JP2017161564A - 導光装置及び虚像表示装置 - Google Patents

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将行 ▲高▼木
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敏明 宮尾
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【課題】可視像に縦筋状のムラが観察されてしまうことを抑制できる導光装置及びこれを組み込んだ虚像表示装置を提供すること。【解決手段】導光装置20は、映像光を取り込む入射部21と、導光用の平行導光体22と、映像光を取り出すための射出部23とを備える。射出部23は、複数のミラー31を配列してなるとともに複数のミラー31に隣接して複数の波長板35を配置した反射ユニット30を有し、複数のミラー31がP偏光の反射率がS偏光の反射率よりも低い反射素子であるので、反射ユニット30に入射し特定の第1ミラー31Aで反射されて眼EYに入射する映像光GLの輝度と、当該特定の第1ミラー31Aを透過して隣の第2ミラー31Bで反射されて眼EYに入射する映像光GLの輝度とをバランスさせることが容易になり、可視像に縦筋状のムラが観察されてしまうことを抑制できる。【選択図】図4

Description

本発明は、頭部に装着して使用するヘッドマウントディスプレイ等に用いられる導光装置及びこれを組み込んだ虚像表示装置に関する。
近年、ヘッドマウントディスプレイのように虚像の形成及び観察を可能にする虚像表示装置として、導光板によって表示素子からの映像光を観察者の瞳に導くタイプのものが種々提案されている。
例えば、視準像等を観察者の視野に導入するウェアラブルディスプレイ装置として、平行平面板状の導光体の中に主面に対して傾斜するとともに互いに平行に配置された多数のハーフミラー(以下、「HM」とも呼ぶ)を組み込み、このHMで映像光を反射して観察者に提示するものが公知となっている(特許文献1参照)。この装置では、導光体越しのシースルーによって周囲環境を眺めつつ、イメージングユニットからの映像光を導光体内の多数のHMで反射させて取り出すことにより可視像として観察可能にしている。
上記特許文献1に記載のウェアラブルディスプレイ装置では、可視像に筋状のムラが発生する可能性について記載されていない。具体的には、この種のウェアラブルディスプレイ装置の場合、アレイ状のHMが眼前に配置されるので、HMを一度も透過しないで反射された光と、HMを一度透過して反射された光とが同一方向から眼に入射するといった多重反射が生じ、この反射回数に応じて明るさが段差的に減少する。このため、眼に各角度方向から入射する光がHMの配列方向に配列間隔に対応する周期的な輝度分布を持つことになり、光の角度方向に応じてその輝度分布が非連続的に変化することから、可視像に縦筋状のムラが観察されてしまうという問題がある。
米国出願公開第US2013/0163089号公報
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、可視像に縦筋状のムラが観察されてしまうことを抑制できる導光装置及びこれを組み込んだ虚像表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る導光装置は、観察者側及び外界側に対応して対向する一対の面を有する導光体と、導光体の一端側に設けられた入射部と、導光体の他端側に設けられた射出部とを備え、射出部は、入射部からの映像光を観察者側にそれぞれ射出させる複数のミラーを配列してなる反射ユニットを有し、反射ユニットは、複数のミラーのそれぞれに対応して配置される複数の波長板を有し、複数のミラーは、P偏光の反射率がS偏光の反射率よりも低い反射素子である。なお、P偏光は、電界成分がミラーの入射面(ここでの入射面は、ミラー面と垂直の関係にあり入射光線と反射光線を含む)に平行なものを意味し、S偏光は、電界成分がミラーの上記入射面に垂直なものを意味する。
上記導光装置によれば、複数のミラーのそれぞれに対応して配置される複数の波長板を有し、複数のミラーがP偏光の反射率がS偏光の反射率よりも低い反射素子であるので、反射ユニットに入射し特定のミラーで反射されて眼に入射する映像光の輝度と、当該特定のミラーを透過して隣のミラーで反射されて眼に入射する映像光の輝度とをバランスさせることが容易になり、可視像に縦筋状のムラが観察されてしまうことを抑制できる。
本発明の具体的な側面では、各波長板は、各ミラーに隣接して配置されている。ここで、隣接して配置とは、ミラーに接している場合のほか、ミラーに近接してミラーから僅かに離間している場合を含むものとする。波長板がミラーに隣接することで、例えばミラーを通過するがこれに対応する波長板に入射しないといった意図しない光の発生を確実に防止することができる。
本発明の別の側面では、各波長板は、各ミラーに対して入射部から離れる反入射側に配置されている。波長板が例えば1/2波長板である場合、特定のミラーに入射する映像光を構成するP偏光及びS偏光と、当該特定のミラーを透過して隣のミラーに入射する映像光を構成するP偏光及びS偏光とを互いに入れ替えることができる。これにより、特定のミラー及び隣のミラーでそれぞれS偏光として反射された映像光が略均等に眼側に取り出される。
なお、外界光が導光装置に入射する場合、外界光がP偏光であれば、隣のミラーを高い透過率で透過することになるとともに、外界光がS偏光であれば、最初の特定のミラーを高い透過率で透過することになり、ミラーでの2重反射による間接光(つまり隣のミラーでの反射)に起因してゴーストが観察されてしまうことを抑制できる。
本発明のさらに別の側面では、上記導光装置において、各波長板は、各ミラーに対して入射部のある入射側に配置されている。波長板が例えば1/2波長板である場合、特定のミラーに入射する映像光を構成するP偏光及びS偏光と、当該特定のミラーを透過して隣のミラーに入射する映像光を構成するP偏光及びS偏光とを互いに入れ替えることができる。これにより、特定のミラー及び隣のミラーでそれぞれS偏光として反射され波長板にてそれぞれP偏光とされた映像光が略均等に眼側に取り出される。
なお、外界光が導光装置に入射する場合、外界光がP偏光であれば、最初の特定のミラーを高い透過率で透過することになるとともに、外界光がS偏光であれば、隣のミラーを高い透過率で透過することになり、ミラーでの2重反射による間接光(つまり隣のミラーでの反射)に起因してゴーストが観察されてしまうことを抑制できる。
本発明のさらに別の側面では、ミラーは、誘電体多層膜で形成されている。この場合、P偏光の反射率とS偏光の反射率との調整が容易である。誘電体多層膜を用いることにより、光の損失が少なく、反射率を下げても均一な特性を維持しやすい。
本発明のさらに別の側面では、波長板は、1/2波長板である。この場合、P偏光及びS偏光の入れ替え、つまり偏光方向の入れ替えが可能になる。
本発明のさらに別の側面では、ミラーのP偏光の反射率をRpとし、ミラーのS偏光の反射率をRsとしたときに、下記の条件式(1)及び(2)
Rp<0.05 … (1)
Rp<0.5×Rs … (2)
を満たす。この場合、P偏光の反射率とS偏光の反射率との差が大きく、P偏光の反射率がかなり小さいので、映像光の反射率を高めつつ可視像において表示ムラの発生を抑制することができる。
本発明のさらに別の側面では、導光体の一対の面は、略平行に延び、複数のミラーは、導光体の外界側で反射された映像光を反射して観察者側にそれぞれ射出させるため外界側に向かって入射部側に傾斜している。この場合、映像光が、導光体と反射ユニットとの境界面で反射されることなく射出部に入射する位置又はその近傍のミラーのみを経由する構成とできる。これにより、観察されるべき映像光がミラーを経由する回数を減らして輝度ムラや減光を防止でき、その一方で、意図しない映像光の射出を防止してゴースト光の発生を抑えることができる。
本発明のさらに別の側面では、ミラーへの映像光の入射角は、40°以上である。この場合、入射部側からの映像光が反射ユニットに入射して最初のミラーに入射した段階又は隣のミラーに入射した段階で、ミラーによって映像光が反射され眼側に取り出される構成をとりやすくなる。
上記目的を達成するため、本発明に係る虚像表示装置は、映像光を生じさせる映像素子と、上述した導光装置とを備える。
上記虚像表示装置によれば、上述した導光装置を用いることにより、可視像において表示ムラが観察されることを抑制できる。
本発明の具体的な側面では、上記虚像表示装置において、導光体の外界側を覆うとともに所定方向に偏った偏光特性を有するシェード部材をさらに備える。この場合、水面等での反射を含む外界光の観察が容易になる。
(A)は、第1実施形態に係る虚像表示装置を示す断面図であり、(B)は、導光装置の裏面図である。 導光装置等における映像光の光路を光軸を含む断面で説明する図である。 反射ユニットにおけるミラー等の配置及び光路の状態を説明する部分拡大図である。 反射ユニットによる映像光の処理を説明する図である。 反射ユニットによる外界光の処理を説明する図である。 反射ユニットによる映像光の処理の一例を説明する図である。 反射ユニットによる外界光の処理の一例を説明する図である。 反射ユニットの一作製例を説明する図である。 映像光の光路の射出側における変形例を説明する断面図である。 映像光の光路の射出側における別の変形例を説明する断面図である。 第2実施形態に係る導光装置の反射ユニットの構造と映像光の処理とを説明する図である。 図11の反射ユニットによる外界光の処理を説明する図である。 反射ユニットによる映像光の処理の一例を説明する図である。 反射ユニットによる外界光の処理の一例を説明する図である。 第3実施形態に係る虚像表示装置を説明する図である。 導光装置の変形例を説明する断面図である。 導光装置の別の変形例を説明する断面図である。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。
〔1A.導光装置及び虚像表示装置の構造〕
図1(A)及び1(B)を参照して、第1実施形態の導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。虚像表示装置100は、ヘッドマウントディスプレイに適用されるものであり、画像形成装置10と、導光装置20とを一組として備える。なお、図1(A)は、図1(B)に示す導光装置20のA−A断面に対応する。
虚像表示装置100は、観察者に虚像としての映像を認識させるとともに、観察者に外界像をシースルーで観察させるものである。虚像表示装置100において、画像形成装置10と導光装置20とは、通常観察者の右眼及び左眼に対応して一組ずつ設けられるが、右眼用と左眼用とでは左右対称であるので、ここでは左眼用のみを示し、右眼用については図示を省略している。なお、虚像表示装置100は、全体としては、例えば一般の眼鏡のような外観(不図示)を有するものとなっている。
画像形成装置10は、映像素子である液晶デバイス11と、光結合用の投射レンズ12とを備える。
液晶デバイス(映像素子)11は、光源14からの照明光を空間的に変調して、動画像その他の表示対象となるべき映像光GLを形成する。液晶デバイス(映像素子)11は、所定の偏光特性を有する映像光GLを射出する。具体的には、液晶デバイス11からS偏光に偏った状態の映像光GLを平行導光体22経由で反射ユニット30に入射させることができる。なお、ここでS偏光とは、後に詳述する反射ユニット30又はそのミラー31を基準とするものである。
投射レンズ12は、例えば縦のy方向に関して液晶デバイス11上の各点から射出された映像光GLを略平行光線にするコリメートレンズとして機能し、横のxz断面に関して導光装置20の一部と協働してコリメートレンズとして機能する。なお、投射レンズ12は、ガラス又はプラスチックで形成され、1枚に限らず複数枚の構成とすることができる。投射レンズ12は、球面レンズに限らず、非球面レンズ、非軸対称曲面を含む自由曲面レンズ等とすることができる。
導光装置20は、平板状の部分を有し、画像形成装置10で形成された映像光GLを虚像光として観察者の眼EYに向けて射出するとともに、外界像に対応する外界光OLを実質的にそのまま透過させる。導光装置20は、映像光を取り込む入射部21と、導光用の平行導光体22と、映像光を取り出すための射出部23とを備える。本実施形態の場合、入射部21は、観察者の耳側に配置され、射出部23は、観察者の鼻側に配置される。平行導光体22と入射部21の本体とは、高い光透過性を有する樹脂材料により成形された一体品である。
なお、平行導光体22は、観察者の眼EYを基準とする光軸AXに対して傾けて配置されており、その法線方向Zは、光軸AXに対して角σだけ傾いている。この場合、平行導光体22を顔の曲線に沿って配置できるが、平行導光体22の法線は、光軸AXに対して傾きを有するものとなる。このように、平行導光体22の法線を光軸AXに平行なz方向に対して角度σだけ傾ける場合、反射ユニット30から射出させる光軸AX上及びその近傍の映像光GL0は、光射出面OSの法線に対して角度σを成すものとなる。
入射部21は、画像形成装置10からの映像光GLを取り込む光入射面ISと、取り込んだ映像光GLを反射して平行導光体22内に導く反射面RSとを有する。光入射面ISは、投射レンズ12側に凹の曲面21bから形成されており、この曲面21bは、反射面RSで反射された映像光GLを内面側で全反射する機能も有する。反射面RSは、投射レンズ12側に凹の曲面21aから形成されている。反射面RSは、曲面21a上にアルミ蒸着等の成膜を施すことにより形成され、光入射面ISから入射した映像光GLを反射し光路を所定方向に折り曲げ、曲面21bは、反射面RSで反射された映像光GLを内側で全反射し光路を所定方向に折り曲げる。つまり、入射部21は、光入射面ISから入射した映像光GLを2回の反射によって折り曲げることで、映像光GLを平行導光体22内に確実に結合させる。
なお、曲面21bや曲面21aは、球面又は非球面に限らず、非軸対称曲面とすることができる。これにより、導光装置20の光学性能を向上させることができる。
さらに、曲面21b,21aは、縦のy方向に屈折力を有するものであってもよい。これにより、投射レンズ12によるコリメート機能を補助することができる。
平行導光体22は、y軸に平行でx軸又はz軸に対して傾斜した平板部分であり、導光体とも呼ぶ。平行導光体(導光体)22は、光透過性の樹脂材料等により形成され、平行に延びる一対の面である2つの対向する平面22a,22bを有する。両平面22a,22bは、平行平面であるため、外界像に関して拡大やフォーカスズレを生じさせない。また、+z側又はZ側の一方の平面22aは、入射部21からの映像光を全反射させる全反射面として機能し、映像光を少ない損失で射出部23に導く役割を有する。すなわち、+z側の平面22aは、平行導光体22の外界側に配置されて全反射面として機能し、本明細書中において外界側面とも呼ぶ。また、−z側の平面22bは、本明細書中において観察者側面とも呼ぶ。裏側の平面(観察者側面)22bは、射出部23の一端まで延びている。ここで、裏側の平面22bの延長平面は、平行導光体22と射出部23との境界面IFとなっている。
平行導光体22において、入射部21の反射面RSや光入射面ISの内側で反射された映像光GLは、全反射面である平面22aに入射し、ここで全反射され、導光装置20の奥側すなわち射出部23を設けた+x側又はX側に導かれる。つまり、平行導光体22において、X軸方向は映像光GLの導光方向となっている。
なお、平行導光体22は、導光装置20の外形のうち+x側又はX側の端面を画成する側面として終端面ESを有する。また、平行導光体22は、±y側の端面を画成する上面及び底面として上端面TPと下端面BPとをそれぞれ有している。
図2に示すように、射出部23は、平行導光体22の奥側(+X側)において、裏側の平面22bに沿ってその延長上に層状に形成され、或いは境界面IFに沿うように層状に形成されている。射出部23は、平行導光体22の外界側の平面(全反射面)22aにおいて所定面領域FRで全反射された映像光GLを通過させる際に、入射した映像光GLを所定角度で反射して光射出面OS側へ折り曲げる。ここでは、射出部23にこれまでこの射出部23を透過することなく最初に入射する映像光GLが虚像光としての取出し対象である。つまり、射出部23において光射出面OSの内面や境界面IFで反射される光があっても、これは映像光として利用されない。射出部23は、透過性を有する複数のミラー、波長板等を配列してなる反射ユニット30を有するが、その詳しい構造については、図3等を参照して後に詳述する。
導光装置20が以上のような構造を有することから、画像形成装置10から射出され光入射面ISから導光装置20に入射した映像光GLは、入射部21で複数回の反射によって折り曲げられ、平行導光体22の平面22aの所定面領域FRにおいて全反射されて光軸AXに略沿って進む。+z側又は+Z側の平面22aの所定面領域FRで反射された映像光GLは、射出部23に入射する。この際、XY面内において、所定面領域FRの長手方向の幅は、射出部23の長手方向の幅よりも狭くなっている。つまり、映像光GLの光線束が射出部23(又は反射ユニット30)に入射する入射幅は、映像光GLの光線束が所定面領域FRに入射する入射幅よりも広い。このように、映像光GLの光線束が所定面領域FRに入射する入射幅を相対的に狭くすることにより、光路の干渉が生じにくくなり、境界面IFを導光に利用しないで(つまり、境界面IFで映像光GLを反射させずに)、所定面領域FRからの映像光GLを射出部23又は反射ユニット30に直接的に入射させることが容易になる。射出部23に入射した映像光GLは、射出部23又は反射ユニット30において適度な角度で折り曲げられることで取出し可能な状態となり、最終的に光射出面OSから射出される。光射出面OSから射出された映像光GLは、虚像光として観察者の眼EYに入射する。当該虚像光が観察者の網膜において結像することで、観察者は虚像による映像光GLを認識することができる。
ここで、像形成に用いられる映像光GLが射出部23に入射する角度は、光源側の入射部21から離れるに従って大きくなっている。つまり、射出部23の奥側には、外界側の平面22aに平行なZ方向又は光軸AXに対して傾きの大きな映像光GLが入射して比較的大きな角度で折り曲げられ、射出部23の前側には、Z方向又は光軸AXに対して傾きの小さな映像光GLが入射して比較的小さな角度で折り曲げられる。
〔1B.映像光の光路〕
以下、映像光の光路について詳しく説明する。図2に示すように、液晶デバイス11の射出面11a上からそれぞれ射出される映像光のうち、破線で示す射出面11aの中央部分から射出される成分を映像光GL0とし、図中一点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち紙面左側(+z寄りの−x側)から射出される成分を映像光GL1とし、図中二点鎖線で示す射出面11aの周辺のうち紙面右側(−z寄りの+x側)から射出される成分を映像光GL2とする。これらのうち映像光GL0の光路は光軸AXに沿って延びるものとなっている。
投射レンズ12を経た各映像光GL0,GL1,GL2の主要成分は、導光装置20の光入射面ISからそれぞれ入射した後、入射部21を経て平行導光体22内を通過して射出部23に至る。
具体的には、映像光GL0,GL1,GL2のうち、射出面11aの中央部分から射出された映像光GL0は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、標準反射角θ0で一方の平面22aの所定面領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(又は反射ユニット30)との境界面IFで殆ど反射されないでこれを通過し、射出部23の中央の部分23kに直接的に入射する。映像光GL0は、部分23kにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSからこの光射出面OSを含むXY面に対して傾いた光軸AX方向(Z方向に対して角σの方向)に平行光束として射出される。
また、射出面11aの一端側(−x側)から射出された映像光GL1は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、最大反射角θ1で一方の平面22aの所定面領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(又は反射ユニット30)との境界面IFで殆ど反射されないでこれを通過し、射出部23のうち奥側(+X側)の部分23hにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角(光軸AXを基準とした場合の角γ1に対応)は、入射部21側に戻される程度が相対的に大きくなっている。
一方、射出面11aの他端側(+x側)から射出された映像光GL2は、入射部21で折り曲げられて平行導光体22内に結合された後、最小反射角θ2で一方の平面22aの所定面領域FRに入射して全反射され、平行導光体22と射出部23(又は反射ユニット30)との境界面IFで殆ど反射されないでこれを通過し、射出部23のうち入口側(−X側)の部分23mにおいて所定の角度で反射され、光射出面OSから所定の角度方向に向けて平行光束として射出される。この際の射出角(光軸AXを基準とした場合の角γ2に対応)は、入射部21側に戻される程度が相対的に小さくなっている。
つまり、様々な画角の映像光GL0,GL1,GL2は、観察者の眼EYを想定したアイポイントEPaに集まる。アイポイントEPaは、導光装置20に設定された射出瞳の位置を意味し、ここに眼EYを置けば明るい欠けの無い画像が得られる。
なお、映像光GL0,GL1,GL2は、映像光GLの光線全体の一部を代表して説明したものであるが、他の映像光GLを構成する光線成分についても映像光GL0等と同様に導かれ光射出面OSから射出されるため、これらについては図示及び説明を省略している。
ここで、入射部21及び平行導光体22に用いられる透明樹脂材料の屈折率nの値の一例として、n=1.4とすると、その臨界角θcの値はθc≒45.6°となる。各映像光GL0,GL1,GL2の反射角θ0,θ1,θ2のうち最小である反射角θ2を臨界角θcよりも大きな値とすることで、必要な映像光について平行導光体22内での平面22aにおける全反射条件を満たすものにできる。
なお、中央向けの映像光GL0は、仰角φ0(=90°−θ0)で射出部23の部分23kに入射し、周辺向け映像光GL1は、仰角φ1(=90°−θ1)で射出部23の部分23hに入射し、周辺向け映像光GL2は、仰角φ2(=90°−θ2)で射出部23の部分23mに入射する。ここで、仰角φ0,φ1,φ2間には、反射角θ0,θ1,θ2の大小関係を反映してφ2>φ0>φ1の関係が成り立っている。つまり、反射ユニット30の偏光分離型のミラー31等への入射角ι(図3参照)は、仰角φ2に対応する部分23m、仰角φ0に対応する部分23k、仰角φ1に対応する部分23hの順で徐々に小さくなる。換言すれば、偏光分離型のミラー31への入射角ι又はかかるミラー31での反射角(逆進光路を考えた場合には視線の入射角でもある)は、入射部21から離れるに従って小さくなる。映像光GL0,GL1,GL2のミラー31への入射角ιは、ミラー31の通過回数を少なく調整可能にする観点で40°以上とする。これにより、入射部21側からの映像光GLが反射ユニット30に入射して最初のミラー31等に入射した段階又は隣のミラー31に入射した段階で、ミラー31によって映像光GLが反射され眼EY側に取り出される構成をとりやすくなる。
平行導光体22の外界側の平面22aで反射されて射出部23に向かう映像光GLの光線束の全体的な挙動について説明する。映像光GLの光線束は、光軸AXを含む断面において、平行導光体22の外界側の所定面領域FRで反射される前後の直進光路P1,P2のいずれかで幅が絞られる。具体的には、映像光GLの光線束は、光軸AXを含むXZ断面において、所定面領域FR近辺、つまり直進光路P1,P2の境界付近で両直進光路P1,P2に跨るような位置で全体として幅が絞られてビーム幅が細くなっている。これにより、映像光GLの光線束を射出部23の手前で絞ることになり、横方向の視野角を比較的広くすることが容易になる。
なお、図示の例では、映像光GLの光線束が両直進光路P1,P2に跨るような位置で幅が絞られてビーム幅が細くなっているが、直進光路P1,P2のいずれか片側のみで幅が絞られてビーム幅が細くなってもよい。
〔1C.射出部の構造及び射出部による光路の折曲げ〕
以下、図2〜3等を参照して、射出部23の構造及び射出部23による映像光の光路の折曲げ及び偏光状態の切り換えについて詳細に説明する。
まず、射出部23の構造について説明する。射出部23は、映像光GLをそれぞれ部分的に反射する偏光分離型の複数のミラー31と、映像光GLの偏光状態をそれぞれ変化させる偏光状態変換用の波長板35とを組み合わせた複合層39を配列してなる反射ユニット30を有する。反射ユニット30は、光軸AXに対して角σだけ傾いたXY平面に沿って延びる矩形板状の部材であり、細い帯状のミラー31及び波長板35を組み合わせた複合層39をストライプパターンとなるように多数埋め込んだ構造を有する。つまり、反射ユニット30は、y方向又はY方向に延びる細長い複合層39を平行導光体22の延びる方向すなわちX方向に多数配列させることで構成されている。より具体的には、ミラー31及び波長板35は、図2等に示す平行導光体22の平面22a,22bに平行でミラー31の配列されるX方向に対して垂直に延びる方向のうち、上下のy方向又はY方向を長手方向として、線状に延びている。さらに、ミラー31及び波長板35は、平行導光体22の観察者側よりも外界側に向かって入射部21側に傾斜している。より具体的には、ミラー31は、その長手方向(Y方向)を軸として、平面22a,22bに直交するYZ面を基準として上端(+Z側)が反時計方向に回転するように傾斜している。つまり、各ミラー31及び波長板35は、XZ断面で見て−X方向及び+Z方向の間の方向に延びている。さらに、全ミラー31及び波長板35は、精密に互いに平行に配置されている。以上の複合層39において、ミラー31は、入射側に配置され、波長板35は、反入射側に配置されている。つまり、波長板35は、ミラー31の反入射側に配置されていることになる。
反射ユニット30は、多数のブロック部材32を接合した構造を有し、ミラー31及び波長板35を組み合わせた複合層39は、隣接する一対のブロック部材32間に挟まれた薄膜状のものとなっている。ここで、ブロック部材32の屈折率は、平行導光体22の屈折率と略等しくなっているが、両者の屈折率を相違させることもできる。両者の屈折率を相違させる場合、ミラー31を傾斜させる角度δを調整又は修正する必要がある。
ミラー31は、例えば誘電体多層膜で形成された反射素子であり、P偏光の反射率とS偏光の反射率とが異なるものとなっている。より具体的には、複数のミラー31は、同様の特性を有し、P偏光の反射率がS偏光の反射率よりも低い反射素子である。例えば、ミラー31のP偏光の反射率をRpとし、ミラー31のS偏光の反射率をRsとしたときに、下記の条件式(1)及び(2)
Rp<0.05 … (1)
Rp<0.5×Rs … (2)
が満たされるように、ミラー31の反射特性が設定されている。さらに、具体的な例では、ミラー31の反射特性は、上記の条件式(2)に代えて下記の条件式(2)'
Rp<0.2×Rs … (2)'
を満たすようなものとなっている。つまり、P偏光の反射率は、極めて低く設定されており、S偏光の反射率は、P偏光の2倍以上、好ましくは5倍以上に設定されて相対的に十分大きくなっている。
なお、ミラー31の映像光GLに対する全体的な反射率、つまりP偏光とS偏光とを合わせた反射率は、シースルーによる外界光OLの観察を容易にする観点で、想定される映像光GLの入射角範囲において3%以上50%以下とする。
波長板35は、例えば誘電体の蒸着膜、有機材材料のフィルム、ストライプ状のナノ構造を形成した微細構造層で形成された1/2波長板である。波長板35は、ミラー31に入射する映像光GL及び外界光OLの偏光状態を切り換える。具体的には、例えばP偏光の映像光GLがミラー31を通過した場合、このP偏光をS偏光に切り換え、S偏光の映像光GLがミラー31を通過した場合、このS偏光をP偏光に切り換える。また、例えばP偏光の外界光OLがミラー31に入射する前に、このP偏光をS偏光に切り換え、S偏光の外界光OLがミラー31に入射する前に、このS偏光をP偏光に切り換える。このような偏光方向の切り換えを実現するため、波長板35の光学軸その他の基準軸は、波長板35又はミラー31の延びる方向を基準として適宜設定されている。
なお、映像光GLがミラー31に入射する角度と、外界光OLがミラー31に入射する角度とは、反対側からであり一致するので、波長板35は、映像光GL及び外界光OLに対して同様の作用を及ぼすことになる。
反射ユニット30の厚みTI(すなわちミラー31のZ軸方向の幅)は、0.7mm〜3.0mm程度に設定される。なお、反射ユニット30を支持する平行導光体22の厚みは、例えば数mm〜10mm程度、好ましくは4mm〜6mm程度となっている。平行導光体22の厚みが反射ユニット30の厚みに比較して十分大きいと、反射ユニット30又は境界面IFへの映像光GLの入射角を小さくしやすく、映像光GLが眼EYに取り込まれない位置にあるミラー31での反射を抑えやすい。一方、平行導光体22の厚みを比較的薄くすると、平行導光体22や導光装置20の軽量化を図りやすくなる。
なお、波長板35の厚みは、ミラー31の配列間隔SPに比較して充分小さくすることが望ましい。これにより、ミラー31に入射しない映像光GLが波長板35と干渉することを防止できる。
ミラー31及び波長板35は、すべて同一の傾きに設定され、平行導光体22の観察者側の平面22bを基準として時計回りで例えば48°〜70°程度の傾斜角度δをなすものとできる。具体的には、ミラー31は、例えば平面22bに対して60°の傾斜角度δをなしている。ここで、映像光GL0の仰角φ0が例えば30°に設定され、映像光GL1の仰角φ1が例えば22°に設定され、映像光GL2の仰角φ2が例えば38°に設定されているものとする。この場合、映像光GL1と映像光GL2とは、光軸AXを基準として角度γ1=γ2≒12.5°をなして観察者の眼EYに入射する。
これにより、上記映像光GLのうち全反射角度の比較的大きい成分(映像光GL1)を反射ユニット30のうち反入射側である+X側の部分23h側に主に入射させ、全反射角度の比較的小さい成分(映像光GL2)を射出部23のうち入射側である−X側の部分23m側に主に入射させた場合において、映像光GLを全体として観察者の眼EYに集めるような角度状態で効率的に取り出すことが可能となる。このような角度関係で映像光GLを取り出す構成であるため、導光装置20は、映像光GLを反射ユニット30において原則として複数回透過させないで1回反射させることができ、映像光GLを少ない損失で虚像光として取り出すことを可能にする。
なお、反射ユニット30のミラー31等を1回以上通過する非利用光は、外界側の平面22aに再度入射する可能性があるが、ここで全反射された場合、多くは反射ユニット30の奥側の部分23h又はさらに奧側であって有効領域外に入射させることができ、眼EYに入射する可能性が低減される。
また、反射ユニット30の部分23m,23k,23hにおいて、映像光GLの少なくとも一部は、ミラー31を複数回経由(具体的には、1回以上の透過と1回の反射とを含む通過)している。この場合、ミラー31の経由回数が複数になるが、後述するように、複数のミラー31からの反射光を映像光GLとしてバランスさせて観察者の眼EYにそれぞれ入射させるので、可視像に縦筋状のムラが観察されてしまうことを抑制できる。一方で、ミラー31を経由回数が3回以上となると、その光量制御が困難になり、可視像に縦筋状のムラが観察されてしまう可能性が生じる。このため、ミラー31の配列間隔SPや反射ユニット30の厚みTIが適宜に設定される。
図4、5等を参照して、反射ユニット30を構成する複数のミラー31及び波長板35の機能について説明する。なお、以下では説明を簡単にするため、外界光OLが反射ユニット30の主面に垂直に入射し光射出面OSから垂直に射出する場合を基本に考える。これに対応して、図5は、外界光OLが反射ユニット30に垂直方向から入射する場合を示し、図4は、図5の状態に対応しており、映像光GLが反射ユニット30に仰角φで入射して反射ユニット30から垂直方向に射出する場合を示している。
ミラー31は、誘電体多層膜で形成された偏光分離素子であり、実線で示すP偏光を透過率αで透過させ、点線で示すS偏光を透過率βで透過させる。つまり、ミラー31のP偏光の反射率Rp=(1−α)であり、ミラー31のS偏光の反射率Rs=(1−β)である。ここで、便宜上、入射部21側からの映像光GLが反射ユニット30に入射して最初に入射するミラー31を第1ミラー31Aと呼び、第1ミラー31Aの反入射側に配置された隣のミラー31を第2ミラー31Bと呼ぶこととする。
波長板35は、第1ミラー31Aの反入射側に隣接して配置されており、既述のようにミラー31を通過後の映像光GLをS偏光からP偏光に変換し或いはP偏光からS偏光に変換する。また、ミラー31に入射する前の外界光OLをS偏光からP偏光に変換し或いはP偏光からS偏光に変換する。
図4に示すように、反射ユニット30に入射した映像光GLは、これがP偏光成分とS偏光成分とを含むとした場合、これらの偏光成分が第1ミラー31Aにより透過及び反射の区別として分離される。具体的には、P偏光成分の元の強度をIP0としS偏光成分の元の強度をIS0として、第1ミラー31Aの反射光GR1には、強度(1−α)×IP0のP偏光と、強度(1−β)×IS0のS偏光とが含まれる。また、第1ミラー31Aの透過光GTには、強度α×IP0のS偏光と、強度β×IS0のP偏光とが含まれる。ここで、映像光GLは、第1ミラー31Aの通過に伴って波長板35も通過するので、S偏光及びP偏光間の偏光の入れ替えが生じている。
第1ミラー31Aからの透過光GTの偏光成分は、第2ミラー31Bにより透過及び反射の区別として分離される。具体的には、第2ミラー31Bの反射光GR2には、強度β(1−α)×IS0のP偏光と、強度α(1−β)×IP0のS偏光とが含まれる。
つまり、観察者の眼EYには、反射ユニット30越しに、第1ミラー31Aを経た強度((1−α)×IP0+(1−β)×IS0)の反射光GR1と、第2ミラー31Bを経た強度(β(1−α)×IS0+α(1−β)×IP0)の反射光GR2とが入射する。
ここで、ミラー31のP偏光の反射率Rp=(1−α)は、近似的にゼロであり、第1ミラー31Aからの反射光GR1の強度は、(1−β)×IS0となり、第2ミラー31Bからの反射光GR2の強度は、α(1−β)×IP0となる。また、P偏光の透過率Rs=αは、近似的に1に近い値であり、映像光GLがP偏光とS偏光とを略均等に含むとすると、第1ミラー31Aからの反射光GR1の強度(1−β)×IS0と、第2ミラー31Bからの反射光GR2の強度α(1−β)×IP0≒(1−β)×IP0とが略等しくなると言える。
上記のように、第1ミラー31Aからの反射光GR1の強度と、第2ミラー31Bからの反射光GR2の強度とが等しい場合、第1ミラー31Aで反射されて眼EYに入射する反射光GR1又は映像光GLの輝度と、第2ミラー31Bで反射されて眼EYに入射する反射光GR2又は映像光GLの輝度とをバランスさせることができ、可視像に縦筋状のムラが観察されてしまうことを抑制できる。つまり、液晶デバイス11上の各表示点から射出された映像光GLが、眼EYの配置されるアイポイントEPa周辺にミラー31の配置との関連性が少ない比較的一様な輝度分布で入射するので、第1ミラー31Aからの反射光GR1と第2ミラー31Bからの反射光GR2とがバランスしていない場合に比較して、反射ユニット30越しに見える虚像に意図しない縦筋状のムラが観察されてしまうことを防止できる。
一方、図5に示すように、反射ユニット30に入射した外界光OLは、これがP偏光成分とS偏光成分とを含むとした場合、これらの偏光成分が第1ミラー31Aにより透過及び反射の区別として分離される。具体的には、P偏光成分の元の強度をIP0としS偏光成分の元の強度をIS0として、第1ミラー31Aの透過光OTには、強度α×IS0のP偏光と、強度β×IP0のS偏光とが含まれる。また、第1ミラー31Aの反射光OR1には、強度(1−β)×IP0のP偏光と、強度(1−α)×IS0のS偏光とが含まれる。
第1ミラー31Aからの反射光OR1の偏光成分は、第2ミラー31Bにより透過及び反射の区別として分離される。具体的には、第2ミラー31Bの反射光OR2には、強度(1−β)・(1−α)×IP0のP偏光と、強度(1−α)・(1−β)×IS0のS偏光とが含まれる。
つまり、観察者の眼EYには、反射ユニット30越しに、第1ミラー31Aを経た強度(α×IS0+β×IP0)の透過光OTと、第2ミラー31Bを経た強度((1−β)・(1−α)×IP0+(1−α)・(1−β)×IS0)の反射光OR2とが入射する。
ここで、ミラー31のP偏光の反射率Rp=(1−α)は、近似的にゼロであり、第1ミラー31Aからの透過光OTの強度は、α×IS0+β×IP0となり、第2ミラー31Bからの反射光OR2の強度は、0×IS0+0×IP0となる。結果的に、観察者の眼EYに入射する外界光OLは、第1ミラー31Aを透過したもののみとなり、第2ミラー31Bを経由するものは実質的に存在しなくなる。
このように、眼EYに至る外界光OLが第1ミラー31Aを透過したもののみで構成される場合、反射ユニット30越しに近接物体を見た時に、反射光OR2(つまりミラー31での2重反射による間接光)に起因してゴーストが観察されてしまうことを抑制できる。近接物体からの外界光OLは、発散角を持つので、互いに位置が異なるとともに平行に延びる第1ミラー31Aと第2ミラー31Bとを経て、同じ角度で眼EYに入射する透過光OTと反射光OR2とが併存する場合、画像が僅かにずれて重畳するゴーストの原因となってしまう。なお、反射ユニット30越しに無限遠物体を見た場合には、このように画像が僅かにずれて重畳するゴーストが発生しない。
図6及び7は、反射ユニット30を構成する複数のミラー31等の具体的構成例の機能について説明するものである。この場合、ミラー31は、実線で示すP偏光を透過率α=1.0で透過させ、点線で示すS偏光を透過率β=0.8で透過させる。
図6から明らかなように、反射ユニット30に入射した映像光GLがP偏光とS偏光とを略均等に含む場合、第1ミラー31Aで折り曲げられて眼EYに向かう透過光GTの強度は、0.2×IS0となり、第2ミラー31Bで折り曲げられて眼EYに向かう反射光GR2の強度は、0.2×IP0となる。つまり、液晶デバイス11上の各表示点から射出された映像光GLが、眼EYの配置されるアイポイントEPa周辺にミラー31の配置との関連性が少ない比較的一様な輝度分布で入射するので、反射ユニット30越しに見える虚像に意図しない縦筋状のムラが観察されてしまうことを防止できる。
図7から明らかなように、反射ユニット30に入射した外界光OLがP偏光とS偏光とを略均等に含む場合、第1ミラー31Aを直進して眼EYに向かう透過光OTの強度は、0.8×IP0+1.0×IS0となり、第2ミラー31Bで折り曲げられて眼EYに向かう反射光OR2の強度は、ゼロとなる。つまり、外界光OLが無限遠からのものであっても近接物体からのものであっても、画像が僅かにずれて重畳するゴーストの発生を防止できる。
以上では、説明の便宜上、外界光OLが反射ユニット30の主面に垂直に入射するとして説明を行ったが、外界光OLが反射ユニット30の主面に傾いて入射しても同様の機能を発揮させることができる。例えば、反射ユニット30を構成する複数のミラー31の偏光分離特性を外界光OLや映像光GLの入射角に合わせて適宜調整すればよく、入射角に所定の幅がある場合もP偏光やS偏光の反射率を問題が生じない程度に一様に保つことができる。さらに、以上の説明では、外界光OLや映像光GLの波長について説明しなかったが、外界光OLや映像光GLは、可視光線の波長域で任意の波長とできる。このように光の波長域に所定の幅がある場合も、P偏光やS偏光の反射率を問題が生じない程度に一様に保つことができる。
図8を参照して、反射ユニット30の製造方法の一例について説明する。予め、ガラス製の平行平板である多数のガラス板91を準備する。次に、準備した多数のガラス板91の一面に真空蒸着等を利用して誘電体多層膜92を成膜することにより多数の要素板90を準備する。誘電体多層膜92は、所望の偏光分離特性を実現するため、膜材料、膜厚、積層数等が適宜設定される。さらに、誘電体多層膜92上に波長板層93を形成する。波長板層93は、例えば光透過性を有する無機誘電体材料を斜め蒸着することによって蒸着膜に屈折率異方性を持たせることができ、透過光に偏光方向に応じた位相差を付与することができる。また、波長板層93は、光学的異方性を有する有機材料フィルムに置き換えることができ、かかる有機材料フィルムを誘電体多層膜92上に接着剤で貼り付けることができる。さらに、波長板層93は、ナノインプリントやフォトリソグラフィによって誘電体多層膜92上に波長スケール以下のピッチを有するストライプパターン状の凹凸構造を形成し、その上に屈折率が異なる成膜を行うことによっても可能である。波長板層93の形成後、形成された多数の要素板90を接着剤で接合しつつ積層し、切断線C1,C2に沿って全体を斜めにカットする。これにより、平行平板を斜めに分割した細長いプリズム片であるブロック部材32の間に誘電体多層膜からなるミラー31及び波長板35を挟んだ構造の反射ユニット30を得ることができる。この反射ユニット30を、平行導光体22の観察者側の適所に接着剤を介して貼り付け、接着剤を硬化させることによって固定する。
なお、以上では、ガラス板91の主面の片側に誘電体多層膜92と波長板層93とを形成したが、ガラス板91の主面の一方側に誘電体多層膜92を形成し、主面の他方側に波長板層93を形成してもよい。
〔1D.第1実施形態のまとめ〕
以上で説明した第1実施形態の導光装置20によれば、複数のミラー31のそれぞれに隣接して配置される複数の波長板35を有し、複数のミラー31がP偏光の反射率がS偏光の反射率よりも低い反射素子であるので、反射ユニット30に入射し特定の第1ミラー31Aで反射されて眼EYに入射する映像光GLの輝度と、当該特定の第1ミラー31Aを透過して隣の第2ミラー31Bで反射されて眼EYに入射する映像光GLの輝度とをバランスさせることが容易になり、可視像に縦筋状のムラが観察されてしまうことを抑制できる。
図9は、上記第1実施形態に係る導光装置20のうち射出部23の構造等に関する変形例を説明する図である。この場合、反射ユニット30の厚みが、入射部21に近い入射側で厚く入射部21から遠い反入射側で薄くなっている。また、反射ユニット30を構成する複合層39の配列間隔SPが入射部21に近い入射側で短く入射部21から遠い反入射側で徐々に長くなっている。
導光装置20において、入射部21から遠い側では、映像光GL2の仰角φ2が小さくなっており、反射ユニット30を薄くすることや配列間隔SPを広くすることで、ミラー31等を経由する回数が増加することを抑制できる。ここで、反射ユニット30の観察側の光射出面OSと、平行導光体22の外界側の平面22aとは平行であることが望ましい。つまり、平行導光体22のうち反射ユニット30に隣接する部分は原則として僅かな楔角を有することになる。
図10は、上記第1実施形態に係る導光装置20のうち射出部23の構造等に関する別の変形例を説明する図である。この場合、射出部23に設けた反射ユニット30が傾斜した状態で組み込まれている。具体的には、反射ユニット30は、入射部21から遠い奥側の部分23hが入射部21に近い前側の部分23mよりも外界寄りとなるように傾斜している。つまり、反射ユニット30の入射面30a及び出射面30bは、平行導光体22の平面22a,22bを基準として、反時計回りに90°未満の適宜の角度ρで傾斜したものとなっている。
なお、射出部23は、反射ユニット30を挟んで平行導光体22の反対側に、反射ユニット30の出射面30bに接合される断面楔状のプリズム部材23fを有する。これにより、平行導光体22の外界側の平面22aと、この平面22aに対向する光射出面OS又は平面20bとが平行になって、外界光OLの自然な観察が可能になる。反射ユニット30が傾斜した状態で配置されていても、角度条件を図2〜3に示す例と同様とすれば、平行導光体22の外界側の平面22aで反射された映像光GLを複数のミラー31で反射させて、観察側の光射出面OSを通過させることでき、図2等の場合と同様に虚像を形成することができる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係る導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。なお、第2実施形態に係る導光装置は、第1実施形態に係る導光装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
図11及び12に示すように、本実施形態の導光装置20では、複合層39において、ミラー31は、反入射側に配置され、波長板35は、入射側に配置されている。つまり、波長板35は、ミラー31の入射側に隣接して配置されている。ミラー31及び波長板35の機能は、図4及び5に示すものと同じである。
図11に示すように、反射ユニット30に入射した映像光GLは、これがP偏光成分とS偏光成分とを含むとした場合、これらの偏光成分が第1ミラー31Aにより透過及び反射の区別として分離される。具体的には、P偏光成分の元の強度をIP0としS偏光成分の元の強度をIS0として、第1ミラー31Aの反射光GR1には、強度(1−β)×IP0のP偏光と、強度(1−α)×IS0のS偏光とが含まれる。また、第1ミラー31Aの透過光GTには、強度β×IP0のS偏光と、強度α×IS0のP偏光とが含まれる。ここで、映像光GLは、第1ミラー31Aへの入射前に波長板35も通過するので、反射光GR1については、偏光の入れ替えが2回生じて元の偏光状態に戻り、透過光GTについては、S偏光及びP偏光間の偏光の入れ替えが生じている。
第1ミラー31Aからの透過光GTの偏光成分は、第2ミラー31Bにより透過及び反射の区別として分離される。具体的には、第2ミラー31Bの反射光GR2には、強度α(1−β)×IS0のP偏光と、強度β(1−α)×IP0のS偏光とが含まれる。ここでも、反射光GR2については、偏光の入れ替えが2回生じて元の偏光状態に戻っている。
つまり、観察者の眼EYには、反射ユニット30越しに、第1ミラー31Aを経た強度((1−β)×IP0+(1−α)×IS0)の反射光GR1と、第2ミラー31Bを経た強度(α(1−β)×IS0+β(1−α)×IP0)の反射光GR2とが入射する。
ここで、ミラー31のP偏光の反射率Rp=(1−α)は、近似的にゼロであり、第1ミラー31Aからの反射光GR1の強度は、(1−β)×IP0となり、第2ミラー31Bからの反射光GR2の強度は、α(1−β)×IS0となる。また、P偏光の透過率Rs=αは、近似的に1に近い値であり、映像光GLがP偏光とS偏光とを略均等に含むとすると、第1ミラー31Aからの反射光GR1の強度(1−β)×IP0と、第2ミラー31Bからの反射光GR2の強度α(1−β)×IS0≒(1−β)×IS0とが略等しくなると言える。
上記のように、第1ミラー31Aからの反射光GR1の強度と、第2ミラー31Bからの反射光GR2の強度とが等しい場合、第1ミラー31Aで反射されて眼EYに入射する反射光GR1又は映像光GLの輝度と、第2ミラー31Bで反射されて眼EYに入射する反射光GR2又は映像光GLの輝度とをバランスさせることができ、可視像に縦筋状のムラが観察されてしまうことを抑制できる。
一方、図12に示すように、反射ユニット30に入射した外界光OLは、これがP偏光成分とS偏光成分とを含むとした場合、これらの偏光成分が第1ミラー31Aにより透過及び反射の区別として分離される。具体的には、P偏光成分の元の強度をIP0としS偏光成分の元の強度をIS0として、第1ミラー31Aの透過光OTには、強度β×IS0のP偏光と、強度α×IP0のS偏光とが含まれる。また、第1ミラー31Aの反射光OR1には、強度(1−α)×IP0のP偏光と、強度(1−β)×IS0のS偏光とが含まれる。
第1ミラー31Aからの反射光OR1の偏光成分は、第2ミラー31Bにより透過及び反射の区別として分離される。具体的には、第2ミラー31Bの反射光OR2には、強度(1−α)・(1−β)×IP0のP偏光と、強度(1−β)・(1−α)×IS0のS偏光とが含まれる。
つまり、観察者の眼EYには、反射ユニット30越しに、第1ミラー31Aを経た強度(β×IS0+α×IP0)の透過光OTと、第2ミラー31Bを経た強度((1−α)・(1−β)×IP0+(1−β)・(1−α)×IS0)の反射光OR2とが入射する。
ここで、ミラー31のP偏光の反射率Rp=(1−α)は、近似的にゼロであり、第1ミラー31Aからの透過光OTの強度は、β×IS0+α×IP0となり、第2ミラー31Bからの反射光OR2の強度は、0×IS0となる。結果的に、観察者の眼EYに入射する外界光OLは、第1ミラー31Aを透過したもののみとなり、第2ミラー31Bを経由するものは実質的に存在しなくなる。
このように、眼EYに至る外界光OLが第1ミラー31Aを透過したもののみで構成される場合、反射ユニット30越しに近接物体を見た時に、反射光OR2(つまりミラー31での2重反射による間接光)に起因してゴーストが観察されてしまうことを抑制できる。
図13及び14は、反射ユニット30を構成する複数のミラー31の具体的構成例の機能について説明するものである。この場合、ミラー31は、実線で示すP偏光を透過率α=1.0で透過させ、点線で示すS偏光を透過率β=0.8で透過させる。
図13から明らかなように、反射ユニット30に入射した映像光GLがP偏光とS偏光とを略均等に含む場合、第1ミラー31Aで折り曲げられて眼EYに向かう透過光GTの強度は、0.2×IP0となり、第2ミラー31Bで折り曲げられて眼EYに向かう反射光GR2の強度は、0.2×IS0となる。つまり、液晶デバイス11上の各表示点から射出された映像光GLが、眼EYの配置されるアイポイントEPa周辺にミラー31の配置との関連性が少ない比較的一様な輝度分布で入射するので、反射ユニット30越しに見える虚像に意図しない縦筋状のムラが観察されてしまうことを防止できる。
図14から明らかなように、反射ユニット30に入射した外界光OLがP偏光とS偏光とを略均等に含む場合、第1ミラー31Aを直進して眼EYに向かう透過光OTの強度は、0.8×IS0+1.0×IP0となり、第2ミラー31Bで折り曲げられて眼EYに向かう反射光OR2の強度は、ゼロとなる。つまり、外界光OLが無限遠からのものであっても近接物体からのものであっても、画像が僅かにずれて重畳するゴーストの発生を防止できる。
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態に係る導光装置を組み込んだ虚像表示装置について説明する。なお、第3実施形態に係る導光装置は、第1実施形態に係る導光装置を部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
図15に示すように、本実施形態の虚像表示装置100は、導光装置20に付随する要素として、導光装置20の外界側を覆うシェード部材60を備えている。このシェード部材60は、不図示のフレームを介して導光装置20に着脱自在に固定されている。シェード部材60は、所定方向に偏った偏光特性を有し、例えばP偏光の透過率がS偏光の透過率よりも低いものとなっている。
図15に示す虚像表示装置100の場合、シェード部材60によって横方向に電界が振動するP偏光の透過が抑制されるので、水面、窓ガラス等での反射を含む外界光OLの観察が容易になる。
なお、シェード部材60の偏光特性に関してP偏光及びS偏光とは、導光装置20のミラー31を基準とするものである。つまり、シェード部材60は、外界光OLのうち平行導光体22の導光方向(つまりX軸方向)に略平行な第1方向(図15のx軸方向に相当)の電界成分であるP偏光の透過率が外界光OLのうち第1方向と直交する第2方向(図15のy軸方向に相当)の電界成分であるS偏光の透過率よりも低い。
〔その他〕
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
例えば、上記実施形態の虚像表示装置100に設けた導光装置20は、平行導光体22において、平面22aで映像光GLを一回のみ全反射させて反射ユニット30に導く構成としたが、対向する平面22a,22bで映像光GLを複数回全反射させて反射ユニット30に導く構成とすることもできる。例えば、平面22bでの反射後に平面22aで反射させて映像光GLを反射ユニット30に導くことができ、さらに平面22a,22bによって3以上の反射を行って反射ユニット30に導くことができる。ただし、この際に映像光GLを表側の平面22aで最後に反射させて反射ユニット30に導く必要がある。その他、映像光GLが射出部23に達するまでの全反射回数については、これらを全ての映像光GLで一致させることは必須でなく、平面22a,22bでの反射回数が異なる映像光GLを合成して画像を表示するものとできる。
反射ユニット30に設けた多数のミラー31の反射率は、原則として一致させるが、これらミラー31の反射率又は偏光分離特性を入射部21に近い入射側から反入射側にかけて徐々に変化させることもできる。同様に、多数の波長板35による位相変化量も、入射側から反入射側にかけて徐々に変化させることもできる。
以上の説明では、映像素子として、透過型の液晶デバイス11を用いているが、映像素子としては、透過型の液晶デバイスに限らず種々のものを利用可能である。例えば、反射型の液晶パネルを用いた構成も可能であり、液晶デバイス11に代えてデジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。また、有機EL、LEDアレイや有機LEDなどに代表される自発光型素子用いた構成も可能である。さらに、レーザー光源とポリゴンミラーその他のスキャナーとを組みあわせたレーザスキャナーを用いた構成も可能である。
図4、6等の説明では、反射ユニット30に入射する映像光GLがP偏光とS偏光とを略均等に含むとしたが、液晶デバイス11その他の映像素子がP偏光とS偏光とをバランスさせて射出しない場合もあり得る。この場合、波長板35を1/2波長板としないで、位相差の調整量を変更すれば、複合層39又は波長板35に同様の機能を持たせることができる。
例えば図16に示すように、虚像表示装置100における映像光GLの光路上に偏光解消素子72を配置することができる。この場合、偏光解消素子72は、液晶デバイス11に対向して液晶デバイス11の後段に配置されている。偏光解消素子72は、所定方向に偏った偏光特性を有する映像光GLをP偏光及びS偏光を均等に含むものに変更する光学要素である。また、図17に示すように、導光装置20における映像光GLの光路上に偏光解消素子72を配置することもできる。この場合、偏光解消素子21は、反射面RSを形成する部材と入射部21との間に配置される。偏光解消素子21として、例えば屈折率異方性材料を含んで局所的に異なる方向に配向させるランダム局所配向位相差部材を用いるもの、高位相差フィルムを用いるもの、或いは液晶の屈折率異方性を利用するものほか、サブ波長格子を2次元的に配列した回折格子を用いることができる。なお、この回折格子において、サブ波長格子は、波長スケール以下のピッチを有するストライプパターン状の凹凸構造を有し、2次元的に配列された各サブ波長格子において、ピッチやストライプの延びる方向が異なるように設定したものである。このような偏光解消素子72を組み込むことにより、例えば液晶デバイス11が映像光GLとして偏光を射出する場合、映像光GLの偏光に関する偏りを良好に解消することができる。具体的には、反射ユニット30に入射する映像光GLをS偏光及びP偏光を略均等に含むものにすることができる。
以上の説明では、虚像表示装置100として、右眼及び左眼の双方に対応して一組ずつ画像形成装置10及び導光装置20設ける構成としているが、右眼又は左眼のいずれか一方に対してのみ画像形成装置10と導光装置20とを設け画像を片眼視する構成にしてもよい。
以上の説明では、実施形態の虚像表示装置100がヘッドマウントディスプレイであるとして具体的な説明を行ったが、実施形態の虚像表示装置100は、ヘッドアップディスプレイ、双眼鏡型のハンドヘルドディスプレイ等に適用することもできる。
以上の説明では、平行導光体22等の平面22a,22b又は曲面21bにおいて、表面上にミラーやハーフミラー等を施すことなく空気との界面により映像光を全反射させて導くものとしているが、本願発明における全反射については、平面22a,22b上の全体又は一部にミラーコートや、ハーフミラー膜が形成されることによって達成される反射も含むものとする。例えば、映像光GLの入射角度が全反射条件を満たした上で、平面22a,22bの一部にミラーコート等が施され、実質的に全ての映像光を反射する場合も含まれる。
以上の説明では、平行導光体22をX方向又はx方向に横長とし、光入射面ISを眼の横方向外側に位置するように形成しているが、映像光GLを導光装置20内に適切に導くことができれば、光入射面ISの位置はこれに限らず、例えば導光装置20の上下にある上端面TPや下端面BPの一部等に設けることも可能である。この場合、反射ユニット30は、眼前の光軸AXのまわりに90°回転させる。
なお、このように向きを変化させた導光装置20にシェード部材60を付加する場合、シェード部材60は、外界光OLのうち平行導光体22の導光方向に略平行な第1方向(つまり縦方向)の電界成分であるP偏光の透過率が外界光OLのうち第1方向と直交する第2方向(つまり横方向)の電界成分であるS偏光の透過率よりも例えば高いものとなる。
以上では触れていないが、平行導光体22において外形を画定する外周部のうち上端面TPや下端面BP等を黒色塗料塗布面やサンドブラスト加工面とすることができる。さらに、上端面TPや下端面BP以外の箇所に黒色塗装塗布やサンドブラスト加工を施してもよい。上端面TPや下端面BP等の一部にのみ黒色塗装やサンドブラスト加工を施すものとしてもよい。
以上の説明では、ミラー31と波長板35とが接しているが、波長板35がミラー31から僅かに離間していてもよい。ただし、例えば図5に示す場合のようにミラー31と波長板35とが接している方が、ミラー31を通過するがこれに対応する波長板35に入射しないといった意図しない光の発生を確実に防止することができる。なお、ミラー31と波長板35とが離間する場合、この距離は、ミラー31の配列間隔SPの10%程度以下であることが望ましい。
10…画像形成装置、11…液晶デバイス、12…投射レンズ、20…導光装置、21…入射部、22…平行導光体、22a,22b…平面、23…射出部、30…反射ユニット、31…ミラー、31A…第1ミラー、31B…第2ミラー、32…ブロック部材、35…波長板、39…複合層、60…シェード部材、71…偏光素子、90…要素板、91…ガラス板、92…偏光分離膜、100…虚像表示装置、AX…光軸、EY…眼、FR…所定面領域、IF…境界面、IS…光入射面、OS…光射出面、OL…外界光、GL…映像光、GL0,GL1,GL2…映像光、OR1,OR2,GR1,GR2…反射光、GT,OT…透過光、P1,P2…直進光路

Claims (11)

  1. 観察者側及び外界側に対応して対向する一対の面を有する導光体と、
    前記導光体の一端側に設けられた入射部と、
    前記導光体の他端側に設けられた射出部とを備え、
    前記射出部は、前記入射部からの映像光を観察者側にそれぞれ射出させる複数のミラーを配列してなる反射ユニットを有し、
    前記反射ユニットは、前記複数のミラーのそれぞれに対応して配置される複数の波長板を有し、
    前記複数のミラーは、P偏光の反射率がS偏光の反射率よりも低い反射素子である、導光装置。
  2. 各波長板は、各ミラーに隣接して配置されている、請求項1に記載の導光装置。
  3. 各波長板は、各ミラーに対して前記入射部から離れる反入射側に配置されている、請求項2に記載の導光装置。
  4. 各波長板は、各ミラーに対して前記入射部のある入射側に配置されている、請求項2に記載の導光装置。
  5. 前記ミラーは、誘電体多層膜で形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導光装置。
  6. 前記波長板は、1/2波長板である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導光装置。
  7. 前記ミラーのP偏光の反射率をRpとし、前記ミラーのS偏光の反射率をRsとしたときに、下記の条件式(1)及び(2)
    Rp<0.05 … (1)
    Rp<0.5×Rs … (2)
    を満たす、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導光装置。
  8. 前記導光体の前記一対の面は、略平行に延び、前記複数のミラーは、前記導光体の外界側で反射された映像光を反射して観察者側にそれぞれ射出させるため外界側に向かって前記入射部側に傾斜している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導光装置。
  9. 前記ミラーへの映像光の入射角は、40°以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導光装置。
  10. 映像光を生じさせる映像素子と、請求項1〜9のいずれか一項に記載の導光装置とを備える虚像表示装置。
  11. 前記導光体の外界側を覆うとともに所定方向に偏った偏光特性を有するシェード部材をさらに備える、請求項10に記載の虚像表示装置。
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