JP2018049106A - 光学素子および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】縞状のムラもしくはゴーストを低減できる表示装置を提供する。【解決手段】光学素子30は、間隔をおいて互いに平行に設けられ、画像光および外界光の一部を反射させ、画像光および外界光の他の一部を透過させる複数のハーフミラー31と、複数のハーフミラー31の隣り合う2つのハーフミラー31A,31Bの間に介在する透光性部材32と、を備える。透光性部材32は、画像光および外界光を入射させる入射面32aと、画像光および外界光を射出させる射出面32bと、を備える。複数のハーフミラー31の各々は、それぞれ入射面32aおよび射出面32bに対して傾斜して配置されている。複数のハーフミラー31は、画像光および外界光に含まれる所定の偏光成分に対する反射率が互いに異なる少なくとも一つの第1ハーフミラー31Aと少なくとも一つの第2ハーフミラー31Bとを含む。【選択図】図4
Description
本発明は、光学素子および表示装置に関する。
近年、ウェアラブル情報機器の一つとして、ヘッドマウントディスプレイなどの観察者の頭部に装着して使用する方式の画像表示装置が提供されている。また、観察者が画像表示装置を装着した際に、表示素子で生成された画像と外界の像の双方を同時に視認できる画像表示装置、いわゆるシースルー型の画像表示装置が知られている。
下記の特許文献1には、光源と、第1ミラー、第1光偏向手段、第2ミラー、および第2光偏向手段を備えた走査手段と、を備え、第2光偏向手段から射出された光を観察者の瞳に導く画像表示装置が開示されている。特許文献1には、第2光偏向手段を構成する複数の半透過膜の各々が、S偏光成分およびP偏光成分のうち、いずれか一方の偏光成分を反射し、他方の偏光成分を透過させることが記載されている。
下記の特許文献2には、光透過性を有する基板と、マルチミラーからなる偏向光学部と、を有する画像表示光学系を備えた画像表示装置が開示されている。特許文献2には、マルチミラーは基板の法線に対して傾斜した複数の微小反射面を有していること、および、入射光の偏光状態に応じて微小反射面を最適に設計することが記載されている。
特許文献1および特許文献2に記載の画像表示装置は、全ての半透過膜もしくは微小反射面が同一の反射特性を有することを前提としている。これらの画像表示装置においては、複数の半透過膜のパターン、もしくはマルチミラーのストライプパターンに起因して表示画像に縞状のムラが視認される、外界像が二重に視認される現象(ゴースト)が発生する、等の課題があった。
本発明の一つの態様は、上記の課題のうちの少なくとも一つを解決するためになされたものである。すなわち、本発明の一つの態様は、縞状のムラが視認されることを低減できる表示装置を提供することを目的の一つとする。もしくは、本発明の一つの態様は、外界像が二重に視認されることを低減できる表示装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、上記の表示装置の光射出部に用いて好適な光学素子を提供することを目的の一つとする。
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の光学素子は、間隔をおいて互いに平行に設けられ、画像光および外界光の一部を反射させ、前記画像光および前記外界光の他の一部を透過させる複数のハーフミラーと、前記複数のハーフミラーの隣り合う2つの前記ハーフミラーの間に介在する透光性部材と、を備え、前記透光性部材は、前記画像光および前記外界光を入射させる入射面と、前記画像光および前記外界光を射出させる射出面と、を備え、前記複数のハーフミラーの各々は、それぞれ前記入射面および前記射出面に対して傾斜して配置され、前記複数のハーフミラーは、前記画像光および前記外界光に含まれる所定の偏光成分に対する反射率が互いに異なる少なくとも一つの第1ハーフミラーと少なくとも一つの第2ハーフミラーとを含むことを特徴とする。
本発明の一つの態様の光学素子は、所定の偏光成分に対する反射率が互いに異なる少なくとも一つの第1ハーフミラーと少なくとも一つの第2ハーフミラーとを含む複数のハーフミラーを備えている。そのため、本発明の一つの態様の光学素子は、画像光が第1ハーフミラーおよび第2ハーフミラーのそれぞれに入射して射出されるときに、反射率が同一の複数のハーフミラーを備えた従来の光学素子の場合よりも、各ハーフミラーから射出される反射光の強度差を小さくすることができる。これにより、縞状のムラが視認されることを低減することができる。
また、本発明の一つの態様の光学素子は、所定の偏光成分に対する反射率が互いに異なる少なくとも一つの第1ハーフミラーと少なくとも一つの第2ハーフミラーとを含む複数のハーフミラーを備えている。そのため、本発明の一つの態様の光学素子は、外界光が第1ハーフミラーで反射した後に第2ハーフミラーで反射した光の強度を、反射率が同一の複数のハーフミラーを備えた従来の光学素子よりも小さくすることができる。これにより、外界像が二重に視認されることを低減することができる。
本発明の一つの態様の光学素子において、前記ハーフミラーに対するS偏光成分の反射率と前記ハーフミラーに対するP偏光成分の反射率との平均値を平均反射率としたとき、前記第1ハーフミラーは、前記S偏光成分の反射率が前記平均反射率よりも高く、かつ、前記P偏光成分の反射率が前記平均反射率よりも低く、前記第2ハーフミラーは、前記S偏光成分の反射率が前記平均反射率よりも低く、かつ、前記P偏光成分の反射率が前記平均反射率よりも高くてもよい。
この構成によれば、各ハーフミラーから射出されるS偏光成分とP偏光成分とを合わせた反射光の強度差を従来よりも小さくすることができる。これにより、縞状のムラを低減することができる。
本発明の一つの態様の光学素子において、前記複数のハーフミラーは、複数の前記第1ハーフミラーと複数の前記第2ハーフミラーとを含み、前記複数のハーフミラーの配列方向において前記第1ハーフミラーと前記第2ハーフミラーとが交互に配置されていてもよい。
この構成によれば、隣り合う2つのハーフミラーから射出される画像光の反射光の強度差を小さくすることができる。これにより、ハーフミラーの配列ピッチに対応して生じる縞状のムラを低減することができる。また、外界光が第1ハーフミラーで反射した後にその隣に位置する第2ハーフミラーで反射する場合の光の強度を従来の光学素子よりも小さくすることができる。これにより、ハーフミラーの配列ピッチに対応して生じる二重像を低減することができる。
本発明の一つの態様の表示装置は、画像形成装置と、前記画像形成装置で生成された画像光を導光する導光装置と、を備え、前記導光装置は、前記画像光を入射させる入射部と、前記入射部から入射した前記画像光を導光させる導光体と、前記画像光を射出させる射出部と、を備え、前記射出部は、本発明の一つの態様の光学素子を備えていることを特徴とする。
本発明の一つの態様の表示装置は、本発明の一つの態様の光学素子を有する射出部を備えているため、縞状のムラが視認されることを低減できる表示装置を実現することができる。もしくは、外界像が二重に見えることを低減できる表示装置を実現することができる。
本発明の一つの態様の表示装置において、前記射出部は、前記導光体の視認側の面に設けられていてもよい。
この構成によれば、設計が容易な表示装置を実現することができる。
この構成によれば、設計が容易な表示装置を実現することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態の表示装置は、例えば観察者が頭部に装着して用いるヘッドマウントディスプレイとして用いられる。
図1は、実施形態の表示装置の平面図である。図2は、導光装置を観察者側から見た裏面図である。図3は、導光装置における画像光の光路を示す図である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
本実施形態の表示装置は、例えば観察者が頭部に装着して用いるヘッドマウントディスプレイとして用いられる。
図1は、実施形態の表示装置の平面図である。図2は、導光装置を観察者側から見た裏面図である。図3は、導光装置における画像光の光路を示す図である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
(導光装置および表示装置の全体構成)
図1に示すように、表示装置100は、画像形成装置10と、導光装置20と、を備えている。図1は、図2に示す導光装置20のA−A断面と対応する。
表示装置100は、画像形成装置10による画像を観察者に虚像として視認させるとともに、外界像を観察者にシースルーで観察させる。表示装置100において、画像形成装置10と導光装置20とは、観察者の右眼と左眼とに対応して一組ずつ設けられている。右眼用の装置と左眼用の装置とは、配置が左右対称であって構成は同一である。そのため、ここでは左眼用の装置のみを示し、右眼用の装置については図示を省略する。表示装置100は、全体として例えば眼鏡のような外観を有する。
図1に示すように、表示装置100は、画像形成装置10と、導光装置20と、を備えている。図1は、図2に示す導光装置20のA−A断面と対応する。
表示装置100は、画像形成装置10による画像を観察者に虚像として視認させるとともに、外界像を観察者にシースルーで観察させる。表示装置100において、画像形成装置10と導光装置20とは、観察者の右眼と左眼とに対応して一組ずつ設けられている。右眼用の装置と左眼用の装置とは、配置が左右対称であって構成は同一である。そのため、ここでは左眼用の装置のみを示し、右眼用の装置については図示を省略する。表示装置100は、全体として例えば眼鏡のような外観を有する。
画像形成装置10は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子11と、投射レンズ12と、を備えている。有機EL素子11は、動画像、静止画像等の画像を構成する画像光GLを射出する。投射レンズ12は、有機EL素子11上の各点から射出された画像光GLを略平行光線にするコリメートレンズで構成されている。投射レンズ12は、ガラスもしくはプラスチックで形成され、1枚に限らず、複数枚で構成されていてもよい。投射レンズ12は、球面レンズに限らず、非球面レンズ、自由曲面レンズ等で構成されていてもよい。
導光装置20は、平板状の光透過部材を有する。導光装置20は、画像形成装置10で生成された画像光GLを導光した後に観察者の眼EYに向けて射出する一方、外界像を構成する外界光ELを透過させる。導光装置20は、画像光を取り込む入射部21と、主に画像光を導光させる平行導光体22と、画像光GLおよび外界光ELを取り出すための射出部23と、を備える。平行導光体22と入射部21とは、高い光透過性を有する樹脂材料により一体成形されている。本実施形態において、導光装置20を伝播する画像光GLの光路は、同一回数反射される1種類の光路からなり、複数種類の光路が合成されるものではない。
平行導光体22は、観察者の眼EYを基準とする光軸AXに対して傾いて配置されている。平行導光体22の平面22aの法線方向Zは、光軸AXに対して角度κだけ傾いている。これにより、平行導光体22を顔の前面に沿って配置でき、平行導光体22の平面22aの法線は、光軸AXに対して傾きを有する。このように、平行導光体22の平面22aの法線を光軸AXに平行なz方向に対して角度κだけ傾けたことにより、光学素子30から射出させる光軸AX上およびその近傍の画像光GL0は、光射出面OSの法線に対して角度κをなす。
なお、光軸AXに平行な方向をz方向とし、z方向に垂直な面のうち、水平方向をx方向とし、鉛直方向をy方向とする。
なお、光軸AXに平行な方向をz方向とし、z方向に垂直な面のうち、水平方向をx方向とし、鉛直方向をy方向とする。
入射部21は、光入射面ISと、反射面RSと、を有する。画像形成装置10からの画像光GLは、光入射面ISを介して入射部21内に取り込まれる。入射部21内に取り込まれた画像光GLは、反射面RSで反射して平行導光体22の内部に導かれる。光入射面ISは、投射レンズ12から見て凹となる曲面21bから形成されている。曲面21bは、反射面RSで反射された画像光GLを内面側で全反射する機能も有する。
反射面RSは、投射レンズ12から見て凹となる曲面21aから形成されている。反射面RSは、曲面21a上に蒸着法等により成膜されたアルミニウム膜等の金属膜から構成されている。反射面RSは、光入射面ISから入射した画像光GLを反射して光路を折り曲げる。曲面21bは、反射面RSで反射された画像光GLを内側で全反射して光路を折り曲げる。このように、入射部21は、光入射面ISから入射した画像光GLを2回反射させ、光路を折り曲げることにより、画像光GLを平行導光体22の内部に確実に導く。
平行導光体22は、y軸に対して平行、かつz軸に対して傾斜した平板状の導光部材である。平行導光体(導光体)22は、光透過性を有する樹脂材料等によって形成され、互いに略平行な一対の平面22a,22bを有する。平面22a,22bは、平行平面であるため、外界像の拡大やフォーカスズレが生じることがない。平面22aは、入射部21からの画像光を全反射させる全反射面として機能し、画像光GLを少ない損失で射出部23に導く。平面22aは、平行導光体22の外界側に配置されて第1の全反射面として機能し、本明細書中においては外界側面とも称する。
平面22bは、本明細書中においては観察者側面とも称する。平面22b(観察者側面)は、射出部23の一端まで延びている。ここで、平面22bは、平行導光体22と射出部23との境界面IFである(図3参照)。
平行導光体22において、入射部21の反射面RSもしくは光入射面ISで反射された画像光GLは、全反射面である平面22aに入射し、平面22aで全反射され、導光装置20の奥側、すなわち射出部23が設けられた+x側もしくはX側に導かれる。図2に示すように、平行導光体22は、導光装置20の外形のうち、+x側の端面として終端面ESを有する。また、平行導光体22は、±y側の端面として上端面TPおよび下端面BPを有する。
なお、平面22bの面法線方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面のうち、水平方向をX方向とし、鉛直方向をY方向とする。
なお、平面22bの面法線方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面のうち、水平方向をX方向とし、鉛直方向をY方向とする。
図3に示すように、射出部23は、平行導光体22の奥側(+x側)において、平面22bもしくは境界面IFに沿って板状に構成されている。射出部23は、平行導光体22の外界側の平面(全反射面)22aの領域FRで全反射された画像光GLを通過させる際に、入射した画像光GLを所定の角度で反射して光射出面OS側へ折り曲げる。ここでは、射出部23にこれを透過することなく最初に入射する画像光GLが虚像光としての取出し対象である。つまり、射出部23において光射出面OSの内面で反射される光があっても、これは画像光として利用されない。
射出部23は、光透過性を有する複数のハーフミラー31が一方向に配列された光学素子30を有する。光学素子30の構造については、図4等を参照して後に詳述する。光学素子30は、平行導光体22の観察者側の平面22bに沿って設けられている。
導光装置20が以上のような構造を有することから、図3に示すように、画像形成装置10から射出され、光入射面ISから導光装置20に入射した画像光GLは、入射部21で複数回の反射によって光路が折り曲げられ、平行導光体22の平面22aの領域FRにおいて全反射されて光軸AXに略沿って進む。+z側の平面22aの領域FRで反射された画像光GLは、射出部23に入射する。
この際、xy面内において、領域FRの長手方向の幅は、射出部23の長手方向の幅よりも狭い。つまり、画像光GLの光線束が射出部23(もしくは光学素子30)に入射する入射幅は、画像光GLの光線束が領域FRに入射する入射幅よりも広い。このように、画像光GLの光線束が領域FRに入射する入射幅を相対的に狭くすることにより、光路の干渉が生じにくくなり、境界面IFを導光に利用することなく、すなわち、境界面IFで画像光GLを反射させず、領域FRからの画像光GLを射出部23(もしくは光学素子30)に直接入射させることが容易になる。
射出部23に入射した画像光GLは、射出部23において適切な角度で折り曲げられることで取出し可能な状態となり、最終的に光射出面OSから射出される。光射出面OSから射出された画像光GLは、虚像光として観察者の眼EYに入射する。当該虚像光が観察者の網膜において結像することで、観察者は虚像による画像光GLを認識することができる。
ここで、像形成に用いられる画像光GLが射出部23に入射する角度は、光源側の入射部21から離れるに従って大きくなっている。すなわち、射出部23の奥側には、外界側の平面22aに平行なZ方向、または光軸AXに対して傾きの大きな画像光GLが入射して比較的大きな角度で折り曲げられ、射出部23の前側には、Z方向、または光軸AXに対して傾きの小さな画像光GLが入射して比較的小さな角度で折り曲げられる。
(画像光の光路)
以下、画像光の光路について詳しく説明する。
図3に示すように、有機EL素子11の射出面11a上からそれぞれ射出される画像光のうち、破線で示す射出面11aの中央部分から射出される成分を画像光GL0とし、1点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面左側(−xおよび+z側)から射出される成分を画像光GL1とし、2点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面右側(+xおよび−z側)から射出される成分を画像光GL2とする。これらのうち、画像光GL0の光路は光軸AXに沿って延びるものとする。
以下、画像光の光路について詳しく説明する。
図3に示すように、有機EL素子11の射出面11a上からそれぞれ射出される画像光のうち、破線で示す射出面11aの中央部分から射出される成分を画像光GL0とし、1点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面左側(−xおよび+z側)から射出される成分を画像光GL1とし、2点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面右側(+xおよび−z側)から射出される成分を画像光GL2とする。これらのうち、画像光GL0の光路は光軸AXに沿って延びるものとする。
投射レンズ12を経た画像光GL0,GL1,GL2の主要成分は、導光装置20の光入射面ISからそれぞれ入射した後、入射部21を経て平行導光体22内を通過して射出部23に至る。具体的には、画像光GL0,GL1,GL2のうち、射出面11aの中央部分から射出された画像光GL0は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、標準反射角θ0で一方の平面22aの領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(もしくは光学素子30)との境界面IFで反射されずに境界面IFを通過し、射出部23の中央の部分23kに直接的に入射する。画像光GL0は、部分23kにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから光射出面OSを含むXY面に対して傾いた光軸AX方向(Z方向に対して角度κの方向)に平行光束として射出される。
射出面11aの一端側(−x側)から射出された画像光GL1は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、最大反射角θ1で平面22aの領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(もしくは光学素子30)との境界面IFで反射されずに境界面IFを通過し、射出部23のうち、奥側(+x側)の部分23hにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角γ1は、入射部21側に戻される角度が相対的に大きくなっている。
一方、射出面11aの他端側(+x側)から射出された画像光GL2は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、最小反射角θ2で平面22aの領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(もしくは光学素子30)との境界面IFで反射されずに境界面IFを通過し、射出部23のうち、入口側(−x側)の部分23mにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角γ2は、入射部21側に戻される角度が相対的に小さくなっている。
なお、画像光GL0,GL1,GL2は、画像光GLの光線全体の一部を代表して説明したものであるが、他の画像光GLを構成する光線成分についても画像光GL0等と同様に導かれ、光射出面OSから射出される。そのため、これらについては図示および説明を省略する。
ここで、入射部21および平行導光体22に用いられる透明樹脂材料の屈折率nの値の一例として、n=1.4とすると、臨界角θcの値はθc≒45.6°となる。画像光GL0,GL1,GL2の反射角θ0,θ1,θ2のうち、最小である反射角θ2を臨界角θcよりも大きな値とすることにより、必要な画像光について全反射条件を満たすものとすることができる。
中央向けの画像光GL0は、仰角φ0(=90°−θ0)で射出部23の部分23kに入射する。周辺向けの画像光GL1は、仰角φ1(=90°−θ1)で射出部23の部分23hに入射する。周辺向けの画像光GL2は、仰角φ2(=90°−θ2)で射出部23の部分23mに入射する。ここで、仰角φ0,φ1,φ2間には、反射角θ0,θ1,θ2の大小関係を反映して、φ2>φ0>φ1の関係が成り立っている。すなわち、光学素子30のハーフミラー31への入射角ι(図4参照)は、仰角φ2に対応する部分23m、仰角φ0に対応する部分23k、仰角φ1に対応する部分23hの順で徐々に小さくなる。換言すれば、ハーフミラー31への入射角ιもしくはハーフミラー31での反射角は、入射部21から離れるに従って小さくなる。
平行導光体22の外界側の平面22aで反射されて射出部23に向かう画像光GLの光線束の全体的な挙動について説明する。
図3に示すように、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、平行導光体22の外界側の領域FRで反射される前後の直進光路P1,P2のいずれかで幅が絞られる。具体的には、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、領域FR近辺、つまり直進光路P1,P2の境界付近で直進光路P1,P2に跨るような位置で全体として幅が絞られてビーム幅が細くなっている。これにより、画像光GLの光線束を射出部23の手前で絞ることになり、横方向の視野角を比較的広くすることが容易になる。
なお、図示の例では、画像光GLの光線束が直進光路P1,P2に跨るような位置で幅が絞られてビーム幅が細くなっているが、直進光路P1,P2のいずれか片側のみで幅が絞られてビーム幅が細くなってもよい。
図3に示すように、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、平行導光体22の外界側の領域FRで反射される前後の直進光路P1,P2のいずれかで幅が絞られる。具体的には、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、領域FR近辺、つまり直進光路P1,P2の境界付近で直進光路P1,P2に跨るような位置で全体として幅が絞られてビーム幅が細くなっている。これにより、画像光GLの光線束を射出部23の手前で絞ることになり、横方向の視野角を比較的広くすることが容易になる。
なお、図示の例では、画像光GLの光線束が直進光路P1,P2に跨るような位置で幅が絞られてビーム幅が細くなっているが、直進光路P1,P2のいずれか片側のみで幅が絞られてビーム幅が細くなってもよい。
(光学素子の構成)
以下、射出部23を構成する光学素子30の構成について説明する。
図4は、本実施形態の光学素子30の拡大図である。
射出部23は、平行導光体22の視認側の面に設けられた光学素子30で構成されている。したがって、射出部23は、平行導光体22と同様に、光軸AXに対して角度κだけ傾いたXY平面に沿って設けられている。
以下、射出部23を構成する光学素子30の構成について説明する。
図4は、本実施形態の光学素子30の拡大図である。
射出部23は、平行導光体22の視認側の面に設けられた光学素子30で構成されている。したがって、射出部23は、平行導光体22と同様に、光軸AXに対して角度κだけ傾いたXY平面に沿って設けられている。
図4に示すように、光学素子30は、複数のハーフミラー31と、複数の透光性部材32と、を備えている。複数のハーフミラー31は、間隔をおいて互いに平行に設けられ、画像光GLおよび外界光ELの一部を反射させ、画像光GLおよび外界光ELの他の一部を透過させる。透光性部材32は、複数のハーフミラー31の隣り合う2つのハーフミラー31の間に介在する。すなわち、光学素子30は、複数の透光性部材32が、隣り合う2つの透光性部材32の間にそれぞれハーフミラー31を挟持した構成を有する。換言すると、光学素子30は、ハーフミラー31と透光性部材32とが交互に配置された構成を有する。
透光性部材32は、長手方向に垂直な断面形状が平行四辺形の柱状の部材である。したがって、透光性部材32は、長手方向に平行に延び、互いに平行な一対の平面を2組有している。これら2組の一対の平面のうち、一方の組の一方の平面が画像光GLおよび外界光ELを入射させる入射面32aであり、一方の組の他方の平面が画像光GLおよび外界光ELを射出させる射出面32bである。また、他方の組の一方の平面に、ハーフミラー31が設けられている。透光性部材32は、例えばガラス、透明樹脂等により構成されている。
複数の透光性部材32は、全て同じ形状、同じ寸法に構成されている。そのため、一対の透光性部材32とハーフミラー31とからなる組を複数貼り合わせると、複数のハーフミラー31は、互いに平行に配置された形態となる。図4では図示を省略するが、ハーフミラー31の一方の面と隣り合う透光性部材32との間には、接着材層が設けられている。これにより、光学素子30は、全体として矩形板状の部材となる。透光性部材32の入射面32aもしくは射出面32bの法線方向から光学素子30を見ると、細い帯状の複数のハーフミラー31がストライプ状に並べられた構造となる。すなわち、光学素子30は、矩形状のハーフミラー31が平行導光体22の延びる方向、すなわちX方向に所定の間隔(ピッチPT)をおいて複数配列された構成を有する。
ハーフミラー31は、透光性部材32間に挟まれた反射膜で構成されている。反射膜として、例えば屈折率が異なる複数の誘電体薄膜が交互に積層された誘電体多層膜で構成されている。ハーフミラー31は、ハーフミラー31の短辺が透光性部材32の入射面32aおよび射出面32bに対して傾斜して設けられている。より具体的には、ハーフミラー31は、平行導光体22の外界側に向かって反射面31rが入射部21側を向くように傾斜している。換言すると、ハーフミラー31は、ハーフミラー31の長辺(Y方向)を軸として、平面22a,22bに直交するYZ面を基準として上端(+Z側)が反時計周りに回転する方向に傾斜している。すなわち、複数のハーフミラー31の各々は、それぞれ入射面32aおよび射出面32bに対して傾斜して配置されている。
以下、ハーフミラー31の反射面31rと透光性部材32の射出面32bとのなす角度をハーフミラー31の傾斜角度δと定義する。本実施形態において、ハーフミラー31の傾斜角度δは、45°以上、90°未満である。本実施形態では、透光性部材32の屈折率と平行導光体22の屈折率とは等しいが、これらの屈折率は異なっていてもよい。屈折率が異なる場合、屈折率が等しい場合に対してハーフミラー31の傾斜角度δを変更する必要がある。
複数のハーフミラー31は、画像光GLおよび外界光ELに含まれる所定の偏光成分、具体的には、S偏光成分およびP偏光成分に対する反射率が互いに異なる少なくとも一つの第1ハーフミラー31Aと、少なくとも一つの第2ハーフミラー31Bと、を含んでいる。本実施形態においては、複数のハーフミラー31は、複数の第1ハーフミラー31Aと、複数の第2ハーフミラー31Bと、を含んでいる。複数のハーフミラー31の配列方向(X方向)において、第1ハーフミラー31Aと第2ハーフミラー31Bとは交互に配置されている。
図5は、第1ハーフミラー31Aの反射・透過特性を示すグラフである。図5において、横軸は波長[nm]であり、縦軸は反射率[%]および透過率[%]である。
図5に示すように、第1ハーフミラー31Aにおいては、波長450nm〜650nmの範囲にわたって、S偏光成分の反射率Rs1が概ね25〜30%の範囲にあり、S偏光成分の透過率Ts1が概ね70〜75%の範囲にあり、P偏光成分の反射率Rp1が概ね0%であり、P偏光成分の透過率Tp1が概ね100%である。このような特性を有する第1ハーフミラー31Aは、例えば膜厚176nmのAl2O3、膜厚24nmのTiO2、膜厚56nmのAl2O3、膜厚108nmのTiO2の誘電体多層膜によって構成される。
図5に示すように、第1ハーフミラー31Aにおいては、波長450nm〜650nmの範囲にわたって、S偏光成分の反射率Rs1が概ね25〜30%の範囲にあり、S偏光成分の透過率Ts1が概ね70〜75%の範囲にあり、P偏光成分の反射率Rp1が概ね0%であり、P偏光成分の透過率Tp1が概ね100%である。このような特性を有する第1ハーフミラー31Aは、例えば膜厚176nmのAl2O3、膜厚24nmのTiO2、膜厚56nmのAl2O3、膜厚108nmのTiO2の誘電体多層膜によって構成される。
図6は、第2ハーフミラー31Bの反射・透過特性を示すグラフである。図6において、横軸は波長[nm]であり、縦軸は反射率[%]および透過率[%]である。
図6に示すように、第2ハーフミラー31Bにおいては、波長450nm〜650nmの範囲にわたって、S偏光成分の反射率Rs2が概ね0〜5%の範囲にあり、S偏光成分の透過率Ts2が概ね90〜95%の範囲にあり、P偏光成分の反射率Rp2が概ね30%であり、P偏光成分の透過率Tp2が概ね65%である。このような特性を有する第2ハーフミラー31Bは、例えば膜厚190nmのAl2O3、膜厚48nmのTiO2、膜厚15nmのAg、膜厚42nmのTiO2、膜厚25nmのAl2O3の誘電体多層膜と金属膜との積層膜によって構成される。
図6に示すように、第2ハーフミラー31Bにおいては、波長450nm〜650nmの範囲にわたって、S偏光成分の反射率Rs2が概ね0〜5%の範囲にあり、S偏光成分の透過率Ts2が概ね90〜95%の範囲にあり、P偏光成分の反射率Rp2が概ね30%であり、P偏光成分の透過率Tp2が概ね65%である。このような特性を有する第2ハーフミラー31Bは、例えば膜厚190nmのAl2O3、膜厚48nmのTiO2、膜厚15nmのAg、膜厚42nmのTiO2、膜厚25nmのAl2O3の誘電体多層膜と金属膜との積層膜によって構成される。
ここで、説明を簡単にするために、第1ハーフミラー31Aにおいては、S偏光成分の反射率Rs1をRs1=0.3(30%)とし、S偏光成分の透過率Ts1をTs1=0.7(70%)とし、P偏光成分の反射率Rp1をRp1=0(0%)とし、P偏光成分の透過率Tp1を1(100%)とする。第2ハーフミラー31Bにおいては、S偏光成分の反射率Rs2をRs2=0(0%)とし、S偏光成分の透過率Ts2をTs2=1(100%)とし、P偏光成分の反射率Rp2をRp2=0.3(30%)とし、P偏光成分の透過率Tp2をTp2=0.7(70%)とする。
第1ハーフミラー31Aに対するS偏光成分の反射率Rs1とP偏光成分の反射率Rp1との平均値を第1ハーフミラー31Aの平均反射率R1とする。また、第2ハーフミラー31Bに対するS偏光成分の反射率Rs2とP偏光成分の反射率Rp2との平均値を第2ハーフミラー31Bの平均反射率R2とする。本実施形態においては、第1ハーフミラー31Aの平均反射率R1、第2ハーフミラー31Bの平均反射率R2はともに15%である。したがって、第1ハーフミラー31Aは、S偏光成分の反射率Rs1が平均反射率R1よりも高く(Rs1>R1)、かつ、P偏光成分の反射率Rp1が平均反射率R1よりも低い(Rp1<R1)。第2ハーフミラー31Bは、S偏光成分の反射率Rs2が平均反射率R2よりも低く(Rs2<R2)、かつ、P偏光成分の反射率Rp2が平均反射率R2よりも高い(Rp2>R2)。
なお、隣り合うハーフミラー31の間のピッチPTは、0.5mm〜2.0mm程度に設定される。ハーフミラー31間のピッチPTは、厳密には等間隔でなく、可変ピッチで配置されている。より具体的には、光学素子30におけるハーフミラー31のピッチPTは、基準間隔を中心としてランダムに増減するランダムピッチとなっている。このように、光学素子30におけるハーフミラー31をランダムピッチで配置することにより、回折ムラやモアレの発生を抑制することができる。なお、ランダムピッチに限らず、例えば複数段階で増減するピッチを含む所定のピッチパターンを繰り返すものであってもよい。
光学素子30の厚み、すなわち、ハーフミラー31のZ軸方向の厚みTIは、0.7mm〜3.0mm程度に設定される。光学素子30を支持する平行導光体22の厚みは、例えば数mm〜10mm程度、好ましくは4mm〜6mm程度となっている。平行導光体22の厚みが光学素子30の厚みに比較して十分大きいと、光学素子30または境界面IFへの画像光GLの入射角を小さくしやすく、画像光GLが眼EYに取り込まれない位置にあるハーフミラー31での反射を抑えやすい。一方、平行導光体22の厚みを比較的薄くすると、平行導光体22や導光装置20の軽量化を図りやすくなる。
(光学素子の第1の作用および効果)
以下、本実施形態の光学素子30の第1の作用および効果について説明する。
図7は、従来の光学素子130の第1の作用を説明するための図である。
図7に示すように、従来の光学素子130においては、複数のハーフミラー131の反射特性は、全てのハーフミラー131にわたって同一である。ハーフミラー131に対するP偏光成分の反射率RpをRp=0(0%)とし、S偏光成分の反射率RsをRs=0.3(30%)とする。また、ハーフミラー131に対するP偏光成分の透過率TpをTp=100(100%)とし、S偏光成分の透過率TsをTs=0.7(70%)とする。
以下、本実施形態の光学素子30の第1の作用および効果について説明する。
図7は、従来の光学素子130の第1の作用を説明するための図である。
図7に示すように、従来の光学素子130においては、複数のハーフミラー131の反射特性は、全てのハーフミラー131にわたって同一である。ハーフミラー131に対するP偏光成分の反射率RpをRp=0(0%)とし、S偏光成分の反射率RsをRs=0.3(30%)とする。また、ハーフミラー131に対するP偏光成分の透過率TpをTp=100(100%)とし、S偏光成分の透過率TsをTs=0.7(70%)とする。
ここで、画像光GLが2枚のハーフミラー131を通過するように光学素子130に入射する場合を考える。画像光GLが最初に入射するハーフミラー131を第1ハーフミラー131Aと称し、第1ハーフミラー131Aを透過した画像光GLが次に入射するハーフミラー131を第2ハーフミラー131Bと称する。第1ハーフミラー131Aで反射して観察者の眼に導かれる画像光GL1の強度をIAとし、第2ハーフミラー131Bで反射して観察者の眼に導かれる画像光GL2の強度をIBとする。以下、各ハーフミラー131で反射して観察者の眼に導かれる画像光GLを各ハーフミラー131からの反射光と称する。
元の画像光GLの強度を1としたとき、第1ハーフミラー131Aからの反射光GL1の強度IAは、第1ハーフミラー131Aで反射したP偏光成分の強度Ip1とS偏光成分の強度Is1との和となり、IA=Ip1+Is1=Rp+Rs=0+0.3=0.3と表される。
また、第2ハーフミラー131Bからの反射光GL2の強度IBは、第1ハーフミラー131Aを透過した後、第2ハーフミラー131Bで反射したP偏光成分の強度Ip2とS偏光成分の強度Is2との和となり、IB=Ip2+Is2=Tp×Rp+Ts×Rs=1×0+0.7×0.3=0.21と表される。以上より、隣り合う2つのハーフミラーからの反射光の強度差dは、d=|IA−IB|=0.09となる。
このように、従来の光学素子130においては、第1ハーフミラー131Aからの反射光GL1と第2ハーフミラー131Bからの反射光GL2とで強度が異なっている。そのため、従来の光学素子130では、射出面130bにおいて反射光の強度プロファイルに山谷が生じ、縞状のムラが視認される。
これに対し、本実施形態の光学素子30においては、上述したように、第1ハーフミラー31Aと第2ハーフミラー31Bとが交互に配置されている。また、第1ハーフミラー31Aにおいて、S偏光成分の反射率Rs1が0.3であり、S偏光成分の透過率Ts1が0.7であり、P偏光成分の反射率Rp1が0であり、P偏光成分の透過率Tp1が1である。第2ハーフミラー31Bにおいて、S偏光成分の反射率Rs2が0であり、S偏光成分の透過率Ts2が1であり、P偏光成分の反射率Rp2が0.3であり、P偏光成分の透過率Tp2が0.7である。
図8は、本実施形態の光学素子30の一つの作用を説明するための図である。
図8に示すように、本実施形態の光学素子30においても、画像光GLが第1ハーフミラー31A、第2ハーフミラー31Bの2枚のハーフミラー31を通過するように光学素子30に入射する場合を考える。
図8に示すように、本実施形態の光学素子30においても、画像光GLが第1ハーフミラー31A、第2ハーフミラー31Bの2枚のハーフミラー31を通過するように光学素子30に入射する場合を考える。
元の画像光GLの強度を1としたとき、第1ハーフミラー31Aからの反射光GL1の強度IAは、第1ハーフミラー31Aで反射したP偏光成分の強度Ip1とS偏光成分の強度Is1との和となり、IA=Ip1+Is1=Rp1+Rs1=0+0.3=0.3と表される。
また、第2ハーフミラー31Bからの反射光GL1の強度IBは、第1ハーフミラー31Aを透過した後、第2ハーフミラー31Bで反射したP偏光成分の強度Ip2とS偏光成分の強度Is2との和となり、IB=Ip2+Is2=Tp1×Rp2+Ts1×Rs2=1×0.3+0.7×0=0.3と表される。
このように、本実施形態の光学素子30においては、第1ハーフミラー31Aからの反射光GL1の強度と第2ハーフミラー31Bからの反射光GL2の強度とを等しくすることができる。
図9は、第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1を0.3とし、P偏光成分の反射率Rp1を0としたときの、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2(横軸)と光強度差d(縦軸)との関係の一例を示すグラフである。図9のグラフにおいて、Rs2=0.3の点は、第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとでS偏光成分の反射率が等しい従来の光学素子130のプロットを示し、このときの光強度差dは0.09である。図9のグラフは、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2が0.3から小さくなる程、光強度差dが直線的に小さくなることを示している。
すなわち、S偏光成分の反射率Rs1が平均反射率R1よりも大きい場合には、Rs2をRs1よりも小さく設定することにより、第1ハーフミラー31Aからの反射光GL1と第2ハーフミラー31Bからの反射光GL2との強度差を小さくすることができる。第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1と第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2との差は大きい方が好ましい。
図10は、第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1を0とし、P偏光成分の反射率Rp1を0.3としたときの、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2(横軸)と光強度差d(縦軸)との関係の一例を示すグラフである。すなわち、図10においては、図9における第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1の値とP偏光成分の反射率Rp1の値とを入れ替えている。
図10のグラフは、図9のグラフと逆の傾きを有しており、Rs2が0から大きくなる程、光強度差dが直線的に小さくなることを示している。図10のグラフにおいて、Rs2=0の点は、第1ハーフミラーおよび第2ハーフミラーのS偏光成分の反射率が等しい従来の光学素子の場合を示し、このときの光強度差dは0.09である。これに対し、S偏光成分の反射率Rs1が平均反射率R1よりも小さい場合、Rs2をRs1よりも大きく設定することによって、第1ハーフミラー31Aからの反射光GL1と第2ハーフミラー31Bからの反射光GL2との強度差を小さくすることができる。
すなわち、図9と図10とを合わせて考えると、複数のハーフミラー31におけるS偏光成分の反射率の大小関係を、S偏光成分の反射率が平均反射率に対して大、小、大、小、…と交互に並ぶように設定することにより、隣り合う2枚のハーフミラー31からの反射光の強度差を小さくすることができる。
図11は、第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1を0.25とし、P偏光成分の反射率Rp1を0.05としたときの、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2(横軸)と光強度差d(縦軸)との関係の一例を示すグラフである。すなわち、図11においては、図9における第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1の値、P偏光成分の反射率Rp1の値をそれぞれ変えている。
図11のグラフも、図9のグラフと同様、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2が0.25から小さくなる程、光強度差dが直線的に小さくなることを示している。すなわち、第1ハーフミラー31AのP偏光成分の反射率Rp1が0以外の値を取る場合であっても、S偏光成分の反射率Rs1が平均反射率R1よりも大きい場合には、Rs2をRs1よりも小さく設定することにより、第1ハーフミラー31Aからの反射光GL1と第2ハーフミラー31Bからの反射光GL2との強度差を小さくすることができる。
以上、画像光GLが2枚のハーフミラー31を通過するように光学素子30に入射する場合を考えたが、次は、画像光GLがより多くのハーフミラー31を通過するように光学素子30に入射する場合を考える。
図12は、第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1を0.3とし、P偏光成分の反射率Rp1を0としたときの、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2(横軸)と光強度の標準偏差(縦軸)との関係の一例を示すグラフである。符号Aのグラフは、隣り合う3枚のハーフミラー31からの反射光の強度の標準偏差を示す。符号Bのグラフは、隣り合う4枚のハーフミラー31からの反射光の強度の標準偏差を示す。
図12は、第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1を0.3とし、P偏光成分の反射率Rp1を0としたときの、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2(横軸)と光強度の標準偏差(縦軸)との関係の一例を示すグラフである。符号Aのグラフは、隣り合う3枚のハーフミラー31からの反射光の強度の標準偏差を示す。符号Bのグラフは、隣り合う4枚のハーフミラー31からの反射光の強度の標準偏差を示す。
符号Aのグラフと符号Bのグラフとを図9のグラフと比較すると、グラフの形状は若干異なるものの、S偏光成分の反射率Rs2と光強度差の大きさとの相関関係は類似している。すなわち、通過するハーフミラー31の数を増やしても、通過するハーフミラー31の数が2枚である場合と同様に考えることができる。第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1が平均反射率R1よりも大きい場合には、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2をRs1よりも小さく設定することにより、複数のハーフミラーからの反射光の強度差を小さくすることができる。
本発明者は、従来の光学素子130を用いた際に生じる縞状のムラを観察した。
図13は、その観察結果である従来の光学素子130による表示画像の一例を示す写真である。図14は、図13のA−A線に沿う各位置の光強度プロファイルを示す図である。
図13は、その観察結果である従来の光学素子130による表示画像の一例を示す写真である。図14は、図13のA−A線に沿う各位置の光強度プロファイルを示す図である。
図13および図14に示すように、従来の光学素子130を用いた場合、小さな縞状の明暗ムラが画像全体に現れており、大きな暗線が画像の左端に現れている。これらの改善策として、画像全体の縞状の明暗ムラを低減する場合には、光学素子の全てのハーフミラーについて、上記の第1ハーフミラー31Aと第2ハーフミラー31Bとを交互に配置する構成とすればよい。もしくは、画像左端の暗線のみを低減する場合には、画像左端に対応する光学素子の一部のハーフミラーのみについて、上記の第1ハーフミラー31Aと第2ハーフミラー31Bとを交互に配置する構成とすればよい。
(光学素子の第2の作用および効果)
以下、本実施形態の光学素子30の第2の作用および効果について説明する。
図15は、従来の光学素子130の第2の作用を説明するための図である。
図15に示すように、従来の光学素子130においては、複数のハーフミラー131の反射特性は、全てのハーフミラー131にわたって同一であった。ハーフミラー131に対するP偏光成分の反射率RpをRp=0(0%)とし、S偏光成分の反射率RsをRs=0.3(30%)とする。また、ハーフミラー131に対するP偏光成分の透過率TpをTp=1(100%)とし、S偏光成分の透過率TsをTs=0.7(70%)とする。
以下、本実施形態の光学素子30の第2の作用および効果について説明する。
図15は、従来の光学素子130の第2の作用を説明するための図である。
図15に示すように、従来の光学素子130においては、複数のハーフミラー131の反射特性は、全てのハーフミラー131にわたって同一であった。ハーフミラー131に対するP偏光成分の反射率RpをRp=0(0%)とし、S偏光成分の反射率RsをRs=0.3(30%)とする。また、ハーフミラー131に対するP偏光成分の透過率TpをTp=1(100%)とし、S偏光成分の透過率TsをTs=0.7(70%)とする。
ここで、外界光ELが光学素子130の入射面130aに垂直に入射する場合を考える。外界光ELが最初に入射するハーフミラー131を第1ハーフミラー131Aと称し、第1ハーフミラー131Aで反射した外界光ELが次に入射するハーフミラー131を第2ハーフミラー131Bと称する。第1ハーフミラー131Aを透過して観察者の眼に導かれる透過光EL1の強度をICとし、第1ハーフミラー131Aで反射した後に第2ハーフミラー131Bで再度反射して観察者の眼に導かれる反射光EL2の強度をIGとする。
元の外界光ELの強度を1としたとき、第1ハーフミラー131Aからの透過光EL1の強度ICは、第1ハーフミラー131Aを透過したP偏光成分の強度Ip1とS偏光成分の強度Is1との和となり、IC=Ip1+Is1=Tp+Ts=1+0.7=1.7と表される。
これに対し、第2ハーフミラー131Bからの反射光EL2の強度IGは、第1ハーフミラー131Aで反射した後、第2ハーフミラー131Bで反射したP偏光成分の強度Ip2とS偏光成分の強度Is2との和となり、IG=Ip2+Is2=Rp×Rp+Rs×Rs=0×0+0.3×0.3=0.09と表される。この場合、第1ハーフミラー131Aに隣り合う第2ハーフミラー131Bから反射光が射出されるため、外界像が二重に見える現象(ゴースト)が発生する。
ここで、IG/ICの値をゴーストコントラストCと定義すると、C=0.09/1.7=0.053となる。
ここで、IG/ICの値をゴーストコントラストCと定義すると、C=0.09/1.7=0.053となる。
これに対し、本実施形態の光学素子30においては、上述したように、第1ハーフミラー31Aと第2ハーフミラー31Bとが交互に配置されている。また、第1ハーフミラー31Aにおいて、S偏光成分の反射率Rs1が0.3であり、S偏光成分の透過率Ts1が0.7であり、P偏光成分の反射率Rp1が0であり、P偏光成分の透過率Tp1が1である。第2ハーフミラー31Bにおいて、S偏光成分の反射率Rs2が0であり、S偏光成分の透過率Ts2が1であり、P偏光成分の反射率Rp2が0.3であり、P偏光成分の透過率Tp2が0.7である。
図16は、本実施形態の光学素子30の第2の作用を説明するための図である。
図16に示すように、元の外界光ELの強度を1としたとき、第1ハーフミラー31Aからの透過光EL1の強度ICは、第1ハーフミラー31Aを透過したP偏光成分の強度Ip1とS偏光成分の強度Is1との和となり、IC=Ip1+Is1=Tp1+Ts1=1+0.7=1.7と表される。また、第2ハーフミラー31Bからの反射光の強度IGは、第1ハーフミラー31Aで反射した後、第2ハーフミラー31Bで反射したP偏光成分の強度Ip2とS偏光成分の強度Is2との和となり、IG=Ip2+Is2=Rp1×Rp2+Rs1×Rs2=0×0.3+0.3×0=0と表される。すなわち、第1ハーフミラー31Aで反射した後、第2ハーフミラー31Bで反射されて観察者の眼に導かれる光は存在しない。
図16に示すように、元の外界光ELの強度を1としたとき、第1ハーフミラー31Aからの透過光EL1の強度ICは、第1ハーフミラー31Aを透過したP偏光成分の強度Ip1とS偏光成分の強度Is1との和となり、IC=Ip1+Is1=Tp1+Ts1=1+0.7=1.7と表される。また、第2ハーフミラー31Bからの反射光の強度IGは、第1ハーフミラー31Aで反射した後、第2ハーフミラー31Bで反射したP偏光成分の強度Ip2とS偏光成分の強度Is2との和となり、IG=Ip2+Is2=Rp1×Rp2+Rs1×Rs2=0×0.3+0.3×0=0と表される。すなわち、第1ハーフミラー31Aで反射した後、第2ハーフミラー31Bで反射されて観察者の眼に導かれる光は存在しない。
このように、本実施形態の光学素子30においては、一つのハーフミラー31に入射した外界光ELの一部が反射して、隣り合うハーフミラー31から射出されることを抑制できるため、外界像のゴーストを見えにくくすることができる。
図17は、第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1を0.3とし、P偏光成分の反射率Rp1を0としたときの、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2(横軸)とゴーストコントラスト(縦軸)との関係の一例を示すグラフである。
図17のグラフにおいて、Rs2=0.3の点は、第1ハーフミラーおよび第2ハーフミラーのS偏光成分の反射率が等しい従来の光学素子の場合を示し、このときのゴーストコントラストは0.053である。また、図17のグラフは、Rs2が0.3から小さくなる程、ゴーストコントラストが小さくなる、すなわち、ゴーストが見えにくくなることを示している。
図17のグラフにおいて、Rs2=0.3の点は、第1ハーフミラーおよび第2ハーフミラーのS偏光成分の反射率が等しい従来の光学素子の場合を示し、このときのゴーストコントラストは0.053である。また、図17のグラフは、Rs2が0.3から小さくなる程、ゴーストコントラストが小さくなる、すなわち、ゴーストが見えにくくなることを示している。
すなわち、S偏光成分の反射率Rs1が平均反射率R1よりも大きい場合には、Rs2をRs1よりも小さく設定することにより、ゴーストコントラストを小さくすることができる。第1ハーフミラーのS偏光成分の反射率Rs1と第2ハーフミラーのS偏光成分の反射率Rs2との差は大きい方が好ましい。
図18は、第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1を0.25とし、P偏光成分の反射率Rp1を0.5としたときの、第2ハーフミラー31BのS偏光成分の反射率Rs2(横軸)とゴーストコントラスト(縦軸)との関係の一例を示すグラフである。すなわち、図18においては、図17における第1ハーフミラー31AのS偏光成分の反射率Rs1の値、P偏光成分の反射率Rp1の値をそれぞれ変えている。
図18のグラフも、図17のグラフと同様、Rs2が0.25から小さくなる程、ゴーストコントラストが小さくなることを示している。すなわち、第1ハーフミラー31AのP偏光成分の反射率Rp1が0以外の値を取る場合であっても、S偏光成分の反射率Rs1が平均反射率R1よりも大きい場合には、Rs2をRs1よりも小さく設定することにより、ゴーストを見えにくくすることができる。
本発明者は、ゴーストの発生状況に関するシミュレーションを行った。
図19は、シミュレーション結果である画像の一例を示す図である。図20は、図19のB−B線に沿う各位置の光強度プロファイルを示す図である。図20において、符号Hのグラフは従来の光学素子130を用いた場合を示し、符号Jのグラフは本実施形態の光学素子30を用いた場合を示す。
図19は、シミュレーション結果である画像の一例を示す図である。図20は、図19のB−B線に沿う各位置の光強度プロファイルを示す図である。図20において、符号Hのグラフは従来の光学素子130を用いた場合を示し、符号Jのグラフは本実施形態の光学素子30を用いた場合を示す。
図20に示す符号HのグラフHおよび符号Jのグラフにおいては、図19に示す画像の3本の明るい線状部分に対応して、3本の大きなピークP1が現れている。また、従来の光学素子130を用いた場合には、3本の大きなピークP1の左側に小さなピークP2が現れている。この小さな光強度のピークP2が観察者にはゴーストとして見える。これに対し、本実施形態の光学素子30を用いた場合には、上記の小さなピークP2が十分に小さくなっている。このように、本実施形態の光学素子30によれば、ゴーストを見えにくくすることができる。
(光学素子の第3の作用および効果)
以下、本実施形態の光学素子30の第3の作用および効果について説明する。
図21は、本実施形態の光学素子30の第3の作用を説明するための図である。
以下、本実施形態の光学素子30の第3の作用および効果について説明する。
図21は、本実施形態の光学素子30の第3の作用を説明するための図である。
従来の光学素子130においては、画像光GLに含まれる同一の偏光成分が隣り合うハーフミラー131でそれぞれ反射するため、隣り合うハーフミラー131で反射した同一の偏光成分同士が回折し、画像の解像度が低下するおそれがある。
この問題に対して、図21に示すように、本実施形態の光学素子30において、画像光GLに含まれる同一の偏光成分は、隣り合うハーフミラー31、すなわち第1ハーフミラー31Aと第2ハーフミラー31Bとでは反射せず、一つおきのハーフミラー31、すなわち第1ハーフミラー31A、第2ハーフミラー31Bのいずれか一方で反射する。そのため、本実施形態の光学素子30では、反射光の間隔が従来の光学素子130に比べて略2倍となる。その結果、偏光成分同士が回折する際の回折角が略1/2となる。これにより、本実施形態の光学素子30によれば、画像の解像度低下を抑制することができる。
本実施形態の表示装置100は、上記の光学素子30を含む射出部23を備えているため、表示画像の縞状のムラが視認されることを低減でき、かつ、外界像が二重に見えることを低減できる。また、射出部23が平行導光体22の視認側の面に設けられているため、設計が容易な表示装置100を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、光学素子を構成する全てのハーフミラーにわたって、特定の偏光成分に対する反射特性が互いに異なる第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとが交互に配置された例を示したが、この構成に代えて、例えば光学素子の一部の領域におけるハーフミラーのみを第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとが交互に配置された構成としてもよい。もしくは、第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとが1枚ずつ交互に配置された構成に代えて、第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとが複数枚ずつ交互に配置された構成としてもよいし、第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとがランダムに混在する構成としてもよい。もしくは、光学素子は、所定の偏光成分に対する反射率が第1ハーフミラーとも異なり、第2ハーフミラーとも異なるハーフミラーをさらに備えてもよい。
例えば上記実施形態では、光学素子を構成する全てのハーフミラーにわたって、特定の偏光成分に対する反射特性が互いに異なる第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとが交互に配置された例を示したが、この構成に代えて、例えば光学素子の一部の領域におけるハーフミラーのみを第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとが交互に配置された構成としてもよい。もしくは、第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとが1枚ずつ交互に配置された構成に代えて、第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとが複数枚ずつ交互に配置された構成としてもよいし、第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとがランダムに混在する構成としてもよい。もしくは、光学素子は、所定の偏光成分に対する反射率が第1ハーフミラーとも異なり、第2ハーフミラーとも異なるハーフミラーをさらに備えてもよい。
その他、光学素子および表示装置に構成する各構成要素の数、形状、材料等の各部の具体的な構成については、上記実施形態に限ることなく、適宜変更が可能である。例えば画像形成装置として、上記の有機EL素子の他、液晶表示素子、レーザー光源とMEMSスキャナーとの組合せ等を用いてもよい。なお、液晶表示素子やレーザー光源を画像形成装置として用いた場合には、画像形成装置から射出される光が1種類の偏光となることがあるが、この場合にはP偏光とS偏光とが混合されるような光学配置を取ることができる。例えば、射出側偏光板の透過軸をP偏光となる向きとS偏光となる向きとの間の角度に配置すると、この角度によって表示素子から射出されるP偏光とS偏光との強度比を調節することができる。そのため、その強度比の逆数を第1ハーフミラーと第2ハーフミラーとの異なる偏光に対する反射率比に適用すれば、良好な表示画像が得られる。一例として、偏光板透過軸の向きを45度とすると、P偏光とS偏光の強度比は1:1となるので、第1ハーフミラーのS偏光反射率Rs1と第2ハーフミラーのP偏光反射率Rp2とを1:1するとよい。
10…画像形成装置、20…導光装置、21…入射部、22…平行導光体(導光体)、23…射出部、30…光学素子、31…ハーフミラー、31A…第1ハーフミラー、31B…第2ハーフミラー、32…透光性部材、32a…入射面、32b…射出面、100…表示装置。
Claims (5)
- 間隔をおいて互いに平行に設けられ、画像光および外界光の一部を反射させ、前記画像光および前記外界光の他の一部を透過させる複数のハーフミラーと、
前記複数のハーフミラーの隣り合う2つの前記ハーフミラーの間に介在する透光性部材と、を備え、
前記透光性部材は、前記画像光および前記外界光を入射させる入射面と、前記画像光および前記外界光を射出させる射出面と、を備え、
前記複数のハーフミラーの各々は、それぞれ前記入射面および前記射出面に対して傾斜して配置され、
前記複数のハーフミラーは、前記画像光および前記外界光に含まれる所定の偏光成分に対する反射率が互いに異なる少なくとも一つの第1ハーフミラーと少なくとも一つの第2ハーフミラーとを含むことを特徴とする光学素子。 - 前記ハーフミラーに対するS偏光成分の反射率と前記ハーフミラーに対するP偏光成分の反射率との平均値を平均反射率としたとき、
前記第1ハーフミラーは、前記S偏光成分の反射率が前記平均反射率よりも高く、かつ、前記P偏光成分の反射率が前記平均反射率よりも低く、
前記第2ハーフミラーは、前記S偏光成分の反射率が前記平均反射率よりも低く、かつ、前記P偏光成分の反射率が前記平均反射率よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。 - 前記複数のハーフミラーは、複数の前記第1ハーフミラーと複数の前記第2ハーフミラーとを含み、
前記複数のハーフミラーの配列方向において前記第1ハーフミラーと前記第2ハーフミラーとが交互に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学素子。 - 画像形成装置と、
前記画像形成装置で生成された画像光を導光する導光装置と、を備え、
前記導光装置は、前記画像光を入射させる入射部と、前記入射部から入射した前記画像光を導光させる導光体と、前記画像光を射出させる射出部と、を備え、
前記射出部は、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学素子を備えていることを特徴とする表示装置。 - 前記射出部は、前記導光体の視認側の面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
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