JP2020126239A - 画像表示用導光板 - Google Patents

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Katsuya Funayama
勝矢 船山
達志 馬場
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達志 馬場
雅彦 小野
Masahiko Ono
雅彦 小野
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Yoshio Wakayama
芳男 若山
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Shuichi Kubo
秀一 久保
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Abstract

【課題】樹脂基材を用いた場合であっても鮮明な画像が表示できる画像表示用導光板の提供。【解決手段】第1樹脂基材(1001)と、ホログラム層(1002)とを有する画像表示用導光板であって、第1樹脂基材(1001)は、シャドーコントラストによる評価で得られるMC値が0.120以下である、画像表示用導光板(1004)。【選択図】図1

Description

本発明は、画像表示用導光板に関する。
表示装置において、画像表示用導光板が用いられる場合がある。例えば、VR(仮想現実)技術、AR(拡張現実)技術又はMR(複合現実)を用いた表示装置においては、ホログラム層が透明基材に支持された画像表示用導光板が用いられる。ホログラム層には、種々の光学機能、例えば、導波、反射及び回折の機能を有するホログラムが形成される。
透明基材としては、ガラス基材が用いられることが多い。しかし、加工性、軽量性、耐久性及び可搬性の観点から、透明基材として、樹脂基材が用いられることがより好ましい。
特許文献1には、車載用ヘッドアップディスプレイに用いられるホログラム積層体が開示されている。このホログラム積層体は、アクリル系樹脂基板、アクリル系接着剤層、アクリル系フォトポリマーからなるホログラム層、アクリル系接着剤層及びアクリル系樹脂基板が、この順に積層されている。
特許文献1には、アクリル系樹脂基板の表面平滑性によって、ホログラムの外観変化が発生することが記載されている。特許文献1によれば、ホログラム積層体の表面平滑性を表す最大高さRmaxが50μmを超えると、ホログラムの外観変化が顕著になる。最大高さRmaxが25μm未満の場合、ホログラムの外観変化は許容範囲である。ただし、特許文献1には、最大高さRmaxが1μm以下のナノオーダの表面平滑性の必要性については特に記載されていない。特許文献1には、ナノオーダの表面平滑性を有する具体例も何ら記載されていない。
また、ホログラム層を形成するホログラム材料は温度変化により樹脂基材を侵食する場合がある。ホログラム材料は、吸湿によって劣化することも知られている。このため、ホログラム層を樹脂基材で支持する表示装置は高温多湿環境下で劣化しやすい。
特許文献2には、光学的に透明な樹脂製の基体上に、ホログラムを形成する光感性材料層を形成し、光感性材料層を水性ポリマー保護バリアで被覆することが記載されている。特許文献2には、水性ポリマー保護バリアは、湿気によるアタックに耐える目的で設けられていることが示唆されている。
特許文献3には、光学接着剤を介して樹脂基体に挟まれたホログラムを有する積層体であって、外周部全体が保護被覆層で覆われたホログラム積層体が記載されている。特許文献3には、保護被覆層が密閉性、ガスバリア性を高めるコーティングであってもよいことが記載されている。
特開2000−296583号公報 特開平5−181400号公報 特開平11−184363号公報
しかしながら、上記の関連技術には、以下の問題がある。
特許文献1に記載のホログラム積層体は、主に運転者が見る車載用のヘッドアップディスプレイに用いられる。このため、表示画像の画質は、特に高画質でなくてもよい。しかし、例えば、AR又はMRに用いるウェアラブルディスプレイ又はヘッドマウントディスプレイの場合、使用者の全視野において写実的な画像が表示されたり、細かな文字が表されたりすることが多い。このような用途においては、さらなる高画質化が求められる。
本発明者の検討によれば、画像表示用導光板においてホログラム層が樹脂基材に挟まれている場合、最大高さRmaxが25μm未満であっても画質低下が観察されることがある。例えば、押出成形された樹脂基材の表面に、押出ローラの駆動ギアのかみ合いピッチに対応するピッチのうねり(ギアマーク)が生じていると、画像が不鮮明なる箇所が発生しやすい。
特許文献2に記載の技術では、光感性材料層において水性ポリマー保護バリアと反対側の表面には、樹脂製の基体が密着している。
このため、高温環境下において光感性材料が樹脂製の基体を侵食するおそれがある。
さらに、樹脂製の基体の内部には水分が含まれるため、水分が光感性材料層との密着面を通して、光感性材料層に拡散する。加えて、基体が外部に露出しているため、基体には外部から水分が浸透し続ける。この結果、光感性材料層には樹脂製の基体を経由して水分が浸透するので、水性ポリマー保護バリアによって水分が遮蔽されるとしても、基体側からの水分により光感性材料層の経時劣化することを抑制できない。
特許文献3に記載の技術では、ホログラムを含む積層体の外周全体が保護被覆層によって密閉されている。このため、ホログラム積層体の外部から水分が内部に浸透してホログラムが劣化することは抑制される。しかし、保護被覆層形成時に樹脂基体に含有される水分は、保護被覆層よりも内側に閉じ込められる。この結果、樹脂基体に含有される水分がホログラムにも浸透することによって、ホログラムの経時劣化が進行するおそれがある。特に、高温環境においては、樹脂基板から水分放出の影響が顕著となる。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、樹脂基材を用いた場合であっても鮮明な画像が表示できる画像表示用導光板を提供することを目的とする。
また、本発明は、樹脂基材を用いた場合であってもホログラム層の劣化を抑制できる画像表示用導光板を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意研究を行い、画像表示用導光板に用いる樹脂基材において、表面粗さで測定されるピッチよりも格段に大きなピッチで変化する表面のうねりの大きさに対応する平面性を改善することにより、鮮明な画像を表示できることを見出し、本発明に到った。
樹脂基材の表面の平面性がうねりによって低下すると、樹脂基材に積層されるホログラム層の厚み振れが生じる。ホログラム層の厚み振れが生じると導波光の振れが生じる結果、画像に微細な歪み、変形が生じ、画像が不鮮明になる。カラー画像の場合には、導波光の振れに起因する色ずれ及び色にじみが生じる結果、画像が不鮮明になる。
これに対して、樹脂基材の表面の平滑性が微細な凹凸によって低下すると、導波光の散乱が生じる結果、画像が不鮮明になる。
また、本発明者は鋭意研究を行い、画像表示用導光板に用いるホログラム層を有する樹脂基材において、バリア層を導入することによって、ホログラム層の劣化が抑制され、鮮明な画像を表示できることを見出し、本発明に到った。
上記の課題を解決するため、例えば、本発明は以下の態様を有する。
[1] 第1樹脂基材と、ホログラム層とを有する画像表示用導光板であって、
前記第1樹脂基材は、シャドーコントラストによる評価で得られるMC値が0.120以下である、画像表示用導光板。
[2] 第1樹脂基材と、第1バリア層と、ホログラム層とを有する画像表示用導光板。
[3] 前記第1樹脂基材、前記第1バリア層及び前記ホログラム層が、厚み方向において、この順に配置されている、[2]に記載の画像表示用導光板。
[4] さらに第2樹脂基材及び第2バリア層を有し、
前記第1樹脂基材、前記第1バリア層、前記ホログラム層、前記第2バリア層及び前記第2樹脂基材が、厚み方向において、この順に配置されている、[3]に記載の画像表示用導光板。
[5] 前記第1樹脂基材の屈折率より前記第1バリア層の屈折率が高い、[2]〜[4]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
[6] 前記第1バリア層の屈折率が1.48以上である、[2]〜[5]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
[7] 前記第1バリア層は無機材料を含む、[2]〜[6]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
[8] 前記第1バリア層は、ケイ素酸化物、ケイ素窒素酸化物、ダイヤモンドライクカーボン、アルミニウム酸化物及びガラスからなる群から選択される少なくとも1種の無機材料を含む、[7]に記載の画像表示用導光板。
[9] 前記第1バリア層は、樹脂フィルム上に配置されている、[2]〜[8]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
[10] 前記第1バリア層の材料として水蒸気バリア性材料が用いられる、[2]〜[9]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
[11] 前記第1バリア層は、前記ホログラム層上に配置されている、[2]〜[10]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
[12] 前記第1樹脂基材の屈折率が1.48〜1.70である、[1]〜[11]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
[13] 前記第1樹脂基材が、ポリ(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、環状ポリオレフィン及びポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、[1]〜[12]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
[14] 前記第1樹脂基材のJIS K 6718−1:2015の付属書Aに準拠して測定される熱収縮率が3%未満である、[1]〜[13]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
[15] 前記第1樹脂基材の表面の算術平均粗さRaが10nm以下である、[1]〜[14]のいずれか1つに記載の画像表示用導光板。
本発明によれば、樹脂基材を用いた場合であっても鮮明な画像が表示できる画像表示用導光板を提供できる。
また、本発明によれば、樹脂基材を用いた場合であってもホログラム層の劣化を抑制できる画像表示用導光板を提供できる。
本発明の第1の実施形態の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。 MC値の評価方法を説明する模式的な正面図である。 MC値の評価方法を説明する模式的な平面図である。 MC値の評価用画像の一例を示す模式図である。 MC値のデジタル化された評価用画像の一例を示す模式図である。 MC値の算出方法を示す模式的なグラフである。 本発明の第1の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。 実施例1の樹脂基板の製造装置の一例を示す模式的な縦断面図である。 本発明の第2の実施形態の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。 輝度値及びFOVの測定方法を説明する模式的な正面図である。 本発明の第2の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。 実施例5の画像表示用導光板を示す模式的な断面図である。 実施例6の画像表示用導光板を示す模式的な断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る画像表示用導光板の層構成を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態の第1変形例に係る画像表示用導光板の層構成を示す模式図である。 第3の実施形態に係るハードコートフィルムが2枚重ねられた状態を示す図である。 第3の実施形態第1変形例に係るハードコートフィルムが2枚重ねられた状態を示す図である。 本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板を含む表示装置の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第4の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第4の実施形態の第2変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第4の実施形態の第3変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一又は相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の両端の数値を含む。
「UV」は、紫外線を意味する。
「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの一方又は両方を意味する。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を意味する。
[第1の実施形態]
<基本例>
本発明の第1の実施形態の画像表示用導光板について説明する。
本発明の第1の実施形態の画像表示用導光板は、第1樹脂基材と、ホログラム層とを有する。本実施形態の画像表示用導光板は、さらに第2樹脂基材を有していてもよい。本実施形態において、第1樹脂基材及び第2樹脂基材を総称して、以下、単に「樹脂基材」という場合がある。前記樹脂基材は透明である。
前記ホログラム層は、第1樹脂基材及び第2樹脂基材との間、又は第1樹脂基材とガラス基材との間に挟まれている。
前記画像表示用導光板は、画像光を入射する入射部と、画像光による画像を表示する表示画像出射部とを有する。前記ホログラム層は、前記入射部と前記表示画像出射部との間に配置されている。前記ホログラム層には、少なくとも前記入射部から入射される画像光を前記表示画像出射部に導波し、前記表示画像出射部から出射させるための回折格子パターンが形成されている。前記表示画像出射部における回折格子パターンは、前記画像表示用導光板の外部から入射する外光の少なくとも一部を透過させる。なお、前記外光入射部は、前記表示画像出射部とは反対の面を指す。
前記入射部に入射した画像光は、前記ホログラム層内に導波され、前記表示画像出射部から外部に出射される。一方、外光も前記樹脂基材及び前記表示画像出射部を透過する結果、前記表示画像出射部の観察者は、画像光及び外光の両方を、視野内で観察することができる。
本実施形態の画像表示用導光板は、AR技術又はMR技術を用いた表示装置に好適に用いられる。例えば、本実施形態の画像表示用導光板は、ヘッドマウントディスプレイのようなARグラス又は車載向けのヘッドアップディスプレイ等の装置に用いられてもよい。
本実施形態の画像表示用導光板に用いられる樹脂基材は、シャドーコントラストによる評価で得られるMC値が0.120以下である。MC値の定義及び具体的な評価方法については、後述する。前記MC値は、前記樹脂基材の表面特性のうち、特に平面性の評価に有効である。すなわち、表面粗さの凹凸の空間周波数よりも空間周波数が低い凹凸に関して、前記MC値が低いほど、凹凸の程度が小さい。このため、前記MC値が低い樹脂基材ほど、平面性が良好である。
前記樹脂基材の材料は、透明材料であれば特に限定されない。
前記樹脂基材に用いられる材料は、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
前記樹脂基材に用いられる材料の屈折率は、1.48〜1.70が好ましい。
前記樹脂基材に用いられる材料の熱収縮率は、3%未満が好ましい。ここで、熱収縮率は、JIS K 6718−1:2015の付属書A「加熱時の寸法変化(収縮)の測定」に基づく、加熱寸法変化率である。
なお、この「加熱時の寸法変化(収縮)の測定」は、キャスト板用の規格であるが、本発明における熱収縮率は、前記材料を用いた樹脂基材が押出板や連続キャスト板等の場合であっても、この規格に基づく値を採用する。
前記樹脂基材の平滑性(例えば、算術平均粗さRa又は最大高さRmax等の表面粗さによって表される。)は、前記樹脂基材の表面の算術平均粗さRaで、10nm以下が好ましい。
また、本実施形態の画像表示用導光板においては、後述するバリア層を導入することもできる。バリア層を導入することにより、ホログラム層の劣化を抑制して、鮮明な画像を維持することができる。
上述のMC値を有するような平面性に優れる樹脂基材は、例えば、キャスト方式若しくは押出方式等の製造方法を用いて製造するか、又は樹脂基材に切削加工、研磨加工若しくは熱プレス加工等の後加工をすることで製造する。
前記キャスト方式としては、ガラスキャスト方式が用いられてもよい。前記ガラスキャスト方式では、平面性及び平滑性が良好なガラス板の間に前記樹脂基材の原料が流し込まれた後、重合工程が行われることによって前記樹脂の原料が固化させられる。前記樹脂基材が前記ガラスキャスト方式によって製造される場合、ガラスキャスト方式に用いるガラス(以下「キャスト用ガラス」という場合がある。)の表面形状が前記樹脂基材に転写される。このため、前記キャスト用ガラスの表面の平面性及び平滑性が良好であれば、前記樹脂基材の表面の平面性及び平滑性も良好となる。
前記キャスト用ガラスは、内部歪みが小さいほど、前記キャスト用ガラスの表面の平面性が良好になるので、前記樹脂基材の平面性を向上できる。例えば、前記キャスト用ガラスとしては、強化ガラスよりも非強化ガラスの方が好ましい。ただし、強化ガラスであっても、風冷強化ガラスに比べて歪みの少ない化学強化ガラスであれば、前記樹脂基材の平面性を向上できる。
前記キャスト用ガラスの厚みは厚いほど、前記キャスト用ガラスの剛性が高くなり、製造時のガラスの変形が抑制されるので、前記樹脂基材の平面性を向上できる。
前記樹脂基材の成形時に、前記キャスト用ガラスに面圧をかけてプレスすると、前記樹脂基材の平滑性及び平面性を向上できる。
前記キャスト方式は、上述したガラスキャスト方式には限定されない。
例えば、キャストとして、互いに対向する金属製のエンドレスベルトが用いられてもよい。この場合、前記エンドレスベルトを回転させながら重合工程が行われることによって、連続的に前記樹脂基材を製造できる。前記樹脂基材には、エンドレスベルトの表面の形状が転写される。したがって、前記エンドレスベルトの表面に鏡面加工を施すことで、前記樹脂基材の平滑性を向上できる。さらに、前記エンドレスベルトの張力を制御することで、前記樹脂基材の平面性を向上できる。
他のキャスト方式としては、前記キャスト用ガラスの代わりに金属板を用いる方法等が挙げられる。
前記キャスト方式における重合工程において、硬化速度が低いほど、前記キャストの表面形状が前記樹脂基材に転写されやすくなるので、前記樹脂基材の平面性及び平滑性を向上できる。
前記硬化速度を低下させる手段としては、例えば、重合開始剤の量を低減する、又は重合温度を低くする等の手段が用いられてもよい。
前記樹脂基材の材料を架橋させる架橋剤の添加量が少ないほど前記硬化速度が低下し、前記キャストの表面形状が前記樹脂基材に転写されやすくなるので、前記樹脂基材の平面性を向上できる。前記架橋剤の添加量は、前記樹脂基材の原料となる、前記架橋剤以外の重合性モノマー成分や重合性オリゴマー成分の合計100質量部に対して、0.5質量部以下の微量が好ましい。
前記キャストには剥離剤を使用することができるが、その使用量は少ないほど好ましい。これにより、前記キャストの表面形状が前記樹脂基材により転写されやすくなり、前記樹脂基材の平面性及び平滑性を向上させることができる。
前記キャスト方式における重合工程では、基材形成用のモノマーを予備重合されることによって、前記樹脂基材の平面性及び平滑性を向上できる。
前記キャスト方式における重合工程では、基材形成用のモノマーに基材形成用のポリマーを溶解した原料を用いてキャスト重合を行うことによって、硬化収縮が小さくなり、前記キャストの表面形状が前記樹脂基材に転写されやすくなるので、前記樹脂基材の平面性及び平滑性を向上できる。
前記キャスト方式においては、上述の各技術は2以上組み合わせて用いられてもよい。この場合、各技術の相乗効果によって、さらに前記樹脂基材の平面性及び平滑性を向上できる。
前記樹脂基材が押出方式で製造される場合、例えば、ポリシングロール法又はエアーナイフ法が用いられてもよい。
押出ダイのダイラインの加工精度によっては、ダイラインの微細な凹凸が転写されることによって、前記樹脂基材の表面の平滑性が低下するおそれがある。このため、前記押出ダイは、前記ダイラインが滑らかになるように、高精度に仕上げられる。
例えば、ポリシングロール法では一般的に溶融樹脂を3本1組のポリシングロールで挟圧し冷却する。前記ポリシングロール間で挟圧する時に前記溶融樹脂にかかる圧力は線圧となる。この線圧は、前記ポリシングロールの回転斑及びロール軸又は機台の加工精度のばらつき等の影響を受けやすい。このため、前記線圧が不均一となり、前記樹脂基材に厚み斑及びギアマーク等の平面性低下が起こりやすくなる。前記ギアマークは、前記樹脂基材の送り方向に直交する方向に延びる線状に発生する。
前記ポリシングロールの表面温度が高すぎると、前記樹脂基材が変形しやすくなるので、前記表面温度は、低いことが好ましい。
前記ポリシングロールの送り機構としては、駆動ムラの小さくなる構成が用いられることがより好ましい。例えば、前記送り機構の減速器等の伝達機構は、ギアのかみ合い振動の伝達を抑制するために、ギア伝達機構に代えて、遊星ローラが用いられてもよい。ただし、ウォームギア又ははすばギア等の平歯車に比べてかみ合い振動が起こりにくいギア伝達機構であれば、前記送り機構の伝達機構として用いられてもよい。
前記ポリシングロールの代わりに、押出機の溶融樹脂出口に、溶融樹脂冷却用の一対のシームレス金属ベルトを所定の間隔をもって対向して配置する構成が用いられてもよい。この場合、溶融樹脂が前記一対のシームレス金属ベルトに挟まれて冷却されつつ搬送される。これにより、前記溶融樹脂にかかる圧が面圧になるので、上述したポリシングロール法のような線圧による平面性の低下が抑制される。
前記ホログラム層には、公知のホログラム形成用樹脂材料が用いられる。例えば、前記ホログラム形成用樹脂材料としては、公知の材料を適宜選択して使用できる。導光する光の波長等を考慮して感光材料を適宜決定してよく、光学特性の優れたアクリル系ホログラム形成用感光樹脂材料を使用してもよい。
前記ホログラム層は、前記樹脂基材の表面に形成されていてもよいし、適宜の透明層を間に挟んで前記樹脂基材に積層されてもよい。前記画像表示用導光板がガラス基材を含む場合、前記ホログラム層は、前記ガラス基材の表面に形成されていてもよいし、適宜の透明層を間に挟んで前記ガラス基材に積層されてもよい。
前記樹脂基材は、前記画像表示用導光板の厚み方向における最外部に配置されていてもよいし、内部に配置されてもよい。前記画像表示用導光板が前記ガラス基材を含む場合、前記ガラス基材は画像表示用導光板の厚み方向における最外部に配置されていてもよいし、内部に配置されてもよい。
画像表示用導光板において、厚み方向における、樹脂基材とホログラム層の間、又はガラス基材を含む場合にガラス基材とホログラム層との間に、1層以上の適宜の透明層が配置されてもよい。
画像表示用導光板において、厚み方向における最外部には、樹脂基材及びガラス基材とは異なる1層以上の適宜の透明層が配置されてもよい。
例えば、樹脂基材の少なくとも一方の表面に透明層が配置される場合、透明層は、樹脂基材の表面を保護するハードコート層であってもよい。
その他の透明層の例としては、UV又は特定の波長範囲に吸収ピークを有する吸収層及び接着層が挙げられる。
以下、図1に示す例に基づいて、本実施形態の画像表示用導光板の一例の詳細構成を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。
図1に示す画像表示用導光板1004では、厚み方向において、第1樹脂基材1001と、ホログラム層1002と、第2樹脂基材1003とがこの順に配置されている。
画像表示用導光板1004の平面視形状は、特に限定されない。例えば、画像表示用導光板1004は、用いられる表示装置に取り付け可能な形状に整形されていてもよい。
例えば、画像表示用導光板1004は、表示装置に取り付ける形状よりも大きな矩形板であってもよい。この場合、画像表示用導光板1004は、表示装置に組み立てられる前に、表示装置に取り付け可能な形状に切断される等して整形される。
画像表示用導光板1004は、平板状であってもよいし、必要に応じて湾曲板状であってもよい。
以下では、画像表示用導光板1004が平面視矩形状の平板からなる場合の例で説明する。
第1樹脂基材1001は、画像表示用導光板1004の厚み方向の最外部に配置されている。第1樹脂基材1001は、画像表示用導光板1004における画像表示側の表面に配置されている。
第1樹脂基材1001は、画像表示用導光板1004の外形と同様の形状を有する。
第1樹脂基材1001には、ホログラム層1002から出射される画像光と、後述する第2樹脂基材1003及びホログラム層1002を透過する外光と、が透過する。
第1樹脂基材1001の厚みは特に限定されない。例えば、第1樹脂基材1001の厚みは、0.05〜2mmであってもよい。第1樹脂基材1001の厚みが0.05mm以上であると、安定した形状に保持しやすく、後述するMC値の測定誤差を小さく抑えることができ好ましい。第1樹脂基材1001の厚みが2mm以下であると、画像表示用導光板1004の質量を低減させ、軽量化が可能となるため好ましい。第1樹脂基材1001の厚みは、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.5mm以上がさらに好ましい。一方、基材の吸水性に伴う基材の変形若しくは残留歪みの観点から、第1樹脂基材1001の厚みは、2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましい。
第1樹脂基材1001に使用できる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、セルロース、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリノルボルネン、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、アリルジグリコールカーボネート等の有機材料が挙げられるが、ポリ(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、環状ポリオレフィン及びポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。
第1樹脂基材1001の透明性の観点では、ポリカーボネート又はポリ(メタ)アクリル樹脂を用いることが好ましく、第1樹脂基材1001の耐薬品性及び加工性等の耐プロセス性の観点では、ポリ(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂又は環状ポリオレフィンを用いることが好ましいが、中でも透明性及び耐プロセス性を両立できることから、ポリ(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
第1樹脂基材1001としては、シャドーコントラストによる評価で得られるMC値が0.120以下の板材が用いられる。
ここで、MC値の具体的な評価方法及び算出方法について説明する。
図2は、MC値の評価方法を説明する模式的な正面図である。図3は、MC値の評価方法を説明する模式的な平面図である。図4は、MC値の評価用画像の一例を示す模式図である。図5は、MC値のデジタル化された評価用画像の一例を示す模式図である。図6は、MC値の算出方法を示す模式的なグラフである。
(シャドーコントラスト評価)
シャドーコントラスト評価は、図2及び図3に示す評価装置1200を用いて行うことができる。
評価装置1200は、光源1201、スクリーン1202、カメラ1203(図3参照)及び演算処理部1204(図3参照)を備える。
評価装置1200は、光源1201から出射される測定光を測定サンプルSに照射することによって、測定サンプルSの透過投影像をスクリーン1202上に形成し、透過投影像の明度分布に基づいて測定サンプルSのMC値を算出する。
測定サンプルSの形状は、第1樹脂基材1001の外形と同様である。以下では、測定サンプルSが平面視矩形状の平板の場合の例で説明する。
光源1201の種類は、測定サンプルSの透過投影像を形成できれば特に限定されない。例えば、光源1201としては、スクリーン1202に投影される透過投影像が鮮明になる点で、点光源が用いられることがより好ましい。点光源の例としては、例えば、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ及び高圧水銀灯が挙げられる。光の波長は、280〜780nmの範囲とすることが好ましい。測定サンプルSが樹脂基材の場合には400nm〜780nmの範囲とすることが好ましい。
スクリーン1202としては、例えば、マット系スクリーン、ビーズ系スクリーン及びパール系スクリーンが挙げられる。スクリーン1202の色は、スクリーン1202上の投影像の明度測定に差し支えなければ、特に限定されない。スクリーン1202の色は、例えば、白色又はグレーであってもよい。スクリーン1202の大きさは、必要な測定範囲における測定サンプルSの透過投影像が含まれる大きさであれば特に限定されない。スクリーン1202は、測定サンプルS全体の透過投影像が含まれる大きさ以上であることがより好ましい。
カメラ1203の種類は、スクリーン1202上の透過投影像の明度を精度よく撮影できれば、特に限定されない。例えば、カメラ1203は、アナログカメラでもよいし、デジタルカメラでもよい。デジタル解析が容易になる点では、カメラ1203はデジタルカメラであることがより好ましい。なお、アナログカメラで撮影した場合には、後述する画像解析は、得られた画像をデジタル画像に変換した後に行われる。
デジタル画像のサイズとしては、横×縦のピクセル数で表すと、例えば、800×600、1024×768、1600×1200、2048×1536又は5472×3648が用いられる。ただし、デジタル画像のサイズは、うねり等によって発生する測定サンプルSの凹凸に対応する明度変化のカーブを取得できる解像度を持っていれば、これらに限定されるものではない。
明度値は、各ピクセルにおけるデータをモノクロ化したときの濃淡度である。前記明度値の分解能は、各ピクセルの階調数で決まる。各ピクセルの階調数は、0.120以下のMC値の算出が可能であれば、特に限定されない。各ピクセルの階調数は、例えば、128諧調、256諧調、512諧調又は1024諧調であってもよい。
ただし、測定サンプルSの透過率、光源1201の明るさ等の制約によって、透過投影像のコントラストが低くなる場合には、測定精度を上げるために、なるべく高い階調数が用いられることがより好ましい。
カメラ1203を用いた撮影は、遮光下で行われることがより好ましい。カメラ1203での撮影を遮光下で行う場合、遮光下で行われない場合に比べて、より精度の高い明度分布を得ることができる。遮光下で撮影する方法は特に限定されない。例えば、評価装置1200が配置された撮影環境が、窓を有する部屋である場合には、窓を目貼りして部屋全体を遮光状態にしてもよい。例えば、評価装置1200は、少なくとも光源1201からスクリーン1202までの光路及びスクリーン1202からカメラ1203までの光路を囲繞する遮光用筐体を有していてもよい。
カメラ1203の撮影モードは、カラー画像モードでもモノクロ画像モードでもよい。カラー画像モードで撮影した場合には、画像処理ソフトを用いてモノクロ画像に変換することがより好ましい。
例えば、カメラ1203のレンズの光学特性の影響によって、撮影画像の端部の明度が中心部の明度よりも低くなることがある。このような明度ムラのレベルによるノイズが大きすぎる場合には、予めレンズの光学特性に応じて、撮影画像のシェーディング補正を行った後、測定サンプルSの明度分布を求めることがより好ましい。シェーディング補正は、撮影画像の解析の前に適宜の画像処理ソフトによって行われてもよい。シェーディング補正の補正量は、例えば、測定サンプルSに代えて、平面性及び平滑性が良好な補正用ガラス板を用いた撮影を行い、この明度分布が均一になるように補正量が決められてもよい。この場合、光源1201の光学特性に基づく明度ムラも併せて補正される。
以下では、簡単のため、カメラ1203がデジタルカメラであり、モノクロ画像モードにおいてスクリーン1202における透過投影像が撮影される例で説明する。この場合、デジタル画像のピクセルの出力値は、透過投影像の明度に比例している。
カメラ1203がアナログカメラの場合には、以下の説明のデジタル画像を、カメラ1203で撮影画像から生成されたデジタル画像に読み換えればよい。
演算処理部1204は、カメラ1203で撮影されたデジタル画像に基づいて、明度分布を求め、前記明度分布に基づいて、MC値を算出する。演算処理部1204は、適宜の画像処理ソフトが実行可能なコンピュータを含んで構成される。
評価装置1200における各部の配置及び測定時の測定サンプルSの配置について、説明する。
以下では、XYZ直交座標系に基づいて位置関係を説明する場合がある。X軸は、水平面に延びている。Y軸は、水平面においてX軸に直交している。Z軸は、鉛直軸である。ありX軸及びY軸に直交している。X軸に沿う方向、Y軸に沿う方向及びZ軸に沿う方向を、それぞれ、X方向、Y方向及びZ方向と称する。
図2に示すように、評価装置1200において、スクリーン1202は、YZ平面に平行に配置される。光源1201は、スクリーン1202からX方向において、(d1+d2)だけ離して配置される。光源1201の光軸Oは、X軸に平行である。
図3に示すように、測定サンプルSは、光軸O上において、光源1201とスクリーン1202との中間部に配置されている。測定サンプルSの厚み方向の中心を通る断面における矩形外形の各頂点をA、B、C、Dで表すと、辺AD、及び辺BCは、それぞれY軸に平行である。辺ADは光源1201寄りの辺、辺BCはスクリーン1202寄りの辺を表す。
図2に示すように、測定サンプルSにおける矩形ABCDの中心SOは、光軸O上であって、X方向において光源1201から距離d1だけ離れた位置に配置される。さらに測定サンプルSは、水平面から中心SOを通りY軸に平行な軸線を中心として、図示時計回りに仰角θだけ回転された姿勢で配置される。ただし、測定サンプルSの厚みが薄い場合には、測定サンプルS中心SOに代えて、測定サンプルSの厚み方向における一方の表面の中心が上述と同様の位置に配置されてもよい。
ここで、距離d1及びd2は、例えば、光源1201の放射角及び光量、測定サンプルSの大きさ、並びにスクリーン1202の大きさに応じて適宜設定される。例えば、距離d1及びd2は、30〜1000cmであってもよい。
例えば、距離d1は、光源1201を設置できる範囲内においてできるだけ短い距離であることがより好ましい。距離d2は、スクリーン1202を設置できる範囲内においてできるだけ短い距離であることがより好ましい。距離d1及びd2が短いほど、光源1201から照射される測定光を効率よく利用することができる傾向にある。
仰角θは5〜90°が好ましい。例えば、仰角θは20°として測定することができる。
カメラ1203の配置位置は、自身の影及び反射光が撮影範囲に写り込まない位置であって、かつスクリーン1202上の透過投影像の全体を撮影できる位置であれば、特に限定されない。図3に示す例では、平面視では、カメラ1203は、Y方向においてカメラ1203と隣り合う位置に配置されている。ただし、特に図示しないが、カメラ1203は、Z方向においては、測定サンプルSと異なる高さに配置されることによって、自身の影及び反射光が撮影範囲に写り込まない位置に配置されている。
このような配置によれば、光源1201から出射された測定光は、測定サンプルSを透過してスクリーン1202に投影される。光源1201が点光源の場合には、測定光が放射状に広がるため、スクリーン1202上には、測定サンプルSの透過光の光強度に基づく透過投影像が形成される。透過投影像は、カメラ1203によって撮影され、デジタル画像として演算処理部1204に送出される。
例えば、演算処理部1204には、図4に模式的に表すようなデジタル画像が送出される。図4において最外周の枠は、スクリーン1202の端部を表す。中央の台形PaPbPcPdは、測定サンプルSの透過投影像Iを表す。点Pa、Pb、Pc、Pdは、それぞれ、測定サンプルSの点A、B、C、Dに対応する。
透過投影像Iは明度分布を有する。図4に示す例では、高明度部Ibと、低明度部Isと、を有する。高明度部Ibは、測定サンプルSの透過率に応じて透過した測定光がスクリーン1202に投影されて形成される。
透過投影像I上の明度分布は、光路長及び光源1201の放射光強度分布に起因する明度ムラを含んでいる。この明度ムラは、測定サンプルSに凹凸欠陥がなくても、ある程度は生じる。
測定光は放射光であるため、光軸Oを進む測定光の光強度が最大になり、測定サンプルSの周縁に向かうにつれて低下する。光源1201の放射光強度分布も同様である。
この明度ムラが凹凸欠陥に起因する明度ムラよりも大きい場合には、予め補正される。例えば、光軸O上の明度値と、測定サンプルSの外縁部の明度値の差が5以上のときには、上述した明度ムラを補正することがより好ましい。
測定光の光強度分布に起因する明度ムラは、例えば、光の減衰の法則(光の減衰光の強さが光源からの距離の2乗に反比例する)に基づいて補正することができる。例えば、光源1201の放射光強度分布に起因する明度ムラは、光源1201の放射光強度分布に基づいて、補正することができる。
例えば、上述したように、補正用ガラス板を使用して撮影を行うことで、補正用データが取得されてもよい。
ただし、測定条件によって、凹凸欠陥に起因する明度ムラよりも小さい明度ムラしか存在しない場合には、測定光及び光源1201の光強度分布の補正は省略されてもよい。
以下では、測定ノイズとなる明度ムラが除去されているものとして説明する。
低明度部Isは、測定サンプルSの表面における平面性の誤差に対応する凹凸欠陥によって形成されると考えられる。
例えば、測定サンプルSに形成された凹凸の曲率半径が、ある程度小さい場合に、凹凸部のレンズ作用によって、測定光がスクリーン1202に到達するまでに拡散することが考えられる。これは平滑性に依存する。
例えば、測定サンプルSが波形に変形する場合には、表面の凹凸があっても厚みが変わらない場合もある。これは平面性に依存する。この場合、凹凸がレンズ作用を有することはないが、同様の測定光の屈折及び回折が発生するため、明度ムラに寄与することが考えられる。
他にも、例えば、測定サンプルSに形成された凹凸によって、凹凸部の近傍に歪み分布が生じ、測定光の出射方向が乱れて、スクリーン1202上の光強度が変化することも考えられる。
例えば、測定サンプルSへの入射角が大きくなると、入射角に依存する透過率特性の変化が大きくなる。このため、測定サンプルSに形成された凹凸部における透過率が変化して明度ムラに寄与することも考えられる。また、測定サンプルS内部の歪みによる屈折率ムラによって変化する透過率も明度ムラに寄与することも考えられる。
このような要因のいずれか又は複合によって、凹凸欠陥は明度ムラを発生させると考えられる。さらに、明度ムラの大きさは、凹凸欠陥の深さと相関が高いと考えられる。このため、低明度部Isと高明度部Ibとの明度の差によって、測定サンプルSの平面性の評価が可能となる。
図4に示す例では、低明度部Isは、楕円状である。このような低明度部Isは、測定サンプルSの表面における楕円状の凹部又は凸部に対応している。例えば、測定サンプルSにギアマークが形成されている場合には、低明度部Isは、筋状に形成される。この場合、低明度部Isは、第1樹脂基材1001の押出方向に直交する方向に略平行に等ピッチに形成される。
演算処理部1204は、デジタル画像を以下のように解析して、MC値を算出する。
MC値の測定に用いるデジタル画像は、台形PaPbPcPd全体でもよい。しかし、例えば、測定サンプルSの一部が切断されて表示装置に用いられるような場合には、表示装置に用いられる大きさの全範囲で測定されればよい。
場合によっては、測定サンプルSの測定に用いるデジタル画像は、台形PaPbPcPdの内側の一部の領域が台形状に抜き出されてもよい。例えば、MC値によって検出すべき欠陥が、例えば、ギアマークのように方向性、ピッチ等が予め知られている場合には、測定誤差を考慮して複数のギアマークを含む大きさ及び範囲であれば、台形PaPbPcPdの一部の領域が用いられてもよい。例えば、測定サンプルSの形状が、設計上、緩やかな湾曲を有する場合にも同様である。
例えば、測定サンプルSが200mm×200mmの平面視矩形状の場合、測定範囲としては、測定サンプルS上で少なくとも180mm×80mmの大きさの矩形範囲を含むことがより好ましい。ここで、測定範囲の長手方向は、明度変化がより多くなる方向に合わせられる。
例えば、測定サンプルSが平板でなく湾曲板である場合、湾曲を有する方向における測定範囲の幅が50mm以上であることがより好ましい。例えば、測定サンプルSが全体として球面状の湾曲を有する場合、湾曲の頂部を中心として、50mm×50mmの大きさの矩形範囲を含むことがより好ましい。
以下では、一例として、台形PaPbPcPdの全体を使用する場合の例で説明する。
演算処理部1204は、予め決められた測定ライン上の明度分布を取得する。例えば、測定ラインは、測定サンプルS上の辺ADをN等分した点qi(ただし、i=1,・・・,N−1)と、測定サンプルS上の辺BCをN等分した点Qi(ただし、i=1,・・・,N−1)とをそれぞれ結んだ(N−1)本の線分qiQiである。
この場合、測定サンプルS上において、点qiと点Qiとは、ZX平面に平行な平面上の点である。
図4には、透過投影像I上における点qi、Qiが示されている。
例えば、Nは2から10000の間で凹凸欠陥の大きさに応じて適宜選択することができる。例えば、幅100mmの欠陥の場合は、測定ラインのピッチが1〜20mm程度となるようにNを選択すればよい。
例えば、低明度部Isが筋状の場合には、測定ラインが、低明度部Isと交差するように測定サンプルSの配置を変更してデジタル画像を取得する。この場合、測定ラインは、低明度部Isの長手方向に沿う測定ラインのピッチが、1〜20mm程度となるようにNを選択すればよい。
図4に示す例では、N=8である。図5における測定ラインL3は、図4における線分q3Q3に対応する測定ラインを模式的に示している。測定サンプルS上の測定ラインが斜め線として投影されるので、透過投影像I上では測定ラインL3は、デジタル化された斜め線になっている。
演算処理部1204は、光源1201、スクリーン1202、及び測定サンプルSの位置関係に基づいて、測定サンプルS上の点qi、Qiの座標を、透過投影像I上の画素座標に変換することによって、各測定ラインの明度値を抽出する。
図6には、測定ラインL3に沿う明度分布の例が模式的に示されている。図6の横軸はZ方向におけるピクセルの位置、縦軸は明度値を表す。
曲線1210に示すように、測定ラインL3における明度は、点q3から点Q3に向かって、略一定の高い明度値から低下し、最小の明度値になった後、再び略平坦な高い明度値になっている。Z方向において、q3からp1までの区間と、p2からQ3までの区間と、はいずれも高明度部Ibに含まれる。p1からp2までの区間は、低明度部Isに含まれる。
演算処理部1204は、このような明度分布から、明度の最小値Lmin及び最大値Lmaxを求める。
MC値は、下記式(1)で定義される。演算処理部1204は、Lmin、Lmaxを下記式(1)に基づいて、MC値を算出する。
Figure 2020126239
MC値は、明度分布における低明度部Isにおける落ち込みの大きさを客観的に表す指標になっている。
上述したように、低明度部Isの明度は、測定サンプルSの平面性が悪いほど低くなる。このため、MC値の値が大きいほど、測定サンプルSの表面の平面性が劣っており、MC値の値が小さいほど、測定サンプルSの表面の平面性が優れている。
同様にして、演算処理部1204は、測定ラインごとにMC値を算出する。
測定サンプルSのMC値は、各測定ラインのMC値のうちの最大値とされる。
上述の通り、本発明の画像表示用導光板においては、前記樹脂基材のMC値が0.120以下である必要がある。これにより、この導光板を用いて形成される、AR又はMR等のホログラムを利用した表示画像の鮮明性が良好となる。前記樹脂基材のMC値は、0.120以下であり、0.110以下が好ましく、0.100以下がより好ましく、0.080以下がさらに好ましく、0.070以下が特に好ましい。
一方、このMC値を0.001以上とすることによって、基材積層時における基材同士のブロッキングを防ぐことができ、基材加工時の取り扱い性が良好になる傾向にある。前記樹脂基材のMC値は、0.001以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.010以上がさらに好ましく、0.020以上が特に好ましい。
また、上述の通り、本発明の画像表示用導光板においては、前記樹脂基材の屈折率は、1.48〜1.70が好ましい。これにより、画像表示用導光板として用いた際の視野角を拡大させることができる。
さらに、上述の通り、本発明の画像表示用導光板においては、前記樹脂基材のJIS K 6718−1:2015の付属書Aに準拠して測定される熱収縮率が、3%未満であることが好ましい。これにより、この導光板を用いて形成される、AR又はMR等のホログラムを利用した表示画像の鮮明性が良好となる傾向にある。前記熱収縮率は、3.0%未満が好ましく、2.5%以下がより好ましく、2.0%以下がさらに好ましい。
また、上述の通り、本発明の画像表示用導光板においては、前記樹脂基材の表面の算術平均粗さRaが10nm以下であることが好ましい。これにより、この導光板を用いて形成される、AR又はMR等のホログラムを利用した表示画像の鮮明性が良好となる傾向にある。前記樹脂基材の表面の算術平均粗さRaは、10nm以下が好ましく、8nm以下がより好ましく、5nm以下がさらに好ましい。
ここで、図1示す画像表示用導光板1004の説明に戻る。
画像表示用導光板1004におけるホログラム層1002は、第1樹脂基材1001の表面に積層されている。ホログラム層1002の構成は特に限定されない。ホログラム層1002には、画像表示用導光板1004に必要な機能に対応する適宜の回折格子が形成されている。
第2樹脂基材1003は、ホログラム層1002における第1樹脂基材1001と反対側の表面に積層されている。第2樹脂基材1003としては、第1樹脂基材1001と同様の構成が用いられる。ただし、第2樹脂基材1003の厚み及び材質等は、第1樹脂基材1001と相違していてもよい。特に、第2樹脂基材1003は、画像表示用導光板1004における表示画像出射側と反対の外光入射側の表面に配置されるので、第1樹脂基材1001に比べて表面硬度が高い材料が用いられてもよい。
このような画像表示用導光板1004は、例えば、以下のようにして製造できる。
上述した製造方法を用いて、MC値が0.120以下の第1樹脂基材1001及び第2樹脂基材1003が準備される。例えば、第1樹脂基材1001上に、ホログラム形成用のフォトポリマー材料が塗布される。このとき、第1樹脂基材1001の外周部には、ホログラム層1002と同厚みの透明なシール層が設けられてもよい。この場合、フォトポリマー材料は、シール層で囲まれて形成された凹部に塗布される。シール層は、ホログラム層1002の形成後にホログラム層1002の外周部をシールする。シール層としてはガスバリア性に優れる材料が用いられてもよい。この場合、ホログラム層1002の耐久性を向上できる。
この後、フォトポリマー材料上に第2樹脂基材1003が載置される。
ただし、上述の製造順序は一例である。例えば、第2樹脂基材1003にフォトポリマー材料が塗布されてから、第1樹脂基材1001がフォトポリマー材料上に載置されてもよい。
この後、減圧プレスによって、第1樹脂基材1001、フォトポリマー材料、及び第2樹脂基材1003の積層体が貼り合わせられる。
この後、積層体のフォトポリマー材料に回折パターンに対応した干渉縞を形成し、フォトポリマー材料中に、回折格子を形成する。
このようにして、画像表示用導光板1004が製造される。
画像表示用導光板1004によれば、第1樹脂基材1001及び第2樹脂基材1003のMC値が0.120以下であるので、それぞれの表面における凹凸欠陥が低減されている。この結果、第1樹脂基材1001を透過して画像表示する画像光と、第2樹脂基材1003及び第1樹脂基材1001を透過して、画像光に重ね合わされる外光との各光路が、凹凸欠陥の影響を受けて乱れることが抑制される。これにより、画像表示用導光板1004において鮮明な画像が表示される。
以上説明したように、本実施形態によれば、樹脂基材を用いた場合であっても鮮明な画像が表示できる画像表示用導光板を提供できる。
<第1変形例>
本発明の第1の実施形態の第1変形例について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。
図7に示すように、本発明の第1の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板1014は、本発明の第1の実施形態の基本例の画像表示用導光板1004に第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bが追加されている。
以下、本発明の第1の実施形態の基本例と異なる点を中心に説明する。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bは、主として、第1樹脂基材1001の表面保護を目的として設けられている。第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの材料は、少なくとも一方の表面の硬度が第1樹脂基材1001の表面よりも高硬度の透明材料からなる。第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bは、少なくとも一方の表面の硬度が第1樹脂基材1001よりも高硬度であれば、硬度が異なる複数の透明材料からなる多層構造を有していてもよい。
図7に示す例では、第1ハードコート層1011Aは、第1樹脂基材1001においてホログラム層1002と反対側の第1表面1001aに配置されている。第1ハードコート層1011Aは、画像表示用導光板1014の最外面を形成している。
第2ハードコート層1011Bは、第1樹脂基材1001においてホログラム層1002と対向する第2表面1001bに配置されている。
第1ハードコート層1011Aの厚みは、1〜50μmであることがより好ましい。
第2ハードコート層1011Bの厚みは、1〜50μmであることがより好ましい。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの表面の平面性は、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bと、第1樹脂基材1001との積層体(以下、コーティング済み基材と称する)として、MC値を計測した場合に、0.120以下であることがより好ましい。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの表面における算術平均粗さRaは10nm以下であることがより好ましい。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの材料の屈折率は、特に限定されない。
例えば、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの材料の屈折率は、実像の視認性の観点では第1樹脂基材1001と同等以下がよいが、ハードコート層の硬度を上げる等の目的材料を選択した場合には第1樹脂基材1001の屈折率よりも高くなってもよい。
例えば、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの材料の屈折率が第1樹脂基材1001の材料の屈折率と等しい場合、第1樹脂基材1001の表面と第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bとの界面は、光学的には消失する。この場合、コーティング済み基材のMC値は、実質的に第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの表面の凹凸欠陥の程度を表している。例えば、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bを形成することによって第1樹脂基材1001の表面よりも凹凸欠陥が少なくなる場合には、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの材料の屈折率は、第1樹脂基材1001の材料の屈折率に近いことがより好ましい。
一般には、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの材料の屈折率と、第1樹脂基材1001の材料の屈折率とは異なるので、コーティング済み基材のMC値は、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの表面の凹凸欠陥と、第1樹脂基材1001の表面の凹凸欠陥と、をともに含む評価が得られる。ただし、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの層厚が一定に形成されることによって、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの表面の凹凸欠陥が第1樹脂基材1001の表面の凹凸欠陥にならう場合には、第1樹脂基材1001自体のMC値は、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bが形成された第1樹脂基材1001のMC値に等しいと考えられる。
例えば、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの材料の屈折率は、広視野角の観点ではホログラム層1002の材料の屈折率に対して同等以上の屈折率が好ましい。屈折率が大きくなるほど、導光させる光の臨界角度を大きくできる傾向がある。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの表面硬度は、第1樹脂基材1001の表面硬度より高ければ特に限定されない。例えば、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの鉛筆硬度(JIS K 5600−5−4:1999)は、H以上であることがより好ましく、2H以上であることがさらに好ましい。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bに好適な材料としては、例えば、活性エネルギー線の照射により硬化物を形成する重合性モノマー又は重合性オリゴマー等を含むハードコート剤が挙げられる。前記重合性モノマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。前記重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
前記分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーが挙げられる。前記分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する構成単位を含むオリゴマーが挙げられる。前記重合性モノマー又は前記重合性オリゴマーは、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では高い表面硬度等から、ウレタン(メタ)アクリレートのモノマー又はオリゴマーが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリイソシアネート化合物と分子構造中に水酸基を一つ有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリイソシアネート化合物と分子構造中に水酸基を一つ有する(メタ)アクリレート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが例示される。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bは、多官能(メタ)アクリレートの硬化物を含んでもよい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート若しくはジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、又はこれらをPO、EO若しくはカプロラクトン等で変性したものが挙げられる。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの形成にあたり、物性を阻害しない範囲で架橋剤、重合開始剤、滑剤、可塑剤、有機粒子、無機粒子、防汚剤、酸化防止剤若しくは触媒等の添加剤、又は汚れ及び付着を防止するためのシリコーン系若しくはフッ素系等の添加剤をハードコート剤に添加してもよい。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bは、第1樹脂基材1001と屈折率が異なる材料が用いられてもよい。この場合、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bによって、画像表示用導光板1014の最外面の屈折率と、ホログラム層1002との界面による屈折率とを、第1樹脂基材1001の屈折率から変更することができる。
このような本発明の第1の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板1014は、例えば、上述した本発明の第1の実施形態の基本例と同様にして第1樹脂基材1001を形成した後、ホログラム層1002を形成するフォトポリマー材料と積層させるまでの間に、第1樹脂基材1001の第1表面1001a及び第2表面1001bに、それぞれ第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bを形成する以外は、本発明の第1の実施形態の基本例と同様にして製造することができる。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bは、それぞれの原料となるハードコート液をそれぞれに第1表面1001a及び第2表面1001bした後、ハードコート液を硬化させることによって形成できる。ハードコート液の塗布方法は特に限定されない。例えば、ハードコート液の塗布方法としては、流延法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、ディッピング法等の塗布法で、光硬化性樹脂組成物を基材表面上に直接塗布し、この塗布膜に光照射して硬化させることにより基材上に硬化膜を形成する方法がある。
また、例えば、注型重合用の型を構成する為の少なくとも一つの鋳型材の表面上に、上記塗布法等により光硬化性樹脂組成物を塗布し、この塗布膜に光照射して硬化させることにより型材上に硬化膜を形成し、この型材を用いて硬化膜が内側となるように注型重合用の型を組み立て、この型内に基材の原料を注入して注型重合を行い、重合完了後、基材表面に硬化膜が一体化した積層体を取り出す方法等が挙げられる。
ただし、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bは、第1樹脂基材1001の製造工程において、第1樹脂基材1001と同様に形成されてもよい。
第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bに用いる材料及び材料の塗布方法は、第1樹脂基材1001の表面の凹凸欠陥の凹凸を増大させにくい材料及び材料の塗布方法が用いられることがより好ましい。第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bに用いる材料及び材料の塗布方法は、第1樹脂基材1001の表面の凹凸欠陥の凹凸を緩和する材料及び材料の塗布方法が用いられることがさらに好ましい。
例えば、材料としては、上述のハードコート剤、アルコキシシラン重縮合系硬化樹脂、メラミン系樹脂等を用いることができる。
例えば、塗布方法としては、バーコーティング、ディップコーティング、リバースグラビアコーティング、ダイレクトグラビアコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング又はカーテンコーティング等の従来公知の塗工方式を用いることができ、ディップコーティング、ダイコーティング又はグラビアコーティングが特に好ましい。
本発明の第1の実施形態の第1変形例によれば、本発明の第1の実施形態の基本例と同様、第1樹脂基材1001及び第2樹脂基材1003のMC値が、0.120以下であるため、本発明の第1の実施形態の基本例と同様、樹脂基材を用いた場合であっても鮮明な画像が表示できる画像表示用導光板を提供できる。
さらに、本発明の第1の実施形態の第1変形例によれば、第1樹脂基材1001に第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bが積層されているので、第1樹脂基材1001の表面の傷つきが防止される。
例えば、画像表示用導光板1014及び表示装置の製造工程において、第1樹脂基材1001の表面の傷つきによる平面性の悪化が防止される。このため、搬送等、製造工程における取り扱いに起因する画像表示用導光板1014及び表示装置の不良率が低減できる。
例えば、第1ハードコート層1011Aは、画像表示用導光板1014の最表面を構成するため、画像表示用導光板1014の使用時における最表面の傷つきに起因する画質の低下が抑制される。
なお、上記第1変形例の説明では、第1樹脂基材1001の厚み方向における各表面にハードコート層が形成された場合の例で説明した。しかし、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの一方は省略されてもよい。
上記第1変形例の説明では、第1樹脂基材1001のみにハードコート層が形成された場合の例で説明した。しかし、第2樹脂基材1003にも、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bの少なくとも一方が形成されてもよい。
[第2の実施形態]
<基本例>
以下、本発明の第2の実施形態の画像表示用導光板について説明する。
本発明の第2の実施形態の画像表示用導光板は、第1樹脂基材と、第1バリア層と、ホログラム層とを有する。前記第1バリア層は、前記第1樹脂基材及び前記ホログラム層の少なくとも一方の表面に配置されていることが好ましく、前記第1バリア層は前記ホログラム層上に配置されていることがより好ましい。前記前記第1樹脂基材と、前記第1バリア層と、前記ホログラム層とは、厚み方向において、この順に配置されていことが好ましい。
本発明の第2の実施形態の画像表示用導光板は、さらに第2バリア層及び第2樹脂基材を有していてもよい。前記第1バリア層は、前記第1樹脂基材の前記ホログラム層と対向する側の表面及び前記ホログラム層の前記第1樹脂基材と対向する側の表面のうち少なくとも一方の表面に配置され、前記第2バリア層は、前記第2樹脂基材の前記ホログラム層と対向する側の表面及び前記ホログラム層の前記第2樹脂層と対向する側の表面に配置されていることが好ましく、前記第1バリア層及び前記第2バリア層は、それぞれ、前記ホログラム層の前記第1樹脂基材と対向する側の表面及びの表面及び前記ホログラム層の前記第2樹脂層と対向する側の表面に配置されていることがより好ましい。前記第1樹脂基材と、前記第1バリア層と、前記ホログラム層と、前記第2バリア層と、前記第2樹脂基材とは、厚み方向において、この順に積層されていることが好ましい。
本実施形態において、第1樹脂基材及び第2樹脂基材を総称して、単に「樹脂基材」という場合がある。また、第1バリア層及び第2バリア層を総称して、単に「バリア層」という場合がある。
前記バリア層と前記樹脂基材との間には1層以上の透明層が配置されてもよい。また、前記バリア層とホログラム層との間には1層以上の透明層が配置されてもよい。
前記透明層としては、例えば、ハードコート層、接着剤層又はアンカーコート層が挙げられる。
本発明の第2の実施形態の画像表示用導光板において、前記バリア層及び前記ホログラム層を、前記樹脂基材との間に挟むガラス基材が設けられてもよい。この場合、前記ガラス基材自体がバリア性を有するので、前記ガラス基材は、前記ホログラム層においてバリア層と対向する表面と反対側の表面に配置されてもよい。
前記樹脂基材としては、上述の第1の実施形態における樹脂基材を好適に用いることができる。
前記樹脂基材に用いられる材料は、透明材料であれば特に限定されないが、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。
前記バリア層の屈折率は、前記樹脂基材の屈折率より高いことが好ましく、1.48以上がより好ましい。
前記バリア層の材料としては、水蒸気バリア性材料が用いられることが好ましい。
また、前記バリア層の材料としては、無機材料を含むことが好ましく、珪素酸化物、珪素窒素酸化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、アルミニウム酸化物及びガラスからなる群から選択される少なくとも1種の無機材料を含むことがより好ましい。
また、フッ素系材料、シクロオレフィン系ポリマー又は塩化ビニリデン等を含む補助層を前記バリア層の一部として、上記の無機材料と併用することで、バリア層を多層構造とすることもでき、水蒸気バリア性をさらに高めることができる。
さらに、前記バリア層は、樹脂フィルム上に配置されていてもよい。この場合、前記樹脂フィルムは、前記バリア層と前記樹脂基材との間に配置されることがより好ましい。
前記ホログラム層は、第1樹脂基材と第2樹脂基材との間、又は第1樹脂基材とガラス基材との間に挟まれている。
前記画像表示用導光板は、画像光を入射する入射部と、画像光による画像を表示する表示部とを有する。前記ホログラム層は、前記入射部と前記表示部との間に配置されている。前記ホログラム層には、少なくとも前記入射部から入射される画像光を前記表示部に導波し、前記表示部から出射させるための回折格子パターンが形成されている。前記表示部における回折格子パターンは、前記画像表示用導光板の外部から入射する外光の少なくとも一部を透過させる。
前記入射部に入射した画像光は、前記ホログラム層内に導波され、前記表示部から外部に出射される。一方、外光も前記樹脂基材及び前記表示部を透過する結果、前記表示部の観察者は、画像光及び外光の両方を、視野内で観察することができる。
本発明の第2の実施形態の画像表示用導光板は、VR技術又はAR技術を用いた表示装置に好適に用いられる。例えば、本発明の第2の実施形態の画像表示用導光板は、ディスプレイ用途の他に、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)のコンバイナ又は反射型液晶表示デバイス用の反射板に代表されるホログラム光学素子(HOE)等の装置に用いられてもよい。
前記ホログラム層には、公知のホログラム形成用樹脂材料が用いられる。前記ホログラム形成用樹脂材料としては、例えば、溶媒可溶性でカチオン重合可能なエチレンオキシド環を構造単位中に少なくとも一つ有する熱硬化性樹脂と、ラジカル重合可能なエチレン性モノマーよりなるホログラム記録材料(特開平8−1676号公報、特開平8−1677号公報、特開平8−1678号公報、特開平8−1679号公報)が挙げられる。
以下、図9に示す例に基づいて、本発明の第2の実施形態の画像表示用導光板の一例の詳細構成を説明する。図9は、本発明の第2の実施形態の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。
図9に示す画像表示用導光板2006では、厚み方向において、第1樹脂基材2001と、第1バリア層2002と、ホログラム層2003と、第2バリア層2004と、第2樹脂基材2005とがこの順に配置されている。
画像表示用導光板2006の平面視形状は、特に限定されない。例えば、画像表示用導光板2006は、用いられる表示装置に取り付け可能な形状に整形されていてもよい。
例えば、画像表示用導光板2006は、表示装置に取り付ける形状よりも大きな矩形板であってもよい。この場合、画像表示用導光板2006は、表示装置に組み立てられる前に、表示装置に取り付け可能な形状に切断される等して成形される。
画像表示用導光板2006は、平板状であってもよいし、必要に応じて湾曲板状であってもよい。
以下では、画像表示用導光板2006が平面視矩形状の平板からなる場合の例で説明する。
第1樹脂基材2001は、画像表示用導光板2006の厚み方向の最外部に配置されている。第1樹脂基材2001は、画像表示用導光板2006における表示画像出射側の表面に配置されている。
第1樹脂基材2001は、画像表示用導光板2006の外形と同様の形状を有する。
第1樹脂基材2001には、ホログラム層2003から出射される画像光と、後述する第2樹脂基材2005及びホログラム層2003を透過する外光とが透過する。
第1樹脂基材2001の厚みは特に限定されない。例えば、第1樹脂基材2001の厚みは、0.1〜10mmであってもよい。
第1樹脂基材2001を形成する材料は、透明樹脂材料であれば特に制限はない。第1樹脂基材2001を形成する材料としては、透明性及び光の屈折率等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性及び耐久性等の諸物性を考慮して、例えば、エチレン、プロピレン若しくはブテン等のオレフィンの単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン系樹脂;環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、フッ素樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、セルロース、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリノルボルネン、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、アリルジグリコールカーボネート、及び生分解樹脂等の有機材料が挙げられる。これらの中でも、ポリ(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、環状ポリオレフィン及びポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。なお、第1樹脂基材2001は、2種以上の材料で形成されていてもよいし、2種以上の材料が積層した積層構造であってもよい。
第1樹脂基材2001の透明性の観点では、ポリカーボネート又はポリ(メタ)アクリル樹脂が好ましい。第1樹脂基材2001の耐薬品性及び加工性等の耐プロセス性の観点では、ポリ(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂又は環状ポリオレフィンが好ましい。透明性及び耐プロセス性を両立できることから、ポリ(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
第1バリア層2002は、第1樹脂基材2001と後述するホログラム層2003との間に配置され、図9に示す構成においては、第1樹脂基材2001及びホログラム層2003のそれぞれの表面に密着している。ただし、第1バリア層2002は第1樹脂基材2001及びホログラム層2003の両方の表面に密着している必要はなく、少なくともホログラム層2003上に配置されていることが好ましい。第1バリア層2002は、画像表示用導光板2006の外部及び第1樹脂基材2001から浸透するガスがホログラム層2003に浸透することを防止する。
第1バリア層2002は、例えば、酸素透過率及び水蒸気透過率が小さいほど好ましい。特に、第1バリア層2002は、ホログラム層の劣化を抑制できることから、水蒸気バリア性に優れる(水蒸気透過率が小さい)材料で構成されることがより好ましい。
例えば、第1バリア層2002の酸素透過率は、1cm/m・day以下であってもよい。
例えば、第1バリア層2002の水蒸気透過率は、1g/m・day以下であってもよい。第1バリア層2002の水蒸気透過率は、0.5g/m・day以下がより好ましい。
第1バリア層2002は、ホログラム層2003の劣化の要因となるガスをバリアできる性質を有すれば、その材料は特に限定されないが、このガスバリア性に優れるとともに、表示画像の鮮明性にも優れる傾向にあることから、無機材料を含むのが好ましい。
この場合、第1バリア層2002に用いる無機材料は、第1樹脂基材2001よりも高い屈折率を有していてもよい。例えば、第1バリア層2002の屈折率は、1.48〜3.00であってもよい。第1バリア層2002が高屈折率であると、第1バリア層2002を経由して第1樹脂基材2001を透過する光は、光学的に密な第1バリア層2002から光学的に粗な第1樹脂基材2001に入射するため、第1バリア層2002から第1樹脂基材2001に向かう光の出射角が、第1バリア層2002と第1樹脂基材2001との屈折率差に応じて大きくなる。これにより、画像表示用導光板2006におけるFOV(Field Of View)を広げることができる。
第1バリア層2002の材料としては、例えば、珪素酸化物、珪素窒素酸化物、DLC、アルミニウム酸化物及びガラスが挙げられる。
第1バリア層2002の材料は、上述の通りであるが、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロム、酸化ケイ素、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化バリウム等の酸化物であってもよい。
第1バリア層2002が珪素酸化物からなる場合、その層厚は、10〜300nmであってもよい。前記層厚が10nm未満であると、防湿性が不充分になるおそれがある。前記層厚が300nmを超えると、前記珪素酸化物の薄膜に亀裂が起こりやすくなり、成膜面から剥離するおそれがある。
特に好ましい層厚としては、20〜200nmである。
前記珪素酸化物によって第1バリア層2002を形成する方法は特に限定されない。例えば、第1バリア層2002は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法又はプラズマCVD法等の従来知られているいずれかの方法で形成することができる。前記珪素酸化物によって第1バリア層2002を形成する際、成膜面と前記珪素酸化物との接着性を向上させるために、前記成膜面にコロナ放電処理又は低温プラズマ処理を施したり、前記成膜面にシランカップリング剤を塗布したり、飽和ポリエステルとイソシアネートとの混合物を塗布したりする等の表面処理を施してもよい。
例えば、真空蒸着法によって珪素酸化物の薄膜を成膜する場合には、蒸発物質として珪素、一酸化珪素、二酸化珪素又はこれらの混合物を用い、1.0×10−3〜1.0×10−5Torrの真空下で、電子ビーム、抵抗加熱又は高周波加熱方式で加熱蒸発させる。
また、酸素ガスを供給しながら行う反応蒸着法も採用できる。
第1バリア層2002を形成する珪素酸化物には、10質量%以下であれば、その中に不純物としてカルシウム、マグネシウム又はそれらの酸化物が混入していてもよい。
第1バリア層2002が珪素窒素酸化物からなる場合、前記珪素酸化物が前記珪素窒素酸化物に代えられた以外は、前記珪素酸化物を主成分とする第1バリア層2002と同様の構成が用いられる。
DLCは、一般的にはダイヤモンド状の構造と、グラファイト状の構造と、水素原子を構造に含むポリエチレン様の高分子構造と、の三元系の構造からなる非晶質炭素材料である。前記DLCの生成に当たり、炭素源としてエチレン、アセチレン又はベンゼン等の炭化水素を用いた場合には通常は水素を含む基本的に三元系の構造となる。
前記DLCは、硬質性、潤滑性、耐摩耗性、化学的安定性、耐熱性及び表面平滑性に優れている。前記DLCは、上述の緻密な高分子構造を形成するため、ガスバリア性及び水蒸気バリア性にも優れる。
前記DLCによって第1バリア層2002を形成する場合の形成方法は、特に限定されない。前記DLCのコーティング方法として、例えば、プラズマCVD法、又はイオンプレーティング法若しくはイオンビームスパッタリング法等の物理的蒸着法等、周知の適宜コーティング方法を用いることができる。
第1バリア層2002がアルミニウム酸化物からなる場合、第1バリア層2002は、例えば、Alのみで形成されてもよいし、Al、AlO及びAlからなる群から選択される2種以上が混じり合って形成されてもよい。アルミニウム酸化物層におけるAl:Oの原子数比は、前記アルミニウム酸化物層の作製条件によって異なる。第1バリア層2002として使用できるアルミニウム酸化物層は、バリア性能が損なわれない範囲で微量(全成分に対して高々3%まで)の他成分が含まれてもよい。
前記アルミニウム酸化物層の層厚は、バリア性能の必要に応じて設定されればよい。例えば、前記アルミニウム酸化物層の層厚は、5〜800nmであってもよい。
アルミニウム酸化物によって第1バリア層2002を形成する方法は特に限定されない。例えば、第1バリア層2002を形成する方法として、真空蒸着法、スパッター法若しくはイオンプレーティング等のPVD法(物理蒸着法)、又はCVD法(化学蒸着法)が用いられてもよい。
例えば、真空蒸着法においては、蒸着源材料としてAl、Al等が用いられ、蒸着源の加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビ−ム加熱等が用いられてもよい。真空蒸着法においては、反応性ガスとして、酸素、窒素又は水蒸気等を導入したり、オゾン添加又はイオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を用いたりしてもよい。さらに、成膜面にバイアスを加えたり、成膜面の温度を上昇したり、冷却したりしてもよい。スパッター法その他の真空蒸着法以外のPVD法及びCVD法等の他の成膜方法においても同様である。
第1バリア層2002がガラスからなる場合、第1バリア層2002の材料としては、例えば、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラス若しくはゾルゲルガラス、又はこれらのガラスに熱処理若しくは表面処理を施したものが挙げられる。第1バリア層2002の材料としては、不純物による着色を避ける観点から、無アルカリガラスが特に好ましい。
第1バリア層2002がガラスからなる場合、その層厚は、10〜200μmであってもよい。前記層厚が10μm以上であると、機械的強度とともにガスバリア性に優れる傾向にある。前記層厚は、10μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。また、前記層厚が200μm以下であると、光透過率等の導光板としての光学特性に優れる傾向にある。前記層厚は、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、75μm以下がさらに好ましく、50μm以下が特に好ましい。
ガラスによって第1バリア層2002を形成する方法は特に限定されない。ガラスによって第1バリア層2002を形成する方法として、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法又はフロート法を採用することができる。また、使用するガラスは、市販のガラスをそのまま用いてもよいし、市販のガラスを所望の厚みになるように研磨して用いてもよい。前記市販のガラスとしては、例えば、コーニング社製「EAGLE2000」、旭硝子社製「AN100」、日本電気硝子社製「OA10G」及びショット社製「D263」が挙げられる。
また、第1バリア層2002の一部として、フッ素系材料、シクロオレフィン系ポリマー又は塩化ビニリデン等を含む補助層を導入することができ、第1バリア層2002を上述の無機材料層との多層構造とすることで、水蒸気バリア性をさらに高めることができる。
このフッ素系材料としては、例えば、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)を用いることができる。また、シクロオレフィン系ポリマーとしては、シクロオレフィンポリマー又はシクロオレフィンコポリマー等を用いることができる。
この補助層の層厚は、水蒸気バリア性能の必要に応じて設定されればよい。例えば、フッ素系材料を用いた場合の層厚は、0.1〜100μmであってもよい。
ホログラム層2003は、第1バリア層2002の表面に積層されている。ホログラム層2003の構成は特に限定されない。ホログラム層2003には、画像表示用導光板2006に必要な機能に対応する適宜の回折格子が形成されている。
第2バリア層2004は、第1バリア層2002が形成されたホログラム層2003の表面と反対側のホログラム層2003の表面に積層されている。
第2バリア層2004の構成は、第1バリア層2002の説明において例示されたのと同様の構成が用いられる。ただし、第2バリア層2004の材料、厚み等は、第1バリア層2002と相違していてもよい。
第2樹脂基材2005は、ホログラム層2003と反対側の第2バリア層2004の表面に積層されている。第2樹脂基材2005としては、第1樹脂基材2001の説明において例示されたのと同様の構成が用いられる。ただし、第2樹脂基材2005の厚み、材料等は、第1樹脂基材2001と相違していてもよい。特に、第2樹脂基材2005は、画像表示用導光板2006における表示画像出射側と反対に位置する外光入射側の表面に配置されるので、第1樹脂基材2001に比べて表面硬度が高い材料が用いられてもよい。
このような画像表示用導光板2006は、例えば、以下のようにして製造できる。
第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005が準備され、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005の表面に、第1バリア層2002及び第2バリア層2004がそれぞれ形成される。第1バリア層2002及び第2バリア層2004の製造方法としては、第1バリア層2002及び第2バリア層2004の材料に応じて適宜の製造方法が選択される。
例えば、第1バリア層2002が形成された第1樹脂基材2001における第1バリア層2002の表面に、ホログラム形成用の感光材料が塗布される。このとき、第1バリア層2002の外周部には、ホログラム層2003と同厚みの透明なシール層が設けられてもよい。この場合、感光材料は、シール層で囲まれて形成された凹部に塗布される。シール層は、ホログラム層2003の形成後にホログラム層2003の外周部をシールする。なお、このシール層には、第1バリア層2002に用いられるようなガスバリア性に優れる材料を用いることができ、これにより、ホログラム層2003の耐久性を向上させることができる。
この後、感光材料上に、第2バリア層2004が形成された第2樹脂基材2005が、第2バリア層2004を感光材料の方に向けられた状態で載置される。
ただし、上述の製造順序は一例である。例えば、第2バリア層2004が形成された第2樹脂基材2005に感光材料が塗布されてから、第1バリア層2002が形成された第1樹脂基材2001が感光材料上に載置されてもよい。
この後、減圧プレスによって、第1樹脂基材2001、第1バリア層2002、感光材料、第2バリア層2004、及び第2樹脂基材2005からなる積層体が貼り合わせられる。
この後、積層体の感光材料に回折パターンに対応した干渉縞を形成し、感光材料中に、回折格子を形成する。
このようにして、画像表示用導光板2006が製造される。
画像表示用導光板2006によれば、第1樹脂基材2001とホログラム層2003との間、及び第2樹脂基材2005とホログラム層2003との間に、それぞれ、第1バリア層2002及び第2バリア層2004が配置されている。
第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005のガスバリア性は、樹脂材料の種類によって程度の差はあるが、ガラスに比べると格段に低い。このため、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005は、ガラスよりもより高い吸湿性及び水蒸気透過性を有している。
この結果、画像表示用導光板2006の外部のガスは、ある程度、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005を透過したり、内部に蓄積したりする。特に第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005には、水分が蓄積しやすい。
しかし、外部から第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005に浸透したガス及び水分は、画像表示用導光板2006内で拡散しても第1バリア層2002及び第2バリア層2004によって遮蔽される。これにより、ホログラム層2003へのガス及び水蒸気の浸透が抑制される。
例えば、ホログラム層2003への水分の浸透が抑制されることにより、ホログラム層2003の劣化が防止される。
さらに、画像表示用導光板2006では、上述の層構成を有するため、ホログラム層2003は、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005と接触していない。これにより、画像表示用導光板2006が高温環境下に配置されても、ホログラム層2003が、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005を浸食することが防止される。
特に、第1バリア層2002及び第2バリア層2004の屈折率が、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005に比べて高屈折率であると、上述したように、第1バリア層2002から第1樹脂基材2001に向かう光の出射角が大きくなる。同様に、第2樹脂基材2005から第2バリア層2004に入射する光は、出射角が狭められる。このため、第2樹脂基材2005側の外部から入射して、画像表示用導光板2006を透過する光は、第2バリア層2004を有しない場合に比べて、より広角の範囲の光が入射し、第1バリア層2002を有しない場合に比べて、より広角の範囲に出射される。この結果、外部光の視野の範囲がより広がるとともに、表示側のFOVも広がる。
ホログラム層2003からの画像光に関しては、上述したように、第1バリア層2002から第1樹脂基材2001に向かう光の出射角が大きくなる結果、第1バリア層2002を有しない場合に比べて、表示画面のFOVが広がる。
特に、本実施形態では、第1バリア層2002及び第2バリア層2004が、ホログラム層2003上に積層されることによって、外部光及び画像光の拡散位置と、表示画面を構成するホログラム層2003の回折位置とが、近づくため、このため、ホログラム層2003から離れた位置に第1バリア層2002及び第2バリア層2004が設けられる場合に比べると、より鮮明な画像が広範囲の角度から観察可能になる。
ここで、画像表示用導光板2006における輝度値及びFOVの測定方法の一例について簡単に説明する。
図10は、輝度値及びFOVの測定方法を説明する模式的な正面図である。
図10に示すように、画像表示用導光板2006の輝度値及びFOVを測定するには、画像表示用導光板2006を用いて表示装置2010が製造される。
表示装置2010は、画像表示用導光板2006に加えて、画像光投影部2013及び入射光学系2012を備える。
画像光投影部2013は、図示略のコントローラから送出される画像信号に応じて、画像表示用導光板2006に表示する画像光を投影する。
入射光学系2012は、例えば、プリズム等を備える。入射光学系2012は、画像光投影部2013から出射される画像光を画像表示用導光板2006の表面に設けられた入射部2006aに入射させる。例えば、入射部2006aは、第1樹脂基材2001側の表面に設けられている。
入射部2006aに入射した画像光は、ホログラム層2003に形成された導波回折格子部2003bを経由して、ホログラム層2003の表示用回折格子部2003cに到達する。表示用回折格子部2003cでは、画像光を各表示画素に対応する位置で回折する。回折光は、画像表示用導光板2006の表面における表示部2006dから外部に出射される。図10に示す例では、表示部2006dは、第1樹脂基材2001側の表面において、入射部2006aから離間した位置に形成されている。
画像表示用導光板2006の輝度値及びFOVの測定は、表示装置2010を測定装置2015に配置することによって行われる。
測定装置2015は、保持台(図示略)と、輝度計2014と、ゴニオステージ(図示略)と、を備える。
前記保持台は、表示装置2010を保持する。輝度計2014は、受光光の輝度値を計測する。前記ゴニオステージは、その回転中心を中心とする円周上で、輝度計2014を揺動可能に支持する。
輝度計2014と表示面2003aとの距離dは、表示装置2010の装着時における使用者の目の位置に対応する距離である。例えば、表示装置2010がヘッドマウントディスプレイの場合、距離dは15mmとされる。
画像表示用導光板2006の輝度値は、輝度計2014を、揺動角0°の位置(図10における実線の輝度計2014参照)に配置して測定される。表示装置2010は、前記保持台によって、表示面2003aの中心が輝度計2014の測定光軸上で輝度計2014と対向する位置に配置される。
前記輝度値は、表示装置2010に最大輝度の白色画像を表示させたときに輝度計2014で測定される輝度である。
画像表示用導光板2006のFOVの測定では、表示装置2010に最大輝度の白色画像を表示させた状態で、揺動角θを変化させて輝度を測定する。前記白色画像が見えなくなることに対応する輝度を閾値として、前記閾値以上の輝度が得られる角度範囲として求められる。前記閾値以上の輝度が−θ1から+θ2までの範囲で得られる場合、FOVは、θ1+θ2である。
画像表示用導光板2006のFOVは、24〜160°が好ましく、35〜160°がより好ましい。また、FOVが大きくなるほど、画像を見る角度が拡大して画像の情報量も多くなり、適用できる用途の幅も広がる。一方、FOVが上限値よりも小さいと、一定の面積に対する取り出される光量が多くなる傾向があり、画像が明るくなるため好ましい。
例えば、第1バリア層2002及び第2バリア層2004と、ホログラム層2003との距離が近いほど、FOVは約10°以上向上できる。その距離は1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、100nm以下が最も好ましい。
以上説明したように、本実施形態によれば、樹脂基材を用いた場合であってもホログラム層の劣化を抑制できる画像表示用導光板を提供できる。
<第1変形例>
本発明の第2の実施形態の第1変形例について説明する。
図11は、本発明の第2の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。
図11に示すように、本発明の第2の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板2016は、本発明の第2の実施形態の基本例の画像表示用導光板2006の第1バリア層2002及び第2バリア層2004に代えて、第1バリアフィルム2022及び第2バリアフィルム2024を備える。
以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1バリアフィルム2022は、バリア層2022Aと、樹脂フィルム2022Bとを備える。
バリア層2022Aは、上記実施形態における第1バリア層2002と同様に構成される。
樹脂フィルム2022Bは、バリア層2022Aを成膜する基体である。樹脂フィルム2022Bの材料は、バリア層2022Aを成膜することができる透明樹脂フィルムであれば特に限定されない。
例えば、樹脂フィルム2022Bの材料としては、ポリプロピレン、ABS、非結晶性ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、環状ポリオレフィン共重合体であるポリノルボルネン、環状ポリオレフィン樹脂、ポリシクロヘキセン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、フッ素樹脂、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルケトン(PEK)、もしくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂が用いられてもよい。
例えば、熱膨張係数、湿度膨張係数、及びガラス転移温度を考慮するとき、樹脂フィルム2022Bとしてより好適な材料としては、結晶性樹脂では、熱可塑性樹脂であるポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、熱硬化性樹脂では、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等を挙げることができる。例えば、非結晶性樹脂では、熱可塑性樹脂であるポリカーボネート、もしくは変性ポリフェニレンエーテル等、熱硬化性樹脂では、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネートは、吸水性が低いため、これを用いて構成された第1バリアフィルム2022は、湿度膨張係数が低くなるので、特に好ましい。
樹脂フィルム2022Bの厚みは、特に限定されない。ただし、樹脂フィルム2022Bは、第1樹脂基材2001よりも薄いことがより好ましい。例えば、樹脂フィルム2022Bの厚みは、1〜200μmであってもよい。
樹脂フィルム2022Bとしては、表面の平滑性が高い材料が用いられることがより好ましい。この場合、バリア層2022Aの表面の平滑性が向上し、バリア層2022Aの層厚を均一にやすい。樹脂フィルム2022Bの表面の平滑性としては、算術平均粗さRaで2nm以下であることがより好ましい。
樹脂フィルム2022Bの表面は、バリア層2022Aとの密着性及び後述する第1接着層2026との密着性を向上するために、種々の表面改質処理が施されてもよい。例えば、樹脂フィルム2022Bの表面には、コロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、プラズマ処理、もしくはプライマー層の積層等等の処理が施されてもよい。
このような第1バリアフィルム2022は、バリア層2022Aに樹脂フィルム2022Bを成膜することにより製造される。このような第1バリアフィルム2022は、樹脂フィルム2022Bにバリア層2022Aを成膜することにより製造される。
バリア層2022Aの成膜方法としては、例えば、物理的気相法(PVD)、化学的気相法(CVD)、めっき法、コーティング法、ゾル−ゲル法等が挙げられる。特に、CVDは、バリア層2022Aの形成効率に優れる。CVDでは、成膜時に樹脂フィルム2022Bに加わる熱が物理的気相法よりも小さくなるので、加熱による樹脂フィルム2022Bの劣化が低減される。CVD法の中では、プラズマCVD法がさらに好ましい。プラズマCVD法では、原料ガスを成膜室に導入した後、高周波を作用させて放電を起こさせ、プラズマ状態とすることにより、樹脂フィルム2022Bの表面での化学反応を促進する。このため、成膜プレセスにおける温度は、−10℃〜200℃程度と低温であり、特に30℃以下でも成膜可能である。これにより、樹脂フィルム2022Bに熱的ダメージが加わりにくい。
第1バリアフィルム2022におけるバリア層2022Aは、ホログラム層2003の表面に配置されている。
第1バリアフィルム2022における樹脂フィルム2022Bは、第1接着層2026の介在により第1樹脂基材2001の表面に固定されている。
第1接着層2026の材料は、樹脂フィルム2022B及び第1樹脂基材2001との接着性が良好な材料であれば、特に限定されない。
例えば、第1接着層2026として好ましい材料としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
第2バリアフィルム2024は、バリア層2022Aと同様のバリア層2024Aと、樹脂フィルム2022Bと同様の樹脂フィルム2024Bと、を備える。
ただし、バリア層2024Aの材料、厚み等は、バリア層2022Aと同じでもよいし、相違していてもよい。樹脂フィルム2024Bの材料、厚み等は、樹脂フィルム2022Bと同じでもよいし、相違していてもよい。
第2バリアフィルム2024は、第1接着層2026と同様に構成された第2接着層2027の介在により第2樹脂基材2005の表面に固定されている。
このような画像表示用導光板2016を製造するには、例えば、第1バリアフィルム2022及び第2バリアフィルム2024を準備しておき、第1接着層2026及び第2接着層2027を介して、第1バリアフィルム2022及び第2バリアフィルム2024を第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005のそれぞれの表面に接着することによって、第1中間積層体P1及び第2中間積層体P2が形成される。
この後、本発明の第2の実施形態の基本例の第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005に代えて、第1中間積層体P1及び第2中間積層体P2をそれぞれ用いる以外は、本発明の第2の実施形態の基本例と同様にして、ホログラム層2003が形成される。これにより、画像表示用導光板2016が製造される。
本発明の第2の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板2016によれば、第1樹脂基材2001、バリア層2022A、及びホログラム層2003がこの順に配置されており、かつ第2樹脂基材2005、バリア層2024A、及びホログラム層2003がこの順に配置されている。このため、実施形態と同様、ホログラム層2003への水分の浸透が抑制されることにより、ホログラム層2003の劣化が防止される。さらに、ホログラム層2003が第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005と接触しないため、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005がホログラム層2003の材料によって浸食されることが防止される。
このため、画像表示用導光板2016によれば、樹脂基材を用いた場合であっても鮮明な画像が表示できる。
さらにバリア層2022A、2024Aの屈折率を、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005よりも高屈折率とすれば、画像表示用導光板2016のFOVが向上されるので、鮮明な画像が広範囲の角度から観察可能になる。
特に、本発明の第2の実施形態の第1変形例によれば、画像表示用導光板2016の製造工程において、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005に第1バリアフィルム2022及び第2バリアフィルム2024を接着することによって、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005にバリア層2022A、2024Aが配置される。このため、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005の材料の種類、形状、大きさ等によって、バリア層2022A、2024Aを直接的に成膜できない場合でも、容易にバリア層2022A、2024Aを配置できる。
以上説明したように、本発明の第2の実施形態の第1変形例によれば、樹脂基材を用いた場合であってもホログラム層の劣化を抑制できる画像表示用導光板を提供できる。
なお、上記第2の実施形態の基本例及び第1変形例では、ホログラム層の表裏面にバリア層が配置されている場合の例で説明したが、樹脂基材を通して浸透する水分等を遮蔽する目的及びホログラム層と樹脂基材との接触を防止する目的では、バリア層は、樹脂基材とホログラム層との間に配置されていればよい。
ただし、この場合、バリア層とホログラム層との間に挟まれる透明層の吸湿性が高いと、透明層の側面を通して水分が浸透するおそれがある。このため、バリア層とホログラム層との間の透明層は、吸湿性が少ない材料で形成されることがより好ましい。バリア層とホログラム層との間の透明層が吸湿性を有している場合には、透明層の厚みが薄くすることがより好ましい。この場合、水分の浸透口となる側面の露出面積が低減されるので、吸湿される水分量を低減できる。
[第3の実施形態]
本発明の画像表示用導光板を、例えば、眼鏡型ディスプレイに使用する場合において、その表面に傷がつくことによる光学特性の低下を防止することを目的として、前記樹脂基材の前記ホログラム層が位置する側と反対側の面上に、ハードコートフィルムをこの基材から剥離可能に取り付けることができる。
<基本例>
以下、本発明の画像表示用導光板の第3の実施形態について説明する。
図14に、本発明の第3の実施形態に係る画像表示用導光板(以下、単に「導光板」と称する。)3001の層構成を示す。
導光板3001は、図14に示すように、ホログラム層3010と、ホログラム層3010を厚さ方向に挟む第一基板3021及び第二基板3022の2枚の基材と、第一基板3021上に設けられたハードコートフィルム3030とを備えている。
第一基板3021及び第二基板3022は、光透過性を有するシート状の樹脂製基材である。第一基板3021及び第二基板3022の材質としては、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態で用いられる樹脂基材と同様な材質を採用することができるが、透明性等の点でアクリルが好適である。第一基板3021及び第二基板3022の厚さは、例えば1mm前後とできる。
ホログラム層3010としては、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に公知の構成を適宜選択して使用できる。回折格子等の光学的構造は、導光する光の波長等を考慮して適宜決定されてよい。
ハードコートフィルム3030は、フィルム基材3031と、粘着層3032と、ハードコート層3033と、離型層3034とを有する。粘着層3032は、フィルム基材3031の第一面3031a上に設けられている。ハードコート層3033は、フィルム基材3031において、第一面3031aと反対側の第二面3031b上に設けられている。離型層3034は、ハードコート層3033上に設けられている。
ハードコートフィルム3030は、粘着層3032が第一基板3021に粘着することにより、第一基板3021から剥離可能に取り付けられている。
以下、ハードコートフィルム3030の各部について詳細に説明する。
(フィルム基材3031)
フィルム基材3031として、種々の有機高分子からなるフィルム又はシートを用いることができる。例えば、ディスプレイ等の光学部材に通常使用される基材が挙げられ、透明性及び光の屈折率等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性等の各種特性を考慮して、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、環状ポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子からなるものが用いられる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が材質として好ましい。
さらに、これらの有機高分子に公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加することによりフィルム基材3031に機能を付加させたものも使用できる。また、フィルム基材3031は前記の有機高分子から選択される1種又は2種以上の混合物、又は重合体からなるものでもよく、複数の層を積層させたものであってもよい。
フィルム基材3031は、複屈折率が小さく、透明性が良好であることが好ましい。第一基板3021及び第二基板3022の厚みは、5〜200μmの範囲内にあることが好ましい。
(粘着層3032)
粘着層3032は、フィルム基材3031を小さい力で剥離可能に第一基板3021に接合する。粘着層3032は、第一基板3021において、ホログラム層3010に対向する面と反対側の面に接合される。
粘着層3032は、例えばゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤等の粘着剤から形成することができる。これらの中でも、紫外線硬化型又は熱硬化型のアクリル系粘着剤が、透明性等の光学特性の点で好ましい。
アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(共重合体を含む意で、以下「アクリル酸エステル系(共)重合体」と称する。)をベース樹脂として用いた粘着剤組成物(以下、「本粘着剤組成物」と称する。)から形成されたものを挙げることができる。
ベース樹脂としての、アクリル酸エステル系(共)重合体は、これを重合するために用いるアクリルモノマー又はメタクリルモノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等を適宜選択することによって、ガラス転移温度(Tg)及び分子量等の物性を適宜調整して調製することが可能である。
アクリル酸エステル(共)重合体を重合するために用いるアクリルモノマー又はメタクリルモノマーとしては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、イソオクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等を挙げることができる。また、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、グリシジルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フッ素アクリレート、シリコーンアクリレート等の親水基又は有機官能基等を有するアクリルモノマーを上記アクリルモノマーと共重合させてもよい。このほかにも、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル及びヒドロキシアルキルビニルエーテル等の各種ビニルモノマーも適宜重合に用いることができる。
これらのモノマーを用いた重合処理としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の公知の重合方法が採用可能であり、その際に重合方法に応じて熱重合開始剤又は光重合開始剤等の重合開始剤を用いることによりアクリル酸エステル共重合体を得ることができる。
粘着層3032の厚みは、1〜50μmの範囲であることが好ましく、1〜30μmの範囲であることがより好ましい。
フィルム基材3031に粘着層を形成する方法としては、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」(槇書店、原崎勇次著、1979年発行)に記載例がある。
粘着剤の乾燥方法は特に限定されないが、一般的に30〜160℃で乾燥を行うとよい。また、粘着剤の硬化方法としては、前記粘着剤の組成等に応じて公知の方法を適宜選択すればよい。例えば、前記粘着剤が活性エネルギー線硬化型のものであれば、活性エネルギー線(可視光線、紫外線、X線、γ線)を照射することにより硬化させればよい。このとき、活性エネルギー線の照射量は粘着剤の特性に応じて適宜調整すればよいが、一般的には10〜10000mJ/mで照射することが好ましい。
ハードコートフィルムを容易に剥離可能とする観点からは、粘着層3032の剥離強度は、180度方向の剥離を測定したとき(剥離速度50mm/分)に、0.01〜50N/20mm幅であることが好ましい。
(ハードコート層3033)
ハードコート層3033は、他の構造物との接触等による傷つきを十分防止できる程度の硬度を有する。このような硬度をJIS K 5600−5−4:1999に規定される鉛筆硬度(荷重750g)で示すと、おおむねH以上である。したがって、ハードコート層の鉛筆硬度はH以上が好ましく、2H以上がより好ましい。
ハードコート層3033は、各種ハードコート剤を用いて形成される硬化物により形成できる。例えば、活性エネルギー線硬化性組成物、熱硬化性組成物を含有するハードコート剤を用いてハードコート層3033を形成できる。
ハードコート剤は、有機・無機ハイブリッド系材料であってもよい。
活性エネルギー線の照射により硬化物を形成する重合性モノマー又は重合性オリゴマー等もハードコート層3033の材料とできる。前記重合性モノマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。前記重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
前記分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーが挙げられる。
前記分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する構成単位を含むオリゴマーが挙げられる。前記重合性モノマー又は前記重合性オリゴマーは、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では高い表面硬度等から、ウレタン(メタ)アクリレートのモノマー又はオリゴマーが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリイソシアネート化合物と分子構造中に水酸基を一つ有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリイソシアネート化合物と分子構造中に水酸基を一つ有する(メタ)アクリレート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが例示される。
ハードコート層3033は、多官能(メタ)アクリレートの硬化物を含んでもよい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート若しくはジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、又はこれらをPO、EO若しくはカプロラクトンで変性したものが挙げられる。
これらの中でも表面硬度を好適に満たし得ることから、3〜6官能の多官能(メタ)アクリレートが好ましく、具体例として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート及びテトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ハードコート層3033の形成にあたり、物性を阻害しない範囲で架橋剤、重合開始剤、滑剤、可塑剤、有機粒子、無機粒子、防汚剤、酸化防止剤若しくは触媒等の添加剤、又は汚れ及び付着を防止するためのシリコーン系若しくはフッ素系等の添加剤をハードコート剤に添加してもよい。
また必要に応じて、ハードコート剤に溶媒を含有してもよい。前記溶媒としては、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール
、ジアセトンアルコール);ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジアセトンアルコール);エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、蟻酸メチル、PGMEA);脂肪族炭化水素(ヘキサン、シクロヘキサン);ハロゲン化炭化水素(メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素);芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン);アミド(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン);エーテル(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン);エーテルアルコール(1−メトキシ−2−プロパノール);カーボネート(炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル)等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いられてもよく、2種類以上併用されてもよい。
ハードコート層3033の厚みは、1μm〜50μmが好ましく、2μm〜40μmがより好ましく、3μm〜25μmがさらに好ましい。ハードコート層3033の厚みがこの範囲を満たすことによって、第一基板3021の傷つきを効果的に防止することができ、ハードコートフィルム3030自体の傷つきも抑制できる。また、ハードコート層3033が形成される際、ハードコート剤の硬化収縮に起因したハードコートフィルムの反りの発生が抑制される。
フィルム基材3031にハードコート層3033を設ける手順は、概ね粘着層3032を設ける手順と同様とできる。塗工方法、乾燥方法、硬化方法についても、上述した各種手法を使用できる。
(離型層3034)
離型層3034は、ハードコートフィルムが製造時又は保管時にロール状に巻かれる際に、重なるハードコートフィルムの粘着層を容易に剥離させる。
離型層3034は、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、パラフィンワックス、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、尿素−メラミン系、セルロース、ベンゾグアナミン等の樹脂及び界面活性剤を単独又はこれらの混合物を主成分とした有機溶剤もしくは水に溶解させた塗料を、グラビア印刷法、スクリ−ン印刷法、オフセット印刷法等の通常の印刷法で、塗布及び乾燥させて形成することができる。なお、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等硬化性塗膜は、硬化させて形成することができる。
特に、シリコーン、フッ素化合物又はアルキド樹脂系剥離処理剤等による剥離処理を施すのが好ましい。
ハードコートフィルム3030は導光板3001を通して視る周囲の実像及び導光板に表示される画像の視認性に影響するため、所定の光学特性を有することが好ましい。一例として、0.5mm厚のソーダライムガラスに挟持した場合に、下記(A)を満たすことが好ましく、下記(B)及び(C)を満たすことがより好ましい。
(A)レターデーション値が0〜100nmの範囲内
(B)JIS K 7361−1:1997に準じて測定した全光線透過率が85%以上
(C)JIS K 7136:2000に準じて測定したヘイズ値が5%以下
本発明の第3の実施形態の導光板3001においては、第一基板3021に取り付けられたハードコートフィルム3030が第一基板3021の傷つき等を防止し、第一基板3021の光学特性を好適に維持する。ハードコートフィルム3030は、ハードコート層3033を備えるため、自身も傷つきにくい。さらに、粘着層3032が第一基板3021に剥離可能に粘着しているため、ハードコートフィルム3030が傷ついた場合は、傷ついたハードコートフィルムを容易に第一基板3021から剥がして、傷ついていない別のハードコートフィルムと交換することができる。これにより、導光板の鮮明度が悪化することを防ぐことができる。
<第1変形例>
本発明の第3の実施形態の第1変形例について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
本発明の第3の実施形態の第1変形例に係るハードコートフィルム3130を図15に示す。
ハードコートフィルム3130は、粘着層3032と、ハードコート層3033と、離型層3034とを備える。本発明の第3の実施形態の第1変形例に係るハードコートフィルム3130は、フィルム基材3031を備えない点で、上述した基本例に係るハードコートフィルム3030と相違する。
ハードコートフィルム3130の製造手順の一例を以下に示す。
離型処理が施された樹脂フィルムの離型処理面上に離型層3034となる塗料とハードコート層3033となるハードコート剤を順に塗布し、前記樹脂フィルム上に離型層3034及びハードコート層3033を形成する。次に、ハードコート層3033上に粘着層3032となる粘着剤組成物を塗布して粘着層3032を形成する。最後に前記樹脂フィルムを剥離すると、ハードコートフィルム3130が完成する。
他の構成として、片面に離型処理が施された樹脂フィルムの非処理面に上述の手順でハードコート層3033及び粘着層3032を形成し、前記樹脂フィルムを離型層3034とすることもできる。
本発明の第3の実施形態の第1変形例のハードコートフィルム3130の使用態様及び機能は、上述した基本例のハードコートフィルム3030と概ね同様であり、同様の効果を奏する。加えて、導光板上にフィルムを貼り合わせているので、前記導光板が破損したときに、破片が飛散することを防止する効果もある。
<複数枚重ねられたハードコートフィルム>
上述した基本例及び変形例のハードコートフィルムは、複数枚重ねられた状態で第一基板3021に取り付けられてもよい。2枚重ねられたハードコートフィルム3030を図16に、2枚重ねられたハードコートフィルム3130を図17に、それぞれ示す。いずれの場合も、重ねられた2枚のハードコートフィルムの接触部位には離型層3034が存在するため、上側に位置する第二ハードコートフィルム3030B、3130Bを、下側に位置する第一ハードコートフィルム3030A、3130Aから容易に剥離できる。
ハードコートフィルムをこのような構成にすると、最表面に位置するハードコートフィルムが傷ついた等の際に剥がすだけで、傷ついていないその下のハードコートフィルムが新たな最表面となる。したがって、傷ついたハードコートフィルムを除去した後に他のハードコートフィルムを取り付ける必要がなく、導光板の表面状態の維持を簡便に行える。
この構成において、重ねるハードコートフィルムの枚数は図示した2枚には限られず、3枚以上であってもよい。
複数枚重ねられた状態のハードコートフィルムを得る方法には特に制限はない。例えば、1枚のハードコートフィルムに他のハードコートフィルムを貼り合わせる方法、又はハードコートフィルムをロール状に巻き取った後で切り出す方法が挙げられる。
さらに、複数枚のハードコートフィルムに相当する層を一度に形成する方法も採用できる。この場合、連続積層した全ての層を未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法、下層を活性エネルギー線にて硬化、あるいは半硬化させた後に上層を塗布し、再度活性エネルギー線で硬化する方法、それぞれの層を離型フィルム又はベースフィルムに塗布した後、未硬化あるいは半硬化の状態で層同士を貼り合わせる方法等の公知の方法を適用可能であるが、層間の密着性を高める観点から、未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法が好ましい。未硬化の状態で積層する方法としては、下層を塗布した後に上層を重ねて塗布する逐次塗布、又は多重スリットから同時に2層以上の層を重ねて塗布する同時多層塗布等の公知の方法を適用可能であるが、この限りではない。
[第4の実施形態]
本発明の画像表示用導光板においては、その製造時及び長期使用時にホログラム層が黄変し、これが表示画像に悪影響を与えることがある。しかし、500〜600nmの波長範囲に吸収ピークを有する吸収層を導入することによって、ホログラム層を劣化させることなくこれを低減させることができる。
<基本例>
以下、本発明の画像表示用導光板の第4の実施形態について説明する。
本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板は、第1樹脂基材と、ホログラム層と、第1吸収層とを有する。前記第1吸収層と、前記第1樹脂基材と、前記ホログラム層とは、厚み方向において、この順に配置されていることが好ましい。
本発明の第4の実施形態の画像表示表導光板は、さらに第2樹脂基材を有していてもよい。この場合において、前記第1吸収層と、前記第1樹脂基材と、前記ホログラム層と、前記第2樹脂基材とは、厚み方向において、この順に積層されていることが好ましい。
本発明の第4の実施形態において、第1樹脂基材及び第2樹脂基材を総称して、単に「樹脂基材」という場合がある。また、本実施形態において、第1吸収層及び第2吸収層を総称して、単に「吸収層」という場合がある。
本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板は、適宜の透明層をさらに有していてもよい。前記透明層としては、例えば、バリア層、接着層、ハードコート層又はアンカーコート層が挙げられる。
本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板は、ガラス基材をさらに有していてもよい。
前記画像表示用導光板は、画像光を入射する入射部と、画像光による画像を表示する表示画像出射部とを有する。前記ホログラム層は、前記入射部と前記表示画像出射部との間に配置されている。前記ホログラム層には、少なくとも前記入射部から入射される画像光を前記表示画像出射部に導波し、前記表示画像出射部から出射させるための回折格子パターンが形成されている。前記表示画像出射部における回折格子パターンは、前記画像表示用導光板の外部から入射する外光の少なくとも一部を透過させる。なお、前記外光入射部は、前記表示画像出射部とは反対の面を指す。
前記入射部に入射した画像光は、前記ホログラム層内に導波され、前記表示画像出射部から外部に出射される。一方、外光も前記樹脂基材及び前記表示画像出射部を透過する結果、前記表示画像出射部の観察者は、画像光及び外光の両方を、視野内で観察することができる。
本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板は、VR技術、AR技術又はMR技術を用いた表示装置に好適に用いられる。例えば、本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板は、ディスプレイ用途の他に、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)のコンバイナ又は反射型液晶表示デバイス用の反射板に代表されるホログラム光学素子(HOE)等の装置に用いられてもよい。
前記樹脂基材の材料は、透明材料であれば特に限定されない。
前記樹脂基材に用いられる材料は、上述の第1〜第3の実施形態で使用されるものから適宜選択して使用することができる。前記樹脂基材に用いられる材料は、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。
本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板において、前記樹脂基材が第1樹脂基材と第2樹脂基材との2枚からなる場合、前記第1樹脂基材と前記第2樹脂基材と間に前記ホログラム層が配置されてもよい。
本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板において、前記画像表示用導光板に第1樹脂基材とガラス基材とが含まれる場合、前記第1樹脂基材と前記ガラス基材と間に前記ホログラム層が配置されてもよい。
前記樹脂基材と前記ホログラム層、又は前記ガラス基材と前記ホログラム層は、互いに接していてもよいし、それぞれの間に適宜の透明層が配置されてもよい。
前記ホログラム層は、第1樹脂基材と第2樹脂基材との間、又は第1樹脂基材とガラス基材との間に挟まれている。
前記ホログラム層には、上述の第1〜第3の実施形態の場合と同様に、公知のホログラム形成用樹脂材料が用いられる。前記ホログラム形成用樹脂材料としては、例えば、溶媒可溶性でカチオン重合可能なエチレンオキシド環を構造単位中に少なくとも一つ有する熱硬化性樹脂と、ラジカル重合可能なエチレン性モノマーよりなるホログラム記録材料(特開平8−1676号公報、特開平8−1677号公報、特開平8−1678号公報、特開平8−1679号公報)が挙げられる。
前記吸収層は、画像表示用導光板の少なくとも一部を透過する光における黄色成分を吸収する波長特性を有する。
(吸収ピーク)
吸収層は、500〜600nmの波長範囲(以下「波長範囲A」という場合がある。)に吸収ピークを有する。
ここで、「吸収ピーク」は、可視光域(400〜800nm)における吸収層の分光透過率曲線において透過率が減少から極小値を経て増大に転じるU字状の分光分布のうち、極小値が最小となる分光分布を指す。U字状の分光分布は可視光域において1箇所に形成されていることがより好ましい。
本明細書では、このような「吸収ピーク」の極小値(ピークトップ)を与える波長が特定の波長範囲にあることを、「特定の波長範囲に吸収ピークを有する」と定義する。
吸収ピークは、550〜585nmの波長範囲(以下「波長範囲B」という場合がある。)にあることがより好ましい。
吸収ピークの半値幅は、100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、40nm以下が特に好ましい。
ここで、吸収ピークの半値幅とは、吸収ピークのピークトップの透過率をTp(%)とするとき、透過率がTh=(100−Tp)/2以下となる吸収ピークの波長幅を意味する。
半値幅が100nm以下であると、透過光の色バランスと輝度とを良好に確保できる。
吸収ピークにおける透過率は、80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下が特に好ましい。
(透過率特性)
590〜700nmの波長範囲(以下「波長範囲C」という場合がある。)における吸収層の平均透過率は、20%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
波長範囲Cにおいて、平均透過率が20%以上とするのは、赤色光の輝度を維持するためである。
470〜550nmの波長範囲(以下「波長範囲D」という場合がある。)における吸収層の平均透過率は、20%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
波長範囲Dにおいて、平均透過率が20%以上とするのは、透過光の色バランスと輝度を確保するためである。
吸収層の透過率特性は、光劣化を起こしやすい紫外光の透過率が低いほどより好ましい。例えば、380nm以下の波長範囲における吸収層の透過率は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
(黄色度)
吸収層の黄色度を表すYI値(JIS K 7373:2006)は、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。
(吸光度)
吸収層の波長580nmにおける吸光度は、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下が特に好ましい。
(L*a*b*表色系におけるb*)
吸収層のb*は、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下が特に好ましい。
吸収層の構成は、波長範囲Aに吸収ピークを有していれば、特に限定されない。
例えば、吸収層は、透明のベース樹脂に色材が分散された構成を有してもよい。
ベース樹脂の材料は透明であれば特に限定されない。ベース樹脂の屈折率も特に限定されない。
例えば、ベース樹脂は、樹脂基材の屈折率以上の屈折率を有していてもよいし、樹脂基材の屈折率よりも低い屈折率を有していてもよい。
例えば、ベース樹脂としては、樹脂基材よりも表面硬度が高い樹脂材料が用いられてもよい。
例えば、ベース樹脂としては、吸湿性が低い樹脂材料が用いられてもよい。
色材としては、上述の波長特性が得られれば特に限定されない。例えば、色材としては、染料、顔料等が用いられる。色材としては、ブルーイング剤が用いられることが特に好ましい。
例えば、吸収層は、高屈折率材料と低屈折率材料とが複数積層された多層薄膜によって形成されてもよい。
(ブルーイング剤)
吸収層に用いるブルーイング剤は、特に限定されるものではないが、一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり、より好ましい。
具体的なブルーイング剤としては、例えば、一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725]、一般名Solvent Violet31[CA.No 68210]、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725]、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solvent Blue97[バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」]、一般名Solvent Blue45[CA.No61110]等が代表例として挙げられる。これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらブルーイング剤は、ベース樹脂に対して、吸収層に必要な光学特性が得られる適宜量が配合される。例えば、ベース樹脂がポリカーボネート樹脂の場合、ポリカーボネート樹脂の100質量部に対し、0.1×10−5〜2×10−4質量部の割合で配合されてもよい。
他のブルーイング剤の例としては、ダイアレジン(登録商標)ブルーN(商品名;三菱ケミカル株式会社製)、ダイアレジン(登録商標)ブルーG(商品名;三菱ケミカル株式会社製)、マクロレックス(登録商標)ブルーRR(商品名;バイエル社製)、マクロレックス(登録商標)ブルー3R(商品名;バイエル社製)、ポリシンスレン(登録商標)ブルーRLS(商品名;クラリアント社製)等が挙げられる。
吸収層は、少なくとも画像光及び外光が透過する範囲に設けられている。例えば、吸収層は、ホログラム層における表示画像出射部と厚み方向において重なる範囲に配置されていてもよい。
ただし、吸収層は、厚み方向から見て、樹脂基材あるいはホログラム層の全体を覆う範囲に配置されてもよい。
画像表示用導光板の厚み方向における吸収層の配置は、特に限定されない。
例えば、吸収層は、ホログラム層よりも外光の入射面寄りの位置と、ホログラム層よりも画像光の出射面寄りの位置と、の少なくとも一方に設けられてもよい。
吸収層が樹脂基材の外部に配置される場合、吸収層、樹脂基材、及びホログラム層は、画像表示用導光板の厚み方向においてこの順に配置されてもよい。すなわち、吸収層は、厚み方向において、樹脂基材よりも外側に配置されてもよい。例えば、吸収層は、画像表示用導光板の厚み方向の最外部に配置されてもよい。
樹脂基材の内部に色材が分散されて吸収層が形成される場合、色材は樹脂基材に均一に分散していてもよいし、厚み方向において偏って分散していてもよい。色材が厚み方向において偏っている場合、色材は、画像表示用導光板の厚み方向の外側に偏っていることがより好ましい。
バリア層は、上述の第2の実施形態と同様な材料を採用することができ、透明な無機材料で構成されるのが好ましい。また、バリア層の屈折率は、1.48以上であることがより好ましい。
バリア層の材料としては、水蒸気バリア性材料が用いられることがより好ましい。バリア層は、珪素酸化物、珪素窒素酸化物、及びダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる群から選ばれた1以上の物質を含有することがさらに好ましい。
バリア層は、樹脂フィルム上に配置されていてもよい。この場合、樹脂フィルムは、バリア層と樹脂基材との間に配置されることがより好ましい。
バリア層は、画像表示用導光板の厚み方向において、樹脂基材、バリア層、及びホログラム層の順に配置されていることがより好ましい。バリア層は、ホログラム層の表面に配置されていることが特に好ましい。
バリア層は、ホログラム層を間に挟んで2層設けられていてもよい。バリア層は、ホログラム層の表面及び裏面に配置されていることがさらに好ましい。
ガラス基材が配置されている場合、ガラス基材自体がバリア性を有するので、ガラス基材は、ホログラム層においてバリア層と対向する表面と反対側の表面に配置されてもよい。
以下、図18に示す例に基づいて、本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板の一例の詳細構成を説明する。図18は、本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。
図18に示す画像表示用導光板4005では、厚み方向において、第1吸収層4004、第1樹脂基材4001、ホログラム層4002、及び第2樹脂基材4003がこの順に配置されている。画像表示用導光板4005は、バリア層を有しない場合の例になっている。
画像表示用導光板4005の平面視形状は、特に限定されない。例えば、画像表示用導光板4005は、用いられる表示装置に取り付け可能な形状に整形されていてもよい。
例えば、画像表示用導光板4005は、表示装置に取り付ける形状よりも大きな矩形板であってもよい。この場合、画像表示用導光板4005は、表示装置に組み立てられる前に、表示装置に取り付け可能な形状に切断される等して整形される。
画像表示用導光板4005は、平板状であってもよいし、必要に応じて湾曲板状であってもよい。
以下では、画像表示用導光板4005が平面視矩形状の平板からなる場合の例で説明する。
第1吸収層4004は、画像表示用導光板4005の厚み方向の最外部に配置されている。第1吸収層4004は、画像表示用導光板4005における表示画像出射側の表面に配置されている。
第1吸収層4004の層厚は、特に限定されない。例えば、第1吸収層4004の層厚は、0.1〜10μmであってもよい。
図18に示す例では、第1吸収層4004は、後述する第1樹脂基材4001の表面の全体に形成されている。
第1吸収層4004の形成方法は特に限定されない。例えば、第1吸収層4004は、色材が配合されたベース樹脂材料からなるコート液を、成膜面(第1樹脂基材4001の表面)に塗布した後、コート液を硬化することによって形成できる。
コート液の塗布方法としては、コート液の粘性等に応じて適宜の塗布方法が選択できる、例えば、塗布方法としては、バーコート、ディップコート、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
ベース樹脂材料としては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートモノマー、又は、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等活性エネルギー線の照射により硬化物を形成する重合性モノマー若しくは重合性オリゴマー、又はウレタン、エポキシ若しくはポリエステル等の硬化性樹脂材料が用いられてもよい。ベース樹脂材料に配合する色材としては、例えば、上述のブルーイング剤が用いられてもよい。
第1樹脂基材4001は、画像表示用導光板4005の外形と同様の形状を有する。
第1樹脂基材4001には、ホログラム層4002から出射される画像光Ldと、後述する第2樹脂基材4003及びホログラム層4002を透過する外光Loとが透過する。
第1樹脂基材4001の厚みは特に限定されない。例えば、第1樹脂基材4001の厚みは、0.01〜10mmであってもよい。
第1樹脂基材4001を形成する材料は、上述の第1〜第3の実施形態と同様な材料を適宜選択することができ、透明樹脂材料であれば特に制限はない。第1樹脂基材4001を形成する材料としては、例えば、エチレン、プロピレン若しくはブテン等のオレフィンの単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン系樹脂;環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、フッ素樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、セルロース、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリノルボルネン、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、アリルジグリコールカーボネート、及び生分解樹脂等の有機材料が挙げられる。なお、第1樹脂基材4001は、2種以上の材料で形成されていてもよいし、2種以上の材料が積層した積層構造であってもよい。
第1樹脂基材4001の透明性の観点では、ポリカーボネート又はポリ(メタ)アクリル樹脂が好ましい。また、第1樹脂基材4001の耐プロセス性の観点では、ポリ(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂又は環状ポリオレフィンが好ましい。
ホログラム層4002は、第1吸収層4004が形成されている第1樹脂基材4001の表面と反対側の表面に積層されている。ホログラム層4002の構成は、上述の通り、特に限定されない。ホログラム層4002には、画像表示用導光板4005に必要な機能に対応する適宜の回折格子が形成されている。
第2樹脂基材4003は、ホログラム層4002において、第1樹脂基材4001が配置された表面と反対側の表面に積層されている。第2樹脂基材4003としては、第1樹脂基材4001の説明において例示されたのと同様の構成が用いられる。ただし、第2樹脂基材4003の厚み、材料等は、第1樹脂基材4001と相違していてもよい。特に、第2樹脂基材4003は、画像表示用導光板4005における表示画像出射側と反対に位置する外光入射側の表面に配置されるので、第1樹脂基材4001に比べて表面硬度が高い材料が用いられてもよい。
このような画像表示用導光板4005は、例えば、以下のようにして製造できる。
第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003が準備され、第1吸収層4004を形成するコート液が調整される。
例えば、第1樹脂基材4001の表面にコート液が塗布される。この後、コート液が硬化されて第1吸収層4004が形成される。
例えば、第1樹脂基材4001において第1吸収層4004が形成されたのと反対側の表面に、ホログラム形成用のフォトポリマー材料が塗布される。このとき、第1樹脂基材4001の表面の外周部には、ホログラム層4002と同厚みの透明なシール層が設けられてもよい。この場合、フォトポリマー材料は、シール層で囲まれて形成された凹部に塗布される。シール層は、ホログラム層4002の形成後にホログラム層4002の外周部をシールする。この後、フォトポリマー材料上に、第2樹脂基材4003が載置される。
ただし、上述の製造順序は一例である。例えば、フォトポリマー材料は、第2樹脂基材4003の表面に塗布され、第1吸収層4004が形成された第1樹脂基材4001がフォトポリマー材料上に載置されてもよい。
この後、減圧プレスによって、第1吸収層4004、第1樹脂基材4001、フォトポリマー材料、及び第2樹脂基材4003からなる積層体が貼り合わせられる。
この後、積層体のフォトポリマー材料に回折パターンに対応した干渉縞を形成し、フォトポリマー材料中に、回折格子を形成する。
このようにして、画像表示用導光板4005が製造される。
次に、画像表示用導光板4005を含む表示装置の一例について説明する。
図19は、本発明の第4の実施形態の画像表示用導光板を含む表示装置の一例を示す模式的な断面図である。
図19に示すように、表示装置4010は、画像表示用導光板4005に加えて、画像光投影部4012及び入射光学系4011を備える。
画像光投影部4012は、図示略のコントローラから送出される画像信号に応じて、画像表示用導光板4005に表示する画像光Liを投影する。
入射光学系4011は、例えばプリズム等、画像光Liを画像表示用導光板4005に入射させる光学素子を備える。入射光学系4011は、画像光Liを画像表示用導光板4005の表面に形成された入射部4005aに入射させる。例えば、入射部4005aは、第1吸収層4004上に設けられている。
入射部4005aに入射した画像光Liは、ホログラム層4002に形成された導波回折格子部4003aを経由して、ホログラム層4002の表示用回折格子部4002bに導波される。表示用回折格子部4002bでは、画像光Liは各表示画素に対応する位置で回折され、画像光Ldを形成する。画像光Ldは、ホログラム層4002、第1樹脂基材4001、及び第1吸収層4004を透過し、画像光Ld’として、画像表示用導光板4005の外部に出射される。このため、厚み方向において表示用回折格子部4002bと、表示用回折格子部4002bと厚み方向に対向する第1樹脂基材4001及び第1吸収層4004の領域は、画像光Ldを表示する表示画像出射部4005bを構成している。表示画像出射部4005bは、厚み方向と直交する方向である面方向において、入射部4005aから離間した位置に形成されている。
一方、画像表示用導光板4005には、第2樹脂基材4003を経由して、外光Loが入射する。外光Loは、第2樹脂基材4003、ホログラム層4002、第1樹脂基材4001、及び第1吸収層4004を透過し、外光Lo’として、画像表示用導光板4005の外部に出射される。
表示装置4010の使用者は、画像光Ld’及び外光Lo’による像を見ることができる。このため、表示画像出射部4005bを視野に収める使用者は、外光Lo’に基づく外部の光景と、画像光Ld’に基づく画像とが、重ね合わされた像を見る。
画像表示用導光板4005に使用されるような透明材料は、例えば、紫外光等の影響によってそれぞれ経時的に光劣化する。典型的な光劣化は、材料の黄変である。特に、ホログラム層4002は、フォトポリマー材料によって形成されているので、製造直後から、ある程度、黄変している。このため、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003、及びホログラム層4002を透過後の光は、黄色味を帯びている。
黄色は比視感度が高いので、人間の視覚は黄変に敏感である。これにより、黄色味を帯びた画像はコントラスト(明暗度)が低くなってしまうため、観察される画像が不鮮明になってしまう。
しかし、本発明の第4の実施形態では、表示画像出射部4005bに第1吸収層4004が設けられているので、画像光Ld’、外光Lo’において、それぞれ画像光Ld、外光Loの黄色成分が低減される。このように、第1吸収層4004によって、黄色味を帯びた画像光Ld、外光Loの黄色成分が相殺されることにより、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003、及びホログラム層4002の黄変の影響が除去される。
具体的には、第1吸収層4004によって、500〜600nmの波長範囲の光成分を中心に、光が吸収されることにより、黄色味が減少し、相対的に青色味が増大する。これにより、画像のホワイトバランスと、コントラストと、が改善される。
さらに、表示装置4010の使用時に暴露される紫外光等によって、経時的に第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003等の透明材料の光劣化が進んでも、黄変による画像劣化の程度が第1吸収層4004を有しない場合に比べて低減される。
以上説明したように、本発明の第4の実施形態によれば、透明材料の黄変による表示画像への影響を低減できる画像表示用導光板を提供することができる。
特に本発明の第4の実施形態では、第1吸収層4004が画像表示用導光板4005における最外部に配置されている。このため、例えば、第1吸収層4004として、第1樹脂基材4001よりも高硬度の材料を用いると、第1樹脂基材4001の表面の傷つきが防止される。例えば、第1吸収層4004の波長特性において紫外光の透過率が低い場合、第1樹脂基材4001側からの紫外光の入射を抑制できるので、画像表示用導光板4005における経時的な光劣化を低減できる。
<第1変形例>
第4の実施形態の第1変形例について説明する。
図20は、本発明の第4の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。
図20に示すように、本発明の第4の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板4007は、本発明の第4の実施形態の基本例の画像表示用導光板4005において、さらに第2吸収層4006を備える。
以下、上記本発明の第4の実施形態の基本例と異なる点を中心に説明する。
第2吸収層4006は、第2樹脂基材4003において、ホログラム層4002が配置された表面と反対側の表面に積層されている。すなわち、第2吸収層4006は、第1吸収層4004と同様、画像表示用導光板4007の最外部に配置されている。画像表示用導光板4007では、第1樹脂基材4001、ホログラム層4002、及び第2樹脂基材4003からなる積層体が、第1吸収層4004及び第2吸収層4006に挟まれている。
第2吸収層4006としては、第1吸収層4004の説明において例示されたのと同様の構成が用いられる。
ただし、第2吸収層4006の厚み、材料等は、第1吸収層4004と相違していてもよい。例えば、第2吸収層4006は、画像表示用導光板4007における表示画像出射側と反対側の表面に配置されるので、第2樹脂基材4003あるいは第1吸収層4004に比べて表面硬度が高い材料が用いられてもよい。
本発明の第4の実施形態の第1変形例では、第1吸収層4004及び第2吸収層4006が画像表示用導光板4007の最外部に配置されるので、第1吸収層4004及び第2吸収層4006の波長特性において紫外光の透過率が低いことがより好ましい。
画像表示用導光板4007は、第2樹脂基材4003に第2吸収層4006が形成される以外は、本発明の第4の実施形態の基本例における画像表示用導光板4005と同様にして製造される。第2吸収層4006の形成方法は、第1吸収層4004と同様の形成方法が用いられる。
本発明の第4の実施形態の第1変形例による画像表示用導光板4007は、第2吸収層4006を有する以外は,画像表示用導光板4005と同様に構成される。このため、画像光Ldは、画像表示用導光板4005と同様にして、第1吸収層4004を通過することによって黄色成分が低減される(画像光Ld’)。
これに対して、外光Loは、さらに第2吸収層4006を透過してから、第2樹脂基材4003に入射する。このため、外光Loは、第2吸収層4006を透過する際に、黄色成分が低減される。外光Loは、第2樹脂基材4003、ホログラム層4002、及び第1樹脂基材4001を透過する際、それぞれの黄変度合いに応じて、黄色成分が増大した後、第1吸収層4004によって黄色成分が低減される。
第2樹脂基材4003は、使用時のおける外光Loの入射側に配置されているため、外光Loによる光劣化が進行しやすい。これにより、経時的には、第1樹脂基材4001の黄変よりも第2樹脂基材4003の黄変が進みやすいおそれがある。第2樹脂基材4003の黄変が進むと、第2樹脂基材4003を透過した外光Loは、第2樹脂基材4003を透過しない画像光Ldに比べると黄色成分が強くなるおそれがある。
しかし、本発明の第4の実施形態の第1変形例では、第2吸収層4006を有するため、第2樹脂基材4003の黄変による黄色味の増加を第2吸収層4006によって相殺することが可能になる。このため、第1吸収層4004から出射される外光Lo’’の黄色味が、画像表示用導光板4005から出射される外光Lo’に比べて低減される。この結果、画像光Ld’と、外光Lo’’と、におけるそれぞれの黄色味のバランスを良好にすることができる。
特に、第2吸収層4006の波長特性において紫外光の透過率が低い場合には、外光Loによる第2樹脂基材4003の光劣化自体を低減できる。
以上説明したように、本発明の第4の実施形態の第1変形例によれば、透明材料の黄変による表示画像への影響を低減できる画像表示用導光板を提供することができる。
<第2変形例>
第4の実施形態の第2変形例について説明する。
図21は、本発明の第4の実施形態の第2変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。
図21に示すように、本発明の第4の実施形態の第2変形例の画像表示用導光板4020は、第1変形例の画像表示用導光板4007において、さらに第1バリア層4008及び第2バリア層4009を備える。本発明の第4の実施形態の第2変形例において、第1バリア層4008及び第2バリア層4009を総称して、単に「バリア層」という場合がある。また、本発明の第4の実施形態の第2変形例において、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003を総称して、単に「樹脂基材」という場合がある。さらに、本発明の第4の実施形態の第2変形例において、第1吸収層4004及び第2吸収層を総称して、単に「吸収層」という場合がある。
以下、上記本発明の第4の実施形態の第1変形例と異なる点を中心に説明する。
第1バリア層4008は、第1樹脂基材4001とホログラム層4002との間に配置され、第1樹脂基材4001及びホログラム層4002のそれぞれの表面に密着している。第1バリア層4008は、画像表示用導光板4020の外部及び第1樹脂基材4001から浸透するガスがホログラム層4002に浸透することを防止する。
第1バリア層4008の材料は、ホログラム層4002の劣化の要因となるガスをバリアできれば、特に限定されない。第1バリア層4008は、透明な無機材料を含むことが好ましく、上述の第2の実施形態におけるバリア層と同様に、珪素酸化物、珪素窒素酸化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、アルミニウム酸化物及びガラスからなる群から選択される少なくとも1種の無機材料を含むことがより好ましい。
さらに、バリア層は、樹脂フィルム上に配置されていてもよい。この場合、樹脂フィルムは、バリア層と樹脂基材との間に配置されることがより好ましい。
第1バリア層4008は、例えば、酸素透過率及び水蒸気透過率が小さいほど好ましい。特に、第1バリア層4008は、水蒸気バリア性に優れる(水蒸気透過率が小さい)材料で構成されることがより好ましい。
例えば、第1バリア層4008の酸素透過率は、1cm/m・day以下であってもよい。
例えば、第1バリア層4008の水蒸気透過率は、1g/m・day以下であってもよい。第1バリア層4008の水蒸気透過率は、0.5g/m・day以下がより好ましい。
第1バリア層4008に用いる無機材料は、第1樹脂基材4001よりも高い屈折率を有していてもよい。例えば、第1バリア層4008の屈折率は、1.48〜3.00であってもよい。第1バリア層4008が高屈折率であると、第1バリア層4008を経由して第1樹脂基材4001を透過する光は、光学的に密な第1バリア層4008から光学的に粗な第1樹脂基材4001に入射するため、第1バリア層4008から第1樹脂基材4001に向かう光の出射角が、第1バリア層4008と第1樹脂基材4001との屈折率差に応じて大きくなる。これにより、画像表示用導光板4020におけるFOV(Field Of View)を広げることができる。
第1バリア層4008の材料は、上述の通りであるが、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロム、酸化ケイ素、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化バリウム等の酸化物であってもよい。
第1バリア層4008が珪素酸化物からなる場合、その層厚は、10〜300nmであってもよい。前記層厚が10nm未満であると、防湿性が不充分になるおそれがある。前記層厚が300nmを超えると、前記珪素酸化物の薄膜に亀裂が起こりやすくなり、成膜面から剥離するおそれがある。
特に好ましい層厚としては、20〜200nmである。
前記珪素酸化物によって第1バリア層4008を形成する方法は特に限定されない。例えば、第1バリア層4008は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法又はプラズマCVD法等の従来知られているいずれかの方法で形成することができる。前記珪素酸化物によって第1バリア層4008を形成する際、成膜面と前記珪素酸化物との接着性を向上させるために、前記成膜面にコロナ放電処理又は低温プラズマ処理を施したり、前記成膜面にシランカップリング剤を塗布したり、飽和ポリエステルとイソシアネートとの混合物を塗布したりする等の表面処理を施してもよい。
例えば、真空蒸着法によって珪素酸化物の薄膜を成膜する場合には、蒸発物質として珪素、一酸化珪素、二酸化珪素又はこれらの混合物を用い、1.0×10−3〜1.0×10−5Torrの真空下で、電子ビーム、抵抗加熱又は高周波加熱方式で加熱蒸発させる。
また、酸素ガスを供給しながら行う反応蒸着法も採用できる。
第1バリア層4008を形成する珪素酸化物には、10質量%以下であれば、その中に不純物としてカルシウム、マグネシウム又はそれらの酸化物が混入していてもよい。
第1バリア層4008が珪素窒素酸化物からなる場合、前記珪素酸化物が前記珪素窒素酸化物に代えられた以外は、前記珪素酸化物を主成分とする第1バリア層4008と同様の構成が用いられる。
DLCは、一般的にはダイヤモンド状の構造と、グラファイト状の構造と、水素原子を構造に含むポリエチレン様の高分子構造と、の三元系の構造からなる非晶質炭素材料である。前記DLCの生成に当たり、炭素源としてエチレン、アセチレン又はベンゼン等の炭化水素を用いた場合には通常は水素を含む基本的に三元系の構造となる。
前記DLCは、硬質性、潤滑性、耐摩耗性、化学的安定性、耐熱性及び表面平滑性に優れている。前記DLCは、上述の緻密な高分子構造を形成するため、ガスバリア性及び水蒸気バリア性にも優れる。
前記DLCによって第1バリア層4008を形成する場合の形成方法は、特に限定されない。前記DLCのコーティング方法として、例えば、プラズマCVD法、又はイオンプレーティング法若しくはイオンビームスパッタリング法等の物理的蒸着法等、周知の適宜コーティング方法を用いることができる。
第1バリア層4008がアルミニウム酸化物からなる場合、第1バリア層4008は、例えば、Alのみで形成されてもよいし、Al、AlO及びAlからなる群から選択される2種以上が混じり合って形成されてもよい。アルミニウム酸化物層におけるAl:Oの原子数比は、前記アルミニウム酸化物層の作製条件によって異なる。第1バリア層4008として使用できるアルミニウム酸化物層は、バリア性能が損なわれない範囲で微量(全成分に対して高々3%まで)の他成分が含まれてもよい。
前記アルミニウム酸化物層の層厚は、バリア性能の必要に応じて設定されればよい。例えば、前記アルミニウム酸化物層の層厚は、5〜800nmであってもよい。
アルミニウム酸化物によって第1バリア層4008を形成する方法は特に限定されない。例えば、第1バリア層4008を形成する方法として、真空蒸着法、スパッター法若しくはイオンプレーティング等のPVD法(物理蒸着法)、又はCVD法(化学蒸着法)が用いられてもよい。
例えば、真空蒸着法においては、蒸着源材料としてAl、Al等が用いられ、蒸着源の加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビ−ム加熱等が用いられてもよい。真空蒸着法においては、反応性ガスとして、酸素、窒素又は水蒸気等を導入したり、オゾン添加又はイオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を用いたりしてもよい。さらに、成膜面にバイアスを加えたり、成膜面の温度を上昇したり、冷却したりしてもよい。スパッター法その他の真空蒸着法以外のPVD法及びCVD法等の他の成膜方法においても同様である。
第1バリア層4008がガラスからなる場合、第1バリア層4008の材料としては、例えば、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラス若しくはゾルゲルガラス、又はこれらのガラスに熱処理若しくは表面処理を施したものが挙げられる。第1バリア層4008の材料としては、不純物による着色を避ける観点から、無アルカリガラスが特に好ましい。
第1バリア層4008がガラスからなる場合、その層厚は、10〜200μmであってもよい。前記層厚が10μm以上であると、機械的強度とともにガスバリア性に優れる傾向にある。前記層厚は、10μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。また、前記層厚が200μm以下であると、光透過率等の導光板としての光学特性に優れる傾向にある。前記層厚は、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、75μm以下がさらに好ましく、50μm以下が特に好ましい。
ガラスによって第1バリア層4008を形成する方法は特に限定されない。ガラスによって第1バリア層4008を形成する方法として、例えば、スロットダウンドロー法、フュージョン法又はフロート法を採用することができる。また、使用するガラスは、市販のガラスをそのまま用いてもよいし、市販のガラスを所望の厚みになるように研磨して用いてもよい。前記市販のガラスとしては、例えば、コーニング社製「EAGLE2000」、旭硝子社製「AN100」、日本電気硝子社製「OA10G」及びショット社製「D263」が挙げられる。
第2バリア層4009は、第1バリア層4008が形成されたホログラム層4002の表面と反対側のホログラム層4002の表面に積層されている。
第2バリア層4009の構成は、第1バリア層4008の説明において例示されたのと同様の構成が用いられる。ただし、第2バリア層4009の材料、厚み等は、第1バリア層4008と相違していてもよい。
このような画像表示用導光板4020は、例えば、以下のようにして製造できる。
第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003が準備され、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003の表面に、第1バリア層4008及び第2バリア層4009がそれぞれ形成される。第1バリア層4008及び第2バリア層4009の製造方法としては、第1バリア層4008及び第2バリア層4009の材料に応じて適宜の製造方法が選択される。
例えば、第1バリア層4008が形成された第1樹脂基材4001における第1バリア層4008の表面に、ホログラム形成用のフォトポリマー材料が塗布される。このとき、第1バリア層4008の外周部には、ホログラム層4002と同厚みの透明なシール層が設けられてもよい。この場合、フォトポリマー材料は、シール層で囲まれて形成された凹部に塗布される。シール層は、ホログラム層4002の形成後にホログラム層4002の外周部をシールする。
この後、フォトポリマー材料上に、第2バリア層4009が形成された第2樹脂基材4003が、第2バリア層4009をフォトポリマー材料の方に向けられた状態で載置される。
ただし、上述の製造順序は一例である。例えば、第2バリア層4009が形成された第2樹脂基材4003にフォトポリマー材料が塗布されてから、第1バリア層4008が形成された第1樹脂基材4001がフォトポリマー材料上に載置されてもよい。
この後、減圧プレスによって、第1吸収層4004、第1樹脂基材4001、第1バリア層4008、フォトポリマー材料、第2バリア層4009、第2樹脂基材4003、及び第2吸収層4006からなる積層体が貼り合わせられる。
この後、積層体のフォトポリマー材料に回折パターンに対応した干渉縞を形成し、フォトポリマー材料中に、回折格子を形成する。
このようにして、画像表示用導光板4020が製造される。
画像表示用導光板4020は、第1バリア層4008及び第2バリア層4009が追加された以外は、第1変形例の画像表示用導光板4007と同様に構成される。
第1バリア層4008及び第2バリア層4009は、DLC又はケイ素酸化物等の透明な無機材料からなるが、400nm〜480nmの波長範囲において、青色光を吸収しやすいために、青色成分の透過率が低下する結果、透過光が黄色味を帯びる。
このように、第1バリア層4008は外光Lo及び画像光Ldの黄色味を、第2バリア層4009は外光Loの黄色味を、それぞれ増大させやすい。しかし、本発明の第4の実施形態の第2変形例では、第1変形例と同様、第1吸収層4004及び第2吸収層4006を備えるので、第1吸収層4004及び第2吸収層4006の波長特性を適宜調整することによって、第1バリア層4008及び第2バリア層4009による黄色味の増加を相殺することができる。すなわち、第1吸収層4004から出射される外光Lo’’’及び画像光Ld’’の黄色味を低減することができる。さらに、第1変形例と同様にして、外光Lo’’’及び画像光Ld’’の黄色味のバランスを良好にすることができる。
以上説明したように、本発明の第4の実施形態の第2変形例によれば、透明材料の黄変による表示画像への影響を低減できる画像表示用導光板を提供することができる。
さらに画像表示用導光板4020によれば、第1バリア層4008及び第2バリア層4009を備えるため、ホログラム層4002の経時劣化を抑制することができる。
第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003のガスバリア性は、樹脂材料の種類によって程度の差はあるが、ガラスに比べると格段に低い。このため、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003は、ガラスよりもより高い吸湿性及び水蒸気透過性を有している。
この結果、画像表示用導光板4005の外部のガスは、ある程度、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003を透過したり、内部に蓄積したりする。特に第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003には、水分が蓄積しやすい。
しかし、外部から第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003に浸透したガス及び水分は、画像表示用導光板4020内で拡散しても第1バリア層4008及び第2バリア層4009によって遮蔽される。これにより、ホログラム層4002へのガス及び水蒸気の浸透が抑制される。
例えば、ホログラム層4002への水分の浸透が抑制されることにより、ホログラム層4002の劣化が防止される。
さらに、画像表示用導光板4020では、上述の層構成を有するため、ホログラム層4002は、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003と接触していない。これにより、画像表示用導光板4020が高温環境下に配置されても、ホログラム層4002が、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003を浸食することが防止される。
特に、第1バリア層4008及び第2バリア層4009の屈折率が、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003に比べて高屈折率であると、上述したように、第1バリア層4008から第1樹脂基材4001に向かう光の出射角が大きくなる。同様に、第2樹脂基材4003から第2バリア層4009に入射する光は、出射角が狭められる。このため、第2樹脂基材4003側の外部から入射して、画像表示用導光板4005を透過する光は、第2バリア層4009を有しない場合に比べて、より広角の範囲の光が入射し、第1バリア層4008を有しない場合に比べて、より広角の範囲に出射される。この結果、外部光の視野の範囲がより広がるとともに、表示側のFOVも広がる。
ホログラム層4002からの画像光に関しては、上述したように、第1バリア層4008から第1樹脂基材4001に向かう光の出射角が大きくなる結果、第1バリア層4008を有しない場合に比べて、表示画面のFOVが広がる。
特に、本発明の第4の実施形態の第2変形例では、第1バリア層4008及び第2バリア層4009が、ホログラム層4002上に積層されることによって、外部光及び画像光の拡散位置と、表示画面を構成するホログラム層4002の回折位置とが、近づくため、このため、ホログラム層4002から離れた位置に第1バリア層4008及び第2バリア層4009が設けられる場合に比べると、より鮮明な画像が広範囲の角度から観察可能になる。
ここで、画像表示用導光板4020における輝度値及びFOVの測定方法について、簡単に説明する。
画像表示用導光板4020における輝度値は、画像表示用導光板4005を画像表示用導光板4020に代えた以外は上述した本発明の第4の実施形態の基本例における表示装置4010と同様の表示装置と、輝度計と、を用いて測定される。
輝度値の測定において、前記表示装置は、画像表示用導光板4020の表示画像出射部の中心が前記輝度計の測定光軸上で、前記輝度計と対向する位置に配置される。前記表示画像出射部と前記輝度計との距離は、前記表示装置の装着時における使用者の目の位置に対応する距離である。例えば、前記表示装置がヘッドマウントディスプレイの場合、距離は15mmとされる。
前記輝度値は、前記表示装置に最大輝度の白色画像を表示させたときに前記輝度計で測定される輝度である。
画像表示用導光板4020のFOVの測定では、前記表示装置に最大輝度の白色画像を表示させた状態で、前記輝度計の測定光軸を前記表示画像出射部に対して傾斜させて輝度を測定する。例えば、前記輝度計は前記ゴニオステージ等によって、画像表示用導光板4020に対して垂直の位置から適宜角度傾斜する揺動可能に支持される。
FOVは、前記白色画像が見えなくなることに対応する輝度を閾値として、閾値以上の輝度が得られる角度範囲として求められる。前記閾値以上の輝度が−θ1から+θ2までの範囲で得られる場合、FOVは、θ1+θ2である。ここで、角度は、画像表示用導光板4020の法線角度を0°とする。
<第3変形例>
第4の実施形態の第3変形例について説明する。
図22は、本発明の第4の実施形態の第3変形例の画像表示用導光板の一例を示す模式的な断面図である。
図22に示すように、第3変形例の画像表示用導光板4024は、本発明の第4の実施形態の基本例の画像表示用導光板4005の第1吸収層4004が削除され、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003に代えて、第1樹脂基材(吸収層)4021及び第2樹脂基材(吸収層)4023を備える。
以下、上記本発明の第4の実施形態の基本例と異なる点を中心に説明する。
第1樹脂基材(吸収層)4021は、第1樹脂基材4001と同様のベース樹脂と、ベース樹脂に分散された色材と、を備える。
第1樹脂基材(吸収層)4021が含有する色材は、本発明の第4の実施形態の基本例における第1吸収層4004と同様の色材が用いられる。色材の配合量は、第1樹脂基材(吸収層)4021が本発明の第4の実施形態の基本例における第1吸収層4004と同様の光吸収性を有するように設定される。
第2樹脂基材(吸収層)4023は、第1樹脂基材(吸収層)4021と同様に構成される。
画像表示用導光板4024は、基材準備工程で準備される第1樹脂基材(吸収層)4021及び第2樹脂基材(吸収層)4023が、それぞれのベース樹脂に色材が練り込まれた材料を用いて成形され、かつ吸収層形成工程が行われない以外は、本発明の第4の実施形態の基本例における画像表示用導光板4005と同様にして製造される。
画像表示用導光板4024は、吸収層が第1樹脂基材(吸収層)4021及び第2樹脂基材(吸収層)4023によって形成される例になっている。
画像表示用導光板4024によれば、第1樹脂基材(吸収層)4021及び第2樹脂基材(吸収層)4023が吸収層になっているので、第1変形例と同様にして、外光及び画像光における黄色味を低減できる。
以上説明したように、本発明の第4の実施形態の第3変形例によれば、透明材料の黄変による表示画像への影響を低減できる画像表示用導光板を提供することができる。
なお、上記本発明の第4の実施形態の基本例及び各変形例では、吸収層が画像表示用導光板の最外部に配置される場合の例で説明した。しかし、吸収層は、外光Lo及び画像光Ldの光路上であれば、どこに配置されても、画像表示用導光板から出射される光の黄色味を低減することができる。
上記本発明の第4の実施形態の基本例及び各変形例では、吸収層が、樹脂基材に接している場合の例で説明した。しかし、吸収層は、透明な樹脂フィルムに積層されていてもよい。この場合、例えば、樹脂フィルムに吸収層を形成してから、接着剤等を介して配置面に固定することができるので、吸収層の形成が容易になる。
上記第2変形例では、ホログラム層の表裏面にバリア層が配置されている場合の例で説明した。しかし、樹脂基材を通して浸透する水分等を遮蔽する目的及びホログラム層と樹脂基材との接触を防止する目的では、バリア層は、樹脂基材とホログラム層との間に配置されていればよい。
ただし、この場合、バリア層とホログラム層との間に挟まれる透明層の吸湿性が高いと、透明層の側面を通して水分が浸透するおそれがある。このため、バリア層とホログラム層との間の透明層は、吸湿性が少ない材料で形成されることがより好ましい。バリア層とホログラム層との間の透明層が吸湿性を有している場合には、透明層の厚みが薄くすることがより好ましい。この場合、水分の浸透口となる側面の露出面積が低減されるので、吸湿される水分量を低減できる。
上記第2変形例では、バリア層が、ホログラム層及び樹脂基材に接している場合の例で説明した。しかし、バリア層は、透明な樹脂フィルムに積層されていてもよい。この場合、例えば、樹脂フィルムにバリア層を形成してから、接着剤等を介して樹脂基材に固定することができるので、バリア層の形成が容易になる。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明する。しかし、本発明は後述する実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変更が可能である。
[第1の実施形態の実施例及び比較例(実施例1〜3、比較例1〜3)]
以下、第1の実施形態の実施例及び比較例について説明する。
下記表1に実施例1〜3及び比較例1〜3に用いる樹脂基材の構成及び評価結果を示す。
Figure 2020126239
三菱ケミカル…三菱ケミカル株式会社
クラレ…株式会社クラレ
住友化学…住友化学株式会社
旭化成…旭化成株式会社
アクリライト、コモグラス、スミベックス及びデラグラスは各社の登録商標。
<実施例1>
実施例1は、第1の実施形態の基本例の画像表示用導光板1004に対応する実施例である。
表1に示すように、第1樹脂基材1001及び第2樹脂基材1003(表1では「樹脂基材」)の材料としては、アクリル樹脂(PMMA)が用いられる。第1樹脂基材1001及び第2樹脂基材1003の板厚はいずれも1mmである。
ホログラム層1002は、各実施例及び各比較例に共通である。ホログラム層1002の材料としては、ビスフェノール系エポキシ樹脂jER1007(重合度n=10.8、エポキシ当量:1750〜2200、三菱ケミカル製商品名)100質量部、トリエチレングリコールジアクリレート50質量部及び4、4’−ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート5質量部、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン0.5質量部を2−ブタノン100質量部に混合溶解してホログラム用の感光材料として用いられる。ホログラム層1002の厚みは、5μmである。ホログラム層1002の平面視の大きさは50mm×50mmである。
(基板製造工程)
実施例1の第1樹脂基材1001及び第2樹脂基材1003は、以下のようにして製造される。
冷却管、温度計及び攪拌機を備える反応器(重合釜)に、MMA(メタクリル酸メチル)100部を投入し、撹拌する。窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始する。内温が80℃になった時点で、ラジカル重合開始剤である2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.05部を添加する。さらに内温100℃まで加熱した後、10分間保持する。その後、反応器を室温まで冷却して、シラップを得る。シラップの重合率は約20質量%である。
この後、シラップにt−ヘキシルパーオキシピバレート0.2質量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.01質量部を添加し、室温下で完全に溶解して、重合性原料を形成する。
減圧下で、重合性原料中の溶存空気を除去した後、鏡面仕上げされたステンレス製の一対のエンドレスベルトを備えた連続重合装置に原料を注入する。
ここで、本実施例で使用する連続重合装置について説明する。
図8は、実施例1の樹脂基板の製造装置の一例を示す模式的な縦断面図である。
図8に示すように、連続重合装置1100は、上下に一対のエンドレスベルト1101、1102が配置されている。エンドレスベルト1101、1102はそれぞれ主プーリ1103、1104、1105、1106によって張力が与えられており、同一速度で走行するよう駆動される。エンドレスベルト1101、1102の各内周部には、複数のキャリアロール1107がそれぞれ配置されている。各キャリアロール1107は、互いに対向するエンドレスベルト1101、1102を間に挟んで互いに対向している。各キャリアロール1107は、走行するエンドレスベルト1101、1102を水平に支持し、エンドレスベルト1101、1102のベルト走行方向(図示左から右に向かう方向)と直角かつベルト面の垂直方向からベルト面に対して少なくとも一回、線荷重をかける。
線荷重は、0.001〜10.0kg/cmであってもよい。線荷重は0.01kg/cm以上であることがより好ましい。
線荷重をかける回数は、多いほどより好ましい。線荷重をかける回数が多くなれば、得られる樹脂基板の平面性が向上する。例えば、線荷重をかける回数は、10回以上であることがより好ましい。
連続重合装置1100に設けられた原料注入装置1114は、エンドレスベルト1101、1102の間に重合性原料を供給する。エンドレスベルト1101、1102の両側端部付近は弾力性のある2個のガスケット1112によってシールされる。
重合性原料は、エンドレスベルト1101、1102の走行に伴い、第1重合ゾーン1108において温水スプレー1109で加熱されて重合する。さらに、重合性原料は、ベルト走行方向の下流に設けられた第2重合ゾーン1110において熱風ヒーターで加熱されて重合が完結する。重合性原料は、ベルト走行方向のより下流側に設けられた下流冷却ゾーン1111において冷却された後、板状重合物1113として取り出される。
上述した実施例1の重合性原料の具体的な製造条件は、以下の通りである。
連続重合装置1100において、原料注入装置1114から重合性原料が供給される部位におけるエンドレスベルト1101、1102のベルト面の間隔は1.6mmに調整し、重合を完結させて板状重合物を取り出す部位において最終的に板状重合物が1mmとなるように連続的に間隔が調整されている。
第1重合ゾーン1108における各キャリアロール1107による線荷重は、0.3kg/cmとされる。温水スプレー1109の温水温度は80℃である。温水は重合性原料が第1重合ゾーン1108に滞在する間、エンドレスベルト1101、1102のベルト内周面にかけ続けられる。第1重合ゾーン1108における重合性原料の滞在時間は40分である。
第2重合ゾーン1110では、熱風ヒーターから温度120℃の熱風をベルト内周面に吹き付けながら、重合性原料の滞在時間が10分となる条件で、重合を完結させている。
このようにして、板厚1mmの板状重合物1113が得られる。
第1樹脂基材1001及び第2樹脂基材1003の評価サンプル1Aは、板状重合物1113を200mm×200mmの矩形状に切断することによって形成される。評価サンプル1Aは、後述するMC値測定、算術平均粗さRaの測定、及び熱収縮率測定に用いられる。
評価サンプル1Bは、板状重合物1113を60mm×60mmの矩形状に切断することによって形成される。評価サンプル1Bは、画像表示用導光板1004を形成し、画像表示用導光板1004の画像評価(後述)に用いられる。
次に、実施例1における画像表示用導光板1004の製造工程について説明する。画像表示用導光板1004は、以下に説明する基板準備工程及び導光板作製工程をこの順に行うことによって製造される。
(基板準備工程)
基板準備工程では、基板製造工程で得られた60mm×60mm×厚み1mmのアクリル樹脂製の評価サンプル1Bの洗浄及び乾燥が行われる。
評価サンプル1Bは、中性洗浄剤であるセミクリーン(登録商標)M−LO(商品名;横浜油脂工業株式会社製)の5%界面活性剤水溶液に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄される。
この後、評価サンプル1Bは、超純水に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄される。さらに、超純水による評価サンプル1Bのすすぎが行われ、評価サンプル1Bは風乾後に100℃のオーブンで窒素雰囲気下にて乾燥される。この後、風乾した評価サンプル1Bは、UVオゾン洗浄機にて1分間、UVオゾン洗浄される。
以上で、基板準備工程が終了する。
(導光板作製工程)
導光板作製工程では、2枚の評価サンプル1Bを用いて画像表示用導光板1004が製造される。
一方の評価サンプル1Bの周縁部に、幅5mm、厚み5μmのシール層が塗布される。
シール層は、透明材料からなり、評価サンプル1B同士を互いに接着できる材料であれば、特に限定されないが、実施例1では、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂が用いられる。
これにより、シール層で囲まれた開口部が50mm×50mmの大きさを有するシール層段差付きアクリル基板が準備される。
この後、このアクリル基板上に、ホログラム用フォトポリマー材料としてアクリル系感光材料がスピンコートによって塗布される。アクリル系感光材料は、乾燥後厚みが5μmになるように塗布される。
この後、他方の評価サンプル1Bをシール層及びアクリル系感光材料上に積層し、減圧下にてプレス貼合する。プレス貼合の条件は、絶対圧5kPa、温度70℃、プレス圧0.04MPaである。
この後、プレス貼合された積層体のフォトポリマー材料に回折格子を記録する。この工程では、積層体の温度が20℃に保たれる。回折格子は、積層体に、2つのレーザー光を照射し、それぞれの照射角度及び強度を調整することで、必要な回折パターンが形成されるように干渉縞を形成する。これにより、フォトポリマー材料に回折格子が記録される。
具体的な回折格子としては、入射部に入射した画像光として入射された赤色、緑色、青色の波長領域の各光を回折して、画像光の画素に対応する位置において、表示画像出射部から出射させるカラー表示用回折格子が形成される。
この後、積層体を20℃に保った状態で、紫外光(波長365nm、放射照度80W/cm)が積層体の片面の方向から30秒間全面照射される。紫外光の光源としては、高圧水銀ランプが用いられる。
これにより、アクリル系感光材料が硬化し、実施例1の画像表示用導光板1004が形成される。
<実施例2>
実施例2は、第1の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板1014に対応する実施例である。
表1に示すように、実施例2は、第1樹脂基材1001の厚み方向における両面にハードコートが施された以外は、実施例1と同様である。
実施例2の評価サンプル1Aは、実施例1の評価サンプル1Aの厚み方向における両面に後述するハードコートを施して形成される。
実施例2の評価サンプル1Bは、実施例1の評価サンプル1Aに代えて、実施例2の評価サンプル1Aを用いる以外は、実施例1と同様に製造される。このため、第1変形例の図7に示す態様とは異なり、第2樹脂基材1003にも、第1ハードコート層1011A及び第2ハードコート層1011Bが積層されている。
以下では、実施例2の基板製造工程について、実施例1と異なる点を中心に説明する。
(基板製造工程)
以下で使用する略号について説明する。
「C6DA」は、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名;ビスコート#230)を意味する。
「U6HA」は、ヘキサメチレンジイソシアネートを3量化して得られるトリイソシアネート1モルに対して3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート3モルを反応して得られるウレタン化合物(新中村化学工業(株)製、商品名;NKオリゴU−6HA)を意味する。
「M305」は、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亞合成(株)製、商品名;アロニックス(登録商標)M−305)を意味する。
C6DAを60質量部、U6HAを30質量部、M305を10質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイドを0.5質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを5質量部混合し、ハードコート液を調製する。
このハードコート液を連続重合装置1100のエンドレスベルト1101、1102上に20μmの厚みで塗布する。この後、放射照度120W/cmの高圧水銀灯を用いて紫外光を照射し、ハードコート液を硬化させることでエンドレスベルト上にハードコートを形成する。
エンドレスベルト1101、1102上にハードコートが形成している点以外は実施例1と同様の方法で樹脂基板の重合を実施することで、表面にハードコートが積層された厚み1mmの板状重合物1113が得られる。
実施例2の板状重合物1113から、実施例1と同様にして実施例2の評価サンプル1A、1Bが形成される。
<実施例3>
実施例3は、第1の実施形態の基本例の画像表示用導光板1004に対応する実施例である。
表1に示すように、実施例3は、樹脂基材として切削研磨加工したアクリル板が用いられる以外は、実施例1と同様である。実施例3における樹脂基材は、厚み2mmの連続キャストアクリル板であるアクリライト(登録商標)Lを切削加工及び研磨加工により厚み1mmに加工したものである。
<比較例1〜3>
表1に示すように、比較例1〜3は、樹脂基材として既成の押出アクリル板が用いられる以外は、実施例1と同様である。このため、各比較例の基板製造工程は、メーカーごとに異なる押出成形によって行われる。
比較例1における樹脂基材としては、厚み3mmの押出アクリル板であるコモグラス(登録商標)P(商品名;株式会社クラレ製)が用いられる。
比較例2における樹脂基材としては、厚み3mmの押出アクリル板であるセミペックス(登録商標)E(商品名;住友化学株式会社製)が用いられる。
比較例3における樹脂基材としては、厚み3mmの押出アクリル板であるデラグラス(登録商標)A(商品名;旭化成株式会社製)が用いられる。
各比較例において、厚みが3mmである以外は実施例1と同様の形状を有する評価サンプル1A、1Bが準備される。
各比較例における導光板製造工程は、各比較例の評価サンプル1Bが用いられる以外は、実施例1と同様に行われる。
<評価方法>
次に、実施例1〜3及び比較例1〜3の評価方法について説明する。評価としては、MC値、Ra、熱収縮率及び表示画像の鮮明性の評価が行われる。
(MC値)
MC値の評価は、本明細書の「発明を実施するための形態」に記載した評価方法によって行われる。測定サンプルSとしては、各実施例及び各比較例の評価サンプル1Aが用いられる。
具体的な評価条件としては、距離d1及びd2がそれぞれ1m、仰角θが20°とされる。
比較例1〜3には、ギアマークがあるので、各比較例の評価サンプル1Aは、ギアマークがY方向に向く姿勢で評価装置1200に配置される。
これに対して、実施例1〜3にはギアマークが見られない。しかし、製造時の方向性を揃えるため、連続重合装置1100における走行方向と直交する方向がY方向に向くように各実施例の評価サンプル1Aを配置している。
明度分布の測定範囲は、評価装置1200における評価サンプル1Aの配置におけるY方向を横方向(線分AD、BCが延びる方向)、評価サンプル1A上で、横方向に直交する方向を縦方向(線分AB、DCが延びる方向)として、縦方向の幅が180mm、横方向の幅が80mmの矩形領域とされる。
測定範囲は、測定サンプルS上で、横方向に2mmずつずらして41箇所に設けている。各測定範囲において、測定ラインは、測定範囲を横方向に40等分するように選ばれる。
表1には、各測定範囲における各測定ラインの明度分布から求められたMC値の最大値が記載されている。
(Ra)
Raの評価では、各評価サンプル1Aの表面の算術平均粗さRaが測定される。
測定装置としては、白色干渉型表面形状測定機Zygo NewView(登録商標) 6300(商品名;Zygo Corporation社製)が用いられる。対物レンズの倍率は2.5倍が用いられる。観察範囲は、2.8mm×2.1mmの矩形状の範囲である。
(熱収縮率)
熱収縮率の評価は、JIS K 6718:2015の付属書A「加熱時の寸法変化(収縮)の測定」に準拠する寸法変化(収縮)の測定によって行われる。
(表示画像の鮮明性)
実施例1〜3及び比較例1〜3の画像表示用導光板は、画像表示装置に取り付けられる。画像表示装置には、表示を行う画像光を画像表示用導光板1004の入射部に入射する光学系、駆動電源、及び画像光を得るための画像情報等を供給する回路システムが設けられている。
評価に用いる入力画像としては、白色画像と、文字表示画像と、が用いられる。
評価は、白色画像と、文字表示画像との、見え方を目視で判定することにより行われる。文字画像としては、大きさ10mm×100mm以内の「ABCDE」が表示される。
白色画像において虹色が見えず、文字表示画像において、文字がはっきり見える場合、良い(good、表1では「A」と記載)と判定する。
白色画像においてわずかに虹色が見えるが、文字表示画像において、文字がはっきり見える場合、可(fair、表1では「B」と記載)と判定する。
白色画像において少なくとも一部に虹色が見え、かつ文字表示画像において、文字の輪郭がぼやけて見える場合、不可(no good、表1では「C」と記載)と判定する。
<評価結果>
表1に示すように、実施例1〜3のMC値は、それぞれ、0.074、0.103、0.060であり、いずれも0.120未満である。これに対して、比較例1〜3のMC値は、それぞれ0.126、0.183、0.148であり、いずれも0.120を超えている。
実施例1〜3は、ギアマークが観察されず、これに対応してMC値が0.120未満である。この理由は、各実施例の樹脂基材が連続キャスト法、又は切削及び研磨によって製造されるからであると考えられる。連続キャスト法では、各実施例の樹脂基材の原料の表面に、例えば、エンドレスベルト1101、1102の表面形状が転写される。このため、樹脂基材の表面の平面性は、エンドレスベルト1101、1102の平面性と同等になる。切削及び研磨では、樹脂基材の表面の平面性を極めて高くできる。
これに対して、比較例1〜3にはギアマークが観察されるので、ギアマークによってMC値が増大していると考えられる。比較例1〜3にギアマークが形成される理由としては、例えば、押出機において押出材料に接触するロール類の駆動ムラが大きいこと等が考えられる。
実施例1〜3の算術平均粗さRaは、それぞれ、4.9nm、4.7nm、2.6nmであり、いずれも10nm未満である。これに対して、比較例1〜3のRaは、それぞれ、5.5nm、2.9nm、2.3nmであり、いずれも10nm未満である。このため、Raで表される平滑性に関しては、実施例1〜3は、比較例1〜3に比べて大きな差はない。
実施例1〜3の熱収縮率は、いずれも3%未満である。これに対して、比較例1〜3の熱収縮率は、いずれも3%以上である。この理由は、比較例1〜3の樹脂基材が押出成形によって製造されていることによって、樹脂基材中に歪みが蓄積されたからであると考えられる。
実施例1〜3の表示画像の鮮明性は、いずれも「良い(A)」と判定される。これに対して、比較例1〜3の表示画像の鮮明性は、いずれも「不可(C)」と判定される。この理由は、比較例1〜3では、MC値が各実施例に比べて大きいために、画像光の回折方向等が乱れるためであると考えられる。
例えば、比較例2、3の樹脂基材は、Raが実施例1、2よりも小さいので、平滑性において実施例1、2においてより優れているが、表示画像の鮮明性においては、平面性(すなわち、MC値)の寄与が大きいからであると考えられる。少なくとも、Raが10nm以下であれば、鮮明性において、Raの大きさに優位な差はないと考えられる。
[第2の実施形態の実施例]
以下、第2の実施形態の実施例について説明する。
下記表2A〜表2Cに実施例4〜7及び12〜21に用いる樹脂基材及びバリア層の構成、並びに評価結果を示す。
Figure 2020126239
Figure 2020126239
表2Bの「補助層」の欄において、「EVOH系」は「エチレンビニルアルコール系」を、「F系」は「フッ素系」を表す。
Figure 2020126239
<実施例4>
実施例4は、第2の実施形態の基本例の画像表示用導光板2006に対応する実施例である。
表2Aに示すように、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005(表2Aでは「樹脂基材」)の材料としては、アクリル樹脂(PMMA)が用いられる。
第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005の形状は、いずれも60mm×60mm×1mmの矩形板である。
本実施例の第1バリア層2002及び第2バリア層2004(表2Bでは「バリア層」)は、層厚40nmのDLC膜である。
ホログラム層2003は、実施例4〜7及び11〜20に共通である。ホログラム層2003の材料としては、ビスフェノール系エポキシ樹脂jER(登録商標)1007(重合度n=10.8、エポキシ当量:1750〜2200、三菱ケミカル製商品名)100質量部、トリエチレングリコールジアクリレート50質量部及び4、4’−ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート5質量部、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン0.5質量部を2−ブタノン100質量部に混合溶解してホログラム用の感光材料として用いられる。ホログラム層2003の厚みは、5μmである。ホログラム層2003の平面視の大きさは50mm×50mmである。
次に、実施例4における画像表示用導光板2006の製造工程について説明する。画像表示用導光板2006は、以下に説明する基板準備工程、バリア層形成工程及び導光板作製工程をこの順に行うことによって製造される。
(基板準備工程)
基板準備工程では、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005の洗浄及び乾燥が行われる。以下、第1樹脂基材2001及び第2樹脂基材2005を区別する必要がない場合には、符号を省略し、単に樹脂基材と表記する。
樹脂基材は、中性洗浄剤であるセミクリーン(登録商標)M−LO(商品名;横浜油脂工業株式会社製)の5%界面活性剤水溶液に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄される。
この後、樹脂基材は、超純水に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄される。さらに、超純水による樹脂基材のすすぎが行われ、樹脂基材は風乾後に100℃のオーブンで窒素雰囲気下にて乾燥される。この後、風乾した評価サンプル2Bは、UVオゾン洗浄機にて1分間、UVオゾン洗浄される。
以上で、基板準備工程が終了する。
(バリア層形成工程)
バリア層形成工程では、樹脂基材の表面にDLC膜を形成する。
空間容積350cm、高周波電源(13.56MHz)、内部電極(φ10mm)(ガス導入管を兼用、先端細孔φ1mm)を装備したプラズマ化学蒸着装置内に、樹脂基材を配置して真空排気が行われる。プラズマ化学蒸着装置の圧力が15Paに到達後、高純度アセチレンとテトラメチルシランの2:1の混合ガスを流量45sccmで導入し、プラズマ発生設定電力100W、成膜時間0.8秒の条件で膜厚40nmのDLC成膜を行う。
以上で、バリア層形成工程が終了する。
以下では、バリア層が形成された樹脂基材を中間積層体と称する。
(導光板作製工程)
導光板作製工程では、2枚の中間積層体を用いて画像表示用導光板2006が製造される。
一方の中間積層体のバリア層の周縁部に、幅5mm、厚み5μmのシール層が塗布される。
シール層は、透明材料からなり、中間積層体のバリア層同士を互いに接着できる材料であれば、特に限定されないが、実施例3では、光接着剤ハードロック(登録商標)OP−1045K(商品名;電気化学工業株式会社製)が用いられる。
これにより、シール層で囲まれた開口部が50mm×50mmの大きさを有するシール層段差付き中間積層体が準備される。
この後、この中間積層体上に、ホログラム用フォトポリマー材料として上記の感光材料がスピンコートによって塗布される。感光材料は、乾燥後厚みが5μmになるように塗布される。
この後、他方の中間積層体を、そのバリア層がシール層付きの中間積層体のバリア層と対向するように、シール層及び感光材料上に積層し、減圧下にてプレス貼合する。プレス貼合の条件は、絶対圧5kPa、温度70℃、プレス圧0.04MPaである。
この後、プレス貼合された積層体の感光材料に回折格子を記録する。この工程では、積層体の温度が20℃に保たれる。回折格子は、積層体に、2つのレーザー光を照射し、それぞれの照射角度及び強度を調整することで、必要な回折パターンが形成されるように干渉縞を形成する。これにより、感光材料に回折格子が記録される。
具体的な回折格子としては、入射部に入射した画像光として入射された赤色、緑色、青色の波長領域の各光を回折して、画像光の画素に対応する位置において、表示部から出射させるカラー表示用回折格子が形成される。
この後、積層体を20℃に保った状態で、紫外光(波長365nm、放射照度80W/cm)が積層体の片面の方向から30秒間全面照射される。紫外光の光源としては、高圧水銀ランプが用いられる。
これにより、シール層が硬化し、実施例3の画像表示用導光板2006が形成される。
<実施例5>
実施例5は、各DLC膜が、厚み10nmの珪素酸化物で形成されている以外は、実施例4と同様の構成を有する。
以下では、実施例5の基板製造工程について、実施例4と異なる点を中心に説明する。
実施例5の画像表示用導光板2006は、実施例4と同様の基板準備工程と、後述するバリア層形成工程と、実施例4と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(バリア層形成工程)
本実施例のバリア層形成工程では、樹脂基材の表面に珪素酸化物薄膜層を形成する。
樹脂基材が真空蒸着装置に配置された後、珪素酸化物の真空蒸着が行われる。真空蒸着装置のチャンバーの到達真空度は、1.0×10−4Torrとされる。この真空下、高周波誘導加熱方式により純度99.9%の一酸化珪素を加熱蒸発させて、樹脂基材の表面に、厚み50nmの珪素酸化物薄膜を成膜する。これにより、珪素酸化物薄膜層が成膜された中間積層体が得られる。
以上で、バリア層形成工程が終了する。
本実施例の導光板作製工程は、上述したバリア層形成工程で形成された中間積層体が用いられる以外は、実施例4の導光板作製工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例6、7>
表2Aに示すように、実施例6、7は、バリア層の配置が異なる以外は、実施例5と同様である。
図12は、実施例6の画像表示用導光板を示す模式的な断面図である。図13は、実施例7の画像表示用導光板を示す模式的な断面図である。
以下では、実施例5と異なる点を中心に説明する。
図12に示すように、実施例6の画像表示用導光板2101は、第1バリア層2002、第1樹脂基材2001、ホログラム層2003、第2樹脂基材2005及び第2バリア層2004がこの順に積層している。
第1バリア層2002及び第2バリア層2004としては、実施例5と同様の厚み50nmの珪素酸化物薄膜層が用いられる。
画像表示用導光板2101を製造するには、実施例5と同様にして、中間積層体を形成する。その後、一方の中間積層体の樹脂基材上にシール層を設け、感光材料を塗布した後、樹脂基材同士が対向するように他方の中間積層体を積層させる。この後、実施例5と同様の減圧プレス、回折格子の形成を行うことによって、画像表示用導光板2101が製造される。
図13に示すように、実施例7の画像表示用導光板2102は、実施例6の画像表示用導光板2101の側面(厚み方向と直交する方向の外周面)全体を被覆する第3バリア層2032が設けられた以外は実施例6と同様である。
第3バリア層2032は、実施例6の第1バリア層2002と同様の珪素酸化物薄膜層からなる。
画像表示用導光板2102は、画像表示用導光板2101を製造した後、その側面に珪素酸化物薄膜層を成膜することによって製造される。
<実施例12>
実施例12は、各DLC膜が、厚み40nmのアルミナで形成されている以外は、実施例4と同様の構成を有する。
以下では、実施例12の基板製造工程について、実施例4と異なる点を中心に説明する。
実施例12の画像表示用導光板2006は、実施例4と同様の基板準備工程と、後述するバリア層形成工程と、実施例4の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(バリア層形成工程)
本実施例のバリア層形成工程では、樹脂基材の表面にアルミナ膜を形成する。
電子ビーム蒸着装置内に、樹脂基材及び蒸着源として純度99.999%で粒径2mmのアルファアルミナ粒子を適量、配置して、真空排気が行われる。蒸着源からシャッタまでの距離は約8cm、蒸着源から樹脂基材表面までの距離は約35cmである。
電子ビーム蒸着装置の圧力が3×10−3Paに到達後、電子ビームのフィラメント電流を約35mAに上げ、シャッタを開け、アルミナ成膜を行う。装置内の壁面の温度が50℃になったら、シャッタを閉じ、電子ビームのフィラメント電流を止める。30℃以下まで冷却後、電子ビームのフィラメント電流を約35mAに上げ蒸着源を加熱し、シャッタを開け、アルミナ成膜を行う。これを繰り返し、膜厚40nmのアルミナ成膜を行う。
本実施例の導光板作製工程は、上述したバリア層形成工程で形成された中間積層体が用いられる以外は、実施例4の導光板作製工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例13>
実施例13は、各DLC膜が、厚み70nmの珪素酸化物で形成されている以外は、実施例4と同様の構成を有する。
以下では、実施例13の基板製造工程について、実施例4と異なる点を中心に説明する。
実施例13の画像表示用導光板2006は、実施例4と同様の基板準備工程と、後述するバリア層形成工程と、実施例4と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(バリア層形成工程)
本実施例のバリア層形成工程では、樹脂基材の表面に珪素酸化物を形成する。高周波電源(13.56MHz)を装備したプラズマ化学蒸着装置内に、樹脂基材を配置して真空排気が行われる。プラズマ化学蒸着装置の圧力が1Paに到達後、ヘリウムガスによってバブリングされることにより、生成されたテトラエトキシシラン(TEOS)ガスを流量6sccmで、酸素ガスを流量95sccmで導入し、プラズマ発生設定電力250Wの条件で膜厚70nmの珪素酸化物成膜を行う。
以上で、バリア層形成工程が終了する。
本実施例の導光板作製工程は、上述したバリア層形成工程で形成された中間積層体が用いられる以外は、実施例4の導光板作製工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例14>
実施例14は、珪素酸化物膜が、厚み140nmの珪素酸化物で形成されている以外は、実施例4と同様の構成を有する。
以下では、実施例14の基板製造工程について、実施例4と異なる点を中心に説明する。
実施例14の画像表示用導光板2006は、実施例4と同様の基板準備工程と、後述するバリア層形成工程と、実施例4と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(バリア層形成工程)
本実施例のバリア層形成工程では、樹脂基材の表面に珪素酸化物を形成する。高周波電源(13.56MHz)を装備したプラズマ化学蒸着装置内に、樹脂基材を配置して真空排気が行われる。プラズマ化学蒸着装置の圧力が1Paに到達後、ヘリウムガスによってバブリングされることにより、生成されたTEOSガスを流量6sccmで、酸素ガスを流量95sccmで導入し、プラズマ発生設定電力250Wの条件で膜厚140nmの珪素酸化物成膜を行う。
以上で、バリア層形成工程が終了する。
本実施例の導光板作製工程は、上述したバリア層形成工程で形成された中間積層体が用いられる以外は、実施例4の基板製造工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例15>
実施例15は、珪素酸化物膜が、厚み170nmの珪素酸化物で形成されている以外は、実施例4と同様の構成を有する。
以下では、実施例15の基板製造工程について、実施例4と異なる点を中心に説明する。
実施例15の画像表示用導光板2006は、実施例4と同様の基板準備工程と、後述するバリア層形成工程と、実施例4と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(バリア層形成工程)
本実施例のバリア層形成工程では、樹脂基材の表面に珪素酸化物を形成する。高周波電源(13.56MHz)を装備したプラズマ化学蒸着装置内に、樹脂基材を配置して真空排気が行われる。プラズマ化学蒸着装置の圧力が1Paに到達後、ヘリウムガスによってバブリングされることにより、生成されたTEOSガスを流量6sccmで、酸素ガスを流量95sccmで導入し、プラズマ発生設定電力250Wの条件で膜厚170nmの珪素酸化物成膜を行う。
以上で、バリア層形成工程が終了する。
本実施例の導光板作製工程は、上述したバリア層形成工程で形成された中間積層体が用いられる以外は、実施例4の基板製造工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例16>
実施例16は、バリア層が補助層を有する以外は、実施例14と同様の構成を有する。
以下では、実施例16の基板製造工程について、実施例14と異なる点を中心に説明する。
実施例16の画像表示用導光板2006は、実施例4と同様の基板準備工程と、後述するバリア層形成工程と、実施例4と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(バリア層形成工程)
本実施例のバリア層形成工程では、実施例14と同様の方法で作製した無機材料層の表面に補助層を形成する。エチレン−ビニルアルコール共重合体水溶液に、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)KBM−573)を保護コート中の全固形分に対して固形分濃度が10重量%になるように添加し、補助コート剤1を調製した。無機材料層の表面に補助コート剤1を塗布乾燥して厚さ0.5μmの補助層を形成する。
以上で、バリア層形成工程が終了する。
本実施例の導光板作製工程は、上述したバリア層形成工程で形成された多層構造を有するバリア層が用いられる以外は、実施例4の基板製造工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例17>
実施例17は、バリア層が補助層としてフッ素系防水防湿コート層を有する以外は、実施例14と同様の構成を有する。
以下では、実施例17の基板製造工程について、実施例14と異なる点を中心に説明する。
実施例17の画像表示用導光板2006は、実施例4と同様の基板準備工程と、後述するバリア層形成工程と、実施例4と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(バリア層形成工程)
本実施例の保護層形成工程では、実施例14と同様の方法で作製したバリア層の表面にフッ素系防水防湿コート層を形成する。
以上で、バリア層形成工程が終了する。
本実施例の基板製造工程は、上述したバリア層形成工程程で形成された多層構造を有するバリア層が用いられる以外は、実施例4の基板製造工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例18>
実施例18は、バリア層と樹脂基材との間にアンカーコート層が配置される以外は、実施例14と同様の構成を有する。
以下では、実施例18の基板製造工程について、実施例14と異なる点を中心に説明する。
実施例18の画像表示用導光板2006は、実施例14と同様の基板準備工程と、後述するアンカーコート層形成工程及びバリア層形成工程と、実施例4と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(アンカーコート層形成工程)
本実施例のアンカーコート層形成工程では、樹脂基材の表面にアンカーコート層を形成する。飽和ポリエステル(東洋紡績(株)製バイロン300)とイソシアネート化合物(東ソー(株)製コロネートL)を1:1質量比になるように配合し、アンカーコート剤を調製した。樹脂基材のコロナ処理面にアンカーコート剤を塗布乾燥して、厚さ100nmのアンカーコート層を形成した。
以上で、アンカーコート層工程が終了する。
(バリア層形成工程)
前記アンカーコート層上に実施例14と同様の方法でバリア層を形成する。
本実施例の導光板作製工程は、上述したアンカーコート層形成工程及びバリア層形成工程で形成された中間積層体が用いられる以外は、実施例4の基板製造工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例19>
実施例19は、バリア層と樹脂基材との間にアンカーコート層が配置される以外は、実施例16と同様の構成を有する。
以下では、実施例19の基板製造工程について、実施例16と異なる点を中心に説明する。
実施例19の画像表示用導光板2006は、実施例4と同様の基板準備工程と、後述するアンカーコート層形成工程、無機材料層形成工程及びバリア層形成工程と、実施例4と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(アンカーコート層形成工程)
樹脂基材の表面に実施例18と同様の方法でアンカーコート層を形成する。
(無機材料層形成工程)
前記アンカーコート層上に実施例14と同様の方法で無機材料層を作製する。
(バリア層形成工程)
前記無機材料層の表面に実施例16と同様の方法で補助層を作製し、バリア層を形成する。
本実施例の導光板作製工程は、上述したアンカーコート層形成工程、無機材料層形成工程及びバリア層形成工程で形成された中間積層体が用いられる以外は、実施例4の基板製造工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例20>
実施例20は、各珪素酸化物膜が、スパッタリング法により成膜された厚み100nmの珪素酸化物で形成されている以外は、実施例4と同様の構成を有する。
以下では、実施例20の基板製造工程について、実施例4と異なる点を中心に説明する。
実施例20の画像表示用導光板2006は、実施例4と同様の基板準備工程と、後述するバリア層形成工程と、実施例4と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(バリア層形成工程)
本実施例のバリア層形成工程では、樹脂基材の表面に珪素酸化物膜を形成する。スパッター法によって真空圧力4.0×10−5Torrの真空圧のもとで、膜厚100nmの珪素酸化物膜の成膜を行う。
本実施例の導光板作製工程は、上述したバリア層形成工程で形成された中間積層体が用いられる以外は、実施例4の基板製造工程と同様なので、説明を省略する。
<実施例21>
実施例21は、バリア層と樹脂基材との間にアンカーコート層が配置される以外は、実施例20と同様の構成を有する。
以下では、実施例21の基板製造工程について、実施例20と異なる点を中心に説明する。
実施例21の画像表示用導光板2006は、実施例20と同様の基板準備工程と、実施例18と同様のアンカーコート層形成工程と、後述するバリア層形成工程と、実施例20と同様の導光板作製工程と、をこの順に行うことによって製造される。
(バリア層形成工程)
前記アンカーコート層上に実施例20と同様の方法でバリア層を形成する。
本実施例の導光板作製工程は、上述したバリア層形成工程で形成された中間積層体が用いられる以外は、実施例20の基板製造工程と同様なので、説明を省略する。
<評価方法>
次に、各実施例の評価方法について説明する。評価としては、輝度値測定、FOV評価、及び表示画像の鮮明性評価が行われる。
(輝度値)
輝度値の測定用サンプルは、加湿試験を行うサンプル(表2Cでは「加湿後」)、加熱試験を行うサンプル(表2Cでは「加熱後」)、及び加湿試験も加熱試験も行わないサンプル(表2Cでは「初期」)の三種類が準備される。
加湿試験及び加熱試験は、小型環境試験器SH−241(商品名;エスペック株式会社製)が用いられる。
加湿試験の試験条件は、60℃、90%RH、500時間とされる。
加熱試験の試験条件は、85℃、500時間とされる。
測定用サンプルの輝度値は、実施形態において上述した測定方法に基づいて行われる。
各測定用サンプルは、それぞれ上述の表示装置に組み立てられる。
輝度計2014としては、輝度計BM−8(商品名;株式会社トプコン製)が用いられる。測定角は1°である。表示面2003aからの距離dは15mmである。
輝度値が3500nit以上の場合、とても良い(very good、表2Cでは「S」と記載)と判定する。
輝度値が3000nit以上3500nit未満の場合、良い(good、表2Cでは「A」と記載)と判定する。
輝度値が1000nit以上3000nit未満の場合、可(fair、表2Cでは「B」と記載)と判定する。
輝度値が1000nit未満の場合、不可(no good、表2Cでは「C」と記載)と判定する。
(FOV)
FOVの測定は、輝度値の測定用サンプルのうち、加湿試験も加熱試験も行わないサンプルで組み立てられた表示装置を用いて行われる。
FOVの測定は、実施形態において上述した測定方法に基づいて行われる。
輝度計2014としては、輝度計BM−8(商品名;株式会社トプコン製)が用いられる。測定角は1°である。表示面2003aからの距離dは15mmである。
FOVが45°以上の場合、とても良い(very good、表2Cでは「S」と記載)と判定する。
FOVが35°以上45°未満の場合、良い(good、表2Cでは「A」と記載)と判定する。
FOVが24°以上35°未満の場合、可(fair、表2Cでは「B」と記載)と判定する。
FOVが24°未満の場合、不可(no good、表2Cでは「C」と記載)と判定する。
(鮮明性)
表示画像の鮮明性は、FOV測定に使用される表示装置を用いて行われる。
評価に用いる入力画像としては、白色画像と、文字表示画像と、が用いられる。
評価は、白色画像と、文字表示画像との、見え方を目視で判定することにより行われる。文字画像としては、10mm×100mm内の「ABCDE」が表示される。
白色画像において虹色が見えず、文字表示画像において、文字がはっきり見える場合、良い(good、表2Cでは「A」と記載)と判定する。
白色画像においてわずかに虹色が見えるが、文字表示画像において、文字がはっきり見える場合、可(fair、表2Cでは「B」と記載)と判定する。
白色画像において少なくとも一部に虹色が見え、かつ文字表示画像において、文字の輪郭がぼやけて見える場合、不可(no good、表2Cでは「C」と記載)と判定する。
<評価結果>
表2Cに示すように、実施例4、5及び実施例12〜21の輝度値は、加湿試験、加熱試験の有無を問わず、すべて、「S」又は「A」と評価される。
この理由は、これら実施例では、バリア層によってホログラム層への水分の浸透が防止されることと、ホログラム層が樹脂基材を浸食することとが、抑制される結果、ホログラム層の回折性能が良好であり、樹脂基板における光路の乱れもないためであると考えられる。
また、これら実施例では、ホログラム層が樹脂基材と接していないため、加熱されても、ホログラム層の材料が樹脂基材を浸食することはない。
これに対して、実施例5、6の輝度値は、加湿試験及び加熱試験のいずれかの後の測定用サンプルでは、いずれも実施例4、5及び実施例12〜21より劣っているが、加湿試験及び加熱試験が施されない場合には、「B」と評価され実用可能レベルである。
表2Cに示すように、実施例4、5及び実施例12〜21のFOVは、それぞれ「S」、「A」と評価される。
これに対して、実施例6、7のFOVは、「C」と評価され実用可能レベルであった。
この理由は、上述した輝度値評価の違いの理由と同様であると考えられる。すなわち、実施例4、5及び実施例12〜21では、バリア層によってホログラム層への水分の浸透及び樹脂基材への浸食が非常に高いレベルで防止される結果、FOVの低下も見られない。
実施例4のFOVが、実施例5のFOVよりもさらに良好になるのは、バリア層の材料の相違のためであると考えられる。DLC膜は、珪素酸化物薄膜層に比べて屈折率が高いため、FOVが大きくなり良好になると考えられる。
さらに、実施例4、5及び実施例12〜21の表示画像の鮮明性(表2Cでは「鮮明性」)は、いずれも「A」と判定され、実施例6、7の場合より良好な結果である。
この理由は、上述した輝度値評価の違いの理由と同様であると考えられる。すなわち、実施例4、5及び実施例12〜21では、バリア層によってホログラム層への水分の浸透及び樹脂基材への浸食が非常に高いレベルで防止される結果、鮮明な画像が観察される。
[第3の実施形態の実施例]
以下、第3の実施形態の実施例について説明する。
<実施例8>
(第一基板及び第二基板の準備)
60mm×60mm×1mm(厚さ)に加工した2枚のアクリル樹脂板(三菱ケミカル社製)を、セミクリーンM−L0(横浜油脂工業株式会社製)の5%界面活性剤水溶液に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄を行う。その後、超純水に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄を行う。さらに、超純水によるすすぎを行い、風乾後100℃のオーブンで窒素雰囲気下にて乾燥させる。その後、風乾した基板をUVオゾン洗浄機にて1分間、UVオゾン洗浄を行って第一基板及び第二基板とする。
(ホログラム層の形成)
ホログラム層は、各実施例に共通である。ホログラム層の材料としては、ビスフェノール系エポキシ樹脂(重合度n=10.8、エポキシ当量:1750〜2200、三菱ケミカル社製 商品名jER1007)100質量部、トリエチレングリコールジアクリレート50質量部及び4、4’−ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート5質量部、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン0.5質量部を2−ブタノン100質量部に混合溶解してホログラム用の感光材料として用いる。
第二基板の周縁部に、幅5mm、厚さ5μmのシール層を塗布する。シール層に囲まれた50mm×50mmの開口部に、ホログラム層となる上記感光材料を、乾燥後厚みが5μmとなるようにスピンコートで塗布する。上記感光材料の乾燥後に、第一基板を積層し、減圧下にてプレス貼合(絶対圧5kPa、温度70℃、プレス圧0.04MPa)する。
上記感光材料が封入された第一基板及び第二基板を20℃に保ちつつ、2つのレーザー光を照射する。それぞれレーザー光の照射角度及び強度を調整することにより、その干渉による干渉縞を形成し、上記感光材料に所望の回折格子を記録してホログラム層を形成する。
(ハードコートフィルムの準備)
フィルム基材として、三菱ケミカル社製:ポリエチレンテレフタレート2軸延伸フィルム(製品名「ダイアホイルT612タイプ」、厚み:50μm)を準備する。
有機・無機ハイブリッド系紫外線硬化性樹脂組成物(MOMENTIVE社製 UVHC7800G、反応性官能基を有する無機シリカ含有量:30〜40質量%)を用いて、ハードコート層形成用の硬化性組成物を調製する。この組成物が硬化した硬化樹脂層の屈折率は1.54である。
フィルム基材の第二面に、硬化性組成物をバーコーターで乾燥後膜厚が3μmとなるように塗布し、90℃で1分加熱して乾燥させる。その後、高圧水銀ランプ(80W/cm)を使用し、積算光量で400mJ/cmの紫外線を照射してハードコート層を形成する。
次に、ハードコート層上に、下記組成の離型層形成用塗液を塗布し、乾燥させて離型層を形成する。得られた離型層の厚みは、500nmである。
・離型剤 長鎖アルキル基含有アルキド樹脂(日立化成(株)製 「テスファイン」303) 10質量部(固形分換算)
・酸触媒 p−トルエンスルホン酸(日立化成(株)製 「ドライヤー」900) 0.12質量部(固形分換算)
・溶媒 トルエン 45質量部
次に、フィルム基材の第一面に、粘着剤形成用組成物を、乾燥後膜厚が0.5μmとなるように塗布し、乾燥して粘着層を形成する。
粘着剤形成用組成物は以下のように調製する。
アクリル系共重合体からなる粘着剤溶液(綜研化学社製 SKダイン1882、固形分濃度約17%)1kgに対し、イソシアネート系架橋剤(綜研化学社製 L−45)1.85g、エポキシ系架橋剤(綜研化学社製 E−5XM)0.5gを添加して均一混合する。
得られたハードコートフィルムの粘着層を第一基板に接合してハードコートフィルムを第一基板に取り付けることにより、実施例8の画像表示用導光板を得る。
<実施例9>
実施例9は、ハードコートフィルムの構成のみ異なる。ハードコートフィルムの準備態様について、以下に示す。
工程用剥離フィルム(三菱ケミカル(株)製 「MRA100」、厚さ100μm)に上述と同様の態様で離型層、ハードコート層、及び粘着層を形成し、粘着層を第一基板に接合する。紫外線照射後に工程用剥離フィルムを剥離して、実施例9の画像表示用導光板を得る。
<評価方法>
各実施例について、以下の評価を行う。
(画像表示の鮮明度)
各例の導光板を3枚用意し、それぞれ赤色、緑色、青色の波長領域の光を回折するようにホログラム層を形成した後、3枚の導光板を積層する。積層した導光板に、画像表示装置、表示した情報を導光板に入力する光学系、並びに駆動電源及び画像情報等を供給する回路システムを取り付けて、各例に係る画像表示装置を組み上げる。
導光板に白色の背景に文字が記載された画像を表示する。表示された画像を第一基板側から目視して、以下の3段階に感応評価する。
A(good):画像に虹色に見える部分がなく、文字もはっきりと見える
B(average):画像に虹色に見える部分がわずかに存在するが、文字ははっきりと見える
C(bad):画像に虹色に見える部分が明確に存在し、文字の輪郭もぼやけて見える
鮮明度の評価は、以下に示す耐傷性の評価の前後それぞれにおいて行う。実施例8、9においては、耐傷性評価後にハードコートフィルムを剥離し、新しいハードコートフィルムを取り付けた後で評価を行う。
(耐傷性)
各例の画像表示装置における最表面のハードコートフィルム又はハードコート層の表面に対し、直径11mmの円柱の断面に取り付けたスチールウール#0000を、荷重400g、100mm/secで10往復させる。その後、長さ100mm、幅20mmの試験範囲内において、ハードコートフィルム又はハードコート層表面の状態を観察し、以下の3段階で判定する。
A(good):傷がない
B(average):傷本数が20本未満
C(bad):傷本数が20本以上
(耐落下性)
直径50mm、重さ230gの剛球を落下させて各例の画像表示装置の最表面側に衝突させる。その後、第一基板及び第二基板の割れを確認する。評価は以下の2段階とする。
A(good):第一基板及び第二基板のいずれにも割れを認めない。
C(bad):第一基板及び第二基板の少なくとも一方に割れを認める。
(鉛筆硬度)
測定する表面に対して、JIS K 5600−5−4:1999に準じて荷重750gで鉛筆硬度を測定する。
各評価の結果を表3に示す。
Figure 2020126239
実施例8、9では、耐傷性評価においてハードコートフィルム又はハードコート層に傷が生じる。この傷は、ハードコートフィルムを貼り替えることにより、鮮明度が悪化することを防げる。各実施例の画像表示用導光板は、耐落下性の評価において樹脂製の基板に割れを生じないため、眼鏡型のディスプレイに適用した際の安全性が高まる。
本発明の第3の実施形態に係る導光板において、第二基板は樹脂製でなく、例えばガラス製であってもよい。このような構成でも、第一基板を装着者側に向けた状態で眼鏡型ディスプレイを構成する等により、軽量化が可能となり、また、装着者の安全性を高められる。
本発明に係る導光板において、第二基板にもハードコートフィルムが取り付けられてよい。この際、第一基板と第二基板とでハードコートフィルムの構成及び重ね枚数等の態様が異なっていてもよい。
[第4の実施形態の実施例]
以下、第4の実施形態の実施例9、10について説明する。本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
下記表4に各実施例樹脂基材及び吸収層の構成、及び評価結果について示す。
Figure 2020126239
<実施例10>
実施例10は、第4の実施形態の画像表示用導光板4005に対応する実施例である。
表4に示すように、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003(表4では「樹脂基材」)の材料としては、アクリル樹脂(PMMA)が用いられる。
第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003の形状は、いずれも60mm×60mm×1mmの矩形板である。
ホログラム層4002は、各実施例に共通である。ホログラム層4002の材料としては、ビスフェノール系エポキシ樹脂jER(登録商標)1007(重合度n=10.8、エポキシ当量:1750〜2200、三菱ケミカル製商品名)100質量部、トリエチレングリコールジアクリレート50質量部及び4、4’−ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート5質量部、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン0.5質量部を2−ブタノン100質量部に混合溶解してホログラム用の感光材料として用いられる。ホログラム層4002の厚みは、5μmである。ホログラム層4002の平面視の大きさは50mm×50mmである。
次に、実施例10における画像表示用導光板4005の製造工程について説明する。画像表示用導光板4005は、以下に説明する基板準備工程、吸収層形成工程、及び導光板作製工程をこの順に行うことによって製造される。
(基板準備工程)
基板準備工程では、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003の洗浄及び乾燥が行われる。以下、第1樹脂基材4001及び第2樹脂基材4003を区別する必要がない場合には、符号を省略し、単に樹脂基材と表記する。
樹脂基材は、中性洗浄剤であるセミクリーン(登録商標)M−LO(商品名;横浜油脂工業株式会社製)の5%界面活性剤水溶液に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄される。
この後、樹脂基材は、超純水に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄される。さらに、超純水による樹脂基材のすすぎが行われ、樹脂基材は風乾後に100℃のオーブンで窒素雰囲気下にて乾燥される。この後、風乾した評価サンプルBは、UVオゾン洗浄機にて1分間、UVオゾン洗浄される。
以上で、基板準備工程が終了する。
(吸収層形成工程)
吸収層形成工程では、第1樹脂基材4001の表面に第1吸収層4004(表4では「吸収層」)を形成する。
100質量部のアクリレート(ユピマー(登録商標)UV−HH2100(商品名;三菱ケミカル株式会社製))に5質量部の光重合開始剤を加え、さらに色材として、ダイアレンジ(登録商標)ブルーを0.05質量部加えて、硬化性樹脂組成物(コート液)を調製する。
この硬化性樹脂組成物を、金属製バーコーターを用いて第1樹脂基材4001上に塗布し、90℃で1分間乾燥後、紫外光照射装置を用いて500mJ/cmの露光量で露光し、厚み5μmの吸収層を有する積層体を得る。
以上で、吸収層形成工程が終了する。
以下では、吸収層が形成された樹脂基材を中間積層体と称する。
(導光板作製工程)
導光板作製工程では、中間積層体と、第2樹脂基材4003と、を用いて画像表示用導光板4005が製造される。
中間積層体の吸収層と反対側の表面の周縁部に、幅5mm、厚み5μmのシール層が塗布される。
シール層は、透明材料からなり、樹脂基材同士を互いに接着できる材料であれば、特に限定されないが、実施例1では、光接着剤ハードロック(登録商標)OP−1045K(商品名;電気化学工業株式会社製)が用いられる。
これにより、シール層で囲まれた開口部が50mm×50mmの大きさを有するシール層段差付き中間積層体が準備される。
この後、この中間積層体上に、ホログラム用フォトポリマー材料として上記感光材料がスピンコートによって塗布される。上記感光材料は、乾燥後厚みが5μmになるように塗布される。
この後、第2樹脂基材4003を、シール層付きの中間積層体のバリア層と対向するように、シール層及び上記感光材料上に積層し、減圧下にてプレス貼合する。プレス貼合の条件は、絶対圧5kPa、温度70℃、プレス圧0.04MPaである。
この後、プレス貼合された積層体の上記感光材料に回折格子を記録する。この工程では、積層体の温度が20℃に保たれる。回折格子は、積層体に、2つのレーザー光を照射し、それぞれの照射角度及び強度を調整することで、必要な回折パターンが形成されるように干渉縞を形成する。これにより、上記感光材料に回折格子が記録される。
具体的な回折格子としては、入射部に入射した画像光として入射された赤色、緑色、青色の波長領域の各光を回折して、画像光の画素に対応する位置において、表示部から出射させるカラー表示用回折格子が形成される。
この後、積層体を20℃に保った状態で、紫外光(波長365nm、放射照度80W/cm)が積層体の片面の方向から30秒間全面照射される。紫外光の光源としては、高圧水銀ランプが用いられる。
これにより、シール層が硬化し、実施例1の画像表示用導光板4005が形成される。
<実施例11>
実施例11は、第4の実施形態の第1変形例の画像表示用導光板4007に対応する実施例である。
表4に示すように、実施例11は、吸収層が両面に設けられている。具体的には、第2吸収層4006が第2樹脂基材4003におけるホログラム層4002と反対側の表面に形成されている。
本実施例では、第2吸収層4006(表4では「吸収層」)は、実施例10の第1吸収層4004と同様に構成される。
このため、実施例11の基板準備工程は、実施例10と同様である。
実施例11の吸収層形性工程は、第1吸収層4004を有する中間積層体の他に、第2吸収層4006が形成された第2樹脂基材4003からなる中間積層体を形成する点が、実施例10と異なる。
実施例11の導光板作製工程は、2枚の中間積層体が用いられる点が、実施例10と異なる。
<評価方法>
次に、各実施例の評価方法について説明する。評価としては、鮮明性評価が行われる。
(鮮明性評価)
表示画像の鮮明性は、各画像表示用導光板を用いた各表示装置を用いて行われる。各表示装置は、各実施例の画像表示用導光板が用いられる以外は、表示装置4010と同様に構成される。
評価に用いる画像としては、ホログラム層で回折された画像光による表示画像と、外光が透過する外光像と、が用いられる。
表示画像の入力画像としては、白色画像と、文字画像と、が用いられる。
外光像としては、表示装置から0.5m〜50m離れた室内、街、もしくは森林の景色が用いられる。外光像の評価においては、白色画像もしくは文字画像を、それぞれ表示して評価する。
評価は、白色画像及び文字画像の見え方と、外光像の見え方を目視で判定することにより行われる。文字画像としては、大きさとして、視力に換算して0.1から2.0のサイズのひらがな、カタカナ、漢字、アラビア数字もしくはアルファベット等が表示される。
(表示画像の鮮明性評価の基準)
表示画像の鮮明性評価は、3段階で行われる。
白色画像において虹色が見えず、文字画像において、文字がはっきり見える場合、良い(good、表4では「A」と記載)と判定する。
白色画像においてわずかに虹色が見えるが、文字画像において、文字がはっきり見える場合、可(fair、表4では「B」と記載)と判定する。
白色画像において少なくとも一部に虹色が見え、かつ文字画像において、文字の輪郭がぼやけて見える場合、不可(no good、表4では「C」と記載)と判定する。
(外光像の鮮明性評価の基準)
外光像の鮮明性評価は、4段階で行われる。
外光像における景色の色味が違和感なく、はっきり見える場合、とても良い(very
good、表4では「S」と記載)と判定する。
外光像における景色が若干暗く見える場合、良い(good、表4では「A」と記載)と判定する。
外光像における景色が暗く、色味に若干の違和感がある場合、可(fair、表4では「B」と記載)と判定する。
外光像による景色がぼやけて見える場合、不可(no good、表4では「C」と記載)と判定する。
(耐候性試験)
鮮明性評価に用いる画像表示用導光板としては、耐候性試験を施すサンプル(表4では「耐候性試験後」)と、耐候性試験を施さないサンプル(表4では「耐候性試験前」)とが準備される。
耐候性試験は、紫外線フェードメーターU48AU(商品名;スガ試験機株式会社製)を用いて行われる。試験条件は、BP温度が63℃±3℃とされる。試験時間は、500時間とされる。
<評価結果>
表4に示すように、実施例10の鮮明性は、表示画像及び外光像のいずれも耐候性試験の前後を問わず、「A」と評価される。実施例11の鮮明性は、外光像の耐候性試験間が「S」である以外は、「A」と評価される。
この評価結果から、実施例10、11では、吸収層を備えることにより、表示画像及び外光像とも、鮮明性が良好であることが分かる。特に、実施例10では、外光の入射側にも吸収層が設けられているため、耐候性試験前の場合には、実施例10に比べて外光像の鮮明性が向上している。
以上、本発明の好ましい実施形態、及び実施例を説明したが、本発明はこれらの実施形態、及び実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明の画像表示用導光板は、樹脂基材を用いた場合であっても鮮明な画像が表示できるとともに、ホログラム層の劣化を抑制でき、例えば、VR、ARアプリケーションの表示装置用途に有用である。例えば、本発明の画像表示用導光板は、ヘッドアップディスプレイ、ウェアラブルディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、を用いたエンターテイメント、遠隔操作、作業支援、誘導支援等表示装置用途に有用である。
1001 第1樹脂基材
1001a 第1表面
1001b 第2表面
1002 ホログラム層
1003 第2樹脂基材
1004,1014 画像表示用導光板
1011A 第1ハードコート層
1011B 第2ハードコート層
1100 連続重合装置
1101,1102 エンドレスベルト
1103,1104,1105,1106 主プーリ
1107 キャリアロール
1108 第1重合ゾーン
1109 温水スプレー
1110 第2重合ゾーン
1111 下流冷却ゾーン
1112 ガスケット
1113 板状重合物
1114 原料注入装置
1200 評価装置
1201 光源
1202 スクリーン
1203 カメラ
1204 演算処理部
1210 曲線
2001 第1樹脂基材
2002 第1バリア層
2003 ホログラム層
2003a 表示面
2003b 導波回折格子部
2003c 表示用回折格子部
2004 第2バリア層
2005 第2樹脂基材
2006,2016 画像表示用導光板
2006a 入射部
2006d 表示部
2010 表示装置
2012 入射光学系
2013 画像光投影部
2014 輝度計
2015 測定装置
2022 第1バリアフィルム
2022A バリア層
2022B 樹脂フィルム
2024 第2バリアフィルム
2024A バリア層
2024B 樹脂フィルム
2026 第1接着層
2027 第2接着層
2032 第3バリア層
2101,2102 画像表示用導光板
3001 画像表示用導光板(導光板)
3010 ホログラム層
3021 第一基板
3022 第二基板
3030,3130 ハードコートフィルム
3030A,3130A 第一ハードコートフィルム
3030B,3130B 第二ハードコートフィルム
3031 フィルム基材
3031a 第一面
3031b 第二面
3032 粘着層
3033 ハードコート層
3034 離型層
4001 第1樹脂基材
4002 ホログラム層
4002b 表示用回折格子部
4003 第2樹脂基材
4003a 導波回折格子部
4004 第1吸収層
4005,4007,4020,4024 画像表示用導光板
4005a 入射部
4005b 表示画像出射部
4006 第2吸収層
4008 第1バリア層
4009 第2バリア層
4010 表示装置
4011 入射光学系
4012 画像光投影部
4021 第1樹脂基材(吸収層)
4023 第2樹脂基材(吸収層)
I 透過投影像
Ib 高明度部
Is 低明度部
Ld 画像光
Ld’ 画像光
Ld’’ 画像光
Li 画像光
Lo 外光
Lo’ 外光
Lo’’ 外光
Lo’’’ 外光
O 光軸
P1 第1中間積層体
P2 第2中間積層体
S 測定サンプル

Claims (15)

  1. 第1樹脂基材と、ホログラム層とを有する画像表示用導光板であって、
    前記第1樹脂基材は、シャドーコントラストによる評価で得られるMC値が0.120以下である、画像表示用導光板。
  2. 第1樹脂基材と、第1バリア層と、ホログラム層とを有する画像表示用導光板。
  3. 前記第1樹脂基材、前記第1バリア層及び前記ホログラム層が、厚み方向において、この順に配置されている、請求項2に記載の画像表示用導光板。
  4. さらに第2樹脂基材及び第2バリア層を有し、
    前記第1樹脂基材、前記第1バリア層、前記ホログラム層、前記第2バリア層及び前記第2樹脂基材が、厚み方向において、この順に配置されている、請求項3に記載の画像表示用導光板。
  5. 前記第1樹脂基材の屈折率より前記第1バリア層の屈折率が高い、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
  6. 前記第1バリア層の屈折率が1.48以上である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
  7. 前記第1バリア層は無機材料を含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
  8. 前記第1バリア層は、ケイ素酸化物、ケイ素窒素酸化物、ダイヤモンドライクカーボン、アルミニウム酸化物及びガラスからなる群から選択される少なくとも1種の無機材料を含む、請求項7に記載の画像表示用導光板。
  9. 前記第1バリア層は、樹脂フィルム上に配置されている、請求項2〜8のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
  10. 前記第1バリア層の材料として水蒸気バリア性材料が用いられる、請求項2〜9のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
  11. 前記第1バリア層は、前記ホログラム層上に配置されている、請求項2〜10のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
  12. 前記第1樹脂基材の屈折率が1.48〜1.70である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
  13. 前記第1樹脂基材が、ポリ(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、環状ポリオレフィン及びポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
  14. 前記第1樹脂基材のJIS K 6718−1:2015の付属書Aに準拠して測定される熱収縮率が3%未満である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
  15. 前記第1樹脂基材の表面の算術平均粗さRaが10nm以下である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の画像表示用導光板。
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