JPWO2005088384A1 - 画像表示光学系及び画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、基板の構成をシンプルに抑えながらも大きな射出瞳を確保することのできる画像表示光学系(1)を提供することを目的とする。この画像表示光学系(1)は、画像表示素子(21)の各画角の表示光束(L)が繰り返し内面反射してその表示光束の光路を内部に形成する透過性の基板(11)と、前記基板(11)のうち前記内面反射に供される一方の面(11−1)の所定領域に密着して設けられ、その所定領域に到達した各前記表示光束(L)の一部をそれぞれ基板外に射出させ、所定方向に偏向する偏向光学部(12a)とを備え、前記画像表示素子の表示画面の虚像を形成する。

Description

本発明は、アイグラスディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、カメラ、携帯電話、双眼鏡、顕微鏡、望遠鏡などの光学機器に搭載され、液晶表示素子などの表示画面の虚像を観察眼の前方に形成するための画像表示光学系及び画像表示装置に関する。
近年、この種の画像表示光学系として、射出瞳の大きいものが提案された(特許文献1など。)。
この画像表示光学系は、複数のハーフミラーを、それぞれの透過光路に対し直列に、かつ各反射面が基板の表面に対し45°傾斜するように透過性の基板内に配置してなる。
液晶表示素子などの表示画面から射出した表示光束は、平行光束化された状態でこの画像表示光学系のハーフミラーに対し45°の入射角度で入射する。
表示光束が最初のハーフミラーに入射すると、その表示光束の一部はそのハーフミラーにて反射し、他の一部は透過する。そのハーフミラーを透過した表示光束の一部は次のハーフミラーにて反射し、他の一部は透過する。これが各ハーフミラーで繰り返され、各ハーフミラーにて反射した各表示光束は、それぞれ基板外に射出する。
基板外において各表示光束が通過する領域には、表示画面の各位置から射出した各表示光束が重畳して入射する比較的広い領域が存在する。その領域内に観察眼の瞳が配置されれば、観察眼は表示画面の像を結像することができる。つまり、この領域は、射出瞳と等価な働きをする(以下、「射出瞳」という。)。
このような射出瞳は、ハーフミラーの配置数を増やすことで容易に拡大可能である。射出瞳が大きいと観察眼の瞳の位置の自由度が高まるので、観察者がよりリラックスした状態で表示画面を観察することができる。
特表2003−536102号公報
しかし、この画像表示光学系には、基板の加工が難しい、或いは加工が煩雑であるといった問題がある。例えば、基板の内部にハーフミラーを形成するためには、基板を多数に切断し、多数の切断面に半透過面を形成し、再びそれらの切断面を接着する必要がある。
そこで本発明は、基板の構成をシンプルに抑えながらも大きな射出瞳を確保することのできる画像表示光学系及び画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の画像表示光学系は、画像表示素子の各画角の表示光束が繰り返し内面反射してその表示光束の光路を内部に形成する透過性の基板と、前記基板のうち前記内面反射に供される一方の面の所定領域に密着して設けられ、その所定領域に到達した各前記表示光束の一部をそれぞれ基板外に射出させ、反射により所定方向に偏向する偏向光学部とを備え、前記画像表示素子の表示画面の虚像を形成する。
好ましくは、前記偏向光学部の偏向特性には、前記画像表示光学系の射出瞳に入射する前記表示光束の輝度を均一化するような分布が付与されている。
また、好ましくは、前記基板の内部に形成される前記表示光束の光路を折り返しその表示光束を往復させる折り返し反射面をさらに備え、前記偏向光学部は、往路進行中の前記表示光束の一部と復路進行中の前記表示光束の一部とを同じ方向に偏向する。
また、好ましくは、前記折り返し反射面は、前記基板内の所定領域を第1角度範囲内で通過する前記表示光束の光路を折り返す第1反射面と、前記所定領域を前記第1角度範囲から外れた第2角度範囲内で通過する前記表示光束の光路を折り返す第2反射面とからなる。
また、好ましくは、前記第1反射面は、前記第2角度範囲内で通過する前記表示光束を非折り返し方向に反射する性質を有し、前記第2反射面は、前記第1反射面が前記非折り返し方向に反射した前記表示光束の光路を折り返す。
また、好ましくは、前記第1反射面は、前記第2角度範囲内で通過する前記表示光束を透過する性質を有し、前記第2反射面は、前記第1反射面を透過した前記表示光束の光路を折り返す。
また、好ましくは、前記第1反射面及び前記第2反射面は、前記基板内の同位置に互いに交差して配置され、前記第1反射面は、前記第2角度範囲内で通過する前記表示光束を透過する性質を有し、前記第2反射面は、前記第1角度範囲内で通過する前記表示光束を透過する性質を有する。
また、好ましくは、前記偏向光学部は、前記所定領域に密着して設けられ、かつその所定領域に到達した各前記表示光束の一部をそれぞれ基板外に透過する第1の光学面と、前記第1の光学面の反基板側に設けられ、かつ前記基板の法線に対し傾斜した複数の微小反射面を列状に配置したマルチミラーとからなる。
また、好ましくは、前記微小反射面には、光学多層膜又は回折光学面が用いられる。
また、好ましくは、前記偏向光学部は、回折光学部材によって構成される。
また、好ましくは、前記偏向光学部には、外界から前記射出瞳の方向へ向かう外界光束の少なくとも1部を透過する特性が付与される。
また、好ましくは、前記偏向光学部には、前記偏向の対象を前記表示光束と同じ波長の光に限定する特性が付与される。
また、好ましくは、前記画像表示光学系に、前記射出瞳に配置されるべき観察眼の視度補正をする機能が備えられる。
また、好ましくは、前記画像表示光学系は、前記偏向光学部を挟んで前記基板と連結される別の基板を備え、前記別の基板の前記偏向光学部と反対側の面は、前記視度補正の少なくとも一部を担う曲面形状となっている。
また、本発明の画像表示装置は、本発明の何れかの画像表示光学系と、画像表示素子とを備える。
本発明によれば、基板の構成をシンプルに抑えながらも大きな射出瞳を確保することのできる画像表示光学系及び画像表示装置が実現する。
第1実施形態のアイグラスディスプレイの外観図である。 画像導入ユニット2と画像表示光学系1との構成を示す斜視図である。 画像導入ユニット2の周辺を観察者から見た水平面で切断した概略断面図である。 基板11における表示光束Lの振る舞いを示す図である。 (a)は、基板11における表示光束Lの振る舞いを示す図、(b)は、基板11における表示光束L+の振る舞いを示す図、(c)は、基板11における表示光束L-の振る舞いを示す図である。 マルチミラー12aの周辺を観察者から見た水平面で切断した概略拡大断面図である。(a)は、往路進行中の表示光束L,L-20,L+20に対するマルチミラー12aの作用を示しており、(b)は、復路進行中の表示光束L,L-20,L+20に対するマルチミラー12aの作用を示している。 (a)は、射出瞳Eに入射する往路進行中の表示光束Lを示す図であり、(b)は、射出瞳Eに入射する復路進行中の表示光束Lを示す図である。 アイグラスディスプレイの視度補正の方法を説明する図である。 (a)は、基板11の外界側の面11−1における表示光束Lの入射領域が不連続となった例を示す図であり、(b)は、対物レンズ22及び液晶表示素子21の光軸が傾斜した例を示す図である。 (a)は、第2実施形態のマルチミラー12a’の形成箇所を示す図であり、(b)は、マルチミラー12a’の構成を示す図である。 第2実施形態のアイグラスディスプレイにおいて射出瞳Eに入射する表示光束Lの周期的な輝度ムラの原因を説明する図である。 第2実施形態のアイグラスディスプレイにおいて射出瞳Eに入射する表示光束Lの段階的な輝度ムラを回避する方法を説明する図である。 第3実施形態のマルチミラー12a”の形成箇所を示す図である。 表示光束L,L-20,L+20に対するマルチミラー12aの作用を示す図である。 (a)は、第1実施形態のマルチミラー12aの全体と同様の作用をする回折光学面32aを説明する図であり、(b)は、第2実施形態のマルチミラー12a’の全体と同様の作用をする回折光学面32a’を説明する図であり、(c)は、第3実施形態のマルチミラー12a”と同様の作用をする回折光学面32a”を説明する図である。 視度補正の各種の方法を説明する図である。 画像表示光学系1を携帯電話のディスプレイに適用した例を示す図である。 画像表示光学系1をプロジェクタに適用した例を示す図である。 第1実施形態の折り返し反射面11bの作用を説明する図である。 第1実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例,第5変形例を示す図である。 第1実施形態の第6変形例を示す図である。 実施例1の反射透過面13aの垂直入射する光に対する反射率の波長特性である。 実施例1の反射透過面13aの60°入射する光に対する反射率の波長特性である。 実施例2の第1反射透過面12a−1の垂直入射する光に対する反射率の波長特性である。 実施例2の第1反射透過面12a−1の60°入射する光に対する反射率の波長特性である。 実施例2の別の第1反射透過面12a−1の垂直入射する光に対する反射率の波長特性である。 実施例2の別の第1反射透過面12a−1の60°入射する光に対する反射率の波長特性である。 実施例3の第2反射透過面12a−2,12a−2’の30°入射する光に対する反射率(透過率)の波長特性である(膜厚10nm)。 実施例3の第2反射透過面12a−2,12a−2’の30°入射する光に対する反射率(透過率)の波長特性である(膜厚20nm)。 液晶表示素子21の発光スペクトル分布である。 第2反射透過面12a−2,12a−2’(3バンドミラー)の30°入射する光に対する反射率(透過率)の波長特性である。 第2反射透過面12a−2,12a−2’(偏向ビームスプリッタ型ミラー)の30°入射する光に対する反射率(透過率)の波長特性である。 実施例6の折り返し反射面11b”の垂直入射する光に対する反射率の波長特性と、60°入射するp偏光の光に対する反射率との波長特性とを示す図である。 実施例6’の折り返し反射面11b”の構成を示す図である。 実施例6’の折り返し反射面11b”の垂直入射する光に対する反射率の波長特性と、60°入射するp偏光の光に対する反射率との波長特性とを示す図である。 実施例7の折り返し反射面11b”の構成を示す図である。 実施例7の折り返し反射面11b”の垂直入射する光に対する反射率の波長特性と、60°入射するp偏光の光に対する反射率との波長特性とを示す図である。 実施例8のホログラム面の形成方法を説明する図である。
以下、本発明の最良の形態(実施形態)を説明する。
[第1実施形態]
以下、図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8に基づき本発明の第1実施形態を説明する。
本実施形態は、アイグラスディスプレイの実施形態である。
先ず、アイグラスディスプレイの構成を説明する。
図1に示すように、本アイグラスディスプレイは、画像表示光学系1、画像導入ユニット2、ケーブル3などからなる。画像表示素子光学系1、画像導入ユニット2は、眼鏡のフレームと同様の支持部材4(テンプル4a、リム4b、ブリッジ4cなどからなる。)によって支持され、観察者の頭部に装着される。
画像表示光学系1は、眼鏡のレンズと同様の外形をしておりリム4bによって周囲から支持される。
画像導入ユニット2は、テンプル4aによって支持される。画像導入ユニット2には、外部機器からケーブル3を介して映像信号及び電力が供給される。
装着時、観察者の一方の眼(以下、右眼とし「観察眼」という。)の眼前に画像表示光学系1が配置される。以下、装着時のアイグラスディスプレイを、観察者及び観察眼の位置を基準として説明する。
画像導入ユニット2の内部には、図2に示すように、映像信号に基づき映像を表示する液晶表示素子21(請求項における画像表示素子に対応。)と、液晶表示素子21の近傍に焦点を有した対物レンズ22とが配置される。
この画像導入ユニット2は、対物レンズ22から射出する光束(表示光束)Lを、画像表示光学系1の観察者側の面の右端部に向けて出射する。
画像表示光学系1は、観察者の側から順に、基板13,11,12を密着して重ねて配置してなる。
基板13,11,12の各々は、外界(画像表示光学系1の反観察者側の領域)から観察眼に向かう外界光束の少なくとも可視光成分に対し透過性を有した基板である。
このうち、2つの基板13,12によって挟まれた基板11は、画像導入ユニット2から導入された表示光束Lを外界側の面11−1と観察者側の面11−2とで繰り返し内面反射する平行平板である(請求項における透過性の基板に対応する。)。
基板11の外界側に配置された基板12は、主に、基板11が内面反射する表示光束Lを観察者の方向に偏向する働きと、観察眼の視度補正をする働きの一部とを担う。基板12は、観察者側の面12−2が平面となったレンズである。
基板11の観察者側に配置された基板13は、観察眼の視度補正をする働きの一部を担う。基板13は、外界側の面13−1が平面となったレンズである。
なお、基板11の内部において表示光束Lが最初に入射する領域には、表示光束Lの角度を内面反射可能な角度に偏向する反射面11aが形成される。
また、基板12の観察者側の面12−2には、マルチミラー(請求項における偏向光学部に対応。)12aが設けられる(詳細は後述。)。
また、基板11の内部において、画像導入ユニット2から最も離れた領域には、表示光束Lの伝搬方向と略同じ方向に法線を有した折り返し反射面11bが設けられる。
また、基板13の外界側の面13−1には、エアギャップと同等の働きをする反射透過面13aが設けられる。
この反射透過面13aは、比較的大きい入射角度で入射する光に対して高い反射性を示し、小さい入射角度で(略垂直に)入射する光に対して高い透過性を有する。このような反射透過面13aが形成されていれば、基板11による内面反射の機能を保ちながら、基板13と基板11とを接合し、画像表示光学系1の強度を高めることができる。
次に、画像表示光学系1の各面の配置及び構成を表示光束Lの振る舞いに基づき説明する。
図3に示すように、画像導入ユニット2内の液晶表示素子21の表示画面から射出した表示光束(ここでは、中心画角の表示光束Lを代表して説明する。)は、対物レンズ22において平行光束Lに変換される。
表示光束Lは、基板13を通過して基板11に入射する。なお、基板13の観察者側の面13−2のうちこの表示光束Lが通過する領域は、表示光束Lに対し何ら光学的パワーを与えない平面になっている。
表示光束Lは、図4に示すように、基板11内の反射面11aに対し所定の入射角度θ0で入射する。反射面11aにて反射した表示光束Lは、基板11の観察者側の面11−2に対し所定の入射角度θiで入射する。
この入射角度θiは、基板11の内面反射の臨界角度θcよりも大きい角度である。また、基板11の観察者側の面11−2に接して設けられた反射透過面13a(図3参照)は、エアギャップと同等の働きをする。
表示光束Lは、基板11の観察者側の面11−2、基板11の外界側の面11−1にて全反射条件を満たしながら繰り返し交互に内面反射し、画像導入ユニット2から離れた観察者の左方向へ伝播する。
因みに、基板11にて内面反射する表示光束Lの左右方向の幅Diは、その表示光束Lの基板11への入射時の径D0、基板11の厚さd、その表示光束Lの反射面11aへの入射角度θ0を用いて式(1)で表される。
i=D0+d/tan(90°−2θ0) ・・・(1)
以下、表示光束Lの反射面11aへの入射角度θ0=30°,基板11の厚さd=D0tanθ0であるとして説明する。この場合、内面反射時の入射角度θi=60°となる。また、式(1)より、内面反射時の表示光束Lの幅Diは、基板11への入射時の表示光束Lの径D0の2倍となる。また、このとき、基板11の外界側の面11−1における表示光束Lの各入射領域、及び基板11の観察者側の面11−2における表示光束Lの各入射領域は、何れも隙間無く連続して並ぶ。
ここで、以上の説明では、液晶表示素子21の表示画面の中心画角の表示光束Lについてのみ説明したが、実際には、図5(a),(b),(c)に示すように中心画角の表示光束Lの他に周辺画角の表示光束L+,L-などもそれぞれ異なる入射角度θiにて基板11内を伝播する。
図5(a)には、中心画角の表示光束Lを、図5(b),(c)は、周辺画角の表示光束L+,L-をそれぞれ示した。
図5(a)において符号Aで示すのは、基板11の外界側の面11−1及び観察者側の面11−2において中心画角の表示光束Lが入射する各領域であり、図5(b)において符号Bで示すのは、基板11の外界側の面11−1及び観察者側の面11−2において周辺画角の表示光束L+が入射する各領域であり、図5(c)において符号Cで示すのは、基板11の外界側の面11−1及び観察者側の面11−2において周辺画角の表示光束L-が入射する各領域である。
基板11の外界側の面11−1において、領域B※の全域には、各画角の表示光束L,L+,L-がそれぞれ入射する。
図3のマルチミラー12aの形成領域は、この領域B※をカバーするように設定される。
図3に戻り、各画角の表示光束L,L+,L-の振る舞いを説明する。以下、各画角の表示光束をまとめてLで表す。
各画角の表示光束Lは、マルチミラー12aに入射する度に、所定割合ずつ画角間の角度関係を保ったまま観察者側に偏向される。
偏向された各画角の表示光束Lは、基板11の内面反射の臨界角度θcよりも小さい角度で基板11の観察者側の面11−2に入射し、その基板11の観察者側の面11−2を透過する。その後、各画角の表示光束Lは、反射透過面13aを透過し、基板13を介して観察眼の近傍の領域Eに入射する。
つまり、領域B※(図5参照)に重畳して入射した各画角の表示光束Lは、画角間の角度関係を保ったまま領域Eに重畳して入射する。
この領域Eが、画像表示光学系1の射出瞳となる。射出瞳Eの何れかの位置に観察眼の瞳を配置すれば、観察眼は、液晶表示素子21の表示画面の虚像を観察することができる。
本実施形態のアイグラスディスプレイは、領域B※(図5参照)及びマルチミラー12aの形成領域を観察眼の瞳のサイズよりも十分に大きく設定し、それによって大きな射出瞳Eを確保している。
なお、基板11の内部に形成された折り返し反射面11bは、基板11を伝播した表示光束Lを折り返し、入射時の光路を逆進させる。よって、表示光束Lは、基板11の内部を往復する。
復路進行中の表示光束Lも、マルチミラー12aに入射する度に、往路進行中の表示光束Lと同様に偏向される。
その後、マルチミラー12aによって反射された表示光束Lは、反射透過面13aを透過し、基板13を介して射出瞳Eにそれぞれ入射する。
次に、基板11,基板12,基板13の各々製造方法の例を簡単に説明しておく。
基板11の製造方法では、基板11の原型として、光学ガラス又は光学プラスチックなどからなる基板を用意する。
その基板を2箇所で斜めに切断し、切断してできた2対の切断面を光学研磨し、各対の切断面の一方に反射面となりうるアルミニウム・銀・誘電体多層膜などを成膜し、その後再び各切断面を接合する。接合面の一方が反射面11a、他方が折り返し反射面11bとなる。
なお、成膜する切断面をどちらにするのかは製造工程数やコストを勘案して選定される。また、基板を2部材に切断する代わりに、別部材からなる2部材を用意してもよい。切断するか別部材を用意するかについても、製造工程数やコストを勘案して選定される。
例えば、両端が斜めに切断・研磨された光学ガラスを用意し、その両端に反射面となりうる膜を成膜し、その外形をプラスチックで補填して板状に成形してもよい。或いは板状に成形することなく、両端を斜めの状態のまま露出させてもよい(光学系としての機能には支障無い。)。
基板12の製造方法では、基板12の原型として、一方が平面で他方が曲面となった透過性の基板(レンズ)を用意する。曲面が基板12の外界側の面12−1、平面が基板12の観察者側の面12−2となる。基板12の観察者側の面12−2上にマルチミラー12aを形成する。マルチミラー12aの形成方法は、後述する。
基板13の製造方法では、基板13の原型として、一方が平面で他方が曲面となった透過性の基板(レンズ)を用意し、その平面上にエアギャップと同等の働きをする光学多層膜を形成する。この面が反射透過面13aとなる。
なお、以下では、基板11の材料として、一般的な光学ガラスBK7(屈折率ng=1.56)が用いられたとする。
一般に、臨界角度θcは、基板11と反射面の材料との屈折率差ngに対し、式(2)で表される。
θc=arcsin(1/ng) ・・・(2)
よって、この材料を用いた場合、基板11の臨界角度θcは、39.9°となる。
また、上記したように、中心画角の表示光束Lの入射角度θi=60°である。
したがって、この基板11は、入射角度θi=40°〜80°で入射する各表示光束L、つまり観察者の左右方向の画角−20°〜+20°までの範囲の各表示光束L-20〜L+20を伝播可能である。
なお、基板13の外界側の面13−1には、光学多層膜の代わりに回折光学面(ホログラム面など)を形成してもよい。その際は、回折光学面の回折条件を、先に示した光学多層膜の特性と同じ条件になるように調整すればよい。また、この場合は、特に臨界角度を満たすような条件でなくともよい。
次に、マルチミラー12aの構成を説明する。
マルチミラー12aは、図6(a),(b)に示すように、基板12の表面に形成された第1反射透過面12a−1と、基板12の内部において観察者の左右方向に交互に隙間無く列状に形成された複数の微小な第2反射透過面12a−2,12a−2’とからなる。
第2反射透過面12a−2の姿勢は、観察眼の左手前から右奥に向かって傾斜した姿勢であり、第2反射透過面12a−2’の姿勢は、第2反射透過面12a−2と反対方向に等角度だけ傾斜した姿勢である。
第2反射透過面12a−2と基板12の法線とが成す角度、及び第2反射透過面12a−2’と基板12の法線とが成す角度は、それぞれ60°である。
このようなマルチミラー12aの単位形状を水平面(図6の紙面と平行)において切断すると、その断面形状は、底角が30°の二等辺三角形状となる。
第1反射透過面12a−1は、60°近傍(40°〜80°)の入射角度で入射する光の一部を反射しその他を透過する性質を有し、かつ0°近傍(−20°〜+20°)の入射角度で入射する光を全て透過する性質を有している。
第2反射透過面12a−2,12a−2’は、それぞれ30°近傍(10°〜50°)の入射角度で入射する光の一部を反射しその他を透過する性質を有している。
基板12が光学ガラス・光学樹脂・結晶などからなる場合、第1反射透過面12a−1,第2反射透過面12a−2,12a−2’には、例えば異なる屈折率を有する誘電体・金属・有機材料などを組み合わせた光学多層膜を適用できる。
なお、設計時、第1反射透過面12a−1,第2反射透過面12a−2,12a−2’の反射透過率の角度特性は、内面反射の回数、射出瞳Eに入射させるべき外界光束と表示光束Lとの強度のバランス(シースルー性)などを考慮して最適化される。
また、図6(a),(b)には、第1反射透過面12a−1と、第2反射透過面12a−2,12a−2’とが近接している例を示したが、間隔が設けられていてもよい。
次に、このマルチミラー12aの形成方法の例を簡単に説明しておく。
基板12の観察者側の面12−2上に、V字状の断面をした複数の微小溝を隙間無く並べて形成する。
その溝の一方の内壁及び他方の内壁に第2反射透過面12a−2,12a−2’となる光学多層膜をそれぞれ成膜し、原型と同じ材料により溝を埋め、その表面に第1反射透過面12a−1となる光学多層膜を成膜する。
溝の形成及び光学多層膜の成膜には、それぞれ樹脂成形及び蒸着などの技術が適用可能である。
次に、基板11内を伝播する表示光束Lに対するマルチミラー12aの作用を説明する。ここでは、中心画角の表示光束(θi=60°)L、周辺画角の表示光束(θi=40°)L-20、周辺画角の光束(θi=80°)L+20に対する作用を代表して説明する。
往路進行中、図6(a)に示すように、60°近傍(40°〜80°)の入射角度で基板11を内面反射する表示光束L,L-20,L+20は、何れも基板11と第1反射透過面12a−1との境界面において全反射せずに、その一部が第1反射透過面12a−1を透過し、基板12の内部に進入する。
進入した表示光束L,L-20,L+20は、第2反射透過面12a−2に対し30°近傍(10°〜50°)の入射角度でそれぞれ入射する。第2反射透過面12a−2に入射した表示光束L,L-20,L+20の一部は、第2反射透過面12a−2にて反射し、第1反射透過面12a−1に対し0°近傍(−20°〜+20°)の入射角度で入射し、第1反射透過面12a−1を透過して基板11に入射する。このときの入射角度は、臨界角度θcよりも小さいので、表示光束L,L-20,L+20は、基板11を内面反射することなく透過し、基板13を介して外部に射出する。
復路進行中、図6(b)に示すように、60°近傍(40°〜80°)の入射角度で基板11を内面反射する表示光束L,L-20,L+20は、何れも内面反射用基板11と第1反射透過面12a−1との境界面において全反射せずに、その一部が第1反射透過面12a−1を透過し、基板12の内部に進入する。
進入した表示光束L,L-20,L+20は、第2反射透過面12a−2’に対し30°近傍(10°〜50°)の入射角度でそれぞれ入射する。第2反射透過面12a−2’に入射した表示光束L,L-20,L+20の一部は、第2反射透過面12a−2’にて反射し、第1反射透過面12a−1に対し0°近傍(−20°〜+20°)の入射角度で入射し、第1反射透過面12a−1を透過して基板11に入射する。このときの入射角度は、臨界角度θcよりも小さいので、表示光束L,L-20,L+20は、基板11を内面反射することなく透過し、基板13を介して外部に射出する。
次に、基板11が往復のための折り返し反射面11bを備え、かつマルチミラー12aが2つの第2反射透過面12a−2,12a−2’を備えたことによる効果について説明する。
図7(a)に示すとおり、往路進行中、マルチミラー12aに繰り返し入射する表示光束Lは、マルチミラー12aへ入射する毎に、一定の割合の強度でマルチミラー12a内の第2反射透過面12a−2(図6(a)参照)にまで到達し、射出瞳Eの方向に偏向される。
具体的に、往路進行中の表示光束Lのマルチミラー12aへの入射回数の総数を4、マルチミラー12aの表示光束Lに対する偏向効率(マルチミラー12aに入射する表示光束Lの輝度に対する射出瞳Eの方向へ偏向される表示光束Lの輝度の比)を10%(このとき内面反射の反射率は90%とみなせる。)、マルチミラー12aにおける表示光束Lの入射領域を観察者の右から順にEA,EB,EC,EDとすると、往路進行中に各領域から射出瞳Eに入射する表示光束Lの輝度相対値は、次のとおりとなる(なお、吸収による光量損失は無視した。)。
EA:0.1, EB:0.09, EC:0.081, ED:0.0729
すなわち、射出瞳Eに入射する表示光束Lの輝度は、折り返し反射面11bに近づくほど、弱くなる。よって、往路進行中に射出瞳Eに入射する表示光束Lには、段階的な輝度ムラが生じる。
一方、図7(b)に示すとおり、復路進行中、マルチミラー12aに繰り返し入射する表示光束Lは、マルチミラー12aへ入射する毎に、一定の割合の強度でマルチミラー12a内の第2反射透過面12a−2’(図6(b)参照)にまで到達し、射出瞳Eの方向に偏向される。
具体的に、折り返し反射面11bの反射率を100%とすると、復路進行中に各領域から射出瞳Eに入射する表示光束Lの輝度相対値は、次のとおりとなる(なお、吸収による光量損失は無視した。)。
EA:0.047, EB:0.0531, EC:0.059, ED:0.0651
すなわち、射出瞳Eに入射する表示光束Lの輝度は、折り返し反射面11bから遠ざかるほど、弱くなる。よって、復路進行中に射出瞳Eに入射する表示光束Lには、段階的な輝度ムラが生じる。
但し、往路進行中の表示光束Lと復路進行中の表示光束Lとは、射出瞳Eに対し同時に入射するので、各領域から射出瞳Eに入射する表示光束Lの輝度相対値は、往路進行中と復路進行中との和となり、次のとおりとなる。
EA:0.147, EB:0.1431, EC:0.140, ED:0.138
したがって、段階的な輝度ムラは殆ど生じ無い。
また、このマルチミラー12aは、互いに同じ特性を有した第2反射透過面12a−2と第2反射透過面12a−2’とを隙間無く配置し、外界から射出瞳Eに向かう外界光束に対し一様な特性を示すので、射出瞳Eに入射する外界光束にも輝度ムラは生じ無い。
次に、視度補正について説明する。
先ず、図8に示すように、基板13の観察者側の面13−2、及び基板12の外界側の面12−1は、曲面になっている。また、対物レンズ22の光軸方向の位置は、変更可能である。
液晶表示素子21の表示画面の虚像に対する観察眼の視度補正(近方視度の補正)は、対物レンズ22の光軸方向の位置(図8※1)と、基板13の観察者側の面13−2の曲面形状(図8※3)との組み合わせの最適化によって行うことができる。一方、外界の像に対する観察眼の視度補正(遠方視度の補正)は、基板12の外界側の面12−1の曲面形状(図8※2)と、基板13の観察者側の面13−2の曲面形状(図8※3)との組み合わせの最適化によって行うことができる。
或いは、対物レンズ22の位置に何の変更も加えずに、外界の像に対する観察眼の視度補正(遠方視度の補正)を主に基板12の外界側の面12−1の曲面形状(図8※2)の最適化により図り、表示画面の虚像に対する観察眼の視度補正(有限距離視度の補正)を主に基板13の観察者側の面13−2の曲面形状(図8※3)の最適化により図ることとしてもよい。
このように、本アイグラスディスプレイにおいては、マルチミラー12aの形成箇所が基板12の一方の面(観察者側の面12−2)のみなので、他方の面(外界側の面12−1)を視度補正に利用することができる。
また、本アイグラスディスプレイにおいては、表示画面の虚像に対する観察眼の視度補正を、外界の像に対する観察眼の視度補正と独立して行うことができるので、観察眼の特性(近視、遠視、老視、乱視、弱視の程度)だけでなく、アイグラスディスプレイの使用環境にも応じたきめ細かい視度補正が可能である。
また、基板12の外界側の面12−1、及び基板13の観察者側の面13−2の曲面形状は、球面、回転対称な非球面、観察者の上下方向と左右方向とで異なる曲率半径の曲面、位置により曲率半径の異なる曲面など様々な形状にすることができる。
なお、対物レンズ22の位置の代わりに液晶表示素子21の位置や対物レンズ22の焦点距離を最適化してもよい。
また、基板12により十分な視度補正が可能である場合、表示光束Lが基板11の内面で全反射する条件を満たすように表示光束Lを基板11に導くことで、基板13を不要にすることが可能である。
次に、本アイグラスディスプレイの効果を説明する。
本実施形態のアイグラスディスプレイは、マルチミラー12aが設けられた基板12を内面反射用の基板11に組み合わせることで大きな射出瞳Eを確保している。基板12を組み合わせた結果、基板11の内部構成は、極めてシンプルに抑えられている。
また、マルチミラー12aの形状は、微小な単位形状の繰り返しからなるシンプルな形状なので、基板12上に形成する際にも、その基板12を多数に切断する必要は無い(上述したごとく樹脂成形や蒸着など、量産化が容易な製造技術を適用することが可能である。)。
したがって、本アイグラスディスプレイは、構成がシンプルであるにも拘わらず、大きな射出瞳Eを確保することができる。
また、本アイグラスディスプレイにおいては、画像表示光学系1から観察者の観察眼の瞳へ表示光束Lを導光するために、マルチミラー12aで表示光束Lを反射してその瞳の方向へ偏向するので、観察者の観察眼の網膜上には、液晶表示素子21の表示画面の像が、色滲み無く結像する。
また、本アイグラスディスプレイは、往復のための折り返し反射面11bと、2つの第2反射透過面12a−2,12a−2’を有したマルチミラー12aを用いたので、射出瞳Eに入射する表示光束Lの輝度ムラは殆ど生じない。
また、マルチミラー12aは外界光束に対し一様な特性を示すので、射出瞳Eに入射する外界光束にも輝度ムラは生じない。
また、本アイグラスディスプレイの射出瞳Eに入射する外界光束の輝度分布は、マルチミラー12aの単位形状の配置密度には何ら関係しないので、その単位形状を或る程度大きくし、マルチミラー12aの形状をシンプル化したとしても、かつ射出瞳E上の外界光束の輝度は均一に保たれる。
また、本アイグラスディスプレイは、マルチミラー12aの形成箇所が基板12の観察者側の面12−2なので、その基板12の外界側の面12−1の曲面形状(図8※2参照)を自由に設定できる。このため、視度補正の自由度が高くなっている。
例えば、液晶表示素子21の表示画面の虚像に対する観察眼の視度補正と、外界の像に対する観察眼の視度補正とをそれぞれ独立に行うことも可能である。
(第1実施形態の変形例)
なお、液晶表示素子21の光源が、LEDなどの狭帯域なスペクトル特性を有する場合や、特定の偏光成分のみから成る場合には、設計時にこれを考慮して、第1反射透過面12a−1,第2反射透過面12a−2,12a−2’の波長又は偏光方向に対する反射特性が最適化されてもよい。
また、本アイグラスディスプレイにおいては、表示光束Lの反射面11aへの入射角度θ0=30°,基板11の厚さd=L0tanθ0とした。このとき、内面反射時の表示光束Lの幅Liは、基板11への入射時の表示光束Lの径L0の2倍となり、基板11の外界側の面11−1における表示光束Lの各入射領域、及び基板11の観察者側の面11−2における表示光束Lの各入射領域は、何れも隙間無く連続して並ぶ。しかし、それらのパラメータは、これに限定されることなく、アイグラスディスプレイの用途や仕様に応じて適宜設定されることが望ましい。
例えば、図9(a)に示すように、基板11の外界側の面11−1における表示光束Lの各入射領域、及び基板11の観察者側の面11−2における表示光束Lの各入射領域を不連続にしてもよい。
また、図9(b)に示すように、対物レンズ22及び液晶表示素子21の光軸を、基板11の法線に対し傾斜させてもよい。その場合、表示光束Lの径を大きくすることなく反射面11aに対する実効入射角を大きくし、かつ基板11の厚さを増やさずに、内面反射時の表示光束Lの幅Liを十分に大きくすることができる。
また、本アイグラスディスプレイは、観察眼を観察者の右眼に設定し、画像導入ユニット2による表示光束Lの導入箇所をその観察眼の右方に設定したが、観察眼を観察者の左眼とし、かつ導入箇所を観察眼の左方とする場合には、各反射面の配置関係を左右反転させればよい。
[第2実施形態]
以下、図10、図11に基づき本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態は、アイグラスディスプレイの実施形態である。ここでは、第1実施形態のアイグラスディスプレイとの相違点についてのみ説明する。
相違点は、折り返し反射面11bが省略され、かつマルチミラー12aに代えてマルチミラー12a’が備えられた点にある。
マルチミラー12a’の形成箇所は、図10(a)に示すように、第1実施形態のマルチミラー12aと同じく基板12の観察者側の面12−2である。
マルチミラー12a’は、図10(b)に拡大して示すように、マルチミラー12aにおいて、第2反射透過面12a−2’を省略し、その分だけ第2反射透過面12a−2を密に配置したものに相当する。
折り返し反射面11bが省略されたので、表示光束Lは、基板11の内部を往復することは無い。よって、表示光束Lは、第1実施形態における往路進行中と同様に振る舞う。
また、マルチミラー12a’の表示光束L,L-20,L+20に対する作用は、第1実施形態の往路進行中の作用(図6(a)参照)と同様である。
このようなアイグラスディスプレイも、第1実施形態のアイグラスディスプレイと略同様、構成がシンプルであるにも拘わらず、大きな射出瞳Eを確保することができる。
(第2実施形態の変形例)
但し、本アイグラスディスプレイでは、射出瞳Eに入射する表示光束Lに以下の2種類の輝度ムラが残る。
第1に、表示光束Lは、基板11の内部を往復することは無いため、射出瞳Eに入射する表示光束Lには段階的な輝度ムラが生じる。
第2に、図11に拡大して示すとおり、第2反射透過面12a−2のうち、第1反射透過面12a−1から離れた側の略半分の領域Bは、観察者から見て右側に隣接する第2反射透過面12a−2の陰になる。この陰があると、領域Bに到達する表示光束Lの光量が、領域Aに到達する表示光束Lの光量よりも少なくなるので、領域Bから射出瞳Eに向かう表示光束Lの光量は、領域Aから射出瞳Eに向かう表示光束の光量よりも少なくなる。このため、周期的な輝度ムラが生じる。
周期的な輝度ムラを回避する方法としては、マルチミラー12a’の単位形状を高密度に配置することが挙げられる。観察眼の瞳径(約6mm)と同サイズ内に、数周期〜10周期程度配置できれば、周期的な輝度ムラは生じるものの観察眼に与える違和感は殆ど無い。
周期的な輝度ムラをさらに確実に回避する方法としては、第2反射透過面12a−2のうち、第1反射透過面12a−1に近い側の領域Aの反射率RAと、第1反射透過面12a−1から遠い側の領域Bの反射率RBとの比を、1:2にすることが挙げられる。この場合、領域Aを透過した表示光束Lが領域Bに入射するので、周期的な輝度ムラは略無くなる。
なお、比は、完全に1:2にするのではなく、領域Aにて反射した表示光束Lと領域Bにて反射した表示光束Lとの射出瞳E上での輝度が完全に均一になるよう、それら反射光の光路の差異などに応じて調整されることが望ましい。また、マルチミラー12a’の単位形状を高密度に配置することを組み合わせれば、さらに効果が高まる。
段階的な輝度ムラを回避する方法としては、マルチミラー12a’の表示光束Lに対する偏向効率に対し分布を付与することが挙げられる。
仮に、マルチミラー12a’の偏向効率を一様に25%、マルチミラー12aにおける表示光束Lの入射領域を入射順にEA,EB,EC,・・・とすると、各領域から射出瞳E上に入射する表示光束Lの輝度は、次のとおりとなる。
EA:25%,EB:18.75%,EC:14.0625%,・・・
これらの輝度の相違が、段階的な輝度ムラの原因である。
そこで、マルチミラー12a’の偏向効率に分布を付与する際、図12に示すとおり各入射領域の偏向効率を、次のとおりに設定する。ここでは、マルチミラー12aにおいて射出瞳Eに対向する領域に対し表示光束Lが入射する回数の総数を4とした。
EA:25%,EB:33.3%,EC:50%,ED:100%
このような分布を付与すると、射出瞳Eに入射する表示光束Lの輝度は、入射当初の表示光束Lの25%分の輝度に均一化される。また、最後の入射領域の偏向効率を100%に設定したことで、迷光の発生が防止される。
なお、マルチミラー12a’の偏向効率に分布を付与するためには、第2反射透過面12a−2の反射率に対し同様の分布を付与するか、或いは、第1反射透過面12a−1の透過率に対し同様の分布を付与すればよい。
但し、マルチミラー12a’の偏向効率に分布を付与すると、外界から観察者側に入射する外界光束に対するマルチミラー12aの透過率が非一様になる可能性があり、その場合、射出瞳Eに入射する外界光束に輝度ムラが生じることを許容しなければならない。
[第3実施形態]
以下、図13、図14に基づき本発明の第3実施形態を説明する。
本実施形態は、アイグラスディスプレイの実施形態である。ここでは、第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
相違点は、マルチミラー12a’に代えてマルチミラー12a”が備えられた点にある。
マルチミラー12a”の形成箇所は、図13に示すように、基板13の外界側の面13−1である。
これに伴い、反射透過面13a(エアギャップと同等の働きをする光学多層膜)の形成箇所は、基板12の観察者側の面12−2となる。
次に、マルチミラー12a”の構成を説明する。
マルチミラー12a”も、マルチミラー12a’と同様、図14に示すように、第1反射透過面12a−1,第2反射透過面12a−2からなる。
但し、第2反射透過面12a−2と基板13の法線とが成す角度は、30°に設定される。
また、第2反射透過面12a−2は、60°近傍(40°〜80°)の入射角度で入射する光に対して反射透過性を有している。
なお、設計時、第1反射透過面12a−1,第2反射透過面12a−2の反射透過率の角度特性は、内面反射の回数、射出瞳Eに入射する外界光束と表示光束との強度のバランス(シースルー性)などを考慮して最適化される。
次に、基板11内を伝播する表示光束Lに対するマルチミラー12a”の作用を説明する。ここでは、中心画角の表示光束(θi=60°)L、周辺画角の表示光束(θi=40°)L-20、周辺画角の光束(θi=80°)L+20に対する作用を代表して説明する。
図14に示すように、60°近傍(40°〜80°)の入射角度で基板11を内面反射する表示光束L,L-20,L+20は、何れも基板11と第1反射透過面12a−1との境界面において全反射せずに、その一部が第1反射透過面12a−1を透過し、基板13の内部に進入する。
進入した表示光束L,L-20,L+20は、第2反射透過面12a−2に対し60°近傍(40°〜80°)の入射角度でそれぞれ入射する。第2反射透過面12a−2に入射した表示光束L,L-20,L+20の一部は、第2反射透過面12a−2にて反射し、基板13を介して外部に射出する。
すなわち、本アイグラスディスプレイも、第2実施形態のアイグラスディスプレイと同様の効果が得られる。
(第3実施形態の変形例)
なお、本実施形態では、第2実施形態のアイグラスディスプレイにおいてマルチミラーの形成箇所を変更した例を示したが、第1実施形態のアイグラスディスプレイにおいても、マルチミラーの形成箇所を同様に変更することができる。
その場合、マルチミラー12aの第2反射透過面12a−2と基板13の法線とが成す角度、及び第2反射透過面12a−2’と基板13の法線とが成す角度は、それぞれ30°に設定される。
[その他の各実施形態]
なお、第1反射透過面12a−1,第2反射透過面12a−2,12a−2’の一部又は全部には、光学多層膜の他、金属膜や微小回折光学面(ホログラム面など)などを適用することもできる。
また、図15(a)に示すように、第1実施形態のマルチミラー12aの全体に代えて、そのマルチミラー12aの全体と同様の作用をする回折光学面(ホログラム面など)32aを用いてもよい。図15(a)には、基板11内を内面反射する表示光束Lと、回折光学面32aにより偏向され射出瞳Eに向かう表示光束Lとを矢印で示した。なお、回折光学面32aを用いた場合、射出瞳Eに向かう表示光束Lは、回折光学面32aにて生じた回折光である(なお、ホログラム面のアイグラスディスプレイへの適用例としては、こちらが望ましい。)。
また、図15(b)に示すように、第2実施形態のマルチミラー12a’に代えて、そのマルチミラー12a’と同様の作用をする回折光学面(ホログラム面など)32a’を用いてもよい。図15(b)には、基板11内を内面反射する表示光束Lと、回折光学面32a’により偏向され射出瞳Eに向かう表示光束Lとを矢印で示した。なお、回折光学面32a’を用いた場合、射出瞳Eに向かう表示光束Lは、回折光学面32a’で生じた回折光である。
また、図15(c)に示すように、第3実施形態のマルチミラー12a”に代えて、そのマルチミラー12a’と同様の作用をする回折光学面(ホログラム面など)32a”を用いてもよい。図15(c)には、基板11内を内面反射する表示光束Lと、回折光学面32a”により偏向され射出瞳Eに向かう表示光束Lとを矢印で示した。なお、回折光学面32a”を用いた場合、射出瞳Eに向かう表示光束Lは、回折光学面32a”で生じた回折光である。
なお、これらの回折光学面は、例えば、平面の樹脂フィルム上又は光学ガラス基板上に形成された体積型ホログラム素子の表面や、位相型ホログラム素子の表面などである。
また、回折光学面の設計時、その回折効率の角度特性は、内面反射の回数、射出瞳Eに入射する外界光束と表示光束との強度のバランス(シースルー性)などを考慮して最適化される。
また、各実施形態のアイグラスディスプレイの視度補正の方法としては、上述した方法(図8参照)の他にも、例えば、図16(a),(b),(c)の何れかに示す方法などが挙げられる。
図16(a)に示す方法は、基板12の観察者側の面12−2にマルチミラー12aが形成されたときに適用可能な方法である。基板の枚数は、基板12と基板11との2枚のみに抑えられている。このとき、エアギャップと同等の働きをする反射透過面13aは、不要となる。
この方法では、表示画面の虚像に対する観察眼の視度補正は、対物レンズ22の光軸方向の位置の最適化(図16(a)※1)のみによって行われる。外界の像に対する観察眼の視度補正は、基板12の外界側の面12−1の曲面形状の最適化(図16(a)※2)のみによって行われる(対物レンズ22の位置の代わりに液晶表示素子21の位置や対物レンズ22の焦点距離を最適化してもよい。)。
図16(b)に示す方法は、基板13の外界側の面13−1にマルチミラー12a”が形成されたときに適用可能な方法である。
この方法では、表示画面の虚像に対する観察眼の視度補正は、対物レンズ22の光軸方向の位置(図16(b)※1)と、基板13の観察者側の面13−2の曲面形状との組み合わせの最適化によって行われる。外界の像に対する観察眼の視度補正は、基板12の外界側の面12−1の曲面形状(図16(b)※2)と、基板13の観察者側の面13−2の曲面形状(図16(b)※3)との組み合わせの最適化によって行われる(対物レンズ22の位置の代わりに液晶表示素子21の位置や対物レンズ22の焦点距離を最適化してもよい。)。
図16(c)に示す方法は、基板13の外界側の面13−1にマルチミラー12a”が形成されたときに適用可能な方法である。基板の枚数は、基板11と基板13との2枚のみに抑えられている。このとき、エアギャップと同等の働きをする反射透過面13aは、不要となる。
この方法では、表示画面の虚像に対する観察眼の視度補正、及び外界の像に対する観察眼の視度補正は、基板13の観察者側の面13−2の曲面形状(図16(b)※3)のみによって行われる。
また、幾つかの実施形態では反射透過面13aが用いられたが、その反射透過面13aの代わりに、それと同じ位置にエアギャップを設けてもよい。但し、画像表示光学系1の強度が高められる点においては反射透過面13aを適用する方が望ましい。
また、各実施形態のアイグラスディスプレイは、2枚又は3枚の基板からなるので、何れかの基板に、予め着色した素子、又は紫外線によって着色するフォトクロミック素子、又は通電によって着色するエレクトロクロミック素子、その他の透過率が変化する素子を適用してもよい。
このような素子を適用すると、観察眼に入射する外界光束の輝度を弱めたり、肉眼に有害な紫外線・赤外線・レーザ光線などの影響を弱めたり遮断したりする機能(サングラスやレーザ防護眼鏡の機能)をアイグラスディスプレイに搭載することができる。
また、外界光束を遮光/開放する遮光マスク(シャッター)などの機構を設け、観察者が必要に応じて表示画面に没入できるようアイグラスディスプレイを構成することもできる。
また、各実施形態のアイグラスディスプレイは、表示画面の虚像を片眼(右眼)のみに表示するよう構成されているが、左右両方に対し表示するよう構成することもできる。また、左右の表示画面にステレオ画像を表示すれば、アイグラスディスプレイを立体視ディスプレイとして使用することができる。
また、各実施形態のアイグラスディスプレイは、シースルー型に構成されているが、非シースルー型に構成されてもよい。その場合、偏向光学部(マルチミラーや回折光学面など)の外界光束に対する透過率を0に設定すればよい(マルチミラーの場合、第2反射透過面12a−2,第2反射透過面12a−2’の透過率を0に設定すればよい。)。
また、各実施形態のアイグラスディスプレイにおいて、表示光束Lの偏光方向をs偏光に限定してもよい。s偏光に限定するには、液晶表示素子21として偏光したものを用いてその配置を最適化するか、或いは、液晶表示素子21の前面に位相板を設置すると共に、この位相板を調整すればよい。
表示光束Lがs偏光に限定されれば、アイグラスディスプレイの各光学面に対し前述した各特性を付与することが容易になる。光学面に光学多層膜を用いる場合には、その光学多層膜の膜構成がシンプルになる。
また、各実施形態は、アイグラスディスプレイの実施形態であるが、アイグラスディスプレイの光学系部分(画像表示光学系、図1の符号1など)は、アイグラスディスプレイ以外の光学機器にも適用可能である。例えば、画像表示光学系1は、図17に示すように、携帯電話などの携帯機器のディスプレイに適用されてもよい。また、図18に示すように、観察者の前方に大画面で虚像を表示するプロジェクタに適用されてもよい。
[第1実施形態の変形例]
以下、図19、図20、図21を参照して第1実施形態の変形例(第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例、第5変形例、第6変形例)を説明する。
ここでは、第1実施形態との相違点のみ説明する。
相違点は、折り返し反射面11bにある。
先ず、第1実施形態の折り返し反射面11bの作用を図19に基づき説明する。
図19(a),(b)は、第1実施形態の折り返し反射面11bの作用を説明する図である。図19(a),(b)において、Lで示すのが、表示光束である。なお、図19に示した折り返し反射面11bの姿勢は、図3に示した折り返し反射面11bの姿勢と異なるが、以下に説明する作用は同じである。
第1実施形態の折り返し反射面11bの法線方向は、基板11内を内面反射する画角中心の表示光束Lの一部の伝搬方向に一致しているので、その表示光束Lの一部の光路を折り返す。また、画角周辺の表示光束であっても、その伝搬方向がそれと近いものは、同様に光路が折り返される。よって、以下では、画角中心の表示光束Lを主として説明する。
ところで、表示光束Lには或る一定の太さがあり、かつ基板11は或る程度の薄さに形成される。このため、折り返し反射面11bは、表示光束Lの全体の光路を折り返すことはできない。
図19では、画角中心の表示光束Lを構成する各光束を代表して、2つの軸上光線をL1(細実線),L2(細点線)で示した。図19に示した例では、折り返し反射面11bは、光線L1に代表される光束の光路を折り返すことができるが、光線L2に代表される光束の光路を折り返すことはできない。
なぜなら、光線L1は、面11−2において内面反射した直後に折り返し反射面11bに入射するので「垂直入射」になるのに対し、光線L2は、面11−1において内面反射し直後に折り返し反射面11bに入射するので「非垂直入射」になっている。
このとき、光線L2は、折り返し反射面11bにて図19(b)に示すように非折り返し方向に反射され、基板11の外部へ射出してしまう。このように射出した光線L2は、観察眼にとっての迷光となる可能性がある。
因みに、基板11の面11−1又は面11−2に対する表示光束Lの入射角度θiと、折り返し反射面11bと基板11の法線との成す角度θMとの関係は、次式(3)のとおりである。
θM=90°−θi ・・・(3)
よって、光線L2の折り返し反射面11bに対する入射角度θ’は、次式(4)のとおり表される。
θ’=2θM=2(90°−θi) ・・・(4)
例えば、第1実施形態の説明と同様に、θi=60°とおくと、θM=30°なので、θ’=60°である。
次に、各変形例を説明する。
各変形例では、迷光の原因を無くすために、折り返し反射面を1つ追加する。
図20(a),(b),(c),(d),(e)は、第1変形例、第2変形例、第3変形例、第4変形例,第5変形例を示す図である。図21は、第2変形例、第3変形例、第4変形例、第5変形例をさらに変形してできる第6変形例を示す図である。以下、これらを順に説明する。
(第1変形例)
第1変形例では、図20(a)に示すように、折り返し反射面11b、11b’が配置される。
先ず、折り返し反射面11bの法線方向は、光線L1の進行方向に一致している。
折り返し反射面11bの反射率の角度特性は、少なくとも垂直近傍(0°近傍)〜角度θ’近傍の広い範囲にわたり高い反射率を示すものである。
よって、折り返し反射面11bは、光線L1に代表される光束の光路を折り返し、光線L2に代表される光束を非折り返し方向に反射する。
一方、折り返し反射面11b’の配置箇所は、折り返し反射面11bが反射した光線L2の光路(光線L2に代表される光束の光路)である。
折り返し反射面11b’の法線方向は、光線L2の進行方向に一致している。
折り返し反射面11b’の反射率の角度特性は、少なくとも垂直近傍(0°近傍)で高い反射率を示すものである。
よって、折り返し反射面11b’は、光線L2に代表される光束の光路を折り返す。
以上の結果、本変形例によれば、表示光束Lの光路は第1実施形態のそれよりも確実に折り返される。したがって、迷光の原因が抑えられる。
因みに、上記した特性の折り返し反射面11b,11b’には、銀、アルミニウムなどの金属膜、又は誘電体多層膜などの一般的な反射膜を適用できる。また、折り返し反射面11b,11b’には、その反射膜と同様の特性のホログラム面を適用することもできる。
また、θi=60°のとき、折り返し反射面11b’の法線方向は、基板11の法線方向と一致するので、図20(a)に示すように、基板11の一方の面11−2の一部の領域に反射膜を設け、それを折り返し反射面11b’とすることができる。
また、折り返し反射面11b’のサイズは、折り返し反射面11bの面11−2への射影と同じだけ確保されれば十分であり、アイグラスディスプレイのシースルー性を損なわないよう必要最小限に抑えられることが望ましい。
(第2変形例)
第2変形例では、図20(b)に示すように、折り返し反射面11b”、11bが配置される。
折り返し反射面11b”の姿勢は、第1変形例の折り返し反射面11bのそれと同じである。
折り返し反射面11b”の反射透過率の角度特性は、光線L1及びそれと同じ行程をたどって反射してきた画角周辺の光束に対し十分に高い反射率を示すものである。また、他の角度範囲、少なくとも光線L2及びそれと同じ行程をたどって反射してきた画角周辺の光束に対して(少なくともそれら光束が折り返し反射面11b”に入射する角度において)は、十分に高い透過率を示すものである。
つまり、折り返し反射面11b”の反射透過率の角度特性は、垂直近傍(0°近傍)で高い反射率を示すと共に、角度θ’の近傍で高い透過率を示すものである。
よって、折り返し反射面11b”は、光線L1に代表される光束の光路を折り返すと共に、光線L2に代表される光束を透過する。
一方、折り返し反射面11bの配置箇所は、折り返し反射面11b”を透過した光束(光線L2に代表される光束)の光路中にある。
折り返し反射面11bの法線方向は、光線L2の進行方向に一致している。因みに、このとき、折り返し反射面11bの傾斜方向と折り返し反射面11b”の傾斜方向とは反対になり、基板11の法線との成す角度は、それぞれθMになる。
折り返し反射面11bの反射率の角度特性は、上記第1変形例の折り返し反射面11bのそれと同じである。
よって、折り返し反射面11bは、光線L2に代表される光束の光路を折り返す。
以上の結果、本変形例によれば、第1変形例と同様の効果が得られる。
因みに、上述した特性の折り返し反射面11b”には、誘電体多層膜やホログラム面を適用することができる。
また、折り返し反射面11b”と折り返し反射面11bとの間隔は、アイグラスディスプレイを小型にするため、なるべく小さくすることが好ましい。因みに、間隔が大きくなると、射出瞳の左右方向の位置による垂直視野角(紙面に垂直な方向の視野角)のばらつきが大きくなるので、そのばらつきを抑えるためにも間隔は小さい方が好ましい。
(第3変形例)
第3変形例は、図20(c)に示すように、第2変形例の折り返し反射面11bと折り返し反射面11b”との傾斜方向を反対にしたものである。
折り返し反射面11b”の反射透過率の角度特性は、光線L2及びそれと同じ行程をたどって反射してきた画角周辺の光束に対し、十分に高い反射率を示すものである。また、他の角度範囲、少なくとも光線L1及びそれと同じ行程をたどって反射してきた画角周辺の光束に対して(少なくともそれら光束が折り返し反射面11b”に入射する角度において)は、十分に高い透過率を示すものである。
なお、この折り返し反射面11b”の構成は、第2変形例での折り返し反射面11b”のそれと同じでよい。なぜならば、第3変形例の折り返し反射面11b”と光線L2との関係は、第2変形例の折り返し反射面11b”と光線L1との関係と同じ(つまり入射角度0°の関係)であり、かつ、画角中心の光線に対し画角周辺の光線の成す角度は、第2変形例と第3変形例との間で同じだからである。
したがって、折り返し反射面11b”は、光線L2に代表される光束の光路を折り返し、光束L1に代表される光束を透過する。
折り返し反射面11bは、折り返し反射面11b”を透過した光束(光束L1に代表される光束)の光路を折り返す。
以上の結果、本変形例によれば、上記各変形例と同様の効果が得られる。
なお、折り返し反射面11bと折り返し反射面11b”との間隔は、アイグラスディスプレイを小型にするために、なるべく小さくすることが好ましい。因みに、間隔が大きくなると、射出瞳の左右方向の位置による垂直視野角(紙面に垂直な方向の視野角)のばらつきが大きくなるので、そのばらつきを抑えるためにも間隔は小さい方が好ましい。
(第4変形例)
第4変形例では、図20(d)に示すように、傾斜方向が反対の2枚の折り返し反射面11b”が交差して基板内11に配置される。
2枚の折り返し反射面11b”の反射透過率の角度特性は、上記各変形例の折り返し反射面11b”のそれと同じである。
よって、一方の折り返し反射面11b”は、光線L1に代表される光束の光路を折り返し、光束L2に代表される光束を透過する。
また、他方の折り返し反射面11b”は、光線L2に代表される光束の光路を折り返し、光束L1に代表される光束を透過する。
以上の結果、本変形例によれば、上記各変形例と同様の効果が得られる。
なお、2枚の折り返し反射面11b”の交差点は、基板11の厚さ方向の中点である必要はない。
(第5変形例)
第5変形例では、図20(e)に示すように、折り返し反射面11b”、11bが配置される。
折り返し反射面11b”の姿勢は、第2変形例の折り返し反射面11b”のそれと同じである。
折り返し反射面11b”の反射透過率の角度特性は、上記各変形例の折り返し反射面11b”のそれと同じである。
よって、折り返し反射面11b”は、光線L1に代表される光束の光路を折り返すと共に、光線L2に代表される光束を透過する。
一方、折り返し反射面11bの配置箇所は、折り返し反射面11b”を透過した後に内面反射を奇数回(好ましくは1回)行った光束(光線L2に代表される光束)の光路である。
折り返し反射面11bの法線方向は、光線L2の進行方向に一致している。このとき、折り返し反射面11bの姿勢は、折り返し反射面11b”の姿勢と同じになる。
折り返し反射面11bの反射率の角度特性は、上記各変形例の折り返し反射面11bのそれと同じである。
よって、折り返し反射面11bは、光線L2に代表される光束の光路を折り返す。
以上の結果、本変形例によれば、上記各変形例と同様の効果が得られる。
(変形例の補足)
なお、以上説明した各変形例の各折り返し反射面の左右方向の位置は、基本的に任意であるが、加工や組み立ての条件を勘案して最適なものが選定されることが望ましい。
また、表示光束Lの波長が特定の波長成分に限定されているとき(アイグラスディスプレイの液晶表示素子21の光源が、LEDなどの狭帯域なスペクトル特性を有する場合)には、前述した折り返し反射面11b”は、少なくともその特定の波長成分に対し前記特性を示せばよい。このように表示光束Lの波長成分が限定されていれば、折り返し反射面11b”に用いられる反射膜の設計の自由度が高まる。
また、表示光束Lが特定の偏光成分に限定されているとき(アイグラスディスプレイの液晶表示素子21の光源が特定の偏光成分に限定されているとき)には、前述した折り返し反射面11b”は、少なくともその特定の偏光成分に対し前記特性を示せばよい。このように表示光束Lの偏光成分が限定されていれば、折り返し反射面11b”に用いられる反射膜の設計の自由度が高まる。
特に、表示光束Lの偏光成分がs偏光に限定されている場合、第2変形例、第3変形例、第4変形例、第5変形例はさらに変形され、第6変形例のような構成にされることが望ましい。
(第6変形例)
第6変形例では、図21(b),(c),(d),(e)に示すように、表示光束Lが最初に入射する折り返し反射面11b”の表面にλ/2板11cが設けられる。なお、図21では、その形成箇所をわかりやすくするため、λ/2板11cを若干ずらして表した。
このλ/2板11cによると、折り返し反射面11b”に入射する光束の偏光方向が全てp偏光成分になる。
そして、折り返し反射面11b”の反射透過率の角度特性は、角度θ’の近傍のp偏光成分の光束を透過し、垂直近傍(0°近傍)の光束を反射するものに設定される。
このような折り返し反射面11b”として用いられる反射膜の設計の自由度は、高い。
したがって、λ/2板11cを使用する本変形例によれば、反射膜の設計の自由度が確実に高まる。
以下、本発明の第1実施例を説明する。
本実施例は、光学多層膜からなる反射透過面13aの実施例である。なお、この反射透過面13aは、表示光束Lがs偏光に限定されたときに適用されるものである。
この反射透過面13aの構成は、以下のとおり表される。ここでは、構成を表すために1単位となる層群に括弧を付けて列記する。
基板/(0.3L0.27H0.14L)k1・(0.155L0.27H0.155L)k2・(0.14L0.27H0.3L)k3/基板
なお、基板の屈折率は、1.74とした。また、各層群におけるHは高屈折率層(屈折率2.20)、Lは低屈折率層(屈折率1.48)、各層群の右上付き文字k1,k2,k3は各層群の積層回数(ここでは何れも1)、各層の前に付けた数字は各層の波長780nmの光に対する光学膜厚(nd/λ)である。
この反射透過面13aの反射率の波長特性は、図22,図23に示すとおりである。
図22は、垂直入射する光(入射角度0°)に対する波長特性、図23は、60°入射する光(入射角度60°)に対する波長特性である。なお、図22,図23においてRsはs偏光に対する特性、Rpはp偏光に対する特性、Raはs偏光とp偏光とに対する平均的特性である。
図22に示すとおり、垂直入射する光に対しては可視光領域全体(400〜700nm)で反射率は平均数%に抑えられている。
図23に示すとおり、60°入射するs偏光に対しては可視光領域全体(400〜700nm)で反射率は約100%得られている。
なお、この反射透過面13aの構成をモデル化(一般化)すると以下のとおりである。
基板/(マッチング層群I)k1・(反射層群)k2・(マッチング層群II)k3/基板
各層群は、低屈折率層L・高屈折率層H・低屈折率層Lを積層してなり、60°入射で反射率が増大するよう設定されている。中央の層群である反射層群は、垂直入射時に反射を発生させる傾向にあるため、この反射を抑える目的でマッチング層群I,IIの各層の膜厚が最適化調整されている。
設計時には、光の入射角や基板の屈折率などに応じて、このモデルの各層群の積層回数k1,k2,k3を増減したり、マッチング層群I,IIの各層の膜厚を調整したりすればよい。
また、一方の基板と反射透過面13aとの間の関係と、他方の基板と反射透過面13aとの間の関係が互いに異なる場合(2つの基板の屈折率が異なったり、一方の基板との間に接着剤層が介在するときなど)には、マッチング層群I,IIの積層回数及び各層の膜厚を個別に調整すればよい。
また、本実施例の反射透過面13aはs偏光に対し或る特性を得るものだが、仮に、s偏光とp偏光との両光に対し同様の特性を得ようとした場合には、反射透過面13aを次のとおり変形するとよい。
図23に示すとおり、本実施例の反射透過面13aは、p偏光に対しては可視光領域の一部でしか反射率が得られていないので、前記した各層群とは中心波長(反射率が最大となる波長)のずれた1又は複数の層群を、上記構成に対し連結すればよい。このようにすれば、s偏光に対してだけでなくp偏光に対しても可視光領域の全体で反射率を得ることができる。
以下、本発明の第2実施例を説明する。
本実施例は、光学多層膜からなる第1反射透過面12a−1の実施例である。なお、この第1反射透過面12a−1は、表示光束Lがs偏光に限定されたときに適用されるものである。
この第1反射透過面12a−1の基本構成は、以下のとおり表される。
基板/(0.5L0.5H)k1・A(0.5L0.5H)k2/基板
なお、基板の屈折率は、1.54とした。また、各層群におけるHは高屈折率層(屈折率1.68)、L:低屈折率層(屈折率1.48)、各層群の右上付き文字k1,k2は各層群の積層回数、各層の前に付けた数字は各層の波長430nmの光に対する光学膜厚(nd/λ)、第2層群の前に付けた文字Aは第2層群の膜厚を補正する補正係数である。
この基本構成においては、第1の層群、第2の層群共に可視光内外の適当な波長で光学膜厚が0.5λであり、このような膜厚の層は中心波長において膜が存在しない場合と略同じ反射率を示す。さらに高屈折率層H、低屈折率層Lのどちらの屈折率も基板のそれと大きく相違しないので、垂直入射時の界面でのフレネル反射も小さい。したがって、垂直入射する光については殆ど反射しない。
一方、入射角度θに対する基板と各層との光学的アドミッタンスは、屈折率をnとするとp偏光に対してはncosθ、s偏光に対してはn/cosθで表される。つまり、s偏光に対しては入射角度θの増大に応じて材料間のアドミッタンス比が増大する。よって、入射角度θの増大に応じて界面でのフレネル反射が大きくなり、結果として反射率が増大する。以上のような原理により、上記基本構成は設定されている。
さて、第1反射透過面12a−1の反射率の波長特性を所望の特性にするためには、この基本構成の各パラメータ(ここでは、k1,A,k2)を適宜調整すればよい。
(実施例2’)
例えば、60°入射する光に対し可視光領域全体で平均約15%の透過率を得るためには、k1=4,A=1.36,k2=4とすればよい。このときの第1反射透過面12a−1の構成は、以下のとおり表される。
基板/(0.5L0.5H)4・1.36(0.5L0.5H)4/基板
この第1反射透過面12a−1の反射率の波長特性は、図24,図25に示すとおりである。
図24は、垂直入射する光に対する波長特性、図25は、60°入射する光に対する波長特性である。なお、図24,図25においてRsはs偏光に対する特性、Rpはp偏光に対する特性、Raはs偏光とp偏光とに対する平均的特性である。
図24に示すとおり、垂直入射する光に対しては可視光領域全体(400〜700nm)で反射率は約0%に抑えられている。
図25に示すとおり、60°入射するs偏光に対しては可視光領域全体(400〜700nm)で反射率は平均85%(すなわち透過率は15%)得られている。
(第2実施例−2)
また、例えば、60°入射する光に対し可視光領域全体で平均約30%の透過率を得るためには、k1=3,k2=3,A=1.56とすればよい。このときの第1反射透過面12a−1の構成は、以下のとおり表される。
基板/(0.5L0.5H)3・1.56(0.5L0.5H)3/基板
この第1反射透過面12a−1の反射率の波長特性は、図26,図27に示すとおりである。
図26は、垂直入射する光に対する波長特性、図25は、60°入射する光に対する波長特性である。なお、図26,図27においてRsはs偏光に対する特性、Rpはp偏光に対する特性、Raはs偏光とp偏光とに対する平均的特性である。
図26に示すとおり、垂直入射する光に対しては可視光領域全体(400〜700nm)で反射率は約0%に抑えられている。
図27に示すとおり、60°入射するs偏光に対しては可視光領域全体(400〜700nm)で反射率は平均70%(すなわち透過率は30%)得られている。
以下、本発明の第3実施例を説明する。
本実施例は、金属膜からなる第2反射透過面12a−2,12a−2’の実施例である。
金属膜は、作製容易かつ安価であるという利点がある。本実施例では、第2反射透過面12a−2,12a−2’としてCr(クロム)を使用する。
この第2反射透過面12a−2,12a−2’の30°入射する光に対する反射率/透過率の波長特性は、図28,図29に示すとおりである。
図28は、Crの膜厚を10nmとしたときの特性、図29は、Crの膜厚を20nmとしたときの特性である。なお、図28,図29においてRaは反射率、Taは透過率である。
図28に示すとおり、膜厚10nmとしたときには、可視光領域の透過率は平均40%強しか得られず、反射率も平均10%強しか得られない。このとき、外界光束は4割、表示光束Lに至っては1割しか射出瞳Eに到達できずに残りは吸収されてしまう。
図29に示すとおり、膜厚20nmとしたときには、反射率と透過率が略等しくなるが、どちらも入射光の20%強しか利用できていない。このように、金属膜は上述した利点がある一方で、吸収による光の損失が大きく、表示光束Lの光量低下とシースルー性の悪化をもたらす。
以下、本発明の第4実施例を説明する。
本実施例は、光学多層膜(後述の3バンドミラー又は偏光ビームスプリッタ型ミラー)からなる第2反射透過面12a−2,12a−2’の実施例である。なお、この第2反射透過面12a−2,12a−2’は、液晶表示素子21が発光スペクトルを有していることを考慮したものである。
図30に、液晶表示素子21の発光スペクトル分布(発光輝度の波長特性)を示した。この図から判るように、この発光スペクトル分布は、概ね、640nm(R色),520nm(G色),460nm(B色)のそれぞれの近傍にピークを有している。
第2反射透過面12a−2,12a−2’はこれらの波長領域に対して主に高い反射率を有することが望ましい。また、可能ならば偏光も考慮することが望ましい。
そこで、本実施例では、第2反射透過面12a−2,12a−2’として、以下の3バンドミラー又は偏光ビームスプリッタ型ミラーを適用する。
この3バンドミラーは、上記発光スペクトルのピーク近傍の狭い波長領域の光のみを反射するものである。
この偏光ビームスプリッタ型ミラーは、上記発光スペクトルのピーク近傍の狭い波長領域の光のみを反射するものであると共に、そのうち反射の対象をs偏光成分のみに限定したものである。
先ず、3バンドミラーからなる第2反射透過面12a−2,12a−2’は、限られた波長領域の光のみを反射するので、表示光束Lの損失を抑え、表示画面の明るさを保つ。また、この第2反射透過面12a−2,12a−2’は、外界光束のうち限られた波長領域の光は透過できないが、その他の殆どの波長領域の光を透過するので、外界光束の損失を抑え、シースルー性を高める。
また、偏光ビームスプリッタ型ミラーからなる第2反射透過面12a−2,12a−2’は、さらに、限られた波長領域のs偏光成分のみを反射するので、表示光束Lがs偏光に限定されてさえいれば、表示光束Lの損失をさらに抑え、表示画面をさらに明るく保つ。また、この第2反射透過面12a−2,12a−2’は、外界光束のうち、透過できないのは、限られた波長領域のs偏光成分のみなので、外界光束の損失をさらに抑え、シースルー性をさらに高める。
3バンドミラーの30°入射する光に対する反射率(透過率)の波長特性は、図31に示すとおりであり、偏光ビームスプリッタ型ミラーの30°入射する光に対する反射率(透過率)の波長特性は、図32に示すとおりである。なお、図31,図32においてRsはs偏光に対する反射率、Rpはp偏光に対する反射率、Raはs偏光とp偏光とに対する平均的反射率、Tsはs偏光に対する透過率、Tpはp偏光に対する透過率である。
図31に示すとおり、3バンドミラーによると、R色,G色,B色それぞれに対応する波長領域の光に対して反射率は約70%得られている。
なお、図31に示すデータは、特定の波長領域の光のみを反射し他を透過する多層膜(マイナスフィルタと呼ばれる)のデータをR色,G色,B色の各色について用意し、かつそれらを計算機上で積層し、さらに全体の層構成を最適化設計したものである。
図32に示すとおり、偏光ビームスプリッタ型ミラーは、ピーク反射率の高さの拡大よりも波長領域の幅の拡大が図られ、表示光束Lのトータルの光量が確保されている。なぜなら、30°の入射角度でs偏光の反射率を高めると、それに伴いp偏光の反射率も増大するからである。一方、より大きな入射角では、s偏光の反射率を略100%にしながらp偏光の透過率を確保できる。よって、この偏光ビームスプリッタ型ミラーを第2反射透過面としてマルチミラーに適用すると、そのマルチミラーの構成によっては非常に効果的な偏向特性が得られることになる。
なお、図32に示すデータは、特定の波長領域のs偏光のみを反射し他を透過する偏光ビームスプリッタ型ミラーのデータをR色,G色,B色の各色について用意し、かつそれらを計算機上で積層し、さらに全体の層構成を最適化設計したものである。
以下、本発明の第5実施例を説明する。
本実施例は、各実施形態で用いられる各ホログラム面の形成方法の実施例である。
基本的には、ホログラム感光材料を用意し、参照光と物体光とを、ホログラム感光材料の垂直方向と角度θとから入射させて、R色,G色,B色の3波長で多重露光を行う。
この角度θは、高い回折効率で反射すべき光の入射角度と等しく設定される。このホログラム感光材料を現像・漂白する。
このようにしてできたホログラム感光材料を、所望の面に貼り合わせれば、その面をホログラム面として利用できる。
また、2つの第2反射透過面12a−2,12a−2’を有したマルチミラー12a(図6等参照)と同じ機能のホログラム面を形成する際には、上述した角度をθだけでなく−θにも設定して、多重露光を2回行えばよい。
なお、ホログラム感光材料は一般に樹脂フィルム状をしているので、それを所望の基板上に貼り合わせたり、また貼り合わせた基板を他の基板と組み立てたりすることは、極めて容易である。
以下、本発明の第6実施例を説明する。
本実施例は、上述した第6変形例(図21参照、表示光束Lがs偏光に限定されている。)に適用される折り返し反射面11b”の実施例である。なお、入射角度θ’=60°とした。θ’は、光線L2の折り返し反射面11bに対する入射角度である(図19(a)参照)。
先ず、この折り返し反射面11b”の基本構成は、以下の3タイプの何れかで表される。
(1)基板/(0.25H0.25L)k0.25H/基板
(2)基板/(0.125H0.25L0.125H)k/基板
(3)基板/(0.125L0.25H0.125L)k/基板
そこで、本実施例では、第1のタイプ(1)を採用し、反射帯域を拡張するために2つの周期層ブロックを用いた基本構成を設定し、若干の試行錯誤により以下の40層構成を得た。
基板/(0.25H0.25L)100.1L(0.3125H0.3125L)10/基板
なお、基板の屈折率は、1.56とした。また、高屈折率層Hの屈折率は、2.20、低屈折率層Lの屈折率は、1.46とした。
このとき、折り返し反射面11b”の反射率の角度・波長特性は、図33に示すとおりとなった。
図33において、R(0°)は、垂直入射する光に対する反射率の波長特性を示す。その反射率は、可視光域において略100%になっている。
また、Rp(60°)は、60°入射するp偏光の光に対する反射率の波長特性を示す。その反射率は可視光域において略0%となっている。つまり、60°入射するp偏光の光に対する透過率は可視光域において略100%となっている(図の表記方法は、以下の各図も同じ)。
(実施例6’)
さらに、計算機上で最適化設計を行い、層数の低減と特性の改善を試みた。それによって得られた多層膜の構成、反射透過率の角度・波長特性は、図34,図35に示すとおりである。
図34、図35に明らかなように、最適化設計により層数は低減され、垂直入射する光に対する反射率はさらに100%に近づき、60°入射するp偏光の光に対する透過率はさらに100%に近づいたことがわかる。
以下、本発明の第7実施例を説明する。
本実施例は、上述した第6変形例(図21参照、表示光束Lがs偏光に限定されている。)に適用される折り返し反射面11b”の実施例である。なお、θ’=60°とした。また、本実施例の折り返し反射面11b”は、液晶表示素子21が発光スペクトル(図30参照)を有していることを考慮したものである。
実施例6と同様、計算機上で最適化設計を行った。それによって得られた多層膜の構成、多層膜の反射透過率の角度・波長特性は、図36,図37に示すとおりである。
図36に明らかなように、層数がさらに低減されたことがわかる。
図37に明らかなように、垂直入射する光のうち、特定の波長成分(R色、G色、B色)の反射率は高く設定され、それ以外の不必要な波長成分の反射率は低下していることがわかる。このように、必要な波長成分の反射率だけを高めることによって、層数の低減が図られる。
本実施例は、図20、図21に示した折り返し反射面11b,11b’,11b”に用いられるホログラム面の形成方法の実施例である。
その原理は、実施例5と同じであり、参照光及び物体光のホログラム感光材料への入射角度にのみ特徴があるので、それを図38を用いて説明する。
図38に示すように、光源51から射出したレーザ光は、ハーフミラーHMによって2つのレーザ光に分岐され、分岐された2つのレーザ光は、ミラーMを介し、ビームエキスパンダ52、53によってそれぞれ径が拡大される。これらのレーザ光が、物体光及び参照光として用いられる。
これらの物体光及び参照光は、ビームスプリッタBSにて重ね合わされた後、ホログラム感光材料54に対し垂直に入射する。この状態で、ホログラム感光材料54を露光する。
このように物体光及び参照光をホログラム感光材料54に対し垂直入射させれば、垂直入射する表示光束L(図20,図21参照)を高い反射率で反射するホログラム面を形成することができる。

Claims (15)

  1. 画像表示素子の各画角の表示光束が繰り返し内面反射してその表示光束の光路を内部に形成する透過性の基板と、
    前記基板のうち前記内面反射に供される一方の面の所定領域に密着して設けられ、その所定領域に到達した各前記表示光束の一部をそれぞれ基板外に射出させ、反射により所定方向に偏向する偏向光学部とを備え、
    前記画像表示素子の表示画面の虚像を形成する
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  2. 請求項1に記載の画像表示光学系において、
    前記偏向光学部の偏向特性には、
    前記画像表示光学系の射出瞳に入射する前記表示光束の輝度を均一化するような分布が付与されている
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  3. 請求項1に記載の画像表示光学系において、
    前記基板の内部に形成される前記表示光束の光路を折り返しその表示光束を往復させる折り返し反射面をさらに備え、
    前記偏向光学部は、
    往路進行中の前記表示光束の一部と復路進行中の前記表示光束の一部とを同じ方向に偏向する
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  4. 請求項3に記載の画像表示光学系において、
    前記折り返し反射面は、
    前記基板内の所定領域を第1角度範囲内で通過する前記表示光束の光路を折り返す第1反射面と、前記所定領域を前記第1角度範囲から外れた第2角度範囲内で通過する前記表示光束の光路を折り返す第2反射面とからなる
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  5. 請求項4に記載の画像表示光学系において、
    前記第1反射面は、
    前記第2角度範囲内で通過する前記表示光束を非折り返し方向に反射する性質を有し、
    前記第2反射面は、
    前記第1反射面が前記非折り返し方向に反射した前記表示光束の光路を折り返す
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  6. 請求項4に記載の画像表示光学系において、
    前記第1反射面は、
    前記第2角度範囲内で通過する前記表示光束を透過する性質を有し、
    前記第2反射面は、
    前記第1反射面を透過した前記表示光束の光路を折り返す
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  7. 請求項4に記載の画像表示光学系において、
    前記第1反射面及び前記第2反射面は、
    前記基板内の同位置に互いに交差して配置され、
    前記第1反射面は、
    前記第2角度範囲内で通過する前記表示光束を透過する性質を有し、
    前記第2反射面は、
    前記第1角度範囲内で通過する前記表示光束を透過する性質を有する
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の画像表示光学系において、
    前記偏向光学部は、
    前記所定領域に密着して設けられ、かつその所定領域に到達した各前記表示光束の一部をそれぞれ基板外に透過する第1の光学面と、
    前記第1の光学面の反基板側に設けられ、かつ前記基板の法線に対し傾斜した複数の微小反射面を列状に配置したマルチミラーとからなる
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  9. 請求項8に記載の画像表示光学系において、
    前記微小反射面には、
    光学多層膜又は回折光学面が用いられている
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  10. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の画像表示光学系において、
    前記偏向光学部は、
    回折光学部材からなる
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  11. 請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の画像表示光学系において、
    前記偏向光学部には、
    外界から前記射出瞳の方向へ向かう外界光束の少なくとも1部を透過する特性が付与されている
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  12. 請求項11に記載の画像表示光学系において、
    前記偏向光学部には、
    前記偏向の対象を前記表示光束と同じ波長の光に限定する特性が付与されている
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  13. 請求項1〜請求項12の何れか一項に記載の画像表示光学系において、
    前記射出瞳に配置されるべき観察眼の視度補正をする機能が備えられる
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  14. 請求項13に記載の画像表示光学系において、
    前記偏向光学部を挟んで前記基板と連結される別の基板を備え、
    前記別の基板の前記偏向光学部と反対側の面は、
    前記視度補正の少なくとも一部を担う曲面形状となっている
    ことを特徴とする画像表示光学系。
  15. 請求項1〜請求項14の何れか一項に記載の画像表示光学系と、
    画像表示素子と
    を備えたことを特徴とする画像表示装置。

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