JP2013192523A - 細胞試験用基板及びそれを用いた細胞試験方法 - Google Patents

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智紀 赤井
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Abstract

【課題】導電性領域と絶縁性領域とを有する基材、並びにその導電性領域上に形成された細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とを備え、導電性領域上で細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とが隣り合っている細胞試験用基板において、導電性領域への電圧印加により細胞接着阻害性領域が効率的に細胞接着性に変化するような基板、ならびに当該基板を用いた細胞試験方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、第1導電性領域と第2導電性領域と絶縁性領域とが配置された基材を備え、第1導電性領域と第2導電性領域は互いに電気的に独立しており、基材の平面視において、第1導電性領域は先端に膨らみ部を有し、該膨らみ部が第2導電性領域に包囲されており、第1導電性領域の膨らみ部上に、細胞接着性領域と、該細胞接着性領域に隣接し且つ第1導電性領域に電圧印加することにより細胞接着性に変化する細胞接着阻害性領域とが配置されている、細胞試験用基板に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞試験用基板及びその基板を用いた細胞試験方法に関する。
現在、様々な動物や植物の細胞培養が行われており、また、新たな細胞の培養法が開発されている。細胞培養の技術は、細胞の生化学的現象や性質の解明、有用な物質の生産等の目的で利用されている。さらに、培養細胞を用いて、人工的に合成された薬剤の生理活性や毒性を調べる試みがなされている。
一部の細胞(特に多くの動物細胞)は、何かに接着して生育する接着依存性を有しており、生体外の浮遊状態では長期間生存することができない。このような接着依存性を有した細胞の培養には、細胞が接着するための担体が必要であり、一般的には、コラーゲンやフィブロネクチン等の細胞接着性タンパク質を均一に塗布したプラスチック製の培養皿が用いられている。これらの細胞接着性タンパク質は、培養細胞に作用し、細胞の接着を容易にし、細胞の形態に影響を与えることが知られている。
一方、細胞の遊走は免疫応答や受精後の胚形態形成、組織修復及び再生等の様々な段階に関与している。また、癌やアテローム動脈硬化症、関節炎等の疾患の進行においても極めて重要な役割を持つ。具体的には、血管内皮を通しての細胞の遊走は、炎症、アテローム性動脈硬化症、癌の転移といった状態の病態生理における重要な現象である。そのため、インビトロでの細胞遊走を測定する方法は、長年に渡って開発されてきた。
細胞遊走アッセイに関して既に市販されている装置としては、古典的なボイデンチャンバ、細胞培養インサート、FluoroBlock(登録商標)(BD Biosciences)、Cell Motility HitKit(登録商標)(Cellomics)がある。しかし、こうした装置では、接着した細胞の遊走方向を制御して、定量的に細胞遊走をアッセイすることは困難である。
(非特許文献1)には、パターニングされていない全面が導電性の基板上で、電圧の印加により、細胞の接着及び非接着を制御する技術が記載されている。しかし、この基板では、電圧の印加により基板上の全面の性質が変化してしまうため、基板上に細胞を接着させた後、特定の領域のみを細胞接着性に改変させて、その領域にのみ細胞を制御して遊走させることはできない。
特定の領域に細胞を遊走させて観測するための基板は、(非特許文献2)に開示されている。この基板は、ウェル内に細胞を播種しコンフルエントに培養した後、ピンで細胞を引っ掻くことにより創傷パターンを作製し、その創傷パターンへ向かって周りから細胞が遊走する過程を観測するものである(スクラッチアッセイ)。このような基板を用いるスクラッチアッセイは、ピンで創傷パターンを形成することから、傷のサイズ(幅)に物理的制約があり、せいぜいミリオーダー程度までしか小さくすることができない。また、傷のエッヂが汚く、ウェル間での傷形状のばらつきが大きいという問題がある。また、創傷時、ピンと細胞との物理的接触により細胞が浮遊したり、細胞内容物が漏出するといった欠点もある。さらに、綺麗な傷を形成するには実験者の習熟を要する等の問題もあった。
これに対し、本発明者らは、導電性領域と絶縁性領域とを有する基材、並びにその導電性領域上に形成された細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とを備え、導電性領域上において細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とが隣り合っている細胞培養用基板を開発し、既に特許出願を行っている(特許文献1)。この細胞培養用基板に細胞を播種し、細胞接着性領域に細胞を接着させ、導電性領域に電圧を印加して導電性領域上の細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させることにより、細胞接着性領域に接着している細胞の、細胞接着性に変化した領域への遊走を観察することができる。しかし、この細胞培養用基板において、導電性領域に電圧を印加する工程において、導電性領域上の細胞接着阻害性領域が細胞接着性にうまく変化しない場合があった。
特開2011−101638
Jiang X, Ferrigno R, Mrksich M, Whitesides GM. 2003. "Electrochemical desorption of self-assembled monolayers noninvasively releases patterned cells from geometrical confinements." J. Am. Chem. Soc. 125: 2366-7. Justic C Yarrow, et al., A high-throughput cell migration assay using scratch wound healing, a comparison of image-based readout methods," BMC Biotechnology 2004, 4: 21.
そこで本発明は、導電性領域と絶縁性領域とを有する基材、並びにその導電性領域上に形成された細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とを備え、導電性領域上で細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とが隣り合っている細胞試験用基板において、導電性領域への電圧印加により細胞接着阻害性領域が効率的に細胞接着性に変化するような基板、ならびに当該基板を用いた細胞試験方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。
(1)第1導電性領域と第2導電性領域と絶縁性領域とが配置された基材を備え、
第1導電性領域と第2導電性領域は互いに電気的に独立しており、
基材の平面視において、第1導電性領域は先端に膨らみ部を有し、該膨らみ部が第2導電性領域に包囲されており、
第1導電性領域の膨らみ部上に、細胞接着性領域と、該細胞接着性領域に隣接し且つ第1導電性領域に電圧印加することにより細胞接着性に変化する細胞接着阻害性領域とが配置されている、
細胞試験用基板。
(2)導電性領域が、基材表面に透明電極材料の膜が存在する領域である(1)記載の細胞試験用基板。
(3)第1導電性領域の膨らみ部が略円形である(1)又は(2)記載の細胞試験用基板。
(4)第1導電性領域の膨らみ部の寸法が1〜10mmであり、該膨らみ部とそれを包囲する第2導電性領域とが、10〜500μmの間隔で隔離されている、(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞試験用基板。
(5)細胞を試験する方法であって、
(i)(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞試験用基板に細胞を播種し、細胞接着性領域に細胞を接着させる工程と、
(ii)細胞接着阻害性領域に電圧印加することにより、細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させる工程と、
を含む前記方法。
本発明の細胞試験用基板により、細胞接着阻害性領域を再現性よく細胞接着性に変化させることが可能になり、細胞遊走の観測等を効率的に行うことができる。例えば、薬剤を投与し、細胞の挙動を観測することで、効率的な創薬スクリーニングアッセイを行うことが可能である。また、従来のスクラッチアッセイ等の技術と比べて、電圧印加により創傷パターン(細胞接着性の領域)を形成するため、細胞に対する物理的な接触がなく、細胞内容物の漏出等の問題を生じない。
本発明の細胞試験用基板の第1の実施形態の平面視の図である。 本発明の細胞試験用基板の第2の実施形態の平面視の図である。 本発明の細胞試験用基板の第3の実施形態及び第4の実施形態の平面視の図である。 本発明の細胞試験用基板の第5の実施形態を示す断面図である。 本発明の細胞試験用基板を用いた細胞遊走の観察過程を説明する図である。 実施例で使用した導電性領域のパターン(a)とフォトマスクのパターン(b)を示す図である。 実施例における電圧印加前後の細胞遊走の様子を示す写真である。 比較例における電圧印加前後の細胞遊走の様子を示す写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の細胞試験用基板の第1の実施形態を図1に基づいて説明する。図1に示すように、この細胞試験用基板10は、第1導電性領域11と第2導電性領域12と絶縁性領域13とが配置された基材14を備え、第1導電性領域11と第2導電性領域12は互いに電気的に独立しており、基材の平面視において、第1導電性領域11は先端に膨らみ部15を有し、第1導電性領域11の膨らみ部15が第2導電性領域12に包囲されており、第1導電性領域11の膨らみ部15上に、細胞接着性領域16と、該細胞接着性領域16に隣接し且つ第1導電性領域11に電圧印加することにより細胞接着性に変化する細胞接着阻害性領域17とが配置されていることを特徴とするものである。
本発明において細胞接着性とは、細胞が接着すること、又は細胞が接着しやすいことを意味する。細胞接着阻害性とは、細胞が接着しにくいこと又は細胞が接着しないことを意味する。したがって、細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とがパターン化されて配置された基材上に細胞を播種すると、細胞接着性領域には細胞が接着するが、細胞接着阻害性領域には細胞が接着しないため、基材上には細胞がパターン状に配列されることになる。
細胞接着性の程度は、接着させる細胞によって異なる場合もあるため、細胞接着性とは、ある種の細胞に対して細胞接着性であることを意味する。したがって、細胞試験用基板には、複数種の細胞に対する複数の細胞接着性領域が存在する場合、すなわち細胞接着性が異なる細胞接着性領域が2水準以上存在する場合もある。
本発明の細胞試験用基板における、細胞接着性領域及び細胞接着阻害性領域の構造としては、例えば、以下の2つの形態が挙げられる。
第一の形態は、細胞接着性領域が、炭素酸素結合を有する有機化合物を含む細胞接着阻害性の親水性膜に酸化処理及び/又は分解処理を施して細胞接着性とした領域である形態である。この形態では、電極上に炭素酸素結合を有する有機化合物を含む細胞接着阻害性の親水性膜を形成し、次いで、細胞の接着が望まれる領域に対して酸化処理及び/又は分解処理を施すことにより当該領域に細胞接着性を付与して細胞接着性領域に改変する。前記処理を施さない部分は細胞接着阻害性領域である。
第二の形態は、細胞接着性領域が、炭素酸素結合を有する有機化合物を低密度で含む親水性膜で形成されている形態である。この形態は、炭素酸素結合を有する有機化合物を高密度で含む親水性膜が細胞接着阻害性を有するのに対して、前記化合物を低密度で含む親水性膜は細胞接着性を有することを利用したものである。基材上に前記化合物が結合しやすい第一領域と結合しにくい第二領域とを設け、該基材上に前記化合物の膜を形成すると、第一領域は細胞接着阻害性領域となり、第二領域は細胞接着性領域となる。
さらに、本発明の細胞試験用基板においては、第1導電性領域上の細胞接着阻害性領域が、電圧印加、好ましくは第1導電性領域への正電圧の印加によって細胞接着性に変化する。電圧の印加によって細胞接着性に変化した領域は、上記のように炭素酸素結合を有する有機化合物を含む細胞接着阻害性の親水性膜に酸化処理及び/又は分解処理を施して得られる細胞接着性領域とは、詳細な表面性状が異なる場合がある。
(基材)
細胞試験用基板に用いられる基材14としては、導電性領域11及び12を形成可能な材料から構成されるものであれば特に制限されない。絶縁性材料からなる基材上に導電性領域を形成することが好ましい。具体的には、ガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナ、サファイア、フォルステライト、感光性ガラス、セラミック、シリコン、エラストマー、プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料を挙げることができる。その形状も限定されず、例えば、平板、平膜、フィルム、多孔質膜等の平坦な形状、シリンダ、スタンプ、マルチウェルプレート、マイクロ流路等の立体的な形状、並びに表面に凹凸が形成された形状が挙げられる。フィルムを使用する場合、その厚さは特に制限されないが、通常0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μm、より好ましくは10〜200μmである。
特に、細胞の大きさよりも小さい1nm〜10μm程度の微細な凹凸が表面に付加された基材を用い、導電性領域上の細胞接着性領域も同様の形状となる場合には、接着した細胞の形状や挙動を制御して、試験を効果的に行うことが可能である。微細な凹凸とは例えば、ラインパターンの場合、深さ1nm〜10μm、ライン凸部の幅1nm〜10μm、ライン凹部の幅1nm〜10μmである凹凸を指す。
細胞試験用基板10は、例えば、図4に示すように、表面に第1導電性領域11、第2導電性領域12及び絶縁性領域13、並びに細胞接着性領域16及び細胞接着阻害性領域17が配置された基材10に対し、貫通孔が設けられた側壁部材23を接着等の手段により一体化させることによって、基材10を底面とする凹部24を形成して作製してもよい。
凹部24の形状、大きさ、深さ等の寸法は、凹部24に配置された導電性領域上に細胞を播種できるものであればよく、特に限定はされない。凹部24の形状は、特に制限されず、複数の凹部を互いに連結した構造であってもよい。
図4に示すように、それぞれ第1導電性領域及び第2導電性領域と電気的に接触するとともに、側壁部材23の外側につながるリード線25を配置することができる。このような構造により、例えば、側壁部材に蓋をした状態でも電圧を印加して、細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させ、そのまま観察を行うことができるため、細胞培養中のコンタミネーションのリスクを回避することができる。
(導電性領域)
絶縁性材料からなる基材上に導電性領域を形成する場合、公知のパターニング技術を利用できる。公知のパターニング技術としては、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法及びコンタクトプリンティング法等の各種印刷法による方法、各種リソグラフィー法を用いる方法、並びにインクジェット法による方法、他に微細な溝を彫刻等する立体成型の手法等が挙げられる。具体的には、絶縁性材料からなる基材、例えばガラス基材に、電極材料、例えば金属膜又は金属酸化物膜を成膜し、これをフォトリソグラフィ技術等の公知の技術を用いてパターニングすることにより、所望のパターンの導電性領域を形成することができる。
基材上への電極材料の成膜は、公知の方法で行うことができる。例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical vapor deposit)法、ECRCVD(Electric cyclotron resonance chemical vapor deposit)法、ICP(Inductive coupled plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric cyclotron resonance)、スパッタリング法、イオン化蒸着法、アーク式蒸着法、レーザ蒸着法、EB(Electron beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法等が挙げられる。成膜は、塗布により実施してもよい。スピンコートや各種の印刷方式も使用できる。
導電性領域を構成する電極材料として、金属又は金属酸化物、金属微粒子や導電性ナノファイバーが絶縁体に分散された膜、導電性の有機材料等が挙げられる。金属としては、銀、金、銅、白金等が挙げられ、金属酸化物としては、ITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、SnO(酸化スズ)等が挙げられ、金属微粒子としては、銀、金、銅、白金等の微粒子、導電性ナノファイバーとしてはカーボンナノチューブ、導電性の有機材料としては、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられる。
導電性領域は、特に制限されないが、透明電極材料の膜で構成されることが好ましい。透明電極材料としては、例えば、ITO、IZO、SnO、導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。また、電圧印加後も透明であることが好ましい。本発明においては、ITOをスパッタリング法により基材上に成膜して、その後パターニングすることにより、導電性領域を形成することが好ましい。透明な電極材料の膜は、細胞の観察において有利である。
電極材料の膜の厚さは、通常、単分子膜〜100μm程度であり、好ましくは2nm〜1μm、より好ましくは5nm〜500nmである。
上記のような導電性領域のパターニングを行う場合は、具体的には、成膜した金属又は金属酸化物に対し、レジスト塗布、フォトマスクを介した露光、現像及びエッチングを行って実施することができる。
本発明において、第1導電性領域及び第2導電性領域は、互いに電気的に独立しており、それぞれ電圧を印加するための電極として機能する。本発明者らは、この第1導電性領域及び第2導電性領域のパターンの形状が、電圧印加の効率に影響を及ぼすことを見出した。そして、基材の平面視において、第1導電性領域が先端に膨らみ部を有し、第1導電性領域の膨らみ部が第2導電性領域に包囲されている形状に導電性領域をパターニングすることにより電圧印加が効率よく安定に行われ、再現性が高く、そして、第1導電性領域上の細胞接着阻害性領域が効率よく細胞接着性に変化することを見出した。ここで、「平面視」とは、基材を上から見た場合の平面形状をさす。
第1導電性領域の先端とは、連続する第1導電性領域の中で、電圧を印加する部分、例えばリード線をつなぐ部分からみて反対側にある端部をさす。通常、電圧を印加する部分は、基材の外周側に位置し、先端部は、電圧を印加する部分からみて、内側又は第2導電性領域に近い側にある。
膨らみ部は、連続する第1導電性領域において、電圧印加部へ連結する領域、例えば図1における接続部19と比べて、幅が広くなっている部分をさす。本発明において、導電性領域の平面視における形状は、第1導電性領域と第2導電性領域は互いに電気的に独立しており、第1導電性領域は先端に膨らみ部を有し、該膨らみ部が第2導電性領域に包囲されている限り、その他の形状については特に制限されない。例えば、図1に示すように、電圧印加部18は面積の広い基部を構成し、そこから接続部19を経て膨らみ部15が構成されていてもよいし、あるいは、図1のような基部は存在せず、図2のように接続部19に直接電圧を印加する構成でもよい。基部が存在することにより、配線の際にアライメントの必要がなくなるという利点がある。
膨らみ部15の形状は、特に制限されないが、好ましくは略円形である。ここで膨らみ部の形状とは、例えば図1に示すような接続部19を除いた膨らみ部の形状をさす。膨らみ部の形状を略円形とすることにより、第2導電性領域に包囲されている形状を構成しやすく、電圧印加を効率よくかつ安定に実施できる。略円形には、円形にゆがみや凹凸部を有するもの、楕円形、多角形(4角形〜20角形等)などが包含され、好ましくは円形である。膨らみ部の寸法は1〜10mmであることが好ましく、2〜6mmであることがさらに好ましい。ここで膨らみ部の寸法は、円形の場合は直径、その他略円形の場合は長径又は一番長い部分をさす。このようなサイズとすることにより、電圧を効率よく再現性をもって印加できるとともに、顕微鏡の視野内に収まるので細胞観察に都合がよい。また、通常の細胞培養に用いるシャーレのウェルやマイクロプレートのウェル外に電極がはみ出すことなく、配置することが出来る。
本発明の細胞試験用基板は、第1導電性領域の膨らみ部が第2導電性領域に包囲されていることを特徴とするが、それにより電圧を安定して印加することができる。包囲されているとは、第1導電性領域の膨らみ部の外周部分が第2導電性領域に囲まれていることをさすが、外周部分の一部が包囲されている場合も包含する。例えば、膨らみ部の外周部の長さを基準として、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%が包囲されている。ここで膨らみ部の外周部とは、例えば、図1に示すような接続部を除いた部分の外周部20をさす。
第1導電性領域の膨らみ部15と、該膨らみ部を包囲する第2導電性領域12とは、一定の間隔で隔離されていることが好ましい。ここで、第1導電性領域の膨らみ部と、該膨らみ部を包囲する第2導電性領域12との間隔は、例えば図1における間隔21をさす。この間隔は、好ましくは10〜500μm、より好ましくは100〜300μmである。この間隔にすることにより、過剰に電圧がかかることなく、また電圧印加不足を防ぎ、効率的に細胞接着阻害性領域の脱離を起こさせることができる。
第1導電性領域の膨らみ部を包含する第2導電性領域の部分22は特に制限されないが、例えば、図1及び図2に示すようなC型の形状、図3aに示すような半円形のくぼみを有する形状とすることができる。また、図3bに示すような第1導電性領域を完全に覆っている形状でもよい。
第1導電性領域と第2導電性領域を上記のようにパターニングすることにより、効率よくかつ安定して電圧を印加可能なことから、本発明は、比較的導電性の低い透明電極材料、例えば、ITO、IZO、SnO及びポリエチレンジオキシチオフェン等の膜で導電性領域を構成する場合に特に有利であり、第1導電性領域の膨らみ部上の細胞接着阻害性領域を効率的に細胞接着性に変化させることができる。
(細胞接着阻害性領域)
細胞接着阻害性領域は、好ましくは、炭素酸素結合を有する有機化合物により形成される親水性膜からなる。当該親水性膜は、水溶性や水膨潤性を有する、炭素酸素結合を有する有機化合物を主原料とする薄膜であり、酸化される前は細胞接着阻害性を有し、酸化及び/又は分解された後は細胞接着性を有しているものであれば特に限定されない。
本発明において炭素酸素結合とは、炭素と酸素との間に形成される結合を意味し、単結合に限らず二重結合であってもよい。炭素酸素結合としてはC−O結合、C(=O)−O結合、C=O結合が挙げられる。
主原料としては、水溶性高分子、水溶性オリゴマー、水溶性有機化合物、界面活性物質、両親媒性物質等が挙げられ、これらが相互に物理的又は化学的に架橋し、電極と物理的又は化学的に結合することにより親水性薄膜となる。
具体的な水溶性高分子材料としては、ポリアルキレングリコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリメタクリル酸及びその誘導体、ポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、双性イオン型高分子、多糖類等を挙げることができる。分子形状は、直鎖状、分岐を有するもの、デンドリマー等を挙げることができる。より具体的には、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体、例えば、Pluronic F108、Pluronic F127、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリン)、メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリンとアクリルモノマーの共重合体、デキストラン、及びヘパリン等が挙げられるがこれらには限定されない。
具体的な水溶性オリゴマー材料や水溶性低分子化合物としては、アルキレングリコールオリゴマー及びその誘導体、アクリル酸オリゴマー及びその誘導体、メタクリル酸オリゴマー及びその誘導体、アクリルアミドオリゴマー及びその誘導体、酢酸ビニルオリゴマーの鹸化物及びその誘導体、双性イオンモノマーからなるオリゴマー及びその誘導体、アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体、双性イオン化合物、水溶性シランカップリング剤、水溶性チオール化合物等を挙げることができる。より具体的には、エチレングリコールオリゴマー、(N−イソプロピルアクリルアミド)オリゴマー、メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリンオリゴマー、低分子量デキストラン、低分子量ヘパリン、オリゴエチレングリコールチオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−〔メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル〕トリメトキシシラン、及びトリエチレングリコール−ターミネーティッド−チオール等が挙げられるがこれらには限定されない。
親水性膜は、処理前は高い細胞接着阻害性を有し、酸化処理及び/又は分解処理後は細胞接着性を示すものであることが望ましい。
親水性膜の平均厚さは、0.8nm〜500μmが好ましく、0.8nm〜100μmがより好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、1.5nm〜1μmが最も好ましい。平均厚さが0.8nm以上であれば、タンパク質の吸着や細胞の接着において、基材もしくは電極表面の親水性薄膜で覆われていない領域の影響を受けにくいため好ましい。また、平均厚さが500μm以下であればコーティングが比較的容易である。
導電性領域上への親水性膜の形成方法としては、導電性領域へ親水性有機化合物を直接吸着させる方法、導電性領域へ親水性有機化合物を直接コーティングする方法、導電性領域へ親水性有機化合物をコーティングした後に架橋処理を施す方法、導電性領域への密着性を高めるために多段階式に親水性薄膜を形成させる方法、導電性領域との密着性を高めるために電極の上に下地層を形成し、次いで親水性有機化合物をコーティングする方法、電極の表面に重合開始点を形成し、次いで親水性ポリマーブラシを重合する方法等を挙げることができる。
上記成膜方法のうち特に好ましい方法としては、多段階式に親水性薄膜を形成させる方法、並びに、導電性領域との密着性を高めるために電極の上に下地層を形成し、次いで親水性有機化合物をコーティングする方法を挙げることができる。これらの方法を用いると、親水性有機化合物の電極への密着性を高めることが容易だからである。本明細書では「結合層」という用語を用いる。結合層とは、多段階式に親水性有機化合物の薄膜を形成する場合には最表面の親水性薄膜層と電極との間に存在する層を意味し、電極の表面に下地層を設け当該下地層の上に親水性薄膜層を形成する場合には当該下地層を意味する。結合層は、結合部分(リンカー)を有する材料を含む層であることが好ましい。リンカーとリンカーに結合させる材料の末端の官能基の組み合わせとしては、エポキシ基と水酸基、フタル酸無水物と水酸基、カルボキシル基とN−ハイドロキシスクシイミド、カルボキシル基とカルボジイミド、アミノ基とグルタルアルデヒド等が挙げられる。それぞれの組み合わせにおいて、いずれがリンカーであってもよい。これらの方法においては、親水性材料によるコーティングを行う前に、電極の上にリンカーを有する材料により結合層を形成する。結合層における前記材料の密度は結合力を規定する重要な因子である。前記密度は、結合層の表面における水の接触角を指標として簡便に評価することができる。例えば、エポキシ基を末端に有するシランカップリング剤(エポキシシラン)を例にとると、エポキシシランを付加した電極の表面の水接触角が典型的には45°以上、望ましくは47°以上であれば、次に酸触媒存在下エチレングリコール系材料等を付加することによって十分な細胞接着阻害性を有する領域を形成することができる。なお、本発明において水接触角とは、23℃において測定される水接触角を指す。
(親水性膜の酸化処理及び/又は分解処理による細胞接着性領域の形成)
本発明では、細胞接着性領域は、炭素酸素結合を有する有機化合物を含む細胞接着阻害性の親水性膜に酸化処理及び/又は分解処理を施して細胞接着性とした領域により形成されることが好ましい。
本発明において「酸化」とは狭義の意味であり、有機化合物が酸素と反応して酸素の含有量が反応以前よりも多くなる反応を意味する。
本発明において「分解」とは有機化合物の結合が切断されて1種の有機化合物から2種以上の有機化合物が生じる変化を指す。「分解処理」としては典型的には、酸化処理による分解、紫外線照射による分解等が挙げられるがこれらには限定されない。「分解処理」が酸化を伴う分解(つまり酸化分解)である場合、「分解処理」と「酸化処理」とは同一の処理を指す。
紫外線照射による分解とは、有機化合物が紫外線を吸収し、励起状態を経て分解することを指す。なお、有機化合物が、酸素を含む分子種(酸素、水等)とともに存在している系中に紫外線を照射すると、紫外線が化合物に吸収されて分解が起こる以外に、該分子種が活性化して有機化合物と反応する場合がある。後者の反応は「酸化」に分類できる。そして活性化された分子種による酸化により有機化合物が分解する反応は、「紫外線照射による分解」ではなく「酸化による分解」に分類できる。
以上のように「酸化処理」と「分解処理」は操作としては重複する場合があり、両者を明確に区別することはできない。そこで本明細書では「酸化処理及び/又は分解処理」という用語を使用する。
酸化処理及び/又は分解処理の方法としては、親水性膜を紫外線照射処理する方法、光触媒処理する方法、酸化剤で処理する方法等が挙げられる。本発明では、電極上に細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とをそれぞれ形成することから、親水性膜をパターン状に部分的に酸化処理及び/又は分解処理する。部分的に酸化処理及び/又は分解処理する場合は、フォトマスクやステンシルマスク等のマスクを用いたり、スタンプを用いたりするとよい。また、紫外線レーザ等のレーザを用いた方式等の直描方式で酸化処理及び/又は分解処理を施してもよい。
紫外線照射処理の場合は、波長185nmや254nmの紫外線を出す水銀ランプや波長172nmの紫外線を出すエキシマランプ等のVUV領域からUV−C領域の紫外線を出すランプを光源として用いることが好ましい。光触媒処理する場合は、波長365nm以下の紫外線を出す光源を用いることが好ましく、波長254nm以下の紫外線を出す光源を用いることがより好ましい。光触媒としては、酸化チタン光触媒、金属イオンや金属コロイドで活性化された酸化チタン光触媒を用いるのが好ましい。酸化剤としては、有機酸や無機酸を特に制限なく用いることができるが、高濃度の酸は取り扱いが難しいので、10%以下の濃度に希釈して用いるとよい。最適な紫外線処理時間、光触媒処理時間、酸化剤処理時間は、用いる光源の紫外線強度、光触媒の活性、酸化剤の酸化力や濃度等の諸条件に応じて適宜決定することができる。
細胞接着性領域は、炭素酸素結合を有する有機化合物を低密度で含む親水性膜により形成されていてもよい。この態様では、細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とは、ともに炭素酸素結合を有する有機化合物を含む親水性膜で形成されている。2つの領域は前記有機化合物の密度が相違する。同密度が高いほど細胞は接着しにくくなる傾向がある。細胞接着性領域では、前記有機化合物の密度が、細胞が接着できる程度に低い。一方、細胞接着阻害性領域では、前記有機化合物の密度が、細胞が接着できない程度に高い。
親水性有機化合物の密度を制御する方法としては、親水性有機化合物の薄膜と電極表面との間に結合層を設け、当該結合層の親水性有機化合物との結合力を調整する方法が挙げられる。ここで「結合層」とは上記で定義した通りであり、上記で説明した好ましい材料から構成され得る。結合層の結合力は、結合層におけるリンカーを有する材料の密度が高いほど強くなり、同密度が低いほど弱くなる。結合層におけるリンカーを有する材料の密度は、上述の通り、結合層の表面における水の接触角を指標として簡便に評価することができる。
この実施形態では、細胞接着性領域の結合層における、リンカーを有する材料の密度は低い。細胞接着性領域における、親水性有機化合物の薄膜を形成する前の結合層の表面の水接触角は、リンカーを有する材料としてエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤を使用する場合を例にとると、典型的には、10°〜43°、望ましくは15°〜40°である。このような結合層を形成する方法としては、リンカーを有する材料の被膜(結合層)を電極表面に形成した後、当該結合層の表面を酸化処理及び/又は分解処理する方法が挙げられる。結合層表面を酸化処理及び/又は分解処理する方法としては、結合層表面を紫外線照射処理する方法、光触媒処理する方法、酸化剤で処理する方法等が挙げられる。結合層表面の全面を酸化処理及び/又は分解処理してもよいし、部分的に処理してもよい。部分的な処理は、フォトマスクやステンシルマスク等のマスクを用いたり、スタンプを用いることにより行うことができる。また、紫外線レーザ等のレーザを用いた方式等の直描方式で酸化処理及び/又は分解処理を施してもよい。諸条件等についても、親水性膜の酸化処理及び/又は分解処理により細胞接着性領域を形成する方法の場合と同様の条件を適用できる。こうして形成された結合層上に親水性有機化合物の薄膜を形成することにより、細胞接着性領域が形成できる。
この実施形態では、細胞接着阻害性領域の結合層における、リンカーを有する材料の密度は高い。細胞接着阻害性領域における、親水性有機化合物の薄膜を形成する前の結合層の表面の水接触角は、リンカーを有する材料としてエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤を使用する場合を例にとると、典型的には45°以上、望ましくは47°以上である。このような結合層は、リンカーを有する材料の被膜を電極表面に形成することにより得られる。結合層表面を部分的に酸化処理及び/又は分解処理した場合には、処理を受けない残余の部分が前記水接触角を有する結合層となる。こうして形成された結合層上に親水性有機化合物の薄膜を形成することにより、細胞接着阻害性領域が形成できる。
(細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域との比較)
細胞接着性領域(結合層が存在する場合には結合層も含む)の炭素量は、細胞接着阻害性領域(結合層が存在する場合には結合層も含む)の炭素量と比較して低いことが好ましい。具体的には、細胞接着性領域の炭素量が、細胞接着阻害性領域の炭素量に対して20〜99%であることが好ましい。この範囲内に該当することは、親水性膜の厚さ(結合層が存在する場合には結合層の厚さと親水性膜の厚さの合計)が10μm以下の場合に特に好適である。「炭素量(atomic concentration、%)」は下記に定義する通りである。
また、細胞接着性領域(結合層が存在する場合には結合層も含む)における炭素のうちで酸素と結合している炭素の割合(%)の値は、細胞接着阻害性領域(結合層が存在する場合には結合層も含む)における炭素のうちで酸素と結合している炭素の割合(%)の値に対して小さい値であることが好ましい。具体的には、細胞接着性領域における炭素のうちで酸素と結合している炭素の割合(%)の値が、細胞接着阻害性領域における炭素のうちで酸素と結合している炭素の割合(%)の値に対して35〜99%であることが好ましい。この範囲内に該当することは、親水性膜の厚さ(結合層が存在する場合には結合層の厚さと親水性膜の厚さの合計)が10μm以下の場合に特に好適である。「酸素と結合している炭素の割合(atomic concentration、%)」は下記に定義する通りである。
(親水性薄膜の評価方法)
本発明の親水性薄膜(結合層が存在する場合には結合層も含む)の評価手法としては、接触角測定、エリプソメトリー、原子間力顕微鏡観察、電子顕微鏡観察、オージェ電子分光測定、X線光電子分光測定、各種質量分析法等を用いることができる。これらの手法の中で、最も定量性に優れているのはX線光電子分光測定(XPS/ESCA)である。この測定方法で求められるのは相対的定量値であり、一般的に元素濃度(atomic concentration、%)で算出される。以下、本発明におけるX線光電子分光分析方法を詳細に説明する。
本発明において親水性薄膜の「炭素量」は、「X線光電子分光装置を用いて得られるC1sピークの解析値から求められる炭素量」と定義される。また、本発明において親水性薄膜の「酸素と結合している炭素の割合」は、「X線光電子分光装置を用いて得られるC1sピークの解析値から求められる酸素と結合している炭素の割合」と定義される。具体的な測定は、特開2007−312736号公報に記載される通りに実施できる。
(パターンの形状)
本発明の細胞試験用基板では、細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とがパターン化されて配置されていることが好ましい。パターンの形状は、二次元のパターンであれば特に制限されず、細胞の種類、形成させる組織等によって選択することができる。例えば、ライン状、ツリー状(樹状)、網目状、格子状、円形、四角形のパターン、円形及び四角形等の図形の内部が全て細胞接着性領域又は細胞接着阻害性領域となっているパターン等を形成することができる。
細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域のパターンは、基材の第1導電性領域上において細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とが隣接するように形成される。第1導電性領域上において細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とが隣り合っていることにより、まず細胞接着性領域に細胞を接着させた後、第1導電性領域への電圧(好ましくは正電圧)の印加により細胞接着阻害性領域が細胞接着性に変化すると、その細胞接着性に変化した領域に細胞が遊走できるようになる。したがって、細胞接着性に変化する領域をパターニングにより予め決定して、細胞遊走観察等の試験において細胞を遊走させる領域及び方向を制御することができる。あるいは、細胞を共培養する試験等の場合には、共培養する他の細胞の領域の大きさ、形状を制御することができる。
図1に示すような細胞試験用基板10は、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、基材14上に第1導電性領域11と第2導電性領域12を形成する工程、基材の表面に炭素酸素結合を有する有機化合物を含む細胞接着阻害性の親水性膜(ポリエチレングリコール膜)を形成する工程、及び第1導電性領域11上において細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とが隣り合うように、親水膜をパターン状に酸化処理及び/又は分解処理して細胞接着性に改変させる工程を含む方法により製造できる。
(細胞)
細胞試験用基板に播種する細胞としては、血球系細胞やリンパ系細胞等の浮遊細胞でもよいし接着性細胞でもよいが、本発明は、接着性を有する細胞に対して好適に使用される。また遊走する性質を有する細胞に対して好適に使用される。そのような細胞としては、例えば、肝癌細胞、グリオーマ細胞、結腸癌細胞、腎癌細胞、膵癌細胞、前立腺癌細胞、大腸癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞等の癌細胞、肝臓の実質細胞である肝細胞、クッパー細胞、血管内皮細胞や角膜内皮細胞等の内皮細胞、繊維芽細胞、骨芽細胞、砕骨細胞、歯根膜由来細胞、表皮角化細胞等の表皮細胞、気管上皮細胞、消化管上皮細胞、子宮頸部上皮細胞、角膜上皮細胞等の上皮細胞、乳腺細胞、ペリサイト、平滑筋細胞や心筋細胞等の筋細胞、腎細胞、膵ランゲルハンス島細胞、末梢神経細胞や視神経細胞等の神経細胞、軟骨細胞、骨細胞等が挙げられる。これらの細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、あるいは、それらを何代か継代させたものでもよい。さらにこれらの細胞は、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞、単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞、分化が終了した細胞の何れであってもよい。また、細胞は単一種を培養してもよいし二種以上の細胞を共培養してもよい。
目的の細胞を含む試料は、予め、生体組織を細かくして液体中に分散させる分散処理や、生体組織中の目的の細胞以外の細胞その他細胞破片等の不純物質を除去する分離処理等を行っておくことが好ましい。
細胞試験用基板への細胞の播種に先だって、目的とする細胞を含む試料を、予め、各種の培養方法で予備培養して、目的とする細胞を増やすことが好ましい。予備培養には、単層培養、コートディシュ培養、ゲル上培養等の通常の培養方法が採用できる。予備培養において、細胞を支持体表面に接着させて培養する方法の一つに、いわゆる単層培養法として既に知られている手段がある。具体的には、例えば、培養容器に目的の細胞を含む試料と培養液とを収容して一定の環境条件に維持しておくことにより、特定の生細胞のみが、培養容器等の支持体表面に接着した状態で増殖する。使用する装置や処理条件等は、通常の単層培養法等に準じて行う。細胞が接着して増殖する支持体表面の材料として、ポリリシン、ポリエチレンイミン、コラーゲン及びゼラチン等の細胞の接着や増殖が良好に行われる材料を選択したり、ガラスシャーレ、プラスチックシャーレ、スライドガラス、カバーガラス、プラスチックシート及びプラスチックフィルム等の支持体表面に、細胞の接着や増殖が良好に行われる化学物質、いわゆる細胞接着因子を塗布しておくことも行われる。
予備培養後に、培養容器中の培養液を除去することで、試料中の、支持体表面に接着しない塊状や線維状の不純物等の不要成分が除去され、支持体表面に接着した生細胞のみを回収できる。支持体表面に接着した生細胞の回収には、EDTA−トリプシン処理等の手段が適用できる。
上記のように予備培養した細胞を、細胞試験用基板上に播種する。細胞の播種方法や播種量については特に制限はなく、例えば、朝倉書店発行「日本組織培養学会編組織培養の技術(1999年)」266〜270頁等に記載されている方法が使用できる。細胞を細胞試験用基板上で増殖させる必要がない程度に十分な量で、細胞が単層で接着するように播種することが好ましい。通常、培養液1ml当たり10〜10個のオーダーで細胞が含まれるように播種するのが好ましく、また、電極1cm当たり10〜10個のオーダーで細胞が含まれるように播種するのが好ましい。具体的には、400mm当たり2×10個程度で播種する。
播種した細胞は、細胞接着性領域に接着させる。細胞の培養液としては、当技術分野で通常用いられる細胞培養用培地であれば特に制限なく用いることができる。例えば、用いる細胞の種類に応じて、MEM培地、BME培地、DME培地、αMEM培地、IMDM培地、ES培地、DM−160培地、Fisher培地、F12培地、WE培地及びRPMI1640培地等、朝倉書店発行「日本組織培養学会編組織培養の技術第三版」581頁に記載されているような基礎培地を用いることができる。さらに、基礎培地に血清(ウシ胎児血清等)、各種増殖因子、抗生物質、アミノ酸等を加えてもよい。また、Gibco無血清培地(インビトロジェン社)等の市販の無血清培地等を用いることができる。
(細胞の試験)
上記のように、本発明の細胞試験用基板上に細胞を播種し、好ましくは培養を行い、細胞接着性領域に細胞を接着させた後、第1導電性領域と第2導電性領域との間に電圧を印加し、第1導電性領域上の細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させることを利用して、細胞遊走の観察等の様々な試験を行うことができる。すなわち、本発明の細胞試験方法は、
(i)上記の本発明の細胞試験用基板に細胞を播種し、細胞接着性領域に細胞を接着させる工程と、
(ii)細胞接着阻害性領域に電圧印加することにより、細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させる工程と、
を含むことを特徴とするものである。
以下、本発明の細胞試験方法の一つとして、細胞の遊走を観察する場合を図5a〜図5eに基づき説明する。
まず、図5aに示すように、細胞試験用基板10上に細胞Aを播種した後、好ましくは細胞培養を行い、細胞接着性領域16に細胞Aを接着させる。さらに、細胞試験用基板10を洗浄することにより、接着していない細胞Aを洗い流し、細胞接着性領域16にのみ細胞Aを接着させることが好ましい。そして好ましくは図5bに示すように細胞接着性領域上に接着した細胞を培養する。図5b以降の工程は、例えば側壁部材の上に蓋をした常態で実施することも可能であり、コンタミネーションを防ぐことができる。
続いて、図5cに示すように、第1導電性領域11と第2導電性領域12との間に電圧を印加することにより、細胞接着阻害性領域17を細胞接着性の領域26に変化させる。ここで、第1導電性領域11に印加する電圧は、正電圧であることが好ましい。正電圧を印加することにより、細胞接着阻害性領域17を効果的に細胞接着性の領域26に改変できるとともに、特に導電性領域がITO膜からなる場合に黒変するのを防止することができ、細胞遊走の観察等を良好に実施できる。なお、図5dでは電圧を印加したことによる変化を明確に表現するために細胞接着阻害性領域17(例えば、親水性膜)が消失したように表現してあるが、実際には親水性膜の分解物等が残存していると推定される。また、図5aにおける細胞接着性領域16においても、親水性膜の酸化処理及び/又は分解処理等により生じる分解物等が残存していると推定される。
印加する電圧は、導電性領域が接している溶媒の種類や、導電性領域を構成する材料、導電性領域の形状によって、適切な値が変わるが、通常、細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させることができる電圧以上で、細胞に悪影響を与えない程度の低い電圧を加えるのがよい。具体的には、通常1〜10V、好ましくは2〜5Vであり、印加する時間は、通常1秒〜60分間、好ましくは10秒〜10分間であるが、これに限定されるものではない。
そして、図5eに示すように、細胞接着性領域16に接着していた細胞Aが、細胞接着性に変化した領域26へ向かって遊走するため、この状態を顕微鏡等により観察することができる。細胞の挙動の観察には、例えば、細胞が遊走する速度の計測、並びに遊走方向、遊走時の細胞形態、細胞の分裂頻度及び周囲の細胞同士のコネクション等の観察が含まれる。細胞が遊走する速度は、細胞接着性に変化させた細胞接着阻害性領域を細胞が埋めていく面積や距離の計測、あるいは個々の細胞をトラッキングすることにより、計測することができる。例えば、薬剤を投与し、電圧を印加することで細胞接着阻害性領域をいっせいに細胞接着性に変化させて創傷パターンを形成し、その創傷パターンへ向かう細胞の遊走挙動を観察することで、創薬スクリーニングアッセイ等を効率的に行うことができる。
本発明の細胞試験用基板は、上記の細胞遊走の観察以外にも、細胞分化制御、細胞増殖制御、細胞培養、異なる細胞の共培養等の様々な細胞の試験に利用することができる。例えば、細胞分化制御及び細胞増殖制御に関しては、分化能を有する細胞は、足場から受けるメカニカルストレスの影響によって分化の状態が変わることが知られているため、まず、所望の分化を誘導する形状及び/又は大きさの細胞接着性領域に細胞を播種して、細胞を分化させる。細胞が分化した後、細胞接着性領域に隣接する細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させることで、細胞を遊走させ増殖させる。すなわち、分化した細胞の遊走及び増殖が可能となるため、このような培養を繰り返すことにより、分化した細胞を大量に得ることができる。また、異なる細胞の共培養を行う場合には、例えば、まず、細胞接着性領域及び細胞接着阻害性領域が隣接する部位に第1の細胞を播種、培養を行い、第1の細胞を細胞接着性領域に十分に接着させた後、電圧を印加して細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させる。そして、この電圧印加の直後(あるいは直前)に、第2の細胞を播種する。これにより、第1の細胞が細胞接着性に変化した領域に遊走・増殖してこの領域を覆う前に、第2の細胞が細胞接着性に変化した領域に先に接着することになり、パターン化された領域における異なる細胞の共培養が可能となる。
(実施例)
1.導電性領域の作製
15cm角の無アルカリガラス上に酸化インジウム錫(ITO)を150nmにスパッタ製膜し、レジスト塗布、フォトマスクを介した露光、現像、エッチングを経て、図6aに示すパターンのITOの導電性領域を得た。
第1導電性領域11の接続部19の幅は2.0mm、長さは4.0mm、膨らみ部15の形状は円形で直径は9.0mmとした。第2導電性領域12の接続部19の幅は2.0mm、長さは2.5mm、膨らみ部を包囲する第2導電性領域の部分22の幅は1mmで、膨らみ部とこれを包囲する第2導電性領域との間隔21は、500μmとした。第1導電性領域と第2導電性領域の基部18の間隔は16mmとした。
2.細胞試験用基板の作製
(一段階目の反応)
トルエン39.0g及びエポキシシランTSL8350(GE東芝シリコーン製)750μlの混合液を攪拌しながら触媒量のトリエチルアミンを加え、さらに室温で数分間攪拌した。UV洗浄したITO基材を、上記のエポキシシラン溶液に浸漬し、19時間室温で振盪した。その後、下地処理されたITO基材をエタノールで洗浄し、次いで水洗し、乾燥した。
(二段階目の反応)
ポリエチレングリコール(PEG400)30gを攪拌しながら、触媒量の濃硫酸をゆっくり添加し、さらに室温で数分間攪拌した。上記のエポキシシラン処理された基材を上記のポリエチレングリコールに浸漬し、80℃で60分間反応させた。反応後、基材をよく水洗いし、次いで乾燥した。これにより親水性薄膜が形成された基板が得られた。
(酸化処理)
表面全域に酸化チタン系光触媒を塗布したフォトマスクを準備した。フォトマスクは、基板とアライメントをとったときに、第1導電性領域の膨らみ部を横切る幅0.8mmのライン27以外の部分が開口部となるものを用いた(図6b)。
あらかじめ露光機の照度を350nmの波長で計測し、露光時間の設定の目安とした。照度は25mW/cmであった。親水性薄膜が形成されたITO基板と上記フォトマスクを、親水性薄膜とフォトマスクの光触媒層が対向するように設置し、フォトマスクの裏面側から光が照射されるよう露光機内に設置した。120秒間露光し、酸化処理を行った。
3.細胞培養
基板をエチレンオキサイドガスで滅菌した。この基板に2.0x10細胞/cmでSWISS−3T3細胞を播種した。10%血清を含むDMEM培地を用いて、37℃、5%CO濃度のインキュベータ内で24時間培養した。位相差顕微鏡で観察したところ、細胞は酸化処理された部分、すなわちライン27以外の部分にコンフルエントの状態で接着していた(図7a)。
4.電圧印加
第1導電性領域を正極、第2導電性領域を負極として、それぞれ基部18を回路に接続し、+2.0Vの電圧を2分間印加した。正の電圧が印加された第1導電性領域上で、時間経過とともに、それまでフォトマスクのパターン通りに接着していた細胞が、第1導電性領域上のライン27に対応する部分に遊走していく様が観察され、膨らみ部上の細胞接着阻害性領域が細胞接着性領域に変化したことが確認された。(図7b及びc)。
(比較例)
1.電極基材の作製
15cm角の無アルカリガラス上に酸化インジウム錫(ITO)を150nmにスパッタ製膜し、レジスト塗布、フォトマスクを介した露光、現像、エッチングを経て、それぞれが櫛形の第1導電性領域および第2導電性領域を有し、互いに櫛歯が噛み合った形状のITO導電性領域のパターンを得た。ここで、櫛歯部の線幅は10μm、長さは5mmで、櫛歯と櫛歯の間隔は30μmとした(櫛歯が噛み合う形状については、特開2011−101638の図1(1)を参照)。
2.細胞試験用基板の作製
(一段階目の反応)
トルエン39.0g及びエポキシシランTSL8350(GE東芝シリコーン製)750μlの混合液を攪拌しながら触媒量のトリエチルアミンを加え、さらに室温で数分間攪拌した。UV洗浄したITO基材を、上記のエポキシシラン溶液に浸漬し、19時間室温で振盪した。その後、下地処理されたITO基材をエタノールで洗浄し、次いで水洗し、乾燥した。
(二段階目の反応)
テトラエチレングリコール15gを攪拌しながら、触媒量の濃硫酸をゆっくり添加し、さらに室温で数分間攪拌した。上記のエポキシシラン処理された基材を上記のテトラエチレングリコールに浸漬し、80℃で60分間反応させた。反応後、基材をよく水洗いし、次いで乾燥した。これにより親水性薄膜が形成された基板が得られた。
(酸化処理)
表面全域に酸化チタン系光触媒を塗布したフォトマスクを準備した。フォトマスクは、基板とアライメントをとったときに、櫛歯が噛み合った中央部を櫛歯と直行するように横切る幅1.0mmのライン状開口部を有するものを用いた。あらかじめ露光機の照度を350nmの波長で計測し、露光時間の設定の目安とした。照度は25mW/cmであった。親水性薄膜とフォトマスクの光触媒層が対向するように設置し、フォトマスクの裏面側から光が照射されるよう露光機内に設置した。120秒間露光し、酸化処理を行った。
3.細胞培養
基板をエチレンオキサイドガスで滅菌した。この基板に2.0x10細胞/cmでSWISS−3T3細胞を播種した。10%血清を含むDMEM培地を用いて、37℃、5%CO濃度のインキュベータ内で24時間培養した。位相差顕微鏡で観察したところ、細胞は酸化処理された部分にのみコンフルエントの状態で接着していた。
4.電圧印加
第1導電性領域を正極、第2導電性領域を負極として、それぞれを回路に接続し、+2.0Vの電圧を2分間印加した。正の電圧が印加された櫛歯状の導電性領域上において、時間経過とともに、櫛歯に沿って細胞が遊走する部分もあったが、遊走が見られない櫛歯部分も観察され、導電性領域上の細胞接着阻害性領域が効率的に細胞接着性に変化していないことが確認された(図8)。
10 細胞試験用基板
11 第1導電性領域
12 第2導電性領域
13 絶縁性領域
14 基材
15 膨らみ部
16 細胞接着性領域
17 細胞接着阻害性領域
18 基部
19 接続部
20 膨らみ部の外周部
21 第1導電性領域と第2導電性領域との間隔
22 第1導電性領域の膨らみ部を包含する第2導電性領域の部分
23 側壁部材
24 凹部
25 リード線
26 細胞接着性に変化した領域
27 フォトマスクのラインパターン
A 細胞

Claims (5)

  1. 第1導電性領域と第2導電性領域と絶縁性領域とが配置された基材を備え、
    第1導電性領域と第2導電性領域は互いに電気的に独立しており、
    基材の平面視において、第1導電性領域は先端に膨らみ部を有し、該膨らみ部が第2導電性領域に包囲されており、
    第1導電性領域の膨らみ部上に、細胞接着性領域と、該細胞接着性領域に隣接し且つ第1導電性領域に電圧印加することにより細胞接着性に変化する細胞接着阻害性領域とが配置されている、
    細胞試験用基板。
  2. 導電性領域が、基材表面に透明電極材料の膜が存在する領域である請求項1記載の細胞試験用基板。
  3. 第1導電性領域の膨らみ部が略円形である請求項1又は2記載の細胞試験用基板。
  4. 第1導電性領域の膨らみ部の寸法が1〜10mmであり、該膨らみ部とそれを包囲する第2導電性領域とが、10〜500μmの間隔で隔離されている、請求項1〜3のいずれか1項記載の細胞試験用基板。
  5. 細胞を試験する方法であって、
    (i)請求項1〜4のいずれか1項記載の細胞試験用基板に細胞を播種し、細胞接着性領域に細胞を接着させる工程と、
    (ii)細胞接着阻害性領域に電圧印加することにより、細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させる工程と、
    を含む前記方法。
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