JPWO2006041014A1 - 冠状動脈バイパス術用処置具 - Google Patents

冠状動脈バイパス術用処置具 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2006041014A1
JPWO2006041014A1 JP2006540911A JP2006540911A JPWO2006041014A1 JP WO2006041014 A1 JPWO2006041014 A1 JP WO2006041014A1 JP 2006540911 A JP2006540911 A JP 2006540911A JP 2006540911 A JP2006540911 A JP 2006540911A JP WO2006041014 A1 JPWO2006041014 A1 JP WO2006041014A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
suction cup
suction
coronary artery
flexible tube
bypass surgery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006540911A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4556949B2 (ja
Inventor
裕国 荒井
裕国 荒井
川又 晃
晃 川又
秀昭 浅井
秀昭 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Publication of JPWO2006041014A1 publication Critical patent/JPWO2006041014A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4556949B2 publication Critical patent/JP4556949B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/02Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for holding wounds open; Tractors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M25/00Catheters; Hollow probes
    • A61M25/01Introducing, guiding, advancing, emplacing or holding catheters
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M25/00Catheters; Hollow probes
    • A61M25/01Introducing, guiding, advancing, emplacing or holding catheters
    • A61M25/02Holding devices, e.g. on the body
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/11Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for performing anastomosis; Buttons for anastomosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/02Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for holding wounds open; Tractors
    • A61B2017/0237Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for holding wounds open; Tractors for heart surgery
    • A61B2017/0243Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for holding wounds open; Tractors for heart surgery for immobilizing local areas of the heart, e.g. while it beats
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/30Surgical pincettes without pivotal connections
    • A61B2017/306Surgical pincettes without pivotal connections holding by means of suction
    • A61B2017/308Surgical pincettes without pivotal connections holding by means of suction with suction cups

Abstract

冠状動脈バイパス術用処置具が、可とう性チューブ(102)と、可とう性チューブ(102)の先端側に設けられた吸盤部(101)と、可とう性チューブ(102)に設けられた三方コック(103)と、可とう性チューブ(102)を保持する保持部材(104)と、を備える吸着部材を有する構成とする。そして、複数の吸着部材を備えるとともに、少なくとも一つの吸着部材が、可とう性チューブ(102)に設けられたダックビル弁(111)をさらに含む。

Description

本発明は、冠状動脈バイパス術用処置具に関する。
近年、心筋梗塞等の虚血性心疾患を抱えた患者に対するカテーテルインターベーションが加速度的に普及してきた。代表的なカテーテルインターベーションには、冠動脈血管拡張術や血管内ステント留置があるが、これらの治療は患者に対し低浸襲であり、入院期間が短いという特徴を有する。
一方、カテーテル治療の対象とならない患者には、冠動脈バイパス術(以下CABGと略す)の有効性が広く認知されている。この方法は、虚血の原因である狭窄の起こっている冠動脈の末梢側に剥離した内胸動脈、胃大網動脈等のバイパス用血管の一端を吻合し、虚血の解消を図る方法である。
CABGの対象患者は、複数の冠動脈が閉塞、狭窄していたり、上行大動脈が石灰化していたり、脳、腎臓、呼吸器等の慢性疾患を有していたり、高齢者である場合が少なくないため、これらの患者のCABGに対するリスクは決して低いものではない。特に患者が被らなければならない最大のリスクは、心臓を停止し、人工心肺装置を使用して体外循環を行うことであろう。動脈硬化の進行した患者に人工心肺を使用することは、錆びた水道管に高圧で送水するのに等しく、この結果、血管内の付着物が押し流され他の血管を閉塞し、脳梗塞等の合併症を誘引する可能性がある。
このような患者に対して、近年、人工心肺を使用しないで、心拍動下でバイパス用グラフトを吻合する方法が試みられ、良好な成績が得られるようになった。この方法は、オフポンプ冠動脈吻合術(以下、OPCABと略す)と呼ばれている。
OPCABの問題点は、心臓が動いているために、完璧な吻合を短時間で実施するには熟練を要することである。吻合が不良であれば吻合部から冠動脈やバイパス用血管内に血の塊が発生して閉塞してしまう原因となる。この問題は、スタビライザーを使用することで、吻合部の動きが規制され、安定した状態でバイパス用血管を吻合することが可能となったため、吻合の精度が向上し、OPCABの成績は飛躍的に向上したのである(特許文献1)。
さらに、通常状態では正面視できないために吻合が困難な患部に対する吻合の精度を向上させることを目的に、心臓を吸着保持して心臓の位置を調整する処置具が開示されている(特許文献2)。特許文献2に記載の処置具は、心臓壁面に吸着可能な1つの吸盤部、吸盤部を位置調整するための1本のアーム、吸盤部に連通し、かつ吸引源と接続可能な吸引チューブから構成されている。しかしながら、この処置具では、1方向だけからの力で心臓の位置を調整するため、心臓の位置調整をした状態での吻合中に心臓の位置ずれが発生したり、心臓を脱落したりしてしまうことがあった。
米国特許第5836311号明細書 国際公開第02/054937号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、オフポンプ冠動脈吻合術において、吻合が困難な患部に対して、心臓の位置ずれまたは脱落の少ない心臓の位置調整を行い、安全に吻合を実施できる冠状動脈バイパス術用処置具を提供する。
本発明によれば、可とう性チューブと、前記可とう性チューブの先端側に設けられた吸盤部と、前記可とう性チューブに設けられた開閉部材と、前記可とう性チューブを保持する保持部材と、を備える吸着部材を有し、複数の前記吸着部材を備えるとともに、少なくとも一つの前記吸着部材が、前記可とう性チューブに設けられた逆止弁をさらに含むことを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具が提供される。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具は、被吸着物、具体的には心臓を所定の位置に保持する器具である。本発明に係る冠状動脈バイパス術用処置具は、複数の吸着部材を備えるとともに、少なくとも一つの吸着部材が逆止弁を含む。また、複数の吸着部材は、それぞれ、吸盤部を有する。つまり、本発明の冠状動脈バイパス術用処置具は、複数の吸盤部を有する。このため、複数の位置で被吸着物、つまり心臓を固定することができる。よって、心臓を所定の位置に安定的に保持することができる。また、少なくとも一つの吸着部材が逆止弁を有するため、他の吸着部材に含まれる吸盤部が心臓から外れてしまった場合にも、心臓に吸着された他の吸盤部の真空破壊を防止し、すなわち、吸盤内の陰圧を保持し、吸盤部を心臓に吸着させておくことができる。このため、冠状動脈バイパス術における吻合処置を安定的に行うことができる。
本発明によれば、可とう性チューブと、前記可とう性チューブの先端側に設けられた吸盤部と、前記可とう性チューブに設けられた開閉部材と、前記可とう性チューブを保持する保持部材と、前記可とう性チューブに設けられた逆止弁と、を備える吸着部材を、複数有していることを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具が提供される。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具は、心臓を所定の位置に保持する器具である。本発明に係る冠状動脈バイパス術用処置具は、吸盤部を複数以上有している。このため、複数の方向から心臓の位置を調整できる処置具とすることができる。また、吸盤部を複数有しているため、心臓を所定の位置に確実に保持しておくことができる。さらに、逆止弁を含む吸着部材を複数有しているため、1つの吸盤部が仮に心臓から外れた場合でも、心臓に吸着された他の吸盤部の真空破壊を起こさないため、他の吸盤部により心臓を保持することができる。よって、冠状動脈バイパス術において安全に吻合を行うことができる。
なお、本発明において、逆止弁は、外部からの操作を加えられることなく、逆止弁の基端側(吸引源側)から先端側(吸盤部側)に向かう流体の逆流が発生した時に閉状態となるように構成された弁である。このような逆止弁を設けることにより、処置中に1つの吸盤部が被吸着物から外れた際に、吸着されている吸盤部内の内圧に対し、外れた吸盤部内の内圧が相対的に陽圧となり、この差圧により逆流が発生するため、術者が逆止弁の開閉操作を行う必要がなく、吸着されている吸着部材に設けられている逆止弁が閉状態となり、吸着されている吸盤部内の内圧を維持することができる。すなわち、真空破壊を防止することができる。よって、冠状動脈バイパス術中の操作をさらに安全に行うことができる。
たとえば、本発明において、前記逆止弁が、先端部において互いに接触し、閉状態となるように設けられた一対の弁体を有するとともに、前記逆止弁の基端側が前記吸盤部の側に対して陰圧であるときに開状態となり、前記逆止弁の基端側が前記吸盤部の側に対して相対的に陽圧であるときに閉状態となるように構成されていてもよい。また、本発明において、前記逆止弁がダックビル弁であってもよい。
また、本発明において、所定の吸引圧の下で被吸着物に吸着された吸盤部が、前記吸引圧を付与された状態のまま外れたとき、前記吸盤部が設けられた前記可とう性チューブと同一の可とう性チューブに設けられた前記逆止弁が振動してリーク音を発生するように構成されていてもよい。こうすれば、吸盤部の外れの発生を術者に速やかに報知することができるため、冠状動脈バイパス術による処置をより一層安全に行うことができる。また、本発明において、真空破壊防止用の逆止弁と、リーク音発生用の逆止弁を別々に設けてもよい。こうすることにより、たとえば、真空破壊防止用の逆止弁を硬度の低い材質から構成することで逆止弁の変形能を向上させ、一対の弁を密着しやすくし、真空破壊防止の性能を向上させるとともに、リーク音発生用の逆止弁を硬度の高い材質から構成することで逆止弁を振動しやすくし、より高い周波数のリーク音を発生することができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、少なくとも一つの前記吸着部材が、被吸着物の所定の位置に前記吸盤部を配置するのに用いられる補助部材をさらに含んでもよい。こうすれば、補助部材を用いて吸盤部を被吸着物の所定の位置にさらに確実に配置することができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸着部材を、少なくとも三以上有している構成とすることができる。こうすることにより、心臓壁面の異なる三箇所以上に吸盤部を配置することができる。このため、二箇所のみに吸盤部を配置する場合に対して、心臓のねじれの動きを抑制することができる。よって、心臓を所定の位置にさらに確実に保持しておくことができる。したがって、冠状動脈バイパス術においてより一層安全に吻合を行うことができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸盤部と、前記可とう性チューブと、の間に、両者を接続する連結部材を備え、前記連結部材は、前記吸盤部と前記可とう性チューブのうちの一方を他方に対して可動とする構成とすることができる。また、本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記連結部材は、前記吸盤部および前記可とう性チューブに連通するとともに、前記吸盤部と前記可とう性チューブのうちの一方の向きが他方に対して可変となるように構成されていてもよい。こうすることにより、吸盤部と可とう性チューブのうち一方に対する他方の姿勢をさらに自由に変化させることができる。よって、位置調整時の吸着部材の動きの自由度を向上させることができる。このため、心臓の位置調整をさらに確実に行うことができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記連結部材は、前記吸盤部および前記可とう性チューブに連通している蛇腹形状の管を含んでもよい。こうすることにより、吸盤部と可とう性チューブのうちの一方を他方に対して確実に可動とし、相対的な向きの自由度を向上させることができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸盤部の吸着面と平行な水平面内における、前記吸盤部に対する前記可とう性チューブの角度可動範囲が30度以上180度以下であってもよい。また、本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸盤部の吸着面と垂直な垂直面内における、前記吸盤部に対する前記可とう性チューブの角度可動範囲が30度以上180度以下であってもよい。こうすることにより、心臓の位置調節を可能としつつ、所定の位置に確実に保持させることができる。なお、本明細書において、角度可動範囲は、吸盤部に対して可とう性チューブが動きうる角度の範囲を指す。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸盤部に、前記可とう性チューブに連通する連通口と、前記吸盤部の端部から前記連通口に向かって延びる複数のスリット状の凹部と、がさらに設けられていてもよい。こうすることにより、より一層心臓の位置ずれまたは脱落の危険性が少ない処置具を提供できる。なお、本発明において、複数の前記凹部は、吸盤部の吸着面に略垂直方向(吸引方向)に延在するとともに互いに略平行に設けられていてもよい。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸盤部の端部は、前記吸盤部の内部よりも柔軟化されていてもよい。また、本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸盤部の端部が、前記吸盤部の内部よりも柔軟な部材により構成されていてもよい。こうすることにより、吸盤部に心臓を確実に吸着させることができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記可とう性チューブは、主管と、前記主管に連通する分岐部と、前記分岐部に連通する複数の副管と、を含み、複数の前記吸盤部が、互いに異なる前記副管に設けられていてもよい。こうすることにより、処置具全体の小型化が可能である。また、吸着部材の制御性を向上させることができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、三以上の前記副管を含むことができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、複数の前記吸盤部が、前記可とう性チューブを介して一の吸引手段に連通していてもよい。こうすることにより、処置具全体を確実に小型化することができる。また、一つの吸引手段を用いて複数の吸着部材を調節することができるため、処置における作業性を向上させることができる。さらに、前記可とう性チューブには逆止弁が付設されているため、一つの吸着部材が心臓から外れた場合でも、心臓に吸着された他の吸着部材が真空破壊を起こさないため、他の吸着部材で心臓を保持することができるため、安全性を向上させることができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、三以上の前記吸盤部が、前記可とう性チューブを介して一の吸引手段に連通していてもよい。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、少なくとも一つの前記吸着部材において、前記開閉部材および前記逆止弁が、前記可とう性チューブの先端側に設けられた前記吸盤部から基端側に向かってこの順に前記可とう性チューブに設けられていてもよい。このように配置すれば、逆止弁の効果を確保しつつ、所定の吸盤部を被吸着物から脱着させる操作をさらに確実に行うことができる。
本発明の冠状動脈バイパス術用処置具において、少なくとも一つの前記吸着部材において、前記吸盤部が、複数の吸盤を含んでもよい。
また、本発明によれば、可とう性チューブの先端側に吸盤部が設けられた冠状動脈バイパス術用処置具であって、前記吸盤部は、複数の吸盤を含むことを特徴とする冠状動脈パイパス術用処置具が提供される。
本発明に係る冠状動脈バイパス術用処置具は、一つの可とう性チューブの先端側に複数の吸盤を有しているため、心臓壁面の略平面状の部分だけでなく、曲面部に対する吸着時の追随性が優れており、心臓を所定の位置にさらに確実に保持しておくことができる。よって、冠状動脈バイパス術においてさらに安全に吻合を行うことができる。
本発明の冠状動脈パイパス術用処置具において、前記吸盤の形状は、略円形であってもよい。
本発明によれば、上述した冠状動脈バイパス術用処置具を用いて心臓を外科的に治療することを特徴とする方法が提供される。
本発明の方法によれば、複数の吸盤部を心臓に吸着させることができるため、心臓の複数の位置に吸盤部を吸着させて、安定的に保持することができる。また、吸盤部が被吸着物から外れた際に、吸着されている吸盤部内の内圧に対し、外れた吸盤部内の内圧が相対的に陽圧となり、この差圧により逆流が発生するため、吸着されている吸着部材に設けられている逆止弁が閉状態となり、吸着されている吸盤部内の内圧を維持することができる。すなわち、真空破壊を防止することができる。このため、心臓に対する処置を安全に行うことができる。
具体的には、本発明の方法において、心臓が第一の位置にあるときに、一の前記吸盤部を心臓壁面の所定の位置に配置するステップと、前記一の吸盤部に吸引圧を付与し、前記一の吸盤部を前記所定の位置に吸着させるステップと、他の前記吸盤部を、前記心臓壁面の他の位置に配置するステップと、前記一の吸盤部に吸引圧を付与した吸引源と同一の吸引源により、前記他の吸盤部に吸引圧を付与し、前記他の位置に吸着させるステップと、前記一の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持する一の前記保持部材と、前記他の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持する他の前記保持部材と、を牽引し、保持することにより、心臓を第二の位置に保持するステップと、前記第二の位置にて前記心臓を外科的に治療するステップと、を含んでもよい。
また、本発明の方法において、心臓が第一の位置にあるときに、一の前記吸盤部を心臓壁面の所定の位置に配置するステップと前記一の吸盤部に吸引圧を付与し、前記一の吸盤部を前記所定の位置に吸着させるステップと、他の前記吸盤部を、前記心臓壁面の他の位置に配置するステップと、前記一の吸盤部に吸引圧を付与した吸引源と同一の吸引源により、前記他の吸盤部に吸引圧を付与し、前記他の位置に吸着させるステップと、さらに別の前記吸盤部を前記心臓壁面のさらに別の位置に配置するステップと、一の前記吸盤部に吸引圧を付与した吸引源と同一の吸引源により、前記さらに別の吸盤部に吸引圧を付与し、前記さらに別の位置に吸着させるステップと、前記一の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持する一の前記保持部材と、前記他の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持する他の前記保持部材と、前記さらに別の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持するさらに別の前記保持部材と、を牽引し、保持することにより、心臓を第二の位置に保持するステップと、前記第二の位置にて前記心臓を外科的に治療するステップと、を含んでもよい。
本発明の方法において、少なくとも一つの前記吸着部材が、被吸着物の所定の位置に前記吸盤部を配置するのに用いられる補助部材をさらに含み、一の吸盤部を心臓壁面の所定の位置に配置する前記ステップが、前記補助部材により、前記一の吸盤部を前記所定の位置に配置するステップを含んでもよい。
本発明によれば、オフポンプ冠動脈吻合術において、吻合が困難な患部に対して、心臓の位置ずれ、または、心臓の脱落の少ない心臓の位置調整を行い、安全に吻合を実施できる冠状動脈バイパス術用処置具を提供することができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の構成を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の構成を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の構成を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の吸盤部の構成を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の吸盤部の構成を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の構成を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の吸盤部の構成を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の吸盤部の構成を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の構成を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の挿入補助部材を模式的に示す図である。 実施形態に係る冠状動脈バイパス術用処置具の使用方法を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、共通する構成要素には同一符号を付し、以下の説明において詳細な説明を適宜省略する。
以下に示す冠状動脈バイパス術用処置具は、心臓を所定の位置に固定する器具である。この器具は、心臓に対して所定の処置、たとえば冠状動脈バイパス術等を施す際に好適に用いられる。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の冠状動脈バイパス術用処置具の一例を示す図である。図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具は、複数の、好ましくは三つ以上の吸着部材を有する。図1では、三つの吸着部材を有する構成が例示されている。
吸着部材は、可とう性チューブ102と、可とう性チューブ102の先端側に設けられた吸盤部101と、可とう性チューブ102に設けられた開閉部材である三方コック103と、可とう性チューブ102を保持する保持部材104と、可とう性チューブ102に設けられた逆止弁であるダックビル弁111と、を備える。なお、図1においては、三つの吸着部材のすべてがダックビル弁111を備える構成が例示されているが、複数の吸着部材のうちの少なくとも一つが、ダックビル弁111を含んでいればよい。
図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、可とう性チューブ102は、主管と、主管に連通する分岐部である三又ジョイント105と、三又ジョイント105に連通する三つの副管と、を含み、三つの吸着部材は互いに異なる副管を有する。なお、三又ジョイント105は、主管側に一本および副管側に三本の計四本の管が分岐部において互いに連通した構成となっている。このため、吸着部材を構成する副管同士が三又ジョイント105などで互いに連結された構成となっている。また、可とう性チューブ102の他端すなわち主管の端部は、吸引源106に接続されている。そして、三つの吸盤部101が、可とう性チューブ102を介して一つの吸引源106に接続されている。吸引源106は、たとえば減圧ポンプ等とすることができる。
可とう性チューブ102の材料はたとえば、ポリウレタン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の材料とすることができる。また、可とう性チューブ102は、たとえば押し出し成形により形成される。可とう性チューブ102の大きさは、全長をたとえば50mm以上、好ましくは100mm以上とすることができ、内径をたとえば2mm以上、好ましくは4mm以上とすることができる。また、金属コイル、フィルムまたは繊維等の補強部材により可とう性チューブ102を補強してもよい。こうすれば、キンクによる吸引の遮断を防止することができる。このため、可とう性チューブ102の耐キンク性を向上させることができる。
図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、吸盤部101は、可とう性チューブ102の先端側に設けられている。具体的には、前述したように、三つの吸盤部101は、一つの主管から分岐する三本の副管のそれぞれの端部に接続されている。吸盤部101は、可とう性チューブ102を介して吸引源106により吸引される。吸引により、被吸着物の表面に吸着する。
ここで、被吸着物は、心臓である。このため、吸盤部101は、心臓壁面に対する密着性に優れた材料とすることができる。吸盤部101の材料は、たとえば弾性体とすることができる。こうすることにより、心臓壁面に充分にフィットさせ、密着性を確保することができる。具体的には、吸盤部101の材料をシリコーン樹脂、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン樹脂、ウレタンエラストマー等のエラストマーとすることが好ましい。
また、吸盤部101は、パッド状とすることができる。平面視における吸盤部101の形状は、たとえば円形とすることができる。また、円形だけでなく、図示したようにほぼ楕円形としてもよい。吸盤部101の平面形状を楕円形状とすることにより、心臓壁面の血管を吸引することなく最大の接触面積で心臓壁面に吸着させることができる。
また、吸盤部101の大きさは、平面形状が円形の場合、直径をたとえば5mm以上、好ましくは10mm以上とすることができる。こうすれば、吸盤部101を心臓壁面にさらに安定的に吸着させることができる。また、吸盤部101の直径は、たとえば60mm以下、好ましくは50mm以下とすることができる。こうすれば、吸盤部101を小型化することができるので、複数の吸盤部101を心臓壁面に配置した場合にも、作業性をさらに向上させることができる。
また、吸盤部101の平面形状がほぼ楕円形状の場合、長手方向の長さは、吸盤部101を心臓壁面にさらに安定的に吸着させる観点では、たとえば20mm以上、好ましくは30mm以上とすることができる。また、長手方向の長さは、作業性をさらに向上させる観点では、たとえば60mm以下、好ましくは50mm以下とすることができる。さらに、吸盤部101の短手方向の長さは、吸盤部101を心臓壁面にさらに安定的に吸着させる観点では、たとえば5mm以上、好ましくは10mm以上とすることができる。また、短手方向の長さは、作業性をさらに向上させる観点では、たとえば30mm以下、好ましくは20mm以下とすることができる。また、吸盤部101の高さは、たとえば5mm以上30mm以下とすることができる。
吸盤部101の長さを以上のように構成することにより、吸盤部101を心臓の表面に確実に吸着させ、心臓を固定することができる。また、吸盤部101を心臓の表面に安定的に固定しつつ、処置の作業性を確保することができる。
図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具の吸盤部101の形状は、さらに、吸盤部101の末端部にかけて拡径するテーパー形状とすることが好ましい。こうすることにより、心臓壁との吸引接触時に、吸盤部101が吸引圧により内側に変形することを抑制できる。また、複数の吸盤部101の大きさまたは形状はそれぞれ同一とすることに限定されず、たとえば、心臓の心尖部にフィットさせる吸盤部101を最も大きくしてもよい。こうすることにより、心臓を確実に所定の位置に保持させることができる。
また、吸盤部101は、吸着面に開口部が設けられていてもよい。開口部は可とう性チューブ102に連通している構成とすることができる。また、吸盤部101の開口部を覆う複数の小さな孔が開いたメッシュ等を付設してもよい。このとき、心臓の壁面は、メッシュを介して吸盤部101に接する構成となる。
また、たとえば、吸引開口部の周囲に凸部を設け、吸引開口部との間に隙間を設けるようにメッシュ等を付設してもよい。こうすることにより、吸引面積の減少を防止することができる。よって、吸盤部101における吸引力を向上させることができる。メッシュ等の材質は、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル繊維や、ナイロン等のポリアミド繊維や、吸水性効果を有する不織布やコットンとすることができる。
また、吸盤部101に設けられた開口部の内側面には、複数の凹状のスリット(スリット108)が形成されていることが好ましい。図4(a)〜図4(e)は、スリットを有する吸盤部101の構成を説明する図である。図4(a)は、吸盤部101の正面図である。図4(b)は、吸盤部101の上面図である。図4(c)は吸盤部101の下面図である。図4(d)は、図4(b)のA−A’断面図である。また、図4(e)は、図4(b)のB−B’断面図である。
図4(a)〜図4(e)では、平面視において吸盤部101が矩形の角部にRが設けられた形状の場合を例示している。この構成においては、吸盤部101に、可とう性チューブ102に連通する連通口(不図示)と、吸盤部101の端部から連通口に向かって延びる複数のスリット状の凹部(スリット108)と、がさらに設けられている。スリット108は、吸盤部101の内面に形成された溝部である。スリット108を設けることにより、スリット108から連通口を経由して吸盤部101内の液体を可とう性チューブ102に効率よく排出することができる。よって、吸盤部101内に液体がたまって排出経路が塞がれることのないようにすることができ、組織表面の体液等の水切り効果を得ることができ、吸盤部101の組織に対する横滑りを防止できる。また、図4(c)〜図4(e)に示したように、複数のスリット状の凹部(スリット108)が、吸着面に略垂直方向(吸引方向)に延在するとともに互いに略平行に設けられている構成とすることができる。
また、複数のスリット108は吸盤部101の中心から周辺に向かってのびており、放射状に形成されている。このため、吸盤部101中の液体を開口部の内部から外部に向かって効率よく排出することができる。また、複数のスリット108が吸盤部101の内側面の周方向に設けられていてもよい。さらに、スリット108は吸盤部101の端部付近まで形成されていることが好ましい。こうすれば、上述の水切り効果に加えて、吸盤部101の端部まで確実に吸引圧をかけることができるという効果が得られる。このため、吸引力を向上させることができる。
スリット108の幅はたとえば0.2mm以上1mm以下、深さは0.5mm以上5mm以下とすることが好ましい。こうすることにより、組織がスリット108内に完全に浸入してスリットの水切り効果を損なうことを抑制できる。このため、吸盤部101の水切り効果を向上させることができる。
また、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、吸盤部101の端部は、柔軟性を有する部位であることが好ましい。図5は、こうした構成の吸盤部101の構成を模式的に示す断面図である。図5において、吸盤部101の端部には柔軟材109が設けられているため、吸盤部101の端部が柔軟性を有する部位となっている。図5に示したように、吸盤部101の先端部、具体的には開口部の外周縁に柔軟材109を設けることにより、吸盤部101の端部を吸盤部101の内部よりも柔軟な部材により構成することができる。また、吸盤部101の端部は吸盤部101の内部よりも柔軟化されている。こうすれば、柔軟な組織に対する吸盤部101の追随性を向上させ、吸引力を向上させることができる。
吸盤部101の端部を柔軟化する方法として、吸盤部101の端部を端部以外の部位より肉薄とすることや、別の柔軟材を付設することが挙げられる。別の柔軟化方法としては、吸盤部101の硬度よりたとえば20%以上端部の硬度を小さくする方法が挙げられる。こうした材料として、たとえば、前述した吸盤部101の材質と同材質で硬度のみを小さくしたものや、独立気泡スポンジやゲル状材質等が挙げられる。
図1に戻り、冠状動脈バイパス術用処置具には、可とう性チューブを保持する保持部材104が設けられている。保持部材104は、吸盤部101の位置を調整し、所定の位置に保持する。保持部材104はたとえば押し出し成形により形成される。
保持部材104は、たとえば、棒状またはチューブ状の部材とする。こうすれば、保持部材104の端部を把持して遠隔操作することにより、吸盤部101を所定の位置に確実に配置することができる。また、このとき、保持部材104の大きさは全長をたとえば200mm以上、好ましくは300mm以上とすることができる。こうすることにより、吸盤部101をさらに安定的に保持することができる。また、保持部材104の全長の上限に特に制限はないが、処置時の視野をさらに充分に確保する観点では、たとえば1000mm以下、好ましくは800mm以下とすることができる。また、保持部材104の外径をたとえば2mm以上、好ましくは3mm以上とすることができる。こうすることにより、保持部材104の強度をさらに向上させることができる。また、保持部材104の外径の上限に特に制限はないが、処置具全体を小型化する観点では、たとえば10mm以下、好ましくは8mm以下とすることができる。
保持部材104の材料としては、破断しにくい材質が好ましい。こうすることにより、吸盤部101の位置を確実に調整し、また吸盤部101を所望の位置に保持することができる。保持部材104の材料はたとえばステンレス鋼等の金属とすることができる。また、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料とすることができる。シリコーン樹脂等のエラストマーとした場合、保持部材の適度な伸びにより心拍動を吸収することができ、より心臓を安定的に保持することができる。
また、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、心臓壁面に吸着させた複数の吸盤部101に連通している可とう性チューブ102と、それぞれの保持部材104とを、引っ張り鉗子等で開胸器等に固定してもよい。可とう性チューブ102および保持部材104を引っ張り鉗子等で開胸器等に固定して心臓の位置を調整することにより、一方向からだけでなく複数の方向から心臓の位置を調整することができる。このため、吻合中の心臓の位置ずれ、または心臓の脱落の危険性を低減させることができる。また、たとえば、保持部材104を可とう性チューブ102上で任意の部位に摺動できる構造とし、保持部材104を引っ張る時に保持部材104を可とう性チューブ102に固定できる構造としてもよい。こうすることにより、引っ張り操作性を向上させることができる。
また、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、主管に設けられた三方コック103を調節して、あらかじめ吸引源106が副管に連通しないように遮断した状態にして、吸盤部101を心臓壁面にフィットさせた後に三方コック103を調整し、吸盤部101を可とう性チューブ102に連通させることで、吸盤部101で心臓壁を吸引することができる。また、吸盤部101の心臓壁からの取り外しは、三方コック103を調整し、吸引源106への連通を遮断するとともに大気解放することで実施できる。
次に、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、連結部材107は、吸盤部101と可とう性チューブ102との間に設けられ、吸盤部101および可とう性チューブ102に連通するとともに、両者を接続する部材である。また、連結部材107は、吸盤部101と可とう性チューブ102のうちの一方を他方に対して可動とする。たとえば、吸盤部101に対して可とう性チューブ102が任意に可動できるように両者が連結部材107で接続されていてもよい。
図1においては、吸盤部101と可とう性チューブ102のうちの一方の姿勢が他方に対して可変となっている。具体的には、吸盤部101と可とう性チューブ102のうちの一方の向きが他方に対して可変となるように構成されている。このように、吸盤部101に対して可とう性チューブ102が可動であるため、可とう性チューブ102を最初の接続方向と異なる方向に引っ張った時の捻れ応力や心拍動により吸盤部101に加わる応力を吸収し、心臓壁面からの吸盤部101の外れを防止でき、安全性を向上させることができる。吸盤部101に対して可とう性チューブ102が任意に可動できるための連結部材107として、たとえば吸盤部101および可とう性チューブ102に連通する蛇腹形状の管が挙げられる。
また、連結部材107は、吸盤部101の吸着面と平行な水平面内における、前記吸盤部に対する前記可とう性チューブの角度可動範囲が30度以上180度以下となるように構成されていてもよい。また、吸盤部101の吸着面と垂直な垂直面内における、前記吸盤部に対する前記可とう性チューブの角度可動範囲が30度以上180度以下であるように構成されていてもよい。角度可動範囲を30度以上とすることにより、吸盤部101に対する可とう性チューブ102の動きの自由度を充分に確保することができる。また、角度可動範囲を180度以下とすることにより、吸盤部101に吸着した心臓壁面にねじれが生じるのを抑制し、確実に保持することができる。
また、連結部材107は平面視において吸盤部101の中央付近に接続されることが好ましい。こうすることにより、可とう性チューブ102を引っ張った時に吸盤部101に均一な応力がかかる構成とすることができる。このため、吸引の際の心臓の損傷を防止することができる。また、連結部材107は、吸盤部101の吸着面が可とう性チューブ102の延在方向に水平となるように両者を接続することが好ましい。こうすることにより、吸盤部101の嵩張りを抑制することができる。このため、限られたスペースで確実に心臓の固定が可能となる。
次に、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、可とう性チューブ102に開閉部材が設けられている。開閉部材は、図1に示したように三方コック103とすることができる。三方コック103は、それぞれの副管に一つずつ以上設けることができる。こうすることにより、それぞれの三方コック103を独立に調節し、吸盤部101ごとに吸引状態を調節することができる。
また、たとえば開閉部材を三方コック103とする場合、たとえば、一方向に回転できないようにストッパーを設けることで二方向のみに限定して調整できる構造としてもよい。こうすれば、コックの回転調整により、
i)吸盤部101により心臓壁を吸引する際の確実な吸引操作、および
ii)吸盤部101を心臓壁から取り外す際に、確実に吸引源106から遮断しつつ大気開放する操作、を実施できる。
また、開閉部材を二方向のみに調整できる構造として、三方コック103のようなコックを回転させる構造の他に、たとえば、コックに該当する部材が可とう性チューブに対し垂直方向に摺動可能な構成とすることにより、上述したi)およびii)を実施できる構造としてもよい。
図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具では、吸着部材を少なくとも三つ以上有している。吸着部材が一つの場合、一カ所のみで心臓を保持するため、吸着された心臓の可動範囲が大きい。また、一方向からのみで心臓を保持するため、吸着部材に対する心臓が元の位置に戻ろうとする力が大きく、心臓の位置ずれ、または脱落が生じやすい。吸着部材を複数設けることにより、複数の方向から心臓を保持することができる。このため、心臓が元の位置に戻ろうとする力を分散させて、心臓を所定の位置に安定的に保持することができる。
また、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具では、吸着部材を三つ以上とする。吸着部材が二つの場合も、吸着された心臓の可動範囲の自由度が残存する。吸着部材を三つ以上とすることにより、三以上の方向から心臓を挟持することができる。また、吸着部材を三つ以上とすることにより、心臓壁面との接触面積を充分に確保し、心臓を充分に吸着保持することができる。このため、心臓を所定の位置にさらに安定的に保持することができる。
次に、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、可とう性チューブ102には、吸盤部101から吸引源側への方向を順方向とした逆止弁が設けられている。
逆止弁は、外部からの操作を加えられることなく、逆止弁を経由する逆流を抑制できるように構成されている。つまり、逆止弁は、流体を一方向にのみ流通させる機能を有する。具体的には、逆止弁の基端側(吸引源106の側)が吸盤部101の側に対して陰圧であるときに開状態となり、吸引圧により吸盤部101を心臓壁面に付着させる。一方、逆止弁の基端側(吸引源106の側)が吸盤部101の側に対して相対的に陽圧であるときに閉状態となるように構成される。
このような逆止弁は、たとえば、吸盤部101側の先端で互いに接触し、閉状態となるように設けられた一対の弁体を有する。閉状態において、弁体は、可とう性チューブの壁面側から内部に向かって連続的に傾斜し、基端つまり吸引源106側の端部で互いに接触し、密着しているため、流体の流路が遮断される。また、開状態においては、弁体の先端が離隔するため、弁体の間に流体の通路が形成される。
逆止弁は、図1に示したようにダックビル弁111とすることができる。ダックビル弁111は、それぞれの副管に一つずつ設けることができる。ダックビル弁111の外側には、副管または分岐部(三又ジョイント105)と接続できるようにダックビル弁111を内包するハウジングを設けることができる。こうすることにより、仮に一つの吸盤部101が心臓から外れた場合、他の吸盤部101と連通している可とう性チューブ102に付設されたダックビル弁111より吸引源106側の可とう性チューブ102内部にかかる吸引圧が、ダックビル弁111から吸盤部101内の吸引圧より高くなる。すなわち、相対的に陽圧になる。この差圧のため、空気の逆流が発生し、この逆流により逆止弁が閉状態となり、吸盤部101内の吸引圧が保持されるため、心臓を保持することができる。また、吸盤部101が外れた際に、術者等がダックビル弁111に対して特に操作を加える必要なく、逆流を自動的に遮断することができる。このため、吻合操作の安全性を向上させることができる。
逆止弁の材料は、たとえば、シリコーン樹脂、アクリロニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンエラストマー等のエラストマーとすることができる。また、逆止弁は、ダックビル弁に限定せず、傘型形状等の他の逆止弁としてもよい。これらの逆止弁は、圧縮成形等により成形することができる。また、逆止弁を内包するハウジングの材料は、たとえば、硬質塩化ビニール樹脂、ポリカーボネート樹脂とすることができる。これらのハウジングは、射出成形等により成形することができる。ハウジングは逆止弁を内包できるように2部品から構成することができ、2部品のハウジングは逆止弁を内包した状態で、たとえば超音波溶着により組み立てることができる。
また、逆止弁は、所定の吸引圧の下で心臓壁面に吸着された吸盤部101が、当該吸引圧を付与された状態のまま心臓から外れたとき、外れてしまった吸盤部101が設けられた可とう性チューブ102(副管)と同一の可とう性チューブ102(副管)に設けられた逆止弁が振動してリーク音を発生し、術者に警報として知らせるように構成されていてもよい。さらに逆止弁としては、−200mmHgから−400mmHgの吸引圧下で心臓壁面に吸着していた吸盤部101が心臓から外れた場合を警報として術者に知らせるために、逆止弁の振動により100Hzから10kHzの周波数のリーク音を発生する構成とすることができる。こうすれば、冠状動脈バイパス術による処置をより一層安全に行うことができる。また、真空破壊防止用の逆止弁と、リーク音発生用の逆止弁を別々に設けてもよい。たとえば、真空破壊防止用の逆止弁を硬度の低い材質から構成することで逆止弁の変形能を向上させ、一対の弁を密着しやすくし、真空破壊防止の性能を向上させるとともに、リーク音発生用の逆止弁を硬度の高い材質から構成することで逆止弁を振動しやすくし、より高い周波数のリーク音を発生することができる。こうすることにより、冠状動脈バイパス術による処置をさらに安全に行うことができる。
また、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具のように、吸着部材において、可とう性チューブ102の先端側に設けられた吸盤部101より後方側(すなわち吸引源106の側)に、開閉部材(三方コック103)、逆止弁(ダックビル弁111)が、この順に直列的に可とう性チューブ102に設けられた構成とすることができる。こうすることにより、一つの吸盤部101が心臓から外れた場合に、他の吸盤部101によって心臓を保持できるという逆止弁の効果を損なうことなく、開閉部材の操作により吸盤部101を心臓壁から取り外すための吸盤内部の大気開放を実施することができる。逆に言えば、開閉部材を逆止弁より後方側(基端側つまり吸引源106の側)に直列的に可とう性チューブに設けた場合、開閉部材の操作による吸盤部を心臓壁から取り外すための吸盤内部の大気開放を実施することが逆止弁により邪魔されるため、好ましくない。
したがって、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具では、吸着部材を少なくとも三つ以上有することにより、吸着部材を二つ以下しか有しなかったこれまでの処置具に比較し、心臓の位置ずれ、または、心臓の脱落の少ない心臓の位置調整を行い、安全に吻合を実施できる。
また、三つ以上の吸着部材のうち、少なくとも一つがダックビル弁111を有する。このため、ダックビル弁111を有する吸着部材中に設けられた吸盤部101または他の吸着部材中の吸盤部101が心臓壁面から外れた際に、当該ダックビル弁がこれを経由する逆流を防止することができる。
さらに、図1においては、三つの吸着部材のすべてにダックビル弁111が設けられているため、すべての可とう性チューブについて、ダックビル弁を経由する逆流を効果的に抑制することができる。
また、吸盤部101に、複数の凹状のスリット108(図4)を設けることにより、吸盤部101の組織に対する横滑りを防止することができ、さらに吸盤部101の端部まで確実に吸引圧をかけることができるため、吸引力を向上することができる。また、吸盤部101の端部に柔軟材109を設け、柔軟性を有する部位とすることにより、柔軟な組織に対する追随性を向上させ、吸引力を向上させることができる。
図2および図3は、冠状動脈バイパス術用処置具の別の構成例を模式的に示す図である。以下の図に示す構成についても、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具の構成を適用することができる。また、図2または図3に示す構成を図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具に適用することもできる。図2または図3に示したように、図1に示した三又ジョイント105に代えて、X型ジョイント110を用いてもよい。
図2に示した冠状動脈バイパス術用処置具においては、開閉部材が吸盤部101の付近に付設される。また、吸盤部101と可とう性チューブ102との間に連結部材107が設けられていない。また、吸盤部101の吸着面が可とう性チューブ102の延在方向に対して垂直に固定されている。
吸盤部101と可とう性チューブ102とに接続され、吸盤部101が可とう性チューブ102に連通する構成とする開閉部材としては、ニ方コックまたは図示した三方コック103とすることができる。こうすることにより、冠状動脈バイパス術用処置具の操作の簡便性を確保することができる。
図2に示した冠状動脈バイパス術用処置具を使用する際には、まず、吸引源106からの吸盤部101と可とう性チューブ102との間が遮断された状態になるよう二方コックまたは三方コック103を調節して、吸盤部101を心臓壁面にフィットさせる。その後、二方コックまたは三方コック103を調整して、吸盤部101が可とう性チューブ102に連通している状態とする。これにより、吸盤部101で心臓壁を吸引することができる。また、吸盤部101の心臓壁からの取り外しは、三方コック103を調整し、吸盤部101が吸引源106に連通しない状態に遮断するとともに大気解放することで実施できる。
また、保持部材104は、吸盤部101の付近に接続される。保持部材104は、吸盤部101の位置を調整する。保持部材104の材料としては、破断しにくい材質が好ましい。たとえば、ステンレス鋼等の金属、またはポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂を材質とすることができる。心臓壁面に吸着させた複数の吸盤部101の付近に付設された三方コック103と連通している可とう性チューブ102、または可とう性チューブ102に付設されたそれぞれの保持部材104を引っ張ることにより、吸盤部101に吸着された心臓の位置を調整できる。
図2に示した冠状動脈バイパス術用処置具では、吸盤部101の付近に三方コック103および保持部材104を付設することにより、術者の操作性を向上させることができる。
また図3に示した冠状動脈バイパス術用処置具は、図2に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、吸盤部101から離れた場所に開閉部材である三方コック103および保持部材104が設けられている。三方コック103および保持部材104を吸盤部101から離隔して付設することにより、吸盤部101の周囲の嵩張りを減少させることができる。このため、心臓と心臓周りである心膜との隙間が小さい場合でも、心臓を吸引する部位が制限されない効果がある。
なお、図2および図3に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、心臓壁面に吸着させた複数の吸盤部101に連通している可とう性チューブ102と、開閉部材である三方コック103に付設されたそれぞれの保持部材104とを、引っ張り、鉗子等で開胸器等に固定してもよい。
(第二の実施形態)
第一の実施形態の冠状動脈バイパス術用処置具において、吸盤部101は、少なくとも二つ以上の略円形状の吸盤から構成することができる。吸盤部101が少なくとも二以上の略円形状の吸盤を有するため、心臓壁面の略平面部だけでなく、曲面部に対する吸着時の追随性が優れており、心臓を所定の位置にさらに確実に保持しておくことができる。また、心臓壁面の血管を吸引することなく最大の接触面積で心臓壁面に吸着させることができる。以下、図6、図7および図8を参照して、第一の実施形態と異なる点を中心にさらに具体的に説明する。
図6は、本発明の冠状動脈バイパス術用処置具の一例を示す図である。図6に示した冠状動脈バイパス術用処置具は、複数の、図6では三つの吸着部材を有する。各吸着部材は、可とう性チューブ102と、可とう性チューブ102の先端側に設けられた二つの吸盤150を有する吸盤部101と、可とう性チューブ102に設けられた開閉部材である三方コック103と、可とう性チューブ102を保持する保持部材104と、可とう性チューブ102に設けられた逆止弁であるダックビル弁111と、を備える。
吸盤150は、吸盤部101中に含まれる吸盤であって、図6において、その平面形状が略円形(略円形状部)である。図6においては、一つの吸盤部101中に二つの吸盤150が含まれる。
図6に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、二つの吸盤150を有する吸盤部101は、可とう性チューブ102の先端側に設けられている。具体的には、前述したように、三つの吸盤部101は、一つの主管から分岐する三本の副管のそれぞれの端部に接続されている。吸盤部101は、可とう性チューブ102を介して吸引源106により吸引される。吸引により、被吸着物の表面に吸着する。
ここで、被吸着物は、心臓である。このため、二つの吸盤150を有する吸盤部101は、心臓壁面に対する密着性に優れた材料とすることができる。吸盤部101の材料は、たとえば弾性体とすることができる。こうすることにより、心臓壁面に充分にフィットさせ、密着性を確保することができる。具体的には、吸盤部101の材料をシリコーン樹脂、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン樹脂、ウレタンエラストマー等のエラストマーとすることが好ましい。
また、吸盤部101は、少なくとも二以上の吸盤150を有することができる。少なくとも二以上の吸盤150を有するため、心臓壁面の略平面部だけでなく、曲面部に対する吸着時の追随性が優れており、心臓を所定の位置にさらに確実に保持しておくことができる。また、心臓壁面の血管を吸引することなく最大の接触面積で心臓壁面に吸着させることができる。
また、吸盤部101の吸盤150の大きさは、吸盤150の平面形状が略円形である場合、その直径をたとえば5mm以上、好ましくは10mm以上とすることができる。こうすることにより、心臓壁面にさらに安定的に吸着させることができる。また、吸盤部101の吸盤150の直径は、たとえば50mm以下、好ましくは40mm以下とすることができる。こうすることにより、複数の吸盤150を設けた場合にも、吸盤部101をさらに小型化できるので、吸盤150が操作の妨げになることをさらに確実に抑制できる。また、吸盤部101の高さは、心臓壁面にさらに安定的に吸着させる観点では、たとえば5mm以上とすることができる。また、吸盤部101を小型化する観点では、吸盤部101の高さをたとえば30mm以下とすることができる。
吸盤部101の大きさを以上のように構成することにより、吸盤部101を心臓の表面に確実に吸着させ、心臓を固定することができる。また、吸盤部101を心臓の表面に安定的に固定しつつ、処置の作業性を確保することができる。
図6に示した冠状動脈バイパス術用処置具の吸盤部101の形状は、さらに、吸盤150の末端部にかけて拡径するテーパー形状とすることが好ましい。こうすることにより、心臓壁との吸引接触時に、吸盤部101の吸盤150が吸引圧により内側に変形することを抑制できる。また、複数の吸盤部101の大きさまたは形状はそれぞれ同一とすることに限定されず、たとえば、心臓の心尖部にフィットさせる吸盤部101を最も大きくしてもよい。こうすることにより、心臓を確実に所定の位置に保持させることができる。
また、吸盤150を有する吸盤部101は、吸着面に開口部が設けられていてもよい。開口部は可とう性チューブ102に連通している構成とすることができる。また、吸盤部101の開口部を覆う複数の小さな孔が開いたメッシュ等を付設してもよい。このとき、心臓の壁面は、メッシュを介して吸盤部101に接する構成となる。
また、吸盤150を有する吸盤部101に設けられた開口部の内側面には、複数の凹状スリットが形成されていることが好ましい。図7(a)〜図7(e)は、スリットを有する吸盤部101の構成を説明する図である。図7(a)は、吸盤部101の正面図である。図7(b)は、吸盤部101の上面図である。図7(c)は吸盤部101の下面図である。図7(d)は、図7(b)のA−A’断面図である。また、図7(e)は、図7(b)のB−B’断面図である。
図7(a)〜図7(e)では、吸盤部101の吸盤150の場合を例示している。この構成においても、第一の実施形態の場合と同様に、吸盤150に、可とう性チューブ102に連通する連通口(不図示)と、吸盤150の端部から連通口に向かって延びる複数のスリット状の凹部(スリット108)と、がさらに設けられている。スリット108は、吸盤部101の内面に形成された溝部である。スリット108を設けることにより、スリット108から連通口を経由して吸盤部101内の液体を可とう性チューブ102に効率よく排出することができる。よって、吸盤部101内に液体がたまって排出経路が塞がれることのないようにすることができ、組織表面の体液等の水切り効果を得ることができ、吸盤部101の組織に対する横滑りを防止できる。また、図7(c)〜図7(e)に示したように、複数のスリット状の凹部が吸着面に略垂直方向(吸引方向)に延在するとともに互いに略平行に設けられている構成とすることができる。
また、図6に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、吸盤部101を構成する各吸盤150の端部は、柔軟性を有する部位であることが好ましい。図8は、こうした構成の吸盤部101の構成を模式的に示す正面図である。図8において、吸盤部101の吸盤150の端部には柔軟材109が設けられているため、吸盤部101の端部が柔軟性を有する部位となっている。また、吸盤部101の端部は吸盤部101の内部よりも柔軟化されている。こうすれば、柔軟な組織に対する吸盤部101の追随性をさらに向上させ、吸引力を向上させることができる。なお、柔軟材109としては、たとえば第一の実施形態において前述した材料を用いることができる。
また、図6に示した冠状動脈バイパス術用処置具において、連結部材107は、吸盤部101と可とう性チューブ102との間、または吸盤部101の吸盤150の間に設けられ、両者を接続する部材である。また、連結部材107は、吸盤150と可とう性チューブ102のうちの一方の向きを他方に対して可変とする。また、吸盤部101と可とう性チューブ102のうちの一方を他方に対して可動とすることもできる。同様に、連結部材107は、吸着部101の二つの吸盤150のうちの一方の向きを他方に対して可変とする。また、吸着部101の吸盤150のうちの一方を他方に対して可動としてもよい。吸盤部101中の吸盤150に対して可とう性チューブ102の姿勢が可動であるため、可とう性チューブ102を最初の接続方向と異なる方向に引っ張った時の捻れ応力や心拍動による応力を吸収し、心臓壁面からの吸盤部101の外れを防止でき、安全性を向上させることができる。また、吸着部101の吸盤150のうちの一方の姿勢が他方に対して可動であるため、心臓壁面の略平面部だけでなく、曲面部に対する吸着時の追随性がさらに向上させることができる。吸盤部101に対して可とう性チューブ102が任意に可動できるための連結部材107、または吸盤部101の吸盤150のうちの一方を他方に対して可動できるための連結部材107として、たとえば、吸盤150と可とう性チューブ102とに連通する蛇腹形状の管が挙げられる。
また、連結部材107は、吸盤部101の吸着面と平行な水平面内における、吸盤部101に対する可とう性チューブ102の角度可動範囲、または吸盤部101の吸盤150のうちの一方に対する他方の角度可動範囲が30度以上180度以下となるように構成されていてもよい。また、吸盤部101の吸着面と垂直な垂直面内における、吸盤部101に対する可とう性チューブ102の角度可動範囲、または吸盤部101の吸盤150のうちの一方に対する他方の角度可動範囲が30度以上180度以下であるように構成されていてもよい。角度可動範囲を30度以上とすることにより、吸盤部101に対する可とう性チューブ102の動き、または吸盤部101の吸盤150のうちの一方に対する他方の動きの自由度を充分に確保することができる。また、角度可動範囲を180度以下とすることにより、吸盤部101に吸着した心臓壁面にねじれが生じるのを抑制し、確実に保持することができる。
(第三の実施形態)
以上の実施形態に記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、吸着部材が、被吸着物の所定の位置に吸盤部を配置するのに用いられる補助部材をさらに含んでもよい。以下、第一の実施形態に記載の冠状動脈バイパス術用処置具の場合を例に、図9および図10を参照して説明する。
図9は、本実施形態の冠状動脈バイパス術用処置具の構成を模式的に示す図である。また、図10は、図9に示した冠状動脈バイパス術用処置具の挿入補助部材112の構成の一例を示す平面図である。
図9に示した冠状動脈バイパス術用処置具は、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具に、さらに挿入補助部材112を設けた構成となっている。
挿入補助部材112は、心臓壁面の所定の位置に吸盤部101を配置するのに用いられる。挿入補助部材112は、吸盤部101と脱着可能に構成されている。具体的には、棒状の把持部と、把持部の端部に設けられるとともに、吸盤部に着脱可能に係合する係合部とを含む。術者は、術者により直接または把持部材を用いて把持部を把持し、心臓壁面の所定の位置に吸盤部101を配置し、壁面に吸着させる。
挿入補助部材112の先端側の形状、つまり係合部の平面形状は、たとえばU字形状とすることができる。こうすることにより、挿入補助部材112の先端側のU字形状部に吸盤部を挟みこみ、挿入補助部材112の押し込み等の操作により吸盤部101を容易に心臓壁面に配置することができる。また、挿入補助部材112は任意の形状に曲げることができる。こうすることにより、心臓背面の心臓壁部にも吸盤部101を配置することができる。
また、棒状部は、操作時に任意に形状変更可能な程度の硬度を有する材料により構成されている。挿入補助部材112の材質としては、ステンレス鋼等の金属等とすることができる。こうすることにより、挿入補助部材112の強度を確保しつつ、術者が容易に変形させることが可能な程度の硬度とすることができる。このため、挿入補助部材112を用いた吸盤部101の押し込み操作の操作性を向上させることができる。
挿入補助部材112の大きさは、全長をたとえば50mm以上、好ましくは100mm以上とすることができる。また、上述したU字形状の先端部とする場合、U字部分の外径をたとえば2mm以上4mm以下とすることができる。
図9および図10に示すように、本実施形態においては、前述した冠状動脈バイパス術用処置具の吸盤部101と脱着可能な任意に形状変更が可能な挿入補助部材112が設けられている。こうすることにより、胸骨正中切開による心臓全体が露出された状態と比べて、吸盤部を心臓壁面に配置させることが困難な、小切開による部分的に心臓が露出された状態での吸盤部の心臓壁面への配置を容易にすることができる。
具体的には、挿入補助部材112を吸盤部101にひっかけ、挿入補助部材112を把持して動かすことにより、吸盤部101を所定の位置に配置することができる。そして、吸盤部101に吸引圧を付与し、吸盤部101を心臓壁面に吸着させた後、挿入補助部材112を手前方向に引っ張ることにより、挿入補助部材112を吸盤部101から脱着させて外すことができる。こうすることにより、挿入補助部材112を設けた場合にも、挿入補助部材112による術野の妨げを防止することができる。
(第四の実施形態)
本実施形態は、以上の実施形態に記載の冠状動脈バイパス術用処置具を用いて心臓を外科的に治療する方法に関する。以下、図11を参照して、図1に示した冠状動脈バイパス術用処置具の場合を例に説明する。なお、図11に示されている冠状動脈バイパス術用処置具においては、吸盤部101として、第一の吸盤部101a、第二の吸盤部101bおよび第三の吸盤部101cが設けられている。また、それぞれの吸着部材の可とう性チューブ102に平行にチューブ状の保持部材104が配置されている。保持部材104は、連結部材107よりも吸引源106(不図示)側、つまり基端側に配置されている。
本実施形態においては、たとえば以下の手順で処置を進めることができる。
ステップ101:心臓が第一の位置にあるときに、一の吸盤部(第一の吸盤部101a)を心臓壁面の所定の位置に配置する、
ステップ102:第一の吸盤部101aに吸引圧を付与し、第一の吸盤部101aを所定の位置に吸着させる、
ステップ103:他の吸盤部(第二の吸盤部101b)を、心臓壁面の他の位置に配置する、
ステップ104:第一の吸盤部101aに吸引圧を付与した吸引源(不図示)と同一の吸引源により、第二の吸盤部101bに吸引圧を付与し、他の位置に吸着させる、
ステップ105:さらに別の吸盤部(第三の吸盤部101c)を心臓壁面のさらに別の位置に配置する、
ステップ106:第一の吸盤部101aに吸引圧を付与した吸引源(不図示)と同一の吸引源により、第三の吸盤部101cに吸引圧を付与し、さらに別の位置に吸着させる、
ステップ107:第一の吸盤部101aが設けられた可とう性チューブ102を保持する一の保持部材104と、第二の吸盤部101bが設けられた可とう性チューブ102を保持する他の保持部材104と、第三の吸盤部101cが設けられた可とう性チューブ102を保持するさらに別の保持部材104と、を牽引し、保持することにより、心臓を第二の位置に保持する、
ステップ108:第二の位置にて心臓を外科的に治療する。
さらに具体的には、胸骨正中切開により心臓全体を露出した第一の位置にある心臓において、第一の吸盤部101aおよび第二の吸盤部101bを心臓壁面の心縁部に配置し、−300mmHgの吸引圧で吸着させ、また第三の吸盤部101cを心臓壁面の下壁に配置し、−300mmHgの吸引圧で吸着させる。そして、それぞれの保持部材104を牽引して、保持部材104を鉗子114により術野ドレープ113に固定し、心臓を第二の位置に保持している。第二の位置にある心臓116において、バイパス吻合の対象とする冠状動脈117が露出されており、かつ、三方向から心臓を変形させないように牽引しているため、拍動下の心臓を安定的に保持している。このため、本実施形態によれば、バイパス吻合を安全に確実に行うことができる。なお、図示していないが、第一の吸盤部101a、第二の吸盤部101b、および第三の吸盤部101cは同一の一の吸引源と連通している。
なお、以上においては、三つの吸盤部101(吸盤部101a〜吸盤部101c)を有する場合を例に説明したが、二つの吸盤部101を用いる際には、上述したステップ101〜ステップ104の後、ステップ107において、第一の吸盤部101aが設けられた可とう性チューブ102を保持する一の保持部材104と、第二の吸盤部101bが設けられた可とう性チューブ102を保持する他の保持部材104とを牽引し、保持することにより、心臓を第二の位置に保持し、ステップ108の処置を行えばよい。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。これらの実施形態はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、本発明は必ずしも心臓を対象とした冠状動脈バイパス術用処置具に限定されず、他の臓器に対しても同様に使用できることは当業者に容易に理解されるであろう。
たとえば、以上に示した冠状動脈バイパス術用処置具は、一つの吸引源106に接続して三つの吸盤部101が設けられている構成としたが、吸盤部101の数は三つ以上であればよく、たとえば四つ以上とすることもできる。
また、以上に示した冠状動脈バイパス術用処置具と吸引源106との間にトラップを設け、血液、体液、または洗浄液等がトラップされる構成としてもよい。
また、以上に示した冠状動脈バイパス術用処置具は、人間の心臓に対する処置具として用いることができるだけでなく、ほ乳類等の他の動物の心臓に対する処置具としても適用可能である。

Claims (22)

  1. 可とう性チューブと、
    前記可とう性チューブの先端側に設けられた吸盤部と、
    前記可とう性チューブに設けられた開閉部材と、
    前記可とう性チューブを保持する保持部材と、
    を備える吸着部材を有し、
    複数の前記吸着部材を備えるとともに、少なくとも一つの前記吸着部材が、前記可とう性チューブに設けられた逆止弁をさらに含むことを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  2. 可とう性チューブと、
    前記可とう性チューブの先端側に設けられた吸盤部と、
    前記可とう性チューブに設けられた開閉部材と、
    前記可とう性チューブを保持する保持部材と、
    前記可とう性チューブに設けられた逆止弁と、
    を備える吸着部材を、複数有していることを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  3. 請求の範囲第1項または第2項に記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、少なくとも一つの前記吸着部材が、被吸着物の所定の位置に前記吸盤部を配置するのに用いられる補助部材をさらに含むことを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  4. 請求の範囲第1項乃至第3項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、少なくとも三以上の前記吸着部材を有していることを特徴とする冠状動脈パイパス術用処置具。
  5. 請求の範囲第1項乃至第4項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、
    前記逆止弁が、
    先端部において互いに接触し、閉状態となるように設けられた一対の弁体を有するとともに、
    前記逆止弁の基端側が前記吸盤部の側に対して陰圧であるときに開状態となり、前記逆止弁の基端側が前記吸盤部の側に対して相対的に陽圧であるときに閉状態となるように構成されたことを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  6. 請求の範囲第1項乃至第5項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記逆止弁がダックビル弁であることを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  7. 請求の範囲第1項乃至第6項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、所定の吸引圧の下で被吸着物に吸着された吸盤部が、前記吸引圧を付与された状態のまま外れたとき、前記吸盤部が設けられた前記可とう性チューブと同一の可とう性チューブに設けられた前記逆止弁が振動してリーク音を発生するように構成されたことを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  8. 請求の範囲第1項乃至第7項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、
    前記吸盤部と、前記可とう性チューブと、の間に、両者を接続する連結部材を備え、
    前記連結部材は、前記吸盤部および前記可とう性チューブに連通するとともに、前記吸盤部と前記可とう性チューブのうちの一方の向きが他方に対して可変となるように構成されたことを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  9. 請求の範囲第8項に記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記連結部材は、前記吸盤部および前記可とう性チューブに連通している蛇腹形状の管を含むことを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  10. 請求の範囲第8項または第9項に記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸盤部の吸着面と平行な水平面内における、前記吸盤部に対する前記可とう性チューブの角度可動範囲が30度以上180度以下であることを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  11. 請求の範囲第8項乃至第10項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸盤部の吸着面と垂直な垂直面内における、前記吸盤部に対する前記可とう性チューブの角度可動範囲が30度以上180度以下であることを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  12. 請求の範囲第1項乃至第11項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、
    前記吸盤部に、
    前記可とう性チューブに連通する連通口と、
    前記吸盤部の端部から前記連通口に向かって延びる複数のスリット状の凹部と、
    がさらに設けられていることを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  13. 請求の範囲第1項乃至第12項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記吸盤部の端部が、前記吸盤部の内部よりも柔軟な部材により構成されていることを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  14. 請求の範囲第1項乃至第13項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、前記可とう性チューブは、主管と、前記主管に連通する分岐部と、前記分岐部に連通する複数の副管と、を含み、
    複数の前記吸盤部が、互いに異なる前記副管に設けられていることを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  15. 請求の範囲第1項乃至第14項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、複数の前記吸盤部が、前記可とう性チューブを介して一の吸引手段に連通していることを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  16. 請求の範囲第1項乃至第15項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、少なくとも一つの前記吸着部材において、前記開閉部材および前記逆止弁が、前記可とう性チューブの先端側に設けられた前記吸盤部から基端側に向かってこの順に前記可とう性チューブに設けられたことを特徴とする冠状動脈バイパス術用処置具。
  17. 請求の範囲第1項乃至第16項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具において、少なくとも一つの前記吸着部材において、前記吸盤部が、複数の吸盤を含むことを特徴とする冠状動脈パイパス術用処置具。
  18. 請求の範囲第17項に記載の冠状動脈パイパス術用処置具において、前記吸盤の形状は、略円形であることを特徴とする冠状動脈パイパス術用処置具。
  19. 請求の範囲第1項乃至第18項いずれかに記載の冠状動脈バイパス術用処置具を用いて心臓を外科的に治療することを特徴とする方法。
  20. 請求の範囲第19項に記載の方法において、
    心臓が第一の位置にあるときに、一の前記吸盤部を心臓壁面の所定の位置に配置するステップと、
    前記一の吸盤部に吸引圧を付与し、前記一の吸盤部を前記所定の位置に吸着させるステップと、
    他の前記吸盤部を、前記心臓壁面の他の位置に配置するステップと、
    前記一の吸盤部に吸引圧を付与した吸引源と同一の吸引源により、前記他の吸盤部に吸引圧を付与し、前記他の位置に吸着させるステップと、
    前記一の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持する一の前記保持部材と、前記他の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持する他の前記保持部材と、を牽引し、保持することにより、心臓を第二の位置に保持するステップと、
    前記第二の位置にて前記心臓を外科的に治療するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  21. 請求の範囲第19項に記載の方法において、
    心臓が第一の位置にあるときに、一の前記吸盤部を心臓壁面の所定の位置に配置するステップと、
    前記一の吸盤部に吸引圧を付与し、前記一の吸盤部を前記所定の位置に吸着させるステップと、
    他の前記吸盤部を、前記心臓壁面の他の位置に配置するステップと、
    前記一の吸盤部に吸引圧を付与した吸引源と同一の吸引源により、前記他の吸盤部に吸引圧を付与し、前記他の位置に吸着させるステップと、
    さらに別の前記吸盤部を前記心臓壁面のさらに別の位置に配置するステップと、
    一の前記吸盤部に吸引圧を付与した吸引源と同一の吸引源により、前記さらに別の吸盤部に吸引圧を付与し、前記さらに別の位置に吸着させるステップと、
    前記一の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持する一の前記保持部材と、前記他の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持する他の前記保持部材と、前記さらに別の吸盤部が設けられた可とう性チューブを保持するさらに別の前記保持部材と、を牽引し、保持することにより、心臓を第二の位置に保持するステップと、
    前記第二の位置にて前記心臓を外科的に治療するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  22. 請求の範囲第20項または第21項に記載の方法において、
    少なくとも一つの前記吸着部材が、被吸着物の所定の位置に前記吸盤部を配置するのに用いられる補助部材をさらに含み、一の吸盤部を心臓壁面の所定の位置に配置する前記ステップが、前記補助部材により、前記一の吸盤部を前記所定の位置に配置するステップを含むことを特徴とする方法。
JP2006540911A 2004-10-14 2005-10-06 冠状動脈バイパス術用処置具 Active JP4556949B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004300127 2004-10-14
JP2004300127 2004-10-14
JP2005126119 2005-04-25
JP2005126119 2005-04-25
PCT/JP2005/018559 WO2006041014A1 (ja) 2004-10-14 2005-10-06 冠状動脈バイパス術用処置具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2006041014A1 true JPWO2006041014A1 (ja) 2008-05-15
JP4556949B2 JP4556949B2 (ja) 2010-10-06

Family

ID=36148309

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006540911A Active JP4556949B2 (ja) 2004-10-14 2005-10-06 冠状動脈バイパス術用処置具

Country Status (8)

Country Link
US (1) US8114009B2 (ja)
EP (1) EP1800606B1 (ja)
JP (1) JP4556949B2 (ja)
KR (1) KR100872673B1 (ja)
ES (1) ES2547723T3 (ja)
MY (1) MY144693A (ja)
TW (1) TWI305491B (ja)
WO (1) WO2006041014A1 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2034908B1 (en) 2006-07-05 2013-09-04 Cook Medical Technologies LLC Suction clip
JP4716333B2 (ja) * 2006-12-22 2011-07-06 住友ベークライト株式会社 冠状動脈バイパス術用処置具
JP5004216B2 (ja) * 2007-01-23 2012-08-22 住友ベークライト株式会社 心臓手術用心筋温測定用具
US9314298B2 (en) * 2007-04-17 2016-04-19 St. Jude Medical, Atrial Fibrillation Divisions, Inc. Vacuum-stabilized ablation system
KR100934864B1 (ko) * 2007-11-07 2009-12-31 이영삼 심장 위치 조정기 헤드
JP5152285B2 (ja) * 2009-12-08 2013-02-27 住友ベークライト株式会社 手術用保持具
US9364591B2 (en) * 2010-11-17 2016-06-14 Kci Licensing, Inc. Systems and methods for managing reduced pressure at a plurality of wound sites
US9603590B2 (en) * 2013-03-15 2017-03-28 Robert E. Michler Single-arm stabilizer having suction capability
US9427503B2 (en) * 2013-03-15 2016-08-30 Corvivo Inc. Cardiotomy suction tube system with multiple tips
WO2018039403A1 (en) * 2016-08-24 2018-03-01 Terumo Cardiovascular Systems Corporation Heart rotator
US11877764B2 (en) * 2017-05-23 2024-01-23 Sumitomo Bakelite Co., Ltd. Coronary artery bypass surgery treatment tool, treatment tool part, medical connector, and medical device
JP6941322B2 (ja) * 2019-05-16 2021-09-29 国立大学法人京都大学 臓器吸引把持具
JP7326974B2 (ja) * 2019-07-31 2023-08-16 住友ベークライト株式会社 吸着式スタビライザー
WO2021073572A1 (en) * 2019-10-15 2021-04-22 Taiwan Biomaterial Co., Ltd. Thrombectomy device and method of use thereof
WO2021122618A1 (en) * 2019-12-16 2021-06-24 Solike Trading Gmbh Tissue holding device
CN113197602B (zh) * 2021-04-09 2022-08-12 南昌大学第二附属医院 一种腹腔镜甲状腺用皮肤牵拉装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003529403A (ja) * 1999-09-07 2003-10-07 カーディオソラシック・システムズ・インク 臓器マニピュレータ
JP2004121766A (ja) * 2002-10-01 2004-04-22 Sky Net:Kk 冠動脈バイパス手術用サクションホルダー

Family Cites Families (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4524805A (en) * 1983-07-08 1985-06-25 Hoffman Allan C Normally closed duckbill valve and method of manufacture
US5301707A (en) * 1993-04-12 1994-04-12 Vernay Laboratories, Inc. Anti-whistling duckbill valve
US7445594B1 (en) * 1995-09-20 2008-11-04 Medtronic, Inc. Method and apparatus for temporarily immobilizing a local area of tissue
US5836311A (en) 1995-09-20 1998-11-17 Medtronic, Inc. Method and apparatus for temporarily immobilizing a local area of tissue
JPH09150386A (ja) 1995-11-27 1997-06-10 Daifuku Co Ltd ワーク吸着式搬送装置
CA2197614C (en) 1996-02-20 2002-07-02 Charles S. Taylor Surgical instruments and procedures for stabilizing the beating heart during coronary artery bypass graft surgery
US5894843A (en) 1996-02-20 1999-04-20 Cardiothoracic Systems, Inc. Surgical method for stabilizing the beating heart during coronary artery bypass graft surgery
US5727569A (en) 1996-02-20 1998-03-17 Cardiothoracic Systems, Inc. Surgical devices for imposing a negative pressure to fix the position of cardiac tissue during surgery
CA2220734A1 (en) * 1996-11-12 1998-05-12 Frank B. Stiles Heart muscle irrigation device, applicator and method
US6338712B2 (en) * 1997-09-17 2002-01-15 Origin Medsystems, Inc. Device to permit offpump beating heart coronary bypass surgery
US6447443B1 (en) * 2001-01-13 2002-09-10 Medtronic, Inc. Method for organ positioning and stabilization
US6558314B1 (en) 2000-02-11 2003-05-06 Iotek, Inc. Devices and method for manipulation of organ tissue
DE60124872T2 (de) * 2000-03-10 2007-06-14 Paracor Medical, Inc., Los Altos Expandierbarer herzbeutel zur behandlung von kongestivem herzversagen
US6558382B2 (en) 2000-04-27 2003-05-06 Medtronic, Inc. Suction stabilized epicardial ablation devices
TW510788B (en) 2000-08-24 2002-11-21 Surgical Connections Inc Surgical stabilizer devices and methods
US7146225B2 (en) * 2002-10-30 2006-12-05 Medtronic, Inc. Methods and apparatus for accessing and stabilizing an area of the heart
US6676597B2 (en) 2001-01-13 2004-01-13 Medtronic, Inc. Method and device for organ positioning
US7338441B2 (en) * 2001-09-06 2008-03-04 Houser Russell A Superelastic/shape memory tissue stabilizers and surgical instruments
US20030078471A1 (en) * 2001-10-18 2003-04-24 Foley Frederick J. Manipulation of an organ
US20030139645A1 (en) 2002-01-23 2003-07-24 Adelman Thomas G. Rotational freedom for a body organ
US20040143153A1 (en) * 2003-01-17 2004-07-22 Sharrow James S. Devices and methods for manipulation of organ tissue
US7479104B2 (en) * 2003-07-08 2009-01-20 Maquet Cardiovascular, Llc Organ manipulator apparatus
JP4758153B2 (ja) * 2005-06-28 2011-08-24 応研精工株式会社 ダイヤフラムポンプ

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003529403A (ja) * 1999-09-07 2003-10-07 カーディオソラシック・システムズ・インク 臓器マニピュレータ
JP2004121766A (ja) * 2002-10-01 2004-04-22 Sky Net:Kk 冠動脈バイパス手術用サクションホルダー

Also Published As

Publication number Publication date
TW200621198A (en) 2006-07-01
KR100872673B1 (ko) 2008-12-10
TWI305491B (en) 2009-01-21
EP1800606A4 (en) 2013-05-22
KR20070068450A (ko) 2007-06-29
WO2006041014A1 (ja) 2006-04-20
MY144693A (en) 2011-10-31
US8114009B2 (en) 2012-02-14
EP1800606A1 (en) 2007-06-27
JP4556949B2 (ja) 2010-10-06
ES2547723T3 (es) 2015-10-08
EP1800606B1 (en) 2015-08-05
US20090030270A1 (en) 2009-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4556949B2 (ja) 冠状動脈バイパス術用処置具
US20190343503A1 (en) Organ manipulator apparatus
JP4307724B2 (ja) 鼓動する心臓の冠状動脈バイパス手術器具
US7326173B2 (en) Device for organ positioning
US7179224B2 (en) Organ manipulator and positioner and methods of using the same
JP5301726B2 (ja) 人工血管
JP2004502473A (ja) 臓器組織用の処置装置
JP4274073B2 (ja) 冠状動脈バイパス術用処置具
JP3939364B2 (ja) 拍動下冠動脈バイパス術用補助具
JP2004167214A (ja) 血管把持具
CN100556372C (zh) 用于冠状动脉旁路手术的治疗器械
JP4716333B2 (ja) 冠状動脈バイパス術用処置具
KR20160016414A (ko) 이중 봉합부를 포함하는 복합이식편
JP2008178432A (ja) 心臓手術用心筋温測定用具
JP2011161130A (ja) 冠状動脈バイパス術用処置具
JP2022036316A (ja) 心臓内手術用リトラクター
TW202335619A (zh) 用於將醫療裝置固定至患者之設備及方法
JP2004305273A (ja) 血管オクルーダ

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100629

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4556949

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130730

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130730

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140730

Year of fee payment: 4