JPWO2005035755A1 - 核酸導入方法 - Google Patents

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Abstract

エレクトロポレーション法により細胞に核酸を導入する方法であって、(A)電極の表面に核酸を担持させる工程;(B)得られた核酸担持電極の表面に細胞を接着させる工程;および(C)接着した細胞に電気パルスを印加する工程、からなる方法。本方法により、接着性細胞に障害を与えることなく、遺伝子を効率よく細胞に導入できるとともに、望ましい時期に望ましい位置で遺伝子を導入できる。

Description

本発明は核酸導入方法に関し、さらに詳しくは、エレクトロポレーション法により核酸を細胞に導入する方法に関する
細胞への遺伝子導入方法は、遺伝子の機能や遺伝子にコードされているタンパク質の性質を解明したり、組み換えタンパク質を多量に生産する場合に利用されている。また、細胞への遺伝子導入法は、目的の酵素やサイトカインの遺伝子を患者の細胞内に導入し、その遺伝子により体内に目的とする物質を生産させて疾患の治療を行う場合にも利用されている。
ヒトゲノムのDNA塩基配列の解読がほぼ終了し多くの機能未知の遺伝子の存在が予測され、今後、これらの新規ヒト遺伝子の機能解析が研究の大きなターゲットとなるが、数万種類に及ぶ遺伝子の機能解析を行うには、網羅的かつ高速に遺伝子の過剰発現やノックアウトできる手法が必要である。
細胞内に遺伝子を導入する技術としては、生物学的手段、すなわちアデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス由来のウイルスベクターを利用する導入方法と、リポフェクション法(リポソーム法)、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法などの物理的手段を用いる導入方法とに大別される。
これらのうち、ウイルスベクターを利用する方法は、遺伝子導入効率は高いが、ウイルスベクターの作製が煩雑である、安全性に問題があるなどの難点がある。リポフェクション法は、安全性は高いが、ウイルスを利用する方法に較べて、遺伝子導入効率が低い、細胞毒性が強いなどの難点がある。
マイクロインジェクション法、パーティクルガン法などの直接導入法は、細胞の障害が大きく、効率よく遺伝子を導入するための最適化条件の検討が煩雑であり、また技術的操作に関しても特殊な技能や装置が必要であるなどの難点がある。
また、従来のエレクトロポレーション法は、遺伝子と細胞とを懸濁させた媒体を平行板などの電極間に配置し、両電極間に電気パルスを印加して細胞の細胞膜に小孔を生じさせ、それが修復される前に細胞外の遺伝子を細胞内に取り込ませる方法がとられていた(非特許文献1、2)。この方法は、遺伝子導入効率は高いものの、細胞の障害が大きい、遺伝子導入する時期や場所を自由に選択し難いなどの難点がある。
さらに、近年、遺伝子の機能を高速に解析するため、発現プラスミドをプリントしたガラス基板上で細胞を培養し、細胞に遺伝子をリポフェクション法により導入するトランスフェクショナルアレイが開発された(非特許文献3)。この方法は、トランスフェクションにリポフェクション法を用いるものであるため、リポフェクション法に起因する前記した難点が依然として存在している。
一方、核酸やタンパク質などの生体分子を、その活性を維持した状態で基材表面に固定化する方法として交互吸着法が報告されている(非特許文献4)。この方法は、基板上に電荷の異なる高分子を交互に吸着させ、静電的な相互作用(ポリイオンコンプレックス形成)により、逐次的に高分子薄膜を積層する方法であるが、遺伝子導入法に適用された例は報告されていない。
EMBO ジャーナル、1982年、第1巻、841〜845頁 バイオエレクトロケミストリー アンド バイオエネルゲティクス(Bioelectrochem. Bioenerg.) 1999年、第48巻、3〜16頁 ネイチャー、2001年、第411巻、107〜110頁 バイオセンサーズ アンド バイオエレクトロニクス(Biosensors & Bioelectronics)、1994年、第9巻、677〜684頁
本発明の目的は、従来のエレクトロポレーション法の問題を解決した遺伝子導入方法を提供するものであり、より具体的には、細胞に障害を与えることなく、遺伝子を効率よく細胞に導入するとともに、望ましい時間に細胞集団内の望ましい位置で遺伝子導入を実施し得る方法を提供するものである。また、本発明の他の目的は、細胞の顕微鏡観察において良好な観察環境を提供できる電極基板を用いて、上記のような遺伝子導入を実施し得る方法を提供するものである。
本発明者らは、従来のエレクトロポレーション法による遺伝子導入方法を改良すべく種々研究を重ねた結果、電極の表面に核酸を担持させ、得られた核酸担持電極の表面に細胞を接着させ、ついで接着した細胞に電気パルスを印加すれば、細胞にさほど障害を与えることなく、効率よく遺伝子を細胞に導入し得るとともに、所望の時期にかつ所望の位置でエレクトロポレーションを実施し得ることを見出した。また、本発明者らはさらに研究を重ねた結果、電極として透明半導体電極を用いれば、細胞の顕微鏡観察が良好に実施し得ることを見出した。本発明者らは、上記のような知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) エレクトロポレーション法により細胞に核酸を導入する方法であって、
(A)電極の表面に核酸を担持させる工程;
(B)得られた核酸担持電極の表面に細胞を接着させる工程;および
(C)接着した細胞に電気パルスを印加する工程;
からなる方法、
(2) エレクトロポレーション法により細胞に核酸を導入する方法であって、
(a)カチオン性表面電極基板を提供する工程;
(b)該カチオン性表面電極基板の表面に核酸を吸着、担持させる工程;
(c)工程(b)で得られた核酸担持電極基板の表面に細胞を接着させる工程;および
(d)該細胞に電気パルスを印加する工程;
からなる方法、
(3) カチオン性表面電極基板が、電極基板の表面に、末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板である前記(2)記載の方法、
(4) カチオン性表面電極基板が、電極基板の表面に、末端にカチオン性官能基を有するチオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物またはシラン処理剤の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜の表面にアニオン性高分子が吸着され、さらにその表面にカチオン性高分子が吸着させてなるカチオン性表面電極基板である前記(2)記載の方法、
(5) カチオン性表面電極基板が、透明電極基板の表面にカチオン性高分子を吸着させてなるカチオン性表面電極基板である前記(2)記載の方法、
(6) 工程(b)を、カチオン性表面電極基板の表面に直接核酸を1回だけ吸着させるか、あるいは該表面に核酸およびカチオン性高分子を、核酸、カチオン性高分子、核酸の順序で交互吸着法により積層させることにより行う前記(2)記載の方法、
(7) 電極基板が、白金、金およびアルミニウムから選ばれる金属の電極基板である前記(3)または(4)記載の方法、
(8) 電極基板が、金電極基板である前記(3)または(4)記載の方法、
(9) 金電極基板が、金蒸着したガラス基板もしくは透明プラスチック基板である前記(8)記載の方法、
(10) 透明電極基板が、インジウム−スズ酸化物、酸化インジウム、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモンをドープした酸化スズを蒸着したガラス基板もしくは透明プラスチック基板である前記(5)記載の方法、
(11) 透明電極基板が、インジウム−スズ酸化物を蒸着したガラス基板もしくは透明プラスチック基板である前記(5)記載の方法、
(12) 末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物が、式(1):
(CH−SH (1)
(式中、Rはアニオン性官能基を表し、nは1〜40の整数を表す。)
で示されるチオール化合物である前記(3)記載の方法、
(13) Rがカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基およびホスホン酸基から選ばれる基である前記(12)記載の方法、
(14) 式(1)で示されるチオール化合物が、11−メルカプトウンデカン酸、8−メルカプトオクタン酸および15−メルカプトヘキサデカン酸から選ばれるメルカプトアルカン酸である前記(12)記載の方法、
(15) カチオン性高分子が、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、アミノアセタール化ポリビニルアルコール、1〜4級アミンを側鎖末端に持つアクリル系またはメタクリル系ポリマー、酸処理ゼラチン、プロタミン、ポリリジン、ポリオルニチン、ポリアルギニン、キトサン、DEAE−セルロース、DEAE−デキストランおよびポリアミドアミンデンドリマーから選ばれる高分子である前記(3)、(4)または(5)記載の方法、
(16) 末端にカチオン性官能基を有するチオール化合物が、式(2):
(CH−SH (2)
(式中、Rはカチオン性官能基を表し、nは1〜40の整数を表す。)
で示されるチオール化合物である前記(4)記載の方法、
(17) Rがアミノ基である前記(16)記載の方法、
(18) 核酸がDNA、RNA、アンチセンス核酸、siRNAまたはそれらの発現ベクターである前記(1)または(2)記載の方法、
(19) 核酸がタンパク質をコードするDNAまたはその一部である前記(1)または(2)記載の方法、
(20) 工程(B)を、核酸担持電極の表面で細胞を培養することにより行う前記(1)記載の方法、
(21) 工程(c)を、核酸担持電極基板の表面で細胞を培養することにより行う前記(2)記載の方法、
(22) 工程(C)を、細胞を介して電極基板に対峙して反対電極を設け、両電極間に電気パルスを発生させることにより行う前記(1)記載の方法、
(23) 工程(d)を、細胞を介して電極基板に対峙して反対電極を設け、両電極間に電気パルスを発生させることにより行う前記(2)記載の方法、および
(24) カチオン性表面電極基板が、ミクロパターン化表面をもつ基板である前記(2)記載の方法、
である。
また、本発明は、
(25) 電極基板の表面に、末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板、および
(26) ガラス基板上に金蒸着した金電極基板の表面に、式(1):
(CH−SH (1)
(式中、Rはアニオン性官能基を表し、nは1〜40の整数を表す。)
で示されるチオール化合物の単分子膜が形成されており、該単分子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板、
である。
本発明によれば、細胞に障害を与えることなく、核酸を効率よく細胞に導入することができるとともに、望ましい時期に電極上の望ましい位置で細胞に導入することができる、エレクトロポレーション法による核酸導入方法が提供される。
接着細胞への遺伝子導入を行うための核酸担持金電極基板ならびに該基板への電気パルス負荷システムの配置図である。 電気パルス(電場強度75V/cm、パルス幅10msec、パルス回数1回)を印加してから48時間後のHEK293細胞の位相差顕微鏡写真(A)および蛍光顕微鏡写真(B)である。 スケールバー 200μm 遺伝子導入効率に対する電場強度の効果を示す棒グラフである。 細胞生存率と電場強度の関係の示す線図である。 遺伝子導入効率に対するポリエチレンイミン、ポリアリルアミンの分子量の効果を示す線図である。 各種カチオン表面におけるDNAの担持量を示す線図である。 各種カチオン表面におけるパルス後のDNA遊離量を示す線図である。 遺伝子導入効率とDNA遊離量の関係を示す相関図である。 電気パルスを印加するまでの細胞培養期間を変化させたときの、電気パルス印加48時間後の蛍光顕微鏡像(A,B,C)である。 電気パルスを印加するまでの細胞培養期間を変化させたときの、遺伝子導入効率を示す線図である。 初代神経培養細胞に遺伝子(pEGFPおよびpDsRed混合物)を導入したときの、電気パルス負荷から48時間後の位相差顕微鏡像(左)および蛍光顕微鏡像(中、右)である。上段および下段の写真は、同一の条件下で遺伝子導入を行ったときの異なる視野における観察像である。 異なる遺伝子(pEGFPまたはpDsRed)を、場所を限定してHEK293細胞に導入したときの、電気パルス負荷から48時間後の明視野顕微鏡像(左)および蛍光顕微鏡像(右)である。 積層数の異なる表面のATR−赤外吸収スペクトルを示す線図である。 積層数とリン酸基に由来する2つのピーク面積との関係を示す線図である。 積層数と表面の水接触角の関係を示す線図である。 電気パルス(電場強度250V/cm、パルス幅10msec、パルス回数1回)を印加してから48時間後のHEK293細胞の位相差顕微鏡写真(A)および蛍光顕微鏡写真(B)である。 遺伝子導入効率と細胞生存率に対する電場強度の効果を示す線図である。 遺伝子導入効率と細胞生存率に対する積層数の効果を示す線図である。 積層数の異なる表面におけるDNAの担持量を示す線図である。 遺伝子導入効率とDNA遊離量の関係を示す相関図である。 初代神経培養細胞に遺伝子(pEGFPおよびpDsRed混合物)を導入したときの、電気パルス負荷から48時間後の位相差顕微鏡像(左)および蛍光顕微鏡像(中、右)である。上段および下段の写真は、同一の条件下で遺伝子導入を行ったときの異なる視野における観察像である。 異なる遺伝子(pEGFP、pDsRedもしくは両者の混合物)を、場所を限定してHEK293細胞に導入したときの、電気パルス負荷から48時間後の蛍光顕微鏡像である。
符号の説明
図1における記号の意味は次の通りである。
A エレクトロポレーター
B エレクトロポレーションバッファー
C 細胞
D 核酸−カチオン性高分子複合層
E 金薄膜電極(陰極)
F 金電極(陽極)
G シリコーンスペーサ
本発明の一側面は、エレクトロポレーション法により細胞に核酸を導入する方法であって、
(A)電極の表面に核酸を担持させる工程;
(B)得られた核酸担持電極の表面に細胞を接着させる工程;および
(C)接着した細胞に電気パルスを印加する工程
からなる方法である。
以下、前記各工程について順次説明する。
工程(A)
電極に核酸を担持させるには、たとえば、
(A1)カチオン性表面電極基板を提供し、ついで該カチオン性表面電極基板の表面に核酸を吸着させる方法、
(A2)カチオン性表面電極基板を提供し、ついで該カチオン性表面電極基板の表面に核酸とカチオン性高分子とを交互に吸着させて、カチオン性高分子−核酸−カチオン性高分子−核酸のように多層を形成させる方法、
などを採用することができる。
(カチオン性表面電極基板の提供)
前記カチオン性表面電極基板は、電極基板の表面がプラスに荷電したものであればよく、その様なものとしては、たとえば
(a1)電極基板の表面に、末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物の単分子膜が形成されており、かつ、該単分子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板、
(a2)電極基板の表面に、末端にカチオン性官能基を有する、チオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物またはシラン処理剤の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜の表面にアニオン性高分子が吸着され、さらにその表面にカチオン性高分子が吸着させてなるカチオン性表面金属基板、
(a3)電極基板の表面に、カチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面金属基板、
などがあげられる。
前記(a1)のカチオン性表面電極基板は、たとえば、1)電極基板の表面に、末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物の単分子膜を形成させ、ついで2)該単分子膜の表面にカチオン性高分子を吸着させることにより製造できる。
また、前記(a2)のカチオン性表面電極基板は、たとえば、1)電極基板の表面に、末端にカチオン性官能基を有する、チオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物またはシラン処理剤の単分子膜を形成させ、2)該単分子膜の表面にアニオン性高分子を吸着させ、ついで3)該アニオン性高分子の表面にカチオン性高分子を吸着させることにより製造できる。
さらに、前記(a3)のカチオン性表面電極基板は、たとえば、電極基板の表面にカチオン性高分子を吸着させることにより製造できる。
電極基板における「基板」は、電極を支持するプレート、チップ(マイクロチップを含む)、アレイなどであり、それらを構成する基材は、電極を支持し得る絶縁性のものであればとくに制限がなく、たとえば、ガラス、マイカ、石英、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの無機絶縁材料、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホンなどの有機絶縁材料を用いることができる。
これらのうち、とくに前記(a1)および(a2)のカチオン性表面電極基板における「基板」の基材は、ガラス、マイカ、石英、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの無機絶縁材料または透明プラスチックが好ましい。また、前記(a3)のカチオン性表面電極基板における「基板」の基材は、ガラスまたは透明プラスチックが好ましく、ガラスが特に好ましい。上記透明プラスチックは、自家蛍光のない透明な高分子材料であれば特に限定されず、公知のものであってよい。このような透明プラスチックとしては、例えば、上記した有機絶縁材料などが挙げられるが、中でも好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
一方、電極基板における「電極」は、エレクトロポレーション法における電極になりうるものであればとくに制限がなく、白金、金、アルミニウムなどの金属からなる電極が好適にあげられる。また、細胞の顕微鏡観察を容易にするために透明電極も好適にあげられる。このような透明電極としては、インジウム−スズ酸化物(ITO:In−SnO)、酸化インジウム(In)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO)、アンチモンをドープした酸化スズ(SnO)などが好適にあげられ、特にインジウム−スズ酸化物が好ましい。
上記「基板」と「電極」とからなる電極基板の好ましい例は、ガラス基板、プラスチック基板もしくはマイカ基板の片面に、白金、金、アルミニウムなどの金属の電極あるいは透明電極を設けたものがあげられ、前者のより好ましい例としては、ガラス基板、マイカ基板または透明プラスチック基板の片面に金の電極を設けたものがあげられ、後者のより好ましい例として、ガラス基板、透明プラスチック基板などの透明基板の片面にインジウム−スズ酸化物の透明電極を設けたものが挙げられる。
基板の片面に電極を設けるには、公知の方法に従って行えばよく、たとえば上記金属を無機絶縁基板上に加熱または/および加圧などして合体させるなどの公知の手段を用いる方法があげられる。また、前記方法以外に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオン注入法、メッキ法などもあげられる。
電極基板の表面に単分子膜を形成させるのに用いる、末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物としては、たとえば、下記一般式(1):
(CH−SH (1)
(式中、記号は前記と同一意味を有する)
で示されるチオール化合物があげられる。化合物(1)の好ましい例としては、アニオン性官能基であるRがカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基であり、nが1〜40、好ましくは7〜18のものがあげられる。
また、チオール化合物(1)の代わりに、下記一般式(1A)または(1B):
(CH−S−S−(CH−R (1A)
(CH−S−(CH−R (1B)
(上記式中、Rおよびnは前記と同一意味を有し、mは1〜40の整数を表す)
で示されるジスルフィド化合物またはスルフィド化合物を用いることもできる。該ジスルフィド化合物またはスルフィド化合物は対称型であっても、非対称型であってもよいが、対称型のもののほうが、均一な単分子膜が形成される意味で好ましい。
好ましい化合物(1)またはそのジスルフィドもしくはスルフィド化合物の具体例としては、たとえば、11−メルカプトウンデカン酸、8−メルカプトオクタン酸、15−メルカプトヘキサデカン酸、10−カルボキシデシルジスルフィドなどがあげられる。
また、電極基板の表面に単分子膜を形成させるのに用いる、末端にカチオン性官能基を有するチオール化合物としては、たとえば、下記一般式(2):
(CH−SH (2)
(式中、Rはカチオン性官能基を表し、nは前記と同一意味を有する)
で示されるチオール化合物があげられる。Rで示されるカチオン性官能基としては、たとえばアミノ基があげられ、nとしては、1〜40、好ましくは7〜18の整数があげられる。
また、チオール化合物(2)の代わりに、下記一般式(2A)または(2B):
(CH−S−S−(CH−R (2A)
(CH−S−(CH−R (2B)
(上記式中、Rおよびnは前記と同一意味を有し、mは1〜40の整数を表す)
で示されるジスルフィド化合物またはスルフィド化合物を用いることもできる。該ジスルフィド化合物またはスルフィド化合物は対称型であっても、非対称型であってもよいが、対称型のもののほうが、均一な単分子膜が形成される意味で好ましい。
好ましい化合物(2)またはそのジスルフィドもしくはスルフィド化合物の具体例としては、たとえば、11−アミノ−1−ウンデカンチオールなどが好適にあげられる。
電極基板の表面に単分子膜を形成させるのに用いる、末端にカチオン性官能基を有するシラン処理剤としては、たとえば、下記一般式(3)
(CH)p−Si(OR) (3)
(式中、Rは前記と同一意味を有し、pは1〜40の整数、ORはアルコキシ基を表す)
で示されるシラン化合物があげられる。Rで示されるカチオン性官能基としては、たとえばアミノ基があげられ、pとしては、1〜40、好ましくは7〜18の整数があげられ、ORとしては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の低級アルコキシ基があげられる。
電極基板の表面に単分子膜を形成させるには、常法にしたがって行えばよく、たとえば、電極基板をチオール化合物(式1または2)またはそのジスルフィド化合物(式1Aまたは2A)もしくはスルフィド化合物(式1Bまたは2B)あるいはシラン処理剤(3)の溶液に浸漬することにより実施することができる。これにより、電極基板上に高密度、高配向性な単分子膜が形成される。
チオール化合物として、末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物(1)またはそのジスルフィドもしくはスルフィド化合物(1Aもしくは1B)を用いた場合には、これら化合物の単分子膜の表面に、カチオン性高分子を吸着させることにより、前記(a1)のカチオン性表面電極基板が得られる。
ここで使用される「カチオン性高分子」は、電極基板の表面に形成された単分子膜と電気的結合(たとえばイオン結合)によって該単分子膜の表面に結合するカチオン性の高分子であればよく、たとえば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、アミノアセタール化ポリビニルアルコール、1〜4級アミンを側鎖末端にもつアクリル系あるいはメタクリル系ポリマー(たとえば、ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなど)、酸処理ゼラチン、ポリリジン、ポリオルニチン、ポリアルギニン、プロタミン、キトサン、DEAE−セルロース、DEAE−デキストラン、ポリアミドアミンデンドリマー(カチオニックデンドリマー)などがあげられる。これらのうち、とりわけポリエチレンイミンおよびポリアリルアミンが好ましい。
前記カチオン性高分子の平均分子量は、500〜5,000,000、好ましくは600〜100,000である。たとえば、ポリエチレンイミンの場合は、その平均分子量は200〜25,000が好ましく、とりわけ500〜10,000が好ましい。またポリアリルアミンの場合は、その平均分子量は500〜150,000、とりわけ1,000〜70,000が好ましい。
単分子膜の表面にカチオン性高分子を吸着させるには、該単分子膜の表面にカチオン性高分子の溶液を接触させることにより実施でき、たとえば、該単分子膜の表面に、カチオン性高分子を適当な緩衝液(たとえば、リン酸緩衝生理食塩水)に溶解した溶液を添加し、室温で静置することにより好適に実施できる。カチオン性高分子溶液の濃度は、特に限定されないが、0.1%〜10%であるのが好ましい。かくして、単分子膜とカチオン性高分子とがイオン結合により吸着されて、前記(a1)のカチオン性表面電極基板が提供される。
一方、チオール化合物として、末端にカチオン性官能基を有するチオール化合物(2)、そのジスルフィドもしくはスルフィド化合物(2Aもしくは2B)を用いた場合、あるいは、シラン処理剤として末端にカチオン性官能基を有するシラン処理剤(3)を用いた場合には、これら化合物の単分子膜の表面に、まずアニオン性高分子を吸着させる。
ここで使用される「アニオン性高分子」は、電極基板の表面に形成された単分子膜と電気的結合(たとえばイオン結合)によって該単分子膜の表面に結合するアニオン性の高分子であればよく、たとえば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)のような合成高分子、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルカリ処理ゼラチンのような天然高分子があげられる。
単分子膜の表面にアニオン性高分子を吸着させるには、該単分子膜の表面にアニオン性高分子の溶液を接触させることにより実施でき、たとえば、該単分子膜の表面に、アニオン性高分子を適当な緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)に溶解した溶液を添加し、室温で静置することにより好適に実施できる。
ついで、吸着したアニオン性高分子の表面に、カチオン性高分子を吸着させることにより、前記(a2)のカチオン性表面電極基板が得られる。ここで用いるカチオン性高分子は前記と同一のものを使用でき、吸着処理も前記と同様に実施できる。
さらに、たとえば電極としてインジウム−スズ酸化物、酸化インジウムなどの前記透明電極を用いる場合には、電極基板の表面をカチオン性高分子で処理することにより、カチオン性高分子が電極表面に吸着した前記(a3)のカチオン性表面電極基板が得られる。ここで用いるカチオン性高分子も前記と同一のものが使用でき、該カチオン性高分子による処理は、電極基板の表面にカチオン性高分子の溶液を添加し、室温で静置することにより好適に実施できる。
(カチオン性表面電極基板への核酸の担持)
前記で提供されたカチオン性表面電極基板の表面に核酸を担持させることにより、核酸担持電極基板が得られる。
本発明で使用される「核酸」は、ポリヌクレオチドであっても、オリゴヌクレオチドであってもよく、またDNAでもRNAでもよい。DNAの場合、プラスミドDNA、cDNA、ゲノミックDNAあるいは合成DNAであってもよい。「核酸」には、DNA誘導体またはRNA誘導体が含まれ、該誘導体とはホスホロチオエート結合を有する核酸、または酵素による分解を避けるためにインターヌクレオチドのリン酸部分、糖部分、塩基部分に化学修飾を施した核酸を意味する。
「核酸」には、疾患症状の治療あるいは改善効果のある生理活性を有するタンパク質をコードしているプラスミドDNA、または疾患症状の予防、治療あるいは改善効果のある免疫反応を誘導するタンパク質をコードしているプラスミドDNA、あるいはこれらDNAの一部を含む。
「核酸」にはまた、アンチセンス核酸も包含する。「アンチセンス核酸」は特定のmRNA分子の少なくとも一部に相補的なDNA分子またはRNA分子であり、細胞内に導入されることにより、対応するmRNAとハイブリダイズして二本鎖の分子を形成する。細胞は二本鎖のmRNAを翻訳しないので、アンチセンス核酸は該mRNAの翻訳を干渉する。「核酸」には、さらにsiRNA(RNA干渉を起こす短い二本鎖RNA)を包含する。さらに、「核酸」には、アンチセンス核酸やsiRNAなどの発現ベクターを包含する。
核酸がタンパク質をコードしているプラスミドDNAである場合、細胞内に導入されたとき、コードする遺伝情報を細胞内で発現するように構成された形態が好ましく、プロモータ等、目的遺伝子の発現に必要な要素を含有する。また、目的遺伝子が細胞内に導入されたかどうかを確認する必要がある場合、目的遺伝子のほかにさらにレポーター遺伝子を含んだDNAでもよい。
「核酸」のサイズは特に制限されないが、一般に、10bp〜200kbp、好ましくは、15bp〜100kbpである。
カチオン性表面電極基板の表面に核酸を吸着、担持させるには、カチオン性表面電極基板の表面に、核酸の溶液を接触させることにより実施でき、たとえば該カチオン性表面電極基板の表面に、核酸を適当な緩衝液(たとえば、リン酸緩衝生理食塩水)に溶解した溶液を添加し、室温に放置することにより好適に実施できる。吸着しない核酸は、カチオン性表面電極基板の表面を適当な緩衝液(たとえば、リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄することにより除去できる。かくして、核酸担持電極基板が得られる。
なお、カチオン性表面電極基板の表面に、核酸およびカチオン性高分子を、核酸、カチオン性高分子、核酸の順序で交互吸着法により積層することによっても核酸担持電極基板が得られる。ここで交互に実施される核酸の吸着およびカチオン性高分子の吸着は、前記と同様にして実施することができる。
工程(B)
本工程は、上記で得られた核酸担持電極基板の表面に、細胞を接着させる工程である。
本発明で使用される「細胞」は、接着性のものであれば、どの生物由来の細胞(たとえば、任意の種類の(たとえば、細菌、酵母)または多細胞生物(たとえば、動物(たとえば、脊椎動物、無脊椎動物)、植物(たとえば、単子葉植物、双子葉植物など)など)でもよい。たとえば、脊椎動物(たとえば、メクラウナギ類、ヤツメウナギ類、軟骨魚類、硬骨魚類、両性類、爬虫類、鳥類、哺乳動物など)由来の細胞でも用いられ、より詳細には、哺乳動物(たとえば、単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、肉食類、食虫類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類など)由来の細胞が用いられる。1つの実施形態では、霊長類(たとえば、チンパンジー、ニホンザル、ヒト)由来の細胞、とくにヒト由来の細胞が用いられる。ヒト由来細胞の具体例としては、たとえば、ヒト子宮頚部癌細胞(HeLa)などのヒト由来株化細胞;ヒト胎児腎臓由来細胞、ヒト臍帯静脈内皮細胞、ヒト血管内皮細胞、ヒト大動脈平滑筋細胞、ヒト肝細胞、ヒト繊維芽細胞、ヒト角膜上皮細胞、ヒト角膜内皮細胞などのヒト由来初代培養細胞;間葉系幹細胞、胚性幹細胞、神経幹細胞などのヒト由来幹細胞などがあげられる。
核酸担持電極基板の表面に細胞を接着させる方法は、特に制限されず、たとえば、細胞の懸濁液を前記基板の上に添加するか、あるいは細胞を適当な培地に懸濁させ、得られた細胞懸濁液を前記基板上に滴下し、該細胞に適した条件下で培養することにより行うことができる。しかし、核酸を導入する細胞集団内の場所の限定および導入の効率の観点からは、核酸担持電極基板上で細胞を培養して行うのが好ましく、培養することにより細胞は増殖し、該基板の表面に接着する。接着しない細胞は、電気パルスを印加する前に除いておくのが望ましい。非接着細胞の除去は、たとえば、培地を適当な緩衝液と交換することにより行うことができる。
工程(C)
細胞への電気パルスの印加は、表面に細胞が接着した核酸担持電極基板の電極を一方の電極(第1電極という)とし、細胞を介して第1電極と対峙して反対電極(第2電極という)を設け、第1電極と第2電極の間で、適当なエレクトロポレーターを用いて電気パルスを発生させることにより行うことができる。この際、電気パルスは交流または直流のいずれで発生させてもよいが、一般に直流で発生させるのが好ましい。
電気パルスを直流で発生させる場合には、核酸を担持した第1電極を陰極(−)としたときには、第2電極は陽極(+)とする。あるいはその逆も可能である。好ましくは、第1電極を陰極(−)とし、第2電極を陽極(+)とする。第2電極の材質は、電導性のものであればとくに限定されないが、たとえば金、白金、銅、アルミニウム、ステンレス、タングステン、チタン、コバルト−クロム合金、コバルト−クロム−モリブデン合金(バイタリウム)などの金属、あるいは透明電極材料であるITO(インジウム−スズ酸化物)、酸化インジウムなどがあげられる。
電気パルスの条件は、電極材料の種類、細胞の種類、導入される核酸の種類、基板上のカチオン性高分子の種類などにより、電場強度、電気パルスの長さ、パルス印加の回数などを適宜選択すればよい。通常、電場強度は10〜500V/cm、好ましくは25〜300V/cmであり、電気パルスの長さは1〜99msec、好ましくは1〜50msecであり、パルス印加の回数は1〜99回、好ましくは1〜5回であるが、これらに限定されるものではない。
電気パルスを印加する時期は、特に限定されず、適宜選択できる。すなわち、細胞を核酸担持電極基板の上に播種後、培養し、該基板上に細胞を接着させてから、必ずしもすぐに電気パルスを印加する必要はなく、接着後望ましい時期、たとえば、細胞の播種から約4〜5日以内であれば、自由に選択して電気パルスを印加することができる。この電気パルスの印加により、細胞中に核酸が効率よく導入される。
上記本発明方法を実施するに当たって使用される核酸担持電極基板および電気パルス負荷システムの配置図の一例を示せば、図1の通りである。この図を用いて本発明方法を説明すると、たとえばガラス基板の表面に金薄膜電極(E)が設けられており、その上に核酸が担持された核酸−カチオン性高分子複合層(D)が設けられており、さらにその表面に細胞(C)が接着している。そして、この細胞はたとえばシリコーンスペーサ(G)で区画化されており、ウェル中にはエレクトロポレーションバッファー(B)が充填されている。シリコーンスペーサ(G)の上には金薄膜電極(E)と平行に反対電極となる金電極(F)が設けられている。金薄膜電極(E)と金電極(F)は電気パルス発信装置であるエレクトロポレーター(A)に接続されている。本例では、金薄膜電極(E)と金電極(F)との間隔は2mmに設定されており、ウェル面積は13×13mmに設定されている。電気パルスの負荷は、金薄膜電極(E)を陰極(−)とし、金電極(F)を陽極(+)とし、エレクトロポレーター(A)により電気パルスを発生させることにより、細胞(C)中に核酸(DNA)が導入される。
本発明の別の側面として、上記核酸導入法を、ミクロパターン化した表面を有する基板を用いて実施することができる。ミクロパターン化はそれ自体公知の方法によって行うことができ、たとえば、核酸を担持させる前のカチオン性表面電極基板の表面を、適当な手段で区画化しておき、複数の異なった核酸をそれぞれ別個の区画に担持させることによりミクロパターン化された核酸担持電極基板とすることができる。また、電極基板の表面を有機シラン化合物(たとえば、オクタデシルトリエトキシシラン)やアルカンチオールで処理してそれらの自己組織化単分子膜を形成させたのち、フォトマスクを電極基板表面に固定し、紫外線照射し、ついで紫外線照射によって分解された自己組織化単分子膜を除去することによるミクロパターン化された電極基板が得られるので、かかる基板を用いれば核酸をアレイ状に配置することができる。したがって、上記のようなミクロパターン化された核酸担持金属基板あるいは電極基板を用いて本発明を実施すれば、核酸を導入する場所を限定することが可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。
DNAを静電的に担持するためのカチオン性表面電極基板を作製した。まず、片面に金薄膜を蒸着したガラス基板に、末端にカルボキシル基をもつチオール化合物(11−メルカプトウンデカン酸、シグマ社製)の単分子膜を形成させた。この単分子膜上に、平均分子量800のポリエチレンイミン(以下、PEI800と表示、アルドリッチ社製)を1%濃度で含むリン酸緩衝溶液(pH7.4)を添加し、30分間、室温で静置した。得られた基板の表面を十分に水洗し、窒素ガスで乾燥させ、カチオン性表面金電極基板を得た。
次に、上記で得られたカチオン性表面金電極基板の表面に、エタノールで殺菌したシリコーンスペーサ(内面積:1.3×1.3cm、高さ:2mm)を圧着し、固定した。次に、緑色蛍光タンパク質をコードするプラスミドDNA(pEGFP−Cl、クロンテック社製)の0.05mg/mLリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を、シリコーンスペーサ内のカチオン性表面金電極基板の表面上に添加し、室温、2時間放置して、表面にDNAを静電的に吸着、担持させた。吸着しなかったDNAを除去するため、リン酸緩衝生理食塩水で表面を十分に洗浄し、DNA担持金電極基板を得た。
ヒト胎児腎臓由来細胞(HEK293:(財)ヒューマンサイエンス財団より分譲)を血清含有培地(培地組成:最小必須培地(MEM)(Gibco Life Technology)、10%ウシ胎児血清、100unit/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン)に懸濁させ、その懸濁液をDNA担持金電極基板の表面上に滴下した。これを37℃および5%COの雰囲気下で培養することで、細胞を表面に接着、成長させた。24時間後、培地を4℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)と交換して非接着細胞を除去し、リン酸緩衝生理食塩水を満たした後、片面に金薄膜を蒸着したガラス基板を第2電極としてシリコーンスペーサに固定した。それらの配置を図1に示す。
次に、DNA担持金電極基板を陰極(−)、他方を陽極(+)として高電圧パルス発生装置(Electrosquareporator T820、BTX社製)に接続し、電場強度75V/cm、パルス幅10msec、印加回数1回の条件で電気パルスを印加し、エレクトロポレーションを行った。パルス印加後、室温で5分間インキュベーションした後、ウェル内のリン酸緩衝生理食塩水をあらかじめ37℃に保温してあった血清含有培地で交換し、37℃および5%COの雰囲気下で細胞培養を行った。
エレクトロポレーションから48時間後に導入遺伝子の一過的発現の解析を行った。方法は、蛍光顕微鏡下で緑色蛍光タンパク質(EGFP)に起因する緑色蛍光を発する細胞をカウントし、遺伝子導入効率を全細胞数当たりのEGFP陽性細胞数として算出した。
図2にエレクトロポレーションから48時間後のHEK293細胞の位相差顕微鏡像(A)と蛍光顕微鏡像(B)を示す。この図からわかるように、基板表面上の細胞は障害を受けることなくEGFPを発現しており、そのEGFP陽性細胞率、すなわち遺伝子導入効率は80%であった。このことは、本発明の手法が効率的に遺伝子導入できる方法であることを明確に示す。
実施例1と同様に、DNA担持金電極基板上にHEK293細胞を播種し、接着させた後、電気パルスを印加してエレクトロポレーションを行った。その際、電気パルスの電圧を変化させ、遺伝子導入効率に対する電場強度の効果について検討した。なお、印加電圧以外のパルス印加条件は、実施例1と同じ(パルス幅10msec、パルス回数1回)とし、遺伝子導入効率は、電気パルス印加から48時間後のEGFP陽性細胞率として評価した。結果は図3の通りである。また同時に、細胞生存率に対する電場強度の効果を検討した。細胞生存率は、電気パルス印加から3時間後、細胞をトリプシン処理で回収し、トリパンブルー色素排除法により評価した。すなわち、トリパンブルーによって染色されなかった細胞の数(生細胞数)を求め、次式に従って生存率を算出した。結果は図4の通りである。
図3に示すように、電圧を加えない場合では全く遺伝子導入が起こらなかった。一方、電圧を印加することにより遺伝子導入が確認された。明視野顕微鏡像から求めた電極上の全接着細胞数、ならびに、蛍光顕微鏡像から求めた蛍光タンパク質発現細胞数を用いて、次式により遺伝子導入効率を算出した。
電場強度75V/cmで遺伝子導入効率は最も高く、200V/cm以上になると導入効率の著しい低下がみられた。また、図4に示すように、トリパンブルー色素排除法によるパルス印加後の細胞生存率は、電場強度100V/cm以下において高い細胞生存率を維持していたが、150V/cm以上になると電気パルス印加のショックによる細胞の剥離や細胞死がみられ、細胞への障害が顕著に認められた。電圧を加えなければ遺伝子導入が起こらない結果より、電気パルスにより電極表面からのDNAの剥離、さらにそれに引き続く電気パルスによる細胞膜の不安定化、もしくは穿孔形成を経てDNAを取り込んでいることを示す。
実施例1と同様の方法でDNA担持金電極基板の上にHEK293細胞を播種し、接着させた後、電気パルスを印加(電場強度75V/cm、パルス幅10msec、パルス回数1回)してエレクトロポレーションを行った。その際、固定化するカチオン性高分子の分子量を変化させ、遺伝子導入効率に対するカチオン性高分子の分子量の効果について検討した。カチオン性高分子は、分子量800、25000および750000のポリエチレンイミン(PEI800、PEI25000、PEI750000と表示、いずれもアルドリッチ社製)、ならびに分子量15000および70000のポリアリルアミン塩酸塩(PAA15000,PAA70000と表示、いずれもアルドリッチ社)を使用した。
図5に遺伝子導入効率とポリエチレンイミン、ポリアリルアミンの分子量の関係を示す。この図からわかるように、ポリエチレンイミンの分子量が増加すると、遺伝子導入効率は低下した。図6に各表面に担持されたDNAの量を示す。さらに、電気パルス(電場強度75V/cm、パルス幅10msec、パルス回数1回)を印加後、上清中に含まれるDNA量をピコグリーンで測定することにより、表面から遊離したDNA量を評価した。その結果は図7に示すとおりである。これらの図から明らかなように、高分子量になるにつれて、DNAの担持量は増加したが、電気パルス印加後の表面からのDNA遊離量は極めて少なかった。反対に、低分子量のポリエチレンイミン表面(PEI800)においては、DNA担持量は少ないものの、電気パルスの印加によって、担持されたDNAの約30%が遊離した。
各カチオン表面における遺伝子導入効率とパルス後に遊離したDNA量の関係を図8に示す。この図から明らかなように、遺伝子導入効率とDNA遊離量の間には正の相関が認められた。この結果は、本発明において遺伝子導入効率は表面からのDNAの遊離量に強く依存していることを示唆する。
実施例1と同様の方法でDNA担持金電極基板上にHEK293細胞を播種し、接着させた後、電気パルスを印加しエレクトロポレーションを行った。その際、細胞播種時から電気パルスを印加するまでの時期を変化させ、遺伝子導入効率に対する細胞培養期間の効果について試験した。
図9に、細胞播種から24、48、72時間の所定時間後に電気パルスを印加し、パルス印加のときから48時間後の細胞の位相差顕微鏡像を示す。この図から細胞播種から24、48、72時間後のいずれの場合も、遺伝子が効率よく導入され発現していることがわかる。また、図10に、電気パルス印加時間と遺伝子導入効率(%)との関係を示す。この結果から、細胞播種から12、24、48、72時間後のいずれの場合も高い遺伝子導入効率が保たれており、望ましい時間に接着細胞へ遺伝子を導入することが可能であることがわかる。
(初代細胞での実証)
ラット胎児脳から海馬を採取し、神経細胞を得た。この初代神経細胞に対し、実施例1と同様の方法でEGFPまたは赤色蛍光タンパク質(DsRed)をコードするプラスミドの導入を行った。
すなわち、実施例1と同様にして、カチオン性表面金電極基板(カチオン性高分子:PEI800)表面に、緑色蛍光タンパク質(EGFP)および赤色蛍光タンパク質(DsRed)をコードするプラスミドDNA(pEGFPおよびpDsRed、クロンテック社製)を担持させ、その表面上で前記初代神経細胞を3日間培養し、電気パルス(125V/cm、10msec、パルス回数1回)を負荷した。電気パルス負荷から48時間後に導入遺伝子の一過性解析を実施例1と同様に行った。
(結果)
図11に電気パルス負荷から48時間後の位相差顕微鏡像(左、phase contrast)および蛍光顕微鏡像(中、右、EGFP,DsRed)を示す。左図の顕微鏡像から見る限り、エレクトロポレーションによる細胞障害は見られない。また中図および右図の蛍光顕微鏡像から、pEGFPおよびpDsRedの両遺伝子が細胞に導入され、それらの遺伝子がコードしている蛍光タンパクEGFPおよびDsRedの発現した様子が確認できる。また、この図から、本遺伝子導入方法により複数の遺伝子を効率よく細胞に導入できることがわかる。
遺伝子導入効率は20%であり、前記HEK293細胞と同様に遺伝子導入を確認することができた。比較のため、従来の方法であるリポフェクション法(下記比較例1参照)およびエレクトロポレーション法(下記比較例2参照)により前記初代神経細胞に遺伝子(pEGFP/pDsRed)を導入したところ、遺伝子導入効率は10〜20%と本発明による手法と有意な差は認められなかった。しかしながら、従来の方法では、細胞への障害が大きく、多くの死細胞が認められた。そのときの死細胞率は20〜30%であった。一方、本発明による遺伝子導入法では細胞障害は全くみられなかった。
(比較例1)
採取した海馬神経細胞を70〜80%のコンフルエンスになるように、ポリL−リジンコートされた24ウェルプレートに播種し、リポフェクタミン(Lipofectamine)2000(インビトロジェン社製)を用いて遺伝子導入を行った。遺伝子DNAは1μg、リポフェクタミン2000は2μlを使用した。リポフェクション2000とDNAは50μlのOpti−MEM(無血清培地)にそれぞれ希釈した。両溶液を混合し、20分室温放置した後、細胞に添加しリポフェクションを行った。リポフェクションから48時間後にEGFPの発現を蛍光顕微鏡で確認した。上述のように、遺伝子導入効率は10〜20%であった。
(比較例2)
採取した海馬神経細胞をPBSで洗浄し、1×10細胞/mLの細胞懸濁液を調製した。その懸濁液200μlにプラスミドDNA(pEGFP)15μgを加え混合した。この溶液をエレクトロポレーションキュベットに注入し、10分間、氷上に静置した。その後、電場強度625V/cm(電極間距離:4mm)、パルス幅10msec、パルス回数1回の条件でエレクトロポレーションを行った。処理後、10分間、室温に放置した後、PLLコート60mm細胞培養皿に播種した。エレクトロポレーションから48時間後にEGFPの発現を蛍光顕微鏡で確認した。上述のように、遺伝子導入効率は10〜20%であった。
実施例1と同様にして調製したカチオン性表面金電極基板の表面に、異なる遺伝子(pEGFPまたはpDsRed)を、それぞれ電極上の直径5mmの部位に限定して、用手法により担持させた。以下実施例1と同様にして、DNA担持金電極基板の表面にHEK293細胞を接着、成長させ、播種24時間後に非接着細胞を除去した後、電気パルス(75V/cm、10msec、パルス回数1回)を負荷した。
図12に電気パルス負荷から48時間後の位相差顕微鏡(左)および蛍光顕微鏡像(右)を示す。左図は、基板全体(約1.5×1.5cm)を観察するために低倍率観察を行った。細胞が基板表面に均一に接着していることがわかる。また右図は、pEGFPおよびpDsRedの遺伝子を固定した領域についての蛍光を各々観察し、重ね合わせ処理したものであり、各遺伝子の固定化領域において、その遺伝子産物に由来する蛍光が観察できる。これらのことから、本発明方法は、場所を限定した遺伝子導入が可能であることがわかる。
片面にインジウム−スズ酸化物(以下、ITOと表示する)を蒸着したガラス基板をプラズマ処理装置(大熊エンジニアリング製、形式:PA300AT)を用いて、酸素プラズマ処理(出力30W、圧力5Pa)を室温で5分間行うことでITO表面を清浄化した。
次に、平均分子量800のポリエチレンイミン(以下、PEI800と表示、アルドリッチ社製)を1%濃度で含むリン酸緩衝溶液(pH7.4)をITO表面に添加し、30分間、室温で静置した。得られた基板の表面を十分に水洗し、窒素ガスで乾燥させ、カチオン性表面ITO電極基板を得た。次に、上記で得られたカチオン性表面ITO電極基板の表面に、エタノールで殺菌したシリコーンスペーサ(内面積:1.3×1.3cm2、高さ:1mm)を圧着し、固定した。次に、緑色蛍光タンパク質をコードするプラスミドDNA(pEGFP−Cl、クロンテック社製)の0.05mg/mLリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を、シリコーンスペーサ内のカチオン性表面ITO電極基板の表面上に添加し、室温、30分間放置して、表面にDNAを静電的に吸着、担持させた。吸着しなかったDNAを除去するため、リン酸緩衝生理食塩水で表面を十分に洗浄した。以後、同様にしてPEI800とDNAとを交互に吸着させることで積層を繰り返した後、リン酸緩衝生理食塩水で表面を十分に洗浄し、DNA担持透明電極基板を得た。
以下、未処理のITO電極基板を積層数0とし、PEIとDNAの吸着回数を積層数として示した。すなわち、PEI800−DNA−PEI800の表面では、積層数は3と示した。PEI800とDNAを交互に吸着積層させたITO電極基板表面の元素組成をX線光電子分光分析法(XPS)で測定した。その結果を表1に示す。
上記表1から分かるように、PEI800の吸着によってNが検出され、DNAの吸着によりPが検出された。また、積層数が増加するとともに、基材のITOに由来するInとSnの存在比が減少した。これらの結果は、ITO電極基板表面上にPEI800とDNAが存在すること、積層によってその膜厚が増加していることを示す。
図13にはPEI800とDNAを交互に吸着積層させたITO電極基板表面のATR−IRスペクトルを示す。1065、1230cm−1の2つの吸収はDNAの骨格を構成するリン酸基に由来するものである。図13からわかるように、積層数が増加すると、それらの吸収は増加した。図14は、これら2つのピーク面積を積層数に対してプロットしたものである。積層数の増加によって、ピーク面積は直線的に増加した。この結果は、積層数の増加によって、ITO基板表面へのDNAの担持量が増加していることを示す。
次に、PEI800とDNAを交互に吸着させたときのITO電極基板表面の水接触角測定を行い、表面の濡れ性の変化を調査した。図15にその結果を示す。最表面がPEI800のときの水接触角は約45度であり、最表面がDNAのときは約32度であった。図15からわかるように、最表面の種類に応じて、接触角が変化した。この結果は、PEI800とDNAの交互積層膜がITO電極基板表面に形成されていることを示す。PEI800を1層吸着させた表面では、その接触角がその後のPEI800表面と比べて低いことから、PEI800がITO表面を完全に覆っておらず、基材のITO表面が部分的に露出していると考えられる。
実施例7に従って作製したDNA担持ITO電極基板上で細胞へのエレクトロポレーションを行った。まず、ヒト胎児腎臓由来細胞(HEK293:(財)ヒューマンサイエンス財団より分譲)を血清含有培地(培地組成:最小必須培地(MEM)(Gibco Life Technology)、10%ウシ胎児血清、100unit/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン)に懸濁させ、その懸濁液をDNA担持透明電極基板(積層数5、基材:ポリエチレンテレフタレート(PET))の表面上に滴下した。これを37℃および5%CO2の雰囲気下で培養することで、細胞を表面に接着、成長させた。24時間後、培地を4℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)と交換して非接着細胞を除去し、リン酸緩衝生理食塩水を満たした後、片面に金薄膜を蒸着したガラス基板を第2電極としてシリコーンスペーサに固定した。それらの配置を図1(但し、本実施例では、記号EはITO電極である)に示す。
次に、DNA担持透明電極基板を陰極(−)、他方を陽極(+)として高電圧パルス発生装置(Electrosquareporator T820、BTX社製)に接続し、電場強度250V/cm、パルス幅10msec、印加回数1回の条件で電気パルスを印加し、エレクトロポレーションを行った。パルス印加後、室温で5分間インキュベーションした後、ウェル内のリン酸緩衝生理食塩水をあらかじめ37℃に保温してあった血清含有培地で交換し、37℃および5%CO2の雰囲気下で細胞培養を行った。
エレクトロポレーションから48時間後に導入遺伝子の一過的発現の解析を行った。方法は、蛍光顕微鏡下で緑色蛍光タンパク質(EGFP)に起因する緑色蛍光を発する細胞をカウントし、遺伝子導入効率を全細胞数当たりのEGFP陽性細胞数として算出した。
図16にエレクトロポレーションから48時間後のHEK293細胞の位相差顕微鏡像(A)と蛍光顕微鏡像(B)を示す。この図からわかるように、基板表面上の約70%の細胞がEGFPを発現していた。このことは、本発明の手法が効率的に遺伝子導入できる方法であることを明確に示す。また、細胞の明視野、蛍光観察において、非常に鮮明で明るい像が得られた(基材としてガラスを用いた場合)。このことは、透明電極を用いることで細胞の観察が非常に良好に実施できることを示す。
実施例8と同様に、DNA担持透明電極基板(積層数5、基材:PET)上にHEK293細胞を播種し、接着させた後、電気パルスを印加してエレクトロポレーションを行った。その際、電気パルスの電圧を変化させ、遺伝子導入効率に対する電場強度の効果について検討した。なお、印加電圧以外のパルス印加条件は、実施例8と同じ(パルス幅10msec、パルス回数1回)とし、遺伝子導入効率は、電気パルス印加から48時間後のEGFP陽性細胞率として評価した。また同時に、細胞生存率に対する電場強度の効果を検討した。細胞生存率は、電気パルス印加から48時間後、細胞をトリプシン処理で回収し、トリパンブルー色素排除法により評価した。すなわち、トリパンブルーによって染色されなかった細胞の数(生細胞数)を求め、電気パルスを印加していないコントロールの生細胞数に対する割合を算出した。以下に細胞生存率の計算式を示す。
結果は図17の通りである。図17に示すように、電圧を加えない場合では全く遺伝子導入が起こらなかった。一方、電圧を印加することにより遺伝子導入が確認された。トリパンブルー色素排除法により求めた電極上の全生細胞数、ならびに、蛍光顕微鏡像から求めた蛍光タンパク質発現細胞数を用いて、次式により遺伝子導入効率を算出した。
電場強度を増加することで、遺伝子導入効率は直線的に上昇した。300V/cm以上になると導入効率はプラトーに達し、約80%の遺伝子導入効率が得られた。一方、トリパンブルー色素排除法によるパルス印加後の細胞生存率は、電場強度250V/cm以下において良好な細胞生存率を維持していたが、300V/cm以上になると電気パルス印加のショックによる細胞の剥離や細胞死が顕著に認められた。電圧を加えなければ遺伝子導入が起こらない結果より、電気パルスによる電極表面からのDNAの剥離、さらに電気パルスによる細胞膜の不安定化による穿孔の形成が同時に起こり、その穿孔を通じて剥離したDNAを取り込んでいることを示す。
実施例8と同様の方法でDNA担持ITO電極基板(積層数5、基材:PET)の上にHEK293細胞を播種し、接着させた後、電気パルスを印加(電場強度250V/cm、パルス幅10msec、パルス回数1回)してエレクトロポレーションを行った。その際、PEI800とDNAの積層数を変化させ、遺伝子導入効率に対する積層数の効果について検討した。
図18に遺伝子導入効率と積層数の関係を示す。この図からわかるように、積層数が増加すると、細胞生存率を維持しながら遺伝子導入効率は増加した。図19には、各積層数の表面に担持されたDNAの量を示す。積層数が多くになるにつれて、DNAの担持量は増加した。
次に、電気パルス(電場強度200−300V/cm、パルス幅10msec、パルス回数1回)を印加後、上清中に含まれるDNA量を蛍光染料であるピコグリーン(モレキュラープローブ社製)で測定することにより、表面から遊離したDNA量を評価した。図20に、各条件における遺伝子導入効率とパルス後に遊離したDNA量の関係を示す。積層数の増加により、パルス印加後のDNA遊離量は増加した。電気パルスの印加により、担持されたDNAの約10−30%が遊離した。この図から明らかなように、遺伝子導入効率とDNA遊離量の間には正の相関が認められた。この結果は、本発明において遺伝子導入効率は表面からのDNAの遊離量に依存していることを示唆する。
(初代細胞での実証)
ラット胎児脳から海馬を採取し、神経細胞を得た。この初代神経細胞に対し、実施例8と同様の方法でEGFPと赤色蛍光タンパク質(DsRed)をそれぞれコードする2種類のプラスミドの導入を行った。
すなわち、実施例8と同様にして、緑色蛍光タンパク質(EGFP)および赤色蛍光タンパク質(DsRed)をコードするプラスミドDNA(pEGFPおよびpDsRed、クロンテック社製)を担持させた透明電極基板(積層数5、電極:ITO、基材:ガラス)表面上で、前記初代神経細胞を3日間培養し、電気パルス(200V/cm、10msec、パルス回数1回)を負荷した。電気パルス負荷から48時間後に導入遺伝子の一過性解析を実施例8と同様に行った。
(結果)
図21に電気パルス負荷から48時間後の位相差顕微鏡像(左、phase contrast)および蛍光顕微鏡像(中、右、EGFP,DsRed)を示す。左図の顕微鏡像から見る限り、エレクトロポレーションによる細胞障害は見られない。また中図および右図の蛍光顕微鏡像から、pEGFPおよびpDsRedの両遺伝子が細胞に導入され、それらの遺伝子がコードしている蛍光タンパクEGFPおよびDsRedの発現した様子が確認できる。また、この図から、本遺伝子導入方法により複数の遺伝子を効率よく同一細胞に導入できることがわかる。さらにこの結果は、細胞播種から3日間の培養期間後にエレクトロポレーションを実施した場合でも、効率よく遺伝子導入できることを示している。このことより、本手法は遺伝子導入のタイミングを任意に設定することが可能であることがわかった。
(ITO電極基板表面への核酸のアレイ化とエレクトロポレーション)
ITO電極基板(基材:ガラス)の表面を酸素プラズマ処理により清浄化した。次に、ITO電極基板をオクタデシルトリエトキシシラン(LS−6970、信越化学)の1%トルエン溶液に浸漬し、室温で2時間静置した。その後、電極基板をトルエンとエタノールで十分に洗浄した後、80℃で12時間静置した。次に、石英ガラスにクロムパターンを蒸着したフォトマスクを電極基板表面上に重ねて固定し、室温で1時間紫外線を照射した。マスクを取り外した後、基板をエタノールで洗浄し、紫外線照射によって分解された有機シラン層を除去した。この操作によって、疎水性の有機シラン単分子層の領域と親水性のITO表面の露出した領域からなるパターン化表面が作製できる。
作製したパターン化ITO電極基板(ITOが露出した丸スポット:直径1mm、10×10点)のITOスポット表面に、PEI800とプラスミドDNA(pEGFP、pDsRed、もしくは両者の混合物)とを、それぞれ電極上の部位を限定して、用手法により交互に吸着担持させた(積層数5)。以下実施例8と同様にして、DNA担持透明電極基板の表面にHEK293細胞を接着、成長させ、播種24時間後に非接着細胞を除去した後、電気パルス(200V/cm、10msec、パルス回数1回)を負荷した。
図22に電気パルス負荷から48時間後の蛍光顕微鏡像を示す。基板全体(約1.7×1.7cm2)を観察するために低倍率観察を行った。この図は、発現したEGFPおよびDsRedの蛍光を各々観察し、重ね合わせ処理したものであり、各遺伝子の固定化領域において、その遺伝子産物に由来する蛍光が観察できる。また、両遺伝子を混合したスポット上の細胞は両方のタンパク質を共発現した。これらのことから、本発明方法は、場所を限定した遺伝子導入が可能であることがわかる。
本発明にかかる核酸導入法は、細胞障害を与えず、効率よく遺伝子導入が可能であり、さらに遺伝子導入の時期、場所を限定できる。このため、本発明にかかる核酸導入法は、細胞レベルでの遺伝子や遺伝子産物の機能解析が効率よく実施でき、細胞生物学、ポストゲノム、プロテオーム研究を大きく促し、医療への多大な貢献をなすものである。

Claims (26)

  1. エレクトロポレーション法により細胞に核酸を導入する方法であって、
    (A)電極の表面に核酸を担持させる工程;
    (B)得られた核酸担持電極の表面に細胞を接着させる工程;および
    (C)接着した細胞に電気パルスを印加する工程;
    からなる方法。
  2. エレクトロポレーション法により細胞に核酸を導入する方法であって、
    (a)カチオン性表面電極基板を提供する工程;
    (b)該カチオン性表面電極基板の表面に核酸を吸着、担持させる工程;
    (c)工程(b)で得られた核酸担持電極基板の表面に細胞を接着させる工程;および
    (d)該細胞に電気パルスを印加する工程;
    からなる方法。
  3. カチオン性表面電極基板が、電極基板の表面に、末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板である請求の範囲第2項記載の方法。
  4. カチオン性表面電極基板が、電極基板の表面に、末端にカチオン性官能基を有するチオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物またはシラン処理剤の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜の表面にアニオン性高分子が吸着され、さらにその表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板である請求の範囲第2項記載の方法。
  5. カチオン性表面電極基板が、透明電極基板の表面にカチオン性高分子を吸着させてなるカチオン性表面電極基板である請求の範囲第2項記載の方法。
  6. 工程(b)を、カチオン性表面電極基板の表面に直接核酸を1回だけ吸着させるか、あるいは該表面に核酸およびカチオン性高分子を、核酸、カチオン性高分子、核酸の順序で交互吸着法により積層させることにより行う請求の範囲第2項記載の方法。
  7. 電極基板が、白金、金およびアルミニウムから選ばれる金属の電極基板である請求の範囲第3項または第4項記載の方法。
  8. 電極基板が、金電極基板である請求の範囲第3項または第4項記載の方法。
  9. 金電極基板が、金蒸着したガラス基板もしくは透明プラスチック基板である請求の範囲第8項記載の方法。
  10. 透明電極基板が、インジウム−スズ酸化物、酸化インジウム、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモンをドープした酸化スズを蒸着したガラス基板もしくは透明プラスチック基板である請求の範囲第5項記載の方法。
  11. 透明電極基板が、インジウム−スズ酸化物を蒸着したガラス基板もしくは透明プラスチック基板である請求の範囲第5項記載の方法。
  12. 末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物が、式(1):
    (CH−SH (1)
    (式中、Rはアニオン性官能基を表し、nは1〜40の整数を表す。)
    で示されるチオール化合物である請求の範囲第3項記載の方法。
  13. がカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基およびホスホン酸基から選ばれる基である請求の範囲第12項記載の方法。
  14. 式(1)で示されるチオール化合物が、11−メルカプトウンデカン酸、8−メルカプトオクタン酸および15−メルカプトヘキサデカン酸から選ばれるメルカプトアルカン酸である請求の範囲第12項記載の方法。
  15. カチオン性高分子が、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、アミノアセタール化ポリビニルアルコール、1〜4級アミンを側鎖末端に持つアクリル系またはメタクリル系ポリマー、酸処理ゼラチン、プロタミン、ポリリジン、ポリオルニチン、ポリアルギニン、キトサン、DEAE−セルロース、DEAE−デキストランおよびポリアミドアミンデンドリマーから選ばれる高分子である請求の範囲第3項、第4項または第5項記載の方法。
  16. 末端にカチオン性官能基を有するチオール化合物が、式(2):
    (CH−SH (2)
    (式中、Rはカチオン性官能基を表し、nは1〜40の整数を表す。)
    で示されるチオール化合物である請求の範囲第4項記載の方法。
  17. がアミノ基である請求の範囲第16項記載の方法。
  18. 核酸がDNA、RNA、アンチセンス核酸、siRNAまたはそれらの発現ベクターである請求の範囲第1項または第2項記載の方法。
  19. 核酸がタンパク質をコードするDNAまたはその一部である請求の範囲第1項または第2項記載の方法。
  20. 工程(B)を、核酸担持電極の表面で細胞を培養することにより行う請求の範囲第1項記載の方法。
  21. 工程(c)を、核酸担持電極基板の表面で細胞を培養することにより行う請求の範囲第2項記載の方法。
  22. 工程(C)を、細胞を介して電極基板に対峙して反対電極を設け、両電極間に電気パルスを発生させることにより行う請求の範囲第1項記載の方法。
  23. 工程(d)を、細胞を介して電極基板に対峙して反対電極を設け、両電極間に電気パルスを発生させることにより行う請求の範囲第2項記載の方法。
  24. カチオン性表面電極基板が、ミクロパターン化表面をもつ基板である請求の範囲第2項記載の方法。
  25. 電極基板の表面に、末端にアニオン性官能基を有するチオール化合物、ジスルフィド化合物もしくはスルフィド化合物の単分子膜が形成されており、かつ該単分子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板。
  26. ガラス基板上に金蒸着した金電極基板の表面に、式(1):
    (CH−SH (1)
    (式中、Rはアニオン性官能基を表し、nは1〜40の整数を表す。)
    で示されるチオール化合物の単分子膜が形成されており、該単分子膜の表面にカチオン性高分子が吸着されてなるカチオン性表面電極基板。

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