JPWO2006054448A1 - 細胞培養用ヒト血清 - Google Patents

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Abstract

幹細胞の増殖を効率よく促すことができる増殖因子を多く含んだ血清を提供する。採血から20分以内の血小板残存率が、全血小板量の20%以下であり、かつ、細胞増殖因子のリリース率が20%以上である細胞培養用のヒト血清を用いた。

Description

本発明は、細胞培養用ヒト血清に関するものであり、より詳しくは細胞増殖因子を多く含む細胞培養用ヒト血清に関する。
本出願は、2004年11月19日に日本国に出願された特許出願番号2004‐335344号に基づく優先権の利益を主張し、当該出願の内容は引用によりここに組み込まれているものとする。
現在、再生医療分野においては、対象者から採取した幹細胞を体外で増殖又は分化させたうえで対象者に移植することで対象者の組織の再生を促進させるという研究が行なわれている。幹細胞は、種々の組織や器官に分化する多分化能を有し、再生医療のカギを握る細胞として注目されている。
幹細胞の体外培養増殖では、培地に対して血清を添加すれば効果的であることが知られているが、ヒトの治療を目的とする場合には、ヒト以外の動物を由来とする血清を用いることは安全上の問題から避けるべきことであり、ヒト由来、特に対象者から採取した血液より調製した血清を用いることが要求される。また、血液検査と比べると再生医療の分野における幹細胞の培養には、比較的より多くの血清が必要となる。
このような血清を調製する方法としては、例えばガラス粉末からなる血液凝固促進個体が収容された採血管を用いるという方法が開示されている(特許文献1参照)。また、血清中に混入するフィブリンなどの凝固物質を迅速に分離させるために、ガラス粉末と血液を接触させ、増殖因子を多種多量に含んだ血清を容易に回収する方法が開示されている(特許文献2参照)。さらに、ヒト血漿を原料として製造する方法が開示されている(特許文献3参照)。さらに、血漿にカルシウム化合物及びガラスビーズを添加して増殖因子を得る方法が開示されている(特許文献4参照)
特開2000−000228号公報 特開平4−83165号公報 特開2001−275662号公報 特開2004−269409号公報
しかし、特許文献1及び2に開示されている方法は、血液の検査を目的とする容量の小さな採血管を用いるため、幹細胞の培養に必要な量の血清を調製するためには、何度も調製操作を行なわなければならず、実用に適さない。また、特許文献3に開示されている方法は、抗凝固剤としてトロンビンを用いているので生物由来の製品を用いることによる感染リスクが残存するという面で好ましくない。さらに、特許文献4に記載の方法では、細胞増殖因子を少量しか含有していない血漿を原料としているため、得られた血清は十分な細胞増殖因子を含んでいないため、幹細胞を効率よく培養することができない。
以上の課題に鑑み、本発明は幹細胞の増殖を効率よく促すことができる増殖因子を多く含んだ血清を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 血液凝固因子を含む血液由来の液性成分と、血小板とを含む流動体から得られる細胞培養用ヒト血清であって、採血から20分以内の血小板残存率が、全血小板量の0%を越え20%以下であり、かつ、細胞増殖因子のリリース率が20%以上100%以下である細胞培養用ヒト血清。
(1)の発明によれば、採血から20分以内の血小板残存率を、全血小板量の0%を越え20%以下としたことによって、細胞増殖因子の放出を迅速に促進することが可能となる。また細胞増殖因子のリリース率を、20%以上100%以下としたことによって、幹細胞を効率よく増殖させることが可能となる。また、少なくとも血液由来の液性成分と血小板とを含む流動体を使用したことによって、血漿から調整される量よりも多くの増殖因子を含む血清を生成することが可能となり、ウシ胎児血清と同等の細胞増殖効果を有する血清を製造することができる。
ここで、「血液」とは、血球(赤血球、白血球、血小板)と液体成分である血漿(血清)からなる全血、及びこれらの少なくとも1種を含んだ液体(例えば成分献血で採取された血液)をいう。また、「血清」とは、採取した血液を放置すると流動性が低下し、その後に赤い凝固塊(血餅)から分離される淡黄色の液体をいう。本発明における「血清」とは、血餅から分離されない点で生成方法が一般的な血清とは異なるが、そこに含まれる凝固因子や増殖因子が実質的に一般的な血清と同等である細胞培養に有用な血液中の液性成分をいう。また、「血液由来の液性成分」とは、血球以外の血液成分あるいは、血球以外の血液成分に抗凝固剤等の薬剤を添加した混合液をいう。また「細胞増殖因子」とは、血小板増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF−β1)、血管内皮増殖因子(VEGF)、インシュリン様増殖因子(IGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)等をいう。
さらに、「細胞増殖因子のリリース率」とは、真空採血管に採った所定量の血液から調製した血清中の細胞増殖因子量を潜在量(100%リリース)とし、この潜在量に対する細胞増殖因子の割合をいう。
(2) 血液凝固因子を含む血液由来の液性成分と、血小板とを含む流動体から得られる細胞培養用ヒト血清であって、前記細胞増殖因子の含有量は、血漿から調製されたヒト血清よりも多い細胞培養用ヒト血清。
(2)の発明によれば、本発明に係るヒト血清の細胞増殖因子の含有量を、血漿から調製した場合よりも多くしたことによって、幹細胞を効率よく増殖させることが可能となる。ここで「血漿」とは、採取した血液にヘパリンやCPD等の抗凝固剤を添加した後に遠心分離を行い、得られた上澄み液をいう。「血漿から調製されたヒト血清」とは、対象者から採取した血液を血小板が完全に沈殿する遠心分離条件(例えば、4,400(g)×5(min.)以上)の下で血漿を調製し、この血漿に含まれる凝固因子を除去することにより得られたヒト血清をいう。
(3) 血液凝固因子を含む血液由来の液性成分と、血小板とを含む流動体から得られる細胞培養用ヒト血清であって、前記細胞増殖因子の含有量は、放置により調製されたヒト血清よりも多い細胞培養用ヒト血清。
(3)の発明によれば、本発明に係るヒト血清の細胞増殖因子の含有量を、放置により調製した場合よりも多くしたことによって、幹細胞を効率よく増殖させることが可能となる。ここで「放置により調製されたヒト血清」とは、対象者から採取した血液を可撓性の容器内で約1時間室温にて放置した後、遠心分離することにより得られたヒト血清をいう。
(4) 前記細胞増殖因子は、PDGF−BB又はTGF−β1の少なくともいずれか一方を含む(1)から(3)いずれかに記載の細胞培養用ヒト血清。
(4)の発明によれば、上述の細胞増殖因子のうち、細胞増殖能がより高いPDGF−BB又はTGF−β1のいずれか一方を含むこととしたことによって幹細胞をより効率よく増殖させることが可能となる。なお、PDGF−BBは、PDGFの3種類ある型(ダイマー)(PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB)の一種をいう。
(5) 前記細胞増殖因子は、前記流動体をガラス加工体に接触させることによって得られるものである(1)から(4)いずれかに記載の細胞培養用ヒト血清。
(5)の発明によれば、流動体中の血小板が活性化され、細胞増殖因子を放出するためには、当該流動体を異物と接触させる必要がある。本発明ではこの異物をガラス加工体としたことによって、ポリエチレンペレットの場合よりもより効率よく細胞増殖因子を放出させることが可能となる。ここで「ガラス加工体」とは、ガラス粉末、ガラスビーズ等をいう。このガラス加工体の形状は、赤血球の破壊(溶血)や本発明に係る血清を調製する際に使用する装置の破損を抑制するという面から、略球状としておくことが好ましい。
また、血小板及び血液凝固因子等の被活性化因子を迅速に活性化させるために、ガラス加工体の表面を、二酸化ケイ素化合物からなる層で形成しておくことが好ましい。二酸化ケイ素化合物としては、ガラス、シリカ、珪藻土、カオリン等から選択される少なくとも1種以上を使用することができるが、これらに限られるものではない。
(6) 前記ガラス加工体は、ガラスビーズである(5)に記載の細胞培養用ヒト血清。
(6)の発明によれば、ガラス加工体をガラスビーズにしたことによって、流動体中の血小板をより活性化させることが可能となる。中でも多孔質のガラスビーズは、流動体との接触面積が大きいため、より好ましい。また、ガラスビーズの表面積は、流動体1mlに対して、0.1(mm/ml)から25(mm/ml)であることが好ましい。
(7) 外気に触れることなく調製されるものである(1)から(6)いずれかに記載の細胞培養用ヒト血清。
(7)の発明によれば、ヒト血清が外気に触れることなく調製されるものとしたことによって、調製された血清が、細菌や微生物等によって汚染される危険性も低くなる。これによって安全性の高い血清を調製することができ、一層の安全性を確保することが可能となる。なお、(7)の発明に係るヒト血清は、外気に触れることがないような態様の装置を用いて調製されることが好ましい。
(8) 再生医療方法に使用する(1)から(7)いずれかに記載の細胞培養用ヒト血清。
(8)の発明によれば、細胞培養用の培地に用いることにより、対象者から採取した幹細胞を播種して培養を行なう際に、細胞をより早く培養することが可能となる。また、自己血清で細胞を培養することが可能であるため、副作用等が起こる可能性は低く、安全面の上でも優れている。
以上説明したように、本発明に係る細胞培養用ヒト血清は、細胞増殖因子を大量に含有するため、従来の血清よりもより効率よく幹細胞を培養することが可能となる。また、このヒト血清を再生医療に用いれば、対象者の組織及び機能を安全、かつ、確実に再生することができる。
本発明に係る細胞培養用ヒト血清を調製する血清調製装置を示した図である。 本発明に係る細胞培養用ヒト血清を調製する手順を示す図である。 血清調製装置の血液貯留部10を振盪させている図である。 振盪時間と各試料中の血小板残存率を示した図である。 振盪時間と各試料中のPDGF−BBのリリース率の関係を示した図である。 振盪時間と各試料中のTGF−β1のリリース率の関係を示した図である。
発明を実施するための形態
以下本発明をより詳しく説明する。
本発明に係る細胞培養用ヒト血清は、細胞増殖因子を含む血清を調製する血清調製工程と、調製された血清の存在下、細胞を培養する培養工程と、を含む細胞培養方法のための血清を調製する細胞培養用の血清調製装置により調製されることが好ましい。
この血清調製装置は、少なくとも凝固因子を含む血液由来の液性成分と血小板とを含む流動体を貯留する血液貯留部を備え、この血液貯留部は、細胞培養工程に適合する血清を生成する血清生成機能を備える細胞培養用の血清調製装置であることが好ましい。また、この血清調製装置は、閉鎖系、即ち、外気に触れることなく血清を調製することができる装置であることがさらに好ましい。ここで、血清生成機能とは、流動体中の血小板を活性化させることにより、血清中の増殖因子含有量を増加させ、血清の回収能を高める機能をいい、流動体よりも比重が大きい凝固促進個体により付与されている。
具体的には下記に示す血清調製装置によって調製されることが好ましいが、特にこの装置に限定されない。
<血清調製装置>
図1に示す血清調製装置1は、血液貯留部10、成分収容部20を主な要素として構成されている。このうち、血液貯留部10及び成分収容部20は、可撓性を有する樹脂材料、例えば、軟質ポリ塩化ビニルからなる2枚のシートが外縁部11aで融着されることで袋状に形成された本体部11と、本体部11の内部に挿入されたガラス加工体12とから構成されている。
本体部11内において、凝固促進個体となるガラス加工体12は、本体部11の内部で遊動可能な状態に設定されており、例えばソーダガラスからなる略球形をしている。なお、ガラス加工体12の表面積を、0.1(mm/ml)以上の関係となる表面積であることが好ましい。このような範囲とすることによって血液中の血小板及び凝固因子の活性化が促進される。
また、貯留可能な血液量に対するガラス加工体12の表面積を、0.1(mm/ml)以上25.0(mm/ml)以下とした場合には、活性化促進工程及び遠心分離工程における溶血の抑制と、血小板及び凝固因子の活性化促進との両立が可能となる。
また、血液貯留部10の本体部11の上縁端には、その接続口に2本のチューブ41、42が気密接続されている。そのうちのチューブ41は血液を導入するための導入路の役割を担っているため他端には、採血針30あるいは採血針と接続可能な接続部が接続されている。このような構造にしたことによって、採取された血液を外気に触れることなく血清に調製することが可能となる。
血液貯留部10に気密接続されたもう一方のチューブ42は、チューブ43〜46、51〜56及び分岐体61〜65を介して各袋体21〜26に接続されている。これらは分離された血液成分を導出するための導出路の役割を担っている。これらのチューブ41〜46、51〜56については、柔軟性を有した樹脂材料、例えば、軟質ポリ塩化ビニルなどの材料から構成されている。ここで、成分収容部20の袋体21〜26と各チューブ51〜56とについても、溶剤接着、熱溶着あるいは超音波溶着等により気密接続されている。
<血清調製工程>
上記構成を有する血清調製装置1を用いた血清調製工程について、図2及び図3を用いて説明する。
図2に示すように、上記血清調製装置1を用いた血液分離操作は、大別して7つの工程(S1〜S7)から構成されている。
まず、操作の第1段階としては、上記図1における採血針30を対象者(患者)に刺し、血液を採取する。この際、採血針30から採取された血液は、チューブ41を介して、下方に位置する血液貯留部10に貯留される(貯留工程S1)。ここで、血液貯留部10に採取された血液が成分収容部20の方に流れ込まないように、クランプなどを用いて血液貯留部10の根元側で経路が閉鎖されている。貯留工程S1は、採血時における患者の体調などを考慮して、所要量を採取し終了される。ここでいう所要量は、患者の体格や体調に問題がない場合には200(ml)から600(ml)程度をいう。
次に、図2に示すように、貯留工程S1を開始後、それと並行するように血液貯留部10を振盪させる(活性化促進工程S2)。図3に示すように、採取された血液を貯留した血液貯留部10は、振盪装置100により緩やかに攪拌され、内部に収納されたガラス加工体12と接触することになる。そして、血液中に含まれる血小板及び凝固因子がガラス加工体12の表面で凝固し、凝固の際に活性化された血小板から、これらを由来とする増殖因子が放出される(また、この活性化促進工程を低温下で行うと血小板の凝集促進に効果的である)。貯留工程S1後、採血対象者から採血針30を抜針し、採血針30と血液貯留部10とを連結しているチューブ41の一部を溶断し、且つ、同時にその溶断端を溶着する(溶断工程S3)。
一方、対象者から分離された血液貯留部10は、成分収容部20及びこれらの間を連結する各チューブ42〜46、51〜56、さらには分岐体61〜65等とともに活性化促進工程S2を経て、コンパクトに纏められ、遠心分離機にかけられる(遠心分離工程S4)。血液貯留部10に対する遠心分離の条件は、貯留された血液の量及び分離する成分の種類によって設定されるものであるが、例えば2,250(g)×10(min.)、4(℃)に設定される。なおこのとき、チューブ42は、貯留工程S1の際と同様に破断可能な隔壁あるいはクランプにより経路が閉鎖された状態に保たれている。
溶断工程S3及び遠心分離工程S4は、抗凝固剤をあらかじめ添加して採血する場合は活性化促進工程S2の前に行なってもよい。この場合、遠心分離は下記の条件で行なうことが好ましい。
全血の遠心分離:4,400(g)×4〜6(min.)、2,250g×10(min.)
多血小板血漿(PRP)の遠心分離:1,100g×4〜6(min.)
図2に戻って、活性化促進工程S2から遠心分離工程S4で活性化された血球成分を始めとする被活性化因子は、塊状になって血液から分離される(分離工程S5)。また、分離工程S5において血液貯留部10内で分離抽出された血清71は、血液貯留部10を加圧することにより、各袋体21〜26の全部又は一部に対して順に小分けされていく(導出工程S6)。
図2に戻って、袋体21に所要量の血清が充填された後、チューブ51を溶断及び溶着する(溶断工程S7)。この溶断及び溶着については、遠心分離工程S4の前にチューブ42を溶断及び溶着したのと同様の方法を用いて実施される。また血清が内部に充填された袋体21については、例えば、冷凍保存などの保存処置が施される。
この導出工程S6及び溶断工程S7を、袋体21〜26の各々に対して順次実施していき、袋体21〜26の全て、あるいは一部に血清が充填された時点で血清調製操作が終了する。さらに必要に応じて、赤血球を生理食塩水、CPD液、ACD−A液等抗凝固剤やMAP液等の血液保存液で洗浄希釈し、輸血用血液として保存することもできる。
以下、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
ガラスビーズを5個(φ:4mm、50mm)入れた容器に新鮮ヒト血液20(ml)を入れ、マルチシェーカー(MMS−300 東京理科器械製)により振盪した。振盪開始10、20、30、60分後に血液1(ml)を抗凝固剤入りサンプリングチューブにサンプリングし、遠心分離により血清を分離した。また、同一対象者よりCPD加血液を採取し、血漿を分離した。分離した血漿に塩化カルシウムを添加し、37℃下にてフィブリンを析出させ血清を調製した。ガラスビーズ入り容器より調製された血清と、CPD加血液から分離された血漿より調製された血清について増殖因子(PDGF−BB、TGF−β1)の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、増殖因子の測定は、R&D SYSTEMS社製のテストキットとマイクロプレートリーダー(Multiskan BICHROMATIC Labsystem社製)を用いて実施した。
Figure 2006054448
ガラスビーズ5個を配した容器により調製される血清においては、PDGF−BBの含有量は振盪時間の経過とともに上昇し、60分後において血清1(ml)当たり1677.2(pg)がリリースされた。このとき、同一対象者の血漿由来血清中に含まれていたPDGF−BB量は、検出限界の32.5(pg/ml)未満であった。TGF−β1は、ガラスビーズ5個を配した容器により調製される血清において振盪開始10分で既に血清1(ml)あたり21.2(ng)のTGF−β1がリリースされており、その後も経時的に緩やかにリリース量は増加し、60分後で29.6(ng/ml)に達した。一方、同一対象者の血漿由来血清におけるTGF−β1のリリース量は、血清1(ml)あたり1.5(ng)であった。
<実施例2>
ガラスビーズを含まない採血容器(試料3)と、ガラスビーズを5個含む採血容器(試料1)と、ポリエチレンペレットを20個含む採血容器(試料2)の計3種の容器を用意した。各容器に同一対象者由来の新鮮血液を20(ml)ずつ入れ、マルチシェーカー(MMS−300 東京理科器械製)により振盪させた。振盪開始10、20、30、60分後に血液1(ml)を抗凝固剤入りサンプリングチューブにサンプリングし、血球カウント装置(多項目自動血球計数装置 K−4500 シスメックス製)を用いて血小板数の計測を行った。
また各試料を遠心分離して血清を分離し、血清中の増殖因子(PDGF−BB、TGF−β1)の測定を行った。増殖因子の測定は、R&D SYSTEMS社製のテストキットとマイクロプレートリーダー(Multiskan BICHROMATIC Labsystem社製)を用いて実施した。
また、同一対象者より市販の臨床検査用真空採血管(ベノジェクトII テルモ社製)に血液を採取し、1時間室温放置後、血清を分離し、同様に増殖因子の定量を行った。血小板数については採血直後の値を100%としたときの値を血小板残存率として示した。各増殖因子については、この真空採血管にて調製した血清中の増殖因子量を血小板中の増殖因子の潜在量と規定し、各振盪時間で得られた血清中の増殖因子量を前記潜在量に対する比をリリース率として表した。
[血小板数]
図4は、振盪時間と各試料中の血小板残存率を示した図である。振盪開始後20分以内に試料1中の血小板残存率は、約2%程度まで低下した。一方、試料2に関しては、試料1にやや遅れて、振盪開始後30分以内に減少した。また、試料3に関して、振盪開始直後は急激に減少したものの、振盪開始後60分でようやく血小板残存率が2%以下にまで減少することが示された。
[PDGF−BBのリリース率]
図5は、振盪時間と各試料中のPDGF−BBのリリース率の関係を示した図である。試料1は、振盪開始後経時的にPDGF−BBが急激にリリースされており、1時間振盪後では血清中の潜在量の約90%をリリースされていた。残る二つの試料においては、血小板数が減少していたにも関わらず、PDGF−BBの放出量は血清中の潜在量の20%もリリースされていなかった。
[TGF−β1のリリース率]
図6は、振盪時間と各試料中のTGF−β1のリリース率の関係を示した図である。試料1の血清中には、振盪開始10分後から血清中の潜在量の70%近い量のTGF−β1が放出された。残る二つの試料においても、そのリリース量が増加する傾向が認められたが、60分後においてもそのリリース率は血清中の潜在量の40%程度に留まった。以上の結果より、血液中の血小板を取り除くには、ポリエチレンペレットもガラスビーズと同様の役割を果たすが、血小板を活性化させることができないことが示された。

Claims (8)

  1. 血液凝固因子を含む血液由来の液性成分と、血小板とを含む流動体から得られる細胞培養用ヒト血清であって、
    採血から20分以内の血小板残存率が、全血小板量の0%を越え20%以下であり、かつ、細胞増殖因子のリリース率が20%以上100%以下である細胞培養用ヒト血清。
  2. 血液凝固因子を含む血液由来の液性成分と、血小板とを含む流動体から得られる細胞培養用ヒト血清であって、
    前記細胞増殖因子の含有量は、血漿から調製されたヒト血清よりも多い細胞培養用ヒト血清。
  3. 血液凝固因子を含む血液由来の液性成分と、血小板とを含む流動体から得られる細胞培養用ヒト血清であって、
    前記細胞増殖因子の含有量は、放置により調製されたヒト血清よりも多い細胞培養用ヒト血清。
  4. 前記細胞増殖因子は、PDGF−BB又はTGF−β1の少なくともいずれか一方を含む請求項1から3いずれかに記載の細胞培養用ヒト血清。
  5. 前記細胞増殖因子は、前記流動体をガラス加工体に接触させることによって得られるものである請求項1から4いずれかに記載の細胞培養用ヒト血清。
  6. 前記ガラス加工体は、ガラスビーズである請求項5に記載の細胞培養用ヒト血清。
  7. 外気に触れることなく調製されるものである請求項1から6いずれかに記載の細胞培養用ヒト血清。
  8. 再生医療方法に使用する請求項1から7いずれかに記載の細胞培養用ヒト血清。
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