JP2018055085A - 光学素子および表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】導光体を通して光学素子と反対側への画像光の漏れを低減できる表示装置を提供する。【解決手段】光学素子は、間隔をおいて互いに平行に設けられ、画像光および外界光の一部を反射させ、画像光および外界光の他の一部を透過させる複数のハーフミラーと、複数のハーフミラーの隣り合う2つのハーフミラーの間に介在する透光性部材と、を備える。透光性部材は、導光体を介して画像光および外界光を入射させる入射面と、画像光および外界光を観察者側に射出させる射出面と、を備える。複数のハーフミラーの各々は、入射面および射出面に対して傾斜して配置され、それぞれのハーフミラーの面に対して相対的に小さい入射角で入射した光の反射率が、相対的に大きい入射角で入射した光の反射率よりも低い。【選択図】図4

Description

本発明は、光学素子および表示装置に関する。
近年、ウェアラブル情報機器の一つとして、ヘッドマウントディスプレイなどの観察者の頭部に装着して使用する方式の画像表示装置が提供されている。また、観察者が画像表示装置を装着した際に、表示素子で生成された画像と外界の像の双方を同時に視認できる画像表示装置、いわゆるシースルー型の画像表示装置が知られている。
下記の特許文献1には、基板と、基板の内部に設けられた複数の部分反射面と、を備えたヘッドマウントディスプレイシステムが開示されている。このシステムにおいて、基板の内部を導光した光の一部は、複数の部分反射面により反射し、観察者の眼に導かれる。特許文献1には、部分反射面の反射特性の一例として、入射角70°の光の反射率が22%であり、入射角60°の光の反射率が6〜7%であると記載されている。
下記の特許文献2には、基板と、基板の内部に設けられた複数の選択的反射面と、を備えたヘッドマウントディスプレイシステムが開示されている。このシステムにおいて、基板の内部を導光した光の一部は、複数の選択的反射面により反射し、観察者の眼に導かれる。特許文献2には、選択的反射面の反射特性の一例として、光の入射角が大きくなるにつれて反射率が低下することが記載されている。
特開2013−210633号公報 特開2010−164988号公報
特許文献1および2に記載のシステムは、基板の内部を導光する光を基板の内部に設けられた反射面によって外部に取り出し、観察者の眼に導いている。この構成に代えて、画像光を導光させる導光体と、導光体から観察者側に画像光を取り出すための複数のハーフミラーを有する光学素子と、を備えた表示装置が提案されている。この表示装置において、観察者側に取り出せなかった画像光が導光体の裏面側から外部に漏れ、観察者以外の人に画像の一部が視認される、という導光体の表面に光学素子を配置した構成に特有の問題があった。
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであり、導光体を通して観察者と反対側に画像光が漏れ出ることを低減できる表示装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、上記の表示装置の光射出部に用いて好適な光学素子を提供することを目的の一つとする。
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の光学素子は、間隔をおいて互いに平行に設けられ、画像光および外界光の一部を反射させ、前記画像光および前記外界光の他の一部を透過させる複数のハーフミラーと、前記複数のハーフミラーの隣り合う2つの前記ハーフミラーの間に介在する透光性部材と、を備え、前記透光性部材は、導光体を介して前記画像光および前記外界光を入射させる入射面と、前記画像光および前記外界光を観察者側に射出させる射出面と、を備え、前記複数のハーフミラーの各々は、それぞれ前記入射面および前記射出面に対して傾斜して配置され、それぞれのハーフミラーの面に対して相対的に小さい入射角で入射した光の反射率が、相対的に大きい入射角で入射した光の反射率よりも低いことを特徴とする。
詳しくは後述するが、本発明者らの検討の結果、上述した光学素子からの画像光の漏れは、ハーフミラーの面に対して小さい入射角で入射した光の反射率が高く、光学素子から導光体に戻る光が多いことに起因することが判った。本発明の一つの態様の光学素子において、それぞれのハーフミラーの面に対して相対的に小さい入射角で入射した光の反射率が、相対的に大きい入射角で入射した光の反射率よりも低いため、光学素子を導光体の一面に設置した場合に、導光体を通して光学素子と反対側、すなわち、観察者と反対側に画像光が漏れ出ることを低減することができる。
本発明の一つの態様の光学素子において、前記複数のハーフミラーの各々と前記射出面とのなす角度は、45°以上、90°未満であってもよい。
この構成によれば、導光体を導光した後、導光体から光学素子の入射面に対して大きな入射角で入射する画像光を効率良く取り出すことができる。
本発明の一つの態様の表示装置は、画像形成装置と、前記画像形成装置で生成された画像光を導光する導光装置と、を備え、前記導光装置は、前記画像光を入射させる入射部と、前記入射部から入射した前記画像光を導光させる導光体と、前記画像光を射出させる射出部と、を備え、前記射出部は、本発明の一つの態様の光学素子を備えていることを特徴とする。
本発明の一つの態様の表示装置は、本発明の一つの態様の光学素子を有する射出部を備えているため、観察者以外の人に画像が視認されにくい表示装置を実現することができる。
本発明の一つの態様の表示装置において、前記射出部は、前記導光体の視認側の面に設けられていてもよい。
この構成によれば、光学設計が容易な表示装置を実現することができる。
実施形態の表示装置の平面図である。 導光装置を観察者側から見た裏面図である。 導光装置における画像光の光路を示す図である。 実施形態の光学素子の拡大図である。 光学素子の作用を説明するための図である。 実施例および比較例のハーフミラーの反射率の入射角依存性を示すグラフである。 実施例および比較例の光学素子による裏面像の輝度分布を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態の表示装置は、例えば観察者が頭部に装着して用いるヘッドマウントディスプレイとして用いられる。
図1は、実施形態の表示装置の平面図である。図2は、導光装置を観察者側から見た裏面図である。図3は、導光装置における画像光の光路を示す図である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
(導光装置および表示装置の全体構成)
図1に示すように、表示装置100は、画像形成装置10と、導光装置20と、を備えている。図1は、図2に示す導光装置20のA−A断面と対応する。
表示装置100は、画像形成装置10による画像を観察者に虚像として視認させるとともに、外界像を観察者にシースルーで観察させる。表示装置100において、画像形成装置10と導光装置20とは、観察者の右眼と左眼とに対応して一組ずつ設けられている。右眼用の装置と左眼用の装置とは、構成が同一であり、各構成要素の配置が左右対称である点のみが異なる。そのため、ここでは左眼用の部分のみを図示し、右眼用の部分の図示を省略する。表示装置100は、全体として例えば眼鏡のような外観を有する。
画像形成装置10は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子11と、投射レンズ12と、を備えている。有機EL素子11は、動画像、静止画像等の画像を構成する画像光GLを射出する。なお、有機EL素子11に限らず、液晶素子等を備えた画像形成装置を用いてもよい。投射レンズ12は、有機EL素子11上の各点から射出された画像光GLを略平行光線にするコリメートレンズで構成されている。投射レンズ12は、ガラスもしくはプラスチックで形成され、1枚に限らず、複数枚で構成されていてもよい。投射レンズ12は、球面レンズに限らず、非球面レンズ、自由曲面レンズ等で構成されていてもよい。
導光装置20は、平板状の光透過部材で構成されている。導光装置20は、画像形成装置10で生成された画像光GLを導光した後に観察者の眼EYに向けて射出する一方、外界像を構成する外界光ELを透過させる。導光装置20は、画像光を取り込む入射部21と、主に画像光を導光させる平行導光体22と、画像光GLおよび外界光ELを取り出すための射出部23と、を備える。平行導光体22と入射部21とは、高い光透過性を有する樹脂材料により一体成形されている。本実施形態において、導光装置20を伝播する画像光GLの光路は、同一回数反射される1種類の光路からなり、複数種類の光路が合成されるものではない。
平行導光体22は、観察者の眼EYが正面を見ているときの視線を基準とする光軸AXに対して傾いて配置されている。平行導光体22の平面22aの法線方向Zは、光軸AXに対して角度κだけ傾いている。これにより、平行導光体22を顔の前面に沿って配置でき、平行導光体22の平面22aの法線は、光軸AXに対して傾きを有する。このように、平行導光体22の平面22aの法線を光軸AXに平行なz方向に対して角度κだけ傾けたことにより、光学素子30から射出させる光軸AX上およびその近傍の画像光GL0は、光射出面OSの法線に対して角度κをなす。
なお、光軸AXに平行な方向をz方向とし、z方向に垂直な面のうち、水平方向をx方向とし、鉛直方向をy方向とする。
入射部21は、光入射面ISと、反射面RSと、を有する。画像形成装置10からの画像光GLは、光入射面ISを介して入射部21内に取り込まれる。入射部21内に取り込まれた画像光GLは、反射面RSで反射して平行導光体22の内部に導かれる。光入射面ISは、投射レンズ12から見て凹となる曲面21bから形成されている。曲面21bは、反射面RSで反射された画像光GLを内面側で全反射する機能も有する。
反射面RSは、投射レンズ12から見て凹となる曲面21aから形成されている。反射面RSは、曲面21a上に蒸着法等により成膜されたアルミニウム膜等の金属膜から構成されている。反射面RSは、光入射面ISから入射した画像光GLを反射して光路を折り曲げる。曲面21bは、反射面RSで反射された画像光GLを内側で全反射して光路を折り曲げる。このように、入射部21は、光入射面ISから入射した画像光GLを2回反射させ、光路を折り曲げることにより、画像光GLを平行導光体22の内部に確実に導く。
平行導光体22は、y軸に対して平行、かつz軸に対して傾斜した平板状の導光部材である。平行導光体(導光体)22は、光透過性を有する樹脂材料等によって形成され、互いに略平行な一対の平面22a,22bを有する。平面22a,22bは、平行平面であるため、外界像の拡大やフォーカスズレを生じることがない。平面22aは、入射部21からの画像光を全反射させる全反射面として機能し、画像光GLを少ない損失で射出部23に導く。平面22aは、平行導光体22の外界側に配置されて第1の全反射面として機能し、本明細書中においては外界側面とも称する。
平面22bは、本明細書中においては観察者側面とも称する。平面22b(観察者側面)は、射出部23の一端まで延びている。ここで、平面22bは、平行導光体22と射出部23との境界面IFである(図3参照)。
平行導光体22において、入射部21の反射面RSもしくは光入射面ISで反射された画像光GLは、全反射面である平面22aに入射し、平面22aで全反射され、導光装置20の奥側、すなわち射出部23が設けられた+x側もしくはX側に導かれる。図2に示すように、平行導光体22は、導光装置20の外形のうち、+x側の端面として終端面ESを有する。また、平行導光体22は、±y側の端面として上端面TPおよび下端面BPを有する。
なお、平面22bの面法線方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面のうち、水平方向をX方向とし、鉛直方向をY方向とする。
図3に示すように、射出部23は、平行導光体22の奥側(+x側)において、平面22bもしくは境界面IFに沿って板状に構成されている。射出部23は、平行導光体22の外界側の平面(全反射面)22aの領域FRで全反射された画像光GLを通過させる際に、入射した画像光GLを所定の角度で反射して光射出面OS側へ折り曲げる。ここでは、射出部23にこれを透過することなく最初に入射する画像光GLが虚像光としての取出し対象である。つまり、射出部23において光射出面OSの内面で反射される光があっても、これは画像光として利用されない。
射出部23は、光透過性を有する複数のハーフミラー31が一方向に配列された光学素子30を有する。光学素子30の構造については、図4等を参照して後に詳述する。光学素子30は、平行導光体22の観察者側の平面22bに沿って設けられている。
導光装置20が以上のような構造を有することから、図3に示すように、画像形成装置10から射出され、光入射面ISから導光装置20に入射した画像光GLは、入射部21で複数回反射することによって光路が折り曲げられ、平行導光体22の平面22aの領域FRにおいて全反射されて光軸AXに略沿って進む。+z側の平面22aの領域FRで反射された画像光GLは、射出部23に入射する。
この際、xy面内において、領域FRの長手方向の幅は、射出部23の長手方向の幅よりも狭い。つまり、画像光GLの光線束が射出部23(もしくは光学素子30)に入射する入射幅は、画像光GLの光線束が領域FRに入射する入射幅よりも広い。このように、画像光GLの光線束が領域FRに入射する入射幅を相対的に狭くすることにより、光路の干渉が生じにくくなり、境界面IFを導光に利用することなく、すなわち、境界面IFで画像光GLを反射させず、領域FRからの画像光GLを射出部23(もしくは光学素子30)に直接入射させることが容易になる。
射出部23に入射した画像光GLは、射出部23において適切な角度で折り曲げられることで取出し可能な状態となり、最終的に光射出面OSから射出される。光射出面OSから射出された画像光GLは、虚像光として観察者の眼EYに入射する。当該虚像光が観察者の網膜において結像することで、観察者は虚像による画像光GLを認識することができる。
ここで、像形成に用いられる画像光GLが射出部23に入射する角度は、光源側の入射部21から離れるに従って大きくなっている。すなわち、射出部23の奥側には、外界側の平面22aに平行なZ方向、または光軸AXに対して傾きの大きな画像光GLが入射して比較的大きな角度で折り曲げられ、射出部23の前側には、Z方向、または光軸AXに対して傾きの小さな画像光GLが入射して比較的小さな角度で折り曲げられる。
(画像光の光路)
以下、画像光の光路について詳しく説明する。
図3に示すように、有機EL素子11の射出面11a上からそれぞれ射出される画像光のうち、破線で示す射出面11aの中央部分から射出される成分を画像光GL0とし、1点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面左側(−xおよび+z側)から射出される成分を画像光GL1とし、2点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち、紙面右側(+xおよび−z側)から射出される成分を画像光GL2とする。これらのうち、画像光GL0の光路は光軸AXに沿って延びるものとする。
投射レンズ12を経た画像光GL0,GL1,GL2の主要成分は、導光装置20の光入射面ISからそれぞれ入射した後、入射部21を経て平行導光体22内を通過して射出部23に至る。具体的には、画像光GL0,GL1,GL2のうち、射出面11aの中央部分から射出された画像光GL0は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、標準反射角θ0で一方の平面22aの領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(もしくは光学素子30)との境界面IFで反射されずに境界面IFを通過し、射出部23の中央の部分23kに直接的に入射する。画像光GL0は、部分23kにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから光射出面OSを含むXY面に対して傾いた光軸AX方向(Z方向に対して角度κの方向)に平行光束として射出される。
射出面11aの一端側(−x側)から射出された画像光GL1は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、最大反射角θ1で平面22aの領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(もしくは光学素子30)との境界面IFで反射されずに境界面IFを通過し、射出部23のうち、奥側(+x側)の部分23hにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角γ1は、入射部21側に戻される角度が相対的に大きくなっている。
一方、射出面11aの他端側(+x側)から射出された画像光GL2は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、最小反射角θ2で平面22aの領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(もしくは光学素子30)との境界面IFで反射されずに境界面IFを通過し、射出部23のうち、入口側(−x側)の部分23mにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角γ2は、入射部21側に戻される角度が相対的に小さくなっている。
なお、画像光GL0,GL1,GL2で示す3本の光線成分は、画像光GLの光線全体の一部を代表して説明したものであるが、画像光GLを構成する他の光線成分についても画像光GL0等の光線成分と同様に導かれ、光射出面OSから射出される。そのため、これらについては図示および説明を省略する。
ここで、入射部21および平行導光体22に用いられる透明樹脂材料の屈折率nの値の一例として、n=1.4とすると、臨界角θcの値はθc≒45.6°となる。画像光GL0,GL1,GL2の反射角θ0,θ1,θ2のうち、最小である反射角θ2を臨界角θcよりも大きな値とすることにより、必要な画像光について全反射条件を満たすものとすることができる。
中央向けの画像光GL0は、仰角φ0(=90°−θ0)で射出部23の部分23kに入射する。周辺向けの画像光GL1は、仰角φ1(=90°−θ1)で射出部23の部分23hに入射する。周辺向けの画像光GL2は、仰角φ2(=90°−θ2)で射出部23の部分23mに入射する。ここで、仰角φ0,φ1,φ2間には、反射角θ0,θ1,θ2の大小関係を反映して、φ2>φ0>φ1の関係が成り立っている。すなわち、光学素子30のハーフミラー31への入射角ι(図4参照)は、仰角φ2に対応する部分23m、仰角φ0に対応する部分23k、仰角φ1に対応する部分23hの順で徐々に小さくなる。換言すれば、ハーフミラー31への入射角ιもしくはハーフミラー31での反射角は、入射部21から離れるに従って小さくなる。
平行導光体22の外界側の平面22aで反射されて射出部23に向かう画像光GLの光線束の全体的な挙動について説明する。
図3に示すように、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、平行導光体22の外界側の領域FRで反射される前後の直進光路P1,P2のいずれかで幅が絞られる。具体的には、画像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、領域FR近辺、つまり直進光路P1,P2の境界付近で直進光路P1,P2に跨るような位置で全体として幅が絞られてビーム幅が細くなっている。これにより、画像光GLの光線束を射出部23の手前で絞ることになり、横方向の視野角を比較的広くすることが容易になる。なお、図示の例では、画像光GLの光線束が直進光路P1,P2に跨るような位置で幅が絞られてビーム幅が細くなっているが、直進光路P1,P2のいずれか片側のみで幅が絞られてビーム幅が細くなってもよい。
(光学素子の構成)
以下、射出部23を構成する光学素子30の構成について説明する。
図4は、本実施形態の光学素子30の拡大図である。
射出部23は、平行導光体22の視認側の面に設けられた光学素子30で構成されている。したがって、射出部23は、平行導光体22と同様に、光軸AXに対して角度κだけ傾いたXY平面に沿って設けられている。
図4に示すように、光学素子30は、複数のハーフミラー31と、複数の透光性部材32と、を備えている。複数のハーフミラー31は、間隔をおいて互いに平行に設けられ、画像光GLおよび外界光ELの一部を反射させ、画像光GLおよび外界光ELの他の一部を透過させる。透光性部材32は、複数のハーフミラー31の隣り合う2つのハーフミラー31の間に介在する。すなわち、光学素子30は、複数の透光性部材32が、隣り合う2つの透光性部材32の間にそれぞれハーフミラー31を挟持した構成を有する。換言すると、光学素子30は、ハーフミラー31と透光性部材32とが交互に配置された構成を有する。
透光性部材32は、長手方向に垂直な断面形状が平行四辺形の柱状の部材である。したがって、透光性部材32は、長手方向に平行に延び、互いに平行な一対の平面を2組有している。これら2組の一対の平面のうち、一方の組の一方の平面が画像光GLおよび外界光ELを入射させる入射面32aであり、一方の組の他方の平面が画像光GLおよび外界光ELを射出させる射出面32bである。また、他方の組の一方の平面に、ハーフミラー31が設けられている。透光性部材32は、例えばガラス、透明樹脂等により構成されている。
複数の透光性部材32は、一対の透光性部材32とハーフミラー31とからなる組を複数貼り合わせたときに、複数のハーフミラー31が互いに平行に配置された形態となるように構成されている。図4では図示を省略するが、ハーフミラー31の一方の面と隣り合う透光性部材32との間には、接着材層が設けられている。これにより、光学素子30は、全体として矩形板状の部材となる。透光性部材32の入射面32aもしくは射出面32bの法線方向から光学素子30を見ると、細い帯状の複数のハーフミラー31がストライプ状に並べられた構造となる。すなわち、光学素子30は、矩形状のハーフミラー31が平行導光体22の延びる方向、すなわちX方向に所定の間隔(ピッチPT)をおいて複数配列された構成を有する。
ハーフミラー31は、透光性部材32間に挟まれた反射膜で構成されている。反射膜は、例えば屈折率が異なる複数の誘電体薄膜が交互に積層された誘電体多層膜で構成されている。あるいは、反射膜は、金属膜で構成されていてもよい。ハーフミラー31は、ハーフミラー31の短辺が透光性部材32の入射面32aおよび射出面32bに対して傾斜して設けられている。より具体的には、ハーフミラー31は、平行導光体22の外界側に向かって反射面31rが入射部21側を向くように傾斜している。換言すると、ハーフミラー31は、ハーフミラー31の長辺(Y方向)を軸として、平面22a,22bに直交するYZ面を基準として上端(+Z側)が反時計周りに回転する方向に傾斜している。
ハーフミラー31の画像光GLに対する反射率は、シースルーによる外界光ELを透過させ、外界像の観察を容易にする観点から、想定される画像光GLの入射角範囲において、例えば10%以上、50%以下とされている。また、ハーフミラー31は、ハーフミラー31の面に対して相対的に小さい入射角で入射した画像光GLの反射率が、相対的に大きい入射角で入射した画像光GLの反射率よりも低い特性を有する。この特性に伴う作用、効果については後で詳しく述べる。
以下、ハーフミラー31の反射面31rと透光性部材32の射出面32bとのなす角度をハーフミラー31の傾斜角度δと定義する。本実施形態において、ハーフミラー31の傾斜角度δは、45°以上、90°未満である。本実施形態では、透光性部材32の屈折率と平行導光体22の屈折率とは等しいが、これらの屈折率は異なっていてもよい。屈折率が異なる場合、屈折率が等しい場合に対してハーフミラー31の傾斜角度δを変更する必要がある。
複数のハーフミラー31の各々は、平行導光体22の観察者側面22bを基準として時計回りで例えば48°〜70°程度の傾斜角度δをなし、具体的には例えば60°の傾斜角度δをなしている。ここで、画像光GL0の仰角φ0が例えば30°に設定され、画像光GL1の仰角φ1が例えば22°に設定され、画像光GL2の仰角φ2が例えば38°に設定されているものとする。この場合、図3に示すように、画像光GL1と画像光GL2とは、光軸AXを基準として角度γ1=γ2≒12.5°をなして観察者の眼EYに入射する。
これにより、上記画像光GLのうち、全反射角度の比較的大きい成分(画像光GL1)を射出部23のうちの−x側の部分23h側に主に入射させ、全反射角度の比較的小さい成分(画像光GL2)を射出部23のうちの+x側の部分23m側に主に入射させた場合において、画像光GLを全体として観察者の眼EYに集めるような角度で効率的に取り出すことができる。すなわち、平行導光体22から光学素子30の入射面32aに対して比較的大きな入射角(比較的小さな仰角)で入射する画像光GLを平行導光体22から効率良く取り出すことができる。光学素子30はこのような角度で画像光GLを取り出す構成であるため、導光装置20は、画像光GLを光学素子30において原則として複数回経由させず、1回だけ経由させることができる。これにより、画像光GLを少ない損失で虚像光として取り出すことができる。
なお、隣り合うハーフミラー31の間のピッチPTは、0.5mm〜2.0mm程度に設定される。ハーフミラー31間のピッチPTは、厳密には等間隔でなく、可変ピッチで配置されていてもよい。より具体的には、光学素子30におけるハーフミラー31のピッチPTは、基準間隔を中心としてランダムに増減するランダムピッチとしてもよい。このように、光学素子30におけるハーフミラー31をランダムピッチで配置することにより、回折ムラやモアレの発生を抑制することができる。なお、ランダムピッチに限らず、例えば複数段階で増減するピッチを含む所定のピッチパターンを繰り返すものであってもよい。
光学素子30の厚み、すなわち、ハーフミラー31のZ軸方向の厚みTIは、0.7mm〜3.0mm程度に設定される。光学素子30を支持する平行導光体22の厚みは、例えば数mm〜10mm程度、好ましくは4mm〜6mm程度となっている。平行導光体22の厚みが光学素子30の厚みに比較して十分大きいと、光学素子30または境界面IFへの画像光GLの入射角を小さくしやすく、画像光GLが眼EYに取り込まれない位置にあるハーフミラー31での反射を抑えやすい。一方、平行導光体22の厚みを比較的薄くすると、平行導光体22や導光装置20の軽量化を図りやすくなる。
図5は、光学素子30の作用を説明するための図である。
本発明者らは、従来の光学素子を用いた表示装置において、画像光GLの漏れが生じる原因を光線追跡シミュレーションにより調査した。
図5に示すように、仰角φ0=30°程度で光学素子30に入射する画像光GLを想定する。虚像光として観察者に画像を認識させるのは、破線の矢印で示した反射光GL1である。ただし、ハーフミラー31に入射した画像光GLのうち、観察者側に偏向されることなく、ハーフミラー31を透過する光が一定量存在する。例えばハーフミラー31の反射率が20%である場合、画像光GLが4枚のハーフミラー31を透過すると仮定すると、(1−0.2)4=0.41から、ハーフミラー31に入射した画像光GLのうち、約40%の光がハーフミラー31を透過することになる。
次に、ハーフミラー31を透過した画像光GLは、60°程度の入射角βで射出面32bに入射するため、射出面32bで全反射した後、ハーフミラー31に向かって進行する。射出面32bで全反射した画像光GLのうち、約6割(1−0.41=0.59)の光は、1点鎖線の矢印GL3で示すように、ハーフミラー31で反射した後、再び射出面32bに戻ってくる。このとき、射出面32bの臨界角より大きな角度の光は、射出面32bで再び全反射する。射出面32bで全反射した光は、ハーフミラー31に比較的大きい入射角で入射するため、ハーフミラー31で反射し、平行導光体22を透過して平面22aから観察者側とは反対の方向に射出される。この光GL4により、観察者以外の人でも画像が見えてしまい、画像の秘匿性が損なわれる、という問題が生じる。
そこで、本発明者らは、射出面32bで全反射した後、ハーフミラー31で反射して射出面32bに再度戻る光を低減することによって上記の問題を改善できる、と考えた。射出面32bで全反射した後、ハーフミラー31に向けて進行する光は、比較的小さな入射角αでハーフミラー31に入射する。したがって、ハーフミラー31の面に対して相対的に小さい入射角αで入射した画像光GLの反射率を、相対的に大きい入射角αで入射した画像光GLの反射率よりも低い入射角依存性を有するハーフミラー31を用いれば、上記の問題を改善することができる。
光線追跡シミュレーションにおける実施例のハーフミラー31として、[表1]に示す各種無機材料および金属材料の8層の膜からなる積層膜を想定した。また、比較例のハーフミラーとして、[表2]に示す各種無機材料および金属材料の8層の膜からなる積層膜を想定した。
Figure 2018055085
Figure 2018055085
図6は、実施例および比較例のハーフミラーの反射率の入射角依存性を示すグラフである。グラフの横軸は入射角[deg]であり、縦軸は反射率[%]である。
反射率として、S偏光成分に対する反射率とP偏光成分に対する反射率とを分けて算出した。
符号JSのグラフはS偏光成分に対する実施例のハーフミラーの反射率を示し、符号JPのグラフはP偏光成分に対する実施例のハーフミラーの反射率を示す。符号CSのグラフはS偏光成分に対する比較例のハーフミラーの反射率を示し、符号CPのグラフはP偏光成分に対する比較例のハーフミラーの反射率を示す。
図6に示すように、実施例のハーフミラー、比較例のハーフミラーのそれぞれにおいて、S偏光成分に対する反射率とP偏光成分に対する反射率とは略同様の特性を示す。比較例のハーフミラーの反射率は、入射角10°〜55°の範囲にわたって、略20%で一定の値を示している。入射角が11°、17°、23°、43°、49°、55°のとき、比較例のS偏光成分に対する反射率は、19.1%、19.1%、19.1%、19.6%、19.7%、19.4%であり、比較例のP偏光成分に対する反射率は、19.0%、18.9%、18.8%、19.3%、19.7%、20.1%である。すなわち、比較例のハーフミラーは、反射率の入射角依存性をほとんど有していない。これに対し、実施例のハーフミラーの反射率は、入射角55°では比較例と同等の略20%であるが、入射角が55°から小さくなるにつれて低下し、入射角10°では略10%にまで低下する。入射角が11°、17°、23°、43°、49°、55°のとき、実施例のS偏光成分に対する反射率は、10.1%、10.7%、11.6%、16.1%、18.0%、20.3%であり、実施例のP偏光成分に対する反射率は、9.9%、10.2%、10.7%、15.8%、18.2%、20.5%である。
このように、ハーフミラー31を構成する積層膜の材料(積層順)や膜厚を変えることにより、ハーフミラー31の反射率の入射角依存性を調整することができ、相対的に小さい入射角αで入射した光の反射率が、相対的に大きい入射角αで入射した光の反射率よりも低い特性(入射角依存性)を有するハーフミラー31を実現することができる。
図7は、実施例および比較例の光学素子による裏面像の輝度分布を示すグラフである。裏面像とは、平行導光体22の光学素子30と反対側の平面22a(裏面)から漏れ出る光によって生成される像のことである。グラフの横軸は画角[deg]であり、縦軸は輝度[nit]である。画角は、光軸AXを基準(0°)とした裏面像の各位置に対応する角度である。
符号Jのグラフは実施例のハーフミラーを用いた表示装置における裏面像の輝度分布を示し、符号Cのグラフは比較例のハーフミラーを用いた表示装置における裏面像の輝度分布を示している。
観察者側の像の輝度が405nitとなる条件でシミュレーションを行った結果、比較例のハーフミラーを備えた表示装置では、裏面像の輝度は略20〜30nit程度を中心として推移している。これに対して、実施例のハーフミラー31を備えた表示装置100では、裏面像の輝度は略10〜15nit程度を中心として推移している。このように、実施例のハーフミラー31を備えた表示装置100では、比較例のハーフミラーを備えた表示装置に対して、裏面像の明るさを略半減できることが判った。
以上述べたように、本実施形態の光学素子30は、相対的に小さい入射角αで入射した光の反射率が、相対的に大きい入射角αで入射した光の反射率よりも低い特性を有するハーフミラー31を備えているため、平行導光体22の平面22a側からの画像光の漏れを低減することができる。その結果、本実施形態によれば、観察者以外の人に画像が視認されにくく、画像の秘匿性に優れた表示装置100を実現することができる。
また、本実施形態の表示装置100においては、射出部23が平行導光体22の視認側の平面22bに設けられているため、光学素子30から射出された画像光GLは、他の部材に入射することなく、観察者の眼に到達する。したがって、光学設計が容易な表示装置100を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、光学素子を構成する全てのハーフミラーにわたって、反射率の入射角依存性が同一のハーフミラーが用いられることを想定したが、この構成に代えて、例えば光学素子の位置に応じて反射率の入射角依存性が異なる複数種類のハーフミラーが用いられてもよい。
その他、光学素子および表示装置に構成する各構成要素の数、形状、材料等の各部の具体的な構成については、上記実施形態に限ることなく、適宜変更が可能である。例えば画像形成装置として、上記の有機EL素子の他、液晶表示素子、レーザー光源とMEMSスキャナーとの組合せ等を用いてもよい。
10…画像形成装置、20…導光装置、21…入射部、22…平行導光体(導光体)、23…射出部、30…光学素子、31…ハーフミラー、32…透光性部材、32a…入射面、32b…射出面、100…表示装置。

Claims (4)

  1. 間隔をおいて互いに平行に設けられ、画像光および外界光の一部を反射させ、前記画像光および前記外界光の他の一部を透過させる複数のハーフミラーと、
    前記複数のハーフミラーの隣り合う2つの前記ハーフミラーの間に介在する透光性部材と、を備え、
    前記透光性部材は、導光体を介して前記画像光および前記外界光を入射させる入射面と、前記画像光および前記外界光を観察者側に射出させる射出面と、を備え、
    前記複数のハーフミラーの各々は、それぞれ前記入射面および前記射出面に対して傾斜して配置され、それぞれのハーフミラーの面に対して相対的に小さい入射角で入射した光の反射率が、相対的に大きい入射角で入射した光の反射率よりも低いことを特徴とする光学素子。
  2. 前記複数のハーフミラーの各々と前記射出面とのなす角度が、45°以上、90°未満であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 画像形成装置と、
    前記画像形成装置で生成された画像光を導光する導光装置と、を備え、
    前記導光装置は、前記画像光を入射させる入射部と、前記入射部から入射した前記画像光を導光させる導光体と、前記画像光を射出させる射出部と、を備え、
    前記射出部は、請求項1または請求項2に記載の光学素子を備えていることを特徴とする表示装置。
  4. 前記射出部は、前記導光体の視認側の面に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
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