JPWO2005119206A1 - 振動子の光励振q値コントロール方法および装置 - Google Patents
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Abstract
振動子の光励振Q値コントロールによって、速度計測により計測された速度を励起信号にフィードバックすることにより、減衰項をキャンセルし、感度向上を図ることができる振動子の光励振Q値コントロール方法および装置を提供する。光励振Q値コントロール装置において、液体中に配置される振動子4と、この振動子4に照射される励起光10および計測光11とこの振動子4の励振光11および計測光11を出入射する光出入射部9と、この光出入射部9への励起光および計測光の供給部と、この光出入射部9からの計測光の戻り光に基づいて前記振動子のQ値を見かけ上高め、前記振動子の位置と速度を検出する位置・速度検出部とを具備する。
Description
本発明は、振動子の光励振Q値コントロール方法および装置に係り、特に、液体中における振動子の光励振Q値コントロール方法および装置に関するものである。
従来から、ピエゾ素子を励振装置に用い、振動子の位置項を移相もしくは微分して得られた速度項と位置項を適切な位相差でフィードバックすることによって振動子の見かけのQ値を改善する技術があった。
また、液の外に磁場コイルを設け、液中のシリコン等のカンチレバーに磁性体を塗布して、励振を行わせる励振装置が開示されている(下記非特許文献1参照)。また、光で液中の振動子を振動させる技術があった。
更に、本願発明者によって、試料の光励振機能を有するレーザードップラー干渉計並びにカンチレバーの励振方法が提案されている(下記特許文献1参照)。
特開2003−114182号公報
"Enhanced imaging of DNA via active quality factor control",A.D.L.Humphris,A.N.Round,M.J.Miles,Surface Science,491,468−472,2001.
カンチレバー(振動子)は、液体中では、真空・空気中に比べて粘性によるQ値の減衰が大きく、カンチレバーの動的特性を用いた計測において問題になっている。また、従来のQ値コントロールでは速度を直接計測していないため、真の速度項帰還になっておらず、Q値をある程度以上にできないことが問題となっている。
本発明は、上記状況に鑑みて、速度を直接計測し、振動子の光励振Q値コントロールによって、Q値の減衰分を励起信号にフィードバックすることにより、減衰項をキャンセルし、感度向上を図ることができる振動子の光励振Q値コントロール方法および装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕振動子の光励振Q値コントロール方法であって、光励振において、速度計測により直接計測された液体中の振動子の速度を光励起装置にフィードバックすることによって振動子のQ値を見かけ上高め、この振動子としての感度を高めることを特徴とする。
〔1〕振動子の光励振Q値コントロール方法であって、光励振において、速度計測により直接計測された液体中の振動子の速度を光励起装置にフィードバックすることによって振動子のQ値を見かけ上高め、この振動子としての感度を高めることを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、前記振動子に励起光および計測光を照射し、この振動子の計測光の戻り光を検出し、液体中の振動子の速度を計測することを特徴とする。
〔3〕振動子の光励振Q値コントロール方法において、光励振において、液体中の振動子の位置と速度計測により直接計測された速度を光励起装置にフィードバックすることによって振動子のQ値を見かけ上高め、この振動子としての感度を高めることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、前記振動子に励起光および計測光を照射し、この振動子の計測光の戻り光を検出し、液体中の振動子の位置と速度計測により直接計測された速度を計測することを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕又は〔3〕記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、前記液体が水であることを特徴とする。
〔6〕上記〔1〕又は〔3〕記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、前記液体がエタノールであることを特徴とする。
〔7〕上記〔1〕又は〔3〕記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、光走査により、液に浸した多数の振動子にQ値コントロールを適用することを特徴とする。
〔8〕上記〔7〕記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、液に浸した
細胞中の多数の点の計測を行うことを特徴とする。
細胞中の多数の点の計測を行うことを特徴とする。
〔9〕光励振Q値コントロール装置において、液体中に配置される振動子と、この振動子に照射される励起光および計測光を出入射する光出入射部と、この光出入射部への励起光および計測光の供給部と、前記光出入射部からの計測光の戻り光に基づいて前記振動子のQ値を見かけ上高め、前記振動子の速度を直接検出する速度検出部とを具備することを特徴とする。
〔10〕上記〔9〕記載の光励振Q値コントロール装置において、前記速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計からなり、前記速度検出部の出力側にバンドパスフィルタと移相回路とアンプとを直列接続して、前記励起光の供給部にフィードバックすることを特徴とする。
〔11〕光励振Q値コントロール装置において、液体中に配置される振動子と、この振動子に照射される励起光および計測光を出入射する光出入射部と、この光出入射部への励起光および計測光の供給部と、前記光出入射部からの計測光の戻り光に基づいて前記振動子のQ値を見かけ上高め、前記振動子の位置と速度を検出する位置・速度検出部とを具備することを特徴とする。
〔12〕上記〔11〕記載の光励振Q値コントロール装置において、前記位置・速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計からなり、前記位置・速度検出部の出力側にバンドパスフィルタと移相回路とアンプとを直列接続して、前記励起光の供給部にフィードバックすることを特徴とする。
〔13〕上記〔11〕記載の光励振Q値コントロール装置において、前記速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計からなり、このヘテロダインレーザードップラー干渉計にスーパーヘテロダイン回路を接続して、前記励起光の供給部にフィードバックすることを特徴とする。
〔14〕上記〔11〕記載の光励振Q値コントロール装置において、前記位置・速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計からなり、このヘテロダインレーザードップラー干渉計にスーパーヘテロダイン回路を接続して、前記励起光の供給部にフィードバックすることを特徴とする。
〔15〕上記〔9〕記載の光励振Q値コントロール装置において、帰還により周波数特性が共振周波数近傍で平坦な移相回路を用いることを特徴とする。
〔16〕上記〔9〕記載の光励振Q値コントロール装置において、前記移相回路がCdSとLEDセルを用いた帰還方式であることを特徴とする。
〔17〕上記〔9〕記載の光励振Q値コントロール装置において、この装置が走査型力顕微鏡のカンチレバーの振動特性を制御することを特徴とする。
光励振Q値コントロール装置において、液体中に配置される振動子と、この振動子に照射される励起光および計測光を出入射する光出入射部と、この光出入射部への励起光および計測光の供給部と、前記光出入射部からの計測光の戻り光に基づいて前記振動子のQ値を見かけ上高め、前記振動子の位置と速度を検出する位置・速度検出部とを具備する。また、帰還により共振周波数近傍で平坦な周波数特性を有する移相回路を具備する。よって、振動子のQ値コントロールが可能となり、振動子型センサの感度向上に寄与することができる。
また、ヘテロダインレーザードップラー計により速度を直接計測することができるので、位置を計測し、その微分を電気的に求めて、速度信号を得る装置よりもノイズに強いものを得ることができる。また、ヘテロダインレーザードップラー計により速度を求めているため、ヘテロダイン計測の周波数と振動周波数を大きく異なるものに設定し、計測と励振の混信が極めて少なく、帰還ゲインを大きくしても発振の生じない、Q値コントロールによる高いQ値の実現が可能である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示すシステム全体構成図、図2はそのカンチレバー(振動子)部分の模式図である。
この図において、1は液体容器、2は液体容器1中の試料、3はカバーガラス、4はカンチレバー(振動子)、5は励起レーザー装置(LD)、6は励起レーザー装置5から励起光(λ=780nm)10を伝搬する光ファイバ、7は第1のPBS(ポラライジングビームスプリッタ)、8は第2のPBS、9は光出入射部(センサヘッド)〔位相板および対物レンズ(図示なし)を含む〕、11は計測光(λ=632nm)、12はその計測光11を伝搬する光ファイバ、13はその光ファイバ12に接続され、計測光11を照射するとともに、カンチレバー4からの計測光11の戻り光を受信し、それらの光の差信号からカンチレバー4の位置および又は速度を計測するヘテロダインレーザードップラー干渉計、14はヘテロダインレーザードップラー干渉計13の出力側に接続されるバンドパスフィルタ(fC
=1kHz,1MHz)、15はバンドパスフィルタ14に接続される移相回路(phase shift circuit)、16は移相回路15に接続されるアンプ、17は励起レーザー装置5に接続されるとともに、アンプ16に接続される加算器、18は加算器17の出力側に接続されるとともに、ヘテロダインレーザードップラー干渉計13の出力側に接続されるサーボ・アナライザーである。なお、図2に示したように、カンチレバーの異なった位置に励起光と計測光を照射することにより、精度の高い計測を行うことができるが、励起光と計測光を束ねてカンチレバーの同じ箇所に照射するようにしてもよい。そのように励起光と計測光を束ねた場合には、特に多数のカンチレバーが配置されるような場合の光走査を容易に行うことができる利点がある。
=1kHz,1MHz)、15はバンドパスフィルタ14に接続される移相回路(phase shift circuit)、16は移相回路15に接続されるアンプ、17は励起レーザー装置5に接続されるとともに、アンプ16に接続される加算器、18は加算器17の出力側に接続されるとともに、ヘテロダインレーザードップラー干渉計13の出力側に接続されるサーボ・アナライザーである。なお、図2に示したように、カンチレバーの異なった位置に励起光と計測光を照射することにより、精度の高い計測を行うことができるが、励起光と計測光を束ねてカンチレバーの同じ箇所に照射するようにしてもよい。そのように励起光と計測光を束ねた場合には、特に多数のカンチレバーが配置されるような場合の光走査を容易に行うことができる利点がある。
そこで、励起レーザー装置(LD)5から照射された励起光10が、光ファイバ6→第1のPBS7→第2のPBS8→光出入射部9を介してカンチレバー4に照射されるとともに、計測光11もカンチレバー4に照射される。すると、カンチレバー4は光励振され、その計測光11の戻り光が光出入射部9→第2のPBS8→光ファイバ12→ヘテロダインレーザードップラー干渉計13へと返り、ヘテロダインレーザードップラー干渉計13では、計測光11とその計測光の戻り光との差信号によって、カンチレバー4の位置および又は速度を計測する。ヘテロダインレーザードップラー干渉計13からの出力はサーボ・アナライザー18へと入力されるとともに、ヘテロダインレーザードップラー干渉計13→バンドパスフィルタ14→移相回路15→アンプ16→加算器17→励起レーザー装置(LD)5へとフィードバックされる。
本発明は、振動子の光励振Q値コントロール方法において、光励振において、液体中の振動子の速度を光励起装置にフィードバックすることによって振動子のQ値を見かけ上高め、振動子としての感度を高めることを特徴とする。
また、本発明は、光励振Q値コントロール装置であって、液体中に配置される振動子と、この振動子に照射される励起光および計測光を出入射する光出入射部と、この光出入射部への励起光および計測光の供給部と、この光出入射部からの計測光の戻り光に基づいて前記振動子のQ値を見かけ上高め、前記振動子の速度を検出する速度検出部とを具備する。
さらに、前記振動子に励起光および計測光を照射し、この振動子の計測光の戻り光を検出し、液体中の振動子の速度を計測する。特に、ヘテロダインレーザードップラー干渉計により速度を直接計測することができるので、位置を計測し、その微分を電気的に求めて、速度信号を得る装置よりもノイズに強いものを得ることができる。また、高集積のカンチレバーアレーに適用可能であり、光走査化が可能である。また、液振が少ない、つまりノイズを少なくすることができる。
また、振動子(微小カンチレバー)の光励振において、位置項と速度項をそれぞれ帰還することによって、振動子の置かれた環境による減衰項を打ち消し、振動子のQ値を見かけ上変えることができる。
実験では、振動子として市販のコンタクトモード用カンチレバー(長さl=100μm、幅w=20μm、厚さt=0.8μm)を用いた。共振周波数は69kHzであり、その他の条件は、対物レンズは10倍(オリンパス、IR補正なし、対空気・真空用)、ヘテロダインレーザードップラー干渉計は100MHzまで計測可能なものを使用した。励起レーザー装置としてのLD電流は51.8mAである。
図3は本発明のQ値コントロールを用いたカンチレバーの振動特性図(その1)であり、この図3において、横軸は周波数(kHz)、縦軸は振幅(nm)を示している。ここでは、水中光励振を行っており、カンチレバーはオリンパスコンタクトモード用カンチレバー幅20μm、長さ100μm、厚さ0.8μm、真空中の共振周波数は78kHzであり、フィードバックする速度信号のゲインを変えて測定している。移相回路15の入出力間の位相差Δφは90度に固定している。
この図において、曲線aはQ値コントロールあり(本発明:ゲイン6)、曲線bはQ値コントロールあり(本発明:ゲイン4)、曲線cはQ値コントロールあり(本発明:ゲイン2)、曲線dはQ値コントロールなしである。この図より明らかなように、本発明のQ値コントロールによってQ値が向上した。
図4は図3の縦軸を対数表示とした本発明のQ値コントロールを用いたカンチレバーの振動特性図であり、2次モードが現れた。
図5は図3に示す本発明のQ値コントロールを用いたカンチレバーの振動特性図(その2)である。この図において、曲線aはQ値コントロールあり(本発明:ゲイン7)、曲線bはQ値コントロールあり(本発明:ゲイン5)、曲線cはQ値コントロールあり(本発明:ゲイン4)、曲線dはQ値コントロールあり(本発明:ゲイン3)、曲線eはQ値コントロールなしである。
この図から明らかなように、本発明においては、Q値コントロールによってQ値を向上させることができる。また、ゲインが大きくなるにしたがって、Q値を大きくすることができることが明らかとなった。
図6はエタノールと水中でのカンチレバーの振動特性の比較を示す図である。この図において、曲線aは水、曲線bはエタノールの場合を示している。
この図では図3、図4と同じ条件でエタノール中の測定を試みたが、自励に入った。エタノールの方が水より粘性が低く、自励しやすいためだと思われる。
この図から明らかなように、粘性の低いエタノールの方は、共振周波数が高い方にシフトしている。
また、本発明のQ値コントロールを行わなかった場合の結果を示す図7に比べて、粘性の違いによる共振周波数のシフト量の差が小さくなっている。これは、Q値コントロールによって減衰率が見かけ上小さくなったことに起因する。なお、図7において、aは水、bはエタノール、cは水とエタノールが1:1の溶液である。
図8は、本発明の帰還により共振周波数近傍で周波数特性が平坦な移相回路の図である。なお、この移相回路は、図1における移相回路15に対応している。
この図において、21は入力信号、22はCdS−LEDセル、23,24,26,29,30,31は増幅器(オペアンプ)、25,27は比較器、28は乗算器(マルチプライアー)、32はトランジスタ、33は出力信号、VEEは−10V、VCCは+10Vである。
ここでは、バンドパスフィルタ14(図1参照)から入力された入力信号21はアンプ16(図1参照)へと出力されるが、両者の移相関係が、周波数に依らず平坦になるように、CdS−LEDセル22による帰還によって実現されている。
図9は、図8に示す移相回路によって平坦な移相特性が得られている結果を示している。図9において、Aが本発明の移相回路によって出力される平坦な移相特性を示す線、Bが従来の移相回路(フィードバック機能を有しない)によって出力される移相特性を示す線である。
この図に示すように、本発明による移相回路によれば、周波数に依らず平坦なゲイン(dB)を得ることができることが分かる。
図10は、図1に示す本発明の装置において、移相回路として図8に示す移相回路を用いた場合のカンチレバーの振動特性図(その1)である。本発明による光励振Qコントロールを行っていない場合CではQ値が2であるが、本発明による光励振Qコントロールを行った場合DではQ値が620となっており、かつ、意図しない発振が生じないことが示されている。
図11は、図1に示す本発明の装置において、移相回路として図8に示す移相回路を用いた場合のカンチレバーの振動特性図(その2)である。見かけのQ値が高められているため、共振周波数において、急激に位相が変化していることが分かる。つまり、位相や周波数の変化からカンチレバーによる場や質量の検出が高感度で実現できることを示している。
図12は、本発明にかかるQ値コントロールを用いたカンチレバーの振動特性制御において、自己生成分子膜をカンチレバー上に生成させた時の振動特性の変化を示す図である。図12において、E(図10におけるDに対応)はQ値コントロールを用いてカンチレバーが純水中で振動する場合の特性、F,GはQ値コントロールを用いて微量の自己生成分子を純水に混ぜた状態中でカンチレバーが振動する場合の特性を示しており、このことから、Q値コントロールを用いたカンチレバーは、敏感に自己生成分子の吸着を検出していることが分かる。概算で、fgからpgオーダーの質量検出が実現されていることが分かる。
また、振動子の光励振Q値コントロール方法において、光走査により、液に浸した多数の振動子にQ値コントロールを適用することができる。
さらに、振動子の光励振Q値コントロール方法において、液に浸した多数の振動子にQ値コントロールを適用できるので、液に浸した細胞中の多数の点の計測を行うことができる。さらに、振動子の光励振Q値コントロール方法を液に浸した一個もしくは多数のカンチレバーの振動制御に適応し、高分解能の走査型力顕微鏡が実現できる。
図13は本発明の他の実施例を示すシステムの部分構成図である。すなわち、図1のシステムの一部を変更している。
図13に示すように、40はスーパーヘテロダイン回路であり、このスーパーヘテロダイン回路40は、局部発振器41、ミキサ(周波数混合器)42,45、バンドパスフィルタ43、移相回路(フィードバック機能なし)44からなる。
ここで、局部発振器41は、サーボ・アナライザー18の出力する周波数f1 よりf0 だけ低い、又は周波数f1
より高いf2 を出力する。ヘテロダインレーザードップラー干渉計13の出力周波数は、サーボ・アナライザー18の出力する周波数f1
と等しい。本発明では、周波数f1 自体が変化するので、上記した局部発振器41の条件を満足するためには、周波数f1 +f0
またはf1 −f0 を発生する。
より高いf2 を出力する。ヘテロダインレーザードップラー干渉計13の出力周波数は、サーボ・アナライザー18の出力する周波数f1
と等しい。本発明では、周波数f1 自体が変化するので、上記した局部発振器41の条件を満足するためには、周波数f1 +f0
またはf1 −f0 を発生する。
このように、本発明の光励振Q値コントロール装置において、速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計13からなり、このヘテロダインレーザードップラー干渉計13にスーパーヘテロダイン回路40を接続して、励起光の供給部である励起レーザー装置(LD)5(図1参照)にフィードバックするように構成している。
また、本発明の光励振Q値コントロール装置において、位置・速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計13からなり、このヘテロダインレーザードップラー干渉計13にスーパーヘテロダイン回路40を接続して、励起光の供給部である励起レーザー装置(LD)5(図1参照)にフィードバックするようにしている。このように構成した場合には、移相回路44はフィードバック機能を有しない従来の移相回路を用いることができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
(1)光励振では、変位や速度を検出する光検出計と組み合わせることによって、光を当てるだけで振動子や振動子アレーをセンサに用いることが可能となる。さらに、Q値コントロールによって、物質検出の感度や、走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーに用いた場合の像の改善が得られる。つまり、従来の、ピエゾ素子対カンチレバー一個、という組合せに規制されない展開が、光励振にQ値コントロールを導入することで期待できる。
(2)ヘテロダインレーザードップラー計により速度を直接計測することができるので、位置を計測し、その微分を電気的に求めて、速度信号を得る装置よりもノイズに強いものを得ることができる。また、高集積のカンチレバーアレーに適用可能であり、光走査化が可能である。また、液振が少ない、つまりノイズを少なくすることができる。
(3)光で励振される振動子に対して同様の速度項と位置項の帰還を行うことにより、振動子のQ値コントロールを可能とする。光を当てるだけでターゲットの励振、振動検出、Q値コントロールが可能となり、振動子型センサの感度向上に寄与することができる。
(4)従来技術のように、磁性体をシリコン等のカンチレバーに塗布する必要がないため、より高いQ値が期待できる。
(5)光走査により、液に浸した多数の振動子にQ値コントロールを適用し、例えば、
細胞中の多数の点の計測を行うことができる。
細胞中の多数の点の計測を行うことができる。
(6)ヘテロダインレーザードップラー計により直接速度を計測しているため、ヘテロダイン法のキャリア周波数と振動周波数を大きく異なるものとすることができ、発振の生じない、高いQ値制御が可能となる。
(7)帰還により共振周波数近傍に平坦な周波数特性を有する移相回路により、発振の生じない、高いQ値制御が可能となる。
本発明の振動子の光励振Q値コントロール方法および装置は、走査型顕微鏡と組み合わせることにより、物質同定やナノバイオメカニクス、創薬へ利用することができる。
Claims (17)
- 光励振において、速度計測により直接計測された液体中の振動子の速度を光励起装置にフィードバックすることによって振動子のQ値を見かけ上高め、該振動子としての感度を高めることを特徴とする振動子の光励振Q値コントロール方法。
- 請求項1記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、前記振動子に励起光および計測光を照射し、該振動子の計測光の戻り光を検出し、液体中の振動子の速度を計測することを特徴とする振動子の光励振Q値コントロール方法。
- 光励振において、液体中の振動子の位置と速度計測により直接計測された速度を光励起装置にフィードバックすることによって振動子のQ値を見かけ上高め、該振動子としての感度を高めることを特徴とする振動子の光励振Q値コントロール方法。
- 請求項1記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、前記振動子に励起光および計測光を照射し、該振動子の計測光の戻り光を検出し、液体中の振動子の位置と速度計測により直接計測された速度を計測することを特徴とする振動子の光励振Q値コントロール方法。
- 請求項1又は3記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、前記液体が水であることを特徴とする振動子の光励振Q値コントロール方法。
- 請求項1又は3記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、前記液体がエタノールであることを特徴とする振動子の光励振Q値コントロール方法。
- 請求項1又は3記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、光走査により、液に浸した多数の振動子にQ値コントロールを適用することを特徴とする振動子の光励振Q値コントロール方法。
- 請求項7記載の振動子の光励振Q値コントロール方法において、液に浸した細胞中の多数の点の計測を行うことを特徴とする振動子の光励振Q値コントロール方法。
- (a)液体中に配置される振動子と、
(b)該振動子に照射される励起光および計測光を出入射する光出入射部と、
(c)該光出入射部への励起光および計測光の供給部と、
(d)前記光出入射部からの計測光の戻り光に基づいて前記振動子のQ値を見かけ上高め、前記振動子の速度を直接検出する速度検出部とを具備することを特徴とする光励振Q値コントロール装置。 - 請求項9記載の光励振Q値コントロール装置において、前記速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計からなり、前記速度検出部の出力側にバンドパスフィルタと移相回路とアンプとを直列接続して、前記励起光の供給部にフィードバックすることを特徴とする光励振Q値コントロール装置。
- (a)液体中に配置される振動子と、
(b)該振動子に照射される励起光および計測光を出入射する光出入射部と、
(c)該光出入射部への励起光および計測光の供給部と、
(d)前記光出入射部からの計測光の戻り光に基づいて前記振動子のQ値を見かけ上高め、前記振動子の位置と速度を検出する位置・速度検出部とを具備することを特徴とする光励振Q値コントロール装置。 - 請求項11記載の光励振Q値コントロール装置において、前記位置・速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計からなり、前記位置・速度検出部の出力側にバンドパスフィルタと移相回路とアンプとを直列接続して、前記励起光の供給部にフィードバックすることを特徴とする光励振Q値コントロール装置。
- 請求項11記載の光励振Q値コントロール装置において、前記速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計からなり、該ヘテロダインレーザードップラー干渉計にスーパーヘテロダイン回路を接続して、前記励起光の供給部にフィードバックすることを特徴とする光励振Q値コントロール装置。
- 請求項11記載の光励振Q値コントロール装置において、前記位置・速度検出部は、ヘテロダインレーザードップラー干渉計からなり、該ヘテロダインレーザードップラー干渉計にスーパーヘテロダイン回路を接続して、前記励起光の供給部にフィードバックすることを特徴とする光励振Q値コントロール装置。
- 請求項9記載の光励振Q値コントロール装置において、帰還により周波数特性が共振周波数近傍で平坦な移相回路を用いることを特徴とする光励振Q値コントロール装置。
- 請求項9記載の光励振Q値コントロール装置において、前記移相回路がCdSとLEDセルを用いた帰還方式であることを特徴とする光励振Q値コントロール装置。
- 請求項9記載の光励振Q値コントロール装置において、該装置が走査型力顕微鏡のカンチレバーの振動特性を制御することを特徴とする光励振Q値コントロール装置。
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