摩耗を抑制でき、よって、長期間に亘ってランプ部からの摩耗粉の発生を抑制できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る磁気ディスク装置の要部を示す平面図である。
図2を参照するに、磁気ディスク装置10は、大略して、ディスクエンクロージャ11の内部に格納された、磁気ディスク12と、磁気ヘッド20と、アクチュエータ30とから構成される。なお、図示されていない上蓋によりディスクエンクロージャ11が封止され外部雰囲気からのダスト等の混入が防止されるようになっている。
磁気ディスク12は、ハブ15に固定され、ハブ15に接続されたスピンドルモータ(磁気ディスク12の裏側にあるため図示されず。)により回転駆動する。磁気ディスク12は円盤状の基板上に、情報が磁化の方向として保持される磁性層や、磁性層表面に設けられ磁性層の機械的な損傷や酸化などを防止するための保護膜や、保護膜上に形成された潤滑層などから構成される。磁性層は、面内磁気記録方式の場合は、磁化方向が基板と平行となる面内磁化膜が用いられ、垂直磁気記録方式では、磁化方向が基板と直交する垂直磁化膜が用いられる。
図3は、本実施の形態の磁気ディスク装置を構成する面内磁気記録方式の磁気ディスクの一例である。
図3を参照するに、磁気ディスク12Aは、面内磁気記録方式の磁気ディスクの具体的態様の一例である。磁気ディスク12Aは、ディスク状の基板61と、基板61上に、下地層62、記録層63、保護膜68、潤滑層69が順次積層された構成からなる。基板61は、例えばディスク状のプラスチック基板、ガラス基板、NiPめっきアルミ合金基板等から構成され、その表面にはテクスチャ処理が施されていてもよく、施されてなくてもよい。下地層62は、例えばCr、Cr−X合金(Xは、Mo、W、V、B、Mo、およびこれらの合金から選択される一種からなる。)より構成される。下地層62は、記録層63の第1磁性層64および第2磁性層66の磁化を基板61面に略平行に配向させる(以下、「面内配向」という。)。
記録層63は、第1磁性層64、非磁性結合層65、および第2磁性層66からなり、第1磁性層64と第2磁性層66とが非磁性結合層65を介して反強磁性的に交換結合した交換結合構造を有し、第1磁性層64および第2磁性層66の面内方向に配向した磁化は、外部磁界が印加されない状態で互いに反平行方向に向いている。すなわち、磁気ディスクは、人工フェリ磁性媒体(Synthtic Ferrimaganetic Media、SFM)である。
第1磁性層64および第2磁性層66は、厚さが0.5nm〜20nmの範囲に設定され、Co、Ni、Fe、Co系合金、Ni系合金、Fe系合金等から構成される。Co系合金では、特にCoCrTa、及びCoCrPtが好ましく、結晶粒の粒径の制御の点でCoCrPt−M(M=B、Mo、Nb、Ta、W、Cuおよびこれらの合金から選択される1種)がさらに好ましい。また、第1磁性層64はこれらの材料からなる層を複数積層してもよい。第2磁性層66の面内配向性を向上することができる。
非磁性結合層65は、厚さは0.4nm〜1.5nmの範囲に設定され、例えばRu、Rh、Ir、Ru系合金、Rh系合金、Ir系合金などから構成される。
なお、記録層63は磁性層が2層に限定されず3層以上の磁性層が積層して構成されてもよい。磁性層が互い交換結合し、そのうちの少なくとも2つ層が反強磁性的に結合していればよい。また、記録層63が単層の磁性層から構成されてもよい。
保護膜68は、厚さが0.5nm〜10nm(好ましくは0.5nmから5nm)の範囲に設定され、例えばダイヤモンドライクカーボン(いわゆる、水素化カーボン)、窒化カーボン、アモルファスカーボンなどにより構成される。
潤滑層69は、厚さが0.5nm〜3.0nmの範囲に設定され、例えばパーフルオロポリエーテルを主鎖として末端基が−CF2CHOH、ピペロニル基等よりなるフッ素系潤滑剤より構成される。潤滑層69は、具体的には、後述する、Solvay Solexis社のFomblin(登録商標)Z−Dol(商品名)、AM3001(商品名)等を用いることができる。
図4は、本実施の形態の磁気ディスク装置を構成する垂直磁気記録方式の磁気ディスクの一例である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図4を参照するに、磁気ディスク12Bは、ディスク状の基板61と、基板61上に、軟磁性裏打ち層72、非磁性中間層73、記録層74、保護膜68、及び潤滑層69を順次積層した構成となっている。
軟磁性裏打ち層72は、例えば、厚さが50nm〜2μmの範囲に設定され、Fe、Co、Ni、Al、Si、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、C、およびBから選択された少なくとも1種類の元素を含む非晶質もしくは微結晶の軟磁性合金、またはこれらの軟磁性合金の積層膜から構成される。軟磁性裏打ち層72は、例えば、FeSi、FeAlSi、FeTaC、CoNbZr、CoCrNb、NiFeNbなどを用いることができる。非磁性中間層73は、例えば厚さが2nm〜30nmの範囲に設定され、Cr、Ru、Re、Ri、Hf、及びこれらの金属を含む合金等の非磁性材料より構成される。非磁性中間層73は、例えば、Ru膜、RuCo膜、CoCr膜などが挙げられ、hcp構造を有することが好ましい。
記録層74は、膜厚方向に磁化容易軸を有するいわゆる垂直磁化膜であり、厚さ3nm〜30nmのNi、Fe、Co、Ni系合金、Fe系合金、CoCrTa、CoCrPt、CoCrPt−M(M=B、Mo、Nb、Ta、W、Cu、およびこれらの合金から選択される1種)を含むCo系合金からなる群のうちいずれかの強磁性合金から構成される。
また、記録層74は、上述した強磁性合金の柱状構造の結晶粒子と、隣り合う結晶粒子を物理的に分離するSi、Al、Ta、Zr、Y、およびMgから選択された少なくともいずれか1種の元素と、O、C、およびNから選択された少なくともいずれか1種の元素との化合物からなる非磁性相から構成されてもよい。このような記録層74として、例えば、(CoPt)−(SiO2)、(CoCrPt)−(SiO2)、(CoCrPtB)−(MgO)等が挙げられる。磁性粒子が柱状構造を形成し、非磁性相が磁性粒子を囲むように形成されるので、磁性粒子が互いに分離され、磁性粒子間の相互作用を効果的に抑制あるいは切って媒体ノイズを低減することができる。
なお、上記の面内記録方式および垂直磁気記録方式の磁気ディスク12A、12Bは本発明の磁気ディスク装置に適用できる一例であり、これらに制限されるわけではない。磁気ディスクは、例えば、記録セルを基板61上に互いに離間して配置した、いわゆるパターンド媒体でもよい。
図2に戻り、磁気ヘッド20は、後ほど詳述するが、記録再生を行う例えば記録用の誘導型記録素子と再生用の磁気抵抗効果型素子(いずれも微小なため図示されず。)が設けられたヘッドスライダ21と、ヘッドスライダ21を支持するサスペンション本体部22等から構成される。
磁気ヘッド20は、アーム31を介してアクチュエータ30に支持され、アクチュエータ30の基部に設けられたVCM(ボイスコイルモータ)32と、VCM32の上下に配置された永久磁石33との電磁気的な駆動力により回転軸部34を中心して磁気ディスク12の径方向に回動する。
VCM32には、ディスクエンクロージャ11の裏側に設けられた電子基板に配置されたVCM・SPM(スピンドルモータ)ドライバICからVCM駆動電流が供給される。VCM駆動電流の方向および大きさにより、磁気ヘッド20の移動方向および速度が制御される。
ディスクエンクロージャ11の内部には、さらに磁気ディスク装置10が記録再生動作を行わない場合に磁気ヘッド20を退避させるためのランプ部40が設けられている。ランプ部40は、磁気ディスク12の外縁部の外側で、磁気ヘッド20の走行経路上に配置される。
図5は、本発明の実施の形態に係る磁気ヘッドの平面図であり、ヘッドスライダ側から見た図である。図6は、図5のA−A線矢視図である。
図5および図6を参照するに、磁気ヘッド20は、板状の金属材料からなるサスペンション本体部22aと、サスペンション本体部22aの基部に設けられたベースプレート23と、サスペンション本体部22aの先端部に配置されたジンバル26と、ジンバル26に固定されたヘッドスライダ21と、ヘッドスライダ21の記録素子および再生素子と、プリアンプ(図2に示す36)とを電気的に接続する配線パターン24等から構成される。サスペンション本体部22aの基部は、図2に示すアクチュエータ30のアーム31に嵌合等により固定される。
サスペンション本体部22aは、例えば、板厚100μmのステンレス材等の金属材から構成される。サスペンション本体部22aは板バネとして機能する。すなわち、サスペンション本体部22aは、磁気ヘッド20が磁気ディスク12上に浮上した際に、ヘッドスライダ21の表面が受ける浮上力に対して、磁気ディスク12側に押しつける力を発生する。これらの力の均衡によりヘッドスライダ21と磁気ディスク22との表面との距離が一定に保持される。サスペンション本体部22aは、金属材を2層あるいは3層以上積層してもよく、金属材/樹脂層/金属材のように、樹脂層を挟んだ積層体を用いてもよい。
ヘッドスライダ21は、セラミックス材(例えばAl2O3−TiC)からなる基材と、磁気ヘッド20の先端側の面に薄膜形成プロセスにより形成された誘導型記録素子および磁気抵抗効果型素子から構成される。ヘッドスライダ21には、ヘッドスライダ面21a(磁気ディスクに対向する面)に、ヘッドスライダ21が浮上時にエアベアリングを形成するための凸状のレールやパッドが設けられている。誘導型記録素子は、面内記録方式では例えばリング型素子、垂直記録方式では単磁極素子を用いることができる。また、再生用の磁気抵抗効果型素子は、例えばGMR(スピンバルブ型磁気抵抗効果型素子)、TMR(トンネル磁気抵抗効果型素子)、BMR(バリスティック磁気抵抗効果型素子)等を用いることができる。なお、ヘッドスライダ21は、誘導型記録素子および磁気抵抗効果型素子のいずれか一方が設けられていてもよい。
配線パターン24は、サスペンション本体部22a上に所要幅で形成された、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等からなる絶縁樹脂層15上に、導電材料の箔等により形成され、その上をさらにポリイミド樹脂等からなる保護層16によって被覆されている。また、配線パターン24は、銅箔等の導電材料をポリイミド樹脂等により挟んだにフレキシブルプリント回路板でもよい。
サスペンション本体部22aの先端部には、サスペンション本体部22aから張り出すように延在するロードバー25が設けられている。ロードバー25は、その平面形状が例えば棒状やタブ状に形成されている。磁気ヘッド20は、ロード動作およびアンロード動作の際に、ロードバー25がランプ部40の表面に接触して、ランプ部40により磁気ヘッド20が支持される。後ほど説明するように、ロードバー25は、例えばサスペンション本体部22aと一体成形されたものでもよく、サスペンション本体部22aの先端部に固定された細い棒状の金属材料でもよい。
ロードバー25は、その断面形状が例えばヘッドスライダ側に凸状の曲面状に形成されている。このようにすることで、ランプ部との接触を円滑にし、ランプ部の摩耗を低減できる。
ロードバー25の表面には潤滑層27が形成されている。潤滑層27は、本発明の趣旨に反しない限りどのようなものでもよいが、フッ素系潤滑剤を含むことが好ましい。フッ素系潤滑剤としては、フッ素系炭化水素、フッ素化ポリエーテル、またはこれらの混合物が挙げられ、特にパーフルオロハイドロカーボン、パーフルオロポリエーテル、またはこれらの混合物が好ましい。フッ素系炭化水素、パーフルオロハイドロカーボン、フッ素化ポリエーテル、およびパーフルオロポリエーテルは、直鎖分子あるいは分岐分子のいずれであってもよい。
これらの潤滑剤の分子量は、重量平均分子量で2000〜20000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が2000より小さいと、後ほど説明する物理吸着層を形成する場合に飛散し易くなる。また、重量平均分子量が20000よりも大きいと物理吸着層を形成する場合に粘度が高くなり、ロードバー25とランプ部40との動摩擦係数が増加するおそれがある。
潤滑層27に好適なパーフルオロポリエーテルの構造は、例えば、以下のものが挙げられる。
潤滑剤分子の末端基Xとしては、CF2CHOH、C6H5、ピペロニル基等の極性基や、トリフルオロメチル基(CF3)のような無極性基でもよい。後ほど潤滑剤の塗布工程において詳述するが、潤滑剤を塗布した状態でロードバー25の表面に強固に結合した化学吸着層が形成される点で、末端基が極性基の分子からなる潤滑剤が好ましい。
図7は、ロードバー25に形成された潤滑層27の構造を説明するための図である。図7を参照するに、潤滑層27は、ロードバー25の表面25aに潤滑剤の分子が結合した化学吸着層27aと、化学吸着層27aの上に潤滑剤の分子が堆積した物理吸着層27bから構成される。化学吸着層27aは、潤滑剤の分子28の末端基28aがロードバー25の表面に結合した分子28−1や、このような分子28−1に吸着した分子28−2からなる層である。一方、物理吸着層27bは、互いに結合していない分子28−3である。
化学吸着層27aは、ロードバー25の表面、あるいは分子同士が強く結合している。末端基28aが極性基の潤滑剤は、塗布するだけでロードバー25の表面25aに化学吸着層27aが形成される。また、末端基が無極性基の潤滑剤は、塗布後の高エネルギー線の照射により、ロードバー25の表面25aに結合した分子28−1や分子28−1に吸着した分子28−2が形成される。
潤滑層27は、化学吸着層27aのみから構成されていもよい。ロードバー25とランプ部の表面との接触の際の衝撃を緩和させ、ランプ部の摺動による摩耗を抑制できる。
また、潤滑層27は、図7に示すように化学吸着層27aと物理吸着層27bとの積層体から構成される方が好ましい。潤滑層27をこのような構造とすることで、物理吸着層27bがロードバー25とランプ部の表面との接触の際に、衝撃力が印加された分子が横方向に移動して衝撃を拡散させる。その結果、潤滑剤分子の移動が制限される化学吸着層27aのみの場合よりも、ランプ部30の摩耗がいっそう低減される。
潤滑層の厚さは、0.5nm〜10nmの範囲に設定されることが好ましく、1.0nm〜2.0nmの範囲に設定されることがさらに好ましい。なお、潤滑層の厚さは、X線光電子分光法、FT−IR(フーリエ変換赤外分光)法、偏光解析法により求めることができ、ロードバーのように微小な領域を測定する場合は、顕微FT−IR法を用いることが好ましい。
また、潤滑層の固着率(=化学吸着層の厚さ/潤滑層の厚さ×100(%))は、30%〜100%の範囲に設定されることが好ましく、50〜100%の範囲に設定されることがさらに好ましい。なお、化学吸着層の厚さは、潤滑層を溶媒により洗浄した後の厚さを上述した測定法により測定することで得られる。溶媒は上述した潤滑剤の希釈溶媒を用いればよく、洗浄は溶媒にロードバー25を1分間程度浸漬すればよい。
次に磁気ヘッドのロード動作およびアンロード動作を説明する。
図8Aおよび図8Bは、磁気ヘッドのロード動作およびアンロード動作を説明するための図であり、図8Aは平面図、図8Bは磁気ヘッドの移動経路(図8Aに示すX−X線)に沿った断面図である。
図8Aおよび図8Bを参照するに、ランプ部40は、磁気ディスク12の外縁部に張り出した第1傾斜部SL1と、第1傾斜部SL1に続く第1平坦部FL2、第2傾斜部SL2、および第2平坦部FL2から構成される。磁気ヘッド20は、アンロード動作の際は、磁気ディスク12上を浮上した状態から外周側に移動し(矢印X1方向)、ロードバー25が第1傾斜部SL1に接触し、更に外側に移動することにより第1傾斜部SL1に沿って、上方に引き上げられ磁気ディスク11の表面とヘッドスライダ21との間でエアベアリングを形成した状態から解除される。ロードバー25がさらに第1平坦部FL1、第2傾斜部SL1に接触しながら磁気ヘッド20は移動し、第2平坦部FL2のホームポジションHPで静止する。ロード動作の際は、磁気ヘッド20は、アンロード動作と逆方向に、ホームポジッションHPから第2平坦部FL2、第2傾斜部SL2、第1平坦部FL1、第1傾斜部SL1にロードバー25を接触させながら磁気ヘッド20は移動し、第1傾斜部SL1で磁気ディスク12の表面とヘッドスライダ21との間でエアベアリングを形成した状態が形成され、ロードバー25が第1傾斜部SL1から離れる。
このように、磁気ヘッド12のロード動作およびアンロード動作の際に、ロードバー25は、ランプ部40の表面に接触し、ロードバー25とランプ部40との間で摺動が生ずる。ランプ部40は樹脂製であるのでロードバー25よりも摩耗し易い。ロードバー25は、特に、ランプ部40の第1傾斜部SL1に強く衝突し、第1傾斜部SL1の表面の摩耗が懸念される。しかし、本発明では、ロードバー25の表面には潤滑層27が形成されているので、ランプ部40の表面との摩擦係数が低減され、摩耗が抑制される。なお、ランプ部20と摺動するロードバー25のヘッドスライダ21側の面(図6に示す面25a)に潤滑層27が形成されていれば十分である。
なお、磁気ディスク12の下面側に記録・再生を行う磁気ヘッドは、図8Bに示す磁気ヘッドとは上下が逆の状態で配置され、さらにランプ部も同様に上下が逆の状態で配置される。したがって、この場合もロードバー25のヘッドスライダ21側の面がランプ部40の表面に接触するので、ロードバー25のヘッドスライダ21側の面25aに潤滑層27が形成されていれば十分である。
さらに、ランプ部40の表面にロードバー25と同様の潤滑層27が形成されていてもよい。このようにすることで、ランプ部40の表面とロードバー25との摩擦係数がさらに低減され、摩耗粉の発生をいっそう抑制できる。
本実施の形態によれば、ロードバー25の表面に潤滑層27が形成されているので、磁気ヘッド20のロード動作やアンロード動作の際に、ランプ部40の表面とロードバー25との摺動による摩耗粉の発生を抑制でき、信頼性の高い磁気ディスク装置を実現できる。特に、潤滑層27を化学吸着層と物理吸着層とから構成することで、ランプ部40の表面とロードバー25と動摩擦係数をいっそう低減でき、摩耗粉の発生をいっそう抑制できる。
次に、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法を説明する。図9は、磁気ヘッドの製造工程を示すフローチャートである。
図9を参照するに、最初に、サスペンションの組立を行う(S100)。具体的には、打ち抜き加工等により、図5に示すサスペンション本体部22aを成型し、ロードバー25が一体成型の場合はこの時点でロードバー25が形成される。また、ロードバー25をサスペンション本体部22aと異なる部材で形成する場合は、ここでサスペンション本体部22aの先端部にロードバー25を取付ける。
さらに、サスペンション本体部22aの基部にベースプレート23を取付け、サスペンションの先端部にジンバル26を取り付ける。ロードバー25、ベースプレート23、およびジンバル26を取り付ける順序は任意である。次いで、配線パターン24をサスペンション本体部22aに形成あるいは取り付ける。
次いで、ロードバーに潤滑層を形成する(S110)。潤滑層の形成工程は、ロードバーへの潤滑剤の塗布処理(S112)と、必要に応じて行う、潤滑層の固定化処理(S114)と、潤滑層の物理吸着層の除去処理(S116)からなる。
ロードバーへの潤滑剤の塗布処理(S112)は、潤滑剤希釈溶液を使用して、浸漬法(引き上げ法、液面降下法)、スプレー法等によりロードバーに潤滑剤を塗布する。潤滑剤希釈溶液は、潤滑剤を希釈溶媒、例えば、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ヘキサフルオロイソプロパノール等を使用して希釈する。このような市販の希釈剤としては、例えば3M社のノベックHEF(商品名)、デュポン社のバートレル(登録商標)XFが挙げられる。
潤滑剤は、例えば、上述したフッ素系炭化水素、フッ素化ポリエーテルを用いる。潤滑剤は、具体的に、例えば、末端基が極性を有するSolvay Solexis社のFomblin(登録商標)Z−Dol(商品名)(末端基:−CF2CHOH)や、AM3001(商品名)(末端基:ピペロニル基)が挙げられる。
また、潤滑剤は、例えば、末端基が無極性であるSolvay Solexis社のFomblin(登録商標)Z15、Z25(いずれも商品名)等の直鎖分子からなる潤滑剤や、Y25、YR1800(いずれも商品名)等の分岐分子からなる潤滑剤が挙げられる。これらの末端基はいずれもトリフルオロメチル基からなる。
図10Aおよび図10Bはロードバーに潤滑剤を引き上げ法により塗布する方法を説明するための図である。
図10Aを参照するに、所定の速度で昇降する治具50に組み立てたサスペンション22をロードバーが下になるように固定する。この際、それぞれのサスペンション22の高さが同じで、かつ鉛直になるように固定することが好ましい。
図10Bを参照するに、このように治具50に固定したサスペンション22を潤滑剤塗布槽51に充填した潤滑剤希釈溶液52に浸漬後、所定の時間静置し、次いで所定の速度で引き上げる。この際、ロードバー25のみを潤滑剤希釈溶液52に浸漬することが好ましい。次いで塗布した潤滑層の溶媒を自然蒸発させる。溶媒を蒸発した後の潤滑層の膜厚が、1〜2nmの範囲になるように潤滑剤希釈溶液52の濃度および引き上げ速度を設定することが好ましい。滑剤希釈溶液52の潤滑剤の濃度は、例えば、溶媒に前出のバートレル(登録商標)XF、潤滑剤にFomblin(登録商標)AM3001(商品名)を用いた場合、0.2重量%程度の濃度に設定する。
次いで、必要に応じて、潤滑層の固定化処理(S114)を行う。潤滑層の固定化処理は、具体的には、潤滑層の熱処理、高エネルギー線の照射処理を行う。好適な高エネルギー線としては、紫外線、X線、電子線、収束イオンビーム等が挙げられるが、特に、高輝度のエキシマ真空紫外ランプを用いた波長172mの真空紫外線、および電子線が好ましい。
潤滑層の熱処理は、例えば、オーブンやRTP炉を用いて、ロードバーに潤滑層が形成されたサスペンション22を80℃〜200℃の範囲に加熱する。潤滑層を加熱することにより、末端基が極性を有する分子の潤滑剤を用いた場合、物理吸着層を化学吸着層に移行することができ、化学吸着層の膜厚を増加できる。また、末端基が無極性の分子の潤滑剤を用いた場合、吸着サイトがロードバーの表面や分子自体に形成され、潤滑剤の分子がロードバーの表面や分子同士が強く結合する。
また、紫外線照射処理は、水銀ランプやエキシマ真空紫外ランプを用いてロードバーに潤滑層が形成されたサスペンションに高照度の紫外線を照射する。紫外線を照射することでロードバーの表面が活性化され、潤滑剤の分子の吸着サイトが増加すると推察され、化学吸着層の膜厚を増加できる。
エキシマ真空紫外ランプ、特にキセノンガスを用いたキセノンエキシマランプは、高輝度の波長172nmの真空紫外光を射出するので、効率良く固定化処理が可能である。ただし、この処理は、空気による紫外光の減衰を抑制するため、真空雰囲気の容器中で行う必要がある。
また、電子ビーム照射処理は、電子銃により電子ビームを射出させ、真空雰囲気の容器中でロードバーの潤滑層27に例えば、加速電圧10kVの電子ビームを照射する。電子ビームが照射されたロードバーの表面は、紫外線照射と同様に活性化され、潤滑剤の分子の吸着サイトが増加し、化学吸着層の膜厚を増加できる。なお、紫外線や赤外線のレーザ光照射を行ってもよい。
次いで、必要に応じて、潤滑層の物理吸着層の除去処理を行う(S116)。物理吸着層の除去処理は、具体的には、サスペンションを上述した溶媒に浸漬し、次いで溶媒から取り出し、自然蒸発により乾燥する。この処理により、潤滑層の物理吸着層の一部あるいは総てが除去されるので、物理吸着層の厚さを制御できる。
次いで、サスペンションのジンバルに別に形成したヘッドスライダを取り付ける(S120)。ヘッドスライダは、アルチックのウエハ上に半導体プロセスにより磁気抵抗効果型素子および誘導型記録素子を形成し、個々のヘッドスライダにダイシングにより切り出し、ヘッドスライダのエアベアリング面の加工等を行ったものである。次いで、配線パターンとヘッドスライダの電極との接続を行う。
なお、ロードバーの潤滑剤形成は、ヘッドスライダ取付け後に行ってもよいが、ヘッドスライダに潤滑剤を付着させない点では、図9の工程が好ましい。
潤滑層の形成工程の具体的態様の例を実施例として以下に示す。
[実施例1]
ロードバーの表面に、両分子末端がトリフルオロメチル基のパーフルオロポリエーテル(直鎖分子、重量平均分子量9500)を、溶媒2,3−ジハイドロデカフルオロペンタンを用いて濃度0.2wt%の希釈溶液を調製し、引き上げ法により厚さが1.5nmになるように塗布する。このようにして得られた潤滑層は、この時点では略総てが物理吸着層であり、固着率は略0%である。
[実施例1]
ロードバーの表面に、両分子末端がトリフルオロメチル基のパーフルオロポリエーテル(直鎖分子、重量平均分子量9500)を、溶媒2,3−ジハイドロデカフルオロペンタンを用いて濃度0.2wt%の希釈溶液を調製し、引き上げ法により厚さが1.5nmになるように塗布する。このようにして得られた潤滑層は、この時点では略総てが物理吸着層であり、固着率は略0%である。
次いで、このようにして得られた潤滑層にエキシマ真空紫外ランプを用いて、固着率が90%程度になるように、数秒程度の紫外光(波長172nm)を照射する。以上により、無極性の末端基を有する潤滑剤を用いて、ロードバーの表面に化学吸着層を有する潤滑層が形成される。
[実施例2]
ロードバーの表面に、両分子末端が−CF2CHOHのパーフルオロポリエーテル(直鎖分子、重量平均分子量4000)を、溶媒2,3−ジハイドロデカフルオロペンタンを用いて濃度0.2wt%の希釈溶液を調製し、引き上げ法により厚さが1.5nmになるように塗布する。このようにして得られた潤滑層は、固着率は約70%と推察される。なお、潤滑剤の固定化処理および物理吸着層の除去処理は行わなかった。以上により、極性の末端基を有する潤滑剤を用いて、ロードバーの表面に化学吸着層を有する潤滑層が形成される。
ロードバーの表面に、両分子末端が−CF2CHOHのパーフルオロポリエーテル(直鎖分子、重量平均分子量4000)を、溶媒2,3−ジハイドロデカフルオロペンタンを用いて濃度0.2wt%の希釈溶液を調製し、引き上げ法により厚さが1.5nmになるように塗布する。このようにして得られた潤滑層は、固着率は約70%と推察される。なお、潤滑剤の固定化処理および物理吸着層の除去処理は行わなかった。以上により、極性の末端基を有する潤滑剤を用いて、ロードバーの表面に化学吸着層を有する潤滑層が形成される。
[実施例3]
実施例2のロードバーに潤滑層が塗布されたサスペンションをクリーンオーブン中で温度180℃、処理時間60分の熱処理を行う。このようにして得られる潤滑層の固着率を実施例2よりも高めることができる。
実施例2のロードバーに潤滑層が塗布されたサスペンションをクリーンオーブン中で温度180℃、処理時間60分の熱処理を行う。このようにして得られる潤滑層の固着率を実施例2よりも高めることができる。
[実施例4]
実施例2のロードバーに潤滑層が塗布されたサスペンションを溶媒2,3−ジハイドロデカフルオロペンタンクリーンオーブン中に5分浸漬する。
実施例2のロードバーに潤滑層が塗布されたサスペンションを溶媒2,3−ジハイドロデカフルオロペンタンクリーンオーブン中に5分浸漬する。
このようにして得られる潤滑層の固着率は略100%となり、実施例2よりも固着率を高めることができる。
本実施の形態の製造方法によれば、サスペンションのロードバーに潤滑層を形成でき、ロードバーとランプ部との摩擦係数を低減し、摺動による摩耗粉の発生を抑制できる。
以上本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以上詳述したところから明らかなように、本発明によれば、摺動によるランプ部の摩耗粉の発生を抑制し、高信頼性の磁気ヘッドおよびその製造方法、磁気ディスク装置を提供できる。
Claims (20)
- ランプロード方式の磁気ディスク装置に用いる磁気ヘッドであって、
記録素子および/または再生素子を有するヘッドスライダと、
前記ヘッドスライダを支持するサスペンションと、を備え、
前記サスペンションはその先端部に、前記磁気ディスク装置のランプ部に接触しながら磁気ヘッドのロード動作およびアンロード動作を行う磁気ヘッド支持部を有し、
前記磁気ヘッド支持部の表面に潤滑層が形成されてなることを特徴とする磁気ヘッド。 - 前記潤滑層は、磁気ヘッド支持部の表面に実質的に化学結合する化学吸着層を有することを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
- 前記潤滑層は、高エネルギー線の照射あるいは熱処理を受けたものであることを特徴とする請求項1または2記載の磁気ヘッド。
- 前記潤滑層は、フッ素系炭化水素およびフッ素化ポリエーテルのいずれかを少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載の磁気ヘッド。
- 前記潤滑層は、パーフルオロハイドロカーボンまたはパーフルオロポリエーテルの主鎖を有する潤滑剤分子を含むことを特徴とする請求項4記載の磁気ヘッド。
- 前記潤滑層は、パーフルオロポリエーテルの主鎖を有する潤滑剤分子を含み、
前記潤滑剤分子の末端基は極性基からなることを特徴とする請求項4記載の磁気ヘッド。 - 前記潤滑層は、パーフルオロポリエーテルの主鎖を有する潤滑剤分子を含み、
前記潤滑剤分子の末端基は無極性基からなることを特徴とする請求項4記載の磁気ヘッド。 - 前記潤滑層は化学吸着層と物理吸着層とからなり、
前記潤滑層の膜厚に対する化学吸着層の膜厚の割合が30%〜100%の範囲に設定されてなることを特徴とする請求項1〜7のうち、いずれか一項記載の磁気ヘッド。 - 前記潤滑層は化学吸着層のみからなることを特徴とする請求項8記載の磁気ヘッド。
- 前記磁気ヘッド支持部は、ランプ部に接触する接触面が凸状の曲面形状を有し、該接触面上に潤滑層が形成されてなることを特徴とする請求項1〜9のうち、いずれか一項記載の磁気ヘッド。
- ランプロード方式の磁気ディスク装置であって、
磁気ディスクと、
請求項1〜10のうち、いずれか一項記載の磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドが磁気ヘッド支持部を接触させてロード動作およびアンロード動作を行うランプ部とを備えることを特徴とする磁気ディスク装置。 - 前記ランプ部は、その表面に他の潤滑層が形成されてなることを特徴とする請求項11記載の磁気ディスク装置。
- ランプロード方式の磁気ディスク装置に用いる磁気ヘッドの製造方法であって、
前記磁気ディスク装置のランプ部に接触しながら磁気ヘッドのロード動作およびアンロード動作を行う磁気ヘッド支持部を有するサスペンションの組立工程と、
前記磁気ヘッド支持部の表面に潤滑層を形成する工程と、を含むことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。 - 前記潤滑層を形成する工程は、
前記磁気ヘッド支持部にパーフルオロハイドロカーボンまたはパーフルオロポリエーテルの主鎖を有する潤滑剤分子からなる潤滑剤を希釈した潤滑剤希釈溶液を塗布する処理を含むことを特徴とする請求項13記載の磁気ヘッドの製造方法。 - 前記潤滑剤希釈溶液を塗布する処理の後に、
前記磁気ヘッド支持部の表面に実質的に化学結合する化学吸着層を形成する潤滑層の固定化処理を行うことを特徴とする請求項14記載の磁気ヘッドの製造方法。 - 前記潤滑層の固定化処理は、潤滑層を加熱し、あるいは高エネルギー線を照射することを特徴とする請求項15記載の磁気ヘッドの製造方法。
- 前記高エネルギー線は、紫外線、X線、電子線、および収束イオンビームからなる群のうちいずれか1種であることを特徴とする請求項16記載の磁気ヘッドの製造方法。
- 前記潤滑剤分子が極性を有する末端基を有する場合は、
前記潤滑剤希釈溶液を塗布する処理の後、あるいは、前記潤滑層の固定化処理の後に、
前記潤滑層の物理吸着層の一部あるいは全部を除去する処理を行うことを特徴とする請求項15〜17のうち、いずれか一項記載の磁気ヘッドの製造方法。 - 前記潤滑剤分子の末端基の略すべてが無極性である場合は、
前記潤滑剤希釈溶液を塗布する処理の後に、
前記潤滑層の固定化処理を行うことを特徴とする請求項15〜17のうち、いずれか一項記載の磁気ヘッドの製造方法。 - 前記潤滑層の固定化処理の後に、
前記潤滑層の物理吸着層の一部あるいは全部を除去する処理を行うことを特徴とする請求項19記載の磁気ヘッドの製造方法。
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