JPWO2005089784A1 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、松樹皮から抽出された松樹皮抽出物を含有する口腔用組成物を提供する。本発明の口腔用組成物は、口腔内血流改善効果、口臭低減効果などの複数の効果を得ることができる。

Description

本発明は、松樹皮から抽出された松樹皮抽出物を含有している口腔用組成物、特に、口腔内の血流を改善する効果などを有する口腔用組成物に関する。
近年、抗酸化作用等を有するという理由から、プロアントシアニジンを含有している植物抽出物が注目されている。そのような植物抽出物のうち、松樹皮から抽出された抽出物(松樹皮抽出物)は、抗酸化作用のほかに、チロシナーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、DNA保護作用、および冷え症改善作用があることが知られていて、特に注目されている(特開2003−238425号公報、特開2003−238426号公報、特開2003−238427号公報および特開2003−238428号公報参照)。
ところで、飴、錠剤、トローチ、および洗口剤といった、ヒトの口腔内で使用される物(口腔用組成物)について、近年、さまざまな機能が付加されることが期待されている。そのような機能としては、例えば、歯周病を予防するための機能、口臭を低減させる機能などが挙げられる。
しかし、歯周病を予防するための機能(例えば口腔内の血流を改善する効果)および口臭を低減させる効果といった複数の効果を口腔用組成物で得ようとする場合、それらの効果を有する成分を、個々に添加する必要があるという問題点がある。例えば、口腔内の血流を改善する効果と口臭を低減させる効果とを洗口剤で得たい場合、口腔内血流改善効果を有する成分と口臭低減効果を有する成分とを、それぞれ溶剤に添加する必要がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、口腔用組成物に1つの成分を添加することにより、口腔内血流改善効果、口臭低減効果などの複数の効果を得ることができる口腔用組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を鑑み、さまざまな成分について鋭意検討した。その結果、松樹皮から抽出された抽出物(松樹皮抽出物)は、口腔内の血流を改善する効果、口臭を低減させる効果といった、口腔用組成物に要求される複数の効果を有していることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の口腔用組成物は、松樹皮から抽出された松樹皮抽出物を含有していることを特徴としている。
本発明の口腔用組成物は、口腔内へ1回で投与される上記松樹皮抽出物が、2mg以上となるように調製されていることを特徴としている。例えば、ヒトの口腔内へ1回で投与される上記松樹皮抽出物が、2mg以上となるように調製されていることが好ましい。さらに、ヒトの口腔内に1回で投与するのに適した量中に、上記松樹皮抽出物を2mg以上含有していることが好ましい。例えば、口腔用組成物を固体とした場合、ヒトの口腔内で溶解する固体とし、ヒトの口腔内に投与するのに適した量の上記固体中に、上記松樹皮抽出物を2mg以上含有している口腔用組成物としてもよい。
また、本発明の口腔用組成物は、上記構成に加えて、口腔内へ1回で投与される上記松樹皮抽出物が、2mg以上となるように調製されていることを特徴としている。
また、本発明の口腔用組成物は、上記構成に加えて、溶媒を含有しており、上記松樹皮抽出物の濃度は0.2(g/L)以上であることを特徴としている。
本発明の口腔用組成物は、松樹皮から抽出された松樹皮抽出物を含有している。このような口腔用組成物は、松樹皮抽出物という1つの成分を添加することによって、口腔内血流改善効果、口臭低減効果といった、口腔用組成物に要求される複数の効果を得ることができる。特に、その松樹皮抽出物が、松樹皮抽出物の乾燥質量に対して、オリゴメリックプロアントシアニジンを20質量%以上含んでいる場合は、効果がさらに大きい。
以下、本発明の口腔用組成物について説明する。なお、本発明は、下記の説明により限定して解釈すべきでなく、本発明の範囲内において種々の変更が可能である。
(松樹皮抽出物)
本発明の口腔用組成物は、松樹皮から抽出された抽出物(松樹皮抽出物)を含有している。まず、この松樹皮抽出物について説明する。松樹皮抽出物とは、松樹皮を用いて得ることができる抽出物のことである。そして、松樹皮抽出物を得るための方法は、特に限定されない。例えば、上記特開2003−238425号公報、特開2003−238426号公報、特開2003−238427号公報および特開2003−238428号公報に記載されているような方法により、松樹皮抽出物を得ればよい。そして、本発明においては、プロアントシアニジンを豊富に含む松樹皮抽出物を用いることが好ましい。
上記松樹皮抽出物を得るために用いることができる松樹皮の「松」としては、例えば、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダなどが挙げられる。そういった上記複数の松のうち、本発明においては、フランス海岸松(Pinus Martima)を用いることが好ましい。つまり、フランス海岸松の樹皮から、松樹皮抽出物を得るのが好ましい。抽出するための樹皮としてフランス海岸松の樹皮を選択すれば、プロアントシアニジンが豊富に含まれている松樹皮抽出物を、安定かつ確実に得ることができる。それとともに、フランス海岸松の樹皮を選択すれば、オリゴメリックプロアントシアニジン(oligomeric proantocyanidin:以下、適宜「OPC」と記す)が高濃度(例えば、松樹皮抽出物の乾燥質量に対して20質量%以上)に含まれている松樹皮抽出物を、安定かつ確実に製造することができる。なお、フランス海岸松の樹皮から松樹皮抽出物を得る方法としては、例えば、特開2003−238425号公報、特開2003−238426号公報、特開2003−238427号公報および特開2003−238428号公報に記載の方法が挙げられる。
フランス海岸松(Pinus Martima)とは、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松のことである。このフランス海岸松の樹皮は、プロアントシアニジン(特にOPC)、有機酸、ならびにその他の生理活性成分などを含有している。そして、その主要成分であるプロアントシアニジンには、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
なお、本明細書では、プロアントシアニジンのうち、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2〜4の縮重合体を、OPC(オリゴメリックプロアントシアニジン)という。OPCは、ポリフェノール類の一種で、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種の部分に集中的に含まれている。具体的には、松樹皮、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、ニセアカシア、コケモモの果実もしくは種子、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオ、ピーナッツの薄皮、イチョウ葉などに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根、日本の緑茶にも、OPCが含まれていることが知られている。OPCは、ヒトの体内では生成することのできない物質である。
また、本明細書において、プロアントシアニジンとは、化学処理(例えば酸処理)がなされた場合にアントシアニジンを生じる化合物群のことであり、具体的には、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする、重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群のことである。
また、本願発明の口腔用組成物が含有する松樹皮抽出物は、松樹皮抽出物の乾燥質量に対して、オリゴメリックプロアントシアニジン(OPC)を20質量%以上含んでいることが好ましい。このように、OPCを多く含む松樹皮抽出物を用いることにより、本発明の口腔用組成物は、下記実施例に示すような複数の効果を有する。つまり、松樹皮抽出物の乾燥質量に対して、20質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、最も好ましくは50質量%以上のOPCを含有する松樹皮抽出物を、本発明の口腔用組成物に用いるのが良い。
(抽出物の製造方法)
以下、口腔用組成物に用いられる抽出物(松樹皮抽出物)の製造方法について説明する。なお、本発明で使用可能な松樹皮抽出物は、具体的には、以下のような方法により調製することができる。しかし、下記方法はあくまで例示であり、本発明は、下記方法に限定されない。
松樹皮抽出物は、松樹皮から、水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には、冷水、温水、または熱水が用いられる。また、これらの水に、抽出効率を向上させる点から、塩化ナトリウムなどの塩を添加してもよい。
抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。特に、水または極性溶媒がよく、そのうち、熱水、含水エタノール、および含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。
松樹皮から抽出物を得る方法は、特に制限されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、二酸化炭素が好ましく用いられる。
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、またはケトン類を2〜20W/V%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPC、カテキン類(後述)などの目的とする被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的に松樹皮抽出物を得る方法である。
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点;抽出流体が残留しないという利点;および溶媒の循環利用が可能であり、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
また、松樹皮抽出物は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などの方法により得てもよい。さらに、松樹皮抽出物は、複数の抽出方法を組み合わせて得てもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
(口腔用組成物)
次に、口腔用組成物について説明する。本発明において、口腔用組成物とは、口腔内で利用され、口腔内で何らかの効果を発揮する物を広く指すものとする。なお、ここでいう、口腔内で発揮される何らかの効果としては、例えば、口臭を低減させる効果、歯周病を予防する効果、口腔内の血流を改善する(上昇させる)効果などが挙げられる。
また、本発明の口腔用組成物は、その組成物(特にその有効成分(松樹皮抽出物))が口腔内の細胞に塗布された場合、口腔内で発揮される何らかの効果について複数の効果を有することが好ましい。例えば、口臭を低減させる効果と口腔内の血流を改善する(上昇させる)効果とを有するのであれば、口臭低減効果と口腔内血流改善効果との2つの効果を有する薬剤として、本発明の口腔内組成物を利用することができる。
なお、口腔用組成物は口腔内で利用されると記載したが、その利用例について記載すれば、一定時間、口腔用組成物を口腔内に存在させることが挙げられる。口腔用組成物を口腔内に存在させる形態としては、例えば、口腔用組成物が液体であれば、口腔用組成物を用いて口をすすぐ、口腔用組成物を一定時間口に含んで吐き出すなどの形態が挙げられる。口腔用組成物が固体(例えば錠剤、粉体、顆粒など)の場合、口腔用組成物を口腔内に存在させる形態としては、例えば、口腔用組成物を口腔内で溶解させるなどの形態が挙げられる。なお、口腔用組成物が固体の場合、効果の強さまたは効果の時間を調節すべく、担体や架橋剤を用いて松樹皮抽出物を吸収させることにより、松樹皮抽出物の放出量を調節してもよい。
口腔用組成物の具体的な形態としては、例えば、歯磨剤(液状歯磨剤、練歯磨剤、粉歯磨剤など)、洗口剤、うがい薬、口腔清涼剤、錠剤などが挙げられる。もちろん、口腔用組成物は、トローチ、飴、ガム、グミなどの食品という形態であってもよい。また、本発明の口腔用組成物は、口腔用組成物(特に有効成分である松樹皮抽出物)が口腔内の細胞に塗布された場合に、複数の効果を有することが好ましい。よって、口腔用組成物(特にその有効成分)を、一定時間、口腔内の細胞に塗布できるような形態とするのが好ましい。なお、ここでいう「一定時間」の下限値は、1秒以上、好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上、さらに好ましくは5分以上である。そして、「一定時間」の上限値は、30分以下、好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下である。よって、口腔用組成物の形態としては、例えば、口腔内で噛んだりなめたりすることが可能な形態(具体的には錠剤、トローチ、ガムなど)、または、口腔内に容易に含むことができるような形態(具体的には洗口剤、歯磨剤など)が好ましい。さらにいえば、比較的長時間にわたって口腔内の細胞に対して松樹皮抽出物を塗布できる形態であり、かつ、ニンニクなどの臭いが強い食品を摂取した場合において口臭を低減させることができる形態がより好ましい。このような形態としては、口腔内で少しずつ口腔用組成物を溶解させたり、口腔内で口腔用組成物を噛んだりする形態が挙げられ、例えば、錠剤またはトローチといった形態がより好ましい。
また、上記「口腔内の血流を改善する(上昇させる)効果」とは、口腔内の細胞(例えば歯茎など)の血流を上昇させることである。具体的には、本発明の口腔用組成物を口腔内に存在させた場合、それを存在させる前と比べて、口腔内の細胞の血流が上昇するという効果である。そして、上記「口臭を低減させる効果」とは、本発明の口腔用組成物を口腔内に存在させた場合、それを存在させる前と比べて、口から発せられる臭いを低減させる効果のことである。そして、ここでいう「口から発せられる臭いを低減」としては、例えば、ニンニク臭などのヒトにとって不快な臭いを低減させることが好ましい。
本発明の組成物は、上述のように、必要に応じて、種々の成分を含有し得る。種々の成分の含有量は任意である。種々の成分としては、例えば、通常の口腔用組成物として添加し得る成分(研磨剤、粘稠剤、粘結剤、発泡剤および発泡助剤、防腐剤および殺菌剤、甘味剤、溶剤、着色料(色素)、香料、各種有効成分など)または通常、医薬部外品、化粧品、およびトイレタリー用品として添加し得る成分(基材、動植物抽出物など)が挙げられる。上記成分は、単独で含有させてもよく、組み合わせて含有させてもよい。
上記の種々の成分の具体例としては、例えば、油溶性甘草エキス、桑白皮エキスなどの植物性抗菌エキス、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、これらビタミンの誘導体などのビタミン類、エリスリトール、還元麦芽糖、キシリトールなどの炭素数4又は5の糖アルコール、茶抽出物などのカテキン類などが挙げられる。
中でもビタミンE、キシリトール、エリスリトール、および茶抽出物が好ましい。糖アルコールは、口腔内での清涼感があるばかりか、松樹皮抽出物が有する収斂味を低減し、嗜好性の面からも適した口腔組成物とすることができる。
さらに、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケートなどのシリカ系研磨剤、水酸化アルミニウム、リン酸水素カルシウム・2水和物及び無水物、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸ナトリウム、ハイドロキシアパタイト、重質および軽質炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、合成樹脂系研磨剤などの研磨剤、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マルチット、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カーボポール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、モンモリロナイト、グアガム、ビーガム、カラヤガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メトキシエチレンと無水マレイン酸の共重合体、ラポナイト、増粘性シリカなどの粘稠剤および粘結剤が挙げられる。
発泡剤および発泡助剤としては、脂肪酸系、直鎖アルキルベンゼン系、アルファオレフィン系、ノルマルパラフィン系、高級アルコール系などのアニオン界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体などのノニオン界面活性剤、イミダゾリン系、ベタイン系などの両イオン界面活性剤、およびアミン系、第4級アンモニウム塩系などのカチオン界面活性剤が挙げられる。
防腐剤および殺菌剤においては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸およびその塩、サリチル酸およびその塩、p−メトキシシンナミックアルデヒド、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、低級脂肪酸モノグリセライド、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサンなどが挙げられる。
またサッカリンナトリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、タウマチン、パラチノース、甘草粉末などの甘味料、水、エタノール、イソプロピルアルコール、セタノールなどの溶剤、および着色料が挙げられる。
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油などの天然香料、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒドなどの香料、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコールなどの香料および/または天然香料、および上述の香料を含むストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバーなどのフレーバーが挙げられ、口腔用組成物に用いられる公知の香料を使用することができる。
その他、有効成分として、フッ化ナトリウム、フッ化第1錫、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、モノフルオロリン酸ナトリウムなどのフッ化物およびトラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸などの抗プラスミン剤が挙げられる。
さらには、口腔内で噛んだりなめたりすることが可能な形態(具体的には錠剤、トローチ、ガムなど)に用いる成分として、上記以外に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、デンプン、コーンスターチ、乳糖、粉糖、ガムベース、水飴なども含有させることが可能である。
次に、口腔用組成物において、含まれる松樹皮抽出物の量について説明する。本発明の口腔用組成物は、口腔内(好ましくはヒトの口腔内)へ1回で投与される松樹皮抽出物が、2mg以上となるように調製されている。もちろん、松樹皮抽出物が、3mg以上、より好ましくは4mg以上となるように、口腔用組成物を調製してもよい。さらに、ヒトの口腔内に1回で投与するのに適した量の口腔用組成物中において、含まれている松樹皮抽出物の量の下限値が、2mg以上、好ましくは3mg以上、より好ましくは4mg以上となるように、口腔用組成物を調製してもよい。
そして、ヒトの口腔内に1回で投与する口腔用組成物中において、含まれている松樹皮抽出物の量の上限値は、例えば、口腔用組成物に含ませることが可能な量、ヒトにとって害とならない量などを考慮して決定すればよい。具体的には、含まれている松樹皮抽出物の量の上限値が、例えば500mg以下、好ましくは300mg以下、より好ましくは150mg以下、さらに好ましくは35mg以下、最も好ましくは20mg以下となるように、口腔用組成物を調製すればよい。このような形態とすることによって、実施例に示すように、例えば、口腔内の血流改善および口臭の低減について、すぐれた効果を発揮することができる。
本発明の口腔用組成物は、ヒトの口腔内に1回で投与するのに適した量中に、上記松樹皮抽出物を2mg以上含有するよう調製されていることが好ましい。ここでいう、「ヒトの口腔内に1回で投与するのに適した量」とは、言い換えれば、ヒトが口腔内に含むのに適した口腔内組成物の量ということも可能であり、好ましくは、ヒトが不快なく口腔内に含むことができる口腔内組成物の量とするのが良い。口腔用組成物が液体の場合、「ヒトの口腔内に1回で投与するのに適した量」とは、例えば、口腔内をすすぐ(洗う)のに適した口腔用組成物の量である。口腔用組成物が固体の場合、「ヒトの口腔内に1回で投与するのに適した量」とは、例えば、不快なく摂取(咀嚼したりなめたり)することができる量である。ゆえに、「ヒトの口腔内に投与するのに適した量」とは、例えば通常の大きさの錠剤やトローチでいえば、1個〜数個を意味する。
次に、口腔用組成物が固体である場合における、好ましい形態について説明する。口腔用組成物が固体である場合、ヒトの口腔内で溶解する固体とするのが好ましい。そして、ヒトの口腔内に1回で投与するのに適した量の固体(口腔用組成物)中に、松樹皮抽出物を2mg以上、好ましくは3mg以上、より好ましくは4mg以上含有するように、口腔用組成物を調製するのが好ましい。
なお、例えば、口腔用組成物が固体(例えば錠剤)の場合、その固体を水などで飲むことにより、口腔内における口腔用組成物の滞留時間がないまたはほとんどないときは、口腔内における効果を得ることが難しい。よって、本発明の口腔用組成物の場合、このような形態は好ましくない。つまり、口腔用組成物(特にその有効成分)を、一定時間、口腔内の細胞に塗布(滞留)できるような形態とするのが好ましい。
次に、口腔用組成物が液体である場合における、好ましい形態について説明する。口腔用組成物が液体である場合、溶媒を含有していることが好ましい。ここでいう溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールなどが挙げられる。そして、口腔用組成物が液体である場合、その液体に含まれる松樹皮抽出物の濃度は、0.2(g/L)以上とすることが好ましい。もちろん、その液体に含まれる松樹皮抽出物の濃度を、0.3(g/L)以上としてもよく、さらに、0.4(g/L)以上としてもよい。このような形態とすることによって、実施例に示すように、口腔内の血流改善および口臭の低減について、さらにすぐれた効果を発揮させることができる。なお、ここでいう「液体に含まれる松樹皮抽出物の濃度」は、次の式(I)で表すことができる。
Figure 2005089784
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記実施例によって限定して解釈してはならない。
(実施例1:エタノール水溶液と松樹皮抽出物とを用いた血流改善)
まず、松樹皮抽出物(松樹皮のエタノール抽出物、OPCを20質量%以上含有。株式会社東洋新薬製)20mgを、一定量の溶媒(15%エタノール水溶液)に溶解させた。次に、その溶解液に溶媒を添加して、最終的な体積を100mLとすることにより、溶液を調製した。つまり、15%エタノール水溶液という溶媒を用いて、松樹皮抽出物の濃度0.2(g/L)の溶液を調製した。これを、実施例1A溶液とした。なお、ここで用いた松樹皮抽出物は、松樹皮抽出物の乾燥質量に対して、プロアントシアニジンを50質量%、OPCを30質量%、カテキンを5質量%含有する抽出物である。また、ここで用いた溶媒(15%エタノール水溶液)の濃度(%)表示は、体積/体積によるものである。
また、松樹皮抽出物の量を40mgとすること以外は上記と同様の方法により、松樹皮抽出物の濃度が0.4(g/L)の溶液を調製した。これを実施例1B溶液とした。さらに、比較例として、15%エタノール水溶液のみ(つまり松樹皮抽出物の濃度は0(g/L))の液について調製した。これを比較例1溶液とした。
次に、実施例1A溶液、実施例1B溶液および比較例1溶液(10mL)を用いて、口腔内の細胞(歯茎)の血流を改善させる効果について、ボランティア4人の協力を得て、実験を行った。具体的には、まず、上記溶液10mLを口に含んで、口腔内全体に溶液が広がるように適度に口を動かした後、その溶液を吐いた。なお、溶液を口に含んでいる時間は1分間とした。次に、溶液を吐いた時点から一定時間(5分および15分)経過後、血流計を用いて、下歯茎の血流を測定した。なお、血流計は、レーザー血流画像化装置(PIM II;Sweden Permied社製)を用いた。
血流測定の結果を、表1に示す。なお、血流測定の結果は、溶液を口に含む前に予め血流測定を行って、その測定結果を100とした相対値で示している。つまり、表1に示す数値が大きいほど、血流が良いことを示している。
Figure 2005089784
表1に示すように、溶液を吐いた時点から5分経過後において、比較例1溶液を口に含んだものの結果(平均値:97.72)と比べて、実施例1A溶液を口に含んだ結果(平均値:132.62)および実施例1B溶液を口に含んだ結果(平均値:156.16)は、大きくなっていることが分かる。つまり、実施例1A溶液および実施例1B溶液には、口腔内の血流を改善(上昇)させる効果があると認められる。
実施例1A溶液において、松樹皮抽出物の濃度は0.2(g/L)である。また、実施例1B溶液においては、松樹皮抽出物の濃度は0.4(g/L)である。よって、松樹皮抽出物の濃度が0.2(g/L)以上の場合、口腔内の血流を改善するのに一定の効果があると認められる。
なお、松樹皮抽出物の濃度に着目すれば、上記のように、0.2(g/L)以上で効果があったと認められる。しかし、松樹皮抽出物の量に着目すれば、以下のようになる。つまり、実施例1A溶液(10mL)を口に含んだので、その溶液には、2mgの松樹皮抽出物が含まれていたことになる。よって、この実施例のように口に含むこともヒトへの投与と捉えた場合、2mg以上の松樹皮抽出物を投与すれば、一定の効果があったと考えることもできる。
(実施例2:蒸留水と松樹皮抽出物とを用いた血流改善)
溶媒として蒸留水を使用したことおよび実施例1で使用した松樹皮抽出物30mgを使用したこと以外は、実施例1A溶液の調製と同様の方法により、溶液を調製した。つまり、松樹皮抽出物の濃度0.3(g/L)の水溶液を調製した。これを、実施例2A溶液とした。
また、松樹皮抽出物40mgを使用したこと以外は、実施例2A溶液の調製方法と同様の方法により、溶液を調整した。つまり、松樹皮抽出物の濃度0.4(g/L)の水溶液を調製した。これを、実施例2B溶液とした。なお、比較例として、蒸留水のみのものも準備した。これを、比較例2液とした。
次に、実施例2A溶液、実施例2B溶液および比較例2液(10mL)を用いて、口腔内の細胞(歯茎)の血流を改善させる効果について、実験を行った。なお、この実験は、ボランティアの人数を5人とした以外は、実施例1の方法と同様の方法で行った。
血流測定の結果を、表2に示す。なお、血流測定の結果は、実施例1と同様、溶液を口に含む前に予め血流測定を行って、その測定結果を100とした相対値で示している。つまり、表2に示す数値が大きいほど、血流が良いことを示している。
Figure 2005089784
表2に示すように、溶液を吐いた時点から5分経過後において、比較例2液を口に含んだものの結果(平均値:89.11)と比べて、実施例2A溶液を口に含んだ結果(平均値:123.15)および実施例2B溶液を口に含んだ結果(平均値:138.77)は、大きくなっていることが分かる。つまり、実施例2A溶液および実施例2B溶液には、口腔内の血流を改善(上昇)させる効果があると認められる。さらに、溶媒として蒸留水を使用した場合は、溶液を吐いた時点から15分経過後においても、比較例2液を口に含んだものの結果(平均値:75.14)と比べて、実施例2A溶液を口に含んだ結果(平均値:126.10)および実施例2B溶液を口に含んだ結果(平均値:123.15)は、大きくなっていることが分かる。つまり、実施例2A溶液および実施例2B溶液には、口腔内の血流を改善(上昇)させる効果とともに、その効果を持続させる効果も認められる。
実施例2A溶液において、松樹皮抽出物の濃度は0.3(g/L)である。また、実施例2B溶液においては、松樹皮抽出物の濃度は0.4(g/L)である。よって、溶媒として蒸留水を用いた場合において、松樹皮抽出物の濃度が0.3(g/L)以上のとき、口腔内の血流を改善するのに一定の効果があると認められる。また、この実施例のように口に含むこともヒトへの投与と捉えた場合、溶媒として蒸留水を用いたときは、3mg以上の松樹皮抽出物を投与すれば、一定の効果があったと考えることもできる。
なお、本実施例の結果について、濃度と時間との二元配置法(繰返しあり)による分散分析を行った。その結果、濃度の因子において、有意差(p<0.01)が認められた。そして、実施例2B溶液(濃度:0.4g/L)と比較例2液(濃度:0g/L)との間に有意差(p<0.01)が、実施例2A溶液(濃度:0.4g/L)と比較例2液(濃度:0g/L)との間に有意差(p<0.05)が認められた。
また、対応あるt検定を行ったところ、溶液を吐いた時点から5分経過後において、実施例2B溶液と比較例2液との間に有意差(p<0.05)が認められた。さらに、溶液を吐いた時点から15分経過後において、実施例2B溶液と比較例2液との間に有意差(p<0.01)が認められた。
ところで、溶液を吐いた時点から5分経過後において、実施例1B溶液(15%アルコール溶液で濃度0.4g/L)の結果と、比較例2液(水溶液で濃度0g/L)の結果とを比較すれば、有意差(p<0.05)が認められた(Turkey−Krammer検定)。
(実施例3:松樹皮抽出物を含む錠剤による血流改善)
松樹皮抽出物を含む口腔用組成物として、打錠品(錠剤)を作製した。以下、作製方法について説明する。
まず、下記に示す成分を処方し、均一となるようによくかき混ぜて、粉末を得た。なお、粉末は、松樹皮抽出物を含むもの、茶抽出物を含むもの、抽出物を含まないものの3種類を用意した。
<松樹皮抽出物を含むものの処方>
顆粒状糖(フロスト(登録商標)シュガー:日新製糖社製):57g
乳糖:20g
還元麦芽糖:20g
ショ糖脂肪酸エステル:2g
二酸化ケイ素:1g
松樹皮抽出物(実施例1と同じ抽出物):0.4g
<茶抽出物を含むものの処方>
顆粒状糖:57g
乳糖:20g
還元麦芽糖:20g
ショ糖脂肪酸エステル:2g
二酸化ケイ素:1g
茶抽出物(エピガロカテキンガレート90%以上含有、商品名「TEAVIGO」(登録商標)、ロシュ・ビタミン・ジャパン社製):0.4g
<抽出物を含まないものの処方>
顆粒状糖:57g
乳糖:20g
還元麦芽糖:20g
ショ糖脂肪酸エステル:2g
二酸化ケイ素:1g
次に、上記処方により得られた粉末を打錠することにより、1錠が250mgの錠剤を作製した。つまり、松樹皮抽出物を含む粉末から松樹皮抽出物含有錠剤を、茶抽出物を含む粉末から茶抽出物含有錠剤を、抽出物を含まない粉末から抽出物無添加錠剤を、それぞれ作製した。なお、抽出物が含まれている錠剤1錠には、抽出物が0.996mg(約1mg)含まれている。
次に、上記錠剤を用いて、口腔内の細胞(歯茎)の血流を改善させる効果について、実施例1のボランティア5人のうち4人の協力を得て、実験を行った。具体的には、まず、2錠の錠剤を口に含んで、口の中で徐々に錠剤を溶解させつつ、錠剤を体内に摂取した。次に、錠剤摂取完了の時点から一定時間(5分および15分)経過後、血流計を用いて、下歯茎の血流を測定した。なお、用いた血流計などは実施例1と同様である。また、血流を改善させる成分の例として、ビタミンE(100mg)のみを、口の中で徐々に溶解させて摂取したものについても、血流を測定した。さらに、松樹皮抽出物含有錠剤(2錠)を、口の中で徐々に錠剤を溶解させるのではなく、蒸留水10mLで一気に飲んで摂取したものについても、血流を測定した。
血流測定の結果を、表3に示す。なお、血流測定の結果は、錠剤を口に含む前に予め血流測定を行って、その測定結果を100とした相対値で示している。また、表3においては、松樹皮抽出物含有錠剤を口の中で徐々に溶解させたものの結果を「松樹皮抽出物」という項目に、茶抽出物含有錠剤の結果を「茶抽出物」という項目に、抽出物無添加錠剤の結果を「抽出物なし」という項目に、ビタミンE(100mg)のみを摂取したものの結果を「ビタミンE」という項目に、松樹皮抽出物含有錠剤(2錠)を蒸留水で飲んだ結果について「松樹皮抽出物(飲む)」という項目に、それぞれ示している。
血流測定の結果を、表3に示す。なお、血流測定の結果は、錠剤を口に含む前に予め血流測定を行って、その測定結果を100とした相対値で示している。つまり、表3に示す数値が大きいほど、血流が良いことを示している。また、表3においては、松樹皮抽出物含有錠剤の結果を「松樹皮抽出物」という項目に、茶抽出物含有錠剤の結果を「茶抽出物」という項目に、抽出物無添加錠剤の結果を「抽出物なし」という項目に、ビタミンE(100mg)のみを摂取したものの結果を「ビタミンE」という項目に、それぞれ示している。
Figure 2005089784
表3に示すように、摂取時点から5分経過後において、抽出物なしの結果(平均値:96.84)および茶抽出物の結果(平均値:81.24)と比べて、松樹皮抽出物の結果(平均値:115.35)は、大きくなっていることが分かる。つまり、松樹皮抽出物含有錠剤には、口腔内の血流を改善(上昇)させる効果があると認められる。また、ビタミンEの結果(平均値:116.99)を見れば、松樹皮抽出物はビタミンE(100mg)とほぼ同等の結果となった。
さらに、摂取時点から15分経過後において、抽出物なしの結果(平均値:96.88)およびビタミンEの結果(平均値:105.63)と比べて、松樹皮抽出物の結果(平均値:111.55)は、若干大きくなっていることが分かる。つまり、松樹皮抽出物含有錠剤には、血流改善効果を持続させる効果がある。
上記打錠品の試験では、錠剤2錠を摂取した。よって、松樹皮抽出物を2mg摂取したことになる。つまり、2mgの松樹皮抽出物を摂取したことにより、一定の効果があったと考えられる。
また、表3に示すように、松樹皮抽出物含有錠剤(2錠)を蒸留水で飲んだ場合は、「抽出物なし」の結果と近い値であって、ほとんど効果がない。また、松樹皮抽出物含有錠剤(2錠)を蒸留水で飲んだ例においては、その飲むことによる摂取後1時間経過しても、効果が認められなかった。これは、口腔用組成物(松樹皮含量2mgの固体)を水などで飲む場合、口腔内における効果を得ることが難しいことを示している。つまり、松樹皮含量2mgという微量を含む口腔用組成物では、それを一定時間口腔内の細胞に塗布(滞留)できるような形態とするのが好ましい。
なお、ボランティアの個体と摂取した錠剤等とにおいて乱塊法による平均値の差の検定を行ったところ、摂取した錠剤等の間において有意差が認められた(p<0.01)。
また、錠剤を口腔内で溶解させた場合の嗜好性については、いずれの被験者からも、実施例2の溶液の場合に比べ、収斂味が低減しており、摂取しやすいという回答があったことから、糖アルコールを同時に摂取させることで、松樹皮抽出物の収斂味が低減され、口腔内の投与に適した組成物となることが分かった。
(実施例4:口臭低減(改善)効果)
ボランティア6〜7人の協力を得て、口臭(ニンニク臭)低減効果についての試験を行った。その試験方法について説明する。
まず、ニンニク1玉と加温した蒸留水50mLとをミキサーに入れて粉砕し、ニンニクペーストを作製した。次に、作製したニンニクペースト(10g)と加温した蒸留水(5g)とを混合して、ニンニク混合液を作製した。
次に、作製したニンニク混合液を口に含み、口腔内全体に混合液が広がるように適度に口を動かした後、その混合液を吐いた。なお、混合液を口に含んでいる時間は30秒間とした。
混合液を吐いた後、すぐに錠剤を口に含んで、それを噛みながら摂取した。そして、混合液を吐いた時点から一定時間経過後、メチルメルカプタン検知管に一定量の息を吹き込むことにより、ヒトの息に含まれるメチルメルカプタン量(ppm)を測定した。なお、ここでいう「一定時間経過後」は、1分後、5分後、10分後である。
なお、この試験で用いた錠剤は、松樹皮抽出物含有錠剤(2錠)、茶抽出物含有錠剤(2錠)、抽出物無添加錠剤(2錠)であり、これら打錠品の作製方法は実施例3に記載の方法と同様である。また、市販されている口臭予防剤(小林製薬社製「噛むブレスケア(登録商標)」:1錠)についても、試験を行った。
松樹皮抽出物含有錠剤についての結果を表4に、市販の口臭予防剤についての結果を表5に、茶抽出物含有錠剤についての結果を表6に、それぞれ示す。これら表4〜6に示す数値は、ヒトが検知管に吹き込んだ息に含まれているメチルメルカプタン量である。よって、表中の値が小さい(減少傾向にある)ほど、口臭低減効果があることを示すことになる。
また、それぞれの表に「コントロール」と示されているのは、抽出物無添加錠剤の結果である。このように、それぞれの表において「コントロール」の結果を記載しているのは、試験に供された個々のニンニクによって、試験結果にばらつきが生じる可能性があったためである。つまり、1つの表中に記載されている結果については、同一のニンニクペーストを用いて算出されたものである。
また、ボランティア各人において、口臭効果のあると思われるもの(松樹皮抽出物含有錠剤、茶抽出物含有錠剤および市販品)についてのメチルメルカプタン量の測定値をロントロールの測定結果で割った値について、平均値および標準偏差を表7に示す。つまり、表7に示す数値が1より小さい場合は口臭低減効果があったことを示し、表7中の値が小さいほど口臭低減効果が大きいことを示す。
Figure 2005089784
Figure 2005089784
Figure 2005089784
Figure 2005089784
表4に示すように、コントロールの値と比較して、樹皮抽出物の値は、常に、コントロールの値よりも小さい。つまり、抽出物無添加錠剤を摂取した場合と比べて、樹皮抽出物を摂取すれば、ヒトの息から検出されるメチルメルカプタン量は小さくなっていることが分かる。これは、松樹皮抽出物含有錠剤2錠、つまり、2mgの松樹皮抽出物を摂取したことにより、口臭を低減させることについて一定の効果があったと考えられる。
一方、表5〜表6に示すように、茶抽出物および市販品の値は、コントロールの値よりも小さくなっていないことが分かる。つまり、茶抽出物および市販品は、この試験系において、ヒトの息から検出されるメチルメルカプタン量を減少させることができなかったことを示している。
また、表7に示すように、松樹皮抽出物含有錠剤を摂取した場合におけるメチルメルカプタン量の測定値を、コントロールの測定値で割った場合、その平均値は、1を大きく下回っている。つまり、口臭を低減させる効果が認められる。それに対して、茶抽出物および市販品の場合、平均値は、1より大きい値または1と同等の値となっている。よって、茶抽出物および市販品は、本試験において、口臭を低減させる効果が認められなかった。
上記に説明したように、本発明の口腔用組成物は、松樹皮から抽出された松樹皮抽出物を含有しており、上記松樹皮抽出物は、松樹皮抽出物の乾燥質量に対して、オリゴメリックプロアントシアニジンを20質量%以上含んでいる。このような口腔用組成物は、口腔内の血流を改善して、歯周病予防に役立つ。さらに、このような口腔用組成物は、口臭を減少させる効果を有しており、人に対して口臭により不快な印象を与えることを防ぐのに役立つ。

Claims (3)

  1. 松樹皮から抽出された松樹皮抽出物を含有していることを特徴とする口腔用組成物。
  2. 口腔内へ1回で投与される上記松樹皮抽出物が、2mg以上となるように調製されていることを特徴とする請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. 溶媒を含有しており、
    上記松樹皮抽出物の濃度は0.2(g/L)以上であることを特徴とする請求項1に記載の口腔用組成物。
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