JPWO2005113647A6 - 低線熱膨張係数を有するポリエステルイミドとその前駆体 - Google Patents

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Abstract

本発明は低誘電率、低線熱膨張係数、高ガラス転移温度を有し、且つフレキシブルプリント配線基板用途として十分な膜靭性を併せ持つ、実用上有益なポリエステルイミドとその前駆体、およびそれらの製造方法を提供するものである。 式(2):式中、 AおよびBは、独立して、二価の芳香族基、脂環式基またはそれらの組合せであるが、但し隣接する原子に対する二価の結合位置関係は、全てパラ位またはそれに相当する関係にある、で表される繰り返し単位を含むことを特徴とするポリエステルイミド。

Description

本発明は低誘電率、低線熱膨張係数、高ガラス転移温度を有し、且つフレキシブルプリント配線基板用途として十分な膜靭性を併せ持つ、実用上有益なポリエステルイミドとその前駆体、およびそれらの製造方法に関する。
ポリイミドは優れた耐熱性のみならず、耐薬品性、耐放射線性、電気絶縁性、優れた機械的性質などの特性を併せ持つことから、フレキシブルプリント配線回路用基板、テープオートメーションボンディング用基材、半導体素子の保護膜、集積回路の層間絶縁膜等として、様々な電子デバイスに現在広く利用されている。
一般にポリイミドは、無水ピロメリット酸等の芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンとをジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性有機溶媒中で等モル反応させて得られる高重合度のポリイミド前駆体を、膜などに成形し加熱硬化して得られる。
しかしながらポリイミドの耐熱性を保持するためには、分子設計上、骨格構造を剛直にせざるを得ず、結果として多くのポリイミドは有機溶媒に不溶で、ガラス転移温度以上でも溶融しないため、ポリイミドそのものを成型加工することは通常容易ではない。
従って通常、ポリイミド膜の形成等に際しては、アミド系有機溶媒に高い溶解性を示すポリイミド前駆体を経由する方法が用いられる。具体的にはポリイミド前駆体の非プロトン性有機溶媒溶液を金属基板上に塗布、乾燥後、250℃ないし350℃で加熱脱水閉環(イミド化)反応せしめることでポリイミド膜を形成する。
ポリイミド/金属基板積層体を前述のようなイミド化温度から室温へ冷却する過程で発生する熱応力は、しばしばカーリング、膜の剥離、割れ等の深刻な問題を引き起こす。最近では電子回路の高密度化に伴い、多層配線基板が採用されるようになってきたが、たとえ膜の剥離や割れにまで至らなくても多層基板における応力の残留はデバイスの信頼性を著しく低下させる。
イミド化工程で発生する応力は、金属基板とポリイミド膜との間の線熱膨張係数の差が大きいほど、またイミド化温度が高いほど増加する。
熱応力低減の方策として、ポリイミドの低熱膨張化が挙げられる。殆どのポリイミドでは線熱膨張係数が40〜90ppm/Kの範囲にあり、金属基板例えば銅の線熱膨張係数17ppm/Kよりもはるかに大きいため、銅の値に近い、およそ20ppm/K以下を示す低熱膨張性ポリイミドの研究開発が行われている。
ポリイミドの低熱膨張化には一般に、その主鎖構造が直線的でしかも内部回転が束縛され、剛直であることが必要条件であると報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。無水ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテルより得られるポリイミドは主鎖中に存在するエーテル結合により高い膜靭性を示すが、線熱膨張係数は40〜50ppm/Kと高く、低熱膨張特性を示さない。
現在実用的な低熱膨張性ポリイミド材料としては3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンから形成されるポリイミドが最もよく知られている。このポリイミド膜は、膜厚や作製条件にもよるが、5〜10ppm/Kと非常に低い線熱膨張係数を示すことが知られている(例えば、非特許文献2、非特許文献3参照。)。
一方、近年マイクロプロセッサーの演算速度の高速化やクロック信号の立ち上がり時間の短縮化が情報処理・通信分野で重要な課題になってきているが、そのためには絶縁膜として使用されるポリイミド膜の低誘電率化の要求が高まっている。また電気配線長の短縮のための高密度配線および多層基板化にとっても、絶縁膜の誘電率が低いほど絶縁層を薄くできる等の点で有利である。
3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンから得られる上記のポリイミドは優れた低熱膨張特性を示すが、誘電率は3.5と高く、誘電率の点では不十分である。
ポリイミドの低誘電率化には骨格中へのフッ素置換基の導入が有効である(例えば、非特許文献4参照。)。例えば2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物と2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから得られるフッ素化ポリイミド膜は、平均屈折率から見積もられた誘電率が2.65と非常に低い値を示す(例えば、非特許文献5参照。)。
また芳香族単位を脂環式単位に置き換えてπ電子を減少することも低誘電率化に有効な手段である(例えば、非特許文献6参照。)。例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)から得られる非芳香族ポリイミド膜は、平均屈折率から見積もられた誘電率が2.6と非常に低い値を示す(例えば、非特許文献7参照。)。
しかしながら、低誘電率(一時的な目標値として3.3以下)と低熱膨張係数(一時的な目標値として30ppm/K以下)を同時に有し、且つハンダ耐熱性を保持しているポリイミドを得ることは分子設計上容易ではない。ポリイミド以外の低誘電率高分子材料や無機材料も検討されているが、誘電率、線熱膨張係数、耐熱性および膜靭性の点で要求特性が十分に満たされていないのが現状である。
一般にポリイミド構造中へのフッ素基の導入は分子間相互作用を弱め、低熱膨張化の要因であるイミド化時の自発的分子配向を妨害する傾向をもたらす。加えてフッ素基の過度の導入はコスト面でも不利である。前述のように2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物と2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンから得られる代表的なフッ素化ポリイミド膜は、低誘電率を示すが、線熱膨張係数は64ppm/Kと非常に高く、低熱膨張特性を示さない(例えば、非特許文献5参照。)。
前述のようにポリイミド骨格への脂環式単位の導入はπ電子を減少させ、低誘電率化に有効である。しかしながら脂環式単位の導入は一般にポリイミド主鎖骨格の直線性および剛直性を低下させ、線熱膨張係数の増大を引き起こすという問題がある。例えば4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)の如き屈曲性の高い脂環式ジアミンを用いた場合、各種酸二無水物と容易に重合が進行し、高重合度のポリイミド前駆体を生成するが、閉環反応により得られるポリイミド膜は低熱膨張特性を示さない。
例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)から得られるポリイミド膜は前述のように低誘電率を示すが、線熱膨張係数は70ppm/Kと非常に高く、低熱膨張特性を示さない。
一方、低誘電率を保持しつつ、低熱膨張特性発現を目論み、上記屈曲性脂環式ジアミンの代わりに剛直な脂環式ジアミンであるトランス−1,4−シクロヘキサンジアミンを用いると、ポリイミド前駆体の重合時に強固な塩形成が起り、しばしば重合反応が進行しないという問題が生じる。
例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミンから成るポリイミドは剛直で比較的直線状の骨格を有するため、低誘電率に加えて低熱膨張特性の発現が期待される。しかしながら実際には上記の理由によりポリイミド前駆体を重合することは困難である。
これに対して、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンとのポリイミド前駆体重合反応では、上記のような塩形成は全く起こらず、容易に高分子量体を得ることができる。更に、そのポリイミド膜は低誘電率(2.66)、低熱膨張係数(21ppm/K)および高ガラス転移温度(356℃)を同時に満たす(例えば、非特許文献5参照。)。
しかしながらこのポリイミド膜の破断伸びは3%程度と低く、膜靭性があまり高くないことが唯一の欠点である。これは低熱膨張係数発現に不可欠な構造因子、即ちポリイミド鎖を直線的で剛直な構造にした結果、ポリマー鎖同士の絡み合いが乏しくなったことが主な原因である。このことは低熱膨張性ポリイミドに常に付随する問題であり、低熱膨張係数、低誘電率およびフレキシブルプリント配線基板に適用できるほど十分な膜靭性を全て満足するポリイミドはこれまで知れていない。
Polymer,28,2282(1987) Macromolecules,29,7897(1996) Polyimides:Fundamentals and Applications,Marcel Dekker,New York,1996,p207) Macromolecules,24,5001(1991) High Performance Polymers,15,47(2003) Macromolecules,32,4933(1999) Reactive and Functional Polymers,30,61(1996)
本発明は低誘電率、低線熱膨張係数、高ガラス転移温度を有し、且つフレキシブルプリント配線基板用途として十分な膜靭性を併せ持つ、実用上有益なポリエステルイミドとその前駆体、およびそれらの製造方法を提供するものである。
以上の問題を鑑み、鋭意研究を積み重ねた結果、式(2)で表されるポリエステルイミドが上記の要求特性を満たすことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示すものである。
1)式(1):
Figure 2005113647
式中、
AおよびBは、独立して、二価の芳香族基、脂環式基またはそれらの組合せであるが、但し二価の基の結合位置関係は、全てパラ位またはそれに相当する関係にある、
で表される繰り返し単位を含むことを特徴とするポリエステルイミド前駆体。
2)Aが、
Figure 2005113647
で表される2価の芳香族基あるいは脂環式基より選択され、Bが、
Figure 2005113647
で表される二価の芳香族基あるいは脂環式基より選択されるが、但し、AおよびBにおけるシクロヘキサン環の立体構造は、椅子型トランス配置である、上記1)に記載のポリエステルイミド前駆体。
3)N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度における固有粘度が、0.3dL/g以上である、上記1)または2)に記載のポリエステルイミド前駆体。
4)上記1)〜3)いずれかに記載のポリエステルイミド前駆体を含む有機溶媒溶液。
5)式(2):
Figure 2005113647
式中、
AおよびBは、独立して、二価の芳香族基、脂環式基またはそれらの組合せであるが、但し二価の基の結合位置関係は、全てパラ位またはそれに相当する関係にある、
で表される繰り返し単位を含むことを特徴とするポリエステルイミド。
6)Aが、
Figure 2005113647
で表される2価の芳香族基あるいは脂環式基より選択され、Bが、
Figure 2005113647
で表される二価の芳香族基あるいは脂環式基より選択されるが、但し、AおよびBにおけるシクロヘキサン環の立体構造は、椅子型トランス配置である、上記5)に記載のポリエステルイミド。
7)ポリエステルイミド膜の製造方法であって、
(i)上記1)〜3)に記載のポリエステルイミド前駆体の有機溶媒溶液を調製し;
(ii)(i)で得られた溶液を、基板上に塗布、乾燥してポリエステルイミド前駆体膜を形成し;そして
(iii)該前駆体膜を加熱脱水環化反応させるか、もしくは脱水閉環試薬を用いて環化反応させる
ことによりポリエステルイミド膜を製造する方法。
8)上記7)に記載の方法により得られる、ポリエステルイミド膜。
9)3.3よりも低い誘電率、30ppm/Kよりも低い線熱膨張係数、300℃以上のガラス転移温度および十分な靭性を併せ持つ、上記8)に記載のポリエステルイミド膜。
10)上記8)または9)に記載のポリエステルイミド膜を含む、電子デバイス。
一般に、ポリマーフィルムが十分な膜靭性を示すためには、ポリマー鎖同士の絡み合いが必要であり、絡み合いの程度はポリマーの重合度の増加と共に増加する。また、いくら高分子量であっても主鎖中に内部回転可能な屈曲結合を一切含んでいない場合、ポリマー鎖は絡み合うことができず、膜は脆弱になってしまう。ポリイミド骨格へのエーテル結合の導入は膜靭性の向上に大きく寄与するが、その一方で、主鎖の剛直性や直線性の低下を招き、低熱膨張特性発現を妨げる。
低熱膨張特性と膜靭性を両立させるため、本発明ではエステル結合に着目した。エステル結合はエーテル結合に比べて内部回転障壁が高く、コンホーメンション変化が比較的妨げられており、且つ主鎖にある程度の柔軟さも付与しうると期待される。
またエステル結合はアミド結合やイミド結合よりも単位体積当たりの分極率が低いため、ポリイミドへのエステル結合の導入は低誘電率化にも有利である。一般にポリエステルがポリイミドやポリアミドに比べて低い吸水率を示す事実から考えて、エステル基導入は誘電率を大きく左右する吸水率の低下にも寄与することが期待される。
本発明のポリエステルイミドの製造に使用されるテトラカルボン酸二無水物モノマーは、ヒドロキノンのような剛直性や直線性を付与するジオールとトリメリット酸無水物クロリドから容易に合成することができ、得られたモノマーも高純度である。しかも使用する原料は安価に入手でき、ポリエステルイミドの製造コストの点でも有利である。
図1は実施例1に記載のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の赤外線吸収スペクトルである。 図2は実施例2に記載のエステル基含有テトラカルボン酸二無水物の赤外線吸収スペクトルである。 図3は実施例3に記載のポリエステルイミド前駆体膜の赤外線吸収スペクトルである。 図4は実施例3に記載のポリエステルイミド膜の赤外線吸収スペクトルである。 図5は実施例4に記載のポリエステルイミド前駆体膜の赤外線吸収スペクトルである。 図6は実施例4に記載のポリエステルイミド膜の赤外線吸収スペクトルである。 図7は実施例5に記載のポリエステルイミド前駆体膜の赤外線吸収スペクトルである。 図8は実施例5に記載のポリエステルイミド膜の赤外線吸収スペクトルである。
以下に本発明を詳細に説明する。
式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物モノマーの合成は以下のように行う。まずジオールを脱水済みのテトラヒドロフランやN,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒に溶解し、これに脱酸剤としてピリジンやトリエチルアミン等の3級アミンを添加する。この溶液へ、用いたジオールに対して2倍モルのトリメリット酸無水物クロリドの溶液を氷で冷却しながら徐々に滴下し、室温で24時間攪拌して目的の式(3):
Figure 2005113647
式中、Aは、二価の芳香族基、脂環式基またはそれらの組合せであるが、但し二価の基の結合位置関係は、全てパラ位またはそれに相当する関係にある、で表されるテトラカルボン酸二無水物モノマーを得ることができる。反応終了後、上記反応溶液中に含まれる3級アミンの塩酸塩を濾過により除去し、反応溶媒を減圧留去後、適当な溶媒を用いて再結晶を繰返すことで重合に供することのできる高純度なエステル基含有酸二無水物モノマーが得られる。
より厳密に塩酸塩成分を除去するには、生成物をクロロホルムや酢酸エチル等に溶解し、水と共に振とうして塩酸塩を抽出除去した後、溶媒を留去するか、または反応溶液を大量の水中に滴下し、沈澱した生成物を洗浄する。これらの操作により酸無水物基が一部加水分解を受けるので、これを真空中、200℃で熱閉環処理し、最後に適当な溶媒より再結晶する。
エステル基含有テトラカルボン酸二無水物モノマーの閉環処理は、無水酢酸等の脱水剤に溶解し、これを加熱還流することでも行えるが、目的物が着色する傾向があるため、光学用途に使用する場合は熱閉環する方が好ましい。
本発明に係るポリエステルイミドの要求特性を満足するために好ましいジオールは、2つのヒドロキシ基が各々末端に存在する芳香族および/または脂環式ジヒドロキシ化合物である。但しこれらの化合物において、ヒドロキシ基、芳香族基および/または脂環式基のそれぞれの結合位置関係は、全てパラ位またはそれに相当する関係にある。
本発明において「パラ位またはそれに相当する関係」とは、一方の結合位置に対して、他方の結合位置が点対称または線対称にあるような関係を意味する。例えばベンゼン、シクロヘキサンのような6員環の場合は、1,4−を意味し、例えばナフタレン環のような10員環の場合は、2,6−若しくは1,5−を意味する。(なお、置換位置を表す数字は、命名法上の優先順位に応じて場合により変動するが、両者の関係性は数字とは無関係に保持される。)本発明のジオールはパラ位またはそれに相当する関係を有することにより、直線的で剛直な構造を付与している。
好ましい芳香族ジヒドロキシ化合物は、具体的には、パラ位またはそれに相当する関係にある2つのヒドロキシル基を有する炭素数6〜24個の単環式、縮合多環式の炭化水素基であり、これらは場合により、直接または架橋員により相互に連結されていてもよい(この場合、2つのヒドロキシル基は各々末端に存在する)。ここで、架橋員とは、原子数1〜6個のスペーサー基であって、例えばアルキレン、−O−、−NH−、カルボニル、スルフィニル、スルホニルまたはこれらの組合せであってよい。さらにこれらは場合により、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、または炭素数1〜4個のアルキル、ハロゲン化アルキルもしくはアルコキシで置換されていてもよい。
より好ましい芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えばヒドロキノン、4,4′−ビフェノールまたは4,4″−ジヒドロキシ−テルフェニルなどが挙げられる。
好ましい脂環式ジヒドロキシ化合物は、具体的には、パラ位またはそれに相当する関係にある2つのヒドロキシル基を有する炭素数6〜24個の単環式、多環式の炭化水素基であり、これらは場合により、直接または架橋員により相互に連結されていてもよい(この場合、2つのヒドロキシル基は各々末端に存在する)。ここで、架橋員とは、原子数1〜6個のスペーサー基であって、例えばアルキレン、−O−、−NH−、カルボニル、スルフィニル、スルホニルまたはこれらの組合せであってよい。さらにこれらは場合により、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、または炭素数1〜4個のアルキル、ハロゲン化アルキルもしくはアルコキシで置換されていてもよく、および/または1つ以上の−O−、−NH−、カルボニル、スルフィニル、またはスルホニルで中断されていてもよい。
より好ましい脂環式ジヒドロキシ化合物としては、例えばトランス−1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
続いてポリエステルイミド前駆体の重合は以下のように行う。まずジアミン成分を重合溶媒に溶解し、これに式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、10〜40℃、好ましくは室温で、0.5〜48時間攪拌する。この際、モノマー濃度は5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%である。このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより均一で高重合度のポリエステルイミド前駆体溶液を得ることができる。
本発明のポリエステルイミド前駆体は、N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度で測定した固有粘度が0.3dL/g以上であり、ポリエステルイミドの所望の用途に応じて、0.3〜6.0dL/gの範囲であるのが好ましい。
モノマー濃度が高いほど高重合度のポリエステルイミド前駆体が得られる傾向があるため、ポリエステルイミド膜が特に高靭性を必要とする用途ではできるだけ高い濃度で重合を開始することが好ましい。この重合反応の際、酸二無水物成分とジアミン成分とのモル比は、酸二無水物成分/ジアミン成分=0.7〜1.3であることが好ましく、特に、0.95〜1.05の範囲が好ましい。
重合溶媒としてはN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン−ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テロラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン等の非プロトン性溶媒、およびフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール等のプロトン性溶媒が使用可能である。またこれらの溶媒は単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。
本発明に係るポリエステルイミドの要求特性を満足するために好ましいジアミン成分は、2つのアミノ基が各々末端に存在する芳香族および/または脂環式ジアミン化合物である。但しこれらの化合物において、アミノ基、芳香族基および/または脂環式基のそれぞれの結合位置関係は、全てパラ位またはそれに相当する関係にある。本発明のジアミン成分はパラ位またはそれに相当する関係を有することにより、直線的で剛直な構造を付与している。
好ましいジアミン成分は、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、1,4−ジアミノシクロヘキサンまたは4−アミノ安息香酸4′−アミノフェニルであり、これらは場合により1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、または炭素数1〜4個のアルキル、ハロゲン化アルキルもしくはアルコキシで置換されていてもよい。具体的には、2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン、ベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3′−ジヒドロキシベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンまたは4−アミノ安息香酸4′−アミノフェニルが好ましい例として挙げられる。本発明に係るポリエステルイミドにおいて、これらのジアミン成分を、使用するジアミン成分の70〜100モル%使用することが好ましい。
本発明に係るポリエステルイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で部分的に使用可能な芳香族ジアミンとしては特に限定されないが、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、2,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p−テルフェニレンジアミン等が例として挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
また、ポリエステルイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で部分的に使用可能な脂肪族ジアミンとしては特に限定されないが、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン(トランス/シス混合物)、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2−エチルシクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルシクロヘキシルアミン)、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
高い熱安定性や高いガラス転移温度を保持するために、脂肪族ジアミンとして1,4−ジアミノシクロヘキサンの如き脂環式ジアミンを用いた方が好ましい。
一般に脂肪族ジアミンをポリエステルイミド前駆体重合反応に供した場合、重合初期に塩が形成され、重合の進行が妨げられることが起こる。脂肪族ジアミンの中では特にトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンと殆どのテトラカルボン酸二無水物との組合せではより強固な塩が形成され、しばしば重合が全く進まない。
しかしながら本発明に係る式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物を用いた場合は、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンと速やかに反応して、高重合度のポリエステルイミド前駆体を容易に得ることができる。そのため、脂肪族ジアミンをクロロトリメチルシランの如きシリル化剤でシリル化するような煩雑な重合前処理工程を必要としない。
さらに、低誘電率、低線熱膨張係数を示し、且つ吸水率を小さくするために、芳香族ジアミンとして4−アミノ安息香酸4′−アミノフェニルの如きエステル結合含有ジアミンを用いることもまた好ましい。
本発明に係るポリエステルイミドの要求特性および重合反応性を著しく損なわない範囲で、式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物以外の酸二無水物成分を部分的に使用しても差し支えない。共重合酸二無水物成分としては特に限定されないが、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物2,2′−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2′−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。共重合成分としてこれらを単独あるいは2種類以上用いてもよい。
ポリエステルイミド前駆体の重合の際しばしば添加される高分子溶解促進剤即ちリチウムブロミドやリチウムクロリドの如き金属塩類は、本発明に係るポリエステルイミド前駆体重合反応には一切使用する必要がない。これらの金属塩類はポリエステルイミド膜中に金属イオンが痕跡量でも残留すると、電子デバイスとしての信頼性を著しく低下させるため用いられるべきではない。
基板上に塗布されたポリエステルイミド前駆体溶液を、40℃〜180℃範囲で乾燥させる。得られたポリエステルイミド前駆体膜を基板上で空気中、窒素等の不活性ガス雰囲気中あるいは真空中、200℃〜430℃、好ましくは250℃〜400℃の温度で熱処理することでポリエステルイミド膜が得られる。
イミド化は脱水環化試薬を用いて化学的に行うこともできる。即ちピリジンあるいはトリエチルアミンの如き塩基性触媒を含む無水酢酸中に、基板上に形成されたポリエステルイミド前駆体膜を室温で1分〜数時間浸漬する方法によってもポリエステルイミド膜を得ることができる。
得られたポリエステルイミド膜中には必要に応じて酸化安定剤、末端封止剤、フィラー、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤および増感剤等の添加物が混合されていても差し支えない。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。尚、各例における分析値は以下の方法により求めた。
固有粘度
0.5重量%のポリエステルイミド前駆体のN,N−ジメチルアセトアミド溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
ガラス転移温度
動的粘弾性測定により、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失ピークから求めた。
5%重量減少温度
ポリエステルイミド膜の熱重量変化を、昇温速度10℃/分で測定し、重量が5%減少した温度を求めた。
線熱膨張係数
熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値として線熱膨張係数を求めた。
複屈折
ポリエステルイミド膜に平行な方向(nin)と垂直な方向(nout)の屈折率をアッベ屈折計(ナトリウムランプ使用、波長589nm)で測定し、これらの屈折率の差から複屈折(Δn=nin−nout)を求めた。
誘電率、誘電正接
誘電率および誘電正接は、直径5cmの円形に切り出したポリエステルイミド膜に金を蒸着して電極パターンを形成したもの作製し、これをアジレントテクノロジー社製誘電体測定用電極16451Bではさみ、アジレントテクノロジー社製、高精度LCRメータ4285Aに接続して相対湿度46%で測定した。
更にポリエステルイミド膜の平均屈折率〔nav=(2nin+nout)/3〕に基づいて、次式により1MHzにおける誘電率(ε)を算出した。ε=1.1×nav
吸水率
ポリエステルイミド膜を50℃で24時間真空乾燥し、25℃の水中に24時間浸漬後、余分の水を拭き取った後の重量増加分として算出した。
機械的特性
ポリエステルイミド膜のヤング率、破断強度および破断伸びは、30mm×3mmの試験片について、東洋ボールドウィン社製、テンシロンを用い、8mm/分の引張速度で引張試験を実施して求めた。
エステル基含有テトラカルボン酸二無水物の合成
(実施例1)
よく乾燥した攪拌機付三口フラスコ中、4,4′−ビフェノール20mmol(3.7240g)を無水N,N−ジメチルホルムアミド22mLと無水ピリジン200mmol(16mL)の混合溶媒に溶解し、反応容器をセプタムキャップでシールした。氷浴中で冷却しながらこの溶液に、トリメリット酸無水物クロリド40mmol(8.4221g)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(51mL)溶液をシリンジにて徐々に滴下し、更に室温で数時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をエバポレーターで濃縮し、水中に滴下して沈殿物を得た。これにより一部加水分解を受けて開環するので、閉環するために得られた粗生成物を200℃で24時間真空乾燥後、N,N−ジメチルアセトアミドと無水酢酸の混合溶媒(体積比8/2)より再結晶した。濾別した結晶を更に200℃で24時間真空乾燥した。赤外吸収スペクトル(図1)より目的のテトラカルボン酸二無水物が得られ、熱閉環も完全に行われたことが確認された。
(実施例2)
よく乾燥した攪拌機付三口フラスコ中、ヒドロキノン20mmol(2.2021g)を無水N,N−ジメチルホルムアミド50mLと無水ピリジン200mmol(16mL)の混合溶媒に溶解し、反応容器をセプタムキャップでシールした。氷浴中で冷却しながらこの溶液に、トリメリット酸無水物クロリド40mmol(8.4221g)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(51mL)溶液をシリンジにて徐々に滴下し、更に室温で数時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をエバポレーターで濃縮し、水中に滴下して沈殿物を得た。これにより一部加水分解を受けて開環するので、閉環するために得られた粗生成物を200℃で24時間真空乾燥後、1,4−ジオキサンより再結晶した。濾別した結晶を更に200℃で24時間真空乾燥した。赤外吸収スペクトル(図2)より目的のテトラカルボン酸二無水物が得られ、熱閉環も完全に行われたことが確認された。
ポリエステルイミド前駆体の重合、イミド化およびポリエステルイミド膜特性の評価
(実施例3)
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にp−フェニレンジアミン10mmol(1.0814g)を入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN,N−ジメチルアセトアミド15mLに溶解した後、この溶液に実施例1に記載のテトラカルボン酸二無水物粉末10mmol(5.3439g)を徐々に加えた。5分後、溶液粘度が急激に増加したため、溶媒11mLを加え希釈した。更に室温で24時間撹拌し、透明、均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
このポリエステルイミド前駆体溶液は、室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、極めて高い溶液貯蔵安定性を示した。N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は1.12dL/gであった。
このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、60℃、2時間で乾燥して得たポリエステルイミド前駆体膜を基板上、減圧下250℃で2時間熱イミド化を行った後、残留応力を除去するために基板から剥がして更に350℃で1時間、熱処理を行い、膜厚20μmの透明なポリエステルイミド膜を得た。
このポリエステルイミド膜は180°折曲げ試験によっても破断せず、靭性を示した。また如何なる有機溶媒に対しても全く溶解性を示さなかった。このポリエステルイミド膜について動的粘弾性測定を行った結果、明瞭なガラス転移点(動的粘弾性曲線における損失ピークより決定)は観測されず、全く熱可塑性を示さなかった。これよりこのポリエステルイミド膜が極めて高い寸法安定性を有していることを示している。また線熱膨張係数は7.4ppm/Kと極めて低い線熱膨張係数を示した。これは、非常に大きな複屈折値(Δn=0.187)から判断して、ポリエステルイミド鎖の高度な面内配向によるものと考えられる。平均屈折率より見積もった誘電率は3.26であり、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンからなる代表的な全芳香族低熱膨張ポリエステルイミドの誘電率(3.5)より低い値であった。この結果はポリエステルイミド骨格中にエステル基を導入した効果である。また5%重量減少温度は、窒素中で470℃、空気中で463℃であった。このようにこのポリエステルイミドは極めて低い線熱膨張係数、優れた寸法安定性、高い熱安定性、および十分な膜靭性を示した。得られたポリエステルイミド前駆体膜およびポリエステルイミド膜の赤外線吸収スペクトルを図3、図4にそれぞれ示す。
(実施例4)
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中に、p−フェニレンジアミン10mmol(1.0814g)を入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN,N−ジメチルアセトアミド15mLに溶解した後、この溶液に実施例2に記載のテトラカルボン酸二無水物粉末10mmol(4.5828g)を徐々に加えた。溶液粘度が急激に増加したため、適宜溶媒で希釈して一時間後に52mLを加え希釈した。更に室温で24時間撹拌し、透明、均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
このポリエステルイミド前駆体溶液は室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、極めて高い溶液貯蔵安定性を示した。N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は5.19dL/gであり、極めて高分子量体が得られた。
このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、60℃、2時間で乾燥して得たポリエステルイミド前駆体膜を基板上、減圧下250℃で2時間熱イミド化を行った後、残留応力を除去するために基板から剥がして更に350℃で1時間、熱処理を行い、膜厚20μmの透明なポリエステルイミド膜を得た。
このポリエステルイミド膜は180°折曲げ試験によっても破断せず、靭性を示した。また如何なる有機溶媒に対しても全く溶解性を示さなかった。このポリエステルイミド膜について動的粘弾性測定を行った結果、明瞭なガラス転移点(動的粘弾性曲線における損失ピークより決定)は観測されず、全く熱可塑性を示さなかった。これよりこのポリエステルイミド膜が極めて高い寸法安定性を有していることを示している。また線熱膨張係数は3.2ppm/Kとシリコンに匹敵するほど低い線熱膨張係数を示した。これは、非常に大きな複屈折値(Δn=0.219)から判断して、ポリエステルイミド鎖の高度な面内配向によるものと考えられる。平均屈折率より見積もった誘電率は3.22であり、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と1,4−シクロヘキサンジアミンからなる半芳香族低熱膨張ポリエステルイミドの誘電率(3.15)に匹敵する値であった。また5%重量減少温度は、窒素中で481℃、空気中で463℃であった。このようにこのポリエステルイミドはシリコン並みに低い線熱膨張係数、優れた寸法安定性、高い熱安定性、および十分な膜靭性を示した。得られたポリエステルイミド前駆体膜およびポリエステルイミド膜の赤外線吸収スペクトルを図5、図6にそれぞれ示す。
(実施例5)
実施例4に記載した方法に従って、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンと実施例2に記載のテトラカルボン酸二無水物より重合を行い、透明、均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
このポリエステルイミド前駆体溶液は、室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、極めて高い溶液貯蔵安定性を示した。N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は2.93dL/gであり、極めて高分子量体であった。
このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、60℃、2時間で乾燥して得たポリエステルイミド前駆体膜を基板上、減圧下250℃で2時間熱イミド化を行った後、残留応力を除去するために基板から剥がして更に350℃で1時間、熱処理を行い、膜厚20μmの透明なポリエステルイミド膜を得た。
このポリエステルイミド膜は180°折曲げ試験によっても破断せず、靭性を示した。このポリエステルイミド膜について動的粘弾性測定を行った結果、ガラス転移温度は360℃以上であった。また線熱膨張係数は30ppm/Kと比較的低い線熱膨張係数を示した。これは、大きな複屈折値(Δn=0.135)から判断して、ポリエステルイミド鎖の面内配向によるものと考えられる。平均屈折率より見積もった誘電率は2.99と比較的低い値を示した。また5%重量減少温度は、窒素中で487℃、空気中で479℃であった。このようにこのポリエステルイミドは比較的低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度、比較的低い誘電率、高い熱安定性、および十分な膜靭性を示した。得られたポリエステルイミド前駆体膜およびポリエステルイミド膜の赤外線吸収スペクトルを図7、図8にそれぞれ示す。
(実施例6)
実施例4に記載した方法に従って、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンと実施例2に記載のテトラカルボン酸二無水物より重合を行った。重合初期に塩が生成したが、塩はそれほど強固ではなく、攪拌により徐々に溶解し、24時間後、透明、均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。このポリエステルイミド前駆体溶液は室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、極めて高い溶液貯蔵安定性を示した。N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は0.52dL/gであった。実施例4に記載した方法に従って、キャストおよび熱イミド化を行い、透明性の高いポリエステルイミド膜が得られた。
(実施例7)
重合溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミドアミドの代わりにN−メチル−2−ピロリドンを用いた以外は実施例4に記載した方法に従って、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンと実施例2に記載のテトラカルボン酸二無水物より重合を行った。重合初期に塩が生成したが、塩はそれほど強固ではなく、攪拌により徐々に溶解し、20時間後、透明、均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
このポリエステルイミド前駆体溶液は室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、極めて高い溶液貯蔵安定性を示した。N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は1.14dL/gであり、高分子量体であった。
このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、60℃、2時間で乾燥して得たポリエステルイミド前駆体膜を基板上、減圧下250℃で1時間、更に300℃で1時間熱イミド化を行った後、残留応力を除去するために基板から剥がして更に350℃で1時間、熱処理を行い、膜厚20μmの透明性の高いポリエステルイミド膜を得た。
このポリエステルイミド膜は180°折曲げ試験によっても破断せず、靭性を示した。このポリエステルイミド膜について動的粘弾性測定を行った結果、明瞭なガラス転移点は観測されず、全く熱可塑性を示さなかった。これは、このポリエステルイミド膜が極めて高い寸法安定性を有していることを示している。また線熱膨張係数は13ppm/Kと非常に低い線熱膨張係数を示した。これは、大きな複屈折値(Δn=0.135)から判断して、ポリエステルイミド鎖の面内配向によるものと考えられる。平均屈折率より見積もった誘電率は3.04と比較的低い値を示した。機械的特性は、ヤング率が5.6GPa、破断強度が0.18GPaと高弾性、高強度を示し、破断伸びは4.1%であった。また5%重量減少温度は、窒素中で471℃、空気中で428℃であった。このようにこのポリエステルイミドは、銅基板に近い低線熱膨張係数、高いガラス転移温度、非常に高いヤング率、比較的低い誘電率、高い熱安定性、および十分な膜靭性を示した。
(実施例8)
実施例4に記載した方法に従って、4,4′−ジアミノベンズアニリドと実施例2に記載のテトラカルボン酸二無水物より重合を行い、透明、均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
このポリエステルイミド前駆体溶液は、室温および−20℃で一ヶ間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、極めて高い溶液貯蔵安定性を示した。N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は2.37dL/gであり、極めて高分子量体であった。
このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、60℃、2時間で乾燥して得たポリエステルイミド前駆体膜を基板上、減圧下250℃で1時間、更に300℃で1時間熱イミド化を行った後、残留応力を除去するために基板から剥がして更に350℃で1時間、熱処理を行い、膜厚20μmの透明なポリエステルイミド膜を得た。
このポリエステルイミド膜は180°折曲げ試験によっても破断せず、靭性を示した。このポリエステルイミド膜について動的粘弾性測定を行った結果、明瞭なガラス転移点は観測されず、全く熱可塑性を示さなかった。これは、このポリエステルイミド膜が極めて高い寸法安定性を有していることを示している。また線熱膨張係数は6.0ppm/Kと極めて低い線熱膨張係数を示した。これは、大きな複屈折値(Δn=0.196)から判断して、ポリエステルイミド鎖の面内配向によるものと考えられる。平均屈折率より見積もった誘電率は3.26であり、吸水率は2.06%であった。また5%重量減少温度は、窒素中で480℃、空気中で470℃であった。このようにこのポリエステルイミドは極めて低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度、比較的低い誘電率、高い熱安定性、および十分な膜靭性を示した。
(実施例9)
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中に、4−アミノ安息香酸4′−アミノフェニル(APAB)10mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した後、この溶液に実施例2に記載のテトラカルボン酸二無水物粉末10mmolを徐々に加えた。同一の溶媒で適宜希釈しながら室温で48時間撹拌し、透明、均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
このポリエステルイミド前駆体溶液は室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、極めて高い溶液貯蔵安定を示した。N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は2.81dL/gと、極めて高重合体であった。
このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、60℃、1時間で乾燥して得たポリイエステルミド前駆体膜を基板上、減圧下250℃で1時間、更に300℃で1時間、熱イミド化を行い、基板から剥がした後、最後に350℃で1時間熱処理して、膜厚20μmの透明なポリエステルイミド膜を得た。
このポリエステルイミド膜は180°折曲げ試験によっても破断せず、靭性を示した。このポリエステルイミド膜について動的粘弾性測定(室温〜500℃まで)を行った結果、明瞭なガラス転移点は観測されなかった。この結果より寸法安定性が極めて高いことがわかった。線熱膨張係数は3.3ppm/Kと、シリコン基板と同等の極めて低い値が得られた。極めて高い複屈折値(Δn=0.1990)より、この結果はポリエステルイミド鎖の高度な面内配向によるものと考えられる。吸水率は0.75%と、通常のポリイミド市販品(吸水率2.9%)と比べてはるかに低い値が得られた。また、高精度LCRメータにて周波数1MHzで測定した誘電率は3.22であり、平均屈折率より見積もった誘電率3.26に近い値が得られた。また、誘電正接は0.025と比較的低い値であった。引張特性は、ヤング率が7.1GPa、破断強度が0.22GPaと、極めて高弾性、高強度であり、破断伸びは11%であった。5%重量減少温度は、窒素中で471℃、空気中で452℃であった。このように本ポリエステルイミドは、比較的低い誘電率および誘電正接、シリコン基板に匹敵する極めて低い線熱膨張係数、極めて高いヤング率、および非常に低い吸水率を示し、且つ十分な膜靭性を併せ持つものであった。
(実施例10)
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中に、APAB7mmolおよび4,4′−オキシジアニリン3mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した後、この溶液に実施例2に記載のテトラカルボン酸二無水物粉末10mmolを徐々に加えた。同一の溶媒で適宜希釈しながら室温で28時間撹拌し、透明、均一で粘稠なポリエステルイミド前駆体溶液を得た。
このポリエステルイミド前駆体溶液は室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、極めて高い溶液貯蔵安定を示した。N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は1.08dL/gと、高重合体であった。
このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、60℃、1時間で乾燥して得たポリイエステルミド前駆体膜を基板上、減圧下250℃で1時間、更に300℃で1時間、熱イミド化を行い、基板から剥がした後、最後に350℃で1時間熱処理して、膜厚20μmの透明なポリエステルイミド膜を得た。
このポリエステルイミド膜は180°折曲げ試験によっても破断せず、靭性を示した。このポリエステルイミド膜について動的粘弾性測定(室温〜500℃まで)を行った結果、ガラス転移点は395℃であった。また、ガラス転移温度以上でもポリエステルイミド膜の貯蔵弾性率の低下は殆ど見られず寸法安定性が高いことがわかった。線熱膨張係数は14.8ppm/Kと、銅基板にほぼ等しい値が得られた。極めて高い複屈折値(Δn=0.1699)より、この結果はポリエステルイミド鎖の高度な面内配向によるものと考えられる。吸水率は0.66%と、極めて低い値が得られた。また、平均屈折率より見積もった誘電率は3.20であった。引張特性は、ヤング率が6.28GPa、破断強度が0.295GPaと、極めて高弾性、高強度であり、破断伸びは36%であった。5%重量減少温度は、窒素中で487℃、空気中で485℃であった。このように本ポリエステルイミドは、比較的低い誘電率、銅基板にほぼ等しい低線熱膨張係数、極めて高いガラス転移温度、非常に高いヤング率および極めて低い吸水率を示し、且つ十分な膜靭性を併せ持つものであった。
(比較例1)
2,2′−ビフェノールと二倍モルのトリメリット酸無水物クロリドより、エステル基含有テトラカルボン酸二無水物を合成した。これは実施例1に記載のテトラカルボン酸二無水物の異性体である。この酸二無水物とp−フェニレンジアミンより、実施例3および4に示す方法に従ってポリエステルイミド前駆体を重合した。N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリエステルイミド前駆体の固有粘度は0.53dL/gであった。このポリエステルイミド前駆体溶液をガラス基板に塗布し、60℃、2時間で乾燥して得たポリエステルイミド前駆体膜を基板上で減圧下300℃で1時間、熱イミド化を行い、膜厚20μmの透明で強靭なポリエステルイミド膜を得た。
しかしながらこのポリエステルイミド膜の線熱膨張係数は66ppm/Kと高く、本発明に係る要求特性を満足しなかった。これは酸二無水物中の2,2′−ビフェニル結合がパラ結合ではなく、立体障害によりベンゼン環同士が大きくねじれた結果、ポリエステルイミド鎖に大きな折曲りが生じて、熱イミド化時の自発的面内配向が殆ど誘起されなかったことが原因である。
本発明のポリエステルイミドは、低誘電率、低線熱膨張係数、高ガラス転移温度を有し、且つ十分な膜靭性を併せ持ち、さらにこれらに加えて、好適には低吸水率をも併せ持ち得ることから、精密電子材料として、例えばフレキシブルプリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板上の電子回路のカバー材(保護フィルム)、半導体素子の保護膜、または集積回路の層間絶縁膜といった電子デバイス、特にはフレキシブルプリント配線基板への使用に適している。特に実施例4〜10に記載したような銅基板やシリコン基板に匹敵する極めて低い線熱膨張係数を生かして、本発明のポリエステルイミド膜を、積層体、例えばアモルファスシリコンとの積層体とし、太陽電池用ベースフィルムとして使用することも有用である。

Claims (10)

  1. 式(1):
    Figure 2005113647
    式中、
    AおよびBは、独立して、二価の芳香族基、脂環式基またはそれらの組合せであるが、但し二価の基の結合位置関係は、全てパラ位またはそれに相当する関係にある、
    で表される繰り返し単位を含むことを特徴とするポリエステルイミド前駆体。
  2. Aが、
    Figure 2005113647
    で表される2価の芳香族基あるいは脂環式基より選択され、Bが、
    Figure 2005113647
    で表される二価の芳香族基あるいは脂環式基より選択されるが、但し、AおよびBにおけるシクロヘキサン環の立体構造は、椅子型トランス配置である、請求項1に記載のポリエステルイミド前駆体。
  3. N,N−ジメチルアセトアミド中、30℃、0.5重量%の濃度における固有粘度が、0.3dL/g以上である、請求項1または2に記載のポリエステルイミド前駆体。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載のポリエステルイミド前駆体を含む有機溶媒溶液。
  5. 式(2):
    Figure 2005113647
    式中、
    AおよびBは、独立して、二価の芳香族基、脂環式基またはそれらの組合せであるが、但し二価の基の結合位置関係は、全てパラ位またはそれに相当する関係にある、
    で表される繰り返し単位を含むことを特徴とするポリエステルイミド。
  6. Aが、
    Figure 2005113647
    で表される2価の芳香族基あるいは脂環式基より選択され、Bが、
    Figure 2005113647
    で表される二価の芳香族基あるいは脂環式基より選択されるが、但し、AおよびBにおけるシクロヘキサン環の立体構造は、椅子型トランス配置である、請求項5に記載のポリエステルイミド。
  7. ポリエステルイミド膜の製造方法であって、
    (i)請求項1〜3いずれかに記載のポリエステルイミド前駆体の有機溶媒溶液を調製し;
    (ii)(i)で得られた溶液を、基板上に塗布、乾燥してポリエステルイミド前駆体膜を形成し;そして
    (iii)該前駆体膜を加熱脱水環化反応させるか、もしくは脱水閉環試薬を用いて環化反応させる
    ことによりポリエステルイミド膜を製造する方法。
  8. 請求項7に記載の方法により得られる、ポリエステルイミド膜。
  9. 3.3よりも低い誘電率、30ppm/Kよりも低い線熱膨張係数、300℃以上のガラス転移温度および十分な膜靭性を併せ持つ、請求項8に記載のポリエステルイミド膜。
  10. 請求項8または9に記載のポリエステルイミド膜を含む、電子デバイス。
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