JP2694384B2 - 医療用チューブ及び医療用チューブ保持具 - Google Patents

医療用チューブ及び医療用チューブ保持具

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Description

【発明の詳細な説明】 イ.産業上の利用分野 本発明は医療用チューブ及び医療用チューブ保持具に
関する。
ロ.従来技術 近年、開心手術やその他の手術の際に、体外において
補助的かつ一時的に心臓の機能を代替するための人工心
臓の開発が進められている。例えば第9図に示すよう
に、生体の心臓10の右心房と肺動脈との間や、左心房と
大動脈との間に夫々サック型血液ポンプ装置11が連結さ
れる。但し、同図では血液ポンプ装置11は一方のみを図
示してある。このような血液ポンプ装置は、我国でも世
界に先がけて研究されており、補助心臓として既に臨床
応用にも実施されている。
この血液ポンプ装置11はサック型と称されるものであ
り、主として耐圧性(例えばポリカーボネート或いはポ
リウレタン製)のハウジングアウターケース1と、この
ハウジングアウターケース内に気密に収納される偏平袋
状のサック型の血液チャンバー2とからなる。この血液
チャンバー2の上部には、血液チャンバーに連通して血
液導入管3と血液排出管4とが上向きにかつ略平行に形
成されている。血液チャンバー部の上部周囲には、ハウ
ジングの一部をなすフランジ部5を設けてあり、このフ
ランジ部によって血液チャンバーはハウジングアウター
ケース1内に気密に収納される。また、血液導入管3と
血液排出管4との各内部には、血液の逆流を防止する人
工の逆止弁6、7が装着してあり、これにより、血液導
入管3から血液チャンバー2内に導入された血液は、血
液排出管4より拍出されるようになっている。血液の拍
出は、ハウジングアウターケース1の底部に設けられた
ポート8を通じて駆動装置12によりエアホース13を介し
て流体、例えば圧縮空気及び減圧空気の導入、排出を交
互に行い、血液チャンバー外圧の変化に伴って血液チャ
ンバーが膨張、収縮を繰返すことによってなされるもの
である。なお、図中の18はコネクタ15に取付けられた流
量計であって、コネクタ内の血流量の測定値を駆動装置
12に供給している。
この血液ポンプ装置11を心臓10に接続するに際して
は、開胸手術を行い、吻合(ふんごう)術によって生体
の心臓に結合した各カニューレ14と血液チャンバー2側
の各血液導管3及び4とは、各コネクタ15の両端部から
夫々挿入される。そして、このようにカニューレ14を取
付けた後、カニューレ14の周りの皮下組織17を縫合し、
次いで体皮部(皮膚)16を外科用糸19で縫合して開胸手
術を行い、これによって胸腔内への外部からの感染(外
因感染等)を防ぐようにしている。
ところが、そうした状態で長期間(数時間〜約1ヵ月
間、特に1週間程度が最も多い。)血液ポンプ装置11を
駆動するため、その間に次のような問題が起こることが
本発明者の臨床結果から判明した。外部から上記の縫合
部20を通して細菌、バクテリア等が体内に侵入してしま
う。これは、外科用糸19による縫合ではシール性が良く
ないことによるものである。即ち、感染防止が不確実で
ある。この感染は最も注意すべき合併症を惹き起こす要
因ともなるため、これを考慮してカニューレ14の皮膚貫
通部に組織との密着性を良くするためにテフロンフェル
トやダクロンフェルト(図示せず)等を巻いて感染防止
をしているが、感染防止が不十分であって、より気密性
が高く外界との遮断効果のある感染防止方法が必要であ
る。
ハ.発明の目的 本発明は、感染を確実に防止でき、安全に医療行為が
遂行できる医療用チューブ及び医療用チューブ保持具を
提供することを目的としている。
ニ.発明の構成 第一の発明は、少なくとも、生体の表層に接触するチ
ューブ本体部分及びその近傍に、抗菌剤を含む筒状体が
外嵌されて一体化されている医療用チューブに係る。
第二の発明は、医療用チューブの先端側を生体内に挿
入して医療行為を行う際に前記医療用チューブを前記生
体の表層に固定させるために用いられ、表裏面間を貫通
する貫通孔が本体に設けられると共に、この本体の対向
した側面にそれぞれ生体部分嵌入用の溝が形成され、前
記貫通孔に所定角度をなす管状の医療用チューブ支持部
が嵌入されて固定され、前記本体及び前記医療用チュー
ブ支持部の少なくとも外面全体に、抗菌剤を含むシート
が外嵌されて固定されている医療用チューブ保持具に係
る。
第三の発明は、医療用チューブの先端側を生体内に挿
入して医療行為を行う際に前記医療用チューブを前記生
体の表層に固定させるために用いられ、前記医療用チュ
ーブを挿通保持する筒状部と、この筒状部を前記表層に
固定するために前記筒状部の外周囲に設けられたフラン
ジ部と、前記筒状部が前記フランジ部に対して弾性変形
可能となるように前記筒状部の内端からその軸方向に折
り返して折曲されて前記フランジ部に連設されている連
結部とを有し、少なくとも前記筒状部及び前記フランジ
部の内側面に抗菌剤が含まれており、前記筒状部及び前
記連結部が前記表層内に挿入されるように構成した医療
用チューブ保持具に係る。
ホ.実施例 以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1 この例は、第一の発明の実施例である。
第1図はカニューレの正面図、第2図は第1図のカニ
ューレを使用して心臓と補助心臓とを接続した状態を示
す第9図と同様の概略斜視図である。なお、第9図と共
通する部分には同じ符号を付して表してあり、これらに
ついては先に説明したと同様であるので説明を省略す
る。
カニューレ22は、第9図のカニューレ14と同様のカニ
ューレ本体14の一部に抗菌剤を含浸若しくは塗布又は含
浸及び塗布した筒状体21が外嵌して一体となった構造に
なっている。カニューレ本体14の先端部には、心臓10の
左心房10A又は上行大動脈10B中に挿入される先端部14a
と、吻合を確実かつ容易にするフランジ部14bとが設け
られている。筒状体21は、第2図の状態で体皮部16及び
皮下組織17に接触する位置及びその前後に亘ってカニュ
ーレ本体14に接着によって固着させてある。筒状体21
は、ダクロン(ポリエステル系合成繊維の商品名)から
なるフェルトに抗菌剤を含浸又は塗布してなるものであ
って、抗菌剤を含浸させたポリウレタン系接着剤の溶液
を塗布して接着によってカニューレ本体14の所定位置に
接着させ、筒状にしてこれに固定される。この場合、筒
状体21は予め抗菌剤を含んだ状態でカニューレ本体21に
外嵌され、一体に固定されるものであるため、その外嵌
以前に予め所定の寸法、サイズに作製しておけば、筒状
体を外側から嵌め込むのみで常に所望の位置(即ち、特
に抗菌性を必要とする位置)へ確実に固定することがで
き、その作業も容易である。ダクロンは、生体組織の侵
入が良いために、長期間使用後に生体からの離脱が困難
になる。従って、補助心臓の場合、治癒後に離脱するこ
とを前提としているため筒状体21は、生体組織に対して
適度の侵入性を有することが望ましく、この例ではポリ
−L−ロイシンを含浸させて上記侵入性を少し低下させ
たダクロンフェルトを使用している。前記の接着はカニ
ューレ製造の工程中でなされる。
抗菌剤含浸は、抗菌剤溶液にダクロンのフェルトを浸
漬した後乾燥して行うが、これに使用する抗菌剤溶液中
の抗菌剤の有効な濃度は、(10mg〜5g)/100ccであり、
(500〜1000mg)/100ccが好ましい濃度である。抗菌剤
塗布は、ポリマーの塗布剤中に抗菌剤を分散させた塗布
剤を使用するが、塗布剤中の抗菌剤の有効な濃度は(10
0mg〜20g)/100ccであり、(500mg〜5g)/100ccが好ま
しい濃度である。含浸と塗布との双方を施すと、抗菌効
果が増大する。抗菌剤の種類としては、ペニシリン系,
セフェム系,マクロライド系,クロラムフェニコール
系,テトラサイクリン系,リンコマイシン系,アミノ配
糖体系,ポリペプチド系等が挙げられ、単体或いは併用
して使用する。特にペニシリン系が多用される。
抗菌剤にアンビシリンナトリウム(合成ペニシリン製
剤)を使用し、次のような実験を行った。
含浸用抗菌剤溶液中の抗菌剤濃度を500mg/100ccとし
て製作してなる筒状体を取付けたカニューレ及び塗布剤
中の抗菌剤濃度を2g/100ccとして製作してなる筒状体を
取り付けたカニューレを使用し、次のような培養試験を
行った。
実験動物として山羊を使用し、第2図のように左心房
10A、上行大動脈10Bと血液ポンプ装置11とを接続した。
接続後、2週間以上(抗生物質の投与を停止する期間)
経過した時点で、送血カニューレに付設したサンプリン
グライン14Aから無菌的に血液を採取し、その2〜3ccを
50ccのブレインハートインヒュージョンブイヨン培地に
加え、フラン器で37℃で菌の培養を行った。但し、試料
調整は段階希釈法によった。毎日1回観察し、菌の発育
が認められない場合は14日間培養を行った。以上の試験
は、主に、葡萄球菌、連鎖球菌、腸内細菌等の検出につ
いて行っった。更に、チオグリコレートの培地を用いて
嫌気性菌の検査をも行い、感染症の有無について総合的
に判断した。上記試験のほか、排尿時に無菌容器に尿を
採用し、上記のブレインハートインヒュージョンブイヨ
ン培地による血液からの菌培養と同様にして培養試験を
行った。
以上の試験の結果、菌の発育が認められた例は、平均
で21.7日間の動物実験を行った36例中皆無であり、感染
症のおそれは全くなかった。なお、第9図に示した従来
のカニューレを使用した場合は、平均で17.7日間の動物
実験を実施した。23例中2例が感染症を起こしていた。
実施例2 この例及び後述の実施例3は、第二の発明の実施例で
ある。
手術に際し、人工心臓を使用してこれを補助的かつ一
時的に心臓の機能を代替するには、理想的な人工胸壁を
形成してカニューレを保持するのが良い。そのために
は、人工胸壁形成用部材には次のようなことが望まれ
る。
(1)材料は適度な組織適合性並びに優れた抗血栓性及
び感染防止性を有すること。
(2)正中切開された胸骨の間を、カニューレの部分を
除いて総て埋めるようにすること。
(3)正中切開された胸骨に略隙間なく密着し、而もこ
の胸骨と強固に固定できる構造であること。
(4)患者の体格に応じて或る程度同一物が適用できる
こと。
(5)カニューレの貫通位置にについて或る程度の融通
性を持たせられること。
(6)カニューレを固定する部分を有すること。
(7)カニューレを隙間なく保持して患者の体内と外部
とを遮断できる気密性を有すること。
(8)術後に気管チューブの抜管を可能にし、患者の全
身状態の改善、精神的圧迫感を解消できること。
(9)正中切開された胸骨に対して着脱が容易であるこ
と。
第3図〜第5図は、上記(1)〜(9)の条件を満足
する人工胸壁形成用部材を示し、第3図は平面図、第4
図は第3図のIV−IV線矢視断面図、第5図は第3図のV
−V線矢視断面図である。
人工胸壁形成用部材31は、本体32とカニューレ支持部
33A、33Bとシート38A、38B、38C、38Dとからなってい
る。
本体32は、軟質塩化ビニルからなっていて、上下面を
貫通する図に於いて左右に細長で下広がりの2個の貫通
孔32a、32bが設けてあり、両側面には全長に亘って溝32
cが設けてある。本体32の平面形状寸法は、標準的な胸
骨が正中切開されて左右に押開かれた状態での平面形状
寸法に沿う形状としてある。溝32cの断面形状寸法は、
標準的な胸骨の断面形状寸法に合う形状寸法として胸骨
嵌入時に隙間ができないようにしてある。即ち、全長l1
が195mm、図に於いて左側端部(胸骨の上端部に対応)
の高さt1が10.5mm、胸骨柄の部分の最大厚さに対応する
最大高さt2が13.5mm、図に於いて右側端部(胸骨の下端
部に対応)の高さt3が8mmとしてあって、全体が上方へ
彎曲する形状になっている。溝32cの深さWは、正中切
開された胸骨が安定に嵌入するよう、6mmとしてある。
カニューレ支持部33A、33Bは、夫々本体32の貫通孔32
a、32bの寸法に合わせた漏斗状周壁34A、34Bと、カニュ
ーレの外径に合わせた内径を有しかつ本体32に対して所
定の角度で傾斜する管37A、37Bとからなっていて、柔軟
性のある軟質塩化ビニルによって一体成形されてなって
いる。周壁34A、34Bを本体32の貫通孔32a、32bに夫々嵌
入し、カニューレ支持部33A、33Bが本体に固定される。
管37A、37Bの下端中心は、本体32の右側端面からの距離
l2、l3を夫々70mm、135mmとしてあり、管37A、37Bの外
壁dは20mmとしてある。l1、l2の寸法は、カニューレ先
端を所定の位置に位置できるように設定されたものであ
る。
シート38Aは、本体32を包むようにしてこれに接着に
よって貼付けられていて、本体32から左右に離れている
シート部分38Bが皮膚及び皮下組織に縫合される。ま
た、管37Aにはシート38Cが、管37Aにはシート38Dが外嵌
接着している。シート38A、38B、38C、38Dは、前記実施
例1における筒状体21と同様に、生体組織の侵入性を調
整したダクロンのフェルトからなっていて、抗菌剤を含
浸又は塗布してある。シート38Aは本体32上下面及び両
側面の溝32cを包むようにして本体32に接着、貼付けら
れる。シート38Bは、その端縁部が本体32の溝32cの上面
に接着したシート38Aに接着される。以上の各接着の要
領は、前記実施例1におけると同様である。
以上のようにして人工胸壁形成用部材31が完成する。
胸骨は、軟骨であるので、正中切開後に容易に左右に
押開くことができ、この押開かれた間に本体32を侵入
し、正中切開された胸骨を左右の溝32cに嵌入させ、こ
れらと肋骨とによって容易に人工的に胸壁を構成するこ
とができる。
第6図は、第3図〜第5図の感染防止具を使用し、心
臓の左心房と上行大動脈にカニューレを介して血液ポン
プ装置を接続した状態を示す。
まず、皮膚16及び皮下組織17を切開し、その下の胸骨
40Sを正中切開する。次に、予め管37A、37B及び本体32
の貫通孔32a、32b(又はカニューレ支持部33A、33Bの貫
通孔36A、36B)に夫々挿通しておいたカニューレ14、14
を患者の体内に挿入し、これらの先端を心臓の左心房10
A、上行大動脈10Bに夫々吻合する。カニューレ14、14の
後端側は、第9図によって先に説明したように、血液ポ
ンプ装置11に接続される。
次に、正中切開された胸骨40Sを左右に押開いて本体3
2の両側面の溝32cに嵌入させ、糸39Aで縛ることによ
り、本体32は胸骨40Sに隙間なく安定に固定される。こ
の作業は前述したように容易に遂行できる。
次に、シート38Bを皮膚16及び皮下組織17に糸39Bによ
って縫合する。管37A、37Bは、柔軟性を有するので、外
側から糸39C及びシート38C、38Cによって締付けられ、
カニューレ14、14に密着して両者の間がシールされる上
に、その柔軟性の故にクッションとして機能し、血液ポ
ンプ装置の駆動による心臓への衝撃を緩らげる。図中、
40Rは肋骨である。
このようにしておいて、血液ポンプ装置11を駆動させ
ながら生体心臓の回復を待つことが可能となる。
カニューレ14、14は、管37A、37Bに密着し、かつ、管
37A、37Bには抗菌剤を含浸又は塗布したシート38C、38D
が貼付けられているので、細菌が外部から侵入すること
がなく、感染が確実に防止される。その上、、胸骨40S
に固定された本体32に対して所定の角度で固定されてい
るので患者体内に安定に結合され、患者の体位変換時や
ガーゼ交換時に位置ずれを起こすことがなく、安定して
いる。
また、本体32及び管37A、37Bと皮膚16、皮下組織17と
は、適度な生体組織適合性を有するシート38A、38C、38
Dを介して結合されている。
これらシート38A、38B、38C、38Dは、適度な多孔性を
有し、組織の侵入を容易にし、感染防止の効果を上げて
いる。
胸骨40Sは、正中切開されていても、本体32にシート3
8Aを介して密着しているので、呼吸のための運動が可能
であり、患者の呼吸機能が回復したら直ちに気管チュー
ブ(図示せず)を抜管することができ、その後、患者に
苦痛を与えることがない。更に、本体32の貫通孔32a、3
2b及びカニューレ支持部33A、33Bの漏斗状周壁34A、34B
は細長にしてあるので、カニューレ14、14は貫通方向に
余裕があり、その方向を患者の或る程度の体格の差に対
して適応できる。
また、補助心臓を離脱する際、カニューレを取外すと
きは、糸39A、39Cを切断し、糸39Bによる縫合を解除し
てから胸骨40Sを押開して本体32を外し、血液ポンプ装
置11の駆動を停止し、次いでカニューレ14、14の吻合を
解除して左心房10A、上行大動脈10Bから体外に取外し、
吻合部各々を縫合してから正中切開された胸骨40Sを元
に復元せしめ、皮膚16及び皮下組織17の切開部を縫合す
る。
本体32の胸骨40Sからの取外しも、前記取付け時と同
様に容易である。
本体32は、大小数種類を用意し、患者の体格に応じて
適宜の大きさのものとを使用する。
以上説明した感染防止具は、心臓移植を必要とする患
者が心臓が提供される迄の間、中継ぎとして長期間補助
心臓を使用するような場合に於いて特に有用である。
シート38A、38B、38C、38D中の抗菌剤の種類、含浸量
を前記実施例1におけると同様として実施例1と同様の
培養試験を行った。使用した人工心臓(血液ポンプ装
置)には、一体成形法(特公昭62−02538)によって造
られたものと、割り型を使用してのスラッシュ成形法
(特開昭62−041663)によって造られたものとの2種類
を使用した。
その結果、いずれの人工心臓を使用した場合でも菌の
発育は12例中(平均28日、最大90日)1例も認められ
ず、実験動物(山羊)には感染症の発育は皆無であっ
た。
実施例3 この例は、第9図の手術中、カニューレ14が変形した
ときに患者の不快感や苦痛をやわらげるよう、前記実施
例2の人工胸壁形成用部材に替えて、カニューレ挿通保
持用のカフを使用した例である。
第7図はカフの拡大斜視図、第8図はカフを使用して
カニューレ先端側を生体内に挿入した状態の拡大断面図
である。
カフ50は、カニューレ14を挿通保持する円筒部51と;
この円筒部51の外周囲に設けられた固定用のリング状フ
ランジ部52と;円筒部51がフランジ部52に対して弾性変
形可能となるように、円筒部51の内端からその軸方向に
(前方へ)折曲されてフランジ部52に連設されている連
結部53とを有している。このカフ50自体は、その内方側
が例えばポリエステル織布層(前述のダクロン)54から
なっており、この織布層54の外面が例えばポリウレタン
層55でバッキング(裏打ち)されている。織布層54に
は、前記各実施例におけると同様、抗菌剤を含浸又は塗
布してある。ポリウレタン層55は、その外端側で比較的
肉厚となって円筒部51自体を形成しており、かつその肉
厚部56の内周面は後記の接着剤によってカニューレ14に
接着固定される。
このように、カフ50は、上記の連結部53の存在によっ
て、円筒部51が比較的自由にしかも体壁に圧力を及ぼす
ことなしに弾性変形することができる。これを第8図に
ついて説明すると、カフ50のフランジ部52は縫合糸57に
よって体壁(具体的には体皮16)に固定され、かつ円筒
部51は上記肉厚部56の内面に接着剤(例えば速硬化性シ
アノクリレート)58を塗布してカニューレ14に固定され
る。
従って、一点鎖線のようにカニューレ14が外圧によっ
て変形しようとすれば、このときの圧力は、上記連結部
53を介してカフ50自体も追随して弾性変形するために、
体壁側に実質的に伝わることなく、効果的に吸収される
ことになる。また、カニューレ14の上記した変形による
圧力だけでなく、血液ポンプ装置(第9図の11)からの
振動等も十二分に吸収できることになる。
また、特にリング状フランジ部52を体表に縫合後、上
記の接着剤58によってカフ50とカニューレ14との密着性
を高め(これは、更に外面を糸59で結紮すれば効果十分
となる。)、かつ内面側の織布層54によって体皮16との
癒着性が良好となり、更にポリウレタン層56によって織
布層54を通しての体液の漏出を防止している(なお、こ
れは、上記糸57による固定で一層効果がある)。この結
果、体内と体外との間で液が漏出したり、ガスが侵入す
ることがなく、感染を十分に防止することができる。こ
うした感染防止シール効果に加えて、このカフ50は堅固
に体壁に固定されているために位置ずれや離脱のおそれ
は全くない。しかも、上記の円筒部51と連結部53が生体
の表層(16、17)内に挿入されるために、この表層に対
するカフ50の固定位置が安定し、カニューレ14を常に所
望の位置に取り付けることができる。
織布層54には前述したように抗菌剤を含浸又は塗布し
てあるので、外部から細菌が生体内に侵入することがな
く、前記実施例1、2と同様に感染症発生のおそれがな
い。
織布層54にはスルファジアジン銀を50mg/100ccとして
塗布した。このカニューレを使って次のような培養試験
を行った。
実験動物としは山羊を使用し、前記実施例1と同様の
培養試験を行った。使用した人工心臓は実施例1と同様
の物とした。その結果、いずれの人工心臓を使用した場
合でも菌の発育は10例中(平均25日、最大79日)1例も
認められず、実験動物(山羊)には感染症の発生は皆無
であった。
カフ50の取付けは次のようにして行う。常法によって
先端部が左心房及び上行大動脈に縫合された各カニュー
レの後端側から体壁外でカフを外嵌し、次いで、円筒体
をカフ円筒部(第8図の51)の外周上に差し込む。次
に、円筒体を体壁の切り口から内部へ押し込んでポリウ
レタン層(第8図の55)の折曲部に挿入し、カフを所定
位置に移動させておいてから円筒体を抜き、カフを体壁
に縫合する。
第一及び第二の発明は、上記のカニューレ接続のほ
か、患者への輸液投与に使用するカテーテルの固定保
持、その他流体導管を生体に長期間結合するのにも適用
可能である。この場合、固定すべき対象は、生体の適宜
の部分であって良く、医療用チューブやその保持の形状
寸法は、固定する対象に適応する適宜の形状寸法とす
る。また本発明は人以外の生体の手術にも適用可能であ
る。
ヘ.発明の効果 第一の発明による医療用チューブは、少なくとも生体
の表層に接触する本体部分及びその近傍に、抗菌剤を含
む筒状体を設けているので、外部から細菌が生体内に侵
入することが確実に防止され、その結果、感染による合
併症発生のおそれがなく、医療行為が安全に遂行され
る。しかも、筒状体は予め抗菌剤を含んだ状態で医療用
チューブ本体に外嵌され、一体に固定されるものである
ため、その外嵌以前に予め所定の寸法、形状に作製して
おけば、筒状体を外側から嵌め込むのみで常に所望の位
置(即ち、特に抗菌性を必要とする位置)へ確実に固定
することができ、その作業も容易である。
第二の発明による医療用チューブ保持具は、表裏面間
を貫通する貫通孔が本体に設けられると共に、この本体
の対向した側面にそれぞれ生体部分嵌入用の溝が形成さ
れ、前記貫通孔に所定角度をなす管状の医療用チューブ
支持部が嵌入されて固定され、前記本体及び前記医療用
チューブ支持部の少なくとも外面全体に、抗菌剤を含む
シートが外嵌されて固定されているので、このシートに
よって、保持具の全域で細菌の侵入を防止することがで
き、感染が確実に防止される。その上、胸骨などの生体
部分が上記の溝に嵌入するため、その生体部分に保持具
本体を堅固に固定でき、この固定された保持具本体に対
して所定の角度をなすチューブ支持部に医療用チューブ
が保持されるので、医療用チューブが生体内に安定に結
合され、生体の体位変換時やガーゼ交換時に位置ずれを
起こすことがなく、安定している。
第三の発明による医療用チューブ保持具は、医療用チ
ューブを挿通保持する筒状部と、この筒状部を生体の表
層に固定するために前記筒状部の外周囲に設けられたフ
ランジ部と、前記筒状部が前記フランジ部に対して弾性
変形可能となるように前記筒状部の内端からその軸方に
折り返して折曲されて前記フランジ部に連設されている
連結部とを有し、少なくとも前記筒状部及び前記フラン
ジ部の内側面に抗菌剤が含まれており、前記筒状部及び
前記連結部が前記表層内に挿入されるように構成してい
るので、上記抗菌剤によって感染を確実に防止できる上
に、上記の連結部の存在によって、筒状部が比較的自由
にしかも体壁に圧力を及ぼすことなしに弾性変形するこ
とができ、また、医療用チューブの変形による圧力だけ
でなく、血液ポンプ装置からの振動等も十二分に吸収で
きることになる。また、上記の筒状部と連結部が生体の
表層内に挿入されるために、この表層に対する医療用チ
ューブ保持具の固定位置が安定し、医療用チューブを常
に所望の位置に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は第一の発明の実施例を示すものであ
って、 第1図はカニューレの正面図、 第2図は第1図のカニューレを使用して生体の心臓及び
動脈と血液ポンプ装置とを接続した状態の概略斜視図 である。 第3図〜第8図は第二の発明の実施例を示すものであっ
て、 第3図は人工胸壁形成用部材の平面図、 第4図は第3図のIV−IV線断面図、 第5図は第3図のV−V線断面図、 第6図は人工胸壁形成用部材の使用状態を示す概略斜視
図、 第7図はカフの拡大斜視図、 第8図はカニューレを挿通保持した使用時のカフの拡大
断面図 である。 第9図は血液ポンプ装置の従来の使用状態を示す概略斜
視図である。 なお、図面に示された符号に於いて、 10A……心臓の左心房 10B……上行大動脈 11……血液ポンプ装置 14……カニューレ本体又はカニューレ 16……皮膚 17……皮下組織 21……含抗菌剤円筒体 22……カニューレ 31……人工胸壁形成用部材 32……本体 32a、32b……貫通孔 32c……溝 33A、33B……カニューレ支持部 34A、34B……漏斗状周壁 37A、37B……管 38A、38B、38C、38D……含抗菌剤シート 40S……胸骨 50……カフ 51……円筒部 52……フランジ部 53……連結部 54……含抗菌剤織布層 55……ポリウレタン層(バッキング層) 58……接着剤 である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも、生体の表層に接触するチュー
    ブ本体部分及びその近傍に、抗菌剤を含む筒状体が外嵌
    されて一体化されている医療用チューブ。
  2. 【請求項2】医療用チューブの先端側を生体内に挿入し
    て医療行為を行う際に前記医療用チューブを前記生体の
    表層に固定させるために用いられ、表裏面間を貫通する
    貫通孔が本体に設けられると共に、この本体の対向した
    側面にそれぞれ生体部分嵌入用の溝が形成され、前記貫
    通孔に所定角度をなす管状の医療用チューブ支持部が嵌
    入されて固定され、前記本体及び前記医療用チューブ支
    持部の少なくとも外面全体に、抗菌剤を含むシートが外
    嵌されて固定されている医療用チューブ保持具。
  3. 【請求項3】医療用チューブの先端側を生体内に挿入し
    て医療行為を行う際に前記医療用チューブを前記生体の
    表層に固定させるために用いられ、前記医療用チューブ
    を挿通保持する筒状部と、この筒状部を前記表層に固定
    するために前記筒状部の外周囲に設けられたフランジ部
    と、前記筒状部が前記フランジ部に対して弾性変形可能
    となるように前記筒状部の内端からその軸方向に折り返
    して折曲されて前記フランジ部に連設されている連結部
    とを有し、少なくとも前記筒状部及び前記フランジ部の
    内側面に抗菌剤が含まれており、前記筒状部及び前記連
    結部が前記表層内に挿入されるように構成した医療用チ
    ューブ保持具。
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