JPWO2005090516A1 - 近紫外線励起蛍光体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
加水分解性を有するチタニウム化合物と、加水分解性を有するMg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属化合物の溶液から、複合金属酸化物あるいは水酸化物を含むゲルを形成し、塩化ユーロピウムを0.1mol%以上10mol%以下添加したのち乾燥させ、850℃以上1100℃以下で焼成することで、Tiと、Mg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属元素Mとからなる複合酸化物の結晶構造内に、0.1mol%以上10mol%以下のEuが一部のTiの代わりに組み込まれており、波長が300nm以上420nm以下の近紫外退により励起されることによって赤色発光することを特徴とする近紫外線励起蛍光体であり、高輝度で赤色発光し、長寿命な新規な近紫外線励起蛍光体とその製造方法とする。
Description
この出願の発明は、近紫外線励起蛍光体とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、高輝度で赤色発光し、長寿命な新規な近紫外線励起蛍光体とその製造方法に関するものである。
1980年頃に、SrSにCuまたはCeを添加した物質が、波長300nm程度の励起源によって発光するエレクトロルミネッセンス材料として使用できることが報告されて以来、非酸化物材料からなる蛍光体の開発が行われてきたが、近年になって、金属の酸化物に希土類元素を添加した酸化物材料による蛍光体が開発され、より性能と信頼の高い酸化物系の蛍光体の開発が盛んに進められている。たとえば、この出願の発明者らは、Y2O3にEuを添加した化合物が波長200nmの励起源で赤色に発光することを見出したのであるが、Y2O3禁制帯幅が非常に大きく、励起波長200nm程度の真空紫外領域以外で励起を行うことは不可能であった。
また、青色から近紫外線にかけての発光ダイオードの研究が盛んになり、これらの短波長発光を利用した白色発光ダイオード(白色LED)の研究開発が注目されている。この白色LEDの開発においては、たとえば、近紫外励起源でYAG:Ce3+が青色(波長450nm)を、YAG:Ce+Mnが黄色(波長580nm)を示すことなどが明らかになったが、未だ赤色域の強度が弱く延色性が十分とはいえないことなどから、赤色発光材料の研究開発が期待されている。
一方で、酸化チタン(TiO2)は、誘電体、絶縁体物質であり、紫外線吸収の尺度であるエネルギーギャップが3.3エレクトロンボルト(波長としては378nmに相当)であることが知られていたが、間接遷移型半導体であるため発光材料としては利用できないと考えられていた。そのような中、アナターゼ型TiO2にEuを添加した物質が、キセノンランプやX線を照射することで発光することが報告された(非特許文献1)が、その場合にも発光強度が小さく、またルチル型TiO2にEuを添加した物質については実質的に発光しないとされていた。
Ovenstone,J.et al.,J.Phys.Chem.B 2001,105(30),7170−7177
また、青色から近紫外線にかけての発光ダイオードの研究が盛んになり、これらの短波長発光を利用した白色発光ダイオード(白色LED)の研究開発が注目されている。この白色LEDの開発においては、たとえば、近紫外励起源でYAG:Ce3+が青色(波長450nm)を、YAG:Ce+Mnが黄色(波長580nm)を示すことなどが明らかになったが、未だ赤色域の強度が弱く延色性が十分とはいえないことなどから、赤色発光材料の研究開発が期待されている。
一方で、酸化チタン(TiO2)は、誘電体、絶縁体物質であり、紫外線吸収の尺度であるエネルギーギャップが3.3エレクトロンボルト(波長としては378nmに相当)であることが知られていたが、間接遷移型半導体であるため発光材料としては利用できないと考えられていた。そのような中、アナターゼ型TiO2にEuを添加した物質が、キセノンランプやX線を照射することで発光することが報告された(非特許文献1)が、その場合にも発光強度が小さく、またルチル型TiO2にEuを添加した物質については実質的に発光しないとされていた。
Ovenstone,J.et al.,J.Phys.Chem.B 2001,105(30),7170−7177
そこで、この出願の発明者らは、TiO2にEuを添加した物質の合成とその物性について鋭意研究を重ねた結果、TiO2の結晶構造内に一部のTiに代わってEuが組み込まれている物質が、近紫外光源により赤色発光する近紫外線励起蛍光体であることを見出し、特許出願している(特願2003−34550)。
しかしながら、この蛍光体についても、赤色発光の輝度が決して満足できるものではなく、また寿命があまり長くないという欠点を有していた。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、白色LED等として有用な、高輝度で赤色発光し、長寿命な、新しい近紫外線励起蛍光体とその製造方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、Tiと、Mg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属元素Mとからなる複合酸化物の結晶構造内に、0.1mol%以上10mol%以下のEuが一部のTiの代わりに組み込まれており、波長が360nm以上420nm以下の近紫外線により励起されることによって赤色発光することを特徴とする近紫外線励起蛍光体を提供する。
この出願の発明は、上記の発明について、第2には、複合酸化物は、組成が一般式、MxTiyOz(式中、0<x<2、0<y<2、1z<4を示す)で表されるものであることを特徴とする近紫外線励起蛍光体を、第3には、1.5mol%以上3mol%以下のEuが組み込まれていることを特徴とする近紫外線励起蛍光体を、第4には、Tiに対する金属元素Mの割合が、モル比で、Ti:M=1:0.5〜2であることを特徴とする近紫外線励起蛍光体を、第5には、金属元素Mが、MgまたはSrであることを特徴とする近紫外線励起蛍光体を、第6には、波長が360nm以上400nm以下の近紫外線により励起されることによって赤色発光することを特徴とする近紫外線励起蛍光体を提供する。
また、この出願の発明は、第7には、加水分解性を有するチタニウム化合物と、加水分解性を有するMg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属化合物の溶液から、複合金属酸化物あるいは水酸化物を含むゲルを形成し、塩化ユーロピウムを0.1mol%以上10mol%以下添加したのち乾燥させ、850℃以上1100℃以下で焼成することを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法を提供する。
さらにこの出願の発明は、上記の発明の方法において、第8には、チタニウム化合物がテトラエトキシチタンまたは塩化チタンであることを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法を、第9には、金属化合物が、塩化マグネシウムまたは硝酸マグネシウムであることを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法を、第10には、塩化ユーロピウムを1.5mol%以上3mol%以下添加することを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法を、第11には、チタニウム化合物に対する金属化合物の割合を、モル比で、Ti:M=1:0.5〜2の範囲とすることを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法をも提供する。
しかしながら、この蛍光体についても、赤色発光の輝度が決して満足できるものではなく、また寿命があまり長くないという欠点を有していた。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、白色LED等として有用な、高輝度で赤色発光し、長寿命な、新しい近紫外線励起蛍光体とその製造方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、Tiと、Mg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属元素Mとからなる複合酸化物の結晶構造内に、0.1mol%以上10mol%以下のEuが一部のTiの代わりに組み込まれており、波長が360nm以上420nm以下の近紫外線により励起されることによって赤色発光することを特徴とする近紫外線励起蛍光体を提供する。
この出願の発明は、上記の発明について、第2には、複合酸化物は、組成が一般式、MxTiyOz(式中、0<x<2、0<y<2、1z<4を示す)で表されるものであることを特徴とする近紫外線励起蛍光体を、第3には、1.5mol%以上3mol%以下のEuが組み込まれていることを特徴とする近紫外線励起蛍光体を、第4には、Tiに対する金属元素Mの割合が、モル比で、Ti:M=1:0.5〜2であることを特徴とする近紫外線励起蛍光体を、第5には、金属元素Mが、MgまたはSrであることを特徴とする近紫外線励起蛍光体を、第6には、波長が360nm以上400nm以下の近紫外線により励起されることによって赤色発光することを特徴とする近紫外線励起蛍光体を提供する。
また、この出願の発明は、第7には、加水分解性を有するチタニウム化合物と、加水分解性を有するMg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属化合物の溶液から、複合金属酸化物あるいは水酸化物を含むゲルを形成し、塩化ユーロピウムを0.1mol%以上10mol%以下添加したのち乾燥させ、850℃以上1100℃以下で焼成することを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法を提供する。
さらにこの出願の発明は、上記の発明の方法において、第8には、チタニウム化合物がテトラエトキシチタンまたは塩化チタンであることを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法を、第9には、金属化合物が、塩化マグネシウムまたは硝酸マグネシウムであることを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法を、第10には、塩化ユーロピウムを1.5mol%以上3mol%以下添加することを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法を、第11には、チタニウム化合物に対する金属化合物の割合を、モル比で、Ti:M=1:0.5〜2の範囲とすることを特徴とする近紫外線励起蛍光体の製造方法をも提供する。
図1は、実施例におけるこの出願の発明の近紫外線励起蛍光体の紫外線励起発光スペクトルを例示した図である。
図2は、実施例において、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体と従来の近紫外線励起蛍光体の紫外線励起発光強度と電子線励起発光強度を調べた結果を例示した図である。
図3は、実施例において、MgO−TiO2:EuのMgの配合を変化させたときの紫外線励起発光強度を例示した図である。
図4は、実施例において、MgO−TiO2:EuのMgの配合を変化させたときのX線回折測定の結果を例示した図である。
図5は、実施例において、MgO−TiO2:EuのEuの配合を変化させたときの紫外線励起発光スペクトルを例示した図である。
図6は、図5における主ピークの発光強度を例示した図である。
図7は、実施例において、MgO−TiO2:EuのEuの配合を変化させ、発光波長617nmをモニタ波長としたときの励起スペクトルを例示した図である。
図8は、実施例において、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体と従来の近紫外線励起蛍光体の電子線照射時の輝度の時間変化を例示した図である。
図2は、実施例において、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体と従来の近紫外線励起蛍光体の紫外線励起発光強度と電子線励起発光強度を調べた結果を例示した図である。
図3は、実施例において、MgO−TiO2:EuのMgの配合を変化させたときの紫外線励起発光強度を例示した図である。
図4は、実施例において、MgO−TiO2:EuのMgの配合を変化させたときのX線回折測定の結果を例示した図である。
図5は、実施例において、MgO−TiO2:EuのEuの配合を変化させたときの紫外線励起発光スペクトルを例示した図である。
図6は、図5における主ピークの発光強度を例示した図である。
図7は、実施例において、MgO−TiO2:EuのEuの配合を変化させ、発光波長617nmをモニタ波長としたときの励起スペクトルを例示した図である。
図8は、実施例において、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体と従来の近紫外線励起蛍光体の電子線照射時の輝度の時間変化を例示した図である。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明の近紫外線励起蛍光体では、チタン(Ti)と、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、カルシウム(Ca)のうちのいずれかの金属元素Mとからなる複合酸化物の結晶構造内に、0.1mol%以上10mol%以下のEuが一部のTiの代わりに組み込まれており、波長が300nm以上420nm以下の近紫外線により励起されることによって赤色発光することを特徴としている。
チタンTiと金属元素Mとからなる複合酸化物は、主として、一般式、MxTiyOz(式中、0<x<2、0<y<2、1<z<4を示す)として表される代表組成を有する物質であると考えられ、チタンTiと金属元素Mの酸化物の様々な相が混在して構成されているものである。
金属元素Mとしては、上記の通り、Mg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかを考慮することができるが、この出願の発明においては、金属元素Mが、MgまたはSrであることがより好ましい例として示される。金属元素Mが、MgまたはSrの場合に、さらに好適にはMgである場合に、波長が360nm以上420nm以下の近紫外線により、赤色により良く発光(たとえば、ピーク波長617nm)することができる。
Tiに対する金属元素Mの割合は、モル比で、Ti:M=1:0.2〜5程度の範囲で調整することができ、1:0.5〜2程度の範囲とすることでより高輝度の発光を得ることができる。金属元素Mの割合は、極微量の添加でもその効果を得ることはできるが、0.2よりも小さい場合には、発明者らが既に提案している近紫外線励起蛍光体(特願2003−343550)と同程度もしくは多少高い輝度の近紫外線励起蛍光体しか得ることができないために好ましくなく、0.2以上の場合に十分な高輝度の近紫外線励起蛍光体を得ることができる。金属元素Mの割合が5よりも大きい場合についても、十分な輝度が得られないために好ましくない。
そして、この複合酸化物の結晶構造内には、発光中心として、0.1mol%以上10mol%以下のEuが一部のTiの代わりに組み込まれている。このEuの存在によって、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体は赤色発光することができる。ここで、Eu量を示すmol%は、蛍光体の母体となる複合酸化物の全体量に対する割合を示している。そして、この出願の発明が提供する近紫外線励起蛍光体においては、Euの割合を1.5mol%以上3mol%以下とした場合に、より高輝度の発光を得ることができる。
またこの出願の発明の近紫外線励起蛍光体は、高輝度の発光を長時間にわたって持続することができる長寿命性をも持ち合わせている。たとえば、具体的には、この近紫外線励起蛍光体にVA=2kV、JS=180μ/cm2の条件で電子線を5時間照射した後にも、その輝度は初期輝度の80%を保つことが確認されている。
このような点からこの出願の発明の近紫外線励起蛍光体は、蛍光体の励起光源として用いられる近紫外LEDに使用できる可能性が高く、最終的には、白色LEDとして液晶ディスプレイパネルや照明光源などへの応用が期待されるものである。
なお、この出願の発明において、「赤色発発光」とは、三価のユーロピウム(Eu3+)の発光を示すものとして定義している。なお、Eu3+は595〜630nmの範囲で3つの遷移があることが知られており、どの遷移が強くなるかは母体となる複合酸化物(結晶場)によって変化することになる。
以上のようなこの出願の発明の近紫外線励起蛍光体は、以下のこの出願の発明の方法で製造することができる。すなわち、この出願の発明が提供する近紫外線励起蛍光体の製造方法は、加水分解性を有するチタニウム化合物と、加水分解性を有するMg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属化合物の溶液から、複合金属酸化物あるいは水酸化物を含むゲルを形成し、塩化ユーロピウムを0.1mol%以上10mol%以下添加したのち乾燥させ、850℃以上1100℃以下で焼成することを特徴としている。
出発物質としての加水分解性を有するチタニウム化合物は、一例として、金属有機化合物であるチタニウムアルコキシド、シュウ酸チタン、金属無機化合物として硝酸チタン、塩化チタン(四塩化チタン)等を用いることができるが、なかでも塩化チタンや、チタニウムアルコキシドを用いることが好ましい例として示される。チタニウムアルコキシドとしては、例えば、一般式Ti(OR)4で表される各種のものを使用することができる。
アルコキシル基を構成する有機基Rとしては、たとえば、炭素数1〜6の、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の同一または別異の低級アルキル基が挙げられる。より具体的には、たとえば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられ、より好ましくは、テトラエトキシチタンである。
出発物質としての加水分解性を有するMg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属化合物としては、これらの金属元素の塩化物や、硝酸塩等の各種の塩を用いることができる。この出願の発明においては、金属化合物として塩化マグネシウムまたは硝酸マグネシウムを用いるのが好適な例として示される。
チタニウム化合物と金属化合物の配合については、上述のとおり、モル比で、Ti:M=1:0.2〜5程度の範囲で調整することができ、より好ましくは、1:0.5〜2の範囲で調整することができる。
これらの出発物質は、チタニウムアルコキシドの場合については、有機溶媒に溶解させて溶液を調製する。このとき、必要に応じて、アルコキシル基の加水分解を促進したり脱水縮合反応を促進するための触媒と、水を添加してもよい。有機溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ter−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール等を例示することができる。触媒としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、アンモニア等を例示することができる。
他の各種の出発材料の場合については、アンモニア水や水酸化ナトリウムなどの塩基、あるいは上記の有機溶媒などに溶解して溶液とする。そして、これらの溶液を混合して、複合金属酸化物あるいは水酸化物を含むゲルを形成する。
次いで、塩化ユーロピウムを、全体量に対して0.1mol%以上10mol%以下添加したのち乾燥させ、850℃以上1100℃以下で焼成する。塩化ユーロピウムについても、上記の理由から、1.5mol%以上3mol%以下添加することが好ましい。
焼成の温度については、850℃未満の場合には、結晶性が悪く、安定性(寿命)に問題が生じるため好ましくない。しかしながら、あまりにも高温で焼成すると、発光中心であるEuが酸化チタンの母体に取り込まれず、発光中心として有効に機能しなくなってしまう。この出願の発明においては、母体を金属の複合酸化物としていることで、850℃以上1100℃以下の温度範囲での高温度焼成において、Euが取り込まれる量を増やすことができ、また結晶性を向上させ安定性を高めるようにしている。
これにより、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体を得ることができる。なお、この出願の発明の製造方法は、再現性良く、スケールアップの容易な方法であり、工業的に近紫外線励起蛍光体を製造することができる。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
この出願の発明の近紫外線励起蛍光体では、チタン(Ti)と、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、カルシウム(Ca)のうちのいずれかの金属元素Mとからなる複合酸化物の結晶構造内に、0.1mol%以上10mol%以下のEuが一部のTiの代わりに組み込まれており、波長が300nm以上420nm以下の近紫外線により励起されることによって赤色発光することを特徴としている。
チタンTiと金属元素Mとからなる複合酸化物は、主として、一般式、MxTiyOz(式中、0<x<2、0<y<2、1<z<4を示す)として表される代表組成を有する物質であると考えられ、チタンTiと金属元素Mの酸化物の様々な相が混在して構成されているものである。
金属元素Mとしては、上記の通り、Mg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかを考慮することができるが、この出願の発明においては、金属元素Mが、MgまたはSrであることがより好ましい例として示される。金属元素Mが、MgまたはSrの場合に、さらに好適にはMgである場合に、波長が360nm以上420nm以下の近紫外線により、赤色により良く発光(たとえば、ピーク波長617nm)することができる。
Tiに対する金属元素Mの割合は、モル比で、Ti:M=1:0.2〜5程度の範囲で調整することができ、1:0.5〜2程度の範囲とすることでより高輝度の発光を得ることができる。金属元素Mの割合は、極微量の添加でもその効果を得ることはできるが、0.2よりも小さい場合には、発明者らが既に提案している近紫外線励起蛍光体(特願2003−343550)と同程度もしくは多少高い輝度の近紫外線励起蛍光体しか得ることができないために好ましくなく、0.2以上の場合に十分な高輝度の近紫外線励起蛍光体を得ることができる。金属元素Mの割合が5よりも大きい場合についても、十分な輝度が得られないために好ましくない。
そして、この複合酸化物の結晶構造内には、発光中心として、0.1mol%以上10mol%以下のEuが一部のTiの代わりに組み込まれている。このEuの存在によって、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体は赤色発光することができる。ここで、Eu量を示すmol%は、蛍光体の母体となる複合酸化物の全体量に対する割合を示している。そして、この出願の発明が提供する近紫外線励起蛍光体においては、Euの割合を1.5mol%以上3mol%以下とした場合に、より高輝度の発光を得ることができる。
またこの出願の発明の近紫外線励起蛍光体は、高輝度の発光を長時間にわたって持続することができる長寿命性をも持ち合わせている。たとえば、具体的には、この近紫外線励起蛍光体にVA=2kV、JS=180μ/cm2の条件で電子線を5時間照射した後にも、その輝度は初期輝度の80%を保つことが確認されている。
このような点からこの出願の発明の近紫外線励起蛍光体は、蛍光体の励起光源として用いられる近紫外LEDに使用できる可能性が高く、最終的には、白色LEDとして液晶ディスプレイパネルや照明光源などへの応用が期待されるものである。
なお、この出願の発明において、「赤色発発光」とは、三価のユーロピウム(Eu3+)の発光を示すものとして定義している。なお、Eu3+は595〜630nmの範囲で3つの遷移があることが知られており、どの遷移が強くなるかは母体となる複合酸化物(結晶場)によって変化することになる。
以上のようなこの出願の発明の近紫外線励起蛍光体は、以下のこの出願の発明の方法で製造することができる。すなわち、この出願の発明が提供する近紫外線励起蛍光体の製造方法は、加水分解性を有するチタニウム化合物と、加水分解性を有するMg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属化合物の溶液から、複合金属酸化物あるいは水酸化物を含むゲルを形成し、塩化ユーロピウムを0.1mol%以上10mol%以下添加したのち乾燥させ、850℃以上1100℃以下で焼成することを特徴としている。
出発物質としての加水分解性を有するチタニウム化合物は、一例として、金属有機化合物であるチタニウムアルコキシド、シュウ酸チタン、金属無機化合物として硝酸チタン、塩化チタン(四塩化チタン)等を用いることができるが、なかでも塩化チタンや、チタニウムアルコキシドを用いることが好ましい例として示される。チタニウムアルコキシドとしては、例えば、一般式Ti(OR)4で表される各種のものを使用することができる。
アルコキシル基を構成する有機基Rとしては、たとえば、炭素数1〜6の、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の同一または別異の低級アルキル基が挙げられる。より具体的には、たとえば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられ、より好ましくは、テトラエトキシチタンである。
出発物質としての加水分解性を有するMg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属化合物としては、これらの金属元素の塩化物や、硝酸塩等の各種の塩を用いることができる。この出願の発明においては、金属化合物として塩化マグネシウムまたは硝酸マグネシウムを用いるのが好適な例として示される。
チタニウム化合物と金属化合物の配合については、上述のとおり、モル比で、Ti:M=1:0.2〜5程度の範囲で調整することができ、より好ましくは、1:0.5〜2の範囲で調整することができる。
これらの出発物質は、チタニウムアルコキシドの場合については、有機溶媒に溶解させて溶液を調製する。このとき、必要に応じて、アルコキシル基の加水分解を促進したり脱水縮合反応を促進するための触媒と、水を添加してもよい。有機溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ter−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール等を例示することができる。触媒としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、アンモニア等を例示することができる。
他の各種の出発材料の場合については、アンモニア水や水酸化ナトリウムなどの塩基、あるいは上記の有機溶媒などに溶解して溶液とする。そして、これらの溶液を混合して、複合金属酸化物あるいは水酸化物を含むゲルを形成する。
次いで、塩化ユーロピウムを、全体量に対して0.1mol%以上10mol%以下添加したのち乾燥させ、850℃以上1100℃以下で焼成する。塩化ユーロピウムについても、上記の理由から、1.5mol%以上3mol%以下添加することが好ましい。
焼成の温度については、850℃未満の場合には、結晶性が悪く、安定性(寿命)に問題が生じるため好ましくない。しかしながら、あまりにも高温で焼成すると、発光中心であるEuが酸化チタンの母体に取り込まれず、発光中心として有効に機能しなくなってしまう。この出願の発明においては、母体を金属の複合酸化物としていることで、850℃以上1100℃以下の温度範囲での高温度焼成において、Euが取り込まれる量を増やすことができ、また結晶性を向上させ安定性を高めるようにしている。
これにより、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体を得ることができる。なお、この出願の発明の製造方法は、再現性良く、スケールアップの容易な方法であり、工業的に近紫外線励起蛍光体を製造することができる。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
(実施例1)
テトラエトキシチタンおよび加水分解性を有する金属元素Mの化合物をエタノール中に溶解して混合し、塩化ユーロピウムを添加した後に乾燥させ、空気中、1000℃で3時間の焼成を行って、ユーロピウムを含むチタンと金属元素Mの複合酸化物(MO−TiO2:Eu)を作成した。なお、金属元素Mとしては、Mg、Sr、Znを選択し、その化合物としては、塩化マグネシウム、硝酸ストロンチウム、塩化亜鉛をそれぞれ用いた。また、配合については、金属元素Mの割合は、Tiに対してモル比1となるように、塩化ユーロピウムは、複合酸化物の全体量に対して2mol%となるようにした。
得られた三種の複合酸化物の紫外線励起発光スペクトルを測定し、その結果を図1に示した。励起波長は325nmとした。金属元素Mとして、Mgを用いたものが615nmに、Srを用いたものが595nmに、それぞれ主ピークを有する強い発光を呈し、Znを用いたものはそれらの波長付近に幅広いピークを有する比較的弱い発光が観測された。
また、金属元素Mとしてイットリウム、カルシウムを用いた場合についても同様に紫外線励起発光スペクトルの測定を行ったところ、Znを用いた場合とよく似た、比較的弱い発光が観測された。
以上のことから、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体が得られていることが確認された。さらに、金属元素Mとしてバリウム、マンガンを用いた場合について、同様に紫外線励起発光スペクトルの測定を行ったところ、発光は認められなかった。
(実施例2)
実施例1で得られた三種の複合酸化物の紫外線励起による発光と電子線励起による発光の強度を測定し、その結果を図2に示した。なお、図2中、紫外線励起発光(PL)は強度比で、電子線励起発光(CL)は輝度(cd/m2)で表している。また、比較のために、金属元素Mを用いずに、あとは同条件で作成した1mol%のEuを含むアナターゼ型チタニア(TiO2:Eu)についても同様の測定を行った。
この出願の発明の近紫外線励起蛍光体である複合酸化物はいずれもTiO2:Euより大幅に輝度が高いことが確認された。特に、MgとTiの複合酸化物(a)については、赤色の高輝度の発光が観察された。
(実施例3)
金属元素Mをマグネシウムとし、その配合を変化させ、後は実施例1と同様の条件で、ユーロピウムを含むTiとMgの複合酸化物(MgO−TiO2:Eu)を作成した。Mgの配合は、Tiに対してモル比で、0.1、0.2、0.5、1、2、5の6通りとした。
得られた6通りの複合酸化物の紫外線励起発光スペクトルを測定し、その結果を図3に示した。励起波長は325nmとした。
いずれの場合も、図2で示したTiO2:Eu(R)より発光強度が大幅に高いことが確認された。また、MgとTiの比率が1:1の複合酸化物が最も高輝度の発光をすることが確認された。
この複合酸化物のX線回折分析を行い、その結果を図4に示した。いずれの複合酸化物も、TiO2のルチル相、Eu2Ti2O7、MgTiO3、MgO4のピークが見られる。そしてMgとTiの比率が1:1の複合酸化物については、単相ではないが、概ねMgTiO3が形成されているのがわかる。このことから、MgTiO3により近い相で、赤色の良い発光が得られると推定される。
(実施例4)
塩化チタンおよび硝酸マグネシウムをエタノール中に溶解して混合し、塩化ユーロピウムの割合を、1、2、4、7、10mol%と変化させて添加し、次いで乾燥させ、空気中、1000℃で3時間の焼成を行って、ユーロピウムを含むTiとMgの複合酸化物(Mg−TiO2:Eu)を作成した。
得られたMg−TiO2:Euの紫外線励起発光スペクトルを測定し、そのスペクトル図を図5に示した。Euの割合がいずれの場合も、主ピークを617nmに有する赤色の発光が得られていることが確認された。
次に、これらのスペクトルの617nmにおけるピーク強度を図6に示した。Euが1mol%の場合には相対的に輝度が低く、2〜10mol%の範囲では輝度に大きな変化は見られず、この範囲内で概ね一定の輝度が得られることがわかった。
さらに、波長617nmをモニタ波長とした場合の励起スペクトルを測定し、その結果を図7に示した。380nmと395nmに大きなピークが見られ、360〜420nm付近の近紫外線により励起されていることが確認された。
(実施例5)
MgとTiの比率が1:1のMgO−TiO2:EuとTiO2:Euについて、電子線照射したときの輝度の時間変化を測定し、その結果を図8に示した。なお、いずれの試料もEuは全体に対して1mol%添加されている。
2つの試料の初期輝度は異なる(MgO−TiO2:Euの方が大幅に高い)が、図8は、初期輝度を1とした場合の相対的な輝度変化を示している。TiO2:Euは、電子線を5時間照射した後には輝度が約20%にまで低下したのに対し、MgO−TiO2:Euは約80%の輝度を維持した。現在までに、蛍光体の紫外線照射に対する耐久性については調べる手段が確立されていないが、この結果から、MgO−TiO2:Euは紫外線照射においても、電子線照射の場合と同様に耐久性に優れていると考えられる。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、高輝度で赤色発光し、長寿命な新規な近紫外線励起蛍光体とその製造方法が提供される。
テトラエトキシチタンおよび加水分解性を有する金属元素Mの化合物をエタノール中に溶解して混合し、塩化ユーロピウムを添加した後に乾燥させ、空気中、1000℃で3時間の焼成を行って、ユーロピウムを含むチタンと金属元素Mの複合酸化物(MO−TiO2:Eu)を作成した。なお、金属元素Mとしては、Mg、Sr、Znを選択し、その化合物としては、塩化マグネシウム、硝酸ストロンチウム、塩化亜鉛をそれぞれ用いた。また、配合については、金属元素Mの割合は、Tiに対してモル比1となるように、塩化ユーロピウムは、複合酸化物の全体量に対して2mol%となるようにした。
得られた三種の複合酸化物の紫外線励起発光スペクトルを測定し、その結果を図1に示した。励起波長は325nmとした。金属元素Mとして、Mgを用いたものが615nmに、Srを用いたものが595nmに、それぞれ主ピークを有する強い発光を呈し、Znを用いたものはそれらの波長付近に幅広いピークを有する比較的弱い発光が観測された。
また、金属元素Mとしてイットリウム、カルシウムを用いた場合についても同様に紫外線励起発光スペクトルの測定を行ったところ、Znを用いた場合とよく似た、比較的弱い発光が観測された。
以上のことから、この出願の発明の近紫外線励起蛍光体が得られていることが確認された。さらに、金属元素Mとしてバリウム、マンガンを用いた場合について、同様に紫外線励起発光スペクトルの測定を行ったところ、発光は認められなかった。
(実施例2)
実施例1で得られた三種の複合酸化物の紫外線励起による発光と電子線励起による発光の強度を測定し、その結果を図2に示した。なお、図2中、紫外線励起発光(PL)は強度比で、電子線励起発光(CL)は輝度(cd/m2)で表している。また、比較のために、金属元素Mを用いずに、あとは同条件で作成した1mol%のEuを含むアナターゼ型チタニア(TiO2:Eu)についても同様の測定を行った。
この出願の発明の近紫外線励起蛍光体である複合酸化物はいずれもTiO2:Euより大幅に輝度が高いことが確認された。特に、MgとTiの複合酸化物(a)については、赤色の高輝度の発光が観察された。
(実施例3)
金属元素Mをマグネシウムとし、その配合を変化させ、後は実施例1と同様の条件で、ユーロピウムを含むTiとMgの複合酸化物(MgO−TiO2:Eu)を作成した。Mgの配合は、Tiに対してモル比で、0.1、0.2、0.5、1、2、5の6通りとした。
得られた6通りの複合酸化物の紫外線励起発光スペクトルを測定し、その結果を図3に示した。励起波長は325nmとした。
いずれの場合も、図2で示したTiO2:Eu(R)より発光強度が大幅に高いことが確認された。また、MgとTiの比率が1:1の複合酸化物が最も高輝度の発光をすることが確認された。
この複合酸化物のX線回折分析を行い、その結果を図4に示した。いずれの複合酸化物も、TiO2のルチル相、Eu2Ti2O7、MgTiO3、MgO4のピークが見られる。そしてMgとTiの比率が1:1の複合酸化物については、単相ではないが、概ねMgTiO3が形成されているのがわかる。このことから、MgTiO3により近い相で、赤色の良い発光が得られると推定される。
(実施例4)
塩化チタンおよび硝酸マグネシウムをエタノール中に溶解して混合し、塩化ユーロピウムの割合を、1、2、4、7、10mol%と変化させて添加し、次いで乾燥させ、空気中、1000℃で3時間の焼成を行って、ユーロピウムを含むTiとMgの複合酸化物(Mg−TiO2:Eu)を作成した。
得られたMg−TiO2:Euの紫外線励起発光スペクトルを測定し、そのスペクトル図を図5に示した。Euの割合がいずれの場合も、主ピークを617nmに有する赤色の発光が得られていることが確認された。
次に、これらのスペクトルの617nmにおけるピーク強度を図6に示した。Euが1mol%の場合には相対的に輝度が低く、2〜10mol%の範囲では輝度に大きな変化は見られず、この範囲内で概ね一定の輝度が得られることがわかった。
さらに、波長617nmをモニタ波長とした場合の励起スペクトルを測定し、その結果を図7に示した。380nmと395nmに大きなピークが見られ、360〜420nm付近の近紫外線により励起されていることが確認された。
(実施例5)
MgとTiの比率が1:1のMgO−TiO2:EuとTiO2:Euについて、電子線照射したときの輝度の時間変化を測定し、その結果を図8に示した。なお、いずれの試料もEuは全体に対して1mol%添加されている。
2つの試料の初期輝度は異なる(MgO−TiO2:Euの方が大幅に高い)が、図8は、初期輝度を1とした場合の相対的な輝度変化を示している。TiO2:Euは、電子線を5時間照射した後には輝度が約20%にまで低下したのに対し、MgO−TiO2:Euは約80%の輝度を維持した。現在までに、蛍光体の紫外線照射に対する耐久性については調べる手段が確立されていないが、この結果から、MgO−TiO2:Euは紫外線照射においても、電子線照射の場合と同様に耐久性に優れていると考えられる。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、高輝度で赤色発光し、長寿命な新規な近紫外線励起蛍光体とその製造方法が提供される。
Claims (11)
- Tiと、Mg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属元素Mとからなる複合酸化物の結晶構造内に、0.1mol%以上10mol%以下のEuが一部のTiの代わりに組み込まれており、波長が300nm以上420nm以下の近紫外線により励起されることによって赤色発光することを特徴とする近紫外線励起蛍光体。
- 複合酸化物は、組成が一般式、MxTiyOz(式中、0<x<2、0<y<2、1<z<4を示す)で表されるものであることを特徴とする請求項1記載の近紫外線励起蛍光体。
- 1.5mol%以上3mol%以下のEuが組み込まれていることを特徴とする請求項1または2記載近紫外線励起蛍光体。
- Tiに対する金属元素Mの割合が、モル比で、Ti:M=1:0.5〜2であることを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載の近紫外線励起蛍光体。
- 金属元素Mが、MgまたはSrであることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の近紫外線励起蛍光体。
- 波長が360nm以上400nm以下の近紫外線により励起されることによって赤色発光することを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の近紫外線励起蛍光体。
- 加水分解性を有するチタニウム化合物と、加水分解性を有するMg、Sr、Zn、Y、Caのうちのいずれかの金属化合物の溶液から、複合金属酸化物あるいは水酸化物を含むゲルを形成し、塩化ユーロピウムを0.1mol%以上10mol%以下添加したのち乾燥させ、850℃以上1100℃以下で焼成することを特徴とする近紫外線励起蛍光体の
製造方法。 - チタニウム化合物がテトラエトキシチタンまたは塩化チタンであることを特徴とする請求項7記載の近紫外線励起蛍光体の製造方法。
- 金属化合物が、塩化マグネシウムまたは硝酸マグネシウムであることを特徴とする請求項7または8記載の近紫外線励起蛍光体の製造方法。
- 塩化ユーロピウムを1.5mol%以上3mol%以下添加することを特徴とする請求項7ないし9いずれかに記載の近紫外線励起蛍光体の製造方法。
- チタニウム化合物に対する金属化合物の割合を、モル比で、Ti:M=1:0.5〜2の範囲とすることを特徴とする請求項7ないし10いずれかに記載の近紫外線励起蛍光体の製造方法。
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