JP2004502473A - 臓器組織用の処置装置 - Google Patents
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Abstract
心臓の組織のような臓器の組織を操作し且つ安定化させる装置および方法に関する。装置は、大きさ、形状、構成を変えることができ、壁と臓器の表面と接触するチャンバ壁から外側に延びるスカート状部材とを備えたチャンバを有するシール部材を備える。スカート状部材は実質的に追従性および粘着性を備え、これにより臓器表面への付着力が促進される。装置の組織への付着力は機械的によってまたは流体圧によって真空圧を加えることによって高められる。本発明の方法は、臓器の組織を移動させること、持ち上げること、動かなくすること、回転させること、再び方向付けすること等、臓器の組織を操作するための工程に関する。付加的な方法は、心臓を操作する工程に関する。
Description
【0001】
技術分野
本発明は医学的診断および医学的治療のために身体の臓器へ付着させることができる装置に関する。より詳細には、本発明は臓器に付着し、臓器を保持、移動、安定化または固定化させることができる装置に関する。
【0002】
背景
外科的慣習の多くの分野では、内臓を損傷させることなく内臓を処置することが望まれている。幾つかの状況では、外科医は臓器に対して外科手術を実行するために臓器を回転させたり持ち上げたり、あるいは方向を変えたりすることを望んでいる。他の状況では、外科医は単に臓器を外へ移動させることを望んでいる。別のケースでは、外科医は手術中に動かないように安定的に組織または組織の一部を保持することを望んでいる。残念ながら、多くの臓器は滑り易く且つ処置するのが困難である。臓器が滑り易く且つ手は大きくて外科医の障害になるため手で臓器を保持することは望まれない。さらに、外科医の手は通常実行すべき処置に必要である。器具で臓器を保持すると、特に臓器が過度に圧搾されたり挟まれたり伸ばされたりしたときに臓器を傷つけてしまう。
【0003】
心臓は処置されると効果的に治療される組織である。心臓の処置には様々な形態が用いられ、例えば心臓の保持、胸内への心臓の移動、心臓の固定が挙げられる。冠動脈閉塞のような幾つかの心臓病は開心術中に行われる処置によって治療するのが最良である。開心術中には、通常、患者は背臥位にされる。外科医は胸骨正中切開を行い、患者の胸を切開し且つ開く。したがって、外科医は心臓にアクセスすることができるように開胸器を用いて胸郭を広げ、心膜を切開する。開心術の幾つかの形態では、患者には心肺バイパス(CPB)が配置され、患者の心臓が停止せしめられる。多くの冠動脈の処置は心臓が鼓動し続けているときに行うのが困難であるため、患者の心臓を停止することは頻繁に用いられる処置である。CPBは付随する副作用および危険として患者に外傷を負わせてしまう。
【0004】
外科医が心臓へアクセスすることができるようになると、対象となる特定の領域へアクセスすることができるようにするために心臓を胸から持ち上げたり回転させたりする必要がある。このような処置は困難な作業であることが多い。心臓は滑りやすい臓器であり、且つ心臓を傷つけることなく手袋を嵌めた手でまたは器具で心臓を把持するのは困難な作業である。不適切に保持すると、虚血、血腫、または他の外傷を負ってしまう。不安定に保持すると、心臓が胸の中へ落ちてしまい、心臓に外傷を負わせたり、手術の障害となったりしてしまう。
【0005】
冠動脈バイパス術は、例えば、心臓の固定および心臓の再方向付けに関する作業を含む。外科医が心臓へアクセスすることができるようになっても、心臓を回転しないとまたは持ち上げないと患部である冠状動脈にアクセスすることができない。さらに、新しい血管の移植処置は繊細な処置であり、心筋の収縮は処置の実行を困難にさせる。
【0006】
外科手術が僅かに侵襲的である場合にも同様なことが言える。横方向開胸術では、例えば心臓は胸内の小さい切り口を介してアクセスされる。心臓の停止を実行することはできない。外科医は、手術中に心臓を動かすことによってまたは心臓の一部を固定することによって心臓を処置する必要があり、またそのように望んでいる。
【0007】
発明の概要
本発明は、臓器を処置したり動いようにしたりすることができるように臓器に付着する装置を提供する。なお、「付着」またはそれに関する用語は医薬において頻繁に使用される用語、すなわち線維組織を形成することによる組織のまたはその一部と他の部分との異常な結合を示す用語ではない。「付着」およびそれに関する用語は病理学的に結合されることない付着、すなわち一つの物が別の物を堅く保持する過程を意味する。
【0008】
様々な状況において、本発明が組織への付着力を提供することに利益がある。例えば、外科医は他の組織にアクセスすることなく胆嚢を簡単に持ち上げることを必要としている。本発明が使用されるより複雑な状況としては、開心術が挙げられる。このような状況において、外科医は、必要性および適用例に応じて一つの手術中において本発明の様々な形態を使用する。手作業に適する本発明の形態を選択することによって、外科医が患者に外傷を負わせてしまう危険性が減少し、外科手術の効果を改善する。装置は開心術で多様に使用されるため、装置を心臓の組織へと付着させることについて以下に詳述するが、医療行為を実行するにあたり同様に別の領域に装置を付着させてもよい。
【0009】
装置は、心臓の表面のように滑りやすい身体の組織に付着することができるシール部材を有する。外科医は、シール部材を心臓の表面に付着させることによって、装置を処置することによって心臓を持ち上げたりまたは再び位置決めしたりする。装置は、効果的に心臓のある領域を安定化させるかまたは動かないようにするために付着領域近傍の冠状収縮を最小限にするような形態で心臓に付着せしめられてもよい。装置の付着は一時的であり、永続的ではない。装置は容易に組織に適用され、堅固に付着され、必要なだけ永く付着され、偶発的にはずれてしまう危険性を最小限にし、必要なときに容易に取り外せるように形成される。重要なこととしては、装置は、付着および取り外しによって組織が外傷を負ってしまう危険性を最小限にする。
【0010】
心臓の表面とシール部材を係合させるのに、シール部材はチャンバを画成する。シール部材は、さらにチャンバと流体的に通じる真空ポートを画成する。シール部材は部分的に形状追従性のある(compliant)材料で形成され、これによりシール部材が心臓の表面に一致することができるようになり、且つ心臓が収縮している間にも接触し続けることができるようになる。幾つかの場合、付着力は真空ポートを介して真空ポンプから加えられる真空圧によって改善され、真空圧によって少なくとも部分的にシール部材が変形して心臓の表面に対して実質的にシールを形成する。他の場合、付着力は別の機械的装置または流体圧装置によって改善される。
【0011】
幾つかの実施形態では、シール部材は複数のチャンバおよび複数の真空ポートを画成し、各真空ポートは各チャンバに流体的に接続される。各真空ポートに独立した真空圧を加えることで、シール部材の少なくとも一部は変形し、真空の補助によって装置と心臓との間で付着が行われることで表面に対して実質的にシールが形成される。複数のチャンバおよび複数の真空ポートを使用して各真空ポートに独立した真空圧を加えることで、付加的な安全性が提供される。シールされたチャンバの一つから漏れが生じても、他のチャンバには影響を及ぼさないため、一つのチャンバのシールが失敗しても付着は維持される。
【0012】
装置の付着力はシール部材を形成する特定の材料の使用によって補助される。特に、チャンバは部分的に準硬質材料によって形成され、例えばカップ形状で形成され、これにより構造的な完全性が提供され且つ真空圧下でシール部材の形が崩れるのが防止される。しかしながら、シール部材はチャンバと結合されるスカート状部材を備える。スカート状部材は、接触地点において心臓の組織への付着を促進させるように粘着性があって変形可能な材料で形成される。幾つかの実施形態では、粘着性があって変形可能な材料は、スカート状部材を生成するのに成型、溶着された、または他の方法で形成されたシリコーンゲルである。このような材料により、ポンプによって真空圧が加えられなくてもシール部材を心臓の組織に固定することができるようになる。
【0013】
粘着性があって変形可能な材料が真空圧と組み合わせて使用されるとき、装置は心臓に対して安全に且つ堅固に付着され、外科医が心臓を再び位置決めしたり心臓の一部の領域を動かないようにしたりすることができるようにする。スカート状部材を形成する粘着性があって変形可能な材料が心臓の外形に対して付着性および適合性を提供し且つ心臓の組織とのシール界面を提供しながらも、準硬質なチャンバの部分はシール部材に対して構造的な完全性を保つ。さらに、スカート状部材が変形すると、心臓の組織と接触する表面領域が増大する。表面領域が増大すると、付着用の接触面積が大きくなり、よって真空圧の結合力が広い組織の領域に亘って分配され、組織が外傷を負ってしまうことが減少する。
【0014】
一般に、チャンバを形成するのに適する材料は硬すぎて、心臓に対して虚血、血腫または他の外傷を引き起こしてしまう。本発明によれば、変形可能なスカート状部材を組み合わせることで、より硬いチャンバ材料と心臓との間で緩衝される。チャンバを形成するのに通常使用される材料にはほとんど粘着性がない。逆に、粘着性材料は通常、真空と組み合わせて付着を行うのには適していない。本発明の装置は、両方のタイプの材料の利点を利用した二つの部分から構成される。特に、変形しにくい材料は真空圧に耐えるチャンバを形成し、一方、変形可能で粘着性のある材料は、心臓の組織に対して非外傷性でありながら頑丈なシール表面を提供するスカート状部材を形成する。
【0015】
一つの実施形態では、本発明はチャンバを画成する壁と組織の表面と接触するように壁から延びるスカート状部材とを有するシール部材とを具備する臓器処置用の装置を提供する。スカート状部材は実質的に形状追従性(compliant)および粘着性を有し、これにより組織の表面への付着が促進せしめられる。装置はチャンバの内部と流体的に接続された真空ポートを有し、さらに真空ポートを通る流体の流れを調整するための弁とを有する。装置はその形状および大きさを変えることができる。
【0016】
別の実施形態では、本発明は心臓を取り扱うための方法を提供する。この方法は、心臓の尖部とシール部材とを係合させてチャンバを画成する工程を具備し、シール部材の少なくとも一部が心臓の組織に対する追従性および付着性を有し、チャンバに関連する真空ポートに真空圧を加え、漏れに対してチャンバを実質的にシールするようにシール部材の一部を変形させる工程と、心臓を持ち上げたり回転させたりするために把持地点としてシール部材を使用する工程とをさらに具備する。この方法はさらに、シール部材に組み込まれた電極を介して心臓の尖部に電圧または電流を供給することによって心臓のペースを整える工程を有してもよい。
【0017】
本発明は、心臓を取り扱うための別の方法を提供する。この方法は、心臓の尖部とシール部材とを係合させてチャンバを画成する工程を具備し、シール部材の少なくとも一部が心臓の組織に対する追従性および付着性を有し、シール部材は開口と可撓性を有する気密且つ液密な膜とを有し、シール部材の一部が漏れに対して実質的にするようにシール部材の一部が変形するように膜を開口に向かって吸引する工程と、心臓を持ち上げたり回転させたりするために把持地点としてシール部材を使用する工程とをさらに具備する。膜は機械的にまたは流体圧的に吸引される。
【0018】
更なる実施形態において、本発明は心臓を動かないようにするための方法を提供する。この方法は、動かなくする領域を画定するためにシール部材を使用する工程と、シール部材を心臓の表面と係合させてチャンバを画成する工程とを具備し、シール部材の少なくとも一部は心臓の組織に対する追従性および付着性を有し、シール部材の一部が漏れに対してチャンバをシールするように変形するようにチャンバに関連する真空ポートに真空圧を加える工程を具備する。
【0019】
詳細な説明
図1は、本発明の一つの実施形態の臓器を取り扱うための装置10の断面図である。図1に示したように、装置10はシール部材12を有する。シール部材12はカップ状部材14を有する。カップ状部材14は装置10の概括的な大きさおよび形状を画成し、様々な目的を達成するための構成要素を有する。図1の例では、カップ状部材14はカップ形状を形成するのに適するほぼ円形の構造体を画成する。カップ状部材14は真空ポート16と、真空チューブ20を受容するのに適するネック18とを有する。真空チューブ20はシーラント19によってネック18内にシールされる。真空チューブ20はコック栓21のような弁を有し、これにより真空チューブ20を介して空気が移動するのを防止したり、真空圧を迅速に開放させたりすることができる。あるいは、弁は真空ポート16またはネック18に設けられてもよい。
【0020】
真空圧が加えられたときに、チャンバ内の深くまで組織が引っ張られることが無いように、特に真空ポート16内へ引っ張られることが無いように、カップ状部材14はスペーサ22を包囲する。スペーサ22はカップ状部材14と一体的に形成されてもよいが、図1においてスペーサ22は別個の要素として示されている。スペーサ22は内側リング25に対して付勢される。スペーサ22は装置10から省略してもよい。カップ状部材14は、カップ状部材14とスカート状部材26との間の物理的接続を補助するフランジ24を有する。カップ状部材14およびスカート状部材26の内壁はチャンバ15を画成する。装置10の基礎構造のフレーム構成に加えて、カップ状部材14は堅固な構造体を提供し、これにより装置10が外科医または器具によってしっかりと把持される。このためカップ状部材14はハンドル、ノブまたは他の取付具(図示せず)のような構造体を有する。
【0021】
図1に示したように、装置10は如何なる組織にも付着しておらず、チャンバ15は閉じられずに開かれている。シール部材12が組織の表面と係合すると、チャンバ15は閉じられる。真空ポート16はチャンバ15と流体的に接続されている。シール部材12は部分的に組織の表面に適合することができる追従性のある(compliant)材料で形成されている。シール部材12の追従性は、シール部材12と心臓とが係合する場合に、心臓が収縮および弛緩している間シール部材12が接触し続けることができるような性質である。
【0022】
幾つかの場合、組織への付着は真空ポートおよび真空チューブ20を介して真空圧を加えることによって改良され、シール部材12の少なくとも一部が変形して実質的に組織の表面に対するシールを形成する。真空圧は例えば注射器のような様々な装置によって供給され、コック栓21によって維持される。一定の負圧源を用いてもよいが、必要ではない。
【0023】
カップ状部材14は、ポリカーボネート、ABS樹脂、ボリスルホン、ポリエステルおよびポリウレタン等の熱可塑性樹脂、チタン等の耐食性金属、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴムおよびポリウレタン等の硬質および準硬質弾性体を含む様々な材料から形成される。カップ状部材14はやや追従性あるが概して耐変形性を有する準硬質構造体を有する。逆に、スカート状部材26はシリコーンゲル、ヒドロゲルまたはクローズドセル発泡体等の実質的に追従性のある材料から形成される。このように、カップ状部材14が装置10に構造的な完全性を保たせ、一方、スカート状部材26が組織とのシール界面を提供する。また、スカート状部材26を形成する材料は粘着性のあるものでもよく、これにより組織の表面への付着が促進される。
【0024】
スカート状部材26の付着効果は材料の粘着性によってのみではなく、変形によってシール界面に提供される広い表面積によっても補助される。スカート状部材26はカップ状部材14のフランジ24を囲い且つフランジ24に連結される。図1に示した実施形態では、スカート状部材26は三つの構成要素を有する。一つの構成要素は主要リング28であり、この主要リング28は変形可能な追従性のある材料で形成されるが、通常、任意のシールを破断させてしまうほどには変形しない。主要リング28はチャンバ15の全体的な周辺部を形成する。第二の構成要素は補強要素30であり、この補強要素30は主要リング28内に埋め込まれ、カップ状部材のフランジ24内の固定機構32に固定される。
【0025】
一つの実施形態の補強要素30はバネ、ワイヤまたは形状記憶金属であり、概して変形に抵抗し、真空圧下で主要リング28の形が崩れてしまうのに抵抗する。補強要素30は主要リング28が変形することができるようにするが、使用時にシールを破断させてしまうほどには変形しない。また、補強要素30を使用することで、スカート状部材26の主要リング28を少量の材料で形成することができるようになる。スカート状部材26の第三の構成要素はシールが形成される主要リング28周りの領域上の粘着性材料34の層である。粘着性材料34は臓器の組織に付着し、且つ加えられていた真空がなくなると容易に解放する。粘着性材料34は追従性を有し、粘着性材料と接触する組織に適合することができる。粘着性材料34は主要リング28上にコーティングまたは成型されるか、または別個の構成要素として主要リング28上に接着される。また、主要リング28全体を粘着材料34で形成することもできる。
【0026】
主要リング28および粘着性材料34に適する材料は生体適合性のシリコーンゲルである。適切なシリコーンゲルの例はMED−6340およびGEL−8150であり、共にカリフォルニア州カーピンテリアのNuSilシリコーンテクノロジーから商業的に入手することができる。各ゲルは二つの構成要素から成る液体として提供され、構成要素は成分Aおよび成分Bで表され、共にブレンドされる。シリコーンの特性は概して成分Aおよび成分Bの混合比に依存する。一般に、成分Bに対する成分Aの比が増大すると柔らかく且つ粘着性のあるゲルが生成され、一方、成分Aに対する成分Aの比が増大すると硬く且つ粘着性の低いゲルが生成される。シリコーン弾性体のように、シリコーンゲルは架橋密度の範囲で製造される。しかしながら、シリコーンゲルは概して補強用充填材を含まず、よって高い可塑性および所望の表面に対する高い適合性を有する。その結果、シリコーンゲル材料の追従性および粘着性はより効果的なシールを提供するためにスカート状部材26に利用される。スカート状部材26のために、MED6340シリコーンゲル材料は、例えば直径6.35mmで19.5グラムのシャフトが約5秒で約5mmゲルを貫通するのが観測されるような硬度特性を示す。この硬度特性は必要ではないが、商業的に入手可能なMED6340材料で示される代表値である。
【0027】
一つの混合体は7単位の成分Bに対して約3単位の成分Bの割合で、すなわち約3:7の割合でMED−8150の成分Aおよび成分Bがブレンドされる。A:Bの割合が約3:7で混合されると、結果として生じるシリコーンゲルは主要リング28として使用するのに適する。この混合割合により、粘着性は小さいがカップ状部材から切断されないのに十分な堅固さのある材料が生成される。しかしながら、ゲルは硬いにも関わらず、ゲルは柔らかく且つ変形可能であり、よって深刻な外傷を負わせてしまうことなく臓器の組織に対してカップの形状のまま押し付けられる。全体的に硬いゲルから形成されるスカート状部材26は良好な真空シールを提供するように望まれているが、僅かな粘着性およびその結果生じる付着性が提供される。約4.5:5.5の割合でブレンドされたMED−6340の混合体は主要リング28として使用するのに適する材料を生成する。
【0028】
好適な実施形態において、A:Bの割合が約1:1でMED−6340が混合されると、結果として生じるシリコーンゲルは粘着性材料34として使用するのに適する。この材料は例えば心臓のような滑りやすい臓器に良好に付着し、さらに容易に成型することができる。加えて、この材料は組織の解離を最小限に抑える。この材料は主要リング28を形成するのに使用されるシリコーンゲルよりも非常に柔らかい。柔らかいゲルは心臓に対して損傷を与える危険性が事実上ほとんどない。しかしながら、全体的に柔らかいゲルから形成されたスカート状部材26は真空が存在すると容易に変形し、直ぐに真空シールを破断させてしまう。スカート状部材26は例えば主要リング28および粘着性材料34の内部成型によって形成される。スカート状部材26はカップ状部材14に接着されるかまたはカップ状部材14に連結される。あるいは、カップ状部材14は主要リング28および粘着性材料34の一方のまたは両方と共にインサート成型され、これにより一体的なシール部材12が生成される。粘着性材料34を形成する柔らかいゲルと主要リング26を形成する硬いゲルとの組合せおよび補強部材30による補強により、真空圧が加えられたときに心臓の表面に適合しながらも真空シールを破断させてしまうほどには変形しないように心臓の表面に付着するスカート状部材26が生成される。この組合せはシールを破断させてしまうことなく且つ心臓組織に外傷を負わせることなく鼓動する心臓のショックを吸収することができる。変形することで粘着性材料34によって提供される柔らかさおよび広い接触面積により、組織の損傷の可能性が低減される。
【0029】
図2は例示的な適用例である図1の装置10を示す。外科医40は心臓36にアクセスすることができ、心臓36の尖部38を覆うように装置10が配置される。心臓36は停止せしめられていない。装置10は尖部38に付着される。装置10の弁21が開位置のままにされると、心臓の鼓動および外科医の手40の圧力により心臓の組織がチャンバ15内に入ることができるようになり、チャンバから空気が移動される。心臓36の鼓動は各収縮の間に尖部38を反対方向に回転またはツイストさせる。回転移動により尖部38がシール部材12内へ移動し、よって真空チューブ20および開いている弁21を介して空気が放出され、尖部38が変形可能なスカート状部材26と係合する。外科医40は視覚的および触覚的に尖部38がスカート状部材26に侵入してスペーサ22と接触したか否かを決定する。尖部38がスカート状部材26に侵入すると、弁21が閉じられて空気が装置10内に流入するのが防止され且つ部分真空または負圧が装置内に形成される。大気圧は装置10を心臓の組織に固定し続けるように作用する。このように外部真空源を必要とせずに部分真空を生成することができる。さらに、部分真空または負圧は、図2に示したような尖部38を持ち上げるのに十分であり、且つ心臓36を90度の弧を介して移動させるのを補助する。スカート状部材26を形成するのに使用される材料は、スカート状部材26が心臓36の形状に密着するように適合するのに且つスカート状部材26が心筋組織に対して外傷を負わせないのに十分な可撓性および圧縮性がある。尖部38は各収縮毎にツイストし続けるが、シール部材12は外傷を負わせることなく尖部を保持する。装置10の取外しは空気が真空チューブ20を介して移動することができるように弁21を開くことによって行われ、これにより心臓の組織からスカート状部材26の内面が分離せしめられる。必要であれば、心臓36から装置10を迅速に取り外すのを容易にするためにチューブ20を介して空気を送り込む注射器または他の手段を用いてもよい。あるいは、装置10の内部から空気を除去するのに且つ大気圧で尖部38において組織に装置を保持することができるように、真空チューブ20を介して外部の真空源が用いられてもよい。この場合、コック栓21は空気が真空チューブ20に流入するのを防止するために閉じられ、その後、外部の真空源が取り外される。しかしながら、付加的な外部の真空源は必要とされない。図1に示した粘着性材料34は付着の促進を補助する。装置10の追従性のあるスカート状部材26は尖部38の形状に適合し、心臓の組織の周りに気密なシールを生成する。スカート状部材26の追従性により、心臓が収縮しているときでさえもシールが維持される。継続的に真空圧を加えることなく装置10と尖部38との間の真空シールが維持されるように、コック栓21が閉じられる。真空圧と粘着性とを組み合わせることで、装置10または真空チューブ20を操作することにより外科医40は心臓36を移動させることができる。図2は真空チューブ20を保持することによって尖部38を持ち上げ始める外科医40を示す。尖部38を持ち上げることによって、外科医40は心臓36を移動させることができ、心臓の別の領域にアクセスすることができるようになる。これにより、心臓の血流力学的機能を危険にさらすことなく鼓動する心臓36を取り扱うことができる。特に、外科医40は大動脈の血圧を下げることなく心臓36を装置10で持ち上げてもよい。加えて、装置10は心臓36との強固なシールを形成し、他の支持装置の必要なしで心臓36を取り扱うことができるようにし、尖部38に外傷を与えず、虚血、血腫または他の外傷を回避する。
【0030】
心臓に対する装置10全体の大きさを変えてもよい。開心術では、例えば、大きなカップ状装置が最も有効である。侵襲的でない手術では、切開部またはカニューレを介して挿入することができる大きさである小さいカップ状装置が有効である。
【0031】
図3aは、本発明の臓器処置用の装置42の一つの実施形態の断面図を示す。装置42は図1に示した装置10と同様な全体形状および構成であり、且つ装置42は図2と同様に例示的に利用される。特に、装置42は心臓36の尖部38を覆うように配置される。心臓36は停止せしめられない。装置42は尖部38に付着せしめられる。付着は粘着性材料34および真空圧を加えることによって促進される。
【0032】
装置42は電極46、48を有し、これら電極はヒス束50、52およびプルキンエ線維54の刺激によって心臓36のペースを整えるのに使用される。あるいは、図3bに示したように電極47および49をスペーサ22に配置してもよいし、装置の別の位置に配置してもよい。心臓の通常のペースメーカは洞結節(SA node)である(図3aには図示せず)。洞結節は上大静脈への開口部付近の右心房の壁の特定の小さな領域にある。洞結節内で起こされた活動電位は通常心臓の両心房に広がる。節間の伝導路が洞結節から房室結節(AV node)へと延びる(図3aには図示せず)。房室結節は心房と心室58、60との間の接続部付近にある特別な心筋細胞の小さな束である。ヒス束として知られる特定の細胞が心室中隔56を通って房室結節から延び、これらは左脚ヒス束50と右脚ヒス束52とに分かれる。両脚ヒス束50、52は心室60、58の先端周りで湾曲し、心臓36の外壁に沿って心房に向かって戻るように延びる。房室結節が洞結節から刺激を受容すると、僅かな房室結節での遅延の後に、衝撃がヒス束50、52を迅速に移動する。ヒス束50、52からプルキンエ線維54が延び、心室心筋62に亘って広がる。ヒス束50、52によって伝達される衝撃はプルキンエ線維54によって心室心筋62全体に送られる。ヒス束50、52およびプルキンエ線維54は通常の割合で単位時間当たりに20〜40の活動電位の充電を行う。ヒス束50、52およびプルキンエ線維54を刺激することで、心室心筋をより速い割合で鼓動させることができ、これにより心臓36のペースの維持を補助することができる。導電体を介して電圧源または電流源(図3a、図3bには図示せず)に接続された電極46、48、47および49は、ヒス束50、52およびプルキンエ線維54を刺激し、心臓36のペースを整えるのを補助する。スカート状部材28は尖部38に外傷を与えないように付着しているため、装置42は血腫または他の外傷を与えることなく長時間に渡って尖部38上に維持されることができる。加えて、尖部38上に装置42を配置することによって、手術領域との干渉を最小限にすることができる。同時に、装置42は必要であれば心臓36のペースを整えることができ、ペースを整えることが必要なくても所定位置に維持される。
【0033】
図4は本発明の臓器処置用の装置64の一つの実施形態の断面図を示す。装置64は図1の装置10と同様である。装置64の例示的な適用例は別に示す。図4に示した外科手術では、心臓を囲う心膜嚢66は開かれていない。心膜嚢66は心臓36を覆う二重壁の嚢である。心膜嚢66は頑丈な繊維性の心膜68である。心臓の表面は心外膜70として知られる。心膜腔72内の心膜液は心外膜70を潤滑し、心臓36が鼓動するときに心外膜と心膜との間の摩擦を低減させる。図4に示した装置は薬剤を心膜嚢66に投与することができるようにする。図4に示した装置64は、装置64が薬を搬送することができるようにするポート74を有することを除いて、図1に示した装置10と同様である。ニードル76がポート74を通って差し込まれる。装置64は心膜嚢66上に配置され、スカート状部材80上に配置される粘着性材料78の粘着性によって付着される。ニードル76に向かって心膜68の外側の層を吸引するのに真空圧が加えられる。この処置では概して心外膜70は同様には吸引されない。心膜68をニードル76に向かって吸引することにより、ニードル76は心膜68のみを貫通し、心外膜70は貫通しない。そして、薬剤が効果的に心膜嚢66の心膜液72搬送される。この方法での薬剤の搬送は、例えばエピネフリンを注入するとき、または心膜炎として知られる心膜嚢66のウイルスまたは細菌による感染症を治療するときに有用である。
【0034】
図5は本発明の別の臓器処置用の装置82の一つの実施形態の断面図である。装置82はシール部材84を有する。シール部材84はカップ状部材86を有する。カップ状部材86は装置82の概略的な大きさおよび形状を画定し、図5に示したようにカップ状の形状を形成するのに適したほぼ円形の構造体を画成する。カップ状部材86はカップ状部材86とスカート状部材90との物理的連結を補助するフランジ88を有する。スカート状部材90は図1のスカート状部材26と同様である。スカート状部材90は付加的に補強要素91を有する。
【0035】
シール部材84は臓器の組織の表面と係合する。シール部材84は部分的に追従性のある材料から形成され、この追従性材料は組織の表面と適合することができる。スカート状部材90は、臓器の組織に適合し且つ容易に付着する粘着性部材98を有する。加えて、装置82はカップ状部材86とスカート状部材90との間の境界面に固定された膜92を有する。膜92およびスカート状部材90はチャンバ100を画成する。膜92は可撓性を有する気密且つ液密な材料で構成され、この材料は破断することなく伸びる。膜92として使用するのに適する材料は、シリコーンゴムのような弾性体を含む。膜92の弾性力は変化してもよいが、約30デュロメータの膜は十分な弾力がある。膜92の中央に準硬質弾性材料または硬い弾性材料から成るディスク94が固定される。好ましくは、膜92は膜92とディスク94とが接触する全ての地点においてディスク94に固定される。実質的に硬い材料で形成されたシャフト96がディスク94の中央に固定される。ディスク94の厚さは均一でないのが好ましく、すなわち、先端の方が狭いかまたは薄い。カップ状部材86は開口102を有し、この開口102を通ってシャフト96が延びる。
【0036】
図6は装置82の断面図である。図6は、シャフト96が部分的に引っ込められていることを除いて図5と同様である。カップ状部材86を固定したままにし且つシャフト96を引っ込めることによって、膜92は開口102に向かって引っ張られ、これによりチャンバ100は広げられる。カップ状部材86に対するシャフト96の位置を維持するために、つまみネジまたはクランプのような停止機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0037】
図7は心臓36の尖部38と係合している状態の図5および図6の装置82を示す。装置82は開口102を介してシャフト96を引っ込めることで追従性のある粘着性材料98により部分的に尖部に付着され、組織をチャンバ100内へ吸引する。ポンプや注射器等の真空源なしで付着が行われる。幾つかの実施形態では、組織は組織が膜92と接触する程度までチャンバ100内へと吸引される。
【0038】
図8は本発明の別の臓器処置用の装置104の実施形態の断面図である。装置104は図5の装置82と同様であり、好ましくは可撓性を有する気密且つ液密な材料から製造される膜108を有する。膜108はカップ状部材112とスカート状部材106との境界面に固定される。カップ状部材112は液体チューブ114を受容するのに適する開口118およびネック120を有する。液体チューブ114はシーラント116でネック120にシールされる。
【0039】
第一チャンバ110は膜108とスカート状部材106とによって画成される。第二チャンバ122は膜108と、カップ状部材112の内面と、液体チューブ114とによって画成される。第二チャンバ122は水または含塩溶液のような液体124で満たされるのが好ましい。液体チューブ114を介して液体124が装置104から吸引されると、膜108は開口118に向かって吸引され、これにより第一チャンバ110が広がる。組織と係合していると、装置104は、追従性のある粘着性材料126によって、且つ流体チューブ114を介して液体124を抜き出すことで第一チャンバ110内に生成される圧力が低くなることによって組織に付着する。流体チューブ114を介して液体124を抜き出すことによって、流体圧で第一チャンバ110内に組織が吸引される。流体チューブ114を通る液体の流れを停止させるのに弁またはコック栓(図示せず)のような停止機構が使用され、これにより液体124が第二チャンバ122に再び流入するのが防止されることによって付着が促進される。
【0040】
図9は、本発明の別の臓器処置用の装置160の実施形態の平面図である。図9の実施形態では、シール部材162は構造部材164と二つのスカート状部材166、168とから形成される。構造部材164は大きさおよびリング状構造体を形成するのに適する概して環状形状とを画定する。リングは如何なる形状であってもよく、図9に示したようなほぼ楕円形の内径とほぼ楕円形の外形とを有する楕円形状はその一例である。リングはほぼ平面状であるか、または心臓のような臓器の表面に適するように湾曲している。シール部材162は真空チューブ154を受容するのに適する真空ポート150およびネック152を有する。真空チューブ154は、空気が真空チューブ154を介して移動するのを防止し且つ真空圧を迅速に解放することができるようにするためのコック栓(図示せず)のような弁を有する。あるいは、弁は真空ポート150またはネック152内に設けられてもよい。
【0041】
スカート状部材はリングの内径部または外径部または両方に連結される。好適な実施形態では、図9に示したように、内側スカート状部材168が内径部に連結され、外側スカート状部材166が外径部に連結される。
【0042】
加えて、構造部材164は硬い構造体を提供し、これによりリング状部材160は外科医または器具によってしっかりと把持される。図9では、取付具170が構造部材164に取付けられ、これによりしっかりと把持するための領域が提供される。取付具170は装置の他の場所に配置されてもよい。しっかりと把持するための領域を提供するのにハンドルまたはノブのような構造体が適している。構造部材164はポリカーボネート、ABS樹脂、ボリスルホン、ポリエステルおよびポリウレタン等の熱可塑性樹脂、チタン等の耐食性金属、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴムおよびポリウレタン等の硬質および準硬質弾性体を含む多くの材料から形成される。
【0043】
図10は図9に示したリング状装置と同一の装置160の側面図である。構造部材164およびスカート状部材166、168はほぼリング形状であるチャンバ167を画成する。構造部材164は構造部材164とスカート状部材166、168との間の物理的連結を補助するフランジ169を有する。スカート状部材166、168は補強部材(図10に図示せず)によって補強されてもよい。図10はさらに真空チューブ154に連結された弁153を示す。装置160が心臓の組織のような組織の表面に配置されると、装置160の内部から空気を取り除くように真空チューブ154を介して外部の真空源が適用される。弁153が閉じられると、大気圧が装置160を組織に対して保持し、外部真空源が取り外される。その後、付加的な真空源は必要とされない。図11に示した粘着性材料174は組織への付着の促進を補助し、追従性のあるスカート状部材171は気密なシールを生成するように組織の形状に適合する。
【0044】
図11は図9の装置160用の典型的なスカート状部材171の断面図を示す。スカート状部材171は内側スカート状部材であってもよいしまたは外側スカート状部材であってもよい。スカート状部材171はフランジ169周りにおいて構造部材164に連結される主要リング172を有する。さらに、スカート状部材171は図1に示したような補強部材30と同様な補強部材175で補強される。補強部材175は部分的に主要リング172内に埋め込まれ、構造部材164のフランジ169内に固定される。一つの実施形態において、補強部材175は図1に示した補強部材30のような概して変形に抵抗するバネ、ワイヤまたは形状記憶金属である。
【0045】
スカート状部材171は主要リング部材172に接着された粘着性の内側層174を有する。主要リング部材172は、おおよそ図1の主要リング28に関して説明した比率のシリコーンゲルから形成される。粘着性内側層174は、おおよそ図1の粘着性材料34に関して説明した比率のシリコーンゲルから形成される。
【0046】
図12は、本発明の別の臓器処置用の装置176の実施形態の平面図である。図9に示した装置160の全体形状および全体構成と同様であるが、図12に示した装置176は複合チャンバ178、180、182、184を有し、これらチャンバはそれぞれ真空ポート191、193、195、197を介してそれぞれ真空ライン190、192、194、196と流体的に接続される。全てのチャンバは他のチャンバと流体的に接続されていない。各チャンバ内の真空圧は、注射器または真空ポンプ(図示せず)のような手段によって他のチャンバとは別個に且つ独立して生成される。さらに、各チャンバ内の真空圧は弁またはコック栓(図示せず)のような手段によって他のチャンバとは別個に且つ独立して維持される。装置176の利点は、各チャンバが他のチャンバから独立して真空シールされることにある。一つのチャンバのシールが破断しても、必然的に装置176全体の真空圧の低下が起こるわけではない。こうして、装置176は、真空シールが或る領域で破断されて、そのチャンバ内の真空圧が失われても、組織へ付着し続けることができる。
【0047】
図13は、本発明の別の臓器処置用の装置200の実施形態の平面図である。図13に示した装置200は、図9の装置160と全体形状および構造が同様であるが、リングに替わってほぼC字状のチャンバ204を有する。装置の二つの先端部または「脚部」206、208をギャップ202が分離させる。C字形状は形状および寸法が変化してもよく、図13に示したようなほぼ楕円形の内径部とほぼ楕円形の外径部とを備えたほぼ楕円形状はその一例である。脚部206、208が互いに接触する必要のないときにはギャップ202はその大きさが変化してもよく、装置200はほぼU字状であることも想定される。
【0048】
図14は図13の装置200の例示的な応用例を示す。装置200は心臓36の表面の脈管210がC字内の中央に配置されるように位置決めされる。図11に示したスカート状部材171と同様なスカート状部材212、214は、所望の領域に付着させるのを補助する。心臓36の表面への付加的な付着力を提供するために真空ポート216を介して真空圧が加えられる。装置を心臓36に付着させると、装置200の内径部により外科手術用の作業領域218が形成される。作業領域218内では、心臓36が鼓動し続けても心臓36の収縮が減少し、これにより組織を安定化させる効果が得られる。こうして外科医は心臓36を停止させることなく作業領域218内の脈管210にアクセスすることができるようになる。
【0049】
図14に示した手術中には、部材が作業領域218内の脈管210に適用される。例えば、作業領域218内の脈管210または別の組織は止血鉗子のような医療器具によって捕獲される。外科医は、例えば脈管210の閉塞をバイパスさせて通常脈管210によって供給される心臓36の領域へ血液を供給するために、身体の他の領域の脈管219を物理的に脈管210に取り付ける血管移植を行う。このような場合、脈管219のような作業領域内の別の部材の障害となることなく装置200を取り外すことが望まれる。装置200がC字形状であるので、ギャップ202を広げてそのギャップに別の部材を通しつつ装置200を移動させることによって心臓から装置200を取り外すことができるようになる。
【0050】
図15は図9に示した装置160の利用例を示す。図15の装置160は取付地点170において固定装置220によって保持される。次いで、固定装置220は、開胸器(図示せず)または手術台(図示せず)のような比較的動かない物体に固定される。この構成の利点は、作業領域222は鼓動している心臓36の残り部分に対して、且つ患者に対して実質的に動かない。
【0051】
図16は本発明の別の臓器処置用の実施形態の装置224の平面図である。装置224は図13に示した装置200の全体形状および構成と同様であり、さらに第一電極226を有する。第一電極226はワイヤ228を介して電力供給器(図示せず)に接続され、ワイヤ228は真空チューブ230と同一の通路を通る。第一電極226は様々な領域において装置224の別の要素に固定されてもよい。第一電極226はチャンバ232に取り付けられるかまたはチャンバ232に部分的に組み込まれてもよいし、スカート状部材234に取り付けられるかまたはスカート状部材234に部分的に組み込まれてもよい。第一電極226は通常、装置224が組織と係合するときに電極226が組織に接触するように配置される。同一の電力供給源に接続された第二の調和電極が外科用メス(図示せず)に取り付けられてもよい。このような電極の構成は、電流が処置の一部である二極式の外科手術に有用である。二極式の外科手術では、外科用メスの第二電極と装置224の第一電極226との間を通る電流は切開に対する迅速な焼灼をすることができるようにする。
【0052】
図17は本発明の別の臓器処置用の装置236の実施形態の平面図である。装置236は図16に示した装置224の全体形状および構成と同様である。図16に示した装置224と同様に、装置236は第一電極238を有する。しかしながら、図17に示したように、装置236には別の外科用器具ではなく第二電極240が設けられる。両電極238、240は装置236が組織と接触すると組織と接触する。電極238、240はワイヤ242、244により関連の回路に連結される。装置236では、第一電極238は電気信号を送ることができ、第二電極240は第一電極238によって送られた電気信号を実質的に受信することができる。このような電極の構成は電流が手術の一部であるような外科手術等、様々な外科手術に有用である。本発明によれば、例えば外科医は電極間の組織のインピーダンスまたは他の特性、または組織に沿って電気信号を伝えるのに必要な時間を計測することを望む。さらに、両電極を外部のパルス発生器に連結して、心臓のペースを整えるのに使用してもよい。
【0053】
図18は二つを同時に利用した状態にある本発明の二つの実施形態の斜視図である。本発明の一つの実施形態は図1に示した装置のようなカップ状装置10、または42、82、104、280のような別の装置である。別の実施形態は図18に示したようなC字状装置236である。両装置10、236は同時に心臓36に適用される。図18のように、カップ状装置10は図2に示したような形態で心臓36の尖部38に付着せしめられる。尖部38を操作することによって、外科医は、心臓36を持ち上げたり回転させたりすることができ、これにより容易にアクセスすることができない組織の領域へアクセスすることができるようにすることができるようになる。そして、外科医は装置10を固定装置249に固定することにより、装置10を動かないようにしてもよい。装置10が適切に位置決めされると、装置10は固定装置249を開胸器または手術台に取り付けられることによってさらに動かないようにされる。図18では、心臓36は右心房250の領域にアクセスすることができるように持ち上げられ且つ回転される。C字状装置236が図14に示した形態と同様な形態で心房250に適用される。C字状装置236の係合は心臓の残りの部分に対して作業領域252内の組織を安定化させる。装置236は固定装置220に取り付けられ、固定装置220は開胸器または手術台に取り付けられる。右心房へアクセスすることができるようにするために、外科医は作業領域252内で手術を行う。例えば、外科医は作業領域252内の組織を切除するために切除プローブを使用してもよいし、電気伝導路を提供してもよい。このような電気伝導路の提供は、例えば不整脈の治療のような補助的なものである。伝導路が適切に提供されているかどうかを決定するために、外科医は電極238、240を用いて伝導時間またはインピーダンスのような値を計測してもよい。
【0054】
図19は本発明の別の実施形態のカップ状シール部材260の斜視図である。図20は図19のシール部材の断面側面図である。図19に示したように、シール部材260は上述した別のシール部材と幾分同様であり、真空圧を加えて心臓の表面に固定される内部チャンバ262を画成する。シール部材260は、例えばショアA型デュロメータで30〜70のシリコーン弾性体のような準硬質材料から形成される上方部分264を有する。下方スカート状部材266は上方部分264に連結されるかまたは上方部分264と共に成型され、ショアA型デュロメータで5〜10のシリコーン弾性体のような実質的な追従性材料から形成される。あるいは、スカート状部材266はシリコーンゲルから形成される。あるいは、スカート状部材266は追従性および粘着性を有し、シール圧力を高めたシリコーンゲルから形成される。上述したように、Nu−Silから入手可能なMED6340シリコーンゲル材料はスカート状部材266の構成に受容可能である。シール部材260は真空チューブおよび外部真空源に接続される真空ポート268を有する。また、シール部材260は二つの外側周辺リブ270、272を有し、これらリブは上方部分264に成型される。リブ270、272はシール部材260に強度を加え、これにより真空圧下で形が崩れてその結果シールが不十分になってしまうことが防止される。説明したように、スカート状部材266は斜表面274を提供し、これによりスカート状部材266の内径部276および外形部278の両方へのシールが促進される。
【0055】
図21は本発明の別の実施形態のカップ状シール部材280の斜視図である。図22は図21のシール部材280の断面側面図である。シール部材280は図19のシール部材260に対応するが、周辺リブ270、272が省略されている。
【0056】
図23は本発明の別の実施形態のカップ状シール部材282の斜視図である。図24は図23のシール部材282の断面側面図である。シール部材282は図21のシール部材280に対応するが、内側周辺リブ284、286が組み込まれている。
【0057】
図25は本発明の別の実施形態のカップ状シール部材288の斜視図である。図26は図25のシール部材288の断面側面図である。シール部材288は図19のシール部材260に対応するが、外側鉛直リブ290が組み込まれている。
【0058】
図27aは図19〜図26に示したようなシール部材に関するスカート部材の部分拡大図である。各シール部材に真空圧が加えられると、整合した斜表面274は内径部276と外形部278との両方において組織と接触するように下がり内側に且つ下方に曲がり、これにより広い表面の接触領域が生成されて効果的なシールを促進する。図27bは組織の表面275に付着する斜表面274を示す。
【0059】
図28は補強構造体と揺動連結部が組み合わされた本発明の更なる実施形態のシール部材292の側面図を示す。図29は図28のシール部材292の底面図である。図30は図28のシール部材292の更なる側面図である。図31は図28のシール部材292の平面図である。図32は図28のシール部材292の底面斜視図である。図示したように、シール部材292は、一組のフィンガ状延長部材298を備えた準硬質カップ状部材296を画成する上方部分294を有する。延長部材298周りには追従性のあるスカート状部材300を有する下方部分299が成型される。カップ状部材296はショアA型デュロメータが30〜70のシリコーン弾性体のような様々な材料から形成される。延長部材298は型成型によってカップ状部材296と一体的に形成される。スカート状部材300は延長部材298の下方においてリップ302へと延び、延長部材298の上方において参照番号304で示した溝へと延びる。延長部材298はこれら延長部材が低い程度でスカート状部材300に到達するように厚さおよび幅が薄い。延長部材298はシール部材292に対して付加的な指示部を提供し、真空圧下での形が崩れるのに抵抗するのを補助する。スカート状部材300は、ショアA型デュロメータが5〜10のシリコーン弾性体のような実質的に追従性のある材料で形成される。あるいは、スカート状部材300は追従性および粘着性を有し、シール圧力を高めるNu−Sil製のMED6340のようなシリコーンゲルから形成される。
【0060】
シール部材292は真空チューブ308を受容するように設計された揺動式取付具306を有する。揺動式取付具306は延長具または「ステム」309の形態であり、ステンレス鋼製のチューブ308の内側に付着される。シール部材292は、チューブがシール部材に対して例えば90度で曲げられたときにチューブを収容する「ノッチ」領域310を画定する。このような形態で、心臓の尖部を覆うようにシール部材を位置決めすることができるように、真空チューブが外科医によって尖部へと保持されている間に真空チューブ308はシール部材292に対して曲げられる。ステム309は凹部314内に配置された真空ポート312内へ挿入される。カップ状凹部領域314はステム309の長手軸線に対して約30度だけシール部材292を揺動させるのに十分な幅を有する。
【0061】
この構成は様々な利点を提供する。特に、シール部材292は構成および再構成するのが比較的簡単である。揺動能力により、シール部材292が尖部に固定されているときに各鼓動において心臓をツイストさせ且つ僅かに動かすことができるようになる。また、横方向の曲げ動作を減らすことによりシール部材292が自発的に尖部の中央にくることができる。さらに、シール部材292を真空チューブに対して90度の方向に向けることができ、ノッチ領域310に属する真空チューブを、心臓の処置をせずに尖部に取り付けることができる。心臓を持ち上げるために、真空チューブは徐々にノッチ領域310の外へと移動せしめられる。他の実施形態と同様に、シール部材292、特にスカート状部材300はペースを整えたり診断したりするために電極および導電体を組み合わせてもよい。
【0062】
図33は図28に示したようなシール部材と組み合わされる装置の側面図である。図33に示したように、シール部材292は真空チューブ308の長さ方向に連結され、真空チューブはシール部材292において末端部318を有し、真空源に連結された弁装置322において基端部320を有する。
【0063】
図34は図28に示したようなシール部材と組み合わされた装置の側面図である。シール部材292は心臓36の尖部38に係合せしめられる。シール部材292は真空チューブ330に連結される。真空チューブは手動で操作可能な弁332を有するかまたはこの弁332に連結され、さらにルーアー取付具のような取付具334を備える。圧力装置336は取付具334に連結される。図34に示した圧力装置336は可撓性を有するバルブ338、流入弁340、排出弁342を有する。バルブ338はゴムまたは弾性樹脂のような材料から形成され、変形後にその形状が元に戻るように付勢される。流入弁340は流体がバルブ338内に流入することができるように形成されるが、内部の弁開口344は流入弁340を介してバルブ338から流体が流出するのを防止するように付勢される。逆に、排出弁342は流体がバルブ338から流出することができるように形成されるが、バルブ338内に流体が流入するのに抵抗するようにまたはそれを防止するように付勢される。
【0064】
バルブ338が圧縮されると(346の状態)、流出バルブ342を通って空気が排出される。バルブ338が自由になると、バルブが変形していない形状に戻るようにバルブ338の内部の体積は広がり始める。バルブ338の内部の体積が広がるときに、バルブ338は流入弁340を介して空気を吸引し、これによりシール部材12と心臓36との間に部分真空が作り出される。部分真空は心筋組織とより強靱なシールを生成するようにシール部材292を変形させる。部分真空が作り出されると、手動で操作可能な弁332は閉じられ、部真空が維持される。そして、心臓36は装置292または真空チューブ330を移動させることによって操作される。ルーアー取付具のような取付具334の利点は圧力装置336を迅速に取付具334から取り外すことができることにある。ルーアー取付具の付加的な利点は、圧力装置336を迅速に反転させて流出弁342を取付具334に連結させることができることにある。この構成では、手動で操作可能な弁332が開かれると、バルブ338への加圧はチューブ330を介して空気を押しだし、心臓36からの装置292の迅速な取り外しを容易にする。
【0065】
図34は取り外し可能な圧力装置336の一つの実施形態を示す。圧力装置の別の形態は注射器やベローズのような様々なポンプを有する。弁332を閉じることによって負圧が維持されるため且つシール部材が尖部38に付着するのに連続的な負圧源を必要としないため、真空源または圧力装置336は付着力を損なうことなく取り外してもよい。真空源が外科領域から取り外されて外科手術の障害とならないため真空チューブ330から圧力装置336を取り外すことは有用である。
【0066】
図34はシール部材292と共に使用される圧力装置336を示すが、圧力装置336は上述した本発明の別の実施形態と共に使用されてもよい。
【0067】
添付の図面を参照して本発明の一つ以上の実施形態の詳細を説明した。本発明の他の特徴、目的および利点は上記説明および図面、および特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一つの実施形態の断面側面図である。
【図2】
図1に示した本発明の実施形態の斜視図であり、心臓を操作するように使用されている。
【図3】
図3aは本発明の別の実施形態の断面側面図であり、心臓の尖部と係合するように使用されている。
図3bは本発明の別の実施形態の断面側面図であり、心臓の尖部と係合するように使用されている。
【図4】
本発明の別の実施形態の断面側面図であり、心膜腔に薬剤を投与するように使用されている。
【図5】
本発明の別の実施形態の断面側面図である。
【図6】
図5に示した本発明の実施形態の断面側面図であり、シャフトが部分的に引っ張られている。
【図7】
図5に示した本発明の実施形態の断面側面図であり、シャフトが部分的に引っ張られ且つ心臓の尖部と係合している。
【図8】
本発明の別の実施形態の断面側面図である。
【図9】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図10】
図9に示した実施形態の断面側面図である。
【図11】
図10に示したようなスカート状部材の一部の拡大断面図である。
【図12】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図13】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図14】
心臓に用いられた図13に示した本発明の実施形態の斜視図である。
【図15】
心臓に用いられた図9に示した本発明の実施形態の斜視図である。
【図16】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図17】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図18】
心臓に用いられた図1に示した本発明の実施形態と図17に示した本発明の実施形態との斜視図である。
【図19】
本発明の別の実施形態のカップ状シール部材の斜視図である。
【図20】
図19のシール部材の断面側面図である。
【図21】
本発明の別の実施形態のカップ状シール部材の斜視図である。
【図22】
図21のシール部材の断面側面図である。
【図23】
本発明の別の実施形態のカップ状シール部材の斜視図である。
【図24】
図23のシール部材の断面側面図である。
【図25】
本発明の別の実施形態のカップ状シール部材の斜視図である。
【図26】
図25のシール部材の断面側面図である。
【図27】
図27aは図19〜図26に示したようなシール部材と組み合わされたスカート部材の拡大図である。
図27bは使用時における図27aのスカート部材を示す。
【図28】
本発明の更なる実施形態における補強構造体と揺動接続部とを組み合わせたシール部材の側面図である。
【図29】
図28のシール部材の底面図である。
【図30】
図28のシール部材の別の側面図である。
【図31】
図28のシール部材の平面図である。
【図32】
図28のシール部材の底面斜視図である。
【図33】
図28に示したようなシール部材と組み合わされた装置の側面図である。
【図34】
図28に示したようなシール部材と組み合わされた装置の側面図であり、可撓性バルブを示す。
技術分野
本発明は医学的診断および医学的治療のために身体の臓器へ付着させることができる装置に関する。より詳細には、本発明は臓器に付着し、臓器を保持、移動、安定化または固定化させることができる装置に関する。
【0002】
背景
外科的慣習の多くの分野では、内臓を損傷させることなく内臓を処置することが望まれている。幾つかの状況では、外科医は臓器に対して外科手術を実行するために臓器を回転させたり持ち上げたり、あるいは方向を変えたりすることを望んでいる。他の状況では、外科医は単に臓器を外へ移動させることを望んでいる。別のケースでは、外科医は手術中に動かないように安定的に組織または組織の一部を保持することを望んでいる。残念ながら、多くの臓器は滑り易く且つ処置するのが困難である。臓器が滑り易く且つ手は大きくて外科医の障害になるため手で臓器を保持することは望まれない。さらに、外科医の手は通常実行すべき処置に必要である。器具で臓器を保持すると、特に臓器が過度に圧搾されたり挟まれたり伸ばされたりしたときに臓器を傷つけてしまう。
【0003】
心臓は処置されると効果的に治療される組織である。心臓の処置には様々な形態が用いられ、例えば心臓の保持、胸内への心臓の移動、心臓の固定が挙げられる。冠動脈閉塞のような幾つかの心臓病は開心術中に行われる処置によって治療するのが最良である。開心術中には、通常、患者は背臥位にされる。外科医は胸骨正中切開を行い、患者の胸を切開し且つ開く。したがって、外科医は心臓にアクセスすることができるように開胸器を用いて胸郭を広げ、心膜を切開する。開心術の幾つかの形態では、患者には心肺バイパス(CPB)が配置され、患者の心臓が停止せしめられる。多くの冠動脈の処置は心臓が鼓動し続けているときに行うのが困難であるため、患者の心臓を停止することは頻繁に用いられる処置である。CPBは付随する副作用および危険として患者に外傷を負わせてしまう。
【0004】
外科医が心臓へアクセスすることができるようになると、対象となる特定の領域へアクセスすることができるようにするために心臓を胸から持ち上げたり回転させたりする必要がある。このような処置は困難な作業であることが多い。心臓は滑りやすい臓器であり、且つ心臓を傷つけることなく手袋を嵌めた手でまたは器具で心臓を把持するのは困難な作業である。不適切に保持すると、虚血、血腫、または他の外傷を負ってしまう。不安定に保持すると、心臓が胸の中へ落ちてしまい、心臓に外傷を負わせたり、手術の障害となったりしてしまう。
【0005】
冠動脈バイパス術は、例えば、心臓の固定および心臓の再方向付けに関する作業を含む。外科医が心臓へアクセスすることができるようになっても、心臓を回転しないとまたは持ち上げないと患部である冠状動脈にアクセスすることができない。さらに、新しい血管の移植処置は繊細な処置であり、心筋の収縮は処置の実行を困難にさせる。
【0006】
外科手術が僅かに侵襲的である場合にも同様なことが言える。横方向開胸術では、例えば心臓は胸内の小さい切り口を介してアクセスされる。心臓の停止を実行することはできない。外科医は、手術中に心臓を動かすことによってまたは心臓の一部を固定することによって心臓を処置する必要があり、またそのように望んでいる。
【0007】
発明の概要
本発明は、臓器を処置したり動いようにしたりすることができるように臓器に付着する装置を提供する。なお、「付着」またはそれに関する用語は医薬において頻繁に使用される用語、すなわち線維組織を形成することによる組織のまたはその一部と他の部分との異常な結合を示す用語ではない。「付着」およびそれに関する用語は病理学的に結合されることない付着、すなわち一つの物が別の物を堅く保持する過程を意味する。
【0008】
様々な状況において、本発明が組織への付着力を提供することに利益がある。例えば、外科医は他の組織にアクセスすることなく胆嚢を簡単に持ち上げることを必要としている。本発明が使用されるより複雑な状況としては、開心術が挙げられる。このような状況において、外科医は、必要性および適用例に応じて一つの手術中において本発明の様々な形態を使用する。手作業に適する本発明の形態を選択することによって、外科医が患者に外傷を負わせてしまう危険性が減少し、外科手術の効果を改善する。装置は開心術で多様に使用されるため、装置を心臓の組織へと付着させることについて以下に詳述するが、医療行為を実行するにあたり同様に別の領域に装置を付着させてもよい。
【0009】
装置は、心臓の表面のように滑りやすい身体の組織に付着することができるシール部材を有する。外科医は、シール部材を心臓の表面に付着させることによって、装置を処置することによって心臓を持ち上げたりまたは再び位置決めしたりする。装置は、効果的に心臓のある領域を安定化させるかまたは動かないようにするために付着領域近傍の冠状収縮を最小限にするような形態で心臓に付着せしめられてもよい。装置の付着は一時的であり、永続的ではない。装置は容易に組織に適用され、堅固に付着され、必要なだけ永く付着され、偶発的にはずれてしまう危険性を最小限にし、必要なときに容易に取り外せるように形成される。重要なこととしては、装置は、付着および取り外しによって組織が外傷を負ってしまう危険性を最小限にする。
【0010】
心臓の表面とシール部材を係合させるのに、シール部材はチャンバを画成する。シール部材は、さらにチャンバと流体的に通じる真空ポートを画成する。シール部材は部分的に形状追従性のある(compliant)材料で形成され、これによりシール部材が心臓の表面に一致することができるようになり、且つ心臓が収縮している間にも接触し続けることができるようになる。幾つかの場合、付着力は真空ポートを介して真空ポンプから加えられる真空圧によって改善され、真空圧によって少なくとも部分的にシール部材が変形して心臓の表面に対して実質的にシールを形成する。他の場合、付着力は別の機械的装置または流体圧装置によって改善される。
【0011】
幾つかの実施形態では、シール部材は複数のチャンバおよび複数の真空ポートを画成し、各真空ポートは各チャンバに流体的に接続される。各真空ポートに独立した真空圧を加えることで、シール部材の少なくとも一部は変形し、真空の補助によって装置と心臓との間で付着が行われることで表面に対して実質的にシールが形成される。複数のチャンバおよび複数の真空ポートを使用して各真空ポートに独立した真空圧を加えることで、付加的な安全性が提供される。シールされたチャンバの一つから漏れが生じても、他のチャンバには影響を及ぼさないため、一つのチャンバのシールが失敗しても付着は維持される。
【0012】
装置の付着力はシール部材を形成する特定の材料の使用によって補助される。特に、チャンバは部分的に準硬質材料によって形成され、例えばカップ形状で形成され、これにより構造的な完全性が提供され且つ真空圧下でシール部材の形が崩れるのが防止される。しかしながら、シール部材はチャンバと結合されるスカート状部材を備える。スカート状部材は、接触地点において心臓の組織への付着を促進させるように粘着性があって変形可能な材料で形成される。幾つかの実施形態では、粘着性があって変形可能な材料は、スカート状部材を生成するのに成型、溶着された、または他の方法で形成されたシリコーンゲルである。このような材料により、ポンプによって真空圧が加えられなくてもシール部材を心臓の組織に固定することができるようになる。
【0013】
粘着性があって変形可能な材料が真空圧と組み合わせて使用されるとき、装置は心臓に対して安全に且つ堅固に付着され、外科医が心臓を再び位置決めしたり心臓の一部の領域を動かないようにしたりすることができるようにする。スカート状部材を形成する粘着性があって変形可能な材料が心臓の外形に対して付着性および適合性を提供し且つ心臓の組織とのシール界面を提供しながらも、準硬質なチャンバの部分はシール部材に対して構造的な完全性を保つ。さらに、スカート状部材が変形すると、心臓の組織と接触する表面領域が増大する。表面領域が増大すると、付着用の接触面積が大きくなり、よって真空圧の結合力が広い組織の領域に亘って分配され、組織が外傷を負ってしまうことが減少する。
【0014】
一般に、チャンバを形成するのに適する材料は硬すぎて、心臓に対して虚血、血腫または他の外傷を引き起こしてしまう。本発明によれば、変形可能なスカート状部材を組み合わせることで、より硬いチャンバ材料と心臓との間で緩衝される。チャンバを形成するのに通常使用される材料にはほとんど粘着性がない。逆に、粘着性材料は通常、真空と組み合わせて付着を行うのには適していない。本発明の装置は、両方のタイプの材料の利点を利用した二つの部分から構成される。特に、変形しにくい材料は真空圧に耐えるチャンバを形成し、一方、変形可能で粘着性のある材料は、心臓の組織に対して非外傷性でありながら頑丈なシール表面を提供するスカート状部材を形成する。
【0015】
一つの実施形態では、本発明はチャンバを画成する壁と組織の表面と接触するように壁から延びるスカート状部材とを有するシール部材とを具備する臓器処置用の装置を提供する。スカート状部材は実質的に形状追従性(compliant)および粘着性を有し、これにより組織の表面への付着が促進せしめられる。装置はチャンバの内部と流体的に接続された真空ポートを有し、さらに真空ポートを通る流体の流れを調整するための弁とを有する。装置はその形状および大きさを変えることができる。
【0016】
別の実施形態では、本発明は心臓を取り扱うための方法を提供する。この方法は、心臓の尖部とシール部材とを係合させてチャンバを画成する工程を具備し、シール部材の少なくとも一部が心臓の組織に対する追従性および付着性を有し、チャンバに関連する真空ポートに真空圧を加え、漏れに対してチャンバを実質的にシールするようにシール部材の一部を変形させる工程と、心臓を持ち上げたり回転させたりするために把持地点としてシール部材を使用する工程とをさらに具備する。この方法はさらに、シール部材に組み込まれた電極を介して心臓の尖部に電圧または電流を供給することによって心臓のペースを整える工程を有してもよい。
【0017】
本発明は、心臓を取り扱うための別の方法を提供する。この方法は、心臓の尖部とシール部材とを係合させてチャンバを画成する工程を具備し、シール部材の少なくとも一部が心臓の組織に対する追従性および付着性を有し、シール部材は開口と可撓性を有する気密且つ液密な膜とを有し、シール部材の一部が漏れに対して実質的にするようにシール部材の一部が変形するように膜を開口に向かって吸引する工程と、心臓を持ち上げたり回転させたりするために把持地点としてシール部材を使用する工程とをさらに具備する。膜は機械的にまたは流体圧的に吸引される。
【0018】
更なる実施形態において、本発明は心臓を動かないようにするための方法を提供する。この方法は、動かなくする領域を画定するためにシール部材を使用する工程と、シール部材を心臓の表面と係合させてチャンバを画成する工程とを具備し、シール部材の少なくとも一部は心臓の組織に対する追従性および付着性を有し、シール部材の一部が漏れに対してチャンバをシールするように変形するようにチャンバに関連する真空ポートに真空圧を加える工程を具備する。
【0019】
詳細な説明
図1は、本発明の一つの実施形態の臓器を取り扱うための装置10の断面図である。図1に示したように、装置10はシール部材12を有する。シール部材12はカップ状部材14を有する。カップ状部材14は装置10の概括的な大きさおよび形状を画成し、様々な目的を達成するための構成要素を有する。図1の例では、カップ状部材14はカップ形状を形成するのに適するほぼ円形の構造体を画成する。カップ状部材14は真空ポート16と、真空チューブ20を受容するのに適するネック18とを有する。真空チューブ20はシーラント19によってネック18内にシールされる。真空チューブ20はコック栓21のような弁を有し、これにより真空チューブ20を介して空気が移動するのを防止したり、真空圧を迅速に開放させたりすることができる。あるいは、弁は真空ポート16またはネック18に設けられてもよい。
【0020】
真空圧が加えられたときに、チャンバ内の深くまで組織が引っ張られることが無いように、特に真空ポート16内へ引っ張られることが無いように、カップ状部材14はスペーサ22を包囲する。スペーサ22はカップ状部材14と一体的に形成されてもよいが、図1においてスペーサ22は別個の要素として示されている。スペーサ22は内側リング25に対して付勢される。スペーサ22は装置10から省略してもよい。カップ状部材14は、カップ状部材14とスカート状部材26との間の物理的接続を補助するフランジ24を有する。カップ状部材14およびスカート状部材26の内壁はチャンバ15を画成する。装置10の基礎構造のフレーム構成に加えて、カップ状部材14は堅固な構造体を提供し、これにより装置10が外科医または器具によってしっかりと把持される。このためカップ状部材14はハンドル、ノブまたは他の取付具(図示せず)のような構造体を有する。
【0021】
図1に示したように、装置10は如何なる組織にも付着しておらず、チャンバ15は閉じられずに開かれている。シール部材12が組織の表面と係合すると、チャンバ15は閉じられる。真空ポート16はチャンバ15と流体的に接続されている。シール部材12は部分的に組織の表面に適合することができる追従性のある(compliant)材料で形成されている。シール部材12の追従性は、シール部材12と心臓とが係合する場合に、心臓が収縮および弛緩している間シール部材12が接触し続けることができるような性質である。
【0022】
幾つかの場合、組織への付着は真空ポートおよび真空チューブ20を介して真空圧を加えることによって改良され、シール部材12の少なくとも一部が変形して実質的に組織の表面に対するシールを形成する。真空圧は例えば注射器のような様々な装置によって供給され、コック栓21によって維持される。一定の負圧源を用いてもよいが、必要ではない。
【0023】
カップ状部材14は、ポリカーボネート、ABS樹脂、ボリスルホン、ポリエステルおよびポリウレタン等の熱可塑性樹脂、チタン等の耐食性金属、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴムおよびポリウレタン等の硬質および準硬質弾性体を含む様々な材料から形成される。カップ状部材14はやや追従性あるが概して耐変形性を有する準硬質構造体を有する。逆に、スカート状部材26はシリコーンゲル、ヒドロゲルまたはクローズドセル発泡体等の実質的に追従性のある材料から形成される。このように、カップ状部材14が装置10に構造的な完全性を保たせ、一方、スカート状部材26が組織とのシール界面を提供する。また、スカート状部材26を形成する材料は粘着性のあるものでもよく、これにより組織の表面への付着が促進される。
【0024】
スカート状部材26の付着効果は材料の粘着性によってのみではなく、変形によってシール界面に提供される広い表面積によっても補助される。スカート状部材26はカップ状部材14のフランジ24を囲い且つフランジ24に連結される。図1に示した実施形態では、スカート状部材26は三つの構成要素を有する。一つの構成要素は主要リング28であり、この主要リング28は変形可能な追従性のある材料で形成されるが、通常、任意のシールを破断させてしまうほどには変形しない。主要リング28はチャンバ15の全体的な周辺部を形成する。第二の構成要素は補強要素30であり、この補強要素30は主要リング28内に埋め込まれ、カップ状部材のフランジ24内の固定機構32に固定される。
【0025】
一つの実施形態の補強要素30はバネ、ワイヤまたは形状記憶金属であり、概して変形に抵抗し、真空圧下で主要リング28の形が崩れてしまうのに抵抗する。補強要素30は主要リング28が変形することができるようにするが、使用時にシールを破断させてしまうほどには変形しない。また、補強要素30を使用することで、スカート状部材26の主要リング28を少量の材料で形成することができるようになる。スカート状部材26の第三の構成要素はシールが形成される主要リング28周りの領域上の粘着性材料34の層である。粘着性材料34は臓器の組織に付着し、且つ加えられていた真空がなくなると容易に解放する。粘着性材料34は追従性を有し、粘着性材料と接触する組織に適合することができる。粘着性材料34は主要リング28上にコーティングまたは成型されるか、または別個の構成要素として主要リング28上に接着される。また、主要リング28全体を粘着材料34で形成することもできる。
【0026】
主要リング28および粘着性材料34に適する材料は生体適合性のシリコーンゲルである。適切なシリコーンゲルの例はMED−6340およびGEL−8150であり、共にカリフォルニア州カーピンテリアのNuSilシリコーンテクノロジーから商業的に入手することができる。各ゲルは二つの構成要素から成る液体として提供され、構成要素は成分Aおよび成分Bで表され、共にブレンドされる。シリコーンの特性は概して成分Aおよび成分Bの混合比に依存する。一般に、成分Bに対する成分Aの比が増大すると柔らかく且つ粘着性のあるゲルが生成され、一方、成分Aに対する成分Aの比が増大すると硬く且つ粘着性の低いゲルが生成される。シリコーン弾性体のように、シリコーンゲルは架橋密度の範囲で製造される。しかしながら、シリコーンゲルは概して補強用充填材を含まず、よって高い可塑性および所望の表面に対する高い適合性を有する。その結果、シリコーンゲル材料の追従性および粘着性はより効果的なシールを提供するためにスカート状部材26に利用される。スカート状部材26のために、MED6340シリコーンゲル材料は、例えば直径6.35mmで19.5グラムのシャフトが約5秒で約5mmゲルを貫通するのが観測されるような硬度特性を示す。この硬度特性は必要ではないが、商業的に入手可能なMED6340材料で示される代表値である。
【0027】
一つの混合体は7単位の成分Bに対して約3単位の成分Bの割合で、すなわち約3:7の割合でMED−8150の成分Aおよび成分Bがブレンドされる。A:Bの割合が約3:7で混合されると、結果として生じるシリコーンゲルは主要リング28として使用するのに適する。この混合割合により、粘着性は小さいがカップ状部材から切断されないのに十分な堅固さのある材料が生成される。しかしながら、ゲルは硬いにも関わらず、ゲルは柔らかく且つ変形可能であり、よって深刻な外傷を負わせてしまうことなく臓器の組織に対してカップの形状のまま押し付けられる。全体的に硬いゲルから形成されるスカート状部材26は良好な真空シールを提供するように望まれているが、僅かな粘着性およびその結果生じる付着性が提供される。約4.5:5.5の割合でブレンドされたMED−6340の混合体は主要リング28として使用するのに適する材料を生成する。
【0028】
好適な実施形態において、A:Bの割合が約1:1でMED−6340が混合されると、結果として生じるシリコーンゲルは粘着性材料34として使用するのに適する。この材料は例えば心臓のような滑りやすい臓器に良好に付着し、さらに容易に成型することができる。加えて、この材料は組織の解離を最小限に抑える。この材料は主要リング28を形成するのに使用されるシリコーンゲルよりも非常に柔らかい。柔らかいゲルは心臓に対して損傷を与える危険性が事実上ほとんどない。しかしながら、全体的に柔らかいゲルから形成されたスカート状部材26は真空が存在すると容易に変形し、直ぐに真空シールを破断させてしまう。スカート状部材26は例えば主要リング28および粘着性材料34の内部成型によって形成される。スカート状部材26はカップ状部材14に接着されるかまたはカップ状部材14に連結される。あるいは、カップ状部材14は主要リング28および粘着性材料34の一方のまたは両方と共にインサート成型され、これにより一体的なシール部材12が生成される。粘着性材料34を形成する柔らかいゲルと主要リング26を形成する硬いゲルとの組合せおよび補強部材30による補強により、真空圧が加えられたときに心臓の表面に適合しながらも真空シールを破断させてしまうほどには変形しないように心臓の表面に付着するスカート状部材26が生成される。この組合せはシールを破断させてしまうことなく且つ心臓組織に外傷を負わせることなく鼓動する心臓のショックを吸収することができる。変形することで粘着性材料34によって提供される柔らかさおよび広い接触面積により、組織の損傷の可能性が低減される。
【0029】
図2は例示的な適用例である図1の装置10を示す。外科医40は心臓36にアクセスすることができ、心臓36の尖部38を覆うように装置10が配置される。心臓36は停止せしめられていない。装置10は尖部38に付着される。装置10の弁21が開位置のままにされると、心臓の鼓動および外科医の手40の圧力により心臓の組織がチャンバ15内に入ることができるようになり、チャンバから空気が移動される。心臓36の鼓動は各収縮の間に尖部38を反対方向に回転またはツイストさせる。回転移動により尖部38がシール部材12内へ移動し、よって真空チューブ20および開いている弁21を介して空気が放出され、尖部38が変形可能なスカート状部材26と係合する。外科医40は視覚的および触覚的に尖部38がスカート状部材26に侵入してスペーサ22と接触したか否かを決定する。尖部38がスカート状部材26に侵入すると、弁21が閉じられて空気が装置10内に流入するのが防止され且つ部分真空または負圧が装置内に形成される。大気圧は装置10を心臓の組織に固定し続けるように作用する。このように外部真空源を必要とせずに部分真空を生成することができる。さらに、部分真空または負圧は、図2に示したような尖部38を持ち上げるのに十分であり、且つ心臓36を90度の弧を介して移動させるのを補助する。スカート状部材26を形成するのに使用される材料は、スカート状部材26が心臓36の形状に密着するように適合するのに且つスカート状部材26が心筋組織に対して外傷を負わせないのに十分な可撓性および圧縮性がある。尖部38は各収縮毎にツイストし続けるが、シール部材12は外傷を負わせることなく尖部を保持する。装置10の取外しは空気が真空チューブ20を介して移動することができるように弁21を開くことによって行われ、これにより心臓の組織からスカート状部材26の内面が分離せしめられる。必要であれば、心臓36から装置10を迅速に取り外すのを容易にするためにチューブ20を介して空気を送り込む注射器または他の手段を用いてもよい。あるいは、装置10の内部から空気を除去するのに且つ大気圧で尖部38において組織に装置を保持することができるように、真空チューブ20を介して外部の真空源が用いられてもよい。この場合、コック栓21は空気が真空チューブ20に流入するのを防止するために閉じられ、その後、外部の真空源が取り外される。しかしながら、付加的な外部の真空源は必要とされない。図1に示した粘着性材料34は付着の促進を補助する。装置10の追従性のあるスカート状部材26は尖部38の形状に適合し、心臓の組織の周りに気密なシールを生成する。スカート状部材26の追従性により、心臓が収縮しているときでさえもシールが維持される。継続的に真空圧を加えることなく装置10と尖部38との間の真空シールが維持されるように、コック栓21が閉じられる。真空圧と粘着性とを組み合わせることで、装置10または真空チューブ20を操作することにより外科医40は心臓36を移動させることができる。図2は真空チューブ20を保持することによって尖部38を持ち上げ始める外科医40を示す。尖部38を持ち上げることによって、外科医40は心臓36を移動させることができ、心臓の別の領域にアクセスすることができるようになる。これにより、心臓の血流力学的機能を危険にさらすことなく鼓動する心臓36を取り扱うことができる。特に、外科医40は大動脈の血圧を下げることなく心臓36を装置10で持ち上げてもよい。加えて、装置10は心臓36との強固なシールを形成し、他の支持装置の必要なしで心臓36を取り扱うことができるようにし、尖部38に外傷を与えず、虚血、血腫または他の外傷を回避する。
【0030】
心臓に対する装置10全体の大きさを変えてもよい。開心術では、例えば、大きなカップ状装置が最も有効である。侵襲的でない手術では、切開部またはカニューレを介して挿入することができる大きさである小さいカップ状装置が有効である。
【0031】
図3aは、本発明の臓器処置用の装置42の一つの実施形態の断面図を示す。装置42は図1に示した装置10と同様な全体形状および構成であり、且つ装置42は図2と同様に例示的に利用される。特に、装置42は心臓36の尖部38を覆うように配置される。心臓36は停止せしめられない。装置42は尖部38に付着せしめられる。付着は粘着性材料34および真空圧を加えることによって促進される。
【0032】
装置42は電極46、48を有し、これら電極はヒス束50、52およびプルキンエ線維54の刺激によって心臓36のペースを整えるのに使用される。あるいは、図3bに示したように電極47および49をスペーサ22に配置してもよいし、装置の別の位置に配置してもよい。心臓の通常のペースメーカは洞結節(SA node)である(図3aには図示せず)。洞結節は上大静脈への開口部付近の右心房の壁の特定の小さな領域にある。洞結節内で起こされた活動電位は通常心臓の両心房に広がる。節間の伝導路が洞結節から房室結節(AV node)へと延びる(図3aには図示せず)。房室結節は心房と心室58、60との間の接続部付近にある特別な心筋細胞の小さな束である。ヒス束として知られる特定の細胞が心室中隔56を通って房室結節から延び、これらは左脚ヒス束50と右脚ヒス束52とに分かれる。両脚ヒス束50、52は心室60、58の先端周りで湾曲し、心臓36の外壁に沿って心房に向かって戻るように延びる。房室結節が洞結節から刺激を受容すると、僅かな房室結節での遅延の後に、衝撃がヒス束50、52を迅速に移動する。ヒス束50、52からプルキンエ線維54が延び、心室心筋62に亘って広がる。ヒス束50、52によって伝達される衝撃はプルキンエ線維54によって心室心筋62全体に送られる。ヒス束50、52およびプルキンエ線維54は通常の割合で単位時間当たりに20〜40の活動電位の充電を行う。ヒス束50、52およびプルキンエ線維54を刺激することで、心室心筋をより速い割合で鼓動させることができ、これにより心臓36のペースの維持を補助することができる。導電体を介して電圧源または電流源(図3a、図3bには図示せず)に接続された電極46、48、47および49は、ヒス束50、52およびプルキンエ線維54を刺激し、心臓36のペースを整えるのを補助する。スカート状部材28は尖部38に外傷を与えないように付着しているため、装置42は血腫または他の外傷を与えることなく長時間に渡って尖部38上に維持されることができる。加えて、尖部38上に装置42を配置することによって、手術領域との干渉を最小限にすることができる。同時に、装置42は必要であれば心臓36のペースを整えることができ、ペースを整えることが必要なくても所定位置に維持される。
【0033】
図4は本発明の臓器処置用の装置64の一つの実施形態の断面図を示す。装置64は図1の装置10と同様である。装置64の例示的な適用例は別に示す。図4に示した外科手術では、心臓を囲う心膜嚢66は開かれていない。心膜嚢66は心臓36を覆う二重壁の嚢である。心膜嚢66は頑丈な繊維性の心膜68である。心臓の表面は心外膜70として知られる。心膜腔72内の心膜液は心外膜70を潤滑し、心臓36が鼓動するときに心外膜と心膜との間の摩擦を低減させる。図4に示した装置は薬剤を心膜嚢66に投与することができるようにする。図4に示した装置64は、装置64が薬を搬送することができるようにするポート74を有することを除いて、図1に示した装置10と同様である。ニードル76がポート74を通って差し込まれる。装置64は心膜嚢66上に配置され、スカート状部材80上に配置される粘着性材料78の粘着性によって付着される。ニードル76に向かって心膜68の外側の層を吸引するのに真空圧が加えられる。この処置では概して心外膜70は同様には吸引されない。心膜68をニードル76に向かって吸引することにより、ニードル76は心膜68のみを貫通し、心外膜70は貫通しない。そして、薬剤が効果的に心膜嚢66の心膜液72搬送される。この方法での薬剤の搬送は、例えばエピネフリンを注入するとき、または心膜炎として知られる心膜嚢66のウイルスまたは細菌による感染症を治療するときに有用である。
【0034】
図5は本発明の別の臓器処置用の装置82の一つの実施形態の断面図である。装置82はシール部材84を有する。シール部材84はカップ状部材86を有する。カップ状部材86は装置82の概略的な大きさおよび形状を画定し、図5に示したようにカップ状の形状を形成するのに適したほぼ円形の構造体を画成する。カップ状部材86はカップ状部材86とスカート状部材90との物理的連結を補助するフランジ88を有する。スカート状部材90は図1のスカート状部材26と同様である。スカート状部材90は付加的に補強要素91を有する。
【0035】
シール部材84は臓器の組織の表面と係合する。シール部材84は部分的に追従性のある材料から形成され、この追従性材料は組織の表面と適合することができる。スカート状部材90は、臓器の組織に適合し且つ容易に付着する粘着性部材98を有する。加えて、装置82はカップ状部材86とスカート状部材90との間の境界面に固定された膜92を有する。膜92およびスカート状部材90はチャンバ100を画成する。膜92は可撓性を有する気密且つ液密な材料で構成され、この材料は破断することなく伸びる。膜92として使用するのに適する材料は、シリコーンゴムのような弾性体を含む。膜92の弾性力は変化してもよいが、約30デュロメータの膜は十分な弾力がある。膜92の中央に準硬質弾性材料または硬い弾性材料から成るディスク94が固定される。好ましくは、膜92は膜92とディスク94とが接触する全ての地点においてディスク94に固定される。実質的に硬い材料で形成されたシャフト96がディスク94の中央に固定される。ディスク94の厚さは均一でないのが好ましく、すなわち、先端の方が狭いかまたは薄い。カップ状部材86は開口102を有し、この開口102を通ってシャフト96が延びる。
【0036】
図6は装置82の断面図である。図6は、シャフト96が部分的に引っ込められていることを除いて図5と同様である。カップ状部材86を固定したままにし且つシャフト96を引っ込めることによって、膜92は開口102に向かって引っ張られ、これによりチャンバ100は広げられる。カップ状部材86に対するシャフト96の位置を維持するために、つまみネジまたはクランプのような停止機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0037】
図7は心臓36の尖部38と係合している状態の図5および図6の装置82を示す。装置82は開口102を介してシャフト96を引っ込めることで追従性のある粘着性材料98により部分的に尖部に付着され、組織をチャンバ100内へ吸引する。ポンプや注射器等の真空源なしで付着が行われる。幾つかの実施形態では、組織は組織が膜92と接触する程度までチャンバ100内へと吸引される。
【0038】
図8は本発明の別の臓器処置用の装置104の実施形態の断面図である。装置104は図5の装置82と同様であり、好ましくは可撓性を有する気密且つ液密な材料から製造される膜108を有する。膜108はカップ状部材112とスカート状部材106との境界面に固定される。カップ状部材112は液体チューブ114を受容するのに適する開口118およびネック120を有する。液体チューブ114はシーラント116でネック120にシールされる。
【0039】
第一チャンバ110は膜108とスカート状部材106とによって画成される。第二チャンバ122は膜108と、カップ状部材112の内面と、液体チューブ114とによって画成される。第二チャンバ122は水または含塩溶液のような液体124で満たされるのが好ましい。液体チューブ114を介して液体124が装置104から吸引されると、膜108は開口118に向かって吸引され、これにより第一チャンバ110が広がる。組織と係合していると、装置104は、追従性のある粘着性材料126によって、且つ流体チューブ114を介して液体124を抜き出すことで第一チャンバ110内に生成される圧力が低くなることによって組織に付着する。流体チューブ114を介して液体124を抜き出すことによって、流体圧で第一チャンバ110内に組織が吸引される。流体チューブ114を通る液体の流れを停止させるのに弁またはコック栓(図示せず)のような停止機構が使用され、これにより液体124が第二チャンバ122に再び流入するのが防止されることによって付着が促進される。
【0040】
図9は、本発明の別の臓器処置用の装置160の実施形態の平面図である。図9の実施形態では、シール部材162は構造部材164と二つのスカート状部材166、168とから形成される。構造部材164は大きさおよびリング状構造体を形成するのに適する概して環状形状とを画定する。リングは如何なる形状であってもよく、図9に示したようなほぼ楕円形の内径とほぼ楕円形の外形とを有する楕円形状はその一例である。リングはほぼ平面状であるか、または心臓のような臓器の表面に適するように湾曲している。シール部材162は真空チューブ154を受容するのに適する真空ポート150およびネック152を有する。真空チューブ154は、空気が真空チューブ154を介して移動するのを防止し且つ真空圧を迅速に解放することができるようにするためのコック栓(図示せず)のような弁を有する。あるいは、弁は真空ポート150またはネック152内に設けられてもよい。
【0041】
スカート状部材はリングの内径部または外径部または両方に連結される。好適な実施形態では、図9に示したように、内側スカート状部材168が内径部に連結され、外側スカート状部材166が外径部に連結される。
【0042】
加えて、構造部材164は硬い構造体を提供し、これによりリング状部材160は外科医または器具によってしっかりと把持される。図9では、取付具170が構造部材164に取付けられ、これによりしっかりと把持するための領域が提供される。取付具170は装置の他の場所に配置されてもよい。しっかりと把持するための領域を提供するのにハンドルまたはノブのような構造体が適している。構造部材164はポリカーボネート、ABS樹脂、ボリスルホン、ポリエステルおよびポリウレタン等の熱可塑性樹脂、チタン等の耐食性金属、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴムおよびポリウレタン等の硬質および準硬質弾性体を含む多くの材料から形成される。
【0043】
図10は図9に示したリング状装置と同一の装置160の側面図である。構造部材164およびスカート状部材166、168はほぼリング形状であるチャンバ167を画成する。構造部材164は構造部材164とスカート状部材166、168との間の物理的連結を補助するフランジ169を有する。スカート状部材166、168は補強部材(図10に図示せず)によって補強されてもよい。図10はさらに真空チューブ154に連結された弁153を示す。装置160が心臓の組織のような組織の表面に配置されると、装置160の内部から空気を取り除くように真空チューブ154を介して外部の真空源が適用される。弁153が閉じられると、大気圧が装置160を組織に対して保持し、外部真空源が取り外される。その後、付加的な真空源は必要とされない。図11に示した粘着性材料174は組織への付着の促進を補助し、追従性のあるスカート状部材171は気密なシールを生成するように組織の形状に適合する。
【0044】
図11は図9の装置160用の典型的なスカート状部材171の断面図を示す。スカート状部材171は内側スカート状部材であってもよいしまたは外側スカート状部材であってもよい。スカート状部材171はフランジ169周りにおいて構造部材164に連結される主要リング172を有する。さらに、スカート状部材171は図1に示したような補強部材30と同様な補強部材175で補強される。補強部材175は部分的に主要リング172内に埋め込まれ、構造部材164のフランジ169内に固定される。一つの実施形態において、補強部材175は図1に示した補強部材30のような概して変形に抵抗するバネ、ワイヤまたは形状記憶金属である。
【0045】
スカート状部材171は主要リング部材172に接着された粘着性の内側層174を有する。主要リング部材172は、おおよそ図1の主要リング28に関して説明した比率のシリコーンゲルから形成される。粘着性内側層174は、おおよそ図1の粘着性材料34に関して説明した比率のシリコーンゲルから形成される。
【0046】
図12は、本発明の別の臓器処置用の装置176の実施形態の平面図である。図9に示した装置160の全体形状および全体構成と同様であるが、図12に示した装置176は複合チャンバ178、180、182、184を有し、これらチャンバはそれぞれ真空ポート191、193、195、197を介してそれぞれ真空ライン190、192、194、196と流体的に接続される。全てのチャンバは他のチャンバと流体的に接続されていない。各チャンバ内の真空圧は、注射器または真空ポンプ(図示せず)のような手段によって他のチャンバとは別個に且つ独立して生成される。さらに、各チャンバ内の真空圧は弁またはコック栓(図示せず)のような手段によって他のチャンバとは別個に且つ独立して維持される。装置176の利点は、各チャンバが他のチャンバから独立して真空シールされることにある。一つのチャンバのシールが破断しても、必然的に装置176全体の真空圧の低下が起こるわけではない。こうして、装置176は、真空シールが或る領域で破断されて、そのチャンバ内の真空圧が失われても、組織へ付着し続けることができる。
【0047】
図13は、本発明の別の臓器処置用の装置200の実施形態の平面図である。図13に示した装置200は、図9の装置160と全体形状および構造が同様であるが、リングに替わってほぼC字状のチャンバ204を有する。装置の二つの先端部または「脚部」206、208をギャップ202が分離させる。C字形状は形状および寸法が変化してもよく、図13に示したようなほぼ楕円形の内径部とほぼ楕円形の外径部とを備えたほぼ楕円形状はその一例である。脚部206、208が互いに接触する必要のないときにはギャップ202はその大きさが変化してもよく、装置200はほぼU字状であることも想定される。
【0048】
図14は図13の装置200の例示的な応用例を示す。装置200は心臓36の表面の脈管210がC字内の中央に配置されるように位置決めされる。図11に示したスカート状部材171と同様なスカート状部材212、214は、所望の領域に付着させるのを補助する。心臓36の表面への付加的な付着力を提供するために真空ポート216を介して真空圧が加えられる。装置を心臓36に付着させると、装置200の内径部により外科手術用の作業領域218が形成される。作業領域218内では、心臓36が鼓動し続けても心臓36の収縮が減少し、これにより組織を安定化させる効果が得られる。こうして外科医は心臓36を停止させることなく作業領域218内の脈管210にアクセスすることができるようになる。
【0049】
図14に示した手術中には、部材が作業領域218内の脈管210に適用される。例えば、作業領域218内の脈管210または別の組織は止血鉗子のような医療器具によって捕獲される。外科医は、例えば脈管210の閉塞をバイパスさせて通常脈管210によって供給される心臓36の領域へ血液を供給するために、身体の他の領域の脈管219を物理的に脈管210に取り付ける血管移植を行う。このような場合、脈管219のような作業領域内の別の部材の障害となることなく装置200を取り外すことが望まれる。装置200がC字形状であるので、ギャップ202を広げてそのギャップに別の部材を通しつつ装置200を移動させることによって心臓から装置200を取り外すことができるようになる。
【0050】
図15は図9に示した装置160の利用例を示す。図15の装置160は取付地点170において固定装置220によって保持される。次いで、固定装置220は、開胸器(図示せず)または手術台(図示せず)のような比較的動かない物体に固定される。この構成の利点は、作業領域222は鼓動している心臓36の残り部分に対して、且つ患者に対して実質的に動かない。
【0051】
図16は本発明の別の臓器処置用の実施形態の装置224の平面図である。装置224は図13に示した装置200の全体形状および構成と同様であり、さらに第一電極226を有する。第一電極226はワイヤ228を介して電力供給器(図示せず)に接続され、ワイヤ228は真空チューブ230と同一の通路を通る。第一電極226は様々な領域において装置224の別の要素に固定されてもよい。第一電極226はチャンバ232に取り付けられるかまたはチャンバ232に部分的に組み込まれてもよいし、スカート状部材234に取り付けられるかまたはスカート状部材234に部分的に組み込まれてもよい。第一電極226は通常、装置224が組織と係合するときに電極226が組織に接触するように配置される。同一の電力供給源に接続された第二の調和電極が外科用メス(図示せず)に取り付けられてもよい。このような電極の構成は、電流が処置の一部である二極式の外科手術に有用である。二極式の外科手術では、外科用メスの第二電極と装置224の第一電極226との間を通る電流は切開に対する迅速な焼灼をすることができるようにする。
【0052】
図17は本発明の別の臓器処置用の装置236の実施形態の平面図である。装置236は図16に示した装置224の全体形状および構成と同様である。図16に示した装置224と同様に、装置236は第一電極238を有する。しかしながら、図17に示したように、装置236には別の外科用器具ではなく第二電極240が設けられる。両電極238、240は装置236が組織と接触すると組織と接触する。電極238、240はワイヤ242、244により関連の回路に連結される。装置236では、第一電極238は電気信号を送ることができ、第二電極240は第一電極238によって送られた電気信号を実質的に受信することができる。このような電極の構成は電流が手術の一部であるような外科手術等、様々な外科手術に有用である。本発明によれば、例えば外科医は電極間の組織のインピーダンスまたは他の特性、または組織に沿って電気信号を伝えるのに必要な時間を計測することを望む。さらに、両電極を外部のパルス発生器に連結して、心臓のペースを整えるのに使用してもよい。
【0053】
図18は二つを同時に利用した状態にある本発明の二つの実施形態の斜視図である。本発明の一つの実施形態は図1に示した装置のようなカップ状装置10、または42、82、104、280のような別の装置である。別の実施形態は図18に示したようなC字状装置236である。両装置10、236は同時に心臓36に適用される。図18のように、カップ状装置10は図2に示したような形態で心臓36の尖部38に付着せしめられる。尖部38を操作することによって、外科医は、心臓36を持ち上げたり回転させたりすることができ、これにより容易にアクセスすることができない組織の領域へアクセスすることができるようにすることができるようになる。そして、外科医は装置10を固定装置249に固定することにより、装置10を動かないようにしてもよい。装置10が適切に位置決めされると、装置10は固定装置249を開胸器または手術台に取り付けられることによってさらに動かないようにされる。図18では、心臓36は右心房250の領域にアクセスすることができるように持ち上げられ且つ回転される。C字状装置236が図14に示した形態と同様な形態で心房250に適用される。C字状装置236の係合は心臓の残りの部分に対して作業領域252内の組織を安定化させる。装置236は固定装置220に取り付けられ、固定装置220は開胸器または手術台に取り付けられる。右心房へアクセスすることができるようにするために、外科医は作業領域252内で手術を行う。例えば、外科医は作業領域252内の組織を切除するために切除プローブを使用してもよいし、電気伝導路を提供してもよい。このような電気伝導路の提供は、例えば不整脈の治療のような補助的なものである。伝導路が適切に提供されているかどうかを決定するために、外科医は電極238、240を用いて伝導時間またはインピーダンスのような値を計測してもよい。
【0054】
図19は本発明の別の実施形態のカップ状シール部材260の斜視図である。図20は図19のシール部材の断面側面図である。図19に示したように、シール部材260は上述した別のシール部材と幾分同様であり、真空圧を加えて心臓の表面に固定される内部チャンバ262を画成する。シール部材260は、例えばショアA型デュロメータで30〜70のシリコーン弾性体のような準硬質材料から形成される上方部分264を有する。下方スカート状部材266は上方部分264に連結されるかまたは上方部分264と共に成型され、ショアA型デュロメータで5〜10のシリコーン弾性体のような実質的な追従性材料から形成される。あるいは、スカート状部材266はシリコーンゲルから形成される。あるいは、スカート状部材266は追従性および粘着性を有し、シール圧力を高めたシリコーンゲルから形成される。上述したように、Nu−Silから入手可能なMED6340シリコーンゲル材料はスカート状部材266の構成に受容可能である。シール部材260は真空チューブおよび外部真空源に接続される真空ポート268を有する。また、シール部材260は二つの外側周辺リブ270、272を有し、これらリブは上方部分264に成型される。リブ270、272はシール部材260に強度を加え、これにより真空圧下で形が崩れてその結果シールが不十分になってしまうことが防止される。説明したように、スカート状部材266は斜表面274を提供し、これによりスカート状部材266の内径部276および外形部278の両方へのシールが促進される。
【0055】
図21は本発明の別の実施形態のカップ状シール部材280の斜視図である。図22は図21のシール部材280の断面側面図である。シール部材280は図19のシール部材260に対応するが、周辺リブ270、272が省略されている。
【0056】
図23は本発明の別の実施形態のカップ状シール部材282の斜視図である。図24は図23のシール部材282の断面側面図である。シール部材282は図21のシール部材280に対応するが、内側周辺リブ284、286が組み込まれている。
【0057】
図25は本発明の別の実施形態のカップ状シール部材288の斜視図である。図26は図25のシール部材288の断面側面図である。シール部材288は図19のシール部材260に対応するが、外側鉛直リブ290が組み込まれている。
【0058】
図27aは図19〜図26に示したようなシール部材に関するスカート部材の部分拡大図である。各シール部材に真空圧が加えられると、整合した斜表面274は内径部276と外形部278との両方において組織と接触するように下がり内側に且つ下方に曲がり、これにより広い表面の接触領域が生成されて効果的なシールを促進する。図27bは組織の表面275に付着する斜表面274を示す。
【0059】
図28は補強構造体と揺動連結部が組み合わされた本発明の更なる実施形態のシール部材292の側面図を示す。図29は図28のシール部材292の底面図である。図30は図28のシール部材292の更なる側面図である。図31は図28のシール部材292の平面図である。図32は図28のシール部材292の底面斜視図である。図示したように、シール部材292は、一組のフィンガ状延長部材298を備えた準硬質カップ状部材296を画成する上方部分294を有する。延長部材298周りには追従性のあるスカート状部材300を有する下方部分299が成型される。カップ状部材296はショアA型デュロメータが30〜70のシリコーン弾性体のような様々な材料から形成される。延長部材298は型成型によってカップ状部材296と一体的に形成される。スカート状部材300は延長部材298の下方においてリップ302へと延び、延長部材298の上方において参照番号304で示した溝へと延びる。延長部材298はこれら延長部材が低い程度でスカート状部材300に到達するように厚さおよび幅が薄い。延長部材298はシール部材292に対して付加的な指示部を提供し、真空圧下での形が崩れるのに抵抗するのを補助する。スカート状部材300は、ショアA型デュロメータが5〜10のシリコーン弾性体のような実質的に追従性のある材料で形成される。あるいは、スカート状部材300は追従性および粘着性を有し、シール圧力を高めるNu−Sil製のMED6340のようなシリコーンゲルから形成される。
【0060】
シール部材292は真空チューブ308を受容するように設計された揺動式取付具306を有する。揺動式取付具306は延長具または「ステム」309の形態であり、ステンレス鋼製のチューブ308の内側に付着される。シール部材292は、チューブがシール部材に対して例えば90度で曲げられたときにチューブを収容する「ノッチ」領域310を画定する。このような形態で、心臓の尖部を覆うようにシール部材を位置決めすることができるように、真空チューブが外科医によって尖部へと保持されている間に真空チューブ308はシール部材292に対して曲げられる。ステム309は凹部314内に配置された真空ポート312内へ挿入される。カップ状凹部領域314はステム309の長手軸線に対して約30度だけシール部材292を揺動させるのに十分な幅を有する。
【0061】
この構成は様々な利点を提供する。特に、シール部材292は構成および再構成するのが比較的簡単である。揺動能力により、シール部材292が尖部に固定されているときに各鼓動において心臓をツイストさせ且つ僅かに動かすことができるようになる。また、横方向の曲げ動作を減らすことによりシール部材292が自発的に尖部の中央にくることができる。さらに、シール部材292を真空チューブに対して90度の方向に向けることができ、ノッチ領域310に属する真空チューブを、心臓の処置をせずに尖部に取り付けることができる。心臓を持ち上げるために、真空チューブは徐々にノッチ領域310の外へと移動せしめられる。他の実施形態と同様に、シール部材292、特にスカート状部材300はペースを整えたり診断したりするために電極および導電体を組み合わせてもよい。
【0062】
図33は図28に示したようなシール部材と組み合わされる装置の側面図である。図33に示したように、シール部材292は真空チューブ308の長さ方向に連結され、真空チューブはシール部材292において末端部318を有し、真空源に連結された弁装置322において基端部320を有する。
【0063】
図34は図28に示したようなシール部材と組み合わされた装置の側面図である。シール部材292は心臓36の尖部38に係合せしめられる。シール部材292は真空チューブ330に連結される。真空チューブは手動で操作可能な弁332を有するかまたはこの弁332に連結され、さらにルーアー取付具のような取付具334を備える。圧力装置336は取付具334に連結される。図34に示した圧力装置336は可撓性を有するバルブ338、流入弁340、排出弁342を有する。バルブ338はゴムまたは弾性樹脂のような材料から形成され、変形後にその形状が元に戻るように付勢される。流入弁340は流体がバルブ338内に流入することができるように形成されるが、内部の弁開口344は流入弁340を介してバルブ338から流体が流出するのを防止するように付勢される。逆に、排出弁342は流体がバルブ338から流出することができるように形成されるが、バルブ338内に流体が流入するのに抵抗するようにまたはそれを防止するように付勢される。
【0064】
バルブ338が圧縮されると(346の状態)、流出バルブ342を通って空気が排出される。バルブ338が自由になると、バルブが変形していない形状に戻るようにバルブ338の内部の体積は広がり始める。バルブ338の内部の体積が広がるときに、バルブ338は流入弁340を介して空気を吸引し、これによりシール部材12と心臓36との間に部分真空が作り出される。部分真空は心筋組織とより強靱なシールを生成するようにシール部材292を変形させる。部分真空が作り出されると、手動で操作可能な弁332は閉じられ、部真空が維持される。そして、心臓36は装置292または真空チューブ330を移動させることによって操作される。ルーアー取付具のような取付具334の利点は圧力装置336を迅速に取付具334から取り外すことができることにある。ルーアー取付具の付加的な利点は、圧力装置336を迅速に反転させて流出弁342を取付具334に連結させることができることにある。この構成では、手動で操作可能な弁332が開かれると、バルブ338への加圧はチューブ330を介して空気を押しだし、心臓36からの装置292の迅速な取り外しを容易にする。
【0065】
図34は取り外し可能な圧力装置336の一つの実施形態を示す。圧力装置の別の形態は注射器やベローズのような様々なポンプを有する。弁332を閉じることによって負圧が維持されるため且つシール部材が尖部38に付着するのに連続的な負圧源を必要としないため、真空源または圧力装置336は付着力を損なうことなく取り外してもよい。真空源が外科領域から取り外されて外科手術の障害とならないため真空チューブ330から圧力装置336を取り外すことは有用である。
【0066】
図34はシール部材292と共に使用される圧力装置336を示すが、圧力装置336は上述した本発明の別の実施形態と共に使用されてもよい。
【0067】
添付の図面を参照して本発明の一つ以上の実施形態の詳細を説明した。本発明の他の特徴、目的および利点は上記説明および図面、および特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一つの実施形態の断面側面図である。
【図2】
図1に示した本発明の実施形態の斜視図であり、心臓を操作するように使用されている。
【図3】
図3aは本発明の別の実施形態の断面側面図であり、心臓の尖部と係合するように使用されている。
図3bは本発明の別の実施形態の断面側面図であり、心臓の尖部と係合するように使用されている。
【図4】
本発明の別の実施形態の断面側面図であり、心膜腔に薬剤を投与するように使用されている。
【図5】
本発明の別の実施形態の断面側面図である。
【図6】
図5に示した本発明の実施形態の断面側面図であり、シャフトが部分的に引っ張られている。
【図7】
図5に示した本発明の実施形態の断面側面図であり、シャフトが部分的に引っ張られ且つ心臓の尖部と係合している。
【図8】
本発明の別の実施形態の断面側面図である。
【図9】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図10】
図9に示した実施形態の断面側面図である。
【図11】
図10に示したようなスカート状部材の一部の拡大断面図である。
【図12】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図13】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図14】
心臓に用いられた図13に示した本発明の実施形態の斜視図である。
【図15】
心臓に用いられた図9に示した本発明の実施形態の斜視図である。
【図16】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図17】
本発明の別の実施形態の平面図である。
【図18】
心臓に用いられた図1に示した本発明の実施形態と図17に示した本発明の実施形態との斜視図である。
【図19】
本発明の別の実施形態のカップ状シール部材の斜視図である。
【図20】
図19のシール部材の断面側面図である。
【図21】
本発明の別の実施形態のカップ状シール部材の斜視図である。
【図22】
図21のシール部材の断面側面図である。
【図23】
本発明の別の実施形態のカップ状シール部材の斜視図である。
【図24】
図23のシール部材の断面側面図である。
【図25】
本発明の別の実施形態のカップ状シール部材の斜視図である。
【図26】
図25のシール部材の断面側面図である。
【図27】
図27aは図19〜図26に示したようなシール部材と組み合わされたスカート部材の拡大図である。
図27bは使用時における図27aのスカート部材を示す。
【図28】
本発明の更なる実施形態における補強構造体と揺動接続部とを組み合わせたシール部材の側面図である。
【図29】
図28のシール部材の底面図である。
【図30】
図28のシール部材の別の側面図である。
【図31】
図28のシール部材の平面図である。
【図32】
図28のシール部材の底面斜視図である。
【図33】
図28に示したようなシール部材と組み合わされた装置の側面図である。
【図34】
図28に示したようなシール部材と組み合わされた装置の側面図であり、可撓性バルブを示す。
Claims (17)
- チャンバを画成する壁と組織の表面と接触するように壁から延びるスカート状部材とを有するシール部材とを具備する臓器処置用の装置であって、
スカート状部材は実質的に追従性および粘着性を有し、これにより組織の表面との付着が促進せしめられる臓器処置用の装置。 - 上記壁はスカート状部材よりも実質的に変形し易く、これによりシール部材の構造的な完全性が保たれる請求項1に記載の装置。
- 上記チャンバの内部と流体的に接続された真空ポートと、真空ポートを通る流体の流れを調整するための弁とをさらに具備する請求項1に記載の装置。
- 上記チャンバの内部と流体的に接続された真空ポートと、組織が所定の距離を超えて真空ポートに吸引されるのを防止するように形成されたスペーサとをさらに具備する請求項1に記載の装置。
- 当該装置に固定された堅固な構造体をさらに具備し、外構造体は当該装置を操作することおよび患者の身体に対して動かないようにすることができるように形成された請求項1に記載の装置。
- 当該装置はほぼカップ形状であり、心臓の尖部に嵌るような大きさおよび形状である請求項1に記載の装置。
- 当該装置は概してリング形状を有する請求項1に記載の装置。
- 当該装置は概してC字形状である請求項1に記載の装置。
- 当該装置のC字形状はギャップを画成し、且つ当該装置はギャップを広げることができるように実質的に変形可能な装置である請求項8に記載の装置。
- 上記スカート状部材は上記シール部材の少なくとも一部を変形に抵抗させるための補強部材を具備する請求項1に記載の装置。
- 臓器の組織への付着を促進させる材料は追従性および粘着性を有するシリコーンゲルから形成される請求項1に記載の装置。
- 上記シール部材は第一シリコーンゲルから形成された第一部分と、第一シリコーンゲルよりも追従性を有する第二シリコーン部材から形成される請求項1に記載の装置。
- 上記シール部材は複数のチャンバを画成し、全てのチャンバは他のチャンバと流体的に接続されておらず、且つ、当該装置は各チャンバと流体的に接続された真空ポートを具備する請求項1に記載の装置。
- 上記壁とスカート状部材との間に固定され且つ可撓性を有する液密な膜と、
シール部材内の開口であって、該開口の軸線が上記膜に対してほぼ垂直であり且つ膜の中央地点を横断する開口と、
上記膜のほぼ中央地点に固定された実質的に準硬質なディスクと、
該ディスクの中央地点に連結され且つ上記開口を通ってディスクに対してほぼ垂直に延びる実質的に硬質なシャフトとをさらに具備する請求項1に記載の装置。 - 上記膜およびシール部材が流体圧チャンバ流体圧チャンバを画成し、当該装置は流体圧チャンバ内において流体圧液体をさらに具備する請求項14に記載の装置。
- 上記シール部材に固定された電極をさらに具備する請求項1に記載の装置。
- 上記チャンバの内部と流体的に接続された流体チューブと、
液体が上記流体チューブを通って移動するように流体チューブに連結される圧力源とを具備し、該圧力源はポンプ、注射器、および可撓性を有するポンピングバルブのうちの一つである請求項1に記載の装置。
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