JPWO2006022200A1 - ステージ装置及び露光装置 - Google Patents

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Abstract

物体を保持してガイド部材に沿って駆動可能な可動部を小型化又は軽量化できるとともに、その可動部を駆動する際の振動がその物体に伝わりにくいステージ装置である。ガイド面(31a)の上方に直交するように配置されるY軸ガイド(33Y)及びX軸ガイド(33X)と、これらに沿って移動するY軸スライダ(39)及びX軸スライダ(40)と、Y軸スライダ(39)及びX軸スライダ(40)に連結されてウエハ(W)を保持するウエハステージ(WST)とを備え、Y軸スライダ(39)とX軸スライダ(40)とを柔構造の連結部材によって連結する。

Description

本発明は、物体を駆動するためのステージ装置に関する。さらに本発明は、ステージ装置を備えて、例えば半導体デバイスや液晶ディスプレイ等の各種デバイスを製造する際に所定のパターンを基板上に転写するために使用される露光装置に関する。
例えば半導体デバイスの製造工程の一つであるリソグラフィ工程においては、マスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)に形成されているパターンを基板としてのフォトレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写露光するために、露光装置が使用されている。露光装置としては、ステッパー等の一括露光型(静止露光型)の投影露光装置やスキャニングステッパー等の走査露光型の投影露光装置(走査型露光装置)などが使用されている。
これらの露光装置において、レチクルやウエハの位置決めや移動を行うステージ装置の構成は、除振性能、露光精度(位置決め精度等)等の装置性能、及び露光装置の製造コスト等に大きく影響する。従来のステージ装置のうちで、ウエハの位置決め及び移動を行うウエハステージ系は、一例として2本の平行な第1のガイド部材と、これらのガイド部材に沿ってリニアモータ等の駆動装置によって駆動される第2のガイド部材と、ウエハを保持してその第2のガイド部材に沿ってリニアモータ等の駆動装置によって駆動される剛性の高い可動ステージとを備えていた(例えば、特許文献1参照)。
また、ステージ装置から発生する振動を低減して、露光精度を向上させるために、ステージ装置のガイド部材も移動できるようにしたカウンターバランス方式のステージ装置も開発されている(例えば、特許文献1参照)。このステージ装置においては、そのガイド部材に沿って別のガイド部材又は可動ステージを駆動する際に、運動量保存則を満たすように又は駆動反力を相殺するようにそのガイド部材が逆方向に移動する。
国際公開第01/47001号パンフレット
上述の如く、従来のウエハステージ系においては、ガイド部材に沿って駆動される可動ステージにウエハが保持されていた。言い換えると、可動ステージ内に、ガイド部材に沿って駆動されるスライダ及び駆動装置の可動子が一体的に組み込まれていた。そのため、剛性が高く高価な部材を含む可動ステージの小型化及び軽量化が困難で、露光装置の製造コストが高いとともに、その可動ステージの駆動速度を高めるためには、駆動装置の出力を高める必要があった。さらに、そのガイド部材に沿って可動ステージを駆動する際に、駆動装置で発生する振動がウエハに伝わり易く、露光精度をより向上させる際にその振動が問題になる恐れがあった。
また、その可動ステージには、通常ウエハの高さ及び直交する2軸の周りの傾斜角を制御するための機構(以下、「Zレベリング機構」と呼ぶ。)が組み込まれている。しかしながら、その可動ステージ内にスライダ及び可動子が一体的に組み込まれている構成では、Zレベリング機構の構成の制約が大きいという不都合があった。
また、ステージ装置で発生する振動の影響を低減させるために、カウンターバランス方式でガイド部材を移動できるようにした場合には、そのガイド部材の位置が次第にずれて行くのを防止するために、そのガイド部材を駆動するための別の駆動装置が必要になる。そのため、ステージ装置の構成が複雑化して、露光装置の製造コストも高くなるという不都合があった。
本発明は斯かる点に鑑み、物体を保持してガイド部材に沿って駆動可能な可動部を小型化又は軽量化できるとともに、その可動部を駆動する際の振動がその物体に伝わりにくいステージ装置を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、物体を保持する可動部を駆動装置によってガイド部材に沿って駆動できるとともに、その物体の高さ等を制御するための機構を容易に組み込むことができる除振性能に優れたステージ装置を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、比較的簡単な構成で可動部を駆動する際の反力の影響を軽減して、振動の発生を抑制できるステージ装置を提供することを第3の目的とする。
また、本発明は、そのようなステージ装置を備えて、除振性能又は装置性能(露光精度等)の改善された露光装置を提供することをも目的とする。
本発明による第1のステージ装置は、物体を駆動するステージ装置において、ベース部材と、そのベース部材のガイド面に沿って配置された第1のガイド部材と、そのガイド面に沿ってその第1のガイド部材に交差するように配置された第2のガイド部材と、その第1及び第2のガイド部材に沿ってそれぞれ移動自在に配置された第1及び第2のスライダと、その第1のスライダとその第2のスライダとを連結する柔構造の連結部材と、その物体を保持してそのガイド面上に移動自在に配置されるとともに、その第1及び第2のスライダに連結される可動ステージとを備えたものである。
本発明によれば、その第1及び第2のスライダは柔構造の連結部材を介して連結される。柔構造の部材は小型軽量化が可能であるため、本発明によれば、その2つのスライダを一体的に形成する場合に比べて、必要な剛性を得た状態で可動部(2つのスライダ、可動ステージ、及びこれらの連結部材を含む部分)の軽量化が可能となる。また、2つのスライダの機械的な相互干渉が低減される。そのため、一方のスライダで発生する振動が他方のスライダに伝わりにくいため、それらのスライダを介してその可動ステージを駆動する際に、それらのスライダを駆動する際の振動がその物体に伝わりにくくなり、振動遮断特性が向上する。
言い換えると、本発明によれば、装置内で剛構造の部材の占める割合が減って、柔構造が取り入れられる。一般に柔構造は、剛構造と逆の特性を持ち、軽量で低価格であり、柔構造の構造によっては振動を遮断したり、熱変位を受け流すという好ましい特性を得ることもできる。本発明においては、装置性能に直接影響する部分に剛構造を用い、振動の伝達や熱変位の影響を遮断すべき部分や剛構造同士を結合する部分においては柔構造を用いることが可能となりため、装置性能を高く維持した状態で機構部を軽量化できる。
本発明において、その連結部材は、一例としてフレクシャー機構を備えたロッド部材を含むものである。このようなロッド部材は製造及び組み込みが容易である。
また、一例として、その第1及び第2のスライダは、それぞれその第1及び第2のガイド部材に装着された筒状部材である。これによって、それらのスライダは対応するガイド部材に沿って安定に移動する。
また、その第1及び第2のガイド部材をそれぞれ互いに交差する方向に駆動する第1及び第2の駆動機構と、その第1及び第2のスライダに対してその可動ステージの少なくとも一部を微動する微動機構とをさらに備えてもよい。そのガイド部材の駆動機構は粗動機構とみなすことができる。このようにガイド部材を交差する2方向に駆動する場合には、スライダには粗動機構を組み込む必要がないため、可動部がさらに軽量化できる。また、その微動機構によって、残存する位置決め誤差や走査露光時の同期誤差等を高速に補正できる。
また、その第1及び第2のガイド部材はそれぞれ中空構造であってもよい。これによって、可動部をさらに軽量化できる。
次に、本発明による第2のステージ装置は、物体を駆動するステージ装置において、ベース部材と、そのベース部材のガイド面に沿って配置されたガイド部材と、そのガイド部材に沿って移動自在に配置されたスライダと、その物体を保持してそのガイド面と交差する方向に移動可能な可動ステージと、そのスライダとその可動ステージとを連結する柔構造の連結部材とを備えたものである。
本発明によれば、スライダ及び可動ステージが柔構造の連結部材を介して連結される。従って、スライダ及び可動ステージを一体的に形成する場合に比べて、剛構造の部材の占める割合が減って、可動部の軽量化が可能となる。さらに、その連結部材によってそのスライダをそのガイド部材に沿って駆動するための駆動機構(粗動機構)の振動が遮断され、熱変位の影響も軽減される。
また、その物体を保持してそのガイド面と交差する方向に移動可能であるとは、その物体の高さ(そのガイド面の法線方向の位置)や傾斜角を制御可能であることを意味する。本発明によれば、そのスライダに連結する形で、その高さや傾斜角を制御する機構を容易に組み込むことができる。
本発明において、一例として、その可動ステージは、互いに独立にそのガイド面と交差する方向の位置に駆動する3つの駆動部材と、この3つの駆動部材に支持されたその物体を保持するテーブル部とを備え、その連結部材は、その3つの駆動部材のうちの2つの駆動部材とそのスライダとを連結する。
このように3つの駆動部材を持つことで、その物体の高さ及び直交する2軸の周りの傾斜角を制御できる。また、それらの駆動部材に柔構造の連結部材を介してスライダを連結することで、それらの駆動部材とそのスライダとの間の応力又は相互干渉を低減できるとともに、その物体の高さや傾斜角を制御する機構をさらに容易に組み込むことができる。
また、一例として、そのテーブル部は、その駆動部材に組み込まれた気体軸受け機構によってその駆動部材上に気体層を介して浮上支持される。なお、床からの振動がベース部材を介してステージ装置に伝わる場合には、この振動を相殺するようにその3つの駆動部材を制御すれば、除振性能が向上する。
また、その3つの駆動部材は、この駆動部材よりも柔構造の連結機構を介して相互に連結されていてもよい。これによって、変形応力が低減されるとともに、可動部の一層の軽量化が可能となる。
また、そのテーブル部はそのガイド部材よりも比剛性の高い材料から形成されていてもよい。比剛性とは、剛性を単位体積にかかる重量で除した値であり、比剛性の高い材料は、軽くかつ高い剛性を持っている。一例として、比剛性の高い材料はセラミックスであり、それよりも比剛性の低い材料はアルミニウムである。そのテーブル部にはその物体が保持されるため、そのテーブル部の剛性を高めることで、その物体の位置決め等を高精度に行うことができるとともに、そのテーブル部は軽量であるため位置決め等を高速に行うことができる。また、比剛性の高い材料は比較的高価であるが、ガイド部材には比剛性の小さい材料を使うことで、製造コストを低減できる。この場合、そのテーブル部の座標をレーザ干渉計等を用いて高精度に計測することが望ましい。
また、そのガイド部材をそのガイド面に沿って駆動する駆動機構と、そのスライダに対してその可動ステージの少なくとも一部を微動する微動機構とをさらに備えてもよい。そのガイド部材を駆動することで、そのスライダを小型化及び軽量化できるとともに、その微動機構でその可動ステージの例えばテーブル部をそのスライダに対して駆動することで、残存する位置決め誤差や同期誤差を高速に補正できる。
次に、本発明による第3のステージ装置は、物体を駆動するステージ装置において、設置面上に載置されたベース部材と、その物体を保持してそのベース部材のガイド面上に移動自在に配置された可動ステージと、その可動ステージに連結された可動子と、移動可能に支持された固定子とを有し、その可動ステージを駆動する駆動装置と、そのベース部材とは独立して設けられ、その可動ステージを駆動した際に発生する反力を受けるフレームと、その固定子とそのフレームとの間に配置され、移動可能な質量体と、その固定子とその質量体とを連結する第1連結部材と、その質量体とそのフレームとを連結する第2連結部材とを備えたものである。
斯かる本発明によれば、その可動ステージ(可動部)を駆動する際にその固定子に作用する反力は、その質量体及びそのフレームを介してその設置面に伝達される。この際に、その質量体は移動可能であるため、その反力のうちの高周波成分はその質量体で減衰されて、その反力のうちの主に低周波数成分がその設置面に伝えられる。低周波数の振動に対してはその設置面の減衰効果は大きい。また、そのフレームが静止しているため、その固定子の位置が次第に大きくずれていくことがなくなり、その固定子の位置を中立位置側に戻す駆動機構を省くことができる。従って、比較的簡単な構成で可動部を駆動する際の反力の影響を軽減できる。
本発明において、その固定子はそのベース部材上に配置されていてもよい。この場合、その固定子は、例えば板ばねのような復元力のある弾性部材を介して固定することができる。これによって、その固定子の位置は殆ど変化しなくなるため、その固定子を小型化できる。
また、一例として、その質量体はそのベース部材上に配置されていてもよい。別の例として、その質量体はそのベース部材とは別の部材又はその設置面上に配置されていてもよい。
また、その第1及び第2連結部材の少なくとも一方は、コイルばねを含むことができる。そのコイルばねと質量体とによって、その可動ステージを駆動する際の反力の高周波数成分を減衰させることができる。
また、一例として、その固定子の質量は、その質量体の質量よりも重い。これによって、その反力を低減させる機構を小型化できる。
また、その固定子は、その可動ステージを挟むように2箇所に配置されており、その2箇所の固定子は例えば連結部材を介して連結されていてもよい。これによって、その2箇所の固定子にかかる反力を平均化できる。
次に、本発明による第4のステージ装置は、物体を駆動するステージ装置において、ベース部材と、そのベース部材のガイド面に沿って配置された中空構造のガイド部材と、そのガイド部材に沿って移動自在に配置されたスライダと、その物体を保持してそのガイド面上に移動自在に配置されるとともに、そのスライダに連結される可動ステージとを備えたものである。
本発明によれば、そのガイド部材は柔構造の軽量な部材とみなすことができる。従って、一例としてそのガイド部材を駆動することによって、そのスライダ及びその可動ステージを駆動する場合には、可動部が軽量化できる。さらに、そのガイド部材が柔構造であるため、そのガイド部材を駆動する際の振動がその物体に伝わりにくい。
次に、本発明による第5のステージ装置は、物体を駆動するステージ装置において、ベース部材と、その物体を保持してそのベース部材上を移動可能な可動ステージと、そのベース部材のガイド面にその可動ステージの第1側面に沿って配置された第1のガイド部材と、その第1のガイド部材に沿って移動自在に配置された第1のスライダと、その第1のスライダに設けられた第1固定子と、その可動ステージに設けられた第1移動子とを有し、その可動ステージを第1方向に駆動する第1駆動装置とを備えたものである。
本発明によれば、可動ステージの側面にガイド部材を配置しているため、その可動ステージ(可動部)を小型化又は軽量化できる。また、側面からその可動ステージを駆動するために、駆動時の振動がその物体に伝わりにくい。
本発明において、一例として、その第1移動子はその第1側面に設けられている。
また、そのベース部材のガイド面にその可動ステージの第1側面と直交する第2側面に沿って配置された第2のガイド部材と、その第2のガイド部材に沿って移動自在に配置された第2のスライダと、その第2のスライダに設けられた第2固定子と、その可動ステージに設けられた第2移動子とを有し、その可動ステージをその第1方向と直交する第2方向に駆動する第2駆動装置とを備えてもよい。
また、その第2移動子はその第2側面に設けてもよい。
また、その第1のスライダと連結され、その可動ステージをそのガイド面と交差する方向に駆動する第3駆動装置を備えてもよい。
また、その第2のスライダと連結され、その可動ステージをそのガイド面と交差する方向に駆動する第3駆動装置を備えてもよい。
また、その第1のガイド部材をその第1方向に駆動する第4駆動装置を備えてもよい。
また、その第2のガイド部材をその第2方向に駆動する第5駆動装置を備えてもよい。
次に、本発明による露光装置は、パターンを投影系を介して基板上に転写露光する露光装置において、本発明のいずれかのステージ装置を用いてその基板を駆動するものである。
本発明のステージ装置は、柔構造又は移動可能な質量体を備えており、可動部の軽量化又は振動の影響の軽減が可能となる。従って、本発明の露光装置によれば、製造コストの低減、除振性能の向上、又は装置性能(露光精度等)の向上が可能となる。
本発明の第1、第2、及び第5のステージ装置によれば、剛構造と柔構造とを組み合わせることができるため、可動部を小型化又は軽量化できるとともに、その可動部を駆動する際の振動が物体に伝わりにくく除振性能に優れている。
この第2のステージの発明において、3つの駆動部材のうちの2つの駆動部材とスライダとを連結する場合には、物体の高さ等を制御するための機構を容易に組み込むことができる。
また、本発明の第3のステージ装置によれば、比較的簡単な構成で可動部を駆動する際の反力の影響を軽減して、振動の発生を抑制できる。
また、本発明の第4のステージ装置によれば、中空のガイド部材を備えているため、可動部の軽量化及び除振性能の向上が可能となる。
本発明の実施形態の投影露光装置の概略構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態の投影露光装置のウエハステージ系を示す斜視図である。 図2からウエハテーブルWTBを取り除いた状態を示す斜視図である。 図2中のウエハステージWST及びY軸スライダ39を示す一部を切り欠いた側面図である。 (A)は図2中のウエハテーブルWTBを示す平面図、(B)は図2中のアクチュエータ54X及びウエハテーブルWTBの端部を示す側面図である。 図3中の平板状フレクシャー41Aを示す拡大図である。 図3中のアクチュエータ53XA〜53YBの固定子のスライダ39,40に対する取り付け状態、及びZレベリング機構55のスライダ39,40に対する連結状態を示す要部の斜視図である。 図2から粗動機構の固定子の機構及びウエハステージWSTを取り外した状態を示す斜視図である。 図2中のY軸ガイド33Y、X軸ガイド33X、Y軸スライダ39、及びX軸スライダ40の位置関係を示す一部を切り欠いた斜視図である。 (A)はY軸スライダ39とX軸スライダ40との連結状態を示す斜視図、(B)は図10(A)中のロッド58Aを示す拡大図である。 (A)は図2中のX軸ガイド33Xの構造の一例を示す斜視図、(B)はX軸ガイド33Xの構造の他の例を示す斜視図である。 図2中のリニアモータ44XAからフレーム部材43Cまでの部材を簡略化して示す図である。 図12の機構を用いた場合のリニアモータの推力及び関連する部材の変位のシミュレーション結果の一例を示す図である。 図12の変形例の機構を示す図である。 図14の機構を用いた場合のリニアモータの推力及び関連する部材の変位のシミュレーション結果の一例を示す図である。 (A)は本発明の第2の実施形態の投影露光装置のウエハステージ系の概略構成を示す平面図、(B)は図16(A)の状態からウエハテーブルWTBを移動した状態を示す平面図である。 図16(B)の状態における投影光学系PLとウエハステージ系との位置関係を示す要部の正面図である。 本発明の第3の実施形態の投影露光装置のウエハステージ系の概略構成を示す斜視図である。
符号の説明
R…レチクル、W…ウエハ、PL…投影光学系、WST…ウエハステージ、WTB…ウエハテーブル、31…ウエハベース、31a…ガイド面、33Y…Y軸ガイド、33X…X軸ガイド、39…Y軸スライダ、40…X軸スライダ、41A,41B…平板状フレクシャー、43C…フレーム部材、44XA,44XB,44YA,44YB…リニアモータ、47A〜47D…ダンパー部材、46A〜46D,50A,50B…コイルばね、53XA,53XB,53YA,53YB…ボイスコイルモータ方式のアクチュエータ、54X,54Y…EIコア方式のアクチュエータ、55…Zレベリング機構、56A〜56C…Z軸アクチュエータ、58A,58B…ロッド
[第1の実施形態]
以下、本発明の好ましい第1の実施形態につき図1〜図15を参照して説明する。本例は、ステッパー等の一括露光型の投影露光装置、又はスキャニング・ステッパー等の走査露光型の投影露光装置に本発明を適用したものである。
図1は、本例の投影露光装置を構成する各機能ユニットをブロック化して表した図であり、この図1において、投影露光装置を収納するチャンバーは省略されている。図1において、露光用の光源としてKrFエキシマレーザ(波長248nm)又はArFエキシマレーザ(波長193nm)よりなるレーザ光源1が使用されている。その露光用の光源としては、その他のF2 レーザ(波長157nm)のような発振段階で紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からの近赤外域のレーザ光を波長変換して得られる真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、或いはこの種の露光装置でよく使われている水銀放電ランプ等も使用できる。
レーザ光源1からの露光ビームとしての露光用の照明光(露光光)ILは、レンズ系とフライアイレンズ系とで構成される均一化光学系2、ビームスプリッタ3、光量調整用の可変減光器4、ミラー5、及びリレーレンズ系6を介してレチクルブラインド機構7を均一な照度分布で照射する。レチクルブラインド機構7で所定形状(一括露光型では例えば四角形、走査露光型では例えばスリット状)に制限された照明光ILは、結像レンズ系8を介してマスクとしてのレチクルR上に照射され、レチクルR上にはレチクルブラインド7の開口の像が結像される。均一化光学系2、ビームスプリッタ3、光量調整用の可変減光器4、ミラー5、リレーレンズ系6、レチクルブラインド機構7、及び結像レンズ系8を含んで照明光学系9が構成されている。
レチクルRに形成された回路パターン領域(パターン)のうち、照明光によって照射される部分の像は、両側テレセントリックで投影倍率βが縮小倍率の投影光学系PLを介して基板(感応基板又は感光体)としてのフォトレジストが塗布されたウエハW上に結像投影される。一例として、投影光学系PLの投影倍率βは1/4又は1/5等、像側開口数NAは0.7、視野直径は27〜30mm程度である。投影光学系PLは屈折系であるが、その他に反射屈折系等も使用できる。レチクルR及びウエハWはそれぞれ第1物体及び第2物体とみなすこともできる。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図1の紙面に平行な方向にX軸を、図1の紙面に垂直な方向にY軸を取って説明する。本例の投影露光装置が走査露光型の場合には、Y軸に沿った方向(Y方向)が、走査露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向であり、レチクルR上の照明領域は、非走査方向であるX軸に沿った方向(X方向)に細長い形状となる。
そして、投影光学系PLの物体面側に配置されるレチクルRは、レチクルステージRST(マスクステージ)に真空吸着等によって保持されている。一括露光型の場合には、レチクルステージRSTは、レチクルベース(不図示)上をX方向、Y方向、Z軸の周りの回転方向に微動してレチクルRの位置決めを行う。一方、走査露光型の場合には、レチクルステージRST(ステージ)は、レチクルベース(不図示)上をエアベアリングを介して少なくともY方向(走査方向)に定速移動する。レチクルステージRSTの移動座標位置(X方向、Y方向の位置、及びZ軸の周りの回転角)は、レチクルステージRSTに固定された移動鏡Mrと、投影光学系PLの上部側面に固定された参照鏡(不図示)と、これらに対向して配置されたレーザ干渉計システム10とで逐次計測される。なお、レーザ干渉計システム10は、実際には少なくともX方向に1軸及びY方向に2軸の3軸のレーザ干渉計を構成している。
また、レチクルステージRSTの移動は、リニアモータや微動アクチュエータ等で構成される駆動系11によって行われる。レーザ干渉計システム10の計測情報はステージ制御ユニット14に供給され、ステージ制御ユニット14はその計測情報及び装置全体の動作を統轄制御するコンピュータよりなる主制御系20からの制御情報(入力情報)に基づいて、駆動系11の動作を制御する。
一方、投影光学系PLの像面側に配置されるウエハWは、不図示のウエハホルダを介してウエハステージWST(可動ステージ)上に真空吸着等によって保持されている。ウエハステージWSTは、ウエハWを吸着保持するウエハテーブル(詳細後述)と、ウエハWのフォーカス位置(Z方向の位置)及びX軸、Y軸の周りの傾斜角を制御するためのZレベリング機構(詳細後述)とを含んでいる。ウエハステージWSTは、ガイド面(不図示)上にエアベリングを介してX方向、Y方向に移動自在に載置されるとともに、微動機構を介して不図示のスライダに連結され、このスライダが不図示のガイド部材に沿ってX方向、Y方向に駆動される。
一括露光型の場合には、ウエハステージWSTは、ガイド面上をX方向、Y方向にステップ移動する。走査露光型の場合には、ウエハステージWSTは、走査露光時に少なくともY方向に定速移動できるとともに、X方向及びY方向にステップ移動できるように、ガイド面上に載置される。ウエハステージWSTの移動座標位置(X方向、Y方向の位置、及びZ軸の周りの回転角)は、投影光学系PLの下部に固定された参照鏡Mfと、ウエハステージWSTに固定された移動鏡Mwと、これに対向して配置されたレーザ干渉計システム12とで逐次計測される。移動鏡Mw、参照鏡Mf、及びレーザ干渉計システム12は、実際には少なくともX方向に2軸及びY方向に1軸の3軸のレーザ干渉計を構成している。また、レーザ干渉計システム12は、実際にはさらにX軸及びY軸の周りの回転角計測用の2軸のレーザ干渉計も備えている。
図1において、ウエハステージWSTの移動は、リニアモータ及びボイスコイルモータ(VCM)等のアクチュエータで構成される駆動系13によって行われる。レーザ干渉計システム12の計測情報はステージ制御ユニット14に供給され、ステージ制御ユニット14はその計測情報及び主制御系20からの制御情報(入力情報)に基づいて、駆動系13の動作を制御する。
また、投影光学系PLの下部側面に、ウエハWの表面の複数の計測点にスリット像を投影する投射光学系23Aと、その表面からの反射光を受光してそれらのスリット像の再結像された像の横ずれ量の情報を検出して、ステージ制御ユニット14に供給する受光光学系23Bとから構成される斜入射方式の多点のオートフォーカスセンサ(23A,23B)が固定されている。ステージ制御ユニット14は、そのスリット像の横ずれ量の情報を用いてそれら複数の計測点における投影光学系PLの像面からのデフォーカス量を算出し、露光時にはこれらのデフォーカス量が所定の制御精度内に収まるように、オートフォーカス方式でウエハステージWST内のZレベリング機構を駆動する。なお、斜入射方式の多点オートフォーカスセンサの詳細な構成については、例えば日本国の特開平1−253603号公報に開示されている。
また、ステージ制御ユニット14は、レーザ干渉計システム10による計測情報に基づいて駆動系11を最適に制御するレチクル側のコントロール回路と、レーザ干渉計システム12による計測情報に基づいて駆動系13を最適に制御するウエハ側のコントロール回路とを含んでいる。本例の投影露光装置が走査露光型である場合に、走査露光時にレチクルRとウエハWとを同期走査するときは、その両方のコントロール回路が各駆動系11,13を協調制御する。また、主制御系20は、ステージ制御ユニット14内の各コントロール回路と相互にコマンドやパラメータをやり取りして、オペレータが指定したプログラムに従って最適な露光処理を実行する。そのために、オペレータと主制御系20とのインターフェイスを成す不図示の操作パネルユニット(入力デバイスと表示デバイスとを含む)が設けられている。
さらに、露光に際しては、予めレチクルRとウエハWとのアライメントを行っておく必要がある。そこで、図1の投影露光装置には、レチクルRを所定位置に設定するためのレチクルアライメント系(RA系)21と、ウエハW上のマークを検出するためのオフアクシス方式のアライメント系22とが設けられている。
また、レーザ光源1がエキシマレーザ光源であるときは、主制御系20の制御のもとにあるレーザ制御ユニット25が設けられ、この制御ユニット25は、レーザ光源1のパルス発振のモード(ワンパルスモード、バーストモード、待機モード等)を制御するとともに、放射されるパルスレーザ光の平均光量を調整するためにレーザ光源1の放電用高電圧を制御する。また、光量制御ユニット27は、ビームスプリッタ3で分割された一部の照明光を受光する光電検出器26(インテグレータセンサ)からの信号に基づいて、適正な露光量が得られるように可変減光器4を制御するとともに、パルス照明光の強度(光量)情報をレーザ制御ユニット25及び主制御系20に送る。
そして、図1において、一括露光型の場合には、照明光ILのもとでレチクルRのパターンを投影光学系PLを介してウエハW上の一つのショット領域に投影する動作と、ウエハステージWSTを介してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作とがステップ・アンド・リピート方式で繰り返される。一方、走査露光型の場合には、レチクルRへの照明光ILの照射を開始して、レチクルRのパターンの一部の投影光学系PLを介した像をウエハW上の一つのショット領域に投影した状態で、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを投影光学系PLの投影倍率βを速度比としてY方向に同期して移動(同期走査)する走査露光動作によって、そのショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。その後、照明光ILの照射を停止して、ウエハステージWSTを介してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作と、上記の走査露光動作とを繰り返すことによって、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の全部のショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。
次に、本例の投影露光装置のウエハステージWST及びこの駆動機構を含むウエハステージ系の構成及びその動作につき詳細に説明する。以下では、本例の投影露光装置が一括露光型である場合について説明するが、走査露光型にも同様に適用できることは明らかである。
図2は、本例の投影露光装置のウエハステージ系を示し、この図2において、例えば半導体デバイス製造工場のクリーンルーム内の床FL(設置面)上に平板状のウエハベース31(ベース部材)が防振装置(不図示)を介して設置されている。なお、不図示の防振装置は省略する構成としても良い。ウエハベース31の上面は高平面度に仕上げられたガイド面31aであり、ガイド面31aはZ軸に垂直であるとともに、ほぼ水平面に平行である。床FL上にウエハベース31をY方向及びX方向に挟むように、それぞれ1対の細長いベース部材42A,42B及び42C,42Dが設置され、ベース部材42Aとベース部材42Dとの交差部付近にベース部材43Aが設置され、ベース部材43Aに対して+X方向側の床FL上に、ステージを駆動する際の反力を受けるための角柱状のフレーム部材43C(フレーム)が動かないように固定されている。なお、本例ではベース部材42A〜42Dがウエハベース31と別体とされており、高平面度のガイド面31aを持つウエハベース31が最小限の大きさに設定されているため、製造コストが低減できる。ただし、ベース部材42A〜42Dをウエハベース31と一体化することも可能である。
そして、ガイド面31a上にエアベアリングを介してウエハステージWSTがX方向、Y方向に移動自在に載置され、ウエハステージWSTは、ウエハW(物体)を不図示のウエハホルダを介して吸着保持するウエハテーブルWTB(テーブル部)と、ウエハテーブルWTB(ひいてはウエハ)のZ方向の位置及びX軸、Y軸の周りの傾斜角を制御するZレベリング機構55とを備えている。また、ガイド面31aの上方にX方向に移動できるようにほぼY軸に平行なY軸ガイド33Y(第1のガイド部材)が配置され、Y軸ガイド33Yの上方にY方向に移動できるようにほぼX軸に平行にX軸ガイド33X(第2のガイド部材)が配置されている。Y軸ガイド33YとX軸ガイド33Xとは実質的に直交している。Y軸ガイド33Yの外面には、筒状のY軸スライダ39(第1のスライダ)がY方向に移動自在に装着され、X軸ガイド33Xの外面には、筒状のX軸スライダ40(第2のスライダ)がX方向に移動自在に装着されている。スライダ39及び40の内面はそれぞれエアベアリング(空気等の薄い気体層)を介してガイド33Y及び33Xの外面に接しており、これによってスライダ39及び40はそれぞれ円滑にガイド33Y及び33Xに沿って移動できる。そして、スライダ39及び40に対してZレベリング機構55が連結され、Zレベリング機構55上にスライダ39及び40との相対的な位置関係が制御できる状態でウエハテーブルWTBが載置されている(詳細後述)。
図9は、図2のガイド33Y,33Xの支持機構を示す拡大斜視図であり、この図9において、ガイド面31aの−Y方向の端部にXZ平面(X軸及びZ軸に平行な平面)に平行なガイド面を持つX軸直線ガイド32Xが固定され、ガイド面31aの−X方向の端部にYZ平面(Y軸及びZ軸に平行な平面)に平行なガイド面を持つY軸直線ガイド32Yが固定されている。また、ガイド面31a上でX軸直線ガイド32X及びY軸直線ガイド32Yのガイド面に沿って移動できるように、それぞれ真空予圧型のエアベアリングを構成するエアパッドユニット34A及び35Aが載置され、エアパッドユニット34A及び35Aに対してそれぞれY方向及びX方向に離れたガイド面31aの他方の端部に真空予圧型のエアベアリングを構成するエアパッドユニット34B及び35Bが載置されている。そして、エアパッドユニット34A及び34Bの上面はY軸ガイド33Yによって連結され、エアパッドユニット35A及び35Bの上面はX軸ガイド33Xによって連結されている。
この場合、エアパッドユニット34A,34B,35A,35Bはそれぞれガイド面31aに対して数μm程度の気体層を介して載置されるとともに、エアパッドユニット34A及び35Aは直線ガイド32X及び32Yのガイド面に対しても数μm程度の気体層を介して接している。また、エアパッドユニット34A及び35Aと直線ガイド32X及び32Yとの間に形成されるエアベアリングも所定の吸引力を持つ真空予圧型であり、エアパッドユニット34A及び35Aは、それぞれ直線ガイド32X及び32Yに沿って矢印Bで示すX方向及び矢印Aで示すY方向に移動する。この結果、エアパッドユニット34Aに連結されたY軸ガイド33Y及びエアパッドユニット35Aに連結されたX軸ガイド33Xは、それぞれ直線ガイド32X及び32Yに沿ってX方向及びY方向に円滑に移動する。また、Y軸ガイド33Yの両端には例えばコイルを有する可動子36XA及び36XBが固定され、X軸ガイド33Xの両端にも例えばコイルを有する可動子37YA及び37YBが固定されている。可動子36XB及び37YBの底面側には、それらのコイルに電流を供給するための可撓性を有する配線38A及び38Bが装着されている。
図2に戻り、Y軸ガイド33Yの可動子36XA及び36XBをそれぞれ外側から非接触状態で挟むように断面形状がU字型でX方向に伸びた固定子36XC及び36XDが配置され、固定子36XC及び36XDはそれぞれX方向に離れた1対の板ばね45A及び45B(復元力を持つ弾性部材)を介して、X方向に所定幅内で変位できるようにベース部材42A及び42B上に支持されている。固定子36XC及び36XDの内面には複数の磁石がX方向に所定ピッチで配置されている。同様に、X軸ガイド33Xの可動子37YA及び37YBを外側から非接触状態で挟むように断面形状がU字型でY方向に伸びた固定子37YC及び37YDが配置され、固定子37YC及び37YDはそれぞれY方向に離れた1対の板ばね45C及び45D(復元力を持つ弾性部材)を介して、Y方向に所定幅内で変位できるようにベース部材42C及び42D上に支持されている。固定子37YC及び37YDの内面にも複数の磁石がY方向に所定ピッチで配置されている。そして、可動子36XA及び36XBと固定子36XC及び36XDとから、ガイド面31aに対してY軸ガイド33YをX方向に駆動するための粗動機構(又は駆動機構)としての1対のX軸のリニアモータ44XA及び44XBが構成されている。また、可動子37YA
及び37YBと固定子37YC及び37YDとから、ガイド面31aに対してX軸ガイド33XをY方向に駆動するための粗動機構(又は駆動機構)としての1対のY軸のリニアモータ44YA及び44YBが構成されている。
上述のように本例の固定子36XC及び36XDはそれぞれ板ばね45A及び45Bを介してベース部材42A及び42B上に支持され、固定子37YC及び37YDはそれぞれ板ばね45C及び45Dを介してベース部材42C及び42D上に支持されている。従って、リニアモータ44XA,44XBでY軸ガイド33YをX方向に駆動する際には、その反力を受けて固定子36XC及び36XDが逆方向に変位する。同様に、リニアモータ44YA,44YBでX軸ガイド33XをY方向に駆動する際には、その反力を受けて固定子37YC及び37YDが逆方向に変位する。従って、本例の固定子36XC,36XD及び37YC,37YDは簡易的なカウンターバランス方式で支持されているため、粗動機構としてのリニアモータ44XA,44XB,44YA,44YBを駆動する際の振動が軽減されている。
さらに、板ばね45A〜45Dには復元力があるため、ガイド33Y又は33Xが静止したときには、固定子36XC,36XD又は固定子37YC,37YDはそれぞれ中立位置に戻る。従って、固定子36XC,36XD,37YC,37YDの位置を調整するための駆動機構を別途設ける必要はない。なお、本例のリニアモータ44XA,44XB,44YA,44YBはムービングコイル方式であり、ガイド33Y,33Xに固定される可動子36XA,37YA等を軽量化できる。しかしながら、リニアモータ44XA,44XB,44YA,44YBをムービングマグネット方式としてもよい。
また、本例では固定子36XC,36XD,37YC,37YDの振動をさらに低減させて、リニアモータ44XA,44XB,44YA,44YBの駆動反力に起因する振動の影響を軽減する機構が設けられているが、その機構については後述する。
図9において、図2のリニアモータ44XA,44XB及び44YA,44YBを駆動することによって、Y軸ガイド33Y及びX軸ガイド33Xはそれぞれ直線ガイド32X及び32Yに沿ってX方向及びY方向に円滑に移動する。このときに、Y軸ガイド33Y及びX軸ガイド33Xに連動してそれぞれY軸スライダ39及びX軸スライダ40が一体的にX方向及びY方向に移動する。また、スライダ39及び40は剛構造としての鋼、真ちゅう、又はアルミニウム等の金属製であり、Y軸スライダ39の+Y方向の端部の突部39aとX軸スライダ40の+X方向の端部の突部40aとが、柔構造としてのY方向に伸びたロッド58A(連結部材)、及びX方向に伸びたロッド58B(連結部材)を介して連結されている。なお、スライダ39及び40に柔構造を採用してもよい。
図10(B)に示すように、ロッド58A(ロッド58Bも同様)の両端部には変形し易いフレクシャー機構58Aa及び58Abが設けられており、ロッド58Aは長手方向には殆ど変形しない一方で、その長手方向に垂直な方向には或る程度弾性変形できるようになっている。また、図9において、2本のロッド58A及び58BはそれぞれほぼY軸及びX軸に平行になるように突部39a及び40aを連結している。従って、Y軸スライダ39とX軸スライダ40とは、2本のロッド58A,58Bを介してX方向及びY方向の相対的な位置関係が変化しないように、かつX軸、Y軸、Z軸の周りの相対的な回転角については或る程度許容できるように連結されている。
従って、Y軸ガイド33YをX方向に駆動すると、Y軸スライダ39に連動してX軸スライダ40がX軸ガイド33Xに沿ってX方向に駆動され、X軸ガイド33XをY方向に駆動すると、X軸スライダ40に連動してY軸スライダ39がY軸ガイド33Yに沿ってY方向に駆動される。上述のように、スライダ39及び40の内面にはそれぞれエアベアリングが設けられているため、スライダ39及び40の移動は円滑に行われる。また、ロッド58A,58BでY軸スライダ39及びX軸スライダ40を連結することによって、スライダ39及び40間の機械的な干渉を低減させることができる。言い換えると、図2のリニアモータ44XA,44XBからY軸ガイド33Yに沿ってY軸スライダ39に伝わる振動や熱変位は、ロッド58A,58Bで減衰されてX軸スライダ40に伝わるとともに、図2のリニアモータ44YA,44YBからX軸ガイド33Xに沿ってX軸スライダ40に伝わる振動や熱変位は、ロッド58A,58Bで減衰されてY軸スライダ39に伝わる。従って、スライダ39及び40を一体的に形成する場合に比べて、スライダ39及び40を小型化及び軽量化できるとともに、スライダ39及び40を連動させてX方向、Y方向に駆動する際の振動や熱変位の影響を軽減することができる。
図10(A)は、図9中のスライダ39及び40を示す拡大斜視図であり、この図10(A)において、スライダ39及び40はそれぞれ軽量化するためにスケルトン構造とされている。即ち、スライダ39及び40にはそれぞれ図9のガイド33Y及び33Xを通すための開口39b及び40bの他に、側面にも複数の凹部39c及び40cが設けられている。また、Y軸スライダ39はX軸スライダ40に比べて厚く形成されているため、Y軸スライダ39の内部には補強用のロッド39dが配置されている。このようにスライダ39及び40を軽量化することによって、スライダ39及び40を駆動するための粗動機構を大型化することなく、スライダ39及び40をより高速に駆動できる。
図2に戻り、スライダ39及び40に対してZレベリング機構55が連結され、Zレベリング機構55上にエアベアリング(例えば真空与圧エアベアリング)を介してウエハテーブルWTBが載置されている。また、ウエハテーブルWTBとY軸スライダ39とは、それぞれボイスコイルモータよりなるX軸のアクチュエータ53XA,53XB及びEIコア方式よりなるX軸のアクチュエータ54Xを介して非接触に相対位置を制御できる状態で連結され、ウエハテーブルWTBとX軸スライダ40とは、それぞれボイスコイルモータよりなるY軸のアクチュエータ53YA,53YB及びEIコア方式よりなるY軸のアクチュエータ54Yを介して非接触に相対位置を制御できる状態で連結されている。
この場合、一例として、アクチュエータ54X及び54Yによってスライダ39,40に対するウエハテーブルWTBのX方向及びY方向の平均的な位置が制御される。そして、アクチュエータ53XA,53XBのX方向の推力の平均値及びバランスによって、ウエハテーブルWTBのX方向の位置の微調整及びZ軸の周りの回転角の微調整が行われ、アクチュエータ53YA,53YBのY方向の推力の平均値によってウエハテーブルWTBのY方向の位置の微調整が行われる。即ち、アクチュエータ53XA,54X,53XB,53YA,54Y,53YBは、スライダ39及び40に対してウエハテーブルWTB(ウエハW)をX方向、Y方向、及びZ軸の周りの回転方向に所定の狭い範囲内で相対的に駆動する微動機構とみなすことができる。
また、図2において、ウエハテーブルWTBの−X方向の鏡面加工された側面にレーザ干渉計12XからY方向に離れた2本のレーザビームが照射され、ウエハテーブルWTBの−Y方向の鏡面加工された側面にレーザ干渉計12Yからレーザビームが照射され、レーザ干渉計12X及び12Yによって、ウエハテーブルWTB(ウエハW)のX方向、Y方向の座標、及びZ軸の周りの回転角が計測されている。レーザ干渉計12X,12Yが図1のレーザ干渉計システム12に対応している。そして、リニアモータ44XA,44XB,44YA,44YB(粗動機構)及びアクチュエータ53XA,54X,53XB,53YA,54Y,53YB(微動機構)が図1の駆動系13に対応している。
レーザ干渉計12X,12Yの計測情報等に基づいて、図1のステージ制御ユニット14がその粗動機構及び微動機構を駆動する。前者の粗動機構は、一括露光型及び走査露光型ではウエハテーブルWTBのステップ移動のために使用できるとともに、走査露光型ではさらに同期走査時のウエハテーブルWTBの定速移動のために使用できる。後者の微動機構は、一括露光型及び走査露光型ではウエハテーブルWTBの位置決め誤差を補正するために使用でき、走査露光型ではさらに走査露光時のウエハテーブルWTBの同期誤差を補正するために使用できる。
図3は、図2からウエハテーブルWTBを取り外した状態を示し、この図3において、Zレベリング機構55は、ほぼ正三角形の頂点付近に配置された3個のそれぞれZ方向の高さを制御できるほぼ円柱型のZ軸アクチュエータ56A,56B,56Cと、Z軸アクチュエータ56A及び56Bを連結する3本の中空のパイプよりなるパイプユニット57A(連結機構)と、Z軸アクチュエータ56B及び56Cを連結する3本の中空のパイプよりなるパイプユニット57B(連結機構)とを備えている。パイプユニット57A,57Bは例えばアルミニウム又はグラスファイバー等の比較的剛性の小さい材料から形成されている。
この場合、Z軸アクチュエータ56A〜56Cは、それぞれウエハテーブルWTBをガイド面31aと交差する方向の位置に駆動する駆動部材に対応している。Z軸アクチュエータ56A〜56Cは一例としてそれぞれ、鋼製のベース部材と、このベース部材に対してダイヤフラムで支持されているZ方向に変位可能な鋼製の可動部材と、この可動部材をZ方向に駆動するボイスコイルモータとを含んで構成されている。さらに、Z軸アクチュエータ56A〜56Cの上下にはそれぞれ真空予圧型のエアベアリングを構成するためのエアパッドが組み込まれている。また、Zレベリング機構55において、2つのZ軸アクチュエータ56C及び56Aがそれぞれ平板状フレクシャー41A及び41Bを介してY軸スライダ39及びX軸スライダ40に連結されている。平板状フレクシャー41A,41BがウエハステージWST(可動ステージ)をスライダ39,40(スライダ)に連結する柔構造の連結部材に対応している。
図6は、平板状フレクシャー41A(41Bも同様)を示す拡大図であり、この図6において、平板状フレクシャー41Aは、2つの部材に結合される端面A,Bの間の2箇所にすり割りによって変位が容易なピボット部41Aa及び41Abを設けたものである。従って、平板状フレクシャー41Aは、その2つの部材を結ぶ直線(端面A及びBの中心を結ぶ直線)に平行な方向には変位しにくいが、その直線に垂直な方向には或る程度変位できる構造である。この意味で、平板状フレクシャー41A,41Bの代わりに、図10(B)のフレクシャー機構を備えたロッド58Aと同様の部材も使用可能である。また、2箇所の平板状フレクシャー41A,41Bでスライダ39,40に対してZレベリング機構55を連結する構成では、Zレベリング機構55を容易に組み込むことができる。
図3のZレベリング機構55において、パイプユニット57A,57BはZ軸アクチュエータ56A〜56Cよりも剛性の小さい構造(比較的柔構造の部材)であり、スライダ39,40に平板状フレクシャー41A,41Bを介して連結されているZ軸アクチュエータ56C及び56Aは互いに連結されていない。従って、Z軸アクチュエータ56C及び56Aは微少範囲で或る程度相対変位できる構造であるため、Y軸ガイド33Y及びX軸ガイド33Xを介してZレベリング機構55(ウエハステージWST)をガイド面31a上でX方向、Y方向に駆動する際に、Y軸スライダ39とX軸スライダ40との間、及び3個のZ軸アクチュエータ56A〜56Cの間にそれぞれ変形応力が殆ど作用しないという利点がある。
次に、図2におけるZレベリング機構55とウエハテーブルWTBとの位置関係につき図4を参照して説明する。
図4は、図2中のウエハステージWSTの側面図であり、この図4において、Zレベリング機構55を構成するZ軸アクチュエータ56A,56B,56CのZ方向の両端部には真空予圧型のエアパッド(気体軸受け機構)が組み込まれており、Z軸アクチュエータ56A〜56Cには可撓性を持つ給気管(不図示)を通して高圧気体(例えば空気)が供給されるとともに、Z軸アクチュエータ56A〜56Cの両端部の一部から吸引された気体が排気管(不図示)を通して排気されている。この結果、Z軸アクチュエータ56A〜56Cは例えば数μm程度の気体層AG1を介してガイド面31a上に載置され、ウエハテーブルWTBも上記のエアパッドの気体噴き出し力と真空予圧力とのバランスにより、例えば数μm程度の厚さに維持された気体層AG2を介してZ軸アクチュエータ56A〜56C上に安定に載置される。
また、本例では3個のZ軸アクチュエータ56A〜56CのZ方向の高さは互いに独立に制御可能である。露光時には、図1の多点のオートフォーカスセンサ(23A,23B)の計測情報に基づいて連続的に、3個のZ軸アクチュエータ56A〜56CのZ方向の高さを制御して、ウエハテーブルWTB(ウエハW)のZ方向の高さ(フォーカス位置)、並びにX軸及びY軸の周りの傾斜角を制御する。これによって、オートフォーカス方式でウエハWの表面(露光面)を図1の投影光学系PLの像面に合わせ込むことができる。
また、床FLからの振動がウエハベース31を介してウエハテーブルWTBに伝わる場合には、この振動をも相殺するように3個のZ軸アクチュエータ56A〜56Cを制御すればよい。このように3個のZ軸アクチュエータ56A〜56Cにより床FLからの振動を相殺する場合には、ウエハベース31を支持(防振)する防振装置(不図示)を省略することができる。
次に、図2のウエハステージWSTのウエハテーブルWTB(ウエハW)用の微動機構としてのアクチュエータ53XA,54X,53XB,53YA,54Y,53YBについて詳細に説明する。この場合、ボイスコイルモータ方式のX軸のアクチュエータ53XA,53XBは互いに同一構成であり、X軸スライダ40とウエハテーブルWTBとの間に設けられたアクチュエータ53YA,54Y,53YBは、それぞれY軸スライダ39とウエハテーブルWTBとの間に設けられたアクチュエータ53XA,54X,53XBをZ軸に平行な軸の周りに90°回転した構成である。
先ず図4に示すように、ボイスコイルモータ方式のアクチュエータ53XBは、Y軸スライダ39に固定された凸部52Aに固定されてコイルを含む固定子53XBaと、ウエハテーブルWTBの側面に固定されてZ方向の磁場を発生する永久磁石を含む可動子53XBbとを備えている。アクチュエータ53XBによって、Y軸スライダ39に対してウエハテーブルWTBをX方向に駆動する推力が発生する。仮にY軸ガイド33Yを−X方向に駆動してウエハステージWSTを−X方向に駆動する場合には、アクチュエータ53XBによってウエハテーブルWTBに−X方向の推力が作用するため、その+X方向への反力はFAとなる。また、Zレベリング機構55から平板状フレクシャー41Aに作用する+X方向への反力はFBとなるが、反力FAと反力FBとは通常は値が異なるため、Y軸スライダ39にはY軸の周りのモーメントPMが作用する。これに関して、本例ではY軸スライダ39とZレベリング機構55との連結部材として柔構造の平板状フレクシャー41Aが用いられているとともに、真空予圧型のエアベアリングによってZレベリング機構55及びウエハテーブルWTBはそれぞれガイド面31a及びZレベリング機構55に所定気体層を隔てて吸引おり、また、反力FBは平板状フレクシャー41Aに結合されているZレベリング機構55の重心を押しているのでウエハステージWSTにピッチングが生じることなく、そのモーメントPMによってウエハステージWSTが変位することはない。
次に、図5(A)は図2のウエハテーブルWTBを示す平面図、図5(B)は図2のウエハテーブルWTBの一部及びアクチュエータ54Xを示す側面図であり、図5(A)に示すように、ウエハテーブルWTBには図2のアクチュエータ53XA,54X,53XB,53YA,54Y,53YBのそれぞれの可動子53XAb,54Xb,53XBb,53YAb,54Yb,53YBbが固定されている。図5(B)に示すように、EIコア方式のX軸のアクチュエータ54Xは、Y軸スライダ39に固定された非磁性体の連結部54Xa3と、連結部54Xa3のX方向の両端部に固定されたそれぞれ磁性体のE字型コア54Xa1及び54Xa2と、これらのE字型コア54Xa1及び54Xa2の中央の凸部に巻回されたコイル59A及び59Bと、一端がウエハテーブルWTBに固定されるとともに他端が磁性体のI字型コアとされている可動子54Xbとを備えている。この場合、可動子54Xbの先端部(I字型コア)はE字型コア54Xa1及び54Xa2の間に配置されており、E字型コア54Xa1,54Xa2のコイル59A,59Bに流す電流のバランスを調整することによって、可動子54XbのX方向の位置、ひいてはY軸スライダ39に対するウエハテーブルWTB(ウエハW)のX方向の相対位置を制御できる。
図5(B)において、連結部54Xa3、E字型コア54Xa1,54Xa2、及びコイル59A,59Bからアクチュエータ54Xの固定子54Xa(図7参照)が構成されている。
図7は、図2中のアクチュエータ53XA,54X,53XB,53YA,54Y,53YBの固定子及びZレベリング機構55等を示し、この図7において、Y軸スライダ39上に設けられた凸部52AにX軸のアクチュエータ53XA,53XBの固定子53XAa,53XBaが固定され、X軸スライダ40上の凸部52BにY軸のアクチュエータ53YA,53YBの固定子53YAa,53YBaが固定されている。また、固定子54Xaを90°回転した構成のY軸のアクチュエータ54Yの固定子54YaがX軸スライダ40上に固定されている。
図8は、図2からウエハステージWST及びガイド33Y,33Xを駆動する駆動機構(粗動機構)の固定子側の機構を除いた状態を示し、この図8において、スライダ39,40に固定される固定子53XAa,54Xa,53XBa,53YAa,54Ya,53YBaと、図2のウエハテーブルWTBに固定される可動子53XAb,54Xb,53XBb,53YAb,54Yb,53YBbとから、それぞれ非接触の微動機構である6軸のアクチュエータ53XA,54X,53XB,53YA,54Y,53YBが構成されている。なお、ウエハテーブルWTBのスライダ39,40に対する相対位置は、X方向、Y方向、Z軸の周りの回転方向の3自由度で補正できればよいため、その微動機構用のアクチュエータは最低では3軸あればよい。例えば、1つのY軸のアクチュエータ54Yと2つのX軸のアクチュエータ53XA,53XBとだけを用いてその微動機構を構成することも可能である。
図2において、一例としてEIコア方式のX軸のアクチュエータ54Xは、Y軸スライダ39に対してウエハテーブルWTBを非接触でX方向にほぼ所定の位置関係に安定に維持するために使用される。そして、その両端のボイスコイルモータ方式の2つのX軸のアクチュエータ53XA,53XBによってY軸スライダ39に対するウエハテーブルWTBのX方向の位置の微調整及びZ軸の周りの回転角の微調整が高速に行われる。同様に、EIコア方式のY軸のアクチュエータ54Yは、X軸スライダ40に対してウエハテーブルWTBを非接触でY方向にほぼ所定の位置関係に安定に維持するために使用される。その両端のボイスコイルモータ方式の2つのY軸のアクチュエータ53YA,53YBによってX軸スライダ40に対するウエハテーブルWTBのY方向の位置の微調整が高速に行われる。
また、図2において、本例では移動するウエハテーブルWTB(ウエハW)の位置をレーザ干渉計12X,12Yで高精度に計測しているため、ウエハテーブルWTB(テーブル部)の材料は変形しにくく、かつ軽量である比剛性(剛性を単位体積にかかる重量で除した値)の高い材料(例えばセラミックス)であることが望ましい。そこで、ウエハテーブルWTBの材料としては、一例としてセラミックスを使用する。セラミックスとしてはガラスセラミックス(低膨張率のセラミックス)等も使用できる。
しかしながら、比剛性の高い材料は一般に高価であるため、その使用は露光精度(位置決め精度、重ね合わせ精度等)等の装置性能を低下させない範囲で最小限にとどめることが望ましい。そこで、本例では、大きい部材であるX軸ガイド33X及びY軸ガイド33Y(ガイド部材)については、比剛性はウエハテーブルWTBの材料よりも小さいが、低コストな材料として、例えばアルミニウムを使用する。この際に、ガイド33X,33Yを軽量化するようにガイド33X,33Yは中空構造としている。
図11(A)はX軸ガイド33Xの構造の一例を示し、この図11(A)において、X軸スライダ40が装着されているX軸ガイド33Xは、それぞれアルミニウムの押し出し材よりなる断面形状が細長い四角形の中空の細長い2つの筒状部材33Xa及び33Xbを、例えばエポキシ樹脂系の接着剤で貼り合わせて形成されている。このように2つの筒状部材33Xa,33Xbを貼り合わせることによって、製造が容易であるとともに、軽量であっても高い剛性と振動の減衰特性とが得られる。
図11(B)はX軸ガイド33Xの構造の他の例を示し、この図11(B)において、X軸スライダ40が装着されているX軸ガイド33Xは、それぞれアルミニウムの押し出し材よりなる断面形状が四角形の中空の細長い4つの筒状部材33Xc,33Xd,33Xe,33Xfを接着剤で貼り合わせて形成されている。このように4つの筒状部材33Xc〜33Xfを貼り合わせることによって、さらに高い剛性と振動の減衰特性とが得られる。
次に、図2の固定子36XC,36XD,37YC,37YDの振動をさらに低減させて、リニアモータ44XA,44XB,44YA,44YB(粗動機構)で発生する振動を低減させる機構について説明する。
図2において、ベース部材43A上にY方向に所定間隔で直線ガイドに沿ってX方向に移動自在にスライダ48A及び49Aが配置され、これらのスライダ48A,49A上に所定質量のX軸のダンパー部材47A(質量体)が固定されている。即ち、ダンパー部材47Aはベース部材43A上にX方向に円滑に移動自在に配置されており、ダンパー部材47Aの質量(M2)は、固定子36XCの質量(M1)よりも小さく設定されている。また、固定子36XC、ダンパー部材47A、及びフレーム部材43Cの上部はほぼX軸に平行な直線に沿って配置されている。そして、固定子36XCとダンパー部材47Aとはコイルばね46A(第1連結部材)を介して連結され、ダンパー部材47Aとフレーム部材43C(フレーム)の上部とはコイルばね50A(第2連結部材)を介して連結されている。同様に、ベース部材43B上に不図示のスライダを介してY方向に円滑に移動自在にダンパー部材47D(質量体)が配置され、ダンパー部材47Dの背面に+X方向に突き出るように配置されたプレート51の一端が固定され、固定子37YDとダンパー部材47Dとはコイルばね46D(第1連結部材)を介して連結され、プレート51の他端(ダンパー部材47D)とフレーム部材43Cとはコイルばね50B(第2連結部材)を介して連結されている。
また、ダンパー部材47Aと対称に、ベース部材42B上にスライダ48B,49Bを介してダンパー部材47BがX方向に移動自在に配置され、固定子36XDとダンパー部材47Bとはコイルばね46Bを介して連結されている。この構成において、フレーム部材43Cと同様の部材をダンパー部材47Bの近傍に固定して、この部材とダンパー部材47Bとをコイルばねを介して連結してもよい。同様に、ダンパー部材47Dと対称に、ベース部材42C上にスライダ48C等を介してダンパー部材47CがY方向に移動自在に配置され、固定子37YCとダンパー部材47Cとはコイルばね46Cを介して連結されている。この際に、フレーム部材43Cと同様の部材をダンパー部材47Cの近傍に固定して、この部材とダンパー部材47Cとをコイルばねを介して連結してもよい。なお、コイルばね46A〜46D,50A,50Bの代わりに、板ばね等を使用してもよい。
ここで、図2のダンパー部材47A及びフレーム部材43Cの作用につき説明する。
図12は、図2のリニアモータ44XAからフレーム部材43Cまでの部材を簡略化して示し、この図12において、ウエハベース31上のリニアモータ44XAの固定子が仮想的に高剛性のロッド66を介して質量M1の固定子36XCに連結され、固定子36XCがコイルばね46Aを介して質量M2のダンパー部材47Aに連結され、ダンパー部材47Aがコイルばね50Aを介して床FL上に固定されたフレーム部材43Cに連結されている。この場合、固定子36XC及びダンパー部材47Aはそれぞれ床FL上に移動自在に配置されており、その移動時の抵抗力は主に質量M1及びM2の慣性である。そして、リニアモータ44XAを駆動したときの反力で固定子36XCが振動すると、その振動のうちの例えば50Hz程度以上の高周波数成分は固定子36XC及びコイルばね46Aによって減衰されて、それ以下の低周波数成分のみがコイルばね46Aを介してダンパー部材47Aに伝えられる。さらに、ダンパー部材47Aの振動のうちの高周波数成分はダンパー部材47A及びコイルばね50Aによってさらに減衰されて、低周波数成分のみがコイルばね50Aを介してフレーム部材43Cに伝えられる。
即ち、直列に連結された固定子36XC及びダンパー部材47Aはそれぞれ一種のローパスフィルタとして作用するため、固定子36XCの振動のうちの高周波数成分は固定子36XCからコイルばね50Aまでの部材によって2段階で大きく減衰されて、低周波数成分のみがフレーム部材43Cに伝えられる。この意味で、固定子36XC及びダンパー部材47Aは、フィルタード・リアクションマスと呼ぶことができる。この場合、フレーム部材43Cは質量がかなり大きい床FLに固定されているため、固定されたリアクションフレームとしてのフレーム部材43Cは殆ど動くことはなく、その低周波数の振動はフレーム部材43Cにおいて減衰される。従って、本例によれば、簡単な機構でリニアモータ44XAを駆動する際の反力に起因する振動の影響を軽減できる。これは図2のダンパー部材47Dを含む機構においても同様である。
図13は、図12のフィルタード・リアクションマス方式の振動減衰機構のシミュレーション結果の一例を示し、図13(A)は図2のX軸のリニアモータ44XAの推力(N)の時間変化、図13(B)はそのときのY軸ガイド33Y(ウエハステージWST)のX方向の変位であるステージ変位(mm)、図13(C)はそのときの固定子36XCのX方向の変位(以下、「M1変位」と言う)(mm)、図13(D)はそのときのダンパー部材47AのX方向の変位(以下、「M2変位」と言う)(mm)である。図13(A)〜図13(D)の横軸は時間(sec)であり、図13(A)の規則的な波形C1はリニアモータの固定子が静止している場合の理論的な推力、正弦波状の波形C2はその理論的な推力に対する実際の推力(図12の振動減衰機構を考慮した推力)の差(漏れ推力)をそれぞれ表しており、漏れ推力C2の最大値が理論的な推力C1の最大値の数%程度になり、固定子36XCの変位量が±9mm程度になるような条件でシミュレーションを行った。この例では、図13(B)に示すように、Y軸ガイド33Y(ウエハステージWST)を幅285mm程度の範囲内で階段状に往復移動させているため、リニアモータの理論的な推力C1(図13(A))は所定ピッチで方形波状に変化する。
このシミュレーションによれば、固定子36XCの変位(M1変位)に比べてダンパー部材47Aの変位(M2変位)の周波数成分は低くなっているため、固定子36XC及びダンパー部材47Aがローパスフィルタとして作用しており、振動が減衰されていることが分かる。
なお、図12では固定子36XC、ダンパー部材47A、及びフレーム部材43Cが直列に配置されているが、ダンパー部材47Aとフレーム部材43Cとを並列に配置することも可能である。
図14は、そのようなフィルタード・リアクションマス方式の振動減衰機構を示し、この図14において、床FL上の不図示のベース部材上に固定子36XC及びダンパー部材47A(質量体)がそれぞれ円滑に移動自在に配置され、床FL上にフレーム部材43C(フレーム)が固定されている。そして、固定子36XCとダンパー部材47Aとがコイルばね46Aで連結され、これと並列に固定子36XCとフレーム部材43Cとがコイルばね50Aで連結されている。また、この例では、ダンパー部材47Aの質量M2は固定子36XCの質量M1に比べてかなり小さく例えば数10kgに設定されている。この構成においても、固定子36XC及びダンパー部材47Aによって固定子36XCの振動の高周波成分が減衰されて、フレーム部材43Cには主に振動の低周波数成分が加わるため、簡単な機構でリニアモータ44XAで発生する反力による振動の影響は軽減される。
図15は、図14のフィルタード・リアクションマス方式の振動減衰機構のシミュレーション結果の一例を示し、図15(A),(B),(C),(D)はそれぞれ図13(A),(B),(C),(D)に対応している。ただし、この場合には、漏れ推力C2が図13の例よりも僅かに小さくなり、固定子36XCの変位量が±8mm程度になるような条件でシミュレーションを行った。このシミュレーションにおいても、固定子36XCの変位(M1変位)に比べてダンパー部材47Aの変位(M2変位)の周波数成分は低くなっているため、固定子36XC及びダンパー部材47Aがローパスフィルタとして作用しており、振動が減衰されていることが分かる。
また、図2に戻り、ダンパー部材47B及び47Cにはフレーム部材43C(フレーム)のような部材が連結されていないが、ダンパー部材47B及び47C(質量体)を設けるだけでもリニアモータ44YA,44XBを駆動する際の反力による振動の影響が軽減される。
また、本例では、Y軸ガイド33YとX軸ガイド33Xとを交差するように配置して、Y軸ガイド33Y及びX軸ガイド33Xをそれぞれ両端部のリニアモータ44XA,44XB及び44YA,44YB(粗動機構)によって駆動している。従って、スライダ39及び40には粗動機構を組み込む必要がないため、スライダ39,40及びウエハステージWSTを含む可動部を小型、軽量化できる。しかしながら、例えばX軸ガイド33X及びX軸スライダ40を省いて、Y軸ガイド33YとY軸スライダ39との間にY軸のリニアモータを設ける構成も可能である。この構成では、Zレベリング機構55を例えば2箇所でY軸スライダ39に連結することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態につき図16及び図17を参照して説明する。本例の投影露光装置は、図1及び図2の投影露光装置に投影光学系PLの状態を診断又はモニタする機構を付加したものであり、図16及び図17において図1、図2、及び図8に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図16(A)は本例の投影露光装置のウエハステージ系を簡略化して示す平面図であり、この図16(A)において、Y軸ガイド33Y及びX軸ガイド33X(ガイド部材)が直交して配置され、これらに沿って移動自在にY軸スライダ39及びX軸スライダ40(スライダ)が連結部材(不図示)を介して連結して配置され、スライダ39,40にウエハWを保持するウエハステージWSTが連結されている。そして、Y軸ガイド33YをX軸のリニアモータ44XA,44XBでX方向に駆動して、X軸ガイド33XをY軸のリニアモータ44YA,44YBでY方向に駆動することで、スライダ39,40及びウエハステージWSTが一体的にX方向、Y方向に駆動される。
また、Y軸スライダ39の上面にその表面がウエハWの表面(露光面)と実質的に同じ高さになるように診断部60が設置されている。診断部60には、例えば図1の投影光学系PLの露光領域の複数の計測点におけるベストフォーカス位置を計測するためのセンサ等が組み込まれている。それら複数の計測点におけるベストフォーカス位置から投影光学系PLの像面の傾斜角及び平均的なベストフォーカス位置を求めることができる。
また、本例のウエハステージWST中のウエハWを保持するウエハテーブルWTBは、Y軸スライダ39に対してボイスコイルモータ方式の2つのX軸のアクチュエータ53XA,53XBを介して連結され、X軸スライダ40に対してボイスコイルモータ方式の2つのY軸のアクチュエータ53YA,53YBを介して連結されている。これら4軸のアクチュエータを用いても、ウエハテーブルWTBのX方向、Y方向の位置、及びZ軸の周りの回転角を制御できる。さらに、ボイスコイルモータ方式のアクチュエータ53XA,53XB,53YA,53YBは、図8に示すように、固定子から可動子を非接触状態で容易に分離することができる。即ち、本例のウエハテーブルWTBはスライダ39,40に対して着脱可能に構成されている。
図16(B)は、スライダ39,40からウエハテーブルWTBを分離した状態を示し、この図16(B)において、アクチュエータ53XA,53XB,53YA,53YBはスライダ39,40側の固定子53XAa,53XBa,53YAa,53YBaとウエハテーブルWTB側の可動子53XAb,53XBb,53YAb,53YBbとに分離されている。このようにウエハテーブルWTBを分離することによって、診断部60を用いる投影光学系PLの像面計測と、ウエハテーブルWTB上のウエハWの交換とを並列に効率的に行うことができる。また、投影光学系PLとウエハWとの空間に液体を満たしてウエハWにパターンを露光する液浸露光装置においては、ウエハWの交換中は投影光学系PLと診断部60との間で液体の供給及び回収を行えばいわゆるウォーターマークが発生することもなく、また、スループットが落ちることもない。
図17は、図16(B)の状態における本例の投影露光装置の要部の正面図であり、この図17において、一例としてウエハテーブルWTBは所定のアーム61上に受け渡されている。この場合には、図2のZレベリング機構55はスライダ39,40に連結したままにしておくことができる。なお、Zレベリング機構55をもスライダ39,40から分離できるように構成してもよい。
また、図17において、本例の投影光学系PLは、所定のコラム64から吊り下げられて支持されている。即ち、投影光学系PLの側面にフランジ部62が固定され、コラム64から3本の連結部材63A,63B(3番目の連結部材は不図示)を介してフランジ部62が吊り下げられている。このような構成では、投影光学系PLの光軸AXがずれる恐れがある。そこで、本例の投影露光装置には投影光学系PLの傾斜角を微調整する機構(不図示)が設けられている。そして、図17に示すように、投影光学系PLの露光領域にY軸スライダ39上の診断部60を移動して、上述のように投影光学系PLの像面の傾斜角及び平均的なベストフォーカス位置を計測した後、その像面がXY平面に平行になるように投影光学系PLの傾斜角を調整する。また、その計測されたベストフォーカス位置で露光が行われるように、図1のオートフォーカスセンサ(23A,23B)のフォーカス位置の計測値のオフセットを調整する。これによって、次にウエハテーブルWTBをスライダ39,40に連結して露光を行う際には、ウエハテーブルWTB上のウエハWの露光面を投影光学系PLの像面に高精度に合わせ込むことができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態につき図18を参照して説明する。本例は、第1の実施形態と同様にフィルタード・リアクションマス方式の振動減衰機構を設けた投影露光装置であり、図18において図2に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図18は、本例の投影露光装置のウエハステージ系の概略構成を示し、この図18において、床FL(設置面)上にウエハベース31をY方向に挟むようにベース部材42A,42Bが設置されている。本例においても、ウエハベース31とベース部材42A,42Bとを一体的に構成してもよい。また、ウエハベース31のガイド面31aの上方にほぼY軸に平行にリニアモータの固定子を備えたY軸ガイド33YAが配置され、Y軸ガイド33YAに沿ってY方向に移動自在にZレベリング機構55Aが配置され、Zレベリング機構55A上にウエハWを保持するウエハテーブルWTBが固定されている。ウエハテーブルWTB及びZレベリング機構55AよりウエハステージWST(可動ステージ)が構成されている。本例のZレベリング機構55Aは、ガイド面31a上をエアベリングを介して円滑に移動できるとともに、ウエハテーブルWTBのZ方向の位置とX軸、Y軸の周りの傾斜角とを制御する機構の他に、Y軸ガイド33YAに沿ってZレベリング機構55AをY方向に駆動するためのY軸のリニアモータの可動子を備えている。
また、ベース部材42A及び42B上にX軸に平行に、かつ不図示の直線ガイド(又は磁石を配置したガイドであるマグネットトラック)に沿ってX方向に移動自在にリニアモータの固定子36XE及び36XFが配置され、Y軸ガイド33YAの端部の可動子(不図示)とそれらの固定子36XE,36XFとからY軸ガイド33YA及びウエハステージWSTをX方向に駆動するためのX軸のリニアモータ44XA及び44XB(駆動装置)が構成されている。また、2つの固定子36XE及び36XFはX方向の両端部でほぼY軸に平行な2本のロッド74C及び74F(連結部材)によって連結されている。これによってリニアモータ44XA,44XBを駆動する際に、その反力によって2つの固定子36XE,36XFは連動して移動するため、一方の固定子36XE又は36XFのみが大きく移動することが防止できる。
また、一方の固定子36XEを移動方向(X方向)に挟むように2つのダンパー部材47A及び47B(質量体)が配置され、他方の固定子36XFを移動方向(X方向)に挟むように2つのダンパー部材47C及び47D(質量体)が配置されている。一方のダンパー部材47A,47Bを合わせた質量(M2)は、固定子36XEの質量(M1)よりも小さく設定され、他方のダンパー部材47C,47Dを合わせた質量(M2)も、固定子36XFの質量(M1)よりも小さく設定されている。本例のダンパー部材47A〜47Dはベース部材42A又は42B上に例えばボールベアリングを介して載置されている。従って、ダンパー部材47A〜47DはそれぞれX方向及びY方向の2方向に円滑に移動することができる。さらに、+X方向の2つのダンパー部材47A及び47DはほぼY軸に平行なロッド74A(連結部材)によって連結され、−X方向の2つのダンパー部材47B及び47CはほぼY軸に平行なロッド74D(連結部材)によって連結されている。これによって、2つのダンパー部材47A,47Dと2つのダンパー部材47B,47Cとはそれぞれ連動して移動するため、特定の1つのダンパー部材47A〜47Dの変位量が大きくなることが防止できる。
また、固定子36XFとダンパー部材47Aとが機械的フィルタ部材74Bによって連結され、固定子36XFとダンパー部材47Bとが機械的フィルタ部材74Eによって連結されている。機械的フィルタ部材74B,74Eとは、例えば一部にコイルばねを含むような長手方向に或る程度伸縮可能な部材であり、機械的フィルタ部材74B,74Eは振動に関してローパスフィルタとして作用する。これによって、固定子36XF(及び固定子36XE)の振動がより抑制される。
また、ダンパー部材47Aの+X方向及び−Y方向に対向するように、ベース部材42Aの側面にフレーム部材71A及び71B(フレーム)が固定され、ダンパー部材47Bの−X方向及び−Y方向に対向するように、ベース部材42Aの側面にフレーム部材71C及び71D(フレーム)が固定されている。同様に、ダンパー部材47Cの−X方向及びダンパー部材47Dの+X方向にそれぞれ対向するようにベース部材42Bにフレーム部材71E及び71F(フレーム)が固定されている。また、固定子36XEとダンパー部材47A及び47Bとがそれぞれコイルばね等からなる機械的フィルタ部材72A及び72B(第1連結部材)を介して連結され、ダンパー部材47Aとフレーム部材71A及び71Bとがそれぞれコイルばね等からなる機械的フィルタ部材73A及び73B(第2連結部材)を介して連結され、ダンパー部材47Bとフレーム部材71C及び71Dとがそれぞれコイルばね等からなる機械的フィルタ部材73C及び73D(第2連結部材)を介して連結されている。さらに、固定子36XFとダンパー部材47C及び47Dとがそれぞれコイルばね等からなる機械的フィルタ部材72C及び72D(第1連結部材)を介して連結され、ダンパー部材47C及び47Dとフレーム部材71E及び71Fとがそれぞれコイルばね等からなる機械的フィルタ部材73E及び73F(第2連結部材)を介して連結されている。
本例においても、リニアモータ44XA,44XBでY軸ガイド33YAを駆動してウエハステージWSTをX方向に移動するときには、その反力で固定子36XE及び36XFが逆方向に移動する。この固定子36XE,36XFの移動によってダンパー部材47A〜47Dがほぼ同じ方向に移動するが、この際に例えば50Hz程度以上の高周波数成分の振動が減衰されて、それ以下の低周波数成分がフレーム部材71A,71C,71E,71F及びベース部材42A,42Bを通して床FLに逃がされる。また、固定子36XE及び36XFの反力の差分等に起因するY方向の振動のうちの高周波数成分もダンパー部材47A〜47Dで減衰されて、残りの低周波数成分はフレーム部材71B,71D及びベース部材42Aを通して床FLに逃がされる。従って、リニアモータ44XA,44XBを駆動する際の振動の影響が軽減される。
なお、上述の実施形態の投影露光装置は、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をして、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造することができる。なお、その投影露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
また、上記の実施形態の投影露光装置を用いて半導体デバイスを製造する場合、この半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、このステップに基づいてレチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを形成するステップ、上記の実施形態の投影露光装置によりアライメントを行ってレチクルのパターンをウエハに露光するステップ、エッチング等の回路パターンを形成するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
なお、本発明は、例えば国際公開(WO)第99/49504号などに開示される液浸型露光装置にも適用することができる。また、本発明は、波長数nm〜100nm程度の極端紫外光(EUV光)を露光ビームとして用いる投影露光装置にも適用できる。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2004年8月24日付け提出の日本国特願2004−244397の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
本発明の露光装置によれば、柔構造を取り入れたステージ装置を用いることで、製造コストの低減、除振性能の向上、又は装置性能(露光精度等)の向上が可能となる。

Claims (27)

  1. 物体を駆動するステージ装置において、
    ベース部材と、
    前記ベース部材のガイド面に沿って配置された第1のガイド部材と、
    前記ガイド面に沿って前記第1のガイド部材に交差するように配置された第2のガイド部材と、
    前記第1及び第2のガイド部材に沿ってそれぞれ移動自在に配置された第1及び第2のスライダと、
    前記第1のスライダと前記第2のスライダとを連結する柔構造の連結部材と、
    前記物体を保持して前記ガイド面上に移動自在に配置されるとともに、前記第1及び第2のスライダに連結される可動ステージとを備えたことを特徴とするステージ装置。
  2. 前記連結部材は、フレクシャー機構を備えたロッド部材を含むことを特徴とする請求項1記載のステージ装置。
  3. 前記第1及び第2のスライダは、それぞれ前記第1及び第2のガイド部材に装着された筒状部材であることを特徴とする請求項1又は2記載のステージ装置。
  4. 前記第1及び第2のガイド部材をそれぞれ互いに交差する方向に駆動する第1及び第2の駆動機構と、
    前記第1及び第2のスライダに対して前記可動ステージの少なくとも一部を微動する微動機構とをさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のステージ装置。
  5. 前記第1及び第2のガイド部材はそれぞれ中空構造であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のステージ装置。
  6. 物体を駆動するステージ装置において、
    ベース部材と、
    前記ベース部材のガイド面に沿って配置されたガイド部材と、
    前記ガイド部材に沿って移動自在に配置されたスライダと、
    前記物体を保持して前記ガイド面と交差する方向に移動可能な可動ステージと、
    前記スライダと前記可動ステージとを連結する柔構造の連結部材とを備えたことを特徴とするステージ装置。
  7. 前記可動ステージは、互いに独立に前記ガイド面と交差する方向の位置に駆動する3つの駆動部材と、該3つの駆動部材に支持された前記物体を保持するテーブル部とを備え、
    前記連結部材は、前記3つの駆動部材のうちの2つの駆動部材と前記スライダとを連結することを特徴とする請求項6記載のステージ装置。
  8. 前記テーブル部は、前記駆動部材に組み込まれた気体軸受け機構によって前記駆動部材上に気体層を介して浮上支持されることを特徴とする請求項7記載のステージ装置。
  9. 前記3つの駆動部材は、該駆動部材よりも柔構造の連結機構を介して相互に連結されていることを特徴とする請求項7又は8記載のステージ装置。
  10. 前記テーブル部は前記ガイド部材よりも比剛性の高い材料から形成されていることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載のステージ装置。
  11. 前記ガイド部材を前記ガイド面に沿って駆動する駆動機構と、
    前記スライダに対して前記可動ステージの少なくとも一部を微動する微動機構とをさらに備えたことを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載のステージ装置。
  12. 物体を駆動するステージ装置において、
    設置面上に載置されたベース部材と、
    前記物体を保持して前記ベース部材のガイド面上に移動自在に配置された可動ステージと、
    前記可動ステージに連結された可動子と、移動可能に支持された固定子とを有し、前記可動ステージを駆動する駆動装置と、
    前記ベース部材とは独立して設けられ、前記可動ステージを駆動した際に発生する反力を受けるフレームと、
    前記固定子と前記フレームとの間に配置され、移動可能な質量体と、
    前記固定子と前記質量体とを連結する第1連結部材と、
    前記質量体と前記フレームとを連結する第2連結部材とを備えたことを特徴とするステージ装置。
  13. 前記固定子は前記ベース部材上に配置されていることを特徴とする請求項12記載のステージ装置。
  14. 前記質量体は前記ベース部材上に配置されていることを特徴とする請求項12又は13記載のステージ装置。
  15. 前記第1及び第2連結部材の少なくとも一方は、コイルばねを含むことを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載のステージ装置。
  16. 前記固定子の質量は、前記質量体の質量よりも重いことを特徴とする請求項12から15のいずれか一項に記載のステージ装置。
  17. 前記固定子は、前記可動ステージを挟むように2箇所に配置されており、
    前記2箇所の固定子は連結されていることを特徴とする請求項12から16のいずれか一項に記載のステージ装置。
  18. 物体を駆動するステージ装置において、
    ベース部材と、
    前記ベース部材のガイド面に沿って配置された中空構造のガイド部材と、
    前記ガイド部材に沿って移動自在に配置されたスライダと、
    前記物体を保持して前記ガイド面上に移動自在に配置されるとともに、前記スライダに連結される可動ステージとを備えたことを特徴とするステージ装置。
  19. パターンを投影系を介して基板上に転写露光する露光装置において、
    請求項1から18のいずれか一項に記載のステージ装置を用いて前記基板を駆動することを特徴とする露光装置。
  20. 物体を駆動するステージ装置において、
    ベース部材と、
    前記物体を保持して前記ベース部材上を移動可能な可動ステージと、
    前記ベース部材のガイド面に前記可動ステージの第1側面に沿って配置された第1のガイド部材と、
    前記第1のガイド部材に沿って移動自在に配置された第1のスライダと、
    前記第1のスライダに設けられた第1固定子と、前記可動ステージに設けられた第1移動子とを有し、前記可動ステージを第1方向に駆動する第1駆動装置とを備えたことを特徴とするステージ装置。
  21. 前記第1移動子は前記第1側面に設けられていることを特徴とする請求項20記載のステージ装置。
  22. 前記ベース部材のガイド面に前記可動ステージの第1側面と直交する第2側面に沿って配置された第2のガイド部材と、
    前記第2のガイド部材に沿って移動自在に配置された第2のスライダと、
    前記第2のスライダに設けられた第2固定子と、前記可動ステージに設けられた第2移動子とを有し、前記可動ステージを前記第1方向と直交する第2方向に駆動する第2駆動装置とを備えたことを特徴とする請求項20記載のステージ装置。
  23. 前記第2移動子は前記第2側面に設けられていることを特徴とする請求項20記載のステージ装置。
  24. 前記第1のスライダと連結され、前記可動ステージを前記ガイド面と交差する方向に駆動する第3駆動装置を備えたことを特徴とする請求項20記載のステージ装置。
  25. 前記第2のスライダと連結され、前記可動ステージを前記ガイド面と交差する方向に駆動する第3駆動装置を備えたことを特徴とする請求項22記載のステージ装置。
  26. 前記第1のガイド部材を前記第1方向に駆動する第4駆動装置を備えたことを特徴とする請求項20記載のステージ装置。
  27. 前記第2のガイド部材を前記第2方向に駆動する第5駆動装置を備えたことを特徴とする請求項22記載のステージ装置。
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